WO2005046890A1

WO2005046890A1 - スワブ

Info

Publication number: WO2005046890A1
Application number: PCT/JP2004/016548
Authority: WO
Inventors: Katsuyoshi Watanabe; Yoshiaki Ito
Original assignee: Fushimi Pharmaceutical Company, Limited
Priority date: 2003-11-13
Filing date: 2004-11-08
Publication date: 2005-05-26
Also published as: JP2005144288A

Abstract

　対象を傷つけず拭き残りなく拭くことが出来る優れたワイピング性を有するとともに、自己発塵や併用される溶剤への溶出物により対象を汚染することのないスワブとして、長さ２～３０ｃｍの棒状物およびその端部に設けられた清拭部を有するスワブにおいて、該清拭部がポリオレフィンスポンジからなることを特徴とするスワブ、特に該ポリオレフィンスポンジが、気孔率が５０％以上でかつ気孔径が１５０μｍ以下の連続気孔体であることを特徴とするスワブを提供する。

Description

明細書

スヮブ

技術分野

[0001] 本発明は、主として電子部品、光学部品のワイビングに用いられるスヮブ、即ち棒状物の先端に清拭部が取り付けられた清拭具に関する。

背景技術

[0002] 電子部品、光学部品等の製造においては、広い平面部ばかりでなぐ狭い特定部分、コーナー部、溝等狭い局部空間のワイビングが必要であり、多種多様なスヮブと総称される清拭具が使用されている。

[0003] 最も代表的なスヮブは綿棒である。しかし、その清拭部である綿球部に用いられる繊維は太ぐワイビング性能が不足で拭き残りが生じ易くかつワイビング対象を傷つけやすい。また脱落する繊維くずによる自己発塵が生じやすぐさらに綿球部に成形バインダーとしてポリビュルアルコール、酢酸ビュル等を用いているので、ワイビング時多くの場合併用される溶媒によりこれらが溶出し対象を汚染しやすい。従って、対象を傷つけず拭き残りなく拭くことが出来る優れたワイビング性、及び自己発塵や溶出物により対象を汚染することのない不汚染性が強く求められる高度なワイビングには不向きであった。

[0004] 綿棒以外にも、ポリエステルニット布、ポリウレタンスポンジ、 0. 5デニール以下の極細フィラメント布等を清拭部に用いたスヮブも使用されている。しかし、ポリエステル- ット布は綿棒と同じく繊維が太くワイビング性に劣り、自己発塵性も大きい。

[0005] ポリウレタンスポンジは拭き残りが少なぐ対象も傷つけにくいが、ポリウレタンが溶媒に溶解もしくは膨潤し、溶媒に溶け出すポリウレタン成分により対象物を汚染する。極細フィラメント布は繊維が細く対象物を傷つけにくいが、布であるが故に自己発塵性がある。このように、優れたワイビング性および不汚染性を併せ持つスヮブは従来得られていなかった。

発明の開示

発明が解決しょうとする課題 [0006] 本発明は、前記のような従来技術の問題を解決し、対象を傷つけず拭き残りなく拭くことが出来る優れたワイビング性を有するとともに、自己発塵や溶出物により対象を汚染することのな、スヮブを提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

[0007] 本発明者は検討の結果、清拭部の材質としてポリオレフインスポンジを用いることにより、優れたワイビング性を有するとともに、対象を汚染することのないスヮブが得られることを見出し、本発明を完成した。

[0008] 即ち本発明は、長さ 2— 30cmの棒状物およびその端部に設けられた清拭部を有するスヮブにお、て、該清拭部がポリオレフインスポンジ力もなることを特徴とするスヮブ (請求項 1)を提供する。

[0009] 本発明はさらに次の好まヽ態様を提供する。

[0010] 前記のスヮブであって、該ポリオレフインスポンジ力気孔率が 50%以上でかつ気孔径が 150 m以下の連続気孔体であることを特徴とするスヮブ (請求項 2)。

[0011] 前記のスヮブであって、該清拭部の 1個当たりの塩素イオン含有量力 0. 25 μ g以下であることを特徴とするスヮブ (請求項 3)。

[0012] 前記のスヮブであって、ポリオレフインに水溶性物質を混練し、該混練物を押し出し、射出又は圧縮成形し、該成形物を水中に浸漬することにより水溶性物質を溶出させる工程を有する方法により製造されたポリオレフインスポンジを用いることを特徴とするスヮブ (請求項 4)。

[0013] 前記請求項 4のスヮブであって、更に、該清拭部を純水中に浸漬することにより塩素イオン含有量を減少する工程を有する方法により製造されたポリオレフインスボンジを用いることを特徴とするスヮブ (請求項 5)。

発明の効果

[0014] 本発明のスヮブは、対象を傷つけず拭き残りなく拭くことが出来る優れたワイビング性を有し、かつ自己発塵や溶出物により対象を汚染することがない。従って、優れたワイビング性ゃ不汚染性が強く求められる高度なワイビングに好適に用いられる。又、従来のポリウレタンスポンジを用いるスヮブでは、汚れを素早く吸い取るために界面活性剤を添加することもあったが、本発明のスヮブは、清拭部に界面活性剤を含有させてもよいが、界面活性剤を含有しなくても、ほとんどの汚れを素早く吸い取ることができる。従って、界面活性剤の溶出により対象を汚染することもない。

発明を実施するための最良の形態

[0015] 本発明で言うポリオレフインとは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のォレフインホモポリマ—並びにポリエチレン酢酸ビュル、同酸化物、エチレン 'プロピレン •スチレン'ブタジエン等の各種モノマーからなる高分子エラストマ一等を意味し、これらの混合物であってもよ、。

[0016] ポリオレフインをスポンジィ匕 (発泡体化）する方法としては、ポリオレフインにトリクロ口フッ化メタン、テトラクロ口ジフッ化工タン、ァゾジ力ルバナミド、パラトルエンスルフォ- ルヒドラジン等の発泡剤を混練し、押し出し、射出、圧縮により成形後、加熱発泡する乾式発泡方式、ポリオレフインに、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ポリビ- ノレアノレコーノレ、エチレングリコーノレ、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、ポリアクリル酸ソーダ、各種デンプンの有機物、ナトリウム、力リウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、アルミニウム等の塩化物、硫酸塩等の無機塩等から選ばれる水溶性物質を混練し、押し出し、射出、圧縮により成形後、該水溶性物質を水中に溶出させてスポンジを得る湿式発泡方式の、ずれであってもよい。

[0017] ワイビング対象の汚れ、もしくはワイビング時に併用される溶媒で希釈された汚れを拭き残りなく拭き取るためには、該汚れを、清拭部であるポリオレフインスポンジで押し広げてしまう前に、素早く吸い取る必要がある。また対象物を傷つけないためにはクッション性が必要である。そこで、該ポリオレフインスポンジとしては、気孔径が小さくかつ気孔率が大きな連続気孔体が好ましい。具体的には、気孔径は 150 /z m以下であり、気孔率は 50%以上のものが好ましい。請求項 2は、この好ましい態様に該当する。ここで、気孔径とは、気孔径の平均を意味し、ポリオレフインスポンジの断面の一定長さの範囲を横切る気孔数を測定し、該一定長さを該気孔数で割った値である

[0018] 乾式発泡方式では、微細な孔径であって高気孔率の連続気孔体を再現性よく得ることは難しい。そこで、湿式発泡方式、すなわちポリオレフインに水溶性物質を混練し、該混練物を押し出し、射出又は圧縮成形し、該成形物を水中に浸漬することにより水溶性物質を溶出させる工程を有する方法が好ましい。請求項 4は、この好ましい製造方法により得られたポリオレフインスポンジを用いた態様に該当する。

[0019] ワイビング時に併用される溶媒には、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプ口ピルアルコール、アセトン、メチルェチルケトン、シクロへキサン、酢酸ェチル、ジクロロメタン、トリクロロェタン等が列挙される力ポリオレフインはこれらの溶媒に溶解し、膨潤することはないので、併用溶媒に溶出するものはなぐ対象物を汚染することはない。一方ポリウレタンスポンジはこれら溶媒に溶解もしくは膨潤する。

[0020] ポリオレフインスポンジは、乾式発泡方式であっても湿式発泡方式であっても、一体物であり、編んだり接着されたりするものではないので、自己発塵性はない。

[0021] 電子部品、光学部品の小型化、集積度が進むにつれて、初期検査での不良率が大きくなり、初期検査で合格しても長期の使用で不良化する割合も大きくなる。不良率の低減、長期使用時における信頼性の向上を図るのに障害となる原因のひとつに塩素イオン、亜硝酸イオン、硝酸イオン、燐酸イオン、硫酸イオン等のァ-オンによる汚染がある。特に塩素イオンが問題となる。そこで、ワイビング時の電子部品の塩素汚染を防ぐために、スヮブについても、該清拭部 1個当たりの塩素イオン含有量が、 0 . 25 g以下であるものが好ましい。請求項 3は、この好ましい態様に該当する。ここで、塩素イオン含有量は、清拭部をイオン交換水に浸けてその中の塩素イオンをィオン交換水中に溶出し、溶出後イオンクロマトグラフにて測定することにより求められる。

[0022] 該清拭部 1個当たりの塩素イオン含有量が少ないスヮブは、純水にてポリオレフインスポンジの清拭部を洗浄して残量塩素イオンを低減もしくは除去することにより製造できる。清拭部の洗浄は、該清拭部を純水中に浸漬して行うことができる。請求項 5 は、この好まし、製造方法により得られたポリオレフインスポンジを用いた態様に該当する。

[0023] 棒状物は、スヮブの柄を構成するもので、長さは 2— 30cmであり、柄のにぎり部の径は 1一 10mm程度のものが好ましく用いられる。棒状物の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート等が挙げられる。 [0024] 棒状物へのポリオレフインスポンジの固定手段は、スポンジの中心部に穴を開けそこに棒状物を差し込む物理的な固定方法でも良いし、接着剤、熱融着等による固定方法等如何なる方法も採用可能である。しかし、接着剤で固定すれば、接着剤が併用溶媒に溶出して対象物を汚染する恐れがあり、また熱融着で固定すれば、熱融着された部分が硬くなり、対象物を傷つける恐れがある。

[0025] そこで、清拭部を構成するポリオレフインスポンジの中心部に穴を開け、そこに当該穴径より太い棒状物を差込み固定する物理的な固定方法が好ましい。この固定方法に従えば、ワイビングによりポリオレフインスポンジが汚れれば、汚れたポリオレフインスポンジを棒状物力も抜き取り新し!/、ポリオレフインスポンジに差し替えれば、何回でも棒状物を繰り返し使用することが出来るメリットもある。ポリオレフインスポンジの中心部に穴を開けることは、ポリオレフイン混練物を成形する際、穴を開けておき、その後スポンジィ匕することにより容易に行うことが出来る。

[0026] 以下実施例にしたがって説明する。

実施例 1

[0027] ポリオレフイン共重合物（三菱化学 MKV (株）製ミラプレーン S8831の 80重量部および三井化学 (株）製三井ハイワックス NL 100の 20重量部の混合物）を 160°Cの 2本ロールにて溶融状態にしてから、 120°Cまで温度を下げ、デキストリン（150重量部）をカロえ混練し、同温度で外径 5mmのダイスと内径 lmmのマンドレルから成る口金を取り付けたスクリュー径 40mm φ、 LZD27の単軸押出機力も押し出しチューブ状物を得た。このチューブ状物を 15mm長に切断し、それを 80°C熱水中に 24時間浸漬した後、洗濯機にて水洗し、デキストリンを溶出させ乾燥した。得られたポリオレフインスポンジの中心部にある穴に先端を円錐状に削った長さ 10cmのポリプロピレン製軸を差込み、 Aスヮブを得た。

実施例 2

[0028] 水中にデキストリンを溶出後、更に見掛け体積比で 10倍量の純水 (イオン交換水）に 3回繰り返し浸漬する以外は実施例 1と同様に実験を行い、 Bスヮブを得た。

(比較例）

[0029] ポリウレタンスポンジを清拭部とするスヮブとして、（株)ハーべストの商品名ルビステイツク T 10を比較サンプル（cスヮブ）として選んだ。綿球、ポリエステルニット布、極細フィラメント布を清拭部とするスヮブは自己発塵性があるので、比較対象とはしなかつた。各スヮブの清拭部について、気孔率、気孔径、溶媒溶出量、残留塩素イオン、吸い取り速度、表面傷つけ性を比較した結果は次表のとおりである。

[0030] [表 1] サンプル Aスヮブ Bスヮブ Cスヮブ気孔率 66% 66% 74% 気孔径 60 ^ 11 60 ^ m 40 i m 溶媒溶出量 O.OSmg/個 0.05mg/個 15.0mg/個残留塩素イオン 0.21 g/個検出限界以下

吸い取り速度 10mm 10mm 9mm 表面傷つけ性傷なし傷なし傷なし

[0031] [測定方法]

気孔率：清拭部の見掛け比重（ p )およびポリオレフイン又はポリウレタンの真比重

(d)を測定し次式により求めた。気孔率（％) = { (d— _P ) Zd}X100

[0032] 気孔径：清拭部の走査型電子顕微鏡写真 (倍率 100倍)を撮影する。対角に長さ

(1)の線を 2本引き、それぞれの線を横切る気孔数 (n)を数え、次式により求めた。気孔径 m) = 2lZn

[0033] 溶媒溶出量： 67個の清拭部をメチルアルコール（300ml)に室温にて 2時間浸漬する。メチルアルコールの上澄み液（250ml)を分離し濃縮後、更に 105°Cにて 3時間蒸発乾固し、重量測定する。溶媒溶出量 (mgZ個）は、この蒸発乾固重量を清拭部 1個当たりに換算した値である。

[0034] 残留塩素イオン： 6個の清拭部にイオン交換水（100ml)を加え、 3分間 95°Cのゥオーターバス中に静置する。ウォーターバス力も取り出し、室温まで放冷後、イオンク口マトグラフにて塩素イオンを測定する。残留塩素イオン gZ個）は、この塩素ィォン測定値を清拭部 1個当たりに換算した値である。

[0035] 吸、取り速度：イソプロピルアルコールに清拭部の端部（15mm長に切断した面）を液面に平行に素早く浸漬し、イソプロピルアルコール吸ヽ上がり面をビデオ撮影する。吸い取り速度 (mm)：浸漬 5秒後の吸い上がり面高さ。

表面傷つけ性：コンパクトディスクを荷重 10g/cm²にて 2回拭き取り、拭き取り面を肉眼および走査型電子顕微鏡にて判定する。

Claims

請求の範囲

[1] 長さ 2— 30cmの棒状物およびその端部に設けられた清拭部を有するスヮブにおいて、該清拭部がポリオレフインスポンジ力なることを特徴とするスヮブ。

[2] 該ポリオレフインスポンジ力気孔率が 50%以上でかつ気孔径が 150 μ m以下の連続気孔体であることを特徴とする請求項 1に記載のスヮブ。

[3] 該清拭部の 1個当たりの塩素イオン含有量が、 0. 25 μ g以下であることを特徴とする請求項 1又は請求項 2に記載のスヮブ。

[4] ポリオレフインに水溶性物質を混練し、該混練物を押し出し、射出又は圧縮成形し

、該成形物を水中に浸漬することにより水溶性物質を溶出させる工程を有する方法により製造されたポリオレフインスポンジを用いることを特徴とする請求項 1ないし請求項 3の!、ずれかに記載のスヮブ。

[5] 更に、該清拭部を純水中に浸漬することにより塩素イオン含有量を減少する工程を有する方法により製造されたポリオレフインスポンジを用いることを特徴とする請求項

4に記載のスヮブ。