明細書
了ドレノメデュリン 2およびその用途 技術分野
本発明は、 新規な活性ペプチドまたはその塩、 該ペプチドまたはその塩を含有 する医薬 ·治療剤、 該ペプチドに対する抗体、 該抗体を用いた該ペプチドの測定 方法、 および該抗体を含有する試薬に関する。 背景技術
アドレノメデュリン (AM) 、 カルシトニン遺伝子関連ペプチド (CGRP) 、 ァミリンおよび最近発見されたカルシトニン受容体刺激ぺプチドは構造的に互 いに関連しており CGRPスーパーファミリーと呼ばれるホルモンのフアミリー を形成している。
アドレノメデュリンは、 ラット血小板中の c AMPの増加活性を指標に、 19 93年、 副腎髄質由来のヒト褐色細胞腫組織抽出液より発見された降圧活性を有 するペプチドである (キタムラ、 外 6名、 「バイオケミカル アンド バイオフ ィジカノレ リサーチコミュニケーシ 3ンズ (B i o c h em i c a l a n d B i o p n y s i c a l Re s e a r c h C ommun i c a t i o n s) J 、 米国、 1993年 4月 30日、 第 1 92卷、 第 2号、 p. 553— 560参 照) 。 その後、 アドレノメデュリンは種々の臓器に発現しており循環器系および 体液の制御、 成長分化の制御、 およぴホルモン分泌など多くの機能を有すること が明らかになった。 また、 ァドレノメデュリンは、 循環器系疾患および腎疾患、 敗血症、 癌、 および糖尿病のような種々の病態への関与が示唆されている。 この ような機能の多様性は、 多様な受容体との相互作用、 およびそれら受容体と R A MP (r e c e p t o r a c t i v i t y— mo d i i y i n g p r o t e i n) および RCP (r e c e p t o r c omp o n e n t p r o t e i n ) との共役の多様性により生み出されていると考えられている。
受容体および共役蛋白質の多様性から考えると、 それらに結合する未知のぺプ チドが数多く存在する可能性がある。 例えば、 CGRP/アドレノメデユリン受
容体を通して作用する脳下垂体中葉ホルモンと記載されたィンターメディン ( i n t e r me d i n) 前駆体なるペプチドのアミノ酸配列が開示されている。 し かし活 1·生を有する成熟べプチドの配列は不明であり、 活性に関するデータも開示 されていない (H s u, S. Y. および Ro h, J. — S. 、 " i n t e rme d i n p r e c u r s o r [Homo s a p i e n sj' 、 [o n l i n e] 、 2003年 8月 1日、 NCB I、 [2003年 8月 29日検索]、 識別番号 A A Q 09100 <UR L : h t t p : //www. n c b i . n 1 m. n i h. g o v/e n t r e z/v i ewe r. f e g i ? a 1 =AAQ09100. 1 〉参照) 。 発明の開示
アドレノメデュリンのような活性べプチドを新たに同定することは複雑な生体 制御の機序を理解するために重要であるのみならず、 各種疾患に対する新規な治 療ターゲットを提供することに繋がる。 従って、 各種の生体機能の調節に関わる 活ゃ生を有する新規なペプチドの同定が望まれている。 本発明の目的は、 新規な活 性ペプチド、 該ペプチドを含有する医薬 ·治療剤、 該ペプチドに対する抗体、 該 抗体を用いた該ぺプチドの測定方法、 および該抗体を含有する試薬を提供するこ とにある。
本発明者らは、 上記の課題を解決するべく鋭意研究を行った結果、 優れた降圧 作用を有する新規な活性ぺプチドの同定に成功し、 さらなる検討を重ねた結果、 本発明を完成するに至った。 本発明は、 (1) 〜 (5) に示すペプチドまたはそ の塩を提供する。 (1) 以下の (a) 〜 (d) の特徴を有するペプチドまたは その塩; (a) 以下の (a— 1) および (a— 2) からなる群より選ばれるアミ ノ酸配列からなる; ( a— 1 ) 配列番号 1に記載のァミノ酸配列; ( a— 2 ) 配 列番号 1に記載のアミノ酸配列において、 (a— 2— 1) 及び/または (a— 2 一 2) のアミノ酸変異が生じたアミノ酸配列; (a— 2— 1) N端より 1〜9番 目のアミノ酸配列に対して 1個以上 10個以内のアミノ酸が付加、 欠失、 置換お よび Zまたは挿入; (a— 2— 2) N端より 28〜34番目のアミノ酸配列に対 して 1個以上 7個以内のアミノ酸が置換; (b) 配列番号 1に記載のアミノ酸配
列における N端より 10番目の Cy sに相当する Cy sと、 1 5番目の Cy sに 相当する Cy sの間でジスルフイド結合が形成されている ; (c) アミノ酸配列 の C末端の Ty rのカルボキシル基がアミド化されている; (d) 降圧作用を有 する、 (2) 以下の (a) 〜 (d) の特徴を有するペプチドまたはその塩; ( a) 以下の (a _ l) および (a— 2) からなる群より選'ばれるアミノ酸配列か らなる ; (a— 1) 配列番号 29、 34、 38または 42に記載のアミノ酸配列
(a - 2) 配列番号 34に記載のァミノ酸配列において、 ( a _ 2— 1 ) 及び/ または (a— 2— 2) のアミノ酸変異が生じたアミノ酸配列; (a— 2— 1) 配 列番号 34に記載のアミノ酸配列において、 N端より 1〜12番目のアミノ酸配 列に対して 1個以上 12個以内のアミノ酸が付加、 欠失、 置換および/または挿 入; (a— 2— 2) 配列番号 34に記載のアミノ酸配列において、 13— 18、 20— 21、 23— 26、 28— 30、 32— 33、 35、 37、 39— 40、 42— 43、 46、 48— 49番目のアミノ酸以外の部分について 1個以上 12 個以内のアミノ酸が付加、 欠失、 置換および/または挿入; (b) 配列番号 34 に記載のアミノ酸配列における N端より 13番目の Cy sに相当する Cy sと、 18番目の Cy sに相当する Cy sの間でジスルフィ ド結合が形成されている ;
(c) アミノ酸配列の C末端の Ty rのカルボキシル基がアミド化されている;
(d) 降圧作用を有する、 (3) 以下の (a) 〜 (d) の特徴を有するぺプチ ドまたはその塩; (a) 以下の (a— 1) および (a— 2) からなる群より選ば れるアミノ酸配列からなる ;
(a - 1) 配列番号 30、 3 1'、 35、 39、 43、 45、 46、 47または 4 8に記載のァミノ酸配列; ( a _ 2 ) 配列番号 30に記載のァミノ酸配列におレヽ て、 (a— 2— 1) 及び Zまたは (a— 2— 2) のアミノ酸変異が生じたァミノ 酸配列; ( a— 2— 1 ) 配列番号 30に記載のァミノ酸配列において、 N端より :!〜 1 9番目のアミノ酸配列に対して 1個以上 19個以内のアミノ酸が付加、 欠 失、 置換および/または挿入; (a -2-2) 配列番号 30に記載のァミノ酸配 列において、 N端より 42〜 52番目のアミノ酸配列に対して 1個以上 1 1個以 内のアミノ酸が付加、 欠失、 置換およびノまたは揷入; (b) 配列番号 30に記
載のアミノ酸配列における N端より 20番目の Cy sに相当する Cy sと、 25 番目の Cy sに相当する Cy sの間でジスルフィド結合が形成されている; (c ) アミノ酸配列の C末端の Ty rのカルボキシル基がアミ ド化されている; (d ) 降圧作用を有する、 (4) 以下の (a) 〜 (d) の特徴を有するペプチドまた はその塩; (a) 以下の (a— 1) および (a— 2) からなる群より選ばれるァ ミノ酸配列からなる; (a— 1) 配列番号 32、 36または 40に記載のァミノ 酸配列; (a— 2) 配列番号 32に記載のアミノ酸配列において、 N端より 1〜 3番目のアミノ酸配列に対して 1個以上 3個以内のアミノ酸が付加、 欠失、 置換 および/または揷入; (b) 配列番号 32に記載のアミノ酸配列における N端よ り 4番目の C y sに相当する C y sと、 9番目の C y sに相当する C y sの間で ジスルフイ ド結合が形成されている ; (c) アミノ酸配列の C末端の Ty rの力 ルポキシル基がアミド化されている; (d) 降圧作用を有する、 (5) 以下の ( a) 〜 (d) の特徴を有するペプチドまたはその塩; (a) 以下の (a— l) お ょぴ (a— 2) からなる群より選ばれるアミノ酸配列からなる; (a— l) 配列 番号 33、 41、 44、 49または 5 1に記載のァミノ酸配列; ( a— 2 ) 配列 番号 33に記載のアミノ酸配列において、 (a— 2— 1) 及ぴ または (a— 2 -2) のァミノ酸変異が生じたアミノ酸配列; ( a _ 2— 1 ) 配列番号 33に記 載のアミノ酸配列において、 N端より 1〜5番目のアミノ酸配列に対して 1個以 上 5個以内のアミノ酸が付加、 欠失、 置換および/または挿入; (a_2— 2) 配列番号 33に記載のアミノ酸配列において、 6、 9- 1 2, 14— 15、 1 8 、 20、 24、 27— 29、 3 1、 36および 39— 40番目のアミノ酸以外の 部分について 1個以上 1 9個以内のアミノ酸が付加、 欠失、 置換および/または 挿入; (b) 配列番号 33に記載のアミノ酸配列における N端より 6番目の Cy sに相当する Cy sと、 1 1番目の Cy sに相当する Cy sの間でジスルフィド 結合が形成されている ; (c) アミノ酸配列の C末端の Ty rのカルボキシル基 がアミ ド化されている; (d) 降圧作用を有する。
本発明は、 (6) 〜 (8) に示す医薬または治療剤を提供する。 (6) (1) 乃至 (5) に記載のペプチドまたはその塩を含有してなる医薬、 (7) (1) 乃 至 (5) に記載のペプチドまたはその塩を有効成分とする降圧剤、 血管拡張剤、
利尿剤、 免疫機能調節剤、 成長ホルモン分泌促進剤、 心疾患治療剤、 腎疾患治療 剤、 雌性生殖機能異常に関連する疾患の治療剤、 免疫機能の異常に関連する疾患 の、治療剤または抗癌剤として用いられる治療剤、 (8) 前記心疾患が虚血性心疾 患、 心筋梗塞、 急性心筋梗塞、 陳旧性心筋梗塞、 狭心症、 心筋炎、 心筋症、 拡張 型' L、筋症、 心不全。 虚血性心疾患における心不全またはうつ血性心不全であり、 前記腎疾患が腎虚血、 腎虚血再灌流障害、 腎不全、 急性腎不全、 腎前性急性腎不 全、 腎後性急性腎不全、 腎性急性腎不全、 腎循環障害、 腎虚血性の急性尿細管壊 死、 腎毒性による急性尿細管壊死、 急性糸球体腎炎、 急性間質性腎炎または急性 皮質壊死であり、 前記雌性生殖機能異常に関連する疾患が不妊症、 排卵障害、 多 のう胞性卵巣症候群または妊娠中毒症であり、 前記免疫機能の異常に関連する疾 患力 s自己免疫疾患、 免疫不全、 アレルギー性疾患、 血管炎 ·肝炎 ·敗血症などの 炎症性疾患または I g A腎症である (7) に記載の治療剤。
本発明は (9) (1) 乃至 (5) に記載のペプチドに対する抗体、 (10) ( 9) に記載の抗体を用いることを特徴とする、 被験試料中の (1) 乃至 (5) に 記載のペプチドの測定方法、 (1 1) (9) に記載の抗体を含有することを特徴 とする、 被験試料中の (1) 乃至 (5) に記載のペプチドを測定するための試薬 、 (1 2) 心疾患、 腎疾患、 雌性生殖機能異常に関連する疾患、 免疫機能の異常 に関連する疾患または癌の診断に用いる、 (1 1) に記載の試薬、 を提供する。 図面の簡単な説明
図 1は、 哺乳類 AM2前駆体のアミノ酸配列の比較を表す図である。 マウス A M 2前駆体に対して同一のァミノ酸を白抜き文字で示す。 下線は予測シグナル配 列を示す。 成熟べプチドを枠で囲む。 アスタリスクはストップコドンを示す。 図 2は、 成熟 AM 2のアミノ酸配列の比較を表す図である。 マウス AMに対し て同一のアミノ酸を白抜き文字で示す。 力ギ線はジスルフイド結合を表す。
図 3は、 AM 2をコードする遺伝子および AMをコードする遺伝子の雄マウス およぴ雌マゥスの各種組織における発現を示す図である。
図 4は、 ウレタン麻酔マウスにおいて AM2を 10 nm o 1 /k g投与した 後の動脈圧 (AP) 、 心拍数 (HR) 変化の代表例を示す図である。 矢印は AM
2投与タイミングを表す。
図 5は、 マウスにおけるァドレノメデュリン 2とァドレノメデユリンの心血管 系に対する作用の比較 (n = 4 ) を示す図である。 AM 2 (黒丸) および AM ( 白丸) による降圧効果の用量反応関係を示す。 アスタリスクは同一用量において ふたつのペプチド間の差が分散分析により有意 (p < 0 . 0 5 ) であることを意 味する。
図 6は、 ティラピア培養下垂体からの成長ホルモン分泌に対するトラフグ AM 1、 AM 2および AM 5の効果を示す図である。 発明を実施するための最良の形態
(哺乳類 AM 2 )
本発明は哺乳類ァドレノメデュリン 2 (AM 2 ) を提供する。 AM 2は降圧作 用を有する新規な生理活性ペプチドである。 ヒ トアドレノメデュリン 2 (ヒ ト A M 2 ) は、 配列番号 1に記載のアミノ酸配列からなり、 配列番号 1に記載のアミ ノ酸配列において N端より 1 0番目に位置する C y sと 1 5番目に位置する C y s間でジスルフィド結合が形成されており、 ァミノ酸配列の C末端の T y rの力 ルポキシル基がアミド化されているペプチドである。 該ペプチドと実質的に同質 なペプチドを哺乳類 AM 2と呼称する。 実質的に同質とは、 配列番号 1に記載の ァミノ酸配列において 1以上のアミノ酸の付加、 欠失、 置換および/または挿入 が生じたアミノ酸配列からなるペプチドであり、 ヒ ト AM 2と実質的に同質の活 性を保持したぺプチドを意味する。
ヒト AM 2の活性とは、 降圧作用を有することである。 一般的に、 ヒト AM 2 は優れた降圧作用に加え、 利尿作用、 免疫調節作用等多様な活性を有する。 従つ て、 ヒ ト AM 2活性とは、 少なくとも降圧作用を有し、 好ましくは降圧作用に加 え利尿作用および/または免疫調節作用を有することである。 ヒ ト AM 2と実質 的に同質の活性とは、 それらの活性が性質的に (例、 生理化学的に、 または薬理 学的に) 同質であることを示す。 従って、 (a ) 降圧作用、 (b ) 利尿作用およ ぴ (c ) 免疫調節作用のうち少なくとも (a ) を有し、 好ましくは (a ) および ( b ) を有し、 更に好ましくは全ての作用を有すること、 更に好ましくは (a )
W 乃至 (c ) の作用がヒ ト AM 2と同等 (例、 約 0 . 1〜1 0 0倍、 好ましくは約 0 . 5〜1 0倍、 より好ましくは 0 . 5〜2倍) なことである。 (a ) 乃至 (c ) の作用の測定は、 公知の方法に準じて行なうことができるが、 例えば、 後述す る実施例 7乃至 1 1に記載の測定系より適宜選択して実施することができる。
ヒ ト AM 2と実質的に同質の活性を保持している範囲内において、 ヒ ト AM 2 のァミノ酸配列に対する 1以上のァミノ酸の付加、 欠失、 置換および Zまたは挿 入といったァミノ酸の変異が許される。 ぺプチドの構成要素となるァミノ酸残基 彻】鎖は、 疎水性、 電荷、 大きさなどにおいてそれぞれ異なるが、 実質的にぺプチ ドの 3次元構造 (立体構造とも言う) に影響を与えないという意味で保存性の高 い幾つかの関係が知られている。 側鎖の電荷 (酸性、 塩基性、 中性) が類似して レ、るもの、 側鎖の極性 (極性、 非極性) が類似しているもの、 側鎖の大きさ (大 型、 小型) が類似しているもの、 側鎖が大型でかつ芳香族であるもの、 側鎖が大 型でありかつ非芳香族のもの、 といったグループが保存性が高い。
各ァミノ酸の属性を以下に示す;酸性/極性:ァスパラギン酸およびグルタミ ン酸;塩基性 Z極性:アルギニン, リジンおょぴヒスチジン; 中性 Z極性ノ小 型: グリシン, セリンおよびシスティン;中性 Z極性 大型 Z非芳香族: トレオ ェン, ァスパラギン, グルタミン;中性 Z極性 Z大型ノ芳香族:チロシン;中性 Z非極性 //小型:ァラニン;中性 Z非極性 Z大型 Z非芳香族:バリン, イソロイ シン, ロイシン, メチォニン ;中性/非極性 Z大型 Z芳香族:フエ二ルァラニン およびトリブトファン。 プロリンは、 属性的には中性/非極性 Z大型 Z非芳香族 の群に含まれるが、 ペプチド鎖の折れ曲がりに関与し 2次構造に大きな影響を与 えるため特別である。 このような保存性の高いアミノ酸間、 例えば極性のもの同 ±:、 中性のもの同士、 中性かつ極性のもの同士等の変異が好ましい。 し力 し、 こ れらに限定されるものではなく、 例えばダリシンゃァラニンは側鎖が特に小型で あるため、 上記グループ分けに関係なく、 他のアミノ酸と置換しても活性に影響 を与えない場合も知られている。 さらに、 ペプチドの構造のうち活性に重要でな い部分は、 属性が異なるアミノ酸と置換しても活性に影響を与えない場合もある
。 ァミノ酸の変異部位およぴ個数は、 改変べプチドがヒト AM 2と実質的に同質 の活性を有する限り特に制限はないが、 変異個数は通常数十ァミノ酸以内、 好ま
しくは 1 0アミノ酸以内、 さらに好ましくは 1または数個以下である。
AM 2が活性を発揮するには、 配列番号 1に記載のァミノ酸配列において 1 0 番目に位置する C y sに相当する C y sと 1 5番目に位置する C y sに相当する C y sの間でジスルフィド結合が形成されており、 アミノ酸配列の C末端の T y rのカルボキシル基がアミド化されていることが重要である。 また、 C末端近く の配列、 特に配列番号 1に記載のアミノ酸配列において 4 3〜4 7番目に相当す る配列に対するアミノ酸変異は活性を著しく損なう可能性が高い。 一方、 配列番 号 1に記載のァミノ酸配列において 1 0番目に位置する C y sより N端側の配列 は活性には大きく影響しないと考えられる。 また、 配列番号 1に記載のアミノ酸 配列における 2 8番目から 3 4番目に相当するアミノ酸は、 ヒト、 マウスおょぴ ラットの間で保存性が低く、 アミノ酸の置換は活性には大きく影響しないと考え られる。
従って、 AM 2と実質的に同質の活性を保持したペプチドの好ましい態様は、 配列番号 1に記載のアミノ酸配列において、 (a ) 及び Zまたは (b ) のァミノ 酸変異が生じたアミノ酸配列からなり、 かつ、 配列番号 1に記載のアミノ酸配列 において N端より 1 0番目に位置する C y sに相当する C y sと 1 5番目に位置 する C y sに相当する C y sの間でジスルフィド結合が形成されており、 ァミノ 酸配列の C末端の T y rの力ルポキシル基がアミド化されているペプチドである ; ( a ) N端より 1〜9番目のアミノ酸配列に対して 1個以上 1 0個以内のアミ ノ酸が付加、 欠失、 置換および/または挿入; (b ) N端より 2 8〜3 4番目の アミノ酸配列に対して 1個以上 7個以内のアミノ酸が置換。 (b ) のアミノ酸変 異のより好ましい態様は、 次に示す範囲内の置換である ; 2 8番目のアミノ酸は 非極性のアミノ酸であり、 2 9番目のアミノ酸は G 1 yまたは A r gであり、 3 0番目のアミノ酸は P r oまたは G 1 nであり、 3 1番目のアミノは中性かつ小 型のアミノ酸であり、 3 2番目のアミノ酸は G 1 yであり、 3 3番目のアミノ酸 は塩基性のアミノ酸であり、 3 4番目のアミノ酸は極性のアミノ酸である。 (a ) 及びノまたは (b ) のアミノ酸変異が生じたアミノ酸配列の具体例としては、 配列番号 2に記載のアミノ酸配列 (マウス AM 2に相当) 、 および配列番号 3に 記載のアミノ酸配列 (ラット AM 2に相当) が挙げられる。
(魚類 AMフアミリー)
さらに本発明は、 魚類におけるァドレノメデュリンフアミリーを提供する。 魚類 AM 1は哺乳類ァドレノメデュリンと構造上の類似性を有するぺプチドであ る。 魚類 AM 2および AM 3は類似の配列を有しており、 哺乳類 (ヒト、 マウス 、 ラット) AM 2と構造上の類似性を有するペプチドである。 一方魚類 AM 4お よび AM 5は全く新しい構造を有するぺプチドである。 AM 5はフグの皮膚や免 疫を担当する臓器で大量に発現しており、 哺乳類の AMで報告されている抗菌作 用は魚類においては AM 5が担っている可能性が高い。 また AM 5は水産養殖に おいて抗生物質に代わる内因性抗菌物質として利用できる可能性もある。 魚類で 見つかった新しいホルモンが哺乳類で同定され、 それらが哺乳類において重要な 生理作用を示すことが、 メラニン凝集ホルモン (MC H) 、 ゥロテンシン、 スタ ニォカルシンなどですでに明らかにされている。 一方、 魚類のホルモンが哺乳類 のホルモンよりもはるかに強力な作用を持っため、 ヒトに応用される場合もある 。 例えば、 骨からのカルシウムの溶出を抑制して骨を丈夫にするホルモンである カルシトニン等がそれに相当する。 このように、 魚類の AMファミリーがヒ トに おいて強い作用を持つ可能性も考えられる。
トラフグ AM I、 AM 2および AM 5はマウスにおいてヒト AM 2と同様の降 JE作用を示すことが確認された。 さらに、 トラフグ AM I、 AM 2および AM 5 は下垂体からの成長ホルモン分泌を促進させる活性があることが確認された。 ま た、 一般的に、 了ドレノメジュリンファミリ一は優れた降圧作用に加え、 利尿作 用を有する。 AM 4はァミノ酸配列上は全く新しい構造を有するぺプチドである 力 遺伝子構造は AM I と類似しており、 AM I と同様の活性を有するものと考 えられる。 トラフグ以外の種の AMファミリ一においても、 トラフグ AMファミ リーで確認された活性と実質的に同質の活性を有するものと考えられる。 よって 魚類 AM I、 AM 2、 AM 4、 AM 5の活性とは、 降圧作用を有することである 。 好ましくは、 降圧作用に加え利尿作用および Zまたは成長ホルモン分泌促進作 用を有することである。 実質的に同質の活性とは、 それらの活性が性質的に (例 、 生理化学的に、 または薬理学的に) 同質であることを示す。 従って、 (a ) 降
圧作用、 (b ) 利尿作用および (c ) 成長ホルモン分泌促進作用のうち少なくと も (a ) を有し、 好ましくは全ての作用を有すること、 更に好ましくは (a ) 乃 至 (c ) の作用がトラフグ AMファミリーの活性と同等 (例、 約 0 . 1〜1 0 0 倍、 好ましくは約 0 . 5〜: 1 0倍、 より好ましくは 0 . 5〜2倍) なことである 。 (a ) 乃至 (c ) の作用の測定は、 公知の方法に準じて行なうことができるが 、 例えば、 後述する実施例 7、 8、 9、 1 5または 1 6に記載の測定系より適宜 選択して実施することができる。
活性を保持している範囲内において、 配列番号 2 9〜5 1に示した魚類 AMフ アミリーのアミノ酸配列に対して、 1以上のアミノ酸の付加、 欠失、 置換および ノまたは挿入といったアミノ酸の変異が許される。 ペプチドの構成要素となるァ ミノ酸残基側鎖は、 疎水性、 電荷、 大きさなどにおいてそれぞれ異なるが、 実質 的にペプチドの 3次元構造 (立体構造とも言う) に影響を与えないという意味で 保存性の高い幾つかの関係が知られている。 詳細には哺乳類 AM 2の項目の記載 を参照されたい。
本発明は、 魚類 AMファミリ一として、 魚類 AM I、 魚類 AM 2、 魚類 AM 4 および魚類 AM 5を提供するものである。 以下各ぺプチドについて詳細に説明す る。
(魚類 AM 1 )
トラフグ AM 1は、 配列番号 2 9に記載のァミノ酸配列からなり、 配列番号 2 9に記載のアミノ酸配列において N端より 1 3番目に位置する C y sと 1 8番目 に位置する C y s間でジスルフィド結合が形成されており、 ァミノ酸配列の C末 端の T y rのカルボキシル基がアミ ド化されているペプチドである。 該ペプチド と実質的に同質なペプチドを魚類 AM Iと呼称する。 実質的に同質とは、 配列番 号 2 9に記載のアミノ酸配列において 1以上のアミノ酸の付加、 欠失、 置換およ ぴ Zまたは挿入が生じたァミノ酸配列からなるぺプチドであり、 トラフグ AM 1 と実質的に同質の活性を保持したぺプチドを意味する。 魚類 AM Iの好適な具体 例は、 配列番号 2 9に記載のアミノ酸配列からなるトラフグ AM Iのほ力 \ 配列 番号 3 4に記載のァミノ酸配列からなるミドリフグ AM 1、 配列番号 3 8に記載
のァミノ酸配列からなるゼブラフィッシュ AM 1、 配列番号 42に記載のァミノ 酸配列からなるニジマス AM 1などが挙げられる。
魚類 AM 1のァミノ酸配列の保存性から考えると、 魚類 AM 1の活性保持に重 要なァミノ酸残基は、 配列番号 34に記载のァミノ酸配列における 12— 18、 20— 21、 23— 26、 28— 30、 32— 33、 35、 37、 39— 40、 42-43, 46、 48— 49番目のアミノ酸であると考えられる。 また、 ジス ルフィ ド結合によりループを形成する 1 3番目の Cy sより N端側におけるアミ ノ酸の変異は活性には大きく影響しないと考えられる。 従って、 配列番号 34に 記載のアミノ酸配列において、 1 3— 18、 20— 21、 23— 26、 28— 3 0、 32— 33、 35、 37、 39— 40、 42— 43、 46、 48— 49番目 のアミノ酸以外の部分については、 アミノ酸の変異 (付加、 欠失、 置換おょぴ z または挿入) が生じても、 魚類 AMIとしての活性が保持されるものと考えられ る。
アミノ酸変異の好ましい態様としては、 以下の (a) および Zまたは (b) の ァミノ酸変異が例として挙げられる。 ( a ) 配列番号 34に記載のァミノ酸配列 において、 N端より 1〜12番目のアミノ酸配列に対して 1個以上 12個以内の アミノ酸が付加、 欠失、 置換および/または挿入; (b) 配列番号 34に記載の アミノ酸配列において、 13— 18、 20— 21、 23— 26、 28— 30、 3 2— 33、 35、 37、 39— 40、 42— 43、 46、 48— 49番目のアミ ノ酸以外の部分について 1個以上 12個以内のアミノ酸が付加、 欠失、 置換およ び Zまたは挿入。 (b) のアミノ酸変異のより好ましい態様は、 次に示す範囲内 の置換である; 1 9番目のアミノ酸は I 1 eまたは Th rであり、 22番目のァ ミノ酸は A s pまたは Va 1であり、 27番目のアミノ酸は L e uまたは I 1 e であり、 3 1番目のアミノ酸は G 1 yまたは A s nであり、 34番目のアミノ酸 は Ty rまたは L e uであり、 36番目のアミノ酸は P h eまたは I 1 eであり 、 38番目のアミノ酸は A s nまたは S e rであり、 41番目のアミノ酸は G l u、 Va 1または I 1 eであり、 44番目のアミノ酸は Me tまたは I 1 eであ り、 45番目のアミノ酸は S e rまたは A s nであり、 47番目のアミノ酸は G 1 nまたは Ty rである。
(魚類 AM 2 )
トラフグ AM 2は、 配列番号 3 0に記載のアミノ酸配列からなり、 配列番号 3 0に記載のアミノ酸配列において N端より 2 0番目に位置する C y sと 2 5番目 に位置する C y s間でジスルフィ ド結合が形成されており、 了ミノ酸配列の C末 端の T y rのカルボキシル基がアミ ド化されているべプチドである。 該ぺプチド と実質的に同質なペプチドを魚類 AM 2と呼称する。 実質的に同質とは、 配列番 号 3 0に記載のアミノ酸配列において 1以上のアミノ酸の付加、 欠失、 置換およ ぴ Zまたは挿入が生じたァミノ酸配列からなるぺプチドであり、 トラフグ AM 2 と実質的に同質の活性を保持したペプチドを意味する。 トラフグには AM 2とは わずかに配列の異なる AM 3も存在するが、 AM 2との保存性が高いためトラフ グ AM 2と実質的に同質の活性を保持したペプチドと考えられる。 従って AM 3 についても魚類 AM 2に含めて説明することとする。 魚類 AM 2の好適な具体例 は、 配列番号 3 0に記載のァミノ酸配列からなるトラフグ AM 2のほか、 配列番 号 3 1に記載のアミノ酸配列からなるトラフグ AM 3、 配列番号 3 5に記載のァ ミノ酸配列からなるミ ドリフグ AM 2 , 3、 配列番号 3 9に記載のァミノ酸配列 からなるゼブラフィッシュ AM 2 , 3、 配列番号 4 3に記載のアミノ酸配列から なる-ジマス AM 2、 配列番号 4 5に記載のァミノ酸配列からなるトラフグ AM 2バリアント、 配列番号 4 6に記載のアミノ酸配列からなるゼブラフィッシュ A M 2バリアント、 配列番号 4 7に記載のァミノ酸配列からなるミ ドリフグ AM 2 , 3ノ リアント、 配列番号 3 8に記載のァミノ酸配列からなるゼブラフィッシュ AM 2 , 3バリアントなどが挙げられる。 ここでバリアントと呼称したものは ( 例、 トラフグ AM 2バリアント) 、 もととなる配列 (例、 トラフグ AM 2 ) に対 して活性に影響しないァミノ酸変異が数個生じた範囲内ものを意味し、 実質的に はもととなる配列と同一のものである。
魚類 AM 2のァミノ酸配列の保存性から考えると、 魚類 AM 2の活性保持に重 要なァミノ酸残基は、 配列番号 3 3に記載のァミノ酸配列における 2 0— 4 1お ょぴ 5 3— 5 7番目のアミノ酸であると考えられる。 また、 ジスルフイ ド結合に よりループを形成する 2 0番目の C y sより N端側におけるアミノ酸の変異は活
性には大きく影響しないと考えられる。 従って、 配列番号 3 0に記載のアミノ酸 配列において、 2 0— 4 1および 5 3— 5 7番目のアミノ酸以外の部分について は、 アミノ酸の変異 (付加、 欠失、 置換および/または挿入) が生じても、 魚類 AM 2としての活性が保持されるものと考えられる。
アミノ酸変異の好ましい態様としては、 以下の (a ) および/または (b ) の アミノ酸変異が例として挙げられる。 (a ) 配列番号 3 0に記載のアミノ酸配列 において、 N端より N端より 1〜1 9番目のアミノ酸配列に対して 1個以上 1 9 個以内のアミノ酸が付加、 欠失、 置換および/または挿入; (b ) 配列番号 3 0 に記載のアミノ酸配列において、 N端より 4 2〜5 2番目のアミノ酸配列に対し て 1個以上 1 1個以内のアミノ酸が付加、 欠失、 置換おょぴ Zまたは挿入。 (a ) のアミノ酸変異のより好ましい態様は、 次に示す範囲内の変異である ; N端よ り 1〜1 3番目のアミノ酸配列に対してアミノ酸配列に対して 1個以上 1 3個以 内のアミノ酸が付加、 欠失、 置換および/または揷入があり、 1 4番目のァミノ 酸は G i nであり、 1 5番目のアミノ酸は L e uであり、 1 6番目のアミノ酸は 中性ノ非極性ノ大型 //非芳香族のァミノ酸であり、 1 7番目のァミノ酸は A r g であり、 1 8番目のァミノ酸は中性/非極性/非芳香族のァミノ酸であり、 1 9 番目のアミノ酸は A 1 aまたは G 1 yである。 (b ) のアミノ酸変異のより好ま しい態様は、 次に示す範囲内の置換および Zまたは欠失である; 4 2番目のアミ ノ酸は G l yまたは A r gであり、 4 3番目のアミノ酸は塩基性のアミノ酸であ り、 4 4番目のアミノ酸は極性のアミノ酸で、 さらに好ましくは酸性のアミノ酸 G i nであり、 4 5番目のアミノ酸は酸性のアミノ酸であり、 4 6番目のァミノ 酸は S e rであり、 4 7番目のアミノ酸は中性かつ小型のアミノ酸か、 あるいは 欠失していてもよく、 4 8番目のアミノ酸は P r。であり、 4 9番目のアミノ酸 は中性 Z非極性 Z大型/非芳香族のァミノ酸であり、 5 0番目のァミノ酸は A s nであり、 5 1番目のアミノ酸は P r。であり、 5 2番目のアミノ酸は極性のァ ミノ酸で、 さらに好ましくは塩基性のァミノ酸または G 1 nである。
(魚類 AM 4 )
トラフグ AM 4は、 配列番号 3 2に記載のァミノ酸配列からなり、 配列番号 3
2に記載のアミノ酸配列において N端より 4番目に位置する C y sと 9番目に位 置する C y s間でジスルフィ ド結合が形成されており、 ァミノ酸配列の C末端の T y rの力ルポキシル基が了ミ ド化されているペプチドである。 該ぺプチドと実 質的に同質なペプチドを魚類 AM 4と呼称する。 実質的に同質とは、 配列番号 3 2に記載のアミノ酸配列において 1以上のアミノ酸の付加、 欠失、 置換おょぴ Z または揷入が生じたアミノ酸配列からなるぺプチドであり、 トラフグ AM 4と実 質的に同質の活性を保持したぺプチドを意味する。 魚類 AM 4の好適な具体例は 、 配列番号 3 2に記載のアミノ酸配列からなるトラフグ AM 4のほ力 \ 配列番号 3 6に記载のミ ドリフグ AM 4、 配列番号 4 0に記載のアミノ酸配列からなるゼ ブラフィッシュ AM 4などが挙げられる。
ジスルフィ ド結合によりループを形成する 4番目の C y sより N端側における アミノ酸の変異は活性には大きく影響しないと考えられる。 従って、 配列番号 3 2に記載のアミノ酸配列において、 N端より 1〜 3番目のアミノ酸配列に対して 1個以上 3個以内のアミノ酸の変異 (付加、 欠失、 置換および Zまたは挿入) が 生じても、 魚類 AM 4としての活性が保持されるものと考えられる。
(魚類 AM 5 )
トラフグ AM 5は、 配列番号 3 3に記載のァミノ酸配列からなり、 配列番号 3 3に記載のアミノ酸配列において N端より 6番目に位置する C y sと 1 1番目に 位置する C y s間でジスルフィ ド結合が形成されており、 アミノ酸配列の C末端 の T y rのカルボキシル基がアミ ド化されているペプチドである。 該ペプチドと 実質的に同質なペプチドを魚類 AM 5と呼称する。 実質的に同質とは、 配列番号 3 3に記載のアミノ酸配列において 1以上のアミノ酸の付加、 欠失、 置換および ノまたは挿入が生じたアミノ酸配列からなるぺプチドであり、 トラフグ AM 5と 実質的に同質の活性を保持したペプチドを意味する。 魚類 AM 5の好適な具体例 は、 配列番号 3 3に記載のアミノ酸配列からなるトラフグ AM 5のほか、 配列番 号 4 1に記載のアミノ酸配列からなるゼブラフィッシュ AM 5、 配列番号 4 4に 記載のアミノ酸配列からなるニジマス AM 5、 配列番号 4 9に記載のアミノ酸配 列からなるトラフグ AM 5バリアント、 配列番号 5 1に記載のァミノ酸配列から
なるゼブラフィッシュ AM 5バリアントなどが挙げられる。 ここでバリアントと 呼称したものは (例、 トラフグ AM5バリアント) 、 もととなる配列 (例、 トラ フグ AM 5 ) に対して活性に影響しないァミノ酸変異が数個生じた範囲内ものを 意味し、 実質的にはもととなる配列と同一のものである。
魚類 AM 5のァミノ酸配列の保存性から考えると、 魚類 AM 5の活性保持に重 要なァミノ酸残基は、 配列番号 3 3に記載のアミノ酸配列における 5、 6、 9 - 1 2、 1 4— 1 5、 1 8、 20、 24、 27— 2 9、 3 1、 3 6および 3 9— 4 0番目のアミノ酸であると考えられる。 また、 ジスルフイド結合によりループを 形成する 6番目の C y sより N端側におけるァミノ酸の変異は活性には大きく影 響しないと考えられる。 従って、 配列番号 3 3に記載のアミノ酸配列において、 6、 9 - 1 2, 1 4一 1 5、 1 8、 20、 24、 2 7— 2 9、 3 1、 36および 3 9— 40番目のアミノ酸以外の部分については、 アミノ酸の変異 (付加、 欠失 、 置換おょぴノまたは揷入) が生じても、 魚類 AM 5としての活性が保持される ものと考えられる。
アミノ酸変異の好ましい態様としては、 以下の (a) および/または (b) の ァミノ酸変異が例として挙げられる。 ( a ) 配列番号 3 3に記載のァミノ酸配列 において、 N端より 1〜 5番目のアミノ酸配列に対して 1個以上 5個以内のアミ ノ酸が付加、 欠失、 置換および Zまたは揷入; (b) 配列番号 33に記載のアミ ノ酸配列において、 6、 9— 1 2、 1 4— 1 5、 1 8、 20、 24、 2 7-2 9 、 3 1、 3 6および 3 9— 40番目のアミノ酸以外の部分について 1個以上 1 9 個以内のアミノ酸が付加、 欠失、 置換おょぴ Zまたは挿入。 (b) のアミノ酸変 異のより好ましい態様は、 次に示す範囲内の置換おょぴ Zまたは揷入である ; 7 番目のアミノ酸は G 1 nまたは H i sであり、 8、 1 3、 1 6および Zまたは 2 3番目のァミノ酸は中性/非極性/大型/非芳香族のァミノ酸であり、 1 7番目 のアミノ酸は A 1 a、 G 1 yまたは Va 1であり、 1 9番目のアミノ酸は L y s または Th rであり、 2 1番目のアミノ酸は芳香族のアミノ酸であり、 22番目 のアミノ酸は G 1 nまたは A r gであり、 24番目と 25番目のアミノ酸の間に は G 1 nまたは L y sが揷入されてもよく、 25番目のアミノ酸は A r g、 S e rまたは Th rであり、 26番目のアミノ酸は G 1 n、 §または 3 11でぁ
り、 30番目のアミノ酸は G 1 uまたは G 1 yであり、 32番目のアミノ酸は T h r、 A l aまたは Ly sであり、 33番目のアミノ酸は Ly sまたは G 1 uで あり、 34番目のアミノ酸は Va 1または A 1 aであり、 35番目のアミノ酸は A s nまたは H i sであり、 37番目のアミノ酸は P r oまたは A 1 aであり、 38番目のアミノ酸は塩基性または中性 Z極性 Z大型 Z非芳香族のアミノ酸であ る。
(ぺプチドの調製)
本発明のペプチドは、 ペプチド合成機 (例えば、 ペプチドシンセサイザー 43 3A型、 アプライドバイオシステムズ ジャパン株式会社製) を使用した化学合 成法、 原核生物あるいは真核生物から選択される適当な宿主細胞を用いた組換え 方法、 およぴ該ぺプチドを産生する細胞や組織から調製する方法などを用いて調 製することができる。 しかしながら、 その純度の面から化学合成法による生産が 好ましい。
化学的合成によってペプチドを製造する場合、 例えば 「ペプチド合成の基礎と 実験」 (泉屋信夫、 加藤哲夫、 青柳東彦、 脇道典著:丸善) 、 「ぺプタイド ·シ ンセシス ' プロ トコーノレ (P e p t i d e S yn t h e s i s P r o t o c o I s) , メソッズ 'イン 'モレキュラー ·バイオロジー 第 35卷 (Me t h o d s i n Mo l e c u l a r B i o l o g y, v o l . 35) 、 マイケノレ · W .ぺニントン (M i c h a e l W. P e n n i n g t o n) 、 ベン . M ·ダ ン (B e n M. Dunn) 編、 ヒユーマナ ·プレス (Huma n a P r e s s ) 、 (1 994) 」 等に記載の通常のペプチド合成法により合成後、 精製するこ とによって得ることができる。 具体的な合成法としては、 アジド法、 酸クロライ ド法、 酸無水物法、 混合酸無水物法、 DCC法、 活性エステル法、 カルボイミダ ゾール法、 酸化還元法等が挙げられる。 また、 その合成は、 固相合成法及び液相 合成法のいずれをも適用することができる。 すなわち、 本発明のペプチドを構成 するアミノ酸と残余部分とを縮合させ、 生成物が保護基を有する場合は保護基を 脱離することにより目的とするペプチドを合成する。
さらに、 本発明の生理活性ぺプチドを構成するアミノ酸残基の側鎖および/ま
たはべプチドアミノ末端および Zまたはべプチドカルボキシ末端が化学修飾や保 護がなされている場合には、 ペプチド合成後に化学修飾するか、 あるいは化学修 飾されたアミノ酸を用いてぺプチド合成するか、 あるいはぺプチド合成の最終脱 保護の反応条件を適当に選ぶ等、 ぺプチド合成化学の分野において従来公知の方 法 ( 「ペプチド合成の基礎と実験」 (泉屋信夫、 加藤哲夫、 青柳東彦、 脇道典著 : 丸善) 、 「続医薬品の開発—第 14卷 ϊプチド合成」 矢島治明監修:広川書 店) 、 「生化学実験講座一 1一タンパク質の化学 I V—化学修飾とペプチド合成
J [日本生化学会編、 東京化学同人] 、 「蛋白質の化学修飾」 <上><下> (大 野素德、 金岡祐一、 崎山文夫、 前田浩) ] によって製造することができる。
本発明のペプチドは、 自動ペプチド合成機を用いて合成することもできる。 ぺ プチド合成機によるべプチドの合成は、 島津製作所製ぺプチド合成機、 ァドバン スト ·ケムテック社 (Ad v a n c e d Ch e mT e c h I n c. , USA、 以後 ACT社と略称する) 製ペプチド合成機等の市販のペプチド合成機上で、 適 当に側鎖を保護した Na— Fmo c—アミノ酸あるいは Ν α— B o c一アミノ酸 等を用い、 それぞれの合成プログラムに従って実施することができる。 原料とな る保護アミノ酸および担体樹脂は、 アプライドバイオシステムズ社、 島津製作所 、 国産化学 (株) 、 ノバビオケム社 (No v a B i o c h em) 、 渡辺化学 (株 ) 、 アナスペック社 (An a S p e c I n c. ) 、 またはぺプチド研究所 (株 ) 等から入手することができる。
遺伝子工学的手法により本発明のペプチドを製造する場合は、 モレキュラー - クローエング第 2版 ( J . S amb r o o k等、 Mo l e c u l a r C l o n i n g , a L a b o r a t o r y Ma nu a l 2 n d e d . , し o l d S p r i n g Ha r b o r L a b o r a t o r y, ニューヨーク (New Y o r k) , 1 989年) 等に記載された方法等を用い、 例えば以下の方法によ り、 本発明のペプチドをコードする DNAや本発明のペプチドのプレプロ体をコ 一ドする c DN Aを宿主細胞で発現させて、 製造することができる。
本発明のペプチドのプレプロ体をコードする c DNAを、 配列番号 7 (ヒト) 、 配列番号 8 (マウス) 、 配列番号 9 (ラット) に示す。 この cDNAをもとに して、 必要に応じて、 該ペプチドをコードする部分またはプレブ口体の全長を含
む適当な長さの D NA断片を調製する。 該 D N A断片、 または全長 c D N Aを適 当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入することにより、 組換えベクター を作製する。 該組換えベクターを、 該発現べクタ一に適合した宿主細胞に導入す ることにより、 本発明のペプチドまたは本発明のペプチドの前駆体 (プロ体、 プ レプロ体) を生産する形質転換体を得ることができる。 該形質転換細胞を培養し て培養混合物を回収し、 当該ペプチドをまたはペプチド前駆体を精製する。 ぺプ チドの化学修飾ゃぺプチド前駆体のプロセシングは、 従来公知の方法により行う ことができる。 本発明のぺプチドのプレプロ体をコードする c D N Aの配列を元 にして、 本発明のぺプチドのプレプロ体の発現を抑制するァンチセンス核酸や s i R NAを設計することができる。
本発明のペプチドの精製は、 通常の精製法、 例えば溶媒抽出、 蒸留、 塩析法、 限外濾過法、 等電点沈澱法、 ゲル濾過法、 電気泳動法、 カラムクロマトグラフィ 一、 液体クロマトグラフィー、 再結晶などを組み合わせて行なうことができる。 上記方法で得られるぺプチドが遊離体である場合は、 公知の方法あるいはそれに 準じる方法によって適当な塩に変換することができるし、 逆に塩で得られた場合 は、 公知の方法あるいはそれに準じる方法によって遊離体または他の塩に変換す ることができる。
本発明のぺプチドは塩の形態でも構わない。 本発明のぺプチドの塩としては、 生理学的に許容される酸 (例、 無機酸、 有機酸) や塩基 (例、 アルカリ金属塩) などとの塩が用いられ、 とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。 酸 付加塩としては、 塩酸塩、 硫酸塩、 リン酸塩等の無機酸塩および酢酸塩、 マレイ ン酸塩、 フマル酸塩、 酒石酸塩、 クェン酸塩等の有機酸塩があげられる。 金属塩 としては、 ナトリウム塩、 カリウム塩等のアルカリ金属塩、 マグネシウム塩、 力 ルシゥム塩等のアルカリ土類金属塩、 アルミニウム塩、 亜鉛塩等があげられる。 有機塩基付加塩としては、 メチルァミン、 ェチルァミン、 ァニリン等の一級ァミ ン、 ジメチルァミン、 ジェチルァミン、 ピロリジン、 ピぺリジン、 モルホリン、 ピペラジン等の二級ァミン、 トリメチルァミン、 トリェチルァミン、 N, N—ジ メチルァニリン、 ピリジン等の三級アミン等とで形成される塩、 アンモニゥム塩 等があげられる。
また本発明のぺプチドを安定化させる方法としてポリエチレンダリコール (P E G) やポリビニルピロリ ドン (P V P ) によりペプチドを修飾することができ る。 P E G化 AM 2もしくは P E G化プレプロ AM 2は、 血中半減期を改善する ことにより腎排泄を低下させ、 また代謝安定性を改善することにより、 高い効力 を得ることができる。 ペプチドは特定の立体構造を有するが、 その中で分子表面 にある L y s残基もしくは N末端ァミノ酸のアミノ基を P E G化することにより 、 立体構造に大きな影響を及ぼさずその機能を破壊せずに、 抗原性の消失および 体内停滞時間の延長を実現し、 著しい薬効が現れる可能性がある。 具体的には L ーァスパラギナ一ゼ、 インターロイキン、 ィンターフェロン、 アデノシンデァミ ナーゼ、 スーパーォキシムターゼにより実用化もしくは開発が行われている。 ヒ トプレプロ体 AM 2には N末の M e tから数えて 3 5番目と 6 1番目に L y s残 基が存在する。 この L y s残基をそのまま修飾に用いる方法以外に、 L y s残基 を AM 2の活性を損なわない様に他のアミノ酸に置換することにより 3 5番目 L y s、 6 1番目 L y sもしくは N末端に選択的な修飾を行うこともできる。 この ような修飾により、 代謝安定性の向上ならびに更なる薬効の向上が現れる可能性 がある。 このような修飾は、 公知の方法より適宜選択して行うことができるが、 その一例を後述する実施例 1 2に示す。
(本発明のぺプチドを含有してなる医薬および予防 ·治療剤)
本発明は、 本発明のペプチド、 即ち哺乳類 AM 2、 魚類 AM I、 魚類 AM 2、 魚類 AM 4、 魚類 AM 5またはその塩を含有してなる医薬を提供する。 哺乳類 A M 2および魚類 AMフアミリーは強力な降圧作用を有するため、 降圧剤および Z または血管拡張剤として有用である。 AM 2はその強力な降圧作用にも関わらず 心拍数に対する影響が少ない。 また、 AM 2の心臓における発現は少ないが、 心 臓のなかでも冠動脈平滑筋細胞などの部位に特異的な発現をしている可能性が考 えられる。 よって、 哺乳類 AM 2および魚類 AMファミリ一は心疾患の治療剤と して有用である。 心疾患としては、 好ましくは虚血性心疾患、 特に心筋梗塞およ ぴ狭心症、 心筋炎、 心筋症、 特に拡張型心筋症、 心不全等が含まれる。 心筋梗塞 には、 急性及び陳旧性が含まれる。 心不全には、 特に虚血性心疾患における心不
全及ぴうつ血性心不全が含まれる。
本発明のペプチドまたはその塩は、 心疾患、 および以下のような心疾患病態モ デルにおいて、 心拍出量の低下、 拡張期圧の上昇、 または冠動脈血流量の低下な どの症状を改善する効果を示す。
(試験例 1 ) 慢性心不全 (特にうつ血性心不全) モデルに対する作用
麻酔下、 ビーグル犬の頸静脈よりぺーシング電極を挿入し、 右心室壁に密着さ せる。 電極の他端は皮下に埋め込んだ電気刺激装置に接続する。 手術から回復後. 、 4 0〜2 5 0 b e a t s /m i nにて右心室ぺーシングを開始し、 2 1日間 連続刺激を行なって心不全モデルを作製する。 再び、 麻酔を行い、 動脈圧、 左心 室内圧、 心拍出量、 心電図を測定し、 本発明のペプチドの循環動態に及ぼす影響 を検討する。
(試験例 2 ) 虚血性心疾患 (特に狭心症) モデルに対する作用
麻酔下、 ビーグル犬を開胸し心嚢膜を切開して心臓を露出させる。 左冠動脈前 下行枝または回旋枝の基部に近い部分を剥離し、 超音波トランジットタイム血流 計のプローブを装着する。 本発明のぺプチドを静脈内投与し冠動脈血流に及ぼす 影響を検討する。
哺乳類 AM 2は利尿作用、 特にナトリウム利尿作用を有するため、 利尿剤特に ナトリゥム利尿剤として有用である。 また、 哺乳類 AM 2は腎臓において多く発 現しており、 腎臓の恒常的機能の維持に関与しているものと考えられる。 魚類 A Mフアミリ一も哺乳類 AM 2と同様の降圧作用を有することから、 同様の利尿作 用を有するものと考えられる。 よって、 哺乳類 AM 2および魚類 AMファミリー は腎疾患の治療剤として有用である。 腎疾患としては腎虚血、 腎虚血再灌流障害 、 腎不全及びその原因疾患が含まれ、 好ましくは急性腎不全等が挙げられる。 急 性腎不全には腎前性急性腎不全、 腎後性急性腎不全及び腎性急性腎不全が含まれ る。 腎性急性腎不全の原因疾患には腎循環障害若しくは腎虚血性の急性尿細管壌 死、 腎毒性による急性尿細管壊死、 急性糸球体腎炎、 急性間質性腎炎、 急性皮質 壊死が含まれる。
本発明のぺプチドまたはその塩は、 腎疾患および以下のような腎疾患病態モデ ルにおいて、 糸球体濾過量の低下、 浮腫、 蛋白尿、 乏尿、 高カリウム血症、 代謝 性ァシドーシス、 血中クレアチニン ·尿素窒素量等の上昇などの症状を改善する 効果を示す。
(試験例 3) 急性腎不全モデルに対する作用
雄性 d dYマウスにペントバルビタール 60 mg/k gを腹腔内投与して 麻酔する。 マウスの腹部を正中切開し、 右腎へ入る腎動静脈を手術糸で結紮して 右腎を摘出する。 左腎に入る腎動静脈を血管クリップで 40分間クランプする。 虚血の成否は、 腎臓表面の色の変化を観察して判断する。 クランプ時または解除 後、 腎の色が変化しない個体はその後の実験から取り除く。 本発明のペプチドは
、 再灌流開始 5分後、 腎臓の色を確かめた後、 尾静脈に投与する。 麻酔前、 再灌 流 24時間後および再灌流 48時間後に眼窩静脈より採血し、 BUN (血中尿素 窒素) を測定する。
AM2は卵巣において多く発現しており、 雌性生殖機能の恒常的機能の維持に 関与しているものと考えられる。 よって、 AM 2は雌性生殖機能異常に関連する 疾患、 例えば、 不妊症、 排卵障害、 多のう胞性卵巣症候群、 妊娠中毒症等の治療 剤として有用である。 魚類 AMファミリーも同様の治療剤として用い得る。 本発 明のぺプチドまたはその塩の雌性生殖機能異常に関連する疾患における効果は、 以下のような病態モデルにおいて確認することができる。
(試験例 4 ) 不妊症モデルに対する作用
(試験例 4— 1 ) 正常ラットの排卵数に及ぼす影響
正常な性周期を示す雌性ラットに本発明のペプチドを連日静脈内投与し、 性周 期および排卵数に及ぼす影響を検討する。
(試験例 4— 2 ) ラットの P M S Gおよび H C Gに対する反応性に及ぼす影響 雌十生フッ こ PM ur ^p r e g n a n t ma r e s s e r um g o n a d o t r o p i n) およひ hCG (huma n c h o r i o n i c g o
n a d o t r o p i n) を投与して排卵を強制的に誘発する、 本発明のペプチド を連日静脈内投与し、 排卵数に及ぼす影響を検討する。
(試験例 4一 3 ) ラットの受精卵着床に及ぼす影響
交配後の雌性ラットに本発明のぺプチドを連日静脈内投与し、 着床に及ぼす影 響を検討する。
(試験例 4一 4 ) ラットの脱落膜形成反応に及ぼす影響
雌性ラットにエストロゲンおよびプロゲステロンを投与し脱落膜形成反応を起 す。 AM2を連日静脈内投与し、 脱落膜形成に及ぼす影響を検討する。 また、 ェ ストロゲン処置または未処置の雌性ラットに本発明のペプチドを連日静脈内投与 し、 子宫重量に及ぼす影響を検討する。
AM2は免疫調節作用を有するため、 免疫機能調節剤として有用である。 また 、 AM 2は脾臓および胸腺において発現しており、 免疫系機能の恒常的機能の維 持に関与しているものと考えられる。 よって、 AM 2は免疫機能の異常に関連す る疾患の治療剤として有用である。 魚類 AMフアミリーも同様の治療剤として用 い得る。 免疫機能の異常に関連する疾患としては、 自己.免疫疾患、 免疫不全、 了 レルギ一性疾患、 血管炎 ·肝炎 ·敗血症などの炎症性疾患、 I g A腎症等が挙げ られる。 本発明のぺプチドまたはその塩の免疫機能の異常に関連する疾患におけ る効果は、 以下のような病態モデルにおいて確認することができる。
(試験例 5 ) マウス致死性 L P Sショック (敗血症) モデル
生後 6週齢の B ALB/c雄性マウス (日本チャールズリバ一社製) を、 体重 を元に 5群 (各群 10匹) に群分けする。 その後被検物質を数 mg/k gから数 μ g/k g, 生理食塩液 (陰性対照用、 大塚製薬) 若しくはソル ·メドロール 1 Omg/k g (陽性対照用、 フアルマシア 'アップジョン社) を尾静脈より単回 投与する。
被験薬物投与の 2分後に、 LPS (S a l mo n e l l a m i nn e s o t a R e 595, S I GMA社) 1 0 μ g/k gおよぴガラクトサミン (D— G
a l a c t o s am i n e Hy d r o c h l o r i d e, 禾ロ光純薬) 700m gZk gを尾静脈より投与し、 ショックを誘発する。 その後 24時間目まで経時 的に生存率を判定する。
陰性対照群である生理食塩液投与群ではショック誘発後 8時間目までに全例死 亡するが、 有効な被検物質を投与した群においては、 生存率の改善が確認される 。 また、 動脈血圧低下、 呼吸数増加及び体温変化などの症状を改善する効果を示 す。
AM 2は癌細胞培養上清に分泌発現を確認することができ、 癌細胞の増殖制御 に関連することが考えられる。 よって AM2は抗癌剤として有用である。 魚類 A Mフアミリーも同様の治療剤として用い得る。 本発明のぺプチドまたはその塩の 免疫機能の異常に関連する疾患における効果は、 以下のような病態モデルにおい て確認することができる。
(試験例 6) 腫瘍移植モデルマウスに対する作用
C o 1 o n- 2 6 (マウス結腸腺癌) または A 4 3 1細胞を B ALB/c系雌 マウス腹部皮下に移植し、 一定期間後に癌の大きさ、 すなわち腫瘍の長径 (a mm) およぴ短径 (b mm) を測定して下式により癌重量を算出する。
癌重量 (mg) = a b 2/2
(これらの癌腫瘤は一般に回転楕円体の形状をとるため、 回転楕円体の体積計算 の公式を導入する。 また、 ガン細胞の比重を約 1として体積 =重量とする。 ) 被 験物質投与直前に癌重量を測定した後、 各々の群に被験物質を投与し、 移植癌細 胞の経時的重量変化を測定する。 本発明のペプチドは癌重量を減少させる。 また 、 マウスの生存率を改善する効果を示す。
AM 2は脳全体では発現が認められないが脳下垂体においては発現が認められ る。 よって AM2は、 中枢性の水.電解質バランスの調節、 自律神経系を介した 循環調節、 記憶調節などに関与しているものと考えられる。 より具体的には、 バ ソプレツシン産生ニューロンに作用し、 バソプレツシンの産生を制御する機能を 有することが考えられる。
魚類 AMフアミリーは、 脳下垂体からの成長ホルモン分泌を促進させる機能を
有する。 特に魚類 AM 2において強い活性が認められた。 哺乳類 AM2も同様の 成長ホルモン分泌促進作用を有するものと考えられる。 よって、 哺乳類 AM 2お ょぴ魚類 AMフアミリーは成長ホルモン分泌促進剤として有用である。
本発明のぺプチドまたはその塩を含有する医薬は、 当該べプチドを単独で投与 することも可能ではあるが、 通常は本発明のぺプチドまたはその塩を薬理学的に 許容される一つあるいはそれ以上の担体と一緒に混合し、 製剤学の技術分野にお いてよく知られる任意の方法により製造した医薬製剤として提供するのが望まし い。 例えば、 滅菌水や生理食塩水、 植物油、 鉱油、 高級アルコール、 高級脂肪酸 、 無害性有機溶媒等、 さらには必要に応じて賦形剤、 着色剤、 乳化剤、 懸濁剤、 界面活性剤、 溶解補助剤、 吸着防止剤、 安定化剤、 保存剤、 保湿剤、 酸化防止剤 、 緩衝剤、 等張化剤、 無痛化剤等と適宜組み合わせて注射剤や経口剤などの医薬 組成物やキットの形態をとることができる。 投与経路は、 治療に際して最も効果 的なものを使用するのが望ましく、 経口投与、 または口腔内、 気道内、 直腸内、 腹腔内、 皮下、 筋肉内および静脈内等の非経口投与をあげることができる。 投与 形態としては、 噴霧剤、 カプセル剤、 錠剤、 顆粒剤、 シロップ剤、 乳剤、 座剤、 注射剤、 軟膏、 テープ剤等があげられる。
本発明のぺプチドまたはその塩の投与量または投与回数は、 目的とする治療効 果、 投与方法、 治療期間、 年齢、 体重等により異なるが、 経口投与する場合、 一 般的に成人においては、 一日につき通常約 10 a g/k g〜l 00 Omg/k g 、 好ましくは約 100 ^ g Z k g〜: 100 m g / k g、 より好ましくは約 100 gZk g l OmgZk gである。 非経口的に投与する場合は、 その 1回の投 与量は投与対象、 症状、 投与方法などによっても異なるが、 一日につき通常約 0 . 1 ^ g/k g〜: 10 OmgZk g、 好ましくは約 0. l ^ g/k g— l mg/ k g、 より好ましくは約 0· 1 μ g/k g〜: L 00 μ g/k gである。
(本発明のぺプチドに対する抗体)
本発明は哺乳類 AM 2、 魚類 AMI、 魚類 AM 2、 魚類 AM 4、 魚類 AM 5ま たはその部分ペプチドに結合する抗体を提供する。 本発明の抗体は、 哺乳類 AM 2、 魚類 AMI、 魚類 AM 2、 魚類 AM 4、 魚類 AM 5またはその部分ペプチド
を抗原として特異的に認識する抗体であり、 モノクローナル抗体及び/またはポ リクローナル抗体が含まれる。 本発明の抗体はその分子種は特に限定されない。 抗体、 すなわち免疫グロブリンの構造は重鎖 (H鎖) 及び軽鎖 (L鎖) とからな り、 重鎖のクラス ( 、 ひ、 μ、 δ、 Β ) により 5つのイソタイプ (I g G、 I gA、 I gM、 I gD、 I g E) に分けられる。 このうち I g Gと' I g Aは重鎖 の違い (例えばヒ トの場合、 γ 1、 γ 2、 γ 3、 γ 4、 ct l、 a 2) によりサブ クラス (例えばヒ トの場合 I g G l、 I g G 2、 I gG 3、 I gG4、 I g A 1 、 I gA2) に分けられる。 軽鎖は、 κまたは; Iのいずれかのタイプに分類され る。 本発明の抗体はいずれのクラス、 サブクラスまたはイソタイプに分類される 抗体であってもよい。
さらに、 免疫グロブリンを例えばペプシンで分解したときの F (a b ' ) 2、 パパインで分解したときの F a bなどのフラグメントであっても、 またキメラ抗 体ゃヒト化抗体であってもよい。 また哺乳類 AM 2、 魚類 AMI、 魚類 AM 2、 魚類 AM4、 魚類 AM 5またはその部分ペプチドを抗原として特異的に認識する のみでなく、 哺乳類 AM 2、 魚類 AMI、 魚類 AM 2、 魚類 AM4または魚類 A M 5の活性を調節する機能を有する中和抗体も本発明に含まれる。 これらの抗体 は、 哺乳類 AM 2、 魚類 AMI、 魚類 AM 2、 魚類 AM 4または魚類 AM 5の研 究的あるいは臨床的な検出等に有用である。 また、 本発明の抗体を含有してなる 医薬は、 AM 2の関連する疾患、 例えば敗血症の治療に有用である。 本発明の抗体は、 ポリクローナル抗体、 モノクローナル抗体いずれも公知方法 を参考にして得ることができる (例えば、 免疫実験操作法、 日本免疫学会編、 日 本免疫学会発行、 参照) 。 以下に AM2を例として簡単に説明する。
当該新規抗体を得るには、 まず動物に、 免疫抗原として AM2またはその部分 ペプチドを必要に応じてフロイントの完全アジュパント (FCA) や不完全アジ ュバント (F I A) 等の適切なアジュバントとともに接種し、 必要があれば 2〜 4週間の間隔で追加免疫する。 追加免疫後、 採血を行い、 抗血清を得る。 抗原と して用いる AM 2またはその部分ぺプチドは、 それが抗体の作製に使用しうる精 製度のものであればレ、かなる方法で得られたものであってもよい。 部分べプチド
を抗原とする場合、 ループ状の 2次構造をとっている部分や、 種間で配列に相違 がある部分をェピトープとして選択すると免疫が成立しやすい。 しかしこれに限 定されるものではなく、 ェピトープは適宜選択し得る。 実際、 AM 2の場合、 後 述する実施例 5に示すように種間で配列の保存性が高い C端部分でも免疫が可能 であり、 抗原の好ましい例として配列番号 2 7に記載のァミノ酸配列からなるぺ プチドが挙げられる。
免疫抗原として使用するぺプチドが、 低分子のぺプチド、 すなわち約 1 0〜 2 0アミノ酸からなるペプチドである場合には、 それをキーホールリンぺットへモ シァニン (K L H) 等のキャリアと結合させて抗原として使用すればよい。 免疫 する動物はいかなるものであっても良いが、 好ましくは通常当業者で免疫学的な 実験に使用されるラット、 マウス、 ゥサギ、 ヒッジ、 ゥマ、 エワトリ、 ャギ、 ブ タ、 ゥシ等から、 目的の抗体を産生しうる動物種を選択して使用することが好ま しい。
ポリクローナル抗体は、 得られた抗血清を精製することによって得る事が出来 る。 精製は、 塩析、 イオン交換クロマトグラフィー、 ァフィ二ティークロマトグ ラフィ一等の公知方法を適宜組み合わせて行えば良い。
モノクローナル抗体を得るには以下のように行う。 すなわち、 免疫した動物か ら脾細胞もしくはリンパ球等の抗体産生細胞を採取し、 ポリエチレングリコール 、 センダイウィルス、 電気パルス等を用いる公知方法によって、 ミエローマ細胞 株等と融合し、 ハイプリ ドーマを作製する。 その後、 本発明の蛋白質に結合する 抗体を産生しているクローンを選択して培養し、 その選択されたクローンの培養 上清を精製することによって得れば良い。 精製は、 塩析、 イオン交換クロマトグ ラフィー、 ァフィ二ティークロマトグラフィー等の公知方法を適宜組み合わせて 用いれば良い。
また、 遺伝子工学的な方法を用いても当該新規抗体が得られる。 例えば、 AM 2またはその部分ペプチドで免疫した動物の脾細胞、 リンパ球あるいは、 AM 2 またはその部分べプチドに対するモノクローナル抗体を産生するハイプリ ドーマ から ni R N Aを採取し、 これをもとに c D N Aライブラリーを作製する。 抗原と 反応する抗体を産生しているクローンをスクリーニングし、 得られたクローンを
培養し、 培養混合物から目的とする抗体を公知方法を組み合わせて精製すること ができる。 抗体を治療に使用する場合には、 免疫原性の点からヒト化抗体が好ま しい。 ヒ ト化抗体は、 免疫系をヒ トのものと入れ替えたマウス (例 Na t. Ge n e t. 1 5 ; 146— 156 (1997) ) を免疫することにより調製 することが出来る。 また、 モノクローナル抗体の超可変領域を用いて遺伝子工学 的に調製することもできる (Me t h o d i n En z ymo 1 o g y 20 3 ; 99- 121 (1991) ) 。
(本発明の抗体を用レ、る測定法および試薬)
本発明は、 (1) 本発明の抗体を用いることを特徴とする、 被験試料中の哺乳 類 AM 2、 魚類 AMI、 魚類 AM 2、 魚類 AM4または魚類 AM 5の測定方法、
(2) 本発明の抗体を含有すること特徴とする、 被験試料中の哺乳類 AM2、 魚 類 AM1、 魚類 AM 2、 魚類 AM 4または魚類 AM 5を測定するための試薬、 ( 3) ヒ ト体液中の AM 2量の増加または減少を測定し、 AM 2の機能異常、 それ らを伴う疾患または該疾患に付随する病態の予知、 検出または診断に用いる (2 ) に記載の試薬、 (4) 前記疾患が心疾患、 特に心不全および虚血性心疾患、 腎 疾患、 特に急性腎不全、 雌性生殖機能異常に関連する疾患、 免疫機能の異常に関 連する疾患、 および癌より選ばれる少なくとも 1つの疾患である (3) に記載の 試薬を提供する。
本発明の測定方法は、 被験試料と本発明の抗体または抗体断片を接触させるェ 程、 本発明の抗体または抗体断片に結合した被検試料中の哺乳類 AM2、 魚類 A Ml、 魚類 AM 2、 魚類 AM 4または魚類 AM 5を検出する工程を含み得る。 被 検試料中の哺乳類 AM 2、 魚類 AMI、 魚類 AM 2、 魚類 AM4または魚類 AM 5を定量する工程を更に含んでも良い。 本発明の測定方法は、 本発明の抗体を用 いるステップを含むが、 該ステップは、 対象試料中の被験物質である哺乳類 AM 2、 魚類 AM1、 魚類 AM2、 魚類 AM4または魚類 AM5と本発明の抗体との 抗原抗体反応により、 対象試料中の被験物質をトラップする工程であることが好 ましい。 本発明の測定方法における被験物質の検出原理は特に限定されないが、 凝集法、 サンドイッチ法、 固相直接法または固相結合法、 競合法等が例示される
。 この内、 サンドイッチ法及び競合法が好ましく、 特にサンドイッチ法が好まし い。 凝集法では、 抗体を粒子、 例えばラテックス粒子や赤血球 (例えば羊赤血球
) の表面に結合させて、 哺乳類 AM 2、 魚類 AM I、 魚類 AM 2、 魚類 AM 4ま たは魚類 AM 5が存在すると粒子の凝集が生じるようにし、 この粒子の凝集の程 度を指標として哺乳類 AM 2、 魚類 AM 1、 魚類 AM 2、 魚類 AM 4または魚類 AM 5を測定する。
なお、 この凝集法では、 ラテックスや赤血球以外にも、 ゼラチンやマイクロビ ーズ、 カーボン粒子等、 一般に用いられている粒子を使用することができる。 ま た、 サンドイッチ法、 固相直接法または固相結合法、 競合法では、 標識された抗 体や抗原を使用し、 ェンザィムィムノアッセィ (E I A) 、 ラジオィムノアッセ ィ (R I A) 、 ケミルミネッセンスィムノアッセィ (化学発光免疫測定法) 、 フ ルォロイムノアツセィ (蛍光免疫測定法) 、 時間分解蛍光免疫測定法 (T R— F I A) 、 ィムノクロマトグラフィーアツセィ (I C A) 等の原理で測定を行なう ことができる。 以下に、 本発明の測定方法の好適例の 1つである、 E I Aの原理に基づく、 サ ンドイッチ法、 固相直接法、 競合法を説明する。 E I Aによるサンドイッチ法で は、 まず、 ぺノレオキシダーゼ、 ア^^カリフォスファターゼ、 3—ガラクトシダー ゼ等の酵素で標識した、 哺乳類 AM 2、 魚類 AM I、 魚類 AM 2、 魚類 AM 4ま たは魚類 AM 5を認識する抗体または二次抗体を準備する。 特にポリペルォキシ ダーゼ標識した抗体は好ましい例である。 また、 使用する固相には、 哺乳類 AM 2、 魚類 AM I、 魚類 AM 2、 魚類 AM 4または魚類 AM 5を認識する抗体を吸 着させておく。 サンプル (試料) もしくはスタンダードを添加後、 上述の酵素標 識抗体を添加し、 抗原抗体反応を行なわしめる。 過剰の酵素標識抗体を洗浄操作 で除去した後、 使用する酵素に応じた発色基質、 例えばオルトフエ二レンジアミ ンと H 2 0 2、 p—ニトロフエニルリン酸、 2 _ニトロフエニル一 一 D—ガラ クトシド等を加えて酵素と反応させる。 基質の発色は、 酵素量、 ひいてはサンプ ル中の AM 2量に依存するので、 発色最終産物の量を測定することにより被検試 料中の哺乳類 AM 2、 魚類 AM I、 魚類 AM 2、 魚類 AM 4または魚類 AM 5を
定量することができる。
固相直接法では、 サンプル (試料) を直接固相に吸着させ、 続いて、 その測定 系には影響しないタンパク質、 例えば B S A (ゥシ血清アルブミン) などでプロ ッキング処理し、 次いで哺轧類 AM 2、 魚類 AM I、 魚類 AM 2、 魚類 AM 4ま たは魚類 AM 5を認識する酵素標識抗体を添加し、 反応させる。 以降は、 サンド イッチ法と同様の操作を行ない、 サンプル中の哺乳類 AM 2、 魚類 AM I、 魚類 AM 2、 魚類 AM 4または魚類 AM 5の有無を判定するか定量を行う。
競合法では、 使用する抗体が認識する一定量の哺乳類 AM 2、 魚類 AM I、 魚 類 AM 2、 魚類 AM 4または魚類 AM 5を直接固相に吸着させ、 次いでブロッキ ング処理した後、 ここに、 哺乳類 AM 2、 魚類 AM I、 魚類 AM 2、 魚類 AM 4 または魚類 AM 5を認識する酵素標識抗体とサンプル (試料) とを添加する。 一 定時間反応させた後、 洗浄して固相に非結合の物質を除去し、 発色基質を加えて 酵素と反応させる。 反応後、 サンプル添加による、 酵素標識抗体の固相哺乳類 A M 2、 魚類 AM I、 魚類 AM 2、 魚類 AM 4または魚類 AM 5への結合阻害度を lj定することにより、 サンプル中の哺乳類 AM 2、 魚類 AM I、 魚類 AM 2、 魚 類 AM 4または魚類 AM 5を定量する。 なお、 はじめに抗体を固相に吸着させ、 酵素標識した哺乳類 AM 2、 魚類 AM I、 魚類 AM 2、 魚類 AM 4または魚類 A M 5サンプルと同時に添加し、 サンプル添カ卩による標識物の固相化抗体への結合 阻害度を測定することにより、 サンプル中のぺプチド量を定量してもよレ、。
上記以外の方法として、 抗原抗体反応を液相中で行ない、 後に、 抗体を用いた 凝集沈降法もしくは物理化学的な手法によって、 標識抗体と結合したぺプチドと 結合しなかったペプチドを分離し定量する方法もある。 また、 ペプチドを認識す る抗体を標識するのではなく、 その抗体を認識する二次抗体を得、 それを標識し 、 抗原抗体反応を行なわせて、 ぺプチドを測定することも可能である。
サンドィツチ法、 固相直接法、 競合法のいずれにおいても、 標識酵素一発色基 質の組合せを、 標識酵素一生物発光基質または化学発光基質、 標識酵素一蛍光基 質等の組合せに変えることが可能である。 この場合の、 酵素一発光基質の代表的 な組合せは、 アル力リフォスファターゼ一 AM P P D、 ホースラディッシュペル 才キシダーゼ一ルミノール、 ルシフェラーゼ一ルシフェリン等があり、 酵素一蛍
光基質の代表的な組合せは、 アル力リフォスファタ—ゼーゥンベリフェリルフォ スフェート、 ホースラディッシュぺノレォキシダーゼ一 p—ハイドロキシフエ二ノレ プロピオン酸等がある。
さらに、 上記 3種の測定方法において、 酵素に代わって、 放射性物質や化学発 光物質あるいは蛍光物質で直接あるいは間接的に標識された抗体や抗原を用い、 放射能や発光、 蛍光の強度を測定することにより、 サンプル中の哺乳類 AM 2、 魚類 AM I、 魚類 AM 2、 魚類 AM 4または魚類 AM 5を測定することも可能で あ。。
放射性物質としては、 1 2 5 Iや1 3 1 I等が一般に使用されており、 化学発光物 質の代表的な物には、 アタリジニゥムエステル等がある。 また、 蛍光強度を測定 する場合には、 より高感度な方法として、 抗体あるいは抗原にキレート剤を直接 あるいは間接的に結合させ、 励起光照射後にそのキレート剤に結合する希土類金 属から発せられる蛍光の強度を時間分解的に測定することにより、 試料中の AM 2を測定する方法 (時間分解蛍光免疫測定法) も有用である。 なお、 代表的な希 土類金属の例として、 ユーロピウムがあげられる。
本発明の測定方法は、 以上説明したように、 試料中の哺乳類 AM 2、 魚類 AM 1、 魚類 AM 2、 魚類 AM 4または魚類 AM 5を検出または測定することを目的 としている。 この場合、 被験試料は動物、 特にヒトの体液あるいは、 組織、 細胞 および菌体ならぴにそれらの抽出液、 培養上清、 塗末標本および切片があげられ るが、 体液であることが好ましい。 より好ましくは、 血液、 血漿、 血清、 尿、 髄 液、 リンパ液、 唾液、 腹水、 胸水より選ばれる試料である。
本発明の測定方法を用いて健常人及び種々の疾患を有する患者の体液中の AM 2を測定することができる。 健常人及び種々の疾患を有する患者の体液中の AM 2の濃度を比較する際には、 当業者が通常用い得る統計学的手法を用いて両者の 測定値に差があるか否かを判断すればよい。
本発明の抗体を含有してなる、 被験試料中の AM 2を測定するための試薬は、 上記した測定方法の構成等に準拠することができる。 該試薬を用いて上記測定方 法を実施し、 ヒト体液中の AM 2量の増加または減少を測定することで、 AM 2 の機能異常、 それらを伴う疾患または該疾患に付随する病態の予知、 検出または
診断を行うことができる。 そのような疾患の例としては、 心疾患腎疾患、 雌性生 殖機能異常に関連する疾患、 免疫機能の異常に関連する疾患、 および癌などが挙 げられる。 実施例
以下に、 実施例をもって本発明を一層具体的に説明するが、 これらは一例とし て示すものであり、 本発明はこれらにより何等限定されるものではない。 また、 以下の記載において用いる略号は、 当該分野における慣用略号に基づくものであ る。
[実施例 1 ]
(AM2前駆体をコードする遺伝子のクローニング)
(1) ヒ ト腎臓 c DNAライブラリーからのクローニング
ヒ ト AM 2前駆体をコードする遺伝子は以下の方法でクローニングを行った。 センスプライマー AM2— a (5, 一 GGA CGC CCG TGC CCA GCT TGC CA- 3 ' :配列番号 10 ) 及びアンチセンスプライマー AM 2 - f (5 ' — G C A GCT CTG GAC GGG GGC AC A G C A- 3 ' : 配列番号 1 1) を合成し、 Hum a n MTC P a n e l (ク ローンテック) の K i d n e yを铸型に、 Ex T a q DNA P o 1 yme r a s e (タカラバイオ) を用い、 98°Cで 2分間、 45°Cで 2分間、 65°Cで 2分間インキュベーションした後に、 94°Cで 30秒、 55°Cで 30秒、 72°C で 1分間のサイクルを 25回行った。 次に、 この P CR反応液 1 μ Lを铸型に、 センスプライマー AM 2— b (5 ' -CCA TGG CCC GGA TCC CGA CG- 3 ' : 配列番号 12) 及びアンチセンスプライマー AM2— e (5 ' -TCA GCC ATA GCT GTG GGG GCT- 3 ' : 配列番号 1 3) を合成し、 Ex T a q DNA P o l yme r a s e (タカ ラバイオ) を用い、 98°Cで 2分間、 45°Cで 2分間、 65^で 2分間インキュ ベーションした後に、 98 で 30秒、 70 °Cで 30秒、 80。 で 1分間のサイ クノレを 25回,操り返し、 n e s t e d P C Rを行った。 得られた約 400 b p の DNA断片を p T 7 B 1 u e (T) Ve c t o r (No v a g e n) に揷入
し、 プラスミ ド p T 7— AM2を得た。
(2) マウス及ぴラット ΑΜ2前駆体をコードする遺伝子のクローニング 铸型として、 マウスまたはラット腎 t o t a 1 RN Aから SMART S y s t e rn (クローンテック) をもちいて調製した二本鎖 c DNAプールを用意した 。 ラット及ぴマウス AM2のコーディング領域は、 キットに含まれる CD S I I 1 /3 ' — P CRプライマー、 およびマウス特異的プライマー mAM2— F 1 ( 5 ' -CAAACTGGTTTTC CGCTGG- 3 ' :配列番号 1 4) または ラット特異的プライマー r AM2— F 1 (5 ' _ C A A A C T AG T T T T C C GCTGAAC C- 3 ' :配列番号 1 5 ) をもちいて 3 ' — RACE法によりク ローニングした。 P CR反応は E x T a q DNA P o l yme r a s e ( タカラバイオ) を用い、 9 4°Cで 3 0秒間インキュベーションした後に、 94°C で 3 0秒、 6 0°Cで 3 0秒、 7 2°Cで 2分間のサイクルを 3 5回行った。 得られ た DNA断片を p T 7 B 1 u e (T) V e c t o r (N o v a g e n) に挿入 し、 配列決定に供した。
(3) c DN Aクローン塩基配列の決定
( 1 ) および (2) に記載の方法で取得したヒ ト、 マウスおよびラット AM2 前駆体をコードする c DNAをシークェンスした結果、 ヒ ト AM2前駆体は配列 番号 7で表される 44 7塩基の塩基配列からなるオープンリーディングフレーム にコードされる、 配列番号 4で表される 1 4 8個のアミノ酸からなることが明ら かになつた。 マウス AM2前駆体は配列番号 8で表される塩基配列の 1 7 1〜6 2 3番目に相当する 4 5 3塩基の塩基配列からなるオープンリーディングフレー ムにコ一ドされる、 配列番号 5で表される 1 5 0個のアミノ酸からなることが明 らかになつた。 ラット AM 2前駆体は配列番号 9で表される塩基配列の 1 7 3〜 6 1 3番目に相当する 44 1塩基の塩基配列からなるオープンリーディングフレ 一ムにコ一ドされる、 配列番号 6で表される 1 4 6個のアミノ酸からなることが 明らかになった。
(4) 相同性解析
ヒ ト、 マウス及びラット AM2前駆体のアミノ酸配列をマルチプルァライメン トプログラム C 1 u s t a 1 W (T h o mp s o n J D, H i g g i n s DG, G i b s o n T J . , Nu c l e i c Ac i d s R e s . , 22, p p. 4673-4680 ( 1 994 ) ) を用いて多重整列した結果を 図 1に示す。 マウス及びラット AM2前駆体のァミノ酸配列の相同性は 90 %で あり、 アドレノメジユリンが 79 %であるのに対して種間の保存性が高い。
ヒ ト AM 2前駆体のアミノ酸配列を問い合わせ配列として G e n b a n k蛋白 質データベースに対し相同性検索を行った。 相同性の検索には B LAST (A 1 t s c h u 1 S F. , J Mo 1 Ev o l . , 36, p p. 290— 30 0 (1 9 93) ; A l t s c h u l S F e t a 1. , J . Mo 1. B i o l . , 21 5, p p. 403- 10 (1 990) ) を用いて、 局部的 な配列の一致を検索した。 この結果、 i n t e rme d i n p r e c u r s o r (Ge nB a n k Ac c e s s i o n : AAQ 09100) とアミノ酸配 列において 100 %—致した。
ヒ ト、 マウス及ぴラット AM 2前駆体のァミノ酸配列からシグナル配列を予測 し (H. N i e l s e n, J . En g e l b r e c h t, S . B r u n a k , G. v o n He i j n e , I d e n t i f i c a t i o n o f p r o k a r y o t i c a n d e u k a r y o t i c s i g n a l p e p t i d e s a n d p r e d i c t i o n o f t h e i r c l e a v a g e s i t e s, P r o t e i n En g i n e e r i n g 1 0 (1997) 1— 6. ) 、 図 1において下線で示した。 発明者らは、 ヒ ト、 マ ウス及ぴラット AM 2前駆体おまたは該前駆体からシグナル配列が除去されたぺ プチドには活性はないと考えた。 活性を有する成熟した AM 2は、 図 1において 枠で囲んだ部分のアミノ酸配列を有し、 かつ 2つのシスティン残基間でジスルフ ィ ド結合を形成し、 C末端のチロシンのカルボキシル基はアミ ド化されている必 要があると推測した。 ヒ ト、 マウス及びラット成熟 AM 2のァミノ酸配列を配列 番号 1、 2および 3に示す。 ヒ ト、 マウス及びラット成熟 AM 2のァミノ酸配列 の比較を図 2に示す。 予測したヒ ト成熟 AM 2のァミノ酸配列と、 ヒ ト成熟ァド
リンのアミノ酸配列を BLASTで比較すると、 ヒト成熟 AM 2の全 長 47 a. a. のうち、 9— 47 a. a . における同一性は 38 %、 相同性は 5 3%となる。 [実施例 2]
(組織発現解析)
RT— P CRによる AM2およぴァドレノメジュリンの組織発現プロファイル 解析を行った。 脳、 下垂体、 顎下腺、 心臓、 胸腺、 肺、 肝臓、 脾臓、 膝臓、 胃、 小腸、 大腸、 腸間膜、 副腎、 腎臓、 椎骨、 精巣、 卵巣、 子宮、 乳腺を I CRマウ スから摘出し (雌雄各 2匹ずつ使用) 、 I SOGEN (二ツボンジーン) を用い て t o t a 1 RNAを抽出した。 各 t o t a 1 RNA より、 S u p e r s c r i p t F i r s t S t r a n d S y n t h e s i s S y s t em (I n v i t r o g e n) を用いて逆車云写を行った。
P CRに用いた特異的プライマーは、 マウス AM2の場合mAM2— F 1およ
C- 3 ' :配列番号 1 6) 、 マウスアドレノメジュリンの場合 mAMl—F 2 (
) および mAMl— R (5 ' 一 G C C C G A C T G T T C A A T G C T G T— 3 ' :配列番号 18) である。 内部標準の GAP DH (g l y c e r a l d e hy d e— 3— p h o s p h a t e d e hy d r o g e n a s e) は、 GAPDH
:配列番号 1 9) および GAPDH— A3 (5, - AT C G A AG G T G G A A GAGTGGGAGT- 3 ' :配列番号 20) プライマーを用いて増幅した。 P CR反応は、 94°Cで 1分間インキュベーションした後に、 94°Cで 30秒、 6 0°Cで 30秒、 72 °Cで 1分間のサイクルを 35回 (0 ?011では28回) 行 つた。 増幅産物は 1. 2%ァガロースゲルにて電気泳動し、 ェチジゥムブ口マイ ド染色により可視化した。
解析した結果、 AM2は顎下腺、 腎臓、 胃および腸間膜で強い発現が、 下垂体 、 肺、 膝臓、 腸、 脾臓および胸腺で弱い発現が確認された (図 3) 。 アドレノメ
デュリンに比較して AM 2の発現は臓器特異性が高く、 生体においてァド デュリンとは異なる機能を果たしていることが推察される。 特に免疫系において アドレノメデュリンよりも多く発現しており、 AM 2は免疫機能において重要な 役割を果たしているものと考えられる。 さらに、 AM 2は精巣では発現が認めら れないが卵巣では強く発現しており、 雌性生殖機能の調節への関与が示唆された
[実施例 3]
(ヒト AM 2の調製)
配列番号 1に記載のァミノ酸配列からなり、 2つのシスティン残基間でジスル フィド結合を形成し、 C末端のチロシンのカルボキシル基はァミ ド化されている ヒト成熟 AM 2を合成した。 すなわち、 ぺプチド合成機 433 A (アプライドバ ィォシステムズジャパン) を用いて 47アミノ酸のぺプチドを合成し、 C末端に はアミ ド基を導入した。 合成終了後ペプチドを榭脂より定法にしたがって切断、 脱保護し、 エーテル沈殿後凍結乾燥した。 次に、 得られた白色粉末を蒸留水で溶 解し、 HPLC (Wa t e r s D e 1 t a 600) を用いて逆相カラム (CA PCELLPAK C 18) で精製した。 メインピークを回収後、 凍結乾燥し、 フェリシアン化カリウムを用いてジスフィルド結合を形成させた。 すなわち、 ぺ プチドを蒸留水で溶解し、 0. lmg/mlとし、 1M ^^1^401^で 117に 調製した。 撹拌しながら 2 mg/m 1のフェリシアン化力リゥム溶液を滴下し、 約 1時間攪拌した。 PHを 4. 5に調整後カチオン交換樹脂で分画し、 引き続き ぺプチド精製同様に逆相 HP LCにより精製した。 溶出位置がシフトしたメイン ピークを回収後、 再度凍結乾燥し、 精製ヒト AM2を得た。 精製 AM2は蒸留水 で溶解し、 濃度は乾燥重量より算出した。
[実施例 4]
(AM 2改変べプチドの調製)
アドレノメデュリンの各種活性ぺプチド配列 (J. He a t o n e t a 1 . , Am. J . He a r t Ph y s i o l . 268, H 221 1
(1 9 9 5) 、 H, C. c h a mp i o n e t a 1. , P e p t i d e s 1 8, 1 3 3 ( 1 9 9 7) 、 Y. I c h i k i e t a 1. , J . B i o c h e m. 1 1 8 , 7 6 5 ( 1 9 9 5 ) ) を参考にヒト AM 2配列 を解析し、 表 1に示す改変べプチドを設計した。 ほ 1 ]
これらぺプチドは実施例 3に記載の方法により調製することができる。 また、 得られるぺプチドは実施例 7乃至 1 1の方法により活性を測定し、 その有効性を 判定することができる。 AM 2改変べプチド R 1および R 2はヒト AM 2の活性 を保持するものと考えられる。 一方、 AM 2改変ペプチド R 3は活性に重要な C y s -C y s部分を失っており、 R 4は活性に重要な C末端にアミノ酸を付カロし た改変を行っているので、 活性が著しく損なわれるものと考えられる。 活性を喪 失していても受容体に結合できるような改変体は、 AM 2アンタゴニストとして 有用である。
[実施例 5 ]
(AM 2特異抗体の調製)
(5 - 1 ) 投与抗原の調製
配列番号 1記載のヒ ト AM 2のアミノ酸配列を G e n e t y x解析ソフトの R o b s o n P r o t e i n 2 n d a r y P r e d i c t i o nソフトを用 いて 2次構造の解析を行い、 抗体作製用のペプチド配列を選択した。 また、 ヒ ト /マウスでの相同性が高い領域であり、 了ドレノメデュリンの測定にも使用され ている S— S結合領域を含むぺプチド配列も選択した。 表 2に選択した 4種類の ペプチド配列を示した。
[表 2]
S— S結合を含まない 3種類のペプチド (AM2— 1_2、 AM 2— 2— 2、 AM2-4) は実施例 3に記載の方法により調製した (S— S結合を含まないた めジスルフィ ド結合形成は行わなかった) a また、 AK— 1ぺプチドは株式会社 ペプチド研究所が製造した。 投与抗原を調製するため、 AM2— 4ペプチドは N 末端にシスティンを導入した。 システィンの S H基をぺプチド末端に持つ 3種類 のぺプチド (AM 2 - 1一 2、 AM 2-2-2, AM 2— 4) はマレイミ ド活性 化キーホールリンペットへモシァニン (KLH) と結合させることにより調製し た。 すなわち、 1 : 1 (重量比) でペプチドとマレイミド活性化 KLH (P I E RCE) を混合し、 室温で 2時間反応させた。 得られたペプチド _KLH投与抗 原は使用した KLH量に基づき濃度を算出した。 また、 S— S結合を持つ AK— 1ぺプチドは株式会社ぺプチド研究所においてダルタルアルデヒド法により KL Hと結合した。
(5-2) 動物の免疫
調製した 4種類の投与抗原をゥサギ (ニュージランドホワイト) 及びマウス ( d d y) に免疫した。 すなわち、 ゥサギでは投与抗原 0. 2mgをフロインド完 全アジュバント (FCA) と等量で混合し、 背部皮下に投与した。 2週間後同量 をフロインド不完全アジュパント (F I A) と等量混合し、 背部皮下に投与した 。 さらに同様に 2回投与し、 投与 1週間後採血を行った。 得られた血液を定法に 従い血清分離しゥサギ坑血清を得た。 同様にマウスでは投与抗原 0. 02mgを
フロインド完全アジュパント (FCA) と等量で混合し、 腹腔に投与した。 2週 間後同量をフロインド不完全アジュパント (F I A) と等量混合し、 腹腔に投与 した。 さらに同様に 1回投与し、 投与 1週間後採血を行った。 得られた血液を定 法に従レ、血清分離しマウス坑血清を得た。
(5-3) 抗体価の確認
ゥサギ及びマウス坑血清の抗体価は抗原固相酵素免疫測定法 (EL I SA) に より検定した。 すなわち、 実施例 3で調製した AM 2ペプチドをリン酸緩衝液 ( pH7. 4) (以下、 PB Sと記載する場合がある) で 0. I S Ai gZm lに希 釈し、 96 w e 1 1プレート (Nun c、 Ma x i s o r b) に分注し、 45 °C 30分間処理した。 反応終了後プレートを氷冷し、 PB Sで 5回洗浄した。 次に 0. 1%牛アルブミン (以下、 B S Aと記載する場合がある) を含む PB Sでブ 口ッキングした。 室温 1時間静置後プロッキング液を廃棄し、 各坑血清の 1/2 倍希釈列 (X 1Z500〜: 1/32000) を添カ卩し、 37°Cで 1時間反応した 。 次に 0. 9%Na C l、 0. 05 %T w e e n 20溶液でプレートを 3回洗浄 し、 ゥサギにはャギ坑ゥサギィムノグロブリン抗体 (DAKO) をマウスにはぺ ルォキシダ一ゼ標識マウスィムノグロブリン抗体 (DAKO) を X 1/1000 倍希釈で添加した。 37でで1時間反応後、 同様に洗浄し TMB (B i o FX) で発色させた。 0. 5 M硫酸溶液で反応を停止しプレートリーダー (E— Ma X 、 モレキュラーデバイス) により 450 nmの吸光度を測定した。 その結果、 A M2-4投与マゥスにおいて抗体価の上昇が確認された。
(5-4) モノクローナル抗体の調製
抗体価の上昇が確認された AM2— 4投与マウスを用いて細胞融合を行った。 すなわち、 細胞融合 3日前に最終投与を行い、 マウスミエローマ細胞 (P 3X6 3 Ag 8U. 1、 ATCCCRL— 1 597) と脾臓より採取したリンパ球と を細胞融合した (安東民衛*千葉丈 Z著 「単クローン抗体実験操作入門」 83ぺ ージ、 199 1年 (講談社) ) 。 細胞融合は 5%DMSOを含む 50%PEG 1 500 (S i gma) により行い、 HAT培地でハイブリ ドーマの選択を行った
。 ハイプリ ドーマが増殖した段階で前述の方法に従い抗 AM 2抗体産生細胞のス クリーニングを行ったところ、 1 lwe 1 1で抗体産生細胞が確認され、 限界希 釈法 (安東民衛'千葉丈 Z著 「単クローン抗体実験操作入門」 97ページ、 1 9 9 1年 (講談社) ) によりクローニングを行った。
(5-5) モノクローナノレ抗体の生産
クローユング終了後、 同様にスクリーニングを行い、 抗 AM 2抗体産生クロー ンを選択する。 次に 10 %牛胎児血清を含む H y b r i d oma-SFM (I n v i t r o g e n) 培地で増殖後、 Hy b r i d oma_S FM培地に交換し、 無血清培養する。 得られる培養上清を回収し P r o t e i n— A (P r o s e p — A、 Mi 1 1 i p o r e) カラムで精製し、 精製抗 AM 2モノクローナル抗体 を得る。 濃度は 280 nmの吸光度に係数 1. 4 m g /m 1を使用して算出する
(5-6) ゥサギポリクローナル抗体の調製
免疫終了後、 ゥサギの静脈より採血し定法に従い抗血清を採取する。 次に 50 %硫安により塩析し、 PB S (pH7. 4) で透析後、 P r o t e i n— A (P r o s e p一 A、 Mi 1 1 i p o r e) カラムで精製し、 精製抗 AM2ポリク口 ーナル抗体を得る。 濃度は 280 n mの吸光度に係数 1. 35 m g Zm 1を使用 して算出する。
[実施例 6]
(AM 2測定系の作製)
得られた抗 AM 2抗体を用いてサンドイッチ E L I S A系を作製する。 まず、 AM2— 4ぺプチド由来抗 AM 2モノクローナル抗体をピオチン標識する。 ビォ チン標識はマ二ユアノレに従い D_B i o t i n o i l— ε— am i n o c a p r o i c a c i d— N— hy d r o x y s u c c l n i m i d e e s t e r ^ Ro c h e) を用いて行う。 AM2の測定は、 以下の手順で行う。 まず、 作製し た AM 2— 1— 2、 AM 2-2- 2または AK— 1ぺプチド由来の抗体を P B S
(p H 7. 4) で 2 0 μ g/m 1に希釈し、 9 6 w e 1 1プレート (Nu n c、 Ma x i s o r b , wh i t e p l a t e ) の各ゥエルに 1 0 0 μ 1添加する 。 4 °Cで一夜処理後、 イオン交換水で 5回洗浄し、 0. l %S t a b i l Gu a r d (S u r mo d i c s , I n c) と 0. l %Tw e e n 2 0 (和光純薬) を 含む P B Sを各ゥエルに 2 5 0 μ 1添カ卩しブロッキングする。 次に 1 %B S Αを 含む P B S (p H 7. 4) を希釈液として 0〜1 00 p g/m 1の合成した精製 AM 2を標準品として希釈列を調製する。 次に標準品希釈系列をゥエル当たり 1 0 0 μ I添カ卩し、 4 °Cで一夜反応する。 反応終了後、 0. 0 5 %Tw e e n 2 0 を含む P B S (p H 7. 4) で 3回洗浄し、 2%マウス血清、 0. l %Tw e e n 2 0を含む P B S (p H 7. 4 ) で 1 g Zm 1に希釈したピオチン標識抗 A M 2モノクローナル抗体を各ゥエルに 1 0 0 μ 1添加する。 2 5°Cで 4時間反応 後、 同様に 3回洗浄し、 2%マウス血清、 0. l %Tw e e n 2 0を含む P B S
(p H 7. 4) で 1 μ g/m 1に希釈したアル力リフォスファタ一ゼ標識ストレ プトァビジン (R o c h e) を Ι Ο Ο μ Ι添力!]し、 2 5でで 2 0分間反応する。 同様に 5回洗浄し、 ΒΜケミルミネセンス E L I SA基質 (AP) (R o c h e ) を 1 0 0 μ 1添加し 3 0分反応させる。 得られる発光をマルチラベルカウンタ
(Wa 1 1 a c ARVO- S X) で測定する。 AM 2標準品希釈系列と発光強 度に良好な線形性が認められる抗体の組み合わせを選択する。 [実施例 7 ]
(降圧作用の測定)
6— 8週齢の I CR系雄性マウス 8匹 (3 5. 1 ± 0. 5 2 g) をウレタン 2. 2 5 gZk gの筋肉内注射により麻酔し、 気管を切開した。 総頸動脈およ び外頸静脈に、 P E 1 0チューブ (C l a y A d a m s社製) を揷入した。 チ ユーブには、 端に熱をかけて伸展しテーパー上にしたものを使用した。 動脈カテ 一テルはポリグラフ (NEC S a n— e i ) を用いて血圧おょぴ心拍数のモニ ターに使用した。 静脈カテーテルからリンガー液 (N a C 1 1 3 0mM、 KC 1 5 mM、 C a C 1 2 5. 3 mM、 N a HC03 2 mM) を 1 0 μ L Z分の速度で注入した。 C末端をァミド化した成熟ヒト AM 2は株式会社ぺプチ
ド研究所にて合成した。 ヒ ト AMは株式会社ペプチド研究所より購入した。 それ ぞれのぺプチドは 0. 01 % Tr i t o n X— 100を含む 0. 9 % N a C 1に溶解し、 静脈カテーテルより 0. 1、 1または 10 nmo l/k gの用 量で投与した。 AMと AM 2間の降圧作用は、 分散分析の後チューキーの検定を 行うことにより比較した。 pく 0. 05の時、 有意差ありとした。
ウレタン麻酔マウスの平均血圧および心拍数は、 それぞれ 66. 0± 2. 8 mmH gおよび 579 ± 31 拍/分 (n=8) であった。 合成ヒ ト AM 2は強 力かつ持続的な降圧作用し示した (図 4) 。 AM 2の作用は用量依存的で、 ヒ ト AMと比較してより強力であった (図 5) 。 AM2および AMのアミノ酸配列 はマウスとヒ トの間で高度に保存されているので、 ヒ トのペプチドはマウスにお いて十分な作用を示したものと考えられる。 降圧効果は、 10 nmo l/k g の投与では 1 66. 0± 16. 9分 (n = 4) 持続し、 これは AN Pの作用持続 時間より長かった (I n t. R e v. Cy t o l . 1 94 (2000) 1 -66) 。 これは AM (22. 0分) が ANP (1. 5分) より長い半減期を 持つこと (J. C l i n. En d o c r i n o l . Me t a b . 82 (1 997) 95— 100) からも類推可能である。 AM 2の作用持続時間は AMより更に長いものと考えられる。 AMはゥサギにおいて心拍数を増加させる (Am. J. Ph y s i o l . 269 (1 995) R1289—R 1 293) 。 AM2はマウスにおいて同様に心拍数を増加させたが、 強力な降圧作 用に比して心拍数の変化はわずかであった (図 4) 。
[実施例 8]
(ラットにおける降圧作用の測定)
雌十生 S p r a g u e—D a w 1 e y系ラットをウレタン 1. 5 gZk gの 皮下投与により麻酔した。 保温台の上に背位に固定し、 血圧測定用のカテーテル を頸動脈に揷入し、 薬物投与用としてポリエチレンチューブに装着した注射針を 大腿静脈に刺入した。 動脈カテーテルを圧トランスデューサ一に接続して、 ポリ グラフにて動脈圧を記録した。 ヒ ト AM、 ヒ ト AM2または AM2改変ペプチド R4を、 1 nmo 1 /k gの用量で静脈内投与した。 溶媒は lmL/k gの
容量で投与した。 ヒ ト AMまたはヒ ト AM 2の投与では 1 0— 2 0 mmH gの 血圧低下が観察された。
[実施例 9]
(利尿作用の測定)
S p r a g u e— D a w l e y系雄性ラットをウレタン: 5 gZk gの皮 下注射により麻酔し、 保温実験台上に背位に固定する。 大腿静脈に生理食塩水の 持続注入およぴ薬物投与用のポリエチレンチューブを、 大腿動脈に血圧モ二ター 用のへパリン化生理食塩水を満たしたポリエチレンチューブを挿入する。 腹部を 切開し、 左輸尿管に採尿用のポリエチレンチューブを挿入する。 左腎動脈には、 ポリエチレンチューブに接続した小型の L型注射針を刺入して瞬間接着剤で固定 した後、 血液の凝固によるチューブの閉塞を防ぐため、 生理食塩水を 0.. 3 m L/分の速度で注入する。 手術終了後に、 生理食塩水 1 mLを静脈内投与し、 引き続き 1. 2 mLZ時の速度で注入する。 尿量が安定したら、 被検ペプチド (哺乳類 AM 2、 魚類 AMI、 魚類 AM 2、 魚類 AM 4または魚類 AM 5 ) を静 脈内投与する。 腎臓に対する直接作用を観察するため、 全身血圧に影響を与えな い投与量を選択する。 被検ぺプチドは利尿作用およびナトリゥム利尿作用を有す ることを測定できる。 [実施例 1 0 ]
(好中球遊走作用の測定)
BAL BZc (日本チャールズリバ一) 、 8週齢、 3匹ずつに生理食塩水 5 0 0 μ 1 /b o d y , l O nm o l /k gの被検ぺプチド、 または 4 %チォグリコ レート溶液 5 0 0 1 /b o d yを腹腔に投与する。 24時間後、 冷 0. 5 % F B S含有 P B S、 5mLでマウス腹腔を洗浄し細胞を回収する。 細胞ペレットを 溶血液で処理し、 0. 5 % F B S含有 P B S、 1 mL に懸濁しそれぞれ細胞数 を計測する。
[実施例 1 1 ]
(混合リンパ球反応に対する作用の測定)
BALB/c AnNC r j (日本チャールズリバ一) 8週令雄三匹おょぴ C 5 7BL/6NC r J (日本チャールズリパー) 7週令雄三匹の脾臓をそれぞれ摘 出し脾細胞を分離後、 RPMI 1640、 20mlで 2回洗浄する。 1 500 r p m 4 で 5分間遠心し細胞べレットを溶血溶液 5 m 1で 5分間処理した。 洗浄 後、 脾細胞を 10%非働化 F B S RPMI 1640に懸濁した。 BALBZc 由来脾細胞懸濁液、 C 57 B LZ 6由来脾細胞懸濁液および両脾細胞混合懸濁液 をそれぞれ 0. 6 X 1 06 c e 1 1 s /180 μ L/w e 1 1で 24穴プレート に植え込み、 被検ペプチドを種々の濃度で添加し、 37 °Cで 4日間培養後、 終濃 度 10 ίMのB r dUを添加し 24時間反応させる。 培養上清を除去後細胞を固 定化し、 抗 B r dU— POD標識抗体と 90分間反応させる。 3回洗浄後、 発色 液を 100 μ L加え 10分間発色させ 25 μ Lの 1 N HC 1を添加し反応を停 止する。 450 nmの吸光度を測定する。
[実施例 1 2]
(ぺプチドの修飾)
(12- 1) ポリエチレングリコール (PEG) 修飾
哺乳類 AM 2、 魚類 AMI、 魚類 AM 2、 魚類 AM 4または魚類 AM 5ぺプチ ド、 あるいはその前駆体ぺプチドを 0. 2mo l/Lの燐酸緩衝液 ( p H 7. 2 ) に溶角军する。 これにぺプチドの 60倍モル量の N— s u c c i n im i d l y s u c c i n a t e PEG ( S S— PEG, A l d r i c h Ch em i c a 1 C omp a ny I n c . ) を室温にて 10分から 30分間反応させる 。 次に S S— PEG の 5倍モノレ量の ε— am i n o c a p l o n i c a c i dを添加することで反応を停止させる。 得られた P E G化べプチドをゲルろ過 カラムにて分離し、 未反応の PEGの除去ならびに分子量ごとに分画した PEG 化ペプチドを調製する。
(12-2) ポリビニルピロリ ドン (PVP) 修飾
(12-2-1) 活性化 P V Pの調製
27mmo 1ビエルピロリ ドン (和光純薬) を 7 m Lのジメチルスルホキシド
に溶角早する。 この溶夜に 1. 2 mm o lの 4一 4, 一a z o b i s - 4 - c y a n o v a l e r i c a c i d (,A l d r i c h Ch em i c a l C o m p ny I n c. ) と 2. 7mmo lの 3— me r c a p.t p r o p i o n i c a c i d (同仁化学研究所) を添加し、 60°Cで 6時間反応させる。 生成する ポリビニノレピロリ ドンを高速液体クロマトグラフィーにて分子量ごとに分取する 。 次に分取したポリビニルピロリ ドン末端の c a r b o x y l g r o u pを N — h y d r o x y s u c c i n i m i d e/ d ι e y e 1 o h e xy l c a r b o d i i m i d e 法により活性化する。 (12— 2— 2) ペプチドと活性化 PVPの結合
哺乳類 AM 2、 魚類 AMI、 魚類 AM 2、 魚類 AM 4または魚類 AM 5ぺプチ ド、 あるいはその前駆体ぺプチドの 60倍モル量の (1 2 _ 2— 1 ) で調製した 活性ィヒ PVPを加え、 室温にて 10分間反応させる。 次に活性化 PVPの 5倍モ ノレ量の ε — am i n o c a p l o n i c a c i dを添加することで反応を停 止させる。 得られた P VP化ペプチドをゲルろ過カラムにて分離し、 未反応の P V Pの除去ならびに分子量ごとに分画した P V P化ぺプチドを調製する。
[実施例 1 3]
(抗ヒ ト AM 2モノクローナル抗体の調製)
(13- 1) 投与抗原の調製
N末端で SH基を介してキヤリァ蛋白質と結合させるため、 N末端にシスティ ンを揷入したヒト AM 2の C末端断片ペプチドを合成した。 すなわち、 配列番号 52に記載のアミノ酸配列からなるペプチド (CQDS APVDP S S PHS Y G-NH2) をペプチド合成機 AB I 433 A (アプライド) を用いて合成し、 定法により樹脂より切り出し、 エーテルで沈殿させ回収後、 再度蒸留水で溶解し 凍結乾燥した。 得られた粗精製ペプチドは溶解後、 〇18逆相11?1^〇 (CAP CELL— PAK、 資生堂) を用いて 5〜70%のァセトニトリル濃度の直線グ ラジェントで溶出し、 目的のペプチドを含む分画を回収した。 回収した分画は凍 結乾燥し、 精製ペプチドとして数 mgを得た。 調製したペプチドを蒸留水で 10
mg/m 1に溶角早し、 1 Om g/m 1のマレイミド化キーホールリンぺットへモ シァニン ( I m j e c t Ma l e i m e d A c t i v a t e d k e y h o 1 e L i mp e t H e m o c y a n i n (K L H) (P I ERCE) と等量 混合した。 室温で 2時間反応後、 生理食塩水で平衡化した NAP— 1 0カラム ( アマシャム バイオサイエンス) で脱塩した。
( 1 3 - 2) モノクローナル抗体の作製
( 1 3 - 1 ) で調製したペプチド一 KLH 2 0 μ gと C p Gアジュバント ( I m mu n o E a s y Mo u s e A d j y u b a n t ^ Q I AGEN) 20^ L を混合し、 d dYマウス (メス、 8週令、 S LC) の腹腔内に投与した。 2週間 後、 投与抗原 2 0 μ gを生食に溶解したものを同様に投与した。 最終投与後、 腸 骨リンパ節を摘出しリンパ球を分離した。 細胞融合は安東民衛 ·千葉丈 Z著 「単 クローン抗体実験操作入門」 8 3ページ、 1 9 9 1年 (講談社) にしたがって行 つた。 すなわち、 リンパ節よりセ ストレイナー (ファルコン) を用いてリンパ 球を分離し、 ミエローマ細胞 (Ρ 3 X 6 3 _A g.8.U. 1 ) と 5 : 1で混合し 、 ポリエチレングリコールを用いて細胞融合を行った。 融合した細胞を HAT培 地にケンダクし、 ハイプリ ドーマを選別後、 目的の抗体を産生しているハイブリ ドーマをスクリーニングした。 すなわち、 ィムノプレート (Ma x i s o r b、 NUNC) に 0. 1Mリン酸緩衝液 (ρ Η 7 · 4) (以下、 D-P B Sと記載す る場合がある) で 1 0 AtgZm 1に希釈したヒ ト AM2ペプチド (ペプチド研) を各ゥエルに 5 0 ^ L添加し、 4 5 °Cで 3 0分間静置した。 次にプレートをィォ ン交換水で 5回洗浄後、 2 %スタビリガード (S u r mo d i c s ) を含む D— P B Sを各ゥエルに 1 0 0 /z L添加し、 室温で 1時間静置しブロッキングした。 得られたハイプリ ドーマからサンプリングした培養上清を各ゥエルに添カ卩し 3 7 でで 1時間反応させた後、 0. 0 5 %Tw e e n 2 0を含む生理食塩水で 3回洗 浄した。 次にペルォキシダーゼ標識抗マウスィムノグロブリン抗体 (DAKO) を 1 0%ゥサギ血清を含む D— P B Sで 1 0 0 0倍に希釈した溶液を各ゥエルに 5 0 μ L添カ卩した。 3 7 で 1時間反応後、 同様に 5回洗浄しテトラメチルベン ジジン溶液 (TMB、 B i o F i X ) を各ゥエルに添カ卩した。 室温で 1 0分間反
応後、 0. 5 M硫酸溶液で反応を停止した。 450 nmの吸光度をプレート分光 光度計 (E— MAX、 モレキユラデバイス) で測定し、 ヒ ト AM2ペプチドと結 合する抗体を産生するハイプリ ドーマを含むゥエルを選択した。 次に選択したゥ エルより安東民衛 ·千葉丈/著 「単クローン抗体実験操作入門」 97ページ、 1 991年 (講談社) にしたがって限界希釈法によクローユングした。 10日後、 同様にヒ ト AM 2ぺプチドに対する反応性を指標としてスクリーニングを行い、 7種類のハイプリ ドーマを選択した。 選択したハイプリ ドーマを 10%FCSZ RPM 1 -1640培地 ( S i gma) で培養後、 Hy b r i d oma— SFM 培地 (I nv i t r o g e n) で培養し抗体を産生させ、 プロテイン Aカラム ( P r o s e p— r A、 ミリポア) 'を用いて抗体を精製した。 精製した F 1189 抗体のサブタイプは I s o S t r i p Mo u s e Mo n o c l o n a l a n t i b o d y I s o t y p i n g K i t (Ro c h e) を用いて決定した
[実施例 14]
(魚類 AMフアミリーぺプチドの調製)
トラフグ AM 1として配列番号 29に記載のァミノ酸配列からなるぺプチドを 調製した。 トラフグ AM2として配列番号 45に記載のアミノ酸配列からなるぺ プチドを調製した。 トラフグ AM 5として配列番号 49に記載のァミノ酸配列か らなるぺプチドを調製した。 C端ァミ ド化ぺプチドの合成、 ジスルフイ ド結合の 形成、 ぺプチドの精製は株式会社べプチド研究所に依頼した。
[実施例 15]
(魚類 AMファミリ一の降圧作用)
BALB/c系雄性マウスをキシラジン 5mg/k gの腹腔内投与およびゥ レタン l gZk gの皮下投与により麻酔した。 総頸動脈およぴ外頸静脈に、 ポ リウレタン製カテーテル (米国インステックソロモン社製) を挿入した。 動脈力 テーテルはポリグラフ (日本電気三栄) を用いて血圧のモニターに使用した。 静 脈カテーテルから生理食塩液を注入した。 それぞれのぺプチドは生理食塩液に溶
解し、 静脈カテーテルより 0. 1、 1または 10 nmo 1/k gの用量で投与 した。 結果を表 3に示す。 トラフグ AMI、 トラフグ AM 2およびトラフグ AM 5はそれぞれ投与前の血圧と比較して 1 nmo 1 /k gにおいては 10%以上 の、 10 nmo 1 _ k gにおいては 20%以上の血圧低下が観察された。 10 nmo l Zk gにおける血圧低下持続時間は 1 5〜60分であった。 3]
[実施例 16]
(魚類 AMファミリ一の成長ホルモン分泌促進作用)
海水に適応したティラピア (各グループ n = 6) から下垂体を摘出して、 96穴 マイク口プレートを用いて 100マイクロリツトノレの b i c a r b o n a t e- R i n g e r s o l u t i o n (330 mO s m) 中で 18時間プレイン キュベーションをした後、 リンガー液のみ (c o n t r o l) 、 あるレ、は 100 nMのトラフグ AMI、 トラフグ AM 2またはトラフグ AM 5を含むリンガー液 中で 24時間さらにインキュベートして、 分泌された成長ホルモンを、 ラジオィ ムノアツセィで測定した。 結果を図 6に示す。 トラフグ AMI、 トラフグ AM 2 またはトラフグ AM 5の存在下では、 下垂体からの成長ホルモン分泌量が増加し ていた。 特にトラフグ AM 2において効果が顕著であり、 コントロールの 4倍以 上の分泌が認められた。 トラフグ AMIおよびトラフグ AM5においてはコント ロールの 2倍以上の分泌が認められた。 トラフグ AMI、 トラフグ AM 2および トラフグ AM 5は成長ホルモン分泌促進作用を有することが確認できた。
[実施例 1 7 ]
(抗魚類 AM抗体の作製)
トラフグ AM 1、 AM 2、 AM 5ぺプチドに対する抗体を作製する目的で配列 番号 53、 54、 55に記載の 3種類のぺプチドを実施例 13と同様に合成し調 製した。 ゥサギポリクローナル抗体を作製するため、 それぞれのぺプチドー KL Hを用いてゥサギに免疫を行った。 すなわち、 それぞれのペプチド一 KLH各 1 O O z gを 500 1の生理食塩水に希釈し、 500 /i 1のフロインド完全アジ ュバント (D I FCO) と等量混合後、 ニュージーランド白色ゥサギ (北山ラベ ス) メス 2. 1— 2. 2 k gの背部皮下に投与した。 2週間後、 それぞれのぺプ チドー KLH各 1 Ο Ο /i gを 500 μ 1の生理食塩水に希釈し、 500 1のフ 口インド不完全アジュバント (D I FCO) と等量混合後、 背部皮下に投与した 。 さらに 1週間後、 それぞれのペプチド一 KLH 100 μ gを lm 1の生理食塩 水に希釈し耳静脈内に投与した。 投与終了 1週間後耳静脈より採血し、 定法にし たがい抗血清を分離し、 抗体を精製した。 まず抗血清に最終飽和濃度 33%とな るように硫酸アンモニゥムを添カロし、 4 °Cで 1時間攪拌後、 析出した沈殿を遠心 分離した。 次に沈殿を D— PB Sで溶解し、 一夜透析した。 透析液を濾過後、 プ 口ティン Aカラム (プロセップ r A、 ミリポア) にアプライし、 結合した I g G 画分を 0. 1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3. 0)により溶出し、 精製抗体を得た 。 D— PB Sで透析後、 280 nmの吸光度より蛋白濃度を算出した (係数: 0 . 714mgZmL) 。 配列番号 53、 54、 55に記載のペプチドを抗原とし て得た抗体は、 それぞれ、 実施例 14で得たトラフグ AM 1ぺプチド、 トラフグ AM 2ペプチド、 トラフグ AM 5ペプチドを認識することを確認した。 確認は実 施例 1 3に記載の方法に準じてトラフグ AMI、 AM 2または AM 5をプレート に固相化した E I A法により行った。 産業上の利用可能性
本発明のぺプチドは、 優れた降圧作用を有し、 好ましくは、 これに加えてさら に利尿作用、 免疫調節作用等多様な生理作用を有する。 本発明のペプチドまたは その塩を利用することにより、 心疾患、 腎疾患、 雌性生殖機能異常に関連する疾 患、 免疫機能の異常に関連する疾患、 癌などに対する新規な作用機序の治療剤を 提供することが可能となる。 本発明のペプチドに対する抗体を用いることにより
、 本発明のぺプチドの測定方法および本発明のぺプチドの関連する疾患または該 疾患に付随する病態の予知、 検出または診断をすることが可能となる。 配列表フリーテキス 1、
【0103】
[配列番号 1] ヒト成熟 AM 2の配列を示す。 C末端がアミド化されている。 S 一 S結合を含む。
[配列番号 2] マウス成熟 AM 2の配列を示す。 C末端がアミド化されている。 S— S結合を含む。
[配列番号 3] ラット成熟 AM 2の配列を示す。 C末端がアミド化されている。 S— S結合を含む。
[配列番号 10] プライマー AM 2— aの配列を示す。
[配列番号 1 1 ] プライマー AM 2一 f の配列を示す。
[配列番号 1 2] プライマー AM2_bの配列を示す。
[配列番号 1 3 ] プライマー AM 2 - eの配列を示す。
[配列番号 14] プライマー m AM 2— F 1の配列を示す。
[配列番号 1 5 ] プライマー r AM 2-F 1の配列を示す。
[配列番号 1 6] プライマー mAM2— R 1の配列を示す。
[配列番号 1 7] プライマー mAMl—F 2の配列を示す。
[配列番号 18] プライマー mAMl—Rの配列を示す。
[配列番号 1 9] プライマー GAPDH— S 3の配列を示す。
[配列番号 20] プライマー GAP DH_ A 3の配列を示す。
[配列番号 21] 改変 AM2 (R 1) の配列を示す。 C末端がアミド化されてい る。 S— S結合を含む。
[配列番号 22] 改変 AM2 (R 2) の配列を示す。 C末端がアミド化されてい る。 S— S結合を含む。
[配列番号 23] 改変 AM2 (R 3) の配列を示す。 C末端がアミド化されてい る。
[配列番号 24] 改変 AM2 (R4) の配列を示す。 C末端がアミド化されてい
る。 s— s結合を含む。
[配列番号 25 ] 抗原 AM 2-1-2の配列を示す。
[配列番号 26] 抗原 AM 2— 2— 2の配列を示す。
[配列番号 27 ] 抗原 AM 2-4の配列を示す。
[配列番号 28 ] 抗原 AK— 1の配列を示す。 S— S結合を含む。
[配列番号 29] トラフグ AMIの配列を示す。 C末端がアミド化されている。 S— S結合を含む。
[配列番号 30] トラフグ AM 2の配列を示す。 C末端がアミド化されている。 S— S結合を含む。
[配列番号 3 1] トラフグ AM 3の配列を示す。 C末端がアミド化されている。 S— S結合を含む。
[配列番号 32] トラフグ AM 4の配列を示す。 C末端がアミド化されている。 S— S結合を含む。
[配列番号 33] トラフグ AM 5の配列を示す。 C末端がアミド化されている。 S— S結合を含む。
[配列番号 34] ミドリフグ AMIの配列を示す。 C末端がアミド化されている 。 S_S結合を含む。
[配列番号 35] ミドリフグ AM2, 3の配列を示す。 C末端がアミド化されて いる。 S_S結合を含む。
[配列番号 36] ミドリフグ AM 4の配列を示す。 C末端がアミド化されている 。 S— S結合を含む。
[配列番号 37] ミドリフグ AM 5の配列を示す。 C末端がアミ ド化されている
[配列番号 38] ゼブラフィッシュ AMIの配列を示す。 C末端がアミド化され ている。 S— S結合を含む。
[配列番号 39] ゼブラフィッシュ AM 2, 3の配列を示す。 C末端がアミド化 されている。 S— S結合を含む。
[配列番号 40] ゼブラフィッシュ AM4の配列を示す。 C末端がアミド化され ている。 S— S結合を含む。
[配列番号 4 1] ゼプラフィッシュ AM5の配列を示す。 C末端がアミド化され ている。 S— S結合を含む。
[配列番号 42] ニジマス AMIの配列を示す。 C末端がアミ ド化されている。 S— S結合を含む。
[配列番号 43] ニジマス AM 2の配列を示す。 C末端がアミ ド化されている。 S_S結合を含む。
[配列番号 44] ニジマス AM5の配列を示す。 C末端がアミ ド化されている。 S— S結合を含む。
[配列番号 45] トラフグ AM 2バリアントの配列を示す。 C末端がァミド化さ れている。 S— S結合を含む。
[配列番号 46] ゼブラフィッシュ AM2バリアントの配列を示す。 C末端がァ ミド化されている。 S— S結合を含む。
[配列番号 47] ミドリフグ AM2, 3バリアントの配列を示す。 C末端がアミ ド化されている。 S— S結合を含む。
[配列番号 48] ゼブラフィッシュ AM 2, 3バリアントの配列を示す。 C末端 がアミド化されている。 S— S結合を含む。
[配列番号 49] トラフグ AM5バリアントの配列を示す。 C末端がアミ ド化さ れている。 S— S結合を含む。
[配列番号 50] ミドリフグ AM 5ノくリアントの配列を示す。 C末端がァミド化 されている。
[配列番号 5 1] ゼブラフィッシュ AM5バリアントの配列を示す。 C末端がァ ミ ド化されている。 S— S結合を含む。
[配列番号 52] ヒト AM 2 C末端断片ペプチドの配列を示す。 C末端がアミ ド ィ匕されている。
[配列番号 53] トラフグ AMI抗原用ペプチドの配列を示す。 C末端がアミ ド ィ匕されている。
[配列番号 54] トラフグ AM 2抗原用ぺプチドの配列を示す。
[配列番号 55] トラフグ AM 5抗原用ぺプチドの配列を示す。