明 細 書
キャンペーン動的適正化システム及びその方法又はその方法を記録した 記録媒体及びその方法を伝送する伝送媒体
技術分野
[0001] この発明は、キャンペーンを動的に適正化するためのシステム及びその方法又は その方法を記録した記録媒体及びその方法を伝送する伝送媒体に関する。詳しくは 、展開中の広告キャンペーンについて、利用可能なトラッキングツール力 得られる 情報に基づき動的に修正をカ卩え、広告キャンペーンを適正化するためのものである。 背景技術
[0002] 現在の広告キャンペーンは高度にカスタマイズドされており、その計画立案には、 広告代理店側の担当者の勘と膨大な手作業を必要とするものであり、またその成果 の分析自体にもかなりの手間を要するものとなって 、る。
[0003] これまでにも、広告代理店側の担当者の作業負担を緩和すベぐさまざま広告枠選 択支援ツールが既に提案されている。例えば、複数の広告媒体に亘つて横断的に広 告枠を選択するためのシステムであって、消費者と各広告媒体との接触確率データ に基づいて、広告媒体種毎に獲得費用の範囲内で順次広告枠を選択し、接触確率 のトータルを広告枠の獲得費用で除した値が最大となるようにした、広告枠選択方法 及びそのシステムが提案されている。(特許文献 1参照。)
[0004] この特許文献 1に例示される広告枠選択手法は、広告の消費者への到達回数が増 大すれば、間接的に特定のブランドについての相応の広告効果も向上することが期 待できるという経験則に基づくシステムであり、広告キャンペーンの立案支援ツールと しては、有効であり、現場における担当者の作業負担を大幅に緩和してくれるもので ある。
[0005] し力しながら、仮に視聴者等一般消費者に対する広告到達が期待どおりであつたと しても、必ず所定の確率で購買活動に直結する力否かについては精緻な検証を経 たものではない。しかも、広告キャンペーンは、通常、当初計画に従って進められるこ とを前提としており、所定の期間経過後の見直しはあるとしても、短期若しくはリアル
タイムでの修正は、ほとんど想定されていない。
[0006] 一方、例えば、特許文献 2のように、これまでの各企業の財務データに基づ 、て決 定木を作成し、該決定木に基づきベイズの定理を利用して、ある企業に債務不履行 の発生する確率を決定する方法が開示されるとともに、同様な手法によって、自動車 事故の発生確率や火災事故の発生確率及び地震の発生確率を決定する方法が開 示されている。また、特許文献 3ではベイジアンネットワークと呼ばれる変数間の因果 関係を表した有向非巡回グラフによる確率推論の方法を用いた、顧客力ものプリンタ の故障問 、合わせに対する自動化診断システムを実現する方法が開示されて!、る。
[0007] また、非特許文献 1には、マハラノビス-田口-システム(以下、「MTシステム」 t ヽぅ 。)におけるマハラノビス空間及びマハラノビス距離の概念について解説するとともに 、年齢、性及び各検査項目についての 17項目を変数として健常者群並びに非健常 者群に対して MTシステムを適用し、全変数を用いた場合と SZN比が正となる変数 についてのみ用いた場合を比較して、医療診断精度が飛躍的に向上した事例や、 煙検知器による火災警報システムの分野に適用し、料理した場合と火事の場合の経 時的なマハラノビス距離の増大過程における際を分析した事例が記載され、標準的 な集団に対する異常性の判定に MTシステムが有効であることが開示されている。
[0008] 特許文献 1:特開 2002— 24525号公報
特許文献 2 :特開 2000— 259719号公報
特許文献 3:特開 2001—117776号公報
非特許文献 1:「ザインディアンジャーナルォブスタテイクス 2000 (The Indian Journal of Statistics 2000)」, Vol.62, Series B,Pt.2,pp.233— 248
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0009] しかしながら、広告主側の要望水準は、上述の到達優先型の広告枠選択法によつ て享受できる間接的な広告効果に飽きたらず、ある確実性をもった購買結果を期待 できる計画立案に対する関心へと移行しつつある。このため、立案したキャンペーン 計画の適否を正確に分析でき、リアルタイムでその展開中のキャンペーンを修正でき るシステムが期待されて 、る。
[0010] ところが上述の特許文献 1のとおり、広告分野ではこれまでキャンペーン立案支援 ツールの開発に重点がおかれ、その後の修正処理等については、専ら人手に頼りほ とんど特筆すべくシステム開発がなされてこな力つた。
[0011] その大きな理由としては、広告キャンペーンが高度にカスタマイズドしており、機械 処理に不向きでアナリストの経験に頼らざるを得ない部分が多力つたこと、さらには、 視聴者の動向を把握するためのトラッキング技術や処理速度の進展とは対照的に、 そのトラッキングした結果の解析手法にっ 、ては、従来の変数の独立を仮定したモ デルに基づぐクロス集計が主流となっていることなどが要因として挙げられよう。
[0012] これに対し、消費者の購買行動は相互に複雑に絡みあった多数の要因により影響 を受けると一般に考えられ、し力も、その影響の仕方も時事刻々変化していることから 、従来の変数間の独立を仮定したモデリングに基づくクロス集計手法では、そもそも 原理的に限界があった。
[0013] 一方、相互に複雑に影響しあう要因により支配される環境下でのデータ分析手法と しては、特許文献 2及び特許文献 3や非特許文献 1のとおり、ベイジアンネットワーク や MTシステムといった統計学的な推論手法が知られている力 倒産、事故等の発 生確率の算定、故障診断や医療診断といった限定的な利用に留まり、広告、宣伝分 野への応用につ 、てはこれまで報告されて ヽな 、。
[0014] し力も、これまでの利用形態は、単に異常の発生確率を評価したり、個々の状況の 異常性を判定したりといった分析ツールとして利用するに留まり、具体的施策の修正 •立案 ·実行と 、つた決定論的な活用手法にっ 、てはほとんど考慮されて 、な 、。 課題を解決するための手段
[0015] 本発明は、こうした技術的課題を解決するためになされたものであって、次の技術 的事項により特定されるものである。
本発明(1)は、
少なくとも 1種の生活者属性情報と、コミュニケーション条件及びレスポンス結果の何 れカ 1情報を含む少なくとも 1種のコミュニケーション履歴情報をそれぞれ独立に格 納するための複数のフィールドからなる生活者又はトランザクションを単位としたレコ ードを、検索 ·更新可能に記憶した生活者データベース、
各コミュニケーションドライバーに対する出稿条件情報を検索 ·更新可能に記憶した 第 1記憶手段、
前記生活者データベースに格納されたレコードを順次読み出し、前記生活者属性情 報及び前記コミュニケーション履歴情報の各データをそれぞれ規格化し、該規格ィ匕 されたデータを、前記レコードを行とし前記フィールドを列とするマトリックス状の記憶 領域に振り分けて、該行及び Z又列を指定することにより各データを検索可能に記 憶した、第 2記憶手段、
前記第 2記憶手段に記憶されたデータに対し、ベイジアンネットワーク又は MTシステ ムのうちの 1種又は複数種の分析エンジンを用いて、前記レスポンス結果に対する前 記各フィールドの情報の組み合わせにつ 、ての依存性を定量化する、依存性定量 化手段、
該依存性からレスポンス結果に対し有効と判定されるフィールドの情報の組み合わ せを有効フィールドパターンとして抽出する有効フィールドパターン抽出手段、 前記第 1記憶手段に記憶された各コミュニケーションドライバーに対する出稿条件情 報を、前記有効フィールドパターンの各フィールドの情報に整合するように、操作可 能な範囲で更新する出稿条件情報更新手段を備えた、キャンペーン動的適正化シ ステムである。
本発明(2)は、
前記生活者データベースの少なくとも 1つの生活者属性情報に基づいて、生活者デ ータベースに記録されている情報以外の外部情報を検索可能に記録した外部デー タベース、
前記生活者データベースと前記外部データベースに共通する少なくとも 1つの生活 者属性情報及び Z又はコミュニケーション履歴情報を検索子として前記外部データ ベースを検索し、該検索子毎に標準的な外部情報を導出し、該導出された標準的な 外部情報を該検索子に対応する前記生活者データベースのレコードに新規なフィー ルドを設けてそれぞれ追加記録する情報連結手段をさらに備えた本発明(1)のキヤ ンぺーン動的適正化システムである。
本発明(3)は、
前記生活者データベースはリアルタイムに又は定期にデータ更新されるものであるこ とを特徴とする本発明(1)又は(2)の何れか 1発明のキャンペーン動的適正化システ ム。
本発明(4)は、
前記生活者データベースの少なくとも 1種の生活者属性情報に基づいて、接触量に 関するマスメディア情報を検索可能に記憶したマスメディア情報データベースと、 前記生活者データベースと前記マスメディア情報データベースに共通する少なくとも 1種の生活者属性情報を検索子として前記マスメディア情報データベースを検索し、 該検索子毎の標準的なマスメディア情報を導出し、該導出された標準的な外部情報 を該検索子に対応する前記生活者データベースのレコードに新規なフィールドを設 けてそれぞれ追加記録するマスメディア情報連結手段とを更に含み、
前記第 2記憶手段では、前記マスメディア情報が連結された後の生活者データべ一 スに格納したレコードを順次読み出すものであることを特徴とする、本発明(1)一 (3) の何れ力 1発明のキャンペーン動的適正化システムである。
本発明(5)は、
前記マスメディア情報データベースはリアルタイムに又は定期にデータ更新されるも のであることを特徴とする本発明(4)のキャンペーン動的適正化システムである。 本発明(6)は、
前記依存性定量化手段は、
前記生活者データベースのうち、レスポンス結果に力かるコミュニケーション履歴情 報に対応するフィールドを目的変数に関するノードとするとともにその他の生活者属 性情報又はコミュニケーション履歴情報に対応するフィールドをそれぞれ説明変数に 関するノードとして、該各説明変数に関するノードから該目的変数に関するノードへ 至る経路を循環がないように有向リンクによりモデリングする構造学習手段、 前記生活者データベースにおける、前記各ノードに対応するフィールドに記録された データを用いて、該フィールドに記録されたデータのとりうる具体値毎の事前分布を 算出し、該ノードに対する条件付確率表 (CPT)を作成し、該ノードに設定する条件 付確率表設定手段、
前記構造におけるノードが取り得る具体値のすべての組を、コミュニケーションチェ一 ンとして抽出する、コミュニケーションチェーン抽出手段、
該コミュニケーションチェーン毎に、各ノードの前記事前分布と前記条件付確率表 (C PT)に基づいて、レスポンス結果に対する事後確率をそれぞれ算出する事後確率算 出手段を含み、
該各事後確率の値を該具体値の組についての前記依存性とするベイジアンネットヮ ーク分析エンジンであることを特徴とする、本発明(1)一 (5)の何れか 1発明のキャン ぺーン動的適正化システムである。
本発明(7)は、
前記有効フィールドパターン抽出手段は、
前記構造学習手段によりモデリングされた構造を前提として、前記コミュニケーション チェーン毎の同時確率を比較して、該同時確率が所定値以上又はその同時確率の 大きさの順位の高 、コミュニケーションチェーンを、該レスポンス結果に力かるコミュ二 ケーシヨン履歴情報に対し相関性の高い有効フィールドパターンとするものであるこ とを特徴とする、本発明(6)のキャンペーン動的適正化システム。
本発明(8)は、
各コミュニケーションドライバーについての出稿単価情報、宣伝素材の製作費用情報 を検索'更新可能に記憶するコミュニケーション接点データベースと、
少なくとも、宣伝対象の商品又はサービスの対価情報、並びに該宣伝対象の取引に 伴って派生する関連商品又は関連サービスの対価情報を検索 ·更新可能に記憶す る取引条件データベースを更に含み、
前記有効フィールドパターン抽出手段は、
前記コミュニケーション接点データベース力 検索可能な、該コミュニケーションチェ ーンにかかる出稿費用と、前記取引条件データベース力 検索可能な、前記レスポ ンス結果が得られた場合に期待しうる前記取引対価に基づいて,該コミュニケーショ ン毎の投資を考慮した効果を算出する投資考慮効果算出手段を含み,該投資考慮 効果算出手段により算出された投資考慮効果が所定値以上又は上位のコミュニケ一 シヨンチェーンを該レスポンス結果に対し相関性の高いフィールドパターンとして抽出
するものであることを特徴とする、本発明(6)のキャンペーン動的適正化システムであ る。
本発明(9)は、
各コミュニケーションドライバーについての出稿単価情報、宣伝素材の製作費用情報 、並びに所定の生活者属性又はコミュニケーション履歴情報に力かる生活者又はトラ ンザクシヨンに対しコミュニケーション可能な接点情報を検索'更新可能に記憶するコ ミュ-ケーシヨン接点データベースを更に含み、
前記出稿条件情報更新手段は、
前記有効フィールドパターンに基づ 、て、前記有効フィールドパターンに合致するレ コードに対応する生活者又はトランザクションを記生活者データベース力も検索し、 当該レコードにかかる生活者又はトランザクションを有望顧客として同定する有望顧 客検出手段、
該有望顧客に対して直接コミュニケーションを取ることができるコミュニケーションドラ ィバーを前記コミュニケーション接点データベース力 検索するコミュニケーションドラ ィバー選択手段を含み、
前記第 1記憶手段の該選択されたコミュニケーションドライバーにかかる出稿条件情 報を、前記有望顧客に対して適切なタイミングでプッシュ型広告を実行するように更 新するものであることを特徴とする、請求項 7記載のキャンペーン動的適正化システ ムである。
本発明(10)は、
前記コミュニケーション接点データベースは、リアルタイム又は定期に更新されるも のであることを特徴とする請求項 8又は 9の何れか 1項記載のキャンペーン動的適正 化システムである。
本発明(11)は、
前記依存性定量化手段が、
前記生活者データベース力もレスポンスに至らな力つた前記レコードを抽出し基準デ ータ群とする、基準データ群抽出手段、
該基準データ群に関する各フィールドの情報の特性量 (m :各特徴量の平均値、 σ:
各特徴量の標準偏差)を算出するとともに、前記特性量により正規化された前記各フ ィールドの情報間の相関係数 (r )を算出し、相関行列 (R)を導出する統計処理手段 前記各フィールドがそれぞれ取り得る値のすべての組み合わせ (y )を、パターンバリ
1
エーシヨンとして導出する、パターンバリエーション導出手段、
前記パターンバリエーション導出手段によって導出された各パターンバリエーション( y )について、次式を用いて前記基準データ群に対するマハラノビス距離 (D 2)をそ
1 1 れぞれ算出するマハラノビス距離算出手段
[数 1]
D,2 = Y, R -1 Y,T / k k :フィールド数、 I:各パターンのレコード 但し、 Y„ = (yi| - mi) ^ ai
(mi:基準データ群に関する各特徴量の平均値、 σ i:基準データ群に関する各特徴量の標準偏差 i :各フィールドの情報)
を含む、 MTシステム分析エンジンであって、
前記各マハラノビス距離 (D 2)を当該具体値の組にっ 、ての前記依存性とするもの
1
であることを特徴とする、本発明(1)一 (5)の何れか 1発明のキャンペーン動的適正 化システムである。
本発明(12)は、
前記有効フィールドパターン抽出手段は、
前記依存性評価手段により評価された前記依存性 (即ちマハラノビス距離)の値が所 定値以上である又はそのランキング上位である所定数のパターンを、該レスポンス結 果に力かるコミュニケーション履歴情報に対し相関性の高い有効フィールドパターン とするものであることを特徴とする、本発明(11)のキャンペーン動的適正化システム である。
本発明(13)は、
前記出稿条件情報更新手段は、
前記生活者データベースのデータ更新時に、該更新されたデータに基づいて、前記 第 2記憶手段に記憶されたデータを更新させるとともに、
該更新された第 2記憶手段の記憶に基づ 、て、前記依存性定量化手段並びに前記 有効フィールドパターン抽出手段の処理を実行させ、
前記第 1記憶手段に記憶された出稿条件情報を新たに抽出された有効フィールドパ ターンにそれぞれ対応する情報に更新するものであることを特徴とする、本発明(11 )のキャンペーン動的適正化システムである。
本発明(14)は、
各コミュニケーションドライバーについて、所定の生活者属性又はコミュニケーション 履歴情報に力かる生活者又はトランザクションに対しコミュニケーション可能な接点情 報を検索'更新可能に記憶するコミュニケーション接点データベースを更に含み、 前記出稿条件情報更新手段は、
前記有効フィールドパターンに基づ 、て、該有効フィールドパターンにかかるレコー ドの生活者又はトランザクションを前記生活者データベース力 検索し、該生活者又 はトランザクションを有望顧客として抽出する、有望顧客検出手段と、
該有望顧客に対してコミュニケーション可能なコミュニケーションドライバーを前記コミ ュ-ケーシヨン接点データベース力 選択するコミュニケーションドライバー選択手段 を含む、
該選択されたコミュニケーションドライバーにかかる前記第一記憶手段に記憶手段に 記憶された出稿条件情報を、前記有望顧客に対して適切なタイミングでコミュニケ一 シヨン可能に更新するものであることを特徴とする、請求項 12記載のキャンペーン動 的適正化システムである。
本発明(15)は、
前記コミュニケーション接点データベースは、リアルタイム又は定期に更新されるも のであることを特徴とする、本発明(14)のキャンペーン動的適正化システムである。 また、本発明(16)— (30)は、それぞれ本発明(1)一(15)に相当する方法の発明
である。さらに、本発明(31)は、本発明(16)— (30)の何れか 1発明のキャンペーン 動的適正化方法をコンピュータにより読み取り可能に記録した記録媒体である。また 本発明(32)は、本発明(16)— (30)の何れか 1発明のキャンペーン動的適正化方 法をコンピュータにより実行可能に伝送する伝送媒体である。
[0017] ここで、「生活者」とは、宣伝活動の対象となり、購買活動を行う個々人の総称であ つて、 TVやラジオにおける、「視聴者」、新聞や雑誌における「閲読者」等を含む。
「メディア」とは、商品やサービスに関する情報を生活者に紹介する際の、情報伝達 を媒介するものの総称である。本発明では、 τν、ラジオ、新聞等のいわゆるマスメデ ィァに限定されない。
「ビークル」とは、同一種類のメディア内で、媒体銘柄差によって区別を要する場合 に、それら個々の銘柄についての総称である。(例えば、 TVにおける Α局 Zaチャン ネル、 B局 Zbチャンネル等、新聞における C紙、 D紙等)
「クリエィティブ」とは、メディアやビークルにぉ 、て媒介される広告作品それ自体の ことで、広告作品単位で区別した 、場合に用いる用語である。
[0018] 「コミュニケーション」とは、広告、宣伝、情報提供等、生活者に対して、自社ブランド を紹介する行為の総称である。いわゆる「マスメディア」に限定されず、アドレッサブル に e-mailを送信するなど、特定の生活者に対して個別に宣伝活動を行うことも含む。
「コミュニケーションドライバー」とは、自社ブランドを顧客である生活者に紹介しうる 、メディアに対する広告の出稿制御を行う機構の総称である。例えば電子メールを宣 伝活動に用いる場合には、そのメールサーバがコミュニケーションドライバーに相当 する。また、 TV、ラジオといった多くの人間の手を介して出稿されるマスメディアにつ いては、広告の出稿スケジュールを管理するための作業管理テーブルであって、マ スメディアの管理者に対して、この作業管理テーブルのスケジュールに沿って出稿の 指示を行うことを前提とする。
[0019] 「生活者属性情報」とは、対象者である生活者の、性別、年齢、職業、住所と!/、つた 生活者又はトランザクションの固有の性質、特徴に関する情報である。
「コミュニケーション履歴情報」とは、生活者が行った、視聴、閲読、購買等の行動の 履歴に関する情報である。
[0020] 「レコード」とは、生活者属性情報やコミュニケーション履歴情報といったひとそろい の情報をシステム上で一括して取り扱うための情報区分で、生活者又はトランザクシ ヨンを単位とする。
「フィールド」とは、レコード中に格納される特定の情報のために割り当てられた領域 を指し、 1レコードは複数のフィールドを含む。
「有効フィールドパターン」とは、レスポンスに対して有効な規格ィ匕後の生活者属性 情報及びコミュニケーション履歴情報のデータ列であって、この有効フィールドパタ ーンと対応する各コミュニケーションドライバーの出稿条件情報とを列毎に比較して、 該各出稿条件の適否を判断するものである。
「依存性」とは、生活者属性情報並びにコミュニケーション履歴情報の情報相互の 依存関係を ヽ、ベイジアンネットワークを利用する態様にぉ ヽては確率をもって表 記され、一方、 MTシステムを利用する態様においては、マハラノビス距離をもって表 示される。
[0021] 「規格化」とは、選択される分析エンジンに適したデータに揃えるための処理のこと で、具体的には、ベイジアンネットワークを利用するシステムでは、 0と 1若しくは有限 個のカテゴリーであり、 MTシステムを利用するシステムにあっては、 0と 1若しくは 0— 1の連続数である。
「生活者データベース」とは、生活者個々の属性情報や、視聴、閲読等を含む視聴 者の行動履歴についての情報を生活者毎に記録し、生活者、属性情報、履歴情報 のそれぞれまたは複数の組み合わせをキーとして、検索、集計可能なデータベース である。生活者を単位とする、生活者属性情報、行動履歴情報の群を 1レコードとし、 各生活者属性情報並びに行動履歴情報をそれぞれ格納するためのフィールドから なる。また、そのデータは随時または定期に更新される。
「マスメディア情報データベース」とは、トラッキングツールを通じて収集されたサン プル生活者のマスメディア情報に対する接触量を集計し、生活者属性及び Z又は接 触機会毎のマスメディア情報に対する標準的な接触量等を算出可能なデータベース である。トラッキングツールを通じて随時更新される。
「コミュニケーション接点データベース」とは、各種生活者に対するコミュニケーショ
ン接点に対する、出稿単価やその出稿における空き情報を含む制限条件等を記憶 し、指定された条件において利用可能な接点や出稿手法を抽出し、それぞれのその 時々の出稿単価を算出しうるデータベースである。
図面の簡単な説明
[図 1]本発明に力かるシステム構成の概略図である。
[図 2]本発明の力かる処理フローの概略図である。
[図 3]本発明におけるデータ連結処理と規格化処理の説明図である。
[図 4]本発明の生活者データベースとコミュニケーション接点データベースに格納さ れた記憶内容の一例を示す図である。
[図 5]本発明の外部データベースの記憶内容の一例を示す図である。
[図 6]本発明の生活者データベース内の各データを統合する過程を模式的に示す図
(その 1)である。
[図 7]本発明の生活者データベース内の各データを統合する過程を模式的に示す図 (その 2)である。
[図 8]本発明の外部データを生活者データベースに連結する過程を模式的に示す図 である。
[図 9]本発明のマルチメディアデータベースを生活者データベースに連結する過程を 模式的に示す図である。
[図 10]本発明の生活者データベースにおけるデータの並びについての説明図であ る。
[図 11]本発明のベイジアンネットワークを利用する場合の規格ィ匕方式についての説 明図である。
[図 12]本発明のベイジアンネットワークを利用する場合の第 2記憶手段におけるデー タの並びの一例を示す図である。
[図 13]本発明の MTシステムを利用する場合の規格ィ匕方式についての説明図である
[図 14]本発明の MTシステムを利用する場合の第 2記憶手段におけるデータの並び の一例を示す図である。
[図 15]本発明の生活者データベースの記憶内容の一例を示す図である。
[図 16]本発明の図 15のデータに対し構造学習されたベイジアンネットワークの概要 を示す図である。
[図 17]本発明のリンクの結線における制限条件の一例を示す図である。
[図 18]本発明の図 16の各ノードにおける確率分布の一例を示す図である。
圆 19]本発明の図 16の各ノードにおける条件付き確率表の一例を示す図(その 1)で ある。
圆 20]本発明の図 17の各ノードにおける条件付き確率表の一例を示す図(その 2)で ある。
圆 21]本発明の図 17の各ノードにおける条件付き確率表の一例を示す図(その 3)で ある。
[図 22]本発明に力かるコミュニケーションチェーンの一例を示す図である。
[図 23]本発明に力かるフィールドパターン別のレスポンス確率ランキングの一例を示 す図である。
[図 24]本発明にかかるフィールドパターン別の期待値ランキングの一例を示す図であ る。
[図 25]本発明のコミュニケーション接点データベースの記憶内容の一例を示す図で ある。
[図 26]本発明に力かるフィールドパターン別の投資対効果 (ROI)ランキングの一例 を示す図である。
[図 27]本発明の生活者データベースの記憶内容の一例を示す図である。
[図 28]本発明に力かるフィールドパターン別のマハラノビス距離のランキングの一例 を示す図である。
[図 29]本発明の MTシステムを採用した場合の第 1記憶手段における出稿プランの 更新過程についての説明図である。
[図 30]本発明に力かるアドレッサブルメディアを用いたプッシュ型広告の処理過程に ついての説明図である。
発明を実施するための最良の形態
[0023] 図 1は、本発明に力かるキャンペーン動的適正化システムを含む、システム構成全 体の概略を示す。本発明のシステムの主要部 1としては、外部のノ スライン B2を介し て中央演算処理ユニット CPUは、生活者データベース DB1とコミュニケーション接点 データベース DB2と接続する。
[0024] この中央演算処理ユニット CPUは、内部バスライン B1を介して第 1記憶手段及び 第 2記憶手段とも接続する。一方、専用の処理ユニットとして、規格化処理エンジン E 1、情報連結エンジン E2、各種の依存性評価用分析エンジン E3、有効フィールドパ ターン抽出ユニット Ul、出稿条件更新処理ユニット U2を含む。
[0025] 一方、中央演算処理ユニット CPUは、ルータ Rと構内ネットワーク LANを通じて、マ スメディア情報データベース DB3やその他の外部情報データベース DB4と連結する とともに、前記第 2記憶手段に記憶した出稿条件に沿って、出稿乃至出稿指示を行う 出稿管理サーノ Serverとも連結する。
[0026] 構外では、インターネットに代表されるネットワークを通じて、各クライアント CL1一 C Lmや各メディア M-1— M-nの通信端末 Telと通信可能に接続している。
なお、各クライアント CL1一 CLmは、ネットワークを通じての e- mailはもちろんのこと、 電話やダイレクトメール等の各種コミュニケーション手段を用いることによって、生活 者 P1— P靡々に接触することができ、一方、各メディアの管理者 M-1— M-nは、新 聞、 TV等、それぞれの管理する情報媒体を通じて、生活者に情報を伝達できる環境 を想定している。
[0027] (ステップ 1)
次に、図 2は、本発明の処理に力かるフローのアウトラインを示す。まず、ステップ 1 として、生活者データベース DB1より、生活者又はトランザクションを単位とするレコ ードを順次読み出し、採用する分析エンジンに合わせた規格化処理を施す。
[0028] なお、このステップ 1の処理に先立ち、マスメディア情報等の間接要因を分析に反 映すベぐ生活者が所定の時点でどの程度ブランド広告に接触しているかといったマ スメディア情報等の外部データベースの情報を前記生活者データベースの各レコー ドファイルに連結させ、分析精度を向上させる予備処理を実行することが望ましい。
[0029] 図 3は、この外部データ連結エンジンの処理の概要を示したものである。外部情報
データベースは、生活者データベースの属性情報または履歴情報のうちの 1つまた はそれ以上の情報を検索子として検索可能に記憶されていることから、それら外部情 報データベースと生活者データベースに共通する情報を基に該外部データベースを 検索し、該情報に該当する生活者の標準的な行動様式情報 (例えば、外部データべ ースがマスメディア情報データベースである場合にあって、接触率等の情報)を導出 し、該情報を生活者データベースの各レコードに新たな項目列を設けて該当する具 体値を割り当てる。
[0030] したがって、検索子として用いた属性情報または履歴情報等が一致する生活者又 はトランザクションにあっては、図 3のとおり、共通の具体値が割り当てられることとなる 。なお、外部情報とは、特にマスメディア情報のように広告 ·宣伝業務に直結した情報 に限るものではなぐ例えば、レスポンスが得られた日付における天気や温度といつ たものであってもよぐ生活者データベースの列情報と共通する情報を用いて検索可 能なデータベースに記憶されて 、る情報であればょ 、。
[0031] この外部情報を連結させる予備処理が済んだ生活者データベースに対し、図 2の ステップ 1の規格化処理が開始される。すなわち、このステップでは、分析エンジンが 利用可能な値 (代表的には 0または 1)に規格ィ匕する。なお、取り扱える値としては、 0 または 1に限らず、使用する分析エンジンに応じて、規格ィ匕の値も選択される。例え ば、ベイジアンネットワークを利用する分析エンジンを採用する場合には、有限個の カテゴリーに峻別可能な値であればよぐ一方、 MTシステムを利用する分析ェンジ ンを採用する場合には、連続数であっても利用できる。規格化処理後のデータは第 2 記憶手段に格納される。
[0032] (ステップ 2)
次に、図 2のステップ 2として、ステップ 1で出来上がった第 2記憶手段に記憶されて いる規格ィ匕されたデータを順次読み出して、利用する分析エンジン E3に導入する。 利用可能な分析エンジンとしては、ベイジアンネットワーク又は MTシステムである。
[0033] そして、この分析エンジン E3は、生活者データベース DB1における各列の情報の 組み合わせと対象とするレスポンス結果の列の情報との間の依存性を導出する。例 えば、ベイジアンネットワークを利用する分析エンジンを採用する場合にあっては、各
列の情報の組み合わせとレスポンス結果の列の情報との間の依存性は確率をもって 表示される。なお、ベイジアンネットワークを構築する際の構造学習のアルゴリズムに ついては、「PCアルゴリズム」といった既知のアルゴリズムを利用することができる。詳 細については実施例で述べる。
[0034] 一方、 MTシステムを利用する分析エンジンを採用する場合も、生活者データべ一 ス DM1における各列の情報の組み合わせとレスポンス結果の列の情報との依存性 を導出する。但し、 MTシステムを利用する分析エンジンにあっては、依存性は、マハ ラノビス距離をもって表示される。
[0035] (ステップ 3)
次にステップ 3として、ステップ 2で導出された依存性に基づいて、所期のレスポンス に至る可能性が高 、と予想される各列の情報の組み合わせ、すなわち第 2記憶手段 における各フィールドの具体値によって構成されるパターンを導出する。
[0036] ここで、ベイジアンネットワークを利用する分析エンジンを採用する場合には、所期 のレスポンス結果の得られる確率又はその投資考慮効果の大きい各列の情報の組 み合わせが抽出される。一方、 MTシステムを利用する場合には、マハラノビス距離 の大き 、各列の情報の組み合わせが抽出される。こうして得られた各列の情報の組 み合わせ(すなわちレコード内データの並び)を「有効フィールドパターン」と呼ぶ。
[0037] (ステップ 4)
さらにステップ 4では、この有効フィールドパターンのうち、出稿プランの一環として 制御可能な列の情報のみに着目し、第 1記憶手段に予め記憶されている出稿プラン と照合する。もし第 1記憶手段に記憶されている現行の出稿プランと導出された有効 フィールドパターンが一致しない場合には、出稿予算等の制限条件下で操作可能な 範囲で、有効フィールドパターンに整合させるように更新処理を実行する。
[0038] なお、必ずしも現行の出稿プラン自体を修正する必要はなく、現行の出稿プランは そのままで、例えば、 e-mailやダイレクトメールといった他のメディアを通じて宣伝する t ヽつた出稿プランに追加する場合を含む。
[0039] (ステップ 5)
各コミュニケーションドライバ一は、前述のステップ 4により修正された第 1記憶手段
の記憶内容をリアルタイム又は定期に照会し、その記憶内容に沿って以降の宣伝キ ヤンぺーンを修正して出稿する若しくは出稿の指令を伝達する。このメディアドライバ 一側のステップは、この本発明のシステムと必ずしも一体ィ匕して 、る必要はな 、。
[0040] 具体的には、出稿管理サーバ(Server)が想定され、該出稿管理サーバはターゲッ トたる生活者に対して直接宣伝用の電子メールを送信したり、各サイトを通じて表示 される広告の出稿内容や出稿条件を変更制御したりするものである。さらに、図 1の 各クライアント(CL1一 CLm)のように、本発明のコミュニケーションドライバ一としては インターネットのバナー広告管理サーバのように直接的な出稿制御を行うものに限ら れず、各クライアント若しくはメディアの管理者端末力 の広告、宣伝の出稿条件の 照会に応じて、修正されたプランを提示するといつた間接的な出稿制御する場合を 含み、属人的要因の介在しない形で、一律に出稿管理される形態であればよい。 なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に 組み入れられる。
実施例 1
[0041] 次に、各ステップにおける処理の詳細について、本システムを具体データに適用し た場合を事例として説明する。実務上の運用に適したシステムにおいては、図 4に例 示するように、各データベースには、それぞれの入力形態乃至トラッキング形態に応 じて独立にデータが格納されていることから、図 2におけるステップ 1の規格ィ匕処理に 先立ち、データ連結等の必要な予備処理を行うことが望ましい。
[0042] 先ず、図 4の各データベースにおける個々のデータの格納状況について説明する 。生活者データベースには、生活者属性情報に力かるデータとして、各生活者の在 住地域 (例えば、「東京都」、「北海道」、…等)のエリアについて情報、性別(「男」と「 女」)についての情報、年齢についての情報など力 生活者 IDに基づいて格納され ている。なお、生活者属性情報としては、これらの情報に限られるものではなぐ区分 の仕方もこれに限らない。
[0043] また、生活者データベースには、コミュニケーション履歴情報についても格納されて おり、ここでは、「TV用 DB」、「新聞用 DB」、「バナー用 DB」、 「web用 DB」等、メディ ァ単位でそれぞれ別々に生活者 IDに基づいて格納する方式を例示している。現行
の生活者のコミュニケーション履歴のトラッキング手法力もみて、図 4のように属性情 報のほか、各メディアを単位として格納しておき、予備処理として生活者 ID毎に集計 し直す方式が望ましい。
[0044] 例えば、図 4のとおり、生活者データベースには、生活者個々がどのメディアを通じ てどのように CF等の広告に接触し、何時どのようにレスポンスしたかにつ 、ての情報 が順次格納される。時間、ビークル、番組名、接触したクリエィティブ、オファー、レス ポンス方法、レスポンス内容はもちろんのこと、 TVにあっては、広告枠の秒数、新聞 にあっては、掲載面、段数、バナーにあっては、ロケーション、スペース、 webにあつ てはページなどと 、つた情報にっ 、ても可能な範囲で格納することが望ま 、。
[0045] 一方、図 5のとおり、マスメディア情報データベースには、 CF等の広告との接触に ついての多数の生活者についての情報が格納されており、生活者データベースの生 活者属性情報やコミュニケーション履歴情報のうち接触時間などの情報項目に関し 条件が一致する生活者の平均的な CFに対する接触回数や広告に対する接触確率 を集計可能になっている。
[0046] 生活者データベースの生活者の最小区分に合わせて、それぞれの接触回数及び 接触確率を導出している。なおここでは、接触するタイミングについても考慮するため 、キャンペーン期間中のどのタイミングで接触したかによつて、同じ生活者属性のレコ ードであっても、接触回数は異なることになる。
[0047] さらに、本発明では、生活者データベースと共通する項目を有する外部データであ れば、そのデータを加味して分析することが可能である。ここでは、図 5の DB4のとお り、レスポンスに対し天候が影響する可能性が予想される場合に、マスメディア情報 のほかに外部データ力 天候のデータを外部力 調達して分析する場合について例 示する。具体的には、接触日のそのエリアにおける天候(晴、曇、雨、 · · ·)を外部デ ータベースから援用した。
[0048] また、コミュニケーション接点データベース DB2には、生活者と接触した際の、エリ ァ、年月日及び時間と、ビークル、番組、掲載面乃至ロケーション、秒数、段数乃至 スペースといった条件から、該接点を利用するための単価など情報が割り出せるよう に構成されている。
[0049] なお、第一記憶手段 Mlには、何時、どのメディア、ビークル等、どう 、つた内容の 広告を出稿するかといった管理情報が記憶されており、接触した際の番組名と時間 しか分力 ない場合にあっても、その情報で第一記憶手段の情報を照会することによ り、秒数やクリエィティブと 、つた詳細情報を補足することができるように構成されて ヽ ることが望ましい。
[0050] 以上の蓄積データに基づ 、て、各分析エンジンにおける使用に適したデータ群と するために、次のような工程を踏んでカ卩ェする。まず、生活者データベースには、同 一の生活者が複数回コミュニケーションして 、る可能性があるので、これらのデータを まとめ、生活者 ID毎に集計する。この過程を模式的に示したのが図 6である。
[0051] 図 6の例では、 ID00001の生活者は、トラッキング期間内に 2回 webにアクセスして いたことから、 2つの履歴を有しているので、これらの履歴を ID毎にまとめ直している
[0052] 同様に、属性情報と複数のコミュニケーション履歴情報が別々に集計されているた め、生活者 ID毎にまとめる過程を例示したの力 図 7である。端的には、各素表が ID を検索子として横方向に順に連結される工程である。
[0053] 次に、外部データベースの情報を連結する際の過程を、具体値をもって模式的に 示したのが、図 8である。外部情報データベース DB4と生活者データベース DM 1の 共通する項目は、この場合、「エリア」と「年月日」の情報であるので、それぞれのレス ポンスのあったエリアと年月日の情報力もその際の天候情報を割り出し、各レスボン ス履歴に天候の情報を追加する。即ち、システム上では、その天候の情報を格納す るためのフィールドがレスポンスの種類毎に追加される。
[0054] 同様に、マスメディア情報データベースのデータをさらに連結する過程を模式的に 示した図が図 9である。この事例では、マスメディア情報データベースと生活者データ ベースとで共通する項目は、「エリア」、「年月日」、「時間」、「性別」、「年齢」があるの で、これらの情報を検索子として、それぞれの条件に該当する集団の平均的なレスポ ンス時点までの該 TVCFに対する接触回数や雑誌広告に接触している可能性として の接触確率のデータを追加する。
[0055] ここで、マスメディア情報を初めとして外部情報は、広く同様な生活者集団に対して
影響を及ぼし、レスポンスの一因を構成することになると予想されることから、各レスポ ンスにそれぞれ独立してフィールドが追加される。即ち、例えば、同一の生活者が T Vをみて商品 Aの資料請求を行い、別の日に再度 TVをみて商品 Aを購入することが 想定されるが、資料請求を行う際の TVCFの接触回数と、購入する際の TVCFの接 触回数では当然異なることから、接触に関する欄はレスポンス毎に別々に追加される
[0056] 以上の処理を通じて生活者データベースの情報が拡充され、分析エンジンにかけ る元となるデータ群が完成する。その際の生活者 IDを単位としたファイル内のデータ 配置についての一例を図 10に示す。この例では、「生活者属性に関する情報」、「T VCFに関する履歴情報」、「新聞広告に関する履歴情報」、「バナー広告に関する履 歴情報」、「商品資料請求時の履歴情報」、「商品購入時の履歴情報」の順で連結し 配列した。なお、この順に限るものではないし、連結される情報もこれらに限られない
[0057] なお、この時点においても、生活者データベースに格納されている情報は、都道府 県名や実年齢と ヽつた具体値であるので、このままでは分析エンジンに導入できな!/ヽ 。そこで、図 2のステップ 1を実施して、使用する分析エンジンに適したデータ形態に 変換するための規格化処理を施す。
[0058] 例えば、ベイジアンネットワークを利用する分析エンジンを用いる場合と、 ΜΤシス テムを利用する分析エンジンを用いる場合とでは、前述の通り、図 2のステップ 1にお ける規格化処理が異なる。
[0059] まず、ベイジアンネットワークを利用する分析エンジンを用いる場合について説明 する。ベイジアンネットワークにおける各ノードでは少なくとも有限個の事象となる必 要があることから、生活者データベースの各欄について、有限個に展開する必要が ある。
[0060] すなわち、図 11に例示するとおり、「性別」に関する列は、男であれば 1、女であれ ば 0とすればよいことから、性別についての欄を区分する必要はない。一方、例えば「 年齢」等の連続数が記憶されている列については、便宜的な区分を導入して有限個 の区分に展開する必要がある。例えば、「19歳まで」、「20— 35歳」、「36— 50歳」、
「51歳以上」の 4つの区分に展開するなどの処理が必要になる。
[0061] また同様に「年月日」も 4季に区分するとともに月の「上旬」、「中旬」、「下旬」に区分 した。時間も「朝」、「昼」、「夜」に区分した。さらに、「平均接触回数」や「平均接触確 率」については、「多」、「中」、「少」に区分した。但し、この分け方に限られるものでは ない。
[0062] 図 11のようにして、生活者データベースの生活者 ID毎のすべての情報を、「1」又 は「0」に変換し、該変換後のデータを第 1記憶手段に格納するのが、ステップ 1であ る。なお、この生活者 ID毎の「1」又は「0」の数値の並びのことをそれぞれ「フィールド パターン」と呼ぶ。図 12にベイジアンネットワークを利用する分析エンジンを適用する 際の第 2記憶手段における記憶内容の一例を示す。
[0063] なお、説明の簡便さのために、「1」又は「0」としたが分析エンジンにおける計算量 の爆発を抑止するために、必ずしも「1」又は「0」の 2値化する必要はなぐ有限個数 であれば多値ィ匕することでデータを圧縮することもできる。さらに、幾つかの関連する 項目をまとめて、ひとつのノードとして処理するクラスタリング処理も有効である。
[0064] 一方、 MTシステムを利用する分析エンジンを用いる場合については、ベイジアン ネットワークを利用する場合と一部類似するが少し異なる規格化処理を実行する。図
13に模式的にその過程を示す。
[0065] MTシステムを利用する分析エンジンでは、連続数であっても、そのまま適用するこ とが可能であるので、例えば、「年齢」、「年」、「月」、「日」、「時」、「秒数」、「平均接触 回数」、「平均接触確率」等の元々数値であるデータについては、その数値をそのま ま適用することが可能となる。この点がベイジアンネットワークを利用する分析ェンジ ンを適用する場合の規格化処理と大きく異なる点である。
[0066] こうして生活者データベースに格納された実データは、規格化処理が施され、「0」 又は「1」、若しくは連続数の形で第 2記憶手段に格納される。格納後の第 2記憶手段 の記憶内容の一例を図 14に示す。同一行のデータの並びが同一の生活者に関する データであり、同一列のデータが同一の属性情報又は履歴情報に関するデータとな る。
実施例 2
[0067] 次に、図 2のステップ 3の情報の組み合わせとレスポンス結果の間の依存性を求め る処理工程について、図 15に例示したレコード群を用いて説明する。すなわち、説 明変数としては、「月末」か否か、「平日」か否力、祝日以外力否力、ビークルとして「 α新聞」か否か、「j8新聞」である力否力 「B商品広告」であるか否力、掲載紙面の 大きさが「15段」か否か、「TVCF接触量が少ない」か否力 「A商品広告」である力否 力 「新聞広告接触量が少ない」か否かの 10項目とし、一方目的変数としては、レス ポンス結果に力かる「保険契約」の有無を採用した。
[0068] この図 15に示す第 2記憶手段の各ファイルに対し、ベイジアンネットワークの分析ェ ンジンを適用した場合の処理について説明する。ベイジアンネットワークは、変数を 表すノード、およびノード間の因果関係を表す有向パス力 なる確率ネットワークであ る。その確率ネットワークは次式の同時確率分布で表現することができる。
[数 2]
Pr(x x2,x3……,xn)
= Pr(X
1) - Pr(X
2) - ...Pr(x
2 |
=n = 1 Pr( x i l 兀 x i :子ノード (i=1,2...... n) 兀 親ノード(i = 1,2 · ·■■·. n)
Pr(X i I )(1 = 1,2,.. .11)の確率分布は、条件付確率テーブルで記述 ここで、構造学習手段を適用して構築された、コミュニケーションチェーンをまとめた ベイジアンネットワークを図 16に示す。
[0069] ベイジアンネットワークのグラフ構造をデータ力 決定する構造学習にお 、ては、公 知の Pし/'ノレコリズム (Spirtes, P., C. Glymour, and R. bcheines: Causation, Prediction and Search, No. 81 in Lecture Notes in Statistics. New York:
Springer- Verlag(1993) PI 16- 123を参照)を用いた。 PCアルゴリズムとは、従属関係 に関する統計的検定に基づいてデータ力 ベイジアン 'ネットワークの構造を構築す るアルゴリズムである。ただし、グラフ構造を決定するために用いるアルゴリズムにつ
いては、特に PCアルゴリズムに限定されるものではない。ここで図 16におけるべイジ アンネットワークは次式で記述される。
[数 3] ρ「(χ月末, X祝日以外, xA商品広告 ,χ保険契約)
= p「(x月末) · ρ「(χ祝曰以外) ' · · · ρ「(χ月末 I X祝曰以外)
'•■■P「(x保険契約 I X月末, X祝曰以外…, XTVCF接触量) この時、 X:月末、 X:祝日以外、 X :A商品広告、 X:段数、 X:平日、 X: B商品広告、
1 2 3 4 5 6
X:掲載紙、 X:新聞広告接触量、 X: TVCF接触量、 X :保険契約に対応する。
7 8 9 10
[0070] ここで、 PCアルゴリズム用いたグラフ構造の学習に先立ち、図 17に示す各変数間 の制限条件を指定した。これによつて広告分野における変数間の因果関係について 、既知の知見を導入することが可能となり、現実的なグラフ構造を得られる力 である 。この事例では、保険契約の有無が、 日付規定項目(月末、祝日以外、平日)、新聞 及び TVCFの広告接触量、さらには掲載紙、段数、広告商品名に対して影響しない ことは既知の事柄であることから、この向きのリンクの結線に対して禁則したものであ る。
[0071] 一方、掲載紙、段数、広告商品名と、新聞又は TVCF接触量とは、双方向に影響 しないことが知られており、図 17中の X付き実線は、これらのノード間で双方向にリン クを結線しな 、ことを示して 、る。
[0072] グラフ構造が決まった後のベイジアンネットワークにおいて CPTを学習する場合、学 習に用いるデータセットが全ての確率変数の組み合わせにつ 、て存在する場合は、 CPTの全ての項を学習することが可能である力 今回のようにグラフ構造の全ての起 こりうる組合せを含まなカゝつたり、観測されな ヽ変数を含む場合には未観測データに 対しての確率分布を推定する必要がある。今回は観測できな 、変数の値を観測でき るものから推定することができる公知の EMアルゴリズム(A.P. Dempster, N.M. Laird, and Rubin D.B. : Maximum likelihood from incomplete data via the EM algorithm,
Journal of the Royal Statistical Society B, vol. 39, p. 1-38 (1977)を参照)を用いた。 ただし、グラフ構造が決定した後の CPTを学習するために用いるアルゴリズムにつ ヽ ては、特に EMアルゴリズムに限定されるものではな!/、。
[0073] ここで EMアルゴリズムの結果、学習された各ノード対する確率分布は図 18のとおり となる。さらに、学習された各ノード毎における条件付き確率表を図 19一図 21に示 す。例えば、図 16のとおり、「掲載紙」のノードでは、親ノードとして、「月末」のノード、 「平日」のノード及び「段数」のノードが関与すると構造学習されているので、条件付き 確率表は、親ノード側の条件が「月末」、「月末以外」、「土日」、「平日」、「30段」、「1 5段」の組み合わせに対してそれぞれ「ひ新聞」、「j8新聞」、「その他」の組み合わせ があり得るので、図 20 (g)のとおり 8行 X 3列の表となる。
[0074] 一方、「保険契約」のノードには、該ノードへ向かう親ノードが 5つあり、うち 4つは 2 値型であり、他の 1つは新聞の銘柄が 3つに類型化されていることから、図 21のとおり 、 48行 X 2列の表となる。
[0075] このようにベイジアンネットワークが構築されると、前記において学習された確率分 布を事前確率として、各パターンにおける事後確率を推論することが可能となる。事 後確率の推論では、ネットワーク全体を親力も子の向きと子力も親の向きにたどって 確率を計算していき、その両者を統合する belief propagation (J.Pearl: Probabilistic reasoning in intelligent systems , Morgan Kau&iann (1988) P150— 177 照リと ヽっ 計算手法が確立されている。但し、図 16に示すように、リンクの向きを考慮しないでネ ットワークを見たときにどこか 1つでもパスがループしている部分がある multiply connectedと呼ばれるネットワークの場合には、ベイジアンネットワークの正確な更新 は NP困難であることが証明されている(Cooper, G. F. : The Computational complexity of Probabilistic Inference using Bayesian Belief Networks, Artincial Intelligence, 42:p.393-405, (1990)を参照)。力かる問題に対処するために、今回は junction tree ノレゴリズム (Jensen, F.V., Launtzen, b.L., and Olesen, K.u.: Bayesian updating in causal probabilistic networks by local computations.
Computational Statistics Quarterly, 4, p.269- 282 (1990)を参照)を用いた。 Junction treeアルゴリズムは有向グラフ構造を無向グラフにした上で、ノードを併合したクラス
タを作っていくことで、ネットワーク構造を多重木に変換することで belief propagation における計算上の課題を解決している。ただし、ベイジアンネットワークの確率推論 においては、特に junction treeに限定されるものではない。
[0076] 前記グラフ構造および条件付き確率を学習済みのベイジアンネッワークにぉ 、て、 junction treeアルゴリズムを用いると、図 22に例示されるように、「月末以外」に「 j8新 聞」に掲載し、「新聞広告接触量」の少な 、生活者に対してコミュニケーションを行 ヽ 、「保険契約」に至らないことが起こる同時確率は、「96.9%」と計算される。
[0077] このように構造学習済みのベイジアンネットワークを前提とすれば、事前確率から各 ノ ターンにおける事後確率を、不確実な情報力もでも推論することが出来るので、広 告分野のように完全に観測できな 、事象における意思決定への効果的な活用が可 能となる。
[0078] 以上の計算を、制限条件である「α新聞」への出稿を前提とした場合におけるすべ てのコミュニケーションチェーンについて実行し、該「保険契約」の成約に至る確率の 高い順に並び替えを行った結果(レスポンス確率ランキング)を図 23に示す。「当月」 分のメディアプランは、図 23の表の上から 7番目のパターンであり、キャンペーンの進 展に伴い、さらに効果的なコミュニケーションチェーンが新たに出現したことを示して いる。
[0079] 従って、「当月」分にパターンに代えて、該ランキングの上位のパターンを次計画期 間である「来月」のメディアプランとして採用すれば、成約確率が高まることが期待で きる。そこで、本実施例では、第一記憶手段の記憶内容を図 23のランキングの 1位の パターンに更新した。
[0080] ここでは、処理を簡便にするために、レスポンス確率ランキングの最上位の 1パター ンを「有効フィールドパターン」として選択した力 これに限るものではなぐ複数のパ ターンを併用する態様、クライアント予算の範囲や出稿枠との兼ね合いを考慮する態 様、所定のレスポンス確率以上のものを全て選択する等、種々の選択方式が考えら れる。
実施例 3
[0081] 実施例 2では、レスポンス確率又はそのランキングをそのまま用いて第 1記憶手段
に格納される有効フィールドパターンを求めたのに対し、ここでは、投資額を考慮し た効果をもって有効フィールドパターンを求める。
[0082] すなわち、費用を惜しまず、出稿単価の高!、メディアやクリエィティブを採用したり 高価なオファーを提示したりして大規模な宣伝キャンペーンを展開すれば、当然、良 好なレスポンス機会が得られると予想されるが、費用対効果的にみれば現実的でな いことも予想される。
[0083] そこで、該フィールドパターンに沿った場合の出稿プランに要する費用を考慮した 上で、そのレスポンスによって得られる利益とレスポンス確率との積を用いて、投資考 慮効果を求め、その額またはそのランキングに基づいて有効フィールドパターンを導 出することが望ましい。
[0084] 図 25には、コミュニケーション接点データベース(DB3)の記憶内容が例示してあり 、生活者とのコミュニケーションをとるにあたっての宣伝費用単価がデータベース化さ れている。さらにレスポンスが得られた場合の予想される利益単価についても記憶さ れている。この利益単価については、別の外部データベースを参照することであって も構わない。
[0085] そして、図 24に例示される生活者データベースのレコード群について、実施例 2に 例示されるベイジアンネットワークを利用した分析エンジンを適用する。
[0086] さらに、図 25に例示される前記コミュニケーション接点データベースに記憶される出 稿単価情報と該レスポンスによって得られる利益単価情報に基づ 、て、図 26のとお り投資考慮効果を算出しランキングイ匕する。具体的処理としては、各ノードの事後確 率と該ノードに対応する各単価情報の積を合計することにより、投資考慮効果を算出 する。
[0087] この際、「シャンプー購入」の項目につ 、ては、過去の生活者データベースのデー タを集計するか又は他の一般的なデータベースのデータを採用して該当値を決定す る。
[0088] こうして得られた投資考慮効果の高 、フィールドパターンを有効フィールドパターン として判定し、次の計画期間等の出稿パターンとして採用することもできる。
実施例 4
[0089] 一方、図 15のレコード群に類似した図 27のレコード群に対し、 MTシステムを利用 した分析エンジンを適用し、該マハラノビス距離に基づき有効フィールドパターンを 求めることができる。
[0090] 具体的処理としては、図 27の規格ィ匕処理後のレコード群のうち、レスポンス結果の 得られな力つたレコードのみを抽出しこれを基準データ群として、該基準データ群に 関する各フィールドの情報の平均値 (m )及び標準偏差(σ )等の特性量を求め、さ らに前記特性量により正規化された各フィールドの情報間の相関係数 (r )を求め、 相関行列 (R)を算出する。
[0091] 前記各フィールドがそれぞれ取り得る値のすべての組み合わせ (y )を、パターンバ
1
リエーシヨンとして導出した上で、各パターンバリエーション (y)について、次式により
1
、マハラノビス距離 (D 2)を算出する。
1
画
D,2 = Y, R- 1 Y,T / k k :フィールド数、 I:各パターンのレコード 但し、 Y„ = { , -m. ^ a .
(mi:基準データ群に関する各特徴量の平均値、 σ ,:基準データ群に関する各特徴量の標準偏差 i :各フィールドの情報) ただし、実際には、多くの場合、多重共線性により前記相関行列の逆行列 (R— に 問題が生じることが想定される。多重共線性とは、各フィールド間に強い相関関係が 存在する場合、 RR—1の行列式がゼロに近くなることで、逆行列 (R— が計算不能とな つたり、異常解が算出されたりする現象のことである。力かる問題に対処するために は、相関行列の対角線上に雑音を導入することにより多重共線性を回避する方法( Jittering法)などの近似逆行列を算出する仕掛けを含むことが望ましい。
[0092] その結果をマハラノビス距離の大きさの順に並べたものを図 28として示す。 なお、 現在進行中の出稿プランを「当月」として矢印にて表示した。当月の出稿プランよりも
大きいマハラノビス距離を示すフィールドパターンが検出されたことから、「当月」のメ ディアプランに代えて「次月」のメディアプランを図 26におけるマハラノビス距離の大 きいフィールドパターンと差し替えるベぐ第 1記憶手段の内容を更新した。
[0093] その過程を模式的に図 29に示す。こうした処理を随時または定期に行えば、現在 進行中のメディアプランの時々に適正化し有効性の高 、メディア及び出稿形態を選 択でさるよう〖こなる。
[0094] ここで、各説明変数 (MTシステムでは特徴量とよぶ)を評価に用いた場合と評価に 用いない場合とを比較して、特徴量を絞り込むことができる。具体的には、レスポンス に至ったレコードをレスポンスに至らな力つたレコード群に対する異常値とみて、該異 常値についてのマハラノビス距離を算出し、説明変数の組毎の SN比を算出し、該説 明変数を用いた場合と用いな力つた場合の差を求めて、大きな値を示す説明変数の みを用いて評価することが望まし 、。
[0095] なお、レスポンスの有無を判定する上で各特徴量が有効である力否かを評価して、 有効性の高い特徴量のみを用いてマハラノビス距離を算出する工程を必ずしも踏ま ずとも、トラッキング可能な全ての特徴量を採用して、マハラノビス距離に基づく判定 しても実用上十分な精度をもって判定できる。
実施例 5
[0096] 上述の実施例 3又は 4により得られた有効フィールドパターンを次の計画期間にお ける第 1記憶手段の出稿パターンとして、進行中の宣伝キャンペーンを適正化するこ とができるば力りでなぐさらに説明変数乃至特徴量にかかるパターン力この有効フィ 一ルドパターンと同じであり、未だレスポンスして ヽな 、生活者又はトランザクションで あれば、「有望顧客」であると推測できる。
[0097] そこで、得られた有効フィールドパターンの説明変数に力かるフィールドのパターン に一致するレコードを前記生活者データベース力 検索抽出し、「有望顧客」として 推測し、該パターンを備えた者にアクセス可能なコミュニケーション接点を、コミュニケ ーシヨン接点データベース DM2から検索抽出して、第 1記憶手段 Mlにおける、該 接点に対応するコミュニケーションドライバーをアクティブにすべく記憶内容を更新す る。
[0098] これによつて、有望顧客と推測される生活者又はトランザクションに対し、例えば e-mail等のアドレッサブルなメディアを用いてプッシュ型の宣伝を行うことができる。 実施例 6
[0099] さらに別の態様としては、図 30に例示されるとおり、例えば、前月に収集されたレス ポンスに対し有効性が高 、と考えられるフィールドパターン (例えば,ベイジアンネット ワークを利用した分析エンジンであれば、レスポンス確率が「60%以上」、 MTシステ ムを利用した分析エンジンであれば、マハラノビス距離が「1.2以上」など)が推定され た場合に、これに該当する生活者又はトランザクションで未だレスポンスして 、な 、レ コードを生活者データベース力も検索し、該レコードを「有望顧客」とみなして e-mail 等のアドレッサブルなメディアを用いてプッシュ型宣伝を展開する。
[0100] これにより、 e-mail配信などのプッシュ型宣伝の対象者を絞り、トータルの宣伝費用 を節約できる又は該節約によって生じた予算を有望顧客へのプッシュ型宣伝のため の費用に集中的に振り向けることができるため、宣伝効率を高めることが可能となる。 産業上の利用可能性
[0101] 本発明により、生活者の消費行動に対する影響に基づいて、展開中の広告キャン ぺーンの適否を正確に分析できるとともに、リアルタイム又は短い間隔でそのキャン ぺーン計画を自動的に修正することが可能となった。
[0102] また、本発明では、生活者を消費行動へ誘導する上で、効果的な出稿形式を選択 できるとともに、有望顧客をリアルタイムで同定することができるようになった。
[0103] さらに本発明では、ノンアドレッサブルなマスメディア情報を、アドレッサブルなメデ ィァ情報と同様に生活者個々に紐付けて統一的に取り扱うことができるとともに、メデ ィァ、ビークル、クリエィティブといった異なる次元の広告ツールを同じ指標で評価し 一括して取り扱うことが可能になった。
符号の説明
[0104] 1 本システムの主要部
2 本システムを含む管理センター
CPU 中央演算ユニット
B1 一次バスライン
B2 二次バスライン
El 規格化処理エンジン
E2 外部データ連結エンジン
E3 依存性評価分析エンジン
Ul 有効フィールドパターン抽出処理ユニット
U2 出稿条件更新処理ユニット
Ml 第 1記憶手段
M2 第 2記憶手段
DB1 生活者データベース
DB2 コミュニケーション接点データベース
DB3 マスメディア情報データベース
DB4 その他の外部データベース
R ルータ
PI— Pj 生活者
CL1一 CLm クライアン卜端末
M- 1— M- - n メディア側端末
Server 出稿管理サーバ
Internet インターネット
LAN 構内ネットワーク
DM ダイレクトメール
〒 郵便を含む宅配サービス