WO2005106274A1

WO2005106274A1 - 機械式自動変速機のクラッチ構造

Info

Publication number: WO2005106274A1
Application number: PCT/JP2004/006355
Authority: WO
Inventors: Masaru Yamasaki; Hitoshi Konno; Hiroshi Kuroiwa; Naoyuki Ozaki; Minoru Morita
Original assignee: Hitachi, Ltd.
Priority date: 2004-04-30
Filing date: 2004-04-30
Publication date: 2005-11-10
Also published as: EP1746300A4; JPWO2005106274A1; US20080011574A1; EP1746300A1

Abstract

　クラッチの押し付け力とヘリカルギヤの発するスラスト力との干渉防止し振動等の発生を抑える。　第一のギヤと第二のギヤとの噛み合いによって発生した軸方向のスラスト力と対向する方向に押圧する押し付け装置をディスク押し付け装置およびクラッチハブに前記スラスト力と対向する方向に押圧する対向力付与押し付け装置とで構成する。

Description

明細書機械式自動変速機のクラッチ構造技術分野

本発明は、自動車のクラッチ装置に係わり、特に従来のマニュアルトランスミヅシヨンを自動化した自動 M Tのクラッチ装置に関する。背景技術

自動車の変速機は、歯車を用いて減速を行っており、この歯車には静寂性と強度向上の目的から、回転軸に対して歯すじが傾きを持つヘリカルギヤが用いられている。しかし、ヘリカルギヤは欠点として、歯すじが傾いていることにより、啮み合い反力として軸方向のスラストカを発生する特性を持つ。変速機においてスラスト力は、軸受けや変速機ケースにストレスを与えるため、振動や騒音の原因となってしまう可能性があり、変速機、また、それを搭載する自動車自体の商品性を低下させてしまうため、スラスト力の受けに対策を施し、これを抑えようとする手段が試みられている。例えば、スラスト力を受ける部分に緩衝材を用いたストッパを設置し、緩衝材により振動の発生を抑えようとする機構が考案され、特閧 2 0 0 1 - 9 9 1 8 6号公報に記載されている。発明の開示

しかしながら、上記クラッチでは、スラスト力による急激な加振力を和らげてはいるが、根本的な解決にはなっておらず、軸受けや、変速機ケースがストレスを受けることには変わり無い。特に、自動 M T用のクラッチにおいては低負荷低回転から高負荷高回転の広い領域で使用されるため、スラスト力の大きさおよび周波数の変動の領域も広く、緩衝材の設定では抑えきれずに、振動や騒音を発生させてしまう恐れがある。振動が生じた場合、振動によりクラッチの伝達するトルクが変動してしまうと、最終的な自動車の駆動トルクの変動につながり、乗り心地の悪化につながってしまう恐れがある。本発明の目的は、クラッチ機構において、振動の原因となるスラスト力を抑え込み、振動、騒音、しいては自動車の駆動トルクの変動を防止し、静寂で振動の少ない変速機、また乗り心地のよい自動車のためのクラッチを提供することにある。

上記目的を達成するために、本発明では、クラッチがトルクを伝達する摩擦力を発生するために必要な押し付け力を供給する押し付け手段と、トルクの入力軸と、トルクの入力軸に同心あるいは平行に配置されたトルクの出力軸と、トルクの入力軸あるいはトルクの出力軸上に同心かつ回転方向に拘束されて配置される少なくとも 1枚の第一の摩擦ディスクと、第一の摩擦ディスクに同心に配置される少なくとも 1枚の第二の摩擦ディスクと、第二の摩擦ディスクを回転方向に拘束して保持するガイドと、ガイドを回転方向に拘束し、前記第一の摩擦ディスクおよび第二の摩擦デイスクおよびガイドが保持される軸に回転自由に保持され、スラストカを発生する第一のギヤと、他方の軸に回転方向に拘束されて保持されて第一のギヤと嚙み合う第二のギヤを備え、スラスト力に対向してクラッチがトルクを伝達する際に押し付ける作用を行う押し付け手段を備える。

また、さらに、クラッチの配置される軸を軸方向に押し付ける軸押し付け手段を備える場合もある。

具体的には、本発明は、トルクの入力軸と、該入力軸に平行あるいは同心に配置されたトルクの出力軸と前記入力軸もしくは出力軸の軸上に同心的に、かつ回転方向に拘束されて配置されたクラッチハブと、該クラッチハブ上に、回転方向に拘束されて配置される第一の摩擦ディスクと、第一の摩擦ディスクに同心的に配置される第二の摩擦ディスクと第二の摩擦ディスクを回転方向に拘束して保持する保持部材と、前記クラッチハプが設けられる前記入力軸もしくは出力軸のいずれかの軸に回転自由に保持される第一のギヤと、他方の軸に回転方向に拘束されて保持され、第一のギヤと嚙み合う第二のギヤと、第一の摩擦ディスクと第二の摩擦ディスクとの間で作用し、第一の摩擦ディスクと第二の摩擦ディスクとの間で摩擦力を発生させるクラッチ押し付け装置とを有するクラッチ装置において、第一のギヤと第二のギヤとの嚙み合いによって発生した軸方向のスラストカを受ける部材（前記クラッチハブ自体を含む。）を設け、該スラスト力を受ける部材にスラスト力と対向する方向に押し付け装置（前記クラッチ押し付け装置自体を含む）を押し付け力が、第一の摩擦ディスクから第二の摩擦ディスクにトルクが伝達されている状態のときは、常時前記スラスト力よりも大きいかもしくは小さく設定して押し付け装置（前記クラッチ押し付け装置自体を含む）設けてあるクラッチ装置を構成する。

この場合に、前記押し付け装置は、前記クラッチ押し付け装置単体で構成される。

また、前記押し付け装置は、前記クラッチ押し付け装置と前記スラストカを受け部材に押し付け力が作用する対向力付与押し付け装置とから構成し得る。また、前記対向力付与押し付け装置は、前記押し付け装置の押し付けが作用し、前記クラッチハブによって受けられたプレッシャープレートを摺動可能に保持するプレッシャープレート押えとケースとの間に設けられたスプリング、油圧装置、電気モ一夕もしくは電磁ソレノィド装置によって構成され得る。

本発明によれば変速機に用いられるヘリカルギヤに生じるスラスト力に起因する振動、騒音、また、伝達トルクの変動を抑えることができ、静寂で振動の少ない変速機、また乗り心地のよい自動車とすることができる。 ·

トルクの入力軸と、該入力軸に平行あるいは同心に配置されたトルクの出力軸と、前記入力軸の軸上に同心的に、かつ回転方向に拘束されて配置されたクラッチハブと、該クラッチハブ上に、回転方向に拘束されて配置される第一の摩擦デイスクと、第一の摩擦ディスクに同心的に配置される第一の摩擦ディスクと、第一の摩擦ディスクに同心的に配置される第二の摩擦ディスクと、第二の摩擦ディスクを回転方向に拘束して保持する保持部材と、前記入力軸に回転自由に保持される第一のギヤと、前記出力軸に回転方向に拘束され、第一のギヤと嚙み合う第二のギヤと、第一の摩擦ディスクを第二の摩擦ディスクに押し付けて第一の摩擦ディスクと第二の摩擦ディスクとの間で摩擦力を発生させるディスクを押し付け装置および第一の摩擦デイスクを第二の摩擦デイスクから復原する復原装置とを有するクラッチ装置であって、第一のギヤと第二のギヤとの嚙み合いによって発生した軸方向のスラスト力と対向する方向に押圧する押し付け装置を前記ディスク押し付け装置および前記クラッチハブに前記スラスト力と対向する方向に押圧する対向力付与押し付け装置とで構成される。

また、前記対向力付与押し付け装置は、前記押し付け装置の押し付けが作用し、前記クラッチハブによって受けられたプレッシャープレートを摺動可能に保持するプレッシャープレート押さえとケースとの間に設けられたスプリング、油圧装置、電動モー夕もしくは電磁ソレノィド装置によって構成される。

更に、前記押し付け装置は、その全体としての押し付け力が、第一の摩擦ディスクから第二の摩擦ディスクにトルクが伝達されている状態のときに、常時前記スラスト力よりも大きいかもしくは小さく設定してある。図面の簡単な説明

第 1図は、本発明のクラツチを有する変速機の一実施例のクラッチ部分の断面図示した図である。

· 第 2図は、ヘリカルギヤの歯すじの傾きを示した図である。

第 3図は、ヘリカルギヤの嚙み合いによるスラスト力発生を模式的に示した図である。

· . 第 4図は、本発明によるクラッチ押し付け力とギヤによって生じるスラスト力の関係の一例を示した図である。

第 5図は、本発明によらないクラッチ押し付け力とギヤによって生じるスラスト力の関係の一例を示した図である。

第 6図は、本発明のクラツチを有する変速機の他の実施例のクラッチ部分の断面図示した図である。

第 7図は、本発明のクラヅチを有する変速機のまた他の実施例のクラヅチ部分の断面図示した図である。

[実施例 1 ] 以下、本発明の一実施例を第 1図ないし第 5図を用いて説明する。

第 1図は本実施例によるクラッチ 1 0 0を自動車の変速機に適用した場合の実施例の断面を示したものである。参照番号 1 0はケースを示す。入力軸 1にクラツチハブ 2 1が固定ナヅト 8 1にて締め付けられて固定されている。クラヅチハプ 2 1の外径にはスプラインが形成されており、ここに第一の摩擦デイスク 2がスプラインによって回転方向に拘束されて設置される。本実施例では、クラッチ装置 1 0 0をマルチプレートによる構成とし、第一の摩擦ディスク 2は 6枚取り付けられている。第一の摩擦ディスク 2と交互に第二の摩擦ディスク 3が設置される。第二の摩擦ディスク 3は、本実施例では 5枚が取り付けられている。第二の摩擦ディスク 3は外周に外歯スプラインが形成されており、これがクラッチドラム 4の内歯スプラインと嚙み合うことによって、クラッチドラム 4と回転方向' に拘束されて設置される。本実施例ではこれらの摩擦ディスクは変速機内部に設置される形式をとり、潤滑油中に摩擦ディスクがあるため湿式クラッチと呼ばれる分類になる。クラッチドラム 4の端部には動力伝達ギヤ 2 2が設けられており、動力伝達ギヤ 2 2は出力軸 8の被動力伝達ギヤ 2 3と嚙み合っている。この例の場合、出力軸 8を入力軸 1と平行に配置しているが、同心配置とすることもできる。クラッチドラム 4の回転は被動力伝達ギヤ 2 3を通じて出力軸 8側へと伝達される。クラッチドラム 4はニードルペアリング 2 6によつて入力軸 1に支持されており、入力軸 1とは回転方向に自由となる。第一の摩擦ディスク 2と第二の摩擦ディスク 3の押し付け力を発生するため油圧ピストン（油圧ピストン機構 ) 5が設置され、図示しない上位の制御器によって制御された油圧が供給されて動作する。油圧ピストン 5の運動は、操作ベアリング 2 7を介してクラッチ側に伝えられる。クラヅチは入力軸 1と共に回転しており、油圧ピストン 5は変速機ケースに設置されて回転しないので、接触抵抗を低減するために操作べァリング 2 7が用いられている。操作ベアリング 2 7の直線運動はプレヅシャープレート 6および、皿ばね 7を介して、第一の摩擦ディスク 2と第二の摩擦ディスク 3からなるクラッチパックの押し付け力として伝達される。プレッシャープレート 6 は入力軸 1上に設けたプレッシヤー保持部材 3 1上を軸方向に摺動可能にして設けてあり、リング 3 2によって停止位置が決められる。クラッチハプ 2 1とプレヅシャープレート 6との間にはリターンスプリング 2 9が酉 3設されている。クラツチパックはクラヅチハブ 2 1に Cリング 1 2で軸方向の運動を拘束されており、クラヅチパックはプレッシャープレート 6と、 Cリング 1 2によって挟み込まれる状態となる。クラッチには復原装置としてのリターンスプリング 2 9が組み込まれており、プレッシャープレート 6を油圧ビストン 5側に押し返す力を発生する。油圧ビストン 5に供給する作動油の圧力を下げるとリターンスプリングの押し返し力により油圧ピストン 5を元の位置に戻すとともにクラッチパックの押し付け力を解除する。

· ここで、動力伝達ギヤ 2 2、および被動力伝達ギヤ 2 3は歯すじがつるまき線であるヘリカルギヤとして構成してあり、クラッチの伝達する動力を入力軸から出力軸に伝える際、スラストカ F Gが第 1図に示しように発生する。

動力伝達ギヤ 2 2の前端突出部 3 3はクラッチハブ 2 1に接触しており、スラストカ F Gをクラッチハブ 2 1に伝達する。この例ではスラスト受け材としてクラッチハブ 2 1を用いて構造を簡単にしているか、他の部材を付加してスラスト受け部材としてもよい。以下、クラッチハブ 2 1で受ける場合を例に取って説明する。動力伝達ギヤ 2 2の他側ギヤ受け 3 4が設けてある。

ここで、本実施例では、クラッチの押し付けに油圧ピストンを用いたが、押し付け力を発生できるものであれば、電気モータを用いた機構や、電磁ソレノイド装置を用いた機構であってもよい。また、クラッチは外部から操作力を加えない状態で解放状態となるノ一マルオープン形式のものを例としたが、クラッチは外部から操作力を加えない状態で締結状態となるノーマルクローズ形式のものでもよい。

尚、上述の実施例にあっては、クラッチを入力軸 1に設ける構成、すなわちクラッチハブ 2 1を入力軸 1に設ける構成としているが、これらを出力軸 8に設ける構成としても同一の効果を達成することができる。

さて、上記構成の本実施例でのクラヅチの動作について説明すれば以下のようである。まず、油圧ピストン 5に作動油を供給していない状態では第一の摩擦ディスク 2と第二の摩擦ディスク 3は擦り合いにより若干の動力は伝達するものの、その伝達動力は無視できるレベルである。したがって、第一の摩擦ディスク 2と回転方向に固定されたクラッチハブ 2 1、および入力軸 1と、第二の摩擦ディスク 3 と回転方向に固定されたクラッチドラム 4の間の動力伝達は無く、入力軸 1とクラッチドラム 4は互いに自由に回転する。クラッチドラムに形成された動力伝達ギヤ 2 2と出力軸 8の被動力伝達ギヤ 2 3は嚙み合い、被動力伝達ギヤ 2 3は出力軸 8に回転拘束されているので、入力軸 1と出力軸 8との間の動力伝達は無い状態である。

クラッチを作動させて、動力を入力軸 1から出力軸 8へ伝達しょうとする場合、図示しない上位の制御器から圧力を制御した作動油を油圧ビストン 5へ供給し、油圧ピストン 5からクラッチ押し付け力 F Pを発生させる。油圧ピストンが発生した押し付け力は、操作ベアリング 2 7を経てプレッシャープレート 6へ伝えられ、皿ばね 7を介して、第一の摩擦ディスク 2と第二の摩擦ディスク 3からなるクラッチパックを押し付ける力を作用させる。ここで、クラヅチパックは、クラッチハブ 2 1に Cリング 1 2により軸方向の変位を規制されているのでクラヅチパヅクはプレッシャープレートと Cリングの間に挟み込まれ、第一の摩擦ディスク 2と第二の摩擦ディスク 3は押し付けられて摩擦による伝達トルクを生じる。よって、 .入力軸 1に伝えられている動力は、入力軸 1からクラッチハブ、第一の摩擦ディスク 2、第二の摩擦ディスク 3、クラッチドラム 4、動力伝達ギヤ 2 1、被動力伝達ギヤ 2 3、出力軸 8の順で伝えられ、入力軸 1から出力軸 8へ動力を伝達を得る。

ここで、動力伝達ギヤ 2 2は第 2図に示すような歯すじがつるまき線であるへリカルギヤである。被動力伝達ギヤ 2 3についても同様である。ヘリカルギヤは歯すじが傾いていることにより、嚙み合い率がなめらかに変化するため静寂であり強度も高いものであるが、スラスト力を生じてしまう欠点がある。ここで、動力伝達ギヤ 2 2から被動力伝達ギヤ 2 3にトルクを伝達する場合、発生するスラスト力 F Gは第 3図に示すように、発生し、歯すじの傾きを/?とすると、スラストカはおおよそ伝達トルク Tと歯車のピッチ円半径 rにより次式で計算される。

[数 1]

FG = -tan 3 …数 1

r また、クラッチの押し付け力 FPと伝達トルク Tの関係は摩擦係数、クラッチの有効半径 R、クラッチの摩擦面数 z、リターンスプリング反力 F Sとすると、次式により計算される。 . , [数 2] ·

Γ = /? (1Ψ- FS) …数 2

ここで、本発明では第 1図に示すようにスラストカ FGの向きとクラッチの.押し付け力 FPの向きを対向させる。さらに、第 4図に示すようにクラッチがトルクを^ ί云達する領域では、クラッチの押し付け力 F Ρが常にスラスト力 F Gよりも大きくなるように構成する。

つまり、ある伝達トルクに対してどれだけのクラヅチ押し付け力が必要となるかは数 2で決まり、ある伝達トルクに対してどれだけのスラスト力が発生するかは数 1によりそれぞれ独立に決定される。ここで、クラッチの押し^ fけ力 FPが常にスラスト力; FGよりも大きくなるように構成するには数 1あるいは、数 2中のパラメ一夕を調整することにより実現できる。例えば、数 2にあるリターンスプリング反力 FSを大きく調整すると、ある伝達トルクを発生するために必要なクラッチ押し付け力を大きくする。このようにして、クラッチの押し付け力 FP が常にスラストカ FGよりも大きくなるように構成することができる。以上のように調整することにより入力軸 1はクラッチの全作動域において、クラッチ押し付け力 FPから押し付けられる方向に安定して位置し、振動等を発生することが無い。尚逆に常に押し付け力 FPはスラスト力 FGよりも小さく、入力軸 1はクラッチの全作動域において、スラストカ FGから押し付けられる方向に安定して位置させる構成でもよい。すなわち、数 1、および数 2で導ける FPと FGに関してクラッチの作動全領域で次式の関係が成り立つている。

[数 3] F G < F P …数 3

あるいはクラッチの作動全領域で次式の関係が成り立つている。

[数 4 ]

F G > F P …数 4

ここで、第 5図に示すように押し付け力 F Pとスラスト力 F Gの大きさが逆転してしまう場合、クロス点より伝達トルクの小さい領域では入力軸は押し付け力 F Pのはたらく向きに移動しているが、伝達トルクがクロス点を越えるとスラストカ F Gの方が大きくなり、入力軸はスラスト力 F Gのはたらく向き、すなわち押し付け力 F Pのはたらく向きとは逆方向に移動する。このようにクロス点で入力軸にはたらく力の総計の向きが逆転してしまうため、クロス点近傍で振動的に •なってしまい、変速機の振動、騒音、また、変速機を搭載する自動車の乗り心地の悪化につながってしまう。

以上の構成によれば、第一のギヤに突出部を設けて第一のギヤ 2 2と第二のギャ 2 3との嚙み合いによって発生した軸によって発生した軸方向のスラストカを .クラッチハブ 2 1で受け、クラッチハブ 2 1にはスラスト力と対向する方向に押圧する押し付け装置を設けたクラッチ装置が構成される。

以上のように、本実施例によれば、ヘリカルギヤのスラスト力に起因する振動や騒音、またヘリカルギヤを用いた変速機を搭載する自動車の乗り心地を改善することができる。

[実施例 2 ] .

本発明の他の実施例を第 6図を用いて説明する。

第 6図は本発明によるクラツチを自動車の変速機に適用した場合の他の実施例の断面を示したものである。クラッチの構成や軸の配置、押し付け手段等は第 1 図に示す実施例 1と同様である。第 6図に示す他の実施例での相違点は、他の軸押し付け手段を付加して有することである。この場合の他の押し付け手段は、コィルスプリング 9 0であつて、従って軸押し付け手段はコィルスプリング 9 0とスラストペアリング 2 8からなり、コイルスプリングに初期変位を与えて組み込みこみ入力軸 1を押す力を常に発生させている。ここではコイルスプリング 9 0 を 1例として、他の押し付け手段を対向する付与押し付け装置と称する。

さて、上記構成の本実施例でのクラッチの動作について説明すれば以下のようである。まず、油圧ピストン 5に作動油を供給していない状態では第一の摩擦デイスク 2と第二の摩擦ディスク 3は擦り合いにより若干の動力は伝達するものの、その伝達動力は無視できるレベルである。したがって、第一の摩擦ディスク 2 と回転方向に固定されたクラッチハブ 2 1、および入力軸 1と、第二の摩擦ディスク 3と回転方向に固定されたクラッチドラム 4の間の動力伝達は無く、入力軸 1とクラッチドラム 4は互いに自由に回転する。クラヅチドラム 4に形成された動力伝達ギヤ 2 2と出力軸 8の被動力伝達ギヤ 2 3は啮み合い、被動力伝達ギヤ 2 3は出力軸 8に回転拘束されているので、入力軸 1と出力軸 8との間の動力伝達は無い状態である.。 - ·

クラッチを作動させて、動力を入力軸 1から出力軸 8へ伝達しょうとする場合、図示しない上位の制御器から圧力を制御した作動油を油圧ピストンへ供給し、油圧ビストンからクラッチ押し付け力 F Pを発生させる。油圧ビストンが発生した押し付け力は、操作ベアリング 2 7を経てプレヅシャ一プレート 6へ伝えられ、皿ばね 7を介して、第一の摩擦ディスク 2と第二の摩擦ディスク 3からなるクラッチパックを押し付ける力を作用させる。ここで、クラッチパックは、.クラヅチハブ 2 1に Cリング 1 2により軸方向の変位を規制されているのでクラッチパヅクはプレッシャープレート 6と Cリング 1 2の間に挟み込まれ、第一の摩擦デイスク 2と第二の摩擦デイスク 3は押し付けられて摩擦による伝達トルクを生じる。よって、入力軸 1に伝えられている動力は、入力軸 1からクラヅチハブ 2 1 、第一の摩擦ディスク 2、第二の摩擦ディスク 3、クラッチドラム 4、動力伝達ギヤ 2 2、被動力伝達ギヤ 2 3、出力軸 8の順で伝えられ、入力軸 1から出力軸 8へ動力を伝達を得る。

ここで、動力伝達ギヤ 2 2は歯すじがつるまき線であるヘリカルギヤである。へリカルギヤは歯すじが傾いていることにより、嚙み合い率がなめらかに変化するため静寂であり強度も高いものであるが、スラストカを生じてしまう欠点がある。本実施例ではギヤに生じるスラスト力 F Gとクラヅチの押し付け力 F Pが対向するように設置し、かつ軸押し付け手段による軸押し付け力 F A 1をさらに作用させて、確実にクラッチがトルクを伝達する領域では、クラッチの押し付け力 F Pと軸押し付け力 F A 1の和が常にスラストカ F Gよりも大きくなるように構成している、すなわち、入力軸はクラッチの全作動域において、クラッチ押し付け力 F Pから押し付けられる方向に安定して位置し、振動等を発生することが無い。

[実施例 3 ] . .

' 本発明の他の実施例を第 7図を用いて説明する。 ' 第 7図は、本発明によるクラツチを自動車の変速機に適用した場合の他の実施例の断面を示したものである。クラッチの構成や軸の配置、押し付け手段等は第 1図に示す実施例 1と同様である。第 6図に示す他の実施例での相違点は、他の軸押し付け手段を有することである。軸押し付け手段は軸力油圧ピストン 9 1とスラストベアリング 2 8からなり、軸力油圧ビストン 9 1の作動油室であるシリンダをクラッチ押し付け力を発生する油圧ピストン 5の作動油室であるシリンダと連通油路 9 2で接続している。この場合には、他の軸押し付け手段は軸力油圧ピストン 9 1であり、従って、軸力油圧ビストン 9 1は対向力付与押し付け装置の 1例となる。すなわち、クラヅチを作動させるために上位の制御器で油圧を発生させて油圧ピストン 5に作動油を供給すると、その一部は連通油路 9 2を通り、軸力油圧ピストンへと供給され、入力軸を押す力を発生させている。

さて、上記構成の本発明でのクラッチの動作について説明すれば以下のようである。

まず、油圧ピストン 5に作動油を供給していない状態では第一の摩擦ディスク 2と第二の摩擦デイスク 3は擦り合いにより若干の動力は伝達するものの、その伝達動力は無視できるレベルである。したがって、第一の摩擦ディスク 2と回転方向に固定されたクラッチハブ 2 1、および入力軸 1と、第二の摩擦ディスク 3 と回転方向に固定されたクラッチドラム 4の間の動力伝達は無く、入力軸 1とクラッチドラム 4は互いに自由に回転する。クラッチドラムに形成された動力伝達ギヤ 2 2と出力軸 8の被動力伝達ギヤ 2 3は嚙み合い、被動力伝達ギヤ 2 3は出力軸 8に回転拘束されているので、入力軸 1と出力軸 8との間の動力伝達は無い状態である。

クラッチを作動させて、動力を入力軸 1から出力軸 8へ伝達しょうとする場合、図示しない上位の制御器から圧力を制御した作動油を油圧ビストン 5へ供給し、油圧ピストン 5からクラッチ押し付け力 F Pを発生させる。油圧ピストン 5が発生した押し付け力は、操作ベアリング 2 7を絰てプレッシャープレート 6へ伝えられ、皿ばね 7を介して、第一の摩擦ディスク 2·と第二の摩擦ディスク 3からなるクラッチパックを押し付ける力を作用させる。ここで、クラッチパックは、クラヅチハブ 2 1に Cリング 1 2により軸方向の変位を規制されているのでクラツチパックはプレヅシャープレート 6と Cリング 1 2の間に挟み込まれ、第一の摩擦ディスク 2と第二の摩擦ディスク 3は押し付けられて摩擦による伝達トルクを生じる。よって、入力軸 1に伝えられている動力は、入力軸 1からクラヅチハブ 2 1、第一の摩擦ディスク 2、第二の摩擦ディスク ' 3、クラッチドラム 4、動力伝達ギヤ 2 2、被動力伝達ギヤ 2 3、出力軸 8の順で伝えられ、入力軸 1から出力軸 8へ動力の伝達を得る。

ここで、油圧ピストン 5に供給された作動油の一部は連通油路 9 2を通じて軸力油圧ビストン 9 1へと流れ、軸力油圧ビストン 9 1は入力軸 1を押す力を発生する。

ここで、動力伝達ギヤ 2 2は歯すじがつるまき線であるヘリカルギヤである。へリカルギヤは歯すじが傾いていることにより、嚙み合い率がなめらかに変化するため静寂であり強度も高いものであるが、スラストカを生じてしまう欠点がある。本実施例ではギヤに生じるスラスト力 F Gとクラッチの押し付け力： F Pが対向するように設置し、かつ軸力油圧ピストン 9 1による軸押し付け力 F A 1をさらに作用させて、確実にクラッチがトルクを伝達する領域では、クラッチの押し付け力 F Pと軸押し付け力 F A 1の和が常にスラス卜力 F Gよりも大きくなるように構成している、すなわち、入力軸はクラヅチの全作動域において、クラッチ押し付け力 F Pから押し付けられる方向に安定して位置し、振動等を発生することが無い。

以上のように、本実施例によれば、ヘリカルギヤのスラスト力に起因する振動や騒音、またヘリカルギヤを用いた変速機を搭載する自動車の乗り心地を改善することができる。また、クラッチの非作動時は軸押し付け力も作用しないため、変速機の摩擦損失を低く抑えることができ、効率の良い変速機とすることができ

Claims

1 . トルクの入力軸と、該入力軸に平行あるいは同心に配置されたトルクの出力軸と前記入力軸もしくは出力軸の軸上に同心的に、かつ回転方向に拘束されて配置されたクラヅチハブと、該クラッチハブ上に、回転方向に拘束されて配置される第一の摩擦ディスクと、第一の摩擦ディスクに同心的に配置される第二の摩擦賓

ディスクと第二の摩擦ディスクを回転方向に拘束して保持する保持部材と、前記 'クラッチハブが設けられる前記入力軸もしくは出力軸のいずれかの軸に回転自由の M

に保持される第一のギヤと、他方の軸に回転方向に拘束されて保持され、第一のギヤと嚙み合う第二のギヤと、第一の摩擦ディスクと第二の摩擦ディスクとの間で作用し、第一の摩擦ディスクと第二の摩擦ディス囲クとの間で摩擦力を発生させるクラッチ押し付け装置とを有するクラッチ装置において、

第一のギヤと第二のギヤとの嚙み合いによって発生した軸方向のスラストカを受ける部材（前記クラッチハブ自体を含む。）を設け、該スラスト力を受ける部材にスラスト力と対向する方向に押し付け装置（前記クラッチ押し付け装置自体を含む）を押し付け力が、第一の摩擦ディスクから第二の摩擦ディスクにトルクが伝達されている状態のときは、常時前記スラスト力よりも大きいかもしくは小さく設定して押し付け装置（前記クラッチ押し付け装置自体を含む）設けてあること

を特徴とするクラッチ装置。

2 . 請求項 1において、前記押し付け装置は、前記クラッチ押し付け装置単体で構成されることを特徴とするクラッチ装置。

3 . 請求項 1において、前記押し付け装置は、前記クラッチ押し付け装置と前記スラストカを受け部材に押し付け力が作用する対向力付与押し付け装置とから構成することを特徴とするクラッチ装置。

4 . 言冑求項 3において、前記対向力付与押し付け装置は、前記押し付け装置の押し付けが作用し、前記クラッチハブによって受けられたプレヅシャープレ一トを摺動可能に保持するプレッシャープレート押えとケースとの間に設けられたスプリング、油圧装置、電気モ一夕もしくは電磁ソレノィド装置によって構成されることを特徴とするクラッチ装置。

5 . トルクの入力軸と、該入力軸に平行あるいは同心に配置されたトルクの出力軸と、前記入力軸の軸上に同心的に、かつ回転方向に拘束されて配置されたクラツチハブと、該クラッチハプ上に、回転方向に拘束されて配置される第一の摩擦ディスクと、第一の摩擦ディスクに同心的に配置される第一の摩擦ディスクと、第一の摩擦ディスクに同心的に配置される第二の摩擦ディスクと、第二の摩擦デイスクを回転方向に拘束して保持する保持部材と、前記入力軸に回転自由に保持される第一のギヤと、前記出力軸に回転方向に拘束され、第一のギヤと嚙み合う第二のギヤと、第一の摩擦デイスクを第二の摩擦ディスクに押し付けて第一の摩擦ディスクと第二の摩擦デイスクとの間で摩擦力を発生させるディスクを押し付け装置および第一の摩擦デイスクを第二の摩擦デイスクから復原する復原装置とを有するクラッチ装置において、 .·

.第一のギヤに突出部を設けて第一のギヤと第二のギヤとの嚙み合いによって発生した軸方向のスラストカを前記クラッチハプで受け、該クラッチハブには前記ス.ラスト力と対向する方向に押圧する押し付け装置を設けたこと

を特徴とするクラッチ装置。

6 . トルクの入力軸と、該入力軸に平行あるいは同心に配置されたトルクの出力軸と、前記入力軸の軸上に同心的に、かつ回転方向に拘束されて配置されたクラツチハブと、該クラッチハブ上に、回転方向に拘束されて配置される第一の摩擦ディスクと、第一の摩擦ディスクに同心的に配置される第一の摩擦ディスクと、第一の摩擦デイスクに同心的に配置される第二の摩擦デイスクと、第二の摩擦デイスクを回転方向に拘束して保持する保持部材と、前記入力軸に回転自由に保持される第一のギヤと、前記出力軸に回転方向に拘束され、第一のギヤと嚙み合う第二のギヤと、第一の摩擦デイスクを第二の摩擦デイスクに押し付けて第一の摩擦ディスクと第二の摩擦デイスクとの間で摩擦力を発生させるディスクを押し付け装置および第一の摩擦デイスクを第二の摩擦デイスクから復原する復原装置とを有するクラヅチ装置において、

第一のギヤと第二のギヤとの嚙み合いによって発生した軸方向のスラスト力と対向する方向に押圧する押し付け装置を前記ディスク押し付け装置および前記クラッチハブに前記スラスト力と対向する方向に押圧する対向力付与押し付け装置とで構成したこと

を特徴とするクラッチ装置。

7 . 請求項 6において、前記対向力付与押し付け装置は、前記押し付け装置の押し付けが作用し、前記クラッチハブによって受けられたプレッシャープレートを摺動可能に保持するプレッシャープレート押さえとクラッチ本体との間に設けられたスプリング、油圧装置、電動モー夕もしくは電磁ソレノイド装置によって構成されることを特徴とするクラッチ装置。

8 . 請求項 7において、前記ディスク押し付け装置は油圧ピストン機構であり、また対向力付与押し付け装置も油圧ビストン機構であり、双方の油圧ビストシ機構の作動油室を連通油路で接続したことを特徴とするクラヅチ装置。