WO2005049305A1

WO2005049305A1 - シート部材の転写装置

Info

Publication number: WO2005049305A1
Application number: PCT/JP2004/017150
Authority: WO
Inventors: Kiyotaka Yoshii
Original assignee: Bridgestone, Corporation
Priority date: 2003-11-20
Filing date: 2004-11-18
Publication date: 2005-06-02
Also published as: EP1690667A1; EP1690667A4; US20070102120A1; EP1690667B1

Description

明細書

シート部材の転写装置

技術分野

[0001] この発明は、シート部材を転写ドラム力被転写ドラムに転写するシート部材の転写装置に関する。

背景技術

[0002] 従来のシート部材の転写装置としては、例えば以下の特許文献 1に記載されているようなものが知られている。

特許文献 1 :特開 2001— 315219号公報

[0003] このものは、外周にシート部材が貼付けられる転写ドラムと、前記転写ドラムが押し付けられた状態で、該転写ドラムと逆方向に回転することにより、転写ドラム力シート部材が転写されるタイヤ成形ドラムとを備え、前記転写ドラムの内部に吸引手段に接続された中空室を形成するとともに、その外表面に前記中空室に連通する多数の吸着穴を形成したものである。

[0004] そして、このものにおいては、吸引手段の吸引力を中空室に作用させながらシート部材を転写ドラムに供給することで、シート部材を吸着穴により吸着しながら転写ドラムの外周に貼付けた後、転写ドラムをタイヤ成形ドラムに押し当てるとともに、吸引手段の作動を停止させ、その後、転写ドラム、タイヤ成形ドラムを逆方向に回転させることで、シート部材を転写ドラム力もタイヤ成形ドラムに転写するようにして、る。

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0005] し力しながら、このような従来のシート部材の転写装置にあっては、バキュームによる吸着力によってシート部材を転写ドラムに保持するようにして、るため、吸着穴内にシート部材が引き込まれて、広範囲のシート部材表面に多数の吸着痕 (変形)が発生してしまうという課題があった。また、シート部材を転写ドラムに確実に保持するには、シート部材より吸着穴が設置されている面積を小さくし、シート部材の保持時に吸着穴から外気を吸入しないようにする必要がある力このようにすると、シート部材の外縁部 (始端部を含む）が吸着されなヽため、保持時に該外縁部が転写ドラムカゝら剥がれて変形することがあるという課題もあった。

[0006] この発明は、シート部材の受け渡しを、変形を防止しながら簡単かつ確実に行うことができるシート部材の転写方法および装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0007] < 1 >本発明は、一定幅を有する複数の細幅部材の側端同士を順番に繋ぎ合せてできたシート部材の始端部と終端部とを繋いで円筒状タイヤ構成部材を形成するのに用いられ、

外周上で、前記複数の細幅部材をそれらの幅方向が周方向に向いて並ぶよう貼付けてシート部材を形成する転写ドラムと、前記転写ドラムが押し付けられた状態で該転写ドラムと逆方向に回転することにより転写ドラム力転写されたシート部材の、始端部と終端部とを繋いで円筒状タイヤ構成部材を形成する被転写ドラムとを備え、転写ドラムの外周上に、シート部材の始端部を構成する細幅部材を貼付ける始端部貼付け領域を先頭にして細幅部材の幅と同じピッチで周方向に配列された複数の貼付け領域を配設し、これらの貼付け領域のそれぞれを、低粘着性である多数の低粘着区画と、前記低粘着区画と転写ドラムの幅方向に交互に配置され、高粘着性である多数の高粘着区画とに区分するとともに、前記高粘着区画のそれぞれを低粘着区画より半径方向内側に没入させる拡縮径手段を設け、細幅部材を転写ドラムに貼付けるときには、高、低粘着区画双方を同一面上に位置させ、また、シート部材を転写ドラム力被転写ドラムに転写するときには、高粘着区画を移動手段により低粘着区画より半径方向内側に没入させるように構成し、

前記拡縮径手段を、前記貼付け領域のうち、始端部貼付け領域およびこれに隣接する一部の貼り付け領域に対する高粘着区画のそれぞれを半径方向内側に没入させる一括拡縮径手段と、残余の貼り付け領域に対する高粘着区画のそれぞれを個別に半径方向内側に没入させる移動手段とで構成し、前記一括拡縮径手段を、高粘着区画にそれぞれ回転可能に連結され半径方向内外に変位するカムフォロアと、転写ドラム周方向に回動可能に設けられ、その回動によりそれらのカムフォロアを半径方向内外に変位させる回動カムと、回動カムを転写ドラム周方向に回動させるカム駆動手段とで構成してなるシート部材の転写装置である。

[0008] < 2>本発明は、 < 1 >において、少なくとも始端部貼付け領域における低粘着区画を弾性材料力構成したシート部材の転写装置である。

[0009] < 3 >本発明は、く 1 >もしくは < 2>において、少なくとも始端部貼付け領域における前記低粘着区画は、少なくとも外表面部がシリコンゴム力も構成されているシート部材の転写装置である。

[0010] <4>本発明は、 < 1 >から < 3 >のいずれかにおいて、少なくとも始端部貼付け領域における前記高粘着区画は、外表面を鏡面力構成したシート部材の転写装置である。

[0011] < 5 >本発明は、 <4>において、前記鏡面は外表面にメツキ処理を施すことで形成したシート部材の転写装置である。

[0012] < 6 >本発明は、 < 1 >から < 5 >のいずれかにおいて、少なくとも始端部貼付け領域における低粘着区画と高粘着区画とは軸方向に交互に配置されて、るシート部材の転写装置である。

発明の効果

[0013] < 1 >の発明によれば、転写ドラムに細幅部材を貼付ける場合には、移動手段によつて高粘着区画が低粘着区画と同一面上に位置して、るときに、細幅部材を転写ドラムの対応する貼付け領域に供給して圧着させることにより、細幅部材を、特に高粘着区画に強力に粘着することができる。ここで、高、低粘着区画には従来技術の吸着穴のように細幅部材の面積より小さくしなければならな、と、う制限が存在しな、ため、細幅部材より大きくすることができ、これにより、細幅部材は全域に亘つて、特に高粘着区画に粘着力によって確実に保持され、変形するようなことはない。

[0014] また、転写ドラム力も被転写ドラムにシート部材を転写により貼付ける場合には、まず、拡縮径手段によって高粘着区画を低粘着区画より半径方向内側に没入させることにより、シート部材の保持を低粘着区画のみにより行うことができ、この状態で転写ドラムを被転写ドラムに押付けながら、転写、被転写ドラムを逆方向に回転させ、転写ドラム力シート部材を被転写ドラムに転写すると、シート部材は低粘着区画のみによって保持されているため、転写ドラム力容易に剥離し、被転写ドラムに確実に転写される。ここで、転写ドラムに保持されているとき、シート部材は、特に高粘着区画によって粘着保持されているため、従来技術のように広範囲に吸着痕 (変形)が生じることちない。

[0015] さらに、前記拡縮径手段を、前記貼付け領域のうち、始端部貼付け領域およびこれに隣接する一部の貼り付け領域に対する高粘着区画のそれぞれを半径方向内側に没入させる一括拡縮径手段と、残余の貼り付け領域に対する高粘着区画のそれぞれを個別に半径方向内側に没入させる移動手段とで構成し、前記一括拡縮径手段を、高粘着区画にそれぞれ回転可能に連結され半径方向内外に変位するカムフォロアと、転写ドラム周方向に回動可能に設けられ、その回動によりそれらのカムフォロアを半径方向内外に変位させる回動カムと、回動カムを転写ドラム周方向に回動させる力ム駆動手段とで構成したので、全部の貼付け領域に対する高粘着区画を個別にシリンダ等の移動手段により半径方向内側に没入させる場合に対比して、装置を簡単な構成のものとすることができる。

[0016] < 2>の発明によれば、転写ドラムと被転写ドラムとの間隔が零以下であっても、低粘着区画が弾性変形することで、シート部材を転写ドラム力被転写ドラムに転写することができ、これにより、ドラム間間隔の調整が容易となる。

[0017] < 3 >および <4>のいずれの発明も、これらによれば、簡単かつ安価に低粘着区画を成形することができる。

[0018] < 5 >の発明によれば、同様に、簡単かつ安価に高粘着区画を成形することができる。

[0019] < 6 >の発明によれば、高、低粘着区画のピッチを容易に狭くすることができ、これにより、シート部材の粘着保持を確実とすることができる。

図面の簡単な説明

[0020] [図 1]この発明の実施例 1を示す一部破断側面図である。

[図 2]転写ドラムの始端部貼付け領域近傍の側面図である。

[図 3]図 2の I I矢視断面図である。

[図 4]図 2の II II矢視断面図である。

[図 5]この発明の実施例 2を示す側面図である。発明を実施するための最良の形態

[0021] まず、本発明の基本概念について図に基づいて説明する。図 1、 2、 3、 4は、この基本概念を代表するシート部材の転写装置を示す図であり、図 1、 2、 3、 4において、 11は水平な軸線回りに回転可能な円筒状の転写ドラムであり、この転写ドラム 11の周囲には後述する被転写ドラム、例えばタイヤ成形ドラムに転写するシート部材 12が貼付けられているが、このシート部材 12の周方向長さは該被転写ドラムの周長と実質上等長である。ここで、このようなシート部材 12は、小幅で所定長の短冊状を呈する細幅部材 13を、前記転写ドラム 11の周囲に軸線方向に延在させた状態で貼付けた後、転写ドラム 11を細幅部材 13の幅分だけ回転させ、次に、再び、細幅部材 13を転写ドラム 11の周囲に、側端を先に貼付けられた細幅部材 13に密着させながら軸線方向に延在させた状態で貼付ける工程を繰り返し行うことで構成する。

[0022] そして、このような貼付けは、成形する空気入りタイヤのリム径の呼びと同一回数、例えば、リム径の呼びが 17インチであるときには、 17回行われる。このようにして転写ドラム 11の周囲にシート部材 12が貼付けられると、該転写ドラム 11は被転写ドラムに接近するよう平行移動した後、該タイヤ成形ドラムに押し付けられながら回転することで、シート部材 12を転写ドラム 11から被転写ドラムに転写する。被転写ドラムでは、シ一ト部材 12の始端と終端とが繋ぎ合わされ、シート部材 12は円筒状となる。

[0023] このようにシート部材 12をリム径の呼びと同一枚数の細幅部材 13から構成すれば、同一の転写ドラム 11を用いて異なった径の被転写ドラムに対しシート部材 12を転写し、異なるリム径、ここでは 15— 20インチの空気入りタイヤを容易に成形することができる。ここで、前記シート部材 12としては、未加硫ゴムのみ力もなるインナーライナ一、補強コードが埋設された未加硫ゴム力もなるカーカスプライ等を挙げることができる。

[0024] 前記転写ドラム 11は回転軸上に位置する主軸 15と、主軸 15の先端部および基端部にそれぞれ固定され該主軸 15と同軸の円板状をした支持円板 16と、支持円板 16の半径方向外端に内周が固定され、前記主軸 15と同軸の円筒状をした外筒 17とを有する。前記外筒 17には、周上 1箇所だけ軸方向一端力軸方向他端まで延びる貫通したスリット 18が形成されている力このスリット 18が形成されている位置は、前記シート部材 12の始端部を構成する細幅部材 13が貼付けられる位置である。 [0025] 21は支持円板 16の半径方向外端部にそれぞれ固定された支持ブロックであり、これらの支持ブロック 21は前記スリット 18を塞ぐよう該スリット 18内に収納されるとともに、外周に断面略矩形の軸方向に延びる凹み 22が形成されて、る。 23は両端部が凹み 22に収納固定されることで支持ブロック 21に支持された軸方向に延びる補完バーであり、この補完バー 23はその外周が外筒 17の外周と同一面上に位置する円弧状に形成されるとともに、前記外筒 17に形成されたスリット 18を埋めることで、転写ドラム 11 の外周を連続した円筒状とする。

[0026] また、この補完バー 23は未加硫ゴムとの粘着性が低ヽ低粘着性 (難吸着性)材料からなるととも〖こ、容易に弾性変形する弾性材料から構成されており、具体的には、シリコンゴム力構成されている。このように補完バー 23が低粘着性であると、該補完バ一 23に密着しているシート部材 12は、該補完バー 23から容易に剥離 '離脱することができる。前記補完バー 23の周方向中央部には半径方向に延びた断面矩形の貫通孔 26が多数形成され、これらの貫通孔 26は軸方向に並べられるとともに、互いに等距離離れて配置されている。

[0027] 前記補完バー 23の半径方向内側には該補完バー 23に平行に延びる支持バー 29 が設置され、この支持バー 29の両端部は前記支持円板 16に形成された半径方向に延びるスリット 30を貫通している。 31は支持バー 29の外側面に内端が固定された半径方向に延びる多数 (前記貫通孔 26と同数)の保持プレートであり、これらの保持プレート 31の半径方向外側部は対応する貫通孔 26内にそれぞれ挿入されてヽる。そして、これら保持プレート 31の半径方向外側面は、前記支持バー 29が半径方向外側限まで移動したとき、補完バー 23、外筒 17の外周と同一面上に位置しているが、前記支持バー 29が半径方向内側に移動すると、ガイド 32にガイドされながら補完バー 23の外周から半径方向内側に没入する。

[0028] また、これら保持プレート 31の半径方向外側面にはニッケルメツキ、クロムメツキ等のメツキ処理が施され、鏡面となっている。この結果、これら保持プレート 31の半径方向外側面にシート部材 12が押し付けられると、該シート部材 12はその粘着力により強力に保持プレート 31に密着される。ここで、シート部材 12 (細幅部材 13)が転写ドラム 11 に貼付けられる（貼付けられる）とき、該シート部材 12の始端部（1枚目の細幅部材 13 の始端部）は前述した保持プレート 31の周方向一側端 31aと周方向他側端 31bとの間に供給されるため、これら周方向一側端 31aと周方向他側端 31bとの間の領域がシート部材 12の始端部が貼付けられる転写ドラム 11の始端部貼付け領域 33となる。

[0029] そして、この始端部貼付け領域 33は前述のように低粘着性である（シート部材 12との間の粘着力が弱ぐ該シート部材 12が容易に剥離'離脱する)多数の低粘着区画としての補完バー 23 (実際には始端部貼付け領域 33に位置している保持プレート 31 間の補完バー 23)と、該低粘着区画としての補完バー 23と軸方向に交互に配置され、高粘着性である (シート部材 12との間の粘着力が強力である）多数の高粘着区画としての保持プレート 31とに区分されることになる。

[0030] このように始端部貼付け領域 33において補完バー 23 (低粘着区画)と保持プレート 31 (高粘着区画）とを軸方向に交互に配置するようにすれば、補完バー 23、保持プレート 31のピッチを容易に狭くすることができ、これにより、シート部材 12の始端部の粘着保持を確実なものとすることができる。ここで、前述のように始端部貼付け領域 33における補完バー 23 (低粘着区画)を弾性材料から構成するようにすれば、転写ドラム 11と被転写ドラムとの間隔を転写時に零以下としても、補完バー 23が弾性変形することで、シート部材 12を転写ドラム 11力も被転写ドラムに転写することができ、これにより、両ドラム間間隔の調整を容易とすることができる。

[0031] また、前述のように補完バー 23 (低粘着区画)全体をシリコンゴム力も構成するようにすれば、簡単かつ安価に始端部貼付け領域 33に低粘着区画を成形することができる。ここで、低粘着区画は少なくとも外表面部がシリコンゴム力も構成されていれば、シート部材 12の低粘着区画 (補完バー 23)からの剥離 ·離脱を容易とすることができるため、外表面部のみに設けられていてもよい。さらに、前述のように高粘着区画の外表面、即ち、保持プレート 31の半径方向外側面を、メツキ処理を施すことで鏡面としたが、このようにすれば、簡単かつ安価に高粘着区画を成形することができる。

[0032] 35は支持円板 16にそれぞれ取付けられた半径方向に延びるシリンダであり、これらシリンダ 35のピストンロッド 36の先端は中間部材 37を介して支持バー 29の軸方向両端部に連結されている。そして、前記シリンダ 35が作動してピストンロッド 36がストロークエンドまで突出すると、保持プレート 31はその半径方向外側面が補完バー 23、転写ドラム 11の外周と同一面となるまで半径方向外側に移動し、一方、ストロークエンドまで引っ込むと、その半径方向外側面が補完バー 23、転写ドラム 11の外周より半径方向内側に没入する。前述したシリンダ 35、中間部材 37は全体として、高粘着区画である保持プレート 31を低粘着区画である補完バー 23より半径方向内側に没入させる移動手段 38を構成する。

[0033] 41は外筒 17に周方向に等距離、ここでは前記細幅部材 13の幅と実質上同一距離だけ離れて形成された多数の貫通孔群であり、各貫通孔群 41は軸方向に等距離離れた多数の半径方向に貫通する断面矩形の貫通孔 42から構成されてヽる。 43は軸方向に延び、両端部が前記支持円板 16に形成されたスリット 40を貫通する多数 (貫通孔群 41と同数)の保持バーであり、これらの保持バー 43は周方向に等距離離れて (貫通孔群 41と等距離だけ離れて)配置されている。各保持バー 43は四角柱状の本体部 43aと、該本体部 43aの外側面から半径方向外側に突出する多数 (貫通孔 42と同数)の突出部 43bとから構成され、これら突出部 43bは前記貫通孔 42と同様に軸方向に等距離離れて配置されるとともに、その断面形状は前記貫通孔 42と同形である。

[0034] そして、前記保持バー 43はそれぞれ貫通孔群 41に、詳しくは突出部 43bが貫通孔 42に半径方向内側カゝら挿入されている。ここで、前記突出部 43bの半径方向外側面は、保持バー 43が半径方向外側限まで移動しているときには、外筒 17の外周と同一面上に位置している力保持バー 43が半径方向内側に移動すると、ガイド 44にガイドされながら外筒 17の外周より半径方向内側に没入する。

[0035] また、前記突出部 43bの半径方向外側面は前記保持プレート 31と同様にメツキ処理が施されて鏡面となっており、この結果、これら突出部 43bの半径方向外側面にシート部材 12が押し付けられると、該シート部材 12はその粘着力により強力に保持バー 43 に密着される。一方、前記外筒 17の外周は所定厚さの低粘着性 (難吸着性)材料、ここではシリコンゴムカゝらなるコーティング層により被覆されており、この結果、シート部材 12は外筒 17から容易に剥離 '離脱することができる。

[0036] このように、転写ドラム 11の外周には、シート部材の始端部を構成する細幅部材 13 を貼付ける始端部貼付け領域 33を先頭にして細幅部材 13の幅と同じピッチで周方向に配列された複数の貼付け領域が配設され、これらの貼付け領域はそれぞれに対応する細幅部材を貼付ける機能するととともに、周方向に交互に配置された高粘着区画、即ち保持バー 43と一体的に変位する部分と、低粘着区画、即ち保持バー 43間の外筒 17とに区分されることになる。このように始端部貼付け領域 33以外の転写ドラム 11において、保持バー 43 (高粘着区画)と、周方向に隣接する保持バー 43間の外筒 17 (低粘着区画）とを周方向に交互に配置するようにすれば、高、低粘着区画の交互配置を容易かつ安価に行うことができる。

[0037] 45は支持円板 16にそれぞれ取付けられた半径方向に延びる多数 (保持バー 43と同数対)のシリンダであり、これらシリンダ 45のピストンロッド 46の先端は中間部材 47を介して保持バー 43の軸方向両端部にそれぞれ連結されている。そして、前記シリンダ 45が作動してピストンロッド 46がストロークエンドまで突出すると、保持バー 43はその突出部 43bの半径方向外側面が外筒 17の外周と同一面となるまで半径方向外側に移動し、一方、ストロークエンドまで引っ込むと、突出部 43bの半径方向外側面は外筒 17の外周より半径方向内側に没入する。前述したシリンダ 45、中間部材 47は全体として、高粘着区画である保持バー 43を低粘着区画である保持バー 43間の外筒 17より半径方向内側に没入させる移動手段 48を構成する。

[0038] 51は転写ドラム 11の側方に設置され水平な軸線回りに回転可能な円筒状の被転写ドラムであり、この被転写ドラム 51の外周には前述のように転写ドラム 11力シート部材 12が転写されて貼付けられるが、このとき、被転写ドラム 51は転写ドラム 11が押し付けられた状態で、該転写ドラム 11と逆方向に回転する。

[0039] また、前記被転写ドラム 51の外周うち、シート部材 12の始端部が貼付けられる始端部貼付け領域 52には軸方向に延びるゴムバンド 53が設けられ、このゴムバンド 53の外表面は鏡面となっている。このように被転写ドラム 51の始端部貼付け領域 52に外表面が鏡面となったゴムバンド 53を設けるようにすれば、転写ドラム 11力被転写ドラム 51 へのシート部材 12の始端部の転写を容易に確実なものとすることができる。

[0040] 54は前記ゴムバンド 53の半径方向内側に設置されたバキューム部材であり、このバキューム部材 54と前記ゴムバンド 53との間には図示していない真空源に接続されたバキューム室 55が形成されている。そして、このバキューム室 55には前記ゴムバンド 53に形成された多数の半径方向に貫通するバキューム通路 56が連通しており、これにより、転写ドラム 11力も被転写ドラム 51へのシート部材 12の始端部の転写時に、ノキューム通路 56がシート部材 12の始端部をバキュームによって吸着し、該始端部の転写をより確実とする。

[0041] 次に、この本発明の基本概念における作用について説明する。

今、転写ドラム 11が形成位置で待機しているとする。このとき、シリンダ 35のピストン口ッド 36およびシリンダ 45のピストンロッド 46は共にストロークエンドまで突出し、高粘着区画である保持プレート 31および保持バー 43 (突出部 43b)の半径方向外側面はいずれも、低粘着区画である補完バー 23、外筒 17の外周と同一面上に位置している。

[0042] この状態でシート部材 12の始端部となる 1枚目の細幅部材 13を転写ドラム 11に供給して始端部貼付け領域 33に圧着すると、該細幅部材 13 (シート部材 12の始端部）は始端部貼付け領域 33、特に高粘着区画である保持プレート 31の半径方向外側面に強力に粘着され、転写ドラム 11の外周に貼付けられる。ここで、始端部貼付け領域 33 における高粘着区画 (保持プレート 31)および低粘着区画である補完バー 23には、従来技術の吸着穴のようにシート部材 12の面積より小さくしなければならないという制限が存在しないため、シート部材 12より大きくすることができ、これにより、シート部材 12の始端部は全域に亘つて、特に高粘着区画である保持プレート 31に粘着力によつて確実に保持され、変形するようなことはない。

[0043] その後、転写ドラム 11を細幅部材 13の幅分だけ回転させた後、細幅部材 13を、この細幅部材 13に対応する、転写ドラム 11の貼付け領域に、側端を先に貼付けられた細幅部材 13に密着させながら軸線方向に延在させた状態で貼付ける工程を、製品タイャのリム径の呼びから 1を減じた回数だけ繰り返し行い、シート部材 12を転写ドラム 11 の外周に貼付ける。このとき、前述のように高粘着区画である保持バー 43の突出部 43bが低粘着区画である外筒 17と同一面上に位置して、るため、シート部材 12は突出部 43bの半径方向外側面に粘着力によって強力に粘着され、転写ドラム 11の外周に貼付けられたシート部材 12全体が該転写ドラム 11に強力に保持される。

[0044] また、このとき、隣接する細幅部材 13の境界にはそれぞれ保持バー 43の突出部 43b が位置している。そして、シート部材 12がこのように転写ドラム 11に保持されているとき、該シート部材 12は前述のように、特に高粘着区画 (保持プレート 31、保持バー 43) によって粘着保持されているため、従来技術のように広範囲に吸着痕 (変形)が生じることちない。

[0045] 次に、シート部材 12を高粘着区画 (保持プレート 31、保持バー 43)によって粘着保持している転写ドラム 11を被転写ドラム 51に接近するよう移動させるが、このとき、シ一ト部材 12は全体が前述のように転写ドラム 11に強力に保持されて、るため、転写ドラム 11から外れたり、ずれるようなことはない。そして、前記転写ドラム 11が被転写ドラム 51に当接した転写位置まで移動すると、シート部材 12の始端部は転写ドラム 11によつて被転写ドラム 51の始端部貼付け領域 52に押し付けられる。

[0046] このとき、シリンダ 35を作動してピストンロッド 36をストロークエンドまで引っ込ませ、高粘着区画である保持プレート 31の半径方向外側面を補完バー 23の外周より半径方向内側に没入させる。これにより、シート部材 12の始端部が低粘着区画である補完バー 23によってのみ粘着保持されるようになる力このとき、シート部材 12の始端部が接触している被転写ドラム 51の始端部貼付け領域 52は、前述のように鏡面力も構成されているため、シート部材 12の始端部は転写ドラム 11から粘着力が強力である被転写ドラム 51側に転写される。また、このとき、バキューム室 55、バキューム通路 56内を真空源により真空とし、これにより、シート部材 12の始端部をバキュームによって被転写ドラム 51側に吸着して、前記始端部の転写をより確実とする。

[0047] このように転写ドラム 11が被転写ドラム 51に押し付けられた状態で、転写ドラム 11、被転写ドラム 51を逆方向に回転させる力これらドラム 11、 51の回転によって保持バ一 43が前記ドラム 11、 51の回転軸を結ぶ線上に順次到達する毎に、該保持バー 43をシリンダ 45によって外筒 17の外周より半径方向内側に順次没入させる。この結果、転写ドラム 11と低粘着区画 (外筒 17)でのみ接触するようになった残りのシート部材 12は始端部側から次々と、転写ドラム 11から容易に剥離 '離脱して被転写ドラム 51の外周に転写される。

[0048] また、前述の転写時、転写ドラム 11の低粘着区画 (補完バー 23、外筒 17)は少なくともその外表面部が弾性材料であるシリコンゴム力構成されて、るため、転写ドラム 11と被転写ドラム 51との間隔を零以下としても、補完バー 23、外筒 17の外表面図（シリコンゴム）が弾性変形することで、シート部材 12を転写ドラム 11から被転写ドラム 51に転写することができ、これにより、両ドラム間間隔の調整を容易とすることができる。そして、シート部材 12全体が転写ドラム 11力被転写ドラム 51に転写されると、これら転写ドラム 11、被転写ドラム 51の回転を停止する。

[0049] 以上、各貼付け領域に設けられた高粘着区画 (保持バー 43)のそれぞれを、半径方向内側に没入させる移動手段 38、 48として、それぞれの高粘着区画ごとに設けられたシリンダ 35、 45を用いて駆動する場合を例にとって、本発明のベースとなる基本概念について説明したが、この基本概念においては、貼付け領域の数だけシリンダが必要となり、装置が複雑になってしまうという問題がある。そこで、本発明は、この基本概念を改良発展させ、装置を簡単なもので構成することのできるシート部材の転写装置を提供するものであり、その実施形態を、図 5を参照して説明する。

[0050] 同図 5において、 62は主軸 15に軸受 61を介して回動可能に支持された回動カムであり、この回動カム 62は前記主軸 15の回転軸と同軸で略扇形を呈している。 63は前記支持バー 29の半径方向内端に回転可能に支持されたカムフォロア、 64は前記支持バー 29と、該支持バー 29から回転方向後側に一定個数だけ離れた保持バー 43との間に配置されている保持バー 43の半径方向内端に回転可能に支持されたカムフォロアである。そして、このようにカムフォロア 63、 64が設けられている支持バー 29、保持バー 43においては、前記実施例 1で説明したシリンダ 35、 45が省略されており、これにより、装置全体の構造を簡単とすることができる。

[0051] ここで、前記一定個数は、前記シート部材 12により成形される空気入りタイヤの最小リム径の呼び、この実施例では 15インチ力も小さな整数、この実施例では 1だけ減じた数（14個）である。そして、前記回動カム 62の半径方向外端部には前記カムフォロァ 63、 64がそれぞれ挿入されるカム孔 65、 66が周方向に前記カムフォロア 63、 64間および 64、 64間の距離と等距離だけ離れて形成され、これらのカム孔 65、 66は回転方向前方に向かうに従い半径方向内側に接近するよう傾斜している。この結果、前記回動カム 62が回転方向前方に回動すると、カムフォロア 63、 64は保持プレート 31、保持バー 43が補完バー 23、外筒 17の外周と同一面となるまで半径方向外側に移動し、一方、前記回動カム 62が回転方向後方に回動すると、カムフォロア 63、 64は保持プレート 31、保持バー 43を補完バー 23、外筒 17内に没入させるよう半径方向内側に移動する。

[0052] 67はヘッド側が支持円板 16に連結されたシリンダであり、このシリンダ 67のピストン口ッド 68の先端は前記回動カム 62の回転方向前端に連結されている。この結果、前記シリンダ 67が作動してピストンロッド 68が引っ込むと、回動カム 62は回転方向前方に回動し、一方、ピストンロッド 68が突出すると、回動カム 62は回転方向後方に回動する。なお、他の構成は、前記基本概念の説明において示したところと同様である。

[0053] そして、このような転写ドラム 11に、リム径の呼び力例えば 18インチの空気入りタイャを成形する際使用するシート部材 12を貼付ける場合には、前記基本概念で説明したと同様に、 18枚の細幅部材 13を転写ドラム 11の周囲に該転写ドラム 11を細幅部材 13の幅分だけ間欠的に回転させながら次々と貼付けて構成する。

[0054] その後、転写ドラム 11を被転写ドラム 51に当接するまで接近移動させ、シート部材 12の始端部を被転写ドラム 51の始端部貼付け領域 52に押し付け転写する。次に、シリンダ 67のピストンロッド 68を突出させることで、回動カム 62を回転方向後方に回動させ、これにより、保持プレート 31、保持バー 43を補完バー 23、外筒 17内に没入するよう半径方向内側に移動させる。この結果、シート部材 12は始端部および終端部がそれぞれ被転写ドラム 51および 5個の保持バー 43 (高粘着区画）により高精度で位置決めされながら粘着保持されるが、残りの中央部は低粘着区画である外筒 17に接触しているだけであり、若干ずれることも可能である。

[0055] その後、転写ドラム 11、被転写ドラム 51を逆方向に回転させる力これにより、シート部材 12は転写ドラム 11力次々と被転写ドラム 51に転写される。このとき、前述のように中央部は外筒 17に接触して、るだけであるため、余計な力がシート部材 12に作用しても、ずれることで余計な力は吸収され、しわの発生やエア入りを防止することができる。そして、シート部材 12の終端部が被転写ドラム 51に到達すると、保持バー 43が前記ドラム 11、 51の回転軸を結ぶ線上に到達する毎に、該保持バー 43がシリンダ 45 によって外筒 17の外周より半径方向内側に順次没入され、残りの終端部を被転写ドラム 51に転写する。なお、他の作用は前記基本概念の説明において示したところと同様である。

[0056] なお、前述の実施形態においては、低粘着区画にシリコンゴムを用いた力この発明においては、低粘着区画に弾性変形をさせる必要がないときには、プラスチック等を用いるようにしてもよい。また、前述の実施形態においては、高粘着区画をメツキ処理された鏡面カゝら構成したが、この発明においては、高精度研磨等により鏡面としてもよい。さらに、前述の実施形態においては、保持プレート 31および複数（13個）の保持バー 43を回動カム 62によって一体的に半径方向に移動させるようにした力この発明においては、保持プレートをシリンダにより保持バーとは別個に移動させるとともに、複数の保持バーを回動カムによって一体的に半径方向に移動させるようにしてもよい。

[0057] 以上の説明において、カムフォロア 63、 64と、回動カム 62と、回動カムを転写ドラム周方向に回動させるカム駆動手段として機能するシリンダ 67とは、始端部貼付け領域およびこれに隣接する一部の貼り付け領域に対する高粘着区画 44のそれぞれを半径方向内側に没入させる一括拡縮径手段を構成し、この一括拡縮径手段と、シート部材 12の終端部を貼付ける貼付け領域の高粘着区画 44のそれぞれを個別に半径方向内側に没入させる移動手段として機能するシリンダ 45とは、すべての貼り付け領域の粘着区画 44のそれぞれを半径方向内側に没入させる拡縮径手段を構成し、拡縮径手段をこのように構成したことにより、装置を簡単な構造にすることができ、し力も、それぞれの細幅部材 13を貼り付ける際にはこれらを確実に保持するともに、シート部材 12を転写する際には、少なくとも始端部と終端部とを確実に保持して位置ずれのないシート部材 12の転写を可能にすることができる。

産業上の利用可能性

[0058] この発明は、シート部材を転写ドラム力被転写ドラムに転写する装置の産業分野に適用できる。

Claims

請求の範囲

[1] 一定幅を有する複数の細幅部材の側端同士を順番に繋ぎ合せてできたシート部材の始端部と終端部とを繋いで円筒状タイヤ構成部材を形成するのに用いられ、外周上で、前記複数の細幅部材をそれらの幅方向が周方向に向いて並ぶよう貼付けてシート部材を形成する転写ドラムと、前記転写ドラムが押し付けられた状態で該転写ドラムと逆方向に回転することにより転写ドラム力転写されたシート部材の、始端部と終端部とを繋いで円筒状タイヤ構成部材を形成する被転写ドラムとを備え、転写ドラムの外周上に、シート部材の始端部を構成する細幅部材を貼付ける始端部貼付け領域を先頭にして細幅部材の幅と同じピッチで周方向に配列された複数の貼付け領域を配設し、これらの貼付け領域のそれぞれを、低粘着性である多数の低粘着区画と、前記低粘着区画と転写ドラムの幅方向に交互に配置され、高粘着性である多数の高粘着区画とに区分するとともに、前記高粘着区画のそれぞれを低粘着区画より半径方向内側に没入させる拡縮径手段を設け、細幅部材を転写ドラムに貼付けるときには、高、低粘着区画双方を同一面上に位置させ、また、シート部材を転写ドラム力被転写ドラムに転写するときには、高粘着区画を移動手段により低粘着区画より半径方向内側に没入させるように構成し、

前記拡縮径手段を、前記貼付け領域のうち、始端部貼付け領域およびこれに隣接する一部の貼り付け領域に対する高粘着区画のそれぞれを半径方向内側に没入させる一括拡縮径手段と、残余の貼り付け領域に対する高粘着区画のそれぞれを個別に半径方向内側に没入させる移動手段とで構成し、前記一括拡縮径手段を、高粘着区画にそれぞれ回転可能に連結され半径方向内外に変位するカムフォロアと、転写ドラム周方向に回動可能に設けられ、その回動によりそれらのカムフォロアを半径方向内外に変位させる回動カムと、回動カムを転写ドラム周方向に回動させるカム駆動手段とで構成してなるシート部材の転写装置。

[2] 少なくとも始端部貼付け領域における低粘着区画を弾性材料カゝら構成した請求項

1に記載のシート部材の転写装置。

[3] 少なくとも始端部貼付け領域における前記低粘着区画は、少なくとも外表面部がシリコンゴム力構成されている請求項 1または 2に記載のシート部材の転写装置。

[4] 少なくとも始端部貼付け領域における前記高粘着区画は、外表面を鏡面力構成した請求項 1一 3のいずれかに記載のシート部材の転写装置。

[5] 前記鏡面は外表面にメツキ処理を施すことで形成した請求項 4に記載のシート部材の転写装置。

[6] 少なくとも始端部貼付け領域における低粘着区画と高粘着区画とは軸方向に交互に配置されている請求項 1一 5のいずれかに記載のシート部材の転写装置。