明 細 書
3_ブロモ _ 5, 5_ジメチル— 4, 5 _ジヒドロイソォキサゾール及びその 製造方法
技術分野
[0001] 本発明は、医薬及び農薬の製造中間体として有用な新規な物質である、 3—プロ モー 5, 5—ジメチルー 4, 5—ジヒドロイソォキサゾール、及び該物質を簡便且つ安 全に、収率良く製造する方法に関するものである。
背景技術
[0002] 本発明によって得られる 3—ブロモー 5, 5—ジメチルー 4, 5—ジヒドロイソォキサゾ ールは新規な物質であり、医薬及び農薬の製造中間体として有用である。
[0003] 特許文献 1には、塩基の存在下に、ジハロゲノホルムォキシムに 2—メチルプロペン を反応させる方法が開示されている。特許文献 1では、ジハロゲノホルムォキシムが ジクロロホルムォキシムであり、該ジクロ口ホルムォキシムからの 3—クロロー 5, 5—ジ メチルー 4, 5—ジヒドロイソォキサゾールの製造が記載されている。そして、特許文献 1によれば、 3—クロ口一 5, 5—ジメチルー 4, 5—ジヒドロイソォキサゾールカ 0%程 度の低収率で製造されることが記載されて 、る。
[0004] しかしながら、特許文献 1にお 、ては、ジハロゲノホルムォキシムのハロゲンが塩素 原子以外のものについては、具体的な記載がなぐ本発明が目的とする、 3—ブロモ - 5, 5—ジメチルー 4, 5—ジヒドロイソォキサゾールについても記載がない。
[0005] 一方、ジノヽロゲノホルムォキシム化合物群は、びらん性ィ匕合物としての毒性が知ら れており、なかでも、ジクロロホルムォキシムはホスゲンォキシム(通称名: CX)と呼ば れ、その毒性も知られている。このジクロロホルムォキシムは、類似の化合物群(ジハ ロゲノホルムォキシム化合物群)のなかでも特に毒性が強ぐ室温でも症状の発現に 十分な蒸気圧を持つことが知られている。従って、取り扱いには細心の注意が必要 であり、特に大量に製造することは困難である。従って、特許文献 1に記載の、ジクロ 口ホルムォキシムを用いる 3—クロロー 5, 5—ジメチルー 4, 5—ジヒドロイソォキサゾ ールの製造方法は、工業的製法として適当とは 、えな 、。
[0006] 特許文献 1:特開 2002- 308857号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0007] 本発明は、上記のような従来の技術の持つ難点を解決するものであり、本発明は、 物質として新規である、 3—ブロモ 5, 5—ジメチルー 4, 5—ジヒドロイソォキサゾー ル、及び該物質を、簡便且つ安全に収率良く製造する方法を提供することを目的と するものである。
課題を解決するための手段
[0008] 本発明者は、上記の目的を達成するべく鋭意研究を重ねた結果、ジハロゲノォキ シム化合物のなかでも、室温で固体であり、かつ蒸気圧も低ぐ取り扱いの容易な、 式(1)で表されるジブロモホルムォキシムを特に選択し、これを、塩基の存在下、 2- メチルプロペンと反応させることにより、式(2)で表される 3 ブロモー 5, 5 ジメチル 4, 5—ジヒドロイソォキサゾールを短時間で高収率に生成させることができることを 見出し、この知見に基づき、本発明を完成するに至った。
力べして、本発明は、以下の要旨を有するものである。
(1)式(1)で表されるジブロモホルムォキシムに、塩基の存在下、 2—メチルプロペン を反応させることを特徴とする、式(2)で表される 3 ブロモ 5, 5 ジメチルー 4, 5 ジヒドロイソォキサゾールの製造方法。
[化 1]
H 0、N
II (1 )
B Br
(2)前記塩基が、アルカリ金属水酸化物及び Z又はアルカリ金属炭酸塩である上記 (1)に記載の製造方法。
(3)溶媒として、アルコール、酢酸エステル、エーテル及び Z又はケトンを使用して反 応させる上記(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4)相間移動触媒及び Z又は界面活性剤力 なる添加剤の存在下に反応させる上 記(1)〜(3)の 、ずれかに記載の製造方法。
(5) 3—ブロモ 5, 5—ジメチルー 4, 5—ジヒドロイソォキサゾール。
発明の効果
[0009] 本発明によれば、新規物質である、 3 ブロモ—5, 5 ジメチルー 4, 5 ジヒドロイ ソォキサゾールが提供され、かつ該物質を短時間で収率良く製造する方法が提供さ れる。本発明の 3—ブロモ—5, 5—ジメチルー 4, 5—ジヒドロイソォキサゾールの製 造方法では、原料のジブロモホルムォキシムの取り扱いも容易であり、作業安全性も 、従来のジクロロホルムォキシムを用いる場合よりもはるかに改善され、工業的製造 方法としてきわめて有用である。
発明を実施するための最良の形態
[0010] 本発明は、式(1)で表されるジブロモホルムォキシムを、塩基の存在下、 2—メチル プロペンと反応させて、式(2)で表される 3 ブロモー 5, 5 ジメチルー 4, 5 ジヒド 口イソォキサゾールを製造する。
まず、本発明において、原料として使用する、式(1)で表されるジブロモホルムォキ シムの製造方法につ 、て説明する。
式(1)で表されるジブロモホルムォキシムは公知の化合物であり、種々の合成方法 が知られている。例えば、ダリオキシル酸とヒドロキシルァミンカもヒドロキシィミノ酢酸 を合成し、これに臭素を反応させることにより、ジブロモホルムォキシムが白色結晶と して 78%の収率で得られることが、テトラへドロン レターズ(Tetrahedron Letters
) ,第 33卷, 22号, 3113頁(1992)【こ報告されて!ヽる。
[0011] 例えば、前述の方法で得られたジブロモホルムォキシムは、白色結晶として単離す ることができるが、本発明においては、ヒドロキシィミノ酢酸に臭素を反応させた反応 液力 ジブロモホルムォキシムを有機溶媒で抽出するだけで、これをそのまま (すな
わち抽出溶液のまま)次工程に使用することも可能である。抽出溶媒は、そのまま 3— ブロモー 5, 5—ジメチルー 4, 5—ジヒドロイソォキサゾールを製造するための反応溶 媒としても使用できる。
[0012] 上記で用いる抽出溶媒としては、水と分液するものであれば特に限定されることは なぐ例えば、トルエン、キシレン、クロ口ベンゼン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン 、クロ口ホルム等のハロゲンィ匕脂肪族炭化水素;酢酸メチル、酢酸ェチル、酢酸ブチ ル等の酢酸エステルに代表される脂肪酸エステル;ジェチルエーテル、ジイソプロピ ルエーテル、ジォキサン等のエーテル系溶媒;メチルイソプロピルケトン、メチルイソ ブチルケトン、ジイソプロピルケトン等のケトン系溶媒;ペンタン、 n キサン等の脂 肪族炭化水素等が挙げられる。抽出効率の観点から、ジェチルエーテル、ジイソプロ ピルエーテル、ジォキサン等のエーテル系溶媒や酢酸メチル、酢酸ェチル等の酢酸 エステルに代表される脂肪酸エステルを用いるのが好まし 、。
[0013] 次に、式(1)で表されるジブロモホルムォキシムと 2—メチルプロペンを反応させて 、式(2)で表される 3—ブロモー 5, 5—ジメチルー 4, 5—ジヒドロイソォキサゾールを 製造する方法にっ 、て説明する。
[0014] 上記の反応に用いる塩基としては、例えば、水酸ィ匕ナトリウム (NaOH)、水酸ィ匕カリ ゥム (KOH)、水酸化リチウム(LiOH)等のアルカリ金属水酸化物;水酸化バリウム、 水酸化マグネシウム、水酸ィ匕カルシウム等のアルカリ土類金属水酸ィ匕物;炭酸ナトリ ゥム (Na CO )、炭酸カリウム (K CO )、炭酸水素ナトリウム (NaHCO )、炭酸水素
2 3 2 3 3
カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;酸化バリウム、酸ィ匕マグネシウム及び酸ィ匕カルシゥ ム等のアルカリ土類金属酸ィ匕物などを包含する無機塩基;ナトリウムメトキシド、ナトリ ゥムェトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、 t—ブトキシカリウム等の金属ァ ルコキシド;トリェチルァミン、 1, 8—ジァザビシクロ [5. 4. 0]ゥンデ力— 7—ェン(DB U)等を包含する有機塩基が挙げられる。なかでも、無機塩基を用いて行うのが高収 率であり好ましぐ特に、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物や、炭酸カリウム 等のアルカリ金属炭酸塩が好ま U
[0015] 塩基の使用量は、反応が充分に進行する量であれば何れでもよいが、式(1)で表 されるジブロモホルムォキシム(原料化合物) 1モルに対して塩基が 0. 5 20モル、
好ましくは 0. 5〜10モル、より好ましくは 1. 0〜3. 0モルである。
[0016] 上記の反応で使用する 2 メチルプロペンの量は、反応が充分に進行する量であ れば何れでもよいが、式(1)で表されるジブロモホルムォキシム 1モルに対して 2—メ チノレプロペン力 S通常 1. 0〜: L0.0モノレ、好ましく ίま 1. 0〜5. 0モノレ、更に好ましく ίま 1. 5〜3. 0モルである。
[0017] 2 メチルプロペンは常温ではガスである。反応系への導入は液面吸収や吹き込 みによって行なうことができる力 吹込みによって行なうのが好ましい。反応系への 2 メチルプロペンの導入速度は、未反応のガス(2—メチルプロペン)が反応系外に 逃げてしまわないような導入速度であれば何れでもよぐ反応系内に存在するジブ口 モホルムォキシムに対して、過剰〜少過剰となる量を導入できる速度が好ましい。 2 メチルプロペンの導入速度は、 0. 02-0. 7molZ時間を例示することができる。 実際には、この 2—メチルプロペンの導入速度は反応スケールの大小に依存する。こ のため導入速度は、この例示範囲にとらわれることなぐ実際の反応スケールに合わ せて適宜設定すればよい。
[0018] 上記の反応に用いる溶媒としては、反応を阻害しないものであればよい。例えば、 水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;トルエン、キ シレン、クロ口ベンゼン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロ口ホルム等のハロゲ ン化脂肪族炭化水素;酢酸メチル、酢酸ェチル、酢酸ブチル等の酢酸エステルに代 表される脂肪酸エステル;ジメチルホルムアミド、ジメチルァセトアミド、 N—メチルピロ リドン、テトラメチル尿素、へキサメチルホスホリックトリアミド (HMPA)、プロピレン力 ーボネート等の非プロトン性極性溶媒;ェチルエーテル、イソプロピルエーテル、テト ラヒドロフラン、ジォキサン等のエーテル系溶媒;メチルイソプロピルケトン、メチルイソ ブチルケトン、ジイソプロピルケトン等のケトン系溶媒;ペンタン、 n—へキサン等の脂 肪族炭化水素等が挙げられる。
本発明では、式(1)で表されるジハロゲノホルムォキシム化合物 (原料化合物)を合 成する際に、抽出に使用した溶媒をそのまま反応に用いるのが簡便であり好ま 、。 特に、酢酸ェチル等の酢酸エステルやイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒や メチルイソプチルケトン等のケトン系溶媒が好ましい。ここで、溶媒は単独、または任
意の割合の混合溶媒として用いることができる。例えば、アルコール等の極性の高い 溶媒と極性の低い溶媒とを混合した混合溶媒系では、反応が加速され、反応時間が 短縮できたり、収率が向上するなどの好ましい結果が得られる。
[0019] 上記溶媒の量としては、反応系の攪拌が充分にできる量であればよぐ式(1)で表 されるジブロモホルムォキシム 1モルに対して、通常 0. 05〜10リットル、好ましくは 0 . 5〜2リットルが好適である。
[0020] 本発明の反応においては、好ましくは、下記する添加剤を加えることにより、特に、 極性が低い溶媒を用い、かつ塩基として無機塩基を用いる場合、無機塩基の溶解性 や反応性が向上し、 3—ブロモー 5, 5—ジメチルー 4, 5—ジヒドロイソォキサゾール の収率が増大することが判明した。
[0021] 上記添加剤としては、好ましくは、相間移動触媒が使用される。相間移動触媒とし ては、例えば、塩化テトラプチルアンモ -ゥム (TBAB)、塩化べンジルトリェチルアン モ -ゥム等の四級アンモ-ゥム塩;塩ィ匕テトラブチルホスホ-ゥム、臭化テトラフエ- ルホスホ -ゥム(TPPB)等の四級ホスホ-ゥム塩;さらに 18 クラウン一 6、ジベンゾ — 18 クラウン— 6等のクラウンエーテル等を例示できる。
[0022] また、上記添加剤としては、好ましくは、界面活性剤が使用される。界面活性剤とし ては、例えば、ポリエチレングリコール 300 (PEG— 300、数平均分子量 285— 31 5)、ポリエチレングリコール— 600 (PEG— 600、数平均分子量 570— 630)等のポ リエチレングリコール;ポリプロピレングリコール 300 (PPG— 300、数平均分子量 約 300等)等のポリアルキレングリコールを例示することができる。
[0023] 本発明における添加剤の使用量は、反応が充分に進行する量であればよい。特に 、一般式(1)で表される原料化合物 1モルに対して 0. 005〜0. 5モル(0. 5〜50モ ル0 /0)、好ましくは 0. 01〜0. 1モル(1〜10モル0 /0)の範囲が好適である。
[0024] 本発明の反応の反応温度は、 10°C〜使用する溶媒の還流温度、の範囲を例示 できるが、好ましくは 0°C〜20°Cであり、短時間で反応が完結し、高収率が得られる。 反応時間は特に制限されないが、 2—メチルプロペンの導入速度にも依存するが、 通常は 1時間〜 10時間である。
[0025] 本発明によれば、簡便な操作方法且つ穏やかな条件下で、収率良ぐジクロロホル
ムォキシムを使う場合と比較して安全に、式(2)で表される 3—ブロモー 5, 5—ジメチ ルー 4, 5—ジヒドロイソォキサゾールを製造することができる。得られる 3—ブロモー 5 , 5—ジメチルー 4, 5—ジヒドロイソォキサゾールは、医農薬等の中間原料として有用 な化合物である。
実施例
[0026] 次に、実施例を挙げて本発明の化合物の製造方法を具体的に説明するが、本発 明の解釈は、これら実施例によって何ら限定されるものではない。
[0027] 参考例 1 (ジブロモホルムォキシムの合成)
50%ダリオキシル酸水溶液 88. 8g (0. 6mol)を水 120mlに希釈し、水浴攪拌下、 50%ヒドロキシルァミン水溶液 39. 6g (0. 6mol)を 0. 5時間かけて滴下した。滴下 後、室温で 1時間攪拌した。次いで、 48%水酸ィ匕ナトリウム水溶液 50g (0. 6mol)を 反応液が 25°C以下になるように水浴で冷却しながら、徐々に滴下した。この際、反応 液の pHが 7であることを確認した。この反応液に、リン酸二水素ナトリウム · 2水和物 1 87. 2g (l. 2mol)をカ卩えた後、 5°C以下まで冷却した。反応液に、臭素 191. 8g (l. 2mol)を反応液が 10°C以下を保つよう、 4時間かけて滴下した。滴下後、 2時間熟成 し、次いで数滴の 10%重亜硫酸ナトリウム水溶液を加え、過剰の臭素を分解した。分 解は反応液の色が消失することで確認した。反応液にイソプロピルエーテル 180ml を加え、有機層を分取した。さらに水層をイソプロピルエーテル 60mlで再抽出した。 合わせた有機層を飽和食塩水 20mlで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶 媒を減圧留去し、表題化合物 120. lg (純度 79% ;収率 76. 7%)を淡黄色結晶とし て得た。これを n—へキサンで洗浄することで表題ィ匕合物を白色結晶 (純度 99%)とし て得た。
[0028] GC - MS (EI) m/z = 203 (M+) , 122 (Base)
融点は 65— 66°Cで、文献値と一致した。
[0029] 参考例 2 (ジブロモホルムォキシムの合成)
50%ダリオキシル酸水溶液 74. Og (0. 5mol)を水 100mlに希釈し、水浴攪拌下、 50%ヒドロキシノレアミン水溶液 33. Og (0. 5mol)を 0. 5時間力けて滴下した。滴下 後、室温で 1時間攪拌した。次いで、 48%水酸ィ匕ナトリウム水溶液 42g (0. 5mol)を
反応液が 25°C以下になるように水浴で冷却しながら、徐々に滴下した。この際、反応 液の pHが 7であることを確認した。この反応液に、リン酸二水素ナトリウム · 2水和物 1 56. Og (l. Omol)をカ卩えた後、 5°C以下まで冷却した。反応液に、臭素 159. 8g (l. Omol)を反応液が 10°C以下を保つよう、 4時間かけて滴下した。滴下後、 2時間熟成 し、次いで数滴の 10%重亜硫酸ナトリウム水溶液を加え、過剰の臭素を分解した。分 解は反応液の色が消失することで確認した。反応液にイソプロピルエーテル 150ml を加え、有機層を分取した。さらに水層をイソプロピルエーテル 100mlで再抽出した 。合わせた有機層を飽和食塩水 20mlで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。 ガスクロマトグラフィーによる分析の結果、このイソプロピルエーテル溶液 265. 3g中 には表題ィ匕合物 81. 2gが含まれており(濃度 30. 6%)、収率は 80. 1%であった。
[0030] 実施例 1 (3—ブロモー 5, 5—ジメチルー 4, 5—ジヒドロイソォキサゾールの合成) イソプロピノレエーテノレ 350mlにビーズ状の 99%水酸ィ匕ナトリウム 84. 0g (2. lmol )を懸濁し、 5°C以下に冷却した。氷冷下で攪拌しながら、 2—メチルプロペン 78. 6g (1. 4mol)を約 3時間で終了する速度で吹き込みを開始した。 1時間後、 2—メチル プロペン 26. 2g (0. 47mol;想定量の 1Z3)が吹き込まれていることを確認した。そ の後、引き続き同一速度で 2—メチルプロペンを導入しながら、参考例 2で合成した ジブロモホルムォキシムのイソプロピルエーテル溶液 464. Og (濃度 30. 6%)を 5°C 以下に冷却攪拌下、 3時間かけて滴下した。滴下終了後、同温で 2時間熟成した。反 応液に水 350mlを加え、室温で 0. 5時間撹拌し、有機層を分取した。得られた有機 層を水 140mlで 2回、飽和食塩水 70mlで 1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し た。溶媒を留去し、得られた黄色の油状物をさらに蒸留することにより透明液体 84. 7 g (純度 99. 0%、収率 68%)を得た。
[0031] 'H-NMRfg (300MHz, CDC1 ): σ = 2. 95 (s, 2H) , 1. 44 (s, 3H) ppm
3
GC - MS (EI): m/z = 178 (M+) , 162 (base)
沸点: 40°CZ0. 3kPa
[0032] 以下の実施例では、実施例 1で得られた化合物(3—プロモー 5, 5—ジメチルー 4, 5 -ジヒドロイソォキサゾール)を標品とし、内部標準分析法(内部標準;ジ— p—トリ ルエーテル)により反応収率を算出した。
[0033] 実施例 2 (3—ブロモー 5, 5—ジメチルー 4, 5—ジヒドロイソォキサゾールの製造)(収 率確認実験)
イソプロピルエーテル 25mlにジ— p—トリルエーテル 0. 5g (内部標準物質)、ビー ズ状の 99%水酸ィ匕ナトリウム 10. Og (0. 25mol)を懸濁し、 5°C以下に冷却した。氷 冷下で攪拌しながら、 2—メチルプロペン 8. 4g (0. 15mol)を約 3時間で終了する速 度で吹き込みを開始した。 1時間後、 2—メチルプロペン 2. 8g (0. O5mol;想定量の 1Z3)が吹き込まれていることを確認した。その後、引き続き同一速度で 2—メチルプ 口ペンを導入しながら、参考例 2で合成したジブロモホルムォキシムのジイソプロピル エーテル溶液 33. lg (濃度 30. 6%)を 5°C以下に冷却攪拌下、 3時間かけて滴下し た。 1時間後、反応液をサンプリングして、ガスクロマトグラフィーを用いた内部標準分 析法にて反応収率を算出した結果、収率は 80. 2%であった。
[0034] 実施例 3〜11
各種溶媒と塩基の組み合わせ、かつ添加剤の存在下に、実施例 2と同様にして、 反応を行った。結果を (表 1)に纏めた。
[0035] [表 1]
溶媒 時間 添加剤又は混合溶媒 温度 収率
(使用量) (h) (添加最) (で) (%) 突施例 3 イソプロピル KOH 5 5 7 1 エーテル (3当暈)
実施例 4 ィソプロピル K2 C O3 2 0 2 5 6 8 エーテル (3当量)
実施例 5 イソプロピル K2 C O3 3 I PA* 1 2 5 8 8 エーテル (1当量) (0. 1 L/mo 1 )
実施例 6 イソプロピル K2 C O3 3 P P G— 3 0 0 " 2 5 9 4 エーテル (1当量) (1 Omo 1 %)
突施例 7 ィソプロピル N a 2 C 03 2 0 I PA 2 5 7 8 エーテル (3当量) (0. 1 L/mo 1 )
¾施例 8 ィソプロピル N a 2C03 2 0 P P G - 30 0 2 5 8 9 エーテル (3当 R) (1 Omo I %)
支施例 9 ィソプロピル N a H C 0 2 0 fit 2 5 5 9 エーテル (3当量)
実施例 1 0 酢酸ェチル N a H C 03 2 0 2 5 8 1
(3当量)
実施例 1 1 イソプロピル N a OH ( 1当 *) 5 J、'、 5 7 6 エーテル +
K 2 C O:1 ( 1当量)
* 1 : 「 I PA」 はイソプロピルアルコールを示す。
* 2 : 「P P G— 30 0」 はポリプロピレングリコール 300 (数平均分子量 約 300 ) を示す。
[0036] 実施例 12 (3 ブロモー 5, 5 ジメチルー 4, 5 ジヒドロイソォキサゾールの合成) メチルイソブチルケトン 120mlに炭酸カリウム 62g(0.45mol)を懸濁した。攪拌下 、 2 メチルプロペン 25. 2g(0.45mol)を約 3時間で終了する速度で吹き込みを開 始した。 1時間後、 2 メチルプロペン 8.4g(0. 15mol;想定量の 1Z3)が吹き込ま れていることを確認した後、引き続き同一速度で 2—メチルプロペンを導入しながら、 ジブロモホルムォキシムのメチルイソブチルケトン溶液 152. lg (濃度 40.0%)を 3時 間かけて滴下した。滴下終了後、同温で 2時間熟成した。反応液に水 210mlを加え 、室温で 0. 5時間撹拌し、有機層を分取した。得られた有機層を水 60mlで 2回、飽 和食塩水 30mlで 1回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。得られた有機層をガス クロマトグラフィーを用いた内部標準分析法にて定量した結果、反応収率は 91. 2% であった。
[0037] 比較例 1(3 クロロー 5, 5 ジメチルー 4, 5 ジヒドロイソォキサゾールの合成) エタノール 500ml、炭酸水素ナトリウム 63. Og(0. 75mol)を加え、室温で撹拌さ
せた。 2 メチルプロペン 84. 2g (l. 50mol)を吹き込みながら 0. 5時間後、 70°Cに 昇温し、ジクロロホルムォキシムの 40%イソプロピルエーテル溶液 131. 3g (0. 5mol )を反応液に徐々に滴下し、同温度で 8時間攪拌した。 25°C以下まで放冷し、ろ過に より無機固体を除去した後、溶媒を留去した。得られた黄色溶液を 62°CZl. lkPa で減圧蒸留し、無色透明液体の 3—クロ口— 5, 5—ジメチルー 4, 5—ジヒドロイソキ サゾール 32. 3g (収率 41%)を無色透明液体として得た。
[0038] 'H-NMRfg (300MHz, CDC1 ): σ = 2. 88 (s, 2H) , 1. 41 (s, 3H) ppm
3
GC-MS (EI) :m/z= 133 (M+) , 118 (base)
沸点: 50°CZO. 7kPa
産業上の利用可能性
[0039] 3 ブロモー 5, 5 ジメチルー 4, 5 ジヒドロイソォキサゾールの新規な工業的製 造法が提供される。本発明方法によれば、式(1)で表されるジブロモホルムォキシム から、簡便な操作方法且つ穏やかな条件下で、収率よぐ式 (2)で表される 3 プロ モ 5, 5—ジメチルー 4, 5—ジヒドロイソォキサゾールを製造することができる。しか も、原料の取り扱いも簡単で、作業安全性もジクロ口ホルムォキシムより向上しており 、工業的製造方法としてきわめて有用である。 なお、 2004年 10月 06曰に出願された曰本特許出願 2004— 293715号の明細書 、特許請求の範囲及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示とし て、取り入れるものである。