明 細 書
情報記録再生装置、情報記録再生方法および情報記録再生プログラム 技術分野
[0001] 本発明は、レーザ光などを照射することにより、記録媒体に対して情報の記録及び 再生を行う情報記録再生装置、情報記録再生方法及びそのためのプログラムに関 する。
背景技術
[0002] DVD-R (DVD-Recordable)、 DVD— RW (DVD- Re- Recordable)などの書き込み 又は書き換え可能な光ディスクは、ディスクの記録面上にレーザ光を照射することに より、情報の記録、及び、記録された情報の再生を行う。光ディスクに照射されるレー ザ光は、情報の記録時には記録すべきデータに応じた記録パルス波形に従ってそ のパワーが制御され、再生時には所定の再生パワーに維持される。具体的には、レ 一ザダイオード (LD)などの光源に、記録パルス波形におけるパワー及び再生パヮ 一に対応した電流を通電することにより、記録レーザ光又は再生レーザ光が生成さ れる。このとき、照射したレーザ光の光ディスク力 の戻り光の影響を軽減するなどの 理由により、レーザダイオードに通電される電流に高周波信号を重畳することが知ら れている。この重畳される高周波信号のレベルは、情報の記録時においても再生時 においても同じレベルであった。
[0003] しかし、記録時と再生時において同一レベルの高周波信号を重畳する方法では、 情報記録再生装置に搭載される LD等の特性のばらつきや使用される光ディスクの 特性の違 、などによって、好ま 、記録特性と再生特性を両立させることができな ヽ ことがある。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] 本発明が解決しょうとする課題には、上記のようなものが一例として挙げられる。本 発明は、情報記録再生装置に搭載される LD等の固有特性のばらつきや使用される 光ディスクの特性の違 ヽなどを考慮して、好まし ヽ記録特性及び再生特性を得ること
が可能な情報記録再生装置、情報記録再生方法及びそのためのプログラムを提供 することを課題とする。
課題を解決するための手段
[0005] 本発明の好適な実施形態では、記録媒体にレーザ光を照射することにより情報の 記録及び再生を行う情報記録再生装置は、前記レーザ光を出射する光源と、記録デ ータに応じた記録パワーレベル又は再生パワーレベルを有するレーザ駆動信号を生 成する駆動信号生成手段と、前記レーザ駆動信号に高周波信号を重畳する高周波 重畳手段と、前記高周波信号が重畳された前記レーザ駆動信号により前記光源を 駆動して記録及び再生を行う制御手段と、を備え、記録時における前記高周波信号 のレベルは、再生時における前記高周波信号のレベルと異なる。
[0006] 上記の情報記録再生装置は、例えば DVD士 RWなどの記録媒体に対する情報の 記録及び再生を行う。レーザ光の光源としては例えばレーザダイオードなどが使用さ れる。外部力 入力された記録データに応じた記録パワーレベル又は再生パワーレ ベルを有するレーザ駆動信号が、例えばライトストラテジの生成部により生成される。 レーザ駆動信号によりレーザダイオードなどの光源を駆動することにより、記録又は 再生のためのレーザ光が光源から出射される。また、レーザ駆動信号には、光デイス クからの戻り光の影響などを除去するために所定周波数の高周波信号が重畳される
[0007] 情報記録再生装置に使用する光源としてのレーザダイオードの特性及び使用する 光ディスクの特性によるが、最適な記録特性を得るために必要な高周波信号のレべ ルと、最適な再生特性を得るために必要な高周波信号のレベルとは必ずしも一致し ない。よって、情報記録再生装置は、記録時における高周波信号の重畳レベルと再 生時における高周波信号の重畳レベルとを異ならせる。これにより、最適な記録特性 と再生特性を同時に実現することが可能となる。また、記録感度の高感度化により記 録速度の高速化にも適して 、る。
[0008] 上記の情報記録再生装置では、記録時における前記高周波信号のレベルを、再 生時における前記高周波信号のレベルより小さくすることが好ましい。一般的に、良 好な記録特性を得るために必要な高周波信号のレベルは、良好な再生特性を得る
ために必要な高周波信号のレベルより小さいことがわ力つているので、記録時におけ る前記高周波信号のレベルを、再生時における前記高周波信号のレベルより小さく することにより、記録特性と再生特性を両立することが可能となる。
[0009] 好適な具体例では、記録媒体が DVDである場合の再生時における前記高周波信 号のレベルは 5mWpp以上であり、前記記録媒体が DVD士 RZRWである場合の記 録時における前記高周波信号のレベルは 4mWpp以下である。
[0010] 上記の情報記録再生装置において、前記高周波重畳手段は、前記制御手段が再 生状態から記録状態へ移行する時点より所定時間前に前記高周波信号のレベルを 変更することが好ましい。この場合、前記所定時間は、前記高周波信号のレベルの 変更による前記レーザ光の波形の過渡応答が安定するのに要する時間より長いこと が好ましい。これにより、光波形の過渡応答により記録特性などに影響が及ぶことを 防止することができる。
[0011] 本発明の他の実施形態では、記録媒体にレーザ光を照射することにより情報の記 録及び再生を行う情報記録再生方法は、記録データに応じた記録パワーレベル又 は再生パワーレベルを有するレーザ駆動信号を生成する駆動信号生成工程と、前 記レーザ駆動信号に高周波信号を重畳する高周波重畳工程と、前記高周波信号が 重畳された前記レーザ駆動信号により光源を駆動して記録及び再生を行う制御工程 と、を備え、記録時における前記高周波信号のレベルは、再生時における前記高周 波信号のレベルと異なる。
[0012] また、本発明のさらに他の実施形態では、記録媒体にレーザ光を照射することによ り情報の記録及び再生を行う情報記録再生装置において実行される情報記録再生 プログラムは、前記情報記録再生装置を、記録データに応じた記録パワーレベル又 は再生パワーレベルを有するレーザ駆動信号を生成する駆動信号生成手段、前記 レーザ駆動信号に高周波信号を重畳する高周波重畳手段と、前記高周波信号が重 畳された前記レーザ駆動信号により光源を駆動して記録及び再生を行う制御手段と して機能させ、記録時における前記高周波信号のレベルは再生時における前記高 周波信号のレベルと異なる。
[0013] これら情報記録再生方法及び情報記録再生プログラムによっても、上記の情報記
録再生装置と同様に、良好な記録特性と再生特性を両立させることができる。
図面の簡単な説明
[0014] [図 1]本発明を適用した情報記録再生装置の概略ブロック図である。
[図 2]光ディスクとして DVD士 RWを使用する場合の記録中の光波形例を模式的に 示す。
[図 3A]高周波を重畳しない場合の実際の記録波形例を示す。
[図 3B]高周波を重畳した場合の実際の記録波形例を示す。
[図 4]本発明を適用した情報記録再生装置の記録再生制御部のブロック図である。
[図 5]図 4に示す高周波重畳部の内部構成の一例を示す。
[図 6]高周波重畳レベルを変化させた場合の記録特性と再生特性を示す。
[図 7]図 4における各部の波形例を示し、特に切替タイミング信号の一例を示す。
[図 8]図 4における各部の波形例を示し、特に切替タイミング信号の他の例を示す。 符号の説明
[0015] 1 情報記録再生装置
10 記録制御部
20 再生制御部
30 サーボ制御部
41 記録データ生成部
42 ライトストラテジ生成部
43 切替タイミング信号生成部
44 高周波重畳部
45 記録パワー決定部
46 再生パワー決定部
47— 49 LDドライノ
発明を実施するための最良の形態
[0016] 以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
[0017] 図 1に、本発明の実施例にかかる情報記録再生装置の全体構成を概略的に示す。
情報記録再生装置 1は、光ディスク Dに情報を記録し、また、光ディスク Dから情報を
再生する。光ディスク Dは例えば複数回にわたって消去及び記録が可能な DVD-R Wなどとすることができる。
[0018] 情報記録再生装置 1は、光ディスク Dに対して記録ビーム及び再生ビームを照射す る光ピックアップ 2と、光ディスク Dの回転を制御するスピンドルモータ 3と、光ディスク Dへの情報の記録を制御する記録制御部 10と、光ディスクに既に記録されて!、る情 報の再生を制御する再生制御部 20と、スピンドルモータ 3の回転を制御するスピンド ルサーボ、並びに光ピックアップ 2の光ディスク Dに対する相対的位置制御であるフ オーカスサーボ及びトラッキングサーボを含む各種サーボ制御を行うためのサーボ制 御部 30と、を備える。
[0019] 記録制御部 10は、記録データを受け取り、後述の処理により光ピックアップ 2内部 のレーザダイオードを駆動するための駆動信号 Sを生成して、これを光ピックアップ 2
D
へ供給する。
[0020] 再生制御部 20は、光ピックアップ 2から出力される読取 RF信号 Srf^受け取り、これ に対して所定の復調処理、復号化処理などを施して再生信号を生成して出力する。
[0021] サーボ制御部 30は、光ピックアップ 2からの読取 RF信号 Sriを受け取り、これに基 づいてトラッキングエラー信号及びフォーカス信号などのサーボ信号 S1を光ピックァ ップ 2へ供給するとともに、スピンドルサーボ信号 S 2をスピンドルモータ 3へ供給する 。これにより、トラッキングサーボ、フォーカスサーボ、スピンドルサーボなどの各種サ ーボ処理が実行される。
[0022] なお、本発明は主として記録制御部 10における記録に関するものであり、再生制 御及びサーボ制御については既知の種々の方法が適用できるので、それらについ ての詳細な説明は行わな 、。
[0023] 次に、上記の情報記録再生装置の光波形について説明する。図 2に、光ディスクと して DVD士 RWを使用する場合の記録中の光波形の一例を模式的に示す。この例 は、記録データが 4Tマークである場合の記録中の光波形を示している。この光波形 は、図示のような光波形に対応する記録パルス信号により、レーザダイオードなどの 光源を駆動することにより光源から出射される光の波形である。
[0024] 図示のように、光波形は、ライトパワー Pw、ィレースパワー Pe、バイアスパワー Pbの
3値を有し、各パワーはレーザオフ時のレベル LDoffに対して各々所定のレベルを有 している。ライトパワー Pwは光ディスクに対して記録 (情報の書き込み)が行われるパ ヮーであり、ィレースパワー Peは光ディスクに記録された記録マークが消去されるパ ヮーであり、バイアスパワー Pbは光ディスクに対して記録も消去も行われないパワー である。即ち、記録時には、ィレースパワー Peで光ディスク上に既に形成されている 記録マークを消去し、ライトパワー Pwとバイアスパワー Pbとを交互に切り換えて与え ることにより、所望の長さの記録マークを光ディスク上に記録する。記録マークが長く なれば、ライトパワー Pwとバイアスパワー Pbとの間の繰り返し部分 65中の繰り返し回 数が増加することになる。
[0025] 一方、再生時には、基本的に光波形のレベルはリードパワーに維持される。本例で は、バイアスパワー Pbはリードパワーと一致しており、再生時には光ディスクに対して 記録や消去が行われることなぐ光ディスク力 の戻り光量に基づいて記録データの 再生が行われる。
[0026] 図 3Aと図 3Bに実際の光波形の例を示す。図 3Aと図 3Bの例は図 2と同じく 4Tの記 録データの例であり、図 3Aは高周波を重畳しない場合の波形であり、図 2に示す光 波形に対応する実際の波形例である。図 3Bは高周波を重畳した場合の波形である 。実際の情報記録再生装置では、光ディスクからの戻り光の影響を軽減するため、光 波形には図 3Bに示すように高周波が重畳される。高周波は記録時においても再生 時においても重畳される。高周波の周波数は例えば 350MHz程度である。以下に 詳細に説明するが、本発明は光波形に重畳される高周波のレベルを、記録時と再生 時とで異ならせる点を基本的な特徴とする。
[0027] 次に、本発明の情報記録再生装置における記録再生制御について説明する。図 4 は本発明を適用した情報記録再生装置の記録再生制御部のブロック図である。また 、図 4における各部の信号波形例を図 7に示す。なお、図 4に示す記録再生制御部 は、図 1における記録制御部 10及び再生制御部 20の一部により構成される。
[0028] 図示のように、記録再生制御部は、記録データ生成部 41と、ライトストラテジ生成部 42と、切替タイミング信号生成部 43と、高周波重畳部 44と、記録パワー決定部 45と 、再生パワー決定部 46と、 LDドライノく 47— 49と、レーザダイオード LDとを備える。
[0029] 記録データ生成部 41は、情報記録再生装置の外部から入力された記録情報 SIを 受け取り、記録データ S2及び記録データ有無信号 S3を生成する。図 7に示すように 、記録データ S2は、記録情報 S1に対応するデータを示すパルス波形であり、パルス の長さが記録情報に対応する。具体的には、記録データ生成部 41は、入力された記 録情報を 8— 16変調し、 3T— 11T及び 14Tのいずれかの長さのマーク及びスペース を有する記録データ S2を生成する。記録データ有無信号 S3は、記録情報 S1に基 づいて生成され、記録データが存在する期間を示すパルス信号である。図 7の例で は記録データ S 2が存在する期間は記録データ有無信号 S3はハイ (H)レベルとなり 、記録データ S2が存在しな 、期間は記録データ有無信号 S3はロー(L)レベルとな る。
[0030] ライトストラテジ生成部 42は、記録データ S2を受け取り、各長さの記録マークに対 応する記録パルス波形 (例えば図 1に示すようなパルス波形、「ライトストラテジ」とも呼 ばれる)を生成する。そして、ライトストラテジ生成部 42は、生成した記録パルス波形 に従って制御信号 S6及び S7を生成し、各 LDドライバ 48及び 49をオン Zオフ制御 する。
[0031] また、ライトストラテジ生成部 42は、ライトストラテジ生成とともに、実際にデータの記 録中であるか再生中であるかを示すリード Zライト (RZW)信号 S4を生成し、切替タ イミング信号生成部 43へ供給する。図 7に示すように、 RZW信号 S4は、記録データ 有無信号 S3に対して所定のディレイ DLを有する。このディレイ DLはライトストラテジ 生成部 42が、記録データ生成部 41から入力された記録データ S2に基づいてライト ストラテジを生成するために要する処理時間等に対応する。
[0032] 記録パワー決定部 45はライトパワー Pw及びィレースパワー Peを決定し、再生パヮ 一決定部 46はバイアスパワー Pbを決定する。再生パワー制御部 46は APC ( Automatic Power Control)回路を含み、 APC回路は再生時にバイアスパワー Pbが 常に一定レベルとなるようにゲイン制御を行う。再生パワー決定部 46は、決定したバ ィァスパワー Pbに従って LDドライバ 47を制御し、バイアスパワー Pbに対応する駆動 電流 Ibias ( = Iread)でレーザダイオード LDを駆動する。これにより、レーザダイオード LDはバイアスパワー Pbで発光する。
[0033] 記録パワー決定部 45は、ライトパワー Pw及びィレースパワー Peを決定し、それに 応じて LDドライノく 48及び 49を制御し、 LDドライノく 48及び 49はライトパワーに対応 する駆動電流 Iwrite及びィレースパワーに対応する駆動電流 Ieraseをそれぞれレー ザダイオード LDへ供給する。 LDドライバ 48及び 49はライトストラテジ生成部 42によ りオン Zオフ制御されるので、レーザダイオード LDはライトストラテジ生成部 42の制 御により、ライトパワー Pw、ィレースパワー Pe及びバイアスパワー Pbの 3つのレベル のいずれかで発光する。
[0034] 具体的には、ライトストラテジ生成部 42が LDドライバ 48及び 49をオフにすると、駆 動電流 Ibias ( = Iread)のみがレーザダイオード LDへ供給され、光波形はバイアスパ ヮー Pbとなる。ライトストラテジ生成部 42が LDドライノく 48をオフ、 LDドライバ 49をォ ンにすると、駆動電流 (Iread + Ierase)がレーザダイオード LDへ供給され、光波形は ィレースパワー Peとなる。また、ライトストラテジ生成部 42が LDドライノく 48をオンし、 4 9をオフにすると、駆動電流 (Iread + Iwrite)がレーザダイオード LDへ供給され、光波 形はライトパワー Pwとなる。こうして、記録時及び再生時の光波形のレベルが制御さ れる。
[0035] 高周波重畳部 44は、レーザダイオード LDへ供給される駆動電流に高周波電流 Ihf を加え、図 3Bに例示するように光波形に高周波を重畳する。ここで、高周波重畳部 4 4は、切替タイミング信号生成部 43から供給された切替タイミング信号 S5に従って、 記録時の高周波重畳レベルと、再生時の高周波重畳レベルとを切り替える。
[0036] 高周波重畳部 44の内部構成の一例を図 5に示す。高周波重畳部 44は高周波発 振器 51と、アンプ 52と、可変抵抗 53とを備える。高周波発振器 51は、例えば 350M Hz程度の所定周波数の高周波を生成する。アンプ 52は、可変抵抗 53の抵抗値に 応じた増幅度で高周波電流 Ihf^出力する。切り替えタイミング信号 S5の例が図 7及 び図 8に示されており、記録時のレベルが再生時のレベルより高く設定されている。こ うして、高周波重畳部 44は、切替タイミング信号 S5のレベルに対応するレベルの高 周波を光波形に重畳する。記録時と再生時の高周波重畳レベルにつ!、ては後述す る。
[0037] 切替タイミング信号生成部 43は、記録データ生成部 41から供給される記録データ
有無信号 S3、及び、ライトストラテジ生成部 42から供給される RZW信号 S4に基づ いて、切替タイミング信号 S 5を生成し、高周波重畳部 44へ供給する。よって、切替タ イミング信号生成部 43により、記録時と再生時の高周波の重畳レベル及び重畳タイ ミングが制御されることになる。
[0038] 次に、記録時と再生時の高周波重畳レベルについて説明する。図 6に、高周波重 畳レベルを変化させた場合の記録特性と再生特性、具体的には記録'再生ジッタの 特性を示す。横軸は高周波重畳レベル (振幅)を示し、縦軸は記録 ·再生ジッタを示 している。再生特性 52はある DVD— RWのドライブ装置により、高周波重畳レベルを 変化させつつ記録信号を再生したときの再生ジッタ量を示す。記録特性 51は、同じ ドライブ装置において、高周波重畳レベルを変化させつつデータを記録し、その記 録データを再生したときの再生ジッタを示しており、記録品質を示すものである。
[0039] 各特性カゝら理解されるように、記録特性 51は、高周波重畳レベルが大きくなるとジ ッタが増加し、特性が悪化する。図 6の例では、記録時の高周波重畳レベルは 4mW 以下とすることが好ましいといえる。なお、記録時の高周波重畳レベルを 0付近まで 低下させてしまうと、高周波重畳による効果が得られなくなるので、この例では記録時 の好ましい高周波重畳レベルは 2— 4mW@度であることがわ力る。
[0040] 一方、再生特性 52は、高周波重畳レベルが小さくなるとジッタが増加し、特性が悪 化する。図 6の例では、再生時の高周波重畳レベルは 6mW以上が好ましい。なお、 再生時の高周波重畳レベルを大きくしすぎると、光波形のレベルがィレースパワー P eに近づき、記録データを消去してしまう恐れもあるので、ィレースパワー Peに近づか ない範囲で高周波重畳レベルを決定することが必要となる。
[0041] 図 6の例からは、記録時と再生時では好ましい高周波重畳レベルが異なり、同一の 高周波重畳レベルでは同時に良好な記録特性及び再生特性を得ることは不可能で あることが理解される。図 6に示したのはある DVD— RWとあるドライブ装置における 一例であり、記録特性及び再生特性は使用する光ディスクの特性及びドライブ装置 の特性 (特にレーザダイオードの特性)により変動するが、記録時と再生時の高周波 重畳レベルを個別に設定し、それらを切り替えて使用するように情報記録再生装置 を構成すれば、ディスクやドライブ装置の特性の個体ばらつきに拘わらず、良好な記
録特性及び再生特性を得ることが可能となる。
[0042] 次に、切替タイミング信号 S5による高周波重畳レベルの切替タイミングについて説 明する。高周波重畳レベルの切替タイミングにつ ヽては以下に述べる 、くつかの決 定方法がある。以下、図 7及び図 8を参照して説明する。
[0043] まず、第 1の方法は、実際にデータの記録中であるか再生中であるかを示す RZW 信号 S4により高周波重畳レベルを切り替える方法である。この場合の切替タイミング 信号を図 7に S5aとして示す。切替タイミング信号 S5aは、 RZW信号 S4と同様に、 時刻 tlにおいて再生レベル力も記録レベルへ変化している。この方法は、高周波重 畳レベルの切り替え時に記録時と再生時の高周波重畳レベルの差分 (過不足分)を 瞬時に他の手段 (例えばバイアスパワーの増減など)により補うことができ、かつ、光 波形の過渡応答がな 、又は記録特性に影響しな 、程度に抑制できる場合に適用す ることができる。図 7に、光波形を模式的に示しており、上述のように過渡応答がない 場合には、 RZW信号 S4と同一の立ち上がり及び立下りを有する切替タイミング信号 S5aにて高周波重畳レベルを切り替えればよい。
[0044] しかし、過渡応答期間が長ぐ上記のように記録特性などに影響する場合には、ま ず高周波重畳レベルを切り替えて、光波形が安定してから、即ち光波形の過渡応答 の終了後に再生状態から記録状態へ移行する必要がある。この場合には、以下の第 2の方法を用いる。
[0045] 図 8に光波形が過渡応答を有する場合の波形図を示す。図示のように、光波形は 過渡応答期間てを有するとする。記録特性に対する過渡応答の影響を除去するた めには、再生力 記録への切り替わりタイミングである時刻 tl、即ち RZW信号 S4の 立上り時には過渡応答期間てが終了している必要がある。よって、 RZW信号 S4の 立上り時刻 tlを基準として、過渡応答期間てに相当する時間以上前 (即ち時刻 t2よ り前)に高周波重畳レベルを切り替える必要がある。図 8の切替タイミング信号 S5bは この場合の切替タイミングを示している。即ち、切替タイミング信号 S 5bは RZW信号 S4より過渡応答期間て以上先行するタイミング (時刻 t2より前)に高周波信号レベル を切り替える。
[0046] 具体的には、切替タイミング信号生成部 43は、 RZW信号 S4の立上りよりも過渡応
答時間て以上先行するタイミング(図 8の時刻 t2又はそれより以前)で立ち上がるよう にディレイ DL1の値を決定し、記録データ有無信号 S3からディレイ DL1経過後のタ イミングで立ち上がる切替タイミング信号 S5bを生成する。なお、切替タイミング信号 S5bは RZW信号 S4と同一の立下りタイミングを有し、記録時の高周波重畳レベル 力 再生時の高周波重畳レベルへの移行は RZW信号 S4の記録から再生への切り 替わりタイミングと同一である。
[0047] このように、切替タイミング信号が規定する高周波重畳レベルの切替タイミングを、 R ZW信号 S4が規定する実際の再生状態力 記録状態への移行タイミングより過渡 応答期間て以上先行させれば、 RZW信号 S4の立ち上がり時刻 tlには既に光波形 の過渡応答期間ては終了しているので、過渡応答の記録特性に対する影響を排除 することができる。
[0048] また、第 2の方法の代わりに、記録データ有無信号 S3の立ち上がり時刻 tOに切替 タイミング信号 S5による高周波重畳レベルの切り替えを行うようにすることもできる。 その場合の切替タイミング信号 S5cを図 8に示している。なお、切替タイミング信号 S5 cは RZW信号 S4と同一の立下りタイミングを有する。この方法でも、光波形の過渡 応答の終了後に実際の再生状態から記録状態への移行が行われるので、記録特性 などに対する過渡応答の影響を除去することができる。
[0049] なお、実際には、使用するレーザダイオード及び対象とする光ディスクなどの特性 を考慮して、情報記録再生装置毎に上記のいずれかの方法を選択して適用すれば よい。
[0050] 以上説明したように、本発明によれば、記録時と再生時で高周波重畳レベルを切り 替えるので、記録特性及び再生特性を同時に良好にすることができる。
[0051] なお、上記の実施例では、記録データ有無信号 S3は記録データ生成部 41により 生成され、切替タイミング信号生成部 43へ供給されると述べたが、その代わりにライト ストラテジ生成部 42が記録データ有無信号 S3を生成してもよ 、。記録データ有無信 号 S3は記録データ S2の有無を示す信号であり、記録データ生成部 41からライトスト ラテジ生成部 42へ供給される。よって、ライトストラテジ生成部 42は、記録データ生 成部 41から受け取つた記録データ S 2に基づ 、て記録データ有無信号 S 3aを生成し
、切替タイミング信号生成部 43へ供給することもできる。
[0052] また、上記の実施例では、光ディスクとして DVD士 RWを例示した力 本発明は D VD±R、 Blu— rayディスク、 AODディスクなどの記録再生装置にも適用可能である 産業上の利用可能性
[0053] 本発明に係る情報記録再生装置、情報記録再生方法及び情報記録再生プロダラ ムは、例えば民生用或いは業務用の映像、音声、データなどの各種情報を高密度に 記録可能な DVDなどの高密度光ディスクの記録再生を行う DVDレコーダなどに利 用可能である。また、民生用或いは業務用の各種コンピュータ機器に搭載又は接続 可能なドライブ装置などの情報記録再生装置にも利用可能である。