明 細 書
ナノゲル -アパタイト複合体の調製
技術分野
[0001] 本発明は、ナノゲルおよびナノゲル複合体をテンプレートとするナノゲルーァパタイ ト複合体の調製方法およびその用途に関する。
背景技術
[0002] リン酸カルシウムは哺乳類の硬組織を構成する無機成分である。その生体適合性 ゆえに様々なリン酸カルシウム系ノィォマテリアルが開発され、骨疾患の治療に利用 されてきた。また、細胞への遺伝子導入にリン酸カルシウムを用いる手法は古くから 行われている。
[0003] 近年、リン酸カルシウム粒子をナノメートルサイズに制御することにより、バイオマテ リアルの機能が向上することが見出されている。たとえば、 Mozumdarらは粒径を約 80 nmに制御したプラスミド DNAZリン酸カルシウム(ヒドロキシアパタイト)複合体力 粒 径を制御して 、な 、従来のリン酸カルシウム法よりも高 、DNAトランスフエクシヨン効 率を示すことを報告した (非特許文献 1)。
[0004] また、片岡らは、プラスミド DNA'ヒドロキシアパタイト 'ポリエチレングリコール ポリ ァスパラギン酸ブロック共重合体力もなる粒径数百應のハイブリッドミセルを構築し( 非特許文献 2)、トランスフ クシヨン効率を調べている(非特許文献 3)。このようなハ イブリツドミセルはオリゴ DNAや siRNAの運搬にも効果的である(非特許文献 4)。ヒド ロキシアパタイトのナノ粒子にシスブラチンを吸着させ、徐放性のドラッグデリバリーシ ステム (DDS)に利用する試みもなされて 、る(非特許文献 5)。
[0005] リン酸カルシウムのナノ粒子の調製法には、高周波プラズマを用いる方法 (非特許 文献 6)、結晶形成直後に溶液から分離する方法 (非特許文献 7および 8)、ポリマー の結晶成長制御効果を利用する方法 (非特許文献 2— 4、 9)などが報告されている。 また、マイクロエマルジヨン (非特許文献 1および 10)やリボソーム (非特許文献 11)を テンプレートとして用いた例もある。
[0006] 一方、ナノ微粒子とゲルの特性を併せ持つナノメーターサイズ (特に 100 nm以下)
の高分子ゲル微粒子 (ナノゲル)は、特にドラッグデリバリーシステムやナノテクノロジ 一分野で注目されるようになってきた。一般に化学架橋ナノゲルはマイクロエマルショ ン重合法や高分子分子内での架橋反応により合成されてきた。本発明者らは、疎水 化高分子の自己組織化による物理架橋ナノゲルの新規な調製法を報告した (非特許 文献 12)。すなわち、比較的疎水性の高い疎水基 (コレステロール基)を部分的に導 入した水溶性多糖類が、希薄水溶液中で自己組織的に会合し、疎水基の会合領域 を架橋点とする単分散なナノゲルを形成することを見出した。発明者らの知る限り、物 理架橋点を有する 50nm以下のサイズの揃ったナノゲルとしては、初めての報告であ つた o
[0007] 通常のナノ微粒子は、その表面の特性を利用した研究がほとんどである力 ナノゲ ルはさらにその内部の空間に疎水性の薬物やタンパク質といった物質を取り込める スペースを有することが最大の特色である。コレステロール置換プルラン(CHP)のナ ノゲルは、タンパク質と選択的に相互作用するホストとして機能し、ドラッグデリバリー システムのキャリア一として有効であることを報告している。さらに、ナノゲルはシクロ デキストリンの添カ卩により崩壊し、取り込んだ物質を放出することが可能である。
[0008] また、第 2の利点は物理架橋点を有することから、架橋構造の動的構造制御が可 能であることである。疎水基の構造を変えることでゲルネットワークの動的特性を制御 しえることゃシクロデキストリンとのホスト ゲスト相互作用を利用することで、ナノゲル の生成と崩壊を動的に制御しえる。この性質を利用して、変性タンパク質の取り込み と放出を制御した人工分子シャペロンの開発に成功している。
非特許文献 1 : 1. Roy, S. Mitra, A. Maitra, S. Mozumdar, Int. J. Pharm. (2003) 250, 25-33.
非特許文献 2 : Y. Kakizawa, K. Kataoka, Langmuir (2002) 18, 4549-4543.
非特許文献 3 : Y. Kakizawa, K. Miyata, S. Furukawa, K. Kataoka, Adv. Mater. (2004)
16, 699-702.
非特許文献 4 : Y. Kakizawa, S. Furukawa, K. Kataoka, J. Control. Release (2004)97, 345-356.
非特許文献 5 : A. Barroug, L. T. Kuhn, L. C. Gerstenfeld, M. J. Glimcher, J. Orthop
.Res. (2004) 22, 703-708.
非特許文献 6 : R. Kumar, P. Cheang, K. A. Khor, J. Mater. Pro. Technol. (2001) 11 3,456-462.
非特許文献 7 : D. Tadic, F. Peters, M. Epple, Biomater. (2002) 23, 2553—2559. 非特許文献 8 : T. Welzel, W. M.— Zaika'M. Epple, Chem. Commun. (2004) 1204—120
5.
非特許文献 9 : C. S. Ashamol, S. Padalkar, S. Radhakrishnan, Polymer (2001) 42,225 5-2258.
非特許文献 10 : G. K. Lim, J. Wang, S. C. Ng, C. H. Chew, L. M. Gan, Biomater.(l 997) 18, 1433-1439.
非特許文献 11 : H. T. Schmidt, A. E. Ostafin, Adv. Mater. (2002) 14, 532-535. 非特許文献 12 :Akiyoshi, K. et. al, Macromolecules (1993) 26, 3062
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0009] 本発明の課題は、ナノゲルとアパタイト微粒子の複合体である、ナノゲル一ァパタイ トナノ微粒子の合成とその利用を達成することである。
課題を解決するための手段
[0010] 本発明者は、疎水化多糖ナノゲルについての知見をもとに、ナノゲルおよびその誘 導体をテンプレートとし、カルシウムイオンとリン酸イオンの交互添加法、または COガ
2 スを利用する新規な方法 (以下、 pH-gradient法と呼称することがある)により、比較的 単分散なリン酸カルシウムナノ微粒子力 様々なナノ構造制御された新規有機 無 機ハイブリッドナノ微粒子けノゲル アパタイトナノ微粒子)の合成が可能であること を見出し、本発明を完成した。つまり、本発明は、
「1.カルシウムイオンとリン酸イオンとの交互添加法によりアパタイトナノ微粒子を合 成することを特徴とする、アパタイトナノ微粒子の調製方法。
2.疎水化高分子からなるナノ粒子 (ナノゲル)またはナノゲル複合体をテンプレートと してナノゲル一アパタイトナノ微粒子を合成することを特徴とする、ナノゲル一ァパタ イトナノ微粒子の調製方法。
3.カルシウムイオンとリン酸イオンとの交互添加法を用いることを特徴とする、前項 2 に記載の調製方法。
4. 中性 pH (pH 7)条件下でカルシウムイオンとリン酸イオンとの交互添加法が行われ ることを特徴とする、前項 2また 3に記載の調製方法。
5.少なくとも以下の工程を含むことを特徴とする、前項 2に記載の調製方法;
1)リン酸カルシウム塩類の水溶液に COガスを溶解させることにより、該水溶液の pH
2
を弱酸性 (pH 3-6)とする、
2)工程 1)で調製したリン酸カルシウム塩類の水溶液とナノゲル水溶液を混合し、 pH を中性 (pH 6-8)とする。
6.パブリング法により、リン酸カルシウム塩類の水溶液に COガスを溶解させることを
2
特徴とする、前項 5に記載の調製方法。
7.工程 2)において、リン酸カルシウム塩類の水溶液とナノゲル水溶液の混合液を攪 拌することにより、該混合液の pHを中性とすることを特徴とする、前項 6に記載の調製 方法。
8.ナノゲルがコレステロール導入プルラン(以下、 CHP)または CHP誘導体により形 成されるナノゲルである、前項 2〜7の何れか一に記載の調製方法。
9. CHP誘導体がアミノ基またはカルボキシル基が導入された CHP誘導体である、前 項 8に記載の調製方法。
10.ナノゲルが有機分子および Zまたは分子集合体と複合体を形成して ヽることを 特徴とする、前項 5〜9の何れか一に記載の調製方法。
11.ナノゲルがリボソームと複合体を形成していることを特徴とする、前項 10に記載 の調製方法。
12.合成されるナノゲル アパタイトナノ微粒子がナノゲル アモルファスアパタイト ナノ微粒子である、前項 1〜10の何れか一に記載の調製方法。
13.前項 1〜12の何れか一に記載の調製方法により調製されるアパタイトナノ微粒 子。
14.前項 10または 11に記載の調製方法により調製されるナノゲル被覆リボソーム一 アパタイトナノ微粒子。
15.粒径 (直径)が約 1-200 應である前項 1に記載の調製方法により調製されるアバ タイトナノ微粒子。
16.粒径(直径)が約 20-500 nmである前項 2〜 12の何れか一に記載の調製方法に より製造されるナノゲル アパタイトナノ微粒子。
17.ナノゲル—アモルファスアパタイトナノ微粒子である、前項 16に記載のナノゲル 一アパタイトナノ微粒子。
18.ドラッグデリバリーシステムの担体用の前項 13〜 17の何れか一に記載のァパタ イトナノ微粒子。
19.再生医療用材料を製造するための前項 13〜 17の何れか一に記載のアパタイト ナノ微粒子。
20.前項 13〜 17の何れか一に記載のアパタイトナノ微粒子を原料とするドラッグデリ バリー製剤または再生医療用材料の製造方法。
21. CHPにァミノ基またはカルボキシル基が導入された CHP誘導体またはその塩。
22. CHPのグルコース 100単糖あたり 1〜50のアミノ基またはカルボキシル基が導入さ れた CHP誘導体またはその塩。」からなる。
発明の効果
[0011] 本発明のナノゲル アパタイト複合体は、ドラッグデリバリーシステム、再生医療等 のバイオマテリアル、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーへの応用において大きな 禾 IJ点がある。
発明を実施するための最良の形態
[0012] 本明細書中で使用されている技術的および科学的用語は、別途定義されていない 限り、当業者により普通に理解される意味を持つ。以下、本発明について、発明の実 施の態様をさらに詳しく説明する。以下の詳細な説明は例示であり、説明のためのも のに過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。
[0013] (ナノゲル)
本発明に使用する疎水化高分子からなるナノゲル (ナノゲル)は公知である。例え ば WOOOZ12564 (高純度疎水性基含有多糖類およびその製造方法)に開示がある 。それによると、第 1段階反応は、炭素数 12〜50の水酸基含有炭化水素またはステロ
ールと、 OCN-R1NCO (式中、 R1は炭素数 1〜50の炭化水素基である。)で表される ジイソシアナ一トイ匕合物を反応させて、炭素数 12〜50の水酸基含有炭化水素または ステロールが 1分子反応したイソシアナート基含有疎水性化合物を製造する。
[0014] 第 2段階反応は、前記第 1段階反応で得られたイソシアナート基含有疎水性ィ匕合 物と多糖類とをさらに反応させて、疎水性基として炭素数 12〜50の炭化水素基また はコレステリル基を含有する疎水性基含有多糖類を製造する。この第 2段階反応の 反応生成物をケトン系溶媒で精製して高純度疎水性基含有多糖類の製造が可能で ある。使用されうる多糖類としては、デキストラン、マンノース、アミロースなど、疎水基 を置換される高分子、ポリリジン、ポリグルタミン酸、ポリアルギン酸、ポリアルギニン、 ポリイソプロピルアクリルアミド (PNIPAM)、MPC力 なる群より選択される 1種以上であ る。
[0015] このうち好適なナノゲルとしてはコレステロール置換プルラン(以下、 CHPと略称す る。分子量 108,000のプルランに 100単糖あたりコレステロールが 1〜10個、好ましくは 1〜数個置換)および CHP誘導体が例示される。疎水化高分子の性状は、タンパク質 のサイズや疎水性の程度により、コレステロール置換量を変え変更可能である。疎水 性をコントロールするためには、炭素数 10〜30、好ましくは炭素数 12〜20程度のアル キル基を導入することも好適である。本発明で使用するナノゲルは、粒径 10〜40nm、 好ましくは 20〜30 nmである。 CHP誘導体の好適な例として、アミノ基あるいはカルボ キシル基を導入した CHP誘導体が挙げられる。ナノゲルは既に広く市販されており、 本発明では、これら市販品を広く利用可能である。
[0016] 本発明に使用するナノゲルには、種々の物質とナノゲルとの複合体を用いることも できる。種々の物質とナノゲルとの複合体の具体例として、ナノゲル—タンパク質複 合体、ナノゲル 核酸複合体、ナノゲル 薬物複合体が挙げられる。ナノゲル タン ノ ク質複合体のタンパク質として、酵素、サイト力インが好適に挙げられる。より好まし くは、 SOD、カタラーゼ、 ALP、リパーゼ、塩基性繊維芽細胞増殖因子 (bFGF)、繊維 芽細胞増殖因子 (FGF)、上皮増殖因子 (EGF)、血小板由来増殖因子 (PDGF)、神 経成長因子 (NGF)等の増殖因子、ァクチビン、骨形成因子 (BMP)、インターロイキン 、インターフェロン α , β , γ、腫瘍壊死因子(TNF)、インホトキシン、造血因子のコロ
ニー刺激因子(CSF)やエリスロポエチン等のサイト力インが挙げられる。
[0017] ナノゲル 核酸複合体の核酸として、 DNAおよび RNA、より好ましくはプラスミド、 R NAiが挙げられる。ナノゲル 薬物複合体の薬物として、アドレアマイシン、シスプラ チン、シスブラチン誘導体、プロスタグランジン、プロスタグランジン誘導体が好適に 挙げられる。このような物質としては、動物、好ましくはヒトに投与できる任意の化合物 又は物質組成物であれば、特に限定されない。例えば、物質としては、体内で生理 活性を発揮し、疾患の予防または治療に有効な化合物または組成物、例えば造影 剤等の診断に用いる化合物または組成物、さらに遺伝子治療に有用な遺伝子等も 含まれる。
[0018] 前記生理活性を発揮する成分としては、例えば、活性型ビタミン D3 (例、 1 α—ヒド ロキシビタミン D3、 1 a—2,5 ジヒドロキシビタミン D3、フロカルシトリオール、セカル シフエロール等)、カルシトニンおよびその誘導体、ペプチド類、 β ァラ-ルー 3,4 —ジヒドロキシフエ-ルァラニン、キサンチン誘導体、トロンボモデュリン、 17 β—エス トラジオール、ノルェチンドロン等のステロイド系ホルモン、ポリフエノール化合物、プ ロスタグランジン類、インターフ ロン等の公知の骨疾患または関節疾患の予防'治 療剤を挙げることができる。
[0019] また、ナノゲルと複合体を形成する物質としては、モルフイン、コディン及びペンタゾ シン等の中枢性鎮痛剤、プレドニゾロン、デキサメタゾン及びべタメタゾン等のステロ イド剤、アスピリン、インドメタシン、ロキソプロフェン及びジクロフェナクナトリウム等の 非ステロイド性抗炎症剤、並びに、プロメルシン、リゾチーム及びプロクターゼ等の消 炎酵素剤等の消炎鎮痛剤を挙げることができる。さらに、物質としては、金チオリンゴ 酸ナトリウム、オーラノフィン、 D ぺ-シラミン、ブシラミン、口ベンザリット、ァクタリット 、サラゾスルフアビリジン等の抗リウマチ薬を挙げることができる。
[0020] さらにまた、ナノゲルと複合体を形成する物質としては、メトトレキサート、サイクロフ ォスフアミド、ァザチォプリン及びミゾリビン等の免疫抑制剤、ァシクロビル、ジドブディ ン(zidovudin)及びインターフェロン類等の抗ウィルス剤、アミノグリコシド、セファロス ポリン及びテトラサイクリン等の抗菌剤、ポリェン系抗生物質、並びに、イミダゾール及 びトリアゾール等の抗真菌剤を挙げることができる。
[0021] また、ナノゲルと複合体を形成する物質としては、その他にも、コレステロール等の ステロールや、例えば糖やデンプン等の炭水化物、細胞受容体蛋白質、免疫グロブ リン、酵素、ホルモン、神経伝達物質、糖蛋白質、ペプチド、蛋白質、色素、放射性 同位体及び放射性同位体標識化合物等の放射線標識、放射線不透過性化合物、 蛍光性化合物、気管支拡張剤、局所麻酔薬等を挙げることができる。
[0022] さらに、本発明に使用するナノゲルとして、ナノゲル一リボソーム複合体、ナノゲル エマルシヨン複合体、ナノゲル 固体界面複合体、ナノゲル 微粒子複合体を用 いることちでさる。
[0023] ナノゲル リボソーム複合体のリボソームとは、脂質人工膜の一種であり、リン脂質 、グリセ口糖脂質を重量比 50%以上の水に、当該脂質が持つゲル一液晶相転移温度 以上で懸濁することにより形成される脂質二重層からなる閉鎖小胞である。リボソーム として、逆相蒸発法リボソーム (REV)、プロテオリボソーム、温度感受性リボソーム、 p H感受性リボソーム、ィムノリボソーム、血中滞留型リボソーム等が挙げられる。リポソ ームに利用するリン脂質として、レシチン、リゾレシチン、スフインゴミエリン、ホスファ チジン酸、ホスファチジルエタノールァミン等が挙げられる。また、リボソームの具体例 としては、ホスファチジルコリン(PC) 'リボソーム、特にジパルミトイルホスファチジルコ リン (DPPC)が挙げられる。本発明に係るナノゲル一リボソーム複合体におけるナノゲ ルとリボソームの重量比は、好ましくは 1 : 0.5〜4、より好ましくは 1 : 1〜2である。
[0024] ナノゲル エマルシヨン複合体のエマルシヨンとは、互いに混ざり合わな 、2液相間 で、一方が他方の相に微粒子状に分散している系をいう。エマルシヨンには、連続相 が水の場合の油一水エマルシヨンと、油の場合の水 油エマルシヨンがある。ナノゲ ルー固体界面複合体の固体界面とは、例えば、歯科、整形外科領域で使われてい るステンレス鋼、コバルトクロム合金、チタンおよびチタン合金、ニッケルチタン合金な どが挙げられる。ナノゲル一微粒子複合体の微粒子として、 PLA微粒子、ミクロスフエ ァー微粒子が好適に例示される。
[0025] (アパタイトナノ微粒子の合成)
本発明に係るアパタイトナノ微粒子は、カルシウムイオンとリン酸イオンとの交互添 加法により合成することができる。カルシウムイオンとリン酸イオンとの交互添加法とは
、アンモニア水溶液にカルシウム水溶液とリン酸水溶液を交互に添加する方法を!、う
。アパタイトナノ微粒子の合成方法の具体例の一つとして、常温常圧で 20〜25%のァ ンモ-ァ水溶液 (pH9.5〜11.5、好ましくは pH 11.5)に対し、カルシウム水溶液を加え て 2〜15分間、好ましくは 8〜12分間攪拌した後に、じ& =1〜2 : 1好ましくはじ& = 1. 67 : 1のモル比のリン酸水溶液をカ卩えて 2〜15分間、好ましくは 8〜12分間攪拌する操 作を 1サイクルとし、少なくとも 1サイクル、好ましくは 6サイクル繰り返す。その後、各水 溶液の添カ卩の間隔を 1〜5分間、好ましくは 1〜3分間に短縮して 1〜20サイクル、好ま しくは 10サイクルの添加を行い、 1〜7日間、好ましくは 2日間静置する。合成されるァ パタイトナノ微粒子の粒径(直径)は約 l〜200nm、好ましくは 1〜20 nm、より好ましく は約 2〜12 nmである。
[0026] 合成されたアパタイトナノ微粒子は公知の方法を用いて解析することができる。例え ば、 KBr錠剤法による赤外吸収スペクトル (IR)測定により解析することができる。赤外 吸収スペクトル (IR)とは、物質中を通過する赤外線により与えられる物質ごとに特有 な吸収スペクトルをいう。 KBr錠剤法とは、固体試料の赤外スペクトルを測定するとき の試料調製法の一種で、試料粉末を KBrの粉末と混合し錠剤成形器でプレスして錠 剤を作る方法を ヽぅ。 KBr錠剤法による赤外吸収スペクトル (IR)測定の具体例の一つ として、約 lmgの試料を 100〜1000倍の KBr粉末(200メッシュ以下)とよく混ぜ合わせ 、微粉砕し、数 mmHgの真空中で約 5〜10 tZcm2の圧力で約 2〜10分間圧縮して得 られた錠剤を用いて、赤外吸収スペクトルを測定することができる。
[0027] (カルシウムイオンとリン酸イオンの交互添加法によるナノゲル アパタイトナノ微粒 子の合成)
本発明に係るナノゲル アパタイトナノ微粒子は、上記ナノゲルをテンプレートとし て、前記カルシウムイオンとリン酸イオンとの交互添加法を用いて合成することができ る。ナノゲル—アパタイトナノ微粒子の合成方法の具体例の一つとして、常温常圧で ナノゲルを分散させたナノゲル水溶液に、アンモニア水溶液をカ卩えて pH9.5〜11.5、 好ましくは pH 11.5に調製し、この溶液を用いて前記カルシウムイオンとリン酸イオンと の交互添加法を行い、ナノゲル アパタイトナノ粒子を合成する。合成されるナノゲ ルーアパタイトナノ微粒子の粒径は合成に用いるナノゲルの種類により変化するが、
一般的には粒径(直径)約 20〜500nm、好ましくは約 20〜100 nm、より好ましくは約 20 〜30 nmである。合成されたナノゲル アパタイトナノ微粒子は前記 KBr錠剤法による 赤外吸収スペクトル (IR)測定により解析することができる。
[0028] (ナノゲル アモルファスアパタイトナノ微粒子の合成)
前記カルシウムイオンとリン酸イオンの交互添加法によるナノゲル アパタイトナノ 微粒子の合成は、中性 pH (pH 7)条件で行うことができる。具体的には、アンモニア 水溶液を無添カ卩のナノゲル水溶液を用いて、カルシウムイオンとリン酸イオンの交互 添加法を行うことによりナノゲル一アモルファスアパタイトナノ微粒子が合成される。中 性 pH条件でナノゲル アパタイトナノ微粒子を合成することにより、バイオマテリアル 応用により好ましいナノゲル アモルファスアパタイトナノ微粒子を提供することがで きる。中性 pH条件下におけるナノゲル一アモルファスアパタイトナノ微粒子の合成に は、ナノゲル誘導体、好ましくは CHP誘導体が適しており、 CHP誘導体としてアミノ基 あるいはカルボキシル基を導入した CHP誘導体を使用することができる。
[0029] 中性 pH条件で合成されるナノゲル アパタイトナノ微粒子はアモルファス (非結晶) のリン酸カルシウムである。アモルファスとは、構造的に原子配列が規則的ではなぐ 短距離秩序はあるが、長距離秩序がない固体のことである。アモルファスは結晶と比 較して、 1)長距離秩序がないため組成比などの物理的定数を連続的に変化できる、 2)均質で粒界がない、 3)構造に乱れがある、 4)熱力学的に非平衡系である、等の 特徴を有し、これらの性質を活力したバイオマテリアル応用の可能性があると思われ る。合成されるナノゲル一アモルファスアパタイトナノ微粒子の粒径は使用するナノゲ ルの種類により異なる力 約 20〜100nmである。
[0030] (pH- gradient法によるナノゲル一アパタイトナノ微粒子の合成)
本発明に係るナノゲル アパタイトナノ微粒子は、上記ナノゲルをテンプレートとして 、 pH- gradient法を用いて合成することができる。合成されるナノゲル一アパタイトナノ 微粒子の粒径は合成に用いるナノゲルの種類により変化する力、一般的には粒径( 直径)約 20〜500nm、好ましくは約 20〜100 nm、より好ましくは約 20〜30 nmである。 合成されたナノゲル アパタイトナノ微粒子は前記 KBr錠剤法による赤外吸収スぺク トル (IR)測定により解析することができる。また、本発明に係る pH- gradient法によって
も前記ナノゲル アモルファスアパタイトナノ微粒子を合成することが可能である。
[0031] pH- gradient法とは、具体的には、少なくとも次の工程を含む方法である。
1)リン酸カルシウム塩類の水溶液に COガスを溶解させることにより、該水溶液の pH
2
を弱酸性 (pH 3-6)とする工程。
工程 1)では、リン酸カルシウム塩類の水溶液の pHを弱酸性 (pH 3-6、好ましくは pH 4-6、より好ましくは pH 5-6、特に好ましくは pH 5.6)に調整する。リン酸カルシウム塩 類の水溶液は、 0.08〜0.2重量%、好ましくは 0.08〜0.15重量%、より好ましくは 0.08 〜0.1重量%のリン酸カルシウム塩を水に溶解させて調製する。リン酸カルシウム塩水 溶液の pHを弱酸性に調整する方法として、パブリング法が好適に挙げられる。バブリ ング法とは、気体を液中に溶解させるための気泡溶解法の 1種であり、溶解槽の下部 よりバブラ一等を通じて気体を液中に気泡として噴出し、液中に気体を溶解させる方 法である。パブリング法の具体例としては、リン酸カルシウム塩を分散させた液を室温 で攪拌しながら、 COガス(CO 100%) (好ましくは流量 30〜200 mlZ分、より好ましく
2 2
は 50〜80 mlZ分)を約 2〜4時間溶解する。リン酸カルシウム塩を溶解させた液から 溶け残ったリン酸カルシウム塩を濾過で除き、リン酸カルシウム塩水溶液として工程 2 )で用いる。
[0032] 2)工程 1)で調製したリン酸カルシウム塩水溶液とナノゲル水溶液を混合し、 pHを中 性 (pH 6-8)とする工程。
工程 2)では、工程 1)で調製したリン酸カルシウム塩水溶液とナノゲル水溶液を混合 し、当該混合溶液の pHを中性 (pH 6-8、好ましくは pH 7-8、より好ましくは pH7.9)に 調整する。リン酸カルシウム塩水溶液とナノゲル水溶液の混合溶液中におけるリン酸 カルシウム塩とナノゲルの混合比は、重量比で 1 : 0.5〜10、好ましくは 1 : 5〜7である。 当該混合溶液の pHを中性に調整する方法として、一定温度 (20〜40°C、好ましくは 2 0〜30°C、より好ましくは 25°Cで 2〜12時間、好ましくは 6〜10時間、より好ましくは 8時 間攪拌し反応させる方法が好適に挙げられる。攪拌することにより、混合溶液中の C 0ガスが蒸散し pHが弱酸性から中性へと上昇する。この pHの上昇に伴いナノゲル
2 一 アパタイトナノ微粒子が形成される。
[0033] (ナノゲル一アパタイトナノ微粒子の応用)
ナノゲルはその内部の空間に疎水性の薬物やタンパク質と!/、つた物質を取り込める スペースを有しており、アパタイトは生体適合性を有することから、本発明に係るアバ タイトナノ微粒子に酵素や細胞を固定ィ匕することが可能である。したがって、本発明 に係るナノゲル一アパタイトナノ微粒子をバイオリアクターへ応用して医薬品やィ匕学 品を製造することができ、また診断や治療に利用できる。
[0034] 本発明に係るナノゲル一アパタイトナノ微粒子に医薬品を結合することによって医 薬を必要な時に、必要な量だけ、必要な所へ送達することが可能であり、すなわちド ラッグデリバリーシステムの担体として利用できる。また、本発明のナノゲル一ァパタイ トナノ微粒子による薬物内包ナノゲルを用い、ハイブリッドナノ粒子を作製することに より、物質の放出制御が可能なドラッグデリバリーシステムを構築できる可能性がある 。さらに本発明のアパタイトナノ微粒子およびその集積体は再生医療用材料として用 いることができ、再生医療へ応用することができる。
[0035] (CHP誘導体)
本発明は CHP誘導体、より詳しくはァミノ基あるいはカルボキシル基を導入した CHP 誘導体またはその塩を提供する。
[0036] 1)アミノ基導入 CHP誘導体
アミノ基導入 CHP誘導体を以下の一般式 (I)に示す。
[化 1]
(式中、 n: 50〜500の整数、 Rl: - (CH )m- NH、 m: 0〜 10の整数)
2 2
[0037] 一般式(I)において、アミノ基は CHPのグルコース 100単糖あたり 1〜50、より好ましく は 5〜30である。アミノ基はアルキル基で置換されたアルキルアミノ基でもよい。アル キルアミノ基として、メチルァミノ、ェチルァミノ、プロピルアミ入ブチルァミノ、ペンチ ルァミノ、へキシルアミ入ジメチルアミ入ジェチルアミ入メチルェチルアミ入ジプロ ピルアミ入ジブチルァミノおよびジペンチルァミノなどの直鎖状または分子鎖状 C
1 -6 アルキル基で置換されたァミノ基が挙げられる。また、芳香族アルキルフエニル基、ァ ルキルべンジル基でもよ 、。
[0038] ァミノ基の保護基としては、通常のァミノ基の保護基として使用し得るすべての基を 含み、例えば、トリクロ口エトキシカルボ-ル、トリブロモエトキシカルボ-ル、ベンジル ォキシカノレボニノレ、 p—二トロべンジノレカノレボニノレ、 0—ブロモベンジノレォキシカノレボ -ル、(モノー、ジー、トリー)クロロアセチル、トリフルォロアセチル、フエ-ルァセチル 、ホルミル、ァセチル、ベンゾィル、 tert—ァミルォキシカルボ-ル、 tert—ブトキシカ ルボニル、 p-メトキシベンジルォキシカルボニル、 3, 4—ジメトキシベンジルォキシカ ルボニル、 4- (フエ-ルァゾ)ベンジルォキシカルボ-ル、 2-フルフリルォキシカルボ
ニル、ジフエニルメトキシカルボニル、 1, 1ージメチルプロポキシカルボニル、イソプロ ポキシカルボ-ル、フタロイル、スクシ-ル、ァラ -ル、ロイシル、 1—ァダマンチルォ キシカルボ-ルおよび 8—キノリルォキシカルボ-ルなどのァシル基;ベンジル、ジフ ェ-ルメチルおよびトリチルなどのアルアルキル基; 2 -トロフエ-ルチオおよび 2, 4 ージ-トロフエ-ルチオなどのァリールチオ基;メタンスルホ-ルおよび p トルエンス ルホ-ルなどのアルキル もしくはァリールースルホ -ル基; Ν,Ν ジメチルアミノエ チレンなどのジアルキルァミノ アルキリデン基;ベンジリデン、 2—ヒドロキシベンジリ デン、 2 ヒドロキシ 5 クロ口べンジリデンおよび 2 ヒドロキシ 1 ナフチルメチ レンなどのアルアルキリデン基; 3—ヒドロキシー4 ピリジルメチレンなどのアルアルキ リデン基; 3—ヒドロキシー4 ピリジルメチレンなどの含窒素複素環式アルキリデン基 ;シクロへキシリデン、 2—エトキシカルボニルシクロへキシリデン、 2—エトキシカルボ -ルシクロペンチリデン、 2 ァセチルシクロへキシリデンおよび 3, 3 ジメチルー 5— ォキシシクロへキシリデンなどのシクロアルキリデン基;ジフエ-ルホスホリルおよびジ ベンジルホスホリルナドノジァリール一もしくはジアルアルキルホスホリル基; 5—メチ ルー 2 ォキソ 2Η— 1 ,3 ジォキソール 4 ィル—メチルなどの置換シリル基など が挙げられる。
2)カルボキシル基導入 CHP誘導体
カルボキシル基導入 CHP誘導体を以下の一般式 (Π)に示す。
[化 2]
(式中、 n: 50〜500の整数、 R2 :-(CH )m- COOH、 m: 0〜10の整数)
2
一般式(II)において、カルボキシル基は CHPのグルコース 100単糖あたり 1〜50、よ り好ましくは 5〜30である。カルボキシル保護基としては、通常のカルボキシル基の保 護基として使用し得るすべての基を含み、例えば、メチル、ェチル、 n プロピル、 iso プロピル、 1, 1ージメチルプロピル、 n ブチルおよび tert ブチルなどのアルキル 基;フエ-ルおよびナフチルなどのァリール基;ベンジル、ジフエ-ルメチル、トリチル 、 p -トロベンジル、 p—メトキシベンジルおよび(p—メトキシフエ-ル)メチルなどの ァリルアルキル基;ァセチルメチル、ベンゾィルメチル、 p -トロベンゾィルメチル、 p ブロモベンゾィルメチルおよび p—メタンスルホ-ルベンゾィルメチルなどのァシル アルキル基; 2—テトラヒドロビラ-ルおよび 2—テトラヒドロフラエルなどの含酸素複 素環式基; 2, 2, 2—トリクロ口ェチルなどのハロゲノ—アルキル基; 2— (トリメチルシリ ル)ェチルなどのアルキルシリルアルキル基;ァセトキシメチル、プロピオ-ルォキシメ チルおよびビバロイルォキシメチルなどのァシルォキシアルキル基;フタルイミドメチ ルなどのシクロアルキル基;メトキシメチル、メトキシェトキシメチルおよび 2— (トリメチ ルシリル)エトキシメチルなどのアルコキシ アルキル基;ベンジルォキシメチルなど
のアル アルコキシーアルキル基;メチルチオメチルおよび 2—メチルチオェチルな どのアルキルチオ アルキル基;フエ-ルチオメチルなどのァリールチオ アルキル 基; 1, 1 ジメチルー 2-プロべ-ル、 3—メチルー 3 ブテュルおよびァリルなどのァ ルケ-ル基;並びにトリメチルシリル、トリェチルシリル、トリイソプロビルシリル、ジェチ ルイソプロビルシリル、 tert ブチルジメチルシリル、 tert ブチルジフエニルシリル、 ジフエ-ルメチルシリルおよび tert ブチルメトキシフエ-ルシリルなどの置換シリル 基などが挙げられる。
[0041] 本発明に係る CHP誘導体により、アパタイト化の促進や生体高分子との複合化の 促進と!/、つた有利な効果を得ることができる。
[0042] 一般式 (I)および (II)の化合物は、塩とすることもでき、アミノ基またはカルボキシル 基における塩を挙げることができる。ァミノ基の塩としては、例えば、塩酸、臭化水素 酸および硫酸などの鉱酸との塩;酒石酸、ギ酸、クェン酸、トリクロ口酢酸およびトリフ ルォロ酢酸などの有機カルボン酸との塩;並びにメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン 酸、 p トルエンスルホン酸、メシチレンスルホン酸およびナフタレンスルホン酸などの スルホン酸との塩を挙げることができる。
[0043] カルボキシル基の塩としては、例えば、ナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ金属 との塩;カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属との塩;アンモ-ゥム 塩;並びにトリメチルァミン、トリェチルァミン、トリブチルァミン、ピリジン、 Ν,Ν ジメチ ルァニリン、 Ν—メチルビペリジン、 Ν—メチルモノホリン、ジェチルァミン、ジシクロへ キシルァミン、プロ力イン、ジベンジルァミン、 Ν—ベンジル一 β—フエネチルァミン、 1 —エフエネミンおよび Ν,Ν' ジベンジルエチレンジァミンなどの含窒素有機塩基との 塩などを挙げることができる。
[0044] 本発明に係る CHP誘導体は、例えば、次に示す調製方法によって合成することが できる。
調製方法 1:アミノ基導入 CHP誘導体
(1) CHPをジメチルァミノピリジン(CHPのグルコース単糖に対して 0.1モル比)に溶媒 中で反応させる。ここでジメチルァミノピリジンはピリジンであってもよい。また、この反 応で使用する溶媒としては、ジメチルスルホキシド Ζピリジン、ジメチルホルムアミド Ζ
ピリジンなどが挙げられる。この反応は、通常、 20〜30°Cで、 15分〜 2時間、好ましく は 25°Cで 1時間実施すればよ!、。
(2) (1)で得られた溶液に対し 0.5倍容量の 4 -トロフエ-ルクロロホルメート(CHP のグルコース単糖と等モル比) /ジメチルスルホキシド溶液をゆっくり滴下し、攪拌す る。ここで、 4—-トロフエ-ルクロロホルメートは Ν,Ν'-カルボ-ルイミダゾールであつ てもよい。この反応は、通常、 0〜5°Cで、 3時間〜 6時間、好ましくは 0°Cで 4時間実施 すればよい。この反応により、 CHPの水酸基がニトロフ ニルエステル化された活性 化 CHPが得られる。
(3) (2)で得られた溶液を、 20倍容量の溶媒中にて再沈澱を行う。この反応は、通常 、 5〜30°Cで、 30分〜 12時間、好ましくは 5°Cで 12時間実施すればよい。また、この反 応で使用する溶媒としては、エタノール、エタノール Zジェチルエーテル (vZv=lZl )などが挙げられる。その後、沈殿物を回収し、常温で減圧乾燥させる。
(4) (3)で得られた沈殿物を減圧乾燥させたものをジメチルスルホキシド Zピリジン混 合溶媒に溶解させ、 0.03倍容量のエチレンジァミン Zジメチルスルホキシド Zピリジン 溶液をゆっくり滴下し、攪拌する。この反応は、通常、 20〜30°Cで、 3日間〜 5日間、 好ましくは 25°Cで 4日間実施すればよい。この反応により、 CHPの水酸基がカルバミ ン酸エステル化される。
(5) (4)で得られた溶液を、 20倍容量の溶媒中にて再沈澱を行う。この反応は、通常 、 5〜30°Cで、 30分〜 12時間、好ましくは 5°Cで 12時間実施すればよい。また、この反 応で使用する溶媒としては、エタノール、エタノール Zジェチルエーテル (vZv=lZl )などが挙げられる。その後、沈殿物を回収し、常温で減圧乾燥させる。
(6) (5)で得られた沈殿物を減圧乾燥させたものをジメチルスルホキシドに溶解し、 蒸留水に対して透析を行う。その後水酸ィ匕ナトリウム溶液 (pH 12.8)に対する透析を 行い、塩酸により中和させた後、さらに蒸留水に対する透析を行い、凍結乾燥させる 。通常、透析は 20〜25°Cで、 5日間〜 8日間、好ましくは 20°Cで 7日間実施すればよい 調製方法 2:カルボキシル基導入 CHP誘導体
(1) CHP、ジメチルァミノピリジン(CHPのグルコース単糖に対して 0.1モル比)に溶媒
中で反応させる。また、この反応で使用する溶媒としては、ジメチルスルホキシド zピ リジン、ジメチルホルムアミド Zピリジンなどが挙げられる。この反応は、通常、 20〜30 °Cで、 15分〜 2時間、好ましくは 25°Cで 1時間実施すればよい。
(2) (1)で得られた溶液に対し 0.5倍容量の 4 -トロフエ-ルクロロホルメート(CHP のグルコース単糖と等モル比) /ジメチルスルホキシド溶液をゆっくり滴下し、攪拌す る。ここで、 4—-トロフエ-ルクロロホルメートは Ν,Ν'-カルボ-ルイミダゾールであつ てもよい。この反応は、通常、 0〜5°Cで、 3時間〜 6時間、好ましくは 0°Cで 4時間実施 すればよい。この反応により、 CHPの水酸基がニトロフ ニルエステル化された活性 化 CHPが得られる。
(3) (2)で得られた溶液に対し、 CHPに対して 2.5倍重量の j8—ァラニンェチルエス テル塩酸塩を添加する。この反応は、通常、 20〜30°Cで、 3日間〜 5日間、好ましくは 25°Cで 4日間実施すればよい。この反応により、 CHPの水酸基が力ルバミン酸エステ ル化される。
(4) (3)で得られた溶液を、 20倍容量の溶媒中にて再沈澱を行う。この反応は、通常 、 5〜30°Cで、 30分〜 12時間、好ましくは 5°Cで 12時間実施すればよい。また、この反 応で使用する溶媒としては、エタノール、エタノール Zジェチルエーテル (vZv=lZl )、エタノール Zジェチルエーテル (vZv=8Z2)が挙げられる。その後、沈殿物を回 収し、常温で減圧乾燥させる。
(5) (4)で得られた沈殿物を減圧乾燥させたものをジメチルスルホキシドに溶解させ
、蒸留水による透析を行う。その後水酸ィ匕ナトリウム溶液 (pH 12.8)に対する溶液を行 うことにより、ェチル基の脱保護を行う。さらに蒸留水に対する透析を行い、凍結乾燥 させる。通常、透析は 20〜25°Cで、 5日間〜 8日間、好ましくは 20°Cで 7日間実施すれ ばよい。
実施例
[0046] 以下、本発明を実施例で説明する力 実施例は本発明の一例を示すものであって
、その技術的範囲を限定するものではない。
[0047] 実施例 1
結晶アパタイトナノ粒子の合成
[0048] 実験 1. 1 カルシウムイオンとリン酸イオンの交互添加法による結晶アパタイトナノ粒 子の合成
結晶アパタイトナノ粒子の合成は非特許文献 11を参考にして行った。 10 mlの 25% アンモニア水溶液(pH 11.5)に対し、 80 μ 1の 3.75 mMCa(NO ) ·4Η Ο (関東化学社
3 2 2
製)水溶液をカ卩えて 10分間撹拌し、続いて 80 1の 2.26mM (ΝΗ ) HPO (和光純薬
4 2 4
工業社製)水溶液を加え、 10分間撹拌した。この操作を 1サイクルとし、全部で 6サイク ル行った。その後、各水溶液の添カ卩の間隔を 2分に短縮して 10サイクルの添カ卩を行つ た。実験操作は室温で行った。この溶液を 2日間放置したものを結晶アパタイトナノ粒 子水溶液とし、各種測定を行った。
[0049] 実験 1. 2 結晶アパタイトナノ粒子の透過型電子顕微鏡 (TEM)による観察
実験 1. 1で合成された結晶アパタイトナノ粒子を透過型電子顕微鏡 (TEM) (H-600 、 HITACHI社製)により観察を行った。サンプルは、約 100 1の実験 1. 1で得られた 結晶アパタイトナノ粒子の水溶液を、シートメッシュにネオプレンのトルエン溶液を滴 下することにより調製したコロジオン膜に滴下し自然乾燥させたものとした。
[0050] その結果、図 2 (a)に示すように粒径約 2-12 nmの球状微粒子が観察された。電子 回折像より、これらの粒子はヒドロキシアパタイト(HAp)と同定された。
[0051] 実施例 2
ナノゲル 結晶アパタイトナノ微粒子の合成
[0052] 実験 2. 1 ナノゲルの調製
ナノゲルとしてプルランのコレステロール誘導体(CHP) (プルランの分子量 108 X 10 3、 100単糖あたりコレステリル基を 1.2個または 1.4個含有)を用いた。 CHP誘導体は、 CHP-1.4にカルボキシル基を導入した化合物(CHP-COOH) (100単糖あたりの COO H基: 10.7個)、 CHP-1.2にアミノ基を導入した化合物(CHP-NH ) (100単糖あたりの N
2
H基 : 25.0個)をそれぞれ合成した(図 1)。
2
[0053] CHP-NHの合成は以下の手順で行った。 CHP 1.0 gとジメチルァミノピリジン 35 mg
2
をジメチルスルホキシド Zピリジン混合溶媒 (vZv=lZl) 20 mlに溶解させた。これに 、 4-二トロフエ-ルクロロホルメート(0.25 g/ml)ジメチルスルホキシド Zピリジン(vZ v=lZl)溶液 10 mlを 0°Cの条件でゆっくり滴下し、 4時間攪拌した。エタノール Zジェ
チルエーテル混合溶媒 (vZv=lZl)にて再沈殿を行い、沈殿物を回収した。これを ジメチルスルホキシド Zピリジン混合溶媒 (vZv=lZl) 300 mlに溶解させ、エチレン ジァミン(0.285 g/mlジメチルスルホキシド Zピリジン (vZv=lZ )溶液 10 mlをゆつ くりと滴下した。室温で 4日間攪拌させた後、エタノール/ジェチルエーテル混合溶 媒 (vZv=lZl)にて再沈殿を行い、沈殿物を回収し、減圧乾燥させた。これをジメチ ルスルホキシドに溶解させ、蒸留水による透析を行った。さらに水酸化ナトリウム溶液 (0.1N)に対して透析を行い、これを塩酸により中和させ、最後に蒸留水に対して透 析を行った。この溶液を凍結乾燥し、乳白色の固体を得た。
[0054] CHP-COOHの合成は以下の手順で行った。 CHP 1.33 gとジメチルァミノピリジン 3 0 mgをジメチルスルホキシド Zピリジン混合溶媒 (vZv=lZl) 40 mlに溶解させた。こ れに、 4-二トロフエ-ルクロロホルメート 2.23 gを粉末のまま加え、 4時間攪拌した。そ の後この溶液にァラニンェチルエステル塩酸塩 3.40 gを加え、 4日間常温で攪拌した 。次にこの溶液をエタノール Zジェチルエーテル混合溶媒 (vZv=8Z2)に滴下し再 沈殿を行った。沈殿物を回収し、これをジメチルスルホキシドに溶解させて蒸留水に 対して透析を行い、その後水酸ィ匕ナトリウム溶液 (PH12.8)に対して透析を行い、最 後にもう一度蒸留水に対して透析を行った。この溶液を凍結乾燥し、淡黄色の固体 を得た。
[0055] CHPおよび CHP誘導体を 3 mgZmlとなるように MilliQ水に添カ卩し、加熱'撹拌して 分散させた。超音波プローブ (Sonifier、 Branson社製)を用いて氷浴中で 15分間超音 波を照射(40W)したのち、 0.8、 0.45および 0.22 mのミリポアフィルター(MillexR、ミリ ポア社)で順次ろ過し、透明な溶液を得た。この得られた溶液を CHPナノゲル水溶液 とした。
[0056] 実験 2. 2 カルシウムイオンとリン酸イオンを交互に添加する方法によるナノゲル
結晶アパタイトナノ微粒子の合成
0.3 mM (グルコースユニットで計算)の CHPナノゲル水溶液に 25%アンモニア水を カロえて pH 11.5に調整した。この溶液 10 mlに対し、 80 μ 1の 3.75mM Ca(NO ) ·4Η Ο
3 2 2 水溶液をカ卩えて 10分間撹拌し、続いて 80 μ 1の 2.26mM (NH ) HPO水溶液を加え、 1
4 2 4
0分間撹拌した。この操作を 1サイクルとし、全部で 6サイクル行った。その後、各水溶
液の添加の間隔を 2分に短縮して 10サイクルの添加を行った。実験操作は室温で行 つた。この溶液を 2日間放置したものをナノゲル 結晶アパタイトナノ微粒子の水溶液 とし、各種測定を行った。
[0057] 実験 2. 3 ナノゲル 結晶アパタイトナノ微粒子の透過型電子顕微鏡 (TEM)による 解析
実験 2. 2で得られたナノゲル 結晶アパタイトナノ微粒子の水溶液を用い、実験 1 . 2と同様の方法で透過型電子顕微鏡 (TEM)による解析を行った。
[0058] その結果、 CHPを含むナノゲル水溶液からは、図 2 (b)に示すように 30 nm程度の直 径を有するヒドロキシアパタイト(HAp)結晶球状微粒子が得られた。この直径は CHP ナノゲルの粒径と同程度であることから、ナノゲルをテンプレートとして生成したものと 考えられた。粒子の内部と外周とで TEM像のコントラストに差がないことから、 HAp結 晶はナノゲル全体にわたって結晶化していることがわ力つた。また、 CHP-NH
2または
CHP-COOHを含むナノゲル水溶液力らは、図 2 (c)および(d)に示すように粒径が 30 -50應と比較的大きぐよく分散した HAp微粒子が得られた。
[0059] 実験 2. 4 ナノゲル 結晶アパタイトナノ微粒子の赤外吸収スペクトル (IR)測定によ る解析
12 mlの実験 2. 2で得られたナノゲル 結晶アパタイトナノ微粒子の水溶液を遠心 分離 (4°C、 10,000 rpm、 15分間)によって沈殿させたを真空乾燥させ、 KBr錠剤法に より赤外吸収スペクトル (IR)測定 (FTZlR-500、日本分光社製)を行った。
[0060] その結果、 3734 cm— 1に OHの吸収、 1040、 604、 565、および 471 cm— 1に PO 3の吸収
4 が見られた。また、 1419および 874cm— 1に見られる吸収は炭酸イオン(CO 2 )に由来す
3 るものであり、生成したアパタイトが炭酸イオンを含むことを示している。 3400および 16 52cm— 1付近のブロードな吸収は H 0によるものであり、アパタイト結晶が水を含んでい
2
ることが示唆された。また、 1152cm— 1に CHPに特徴的な吸収が見られることから、これ らの粒子は CHPとハイブリッドを形成していることが確認できた。
[0061] 実施例 3
ナノゲル アモルファスアパタイトナノ微粒子の合成
[0062] 実験 3. 1 ナノゲル アモルファスアパタイトナノ微粒子の合成
実験 2. 1と同様の方法で得られた 0.3 mM (グルコースユニットで計算)の CHPナノ ゲル水溶液を用い、アンモニア水溶液無添加(中性 pHの条件下)で、 80 1の 3.75m M Ca(NO ) ·4Η Ο水溶液をカ卩えて 10分間撹拌し、続いて 80 μ 1の 2.26mM (NH ) H
3 2 2 4 2
PO水溶液を加え、 10分間撹拌した。この操作を 1サイクルとし、全部で 6サイクル行つ
4
た。その後、各水溶液の添加の間隔を 2分に短縮して 10サイクルの添加を行った。実 験操作は室温で行った。この溶液を 2日間放置したものをナノゲル一アモルファスァ ノ タイトナノ微粒子の水溶液とし、各種測定を行った。
[0063] 実験 3. 2 ナノゲル アモルファスアパタイトナノ微粒子の透過型電子顕微鏡 (TEM )による解析
実験 3. 1で得られたナノゲル アモルファスアパタイトナノ微粒子の水溶液を用い 、実験 1. 2と同様の方法で透過型電子顕微鏡 (TEM)による解析を行った。
[0064] その結果、 CHPナノゲルの非存在下、および未修飾の CHPナノゲルの存在下では 、結晶の形成は見られなかった。これに対し、図 3(a)に示すように、 CHP-NHナノゲ
2 ルの存在下では、粒径 30應程度の微粒子が生成した。電子回折像より、この粒子は アモルファスのリン酸カルシウムであることが示された。 TEM像のコントラストが低ぐ 結晶の形成量はアルカリ条件と比較して少ないと考えられる。また、図 3(b)に示すよう に、 CHP-COOHナノゲルの存在下では粒径力 ¾0-100nm程度のアモルファス粒子の 形成がみられた。
[0065] 実施例 4
pH- gradient法によるナノゲル アパタイトナノ微粒子の合成
[0066] 実験 4. 1 ナノゲル アパタイトナノ微粒子の合成
アパタイトは HAP- 100 (粒径 1.7 mm以下のヒドロキシアパタイト粒子)(太平化学産 業社製)を用いた。ナノゲルとしてプルランのコレステロール誘導体 (CHP) (プルラン の分子量 108 X 103、 100単糖あたりコレステリル基を 1.4個含有)(日本油脂社製)を用 いた。 CHP誘導体は、 CHP-1.4にカルボキシル基を導入した化合物(CHP-COOH) ( 100単糖あたりの COOH基: 21.7個)を合成した(図 1)。 CHP- COOHは実験 2. 1と同 様の方法で合成した。また、プルラン (林原社製)は分子量 108 X 103のものを用いた
[0067] ヒドロキシアパタイト粉末(HAP-100) 0.25 gを MilliQ水 250 mlに分散させ、室温で攪 拌しながら COガス(CO 100%、流量 60 mlZ分)を 120分間パブリングすることにより溶
2 2
液を弱酸性 (pH 5.6)とし、ヒドロキシアパタイト(HAp)を溶解させた。溶け残った HAp を濾過で除 、たのち、濾液のカルシウムイオン濃度を EDTAとカルシウム標準液を用 Vヽた逆滴定法により求めた。この HAp水溶液に MilliQ水をカ卩えてカルシウムイオン濃 度を [Ca2+]= 0.8 mMとした。 HAp水溶液 15 mlとナノゲル分散水溶液 15 mlをナスフラ スコで混合し、スターラーで攪拌しながら 25°Cの恒温槽で 8時間反応させた。その結 果、図 4に示すように攪拌により溶液内の COが蒸散し、溶液の pHが 5.6から 7.9まで
2
上昇した(図 4)。この pH上昇に伴いリン酸カルシウムが形成される。その後、調製し たサンプルを 25°Cで 2日間静置し、各種分析を行った。
[0068] 実験 4. 2 ナノゲル アパタイトナノ微粒子の透過型電子顕微鏡 (TEM)及び原子間 力顕微鏡 (AFM)による解析
得られたナノゲル アパタイトナノ微粒子の水溶液を用い、実験 1. 2と同様の方法 で透過型電子顕微鏡 (TEM)による解析を行った。その結果、溶液に添加物が存在 しない場合、析出物は見られなかった。これに対し、 CHPおよび CHP-COOHナノゲ ルの存在下ではよく分散したナノゲルサイズのアモルファス粒子が形成された(図 5 ( b)および (c) )。ナノゲルがミネラリゼ一シヨンの核となっていると考えられる。これらの ナノ粒子は 25°Cで 2ヶ月以上安定に分散状態を保っていた。一方、プルラン添加条 件ではナノ粒子の凝集体のみが得られた (図 5(d))。表 1に TEMにより形態および多形 体を解析した結果のまとめを示す。
[0069] [表 1] サンプ 添カロ物 形態 多形体
a 無し - - b CHP ( 0.5 mg/ml) ナノ粒子 ァモ /レファス
c CHP-COOH ( 0.5 mg/ml) ナノ粒子 ァモ /レファス
d プノレラン(0.5 ma/ml) ナノ粒子の凝集体 ァモノレファス
[0070] また、 TEM像力も CHPナノゲルを含む HAp水溶液力も生成したナノ粒子のサイズ分 布を求めた。その結果、図 6に示すように平均粒径は 26.4 nmと、 CHPナノゲルのサイ ズとほぼ一致していた。
[0071] さらに、原子間力顕微鏡(atomic force microscope, AFM、 SPI300、セイコーインスッ ルメンツネ土製)で解析した。その結果、図 7に示すように TEMの観察結果と同様に分 散したナノ粒子が観察された。有機/無機ハイブリッドの状態でも粒径は 30應程度 であり、凝集などは起こして ヽな 、ことが示された。
[0072] これらの結果から、 pH- gradient法の条件の最適化によって、安定に分散した粒径 3 0 nm程度の CHPナノゲル リン酸カルシウムハイブリッドナノ粒子が得られることがわ かった。
[0073] 実施例 5
ナノゲル被覆リボソーム リン酸カルシウム微粒子複合体の合成
[0074] ナノゲルは様々な有機分子 (タンパク質 ·核酸など)や分子集合体 (リボソーム ·エマ ルジョン)と相互作用し、複合体を形成する。このようなナノゲル複合体をさらにリン酸 カルシウムとハイブリッドィ匕できれば、ノィォマテリアルとしての応用の幅が広がると期 待できる。実施例 5では、本発明に係る pH-gradient法がナノゲル複合体のミネラリゼ ーシヨンにも応用可能であることを示す。その一例として、ナノゲル被覆リボソームを テンプレートとして" CHPナノゲル被覆リボソーム一リン酸カルシウム複合体"を作製し た。
[0075] 実験 5. 1 DPPCZコレステロールリボソームの調製
DPPC (L— α Dipalmitoylphosphatidylcholineゝ Nacalai社製) 44 mg (6.0 X 10— 5mol) とコレステロール(Wako社製) 7.7 mg (2.0 X 10— 5 mol)をナスフラスコ中で CHC1 8.0
3 mlに溶解させた。ロータリーエバポレーターで溶媒を留去してフラスコ壁面に脂質フ イルムを形成させたのち、真空ポンプでさらに 1時間フィルムを乾燥させた。これに Mill iQ水 20mlを加え、 37 °Cで 1週間フィルムを水和させた。この水和フィルムを Extruder で処理し(フイノレター: 1.0 /z m X 2、 0.6 /z m X 2、 0.4 /z m X 3、 0.2 /z m X 5)、リ ポソーム溶液を得た。動的光散乱 (DLS)測定 (DLS-70、大塚電子社製)により粒径 を求め、リン脂質 Cテストヮコー (Wako社製)を用いた紫外可視スペクトル測定により D PPC濃度を求めた。
[0076] 実験 5. 2 CHPナノゲルとリボソームの複合化
ナノゲルとしてプルランのコレステロール誘導体(CHP) (プルランの分子量 108 X 10
100単糖)あたりコレステリル基を 1.4個含有)を用いた。 CHP誘導体は、 CHP- 1.4に カルボキシル基を導入した化合物(CHP- COOH) (100単糖あたりの COOH基: 10.7 個)を合成した(図 1)。 CHP-COOHは実験 2. 1と同様の方法で合成した。 CHPナノ ゲル分散液(l.OmgZml) 20 mlとリボソーム溶液(DPPC濃度 1.5 mg/ml) 20 mlを混 合し、 50°Cで 12時間静置した。その後 DLS測定により複合ィ匕を確認した。
[0077] 実験 5. 3 CHPナノゲル被覆リボソーム リン酸カルシウム複合体の作製
実験 5. 2で作製したナノゲル被覆リボソーム水溶液、実験 4. 1と同様の方法で調 製したヒドロキシアパタイト水溶液を用いて、実験 4. 1と同様に COガスを用いた pH-
2
gradient法により CHPナノゲル被覆リボソーム一リン酸カルシウム複合体を作製した。 HAp水溶液([Ca2+]= 0.8 mM) 15 mlとナノゲル被覆リボソーム水溶液 15 ml (CHPナノ ゲル濃度 0.05 mgZml)をナスフラスコで混合し、スターラーで攪拌しながら 25°Cの恒 温槽で 8時間反応させた後、 25°Cで 2日間静置した。
r- [0078] 実験 5. 4 CHPナノゲル被覆リボソーム リン酸カルシウム複合体の動的光散乱 (DL S)測定による解析 一
実験 5. 3で得られた CHPナノゲル被覆リボソーム リン酸カルシウム複合体の水溶 液を用い、 DLS測定による解析を行った。サンプルはフィルター処理せず、 25°Cの条 件で測定を行った。その結果を表 2に示す。 DPPCZコレステロールリボソームの粒径 は約 170nmであつた。これを CHPナノゲルとインキュベートすることにより粒径が約 200 應に増加したことから、複合化が示唆された。また、リン酸カルシウムとの複合ィ匕で は、 CHP被覆リボソームを用いた場合には複合ィ匕前後で粒径がほとんど変化しなか つたのに対し、 CHP被覆して!/、な!/、リボソームを用いた場合には平均粒径力 SlOnm程 度増加し、多分散指数の値も増カロした。
[0079] [表 2] サンプノレ 流体力学的直径/ nm (多分散性) 平均
Riml Rim2 Rim3
リボソーム 168.8 (0.1 1 ) 170.5 ( 0.06 ) 166.4 ( 0.05 ) 168.6 ( 0.07)
CHP /リボソーム 198.1 (0.06) 194.8 ( 0. 13 ) 199.8 ( 0.06 ) 197.6 ( 0.08)
CH 'リボソーム,' CaP 199.1 (0.07) 203. 1 ( 0.07 ) 200.9 ( 0.06 ) 201.0 ( 0.07) リボソーム/ CaP 181.3 (0.20) 178.0 ( 0.23 ) 178.8 ( 0.21;)
[0080] 実験 5. 5 CHPナノゲル被覆リボソーム リン酸カルシウム複合体の透過型電子顕
微鏡 (TEM)による解析
実験 5. 3で得られた CHPナノゲル被覆リボソーム リン酸カルシウム複合体の水溶 液を用い、透過型電子顕微鏡 (TEM)による解析を行った。その結果、 CHP被覆リポ ソームをテンプレートとした場合、粒径 200nm程度の粒子表面にさらに 20 nm程度の ナノ粒子が存在していることを確認することができた(図 8 (a) )。これは、リボソームを 覆っているナノゲル力ミネラリゼ一シヨンされた結果であると考えられる。
[0081] 一方、 CHP被覆していないリボソームを用いた場合、リボソームをテンプレートとした と考えられるアモルファス粒子が観察された力 ナノゲルサイズの粒子は見られなか つた(図 8 (b) )。また、この場合、リボソームの大きさに比べて、得られたリン酸カルシ ゥム粒子のサイズが大き力つたことから、ミネラリゼーシヨンの過程でリボソームが崩壊 した可能性がある。
[0082] これらの結果から、 CHPナノゲル被覆リボソームをテンプレートとする、 "CHPナノゲ ル被覆リボソーム リン酸カルシウム複合体"の安定な形成が可能であることがわか つた o
産業上の利用可能性
[0083] 上記述べてきたように、本発明のナノゲル アパタイトナノ微粒子はドラッグデリバリ 一システム、骨再生医療へ応用することができる。
図面の簡単な説明
[0084] [図 1]CHPおよび CHP誘導体の構造式を示す。(実施例 2)
[図 2] (a)ナノゲル無添加、 (b) CHP、(c) CHP- NH、(d) CHP- COOHナノゲルの存
2
在下で生成したヒドロキシアパタイトナノ粒子の TEM像および電子回折像を示す。 ( 実施例 1および 2)
[図 3]中性 pH条件で形成したリン酸カルシウムナノ粒子の TEM像および電子回折像 を示す。(a) CHP-NH
2、(b)CHP-COOHナノゲルの存在下で生成を行った。(実施例
3)
[図 4]pH- gradient法におけるヒドロキシアパタイト水溶液の pH変化を示す。(実施例 4 )
[図 5]pH- gradient法により合成したリン酸カルシウムナノ粒子の TEM像を示す。(a)添
加物無し、(b) CHPナノゲル(0.5 mg/ml) , (c) CHP-COOH (0.5mg/ml) , (d)プル ラン (0.5 mgZml)。 (実施例 4)
[図 6]pH- gradient法により合成したリン酸カルシウムナノ粒子の粒径分布を示す。(実 施例 4)
[図 7]pH- gradient法により合成したリン酸カルシウムナノ粒子の AFM像を示す。(実施 例 4)
[図 8]CHPナノゲル被覆リボソーム リン酸カルシウム複合体の TEM像を示す。(実施 例 5)