回線切替装置及び方法、並びにゲートウェイ装置
技術分野
[0001] 本発明は、線通信回線の切替えを行う回線切替装置及び方法、並びにこれら回線 切替装置及び方法を適用したゲートウェイ装置に関する。
背景技術
[0002] ADSL (Asymmetric Digital Subscriber Line)等の高速通信回線が普及したこともあ つて、インターネット等のネットワークを介して、音声通信を行う VoIP (Voice over IP) 通信サービスが提供されるようになって!/ヽる(例えば、 日本国特許公開公報 2004-404 51号参照。)。
[0003] このような VoIP通信システムは、例えば図 8に示すように、加入者宅に設置された加 入者端末 100, VoIPアダプタ 110,スプリッタ 120と、交換局内に設置されるスプリッタ 1 20, DSLAM (Digital Subscriber Line Access Multiplexer) 160と、インターネット等の IP ネットワーク 170と、相手側の端末 (VoIP端末) 180等から構成される。
[0004] 加入者端末から通信が要求されると、 VoIPアダプタ 110は、要求された相手の番号 に応じてアナログ通信にする力 VoIP通信にするかを選択する。 VoIP通信を選択した 場合には、 VoIPアダプタ 110は、加入者端末 100からのアナログ通信信号を圧縮符号 化して相手側の端末宛のパケットを形成する。このパケットは、 VoIPアダプタ 110内の モデムにより、 ADSL信号に変調され、スプリッタ 120を介して加入者線に送出する。
[0005] 交換局側のスプリツタ 120で分離され、復調されたパケットは DSLAM160に供給され 、 IPネットワーク 170を介して相手側の VoIP端末 180に供給される。 VoIP端末 180から の音声信号は、以上と逆の経路で加入者端末 100に供給され、音声通信が可能とな る。
[0006] 上述の従来の VoIP通信では、加入者宅内に VoIPアダプタが設置されていた力 ュ 一ザの利便性,工事の容易性等の観点からは、例えば図 9に示すように、従来のァ ナログ端末と加入者線をそのまま用い、交換局側に VoIPアダプタ 200を設けることも 考えられる。
[0007] し力し、このような構成としてしまうと、 VoIPアダプタ 200のメンテナンス等の際に、手 動で加入者線と加入者交擁 130とを接続して、通信サービスの提供が停止しな!ヽ ようにする必要がある。このため、例えばコネクタの数が多い場合等には、接続の切 替えに時間が力かってしまい、通信サービスが中断してしまう可能性も考えられる。 発明の開示
[0008] 本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、ユーザの利便性の向上 と、通信サービスの品質向上に寄与することができる回線切替装置及び方法、並び にこれらを適用したゲートウェイ装置を提供することを目的とする。
[0009] 上述の問題を解決するために、本発明に係る回線切替装置は、交換局内に設置さ れ、アナログ端末装置からの加入者線と,アナログ端末装置からのアナログ通信信号 とネットワーク経由の通信データとの間の相互変換を行う信号変換手段と,加入者交 換機との接続の切替えを行う回線切替装置であって、信号変換手段が、アナログ端 末装置からの発呼が所定の条件に該当する場合に、アナログ通信信号を当該回線 切替装置を介して加入者交換機に供給する例外処理手段を有し、加入者線と加入 者交 とを直接接続する直結手段を備えることを特徴とする。
[0010] アナログ端末装置には、例えば従来のアナログ通信サービスに用いられている電 話機,ファクシミリ装置等が含まれる。直結手段としては、物理的なスィッチを用いるこ とができる力 スィッチ入力に応じて切替えを行うリレー等の手段を用いることもできる
。また、発呼の所定の条件は、例えば 1で始まる特定のサービスの要求である場合、 サービス対象外の番号に対する発呼である場合等が考えられる。
[0011] また、本発明に係るゲートウェイ装置は、交換局内に設置され、アナログ端末装置 力ものアナログ通信信号とネットワーク経由の通信データとの間の相互変換を行い、 アナログ端末装置力 の発呼が所定の条件に該当する場合に、アナログ通信信号を 出力する例外処理手段を有する信号変換手段と、アナログ端末装置からの加入者 線と,信号変換手段と,加入者交換機との接続の切替えを行い,加入者線と加入者 交換機とを直接接続する直結手段を有する回線切替手段とを備えることを特徴とす る。
[0012] そして、これらの装置を用いた本発明の回線切替え方法では、前記信号変換手段
の動作を停止させる前に、前記回線切替装置により前記加入者線と加入者交 と を直接接続する。これにより、信号変換手段による、例えば VoIPサービス等の通信サ 一ビスを停止させる前に、加入者線と加入者交難とを直接接続し、これにより、ァ ナログ通信信号による通話を確保することができる。この結果、メンテナンス時等に、 VoIPサービス等の信号変換によるサービスを停止させる瞬間、及び停止されて ヽる 間、それまで確立されていた通信が不用意に切断されるのを防止し、通信サービス の停止の可能性を低下させることができとともに、通信経路の切替え時間を短縮し、 通信サービスの品質向上に寄与することができる。
図面の簡単な説明
[0013] [図 1]図 1は、本発明の実施形態 1に係る通信システムの構成を示すブロック図である
[図 2]図 2は、前記通信システムを構成するゲートウェイ装置の VoIP処理部の構成を 示すブロック図である。
[図 3]図 3は、前記通信システムを構成する交換局の動作を示す図である。
[図 4]図 4は、前記通信システムを構成する交換局の動作を示す図である。
[図 5]図 5は、前記ゲートウェイ装置の要部を示す斜視図である。
[図 6]図 6は、前記ゲートウェイ装置の要部を示す斜視図である。
[図 7]図 7は、本発明の実施形態 2に係る通信システムの構成を示すブロック図である
[図 8]図 8は、従来の VoIP通信システムの例を示すブロック図である。
[図 9]図 9は、従来の VoIP通信システムの構成例を示すブロック図である。
発明を実施するための最良の形態
[0014] 本発明は、例えばインターネット等のネットワーク経由での VoIP通信と、従来のアナ ログ公衆通信網を用いた通信とを併用する通信システムに適用することができる。
[0015] [実施形態 1]
本発明の一実施形態に係る通信システムは、例えば図 1に示すように、ユーザが通 話等に用いる加入者端末 (アナログ端末装置) 10と、加入者端末 10からの要求に応 じて呼の設定等を行う交換局 20と、他の加入者端末等が接続されるアナログ公衆電
話網(Public Switched Telephone Network: PSTN) 30と、インターネット等のネットヮー ク 40とを有している。
[0016] 加入者端末 10は、電話機,ファクシミリ装置等の従来のアナログ端末であり、加入 者線を介して交換局 20に接続されている。交換局 20は、各加入者端末 10からの加入 者線が接続される加入者線収容端子板 21と、加入者端末 10間の呼設定,交換処理 等を行う加入者交 と、加入者線収容端子板 21を介して加入者端末 10から供 給されるアナログ通信信号とネットワーク 40経由で供給される通信データとの相互変 換,通信制御等を実行するの VoIP処理部 24と、加入者線収容端子板 21,加入者交
VoIP処理部 24の接続の切替えを行う切替部 23と、 VoIP処理部 (信号変換手 段) 24とネットワーク 40の間の通信データの配信制御を行うルータ 25とを備えて!/、る。
[0017] 切替部 23は、加入者線収容端子板 21からの信号を加入者交換機 22に直接接続し 得るスィッチ 23aを備えている。このスィッチは、例えば押下した状態が維持されるプ ッシュロック方式の指示入力ボタンを有し、この指示入力ボタンを操作者が操作する 際に、現在のスィッチの状態を容易に認識することができるように構成されて ヽる。
[0018] VoIP処理部 24は、例えば図 2に示すように、切替部 23を介して供給されるアナログ 通信信号をデジタル信号に変換する AD変換部 24aと、デジタル信号に変換された通 信信号の圧縮符号化等を行う符号化部 24bと、符号化された通信データからデータ パケットを構成して送信する送信部 24cと、ルータ 25を介して供給されるデータバケツ トから通信データを抽出する受信部 24dと、通信データの復号化を行う復号化部 24e と、復号化された通信データをアナログ通信信号に変換する DA変換部 24fと、 VoIP処 理部 24全体の制御を行う制御部 (例外処理手段) 24gと、加入者線収容端子板 21を 介して供給されるアナログ通信信号を切替部 23に供給し得るスィッチ (例外処理手段 ) 24hとを備えている。
[0019] 上述のように構成された、通信システムでは、加入者端末 10から加入者線収容端 子板 21までの間は、従来のアナログ公衆通信網と同様の構成であり、交換局 20内に おいてゲートウェイ装置に接続するだけで、ユーザは電話機,ファクシミリ装置等の従 来のアナログ通信端末をそのまま用いて VoIP通信サービスを利用することができる。 このため、ユーザの利便性の向上に寄与することができる。
[0020] ユーザのダイアル操作により加入者端末 10からアナログ通信信号が供給されると、 VoIP処理部 24の制御部 24gは、ダイアル番号に応じて相手先を判断し、 VoIP通信サ 一ビスの対象である場合には、相手側の加入者端末 10の IPアドレスを取得し、送信 部 24cに通知してコネクション接続を要求するデータパケットを生成させる。このバケツ トに対する応答が受信部 24dを介して供給されると、制御部 24gは。音声通信を開始さ せる。
[0021] 加入者端末 10からの接続要求が所定の番号、例えば 1で始まる特番サービスの要 求あるいは VoIP通信サービスの対象外の番号宛である場合等には、制御部 24gは、 切替部 23からのアナログ通信信号が切替部 23に戻されるように、スィッチ 24hを制御 する。切替部 23に戻されたアナログ通信信号は、切替部 23を介して加入者交 に供給される。これにより、特番サービスあるいは VoIP通信サービスの対象外の番号 宛に対する通信サービスが提供される。
[0022] この通信システムでは、通常の運用時には、例えば図 3に示すように、切替部 23の スィッチ 23aの接点が開いた状態となっており、加入者線収容端子板 21からの信号は VoIP処理部 24に供給されるようになっている。メンテナンスを行う際には、例えば図 4 に示すように、スィッチ 23aを操作して加入者線収容端子板 21と加入者交擁 22とを 直接接続させた後、 VoIP処理部 24を取り外す。
[0023] 切替部 23と VoIP処理部 24は、例えば図 5に示すように、ラック内に複数収容された 状態で使用される。この図に示す状態では、切替部 23と VoIP処理部 24は各々 1枚の 基板として構成されており、各々バックプレーンを介して接続されるように構成されて いる。また、この図では、切替部 23と VoIP処理部 24とが 1対になっている状態を示して いる力 1つの切替部 23によって複数の VoIP処理部 24に対応させてもよい。この場合 、切替部 23には各 VoIP処理部 24毎にスィッチ 23aを設けることが望ましい。
[0024] メンテナンスを行う際には、例えば図 6に示すように、スィッチ 23aを押下した後、 Vol P処理部 24をラック力 引き出す。スィッチ 23aを押下した状態では、加入者線収容端 子板 21と加入者交 とが直接接続された状態となるため、 VoIP処理部 24を取り 外しても、従来の PSTN30を介した通信サービスを提供し続けることができる。従って、 通信サービスの停止を避けることができ、通信サービスの品質向上に寄与することが
できる。
[0025] [実施形態 2]
上述の実施形態 1では、ユーザの宅内に加入者端末 10のみが設置された場合に ついて説明したが、例えば図 7に示すように、 ADSLサービス等のデータ通信サービス と併用することもできる。 ADSLサービスが提供されている場合には、パーソナルコン ピュータ(PC) 70等の情報通信端末からの通信信号は、モデム 60,スプリッタ 50を介し て加入者線で伝送される。この通信信号は交換局 20側のスプリツタ 50で分離され、 D SLAM80を介してルータ 25に供給される。加入者端末 10もスプリッタ 50を介して加入 者線に接続されるが、加入者端末 10からの通信信号は、交換局 20側のスプリツタ 50 で分離され、加入者線収容端子板 21を介して切替部 23に供給される。
[0026] 従って、この図 7に示すように構成した場合でも、上述の実施形態 1と同様に、加入 者端末 10のユーザは、従来と同様の機器,ダイアル操作等により VoIP通信サービス を利用することができる。このため、実施形態 1と同様にユーザの利便性の向上及び 通信サービスの品質向上に寄与することができる。
[0027] なお、上述の各実施形態では、切替部 23を物理的なスィッチとして示して 、るが、 指示を入力するスィッチと、このスィッチの入力に応じて動作するリレー等のスィッチ ング手段を用いて構成する等、適宜構成を変更することができる。
産業上の利用の可能性
[0028] 本発明による回線切替装置及び方法、並びにゲートウェイ装置を用いることにより、 従来のアナログ端末装置及び加入者線をそのまま用いて、 VoIP通信サービスを提供 することができ、ユーザの利便性の向上に寄与することができる。