明 細 書
オリゴマー型界面活性剤及びそれを含有する洗浄剤組成物
技術分野
[0001] 本発明は、洗浄剤などに用いるオリゴマー型界面活性剤及びそれを含有する界面 活性剤組成物、並びにその用途に関する。
背景技術
[0002] 一般に洗浄剤組成物には、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル 硫酸エステル塩、 α スルホ脂肪酸エステル塩、 α—才レフインスルホン酸塩等のァ 二オン性界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリアルキルダルコ シド、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル等のノ-オン性界面活性剤が用い られている。これらの界面活性剤は、洗浄力や乳化力に優れているため、洗浄剤、乳 ィ匕剤、化粧料等に広く用いられている。
しかしながら、近年、環境や人体に及ぼす影響を考慮して、洗浄力や乳化力はもと より、安全性の高い界面活性剤が求められている。安全性の高い洗浄剤としては、例 えば、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル等が知られている。特に 、経口摂取する食品や人体との接触頻度の高い台所器具等の洗浄用途では、安全 性が高ぐ肌に対してマイルドで、かつ洗浄力、乳化力などに優れた界面活性剤が 求められている。しかし、これら要求を同時に満足し得る界面活性剤は得られていな いのが実状である。
ところで、従来より、乳酸を用いたィ匕合物は種々知られている。例えば、乳酸は、制 菌-防カビ作用を有することから、食品の日持ちを向上させる食品保存剤として用い られている。ポリ乳酸系重合体は、生分解性ポリマーとして注目されている。そして、 脂肪酸乳酸エステル塩はァ-オン性界面活性剤として、食品、化粧品、洗浄剤など の用途に有用であることが知られている(特許文献 1、特許文献 2)。
特許文献 3には、シス 9ーォクタデセン酸の含量が 85%以上である脂肪酸と乳酸 とのエステル誘導体またはその塩を 0. 05— 5重量%含む化粧料が開示されている。 シス 9一才クタデセン酸の含量が高い脂肪酸とォキシ塩化リンとを反応させて脂肪酸
クロリドを得たのち、これを乳酸と反応させることにより乳酸ォクタデセネートを合成し ている。かかる乳酸ォクタデセネートにより、皮膚の角質層の保湿性を向上させ、皮 膚を若々しく健康に保ち、多量の使用による皮膚への刺激性の問題を回避している 特許文献 4には、毛髪用シャンプー、ヘアーローション、スキンクリーム等の化粧用 及び医薬用調製物製造のための OZW型乳化剤として、ステアロイルラクチネートナ トリウム等の脂肪酸乳酸エステルを用いることが開示されており、該脂肪酸乳酸エス テルによって乳化力とェマルジヨン安定性が向上することが記載されている。
特許文献 5には、従来の脂肪酸乳酸エステル塩の有する問題点を解決するため、 炭素数 14一 22の脂肪酸乳酸エステル塩と炭素数 14一 22のショ糖脂肪酸エステル とを含む乳ィ匕剤組成物であって、前者のモル分率が 0. 008— 0. 15である乳化剤組 成物が開示されている。具体例として、ステアリン酸乳酸エステルカリウムとショ糖脂 肪酸エステルとの混合物を用いて、大豆油、流動パラフィンを乳化した例が記載され ている。そして、力かる乳化剤組成物は汎用性、安全性が高ぐ人体に穏やかで、分 散性、低泡性、乳化安定性が優れるため、食品、化粧品等の乳化剤として用いること ができることが記載されて!、る。
[0003] 特許文献 1:特開昭 64— 6237号公報
特許文献 2:特開平 4 23900号公報
特許文献 3:特開平 9— 208448号公報
特許文献 4:特表 2000-509033号公報
特許文献 5:特開平 9— 278628号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] し力しながら、上記従来の技術においては、乳化カゃェマルジヨンの安定性を付与 するために、パルミチン酸ゃステアリン酸等の脂肪酸と乳酸とのエステルが用いられ ているため、油を乳化する乳化力には優れているが、洗浄力は殆んど発揮されない という問題がある。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、安全性が高ぐ皮膚刺激
が少なぐ不要な泡立ちが無ぐ乳化力、洗浄力に優れたオリゴマー型界面活性剤 及びそれを含有する界面活性剤組成物、並びに該界面活性剤組成物を含有する洗 浄剤組成物を提供することを課題とする。
課題を解決するための手段
前述の課題を解決するため、本発明者は鋭意検討した結果、乳酸の脱水縮合重 合体であるオリゴ乳酸と脂肪酸とのエステルは、脂肪酸乳酸エステルに比べて洗浄 力に優れており、オリゴマー型であるため臨界ミセル濃度 (cmc)が低ぐ少量で界面 活性特性を発揮することにより、従来の界面活性剤よりも少ない使用量でよぐさらに は乳化力も良好であるなど優れた界面活性剤特性を有することを見出し本発明を完 成するに至った。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で表されるオリゴ乳酸脂肪酸エステル又はそ の塩を含有することを特徴とするオリゴマー型界面活性剤を提供するものである。
[化 1]
(式中、 Rは炭素数 7— 23のアルキル基又はァルケ-ル基を表し、 Mは水素原子又
1
はアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカノールァミン、アンモニア、塩基性アミノ酸 、低級アルキルアミンカゝら選択される少なくとも 1種を表し、 nは 2— 15である。 ) 本発明のオリゴマー型界面活性剤においては、 Rは炭素数 10— 14のアルキル基
1
又はアルケニル基を表すことが好ましい。また、平均 nが 3— 5であることが好ましい。 本発明のオリゴマー型界面活性剤は、炭素数 8— 24の脂肪酸とオリゴ乳酸とのエス テルィ匕反応によって得ることができる。
また、本発明は、前述の式(1)で表されるオリゴ乳酸脂肪酸エステル又はその塩の 含有量が 30質量%以上であるオリゴマー型界面活性剤組成物、及び該界面活性剤 組成物の含有量が 0. 1— 60質量%である洗浄剤組成物を提供するものである。ま
た、前記のオリゴマー型界面活性剤組成物 0. 1— 60質量%、ァ-オン性界面活性 剤及び Z又はノ-オン性界面活性剤 0. 1— 30質量%を含有する洗浄剤組成物を 提供するものである。本発明の洗浄剤組成物は、食品、食器、自動食器洗浄機、又 は厨房器具の洗浄に好適に用いられる。
発明の効果
[0006] 本発明のオリゴマー型界面活性剤は、上記一般式(1)で表されるオリゴ乳酸脂肪 酸エステル又はその塩を含有することを特徴とする。そのため、本発明のオリゴマー 型界面活性剤は、安全性が高ぐ皮膚への刺激が少ない上に、界面活性剤としての 性能、特に洗浄力、乳化力に優れ、かつ低起泡性であるという利点を有する。本発 明のオリゴマー型界面活性剤は、安全性が高ぐ洗浄力にも優れているため、食品、 繊維、皮膚、毛髪、硬質表面等の種々の洗浄剤として用いることが出来る他、電子部 品、金属、セラミック等の工業用洗剤としても幅広く利用することができる。また、乳化 剤、分散剤、帯電防止剤、繊維処理剤等として使用することもできる。
発明を実施するための最良の形態
[0007] 以下、本発明を詳細に記載する。本発明のオリゴマー型界面活性剤は、一般式(1 )で表されるオリゴ乳酸脂肪酸エステル又はその塩を必須成分として含有する。本発 明で使用されるオリゴ乳酸脂肪酸エステル又はその塩を構成する脂肪酸としては、 炭素数 8— 24、好ましくは炭素数 10— 18、更に好ましくは炭素数 10— 14の脂肪酸 が挙げられる。脂肪酸鎖長が炭素数 8未満の場合は、疎水性部分の油への親油性 が低下するため、洗浄力、乳化安定性が悪くなる。また、脂肪酸鎖長が炭素数 24を 超える場合は、疎水性が強くなり過ぎて水に不溶ィ匕するため、洗浄力、乳化安定性 が悪くなる。また、脂肪酸鎖長が炭素数 8未満又は炭素数 24を超える場合は、原料 の人手が困難になる。
[0008] 炭素数 8— 24の範囲内にあれば、脂肪酸は飽和でも不飽和でもよぐまた直鎖状 でも枝分れ鎖状でもよい。枝分れ鎖状の場合には、最長鎖の長さが炭素数 8以上、 より好ましくは炭素数 10以上であるものが好ましい。また、ヒドロキシル基を有するヒド ロキシルカルボン酸でもよい。これらの脂肪酸の具体例としては、力プリル酸、カプリ ン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ァラキン酸、ベヘン酸、
テトラデセン酸、へキサデセン酸、ォレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、 リシノレイン酸、エイコセン酸、エイコサテトラェン酸(ァラキドン酸)、ドコセン酸(エル 力酸)、イソステアリン酸、へキシルデカン酸、へキシルゥンデカン酸、ォクチルデカン 酸、ヒドロキシテトラデカン酸、ヒドロキシへキサデカン酸、ヒドロキシォクタデカン酸、 1 2—ヒドロキシステアリン酸、 10—ヒドロキシォクタデカン酸、 2—ヒドロキシデカン酸など が挙げられる。
[0009] なお、オリゴ乳酸脂肪酸エステル (塩)の合成に際しては、これらの脂肪酸の低級ァ ルキル (炭素数 1一 3)エステルを用いることもできる。これらの脂肪酸アルキルエステ ルの具体例としては、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル等が挙げられる。このとき のエステル交換反応には、脂肪酸アルキルエステルに対して 0. 1% (モル)程度の水 酸ィ匕ナトリウム等を加えることが望まし 、。
[0010] これらの脂肪酸の中でも、力プリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸等が洗浄性能に優れ ており、し力も入手し易いので特に好ましい。またオリゴ乳酸脂肪酸エステル (塩)に おいて、これらの脂肪酸が、任意の割合力 なる 2種以上の混合物、またヤシ脂肪酸 等であってもよい。
[0011] オリゴ乳酸脂肪酸エステル (塩)におけるオリゴ乳酸としては、乳酸を重合してオリゴ マー化したものが用いられ、その合成法は問わない。乳酸としては、発酵法または合 成法の何れで製造されたものでもよぐ D体 L体の区別を問わない。オリゴ乳酸の合 成法としては例えば、乳酸を触媒存在下で直接脱水して重縮合する方法などが挙げ られる。
[0012] オリゴ乳酸脂肪酸エステル (塩)におけるオリゴ乳酸の重合度 nは、 2— 15の範囲で ある。重合度 nが 2未満の場合は洗浄力が低下する傾向があり、低温で結晶が析出 するなどの不都合が生じる。また、重合度が 15を超える場合は、重合度が低い場合 と同様に洗浄力が低下する傾向がある。また、重合度が 15を超える場合は、重合度 分布が広くなることから、界面活性剤の特性がより小さい分子 (ダイマーなど)の低重 合体の特性が顕著になる。オリゴ乳酸脂肪酸エステル (塩)における重合度 nは、より 好ましくは 2から 10、更に好ましくは 2— 8である。特に、重合度の平均値 nが 3— 5の 範囲にあることが好ましい。
[0013] オリゴ乳酸脂肪酸エステル又はその塩は、通常、脂肪酸、または脂肪酸クロライド、 脂肪酸塩、脂肪酸エステル等の反応性誘導体と、乳酸オリゴマーまたはその塩とを 反応させて力も得られる。反応は通常、温度 80— 250°C、 2— 10時間で行われ、溶 媒の存在下でも非存在下でも行うことができる。特に塩基性溶媒中で脂肪酸クロライ ドを用いる場合は、 10— 90°C、 1一 3時間で行うことが可能である。一般には、乳酸 オリゴマーと脂肪酸 (又はそのエステル)とをエステルイ匕することにより得られる。その 場合、乳酸オリゴマー 1モルに対して脂肪酸を 0. 8-1. 2モルの割合で用い、触媒( 例えば、硫酸等の酸触媒)の存在下で反応する。或いは、乳酸 1モルに対して脂肪 酸 0. 3-0. 6モルを混合し、これを減圧下で脱水しながら、オリゴマー化とエステル 化を同時に行ってもよい。反応は通常、温度 80— 150°C、 2— 10時間で行われる。
[0014] 公知の方法で製造したオリゴ乳酸脂肪酸エステル又はその塩の反応液には、オリ ゴ乳酸脂肪酸エステルの他に、未反応の脂肪酸またはその塩、乳酸またはその塩、 脂肪酸乳酸エステルまたはその塩、及び溶媒を用いる場合はさらに溶媒が存在して いる。このとき、溶媒を除く反応物中、 目的とするオリゴ乳酸脂肪酸エステル又はその 塩の含有量は、反応に供した脂肪酸とオリゴ乳酸との比率によっても異なるが、オリゴ 乳酸脂肪酸エステルまたはその塩、未反応の脂肪酸またはその塩、乳酸またはその 塩、及び脂肪酸乳酸エステルまたはその塩の合計量をベースにして、 30— 70モル %程度である。本発明のオリゴ乳酸脂肪酸エステル又はその塩は、エステル化反応 物を通常の精製手法で精製することにより取得することができる。
[0015] 精製方法としては、例えば、反応混合物を水性溶媒と有機溶媒とで液液抽出して、 オリゴ乳酸脂肪酸エステルに富む有機溶媒相と乳酸に富む水性溶媒相とを生成さ せて両相を分離し、次いでこの有機溶媒相のオリゴ乳酸脂肪酸エステルを、共存す る脂肪酸から晶析により分離する方法、或いは、反応混合物に酸水溶液を添加して オリゴ乳酸脂肪酸エステルを油状物として析出させ、この油状物を分取して有機溶媒 に溶解して溶液とし、この溶液カゝらオリゴ乳酸脂肪酸エステルを晶析して取得する方 法がある。
[0016] こうして得られたオリゴ乳酸脂肪酸エステルに、水溶液中或いはエタノール等のァ ルコール性の水溶液中で、塩基性物質をモル比 (オリゴ乳酸脂肪酸エステル Z塩基
性物質) 1Z0. 8-1/1. 2の範囲で加えて反応させることにより、オリゴ乳酸脂肪酸 エステル塩が得られる。オリゴ乳酸脂肪酸エステルと塩基性物質とのモル比をこの範 囲に保つことで、界面活性能を良好に保つことができる。塩基性物質のモル比が大 きすぎると、塩基性物質の増加によってオリゴ乳酸脂肪酸エステルの加水分解が促 進されてオリゴ乳酸脂肪酸エステル塩が減少し、石鹼及びオリゴ乳酸の比率が増加 する。そのため、オリゴ乳酸脂肪酸エステル塩の水存在下での経時安定性が低下し て、洗浄力や乳化力が低下する。一方、塩基性物質のモル比が小さ過ぎると、オリゴ 乳酸脂肪酸エステルの加水分解率は低!ヽが、塩基性イオンが少な ヽためにイオン性 界面活性剤としての性能が低下し、オリゴ乳酸脂肪酸エステル塩の界面活性能が低 下する。
[0017] オリゴ乳酸脂肪酸エステルと塩を形成する塩基としては、ナトリウム、カリウム等のァ ルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、モノエタノールァミン、 ジエタノールァミン、トリエタノールァミン等のアルカノールァミン、アンモニア、アルギ ニン等の塩基性アミノ酸、トリブチルァミン等の低級アルキルァミンなどが挙げられる。
[0018] 本発明のオリゴマー型界面活性剤組成物は、オリゴ乳酸脂肪酸エステル (塩)を主 として、微量の脂肪酸乳酸エステルと、未反応の脂肪酸、乳酸などとを含む組成物で あり、該界面活性剤組成物中のオリゴ乳酸脂肪酸エステル (塩)の含有量を 30質量 %以上とするのが好ましい。オリゴ乳酸脂肪酸エステルの含有量は、好ましくは 30— 70質量%、更に好ましくは 35— 70質量%、特に好ましくは 40— 70質量%とするの が適当である。このようにオリゴ乳酸脂肪酸エステルの含有量を規定するのは、該ェ ステルの含有量が 30質量%よりも低いと、組成物間の平衡により界面活性能の低い 脂肪酸乳酸エステルや、脂肪酸、乳酸などが増加することで、オリゴ乳酸脂肪酸エス テルの界面活性能が十分発揮されなくなり、界面活性剤の洗浄力が低下するからで ある。また、 70質量%を超えると、反応液からの精製コストが高くなり経済性に劣るか らである。また、本発明のオリゴマー型界面活性剤組成物では、オリゴ乳酸脂肪酸ェ ステルと脂肪酸乳酸エステルの合計含有量を 90質量%以上とするのが好ま ヽ。該 合計含量を規定するのは、 90質量%よりも低いと、未反応の脂肪酸が増加すること で、臭いが悪くなるからである。また、オリゴ乳酸脂肪酸エステルと脂肪酸乳酸エステ
ルの質量比は、 50—99/1—50,好ましくは 55— 95Z5— 45、更に好ましくは 60 一 90Z10— 40である。このように混合比を限定するのは、 50Z50よりも小さいと、 オリゴ乳酸脂肪酸エステルの割合が減少し、界面活性能の低 ヽ脂肪酸乳酸エステル が増加することで、洗浄力が低下するからであり、 99Z1よりも大きいと、乳酸の重合 度分布が広くなることから界面活性剤の特性がばらつき易くなり、ばらつきの少ない 界面活性剤を得るには精製コストが高くなるからである。
[0019] 本発明のオリゴマー型界面活性剤組成物を洗浄剤として用いる場合、通常洗浄剤 組成物中にオリゴ乳酸脂肪酸エステル (塩)を 0. 1— 60質量%配合するのが適当で ある。配合量は、より好ましくは 1一 45質量%、更に好ましくは 5— 30質量%とするの がよい。このように混合比を限定するのは、洗浄剤組成物中における配合量が少な 過ぎると洗浄力が低下し、多過ぎるとハンドリング性が悪くなり、場合によっては洗浄 力の低下、界面活性剤の析出等を招く場合がある。
[0020] 本発明の洗浄剤組成物には、本発明の目的が損なわれな ヽ範囲で、通常の洗浄 剤に慣用される添加成分の中から任意のものを選択して添加することができる。この ような添加成分としては、例えば、ァ-オン性界面活性剤、ノ-オン性界面活性剤、 カルボキシベタイン型、イミダゾリ-ゥム型或いはスルホベタイン型の両性界面活性 剤などの界面活性剤、カラギーナン、ローカストビーンガム、グァガム、タマリンドガム 、アラビアガム、キサンタンガム、ぺクチン、プルラン、カゼイン、ゼラチン、アルブミン 、大豆タンパク質、ダルテンなどの天然増粘安定剤、メチルセルロース、カゼインナト リウム、ポリアクリル酸などの合成増粘安定剤、クェン酸などのキレート剤、無機塩な どのビルダー、芳香族スルホン酸塩などのノ、イドロトロープ剤、粘度調整剤、香料、 着色剤、酸化防止剤、防腐剤、殺菌剤、消炎剤、薬効成分、酵素などが挙げられる。 また、洗浄剤組成物の溶媒は通常水であるが、更に低級アルコール、グリコール等 のような他の液体溶剤を含んで 、てもよ 、。
[0021] ここで、前記のァニオン性界面活性剤としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸 基、硫酸エステル基及びリン酸エステル基カゝらなる群より選択される 1種以上のァ- オン性官能基を極性基として有するものが特に好ましい。具体的には、脂肪酸セッケ ン、アルキルエーテルカルボン酸塩、ァシルァラ-ネートやァシルタウレート、 N—ァ
ルキルイミノジカルボン酸に代表されるアミノ酸系ァ-オン界面活性剤又はその塩、 α—スルホ脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、 α—才レフ インスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、 アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アルキルリン酸エステル塩などが挙 げられる。これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、 α—ォレフ インスルホン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、脂肪酸セッケン、ァシルタウレー ト、アルキルリン酸エステル塩等が特に好ましい。これらのァ-オン性界面活性剤は、 単独で又は適当な 2種以上の組み合せで配合可能である。ァ-オン性界面活性剤 を配合する場合の配合量は、洗浄剤組成物中に 0. 1— 30質量%の範囲とするのが 好ましぐ特に好ましくは 1一 15質量%の範囲である。
[0022] また、前記のノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキル エーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンモノ脂肪酸エステル、グリセリンジ 脂肪酸エステル、プル口ニック、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソル ビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンァシルエステル、 アルキルポリグリコシド、脂肪酸メチルダリコシドエステル、アルキルメチルダルカミド、 脂肪酸アル力ノールアミド等が挙げられる。これらの中でも、ポリグリセリン脂肪酸エス テル、グリセリンモ入又はジ脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシ エチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの多価アルコールの 脂肪酸エステルは、安全性が高ぐ食品添加物として認可されているのでより好まし い。これらのノ-オン性界面活性剤は、単独で又は適当な 2種以上の組み合せで配 合可能である。ノ-オン性界面活性剤を配合する場合の配合量は、洗浄剤組成物中 に 0. 1— 30質量%の範囲とするのが好ましぐ特に好ましくは 1一 15質量%の範囲 である。
[0023] 本発明のオリゴマー型界面活性剤組成物とァ-オン界面活性剤及び Ζ又はノ-ォ ン界面活性剤等の他の界面活性剤を併用する場合、その配合比 (オリゴマー型界面 活性剤組成物 Ζ他の界面活性剤)は質量比で、 10— 99Z1一 90、好ましくは 15— 90/10— 85、更に好ましくは 20— 80/20— 80とするの力 このように併用 it を限定するのは、 10Z90よりも小さいと洗浄力が低下し、 99Z1よりも大きいと、オリ
ゴ乳酸脂肪酸エステルの水に対する溶解性が低下するからである。配合比が 10— 9 9Z1— 90の範囲内でオリゴマー型界面活性剤組成物とァ-オン性界面活性剤及 び Z又はノ-オン性界面活性剤を併用することにより、親油性のオリゴ乳酸脂肪酸ェ ステルが可溶ィ匕されて全体が透明な水溶液となり、界面活性剤水溶液の安定性も良 好になる。また、油汚れと親和性の高いオリゴ乳酸脂肪酸エステルが含有されている ため、他のァ-オン性界面活性剤、ノ-オン性界面活性剤のみを使用した場合に比 較して油汚れに対する洗浄力が大幅に向上する。
[0024] 本発明のオリゴ乳酸脂肪酸エステルは、それ自体が COD、 BOD、魚毒性が低!ヽ 安全性の高い界面活性剤である。従って、本発明の洗浄剤組成物は、食品、繊維、 皮膚、毛髪、硬質表面などの洗浄に用いることができるが、とりわけ安全性が要求さ れる食品類、食器類、厨房器具類、台所器具類の洗浄に好適である。特に、果実類 、野菜類、食肉、魚肉から、汚染物、余分な脂肪、蛋白等を除く洗浄剤として安心し て使用できる。また、外食産業における業務用皿類のウォータースポットを除くリンス 剤としても使用できる。また、身体に対し穏やかに作用するので、シャンプー、ボディ ソープ、台所洗剤、哺乳瓶洗剤などの家庭用洗浄剤に使用することができる。また、 家庭用、業務用の冷蔵庫(内部及び外側)、電子レンジ(内部及び外側)、シンク、調 理台、調理器具など、厨房器具類や台所器具類の洗浄に使用することができる。さら に、自動食器洗浄機用洗浄剤等として使用することもできる。
[0025] 以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例の みに限定されるものではない。また、以下の実施例等において、特に言及する場合 を除き、「質量%」は「%」と略記する。
実施例
[0026] (製造例 1)
乳酸 53g (0. 5モル)とトルエン 80mLを反応容器に入れ、 100°C— 130°Cで 5時間 反応させてオリゴ乳酸を合成した。これに、ラウリン酸 50g (0. 25モル)と硫酸 0. 5m L (0. 01モル)を添カ卩し、 100°C— 130°Cで 3時間脱水しながら反応させた。脱水量 は 5. 3mL (0. 29モル)であった。反応終了後、反応生成物を室温まで冷却した。得 られた反応生成物に水 30mLを添加して水溶性成分を水相に移行させた後、水相と
トルエン相とを分離し、残ったトルエン相を 125°C以下の温度で濃縮することにより、 反応精製物 85. 9gを得た。収率 99. 88%であった。
得られた反応精製物をゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー(GPC)で分析した。 分析結果を表 - 1に示した。その結果、質量平均分子量 (Mw) = 509、乳酸の平均 重合度 4のラウロイルオリゴ乳酸エステル (LL 5)が得られていた。また、 4量体ととも に 2量体、 3量体、 5量体、 6量体が存在していた。 GPC分析によって、ベースピーク( 分子イオンピーク)が 6量体であることが確認された。
[表 1]
(表一 1 ) オリゴ乳酸ラゥリン酸エステル組成 *>
示差屈折ディテクタ一により分析した。
[0027] (水溶液の安定性)
ラウロイルオリゴ乳酸エステル (LL 5)を、水酸ィ匕ナトリウム水溶液を用いて中和し 、ラウロイルオリゴ乳酸エステル Na (LL— 5— Na)を調製した。 LL 5—Naのl%水溶 液 (pH7. 0)を 52日間室温で保存することにより、水溶液の安定性を評価した。その 結果、 LL 5— Na調製直後の GPCクロマトグラムと、 52日間経過後の GPCクロマトグ ラムのパターンは殆んど変化して ヽな 、ことから、水溶液状態での分解は起きて 、な いことが確認された。
[0028] (界面活性剤の表面張力、臨界ミセル濃度)
LL 5— Na水溶液の表面張力、臨界ミセル濃度 (cmc)を輪環法で測定した。測定 温度は 20°Cとした。測定の結果、 LL 5— Naは、 cmc = 0. 18% (3. 54 X 10— 3M)、 y = 32. OmNZmであった。また、 LL—5—NaZO. lMNaCl中では、 cmc = 0. cmc
06% (1. 18 X 10— 3M)、 γ = 30. 2mNZmであった。比較例として、代表的ァ-
オン性界面活性剤であるラウリル硫酸 Na (SDS)につ ヽて同様に測定を行ったところ 、 cmc = 0. 22%、 γ = 39. 8mNZmであった。以上の結果より、オリゴ乳酸脂肪 cmc
酸エステルは、 SDSと比較して cmc及び表面張力が低いことがわ力つた。
[0029] (浸透力)
厚さ 0. 2mm、 I X lcmの正方形の木綿布(大和紡、帆布 # 6)を試験片として用い た。試料水溶液を 50cc容ビーカーに 20cc入れ、 30 ± 1°Cで相対湿度 60%に保つ た試験片をピンセットの両端で挟み、液面に静か〖こ落とし、試料溶液面に布が触れ た瞬間からストップウォッチを押して計時し、布が自然沈降により液面から完全に離れ て沈降する瞬間までの秒数を読んだ。なお、試料は、オリゴ乳酸脂肪酸エステル (LL —5)のナトリウム塩 (一 Na)、アンモ-ゥム塩 (-NH )、アルギニン塩 (一 Arg)、マグネ
4
シゥム塩 (一 Mg)を用いた。測定結果を表 2に示した。
[表 2]
(表一 2 ) 浸透力
[0030] (石灰石けん分散力)
30mL容試験管に 0. 50%ォレイン酸ナトリウム水溶液 5ccと試料水溶液の任意の 量 (最初は少量より始める)を入れ、さらに、モデル硬水 lOccを加えて全量 30ccとし た。栓をして反転し、振り混ぜる操作を 20回繰り返した後 30秒静置し、均一に分散し ている力否力観察した。分散していれば、均一に微白濁する。細かい沈澱が出始め た試料水溶液の量を決めた。測定結果を表 3に示した。
モデル硬水として、 CaCl 60%と MgCl 40%を配合し CaCOに換算して合計 0. 1
2 2 3
%になるように調製した硬水(CaCl · 2Η Ο 0. 8821g及び MgCl · 6Η O 0. 813
2gに水をカ卩えて lOOOccとした)を使用した。なお、添加試料が全くない場合及びラ ゥリル硫酸ナトリウムなど石けん類の添カ卩によっては直ちに沈澱を生じた。
[表 3]
(表 3 ) 石灰石けん分散力
ラウロイルオリゴ乳酸エステル Na (LL-5-Na)を、イオン交換水で希釈して固形分 換算で、それぞれ 0. 05wt%、 0. lwt%、 0. 2wt%の水溶液を調製した。比較例と して、ラウロイル乳酸エステルを用い、同濃度の水溶液を調製した。これらの水溶液 の洗浄力を、サラダ油を塗布した皿の洗浄状態で評価した。その結果を表 4に示し た。
洗浄力評価方法:西洋皿にサラダ油を 0. 5gZ20cm2の割合で塗布したものを予 め調製しておき、これを試料水溶液(20°C)に 15分間浸漬した。水溶液力も皿を引き 上げた直後の水のはじき具合を肉眼で判定した。
判断基準:〇 … サラダ油が完全に落ちている
△ … サラダ油がわずかに残っている
X … サラダ油が大分残っている
[表 4]
(表一 4 ) 洗浄力
[0032] (BODゝ COD)
LL 5— Naの 0. 1%水溶液を用いて、 BOD (測定方法: JIS K0102 17)、 COD
(測定方法: JIS K0102 21)を測定した。その結果、 CODは 110mgZL、 BODは
350mgZLであり、生分解性に優れていた。
[0033] (乳化力)
LL 5— Naの油性香料に対する乳化力を評価した。配合組成と評価結果を表 5 に示した。その結果、オリゴ乳酸エステル塩は、一般の非イオン性界面活性剤と同等 の乳化力を有していた。
[表 5]
(表一 5 ) 乳化力
*) C 1 2— 1 4第 2級アルコールのエチレンォキシド 1 2モル付加体
(実施例 1)
製造例 1で得られたラウロイルオリゴ乳酸エステルの Na塩 (LL 5— Na)を用いて、 次に示す食器'野菜用洗剤を調製した (PH7. 0)。本組成物は良好な泡立ちを示し 、油汚れに対する洗浄性に優れ、手に対する刺激もなかった。
[表 6]
(食器 ·野菜用洗剤処方例)
ポリォキシエチレンラゥリル硫酸 N a (平均付加モル数 3) 20%
L L- 5 -N a 5%
ポリオキシエチレンラウリルエーテル (平均付加モル数 5) 5%
椰子脂肪酸ジェタノ一ルァミ ド 3 %
ラウリルジメチルアミンォキシド 3%
パラ トルエンスルホン酸 Na 2%
安息香酸 N a 適量
P H調整剤 適量
水 バランス
(実施例 2)
製造例 1で得られたラウロイルオリゴ乳酸エステルのトリエタノールアミン塩 (LL 5— TEA)を用いて、次に示すシャンプー組成物を調製した (pH6.0)。本組成物はタリ 一ミーな泡立ちを示し、洗浄後の髪のきしみ感もなぐ皮膚に対する刺激もなカゝつた。
[表 7]
(シャンプー処方例)
ポリオキシエチレンラウリル硫酸 N a (平均付加モル数 3) 1 5%
LL-5-TEA 5 %
N ラウロイルー —ァラニン N a塩 1 %
椰子脂肪酸ジェタノ一ルァミ ド 3 %
カチオン化セルロース 1 %
プロピレングリ コール 5%
P H調整剤 適量
水 バランス (実施例 3)
製造例 1で得られたラウロイルオリゴ乳酸エステルのカリウム塩 (LL 5— K)を用い て、次に示すボディソープ組成物を調製した (pH7.0)。本組成物はタリーミーな泡 立ちを示し、すすぎが速ぐすすぎ後のさっぱり感が良好で、皮膚に対する刺激もな かった。
[表 8]
(ボディソープ処方例) 椰子脂肪酸力リウム
L L - 5 - K
椰子脂肪酸ジエタノールアミ ド ラウリルジメチルァミンォキシド プロピレンダリコール ヒ ドロキシプロピノレメチルセル口 香料
P H調整剤
水