JP4071300B2 - 改良されたアクセス特性を有するコンタクトレンズの包装手段 - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
本発明は、広義にはコンタクトレンズの包装および保管容器の技術に関する。より具体的には、本発明は、無菌食塩水の保管液に浸漬された親水性または軟質のコンタクトレンズを保管するための「がま肌（blister ）」の、または射出成形されたプラスチックの包装手段に関する。
【０００２】
【従来の技術】
親水性または軟質のコンタクトレンズは、快適で便利であることから非常に一般的になっている。これらの親水性レンズは、一般に、約２０〜９０重量％の水を含有する。この高い含水量を維持するために、親水性レンズは、保管、出荷および取扱いの過程の間、代表的には、水密性包装手段内で無菌の水溶液に浸漬される。親水性コンタクトレンズを保管するのに用いられる各種の包装手段が存在している。
【０００３】
初期のレンズ容器は、栓付きガラス瓶であった。これらの瓶は、普通、シリコーンの栓、および安全のために金属箔の覆いで密封されていた。各瓶は、約１０ccの容積を有し、約７ccの無菌食塩水溶液に浸漬された、ただ１個のコンタクトレンズを保持した。レンズは、金属箔を引き裂き、栓を抜き、ピンセットでレンズを把持することによって取り出された。
【０００４】
コンタクトレンズの包装における改良は、射出成形された、または「がま肌」の包装手段に含まれており、その例は、Martinezに対して与えられた米国特許第4,691,820 号明細書に開示されている。Martinezは、コンタクトレンズおよび食塩水溶液を受容するための空洞を画定するがま肌の部分を有する、コンタクトレンズの保管包装手段を開示している。がま肌の部分は、空洞の外辺を囲む、外側に張り出したフランジを有する。水密性封止手段を形成するために、フランジにはカバー材料が取り付けられる。がま肌部分の側壁の一部は、がま肌部分の底部支持面から傾いている。包装手段は、カバーをフランジから引き剥して、コンタクトレンズを収めた空洞を露出させることによって、開けられる。Martinezの包装手段は一定の改良を与えるものの、包装手段またはカバー部分のいずれも、それを開く過程で容易に把持されることがない。
【０００５】
したがって、包装手段を把持するための改良された手段を有する、親水性コンタクトレンズの保管包装手段に対する必要性が存在している。また、カバーを把持し、取り外すための改良された手段を有する、コンタクトレンズの保管包装手段に対する必要性も存在する。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、改良された把持／安定化手段を有するコンタクトレンズ保管容器を提供することである。
【０００７】
本発明のもう一つの目的は、改良されたアクセス手段を有するコンタクトレンズ保管容器を提供することである。
【０００８】
本発明のもう一つの目的は、コンタクトレンズ包装手段を開く際の使用者の快適感を改善することである。
【０００９】
本発明の更にもう一つの目的は、封止手段に関してコンタクトレンズを保持する包装手段の安定化手段の配置の位置を改良し、それによって、包装手段を開く操作の際のレンズまたは保管液の損失の可能性を低減することである。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
本発明は、軟質の親水性コンタクトレンズの保管、出荷またはその他の取扱いのための包装手段である。この包装手段は、コンタクトレンズおよび液体を保持することが可能な貯留槽を画定する容器、該容器とともに液−不透性封止手段を形成するためのカバー、および該カバーを該容器に取り付けるための手段を含む。容器は、更に、カバーが取り外されている間、容器を容易かつ確実に把持し、安定化するための手段を有する。安定化手段は、２ケ所の切れ込みを容器に有し、この切れ込みは、容器の相対する側に位置する。好ましくは、安定化手段は、容器の切れ込みに取付けられた、その隆起させた部分が容器のフランジに実質的に垂直である２枚の唇状構造も有する。好適な実施態様では、この唇状構造は、手による把持が容易であるように畝立てされている。容器は、カバーを容器から分離し、貯留槽内に保管されたコンタクトレンズを露出するために、カバーの一部に容易にアクセスし、それを把持するための手段（すなわち引き手）も有する。引き手は、使用者が手による取り外しのために引き手を容易に把持することができるに充分な距離だけ、容器を越えて延伸している。好ましくは、引き手は、手による引き手の把持を助ける隆起させた、または畝立てされた表面を有する把持手段も含む。
【００１１】
【実施例】
図１を参照すると、本発明のコンタクトレンズ保管装置１０が断面図で示されている。容器１２は、コンタクトレンズ２４、およびそれを囲む液体、例えば無菌の等張食塩水溶液を保持するための貯留槽２２を画定する。容器１２は、好ましくは、コンタクトレンズの凸面との適合性のために、実質的に半球の形状を有する。好ましくは、容器は、平坦にされた表面１４を、カバー１８の反対側に有する。この平坦にされた表面は、平坦な保管表面（例えばテーブル）上での所定の方向での容器の定置および保持を可能にする。容器１２は、更に、それへのカバー１８の周辺での取り付けのためのフランジ１６を有する。フランジ１６は、容器１２の周辺から外側に、好ましくは、周辺によって画定される平面内で、それへのカバー１８の取り付けを可能にするのに充分な距離だけ延伸している。カバー１８は、それに取り付けられたときに、容器１２とともに液密性封止手段を与えることが可能な材料の柔軟なシートである。好ましくは、カバー１８は、容器１２のフランジ１６の形状に実質的に従うが、少なくとも一部、すなわち引き手２０は、フランジ１６を越えて延伸している。引き手２０（図３も参照されたい）は、保管装置を開いて、保管されたコンタクトレンズへのアクセスを達成する際の、使用者による把持が容易であるように与えられる。
【００１２】
図２は、本発明の一実施態様による容器３０の平面図である。封止手段の取り外しの際に使用者が容器を把持することを可能にするために、容器３０（好ましくはフランジ）には、切れ込み３２が与えられており、すなわち、切れ込み３２は、容器を開く過程で容器を安定化する手段を与える。図３は、柔軟なシート４０の好ましい形状を示す。シート４０は、容器の周辺を越えて延伸する引き手２０以外は、容器の形状に実質的に従う。
【００１３】
操作の際に、使用者は、一方の手の拇指および示指で切れ込み３２を把持し（図２を参照されたい）、その間に他方の手の拇指および示指で引き手２０を把持する（図３を参照されたい）ことによって、コンタクトレンズを取り出すことができる。次いで、図１の矢印で示された方向に引き手２０を移動し、それによって、容器のフランジと柔軟な密封シートとの間で、（好ましくは接着剤またはヒートシールによって与えられた）封止手段を破壊してもよい。
【００１４】
用語「切れ込み」は、ここで用いられる限りで、使用者がコンタクトレンズ保管装置を容易に把持することを可能にするのに充分な、周辺での区別を与える、切欠き、刻み目、圧痕、切り抜きまたは他の形状を指す。切れ込みは、柔軟なシートの切断、スタンピング、注型、または別な方法での成形によって形成し得る。好ましくは、切れ込みは、人の拇指および示指の曲率半径に実質的に適合する、容器の周辺、特に容器のフランジにおける曲線である。より好ましくは、切れ込みは、約５〜約３０mmの実質的に均一な曲率半径を有する。
【００１５】
図４は、本発明の、より好ましい第二の実施態様を示す。この実施態様では、引き手５２は、引き手５２の畝または隆起させた部分５４（図５を参照されたい）によって与えられる増大した握り摩擦を有する表面を有する。引き手５２は、カバー（図５には示さず）への（例えば接着剤またはヒートシールによる）取り付けによって、取り外しできるように容器本体５８に取り付けられ、そうして、カバーは容器のフランジに（例えば接着剤またはヒートシールによって）取り外しできるように取り付けられている。引き手５２は、好ましくは、畝立てされた剛直な材料片であって、拇指と示指との間での手による把持に特に適合させてある。剛直な畝立てされたデザインは、消費者が引き手をしっかりと把持することを可能にする。こうして、側面の安定化手段と相まって、剛直な畝立てされた引き手は、カバーと容器との結合の円滑な分離を可能にし、それによって、すべりおよび容器内容の流失を防止する。
【００１６】
上記の第二の実施態様は、容器のフランジ６２によって画定される平面から実質的に垂直に延伸する隆起させた唇状構造６０を有する安定化手段５６の利用にも好都合である（図６および７を参照されたい）。唇状構造６０は、図７に最も良く示されているとおり、フランジ６２から実質的に垂直に延伸している。好ましくは、隆起させた唇状構造６０は、把持が容易であるように改良された摩擦を与えるために、表面６４が畝立てされているか、または細かく線刻されている。唇状構造は、前記の容器の切れ込み５６の形状に適合するように湾曲させてある（図５を参照されたい）。
【００１７】
安定化手段５６（図５を参照されたい）に対する引き手５２の相対的な位置付けは、レンズ保管容器からのコンタクトレンズの取り出しの容易さに実質的な改善を与える。包装手段を開く過程で、一方の手の拇指と示指との間で安定化手段５６を把持してよく、その間に、他方の手の拇指と示指との間に引き手５２を把持する。引き手５２を安定化手段５６に向かって動かす間に、安定化手段５６を把持することによって容器を一つの位置に容易に保ち、それによって、容器からの保管液の流失、またはレンズの紛失を防止することができる。好ましくは、容器を開く過程で、容器を水平な表面（例えばテーブル）に、平坦にされた表面５５（図５を参照されたい）がその水平な表面に接するよう支持させることによって、容器を更に安定化する。
【００１８】
前述のとおり、引き手は、容器の周辺を越えて所定の距離だけ延伸しているが、その距離は、使用者が引き手を容易に把持することを可能にするのに充分な距離である。好ましくは、引き手は、容器の周辺を約５〜約５０ミリメートル（mm）、より好ましくは、容器の周辺を約１５〜２５mm越えて延伸している。
【００１９】
柔軟なシートは、各種の水−不透性材料で形成してよく、各種の厚さを有してよい。シートは、使用者が容器からシートを容易に取り外すことを可能にするのに充分なように柔軟でなければならない。好ましくは、シートは、金属（例えばアルミニウム）箔または箔複合材料から形成する。シートの好適な厚さは約０．０１〜約０．１０ミリメートル（mm）、より好ましくは約０．０４〜約０．０５mmである。
【００２０】
容器は、各種の材料から形成し得るが、好ましくは、使用者が保管装置を開くことなくレンズを検査することを可能にするために、透明である。好適な材料は、各種の透明で注型可能な実質的に疎水性であるプラスチック、例えばポリエチレンまたはポリプロピレンを包含する。容器の好適な厚さは、約０．５〜約１．０mmの範囲にある。
【００２１】
容器は、数多くの方法を用いて柔軟なシートに取り付けることができる。しかし、容器とシートとの間の結合の強さは、過剰であってはならない、すなわち、使用者は、容器からシートを容易かつ速やかに分離することが可能でなければならない。容器にシートを取り付ける好適な手段は、それらの間に配置された接着剤の使用、またはヒートシール法の使用を包含するが、両者とも当技術には周知である。
【００２２】
本発明は、読者が不要な実験を行なうことなく本発明を実施することを可能にするために、一定の好適実施態様を参照して詳細に説明されてきた。しかし、当技術の通常の技量を有する者は、前記の開示の多くは、本発明の範囲および精神から逸脱することなく多少とも変化または変更し得ることを容易に認識するものと思われる。したがって、本発明に対する知的所有権は、付記された請求項によってのみ定義されている。
【図面の簡単な説明】
【図１】これは、本発明のコンタクトレンズ保管包装手段の一実施態様の断面図である。
【図２】これは、該コンタクトレンズ保管包装手段の容器構成要素の平面図である。
【図３】これは、コンタクトレンズ保管包装手段の柔軟なシートの封止手段の平面図である。
【図４】これは、本発明のコンタクトレンズ保管包装手段の第二の実施態様の側面断面図である。
【図５】これは、コンタクトレンズ保管包装手段の第二の実施態様の上からの平面図である。
【図６】これは、コンタクトレンズ保管包装手段の第二の実施態様の側面図である。
【図７】これは、コンタクトレンズ保管包装手段の第二の実施態様の正面断面図である。
【符号の説明】
１０．コンタクトレンズ保管装置
１２．３０．容器
１４．平坦にされた表面
１６．６２．フランジ
１８．カバー
２０．５２．引き手
２２．貯留槽
２４．コンタクトレンズ
３２．切れ込み
４０．シート
５４．引き手の隆起部分
５８．容器本体
５６．安定化手段
６０．唇状構造
６４．唇状構造の表面

Claims (11)

1. コンタクトレンズ（２４）を無菌食塩水に浸漬して保管するための装置であって、
   （ａ）コンタクトレンズ（２４）および該コンタクトレンズ（２４）を実質的にとり囲む液体を受容することができる貯留槽（２２）を画定し、その周辺沿いに外側に延伸するフランジ（１６）を含む容器（１２，５８）；
   （ｂ）該容器（１２，５８）に取り外せるように取り付けられ、該容器（１２，５８）とともに実質的に液−不透性である封止手段を与える柔軟なカバー（１８）；および
   （ｃ）該カバー（１８）の手による取り外しおよび該コンタクトレンズへのアクセスを可能にする、該カバー（１８）を把持するための手段（２０，５２）を含み、
   （ｄ）該容器の相対する側に位置し、それによって拇指と示指との間に該装置を把持することができる少なくとも２ケ所の切れ込み（３２，５６）を該容器に有する、該装置を安定化するための手段
   を含み、
   該容器（１２，５８）が、該カバー（１８）の反対側に位置する平坦にされた表面（１４）を有し、それによってその装置を平坦な保管表面上に置き、所定の方向に保持することができ、
   該容器（１２，５８）が、平坦にされた表面（１４）がその半球の周辺に対して平行な平面上にあり、実質的に全体として半球の形状と、該半球の周辺から該半球の周辺の平面内の該半球外の点まで延伸するフランジ（１６）とを有し、
   該安定化するための手段の切れ込みに取り付けられた一対の唇状構造（６０）を更に含み、該唇状構造（６０）が、フランジ（１６）から実質的に垂直に延伸し、該切れ込みの形状に実質的に一致する
   ことを特徴とする装置。
2. 柔軟なカバー（１８）が、液−不透性材料からなる柔軟なシート（４０）を含む請求項１記載の装置。
3. カバー（１８）が、柔軟なカバー（１８）と容器のフランジ（１６）との間に位置する接着剤によって、該容器上で周辺のフランジ（１６）に取り付けられている請求項２記載の装置。
4. 容器とシート（４０）との間の接着の強さが、容器の取扱いの際には封止手段をそのままに維持するには充分であるが、該容器から該シート（４０）の手による取り外しを実質的に損なう大きさではない請求項３記載の装置。
5. カバー（１８）が、金属箔を含む請求項２記載の装置。
6. 柔軟なカバー（１８）が、容器の一辺縁を越えて延伸し、それによって、該柔軟なカバーの手による把持を可能にするのに充分なように該容器の辺縁を越えて延伸する引き手（２０，５２）を形成する請求項２記載の装置。
7. 引き手（５２）に取り付けられた引き手把持手段を更に有し、該引き手把持手段が、隆起させた複数の畝（５４）をその上に有する剛直なものである請求項６記載の装置。
8. 引き手（２０，５２）が、容器の該辺縁を約５〜約５０mm越えて延伸する請求項６記載の装置。
9. 容器（１２，５８）が、透明なプラスチックから形成される請求項１記載の装置。
10. 切れ込み（３２，５６）が、約５〜約３０mmの実質的に均一な曲率半径を有する請求項１記載の装置。
11. 唇状構造（６０）が、該唇状構造の表面から延伸する隆起を有し、それによって該唇状構造の手による把持を可能にする請求項１記載の装置。

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