明 細 書
放射線治療における副作用発症予測用 DNAオリゴマー、遺伝子マーカ 一、 DNAオリゴマーセット、および副作用発症予測方法
技術分野
[0001] 本発明は、遺伝子の一塩基多型を判定の指標とした放射線治療における副作用 発症予測用 DNAオリゴマー、当該放射線治療における副作用発症予測用 DNAォ リゴマーを用いた副作用発症予測用遺伝子マーカー、当該放射線治療における副 作用発症予測用 DNAオリゴマーを得て SNPの判定を行うための DNAオリゴマーセ ット (PCR用プライマー)と DNAオリゴマー (伸長プライマー)、当該放射線治療にお ける副作用発症予測用 DNAオリゴマーを用いた副作用発症予測方法に関する。 背景技術
[0002] 放射線治療は、がんに対する有効な局所療法の一つであるが、外科手術と異なり、 病巣部を切除せずに治療することが可能であるため、身体機能や形態の温存の観 点から優れた治療方法であるということができる。すなわち、外科手術のように身体に メスを入れないことから、患者の精神的な負担も軽ぐ手術後の社会復帰も容易であ るので、患者の QOL (Quality of Life)を高めることができるという利点もあって、 今後、大いに発展が望まれる治療方法である。
[0003] また、放射線治療は患者への負担も軽ぐ合併症を有する患者や高齢者にも適応 することができる利点もある。さらに、近年では、 CTや MRIなどの画像情報をもとに 病巣の位置,形状 ·大きさを 3次元座標上で正確に決定し、病巣へ線量を集中できる 定位 (的)放射線治療の技術も確立されて ヽる。
[0004] このように、放射線治療はがんの治療にぉ 、て非常に有用な治療方法であるが、 照射した放射線により皮膚に潰瘍が生じたり、腸穿孔や肺炎を合併するなどの重篤 な副作用を伴ったり、場合によっては放射線治療を中断しなければならな 、放射線 感受性の高 、がん患者が 、る。
[0005] このような放射線に対する感受性の違いは、それぞれのがん患者が有する DNA塩 基配列の相違に関連していると考えられる。このような DNA塩基配列の相違は一般
には多型 (ポリモルフィズム)と呼ばれ、以下のように分類することができる。すなわち
、(1) 1から数十塩基が欠失や挿入をしている多型 (挿入 Z欠失多型)、(2) 2塩基か ら数十塩基を 1単位とする配列が繰り返されて 、る多型 (VNTRやマイクロサテライト 多型)、そして、(3) 1個の塩基が他の塩基に置き換わっている多型(一塩基多型)、 である。
[0006] これらの中でも (3)の一塩基多型 (SNP; single nucleotide polymorphism)は、数百 塩基対から 1000塩基対に 1箇所の割合で存在していると推測され、ヒトの全ゲノム中 には 300万〜 1000万の SNPがあると考えられている。そして、この SNPが各人の顔 立ちや性格、医薬品に対する応答性などの、いわゆる"個性"に強い影響を及ぼして いると考えられている。
<参考文献 >
監修'松原謙一、榊佳之、編集'中村祐輔「ポストシークェンスのゲノム科学(1) S NP遺伝子多型の戦略」、中山書店、 2頁および 3頁、 2000年 6月出版
[0007] 放射線に対する感受性も、 SNPをはじめとする遺伝子の DNA塩基配列の相違が 大きく影響していると考えられる。これはすなわち、放射線治療前に DNA塩基配列 を調べることにより、がん患者の放射線に対する感受性の程度を予め知ることができ れば、オーダーメイド放射線治療を実現することが可能になることを意味すると考えら れる。
し力しながら、どのような遺伝子が放射線の感受性に関与し、また、どの SNPが放 射線の感受性に影響を与えて 、るのかと 、うことに関しては、ほとんど研究が進んで いない状況であった。そのため、オーダーメイド放射線治療を具現するための指標を 設定することができな力つた。
[0008] したがって、オーダーメイド放射線治療を具現ィ匕するために、がん患者の放射線に 対する感受性の程度を予め予測することのできる放射線治療における副作用発症予 測用 DNAオリゴマー、遺伝子マーカー、 DNAオリゴマーセット(PCR用プライマー セット)と DNAオリゴマー(伸長用プライマー)、および、放射線治療における副作用 発症予測方法を提供することが望まれて!/ヽる。
発明の開示
[0009] 発明者らは、 cSNP (coding SNP)や rSNP (regulatory SNP)、 iSNP (intron SNP)を 中心に SNPタイピングを行えば、前記課題が解決でき、オーダーメイド放射線治療 の実現を図ることができると考え、鋭意研究に励んだ。その結果、放射線治療後、副 作用を発症した患者 (以下、発症群という)と副作用を発症しな力つた、あるいは軽微 な発症であった患者 (以下、非発症群と!、う)の遺伝子の DNA塩基配列の決定を行 つた結果、発症群のアレル (allele;対立遺伝子)の出現頻度と、非発症群のアレルの 出現頻度との間に統計学的に有意な差を見出すことができ、本発明を完成するに至 つた o
[0010] すなわち、本発明の諸側面として、次のような放射線治療における副作用発症予 測用 DNAオリゴマーを提供する。
〔1〕 DNA塩基配列中における特定の塩基がリスクアレルであるか非リスクアレルで あるかを判定することで、がんの放射線治療において副作用が発症する虞があること を予測するための DNAオリゴマーであって、配列表の配列番号 1から配列番号 173 のうちのいずれかに示される DNA塩基配列について、 121番目の塩基を含む、少な くとも 10〜241の連続した DNA塩基配列を有することを特徴とする放射線治療にお ける副作用発症予測用 DNAオリゴマー。
〔2〕 DNA塩基配列中における特定の塩基がリスクアレルであるか非リスクアレルで あるかを判定することで、乳がんの放射線治療において副作用が発症する虞がある ことを予測するための DNAオリゴマーであって、配列表の配列番号 1、配列番号 4、 配列番号 7、配列番号 13、配列番号 15、配列番号 17、配列番号 19、配列番号 20、 配列番号 26、配列番号 27、配列番号 30、配列番号 32、配列番号 44、配列番号 45 、配列番号 48、配列番号 49、配列番号 50、配列番号 51、配列番号 53、配列番号 5 4、配列番号 58、配列番号 59、配列番号 60、配列番号 61、配列番号 62、配列番号 63、配列番号 65、配列番号 67、配列番号 73、配列番号 74、配列番号 77、配列番 号 78、配列番号 82、配列番号 85、配列番号 88、配列番号 90、配列番号 91、配列 番号 94、配列番号 97、配列番号 98、配列番号 106、配列番号 108、配列番号 112 、配列番号 113、配列番号 116、配列番号 117、配列番号 126、配列番号 127、配 列番号 132、配列番号 133、配列番号 136、配列番号 137、配列番号 138、配列番
号 140、配列番号 143、配列番号 145、配列番号 147、配列番号 148、配列番号 15 1、配列番号 157、配列番号 159、配列番号 160、配列番号 162、配列番号 163、配 列番号 165、配列番号 167、配列番号 170、配列番号 172、または配列番号 173に 示される DNA塩基配列について、 121番目の塩基を含む、少なくとも 10〜241の連 続した DNA塩基配列を有することを特徴とする放射線治療における副作用発症予 測用 DN Aオリゴマー。
〔3〕 DNA塩基配列中における特定の塩基がリスクアレルであるか非リスクアレルで あるかを判定することで、子宮頸がんの放射線治療において副作用が発症する虞が あることを予測するための DNAオリゴマーであって、配列表の配列番号 2、配列番号 6、配列番号 22、配列番号 23、配列番号 29、配列番号 31、配列番号 34、配列番号 36、配列番号 37、配列番号 39、配列番号 41、配列番号 42、配列番号 43、配列番 号 44、配列番号 46、配列番号 52、配列番号 56、配列番号 60、配列番号 64、配列 番号 65、配列番号 68、配列番号 70、配列番号 71、配列番号 72、配列番号 75、配 列番号 76、配列番号 80、配列番号 83、配列番号 86、配列番号 89、配列番号 91、 配列番号 93、配列番号 98、配列番号 105、配列番号 110、配列番号 114、配列番 号 118、配列番号 119、配列番号 121、配列番号 129、配列番号 134、配列番号 13 9、配列番号 141、配列番号 142、配列番号 144、配列番号 146、配列番号 149、配 列番号 150、配列番号 152、配列番号 153、配列番号 154、配列番号 155、配列番 号 157、配列番号 161、または配列番号 171に示される DNA塩基配列について、 1 21番目の塩基を含む、少なくとも 10〜241の連続した DNA塩基配列を有することを 特徴とする放射線治療における副作用発症予測用 DNAオリゴマー。
〔4〕 DNA塩基配列中における特定の塩基がリスクアレルであるか非リスクアレルで あるかを判定することで、前立腺がんの放射線治療において副作用が発症する虞が あることを予測するための DNAオリゴマーであって、配列表の配列番号 3、配列番号 5、配列番号 8、配列番号 9、配列番号 10、配列番号 11、配列番号 12、配列番号 14 、配列番号 16、配列番号 18、配列番号 19、配列番号 21、配列番号 24、配列番号 2 5、配列番号 28、配列番号 33、配列番号 35、配列番号 38、配列番号 39、配列番号 40、配列番号 45、配列番号 47、配列番号 48、配列番号 55、配列番号 57、配列番
号 66、配列番号 69、配列番号 73、配列番号 79、配列番号 81、配列番号 84、配列 番号 87、配列番号 92、配列番号 95、配列番号 96、配列番号 99、配列番号 100、 配列番号 101、配列番号 102、配列番号 103、配列番号 104、配列番号 107、配列 番号 109、配列番号 111、配列番号 115、配列番号 116、配列番号 120、配列番号 122、配列番号 123、配列番号 124、配列番号 125、配列番号 126、配列番号 128 、配列番号 130、配列番号 131、配列番号 135、配列番号 151、配列番号 156、配 列番号 158、配列番号 160、配列番号 164、配列番号 166、配列番号 168、または 配列番号 169に示される DNA塩基配列について、 121番目の塩基を含む、少なくと も 10〜241の連続した DNA塩基配列を有することを特徴とする放射線治療におけ る副作用発症予測用 DNAオリゴマー。
〔5〕 DNA塩基配列中における特定の塩基がリスクアレルであるか非リスクアレルで あるかを判定することで、がんの放射線治療開始から早期のステージにお 、て副作 用が発症する虞があることを予測するための DNAオリゴマーであって、配列表の配 列番号 2、配列番号 5、配列番号 7、配列番号 8、配列番号 13、配列番号 15、配列番 号 17、配列番号 19、配列番号 20、配列番号 22、配列番号 23、配列番号 24、配列 番号 25、配列番号 26、配列番号 27、配列番号 28、配列番号 29、配列番号 31、配 列番号 32、配列番号 33、配列番号 34、配列番号 36、配列番号 43、配列番号 44、 配列番号 45、配列番号 48、配列番号 52、配列番号 56、配列番号 59、配列番号 60 、配列番号 61、配列番号 64、配列番号 65、配列番号 66、配列番号 70、配列番号 7 1、配列番号 72、配列番号 73、配列番号 75、配列番号 76、配列番号 78、配列番号 80、配列番号 81、配列番号 86、配列番号 89、配列番号 90、配列番号 91、配列番 号 92、配列番号 93、配列番号 94、配列番号 96、配列番号 98、配列番号 99、配列 番号 102、配列番号 103、配列番号 105、配列番号 106、配列番号 112、配列番号 113、配列番号 114、配列番号 117、配列番号 118、配列番号 120、配列番号 121 、配列番号 126、配列番号 127、配列番号 129、配列番号 132、配列番号 134、配 列番号 137、配列番号 138、配列番号 140、配列番号 141、配列番号 143、配列番 号 144、配列番号 146、配列番号 147、配列番号 149、配列番号 150、配列番号 15 1、配列番号 152、配列番号 153、配列番号 154、配列番号 157、配列番号 158、配
列番号 160、配列番号 162、配列番号 163、配列番号 165、配列番号 167、配列番 号 168、配列番号 169、または配列番号 171に示される DNA塩基配列について、 1 21番目の塩基を含む、少なくとも 10〜241の連続した DNA塩基配列を有することを 特徴とする放射線治療における副作用発症予測用 DNAオリゴマー。
〔6〕 DNA塩基配列中における特定の塩基がリスクアレルであるか非リスクアレルで あるかを判定することで、がんの放射線治療開始から晩期 3ヶ月のステージにおいて 副作用が発症する虞があることを予測するための DNAオリゴマーであって、配列表 の配列番号 5、配列番号 8、配列番号 10、配列番号 11、配列番号 12、配列番号 18 、配列番号 21、配列番号 33、配列番号 45、配列番号 48、配列番号 49、配列番号 5 3、配列番号 55、配列番号 58、配列番号 69、配列番号 77、配列番号 87、配列番号 100、配列番号 101、配列番号 104、配列番号 108、配列番号 109、配列番号 111 、配列番号 115、配列番号 116、配列番号 122、配列番号 123、配列番号 124、配 列番号 125、配列番号 126、配列番号 128、配列番号 133、配列番号 136、配列番 号 145、配列番号 148、配列番号 151、配列番号 156、配列番号 159、配列番号 16 0、配列番号 162、または配列番号 170に示される DNA塩基配列について、 121番 目の塩基を含む、少なくとも 10〜241の連続した DNA塩基配列を有することを特徴 とする放射線治療における副作用発症予測用 DNAオリゴマー。
〔7〕 DNA塩基配列中における特定の塩基がリスクアレルであるか非リスクアレルで あるかを判定することで、がんの放射線治療開始から晩期 6ヶ月のステージにおいて 副作用が発症する虞があることを予測するための DNAオリゴマーであって、配列表 の配列番号 1、配列番号 3、配列番号 4、配列番号 5、配列番号 6、配列番号 9、配列 番号 10、配列番号 11、配列番号 12、配列番号 14、配列番号 16、配列番号 19、配 列番号 30、配列番号 35、配列番号 37、配列番号 38、配列番号 39、配列番号 40、 配列番号 41、配列番号 42、配列番号 46、配列番号 47、配列番号 50、配列番号 51 、配列番号 54、配列番号 57、配列番号 60、配列番号 62、配列番号 63、配列番号 6 7、配列番号 68、配列番号 73、配列番号 74、配列番号 79、配列番号 82、配列番号 83、配列番号 84、配列番号 85、配列番号 88、配列番号 95、配列番号 96、配列番 号 97、配列番号 102、配列番号 107、配列番号 110、配列番号 119、配列番号 130
、配列番号 131、配列番号 135、配列番号 139、配列番号 142、配列番号 155、配 列番号 161、配列番号 164、配列番号 166、配列番号 172、または配列番号 173に 示される DNA塩基配列について、 121番目の塩基を含む、少なくとも 10〜241の連 続した DNA塩基配列を有することを特徴とする放射線治療における副作用発症予 測用 DN Aオリゴマー。
〔8〕 DNA塩基配列中における特定の塩基がリスクアレルであるか非リスクアレルで あるかを判定することで、乳がんの放射線治療開始から早期のステージにお 、て副 作用が発症する虞があることを予測するための DNAオリゴマーであって、配列表の 配列番号 7、配列番号 13、配列番号 15、配列番号 17、配列番号 19、配列番号 20、 配列番号 26、配列番号 27、配列番号 32、配列番号 44、配列番号 45、配列番号 59 、配列番号 61、配列番号 65、配列番号 73、配列番号 78、配列番号 90、配列番号 9 1、配列番号 94、配列番号 98、配列番号 106、配列番号 112、配列番号 113、配列 番号 117、配列番号 127、配列番号 132、配列番号 137、配列番号 138、配列番号 140、配列番号 143、配列番号 147、配列番号 157、配列番号 160、配列番号 162 、配列番号 163、配列番号 165、または配列番号 167に示される DNA塩基配列に ついて、 121番目の塩基を含む、少なくとも 10〜241の連続した DNA塩基配列を有 することを特徴とする放射線治療における副作用発症予測用 DNAオリゴマー。
〔9〕 DNA塩基配列中における特定の塩基がリスクアレルであるか非リスクアレルで あるかを判定することで、乳がんの放射線治療開始から晩期 3ヶ月のステージにおい て副作用が発症する虞があることを予測するための DNAオリゴマーであって、配列 表の配列番号 48、配列番号 49、配列番号 53、配列番号 58、配列番号 77、配列番 号 108、配列番号 116、配列番号 126、配列番号 133、配列番号 136、配列番号 14 5、配列番号 148、配列番号 151、配列番号 159、配列番号 162、または配列番号 1 70に示される DNA塩基配列について、 121番目の塩基を含む、少なくとも 10〜24 1の連続した DNA塩基配列を有することを特徴とする放射線治療における副作用発 症予測用 DN Aオリゴマー。
〔10〕 DNA塩基配列中における特定の塩基がリスクアレルであるか非リスクアレル であるかを判定することで、乳がんの放射線治療開始から晩期 6ヶ月のステージにお
いて副作用が発症する虞があることを予測するための DNAオリゴマーであって、配 列表の配列番号 1、配列番号 4、配列番号 30、配列番号 50、配列番号 51、配列番 号 54、配列番号 60、配列番号 62、配列番号 63、配列番号 67、配列番号 74、配列 番号 82、配列番号 85、配列番号 88、配列番号 97、配列番号 172、または配列番号 173に示される DNA塩基配列について、 121番目の塩基を含む、少なくとも 10〜2 41の連続した DNA塩基配列を有することを特徴とする放射線治療における副作用 発症予測用 DNAオリゴマー。
〔11〕 DNA塩基配列中における特定の塩基がリスクアレルであるか非リスクアレル であるかを判定することで、子宮頸がんの放射線治療開始から早期のステージにお いて副作用が発症する虞があることを予測するための DNAオリゴマーであって、配 列表の配列番号 2、配列番号 22、配列番号 23、配列番号 29、配列番号 31、配列番 号 34、配列番号 36、配列番号 43、配列番号 44、配列番号 52、配列番号 56、配列 番号 60、配列番号 64、配列番号 65、配列番号 70、配列番号 71、配列番号 72、配 列番号 75、配列番号 76、配列番号 80、配列番号 86、配列番号 89、配列番号 91、 配列番号 93、配列番号 98、配列番号 105、配列番号 114、配列番号 118、配列番 号 121、配列番号 129、配列番号 134、配列番号 141、配列番号 144、配列番号 14 6、配列番号 149、配列番号 150、配列番号 152、配列番号 153、配列番号 154、配 列番号 157、または配列番号 171に示される DNA塩基配列について、 121番目の 塩基を含む、少なくとも 10〜241の連続した DNA塩基配列を有することを特徴とす る放射線治療における副作用発症予測用 DNAオリゴマー。
〔12〕 DNA塩基配列中における特定の塩基がリスクアレルであるか非リスクアレル であるかを判定することで、子宮頸がんの放射線治療開始から晩期 6ヶ月のステージ において副作用が発症する虞があることを予測するための DNAオリゴマーであって 、配列表の配列番号 6、配列番号 37、配列番号 39、配列番号 41、配列番号 42、配 列番号 46、配列番号 68、配列番号 83、配列番号 110、配列番号 119、配列番号 1 39、配列番号 142、配列番号 155、または配列番号 161に示される DNA塩基配列 について、 121番目の塩基を含む、少なくとも 10〜241の連続した DNA塩基配列を 有することを特徴とする放射線治療における副作用発症予測用 DNAオリゴマー。
〔13〕 DNA塩基配列中における特定の塩基がリスクアレルであるか非リスクアレル であるかを判定することで、前立腺がんの放射線治療開始から早期のステージにお いて副作用が発症する虞があることを予測するための DNAオリゴマーであって、配 列表の配列番号 5、配列番号 8、配列番号 24、配列番号 25、配列番号 28、配列番 号 33、配列番号 48、配列番号 66、配列番号 81、配列番号 92、配列番号 96、配列 番号 99、配列番号 102、配列番号 103、配列番号 120、配列番号 126、配列番号 1 51、配列番号 158、配列番号 168、または配列番号 169に示される DNA塩基配列 について、 121番目の塩基を含む、少なくとも 10〜241の連続した DNA塩基配列を 有することを特徴とする放射線治療における副作用発症予測用 DNAオリゴマー。
〔14〕 DNA塩基配列中における特定の塩基がリスクアレルであるか非リスクアレル であるかを判定することで、前立腺がんの放射線治療開始から晩期 3ヶ月のステージ において副作用が発症する虞があることを予測するための DNAオリゴマーであって 、配列表の配列番号 5、配列番号 8、配列番号 10、配列番号 11、配列番号 12、配列 番号 18、配列番号 21、配列番号 33、配列番号 45、配列番号 48、配列番号 55、配 列番号 69、配列番号 87、配列番号 100、配列番号 101、配列番号 104、配列番号 109、配列番号 111、配列番号 115、配列番号 116、配列番号 122、配列番号 123 、配列番号 124、配列番号 125、配列番号 128、配列番号 156、または配列番号 16 0に示される DNA塩基配列について、 121番目の塩基を含む、少なくとも 10〜241 の連続した DNA塩基配列を有することを特徴とする放射線治療における副作用発 症予測用 DN Aオリゴマー。
〔15〕 DNA塩基配列中における特定の塩基がリスクアレルであるか非リスクアレル であるかを判定することで、前立腺がんの放射線治療開始から晩期 6ヶ月のステージ において副作用が発症する虞があることを予測するための DNAオリゴマーであって 、配列表の配列番号 3、配列番号 5、配列番号 9、配列番号 10、配列番号 11、配列 番号 12、配列番号 14、配列番号 16、配列番号 19、配列番号 35、配列番号 38、配 列番号 39、配列番号 40、配列番号 47、配列番号 57、配列番号 73、配列番号 79、 配列番号 84、配列番号 95、配列番号 96、配列番号 102、配列番号 107、配列番号 130、配列番号 131、配列番号 135、配列番号 164、または配列番号 166に示され
る DNA塩基配列について、 121番目の塩基を含む、少なくとも 10〜241の連続した DNA塩基配列を有することを特徴とする放射線治療における副作用発症予測用 D NAオリゴマー。
〔16〕 〔1〕から〔15〕に記載の副作用発症予測用 DNAオリゴマーにおいて、 121番 目の塩基以外の塩基が 1個若しくは数個欠失、置換若しくは付加して 、る DNAオリ ゴマー、または、これらの相補的な DNA塩基配列を有する DNAオリゴマーであるこ とを特徴とする放射線治療における副作用発症予測用 DNAオリゴマー。
[0011] また、本発明の他の諸側面として、〔17〕 〔1〕から〔16〕のうちいずれか一つに記載 の副作用発症予測用 DNAオリゴマー、または、この副作用発症予測用 DNAオリゴ マーとストリンジェントな条件下でノヽイブリダィズする DNAオリゴマーであることを特徴 とする放射線治療における副作用発症予測用遺伝子マーカーや、〔18〕配列表の 配列番号 174から配列番号 519に示す DNA塩基配列を有する DNAオリゴマーのう ち、配列番号 174から順次 2つの DNAオリゴマーを 1セットとして用いることを特徴と する DNAオリゴマーセットや、〔19〕配列表の配列番号 174から配列番号 519に示 す DNA塩基配列を有する DNAオリゴマー、または、当該 DNAオリゴマーのうち、 1 個若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加したことを特徴とする〔11〕に記載 の DNAオリゴマーセットや、〔20〕配列表の配列番号 520から配列番号 692に示す DNA塩基配列を有する DNAオリゴマー、または、当該 DNAオリゴマーのうち、 1個 若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加したことを特徴とする DNAオリゴマー 、を提供する。
[0012] 本発明のさらに他の側面として、〔21〕配列表の配列番号 1から配列番号 173のい ずれかに示す DNAオリゴマーを用いて判定を行う、下記 (a)〜 (g)の工程を含むこと を特徴とする放射線治療における副作用発症予測方法を提供する。
(a)放射線治療が施行される予定のがん患者カゝら採取した試料をもとに DNA試料 を調製する工程。
(b)前記(a)の工程で調製した前記 DNA試料をもとに DNAを増幅して DNA産物 を得る工程。
(c)前記 (b)の工程で増幅した DNA産物を铸型として伸長反応を行 ヽ、伸長産物
である DNAオリゴマーを得る工程。
(d)前記 (c)の工程で得られた DNAオリゴマーの DNA塩基配列を解析する工程。
(e)前記(d)の工程で解析された DNAオリゴマーの DNA塩基配列のうち 121番目 の位置に相当する塩基と、配列表の配列番号 1から配列番号 173のいずれかに示 す DNA塩基配列の 121番目の塩基とを照合する工程。
(f)前記 (e)の工程で照合された塩基を有するアレルがリスクアレルであるか非リス クアレルであるかを判定する工程。
(g)前記 (f)の工程で判定した結果から、前記放射線治療が施行される予定のがん 患者における放射線による副作用の発症危険率を予測する工程。
本発明のさらに他の側面として、 [22]前記 (e)の工程で照合する配列表の配列番 号 1から配列番号 173のいずれかに示す DNA塩基配列は、乳がんの放射線治療に おける副作用の発症予測については、配列表の配列番号 1、配列番号 4、配列番号 7、配列番号 13、配列番号 15、配列番号 17、配列番号 19、配列番号 20、配列番号 26、配列番号 27、配列番号 30、配列番号 32、配列番号 44、配列番号 45、配列番 号 48、配列番号 49、配列番号 50、配列番号 51、配列番号 53、配列番号 54、配列 番号 58、配列番号 59、配列番号 60、配列番号 61、配列番号 62、配列番号 63、配 列番号 65、配列番号 67、配列番号 73、配列番号 74、配列番号 77、配列番号 78、 配列番号 82、配列番号 85、配列番号 88、配列番号 90、配列番号 91、配列番号 94 、配列番号 97、配列番号 98、配列番号 106、配列番号 108、配列番号 112、配列 番号 113、配列番号 116、配列番号 117、配列番号 126、配列番号 127、配列番号 132、配列番号 133、配列番号 136、配列番号 137、配列番号 138、配列番号 140 、配列番号 143、配列番号 145、配列番号 147、配列番号 148、配列番号 151、配 列番号 157、配列番号 159、配列番号 160、配列番号 162、配列番号 163、配列番 号 165、配列番号 167、配列番号 170、配列番号 172、または配列番号 173に示す DNAオリゴマーの DNA塩基配列を用い、子宮頸がんの放射線治療における副作 用の発症予測については、配列表の配列番号 2、配列番号 6、配列番号 22、配列番 号 23、配列番号 29、配列番号 31、配列番号 34、配列番号 36、配列番号 37、配列 番号 39、配列番号 41、配列番号 42、配列番号 43、配列番号 44、配列番号 46、配
列番号 52、配列番号 56、配列番号 60、配列番号 64、配列番号 65、配列番号 68、 配列番号 70、配列番号 71、配列番号 72、配列番号 75、配列番号 76、配列番号 80 、配列番号 83、配列番号 86、配列番号 89、配列番号 91、配列番号 93、配列番号 9 8、配列番号 105、配列番号 110、配列番号 114、配列番号 118、配列番号 119、配 列番号 121、配列番号 129、配列番号 134、配列番号 139、配列番号 141、配列番 号 142、配列番号 144、配列番号 146、配列番号 149、配列番号 150、配列番号 15 2、配列番号 153、配列番号 154、配列番号 155、配列番号 157、配列番号 161、ま たは配列番号 171に示す DNAオリゴマーの DNA塩基配列を用い、前立腺がんの 放射線治療における副作用の発症予測については、配列表の配列番号 3、配列番 号 5、配列番号 8、配列番号 9、配列番号 10、配列番号 11、配列番号 12、配列番号 14、配列番号 16、配列番号 18、配列番号 19、配列番号 21、配列番号 24、配列番 号 25、配列番号 28、配列番号 33、配列番号 35、配列番号 38、配列番号 39、配列 番号 40、配列番号 45、配列番号 47、配列番号 48、配列番号 55、配列番号 57、配 列番号 66、配列番号 69、配列番号 73、配列番号 79、配列番号 81、配列番号 84、 配列番号 87、配列番号 92、配列番号 95、配列番号 96、配列番号 99、配列番号 10 0、配列番号 101、配列番号 102、配列番号 103、配列番号 104、配列番号 107、配 列番号 109、配列番号 111、配列番号 115、配列番号 116、配列番号 120、配列番 号 122、配列番号 123、配列番号 124、配列番号 125、配列番号 126、配列番号 12 8、配列番号 130、配列番号 131、配列番号 135、配列番号 151、配列番号 156、配 列番号 158、配列番号 160、配列番号 164、配列番号 166、配列番号 168、または 配列番号 169に示す DNAオリゴマーの DNA塩基配列を用い、がんの放射線治療 開始から早期のステージにおける副作用の発症予測については、配列表の配列番 号 2、配列番号 5、配列番号 7、配列番号 8、配列番号 13、配列番号 15、配列番号 1 7、配列番号 19、配列番号 20、配列番号 22、配列番号 23、配列番号 24、配列番号 25、配列番号 26、配列番号 27、配列番号 28、配列番号 29、配列番号 31、配列番 号 32、配列番号 33、配列番号 34、配列番号 36、配列番号 43、配列番号 44、配列 番号 45、配列番号 48、配列番号 52、配列番号 56、配列番号 59、配列番号 60、配 列番号 61、配列番号 64、配列番号 65、配列番号 66、配列番号 70、配列番号 71、
配列番号 72、配列番号 73、配列番号 75、配列番号 76、配列番号 78、配列番号 80 、配列番号 81、配列番号 86、配列番号 89、配列番号 90、配列番号 91、配列番号 9
2、配列番号 93、配列番号 94、配列番号 96、配列番号 98、配列番号 99、配列番号 102、配列番号 103、配列番号 105、配列番号 106、配列番号 112、配列番号 113 、配列番号 114、配列番号 117、配列番号 118、配列番号 120、配列番号 121、配 列番号 126、配列番号 127、配列番号 129、配列番号 132、配列番号 134、配列番 号 137、配列番号 138、配列番号 140、配列番号 141、配列番号 143、配列番号 14 4、配列番号 146、配列番号 147、配列番号 149、配列番号 150、配列番号 151、配 列番号 152、配列番号 153、配列番号 154、配列番号 157、配列番号 158、配列番 号 160、配列番号 162、配列番号 163、配列番号 165、配列番号 167、配列番号 16 8、配列番号 169、または配列番号 171に示す DNAオリゴマーの DNA塩基配列を 用い、がんの放射線治療開始から晩期 3ヶ月のステージにおける副作用の発症予測 については、配列表の配列番号 5、配列番号 8、配列番号 10、配列番号 11、配列番 号 12、配列番号 18、配列番号 21、配列番号 33、配列番号 45、配列番号 48、配列 番号 49、配列番号 53、配列番号 55、配列番号 58、配列番号 69、配列番号 77、配 列番号 87、配列番号 100、配列番号 101、配列番号 104、配列番号 108、配列番 号 109、配列番号 111、配列番号 115、配列番号 116、配列番号 122、配列番号 12
3、配列番号 124、配列番号 125、配列番号 126、配列番号 128、配列番号 133、配 列番号 136、配列番号 145、配列番号 148、配列番号 151、配列番号 156、配列番 号 159、配列番号 160、配列番号 162、または配列番号 170に示す DNAオリゴマー の DNA塩基配列を用い、がんの放射線治療開始から晩期 6ヶ月のステージにおけ る副作用の発症予測については、配列表の配列番号 1、配列番号 3、配列番号 4、 配列番号 5、配列番号 6、配列番号 9、配列番号 10、配列番号 11、配列番号 12、配 列番号 14、配列番号 16、配列番号 19、配列番号 30、配列番号 35、配列番号 37、 配列番号 38、配列番号 39、配列番号 40、配列番号 41、配列番号 42、配列番号 46 、配列番号 47、配列番号 50、配列番号 51、配列番号 54、配列番号 57、配列番号 6 0、配列番号 62、配列番号 63、配列番号 67、配列番号 68、配列番号 73、配列番号 74、配列番号 79、配列番号 82、配列番号 83、配列番号 84、配列番号 85、配列番
号 88、配列番号 95、配列番号 96、配列番号 97、配列番号 102、配列番号 107、配 列番号 110、配列番号 119、配列番号 130、配列番号 131、配列番号 135、配列番 号 139、配列番号 142、配列番号 155、配列番号 161、配列番号 164、配列番号 16 6、配列番号 172、または配列番号 173に示す DNAオリゴマーの DNA塩基配列を 用い、乳がんの放射線治療開始から早期のステージにおける副作用の発症予測に ついては、配列表の配列番号 7、配列番号 13、配列番号 15、配列番号 17、配列番 号 19、配列番号 20、配列番号 26、配列番号 27、配列番号 32、配列番号 44、配列 番号 45、配列番号 59、配列番号 61、配列番号 65、配列番号 73、配列番号 78、配 列番号 90、配列番号 91、配列番号 94、配列番号 98、配列番号 106、配列番号 11
2、配列番号 113、配列番号 117、配列番号 127、配列番号 132、配列番号 137、配 列番号 138、配列番号 140、配列番号 143、配列番号 147、配列番号 157、配列番 号 160、配列番号 162、配列番号 163、配列番号 165、または配列番号 167に示す DNAオリゴマーの DNA塩基配列を用い、乳がんの放射線治療開始から晩期 3ヶ月 のステージにおける副作用の発症予測については、配列表の配列番号 48、配列番 号 49、配列番号 53、配列番号 58、配列番号 77、配列番号 108、配列番号 116、配 列番号 126、配列番号 133、配列番号 136、配列番号 145、配列番号 148、配列番 号 151、配列番号 159、配列番号 162、または配列番号 170に示す DNAオリゴマー の DNA塩基配列を用い、乳がんの放射線治療開始から晩期 6ヶ月のステージにお ける副作用の発症予測については、配列表の配列番号 1、配列番号 4、配列番号 30 、配列番号 50、配列番号 51、配列番号 54、配列番号 60、配列番号 62、配列番号 6
3、配列番号 67、配列番号 74、配列番号 82、配列番号 85、配列番号 88、配列番号 97、配列番号 172、または配列番号 173に示す DNAオリゴマーの DNA塩基配列 を用い、子宮頸がんの放射線治療開始から早期のステージにおける副作用の発症 予測については、配列表の配列番号 2、配列番号 22、配列番号 23、配列番号 29、 配列番号 31、配列番号 34、配列番号 36、配列番号 43、配列番号 44、配列番号 52 、配列番号 56、配列番号 60、配列番号 64、配列番号 65、配列番号 70、配列番号 7 1、配列番号 72、配列番号 75、配列番号 76、配列番号 80、配列番号 86、配列番号 89、配列番号 91、配列番号 93、配列番号 98、配列番号 105、配列番号 114、配列
番号 118、配列番号 121、配列番号 129、配列番号 134、配列番号 141、配列番号 144、配列番号 146、配列番号 149、配列番号 150、配列番号 152、配列番号 153 、配列番号 154、配列番号 157、または配列番号 171に示す DNAオリゴマーの DN A塩基配列を用い、子宮頸がんの放射線治療開始から晩期 6ヶ月のステージにおけ る副作用の発症予測については、配列表の配列番号 6、配列番号 37、配列番号 39 、配列番号 41、配列番号 42、配列番号 46、配列番号 68、配列番号 83、配列番号 1 10、配列番号 119、配列番号 139、配列番号 142、配列番号 155、または配列番号 161に示す DNAオリゴマーの DNA塩基配列を用い、前立腺がんの放射線治療開 始から早期のステージにおける副作用の発症予測については、配列表の配列番号 5 、配列番号 8、配列番号 24、配列番号 25、配列番号 28、配列番号 33、配列番号 48 、配列番号 66、配列番号 81、配列番号 92、配列番号 96、配列番号 99、配列番号 1 02、配列番号 103、配列番号 120、配列番号 126、配列番号 151、配列番号 158、 配列番号 168、または配列番号 169に示す DN Aオリゴマーの DN A塩基配列を用 い、前立腺がんの放射線治療開始から晩期 3ヶ月のステージにおける副作用の発症 予測については、配列表の配列番号 5、配列番号 8、配列番号 10、配列番号 11、配 列番号 12、配列番号 18、配列番号 21、配列番号 33、配列番号 45、配列番号 48、 配列番号 55、配列番号 69、配列番号 87、配列番号 100、配列番号 101、配列番号 104、配列番号 109、配列番号 111、配列番号 115、配列番号 116、配列番号 122 、配列番号 123、配列番号 124、配列番号 125、配列番号 128、配列番号 156、ま たは配列番号 160に示す DNAオリゴマーの DNA塩基配列を用い、前立腺がんの 放射線治療開始から晩期 6ヶ月のステージにおける副作用の発症予測については、 配列表の配列番号 3、配列番号 5、配列番号 9、配列番号 10、配列番号 11、配列番 号 12、配列番号 14、配列番号 16、配列番号 19、配列番号 35、配列番号 38、配列 番号 39、
配列番号 40、配列番号 47、配列番号 57、配列番号 73、配列番号 79、配列番号 84 、配列番号 95、配列番号 96、配列番号 102、配列番号 107、配列番号 130、配列 番号 131、配列番号 135、配列番号 164、または配列番号 166に示す DNAオリゴマ 一の DNA塩基配列を用いる、ことを特徴とする〔21〕に記載の放射線治療における
副作用発症予測方法、を提供する。
[0013] 本発明の放射線治療における副作用発症予測用 DNAオリゴマーや副作用発症 予測用遺伝子マーカーを用いて、遺伝子の DNA塩基配列のうちの、特定の一塩基 多型 (SNP)を検出することで、放射線治療による副作用を発症する危険率を予測す ることができる。したがって、本発明によれば、オーダーメイド放射線治療の実現に資 することとなる。
[0014] また、本発明の DNAオリゴマーセット(PCR用プライマー)を用いれば、がん患者 等の被験者カゝら調製した DNA試料をもとに特定の一塩基多型(SNP)を含む DNA の増幅を容易に行うことができる。さらに、本発明の DNAオリゴマー(伸長プライマー )を用いれば、容易にその特定の SNPサイトの塩基種を判定することが可能となる。 したがって、放射線治療による副作用を発症する危険率を予測する方法を容易化す ることがでさる。
[0015] 本発明の副作用発症予測方法によれば、放射線治療を施行する予定であるがん 患者力 採取した DNA試料に含まれる SNP情報から、放射線による副作用を発症 する危険率を予測することができる。すなわち、オーダーメイド放射線治療を行うこと が可能となる。
[0016] 本発明によれば、乳がん、子宮頸がん、および前立腺がんについて、放射線治療 の開始力 早期(3ヶ月未満)、晩期 3ヶ月、晩期 6ヶ月の各ステージにおける副作用 の発症する危険率を予め予測することが可能となる。
[0017] 前記した本発明の諸側面及び効果、並びに、他の効果及びさらなる特徴は、添付 の図面を参照して後述する本発明の例示的かつ非制限的な実施の形態の詳細な説 明により、一層明ら力となるであろう。
図面の簡単な説明
[0018] [図 1]本発明の放射線治療における副作用発症予測方法を説明するためのフローチ ヤートである。
発明を実施するための最良の形態
[0019] 以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明の内容は 以下に説明する内容に限定されるものではない。
〔1. DNAオリゴマー(1)および遺伝子マーカー〕
本発明における「放射線治療における副作用発症予測用 DNAオリゴマー」とは、 本発明の配列表の配列番号 1から配列番号 173に示されている DNA塩基配列のう ち、 121番目の塩基を含んでなる、少なくとも 10〜241塩基のオリゴヌクレオチド (D NA才リゴマー)をいう。
ただし、本発明においては 121番目の塩基を含む 10〜 241の連続した DN A塩基 配列を有していればよぐ DNA塩基配列の長短について特に限定されるものではな い。すなわち、前記したように、 10塩基以上 241塩基以下の DNAオリゴマーであつ てもよく、また、 241塩基を超えるものであっても構わない。例えば、染色体上にかか る DNA塩基配列が存在していれば、これよりもさらに長い DN Aオリゴマー(例えば、 121番目の塩基を含む、連続した 250塩基の DNAオリゴマーや、 500塩基の DNA オリゴマー、あるいは、さらに長い DNAオリゴマー)であっても本発明の配列表の配 列番号 1から配列番号 173に示す DNAオリゴマーに該当することはいうまでもない。 本発明においては、 121番目に示す塩基がリスクアレルとなる。「リスクアレル」とは 、特定の SNPサイトにおいて、放射線治療行った後に副作用(障害)の発症しやす い者の有するアレル (allele ;対立遺伝子)中の塩基と、副作用の発症しにくい者の有 するアレル中の塩基と、が異なる塩基であって、当該副作用の発症しやすいものが 有するアレルをいう。したがって、 SNPタイピングを行ってこのリスクアレルを認識する ことができれば、放射線治療による副作用の発症の危険率を予測することが可能とな る。
なお、本発明で指定する 121番目の塩基であることを認識することができれば、 DN Aオリゴマーにおける位置は限定されない。すなわち、当該リスクアレルとなる SNPサ イトは DNA塩基配列中の中ほどに位置するようにすることができるほか、 5' 末端や 3' 末端に位置するようにすることも可能である。
これに対し、本発明の配列表の配列番号 1から配列番号 173のいずれかと同一ま たは実質的に同一である DNA塩基配列を含む遺伝子または染色体 DNAにおいて 、前記のリスクアレルに相当する SNPサイトに存在するリスクアレルとは異なる塩基で あるアレルを本発明では「非リスクアレル」と呼ぶこととする。
[0021] 配列表の配列番号 1から配列番号 173に示す DNAオリゴマー(またはその DNA 塩基配列の情報)は、 DNA塩基配列中における特定の塩基がリスクアレルであるか 非リスクアレルであるかを判定することで、がんの放射線治療において副作用が発症 する虞があることを予測するために用いることができる。特に、下記の(1)から(14)に 記載する態様で好適に用いることができる。
[0022] (1)乳がんの放射線治療における副作用の発症予測については、配列表の配列 番号 1、配列番号 4、配列番号 7、配列番号 13、配列番号 15、配列番号 17、配列番 号 19、配列番号 20、配列番号 26、配列番号 27、配列番号 30、配列番号 32、配列 番号 44、配列番号 45、配列番号 48、配列番号 49、配列番号 50、配列番号 51、配 列番号 53、配列番号 54、配列番号 58、配列番号 59、配列番号 60、配列番号 61、 配列番号 62、配列番号 63、配列番号 65、配列番号 67、配列番号 73、配列番号 74 、配列番号 77、配列番号 78、配列番号 82、配列番号 85、配列番号 88、配列番号 9 0、配列番号 91、配列番号 94、配列番号 97、配列番号 98、配列番号 106、配列番 号 108、配列番号 112、配列番号 113、配列番号 116、配列番号 117、配列番号 12 6、配列番号 127、配列番号 132、配列番号 133、配列番号 136、配列番号 137、配 列番号 138、配列番号 140、配列番号 143、配列番号 145、配列番号 147、配列番 号 148、配列番号 151、配列番号 157、配列番号 159、配列番号 160、配列番号 16 2、配列番号 163、配列番号 165、配列番号 167、配列番号 170、配列番号 172、ま たは Zおよび、配列番号 173に示す DNAオリゴマーの DNA塩基配列を好適に用 いることがでさる。
[0023] (2)子宮頸がんの放射線治療における副作用の発症予測については、配列表の 配列番号 2、配列番号 6、配列番号 22、配列番号 23、配列番号 29、配列番号 31、 配列番号 34、配列番号 36、配列番号 37、配列番号 39、配列番号 41、配列番号 42 、配列番号 43、配列番号 44、配列番号 46、配列番号 52、配列番号 56、配列番号 6 0、配列番号 64、配列番号 65、配列番号 68、配列番号 70、配列番号 71、配列番号 72、配列番号 75、配列番号 76、配列番号 80、配列番号 83、配列番号 86、配列番 号 89、配列番号 91、配列番号 93、配列番号 98、配列番号 105、配列番号 110、配 列番号 114、配列番号 118、配列番号 119、配列番号 121、配列番号 129、配列番
号 134、配列番号 139、配列番号 141、配列番号 142、配列番号 144、配列番号 14 6、配列番号 149、配列番号 150、配列番号 152、配列番号 153、配列番号 154、配 列番号 155、配列番号 157、配列番号 161、または Zおよび、配列番号 171に示す DNAオリゴマーの DNA塩基配列を好適に用いることができる。
[0024] (3)前立腺がんの放射線治療における副作用の発症予測については、配列表の 配列番号 3、配列番号 5、配列番号 8、配列番号 9、配列番号 10、配列番号 11、配列 番号 12、配列番号 14、配列番号 16、配列番号 18、配列番号 19、配列番号 21、配 列番号 24、配列番号 25、配列番号 28、配列番号 33、配列番号 35、配列番号 38、 配列番号 39、配列番号 40、配列番号 45、配列番号 47、配列番号 48、配列番号 55 、配列番号 57、配列番号 66、配列番号 69、配列番号 73、配列番号 79、配列番号 8 1、配列番号 84、配列番号 87、配列番号 92、配列番号 95、配列番号 96、配列番号 99、配列番号 100、配列番号 101、配列番号 102、配列番号 103、配列番号 104、 配列番号 107、配列番号 109、配列番号 111、配列番号 115、配列番号 116、配列 番号 120、配列番号 122、配列番号 123、配列番号 124、配列番号 125、配列番号 126、配列番号 128、配列番号 130、配列番号 131、配列番号 135、配列番号 151 、配列番号 156、配列番号 158、配列番号 160、配列番号 164、配列番号 166、配 列番号 168、または Zおよび、配列番号 169に示す DNAオリゴマーの DNA塩基配 列を好適に用いることができる。
[0025] (4)がんの放射線治療開始力も早期のステージにおける副作用の発症予測につい ては、配列表の配列番号 2、配列番号 5、配列番号 7、配列番号 8、配列番号 13、配 列番号 15、配列番号 17、配列番号 19、配列番号 20、配列番号 22、配列番号 23、 配列番号 24、配列番号 25、配列番号 26、配列番号 27、配列番号 28、配列番号 29 、配列番号 31、配列番号 32、配列番号 33、配列番号 34、配列番号 36、配列番号 4 3、配列番号 44、配列番号 45、配列番号 48、配列番号 52、配列番号 56、配列番号 59、配列番号 60、配列番号 61、配列番号 64、配列番号 65、配列番号 66、配列番 号 70、配列番号 71、配列番号 72、配列番号 73、配列番号 75、配列番号 76、配列 番号 78、配列番号 80、配列番号 81、配列番号 86、配列番号 89、配列番号 90、配 列番号 91、配列番号 92、配列番号 93、配列番号 94、配列番号 96、配列番号 98、
配列番号 99、配列番号 102、配列番号 103、配列番号 105、配列番号 106、配列 番号 112、配列番号 113、配列番号 114、配列番号 117、配列番号 118、配列番号 120、配列番号 121、配列番号 126、配列番号 127、配列番号 129、配列番号 132 、配列番号 134、配列番号 137、配列番号 138、配列番号 140、配列番号 141、配 列番号 143、配列番号 144、配列番号 146、配列番号 147、配列番号 149、配列番 号 150、配列番号 151、配列番号 152、配列番号 153、配列番号 154、配列番号 15 7、配列番号 158、配列番号 160、配列番号 162、配列番号 163、配列番号 165、配 列番号 167、配列番号 168、配列番号 169、または Zおよび、配列番号 171に示す DNAオリゴマーの DNA塩基配列を好適に用いることができる。
[0026] (5)がんの放射線治療開始から晩期 3ヶ月のステージにおける副作用の発症予測 については、配列表の配列番号 5、配列番号 8、配列番号 10、配列番号 11、配列番 号 12、配列番号 18、配列番号 21、配列番号 33、配列番号 45、配列番号 48、配列 番号 49、配列番号 53、配列番号 55、配列番号 58、配列番号 69、配列番号 77、配 列番号 87、配列番号 100、配列番号 101、配列番号 104、配列番号 108、配列番 号 109、配列番号 111、配列番号 115、配列番号 116、配列番号 122、配列番号 12 3、配列番号 124、配列番号 125、配列番号 126、配列番号 128、配列番号 133、配 列番号 136、配列番号 145、配列番号 148、配列番号 151、配列番号 156、配列番 号 159、配列番号 160、配列番号 162、または Zおよび、配列番号 170に示す DN Aオリゴマーの DNA塩基配列を好適に用いることができる。
[0027] (6)がんの放射線治療開始から晩期 6ヶ月のステージにおける副作用の発症予測 については、配列表の配列番号 1、配列番号 3、配列番号 4、配列番号 5、配列番号 6、配列番号 9、配列番号 10、配列番号 11、配列番号 12、配列番号 14、配列番号 1 6、配列番号 19、配列番号 30、配列番号 35、配列番号 37、配列番号 38、配列番号 39、配列番号 40、配列番号 41、配列番号 42、配列番号 46、配列番号 47、配列番 号 50、配列番号 51、配列番号 54、配列番号 57、配列番号 60、配列番号 62、配列 番号 63、配列番号 67、配列番号 68、配列番号 73、配列番号 74、配列番号 79、配 列番号 82、配列番号 83、配列番号 84、配列番号 85、配列番号 88、配列番号 95、 配列番号 96、配列番号 97、配列番号 102、配列番号 107、配列番号 110、配列番
号 119、配列番号 130、配列番号 131、配列番号 135、配列番号 139、配列番号 14 2、配列番号 155、配列番号 161、配列番号 164、配列番号 166、配列番号 172、ま たは Zおよび、配列番号 173に示す DNAオリゴマーの DNA塩基配列を好適に用 いることがでさる。
[0028] (7)乳がんの放射線治療開始力 早期のステージにおける副作用の発症予測に ついては、配列表の配列番号 7、配列番号 13、配列番号 15、配列番号 17、配列番 号 19、配列番号 20、配列番号 26、配列番号 27、配列番号 32、配列番号 44、配列 番号 45、配列番号 59、配列番号 61、配列番号 65、配列番号 73、配列番号 78、配 列番号 90、配列番号 91、配列番号 94、配列番号 98、配列番号 106、配列番号 11 2、配列番号 113、配列番号 117、配列番号 127、配列番号 132、配列番号 137、配 列番号 138、配列番号 140、配列番号 143、配列番号 147、配列番号 157、配列番 号 160、配列番号 162、配列番号 163、配列番号 165、または Zおよび、配列番号 1 67に示す DNAオリゴマーの DNA塩基配列を好適に用いることができる。
[0029] (8)乳がんの放射線治療開始から晩期 3ヶ月のステージにおける副作用の発症予 測については、配列表の配列番号 48、配列番号 49、配列番号 53、配列番号 58、 配列番号 77、配列番号 108、配列番号 116、配列番号 126、配列番号 133、配列 番号 136、配列番号 145、配列番号 148、配列番号 151、配列番号 159、配列番号 162、または Zおよび、配列番号 170に示す DNAオリゴマーの DNA塩基配列を好 適に用いることができる。
[0030] (9)乳がんの放射線治療開始から晩期 6ヶ月のステージにおける副作用の発症予 測については、配列表の配列番号 1、配列番号 4、配列番号 30、配列番号 50、配列 番号 51、配列番号 54、配列番号 60、配列番号 62、配列番号 63、配列番号 67、配 列番号 74、配列番号 82、配列番号 85、配列番号 88、配列番号 97、配列番号 172 、または Zおよび、配列番号 173に示す DNAオリゴマーの DNA塩基配列を好適に 用!/、ることができる。
[0031] (10)子宮頸がんの放射線治療開始力 早期のステージにおける副作用の発症予 測については、配列表の配列番号 2、配列番号 22、配列番号 23、配列番号 29、配 列番号 31、配列番号 34、配列番号 36、配列番号 43、配列番号 44、配列番号 52、
配列番号 56、配列番号 60、配列番号 64、配列番号 65、配列番号 70、配列番号 71 、配列番号 72、配列番号 75、配列番号 76、配列番号 80、配列番号 86、配列番号 8 9、配列番号 91、配列番号 93、配列番号 98、配列番号 105、配列番号 114、配列 番号 118、配列番号 121、配列番号 129、配列番号 134、配列番号 141、配列番号 144、配列番号 146、配列番号 149、配列番号 150、配列番号 152、配列番号 153 、配列番号 154、配列番号 157、または Zおよび、配列番号 171に示す DN Aオリゴ マーの DNA塩基配列好適に用いることができる。
[0032] (11)子宮頸がんの放射線治療開始から晩期 6ヶ月のステージにおける副作用の 発症予測については、配列表の配列番号 6、配列番号 37、配列番号 39、配列番号 41、配列番号 42、配列番号 46、配列番号 68、配列番号 83、配列番号 110、配列 番号 119、配列番号 139、配列番号 142、配列番号 155、または Zおよび、配列番 号 161に示す DNAオリゴマーの DNA塩基配列を好適に用いることができる。
[0033] (12)前立腺がんの放射線治療開始力 早期のステージにおける副作用の発症予 測については、配列表の配列番号 5、配列番号 8、配列番号 24、配列番号 25、配列 番号 28、配列番号 33、配列番号 48、配列番号 66、配列番号 81、配列番号 92、配 列番号 96、配列番号 99、配列番号 102、配列番号 103、配列番号 120、配列番号 126、配列番号 151、配列番号 158、配列番号 168、または Zおよび、配列番号 16 9に示す DNAオリゴマーの DNA塩基配列を好適に用いることができる。
[0034] (13)前立腺がんの放射線治療開始から晩期 3ヶ月のステージにおける副作用の 発症予測については、配列表の配列番号 5、配列番号 8、配列番号 10、配列番号 1 1、配列番号 12、配列番号 18、配列番号 21、配列番号 33、配列番号 45、配列番号 48、配列番号 55、配列番号 69、配列番号 87、配列番号 100、配列番号 101、配列 番号 104、配列番号 109、配列番号 111、配列番号 115、配列番号 116、配列番号 122、配列番号 123、配列番号 124、配列番号 125、配列番号 128、配列番号 156 、または Zおよび、配列番号 160に示す DNAオリゴマーの DNA塩基配列を好適に 用!/、ることができる。
[0035] (14)前立腺がんの放射線治療開始から晩期 6ヶ月のステージにおける副作用の 発症予測については、配列表の配列番号 3、配列番号 5、配列番号 9、配列番号 10
、配列番号 11、配列番号 12、配列番号 14、配列番号 16、配列番号 19、配列番号 3 5、配列番号 38、配列番号 39、配列番号 40、配列番号 47、配列番号 57、配列番号 73、配列番号 79、配列番号 84、配列番号 95、配列番号 96、配列番号 102、配列 番号 107、配列番号 130、配列番号 131、配列番号 135、配列番号 164、または/ および、配列番号 166に示す DNAオリゴマーの DNA塩基配列を好適に用いること ができる。
[0036] 本発明で用いるリスクアレルを含んだ DN Aオリゴマーは、 121番目の塩基(リスクァ レル)を含んだ 10〜241塩基の連続した DNAオリゴマーとして、適宜適切な長さを 設定して用いることができる。
例えば、力かる DNAオリゴマーを標識プローブなどの遺伝子マーカーとして用いる 場合は、例えば、 20〜200塩基の長さとするのが好ましいが、 30〜150塩基の長さ とすることや、 35〜: LOO塩基の長さとすることもできるし、また 200塩基以上であって もよい。適切な長さを選択すれば、特異的なノ、イブリダィズを行うことができるほか、 例えば電気泳動の泳動度の差異を容易に認識することができ、適切に SNPタイピン グを行うことができる。一方、塩基数が少なすぎると非特異的なノ、イブリダィズが生じ る虞があり、塩基数が多すぎると泳動度に差異が生じに《なるので不適である。
[0037] 本発明は、前記で説明した DNAオリゴマーを解析 Z検出することで、放射線治療 における副作用の発症のしゃすさに影響する遺伝的素因を有するか否かを解析し、 その結果力 放射線による副作用を発症する危険性を予測するためになされたもの である。
したがって、解析した DNA塩基配列と、配列表の配列番号 1から配列番号 173のう ちの、、ずれかの DNA塩基配列とを対比し、本発明で特定されて 、るリスクアレルと 合致するか、あるいは、非リスクアレルに該当するかを確認することで、放射線に対し て副作用を発症しやすい型の塩基配列 (発症群)であるか、副作用を発症しにくい型 の塩基配列(非発症群)であるかを判定することができる。すなわち、リスクアレルを有 する者は、非リスクアレルを有する者よりも放射線治療における副作用を発症しやす V、遺伝的素因を有して!/、る、と判断することができる。
[0038] ここで、本発明に係る DNAオリゴマーは、当該 121番目の塩基以外の塩基が、 1個
または複数個欠失、置換若しくは付加していてもよぐまた、その相補鎖であっても構 わない。すなわち、本発明の特許請求の範囲と配列表で特定する SNPサイトを含む ものであれば、それ以外の箇所に塩基の置換、欠失、挿入等が起こっていても、実 質的に同一またはこれと相補的な DNA塩基配列を有している DNAオリゴマーであ れば本発明の DNAオリゴマーと同等のものである。
[0039] さらに、このような DNAオリゴマーは、 DNAポリメラーゼ、特に耐熱性ポリメラーゼ( 例えば Taqポリメラーゼ)などの種々のポリメラーゼによって複製あるいは増幅された DNA産物を好適に用いることができる。
そして、本発明の DNAオリゴマーは、それが有する DNA塩基配列を直接解析す るために好適に用いることができる。この DNAオリゴマーの DNA塩基配列の直接的 な解析には、従来公知の DNAシーケンサーや質量分析機などを好適に用いること ができる。
また、本発明の DNAオリゴマーは、いわゆるプローブなどの遺伝子マーカーとして 好適に用いることができる。
[0040] 本発明の DNAオリゴマーを遺伝子マーカーとして用いる場合は、 DNA塩基配列 の末端、または、 DNA塩基配列中のいずれかの塩基を蛍光色素や放射性同位元 素などで標識化した遺伝子マーカー (標識プローブ)とするのがより好ま 、。標識遺 伝子マーカーとすれば、蛍光強度や放射線量を測定することによって容易に検出可 能となるほか、例えば、 X線フィルムを蛍光で感光させる、あるいは、放射線で感光さ せるなどして、容易に検出することも可能となる。なお、放射線量や蛍光強度の測定 は、従来公知の放射線検出装置や蛍光測定装置などを好適に用いることができる。 また、このように蛍光色素を標識ィ匕しておけば、 DNAシーケンサーによって適切に 解析することができる。
[0041] 標識ィ匕するために用いる放射性同位元素としては、例えば、 32Pや35 Sなどの通常 用いられる放射性同位元素を挙げることができる。また、標識ィ匕するために用いる蛍 光色素としては、例えば、 FAM™、 Yakima Yellow™, VIC™, TAMRA™, RO X™、 Cy3™、 Cy5™、 HEX™, TET™、 FITCなどの通常用いられる蛍光色素を 挙げることができる。
[0042] 以上説明したように、本発明の放射線治療における副作用発症予測用 DNAオリゴ マーは、その DNA塩基配列を直接解析することや、当該 DNAオリゴマーを遺伝子 マーカーとして用いることにより、好適に一塩基多型の検出、すなわち SNPタイピン グを好適に行うことができる。なお、一般的に「多型」とは、人口中 1%以上の頻度で 存在している塩基の変化と定義されているが、本発明における「多型」は、この定義 に限定されず、 1%未満の塩基の変化も「多型」に含めることとする。
[0043] [2. DNAオリゴマーセット〕
配列表の配列番号 174から配列番号 519に示す DNAオリゴマーは、配列番号 17 4から順次 2つの DNAオリゴマーを 1セットとする DNAオリゴマーセット、として用いる のが好ましい。
かかる DNAオリゴマーセットの中から適宜適切な 1セットの DNAオリゴマーセットを 選択して DNAの増幅に用いれば、配列表の配列番号 1から配列番号 173に示す任 意の DNAオリゴマーを特異的に増幅することができる。なお、この DNAオリゴマーセ ットのうち、配列番号の小さい DNAオリゴマーがフォワードプライマーであり、配列番 号の大きい DNAオリゴマーがリバースプライマーに該当する。これら 2種類のプライ マーに対応する配列に挟まれた部分が PCR増幅反応によって増幅される対象となる
[0044] このように、配列表の配列番号 174から配列番号 519に示す DNAオリゴマーセット は、特に PCR (Polymerase Chain Reaction)を行う際に好適に用いることができること から、本発明の DNAオリゴマーセットは、 PCR増幅用のプライマーセットとして用いる ことが好ましい。したがって、この PCR増幅用のプライマーセットを用いれば、特定の DNA塩基配列を有する DNAオリゴマー、すなわち、配列表の配列番号 1から配列 番号 173に示す、特定の SNPサイト(本発明においては 121番目の塩基が特定の S NPサイトである。)を含む DNAオリゴマーを確実、簡便かつ特異的に増幅することが できる。
なお、この DNAオリゴマーセットを構成するそれぞれの DNAオリゴマーは、それが 有する DNA塩基配列のうち、 1個若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加し たものであってもよい。また、配列番号 174から配列番号 519に示す DNAオリゴマー
には、必要に応じて適宜の制限酵素認識配列(例えば「5' -ACGTTGGATG-3'」(配 列番号 693)のような 10塩基程度の DNAオリゴマー)を、 DNAオリゴマーの 5' 上 流側に付加して用いてもよい。このように付加した配列は、 PCRによる増幅反応を安 定化させる効果を有する。なお、付加する塩基配列はこれに限られることはなぐ同 様の効果を奏するものであればどのような配列でも用いることができる。
[0045] 〔3. DNAオリゴマー(2)〕
また、配列表の配列番号 520から配列番号 692に示す DNAオリゴマーは、その 3 ' 末端が、配列表の配列番号 1から配列番号 173に示す DNAオリゴマーのうち、特 定の SNPサイトである塩基に隣接するように設計している。したがって、かかる DNA オリゴマーを用いて酵素的に 1から数塩基伸長すれば、生じた DNAオリゴマーは多 型に応じて長さが異なったものとなる。また、この DNAオリゴマーも、当該 DNAオリゴ マーのうち、 1個若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加したものとすることが 可能である。
[0046] そして、配列表の配列番号 520から配列番号 692に示す DNAオリゴマーは、 3' 側がリスクアレルに隣接する 10〜 24塩基の長さとするのが好ましく、 15〜 24塩基の 長さとするのがより好ましぐ 17〜24塩基の長さとするのがさらに好ましい。かかる長 さは DNAオリゴマーの有する GC含量やハイブリダィズさせる条件等によって適宜変 更することが可能である。
[0047] なお、酵素的に 1から数塩基付加するには、例えば、 DNA合成酵素である DNAポ リメラーゼと、デォキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)のアナログであるジデォキシヌク レオシド三リン酸(ddNTP)を用いることによって、 1塩基のみ伸長した DNAオリゴマ 一を得ることができる(1塩基プライマー伸長法)。したがって、かかる DNAオリゴマー は、リスクアレルである塩基を解析する SNPタイピングに好適に用いることができる。 このようにすると、例えば、一方のアレルは 1塩基伸長させ、他方のアレルは 3塩基 伸長させるなどすることにより、 DNA産物の長さの違いを正確に質量分析計で検出 できるようにすることができる(MassEXTEND™法、 SEQUENOM社)。なお、何 塩基伸長させるかは、各 SNPサイトの多型部位の前後の配列から、最も効率よく長さ が違うように、 SNPサイト毎にデザインするのが好まし!/、。
[0048] 〔4. SNPタイピング〕
SNPタイピングを行う手法としては、プライマー伸長に基づく手法、ノ、イブリダィゼ ーシヨンに基づく手法、 DNAの切断に基づく手法、ライゲーシヨンに基づく手法など がある。
[0049] (4- 1. SNPタイピングの手法〜その 1)
プライマーエクステンションに基づく手法としては、例えば、前記した 1塩基プライマ 一伸長法(Syvanen, A.C. et al., Genomics, 8, 684- 692(1990))や、これを用いた MA LDI—TOFZMS法(Ross, P., et al. Nat Biotechnol, 16, 1347— 1351(1998) ;Buetow , K.H. et al., Proc Natl Acad Sci USA, 98, 581- 584(2001) ; SNP遺伝子多型の戦略 、松原謙一'榊佳之、中山書店、 106〜117頁)のほか、アレル特異的プライマーェ タステンション法(Uggozzoli, L. et al., Genet Anal Tech Appl, 9, 107- 112(1992))、 A PEX (in the arrayed primer extension)法 (Shumaker, J.M. et al., Hum Mutat, 7, 346 -354(1996))などを挙げることができる。これらの中でも、 MALDI—TOFZMS法を 用いれば、簡易かつ大量のサンプルの SNPタイピングを同時に行うことが可能であ るので特に好適である。
[0050] この MALDI— TOF/MS (matrix assisted laser desorption ionization time— of— flig ht/mass spectrometry)法は、 DNA試料から得られた DNA産物の DNA塩基配列を 直接決定して比較することができる、非常に効率的な手法である。
MALDI— TOFZMS法は、前記したように大量のサンプルを高速度で処理する ジエノタイピング法の一つである。この方法は、以前から生物学'化学の分野で使用 されてきた質量分析機を SNPタイピングに適用したものである。質量分析機による方 法であるので、多型による差異を何らかの形で分子の違いに対応させ、その分子の 質量の差を検出することで塩基の配列を決定することを基本原理としている。すなわ ち、 MALDI— TOFZMS法は、質量分析機とプライマー伸長法とを組み合わせ、 S NPサイトにおける塩基の違いを判定する。
[0051] 具体的には、まず、放射線治療を行う予定のがん患者力 DNA試料を抽出する。
この際、本発明の配列表の配列番号 1から配列番号 173で示される SNPサイトに相 当する部位の塩基を含む DNAを、 PCRなどを使用して増幅することで調製する。次
いで、 PCR産物を铸型として、ジヱノタイピングプライマー(配列表の配列番号 1から 配列番号 173で示される SNPサイトに相当する部位における塩基の 1塩基 側の 塩基から 3' 側の塩基配列に相補的な配列を有するプライマー、または、配列表の 配列番号 1から配列番号 173の相補鎖の場合は、その相補鎖と相補的な配列を有 するプライマー)の ddNTPプライマー伸長反応を行い、 1個から数個の塩基を伸長 する。なお、この反応に用いる PCR産物は、 PCR増幅用のプライマーを除去するた めの精製が行われていることが好ましぐジエノタイピングプライマー(伸長プライマー (配列表の配列番号 520から配列番号 692に示す))は、通常、 15bp以上の長さを 有するのが好ましい。また、プライマー伸長反応においては、通常、 PCR産物に対し て 10倍以上の過剰のジエノタイピングプライマーをカ卩える力 これに制限されるもの ではない。 PCRを行うためのサーマルサイクルの条件は適宜選択しうる力 ジエノタイ ビングプライマーのうち 30〜60%程度が伸長する条件が好適である。例えば、 94°C と 37°Cの 2温度間で 25回程度行うことで適当な伸長効率を得ることができる。次いで 、プライマー伸長反応産物の MALDIプレートへのスポットを行い、次いで、質量測 定を行って、マススペクトログラムを作成する。そして、作成されたマススペクトログラム を解析することで DNA塩基配列を判定し、本発明の配列表の配列番号 1から配列 番号 173で示される SNPサイトに相当する部位の塩基が放射線に対して副作用を 発症しやす!/、型の塩基配列 (発症群)である場合と、副作用を発症しにく!/、型の塩基 配列 (非発症群)である場合を 1回の反応で判別することが可能である。
[0052] このように、 MALDI— TOFZMS法では質量分析機を用いて DNA塩基配列を直 接判定し、大量かつ高速で SNPタイピングを実現することができるが、本発明におけ る DNA塩基配列を決定する手段としてはこれに限定されな ヽ。 DNA試料を用いて DNAの塩基配列の決定を行う手段として、例えば、スラブゲルあるいはマルチキヤピ ラリーを用いた DNAシーケンサ一等によっても SNPタイピングを行うことができる。
[0053] (4- 2. SNPタイピングの手法〜その 2)
ハイブリダィゼーシヨンに基づく手法としては、例えば、 TaqMan PCR法(Livak, K. J. et al., PCR Methods AppL, 4, 357- 362(1995) ; SNP遺伝子多型の戦略、松原謙 一'榊佳之、中山書店、 94-105頁)を好適に挙げることができる。
[0054] 具体的には、まず、放射線治療を行う予定のがん患者力 DNA試料を抽出する。 そして、予め選定した本発明の配列表の配列番号 1から配列番号 173で示される S NPサイトに相当する部位の塩基を含む DNAにハイブリダィズするための DNAオリ ゴマー(プローブ)(配列表の配列番号 1から配列番号 173のうちの任意の DNAオリ ゴマーまたはその相補鎖)の 末端にレポーター蛍光を標識する。本発明におい て、レポーター蛍光物質としては、前記した FAMや VICなどが例示できる力 これら に限定されない。さらに、前記プローブの 末端にクェンチヤ一物質を標識する。 本発明において、クェンチヤ一物質としては、レポーター蛍光を消光できる物質であ れば特に制限されない。例えば、 Dabcyl、 BHQ 1、 BHQ2、 Eclipse™ Dark Que ncher、 ElleQuencher™などを挙げることができる。
次いで、本発明の配列表の配列番号 1から配列番号 173で示される SNPサイトに 相当する部位の塩基を含む DNAにハイブリダィズするための、レポーター蛍光およ びクェンチヤ一物質が標識されたプローブを、放射線治療を行う予定のがん患者か ら調製した DNAにハイブリダィズさせる。次いで、本発明の配列表の配列番号 1から 配列番号 173で示される SNPサイトに相当する部位の塩基を含む DNAを、 5' →3 ' ェキソヌクレアーゼ活性を有する DNAポリメラーゼを用いて増幅する。その結果、 レポーター蛍光とクェンチヤ一物質を標識したヌクレオチドプローブのレポーター蛍 光標識部分が切断され、レポーター蛍光が遊離する。本発明において、 5' →3' ェ キソヌクレアーゼ活性を有する DNAポリメラーゼとしては、 TaqDNAポリメラーゼを好 適に例示することができる力 これに限定されるものではない。この方法においては、 次いで、遊離したレポーター蛍光を検出し、さらに、当該レポーター蛍光の発光を対 照と比較する。なお、当該方法においては、本発明の配列表の配列番号 1から配列 番号 173で示される SNPサイトに相当する部位の塩基が放射線に対して副作用を 発症しやす!/、型の塩基配列 (発症群)である場合と、副作用を発症しにく!/、型の塩基 配列 (非発症群)である場合で異なるレポーター蛍光を標識した 2種類のヌクレオチド プローブを用いることで、 1回の反応で SNPタイピングを行うことが可能である。
[0055] (4 - 3. SNPタイピングの手法〜その 3)
ノ、イブリダィゼーシヨンに基づく他の手法としては、例えば、アレル特異的オリゴヌク
レオチド(ASO : Allele Specific Oligonucleotide)ハイブリダィゼーシヨン法(Baner, J. et al, Nucleic Acids Res, 26, 5073- 5078(1998))を挙げることができる。
すなわち、特定位置の変異のみを検出するために、変異が存在すると考えられる 塩基配列を含む DNAオリゴマー(遺伝子マーカー)を予め作製し、これと DNA試料 の DNAとでハイブリダィゼーシヨンを行わせる。その結果、変異が存在するとハイブリ ッド形成の効率が低下するので、それをサザンブロット法や、特殊な蛍光試薬がハイ ブリツドのギャップにインターカレーシヨンすることにより消光する性質を利用した方法 等により SNPを検出することができ、さらに、検出された塩基配列を DNAシーケンサ 一等に供することによって直接 SNPに係る塩基の種類を判定することができる。次 ヽ で、判定された塩基種を比較することで、放射線による副作用を発症しやすい型の 塩基配列 (発症群)を有して!/、るか、副作用を発症しにく!/、型の塩基配列 (非発症群 )を有して!/、るかの SNPタイピングを行うことができる。
[0056] また、 DNAの切断に基づく手法としては、例えば、 Invader法を挙げることができる
(Lyamichev, V. et al., Nat Biotechnol, 17,292- 296(1999) ; SNP遺伝子多型の戦略 、松原謙一 ·榊佳之、中山書店、 94〜105頁)。
[0057] 具体的には、まず、放射線治療を行う予定のがん患者力 DNA試料を抽出する。
そして、予め選定した本発明の配列表の配列番号 1から配列番号 173で示される S NPサイトに相当する部位の塩基から 5' 側の塩基配列と相補的な塩基配列、および 当該塩基の 1塩基 3' 側の塩基から 3' 側の塩基配列とはハイブリダィズしないが、 後記のインベーダープローブの一部の塩基配列と相補的な塩基配列(フラップ)、を 有するアレルプローブを合成する。
また、本発明の配列表の配列番号 1から配列番号 173で示される SNPサイトに対 応する塩基 (任意の塩基)を 3' 末端とし、当該 SNPサイトに相当する部位の塩基の 1塩基 3' 側の塩基から 3' 側の塩基配列と相補的な配列を有するインベーダープ ローブを合成する。
次!、で、これらアレルプローブおよびインベーダープローブを DNA試料中の铸型 DNAにハイブリダィズさせる。この際、本発明の配列表の配列番号 1から配列番号 1 73で示される DNA塩基配列の SNPサイトに相当する部位の塩基に対応するインべ
ーダープローブの塩基 (任意の塩基)が铸型 DNAとアレルプローブとの間に侵入す る。この侵入部位を認識して、該部位に対応するアレルプローブの塩基と該塩基の 1 塩基 側の塩基の間を切断するエンドヌクレアーゼ作用を有する酵素である Cleav ase (登録商標)を用いて、アレルプローブのフラップ部分を切断し、遊離させる。次 いで、遊離したフラップを、これと相補的な配列を有し、かつ、レポーター蛍光とタエ ンチヤー物質とが標識されている FRET (fluorescence resonance energy transfer)プ ローブをハイブリダィズさせる。当該 FRETプローブの 側には、自身で相補的に 結合できる塩基配列を有している。そして、 3' 側には、前記したようにフラップと相補 的な配列を有している。また、 自身で相補的に結合できる 側において、 末端 にはレポーター蛍光が標識され、当該 末端の 側にはクェンチヤ一物質が標 識されている。遊離したフラップの 末端の塩基が、 FRETプローブにハイブリダィ ズする結果、当該プローブのレポーター蛍光が標識された相補結合部位に侵入する ことで、 Cleavase (登録商標)が認識する構造が生成される。したがって、当該方法 においては、 Cleavase (登録商標)によるレポーター蛍光標識部分の切断によって 遊離したレポーター蛍光を測定し、測定した蛍光の強度を比較することで、放射線に よる副作用を発症しやすい型の塩基配列 (発症群)を有しているか、副作用を発症し にく!/、型の塩基配列(非発症群)を有して!/、るかの SNPタイピングを行うことができる
(4-4. SNPタイピングの手法〜その 4)
そして、ライゲーシヨンに基づく手法としては、例えば、 RCA (rolling circle amplifica tion)法を挙げることができる(Lizardi, P.M et al., Nat Genet, 19, 225- 232(1998) ; Ma gnus J., TECHNOLOGY DEVELOPMENT FOR GENOME AND POLYMORPHISM ANALYSIS, 23-24(2003), Karolinska University Press, Stockholm, Sweden; SNP遺 伝子多型の戦略、松原謙一 ·榊佳之、中山書店、 118〜127頁)。
RCA法は、特定の条件下で →3' ェキソヌクレアーゼ活性を有しない DNAポ リメラーゼが環状の一本鎖 DNAを铸型として、その上を移動しながら何周にもわたつ て DNAを合成し続けることで、長 、相補鎖 DNAを合成するものである。
したがって、 RCA法ではアレルの識別を RCA法による DNAの増幅の有無を判定
することで行う。すなわち、 DNAポリメラーゼによる合成の铸型になる DNAオリゴマ 一を直鎖にしておき、ゲノム DNAをライゲーシヨン反応の铸型とする、当該直鎖の D NAオリゴマーの 末端と、 5' 末端に設定した SNP部位でライゲーシヨン反応を 行う。このとき、ライゲーシヨンが完成して環状の一本鎖 DNAとなれば、 RCA反応が 進み、長い相補鎖 DNAを得ることができる。一方、 DNAオリゴマーがライゲーシヨン しなければ、環状の一本鎖 DNAとはならず、 RCA反応は進まない。このような RCA 反応を行うためには、ゲノム DNAとァニールし、かつ、環状になりうる一本鎖プロ一 ブ (パドロックプローブ)を作製する必要がある。
[0059] 具体的には、まず、本発明の配列表の配列番号 1から配列番号 173に示す SNPサ イト(121番目の塩基)を中心として、前後が 10〜20塩基の塩基力もなる DNA塩基 配列を予め選択しておく。そして、ノ ックボーンとなる特殊な配列を有する一本鎖の プローブの 3' 末端に、 SNPサイトの 5' 上流側の 10〜20塩基の DNAオリゴマー の 末端を結合する。そして、ノ ックボーンとなる一本鎖のプローブの 末端に、 SNPサイトの 3' 下流側の DNAオリゴマーの 3' 末端を結合する。なお、このとき用 いる SNPサイトの 上流側の DNA塩基配列は、配列表の配列番号 520から配列 番号 692に示す DNA塩基配列と一致する。なお、 DNAの合成を行う際の DNAポリ メラーゼの足場となるプライマーは、バックボーンとなるプローブと相補的な DNA塩 基配列を有する RCAプライマーが担う。
[0060] このような構成とすると、かかるパドロックプローブは、環状にしたときに SNPサイト が 3' 末端となるプローブとすることができる。すなわち、この SNPサイトの塩基がハ イブリダィズする、放射線治療を行う予定のがん患者カゝら調製した DNA試料 (ゲノム DNA)と相補的である場合は、ライゲーシヨン反応によって一本鎖の環状の DNAプ ローブとなるので、前記したように DNAポリメラーゼが当該環状の一本鎖 DNAを铸 型として長!、相補鎖 DNAを合成する。
これに対し、 SNPサイトの塩基がハイブリダィズするゲノム DNAと相補的でな!、とき はライゲーシヨン反応が起こらず、環状の一本鎖 DNAとはならないので、長い相補 鎖 DNAを合成することができない。したがって、長い相補鎖 DNAが存在するカゝ否か を電気泳動等で確認するだけで容易に SNPサイトと同じ塩基を有して ヽるか否かを
確認し得る点で利点がある。
なお、前記した DNA合成反応系に、当該 DNAポリメラーゼによって合成された相 補鎖 DNAに対して相補的な DNA塩基配列、すなわち、前記環状の一本鎖 DNAと 同じ DNA塩基配列、を有するプライマー(ブランチングプライマーという)も一緒に合 成系に入れておくことによって、合成する DNAをより大きな分子量とすることができる ので DNAの合成の有無が確実となり、より好適である。
[0061] (4- 5. SNPタイピングの手法〜その 5)
さらに、本発明に用いられる他の SNPタイピングの手法としては、例えば、 PCR-S ¾CP (single- strand conformation polymorphism;一本鎖尚次構造多型)法 (uenomic s, 12, 139-146(1992) ; Oncogene, 6, 1313- 1318(1991) ;PCR Methods Appl, 4, 275-2 82(1995))が挙げられる。
この方法は操作が比較的簡便であり、また被検試料の量も少なくて済む等の利点 を有するため、特に多数の DNA試料をスクリーニングするのに好適である。その原 理は次の通りである。二本鎖 DNA断片を一本鎖に解離すると、各鎖はその塩基配 列に依存した独自の高次構造を形成する。この解離した DNA鎖を、変性剤を含まな いポリアクリルアミドゲル中で電気泳動すると、それぞれの高次構造の差に応じて、 相補的な同じ鎖長の一本鎖 DNAが異なる位置に移動する。一塩基の置換によって もこの一本鎖 DNAの高次構造は変化し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動にぉ 、て異 なる移動度を示す。従って、 SNPサイトの塩基が異なる場合における電気泳動による 移動度が予め分力つていれば、その移動度の変化を検出することによって、一本鎖 DNAについての SNPタイピングを行うことができる。
[0062] 具体的には、まず、本発明の配列表の配列番号 1から配列番号 173で示される SN Pサイトに相当する部位の塩基を含む DNAを PCR等によって増幅する。増幅される 範囲としては、通常 200〜400bp程度の長さが好ましい。 PCRの反応条件は、例え ば、熱変性を 94°Cで 40秒間行い、ァニールを 50°Cで 1分間行い、伸長反応を 72°C で 2分間行うというサイクルを 30回繰り返すことにより行うことができるがこれに限定さ れることはなぐ適宜条件を変更して行うことが可能である。
また、 PCRの際に、前記した各種の放射性同位元素、蛍光色素、またはピオチン
等によって標識したプライマーを用いることにより、 PCR産物を標識することができる 。あるいは、 PCR反応液に放射性同位元素、蛍光色素、またはピオチン等によって 標識された基質塩基を加えて PCRを行うことにより、 PCR産物を標識することも可能 である。さらに、 PCR反応後にタレノウ酵素等を用いて、放射性同位元素、蛍光色素 、またはピオチン等によって標識された基質塩基を、 PCR産物の断片に付加すること によっても標識を行うことができる。なお、ここで用いるプライマーとしては、配列表の 配列番号 174から配列番号 519に示す DNAオリゴマーからなる DNAオリゴマーセ ットを用いるのが好ましい。
こうして得られた標識化 PCR産物の断片を、熱を加えるなどして変性させ、尿素な どの変性剤を含まないポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動を行う。この際、ポリア クリルアミドゲルに適量(5〜10%程度)のグリセロールを添加することにより、 PCR産 物の断片の分離の条件を改善することができる。また、泳動条件は各標識化 PCR産 物の性質により変動するが、通常、室温(20〜25°C)で行い、好ましい分離が得られ ないときには 4〜30°Cまでの温度で最適の移動度を与える温度の検討を行う。電気 泳動後、標識化 PCR産物の移動度を、 X線フィルムを用いたオートラジオグラフィー や、蛍光を検出するスキャナ一等でシグナルを検出し、解析を行う。標識化 PCR産 物の移動度に差があるバンドが検出された場合、このバンドを直接ゲル力 切り出し 、 PCRによって再度増幅し、それを直接 DNAシークェンシングすることにより、変異 の存在と塩基の種類を確認することができる。また、 SNPサイトの塩基種による標識 ィ匕 PCR産物の移動度の差が既知である場合は、これと対比することによって、容易 に SNPタイピングを行うことができる。
[0063] (4-6. SNPタイピングの手法〜その 6)
さらに、本発明に用いられる他の SNPタイピングの手法としては、例えば、制限酵 素断片長多型(RFLP : Restriction Fragment Length Polymorphism)を利用した方法 や PCR— RFLP法が挙げられる。
[0064] 具体的には、まず、放射線治療を行う予定のがん患者力 DNA試料を抽出する。
ここで、本発明の配列表の配列番号 1から配列番号 173で示される SNPサイトに相 当する部位において、 SNPによる塩基の置換により制限酵素の認識部位に変化を
生じた場合には、制限酵素切断断片の長さが変化する。したがって、生じる DNA断 片の大きさを、発症群と非発症群とを比較することで SNPの判定を行うことができる。 すなわち、この変異を含む DNA試料を PCR法によって増幅し、それぞれの制限酵 素で処理することによって、これらの変異を電気泳動後のバンドの移動度の差として 検出することができる。
また、染色体 DNAを制限酵素処理して電気泳動した後、本発明の配列表の配列 番号 1から配列番号 173で示す DNAオリゴマーを含んでなるプローブを用いてサザ ンブロッテイングを行うことによつても、変異の有無を検出することができる。
なお、ここで用いる制限酵素は、それぞれの変異に応じて適宜選択することができ る。また、この方法では、染色体 DNA以外にも放射線治療を行う予定のがん患者か ら調製した RNAを逆転写酵素で cDNAにし、これをそのまま制限酵素で切断した後 、サザンブロッテイングを行うことによつても判定することが可能である。
このように、制限酵素の認識部位における SNPの有無を検出することで放射線によ る副作用を発症しやすい型の塩基配列 (発症群)を有しているか、副作用を発症しに くい型の塩基配列(非発症群)を有して!/、るかの SNPタイピングを行うことができる。
[0065] (4- 7. SNPタイピングの手法〜その 7)
前述したように、本発明の配列表の配列番号 1から配列番号 173に示す DNA塩基 配列を有する DNAオリゴマーおよびその DNA塩基配列の情報は、ゲノム DNAの D NA塩基配列を直接解読して判定することの他、 DNA合成機等により合成して DN Aチップ用のプローブ等として用いることもできる。そして、本発明の配列表の配列番 号 1から配列番号 173に示す DNAオリゴマーを DNAチップ用のプローブとして用い る態様の一つとして、放射線治療における副作用発症予測用 DNAチップを好適に 挙げることができる。
[0066] ここで、本発明における DNAチップとは、検出対象となる、配列表の配列番号 1か ら配列番号 173に示す DNA塩基配列を有する、 SNPサイトを含む DNAオリゴマー (DNAチップ用のプローブ)を基板上に整列(アレイ)化し、固定したものをいう。そし て、その基板上で蛍光標識されたターゲット DNAまたはターゲット RNAとのノ、イブリ ダイゼージョンを行い、 DNAプローブ上の蛍光シグナルを検出するものである。なお
、 DNAチップにおいては、一般的にガラス基板に固定した DNAオリゴマーがプロ一 ブとなり、溶液中のラベルした DNAがターゲットとなる。したがって、ガラス基板に固 定された前記 DNAオリゴマーを DNAチップ用プローブとする。
DNAチップには大きく分けて 2種類あり、 DNAをガラス表面上で合成して!/、く Affy metrix社方式と、 cDNAをガラス表面上に載せていくスタンフォード方式がある。 SN Pタイピングには Affymetrix社方式を用いるのが好まし!/、とされて!/、るが、本発明に ぉ 、てはこれに限定されず、スタンフォード方式を用いることもできる。
[0067] 以下、 Affymetrix社方式の DNAチップを適用した場合の、本発明の配列表の配 列番号 1から配列番号 173に示す DNAオリゴマー(DNAチップ用プローブ)を用い た DNAチップにつ 、て説明する。
Affymetrix社方式では、フォトリソグラフィック技術と光照射化学合成を組み合わ せて、ガラス基板上で、配列表の配列番号 1から配列番号 173に示す SNPサイトを 有する 20〜25bp程度の DNAオリゴマーを合成することで、本発明の配列表の配列 番号 1から配列番号 173に示す DNAオリゴマーを固定ィ匕した DNAチップを作製す ることができる。そして、サンプル由来の DNA力 合成した cDNA、またはサンプル 由来の RNAから逆転写によって合成した cDNAを铸型として in vitro transcriptionに よって蛍光標識 cRNAを合成し、本発明における DNAチップ用プローブとストリンジ ェントな条件下でノ、イブリダィゼーシヨンし、専用スキャナーによる蛍光イメージの測 定を行うことで、容易に放射線による副作用を発症しやすい型の塩基配列 (発症群) を有して!/ヽるカゝ、副作用を発症しにく ヽ型の塩基配列(非発症群)を有して!/ヽるかに つ!、ての SNPタイピングを行うことができる。
[0068] なお、ガラス基板に固定する DNAチップ用プローブは、配列表の配列番号 1から 配列番号 173で示される SNPサイトに相当する部位におけるターゲット DNAの塩基 の多型を検出することができるものであれば特に制限されない。すなわち、当該 DN Aチップ用プローブは、例えば、配列表の配列番号 1から配列番号 173で示される S NPサイトに相当する部位の塩基を含むターゲット DNAにハイブリダィズするようなプ ローブであって、特異的なハイブリダィズが可能であれば、配列表の配列番号 1から 配列番号 173で示される SNPサイトに相当する部位の塩基を含む DNAに対し、完
全に相補的である必要はなぐ 1個若しくは複数個の塩基が欠失、置換若しくは挿入 したものであってもよい。また、本発明において基板に結合させる DNAチップ用プロ ーブの長さは、通常 10〜100bpとするのが好ましぐ 10〜50bpとするのがより好まし く、 15〜25bpとするのがさらに好ましい。
[0069] 当該 DNAチップを用いた SNPタイピングにおける前記ハイブリダィゼーシヨンの反 応液および反応条件は、基板に固定するヌクレオチドプローブの長さ等の諸要因に より変動し得る力 すなわち、複合体あるいは DNAチップ用プローブと結合するター ゲット DNAの融解温度 (Tm)に基づいて決定することができる。例えば、ハイブリダ ィズ後の洗浄条件として、通常「1 X SSC、 0. 1%SDS、 37°C」程度のストリンジェン トな条件を挙げることができる。 DNAチップに固定されて!、る DNAチップ用プローブ とハイブリダィズする相補鎖は、かかる条件で洗浄しても対象とするターゲット DNAと ノ、イブリダィズ状態を維持するものであることが好ましい。特に制限されないが、より 厳しいストリンジェントな条件として「0. 5 X SSC、0. 1%SDS、 42°C」程度、さらに厳 しいストリンジェントな条件として「0. 1 X SSC、0. 1%SDS、 65°C」程度の洗浄条件 を挙げることができる。なお、この他にも適宜 NaClや KC1といった塩濃度や温度条件 などを適宜変更することによってもノ、イブリダィズさせた DNAを洗浄することが可能 である。例えば、塩濃度を 3M以下、 2. 5M以下、 2M以下、 1. 5M以下、より好適に は、厳しいストリンジェントな条件である 1M以下、 0. 75M以下、 0. 5M以下、さらに は、 0. 25M以下、 0. 1M以下の塩濃度力も適宜に選択することができる。また、温 度条件としては、その温度条件を少なくとも約 15°C、約 20°C、約 25°C、約 30°Cの中 力も適宜選択することができ、より好適には、厳しいストリンジェントな条件である 35°C 以上、 40°C以上、 45°C以上、 50°C以上、 60°C以上、 70°C以上、場合によっては 80 °C以上の中から適宜選択することができる。
[0070] 以上述べたように、本発明の配列表の配列番号 1から配列番号 173で示される SN Pサイトに相当する部位の塩基を含む少なくとも lObp有する DNAオリゴマーやこれ と相補的な DNAオリゴマーは、 SNPタイピングにおけるプローブ(当該プローブが固 定化された基板を含む)やプライマーとして用いることができる。
[0071] 本発明の配列表の配列番号 1から配列番号 173に示す DNAオリゴマーをプライマ
一として用いる場合、その長さは、通常 10〜241bpであり、好ましくは 15〜200bp、 より好ましくは 15〜: L00bp、さらに好ましくは 17〜50bp、最も好ましくは 20〜30bp である。そして、 DNAオリゴマーをプライマーとして用いる場合は、配列番号 174から 配列番号 519に示す DNAオリゴマーを、配列番号 174力も順次 2つを 1セットとして 用いる DNAオリゴマーセットを用いることが好ましいが、これに限定されることはなぐ リスクアレルである SNPサイト( 121番目の塩基)を含んで増幅することができるもので あれば配列表の配列番号 1から配列番号 173に示す DNA塩基配列を参考に適宜 作製して用いることも可能である。また、ヒト染色体上のこれら配列の外側にある配列 を使って DNAオリゴマーセットを作成することも可能である。
[0072] また、配列表の配列番号 1から配列番号 173に示す DNAオリゴマーをプローブとし て用いる場合、当該プローブは、本発明の配列表の配列番号 1から配列番号 173で 示される SNPサイト(121番目の塩基)に相当するサイトの塩基を含む DNAに特異 的にハイブリダィズするものであれば、特に限定されることはない。当該プローブは、 通常少なくとも 15bp以上の長さを有するのが好ましい。
そして、本発明の DNAオリゴマーは、例えば、市販の DNA合成機により好適に作 製することができるがこれに限定されることはなぐ大腸菌等に形質転換導入した当 該 DNA塩基配列を有するベクター力 制限酵素処理等することによって取得できる 二本鎖 DNA断片として作製してもよ 、。
[0073] [5.放射線治療に用いる放射線〕
本発明において、放射線治療に用いることのできる放射線としては、 X線、 γ線、重 粒子線、電子線を好適に用いることができるが、これに限定されることはなぐ陽子線 、中性子線といった放射線も用いることができる。
[0074] 〔6. SNP情報〕
SNPタイピングを行うための情報は、 NCBIの dbSNP (http://www.ncbi.nlm.nih.go v/SNP/)や種々の文献情報等に記載されている各遺伝子の情報、および JSNP DB (http://snp.ims.u-tokyo.ac.jp/)に登録された情報から SNPに関する情報を得た。
[0075] [7.放射線治療における副作用発症予測方法〕
次に、図 1を参照して、被験者(がん患者)から採取した試料力も調整した DNA試
料の DNA塩基配列を直接解析して、本発明の放射線治療における副作用発症予 測用 DNAオリゴマーの DNA塩基配列における SNPサイト(121番目の塩基)と合致 する力否かを判定する放射線治療における副作用発症予測方法について説明する 。図 1は、本発明の放射線治療における副作用発症予測方法を説明するためのフロ 一チャートである。
[0076] 本発明に係る放射線治療における副作用発症予測方法は、配列表の配列番号 1 力も配列番号 173に示す DNAオリゴマーを用いて判定を行う、下記 (a)〜 (g)のェ 程を含むものである。
(a)放射線治療が施行される予定のがん患者カゝら採取した試料をもとに DNA試料を 調製する工程 (ステップ Sl)、
(b)前記(a)の工程で調製した前記 DNA試料をもとに DNAを増幅して DNA産物を 得る工程 (ステップ S 2)、
(c)前記 (b)の工程で増幅した DNA産物を铸型として伸長反応を行 、、伸長産物で ある DNAオリゴマーを得る工程 (ステップ S3)、
(d)前記 (c)の工程で得られた DNAオリゴマーの DNA塩基配列を解析する工程 (ス テツプ S4)、
(e)前記(d)の工程で解析された DNAオリゴマーの DNA塩基配列のうち 121番目 の位置に相当する塩基と、配列表の配列番号 1から配列番号 173に示す DNA塩基 配列の 121番目の塩基とを照合する工程 (ステップ S 5)、
(f)前記 (e)の工程で照合された塩基を有するアレルがリスクアレルであるか非リスク アレルであるかを判定する工程 (ステップ S6)、
(g)前記 (f)の工程で判定した結果から、前記放射線治療が施行される予定のがん 患者における放射線による副作用の発症危険率を予測する工程 (ステップ S7)。
[0077] 以下、本発明の放射線治療における副作用発症予測方法の各工程について詳細 に説明する。
まず、(a)の工程では、放射線治療が施行される予定のがん患者から採取した試料 をもとに DNA試料を調製する (ステップ Sl)。このとき、採取した試料としては、血液 を用いるのが好ましいが、これに限定されず、例えば、皮膚、口腔粘膜、毛髪、手術
等によって切除された組織など、 DNAを含む試料であればどのようなものでも用いる ことができる。力かる試料を用いれば、染色体 DNAなどの DNA試料を好適に抽出 することができる。
この工程にぉ 、て、放射線治療が施行される予定のがん患者力 採取した血液( 試料)から DNA試料を抽出するには、血液から自動的に DNAを抽出する、自動 DN A抽出装置を用いるのが好適である。大量のサンプルの DNAを抽出する時間を節 約することができるうえに操作が簡便だ力もである。また、力かる自動 DNA抽出装置 を用いる場合は、装置に添付の標準のプロトコルにより DNAを抽出することが望まし V、が、適宜プロトコルを改変して用いることも可能である。
[0078] また、他の簡便に DNA試料を抽出する方法として、各社から販売されている簡易 なシステムまたはキットを用いて DNA試料の抽出を行ってもょ 、。
さらに、他の DNA試料の抽出する方法としては、フエノールークロロホルム処理と エタノール沈殿(BASIC METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY 2nd EDITION, Da vis et al, P.16-21)を行うことでも DNA試料を抽出することが可能である。また、力 S ん患者カゝら採取した試料から、必要に応じてトータル RNAの精製 (グァ二ジンイソチ オシァネート一塩化セシウム超遠心分離法; BASIC METHODS IN MOLECULAR BI OLOGY 2nd EDITION, Davis et al., P.322- 328)や、ポリ A+— RNAの単離(BASIC METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY 2nd EDITION, Davis et al., P.344- 349頁 )や、これらを基にして cDN Aの合成(First— Strand cDNAの合成; BASIC METH ODS IN MOLECULAR BIOLOGY 2nd EDITION, Davis et al., P.515- 522 ;同著 P. 136- 137)を行ってもよい。さらに、これらの各操作を、各社から販売されている試薬 やキット等を用いることも可能である。
[0079] 次に、(b)の工程では、前記の工程で DNA試料をもとに DNAを増幅して DNA産 物を得る(ステップ S2)。この工程で DNA試料の DNAを増幅する方法としては、 PC R法を好適に用いることができる。 PCRに用いるプライマーとしては、例えば、配列表 の配列番号 174から配列番号 519に示す DNAオリゴマーのセットを配列番号 174 力 順次 1セットとした PCR増幅用のプライマーセットを用いるのが好ましい。そして、 PCRの反応条件としては、例えば、 94°Cで 2分間の熱変性の後、 94°Cで 40秒間の
熱変性と、 50°Cで 1分間のアニーリングと、 72°Cで 2分間の伸長反応と、いうサイクル を 30回繰り返した後、 72°Cで 5分間の最終伸長反応を行うことを好適に示すことがで きるがこれに限定されることはなぐ適宜に条件を変更することも可能である。また、 P CR法に拠らな 、でも DNA産物を増幅できる場合には、 DNAポリメラーゼ等を用い て DNAの増幅を行ってもよ!、。
[0080] 次に、(c)の工程では、前記の工程で増幅した DNA産物を铸型として伸長反応を 行い、伸長産物である DNAオリゴマーを得る(ステップ S3)。このとき用いる DNA塩 基配列を解析するための伸長用のプライマーとしては、本発明の配列表の配列番号 520から配列番号 692に示す DNAオリゴマーを用いるのが好ましい。また、伸長反 応の条件は、適宜に設定 ·変更することが可能であるが、各伸長用のキットで指定さ れて 、る条件とするのが好ま 、。
[0081] 次に、(d)の工程では、前記の工程で伸長反応を行った DNAオリゴマーの DNA 塩基配列を解析する (ステップ S4)。
ここで、 DNA産物の DNA塩基配列を解析する方法としては、前記で詳述した DN A塩基配列を直接解析する方法である、 MALDI— TOFZMS法を好適に用いるこ とができる力 これに限定されることはなぐ前述した適宜の手法を用いて DNA塩基 配列の解析、すなわち、 SNPタイピングを行うことができる。
[0082] 次に、(e)の工程では、前記の工程で解析された DNAオリゴマーの DNA塩基配 列のうち 121番目の位置に相当する塩基と、配列表の配列番号 1から配列番号 173 に示す DNA塩基配列の 121番目の塩基とを照合する (ステップ S 5)。
そして、次の(f)の工程では、前記の工程で照合された塩基を有するアレルがリスク アレルであるか非リスクアレルであるかを判定する(ステップ S6)。
[0083] このようにして、配列表の配列番号 1から配列番号 173に示した DNA塩基配列の 1 21番目の位置の塩基に相当する DNA産物の塩基力 リスクアレルであるか非リスク アレルであるかを判定した結果と、その他の SNPサイトにおけるアレル頻度等を総合 的に勘案して、次の(g)の工程において、放射線治療が施行される予定のがん患者 における放射線による副作用の発症危険率を予測する (ステップ S7)。
[0084] 以上、本発明に係る副作用発症予測用 DNAオリゴマー、遺伝子マーカー、 DNA
オリゴマーセット、および、放射線治療における副作用発症予測方法について詳細 に説明してきたが本発明はこれらの内容に限定して解してはならず、本発明の趣旨 を逸脱しな 、範囲で広く変更 ·改変して行うことができることは 、うまでもな!/、。
[0085] 例えば、(1)本発明の放射線治療における副作用発症予測用遺伝子マーカーに、 蛍光色素、放射性同位元素、蛍光色素発光用酵素、または、特定の物質との結合能 を有するタンパク質のうちの少なくとも一つを付加した構成とすることができる。
[0086] 例えば、(2)本発明の放射線治療における副作用発症予測用遺伝子マーカーは、 リスクアレルと相補的な DNA塩基配列を有する DNAオリゴマーと、非リスクアレルと 相補的な DNA塩基配列を有する DNAオリゴマーとを、異なる種類の蛍光色素、放 射性同位元素、蛍光色素発光用酵素、または、特定の物質との結合能を有するタン パク質、を用いてそれぞれ付加した構成とすることができる。
[0087] 本発明の検出用 DNAオリゴマーは、前記発明の諸側面として定義した〔1〕から〔1 6〕または〔20〕のうちいずれかの DNAオリゴマー、または、〔18〕または〔19〕の DNA オリゴマーセットのうち少なくとも一方の DNAオリゴマーに、蛍光色素、放射性同位 元素、蛍光色素発光用酵素、または、特定の物質との結合能を有するタンパク質、を 付加した構成とすることができる。
[0088] 例えば、(3)本発明の検出用 DNAオリゴマーは、リスクアレルと相補的な DNA塩 基配列を有する DNAオリゴマーと、非リスクアレルと相補的な DNA塩基配列を有す る DNAオリゴマーとを、異なる種類の蛍光色素、放射性同位元素、蛍光色素発光用 酵素、または、特定の物質との結合能を有するタンパク質、を用いてそれぞれ付加し た構成とすることができる。
[0089] 例えば、(4)本発明の放射線治療における副作用発症予測方法は、配列表の配 列番号 520から配列番号 692に示す DNAオリゴマーを用いて判定を行う、下記(a) 〜 (e)の工程を含むことを特徴とする、放射線治療における副作用発症予測方法とし てもよい。(a)放射線治療が施行される予定のがん患者力 採取した試料をもとに D NA試料を調製する工程、(b)前記 (a)の工程で調製した前記 DNA試料と、配列表 の配列番号 520から配列番号 692のうちいずれかに示す DNA塩基配列を有する D NAオリゴマーと、をノヽイブリダィズさせる工程、(c)前記 (b)の工程でノヽイブリダィズ
した前記 DNAオリゴマーを、 ddNTPを用いてアレル特異的に 1塩基伸長する反応 を行う工程、 (d)前記 (c)の工程でアレル特異的に 1塩基伸長した DNAオリゴマーの ddNTPの塩基を解析する工程、 (e)前記 (d)の工程で解析された ddNTPの塩基と 、配列表の配列番号 1から配列番号 157のいずれかに示す DNAオリゴマーの 121 番目の塩基と、を照合する工程、(f)前記 (e)の工程で照合された塩基を有するァレ ルがリスクアレルであるか非リスクアレルであるかを判定する工程、(g)前記 (f)のェ 程で判定した結果から、前記放射線治療が施行される予定のがん患者における放 射線による副作用の発症危険率を予測する工程。
[0090] そして(5)前記の ddNTPが、蛍光色素、放射性同位元素、蛍光色素発光用酵素、 または、特定の物質との結合能を有するタンパク質、を付加したものとすることができ る。
実施例
[0091] 次に、本発明に係る副作用発症予測用 DNAオリゴマー、遺伝子マーカー、 DNA オリゴマーセット(PCR用プライマー)と DNAオリゴマー(伸長プライマー)、および、 放射線治療における副作用発症予測方法を、実施例を参考にしてさらに具体的に 説明する。
[0092] 副作用の発症危険率を予測するための SNPの検討は、(1)ヒト培養細胞株におけ る放射線感受性の遺伝子の解析と (2)マウス系統差における放射線感受性の遺伝 子の解析を行い、(3)文献調査を行い、(4)放射線による副作用の発症に関連した 遺伝統計学的解析を行った。
[0093] まず、〔1〕ヒト培養細胞株における放射線感受性の遺伝子については、放射線感 受性に関わる遺伝子についてこれまでにも多くの報告がある。それらは一部の DNA 修復遺伝子など、特定の機能を持った遺伝子に焦点が当てられたものであった。本 発明においては、これらの遺伝子についても検討をカ卩えている力 ヒトゲノムの全 DN A塩基配列が決定されたことを受けてその DNA塩基配列情報の解析カゝら遺伝子ま たは遺伝子候補と考えた 21, 000種類を選択し、 Agilent社 (CA, USA)に委託し てこれらの遺伝子特異的な 60塩基の DNA塩基配列を持ったオリゴアレイを作製して 、独自に放射線感受性の分類に有効な遺伝子の検索を行った。
まず 60種類のヒト培養細胞株の線量—生存率曲線を求め、感受性の異なる 32細 胞株を選択して X線照射前後の遺伝子発現プロファイルを細胞間で比較し、 D
10、 D q
, α / βなどの複数のモデルのパラメータ別に細胞株の分類に有効な遺伝子を同 定し、放射線感受性遺伝子候補とした。この中には細胞増殖、細胞周期調節、レドッ タス、 DNA損傷修復などに関わると考えられる遺伝子が含まれて 、た。
[0094] 次に、〔2〕マウス系統差の解析については、放射線感受性の異なる AZJ, C3H/ HeMs, C57BL6Jの 3系統のマウスに関して、皮膚 '肺'腸管等各種臓器における放 射線照射後の損傷 Z修復過程を判定した (M. Iwakawa et al, Radiation Res. , 44, 7- 13 (2003)) oまた同時に、マイクロアレイを用いて対象臓器での放射線照射後の遺伝 子発現プロファイルを比較し、系統差に関連すると考えられる遺伝子群を抽出した。 そして、これら遺伝子のヒトホモログを感受性遺伝子候補とした。この中には、シグナ ルトランスダクシヨン、アポトーシス、免疫関連の遺伝子が含まれていた。
[0095] 〔3〕放射線による副作用の発症に関連した遺伝統計学的解析では、候補遺伝子 上の多型マーカー(SNPサイト)に関する DNA塩基配列情報は、 UCSC Genome Biomformatics (ノ ~~ンヨン: Uし SC Human April 2003 (http:// genome.ucsc.edu/) ) 、 J¾NP DB (http:// snp.ims.u— tokyo.ac.jp/)、 doSNP (http://www.ncbi.nlm.nih.gov /SNP/)から得た。我々が収集した健常人集団(非発症群の SNPアレルを有する集 団)を用いてこれらのアレルの多型頻度を解析し、解析するアレルの選択を行った。 次に、放射線による副作用の発症の判定などによって分類した集団に対して SNP タイピングを行った。研究の対象は、 2001年 10月力 2003年 12月までに当該研究 を行うことについてのインフォームド 'コンセントを取得するとともに血液および診療情 報の提供を受けた乳がん患者 218人、子宮頸がん 57人、前立腺がん 71人について まず診療データ解析を行い、多型頻度解析のために層別化を行った。放射線による 副作用(障害)の発症は、乳がん患者は皮膚障害、子宮頸がん患者では腸管障害( 下痢)、前立腺がん患者では膀胱'尿道障害 (排尿障害)を対象とした。そして、各障 害別に放射線治療開始力 3ヶ月未満 (早期のステージ)、 3ヶ月(晩期 3ヶ月のステ 一ジ)、 6ヶ月(晩期 6ヶ月のステージ)での判定結果により 2群に分類した。
[0096] 表 1から表 18は、 DNAを採取し、 SNPタイピングを行うことについてインフォームド
•コンセントを得た乳がん患者、子宮頸がん患者、前立腺がん患者について、それぞ れ放射線治療開始力も早期のステージ、晩期 3ヶ月のステージ (子宮頸がんについ ては記載していない)、晚期 6ヶ月のステージにおけるアレル頻度を統計学的に求め て示した表である。がん種、放射線治療による副作用(障害)を確認した時期、および 調査対象部位を各表ごとに示す。
[0097] すなわち、表 1から表 3は、乳がんの放射線治療開始から早期のステージにおける 乳がん患者群のアレル頻度を、表 4および表 5は、放射線治療開始から晩期 3ヶ月の ステージにおける乳がん患者群のアレル頻度を、表 6および表 7は、乳がんの放射線 治療開始から晩期 6ヶ月のステージにおける乳がん患者群のアレル頻度を、表 8から 表 11は、子宮頸がんの放射線治療開始から早期のステージにおける子宮頸がん患 者群のアレル頻度を、表 12は、子宮頸がんの放射線治療開始から晩期 6ヶ月のステ ージにおける子宮頸がん患者群のアレル頻度を、表 13および表 14は、前立腺がん の放射線治療開始力 早期のステージにおける前立腺がん患者群のアレル頻度を、 表 15および表 16は、前立腺がんの放射線治療開始から晩期 3ヶ月のステージにお ける前立腺がん患者群のアレル頻度を、および、表 17および表 18は、前立腺がん の放射線治療開始から晩期 6ヶ月のステージにおける前立腺がん患者群のアレル頻 度をそれぞれ表す。
[0098] そして、表 1から表 18の A欄から J欄は、以下の内容を示す。
A欄:各 SNPに割り当てられて!/、る公共データバンク(NCBIや JSNP (IMS— JST SNP) )に登録されている SNP IDと遺伝子型、つまり、確認できたアレル頻度を示す ものである。なお、乳がんについては皮膚障害、子宮頸がんについては腸管障害、 前立腺がんについては尿道障害を調査対象とした。
ここで示される遺伝子型にお!、て上段のアレルがリスクアレルを示し、下段のアレル が非リスクアレルを示す。ここで、例えば CZCや GZGは、対立遺伝子において C ( シトシン)とじ(シトシン)のホモ接合体、 G (グァニン)と G (グァニン)のホモ接合体であ ることを示し、 CZGは、 C (シトシン)と G (グァニン)のへテロ接合体であることを示す また、放射線治療による副作用を確認した時期について、早期とは、放射線治療後
3ヶ月未満に障害が認められたことを示し、晩期 3ヶ月とは、放射線治療後 3ヶ月を経 過した後 6ヶ月以内に障害が認められたことを示し、晩期 6ヶ月とは、放射線治療後 6 ヶ月を経過した後に障害が認められたことを示す。
[0099] なお、注目する障害によっては、関係するリスクアレルが逆になる場合もある。例え ば、表 1に示す rs2561829のサイトでは、乳がんの放射線治療後早期のステージで は CZCのアレルがリスクアレルとなる力 表 17に示す前立腺がんの放射線治療後 晚期 6ヶ月のステージでは、 TZTのアレルと TZCのアレルがリスクアレルとなる。現 在のところ遺伝子の機能解析が完了して ヽな ヽことから、かかる現象が生じること〖こ ついての説明は難しいが、統計的解析を行うとこのような結果となる。これは、リスクァ レルと非リスクアレルの違いが、発現する遺伝子やタンパク質の機能、発症部位や時 期によってベクトル (すなわち、遺伝子の転写 ·翻訳の方向)が逆方向になる可能性 や、各アレル力 の発現量のバランスなどが影響するものと考えられる。このような SN Pサイトとしては、前記の rs2561829の他に、 rs4818 (表 3と表 4参照)、 rs791041 ( 表 2と表 17参照)、 rs704227 (表 12と表 15参照)、 rs2283264 (表 2と表 17参照)、 rs73234 (表 2と表 9と表 14参照)、 rs518116 (表 3と表 12参照)、 rsl l71097 (表 1 と表 15参照)、 rs791040 (表 2と表 17参照)、 rsl 145720 (表 3と表 18参照)、 rsl l 44153 (表 2と表 17参照)、 rs2267437 (表 1と表 8と表 13参照)、 rs2270390 (表 1 2と表 16参照)、 rs2072817 (表 7と表 8参照)が挙げられる。
[0100] B欄:放射線治療を行った後に障害が認められた症例数 (n)と、そのグレード (Gra del〜4)を示す。
C欄:障害が認められな 、 (GradeO)力 障害が軽微であった (Gmdel)症例数 (n )を示す。
副作用の度合いは、 GradeO, 1, 2, 3, 4と、数字が大きくなる程重症であることを 示す。早期のステージにおける副作用に対する判定は、国際的な判定基準である N ClZ CTC (Nationalし ancer Institute, し ommon Toxicityし riteria)に従った。また、放 射線治療開始から 3ヶ月と 6ヶ月のステージにおける副作用(障害)に対する判定は、 国際的な判定基準である RTOG (Radiation Therapy Oncology Group)に従った。な お、取得した臨床情報から、がん種に応じて項目を選択し、例えば乳がんでは年齢、
喫煙、飲酒、合併症、家族病歴、 TNM分類、病理検査、化学療法、照射方法、再燃 •転移等に関する 38項目について解析し、標準化を行い、条件に合致しない症例は 多型頻度解析から除外した。
[0101] D欄:フィッシャー (Fisher)の正確確率検定(直接確率)による P値を示す。生物学 における統計学的には P値が 0. 05以下である場合、それらには有意な差があるとし て評価することができる。なお、本発明では、自由度は全て 1としている。
E欄:相対危険度を表す。相対危険度は、リスク比または危険率ともいわれ、要因を 有する場合(それぞれのリスクアレルあるいはこれらのリスクアレルの組み合わせによ る判定から、放射線感受性である(すなわち、副作用を発症する危険がある)と判定さ れること)に副作用(障害)を発症するリスクを、要因を有さない場合 (ほとんど副作用 を発症せず、放射線非感受性である (すなわち、副作用を発症する危険がない)と判 定されること)に副作用を発症するリスクで除算した値である。この相対危険度は、そ の値が高いほど副作用を発症する危険が高いアレルであることを示す。
F欄: 95%信頼区間を示す。なお、各表には、サンプルの一部のアレル頻度が「0」 であるために、相対危険度や 95%信頼区間が求めることができないデータもある(表 1から表 18中において「一」で示す)。
[0102] G欄:リスクアレルを有する、本発明の放射線治療における副作用発症予測用 DN Aオリゴマーの配列番号を示す。
H欄: PCRに用いた DNAオリゴマー(フォワードプライマー)の配列番号を示す。
I欄: PCRに用いた DNAオリゴマー(リバースプライマー)の配列番号を示す。
なお、各 SNPサイトにおいて H欄と I欄に示す配列番号の 1セットからなる DNAオリ ゴマーのセットは、 PCR増幅用のプライマーセットとして用いることができる。
[0103] J欄: SNPタイピングを行った際に使用した DNAオリゴマー(伸長プライマー)の配 列番号を示す。なお、本発明の伸長プライマーの中には、配列番号 1から配列番号 1 73に示す DNAオリゴマーと同じ向きのストランドの DNA塩基配列を有するものと、こ れと逆向きのストランドの DNA塩基配列を有するものがある。逆向きのストランドであ る伸長プライマーの場合は、これの 下流側に付加される塩基と相補的な塩基が、 配列番号 1から配列番号 173のいずれかに示す 121番目の塩基(リスクアレル)に該
当する。
[0104] 具体的に一例をもってその説明を行うと、例えば、表 1の一番上に示す SNP ID:rs 1171097は、放射線治療を開始してから早期のステージ(3ヶ月未満)における乳が ん患者の皮膚に障害が確認されたものであって、その遺伝子型は、 CZCのホモ接 合体 (表 1から表 18の A欄では「遺伝子型」として表記する。以下同じ。)がリスクァレ ルであることを示している。なお、この SNPにおいては、 GZGのホモ接合体および C ZGのへテロ接合体は非リスクアレルである (A欄)。
[0105] より詳細に見ていくと、放射線治療開始力 早期に皮膚に障害が認められた (Gmd el, 2, 3)乳がん患者の総計は 135人 (B欄)、皮膚に障害が認められな力つた (Gra deO)乳がん患者の総計は 12人であった (C欄)。
ここで、皮膚に障害が認められた乳がん患者にぉ 、て czcのホモ接合体を有して いた人数は 88人であるのに対し、皮膚に障害が認められな力つた乳がん患者にお V、て GZGのホモ接合体力 CZGのへテロ接合体のホモ接合体を有して 、た人数は 47人である(B欄)。
一方、皮膚に障害が認められな力つた乳がん患者において CZCのホモ接合体を 有していた人数は 3人であるのに対し、皮膚に障害が認められな力つた乳がん患者 にお 、て GZGのホモ接合体力 CZGのへテロ接合体のホモ接合体を有して!/、た人 数は 9人である(C欄)。
[0106] これらの結果をフィッシャーの直接確率検定により統計学的に解析した結果、乳が ん患者にぉ 、て、 CZCのホモ接合体を有する者と GZGのホモ接合体力 CZGのへ テロ接合体のホモ接合体を有する者との間において有意差 (P値 =0. 01041)を得 ることができた (D欄)。また、力かるリスクアレルの相対危険度は 1. 15であり(E欄)、 95%信頼区間は 1. 02-1. 30であった (F欄)。
[0107] そして、力かるリスクアレルを有する DNAオリゴマーの DNA塩基配列が記載されて いる配列番号は、配列番号 17であり(G欄)、力かる DNA塩基配列の増幅のために 用いた PCR増幅用プライマーのうち、フォワードプライマーの配列番号は、配列番号 206であり(H欄)、リバースプライマーの配列番号は、配列番号 207である(I欄)。そ して、かかる SNPサイト(リスクアレル)の DNA塩基を決定するために用いられた伸長
プライマーの配列番号は、配列番号 487である (J欄)。
以上、本発明で示した表について一例をもって説明を行ったが、これは、表 1から 表 18で示す SNP全てに共通するものである。
[表 1]
rs4818 : Grade 2,3 Grade 0,1
n = 40 n = 107 Fisher (p懺) 相対危険度 [95¾信頼区闐]
遺伝子型 132 436 437 651
G/G 7 1 0.00047 3.69
Γ82232242 Grade 2,3 Grade 0,1
n = 40 n = 106 Fisher (p値) 相対危険度 [95%信頼区間]
遗伝子型 E 59 290 291 578
A/A 35 73 0.03308 2.46
A G or G/G — 5 _
Grade 2,3 Grade 0,1
n = 107 Fisher (p値) 相対危険度 [95%信頼区間]
遺伝子型 98 368 369
T/T or T/C 27 50 0.0239 Z.02
C/C 12
rs24^ 7 Grade 2,3 Grade 0,1
n = 39 n = t07 Fisher (p fil) 相対危険度 [95¾ffi竊区間〗
遺伝子型 91 354 K 355 or T/C 27 50 0.0239 2.02
12
Γ8243336 Grade 2,3 Grade 0,1
n = 40 n = 107 Fisher (p値) 相対危険度 [95%信頼区間]
遺伝子型 90 352
C/C or C/G 29 57 0.03962 1.87
G/G 11
rs1 385 Grade 2,3 Grade 0,1
n = 4D n = 107 Fisher (p ffi) 相対危険度 [95¾信頼区間]
遺伝子型 19 BB 210 SB 21 1 BE 538 or G/A 38
2
rs3750496 Grade 2,3 Grade 0,1
n = 40 n = 107 Fisher【p値) 相対危 IS度 [95¾ffi頼区間]
遗伝子型 406 BB 636
A/A 40
A/G or—G/G _ 0
rs518l:l€: :;:::: Grade 2.3 Grade 0,1
n = 39 n = 107 Fisher (p値) 相対危険度 [95%信頼区間]
遺伝子型 SB 138 448 E 449 657
5 0.01497 2.92
A/G or G/G 34
rs227261B: : Grade 2,3 Grade 0,1
π = 40 n = 107 Fisher (p ffi) 相対危険度 [95信頼区間]
遺伝子型 73 318 319 SE 592 or G/A 18 29 0.04756 1.74
22
st530i7 : Grade 2,3 Grade 0,1
n = 40 n = 106 Fisher (p値) 相対 険度 [95%信頼区間]
遺伝子型 26 224 E 225 IE 545
A/A 24 0.03965 1.82
A/G or G/G 16
Γ549835 8;; Grade 2,3
π = 40 Fisher (p値) 相対危険度 [95%信頼区間]
遺伝子型 137 446 447 6£ 656
C/C 36 0.01661 2.92
C/T or T/T 4
4]
櫊 棚 櫊 櫊 F糊 棚 櫊 I欄 櫊 値)
1
i¾222 ,2,3 0
[95¾
3 3 577
11
88
rs3809*54 ; ,2,3 0
値) ft [95%
3
値) 相対危険度 信頼区閱] 遺伝子型 相対危険度 信頓区間] 遺伝子型 相対危険度 頼区間] 遺伝子型 値) 相対危険度 信賴区 遺伝子型
一
値) 相対危険度 信頼区間] 遺伝子型 値) 相対危険度 倌頼区間] 逸伝子型 §S5S3S
fit) 相対危険度 借頼区間] 遺伝子型
7]
6
欄 棚 欄 棚 櫊 櫊 檲 櫊 rs2072817-
rs2073747. : ,2,3 0
[95 S
8]
ΒΜ cm GW W 値) 相対危険度 倍頼区間]
τ/τ
n 値) 相対危険 S 信頼区間]
1.14
G or
値) 相対危晚度 信頼区間]
4
丽
n n 値) 相対危険度 信頼区 M]
9]
SSI
AtBB ciM 櫊 禰 棚 櫊 櫊 rS224857 r : ,2,3 0
Cp fii) [95¾
ea 3oc 301 583
10]
BH 棚 «B 欐 欄 棚 糊 棚 227053 、
T
rsfi09557 2,3 0、 1
S
T
rs2274760 2
13 相対危険度 ほ頼区閒]
®伝子型 rs3 0,
13 29 値) 相対危険度 [95¾僧頼区間]
逸伝子型 rs270b 2,3 0,
13 29 値) 相対危険度 倌頼区間]
遺伝子 S S rs2433fi7
値) 相対危険度 [95¾傷頼区間]
遺伝子型 値) 相対危険度 頼区間]
5伝子型 相対危険度 信頼区間]
遣伝子型 rs38037^:
相対危険度 信頼区間]
遗伝子型 値) 相対危 ¾度 信頼区間]
遗伝子型 rs227055
13 値) 相対危険度 信頼区間]
遣伝子型
3.45
- :
値) 相対危険度 頼区
遺伝子型 rsI047347
値) 相対危険度 区
遠伝子型 S 値) 相対危険度 信頼区間]
遺伝子翌
or /G
rs5l8116
値) 相対危険度 信頼区間]
遺伝子型 S rsl 862555
値) 相対危険度 信賴
遣伝子型 "5T3S§2ひ
値) 相対危晚度 信頼区間]
;
値) 相対危険度 〖 儅頼区間]
:
相対危険度 倌頼区閱]
遣伝子型 S 細さ 6
値) 相対危険度 頼区間]
逸伝子型 ;
相対危険度 %mffi
遺伝子型 値) 相対危険度 頼区間]
遺伝子型
蘭 376: : Grade 1,2,3 Grade 0
n = 32 π = 38 Fisher (p値) 相対危険度 短区間]
遣伝子型 5 SB 182 § 183 ί
T/T or /C H 6 0.01603 1.94 1.22 3.10
C/C 18 32
ris282065 ;- . Grade 1 ,2,3 Grade 0
n = 32 n = 38 Fisher (p値) 相対危険度 [S5¾倌頼区間]
遗伝子型 103 378 379 f
11 5 0.04713 1.77 1.10 2.83
G/G 21
Γ52750 0.; Grade 1,2,3 Grade 0
n = 32 π = 38 Fisher Cp fit) 相対危険度 [95%信頼区間]
®伝子型 102 SB 376 BB 377 ί or /C 12 5 0.02536 1.87 1.18 2.97
20 33 _
rs2616023 Grade 1,2,3 Grade 0
π = 32 n = 38 Fisher (p値) 相対危険度 [95¾fg頼区間]
遺伝子型 96 364 365 615 or G/A 12 5 0.02536 1.87 1.1B 2.97
20 33
TS228783Q Grade 1,2,3 Grade 0
n = 32 n = 38 Fisher (p ffi) 相対危険度 [95¾信頼区間]
遺伝子型 335 ί or T/G 4 0 0.03922 - — ―
G/G 28 38 ―
rs73234 Grade 1,2,3 Grade 0
n = 32 n = 38 Fisher Cp 相対危険度 [95¾信頼区間]
遣伝子型 158 488 489 K ί
C/C or C/G 32 31 0.01334 - -
G/G Q 7 ―
rs.18012?0 Grade 1,2,3 Grade 0
π = 31 π = 3θ Fisher (p値) 相対危険度 [95%倌賴区聞]
遺伝子 S 33 238 239 S3 552 or C/A 29 27 0.02815
2 11 _
TS1520483 Grade 1,2,3 Grade 0
n = 32 η = 38 Fishef (p値) 相対危険度 [95¾ίΙ頼区間]
遗伝子型
or T/C 27 23 0.03528 2.16 0.97 4.81
15]
前立腺がん _ 晩期 ヶ月のステージ
-in ~ -m- om CP" 値) 相対危険度 頼区間]
S伝子型 S :
相対危険度 [95 S頼区間]
遗伝子型 rs3BQ6201
値) 相対危険度 核区間]
遺伝子型 値) 相対危険度 儅垤区間]
遗伝子型 S ;
値) 相対危険度 倌箱区間]
遺伝子型 値) 相対危険度 区間]
遺伝子型 値) 相対危険度 信頼区間]
遺伝子型 値) 相対危険度 信頼区間]
遗伝子型 ;
値) 相対危険度 信頼区間]
遺伝子型 相対危険度 信額区間]
遠伝子型 相対危険虔 ^g頼区間]
遺伝子型 値) 相対危険度 悝賴区間]
遺伝子型 値) 相対危険度 垤区間]
遗伝子型 S S 二
値) 相対危険度 [95¾ほ接区間]
a伝子型
16]
3 s
" ~ W
7s380655T
17]
櫂 湖 棚 糰 櫊 櫊 稱 湖 棚
18]
"~B cisr 棚 一 ΠΓ
次に、本発明において行った SNPタイピングの方法について説明する。 SNPタイ ビングは、 DNAの抽出と、 DNAの増幅と、質量分析による DNAの塩基配列の決定
とで行われる。以下に、 SNPタイピングについて詳細に説明する。
(DNA試料の抽出)
まず、放射線治療を施行するがん患者および健常人からインフォームド 'コンセント を取得した上で血液を採取し、 DNAを抽出した。がん患者はがん種ごとに分類し、 放射線治療の開始力 3ヶ月未満 (早期のステージ)、 3ヶ月の時点(晩期 3ヶ月のス テージ)、 6ヶ月の時点(晩期 6ヶ月のステージ)での副作用発症の有無の観察を行つ て、その重症度を評価した (表 1〜表 18参照)。なお、一般的には、治療開始時から 3ヶ月未満に発症する副作用による障害を早期障害といい、治療開始時から 3ヶ月以 降に発症する副作用による障害を晩期障害という。
そして、前記の各がん患者力 採取した血液力 の DNAの抽出は、クラボウ社製 N A— 3000を用いて、力かる装置に添付の標準プロトコルで行った。
[0127] (プライマーの選択と作製)
SNPタイピングに用いた各フォワードプライマーおよびリバースプライマー、並びに 伸長プライマーは、前記〔3〕で述べた SNPに関する情報をもとに、プライマー 3. 0 (h ttp:/ / frodo.wi.mit.edu/ cgi-bin/ primer J/ pnmer3_www.cgi) 用いて適 適切な ¾a囲 を選択して作製した。各プライマーは、 SIGMA GENOSYS社(シグマアルドリッチ ジャパン株式会社)または PROLIGO社 (プロリゴ ·ジャパン株式会社)に委託して合 成した。
[0128] (SNPタイピング)
抽出した DNA試料を用いて、 MALDI— TOFZMS法により SNPタイピングを行 つた。なお、質量分析機は SEQUENOM社製の MassARRAY systemを用いた 。 MALDI—TOFZMS法による SNPタイピングは、下記の(1)〜(3)の手順で行わ れる。
(l) DNAの増幅:
DNA試料を用いて目的とする塩基配列を増幅するため、配列表の配列番号 174 から配列番号 519に示すフォワードプライマー(Forward primer)、および、リバースプ ライマー(Reverse primer)の中から適宜選択した DNAオリゴマーセットを用いて PC R反応を行った。
PCRの反応条件としては以下の通りである。 0. 5 1の10 1¾ 3 &1:丁& 緩衝液 と、 0. 2 1の MgClと、 0. 04 μ 1の 25mM dNTPと、 1. 1の各 1 μ M PCRプラ
2
イマ一と、 0. 02 μ 1の HotStar Taq溶液と、 1. 0 ^ 1の DNA溶液(2. 5ng/ μ 1)と、 2. 24 μ 1の純水をカ卩え、全量で 5 μ 1の PCR反応溶液を調製した。
この PCR反応溶液を 384ゥエルプレートに分注し、サーマルサイクラ一により以下 のプログラムで PCR反応を行った。 95°Cで 15分間の HotStar Taqポリメラーゼの活 性化を行った後、(a)二本鎖 DNAの熱変性条件: 95°Cで 20秒間、(b)ァニール条 件: 56°Cで 30秒間、(c)伸長条件: 72°Cで 1分間と!/、う、 (a)〜(c)の順に行う反応を 55サイクル行い、最後に 72°Cで 3分間の伸長反応を行う。
[0129] (2) SAP反応:
DNAの脱リン酸化反応のために、 SAP (Shrimp Alkaline Phosphatase)反応を行つ た。 SAP反応溶液として、 0. 17 1の111^5緩衝液と、 0. 3 1の SAP溶液と、 1. 53 1の純水を加えて全量 2. 0 1とした SAP反応溶液を、先の PCR反応を行った後の PCR反応溶液にカ卩え、 37°Cで 20分間の反応を行った後、 85°Cで 5分間の反応を行
[0130] (3)伸長反応:
次いで、配列表の配列番号 520から配列番号 692に示す伸長プライマーを用いて PCR反応を行った。 SNPとなる DNAの塩基種を決定するためである。反応溶液の 組成としては、 0. 2 1の dNTP/ddNTPミックスと、 0. 054 μ 1の 100 μ Μ伸長プラ イマ一と、 0. 018 1の Termo Sequenaseと、 1. 728 1の純水をカ卩えて全量 2. 0 μ 1とした伸長反応溶液を、先の PCR反応溶液と SAP反応溶液とを混合した反応溶 液(7 1)に加え、以下の PCR反応条件で PCR反応を行うことで SNPを解析するた めの PCR産物を得た。まず、サーマルサイクラ一により 94°Cで 2分間の二本鎖 DNA の熱変性を行った後、(a)二本鎖 DNAの熱変性条件: 94°Cで 5秒間、(b)ァニール 条件:52°Cで 5秒間、(c)伸長条件:72°Cで 5秒間という、(a)〜 (c)の順に行う反応 を 55サイクル行った。
[0131] (4)脱塩処理:
その後、反応溶液 9mlあたり脱塩榭脂である SpectroCREAN3mgと、純水 16 1
を加え、室温で 10分間インキュベートして反応溶液を脱塩した。
[0132] (5)質量分析:
こうして得られた全量 25 μ 1の SNPタイピング用の反応溶液の内、約 0. 01 μ 1を質 量分析用 Spectro Chipにスポットし、質量分析を行い、配列表の配列番号 1から配 列番号 173に示す DNAオリゴマーのリスクアレル( 121番目の塩基)の SNPタイピン グを行った。
産業上の利用可能性
[0133] (臨床への応用)
本発明に係る DNAオリゴマー、遺伝子マーカー、 DNAオリゴマーセット、および副 作用発症予測方法の、臨床における応用は以下の如くである。
例えば、放射線治療をこれから受けようとするがん患者力も DNA診断についてのィ ンフォームド 'コンセントを取得した後、患者力 採取した血液等の試料力 DNAを 抽出し、 DNAオリゴマーセットを用いて増幅、解析、 SNPサイトにおける塩基を判定 し、本発明に係る DNAオリゴマーの DNA塩基配列と照合させる力、または、蛍光標 識等を行った遺伝子マーカーを用いて SNPのタイピングを行う。前述した該当するリ スクアレル、あるいはリスクアレルの組み合わせをもとに、このがん患者の放射線治療 後による副作用の発症の危険率を算出する。そして、当該がん患者の放射線治療担 当医は、算出された危険率を指標として、そのがん患者に対する治療後の管理 (car e)計画に活力して QOLを保持するなどの治療計画を適切に行うことができる。また、 線量増加臨床研究において、副作用発症の危険率が高い患者は避ける、などの対 策が可能になる。
[0134] このように、本発明の DNAオリゴマー、遺伝子マーカー、 DNAオリゴマーセット、 および副作用発症予測方法を用いることによって、現在、何ら予測手段をもたない放 射線による副作用の発症のリスクに対し、科学的根拠をもった予測を行うことが可能と なる。