JP4767017B2 - キャンペーン動的適正化システム及びその方法又はその方法を記録した記録媒体及びその方法を伝送する伝送媒体 - Google Patents

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Description

この発明は、キャンペーンを動的に適正化するためのシステム及びその方法又はその方法を記録した記録媒体及びその方法を伝送する伝送媒体に関する。詳しくは、展開中の広告キャンペーンについて、利用可能なトラッキングツールから得られる情報に基づき動的に修正を加え、広告キャンペーンを適正化するためのものである。
現在の広告キャンペーンは高度にカスタマイズドされており、その計画立案には、広告代理店側の担当者の勘と膨大な手作業を必要とするものであり、またその成果の分析自体にもかなりの手間を要するものとなっている。
これまでにも、広告代理店側の担当者の作業負担を緩和すべく、さまざま広告枠選択支援ツールが既に提案されている。例えば、複数の広告媒体に亘って横断的に広告枠を選択するためのシステムであって、消費者と各広告媒体との接触確率データに基づいて、広告媒体種毎に獲得費用の範囲内で順次広告枠を選択し、接触確率のトータルを広告枠の獲得費用で除した値が最大となるようにした、広告枠選択方法及びそのシステムが提案されている。(特許文献1参照。)
この特許文献1に例示される広告枠選択手法は、広告の消費者への到達回数が増大すれば、間接的に特定のブランドについての相応の広告効果も向上することが期待できるという経験則に基づくシステムであり、広告キャンペーンの立案支援ツールとしては、有効であり、現場における担当者の作業負担を大幅に緩和してくれるものである。
しかしながら、仮に視聴者等一般消費者に対する広告到達が期待どおりであったとしても、必ず所定の確率で購買活動に直結するか否かについては精緻な検証を経たものではない。しかも、広告キャンペーンは、通常、当初計画に従って進められることを前提としており、所定の期間経過後の見直しはあるとしても、短期若しくはリアルタイムでの修正は、ほとんど想定されていない。
一方、例えば、特許文献2のように、これまでの各企業の財務データに基づいて決定木を作成し、該決定木に基づきベイズの定理を利用して、ある企業に債務不履行の発生する確率を決定する方法が開示されるとともに、同様な手法によって、自動車事故の発生確率や火災事故の発生確率及び地震の発生確率を決定する方法が開示されている。また、特許文献3ではベイジアンネットワークと呼ばれる変数間の因果関係を表した有向非巡回グラフによる確率推論の方法を用いた、顧客からのプリンタの故障問い合わせに対する自動化診断システムを実現する方法が開示されている。
また、非特許文献1には、マハラノビス−田口−システム(以下、「MTシステム」という。)におけるマハラノビス空間及びマハラノビス距離の概念について解説するとともに、年齢、性及び各検査項目についての17項目を変数として健常者群並びに非健常者群に対してMTシステムを適用し、全変数を用いた場合とS/N比が正となる変数についてのみ用いた場合を比較して、医療診断精度が飛躍的に向上した事例や、煙検知器による火災警報システムの分野に適用し、料理した場合と火事の場合の経時的なマハラノビス距離の増大過程における際を分析した事例が記載され、標準的な集団に対する異常性の判定にMTシステムが有効であることが開示されている。
特開2002−24525号公報 特開2000−259719号公報 特開2001−117776号公報 「ザ インディアン ジャーナル オブ スタティクス 2000(The Indian Journal of Statistics 2000)」,Vol.62,Series B,Pt.2,pp.233-248
しかしながら、広告主側の要望水準は、上述の到達優先型の広告枠選択法によって享受できる間接的な広告効果に飽きたらず、ある確実性をもった購買結果を期待できる計画立案に対する関心へと移行しつつある。このため、立案したキャンペーン計画の適否を正確に分析でき、リアルタイムでその展開中のキャンペーンを修正できるシステムが期待されている。
ところが上述の特許文献1のとおり、広告分野ではこれまでキャンペーン立案支援ツールの開発に重点がおかれ、その後の修正処理等については、専ら人手に頼りほとんど特筆すべくシステム開発がなされてこなかった。
その大きな理由としては、広告キャンペーンが高度にカスタマイズドしており、機械処理に不向きでアナリストの経験に頼らざるを得ない部分が多かったこと、さらには、視聴者の動向を把握するためのトラッキング技術や処理速度の進展とは対照的に、そのトラッキングした結果の解析手法については、従来の変数の独立を仮定したモデルに基づく、クロス集計が主流となっていることなどが要因として挙げられよう。
これに対し、消費者の購買行動は相互に複雑に絡みあった多数の要因により影響を受けると一般に考えられ、しかも、その影響の仕方も時事刻々変化していることから、従来の変数間の独立を仮定したモデリングに基づくクロス集計手法では、そもそも原理的に限界があった。
一方、相互に複雑に影響しあう要因により支配される環境下でのデータ分析手法としては、特許文献2及び特許文献3や非特許文献1のとおり、ベイジアンネットワークやMTシステムといった統計学的な推論手法が知られているが、倒産、事故等の発生確率の算定、故障診断や医療診断といった限定的な利用に留まり、広告、宣伝分野への応用についてはこれまで報告されていない。
しかも、これまでの利用形態は、単に異常の発生確率を評価したり、個々の状況の異常性を判定したりといった分析ツールとして利用するに留まり、具体的施策の修正・立案・実行といった決定論的な活用手法についてはほとんど考慮されていない。
本発明は、こうした技術的課題を解決するためになされたものであって、次の技術的事項により特定されるものである。
本発明(1)は、
少なくとも1種の生活者属性情報と、コミュニケーション条件及びレスポンス結果の何れか1情報を含む少なくとも1種のコミュニケーション履歴情報をそれぞれ独立に格納するための複数のフィールドからなる生活者又はトランザクションを単位としたレコードを、検索・更新可能に記憶した生活者データベース、
各コミュニケーションドライバーに対する出稿条件情報を検索・更新可能に記憶した第1記憶手段、
前記生活者データベースに格納されたレコードを順次読み出し、前記生活者属性情報及び前記コミュニケーション履歴情報の各データをそれぞれ規格化し、該規格化されたデータを、前記レコードを行とし前記フィールドを列とするマトリックス状の記憶領域に振り分けて、該行及び/又列を指定することにより各データを検索可能に記憶した、第2記憶手段、
前記第2記憶手段に記憶されたデータに対し、ベイジアンネットワーク又はMTシステムのうちの1種又は複数種の分析エンジンを用いて、前記レスポンス結果に対する前記各フィールドの情報の組み合わせについての依存性を定量化する、依存性定量化手段、
該依存性からレスポンス結果に対し有効と判定されるフィールドの情報の組み合わせを有効フィールドパターンとして抽出する有効フィールドパターン抽出手段、
前記第1記憶手段に記憶された各コミュニケーションドライバーに対する出稿条件情報を、前記有効フィールドパターンの各フィールドの情報に整合するように、操作可能な範囲で更新する出稿条件情報更新手段を備えた、キャンペーン動的適正化システムである。
本発明(2)は、
前記生活者データベースの少なくとも1つの生活者属性情報に基づいて、生活者データベースに記録されている情報以外の外部情報を検索可能に記録した外部データベース、
前記生活者データベースと前記外部データベースに共通する少なくとも1つの生活者属性情報及び/又はコミュニケーション履歴情報を検索子として前記外部データベースを検索し、該検索子毎に標準的な外部情報を導出し、該導出された標準的な外部情報を該検索子に対応する前記生活者データベースのレコードに新規なフィールドを設けてそれぞれ追加記録する情報連結手段をさらに備えた本発明(1)のキャンペーン動的適正化システムである。
本発明(3)は、
前記生活者データベースはリアルタイムに又は定期にデータ更新されるものであることを特徴とする本発明(1)又は(2)の何れか1発明のキャンペーン動的適正化システム。
本発明(4)は、
前記生活者データベースの少なくとも1種の生活者属性情報に基づいて、接触量に関するマスメディア情報を検索可能に記憶したマスメディア情報データベースと、
前記生活者データベースと前記マスメディア情報データベースに共通する少なくとも1種の生活者属性情報を検索子として前記マスメディア情報データベースを検索し、該検索子毎の標準的なマスメディア情報を導出し、該導出された標準的な外部情報を該検索子に対応する前記生活者データベースのレコードに新規なフィールドを設けてそれぞれ追加記録するマスメディア情報連結手段とを更に含み、
前記第2記憶手段では、前記マスメディア情報が連結された後の生活者データベースに格納したレコードを順次読み出すものであることを特徴とする、本発明(1)〜(3)の何れか1発明のキャンペーン動的適正化システムである。
本発明(5)は、
前記マスメディア情報データベースはリアルタイムに又は定期にデータ更新されるものであることを特徴とする本発明(4)のキャンペーン動的適正化システムである。
本発明(6)は、
前記依存性定量化手段は、
前記生活者データベースのうち、レスポンス結果にかかるコミュニケーション履歴情報に対応するフィールドを目的変数に関するノードとするとともにその他の生活者属性情報又はコミュニケーション履歴情報に対応するフィールドをそれぞれ説明変数に関するノードとして、該各説明変数に関するノードから該目的変数に関するノードへ至る経路を循環がないように有向リンクによりモデリングする構造学習手段、
前記生活者データベースにおける、前記各ノードに対応するフィールドに記録されたデータを用いて、該フィールドに記録されたデータのとりうる具体値毎の事前分布を算出し、該ノードに対する条件付確率表(CPT)を作成し、該ノードに設定する条件付確率表設定手段、
前記構造におけるノードが取り得る具体値のすべての組を、コミュニケーションチェーンとして抽出する、コミュニケーションチェーン抽出手段、
該コミュニケーションチェーン毎に、各ノードの前記事前分布と前記条件付確率表(CPT)に基づいて、レスポンス結果に対する事後確率をそれぞれ算出する事後確率算出手段を含み、
該各事後確率の値を該具体値の組についての前記依存性とするベイジアンネットワーク分析エンジンであることを特徴とする、本発明(1)〜(5)の何れか1発明のキャンペーン動的適正化システムである。
本発明(7)は、
前記有効フィールドパターン抽出手段は、
前記構造学習手段によりモデリングされた構造を前提として、前記コミュニケーションチェーン毎の同時確率を比較して、該同時確率が所定値以上又はその同時確率の大きさの順位の高いコミュニケーションチェーンを、該レスポンス結果にかかるコミュニケーション履歴情報に対し相関性の高い有効フィールドパターンとするものであることを特徴とする、本発明(6)のキャンペーン動的適正化システム。
本発明(8)は、
各コミュニケーションドライバーについての出稿単価情報、宣伝素材の製作費用情報を検索・更新可能に記憶するコミュニケーション接点データベースと、
少なくとも、宣伝対象の商品又はサービスの対価情報、並びに該宣伝対象の取引に伴って派生する関連商品又は関連サービスの対価情報を検索・更新可能に記憶する取引条件データベースを更に含み、
前記有効フィールドパターン抽出手段は、
前記コミュニケーション接点データベースから検索可能な、該コミュニケーションチェーンにかかる出稿費用と、前記取引条件データベースから検索可能な、前記レスポンス結果が得られた場合に期待しうる前記取引対価に基づいて,該コミュニケーション毎の投資を考慮した効果を算出する投資考慮効果算出手段を含み,該投資考慮効果算出手段により算出された投資考慮効果が所定値以上又は上位のコミュニケーションチェーンを該レスポンス結果に対し相関性の高いフィールドパターンとして抽出するものであることを特徴とする、本発明(6)のキャンペーン動的適正化システムである。
本発明(9)は、
各コミュニケーションドライバーについての出稿単価情報、宣伝素材の製作費用情報、並びに所定の生活者属性又はコミュニケーション履歴情報にかかる生活者又はトランザクションに対しコミュニケーション可能な接点情報を検索・更新可能に記憶するコミュニケーション接点データベースを更に含み、
前記出稿条件情報更新手段は、
前記有効フィールドパターンに基づいて、前記有効フィールドパターンに合致するレコードに対応する生活者又はトランザクションを記生活者データベースから検索し、当該レコードにかかる生活者又はトランザクションを有望顧客として同定する有望顧客検出手段、
該有望顧客に対して直接コミュニケーションを取ることができるコミュニケーションドライバーを前記コミュニケーション接点データベースから検索するコミュニケーションドライバー選択手段を含み、
前記第1記憶手段の該選択されたコミュニケーションドライバーにかかる出稿条件情報を、前記有望顧客に対して適切なタイミングでプッシュ型広告を実行するように更新するものであることを特徴とする、請求項7記載のキャンペーン動的適正化システムである。
本発明(10)は、
前記コミュニケーション接点データベースは、リアルタイム又は定期に更新されるものであることを特徴とする請求項8又は9の何れか1項記載のキャンペーン動的適正化システムである。
本発明(11)は、
前記依存性定量化手段が、
前記生活者データベースからレスポンスに至らなかった前記レコードを抽出し基準データ群とする、基準データ群抽出手段、
該基準データ群に関する各フィールドの情報の特性量(m:各特徴量の平均値、σ:各特徴量の標準偏差)を算出するとともに、前記特性量により正規化された前記各フィールドの情報間の相関係数(rij)を算出し、相関行列(R)を導出する統計処理手段、
前記各フィールドがそれぞれ取り得る値のすべての組み合わせ(y)を、パターンバリエーションとして導出する、パターンバリエーション導出手段、
前記パターンバリエーション導出手段によって導出された各パターンバリエーション(y)について、次式を用いて前記基準データ群に対するマハラノビス距離(D )をそれぞれ算出するマハラノビス距離算出手段
を含む、MTシステム分析エンジンであって、
前記各マハラノビス距離(D )を当該具体値の組についての前記依存性とするものであることを特徴とする、本発明(1)〜(5)の何れか1発明のキャンペーン動的適正化システムである。
本発明(12)は、
前記有効フィールドパターン抽出手段は、
前記依存性評価手段により評価された前記依存性(即ちマハラノビス距離)の値が所定値以上である又はそのランキング上位である所定数のパターンを、該レスポンス結果にかかるコミュニケーション履歴情報に対し相関性の高い有効フィールドパターンとするものであることを特徴とする、本発明(11)のキャンペーン動的適正化システムである。
本発明(13)は、
前記出稿条件情報更新手段は、
前記生活者データベースのデータ更新時に、該更新されたデータに基づいて、前記第2記憶手段に記憶されたデータを更新させるとともに、
該更新された第2記憶手段の記憶に基づいて、前記依存性定量化手段並びに前記有効フィールドパターン抽出手段の処理を実行させ、
前記第1記憶手段に記憶された出稿条件情報を新たに抽出された有効フィールドパターンにそれぞれ対応する情報に更新するものであることを特徴とする、本発明(11)のキャンペーン動的適正化システムである。
本発明(14)は、
各コミュニケーションドライバーについて、所定の生活者属性又はコミュニケーション履歴情報にかかる生活者又はトランザクションに対しコミュニケーション可能な接点情報を検索・更新可能に記憶するコミュニケーション接点データベースを更に含み、
前記出稿条件情報更新手段は、
前記有効フィールドパターンに基づいて、該有効フィールドパターンにかかるレコードの生活者又はトランザクションを前記生活者データベースから検索し、該生活者又はトランザクションを有望顧客として抽出する、有望顧客検出手段と、
該有望顧客に対してコミュニケーション可能なコミュニケーションドライバーを前記コミュニケーション接点データベースから選択するコミュニケーションドライバー選択手段を含む、
該選択されたコミュニケーションドライバーにかかる前記第一記憶手段に記憶手段に記憶された出稿条件情報を、前記有望顧客に対して適切なタイミングでコミュニケーション可能に更新するものであることを特徴とする、請求項12記載のキャンペーン動的適正化システムである。
本発明(15)は、
前記コミュニケーション接点データベースは、リアルタイム又は定期に更新されるものであることを特徴とする、本発明(14)のキャンペーン動的適正化システムである。
また、本発明(16)〜(30)は、それぞれ本発明(1)〜(15)に相当する方法の発明である。さらに、本発明(31)は、本発明(16)〜(30)の何れか1発明のキャンペーン動的適正化方法をコンピュータにより読み取り可能に記録した記録媒体である。また本発明(32)は、本発明(16)〜(30)の何れか1発明のキャンペーン動的適正化方法をコンピュータにより実行可能に伝送する伝送媒体である。
ここで、「生活者」とは、宣伝活動の対象となり、購買活動を行う個々人の総称であって、TVやラジオにおける、「視聴者」、新聞や雑誌における「閲読者」等を含む。
「メディア」とは、商品やサービスに関する情報を生活者に紹介する際の、情報伝達を媒介するものの総称である。本発明では、TV、ラジオ、新聞等のいわゆるマスメディアに限定されない。
「ビークル」とは、同一種類のメディア内で、媒体銘柄差によって区別を要する場合に、それら個々の銘柄についての総称である。(例えば、TVにおけるA局/aチャンネル、B局/bチャンネル等、新聞におけるC紙、D紙等)
「クリエイティブ」とは、メディアやビークルにおいて媒介される広告作品それ自体のことで、広告作品単位で区別したい場合に用いる用語である。
「コミュニケーション」とは、広告、宣伝、情報提供等、生活者に対して、自社ブランドを紹介する行為の総称である。いわゆる「マスメディア」に限定されず、アドレッサブルにe-mailを送信するなど、特定の生活者に対して個別に宣伝活動を行うことも含む。
「コミュニケーションドライバー」とは、自社ブランドを顧客である生活者に紹介しうる、メディアに対する広告の出稿制御を行う機構の総称である。例えば電子メールを宣伝活動に用いる場合には、そのメールサーバがコミュニケーションドライバーに相当する。また、TV、ラジオといった多くの人間の手を介して出稿されるマスメディアについては、広告の出稿スケジュールを管理するための作業管理テーブルであって、マスメディアの管理者に対して、この作業管理テーブルのスケジュールに沿って出稿の指示を行うことを前提とする。
「生活者属性情報」とは、対象者である生活者の、性別、年齢、職業、住所といった生活者又はトランザクションの固有の性質、特徴に関する情報である。
「コミュニケーション履歴情報」とは、生活者が行った、視聴、閲読、購買等の行動の履歴に関する情報である。
「レコード」とは、生活者属性情報やコミュニケーション履歴情報といったひとそろいの情報をシステム上で一括して取り扱うための情報区分で、生活者又はトランザクションを単位とする。
「フィールド」とは、レコード中に格納される特定の情報のために割り当てられた領域を指し、1レコードは複数のフィールドを含む。
「有効フィールドパターン」とは、レスポンスに対して有効な規格化後の生活者属性情報及びコミュニケーション履歴情報のデータ列であって、この有効フィールドパターンと対応する各コミュニケーションドライバーの出稿条件情報とを列毎に比較して、該各出稿条件の適否を判断するものである。
「依存性」とは、生活者属性情報並びにコミュニケーション履歴情報の情報相互の依存関係をいい、ベイジアンネットワークを利用する態様においては確率をもって表記され、一方、MTシステムを利用する態様においては、マハラノビス距離をもって表示される。
「規格化」とは、選択される分析エンジンに適したデータに揃えるための処理のことで、具体的には、ベイジアンネットワークを利用するシステムでは、0と1若しくは有限個のカテゴリーであり、MTシステムを利用するシステムにあっては、0と1若しくは0〜1の連続数である。
「生活者データベース」とは、生活者個々の属性情報や、視聴、閲読等を含む視聴者の行動履歴についての情報を生活者毎に記録し、生活者、属性情報、履歴情報のそれぞれまたは複数の組み合わせをキーとして、検索、集計可能なデータベースである。生活者を単位とする、生活者属性情報、行動履歴情報の群を1レコードとし、各生活者属性情報並びに行動履歴情報をそれぞれ格納するためのフィールドからなる。また、そのデータは随時または定期に更新される。
「マスメディア情報データベース」とは、トラッキングツールを通じて収集されたサンプル生活者のマスメディア情報に対する接触量を集計し、生活者属性及び/又は接触機会毎のマスメディア情報に対する標準的な接触量等を算出可能なデータベースである。トラッキングツールを通じて随時更新される。
「コミュニケーション接点データベース」とは、各種生活者に対するコミュニケーション接点に対する、出稿単価やその出稿における空き情報を含む制限条件等を記憶し、指定された条件において利用可能な接点や出稿手法を抽出し、それぞれのその時々の出稿単価を算出しうるデータベースである。
本発明にかかるシステム構成の概略図である。 本発明のかかる処理フローの概略図である。 本発明におけるデータ連結処理と規格化処理の説明図である。 本発明の生活者データベースとコミュニケーション接点データベースに格納された記憶内容の一例を示す図である。 本発明の外部データベースの記憶内容の一例を示す図である。 本発明の生活者データベース内の各データを統合する過程を模式的に示す図(その1)である。 本発明の生活者データベース内の各データを統合する過程を模式的に示す図(その2)である。 本発明の外部データを生活者データベースに連結する過程を模式的に示す図である。 本発明のマルチメディアデータベースを生活者データベースに連結する過程を模式的に示す図である。 本発明の生活者データベースにおけるデータの並びについての説明図である。 本発明のベイジアンネットワークを利用する場合の規格化方式についての説明図である。 本発明のベイジアンネットワークを利用する場合の第2記憶手段におけるデータの並びの一例を示す図である。 本発明のMTシステムを利用する場合の規格化方式についての説明図である。 本発明のMTシステムを利用する場合の第2記憶手段におけるデータの並びの一例を示す図である。 本発明の生活者データベースの記憶内容の一例を示す図である。 本発明の図15のデータに対し構造学習されたベイジアンネットワークの概要を示す図である。 本発明のリンクの結線における制限条件の一例を示す図である。 本発明の図16の各ノードにおける確率分布の一例を示す図である。 本発明の図16の各ノードにおける条件付き確率表の一例を示す図(その1)である。 本発明の図17の各ノードにおける条件付き確率表の一例を示す図(その2)である。 本発明の図17の各ノードにおける条件付き確率表の一例を示す図(その3)である。 本発明にかかるコミュニケーションチェーンの一例を示す図である。 本発明にかかるフィールドパターン別のレスポンス確率ランキングの一例を示す図である。 本発明にかかるフィールドパターン別の期待値ランキングの一例を示す図である。 本発明のコミュニケーション接点データベースの記憶内容の一例を示す図である。 本発明にかかるフィールドパターン別の投資対効果(ROI)ランキングの一例を示す図である。 本発明の生活者データベースの記憶内容の一例を示す図である。 本発明にかかるフィールドパターン別のマハラノビス距離のランキングの一例を示す図である。 本発明のMTシステムを採用した場合の第1記憶手段における出稿プランの更新過程についての説明図である。 本発明にかかるアドレッサブルメディアを用いたプッシュ型広告の処理過程についての説明図である。
図1は、本発明にかかるキャンペーン動的適正化システムを含む、システム構成全体の概略を示す。本発明のシステムの主要部1としては、外部のバスラインB2を介して中央演算処理ユニットCPUは、生活者データベースDB1とコミュニケーション接点データベースDB2と接続する。
この中央演算処理ユニットCPUは、内部バスラインB1を介して第1記憶手段及び第2記憶手段とも接続する。一方、専用の処理ユニットとして、規格化処理エンジンE1、情報連結エンジンE2、各種の依存性評価用分析エンジンE3、有効フィールドパターン抽出ユニットU1、出稿条件更新処理ユニットU2を含む。
一方、中央演算処理ユニットCPUは、ルータRと構内ネットワークLANを通じて、マスメディア情報データベースDB3やその他の外部情報データベースDB4と連結するとともに、前記第2記憶手段に記憶した出稿条件に沿って、出稿乃至出稿指示を行う出稿管理サーバServerとも連結する。
構外では、インターネットに代表されるネットワークを通じて、各クライアントCL1〜CLmや各メディアM-1〜M-nの通信端末Tclと通信可能に接続している。
なお、各クライアントCL1〜CLmは、ネットワークを通じてのe-mailはもちろんのこと、電話やダイレクトメール等の各種コミュニケーション手段を用いることによって、生活者P1〜Pj個々に接触することができ、一方、各メディアの管理者M-1〜M-nは、新聞、TV等、それぞれの管理する情報媒体を通じて、生活者に情報を伝達できる環境を想定している。
(ステップ1)
次に、図2は、本発明の処理にかかるフローのアウトラインを示す。まず、ステップ1として、生活者データベースDB1より、生活者又はトランザクションを単位とするレコードを順次読み出し、採用する分析エンジンに合わせた規格化処理を施す。
なお、このステップ1の処理に先立ち、マスメディア情報等の間接要因を分析に反映すべく、生活者が所定の時点でどの程度ブランド広告に接触しているかといったマスメディア情報等の外部データベースの情報を前記生活者データベースの各レコードファイルに連結させ、分析精度を向上させる予備処理を実行することが望ましい。
図3は、この外部データ連結エンジンの処理の概要を示したものである。外部情報データベースは、生活者データベースの属性情報または履歴情報のうちの1つまたはそれ以上の情報を検索子として検索可能に記憶されていることから、それら外部情報データベースと生活者データベースに共通する情報を基に該外部データベースを検索し、該情報に該当する生活者の標準的な行動様式情報(例えば、外部データベースがマスメディア情報データベースである場合にあって、接触率等の情報)を導出し、該情報を生活者データベースの各レコードに新たな項目列を設けて該当する具体値を割り当てる。
したがって、検索子として用いた属性情報または履歴情報等が一致する生活者又はトランザクションにあっては、図3のとおり、共通の具体値が割り当てられることとなる。なお、外部情報とは、特にマスメディア情報のように広告・宣伝業務に直結した情報に限るものではなく、例えば、レスポンスが得られた日付における天気や温度といったものであってもよく、生活者データベースの列情報と共通する情報を用いて検索可能なデータベースに記憶されている情報であればよい。
この外部情報を連結させる予備処理が済んだ生活者データベースに対し、図2のステップ1の規格化処理が開始される。すなわち、このステップでは、分析エンジンが利用可能な値(代表的には0または1)に規格化する。なお、取り扱える値としては、0または1に限らず、使用する分析エンジンに応じて、規格化の値も選択される。例えば、ベイジアンネットワークを利用する分析エンジンを採用する場合には、有限個のカテゴリーに峻別可能な値であればよく、一方、MTシステムを利用する分析エンジンを採用する場合には、連続数であっても利用できる。規格化処理後のデータは第2記憶手段に格納される。
(ステップ2)
次に、図2のステップ2として、ステップ1で出来上がった第2記憶手段に記憶されている規格化されたデータを順次読み出して、利用する分析エンジンE3に導入する。利用可能な分析エンジンとしては、ベイジアンネットワーク又はMTシステムである。
そして、この分析エンジンE3は、生活者データベースDB1における各列の情報の組み合わせと対象とするレスポンス結果の列の情報との間の依存性を導出する。例えば、ベイジアンネットワークを利用する分析エンジンを採用する場合にあっては、各列の情報の組み合わせとレスポンス結果の列の情報との間の依存性は確率をもって表示される。なお、ベイジアンネットワークを構築する際の構造学習のアルゴリズムについては、「PCアルゴリズム」といった既知のアルゴリズムを利用することができる。詳細については実施例で述べる。
一方、MTシステムを利用する分析エンジンを採用する場合も、生活者データベースDM1における各列の情報の組み合わせとレスポンス結果の列の情報との依存性を導出する。但し、MTシステムを利用する分析エンジンにあっては、依存性は、マハラノビス距離をもって表示される。
(ステップ3)
次にステップ3として、ステップ2で導出された依存性に基づいて、所期のレスポンスに至る可能性が高いと予想される各列の情報の組み合わせ、すなわち第2記憶手段における各フィールドの具体値によって構成されるパターンを導出する。
ここで、ベイジアンネットワークを利用する分析エンジンを採用する場合には、所期のレスポンス結果の得られる確率又はその投資考慮効果の大きい各列の情報の組み合わせが抽出される。一方、MTシステムを利用する場合には、マハラノビス距離の大きい各列の情報の組み合わせが抽出される。こうして得られた各列の情報の組み合わせ(すなわちレコード内データの並び)を「有効フィールドパターン」と呼ぶ。
(ステップ4)
さらにステップ4では、この有効フィールドパターンのうち、出稿プランの一環として制御可能な列の情報のみに着目し、第1記憶手段に予め記憶されている出稿プランと照合する。もし第1記憶手段に記憶されている現行の出稿プランと導出された有効フィールドパターンが一致しない場合には、出稿予算等の制限条件下で操作可能な範囲で、有効フィールドパターンに整合させるように更新処理を実行する。
なお、必ずしも現行の出稿プラン自体を修正する必要はなく、現行の出稿プランはそのままで、例えば、e-mailやダイレクトメールといった他のメディアを通じて宣伝するといった出稿プランに追加する場合を含む。
(ステップ5)
各コミュニケーションドライバーは、前述のステップ4により修正された第1記憶手段の記憶内容をリアルタイム又は定期に照会し、その記憶内容に沿って以降の宣伝キャンペーンを修正して出稿する若しくは出稿の指令を伝達する。このメディアドライバー側のステップは、この本発明のシステムと必ずしも一体化している必要はない。
具体的には、出稿管理サーバ(Server)が想定され、該出稿管理サーバはターゲットたる生活者に対して直接宣伝用の電子メールを送信したり、各サイトを通じて表示される広告の出稿内容や出稿条件を変更制御したりするものである。さらに、図1の各クライアント(CL1〜CLm)のように、本発明のコミュニケーションドライバーとしてはインターネットのバナー広告管理サーバのように直接的な出稿制御を行うものに限られず、各クライアント若しくはメディアの管理者端末からの広告、宣伝の出稿条件の照会に応じて、修正されたプランを提示するといった間接的な出稿制御する場合を含み、属人的要因の介在しない形で、一律に出稿管理される形態であればよい。
なお本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
次に、各ステップにおける処理の詳細について、本システムを具体データに適用した場合を事例として説明する。実務上の運用に適したシステムにおいては、図4に例示するように、各データベースには、それぞれの入力形態乃至トラッキング形態に応じて独立にデータが格納されていることから、図2におけるステップ1の規格化処理に先立ち、データ連結等の必要な予備処理を行うことが望ましい。
先ず、図4の各データベースにおける個々のデータの格納状況について説明する。生活者データベースには、生活者属性情報にかかるデータとして、各生活者の在住地域(例えば、「東京都」、「北海道」、・・・等)のエリアについて情報、性別(「男」と「女」)についての情報、年齢についての情報などが、生活者IDに基づいて格納されている。なお、生活者属性情報としては、これらの情報に限られるものではなく、区分の仕方もこれに限らない。
また、生活者データベースには、コミュニケーション履歴情報についても格納されており、ここでは、「TV用DB」、「新聞用DB」、「バナー用DB」、「web用DB」等、メディア単位でそれぞれ別々に生活者IDに基づいて格納する方式を例示している。現行の生活者のコミュニケーション履歴のトラッキング手法からみて、図4のように属性情報のほか、各メディアを単位として格納しておき、予備処理として生活者ID毎に集計し直す方式が望ましい。
例えば、図4のとおり、生活者データベースには、生活者個々がどのメディアを通じてどのようにCF等の広告に接触し、何時どのようにレスポンスしたかについての情報が順次格納される。時間、ビークル、番組名、接触したクリエイティブ、オファー、レスポンス方法、レスポンス内容はもちろんのこと、TVにあっては、広告枠の秒数、新聞にあっては、掲載面、段数、バナーにあっては、ロケーション、スペース、webにあってはページなどといった情報についても可能な範囲で格納することが望ましい。
一方、図5のとおり、マスメディア情報データベースには、CF等の広告との接触についての多数の生活者についての情報が格納されており、生活者データベースの生活者属性情報やコミュニケーション履歴情報のうち接触時間などの情報項目に関し条件が一致する生活者の平均的なCFに対する接触回数や広告に対する接触確率を集計可能になっている。
生活者データベースの生活者の最小区分に合わせて、それぞれの接触回数及び接触確率を導出している。なおここでは、接触するタイミングについても考慮するため、キャンペーン期間中のどのタイミングで接触したかによって、同じ生活者属性のレコードであっても、接触回数は異なることになる。
さらに、本発明では、生活者データベースと共通する項目を有する外部データであれば、そのデータを加味して分析することが可能である。ここでは、図5のDB4のとおり、レスポンスに対し天候が影響する可能性が予想される場合に、マスメディア情報のほかに外部データから天候のデータを外部から調達して分析する場合について例示する。具体的には、接触日のそのエリアにおける天候(晴、曇、雨、・・・)を外部データベースから援用した。
また、コミュニケーション接点データベースDB2には、生活者と接触した際の、エリア、年月日及び時間と、ビークル、番組、掲載面乃至ロケーション、秒数、段数乃至スペースといった条件から、該接点を利用するための単価など情報が割り出せるように構成されている。
なお、第一記憶手段M1には、何時、どのメディア、ビークル等、どういった内容の広告を出稿するかといった管理情報が記憶されており、接触した際の番組名と時間しか分からない場合にあっても、その情報で第一記憶手段の情報を照会することにより、秒数やクリエイティブといった詳細情報を補足することができるように構成されていることが望ましい。
以上の蓄積データに基づいて、各分析エンジンにおける使用に適したデータ群とするために、次のような工程を踏んで加工する。まず、生活者データベースには、同一の生活者が複数回コミュニケーションしている可能性があるので、これらのデータをまとめ、生活者ID毎に集計する。この過程を模式的に示したのが図6である。
図6の例では、ID00001の生活者は、トラッキング期間内に2回webにアクセスしていたことから、2つの履歴を有しているので、これらの履歴をID毎にまとめ直している。
同様に、属性情報と複数のコミュニケーション履歴情報が別々に集計されているため、生活者ID毎にまとめる過程を例示したのが、図7である。端的には、各素表がIDを検索子として横方向に順に連結される工程である。
次に、外部データベースの情報を連結する際の過程を、具体値をもって模式的に示したのが、図8である。外部情報データベースDB4と生活者データベースDM1の共通する項目は、この場合、「エリア」と「年月日」の情報であるので、それぞれのレスポンスのあったエリアと年月日の情報からその際の天候情報を割り出し、各レスポンス履歴に天候の情報を追加する。即ち、システム上では、その天候の情報を格納するためのフィールドがレスポンスの種類毎に追加される。
同様に、マスメディア情報データベースのデータをさらに連結する過程を模式的に示した図が図9である。この事例では、マスメディア情報データベースと生活者データベースとで共通する項目は、「エリア」、「年月日」、「時間」、「性別」、「年齢」があるので、これらの情報を検索子として、それぞれの条件に該当する集団の平均的なレスポンス時点までの該TVCFに対する接触回数や雑誌広告に接触している可能性としての接触確率のデータを追加する。
ここで、マスメディア情報を初めとして外部情報は、広く同様な生活者集団に対して影響を及ぼし、レスポンスの一因を構成することになると予想されることから、各レスポンスにそれぞれ独立してフィールドが追加される。即ち、例えば、同一の生活者がTVをみて商品Aの資料請求を行い、別の日に再度TVをみて商品Aを購入することが想定されるが、資料請求を行う際のTVCFの接触回数と、購入する際のTVCFの接触回数では当然異なることから、接触に関する欄はレスポンス毎に別々に追加される。
以上の処理を通じて生活者データベースの情報が拡充され、分析エンジンにかける元となるデータ群が完成する。その際の生活者IDを単位としたファイル内のデータ配置についての一例を図10に示す。この例では、「生活者属性に関する情報」、「TVCFに関する履歴情報」、「新聞広告に関する履歴情報」、「バナー広告に関する履歴情報」、「商品資料請求時の履歴情報」、「商品購入時の履歴情報」の順で連結し配列した。なお、この順に限るものではないし、連結される情報もこれらに限られない。
なお、この時点においても、生活者データベースに格納されている情報は、都道府県名や実年齢といった具体値であるので、このままでは分析エンジンに導入できない。そこで、図2のステップ1を実施して、使用する分析エンジンに適したデータ形態に変換するための規格化処理を施す。
例えば、ベイジアンネットワークを利用する分析エンジンを用いる場合と、MTシステムを利用する分析エンジンを用いる場合とでは、前述の通り、図2のステップ1における規格化処理が異なる。
まず、ベイジアンネットワークを利用する分析エンジンを用いる場合について説明する。ベイジアンネットワークにおける各ノードでは少なくとも有限個の事象となる必要があることから、生活者データベースの各欄について、有限個に展開する必要がある。
すなわち、図11に例示するとおり、「性別」に関する列は、男であれば1、女であれば0とすればよいことから、性別についての欄を区分する必要はない。一方、例えば「年齢」等の連続数が記憶されている列については、便宜的な区分を導入して有限個の区分に展開する必要がある。例えば、「19歳まで」、「20〜35歳」、「36〜50歳」、「51歳以上」の4つの区分に展開するなどの処理が必要になる。
また同様に「年月日」も4季に区分するとともに月の「上旬」、「中旬」、「下旬」に区分した。時間も「朝」、「昼」、「夜」に区分した。さらに、「平均接触回数」や「平均接触確率」については、「多」、「中」、「少」に区分した。但し、この分け方に限られるものではない。
図11のようにして、生活者データベースの生活者ID毎のすべての情報を、「1」又は「0」に変換し、該変換後のデータを第1記憶手段に格納するのが、ステップ1である。なお、この生活者ID毎の「1」又は「0」の数値の並びのことをそれぞれ「フィールドパターン」と呼ぶ。図12にベイジアンネットワークを利用する分析エンジンを適用する際の第2記憶手段における記憶内容の一例を示す。
なお、説明の簡便さのために、「1」又は「0」としたが分析エンジンにおける計算量の爆発を抑止するために、必ずしも「1」又は「0」の2値化する必要はなく、有限個数であれば多値化することでデータを圧縮することもできる。さらに、幾つかの関連する項目をまとめて、ひとつのノードとして処理するクラスタリング処理も有効である。
一方、MTシステムを利用する分析エンジンを用いる場合については、ベイジアンネットワークを利用する場合と一部類似するが少し異なる規格化処理を実行する。図13に模式的にその過程を示す。
MTシステムを利用する分析エンジンでは、連続数であっても、そのまま適用することが可能であるので、例えば、「年齢」、「年」、「月」、「日」、「時」、「秒数」、「平均接触回数」、「平均接触確率」等の元々数値であるデータについては、その数値をそのまま適用することが可能となる。この点がベイジアンネットワークを利用する分析エンジンを適用する場合の規格化処理と大きく異なる点である。
こうして生活者データベースに格納された実データは、規格化処理が施され、「0」又は「1」、若しくは連続数の形で第2記憶手段に格納される。格納後の第2記憶手段の記憶内容の一例を図14に示す。同一行のデータの並びが同一の生活者に関するデータであり、同一列のデータが同一の属性情報又は履歴情報に関するデータとなる。
次に、図2のステップ3の情報の組み合わせとレスポンス結果の間の依存性を求める処理工程について、図15に例示したレコード群を用いて説明する。すなわち、説明変数としては、「月末」か否か、「平日」か否か、祝日以外か否か、ビークルとして「α新聞」か否か、「β新聞」であるか否か、「B商品広告」であるか否か、掲載紙面の大きさが「15段」か否か、「TVCF接触量が少ない」か否か、「A商品広告」であるか否か、「新聞広告接触量が少ない」か否かの10項目とし、一方目的変数としては、レスポンス結果にかかる「保険契約」の有無を採用した。
この図15に示す第2記憶手段の各ファイルに対し、ベイジアンネットワークの分析エンジンを適用した場合の処理について説明する。ベイジアンネットワークは、変数を表すノード、およびノード間の因果関係を表す有向パスからなる確率ネットワークである。その確率ネットワークは次式の同時確率分布で表現することができる。
ここで、構造学習手段を適用して構築された、コミュニケーションチェーンをまとめたベイジアンネットワークを図16に示す。
ベイジアンネットワークのグラフ構造をデータから決定する構造学習においては、公知のPCアルゴリズム(Spirtes, P., C. Glymour, and R. Scheines: Causation, Prediction and Search, No. 81 in Lecture Notes in Statistics. New York: Springer-Verlag(1993) P116-123を参照)を用いた。PCアルゴリズムとは、従属関係に関する統計的検定に基づいてデータからベイジアン・ネットワークの構造を構築するアルゴリズムである。ただし、グラフ構造を決定するために用いるアルゴリズムについては、特にPCアルゴリズムに限定されるものではない。ここで図16におけるベイジアンネットワークは次式で記述される。
この時、x1:月末、x2:祝日以外、x3:A商品広告、x4:段数、x5:平日、x6:B商品広告、x7:掲載紙、x8:新聞広告接触量、x9:TVCF接触量、x10:保険契約に対応する。
ここで、PCアルゴリズム用いたグラフ構造の学習に先立ち、図17に示す各変数間の制限条件を指定した。これによって広告分野における変数間の因果関係について、既知の知見を導入することが可能となり、現実的なグラフ構造を得られるからである。この事例では、保険契約の有無が、日付規定項目(月末、祝日以外、平日)、新聞及びTVCFの広告接触量、さらには掲載紙、段数、広告商品名に対して影響しないことは既知の事柄であることから、この向きのリンクの結線に対して禁則したものである。
一方、掲載紙、段数、広告商品名と、新聞又はTVCF接触量とは、双方向に影響しないことが知られており、図17中の×付き実線は、これらのノード間で双方向にリンクを結線しないことを示している。
グラフ構造が決まった後のベイジアンネットワークにおいてCPTを学習する場合、学習に用いるデータセットが全ての確率変数の組み合わせについて存在する場合は、CPTの全ての項を学習することが可能であるが、今回のようにグラフ構造の全ての起こりうる組合せを含まなかったり、観測されない変数を含む場合には未観測データに対しての確率分布を推定する必要がある。今回は観測できない変数の値を観測できるものから推定することができる公知のEMアルゴリズム(A.P. Dempster, N.M. Laird, and Rubin D.B.:Maximum likelihood from incomplete data via the EM algorithm, Journal of the Royal Statistical Society B, vol. 39, p. 1-38(1977)を参照)を用いた。ただし、グラフ構造が決定した後のCPTを学習するために用いるアルゴリズムについては、特にEMアルゴリズムに限定されるものではない。
ここでEMアルゴリズムの結果、学習された各ノード対する確率分布は図18のとおりとなる。さらに、学習された各ノード毎における条件付き確率表を図19〜図21に示す。例えば、図16のとおり、「掲載紙」のノードでは、親ノードとして、「月末」のノード、「平日」のノード及び「段数」のノードが関与すると構造学習されているので、条件付き確率表は、親ノード側の条件が「月末」、「月末以外」、「土日」、「平日」、「30段」、「15段」の組み合わせに対してそれぞれ「α新聞」、「β新聞」、「その他」の組み合わせがあり得るので、図20(g)のとおり8行×3列の表となる。
一方、「保険契約」のノードには、該ノードへ向かう親ノードが5つあり、うち4つは2値型であり、他の1つは新聞の銘柄が3つに類型化されていることから、図21のとおり、48行×2列の表となる。
このようにベイジアンネットワークが構築されると、前記において学習された確率分布を事前確率として、各パターンにおける事後確率を推論することが可能となる。事後確率の推論では、ネットワーク全体を親から子の向きと子から親の向きにたどって確率を計算していき、その両者を統合するbelief propagation(J.Pearl : Probabilistic reasoning in intelligent systems , Morgan Kaufmann (1988) P150-177を参照)という計算手法が確立されている。但し、図16に示すように、リンクの向きを考慮しないでネットワークを見たときにどこか1つでもパスがループしている部分があるmultiply connectedと呼ばれるネットワークの場合には、ベイジアンネットワークの正確な更新はNP困難であることが証明されている(Cooper, G. F.:The Computational Complexity of Probabilistic Inference using Bayesian Belief Networks,Artificial Intelligence, 42:p.393-405, (1990)を参照)。かかる問題に対処するために、今回はjunction treeアルゴリズム(Jensen, F.V., Lauritzen, S.L., and Olesen, K.G. : Bayesian updating in causal probabilistic networks by local computations. Computational Statistics Quarterly, 4, p.269-282 (1990)を参照)を用いた。Junction tree アルゴリズムは有向グラフ構造を無向グラフにした上で、ノードを併合したクラスタを作っていくことで、ネットワーク構造を多重木に変換することでbelief propagationにおける計算上の課題を解決している。ただし、ベイジアンネットワークの確率推論においては、特にjunction treeに限定されるものではない。
前記グラフ構造および条件付き確率を学習済みのベイジアンネッワークにおいて、junction treeアルゴリズムを用いると、図22に例示されるように、「月末以外」に「β新聞」に掲載し、「新聞広告接触量」の少ない生活者に対してコミュニケーションを行い、「保険契約」に至らないことが起こる同時確率は、「96.9%」と計算される。
このように構造学習済みのベイジアンネットワークを前提とすれば、事前確率から各パターンにおける事後確率を、不確実な情報からでも推論することが出来るので、広告分野のように完全に観測できない事象における意思決定への効果的な活用が可能となる。
以上の計算を、制限条件である「α新聞」への出稿を前提とした場合におけるすべてのコミュニケーションチェーンについて実行し、該「保険契約」の成約に至る確率の高い順に並び替えを行った結果(レスポンス確率ランキング)を図23に示す。「当月」分のメディアプランは、図23の表の上から7番目のパターンであり、キャンペーンの進展に伴い、さらに効果的なコミュニケーションチェーンが新たに出現したことを示している。
従って、「当月」分にパターンに代えて、該ランキングの上位のパターンを次計画期間である「来月」のメディアプランとして採用すれば、成約確率が高まることが期待できる。そこで、本実施例では、第一記憶手段の記憶内容を図23のランキングの1位のパターンに更新した。
ここでは、処理を簡便にするために、レスポンス確率ランキングの最上位の1パターンを「有効フィールドパターン」として選択したが、これに限るものではなく、複数のパターンを併用する態様、クライアント予算の範囲や出稿枠との兼ね合いを考慮する態様、所定のレスポンス確率以上のものを全て選択する等、種々の選択方式が考えられる。
実施例2では、レスポンス確率又はそのランキングをそのまま用いて第1記憶手段に格納される有効フィールドパターンを求めたのに対し、ここでは、投資額を考慮した効果をもって有効フィールドパターンを求める。
すなわち、費用を惜しまず、出稿単価の高いメディアやクリエイティブを採用したり高価なオファーを提示したりして大規模な宣伝キャンペーンを展開すれば、当然、良好なレスポンス機会が得られると予想されるが、費用対効果的にみれば現実的でないことも予想される。
そこで、該フィールドパターンに沿った場合の出稿プランに要する費用を考慮した上で、そのレスポンスによって得られる利益とレスポンス確率との積を用いて、投資考慮効果を求め、その額またはそのランキングに基づいて有効フィールドパターンを導出することが望ましい。
図25には、コミュニケーション接点データベース(DB3)の記憶内容が例示してあり、生活者とのコミュニケーションをとるにあたっての宣伝費用単価がデータベース化されている。さらにレスポンスが得られた場合の予想される利益単価についても記憶されている。この利益単価については、別の外部データベースを参照することであっても構わない。
そして、図24に例示される生活者データベースのレコード群について、実施例2に例示されるベイジアンネットワークを利用した分析エンジンを適用する。
さらに、図25に例示される前記コミュニケーション接点データベースに記憶される出稿単価情報と該レスポンスによって得られる利益単価情報に基づいて、図26のとおり投資考慮効果を算出しランキング化する。具体的処理としては、各ノードの事後確率と該ノードに対応する各単価情報の積を合計することにより、投資考慮効果を算出する。
この際、「シャンプー購入」の項目については、過去の生活者データベースのデータを集計するか又は他の一般的なデータベースのデータを採用して該当値を決定する。
こうして得られた投資考慮効果の高いフィールドパターンを有効フィールドパターンとして判定し、次の計画期間等の出稿パターンとして採用することもできる。
一方、図15のレコード群に類似した図27のレコード群に対し、MTシステムを利用した分析エンジンを適用し、該マハラノビス距離に基づき有効フィールドパターンを求めることができる。
具体的処理としては、図27の規格化処理後のレコード群のうち、レスポンス結果の得られなかったレコードのみを抽出しこれを基準データ群として、該基準データ群に関する各フィールドの情報の平均値(m)及び標準偏差(σ)等の特性量を求め、さらに前記特性量により正規化された各フィールドの情報間の相関係数(rij)を求め、相関行列(R)を算出する。
前記各フィールドがそれぞれ取り得る値のすべての組み合わせ(y)を、パターンバリエーションとして導出した上で、各パターンバリエーション(y)について、次式により、マハラノビス距離(D )を算出する。
ただし、実際には、多くの場合、多重共線性により前記相関行列の逆行列(R−1)に問題が生じることが想定される。多重共線性とは、各フィールド間に強い相関関係が存在する場合、RR−1の行列式がゼロに近くなることで、逆行列(R−1)が計算不能となったり、異常解が算出されたりする現象のことである。かかる問題に対処するためには、相関行列の対角線上に雑音を導入することにより多重共線性を回避する方法(Jittering法)などの近似逆行列を算出する仕掛けを含むことが望ましい。
その結果をマハラノビス距離の大きさの順に並べたものを図28として示す。 なお、現在進行中の出稿プランを「当月」として矢印にて表示した。当月の出稿プランよりも大きいマハラノビス距離を示すフィールドパターンが検出されたことから、「当月」のメディアプランに代えて「次月」のメディアプランを図26におけるマハラノビス距離の大きいフィールドパターンと差し替えるべく、第1記憶手段の内容を更新した。
その過程を模式的に図29に示す。こうした処理を随時または定期に行えば、現在進行中のメディアプランの時々に適正化し有効性の高いメディア及び出稿形態を選択できるようになる。
ここで、各説明変数(MTシステムでは特徴量とよぶ)を評価に用いた場合と評価に用いない場合とを比較して、特徴量を絞り込むことができる。具体的には、レスポンスに至ったレコードをレスポンスに至らなかったレコード群に対する異常値とみて、該異常値についてのマハラノビス距離を算出し、説明変数の組毎のSN比を算出し、該説明変数を用いた場合と用いなかった場合の差を求めて、大きな値を示す説明変数のみを用いて評価することが望ましい。
なお、レスポンスの有無を判定する上で各特徴量が有効であるか否かを評価して、有効性の高い特徴量のみを用いてマハラノビス距離を算出する工程を必ずしも踏まずとも、トラッキング可能な全ての特徴量を採用して、マハラノビス距離に基づく判定しても実用上十分な精度をもって判定できる。
上述の実施例3又は4により得られた有効フィールドパターンを次の計画期間における第1記憶手段の出稿パターンとして、進行中の宣伝キャンペーンを適正化することができるばかりでなく、さらに説明変数乃至特徴量にかかるパターンがこの有効フィールドパターンと同じであり、未だレスポンスしていない生活者又はトランザクションであれば、「有望顧客」であると推測できる。
そこで、得られた有効フィールドパターンの説明変数にかかるフィールドのパターンに一致するレコードを前記生活者データベースから検索抽出し、「有望顧客」として推測し、該パターンを備えた者にアクセス可能なコミュニケーション接点を、コミュニケーション接点データベースDM2から検索抽出して、第1記憶手段M1における、該接点に対応するコミュニケーションドライバーをアクティブにすべく記憶内容を更新する。
これによって、有望顧客と推測される生活者又はトランザクションに対し、例えばe-mail等のアドレッサブルなメディアを用いてプッシュ型の宣伝を行うことができる。
さらに別の態様としては、図30に例示されるとおり、例えば、前月に収集されたレスポンスに対し有効性が高いと考えられるフィールドパターン(例えば,ベイジアンネットワークを利用した分析エンジンであれば、レスポンス確率が「60%以上」、MTシステムを利用した分析エンジンであれば、マハラノビス距離が「1.2以上」など)が推定された場合に、これに該当する生活者又はトランザクションで未だレスポンスしていないレコードを生活者データベースから検索し、該レコードを「有望顧客」とみなしてe-mail等のアドレッサブルなメディアを用いてプッシュ型宣伝を展開する。
これにより、e-mail配信などのプッシュ型宣伝の対象者を絞り、トータルの宣伝費用を節約できる又は該節約によって生じた予算を有望顧客へのプッシュ型宣伝のための費用に集中的に振り向けることができるため、宣伝効率を高めることが可能となる。
本発明により、生活者の消費行動に対する影響に基づいて、展開中の広告キャンペーンの適否を正確に分析できるとともに、リアルタイム又は短い間隔でそのキャンペーン計画を自動的に修正することが可能となった。
また、本発明では、生活者を消費行動へ誘導する上で、効果的な出稿形式を選択できるとともに、有望顧客をリアルタイムで同定することができるようになった。
さらに本発明では、ノンアドレッサブルなマスメディア情報を、アドレッサブルなメディア情報と同様に生活者個々に紐付けて統一的に取り扱うことができるとともに、メディア、ビークル、クリエイティブといった異なる次元の広告ツールを同じ指標で評価し一括して取り扱うことが可能になった。
符号の説明
1 本システムの主要部
2 本システムを含む管理センター
CPU 中央演算ユニット
B1 一次バスライン
B2 二次バスライン
E1 規格化処理エンジン
E2 外部データ連結エンジン
E3 依存性評価分析エンジン
U1 有効フィールドパターン抽出処理ユニット
U2 出稿条件更新処理ユニット
M1 第1記憶手段
M2 第2記憶手段
DB1 生活者データベース
DB2 コミュニケーション接点データベース
DB3 マスメディア情報データベース
DB4 その他の外部データベース
R ルータ
P1〜Pj 生活者
CL1〜CLm クライアント端末
M-1〜M-n メディア側端末
Server 出稿管理サーバ
Internet インターネット
LAN 構内ネットワーク
DM ダイレクトメール
〒 郵便を含む宅配サービス

Claims (4)

  1. 少なくとも1種の生活者属性情報と、コミュニケーション条件及びレスポンス結果の何れか1情報を含む少なくとも1種のコミュニケーション履歴情報をそれぞれ独立に格納するための複数のフィールドからなる生活者又はトランザクションを単位としたレコードを、検索・更新可能に記憶し、リアルタイムに又は定期にデータ更新される生活者データベース、
    少なくとも各コミュニケーションドライバーについての出稿単価情報、宣伝素材の製作費用情報を検索・更新可能に記憶し、リアルタイムに又は定期にデータ更新されるとともに、所定の生活者属性又はコミュニケーション履歴情報にかかる生活者又はトランザクションに対しコミュニケーション可能な新聞広告の各ビークルに関する接点情報を検索・更新可能である、コミュニケーション接点データベース、
    少なくとも、宣伝対象の商品又はサービスの対価情報、並びに該宣伝対象の取引に伴って派生する関連商品又は関連サービスの対価情報を検索・更新可能に記憶し、リアルタイムに又は定期にデータ更新される取引条件データベース、
    新聞広告に関する各コミュニケーションドライバーに対する出稿条件情報を検索・更新可能に記憶した第1記憶手段、
    前記生活者データベースに格納されたレコードを順次読み出し、前記生活者属性情報及び前記コミュニケーション履歴情報の各データをそれぞれ正規化し、該正規化されたデータを、前記レコードを行とし前記フィールドを列とするマトリックス状の記憶領域に書き込んで、該行及び/又は列を指定することにより各データを検索可能に記憶した、第2記憶手段、
    前記生活者データベースのうち、レスポンス結果にかかるコミュニケーション履歴情報に対応するフィールドを目的変数に関するノードとするとともにその他の生活者属性情報又はコミュニケーション履歴情報に対応するフィールドをそれぞれ説明変数に関するノードとして、該各説明変数に関するノードから該目的変数に関するノードへ至る経路を循環がないように有向リンクによりモデリングする構造学習手段と、前記生活者データベースにおける、前記各ノードに対応するフィールドに記録されたデータを用いて演算処理によって決定される、該フィールドに記録されたデータのとりうる具体値毎の事前分布と、該ノードに対する条件付確率表(CPT)を、該ノードに設定する条件付確率表設定手段と、前記構造におけるノードが取り得る具体値のすべての組を、コミュニケーションチェーンとして決定する、コミュニケーションチェーン抽出手段と、該コミュニケーションチェーン毎に、各ノードの前記事前分布と前記条件付確率表(CPT)に基づいて、レスポンス結果に対する事後確率をそれぞれ演算処理により決定する事後確率算出手段を含む、ベイジアンネットワーク分析エンジンであって、当該説明変数に関するノードは、新聞への出稿時に操作可能なすべての出稿条件情報に関連するノードを少なくとも含む、ベイジアンネットワーク分析エンジン
    を備え、
    前記第2記憶手段に記憶されたデータに対し該分析エンジンを用いて得た該各事後確率の値を、前記レスポンス結果に対する前記各フィールドの具体値の組についての依存性として決定する、依存性定量化手段、
    決定された各依存性と、前記コミュニケーション接点データベースから検索可能な、新聞広告に関するコミュニケーションチェーンにかかる出稿費用と、前記取引条件データベースから検索可能な、前記レスポンス結果が得られた場合に期待しうる前記取引対価に基づいて、該コミュニケーション毎の投資に対する効果の期待値を演算処理によって決定する投資対効果算出手段を含み、決定された投資対効果が上位のコミュニケーションチェーンにかかるフィールドの具体値の組を、有効フィールドパターンとして決定する、有効フィールドパターン抽出手段、
    前記有効フィールドパターンに基づいて、前記有効フィールドパターンに該当するレコードにかかる生活者又はトランザクションを記生活者データベースから検索し、当該レコードにかかる生活者又はトランザクションを有望顧客として決定する有望顧客抽出手段と、該有望顧客に対して直接コミュニケーション可能な新聞広告に関するコミュニケーションドライバーとして前記コミュニケーション接点データベースに格納された新聞広告のビークルの中から選択するコミュニケーションドライバー選択手段を含み、該選択されたコミュニケーションドライバーにかかる前記第1記憶手段の出稿条件情報を、前記有望顧客に対して適切なタイミングでコミュニケーション可能に更新すべく、決定された有効フィールドパターンにかかる出稿条件情報でリアルタイム又は定期に更新する、出稿条件情報更新手段
    を備えた、キャンペーン動的適正化システム。
  2. 少なくとも1種の生活者属性情報と、コミュニケーション条件及びレスポンス結果の何れか1情報を含む少なくとも1種のコミュニケーション履歴情報をそれぞれ独立に格納するための複数のフィールドからなる生活者又はトランザクションを単位としたレコードを、検索・更新可能に記憶し、リアルタイムに又は定期にデータ更新される生活者データベース、
    各コミュニケーションドライバーについて、所定の生活者属性又はコミュニケーション履歴情報にかかる生活者又はトランザクションに対しコミュニケーション可能な新聞広告の各ビークルに関する接点情報を検索・更新可能に記憶し、リアルタイムに又は定期にデータ更新されるコミュニケーション接点データベース、
    新聞広告に関する各コミュニケーションドライバーに対する出稿条件情報を検索・更新可能に記憶した第1記憶手段、
    前記生活者データベースに格納されたレコードを順次読み出し、前記生活者属性情報及び前記コミュニケーション履歴情報の各データをそれぞれ正規化し、該正規化されたデータを、前記レコードを行とし前記フィールドを列とするマトリックス状の記憶領域に書き込んで、該行及び/又は列を指定することにより各データを検索可能に記憶した、第2記憶手段、
    前記生活者データベースからレスポンスに至らなかった前記レコードを決定し基準データ群とする、基準データ群抽出手段と、該基準データ群に関する各フィールドの情報の特性量(m:各特徴量の平均値、σ:各特徴量の標準偏差)を演算処理により決定するとともに、前記特性量により正規化された前記各フィールドの情報間の相関係数(rij)を演算処理により決定し、相関行列(R)を導出する統計処理手段と、前記各フィールドがそれぞれ取り得る値のすべての組み合わせ(yl)を、パターンバリエーションとして導出する、パターンバリエーション導出手段と、前記パターンバリエーション導出手段によって導出された各パターンバリエーション(yl)について、次式を用いて前記基準データ群に対するマハラノビス距離(Dl 2)をそれぞれ演算処理により決定するマハラノビス距離算出手段
    を含む、MTシステム分析エンジンであって、該特徴量は、新聞への出稿時に操作可能なすべての出稿条件情報に関連する特徴量を少なくとも含む、MTシステム分析エンジン
    を備え、
    前記第2記憶手段に記憶されたデータに対し該分析エンジンを用いて得た該各マハラノビス距離(Dl 2)の値を、前記レスポンス結果に対する前記各フィールドの具体値の組についての依存性として決定する、依存性定量化手段、
    該依存性(即ちマハラノビス距離(Dl 2))の値がそのランキング上位であるフィールドパターンを、有効フィールドパターンとして決定する、有効フィールドパターン抽出手段、
    前記有効フィールドパターンに基づいて、該有効フィールドパターンにかかるレコードの生活者又はトランザクションを前記生活者データベースから検索し、該生活者又はトランザクションを有望顧客として決定する、有望顧客抽出手段と、該有望顧客に対してコミュニケーション可能な新聞広告に関するコミュニケーションドライバーとして前記コミュニケーション接点データベースに格納された新聞広告のビークルの中から選択するコミュニケーションドライバー選択手段を含み、該選択されたコミュニケーションドライバーにかかる前記第一記憶手段に記憶された出稿条件情報を、該有望顧客に対して適切なタイミングでコミュニケーション可能に更新すべく、決定された有効フィールドパターンにかかる出稿条件情報でリアルタイム又は定期に更新する、出稿条件情報更新手段
    を備えたことを特徴とする、キャンペーン動的適正化システム。
  3. 前記生活者データベースの少なくとも1つの生活者属性情報に基づいて、生活者データベースに記録されている情報以外の外部情報を検索可能に記録した外部データベース、
    前記生活者データベースと前記外部データベースに共通する少なくとも1つの生活者属性情報及び/又はコミュニケーション履歴情報を検索子として前記外部データベースを検索し、該検索子毎に標準的な外部情報を導出し、該導出された標準的な外部情報を該検索子に対応する前記生活者データベースのレコードに新規なフィールドを設けてそれぞれ追加記録する情報連結手段をさらに備えたことを特徴とする、請求項1または2記載のキャンペーン動的適正化システム。
  4. 前記生活者データベースの少なくとも1種の生活者属性情報に基づいて、接触量に関するマスメディア情報を検索可能に記憶し、リアルタイムに又は定期にデータ更新されるマスメディア情報データベースと、
    前記生活者データベースと前記マスメディア情報データベースに共通する少なくとも1種の生活者属性情報を検索子として前記マスメディア情報データベースを検索し、該検索子毎の標準的なマスメディア情報を導出し、該導出された標準的な外部情報を該検索子に対応する前記生活者データベースのレコードに新規なフィールドを設けてそれぞれ追加記録するマスメディア情報連結手段とを更に含み、
    前記第2記憶手段では、前記マスメディア情報が連結された後の生活者データベースに格納したレコードを順次読み出されるものであることを特徴とする、請求項1または2記載のキャンペーン動的適正化システム。
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