明 細 書
潤滑剤組成物
技術分野
[0001] 本発明は、潤滑剤組成物に関する。
背景技術
[0002] オイルを含む潤滑剤組成物は、冷媒 (例えば、フロンガス)を圧縮するコンプレッサ 一や内燃機関等に用いられる。このコンプレッサーや内燃機関等においては、潤滑 剤組成物の特性を変化させることで、粘性や、冷媒との相溶性を調整し、回転トルク を抑制することが可能である。
[0003] このような潤滑剤組成物は、一般に出荷時の製品のコンプレッサーや内燃機関等 に、その製品の特性に適合した専用の潤滑剤組成物が充填されている。ところが、使 用過程におけるメンテナンス時や故障時のユニット交換時には入手しやすい市販品 の汎用オイルが使われることが多 、。
[0004] したがって、市販品の汎用オイルを使用すると、汎用オイルと専用の潤滑剤組成物 に含まれるオイルとが混合されることとなり、コンプレッサーや内燃機関等の内部で金 属磨耗が生じたり、エネルギーロスが増加する。その結果、機器本来の性能を十分 に発揮できない。
[0005] これに対し、市販品のオイルを用い、巿販潤滑剤 ·添加剤、超微粒子セラミックスを 配合することにより、コンプレッサーのトラブルを解消する潤滑オイルが開示されてい る (例えば、特許文献 1参照)。
特許文献 1 :特開平 10— 195470号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] し力しながら、前述した特許文献 1記載の潤滑オイルは、以下に示す課題を有して いた。
[0007] すなわち、上記潤滑オイルは、コンプレッサーや内燃機関等の内部でのフリクション によりコンプレッサー作動時の電力や燃料消費等のロスが大きぐ経済性が十分では
ない。
[0008] 一方、前述した特許文献 1記載の潤滑オイルにフリクションを低減させるための添 加剤を添加した場合、フリクションを低減させることが可能である。
[0009] ところが、フリクションが低減されることに伴って、内燃機関等において、潤滑オイル を用いた場合の冷媒を圧縮する効率が低下する傾向にあるため、内燃機関等の発 生出力が低下し、結果として、経済性が十分ではない。
[0010] 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、コンプレッサーや内燃機関等に 用いる場合に電力や燃料消費を低減させ、さらに冷却効率を高め発生出力の低下 を抑制することができる潤滑剤組成物を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0011] 上記課題を解決するため、本発明の潤滑剤組成物は、潤滑基油と、金属からなる 第一の超微粒子粉末と、鉱物からなる第二の超微粒子粉末と、を含有することを特 徴とする。
[0012] 本発明の潤滑剤組成物は、金属からなる第一の超微粒子粉末と、鉱物からなる第 二の超微粒子粉末とを含有するため、コンプレッサーや内燃機関等に用いられる場 合に潤滑剤組成物と内燃機関等の金属表面とのフリクションを低減させることができ 、かつ冷媒を圧縮する効率を向上させることができる。したがって、回転トルクを抑え ることが可能となり、電力や燃料消費が低減されると共に、冷却効率を高め、発生出 力の低下を抑制することができる。また、コンプレッサーや内燃機関等の振動や異音 を静めることも可能となる。
[0013] この理由は定かではないが、例えば、金属を含む超微粒子粉末をコンプレッサー や内燃機関等に用いた場合、金属粉末がコンプレッサーや内燃機関等の内部の金 属表面の凹凸に入り込み、金属表面を平滑にすることで潤滑剤組成物と当該金属面 との磨耗が低減され (ベアリング効果)、電力や燃料消費を低減することができるため と考えられる。
[0014] また、鉱物を含む超微粒子粉末を内燃機関等に用いた場合、鉱物粉末が潤滑剤 組成物に含まれるより多くのオイルを表面にまとって潤滑し、さらにオイルを構成する 分子の分子間の隙間を充填する作用を発揮するため、当該オイルの機密性が高まり
、圧縮効率が向上するため、冷却効率を高め発生出力の低下を抑制することができ るものと考えられる。
[0015] したがって、本発明の潤滑剤組成物によれば、様々なコンプレッサーや内燃機関 等において、専用の潤滑剤組成物に含まれるオイルと混合したとしても、例えば粘性 の相違等の特性に起因するフリクションを低減し、かつオイルの機密性が相違するこ と等に起因する冷却効率の低下を抑制することができる。その結果、コンプレッサー や内燃機関等を有する機器の本来の性能を十分に引き出すことが可能となる。した がって、特に冷媒ゃコンプレッサー等の種類に左右されな!ヽ汎用性のある潤滑剤組 成物とすることができる。
[0016] 上記潤滑剤組成物において、第一及び第二の超微粒子粉末の平均粒子径がそれ ぞれ 0. 2〜: LOO /z mであり、かつ第二の超微粒子粉末が第一の超微粒子粉末 100 質量部に対し 100〜: L000質量部の割合で配合されていることが好ましい。ここで、 粒子径とは、粒子を光学顕微鏡で観察した場合、観察される粒子の 2次元の面にお いて、最大となる径を意味する。
[0017] このような超微粒子粉末であると、表面積を十分に大きくすることができることから、 より多くの潤滑基油を表面に吸着し、フリクションをより低減させることができる。
[0018] また、第一及び第二の超微粒子粉末を上記配合とすると、フリクションの低減と、冷 却効率の向上をバランスよく発揮することができる。したがって、特に冷媒ゃコンプレ ッサ一等の種類に左右されないより汎用性のある潤滑剤組成物とすることができる。
[0019] 上記潤滑剤組成物において、第二の超微粒子粉末が粘土鉱物を含むことが好まし い。第二の超微粒子粉末が粘土鉱物を含むと、コンプレッサーや内燃機関等に用い た場合、潤滑剤組成物の機密性が高まるため、冷却効率をより向上させることができ る。また、このような粘土鉱物は、フリクションを低下させる作用も有するため、より効果 的である。
[0020] 潤滑基油がポリオールエステルであることが好ましい。潤滑基油がポリオールエス テルであると、超微粒子粉末の分散性に優れるため、各種内燃機関に用いた場合は 電力や燃料消費をより低減し、冷却効率を高め発生出力の低下をより抑制することが できる。
[0021] また、ポリオールエステルは各種冷媒との相溶性にも優れるため、ポリオールエステ ルを含む潤滑剤組成物をコンプレッサーに用いた場合、一般に用いられる冷媒との 相溶性に優れるため、ポリオールエステル以外潤滑基油と比べて、冷却効果を一層 高めることが可能となる。
発明の効果
[0022] 本発明の潤滑剤組成物によれば、汎用性に優れ、コンプレッサーや内燃機関等に 用いると電力や燃料消費を低減させ、さらに冷却効率を高め発生出力の低下をより 抑帘 Uすることができる。
発明を実施するための最良の形態
[0023] 以下、本発明の好適な実施形態を示して更に詳細に説明する。
[0024] 本発明の潤滑剤組成物は、第一及び第二の超微粒子粉末を含有する。この第一 の超微粒子粉末は金属からなる。この金属としては、例えば、アルミニウム、チタン、 バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、 砒素、セレン、金、白金、銀、ビスマス、アンチモン等が好ましく用いられる。また、こ れらの金属を含んでいれば、合金であってもよぐこれらの金属は 1種類を単独で用 いてもよぐ 2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
[0025] 第一の超微粒子粉末が上記金属であると、酸や塩基によって浸食され難いため、 潤滑剤組成物自体の安定性にも優れる。更にこの中でも、チタン、ニッケル、銅を用 いることが好ましい。これらの金属を所望のサイズに調整して用いることにより、フリク シヨンを十分に低減させることができる。また、ニッケル、銅であれば更に好ましぐ二 ッケルであれば特に好ましい。これらの金属は柔軟性に優れるため、コンプレッサー や内燃機関等の内部の金属表面の凹凸に入り込み、金属表面を平滑にすることで 潤滑剤組成物と当該金属面との磨耗をより低減させることができる。
[0026] 上記金属をコンプレッサーや内燃機関等に用いた場合、電力や燃料消費を低減 することが可能となり、経済性に優れる。また、振動や異音を静めることも可能であり、 潤滑剤組成物は環境にやさし 、ものとなる。
[0027] また、上記第二の超微粒子粉末は鉱物からなる。本発明で用いる鉱物としては、例 えば、モンモリロナイト、パイデライト、ノントロナイト、サボナイト、ソーコナイト、へクトラ
イト、マイ力、スチブンサイト等のスメクタイト族、バーミキユライト族等の粘土鉱物や、 水晶、膨潤性合成フッ素雲母 (Na型、 Li型合成マイ力)等が挙げられる。これらは天 然物由来のものでも、天然物の処理品でも、膨潤性のフッ素化マイ力のように合成品 でもよい。なお、これらは 1種類を単独で用いてもよく 2種類以上を組み合わせて用い てもよい。
[0028] これらの中でも、粘土鉱物又は水晶を含有させることが好ましぐ粘土鉱物及び水 晶を用いることが更に好まし 、。これらの鉱物はコンプレッサーや内燃機関等に用い た場合、潤滑剤組成物の機密性が高まるため、冷却効率をより向上させることができ る。また、この粘土鉱物は、フリクションを低下させる作用も有するため、より効果的で ある。
[0029] これらの鉱物を内燃機関等に用いた場合、機密性が高まり、冷却効率を高め発生 出力の低下をより抑制することができ、経済性に優れる。
[0030] 本発明の潤滑剤組成物によれば、第一及び第二の超微粒子粉末を混合して用い るため、コンプレッサーや内燃機関等において、第一の超微粒子粉末がフリクション を十分に低減し、第二の超微粒子粉末がフリクションを低減することに伴って、潤滑 剤組成物の冷媒を圧縮する効率が低下することを抑制することができる。
[0031] 以上より、本発明の潤滑剤組成物は、専用の潤滑剤組成物に含まれるオイルと混 合したとしても、例えば粘性の相違等の特性に起因するフリクションを低減し、かつォ ィルの機密性が相違すること等に起因する冷却効率の低下を抑制することができる。 その結果、コンプレッサーや内燃機関等を有する機器の本来の性能を十分に引き出 すことが可能となる。
[0032] 用いる第一及び第二の超微粒子粉末の含有量は、潤滑基油 100質量部に対して 0. 02-2. 0質量部が好ましい。含有量が 0. 02質量部未満であると、コンプレッサ 一や内燃機関等に用いた場合に、冷媒を圧縮させる効率を十分に向上させることが 困難となり、 2. 0質量部を超えると、内燃機関等に用いた場合にピストンゃシリンダ間 の摩擦抵抗が高くなる傾向にある。更に好ましくは 0. 08〜: L 0質量部の場合である
[0033] また、用いる第一及び第二の超微粒子粉末のモース硬度は共に 2〜7が好ましい。
モース硬度が 2未満であると、超微粒子粉末を分散させる際や、超微粒子粉末を含 む潤滑剤組成物を潤滑させる際の作業性に劣る傾向にあり、 7を超えると、コンプレツ サーゃ内燃機関等の内部の金属表面に傷をつける虞がある。
[0034] 上述した第一及び第二の超微粒子粉末は超微粒子粉末として用いる。ここで!/、う 超微粒子とはナノサイズからミクロアンダーサイズのものを指し、好ましくは、第一及び 第二の超微粒子粉末のそれぞれの平均粒子径が 0. 2〜: LOO /z mである。このような 超微粒子粉末であると、表面積を十分に大きくすることができることから、より多くの潤 滑基油を表面に吸着し、フリクションをより低減させることができる。また、 0. 4〜50 mであると更に好ましぐ 0. 5〜: L0 mであると特に好ましい。
[0035] 平均粒子径が 0. 2 μ m未満であると、粒子同士が凝集する虞があり、安定した潤滑 ができない傾向にある。また、平均粒子径が 100 mを超えると、コンプレッサーや内 燃機関等の内部で目詰まりを起こす虞があり、安定した潤滑ができない傾向にある。
[0036] なお、第一の微粒子粉末と、第二の微粒子粉末との平均粒子径は同一であっても 異なっていてもよい。この微粒子粉末の平均粒子径は使用する金属又は鉱物によつ て適宜変更することが可能である。例えば、第一の微粒子粉末としてモース硬度の 高いニッケルを用いる場合は、平均粒子径は Ι πι以下であることが好ましぐ第二 の微粒子粉末としてモース硬度の低、水晶を用いる場合は、平均粒子径は 1〜: L 0 mであることが好ましい。また、上記超微粒子粉末の形状は特に限定されず、あら ゆる形状のものを用いることが可能である。
[0037] また、第一及び第二の超微粒子粉末の配合比を調整することにより、目的に応じて 特性を変化させることができる。具体的には、第二の超微粒子粉末が第一の超微粒 子粉末 100質量部に対し 100〜: L000質量部の割合で配合されていることが好ましく 、第二の超微粒子粉末が 300〜800質量部であることが更に好ましい。第一及び第 二の超微粒子粉末を上記配合とすると、フリクションの低減と、機密性の向上をバラン スよく発揮することができる。したがって、特に冷媒ゃコンプレッサー等の種類に左右 されない汎用性のある潤滑剤組成物とすることができる。
[0038] 第二の超微粒子粉末が 100質量部未満であると、上記配合比の範囲内にある場 合と比べて機密性が不十分となる傾向にある。また、 1000質量部を超えるとコンプレ
ッサ一に用いた場合、コンプレッサー内部の摩擦抵抗が大きくなる傾向にある。
[0039] なお、この超微粒子粉末の製造方法は、金属粉及び鉱物粉を潤滑基油に添加し、 従来力も用いられている分散機等で分散することによって得ることができる。この分散 機としては、撹拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、ボールミル、ビーズミル、サンドグ ラインダ一等を適宜用いることができる。
[0040] 本発明で用いられる潤滑基油としては、特に限定されず、市販の潤滑オイルを使 用してもよい。この潤滑基油の具体例としては、天然物や合成物が挙げられる。例え ば、天然物としては、ヒマシ油、ラード油等の植物油、動物油が挙げられ、合成物とし ては、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン イソブチレン共重合体、塩素化ポリ ブチレン等の炭化水素、ドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノ-ルベンゼン
、ジ(2—ェチルへキシル)ベンゼン、ビフエ-ル、ターフェ-ル、アルキル化ポリフエノ ール、アルキル化ジフヱ-ルエーテル、アルキル化ジフヱ-ルスルフイド等の芳香族
、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド、フタル 酸、琥珀酸、マレイン酸、ァゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン 酸、リノール酸二量体、マロン酸、アルキルマロン酸、ァルケ-ルマロン酸等の高級 脂肪酸、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2—ェチルへキシル)、フマル酸ジー n 一へキシル、セバシン酸ジォクチル、ァゼライン酸ジイソォクチル、ァゼライン酸ジイソ デシル、フタル酸ジォクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノール 酸二量体の 2—ェチルへキシルジェステル等の高級脂肪酸エステル、ブチルアルコ 一ノレ、へキシノレアノレコーノレ、ドデシノレアノレコーノレ、 2—ェチノレへキシノレアノレコーノレ、 エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール等の高 級アルコール、炭素数 5〜 12のモノカルボン酸とポリオールから作られるエステル、ト ジメチローノレプロノ ン、ペン夕エリ卜ジ卜一ノレ、ジペン夕エリ卜ジ卜一ノレ、卜ジペン夕エリ卜ジ卜 ール等のポリオールエステル、シリコーンオイルゃシリケートオイル等の珪素系、リン 酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、デシルホスホン酸のジェチルエステル等のリン含 有酸が挙げられる。
[0041] なお、これらの潤滑基油であれば、未精製オイルであっても、精製オイルであっても 、また再精製オイルであってもよい。
[0042] この中でも合成物を用いることが好ましぐポリオールエステルを用いることが更に 好ましい。潤滑基油が合成物であると、超微粒子粉末の分散性に優れるため、各種 内燃機関に用いた場合は電力や燃料消費をより低減し、冷却効率を高め発生出力 の低下をより抑制することができる。また、合成物からなる潤滑基油を含む潤滑剤組 成物をコンプレッサーに用いた場合、一般に用いられる冷媒との相溶性に優れるた め、冷却効果を一層高めることが可能となる。
[0043] また、本発明の潤滑剤組成物の動粘度は 40°Cの温度条件下にお 、て、 30 X 10" 6〜60 X 10_6m2Zsが好ましい。 30 X 10_6m2Zs未満であると、コンプレッサーや内 燃機関等に用いた場合に、コンプレッサーや内燃機関等の内部の金属面を傷つけ る傾向にあり、 60 X 10_6m2Zsを超えると、コンプレッサーや内燃機関等に用いた場 合に、コンプレッサーや内燃機関等の起動時の摩擦抵抗が大きくなるため、消費電 力が大きくなる傾向にある。なお、上記動粘度は 100°Cの温度条件下において、 3 X 10一6〜 10 X 10_6m2/sであることが更に好ましい。この場合、高温においても本発 明の効果をより発揮することが可能となる。なお、動粘度は、規格 ASTMD445に基 づ 、て測定したものである。
[0044] 本発明の潤滑剤組成物には、上述した潤滑基油及び超微粒子粉末を含んでいれ ばよぐ適宜助剤や添加剤を含んでいてもよい。例えば、水抜き剤、ガス漏れ防止剤 、オイル漏れ防止剤、防腐剤、減摩剤 (磨耗防止剤)、抗酸剤 (酸化防止剤)、酸処 理剤、清浄分散剤、粘性維持剤 (粘土指数向上剤)、抗泡剤 (消泡剤)、流動点改良 剤 (流動点降下剤)、乾式皮膜潤滑剤、固体潤滑剤、燃料添加剤、潤滑防鲭剤、ガ ス漏れ検知剤等が挙げられる。
[0045] 本発明の潤滑剤組成物は、コンプレッサーや内燃機関等の潤滑油として適用可能 である。この場合に、当該コンプレッサーや内燃機関等に用いられる冷媒は特に限 定されない。
[0046] 本発明の潤滑剤組成物は、冷凍'冷蔵機及び空調機、自動車用エアコン、各種内 燃機関、各種ギア、コンプレッサー等に好適に用いることができる。
実施例
[0047] 以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する力 本発明はこれに限定さ
れるものではない。
[実施例 1]
下記処方 Aに示す材料を混合した。
(処方 A)
[0049] 得られた混合物を撹拌し、動粘度 46 X 10_°m2/sである潤滑剤組成物 Aを得た。
なお、平均粒子径は、光学顕微鏡に基づいて測定し、動粘度は 40°Cの温度条件下 、規格 ASTMD445に基づいて測定した。
[0050] [比較例 1]
第一及び第二の微粒子粉末を除いた以外は実施例 1と同様にして、潤滑剤組成物 Bを得た。
[0051] [評価方法 1 :燃料消費試験]
上記潤滑剤組成物 A、 Bをバスサブエンジンキット (ディーゼル機器社製 ェアーコ ンデイショナー MODEL: CL- 7)を用いて燃料消費量にっ 、て試験を行った。試 験は冷媒 (R134a)を 5. 6kg、潤滑剤組成物 A、 Bをそれぞれ 20mL用いた。
[0052] まず、バスサブエンジンキットに冷媒及び潤滑剤組成物等をセットし、 30分間アイド リング運転をして、運転中の燃料消費量を測定した。この試験を 5回 1セットとして、 2 セット行った。得られた結果を表 1及び表 2に示す。
[表 1]
(単位 : k g ) 実施例 1 比較例 1 潤滑剤組成物 潤滑剤組成物 A 潤滑剤組成物 B
1 回目 1 . 0 5 4 1 . 1 8 8
2 回目 1 . 0 5 6 1 . 2 9 6
3 回目 1 . 0 1 8 1 . 1 9 0
4 回目 1 . 0 1 2 1 . 1 5 7
5 回目 1 . 0 2 0 1 . 2 3 8
平均 1 . 0 3 2 1 . 2 1 4
[表 2]
(単位 : k g ) 実施例 1 比較例 1
潤滑剤組成物 潤滑剤組成物 A 潤滑剤組成物 B
1 回目 1 . 0 5 0 1 . 2 1 6
2 回目 1 . 0 6 6 1 . 1 4 8
3 回目 1 . 0 2 0 1 . 1 2 8
4 回目 1 . 0 0 6 1 . 2 2 8
5 回目 1 . 0 6 2 1 . 2 1 8
平均 1 . 0 4 1 1 . 1 8 8
[0053] [評価方法 2:冷却効率試験]
上記潤滑剤組成物 Aを冷凍冷蔵庫 (SANYO社製 直冷式冷凍冷蔵庫 SR— 11 1C (SB)形)を用いて冷却効率にっ 、て試験を行った。試験は上記冷凍冷蔵庫を 2 台並べて設置し、 1台は潤滑剤組成物 Aを用いて、もう 1台に潤滑剤組成物 Bを用い て、 12時間運転し「最低温度」「消費電力」「フリクション」について評価を行った。得 られた結果を表 3に示す。
[0054] なお、「最低温度」については佐藤計量器製作所社製 記憶計 SK— L200Tにて 冷凍庫内温度を測定した。「消費電力」については、タケモトデンキ社製 簡易型電
力量表示器 T3T— Rを 100Vコンセントプラグに差し込んで、消費電力を測定した 。「フリクション」は、コンプレッサー本体のアウターケースの温度を測定した。温度が 抑えられる場合、フリクションが低減されていると推測することができる。
[表 3]
[0055] [評価方法 3 :発生出力試験]
軽自動車(SUZUKI社製 ワゴン R:平成 10年式 型式 GF— MC21S 原動機 K6A 走行距離 75000kmの仕様過程車)を用いて発生出力について試験を行つ た。試験は軽自動車のエアーコンプレッサーに潤滑剤組成物 A、 Bを 15mLを充填し 、テストコース(平坦路)を時速 125kmで走行した。このときエアーコンプレッサーを 稼動させ、最高速度の変化について調査を行った。得られた結果を表 4に示す。
[表 4]
[0056] 実施例 1の潤滑剤組成物は、評価方法 1にお 、て、約 15%の燃料消費量を削減で きることがわ力つた。これに対して本発明によらない比較例 1は、燃料消費量がグラン ドと比較しても十分に低減することができないことがわ力つた。また、評価方法 2にお いて、実施例 1の潤滑剤組成物は、最低温度を本発明によらない比較例 1よりも十分 に低くすることができ、またフリクションも十分に低減することができることがわ力つた。 さらに評価方法 3において、実施例 1の潤滑剤組成物は発生出力の低下を抑制でき ることがゎカゝつた。これらのことから、本発明の潤滑剤組成物によれば、燃料消費を 十分に低減でき、冷却効率を高め発生出力の低下をより抑制することができるため、 経済性に優れることが確認された。
産業上の利用可能性
本発明の潤滑剤組成物は、コンプレッサーや内燃機関等の潤滑油として適用可能 であり、燃料消費を十分に低減でき、冷却効率を高め発生出力の低下を抑制するこ とがでさる。