明 細 書 ガングリオシ.ド GD3に特異的に結合する抗体組成物 技術分野
本発明は、ガンダリオシド GD3に特異的に結合し、 N-グリコシド結合複合型糖鎖を Fc領域に 有する遺伝子組換え抗体分子からなる組成物であって、 N-ダリコシド結合複合型糖鎖が該糖鎖 の還元末端の N-ァセチルダルコサミンにフコースが結合していない糖鎖である抗体組成物、該 抗体組成物を生産する形質転換体、 該抗体組成物の製造方法および該抗体組成物を含有する医 薬に関する。 背景技術 - シアル酸を有する糖脂質の一種であるガンダリオシドは、 動物の細胞膜を構成しており、 親 水性側鎖である糖鎖と、 疎水性側鎖であるスフィンゴシンおよび脂肪酸とから構成される分子 である。 ガンダリオシドの種類と発現量は、 細胞種、 臓器種、 動物種等によって異なる。 さら に細胞が癌化する過程において、 ガンダリオシドの発現が量的および質的に変化することも知 られている [Cancer Res. , 45. 2405, (1985) ] 。
例えば、 悪性度が高いといわれている神経外胚葉系腫瘍である神経芽細胞腫、 肺小細胞癌お · よびメラノーマでは、 正常細胞にはほとんど認められないガングリオシド GD2、 GD3> GM2等が 発現していることが報告されており [Cancer Res. , 45, 2405, (1985) ; J. Exp. Med. , 155, 1133,
(1982) ; J. Biol. Chem. , 257, 12752, (1982); Cancer Res. , 47, 225, (1987); Cancer Res. , 47, 1098, (1987); Cancer Res. , 45, 2642, (1985); Proc. Nat l . Acad. Sci. U. S. A, 80. 5392,
(1983) ] 、 このような腫瘍細胞に特異的なガンダリオシドに対する抗体はヒトの様々な癌の治 療に有用であると考えられている。
これまでに、ガンダリオシド GD3に対するモノクローナル抗体としては、 M641 (FERM BP-3116) (特開平 5-176791) あるいは、 抗 GD3 モノクローナル抗体 R24 [J. Exp. Med., 155, 1133, (1982) ]が取得されている。 KM641は、 マウス IgG3クラスに属する抗 GD3 モノクローナル抗体 であり、ガングリオシド GD3以外にもガンダリオシド 3',8' - LD1 とも結合し、広い抗腫瘍スぺ クトラムを有する。 また、 KM-641は、抗 GD3 モノクローナル抗体 R24よりも強い結合活性を有 しており、 強力な抗腫瘍活性を示す。
一般にヒト以外の動物の抗体をヒトに投与すると、 異物として認識され、 副作用を惹起する ことや [J. Cl in. Oncol. , 2, 881, (1984); Blood, 65, 1349, (1985); J. Nat l . Cancer Ins t. , ' 80' 932, (1988); Proc. Nat l . Acad. Sci. U. S. A. , 82, 1242, (1985) ] 、 抗体の体内からの 消失を速めることにより [Blood, , 1349, (1985); J. Nuc l. Med. , 26, 1011, (1985); J. Nat l. Cancer Ins t. , 80. 937, (1988) ] 、 抗体の治療効果を減じてしまうことが知られている [J. Immunol . , 135, 1530, (1985); Cancer Res. , 46, 6489, (1986) ] 。
これらの問題点を解決するために遺伝子組換え技術を利用して、 ヒト以外の動物の抗体をヒ ト型キメラ抗体、 あるいはヒト型 CDR移植抗体などのヒト化抗体にすることが試みられている
[Nature, 321, 522, (1986)] 。 ヒト化抗体は、 ヒト以外の動物の抗体に比べ、 免疫原性が低 下し [Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 86- 4220, (1989)] 、 治療効果が延長することが報告 されている [Cancer Res., 56, 1118, (1996); Immunol., 85, 668, (1995)] 。
ガンダリオシド GD3に対するヒト化抗体は、 ヒトメラノ一マの治療に有用であることが示さ れている [Chem. I匪 unol., 65, 88, (1997)] 。 ガングリオシド GD3に特異的に反応し、 抗体 依存性細胞傷害活性 (ADCC活性) や補体依存性細胞傷害活性 (CDC活性) 等の細胞傷害活性を 有するヒト化抗体としては、 ヒト IgGクラスのヒト型キメラ抗体およびヒト型 CDR移植抗体が 取得されている (特開平 5-304989、 WO01/23432) 。
また、 ヒト化抗体は、 遺伝子組換え技術を利用して作製するため、 様々な形態の分子として 作製することができる。 例えば、 エフェクター機能の高いヒト化抗体を作製することができる
[Cancer Res., 56» 1H8, (1996)] 。
近年、 Rituxanによる非ホジキン白血病患者の治療、 Herceptinによる乳癌患者の治療におい て、該抗体医薬が患者のェフエクタ一細胞に強い ADCC活性を惹起した場合には、より高い治療 効果が得られている [Blood, 99, 754, 2002; J. Clin. Oncol., 21, 3940, (2003); Clin. Cancer Res., 10, 5650, (2004)] 。
ヒト IgGlサブクラスの抗体は、 その Fc領域および抗体レセプタ一 (以下、 FcrRと表記す る) あ ¾いは各種補体成分を介して、 ADCC活性おょぴ CDC活性を発現する。抗体と FCTRとの 結合においては、 抗体のヒンジ領域及び C領域の第 2番目のドメイン (以下、 Cr2 ドメインと 表記する) に結合している糖鎖の重要性が示唆されている [Melanoma Res., 7, S155 (1997)] 。
抗体 IgG分子の Fc領域に結合している N -ダリコシド結合複合型糖鎖の非還元末端へのガラ , ク 1 スの付加、および還元末端の N-ァセチルダルコサミンへのフコースの付加に関しては多 様性があることが知られており [Biochemistry, 36, 130, (1997)] 、 特に糖鑌の還元末端の N-ァセチルダルコサミンへのフコースの付加により、抗体の ADCC活性が大きく低下することが 報告されている [W000/61739 J. Biol. Chem. , 278, 3466, (2003) ] 。
一般に、医薬品として利用される抗体組成物の多くは、遺伝子組換え技術を用いて作製され、 動物細胞、 例えばチャイニーズ八ムスター卵巣組織由来の CH0細胞などを宿主細胞として製造 されているが、 発現させた抗体組成物の糖鎖構造は宿主細胞によって異なる。 従って、 最適な 薬理活性が発揮できるような糖鎖が付加されている抗体組成物を適切に調製し提供することが 質の高い医療を患者へ提供する上で欠かせない。 .
抗体生産細胞内の α 1,6-フコシルトランスフェラ一ゼ(FUT8) 、 GDP-マンノース 4, 6-デヒド ラターゼ (GMD) 、 GDP- 4-ケト- 6-デォキシ -D-マンノース- 3, 5-ェピメラーゼ (Fx) の活性を低 下または欠失することにより、 Fc領域を有する抗体分子からなる組成物中で、 該組成物中に含 まれる Fc領域に結合する全 N-グリコシド結合複合型糖鎖のうち、 糖鎖還元末端の N-ァセチル ダルコサミンにフコースが結合していない糖鎖の割合を増加させることができる(W002/31140)。 発明の開示
本発明の目的は、 ガンダリオシド GD3に特異的に結合し、 N -ダリコシド結合複合型糖鎖を Fc 領域に有する遺伝子組換え抗体分子からなる組成物であって、 N-グリコシド結合複合型糖鎖が
該糖鎖の還元末端の N-ァセチルグルコサミンにフコ一スが結合していない糖鎖である抗体組 成物、 該抗体組成物を生産する形質転換体、 該抗体組成物の製造方法および該抗体組成物を含 有する医薬等を提供することにある。 、
本発明の抗ガンダリオシド GD3抗体組成物はフコースが結合した糖鎖を有する抗体分子を含 まないためエフェクター機能が増強される。 そのため、 GD3を発現した細胞を患者の体内から 減少させる治療に有用である。エフェクター機能が増強された抗体を治療に用いることにより、 化学療法、 放射性同位元素標識体などと併用が不要となることから患者への副作用を軽減させ ることが期待される。 また、 患者への治療薬の投与量を減少させることで患者への負担の軽減 などが期待される。 本発明は、 以下の (1) 〜 (47) に関する。
( 1 ) ガングリオシド GD3に特異的に結合し、 N-グリコシド結合複合型糖鎖を Fc領域に有す る遺伝子組換え抗体分子からなる抗体組成物であって、 N-グリコシド結合複合型糖鎖が該糖鎖 の還元末端の N -ァセチルダルコサミンにフコースが結合していない糖鎖である抗体組成物。
( 2 ) N -ダリコシド結合複合型糖鎖が、 該糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位に フコースの 1位が α結合していない糖鎖である、 (1) に記載の抗体組成物。
(3) ガンダリオシド GD3発現細胞に特異的に結合する (1) または (2) に記載の抗体組 成物。
(4) ガンダリオシド GD3発現細胞に対し細胞傷害活性を示す (1) 〜 (3) のいずれか 1 項に記載の抗体組成物。 '
( 5 ) ガンダリオシド GD3発現細胞に^し、 非ヒト動物由来八ィプリドーマが生産するモノ クローナル抗体よりも高い細胞傷害活性を示す (1) 〜 (4) のいずれか 1項に記載の抗体組 成物。
(6) 細胞傷害活性が抗体依存性細胞傷害 (ADCC) 活性である (4) または (5) に記載の 抗体組成物。
(7) 細胞傷害活性が補体依存性細胞傷害 (CDC) 活性である (4) または (5) に記載の抗 体組成物。
( 8 ) それぞれ配列番号 14、 15および 16で示されるアミソ酸配列からなる抗体分子重鎖 (Η 鎖) 可変領域 (V領域) の相補性決定領域 (CDR) 1、 CDR2、 CDR3を含む、 (1) 〜 (7) のい ずれか 1項に記載の抗体組成物。
(9) それぞれ配列番号 17、 18および 19で示されるアミノ酸配列からなる抗体分子軽鎖 (L 鎖) 可変領域 (V領域) の相補性決定領域 (CDR) 1、 CDR2、 CDR3を含む、 (1) 〜 (8) のい ずれか 1項に記載の抗体組成物。
(1 0) それぞれ配列番号 14、 15および 16で示されるアミノ酸配列からなる抗体分子重鎖 (H 鎖) 可変領域 (V領域) の相補性決定領域 (CDR) 1、 CDR2、 CDR3、およびそれぞれ配列番号 17、 18および 19で示されるアミノ酸配列からなる抗体軽鎖 (L鎖) V領域の相補性決定領域 (CDR) 1、 CDR2、 CDR3を含む、 (1) 〜 (9) のいずれか 1項に記載の抗体組成物。
(1 1) 遺伝子組換え抗体がヒト型キメラ抗体またはヒト型 CDR移植抗体である( 1 )〜( 1 0) のいずれか 1項に記載の抗体組成物。
(12) ヒト型キメラ抗体がガングリオシド GD3に特異的に結合するモノクローナル抗体の 重鎖 (H鎖) 可変領域 (V領域) および軽鎖 (L鎖) V領域の相補性決定領域 (CDR)を含む、 (1 1) に記載の抗体組成物。
(1 3) 抗体分子の重鎖 (H鎖) 可変領域 (V領域) が、 配列番号 20で示されるアミノ酸配 列を含む (12) に記載の抗体組成物。
(14) 抗体分子の軽鎖 (L鎖) 可変領域 (V領域) が、 配列番号 21で示されるアミノ酸配 列を含む (12) または (1 3) に記載の抗体組成物。
(1 5) 抗体分子の重鎖 (Η鎖) 可変領域 (V領域) が、 配列番号 20で示されるァミノ酸配 列を含み、 抗体分子の軽鎖 (L鎖) V領域が、 配列番号 21で示されるアミノ酸配列を含む (1 2) 〜 (14) のいずれか 1項に記載の抗体組成物。 ―
(1 6) ヒト型 CDR移植抗体がガングリオシド GD3に特異的に結合するモノク口一ナル抗体 の重鎖 (Η鎖) 可変領域 (V領域) および軽鎖 (L鎖) V領域の相補性決定領域 (CDR)を含む、(1 1) に記載の抗体組成物。
(1 7) ガングリオシド GD3に特異的に結合するモノクローナル抗体の重鎖 (Η鎖) 可変領 域 (V領域) および軽鎖 (L鎖) V領域の相補性決定領域 (CDR) とヒト抗体の Η鎖 V領域およ び L鎖 V領域のフレームワーク領域 (FR) を含む、 (1 6) に記載の抗体組成物。
(18) ガンダリオシド GD3に特異的に結合するモノクローナル抗体の重鎖 (Η鎖) 可変領 域 (V領域) および軽鎖 (L鎖) V領域の相補性決定領域 (CDR) とヒト抗体の Η鎖 V領域およ び L鎖 V領域のフレームワーク領域 (FR)、ならびにヒト抗体の Η鎖定常領域 (C領域) および L鎖 C領域を含む、 (16) または (17) に記載の抗体組成物。
(19) 抗体分子の重鎖 (Η鎖)可変領域 (V領域)が、 配列番号 VLで示されるァミノ酸配列、 または配列番号 22で示されるアミノ酸配列の 10番目の Gly、 11番目の Leu、 20番目の Leu、 28番目の Tlir、 84番目の Asn、 91番目の Thr、 95番目の Tyr、 97番目の Alaおよび 115番目の Valから選ばれる少なくとも 1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配 列を含む、 (1.6) 〜 (1 8) のいずれか 1項に記載の抗体組成物。
(20) 抗体分子の軽鎖 (L鎖)可変領域 (V領域)が、 配列番号 23で示されるアミノ酸配列、 または配列番号 23で示されるアミノ酸配列の 49番目の Tyr、 65番目の Serおよび 71番目の Pheから選ばれる少なくとも 1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配 列を含む、 (16) 〜 (18) のいずれか 1項に記載の抗体組成物。
(2 1) 抗体分子の軽鎖 (L鎖)可変領域 (V領域)が、 配列番号 24で示されるァミノ酸配列、 または配列番号 24で示されるアミノ酸配列の 7番目の Ser、 8番目の Pro、 12番目の Ser、 41 番目の Gly、 44番目の Pro、 72番目の Thr、 77番目の Ser、 83番目の Pheおよび 87番目の Tyr から選ばれる少なくとも 1つ以上のアミノ酸残基が置換されたアミノ酸配列を含む、 (16) 〜 (18) のいずれか 1項に記載の抗体組成物。
(22) 抗体分子の重鎖 (H鎖)可変領域 (V領域)が、 配列番号 22で示されるアミノ酸配列、 または配列番号 22で示されるアミノ酸配列の 10番目の Gly、 11番目の Leu、 20番目の Leu、
28番目の Thr、 84番目の Asn、 91番目の Thr、 95番目の Tyr、 97番目の Alaおよび 115番目の' Valから選ばれる少なくとも 1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配 列を含み、 かつ、.抗体分子の軽鎖 (L鎖) V領域が、 配列番号 23で示されるアミノ酸配列、 また は配列番号 23で示されるアミノ酸配列の 49番目の Tyr、 65番目の Serおよび 71番目の Phe から選ばれる少なくとも 1つ以上のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたァ.ミノ酸配 列を含む、 (16) 〜 (20) のいずれか 1項に記載の抗体組成物。
(-23 ) 钪体分子の重鎖 (H鎖)可変領域 (V領域)が、 配列番号 VIで示されるァミノ酸配列、 または配列番号 22で示されるアミノ酸配列の 10番目の Gly、 11番目の Leu、 20番目の Leu、 28番目の Thr、 84番目の Asn、 91番目の Thr、 95番目の Tyr、 97番目の Alaおよび 115番目の Valから選ばれる少なくとも 1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配 列を含み、 かつ、 抗体分子の軽鎖 (L鎖) V領域が、 配列爭号 24で示されるアミノ酸配列、 また は配列番号 24で示されるアミノ酸配列の 7番目の Ser、 8番目の? ro、 12番目の Ser、 41番目 の Gly、 44番目の Pro、 72.番目の Thr、 77番目の Ser、 83番目の Pheおよび 87番目の Tyrから 選ばれる少なくとも Ϊつ以上のアミノ酸残基が置換されたアミノ酸配列を含む、 (16)〜(1 9) または (2 1) のいずれか 1項に記載の抗体組成物。 ,
(24) 抗体分子の重鎖 (H鎖)可変領域 (V領域)が、配列番号 22または 25で示されるアミノ 酸配列を含む、 (16) 〜 (19) 、 (22) または (23) のいずれか 1項に記載の抗体 ¾ 成物。
(25) 抗体分子の軽鎖 (L鎖)可変領域 (V領域)が、配列番号 23、 24、 26または 27で示され るアミノ酸配列を含む (1 6) 〜 (18) 、 (20) 〜 (23) のいずれか 1項に記載の抗体 組成物。
(26) 抗体分子の重鎖 (H鎖)可変領域 (V領域)が、配列番号 22または 25で示されるアミノ 酸配列を含み、 かつ、 抗体分子の軽鎖 (L鎖) V領域が、 配列番号 23、 24、 26または 27で示され るアミノ酸配列を含む (1 6) ~ (25) のいずれか 1項に記載の抗体組成物。
(27) 抗体分子の重鎖 (H鎖)可変領域 (V領域)が、 配列番号 25で示されるアミノ酸配列を 含み、かつ、抗体分子の軽鎖 (L鎖) V領域が配列番号 24、 26または 27で示されるアミノ酸配列 を含む (1 6) 〜 (18) のいずれか 1項に記載の抗体組成物。
(28) ガンダリオシド GD3に特異的に結合する抗体分子をコードする DNAを宿主細胞に導 入して得られる、 (1)〜(27)のいずれか 1項に記載の抗体組成物を生産する形質転換体。 (29) 宿主細胞が、細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素、 または Ν- グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の Ν-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が α 結合する糖鎖修飾に関与する酵素を失活するようにゲノムが改変された細胞である、 (28) に記載の形質転換体。
(30) 宿主細胞が、細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素、 または Ν- ダリコシド結合複合型糖鎖還元末端の Ν-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α 結合する糖鎖修飾に関与する酵素のゲノム上の対立遺伝子のすべてがノックアウトされた細胞 である、 (28) に記載の形質転換体。
( 3 1 ) 細胞内糖ヌクレオチド GDP—フコースの合成に関与する酵素が、 GDP-マンノース 4, 6-デヒドラターゼ (GMD) または GDP- 4-ケト -6-デォキシ- D-マンノース- 3, 5-ェピメラ一ゼ (Fx) から選ばれる酵素である、 (2 9 ) または (3 0 ) に記載の形質転換体。
( 3 2 ) GDP -マンノース 4, 6 -デヒドラタ一ゼが、以下の(a)および (b)からなる群から選ばれ 'る DNAがコードする蛋白質である、 (3 1·) に記載の形質転換体。
(a) 配列番号 1で表される塩基配列からなる DM;
- (b) 配列番号 1で表される塩基配列からなる DNAとストリンジェン卜な条件でハイプリダ ィズし、 かつ GDP-マンノース 4, 6-デヒドラタ一ゼ活性を有する蛋白質をコ一ドする DNA。
( 3 3 ) GDP-マンノース 4, 6 -デヒドラタ一ゼが、以下の (a) ~ (c) からなる群から選ばれる 蛋白質である、 ( 3 1 ) に記載の形質転換体。
(a) 配列番号 2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b) 配列番号 2で表されるアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、 置換、 揷入 および/または付加されたアミノ酸配列からなり、 かつ GDP-マンノース 4,6-デヒドラタ一ゼ 活性を有する蛋白質; ,
(c) 配列番号 2で表されるアミノ酸配列と 80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からな り.、 かつ GDP-マンノース 4, 6-デヒドラターゼ活性を有する蛋白質。
( 3 4 ) GDP- 4-ケト -6-デォキシ -D-マンノース- 3, 5-ェピメラーゼが、 以下の (a)および (b) からなる群から選ばれる DNAがコードする蛋白質である、 (3 1 ) に記載の形質転換体。
(a) 配列番号 3で表される塩基配列からなる DNA ;
(b) 配列番号 3で表される塩基配列からなる DNAとストリンジェントな条件でハイプリダ ィズし、 かつ GDP- 4-ケト- 6-デォキシ- D-マンノース- 3, 5-ェピメラーゼ活性を有する蛋白質を コードする DNA。
( 3 5 ) &0?-4-ケト-6-デォキシ-0-マンノース-3, 5-ェピメラ一ゼが、 以下の (a)〜(c)から なる群かち選ばれる蛋白質である、 (3 1 ) に記載の形質転換体。
(a) 配列番号 4で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b) 配列番号 4で表されるアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、 置換、 揷入 および Zまたは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ GDP-4 -ケト -6-デォキシ- D-マンノース - 3, 5-ェピメラーゼ活性を有する蛋白質;
(c) 配列番号 4で表されるアミノ酸配列と 80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からな り、 かつ GDP-4-ケト- 6-デォキシ- D-マンノース- 3, 5-ェピメラーゼ活性を有する蛋白質。
( 3 6 ) N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコース の 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素が cH, 6-フコシルトランスフェラーゼである (2 9 ) または (3 0 ) に記載の形質転換体。
( 3 7 ) a l, 6 -フコシルトランスフェラーゼが、 以下の (a) ~ (d)からなる群から選ばれる DNAがコードする蛋白質である、 (3 6 ) に記載の形質転換体。
(a) 配列番号 5で表される塩基配列からなる DNA;
(b) 配列番号 6で表される塩基配列からなる DNA ;
(c) 配列番号 5で表される塩基配列からなる DNAとストリンジェントな条件でハイブリダ ィズし、 かつ α 1,6 -フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードする DNA;
(d) 配列番号 6で表される塩基配列からなる DNAとストリンジェントな条件でハイプリダ ィズし、 かつ α 1, 6-フコシルトランスフエラーゼ活性を有する蛋白質をコードする DNA。
(38) al,6-フコシルトランスフェラーゼが、以下の (a)〜(f)からなる群から選ばれる蛋 白質である、 (36) に記載の形質転換体。
- (a) 配列番号 7で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b) 配列番号 8で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(c) 配列番号 7で表されるアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、 置換、 挿入 および Zまたは付加されたアミノ酸配列からなり、 かつ a 1 , 6-フコシルトランスフェラーゼ活 性を有する蛋白質; '
(d) 配列番号 8で表されるアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、 置換、 揷入 および Zまたは付加されたァミノ酸配列からなり、 かつ α 1, 6-フコシルトランスフェラーゼ活 性を有する蛋白質;
(e) 配列番号 7で表されるアミノ酸配列と 80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からな り、 かつひ 1, 6-フコシルトランスクエラーゼ活性を有する蛋白質;
(f) 配列番号 8で表されるァミノ酸配列と 80 %以上の相同性を有するァミノ酸配列からな り、 かつ α 1, 6-フコシルトランスフエラーゼ活性を有する蛋白質。
(39) 形質転換体が FERM BP-8471である (38) に記載の形質転換体。
(40) 宿主細胞が、 下記の(a)〜(i)からなる群から選ばれる細胞である (28)〜(39) のいずれか 1項に記載の形質転換体。
(a) チャイニーズハムスタ一卵巣組織由来 CH0細胞;
(b) ラットミエローマ細胞株 YB2/3HL.P2.GU.16Ag.20細胞;
(c) マウスミエローマ細胞株 NS0細胞;
(d) マウスミエローマ細胞株 SP2/0- Agl4細胞;
(e) シリァンハムス夕一腎臓組織由来 BHK細胞;
(f) 抗体を産生する八イブリドーマ細胞;
(g) ヒト白血病細胞株ナマルバ細胞;
0 胚性幹細胞;
(i) 受精卵細胞。
(41) (28)〜 (40) のいずれか 1項に記載の形質転換体を培地に培養し、 培養物中 に抗体組成物を生成蓄積させ、 該抗体組成物を採取し、 精製する、 (1) 〜 (27) のいずれ か 1項に記載の抗体組成物の製造方法。
(42) (41) に記載の製造方法により得られる、 (1) 〜 (26) のいずれか 1項に記 載の抗体組成物。
(43) (1) 〜 (27) および (42) のいずれか 1項に記載の抗体組成物を有効成分と して含有する医薬。
(44) (1) 〜 (27) および (42) のいずれか 1項に記載の抗体組成物を有効成分と して含有するガングリオシド GD3関連疾患の治療薬。
(45) ガンダリオシド GD3関連疾患が、 癌である (44) に記載の治療薬。
(46) (1) 〜 (27) および (42) のいずれか 1項に記載の抗体組成物を患者に投与 することを特徴とするガンダリオシド GD3:関連疾患の治療方法。
(47) ガンダリオシド GD3関連疾患の治療薬の製造のための、 (1) 〜(27)および(4 2) のいずれか 1項に記載の抗体組成物の使用。 以下、 本発明を詳細に説明する。 本願は、 2003年 10月 8日に出願された日本国特許出願 2003- 350161号の優先権を主張するものであり、 当該特許出願の明細書および図面に記載され る内容を包含する。 本発明のガンダリオシド GD3に特異的に結合し、 N-グリコシド結合複合型糖鎖を Fc領域に有 する遺伝子組み換え抗体分子からなる組成物であって、該 N-グリコシド結合複合型糖鎖が該糖 鎖の還元末端の N-ァセチルダルコサミンにフコースが結合していない糖鎖である抗体組成物 としては、該 N-グリコシド結合 合型糖鎖が、該糖鎖の還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が a結合していない糖鎖である抗体組成物があげられる。
抗体分子には Fc領域があり、それらの領域には N-グリコシド結合糖鎖が結合する。従つて、 抗体 1分子あたり 2本の糖鎖が結合している。 N-グリコシド結合糖鎖としては、 コア構造の非 還元末端側にガラクト一ス -N-ァセチルダルコサミン (以下、 Ga卜 GlcNAcと表記する) の側鎖 を並行して 1ないしは複数本有し、更に Gal- GlcNAcの非還元末端側にシアル酸、バイセクティ ングの N-ァセチルダルコサミンなどを有するコンプレックス型(複合型)糖鎖を挙げることが できる。 ,
本発明において、 N-ダルコシド結合複合型糖鎖としては、 下記化学式 1で示される。
化学式 1
土 FucQ
±Gal iS 1 4GlcNAc j81 2Man 1 、 |
6 6 土 GlcNAc β 1 4Man β 1 4GlcNAc β 1 ^ GlcNAc
3 土 Gal 1 4GlcNAc β 1 2 an 1
本発明において、 フコースが結合していない糖鎖としては、 上記で示された化学式中、 還元 末端側の N-ァセチルダルコサミンにはフコースが結合されていないものであればよく、非還元 末端の糖鎖の構造はいかなるものでもよい。
したがって、 本発明の抗体組成物としては、 上記の糖鎖構造を有していれば、 単一の糖鎖構 造を有する抗体分子から構成されていてもよいし、 複数の異なる糖鎖構造を有する抗体分子か • ら構成されていてもよい。
本発明において、糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンにフコースが結合していないとは、 実質的にフコースが結合していないことをいう。 実質的にフコースが結合していない抗体組成 物とは、 具体的には、 後述の 4に記載の糖鎖分析において、 フコースが実質的に検出できない 程度の抗体組成物である場合をいう。 実質的に検出できない程度とは、 測定の検出限界以下で あることを意味する。糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンにフコースが結合していない本 発明の抗体組成物は、 高 ADCC活性を有する。 -
N -グリコシド結合複合型糖鎖を Fc領域に有する抗体分子からなる組成物中に含まれる、糖鎖 還元末端の N -ァセチルグルコサミンにフコースが結合していない糖鎖を有する抗体分子の割 合は、 抗体分子からヒドラジン分解や酵素消化などの公知の方法 [生物化学実験法 23—糖蛋白 質糖鎖研究法 (学会出版センター)高橋禮子編 (1989) ]を用い、 糖鎖を遊離させ、 遊離させた 糖鎖を蛍光標識又は同位元素標識し、 標識した糖鎖をクロマトグラフィ一法にて分離すること によつ Γ決定することができる。 また、遊離させた糖鎖を HPAED-PAD法 [ジャーナル ·ォブ-リ キッド 'クロマトグラフィー (J , L iq. Chromatogr,) , 6,. 1577 (1983)]によって分析するこ とで決定することができる。
本発明の抗体組成物としては、 ガングリオシド GD3に特異的に反応する抗体組成物が包含さ れる。
本発明の遺伝子組換え抗体組成物は、 ヒト型キメラ抗体組成物、 ヒト型. CDR移植抗体組成物 およびヒト抗体組成物、 ならびにそれらの抗体断組成物を包含する。
ヒト型キメラ抗体は、 ヒト以外の動物の抗体の VHおよび VLとヒト抗体の CHおよび CLとか らなる抗体をいう。 ヒト以外の動物としては、 マウス、 ラット、 ハムスター、 ラビヅト等、 ハ イブリドーマを作製することが可能であれば、 いかなるものも用いることができる。
本発明のヒト型キメラ抗体組成物は、 ガンダリオシド GD3に特異的に反応するヒト以外の動 物の抗体の VHおよび VLをコードする cDNAを取得し、ヒト抗体の CHおよび CLをコードする遺 伝子を有する動物細胞用発現べクタ一にそれぞれ揷入してヒ卜型キメラ抗体発現べクタ一を構 築し、 動物細胞へ導入することにより発現させ、 製造することができる。
本発明のキメラ抗体組成物の製造に用いるヒト以外の動物の抗体としては、 具体的には、 特 開平 5-304989に記載のハイブリド一マ KM641 (FERM BP-3116) により生産されるマウスモノク ローナル抗体 KM641、 Cancer Immuno l . Iininunother. , 39, 198 (1994)に記載のマウスモノクロ ーナル抗体である R24、 Cancer Res. , 47, 225, (1987) に記載のマウスモノクローナル抗体で ある Leo Mel 3、 Proc. Nat l . Acad. Sc i . U. S. A, 82, 5155, (1985) に記載のマウスモノクロ ーナル抗体である MB3. 6、 Proc. Nat l . Acad. Sc i . U. S. A, 82, 1499, (1985) に記載のマウス
モノクローナル抗体である 2B2、 IF4および MG- 21、 J. Biol . Chem. , 257, 12752, (1982)に記 載のマウスモノクローナル抗体である 4. 2などがあげられる。
ヒト型キメラ抗体の CHとしては、 ヒトイムノグロブリン (以下、 hlgと表記する) に属すれ ばいかなるものでもよいが、 hlgGクラスのものが好適であり、さらに hlgGクラスに属する hIgGl、 hIgG2、 MgG3、 hIgG4といったサブクラスのいずれも用いることができる。 また、 ヒト型キメ ラ抗体の CLとしては、 hlgに属すればいずれのものでもよく、 κクラスあるいは λクラスのも のを用いることができる。
本発明のガングリオシド GD3に特異的に結合するヒト型キメラ抗体組成物としては、 配列番 号 14、 15および 16で示されるアミノ酸配列からなる VHの CDR1、 CDR2、 CDR3および/または 配列番号 Π、 18および 19で示されるァミノ酸配列からなる VLの CDR1、 CDR2、 CDR3を含む抗 ガングリオシド GD3キメラ抗体組成物、 抗体の VHが配列番号 20で示されるアミノ酸配列およ び/または VLが配列番号 21で示されるアミノ酸酉己列を含む抗ガングリオシド GD3キメラ枋体 組成物、坊体の VHが配列番号 20で示されるアミノ酸配列およびヒト抗体の CHが hlgGlサブク ラスのァミノ酸配列からなり、 抗体の VLが配列番号 21で示されるァミノ酸配列およびヒト抗 体の CLが/ cクラスのァミノ酸配列からなる抗ガングリオシド GD3キメラ抗体組成物などがあげ られる。
本発明のガンダリオシド GD3に特異的に結合するヒト型キメラ抗体組成物が有するアミノ酸 配列としては、具体的には、特開平 5- 304989に記載のヒト型キメラ抗体である K 871、 または chR24抗体 [キャンサー 'ィムノロジ一 ·ィムノセラピ一 (Cancer Immunol. Immunother. ) , 39, 198 (1994) ] が有するアミノ酸配列があげられる。
ヒト型 CDR移植抗体は、ヒト以外の動物の抗体の VHおよび VLの CDRをヒト抗体の VHおよび VLの適切な位置に移植した抗体を意味する。
本発明の七ト型 CDR移植抗体組成物は、 ガングリオシド GD3に特異的に反応するヒト以外の 動物の抗体の VHおよび VLの CDRを任意のヒト抗体の VHおよび VLの FRに移植した V領域をコ ードする cDNAを構築し、 ヒト抗体の H鎖 C領域 (以下、 CHと表記する)および L鎖 C領域 (以 下、 CLと表記する) をコードする DNAを有する動物細胞用発現べクタ一にそれぞれ挿入してヒ ト型 CDR移植抗体発現べクタ一を構築し、 該発現べクタ一を動物細胞へ導入することにより発 現させ、 製造することができる。
本発明のヒト型 CDR移植抗体組成物の製造に用いるヒト以外の動物の抗体としては、 具体的 には、特開平 5-304989に記載のハイプリド一マ KM641 (FERM BP-3116)により生産される M641、 Cancer Immunol . Immunother. , 39, 198 (1994)に記載のマウスモノクローナル抗体である R24、 Cancer Res., 47, 225, (1987) に記載のマウスモノクローナル抗体である Leo Mel 3、 Proc. Nat l . Acad. Sci. U. S. A, 82, 5155, (1985) に記載のマウスモノクローナル抗体である MB3. 6、 Proc. Nat l . Acad. Sci. U. S. A. 82, 1499, (1985) に記載のマウスモノクローナル抗体である 2B2、 IF4および MG-21、 J. Biol. Chem. , 257, 12752, (1982)に記載のマウスモノクローナル抗体で ある 4. 2があげられる。
ヒト抗体の VHおよび VLの FRのアミノ酸配列としては、ヒト抗体由来のアミノ酸配列であれ ば、 いかなるものでも用いることができる。 例えば、 Protein Data Bankなどのデータベース
に登録されているヒト抗体の VHおよび VLの FRのアミノ酸配列、 またはヒト抗体の VHおよび VLの FRの各サブグループの共通アミノ酸配列 (Sequences of Proteins of Immunol ogi cal Interes t, US Dept . Heal th and Human Servi ces, 1991) などがあげられる。
本発明において、 抗体の CHとしては、 ヒトイムノグロブリン (以下、 hlgと表記する) に属 すればいかなるものでもよいが、 hlgGクラスのものが好適であり、 さらに MgGクラスに属す る gl、 g2、 g3、 g4といったサブクラスのいずれも用いることができる。 また、 ヒト型 CDR移植 抗体の CLとしては、 Mgに属すればいずれのものでもよく、 κクラスあるいは λクラスのもの を用いることができる。
本発明の CDR移植抗体組成物としては、それぞれ配列番号 14、 15、 16で示されるアミノ酸配 列からなる抗体 VHの CDR1、 CDR2、 CDR3および Zまたはそれぞれ配列番号 17、 18、 19で示され るアミノ酸配列からなる VLの CDR1、 CDR2、 CDR を含むヒト型 CDR'移植抗体組成物または該抗 体断片組成物などがあげられる。 ·
これらの CDR移植抗体組成物のなかでも、抗体の VHが配列番号 22で示されるアミノ酸配列、 または配列番号 22で示されるアミノ酸配列の 10番目の Gly、 11番目の Leu、 20番目の Leu、 28番目の Tlir、 84番目の Asn、 91番目の Thr、 95番目の Tyr、 97番目の Al aおよび 115番目の Valから選ばれる少なくとも 1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配 列を含むヒト型 CDR移植抗体組成物、 抗体の VLが 列番号 23で示されるアミノ酸配列、 また は配列番号 23で示されるアミノ酸配列の 49番目の Tyr、 65番目の Serおよび 71番目の Phe から選ばれる少なくとも 1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を 含むヒト型 CDR移植抗体組成物、抗体の VLが配列番号 24、 または配列番号 24で示されるアミ ノ酸配列の 7番目の Ser、 8番目の Pro、 12番目の Ser、 41番目の Gly、 44番目の Pro、 72番目 の Thr、 77番目の Ser、 83番目の Pheおよび 87番目の Tyrから選ばれる少なくとも 1つ以上の アミノ酸残基が置換されたアミノ酸配列を含むヒト型 CDR移植抗体組成物、 が好ましく、 抗体 の VHが配列番号 22で示されるアミノ酸配列、 または配列番号 22で示されるアミノ酸配列の 10番目の Gly、 11番目の Leu、 20番目の Leu、 28番目の Thr、 84番目の Asn、 91番目の Thr、 ,95番目の Tyr、 97番目の Al aおよび 115番目の Valから選ばれる少なくとも 1つのアミノ酸残 基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含み、 かつ、 抗体の VLが、 配列番号 23で 示されるアミノ酸配列、 または配列番号 23で示されるアミノ酸配列の 49番目の Tyr、 65番目 の Serおよび 71番目の Pheから選ばれる少なくとも 1つ以上のァミノ酸残基が他のァミノ酸残 基に置換されたアミノ酸配列を含むヒト型 CDR移植抗体組成物、 抗体の VHが配列番号 22で示 されるアミノ酸配列または配列番号 22で示されるアミノ酸配列の 10番目の Gly、 11番目の Leu、 20番目の Leu、 28番目の Thr、 84番目の Asn、 91番目の Thr、 95番目の Tyr、 97番目の Al aお よび 115番目の Valから選ばれる少なくとも 1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換さ れたアミノ酸配列を含み、 かつ、 抗体の VLが、 配列番号 24で示されるアミノ酸配列、 または 配列番号 24で示されるアミノ酸配列の 7番目の Ser、 8番目の Pro、 12番目の Ser、 41番目の Gly、 44番目の Pro、 72番目の Thr、 77番目の Ser、 83番目の' Pheおよび 87番目の Tyrから選 ばれる少なくとも 1つ以上のアミノ酸残基が置換されたアミノ酸配列を含むヒト型 CDR移植抗 体組成物、 がより好ましい。 '
'具体的には、抗体の VHが配列番号 または 25で示されるアミノ酸配列、および/または抗 体の VLが配列番号 23、 24、 26または Ώで示されるアミノ酸配列を含むヒト型 CDR移植抗体組 成物が好ましく、.抗体の VHが配 番号 25で示されるアミノ酸配列を含み、 かつ、 抗体の VL が配列番号 24、 26または 27で示されるアミノ酸配列を含むヒト型 CDR移植抗体組成物がより 好ましい。
本発明のヒト型 CDR移植抗体組成物が有するアミノ酸配列としては、 WO01/23432に記載の形 質転換株 K 8871 (FERM BP-6790) が生産するヒト型 CDR移植抗体 KM8871 が有するアミノ酸配 列などがあげられる。
これらのアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、 置換、 揷入および Zまたは付加 され、 かつガンダリオシド GD3と特異的に結合する抗体または抗体断片も本発明の範囲に包含 される。 '
欠失、 置換、 挿入または付加されるアミノ酸の数は 1個以上でありその数は特に限定されな いが、 モレキュラー ·クロ一ニング第 2版、 カレント 'プロトコールズ'イン 'モレキュラー ' バイオロジー、 Nuc l eic Ac i ds Research, 10, 6487 (1982)、 Proc. Nat l . Acad. Sc i . , USA, 79, 6409 (1982)、 Gene, 34. 315 (1985)、 Nuc leic Ac i ds Research, 13, 4431 (1985)、 Proc. Nat l . Acad. Sc i USA, 82, 488 (1985)等に記載の部位特異的変異導入法等の周知の技術により、 欠失、 置換、 揷入または付加できる程度の数であり、 例えば、 1〜数十個、 好ましくは 1〜2 0個、 より好ましくは 1 ~ 1 0個、 さらに好ましくは 1 ~ 5個である。
本発明の抗体組成物のアミノ酸配列において 1以上のアミノ酸残基が欠失、 置換、 挿入また は付加されたとは、 同一配列中の任意かつ 1または複数のアミノ酸配列中において、 1または 複数のアミノ酸残基の欠失、 置換、 揷入または付加があることを意味し、 欠失、 置換、 挿入ま たは付加が同時に生じてもよく、 置換、 挿入または付加されるアミノ酸残基は天然型と非天然 型とを問わない。 天然型アミノ酸残基としては、 L-ァラニン、 L-ァスパラギン、 L-ァスパラギ ン酸、 L -グルタミン、 L-グルタミン酸、 グリシン、 L-ヒスチジン、 L-イソロイシン、 L-口イシ ン、 L-リジン、 L-メチォニン、 L-フエ二ルァラニン、 L-プロリン、 L-セリン、 L-スレオニン、 L-トリプトファン、 L -チロシン、 L -パリン、 L -システィンなどがあげられる。
以下に、 相互に置換可能なアミノ酸残基の好ましい例を示す。 同一群に含まれるアミノ酸残 基は相互に置換可能である。
A群:ロイシン、 イソロイシン、 ノルロイシン、 パリン、 ノルパリン、 ァラニン、 2 -ァミノ ブタン酸、 メチォニン、 〇 -メチルセリン、 t-ブチルグリシン、 t -ブチルァラニン、 シクロへキ シルァラニン '
B群:ァスパラギン酸、 グルタミン酸、 イソァスパラギン酸、 イソグルタミン酸、 2-ァミノ アジピン酸、 2-アミノスべリン酸
C群:ァスパラギン、 グルタミン
D群: リジン、 アルギニン、 オル二チン、 2, 4 -ジアミノブタン酸、 2, 3-ジァミノプロピオン 酸
E群:プロリン、 3-ヒドロキシプロリン、 4-ヒドロキシプロリン
F群:セリン、 スレオニン、 ホモセリン
G群:フエ二ルァラニン、 チロシン
本発明の遺伝子組換え抗体断片組成物は、 ガングリオシド GD3に特異的に結合する遺伝子組 換え抗体組成物の抗体断片であって、 N-グリコシド結合複合型糖鎖が該糖鎖の還元末端の N-ァ セチルダルコサミンにフコースが結合していない糖鎖である抗体 Fc領域の一部または全部を 含んでいる抗体断片組成物である。 ―
本発明の抗体断片組成物としては、 Fab、 Fab'、 F (ab' ) 2、 scFv、 diabody, dsFvおよび CDR を含むぺプチドなどの抗体断片組成物であって、, N-グリコシド結合複合型糖鎖が該糖鎖の還元 末端の N-ァセチルダルコサミンにフコースが結合していない糖鎖である抗体 Fc領域の一部ま たは全部を含む抗体断片組成物があげられるが、該抗体断片組成物に抗体の Fc領域の一部また は全部を含まない場合は、該抗体断片と、 N-ダリコシド結合複合型糖鎖の還元末端の N-ァセチ ルダルコサミンにフコースが結合していない糖鎖を有する抗体 Fc領域の一部または全部と融 合させるか、または該 Fc領域の一部または全部を含む、蛋白質とめ融合蛋白質組成物とすれば よい。
Fabは、 IgGを蛋白質分解酵素パパインで処理して得られる断片のうち (H鎖の 224番目のァ ミノ酸残基で切断される) 、 H鎖の N末端側約半分と L鎖全体がジスルフィド結合で結合した 分子量約 5万の抗原結合活性を有する抗体断片である,。
本発明の Fabは、 本発明のガングリオシド GD3に特異的に結合する抗体組成物を蛋白質分解 酵素パパインで処理して得ることができる。 または、 該抗体の Fabをコードする DNAを原核生 物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに揷入し、 該ベクターを原核生物あるいは 真核生物へ導入することにより発現させ、 Fabを製造することができる。
F (ab' ) 2は、 IgGを蛋白質分解酵素ペプシンで処理して得られる断片のうち (H鎖の 234番目 のアミノ酸残基で切断される) 、 Fabがヒンジ領域のジスルフイド結合を介して結合されたも のよりやや大きい、 分子量約 10万の抗原結合活性を有する钪体断片である。
本発明の F (ab' ) 2は、 本発明のガングリオシド GD3に特異的に結合する抗体組成物を蛋白質 分解酵素ペプシンで処理して得ることができる。 または、下記の Fab'をチォエーテル結合 る, いはジスルフイド結合させ、 作製することができる。
Fab'は、 上記 F (al3' ) 2のヒンジ領域のジスルフィド結合を切断した分子量約 5万の抗原結合 活性を有する抗体断片である。
本発明の Fal)'は、本発明のガンダリオシド GD3に特異的に結合する F (ab' ) 2組成物を還元剤 ジチオスレィトール処理して得ることができる。 または、 該抗体の Fab'断片をコードする DNA を原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに揷入し、 該ベクターを原核生物 あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、 製造することができる。
scFvは、 1本の VHと 1本の VLとを適当なペプチドリンカ一 (以下、 Pと表記する) を用い て連結した、 VH- P- VLないしは VL- P- YHポリペプチドで、 抗原結合活性を有する抗体断片であ る。
本発明の scFvは、 本発明のガンダリオシド GD3に特異的に結合する抗体組成物の VHおよび VLをコードする cDNAを取得し、 scFvをコードする DNAを構築し、 該 DNAを原核生物用発現べ
クタ一あるいは真核生物用発現ベクターに揷入し、 該発現べクタ一を原核生物あるいは真核生 物へ導入することにより発現させ、 製造することができる。
di abodyは、 scFvが二量体化した抗体断片で、二価の抗原結合活性を有する抗体断片である。 二価の抗原結合活性は、 同一であることもできるし、 一方を異なる抗原結合活性とすることも できる。
本発明の di abodyは、本発明のガンダリオシド GD3に特異的に結合する抗体組成物の VHおよ び- VLをコ一ドする cDNAを取得し、 scFvをコードする DNAを P ,のアミノ酸配列の長さが 8残基 以下となるように構築し、 該 DNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクター に揷入し、 該発現べクタ一を原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、 製造 することができる。
dsFvは、 VHおよび VL中のそれぞれ 1アミノ酸残基をシスティン残基に置換したポリぺプチ ドを該システィン残基間のジスルフィド結合を介して結合させたものをいう。 システィン残基 に置換するアミノ酸残基は Rei terらにより示された方法 (Protein Engineer ing, 7, 697-704, 1994) に従って、 抗体の立体構造予測に基づいて選択することができる。
本発明の dsFvは、 本発明のガンダリオシド GD3に特異的に結合する抗体組成物の VHおよび VLをコードする cDNAを取得し、 dsFvをコードする DNAを構築し、 該 DNAを原核生物用発現べ クタ一あるいは真核生物用発現べクタ一に挿入し、 該発現べク夕一を原核生物あるいは真核生 物へ導入することにより発現させ、 製造することができる。
CDRを含むぺプチドは、 VHまたは VLの CDRの少なくとも 1領域以上を含んで構成される。複 数の CDRを含むぺプチドは、 直接または適当なぺプチドリンカ一を介して結合させることがで きる。
本発明の CDRを含むぺプチドは、 本発明のガンダリオシド GD3に特異的に結合する抗体組成 物の VHおよび VLの CDRをコードする DNAを構築し、 該 DNAを原核生物用発現ベクターあるい は真核生物用発現べクタ一に挿入し、 該発現べクタ一を原核生物あるいは真核生物へ導入する ことにより発現させ、 製造することができる。
また、 CDRを含むペプチドは、 Fmoc法 (フルォレニルメチルォキシカルポニル法) 、 tBoc法 (t-ブチルォキシカルポニル法) などの化学合成法によって製造することもできる。
本発明の形質転換体としては、 ガングリオシド GD3に特異的に結合する抗体分子をコ一ドす る DNAを宿主細胞に導入して得られる形質転換体であって、 本発明の抗体組成物を生産する形 質転換体であればいかなる形質転換体でも包含される。 具体的な例としては、 ガンダリオシド GD3に特異的に結合する抗体分子をコードする DNAを以下の(a)または (b)などの宿主細胞に導 入して得られる形質転換体があげられる。
(a) 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素が失活するようにゲノムが改 変された細胞;
(b) N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位 が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素が失活するようにゲノムが改変された細胞。
上述において、 酵素が失活するようにゲノムが改変されたとは、 該酵素の発現を欠失させる ように該酵素をコードする遺伝子の発現調節領域に変異を導入したり、 または該酵素を失活さ
せるように該酵素をコ一ドする遺伝子のァミノ酸配列に変異を導入することをいう。 変異を導 入す.るとは、 ゲノム上の塩基配列を欠失、 置換、 揷入および/または付加させるといった塩基 配列の改変を行うことをいう。 このように'改変されたゲノム遺伝子の発現または活性が完全に 抑制されることをゲノム遺伝子がノックアウトされるという。
細胞内糖ヌクレオチド GDP—フコースの合成に関与する酵素としては、 GDP-マンノ一ス 4,6 - デヒドラターゼ (GMD) 、 GDP- 4-ケト- 6 -デォキシ -D-マンノース- 3, 5-ェピメラーゼ (Fx) など があげられる。
GDP-マンノース 4,6 -デヒドラタ一ゼとしては、
(a) 配列番号 1で表される塩基配列からなる DNA;
(b) 配列番号 1で表される塩基配列からなる DNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズ し、 かつ GDP-マンノース 4, 6-デヒドラターゼ活性を有する蛋白質をコ一ドする DNA; などがあげられる。 ―
GDP -マンノース 4, 6 -デヒドラターゼとしては、
(a) 配列番号 2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b) 配列番号 2で表されるアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、 置換、 揷入およ び Zまたは付加されたァミノ酸配列からなり、 かつ GDP-マンノース 4, 6 -デヒドラターゼ活性 を有する蛋白質;
(c) 配列番号 2で表されるアミノ酸配列と 80 %以上の相同性を有するァミノ酸配列からなり、 かつ GDP-マンノース 4, 6-デヒドラターゼ活性を有する蛋白質;
などがあげられる。 '
GDP-4-ケト -6-デォキシ -D-マンノース- 3, 5-ェピメラーゼとしては、
(a) 配列番号 3で表される塩基配列からなる DNA ;
(b) 配列番号 3で表される塩基配列からなる DNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズ し、 かつ GDP-4-ケト -6-デォキシ -D-マンノース- 3, 5-ェピメラ一ゼ活性を有する蛋白質をコー ドする DNA;
などがあげられる。 . ·
GDP-4-ケト -6-デォキシ- D-マンノース- 3, 5-ェピメラ一ゼとしては、
(a) 配列番号 4で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b) 配列番号 4で表されるアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、 置換、 揷入およ び Zまたは付加されたアミノ酸配列からなり、 かつ GDP-4 -ケト- 6 -デォキシ- D -マンノース
-3, 5-ェピメラーゼ活性を有する蛋白質;
(c) 配列番号 4で表されるアミノ酸配列と 80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、 かつ GDP-4-ケト- 6-デォキシ- D-マンノース- 3, 5-ェピメラーゼ活性を有する蛋白質; などがあげられる。
N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素としては、 α 1, 6-フコシルトランスフェラーゼがあげられ る。
, 本発明において、 《1, 6-フコシルトランスフェラーゼとしては、下記(a;)、 (b)、 (c)または(d) の DNAがコードする蛋白質、
(a) 配列番号.5で表される塩基配列からなる DNA
(b) 配列番号 6で表される塩基配列からなる DNA
(c) 配列番号' 5で表される塩基配列からな ¾ DNAとストリンジェントな条件でハイブリダィズ し、 かつ α 1, 6-フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードする DNA
( 配列番号 6で表される塩基配列からなる DNAとストリンジェントな条件でハイプリダイズ し、 かつ《1, 6-フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコードする DNA
または、
(e) 配列番号 7で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質
(f) 配列番号 8で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質
(g) 配列番号 7で表されるアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、 置換、 揷入およ ぴ,または付加されたァミノ酸配列からなり、 かつ α 1, 6-フコシルトランスフエラ一ゼ活性を 有する蛋白質
00.配列番号 8で表されるアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、 置換、 揷入およ び Ζまたは付加されたァミノ酸配列からなり、 かつ Oi l , 6 -フコシルトランスフェラーゼ活性を 有する蛋白質 '
(i) 配列番号 7で表されるアミノ酸配列と 80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、 かつ α 1, 6-フコシルトランスフエラ一ゼ活性を有する蛋白質
(j) 配列番号 8で表されるアミノ酸配列と 80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、 かつ α 1 , 6 -フコシルトランスフエラーゼ活性を有する蛋白質等があげられる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素のアミノ酸配^をコ一ドする DNA としては、 配列番号 1または 3で表される塩基配列を有する DNA、 配列番号 1または 3で表さ れる塩基配列を有する DNAとストリンジェントな条件でハイプリダイズし、 かつ細胞内糖ヌク レオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素活性を有する蛋白質をコードする DNAなどがあげ られる。
α 1 , 6—フコシルトランスフェラ一ゼのアミノ酸配列をコードする DNAとしては、配列番号 5 または 6で表される塩基配列を有する DNA、 配列番号 5または 6で表される塩基配列を有する DNAとストリンジェントな条件でハイブリダィズし、かつ α 1, 6—フコシルトランスフェラ一ゼ 活性を有する蛋白質をコ一ドする DNAなどがあげられる。
本発明において、 ストリンジェントな条件下でハイブリダィズする DNAとは、 例えば配列番 号 1、 3、 5または 6で表される塩基配列からなる DNAなどの DNAまたはその一部の断片をプロ ーブとして、 コロニー 'ハイブリダィゼーシヨン法、 プラーク 'ハイブリダィゼ一シヨン法あ るいはサザンハイブリダィゼーシヨン法等を用いることにより得られる DNAを意味し、 具体的 には、 コロニーあるいはプラーク由来の DNAを固定化したフィルターを用いて、 0. 7〜1. 0Μの 塩化ナトリウム存在下、 65°Cでハイブリダィゼーシヨンを行った後、 0. 1〜2倍濃度の SSC溶液 (1倍濃度の SSC溶液の組成は、 150mM塩ィ匕ナトリウム、 15mMクェン酸ナトリウムよりなる) を用い、 65°C条件下でフィルターを洗浄することにより同定できる DNAをあげることができる。
ノヽイブリダィゼ一シヨンは、 Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989 (以下、 モレキュラー .クローニング第 2版と略す) 、 Current Protocols in Molecular Biology, John Wi ley & Sons, 1987-1997 (以下、 カレン卜 - プロトコールズ 'イン'モレキュラー 'バイオロジーと略す)、 DNA Cloning 1: Core Techniques, A Practical Approach, Second Edition, "Oxford University (1995)等に記載されている方法 に準じて行うことができる。 ストリンジェントな条件下でハイプリダイズ可能な DNAとして具 体的には、 配列番号 1、 3、 5または 6で表される塩基配列と少なくとも 60%以上の相同性を有 する DNA、好ましくは 70%以上、 より好ましくは 80%以上、 さらに好ましくは 90%以上、 特に 好ましくは 95%以上、 最も好ましくは 98%以上の相同性を有する DNAをあげることができる。 本発明において、 配列番号 2または 4で表されるアミノ酸配列において 1以上のアミノ酸が 欠失、 置換、 揷入および Zまたは付加されたアミノ酸配列からなり、 かつ細胞内糖ヌクレオチ ド GDP—フコースの合成に関与する酵素活性を有する蛋白質、 まだは配列番号 7または 8で表 されるアミノ酸配列【こおいて 1以上のアミノ酸が欠失、 置換、 揷入および Zまたは付加された アミノ酸配列からなり、 かつ ο;1,6-フコシルトランスフェラ一ゼ活性を有する蛋白質は、 モレ キユラ一'クロ一ニング第 2版、 カレント 'プロトコールズ'イン 'モレキュラー'バイオ口 ジー、 Nucleic Acids Research, 10, 6487 (1982), Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 79, 6409 (1982)、 Gene, 34. 315 (1985) , Nucleic Acids Research, 13, 4431 (1985), Proc. Natl. Acad. Sci USA, 82- 488 (1985)等に記載の部位特異的変異導入法を用いて、 例えば、 配列番号 1、 3、 5または 6で 表される塩基配列を有する DNAに部位特異的変異を導入することにより取得することができる。 欠失、 置換、 揷入および Zまたは付加されるアミノ酸の数は 1個以上でありその数は特に限定 されないが、 上記の部位特異的変異導入法等の周知の技術により、 欠失、.置換、 挿入および Z または付加できる程度の数であり,、例えば、 1〜数十個、好ましくは 1~20個、 より好ましくは 1〜10個、 さらに好ましくは 1〜5個である。
. また、 本発明において配列番号 2、 4、 7または 8であらわされるアミノ酸配列と 80%以上の 相同性を有するァミノ酸配列からなり、かつ GDP -マンノース 4, 6 -デヒドラタ一ゼ活性、 GDP-4- ケト -6-デォキシ -D-マンノース- 3, 5-ェピメラーゼ活性、または α 1, 6 -フコシルトランスフェラ —ゼ活性を有する蛋白質としては、 具体的には、 それぞれ配列番号 2、 4、 7または 8で表され るアミノ酸配列と BLAST 〔J. Mol. Biol., 215, 403 (1990)〕 や FASTA [Methods in Enzymology, 183. 63 (1990)〕 等の解析ソフトを用いて計算したときに、 少なくとも 80%以上、 好ましくは 85%以上、より好ましくは 90%以上、 さらに好ましくは 95%以上、特に好ましくは 97%以上、 最も好ましくは 99%以上の相同性を有する蛋白質などをあげることができる。
また、本発明に用いられる宿主細胞、すなわち細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に 関与する酵素、または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N -ァセチルダルコサミンの 6位 にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵素が失活した宿主細胞を取得する方法と しては、 目的とする酵素を失活させることができる手法であれば、 いずれの手法でも用いるこ 'とができる。 上述の酵素を失活させる手法としては、
(a) 酵素の遺伝子を標的した遺伝子破壊の手法;
(b) 酵素の遺伝子のドミナントネガティブ体を導入する手法;
( c ) 酵素についての突然変異を導入する手法;
( d ) 酵素の遺伝子の転写又は翻訳を抑制する手法;
( e ) N -ダリコシド結合糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位とフコースの 1位が α 結合した糖鎖構造を認識するレクチンに耐性である株を選択する手法などがあげられる。
Ν-グリコシド結合糖鎖還元末端の Ν-ァセチルグルコサミンの 6位とフコースの 1位が α結 合した糖鎖構造を認識するレクチンとしては、 該糖鎖構造を認識できるレクチンであれば、 い ずれのレクチンでも用いることができる。 その具体的な例としては、 レンズマメレクチン LCA (Lens Cul inaris田来の Lent i 1 Agglut inin) 、 エンドゥマメレクチン PSA (Pi sum sat ivum 由来の Pea Lect in) 、 ソラマメレクチン VFA (Vicia faba由来の Agglut inin) 、 ヒィロチャヮ ンタケレクチン ML (Aleuri a aurant i a由来の Lect in) 等を挙げることができる。
レクチンに耐性な細胞とは、 レクチンを有効濃度与えたときにも、 生育が阻害されない細胞 を言う。 有効濃度とは、 ゲノム遺伝子が改変される以前の細胞 (以下、 親株とも称す) が正常 に生育できない濃度以上であり、 好ましくは、 ゲノム遺伝子が改変される以前の細胞が成育で きない濃度と同濃度、 より好ましくは 2〜5倍、 さらに好ましくは 10倍、 最も好ましくは 20 倍以上である。
生育が阻害されないレクチンの有効濃度は、 細胞株に応じて適宜定めればよく、 通常のレク チンの有効濃度は lO z/ g/ml^lOmg/ml^ 好ましくは 0. 5mg/mL〜2. Omg/mLである。
本発明の抗体組成物を生産させる宿主細胞としては、 本発明の抗体組成物を発現できる上記 宿主細胞であればいかなる細胞も包含する。 例えば、 酵母、 動物細胞、 昆虫細胞、 植物細胞な どがあげられる。 これらの細胞としては、 後述 1に記載のものがあげられ、 特に、 動物細胞の 中でも、 チャイニーズハムスター卵巣組織由来の CH0細胞、 ラットミエローマ細胞株
YB2/3HL. P2. G11. 16Ag. 20細胞、 マウスミエローマ細胞株 NS0細胞、 マウスミエローマ細胞株 Sn/0-Agl4細胞、 シリアンハムスター腎臓組織由来 BHK細胞、抗体を産生するハイプリドーマ 細胞、 ヒト白血病細胞株ナマルバ細胞、 胚性幹細胞、 受精卵細胞などが好ましい。
本発明の形質転換体としては、 具体的には、 本発明の抗ガングリオシド GD3抗体の遺伝子を 組み込んだチャィニーズ八ムス夕一卵巣組織由来の CH0細胞株 CH0/DG44細胞由来の形質転換株 MS705/ GD3があげられる。 なお、 CH0細胞株 CH0/DG44細胞由来の形質転換株 Ms705/GD3は、 平 成 15年 9月 9日付けで独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター (日本国 茨 城県つくば巿東 1丁目 1番地 1 中央第 6) に FERM BP-08469として寄託されている。
以下に、 本発明の抗体組成物を生産する細胞の作製方法、 本発明の抗体組成物の製造方法お よび本発明の抗体組成物の分析方法ならびに利用方法について説明する。
1 . 本発明の抗体組成物を生産する細胞の作製
本発明の抗体組成物を生産する細胞 (以下、 本発明の細胞と称す) は、 以下に述べる手法に より、 本発明の抗体組成物を生産するために用いる宿主細胞を作製し、 該宿主細胞に後述 2に 記載の方法により、 抗ガンダリオシド GD3抗体をコードする遺伝子を導入することにより、 作 製することができる。
( 1 ) 酵素の遺伝子を標的とした遺伝子破壊の手法
本発明の細胞の作製のために甩いる宿主細胞は、細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成 に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6 位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素の遺伝子を標的とし、 遺伝子破壊の 方法を用いることにより作製することができる。細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に 関与する酵素としては、 具体的には、 GDP」マンノース 4, 6-デヒドラターゼ(以下、 GMDと表記 する) 、 GDP-4-ケト- 6-デォキシ- D-マンノース- 3, 5-ェピメラーゼ (以下、 Fxと表記する) な どがあげられる。 N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフ コースの 1位が 結合する糖鎖修飾に関与する酵素としては、 具体的には、 a l,6 -フコシルト ランスフエラ一ゼ、 α - L-フコシダーゼなどがあげられる。
ここでいう遺伝子とは、 DNAまたは RNAを含む。
遺伝子破壊の方法としては、 標的とする酵素の遺伝子を破壊することができる方法であれば いかなる方?去も包含される。その例としては、アンチセンス法、 リボザィム法、相同組換え法、 RNA-DNAオリゴヌクレオチド法 (以下、 RD0法と表記する) 、 RNAインターフェアレンス法(以 下、 RNAi法と表記する) 、 レトロウイルスを用いた方法、 トランスポゾンを用いた方法等があ げられる。 以下これらを具体的に説明する。
( a ) アンチセンス法又はリポザィム法による本発明の細胞を作製するための宿主細胞の作製 本発明の細胞の作製のために用いる宿主細胞は、細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成 に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6 位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素遺伝子を標的とし、 細胞工学, 1 , 239 (1993)、 バイオノテクノロジー(BIO/TECHNOLOGY) , , 1097 (1999)、 ヒューマン 'モレキ ユラ一 ·ジエネテイクス(Hum. Mol . Genet. ) , 5, 1083 (1995)、 細胞工学, 13, 255 (1994)、 プロシーディングス.ォブ.ザ.ナショナル ·アカデミー ·ォブ.サイエンス(Proc. Nat l . Acad. Sc i . U. S. A. ) , 96> 1886 (1999)等に記載されたアンチセンス法またはリポザィム法を用いて、 例えば、 以下のように作製することができる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型 糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関 与する酵素をコードする cDNAあるいはゲノム DNAを調製する。
調製した cDNAあるいはゲノム DNAの塩基配列を決定する。
決定した DNAの配列に基づき、'細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素ま たは N-ダリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1 位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素をコードする DNA部分、 非翻訳領域の部分あるいはィ ントロン部分を含む適当な長さのアンチセンス遺伝子またはリポザィムを設計する。
該アンチセンス遺伝子、 またはリポザィムを細胞内で発現させるために、 調製した DNAの断 片、 または全長を適当な発現ベクターのプロモーターの下流に揷入することにより、 組換えべ クタ一を作製する。
該組換えべクタ一を、 該発現べクタ一に適合した宿主細胞に導入することにより形質転換体 を得る。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N -ダリコシド結合複合型 糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関 与する酵素の活性を指標として形質転換体を選択することにより、 本発明の抗体組成物を作製 するために用いる宿主細胞を得ることができる。 また、 細胞膜上の糖蛋白質の糖鎖構造または 産生抗体分子の糖鎖構造を指標として形質転換体を選択することにより、 本発明の抗体組成物 を作製のために用いる宿主細胞を得ることもできる。
本発明の抗体組成物を作製するために用いられる宿主細胞としては、 酵母、 動物細胞、 昆虫 細胞、植物細胞など、 標的とする細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素ま たは Ν-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の Ν-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1 位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素の遺伝子を有しているものであればいずれも用いるこ とができる。 具体的には、 後述 2に記載の宿主細胞があげられる。
発現ベクターとしては、 上記宿主細胞において自立複製が可能であるか、 ないしは染色体中 への組み込みが可能で、 設計したアンチセンス遺伝子、 またはリポザィムを転写できる位置に プロモーターを含有しているものが用いられる。 具体的には、 後述 2に記載の発現ベクターが あげられる。
各種宿主細胞への遺伝子の導入方法としては、 後述 2に記載の各種宿主細胞に適した組換え ベクターの導入方法を用いることができる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または Ν-グリコシド結合複合型 糖鎖還元末端の Ν-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関 与する酵素の活性を指標として形質転換体を選択する方法としては、'例えば、 以下の方法があ げられる。
形質転換体を選択する方法
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または Ν-グリコシド結合複合型 糖鎖還元末端の Ν -ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関 与する酵素が失活した細胞を選択する方法としては、文献ほ万生化学実験講座 3—糖質 I,糖蛋 白質 (東京化学同人)日本生化学会編(1988) ]、文献 [細胞工学, 別冊, 実験プロトコ一ルシリ一 ズ,グライコバイオロジー実験プロトコール,糖蛋白質 ·糖脂質 ·プロテオグリカン (秀潤社製) 谷口直之'鈴木明美 ·古川清 ·菅原一幸監修 (1996) ]、 モレキュラー ·クローニング第 2版、 カレント 'プロトコ一ルズ ·イン'モレキュラー ·バイオロジー等に記載された生化学的な方 法あるいは遺伝子工学的な方法などを用いて、細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関 与する酵素または Ν-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の Ν-ァセチルダルコサミンの 6位に フコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素の活性を測定する方法があげられる。 生 化学的な方法としては、 例えば、 酵素特異的な基質を用いて酵素活性を評価する方法があげら れる。遺伝子工学的な方法としては、例えば、酵素遺伝子の mRNA量を測定するノーザン解析や RT - PCR法等があげられる。
細胞膜上の糖蛋白質の糖鎖構造を指標として形質転換体を選択する方法としては、 例えば、 後述 1の (5 ) に記載の方法があげられる。 産生抗体分子の糖鎖構造を指標として形質転換体 を選択する方法としては、 例えば、 後述 4または後述 5に記載の方法があげられる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型 糖鎖還元末端の N -ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が a結合する糖鎖修飾に関 与する酵素をコードする cDNAを調製する方法としては、例えば、下記に記載の方法があげられ る。
cDNAの調製方法 "
各種宿主細胞の組織又は細胞から全 RNA又は mR Aを調製する。
調製した全 RNA又は mRNAから cDNAライブラリ一を作製する。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型 糖鎖還元末端の N -ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関 与する酵素のアミノ酸配列に基づいて、 デジエネレイティブプライマーを作製し、 作製した cDNAライブラリ一を铸型として PCR法で細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する 酵素または N -ダリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N -ァセチルダルコサミンの 6位にフコー スの 1位が a結合する糖鎖修飾に関与する酵素をコードする遺伝子断片を取得する。
取得した遺伝子断片をプローブとして用い、 cDNAライブラリ一をスクリーニングし、 細胞内 糖ヌクレオチド GDP -フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元 末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵 素を'コードする DNAを取得することができる。
tト又は非ヒト動物の組織又は細胞の mRNAは市販のもの(例えば' Clontech社)を用いてもよ いし、 以下のようにしてヒ卜又は非ヒト動物の組織又は細嗨から調製してもよい。
.ヒ 又は非ヒト動物の組織又は細胞から全 RNAを調製する方法としては、 チォシアン酸グァ 二ジン-トリフルォロ酢酸セシウム法 [メソッズ 'イン ·ェンザィモロジ一(Methods in Enzymology), 154, 3 (1987)]、酸性チォシアン酸グァニジン'フエノール ·クロロホルム(AGPC) 法 [アナリティカル 'バイオケミストリ一(Analytical Biochemistry), m, 156 (1987); 実 験医学、 1937 (1991)] などがあげられる。 ·
また、 全 RNAから poly(A)+RNAとして mRNAを調製する方法としては、 オリゴ (dT) 固定化 セルロースカラム法 (モレキュラー 'クローニング第?版) 等があげられる。
さらに、 Fast Track mRNA Isolation Kit (Invi trogen社) 、 Quick Prep mRNA Purification Kit (Pharmacia ¾) などの市販のキットを用いることにより mRNAを調製することができる。 調製したヒト又は非ヒト動物の組織又は細胞 mRNAから cDNAライブラリーを作製する。 cDNA ライブラリ一作製法としては、 モレキュラー ·クローニング第 2版、 カレント .プロトコ一ル ズ ·イン'モレキュラー ·バイオロジー、 A Laboratory Manual, 2nd Ed. (1989)等に記載され た方法、 あるいは市販のキット、 '例えば Superscript Plasmid System for cDNA Synthesis and Plasmid Cloning (Life Technologies社) 、 ZAP-cDNA Synthesis Kit (STRATAGENE社) を用い る方法などがあげられる。
cDNAライブラリーを作製するためのクローニングべクタ一としては、大腸菌 K12株中で自立 複製できるものであれば、 ファージベクター、 プラスミドベクタ一等いずれでも使用できる。 具体的には、 ZAP Express [STRATAGENE社、 ストラテジーズ(Strategies), 5, 58 (1992)]、 pBluescript II SK (+) [ヌクレイック 'アシッド ·リサーチ (Nucleic Acids Research), 17, 9494
(1989)]、 λΖΑΡ II (STRATAGENE社) 、 AgtlO、 Agtll [ディ一ェヌエー'クローニング'ァ ' プラクティカル'アプローチ(DNA cloning, APractical Approach), 1, 9 (1985)] 、 ATriplEx (Clontech社) 、 AExCell (Pharmacia社) 、 pT7T318U (Pharmacia社) 、 pcD2 [モレキユラ 一.セルラー.バイオロジー (Mol. Cell. Biol.), 3, 280 (1983)] および pUC18 [ジーン(Gene), 33> 103 (1985)] 等をあげることができる。 ' .. cDNAライブラリ一を作製するための宿主微生物としては、微生物であればいずれでも用いる ことができるが、好ましくは大腸菌が用いられる。具体的には、 Escherichia col i XLl-Blue MRF' [STRATAGENE社、 ストラテジーズ(Strategies), 5, 81 (1992)] 、 Escherichia coli C600 [ジ エネテイクス(Genetics), 39, 440 (1954)] 、 Escherichia coli Y1088 [サイエンス(Science), 222, 778 (1983)] 、 Escherichia coli Y1090 [サイエンス(Science), 222, 778 (1983)] 、 Escherichia coli NM522 [ジャーナル'ォブ ·モレキュラー 'バイオロジー(J. Mol. Biol.), 166, 1 (1983)] 、 Escherichia coli K802 [ジャーナル ·ォプ'モレキュラー 'バイオロジー(J. Mol. ' Biol.), 16, 118 (1966)] および Escherichia coli J 105 [ジーン(Gene), 38, 275 (1985)] 等が用いられる。
cDNAライブラリ一は、 そのまま以降の解析に用いてもよいが、 不完全長 cDNAの割合を下げ て、完全長 cDNAを効率よく取得するために、菅野らが開発したオリゴキヤップ法 [ジーン (Gene), 138. 171 (1994); ジーン(Gene), 200. 149 (1997); 蛋白質核酸酵素, ϋ, 603 (1996); 実験 医学, Π, 2491 (1993); cDNAクローニング (羊土社)(1996); 遺伝子ライブラリーの作製法 (羊 土社) (1994)] を用いて調製して以下の解析に用いてもよい。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型 ' 糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が a結合する糖鎖修飾に関 与する酵素のァミノ酸配列に基づいて、 該ァミノ酸配列をコードすることが予測される塩基配 列の 5' 端および 3'末端の塩基配列に特異的なデジエネレイティブプライマーを作製し、作製 した cDNAライブラリーを铸型として PCR法 [ピーシーア一ル'プロトコールズ (PCRProtocols), Academic Press (1990)] を用いて DNAの増幅を行うことにより、 細胞内糖ヌク オチド GDP - フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダ ルコサミンの 6位にフコースの 1位が《結合する糖鎖修飾に関与する酵素をコードする遺伝子 断片を取得することができる。 ' '
取得した遺伝子断片が細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N - グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N -ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ 結合する糖鎖修飾に関与する酵素をコードする DNAであることは、 通常用いられる塩基配列解 . 析方法、 例えばサンガー (Sanger) らのジデォキシ法 [プロシーディングス .ォブ ·ザ ·ナシ ョナル 'アカデミー 'ォブ 'サイエンス(Pro Natl. Acad. Sci. U.S.A.), 74, 5463 (1977)] あるいは ABI PRISM377DNAシークェンサ一 (Applied Biosystems社製) 等の塩基配列分析装置 を用いて分析することにより、 確認することができる。
該遺伝子断片をプローブとして、ヒト又は非ヒト動物の組織又は細胞に含まれる mRNAから合 成した cDNAあるいは cDNAライブラリーからコロニーハイブリダィゼーシヨンやプラークハイ ブリダィゼ一シヨン (モレキュラー 'クローニング第 2版) 等を用いて、 細胞内糖ヌクレオチ
' ド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセ • チルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素の DNAを取得 することができる。
また、細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または Ν-グリコシド結合複 合型糖鎖還元末端の Ν-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾 ' に関与する酵素をコードする遺伝子断片を取得するために用いたプライマーを使用し、 ヒト又 は非ヒト動物の組織又は細胞に含まれる mRNAから合成した cDNAあるいは cDNAライブラリーを 铸型として、 PCR法を用いて増幅することにより、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成 に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6 位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素の cDNAを取得することもできる。 取得した細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結 合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖 修飾に関与する酵素をコードする DNAの塩基配列は、 通常用いられる塩基配列解析方法、 例え ばサンガー (Sanger) らのジデォキシ法 [プロシ一ディングス ·ォブ ·ザ■ナショナル ·ァカ デミ一 'ォブ 'サイエンス(Proc. Nat l . Acad. S.ci . U. S. A. ) , 74, 5463 (1977) ] あるいは ABI PRISM377DNAシーグェンサ一 (Appl ied Biosys tems社製) 等の塩基配列分析装置を用いて分析 することにより、 該 DNAの塩基配列を決定することができる。
決定した cDNAの塩基配列をもとに、 BLAST等の相同性検索プログラムを用いて、 Genbank、 EMBLおよび DDBJなどの塩基配列データベースを検索することにより、 取得した DNAがデータ ベース中の遺伝子の中で細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N - グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が α . 結合する糖鎖修飾に関与する酵素をコードしている遺伝子であることを確認することもできる。
上記の方法で得られる細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素をコード する遺伝子の塩基配列としては、例えば、配列番号 1または 3に記載の塩基配列があげられる。 上記の方法で得られる Ν-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の Ν-ァセチルダルコサミンの . 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素をコードする遺伝子の塩基配列と しては、 例えば、 配列番号 5または 6に.記載の塩基配列があげられる。
決定された DNAの塩基配列に基づいて、フォスフォアミダイト法を利用した DNA合成機 mode 1 392 (Perkin Elmer社製) 等の DNA合成機で化学合成することにより、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N -ァセチ ルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素の cDNAを取得 . することもできる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型 糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関 与する酵素のゲノム DNAを調製する方法としては、 例えば、 以下に記載の方法があげられる。 ゲノム DNAの調製方法
ゲノム DNAを調製する方法としては、 モレキュラー ·クロ一ニング第 2版やカレント 'プロ トコールズ 'イン'モレキュラー ·バイオロジー等に記載された公知の方法があげられる。 ま
た、 ゲノム DNAライブラリースクリーニングシステム (Genome Sys tems社) や Uni versal GenomeWalker™Ki ts (CL0NTECH社) などを用いるこどにより、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコ ースの合成に関与する酵素または N -ダリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコ '' サミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素のゲノム DNAを取得する こともできる。 - 取得した細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または Ν -ダリコシド結 合複合型糖鎖還元末端の Ν-ァセチルダルコサミンの 6位にフ: ίースの 1位が α結合する糖鎖 修飾に関与する酵素をコードする DNAの塩基配列は、 通常用いられる塩基配列解析方法、 例え ばサンガ一 (Sanger) らのジデォキシ法 [プロシ一ディングス ·ォブ ·ザ ·ナショナル ·ァカ デミ一'ォブ 'サイエンス(Proc. Nat l . Acad. Sci . U. S. A. ) , 74, 5463 (1977) ] あるいは ABI PRISM377DNAシークェンサ一 (Appl ied Biosys tems社製) 等の塩基配列分析装置を用いて分析 することにより、 該 DNAの塩基配列を決定することができる。 ―
決定したゲノム DNAの塩基配列をもとに、 BLAST等の相同性検索プログラムを用いて、 Genbank、 EMBLおよび DDBJなどの塩基配列データベースを検索することにより、 取得した DNAがデータ ベース中の遺伝子の中で細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N - グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α 結合する糖鎖修飾に関与する酵素をコードしている遺伝子であることを確認することもできる。 決定された DNAの塩基配列に基づいて、フォスフォアミダイト法を利用した DNA合成機 model 392 OPerkin Elmer社製) 等の DNA合成機で化学合成することにより、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチ ルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素のゲノム DNAを 取得することもできる。
上記の方法で得られる細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素のゲノム DNAの塩基配列としては、例えば配列番号 9、 10、 11および 12に記載の塩基配列があげられる。 上記の方法で得られる Ν-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の Ν-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素のゲノム DNAの塩基配列としては、 例えば配列番号 13に記載の塩基配列があげられる。
また、発現ベクターを用いず、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素ま たは Ν-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の Ν-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1 位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素の塩基配列に基づいて設計したアンチセンスオリゴヌ クレオチドまたはリポザィムを、 直接宿主細胞に導入することで、 本発明の抗体組成物を作製 するために用いる宿主細胞を得ることもできる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリポザィムは、 公知の方法または DNA合成機により 調製することができる。具体的には、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵 素または Ν-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の Ν-ァセチルダルコサミンの 6位にフコース の 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素をコードする cDNAおよびゲノム DNAの塩基配列の うち、 連続した 5〜150塩基、 好ましくは 5〜60塩基、 より好ましぐは 10〜40塩基に相当する 配列を有するオリゴヌクレオチドの配列情報に基づき、 該オリゴヌクレオチドと相補的な配列
に相当するオリゴヌクレオチド (アンチセンスオリゴヌクレオチド) または該オリゴヌクレオ チドの配列を含むリポザィムを合成して調製することができる。
オリゴヌクレオチドとしては、 ォリゴ RNAおよび該ォリゴヌクレオチドの誘導体 (以下、 ォ リゴヌクレオチド誘導体という) 等があげられる。
オリゴヌクレオチド誘導体としては、 オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がホス フォロチォェ一ト結合に変換されたォリゴヌクレオチド誘導体、 ォリゴヌクレオチド中のリン 酸ジエステル結合が Ν3' - P5'ホスフォアミデ一ト結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、 ォリゴヌクレオチド中のリポースとリン酸ジエステル結合がぺプチド核酸結合に変換'されたォ リゴヌクレオチド誘導体、 ォリゴヌクレオチド中のゥラシルが C- 5プロピニルゥラシルで置換 されたオリゴヌクレオチド誘導体、 ォリゴヌクレオチド中のゥラシルが C- 5チアゾ一ルゥラシ ルで置換された誘導体ォリゴヌクレオチド、 オリゴヌクレオチド中のシトシンが C- 5プロピニ ルシトシンで置換されたォリゴヌクレオチド誘導体、 ォリゴヌクレオチド中のシトシンがフエ ノキサジン修飾シトシン (phenoxaz ine-modi f i ed cytos ine) で置換されたオリゴヌクレオチド 誘導体、 ォリゴヌクレオチド中のリポースが 2' - 0-プロピルリポー で置換されたォリゴヌク レオチド誘導体、 あるいはオリゴヌクレオチド中のリポースが 2' -メトキシエトキシリポース で置換されたオリゴヌクレオチド誘導体等があげられる [細胞工学, , 1463 (1997) ] 。
( b ) 相同組換え法による本発明の抗体組成物を作製するための宿主細胞の作製
本究明の抗体組成物を作製するために用いる宿主細胞は、細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコー スの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサ ミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素の遺伝子を標的とし、 染色 体上の標的遺伝子を相同組換え法を用いて染色体を改変することによって作製することができ る。
染色体上の標的遺伝子の改変は、 anipul at ing the Mouse Embryo A Laboratory Manual, . Second Edi t ion, Col d Spr ing Harbor Laboratory Press (1994) (以下、 「マニピュレイティ ング ·ザ ·マウス 'ェンブリオ ·ァ ·ラボラトリー ·マニュアル」 と略す) 、 Gene Target ing, A Prac t ical Approach, IRL Press at Oxford Univers i ty Press (1993)、 バイオマニュアルシ リーズ 8 ジーンターゲッティング, ES細胞を用いた変異マウスの作製,羊土社 (1995) (以下、 「ES細胞を用いた変異マウスの作製」 と略す) 等に記載の方法を用い、 例えば以下のように行 うことができる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型 糖鎖還元末端の N -ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が a結合する糖鎖修飾に関 与する酵素のゲノム DNAを調製する。
ゲノム DNAの塩基配列にも基づき、改変する標的遺伝子(例えば、細胞内糖ヌクレオチド GDP - フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダ ルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素の構造遺伝子、 ある いはプロモーター遺伝子) を相同組換えするためのターゲットベクタ一を作製する。
作製した夕一ゲットベクターを宿主細胞に導入し、 染色体上の標的遺伝子と夕一ゲットべク ターの間で相同組換えを起こした細胞を選択することにより、 本発明の細胞の作製のために用 いる宿主細胞を作製することができる。
宿主細胞としては、 酵母、 動物細胞、 昆虫細胞、 植物細胞等、 標的とする細胞内糖ヌクレオ チド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N -ァ セチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が ο;結合する糖鎖修飾に関与する酵素の遺伝子を 有しているものであればいずれも用いることができる。 具体的には、 後述 2に記載の宿主細胞 があげられる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N -ダリコシド結合複合型 糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が a結合する糖鎖修飾に関 与する酵素のゲノム DNAを調製する方法としては、上記 1の (1 ) の(a ) に記載のゲノム DNA の調製方法などがあげられる。 · ' - 上記の方法で得られる細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素のゲノム DNAの塩基配列として、 例えば配列番号 9、 10、 11および 12に記載の塩基配列があげられる。 上記の方法で得られる N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素のゲノム DNAの塩基配列として、 例えば配列番号 13に記載の塩基配列があげられる。
染色体上の標的遺伝子を相同組換えするためのターゲットベクタ一は、 Gene Target ing, A Prac t i cal Approach, IRL Press at Oxford Univers i ty Press (1993)、 バイオマニュアルシリ ーズ 8 ジーン夕ーゲッティング, ES細胞を用いた変異マウスの作製 (羊土社)(1995)等に記載 の方法にしたがって作製することができる。 ターゲットベクターは、 置換型、 揷入型いずれで も用いることができる。
各種宿主細胞へのターゲットベクタ一の導入には、 後述 2に記載の各種宿主細胞に適した組 換えベクターの導入方法を用いることができる。
相同組換え体を効率的に選別する方法として、例えば、 Gene Target ing, A Prac t i cal Approach, IRL Press at Oxford Univers i ty Press (1993)、 バイオマニュアルシリーズ 8 ジーンターゲ ッティング, ES細胞を用いた変異マウスの作製 (羊土社)(1995)等に記載のポジティブ選択、 プ 口モーター選択、 ネガティブ選択、 ポリ A選択などの方法を用いることができる。 選別した細 胞株の中から目的とする相同組換え体を選択する方法としては、 ゲノム DNAに対するサザンハ イブリダィゼーシヨン法 (モレキュラー 'クロ一ニング第 2版) や PCR法 [ピーシーアール' プロトコールズ (PCR Protoco l s) , Academic Press (1990) ] 等があげられる。
( c ) RD0方法による本発明の抗体組成物を作製するために用いる宿主細胞の作製
本発明の抗体組成物を作製するために用いる宿主細胞は、細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコー スの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサ ミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素の遺伝子を標的とし、 RD0 法を用い、 例えば、 以下のように作製することができる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または Ν -ダリコシド結合複合型 糖鎖還元末端の Ν -ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関
与する酵素の cDNAあるいはゲノム DNAを上記 1の (1 ) の (a ) に記載め方法を用い、 調製す, る。
調製した cDNAあるいはゲノム DNAの塩基配列を決定する。
決定した DNAの配列に基づき、細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素ま たは N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1 位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素をコードする部分、 非翻訳領域の部分あるいはィント ロン部分を含む適当な長さの RD0のコンストラクトを設計し合成する。
合成した RD0を宿主細胞に導入し、標的とした酵素、 すなわち細胞内糖ヌクレオチド GDP -フ コースの合成に関与する酵素または Ν -ダリコシド結合複合型糖鎖還元末端の Ν-ァセチルダル コサミンの 6位にフコースの 1位が a結合する糖鎖修飾に関与する酵素に変異が生じた形質転 換体を選択することにより、 本発明の宿主細胞を作製することができる。 '
宿主細胞としては、 酵母、 動物細胞、 昆虫細胞、 植物細胞等、 標的とする細胞内糖ヌクレオ チド GDP-フコースの合成に関与する酵素または Ν-ダリコシド結合複合型糖鎖還元末端の Ν-ァ セチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素の遺伝子を 有しているものであればいずれも用いることができる。 具体的には、 後述 2に記載の宿主細胞 があげられる。 '
各種宿主細胞への RD0の導入には、 後述 2に記載の各種宿主細胞に適した組換えべクタ一の 導人方法を用いることができる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または Ν-グリコシド結合複合型 糖鎖還元末端の Ν-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関 与する酵素の cDNAを調製する方法としては、 例えば、 上記 1の (1 ) の (a ) に記載の cDNA の調製方法などがあげられる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型 糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関 与する酵素のゲノム DNAを調製する方法としては、 例えば、 上記 1の (1 ) の (b ) に記載の ゲノム DNAの調製方法などがあげられる。
DNAの塩基配列は、 適当な制限酵素な.どで切断後、 pBluescr ipt SK (-) (Strat gene社製) 等 のプラスミドにサブクローニングし、 通常用いられる塩基配列解析方法、 例えば、 サンガー (Sanger) らのジデォキシ法 [プロシ一ディングス ·ォブ ·ザ ·ナショナル ·アカデミー ·ォ ブ 'サイエンス(Proc. Nat l . Acad. Sc i . , U. S. A. ) , 74, 5463 (1977) ] 等の反応を行い、 塩基 配列自動分析装置、 例えば、 ABI PRISM377DNAシークェンサ一 (Appl ied Biosys tems社製) 等 の塩基配列分析装置を用いて分析することにより、 確認することができる。
RD0は、 常法または DNA合成機を用いることにより調製することができる。
RD0を宿主細胞に導入し、 標的とした酵素、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関 与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位に フコースの 1位が 結合する糖鎖修飾に関与する酵素の遺伝子に変異が生じた細胞を選択する 方法としては、 モレキュラー 'クローニング第 2版、 カレント ·プロトコ一ルズ ·イン 'モレ
キュラー ·バイオロジー等に記載された染色体上の遺伝子の変異を直接検出する方法があげら れる。
また、 前記 1の (1) の (a) に記載の、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与 する酵素または N-ダリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N -ァセチルグルコサミンの 6位にフ コ一スの i位が 結合する糖鎖修飾に関与する酵素の活性を指標として形質転換体を選択する 方法、 後述 1の (5) に記載の細胞膜上の糖蛋白質の糖鎖構造を指標として形質転換体を選択 する方法、 あるいは、 後述 4または後述 5に記載の産生抗体分子の糖鎖構造.を指標として形質 転換体を選択する方法も用いることができる。
RD0は、サイエンス(Science), 1386 (1996); ネィチヤ一'メディシン(Nature Medicine), 4, 285 (1998); へパトロジ一 (Hepatology), 25, 1462 (1997); ジーン'セラピー(Gene Therapy) , 5, 1960 (1999); ジーン'セラピー(Gene Therapy), 5, 1960 (1999); ジャーナル.ォブ.モ レキユラ一'メディシン(J. Mol. Med.), 75, 829 (1997); プロシーディンダス 'ォブ'ザ' ナショナル ·ァ力デミ一 'ォブ ·サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci. USA), 96, 8774 (1999); プロシーディングス ·ォブ'ザ 'ナショナル,アカデミー.ォブ 'サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci. USA), 96, 8768 (1999); ヌクレイック 'ァシッド ·リサーチ (Nu Acids. Res.), 27, 1323 (1999); インべスティゲーシヨン ·ォブ'ダーマトロジー(Invest. Dematol.), 1U, 1172 (1998); ネイチヤー 'バイオテクノロジー(Nature Biotech.), , 1343 (1998); ネィチヤ一 ' バイオテクノロジー(Nature Biotech.), 18, 43 (2000); ネイチヤー 'バイオテクノロジ一 (Nature Biotech.), 18, 555 (2000)等の記載に従って設計することができる。'
(d) RNAi法による本発明の抗体組成物を作製するために用いる宿主細胞の作製
本発明の抗体組成物を作製するために用いる宿主細胞は、細胞内糖ヌクレオチド GDP -フコー スの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサ ミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素の遺伝子を標的とし、 RNAi 法を用い、 例えば、 以下のように作製することができる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型 糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミ の 6位にフコースの 1位が 結合する糖鎖修飾に関 与する酵素の cDNAを上記 1の (1) の (a) に記載の方法を用い、 cDNAを調製する。
調製した cDNAの塩基配列を決定する。
決定した cDNAの配列に基づき、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素 または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が 結合する糖鎖修飾に関与する酵素をコ一ドする部分あるいは非翻訳領域の部分を含む 適当な長さの RNAi遺伝子を設計する。
該 RNAi遺伝子を細胞内で発現させるために、 調製した cDNAの断片、 または全長を適当な発 現ベクターのプロモーターの下流に挿入することにより、 組換えベクターを作製する。
該組換えべクタ一を、 該発現べクタ一に適合した宿主細胞に導入することにより形質転換体 を得る。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型 糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が 結合する糖鎖修飾に関
与する酵素の活性、 あるいは産生抗体分子または細胞表面上の糖蛋白質の糖鎖構造を指標に形 質転換体を選択することで、 本発明の細胞を作製するために用いる宿主細胞を得ることができ る。 .
宿主細胞としては、 酵母、 動物細胞、 昆虫細胞、 植物細胞等、 標的とする細胞内糖ヌクレオ チド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N -ダリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N -ァ セチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素の遺伝子を 有しているものであればいずれも甩いることができる。 具体的には、 後述 2に記載の宿主細胞 があげられる。
発現ベクターとしては、 '上記宿主細胞において自立複製可能ないしは染色体への組み込みが 可能で、設計した RNAi遺伝子を転写できる位置にプロモーターを含有しているものが用いられ る。 具体的には、 後述 2に記載の発現べクタ一があげられる。
各種宿主細胞への遺伝子の導入には、 後述 2に記載の各種宿主細胞に適した組換えベクター の導入方法を用いることができる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素の活性または N-グリコシド結合 複合型糖鎖還元末端の N -ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修 飾に関与する酵素の活性を指標として形質転換体を選択する方法としては、 例えば、 本項 1の ( 1 ) の (a ) に記載の方法があげられる。
細胞膜上の糖蛋白質の耱鎖構造を指標として形質転換体を選択する方法としては、 例えば、 本項 1の (5 ) に記載の方法があげられる。 産生抗体分子の糖鎖構造を指標として形質転換体 を選択する方法としては、 例えば、 後述 4または後述 5に記載の方法があげられる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型 糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が a結合する糖鎖修飾に関 与する酵素の cDNAを調製する方法としては、 例えば、 本項 1の (1 ) の (a ) に記載された cDNAの調製方法などがあげられる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型 糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6 ^にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関 与する酵素の塩基配列に基づいて設計した RNAi遺伝子を、直接宿主細胞に導入することで、本 発明の細胞を作製するために用いる宿主細胞を得ることもできる。
RNAi遺伝子は、 常法または DNA合成機を用いることにより調製することができる。 RNAi 遺伝子のコンストラクトは、 [ネイチヤー (Nature) , 391, 806 (1998); プロシ一ディンダス ' ォブ 'ザ'ナショナル 'ァ力デミ一 ·ォブ ·サイエンス(Proc. Nat l. Acad. Sci. USA) , 95, 15502 (1998) ; ネイチヤー(Nature) , 互, 854 (1998) ; プロシーディンダス.ォブ.ザ.ナショナル- アカデミー'ォブ'サイエンス(Proc. Nat l . Acad. Sci . USA) , 96, 5049 (1999) ; セル(Cel l) , 95, 1017 (1998) ; プロシーディングス ·ォブ ·ザ ·ナショナル .アカデミー .ォブ.サイェン ス(Pro Nat l . Acad. Sci. USA) , 96, 1451 (1999); プロシ一ディンダス 'ォブ ·ザ ·ナショ ナル ·ァ力デミ一 'ォブ ·サイエンス(Proc. Nat l. Acad. Sci. USA) , 95, 13959 (1998); ネ ィチヤ一 'セル 'バイオロジー (Nature Cel l Biol . ) , _ 70 (2000)]等の記載に従って設計す ることができる。
( e ) トランスポゾンを用いた方法による、 本発明の枋体組成物を作製するために用いる宿主 細胞の作製
本発明の抗体組成物を作製するために用いる宿主細胞は、ネイチヤー ·ジエネティク(Nature Genet. ) , 25, 35 (2000)等に記載のトランスポゾンのシステムを用い、 細胞内糖ヌクレオチド , GDP -フコースの合成に関与する酵素または N -ダリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチ ルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に If与する酵素の活性、 あるい は産生抗体分子または細胞膜上の糖蛋白質の糖鎖構造を指標に突然変異体を選択することで、 本発明の細胞を作製するために用いる宿主細胞 作製することができる。
トランスポゾンのシステムとは、 外来遺伝子をランダムに染色体上に揷入させることで突然 変異を誘発させるシステムであり、 '通常、 トランスポゾンに揷まれた外来遺伝子に突然変異を 誘発させるベクタ一として用い、 この遺伝子を染色体上にランダムに揷入させるためのトラン スポゼースの発現ベクターを同時に細胞の中に導入する。 ·
トランスポゼースは、 用いるトランスポゾンの配列に適したものであればいかなるものも用 いることができる。
外来遺伝子としては、 宿主細胞の DNAに変異を誘起するものであればいかなる遺伝子も用い ることができる。 .
宿主細胞としては、 酵母、 動物細胞、 昆虫細胞、 植物細胞等、 標的とする細胞内糖ヌクレオ チド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-ダリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N -ァ セチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素の遺伝子を 有しているものであればいずれも用いることができる。 具体 には、 後述 2に記載の宿主細胞 があげられる。 各種宿主細胞への遺伝子の導入には、 後述 2に記載の各種宿主細胞に適した組 み換えベクターの導入方法を用いることができる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または Ν-グリコシド結合複合型 糖鎖還元末端の Ν-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関 与する酵素の活性を指標として突然変異体を選択する方法としては、 例えば、 本項 1の (1 ) の (a ) に記載の方法があげられる。
細胞膜上の糖蛋白質の糖鎖構造を指標として突然変異体を選択する方法としては、 例えば、 本項 1の (5 ) に記載の方法があげられる。 産生抗体分子の糖鎖構造を指標として突然変異'体 を選択する方法としては、 例えば、 後述 4または後述 5に記載の方法があげられる。
( 2 ) 酵素の遺伝子のドミナントネガティブ体を導入する手法
本発明の抗体組成物を作製するために用いる宿主細胞は、細胞内糖ヌクレオチド GOT-フコー スの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサ ミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素の遺伝子を標的とし、 該酵 素のドミナントネガティブ体を導入する手法を用いることにより作製することができる。 細胞 内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素としては、 具体的には、 GMD、 Fxなどが あげられる。 N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコー スの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素としては、 具体的には、 α ΐ, δ-:
スフエラ一ゼ、 Q! - L-フコシダーゼなどがあげられる。
これらの酵素は、 基質特異性を有したある特定の反応を触媒する酵素であり、 このような基 質特異性を有した触媒作用を有する酵素の活性中心を破壊することで、 これらの酵素のドミナ ントネガティブ体を作製することができる。 標的とする酵素のうち、 GMDを例として、 そのド ミナントネガティブ体に作製について具体的に以下に述べる。
大腸菌由来の GMDの立体構造を解析した結果、 4つのアミノ酸 (133番目のトレォニン、 135 番目のグルタミン酸、 157番目のチロシン、 161番目のリシン)が酵素活性に重要な機能を担つ ていることが明らかにされている [S t ruc ture, 8, 2, (2000) ] 。 すなわち、 立体構造の情報 にもとづきこれら 4つのアミノ酸を異なる他のアミノ酸に置換した変異体を作製した結果、 い ずれの変異体においても有意に酵素活性が低下していたことが示されている。 一方、 GMDの補 酵素 NADPや基質である GDP-マンノースとの結合能に関しては、 いずれの変異体においてもほ とんど変化が観察されていない。 従って、 GMDの酵素活性を担うこれら 4つのアミノ酸を置換 するこ によりドミナントネガティブ体を作製することができる。 ·大腸菌由来の GMDのドミナ ントネガティブ体の作製の結果に基づき、 アミノ酸配列情報をもとにした相同性比較や立体構 造予測を行うことにより、 例えば、 CH0細胞由来の GMD (配列番号 2 ) では、 155番目のトレォ ニン、 157番目のグルタミン酸、 179番目のチロシン、 183番目のリシンを他のアミノ酸に置換 することによりドミナントネガティブ体を作製することができる。 このようなアミノ酸置換を 導入した遺伝子の i乍製は、 モレキュラー 'クローニング第 2版、 カレント .プロトコールズ' イン 'モレキュラー ·バイオロジ一等に記載された部位特異的変異導入法を用いて行うことが できる。
本発明の抗体組成物を作製するために用いる宿主細胞は、 上述のように作製した標的酵素の ドミナントネガティブ体をコードする遺伝子 (以下、 ドミナントネガティブ体遺伝子と略記す る) を用い、 モレキュラー ·クロ一二 グ第 2版、 カレント 'プロトコ一ルズ 'イン 'モレキ ユラ— .バイオロジー、 マニピユレ—ティング.マウス .ェンブリオ第 2版等に記載された遺 伝子導入の方法に従って、 例えば、 以下のように作製することができる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-ダリコシド結合複合型 糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関 与する酵素のドミナントネガティブ体遺伝子を調製する。
調製したドミナントネガティブ体遺伝子の全長 DNAをもとにして、 必要に応じて、 該蛋白質 をコードする部分を含む適当な長さの DNA断片を調 Μする。
該 DNA断片、 または全長 DNAを適当な発現ベクターのプロモーターの下流に揷入することに より、 組換えベクターを作製する。
該組換えベクターを、 該発現べクタ一に適合した宿主細胞に導入することにより、 形質転換 体を得る。 ,
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素の活性または Ν-グリコシド結合 複合型糖鎖還元末端の Ν-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修 飾に関与する酵素の活性、 あるいは産生抗体分子または細胞膜上の糖蛋白質の糖鎖構造を指標 に形質転換体を選択することで、 本発明の細胞を作製するために用いる宿主細胞を作製するこ とができる。
宿主細胞としては、 酵母、 動物細胞、 昆虫細胞、 植物細胞等、 標的とする細胞内糖ヌクレオ チド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァ セチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素の遺伝子を 有しているものであればいずれも用いることができる。 具体的には、 後述 2に記載の宿主細胞 があげられる。
発現べクタ一としては、 上記宿主細胞において自立複製可能ないしは染色体中への組み込み が-可能で、 目的とするドミナントネガティブ体をコードする DNAを転写できる位置にプロモー 夕一を含有しているものが用いられる。 具体的には、 後述 2に記載の発現ベクターがあけ'られ る。
各種宿主細胞への遺伝子の導入には、 後述 2に記載の各種宿主細胞に適した組換えべクタ一 の導入方法を用いることができる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に開与する酵素の活性または Ν-グリコシド結合 複合型糖鎖還元末端の Ν-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修 , 飾に関与する酵素の活性を指標として形質転換体を選択する方法としては、例えば、後述 1 ( 1 ) の (a ) に記載の方法があげられる。
細胞膜上の糖蛋白質の糖鎖構造を指標として形質転換体を選択する方法としては、 例えば、 後述 1の (5 ) に記載の方法があげられる。 産生抗体分子の糖鎖構造を指標として形質転換体 を選択する方法としては、 例えば、 後述 4または後述 5に記載の方法があげられる。
( 3 ) 酵素に突然変異を導入する手法
本発明の抗体組成物を作製するために用いる宿主細胞は、細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコー スの合成に関与する酵素または N -ダリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサ ミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に闋与する酵素の遺伝子に突然変異を導入 し、 該酵素に突然変異を生じた所望の細胞株を選択する手法を用いるこどにより作製できる。 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素としては、 具体的には、 GMD 、 F などがあげられる。 N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6 位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素としては、 具体的には、 Q! l,6-フコ シルトランスフエラーゼ、 - L-フコシダーゼなどがあげられる。
酵素に突然変異を導入する方法としては、 1 ) 突然変異誘発処理で親株を処理した突然変異 体あるいは自然発生的に生じた突然変異体から、細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に 関与する酵素の活性または N -ダリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミン の 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素の活性を指標として所望の細胞 + 株を選択する方法、 2 ) 突然変異誘発処理で親株を処理した突然変異体あるいは自然発生的に 生じた突然変異体から、 生産抗体分子の糖鎖構造を指標として所望の細胞株を選択する方法、
3 ) 突然変異誘発処理で親株を処理した突然変異体あるいは自然発生的に生じた突然変異体か ら、 該細胞の細胞膜上の糖蛋白質の糖鎖構造を指標として所望の細胞株を選択する方法などが あげられる。
突然変異誘発処理としては、 親株の細胞の DNAに点突然変異、 欠失あるいはフレームシフト 突然変異を誘起するものであればいかなる処理も用いることができる。
具体的には、 ェチルニトロソゥレア、 ニトロソグァ二ジン、 ベンゾピレン、 ァクリジン色素 による処理、 放射線の照射などがあげられる。 また、 種々のアルキル化剤や発癌物質も突然変 異誘発物質として用いることができる。 突然変異誘発物質を細胞に作用させる方法としては、 例えば、 組織培養の技術第三版(朝倉書店) 日本組織培養学会編(1996)、 ネィチヤ一 'ジエネ テイクス(Nature Genet . ) , , 314, (2000)等に記載の方法を挙げることができる。
自然発生的に生じた突然変異体としては、 特別な突然変異誘発処理を施さないで、 通常の細 胞培養の条件で継代培養を続けることによって自然発生的に生じる突然変異体を挙げることが できる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素の活性または N-ダリコシド結合 複合型糖鎖還元末端の N -ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が a結合する糖鎖修 飾に関与する酵素の活性を測定する方法としてはく 例えば、 本項 1の (1 ) の (a ) に記載の 方法があげられる。 産生抗体分子の糖鎖構造を識別する方法としては、 例えば、 後述 4または 後述 5に記載の方法があげられる。 細胞膜上の糖蛋白質の糖鎖構造を識別する方法としては、 例えば、 本項の 1の (5 ) に記載の方法があげられる。
( 4 ) 酵素の遺伝子の転写又は翻訳を抑制する手法
本発明の抗体組成物を作製するために用いる宿主細胞は、細胞内糖ヌクレオチド GDP -フコー スの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサ ミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素の遺伝子を標的とし、 アン チセンス RNAZDNA技術 [パイォサイエンスとィンダストリ一, 50, 322 (1992)、 化学, 6, 681 (1991)、 Bio techno l ogy, 9, 358 (1992)、 Trends in Bi o techno l ogy, 10, 87 (1992)、 Trends in Biotechnology, 10, 152 (1992)、細胞工学, 16, 1463 (1997) ]、トリプル 'ヘリックス技 [Trends in Bi otechno l ogy, 10, 132 (1992) ] 等を用い、 標的とする遺伝子の転写または翻訳を抑制する ことで作製することができる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素としては、 具体的には、 GMD、 Fx などがあげられる。 N-グリコシド結合複合 S糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位に フコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素としては、 具体的には、 a l,6-フコシル トランスフェラーゼ、 Q! -L -フコシダ一ゼなどがあげられる。 '
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素の活性または N-グリコシド結合 複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が 0!結合する糖鎖修 飾に関与する酵素の活性を測定する方法としては、 例えば、 本項 1の (1 ) の (a ) に記載の 方法があげられる。
細胞膜上の糖蛋白質の糖鎖構造を識別する方法としては、 例えば、 本項 1の (5 ) に記載の 方法があげられる。 産生抗体分子の糖鎖構造を識別する方法としては、 例えば、 後述 4または 後述 5に記載の方法があげられる。
( 5 ) N -ダリコシド結合糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位とフコースの 1位が a 結合した糖鎖構造を認識するレクチンに耐性である株を選択する手法
本発明の抗体組成物を作製するために用いる宿主細胞は、 N-グリコシド結合糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位とフコースの 1位が α結合した糖鎖構造を認識するレクチンに ' 耐性である株を選択する手法を用いることにより作製することができる。
Ν -グリコシド結合糖鎖還元末端の Ν-ァセチルダルコサミンの 6位とフコースの 1位が α結 合した糖鎖構造を認識するレクチンに耐性である株を選択する手法としては、 例えば、 ソマテ イク'セル 'アンド'モレキュラー'ジエネテイクス(Somat ic Cel l Mol . Genet. ) , 12, 51 (1986) 等に記載のレクチンを用いた方法があげられる。
レクチンとしては、 Ν-グリコシド結合糖鎖還元末端の Ν-ァセチルダルコサミンの 6位とフコ ースの 1位が α結合した糖鎖構造を認識ずるレクチンであればいずれのレクチンでも用いるこ とができるが、その具体的な例としては、レンズマメレクチン LCAOLensCul inaris由来の Lent i l Agglut inin) エンドゥマメレクチン PSA (Pi sum sat ivum由来の Pea Lect in) 、 ソラマメレク チン VFA (Vicia faba由来の Agglut inin)、ヒィロチャワンタケレクチン ML (Aleuriaaurant ia, 由来の Lect in) 等を挙げることができる。
具体的には、 l g/mL〜lmg/mLの濃度の上述のレクチンを含む培地で 1日〜 2週間、好ましく は 1日〜 1週間培養し、 生存している細胞を継代培養あるいはコロニーをピックアップし別の 培養容器に移し、 さらに引き続きレクチンを含む培地で培養を続けることによって、 本発明の N-グリコシド結合糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位とフ ースの 1位が α結合 した糖鎖構造を認識するレクチンに耐性である株を選択することができる。
2 . 抗体組成物の製造方法
本発明の抗体組成物は、 モレキュラ一'クロ一ニング第 2版、 カレント ·プロトコ一ルズ · イン 'モレ千ユラ一 ·バィォロン一、 Antibodies, A Laboratory manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988 (以卞、 アンチポディズと略す) 、 Monoclonal Ant ibodies : principles and prac t ice, Thi rd Edi t ion, Acad. Press, 1993 (以下、モノクローナルアンチポディズと略す)、 Ant ibody Engineering, A Pract ical Approach, IRL Press at Oxford Univers i ty Press, 1996 (以下、 アンチボディエンジ アリングと略す) 等に記載された方法を用い、 例えば、 以下の ように宿主細胞中で発現させて取得することができる。
抗ガンダリオシド GD3抗体分子の全長 cDNAを調製し、該抗体分子をコードする部分を含む適 当な長さの DNA断片を調製する。
該 DNA断片、または全長を適当な発現ベクターのプロモーターの下流に揷入することにより、 組換えベクターを作製する。
該組換えべクタ一を、 該発現べクタ一に適合した宿主細胞に導入することにより、 抗体分子 を生産する形質転換体を得ることができる。
宿主細胞としては、 酵母、 動物細胞、 昆虫細胞、 植物細胞等、 目的とする遺伝子を発現でき るものであればいずれも用いることができる。
抗体分子の Fc領域に結合する N-グリコシド結合糖鎖の修飾に係わる酵素、 すなわち細胞内 糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元 末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵
素が失活した細胞を選択するか、 または前述 1に示された種々の人為的手法により得られた細 胞を宿主細胞として用いることもできる
発現ベクターとしては、 上記宿主細胞において自立複製可能ないしは染色体中への組込が可 能で、 目的とする抗体分子をコードする DNAを転写できる位置にプロモータ一を含有している ものが用いられる。
cDNAは、 前記 1..の (1) の (a) に記載の cDNAの調製方法に従い、 ヒト又は非ヒト動物 の組織又は細胞より、 目的とする抗体分子に特異的なプローブまたはプライマー等を用いて調 製することができる。
酵母を宿主細胞として用いる場合には、発現ベクターとして、例えば、 YEP 13 (ATCC37115)、 YEp24 (ATCC37051) 、 YCp50 (ATCC37419) 等をあげることができる。
プロモーターとしては、酵母菌株中で発現できるものであればいずれのものを用いてもよく、 例えば、 へキソースキナーゼ等の解糖系の遺伝子のプロモーター、' PH05プロモータ一、 PGKプ 口モータ—、 GApプロモータ—、 ADHプロモーター、 gal 1プロモーター、 gal 10プロモーター、 ヒートショック蛋白質プロモータ一、 MFal プロモータ一、 CUP 1プロモータ一等をあげるこ とができる。
宿主細胞としては、 サッカロミセス属、 シゾサッカロミセス属、 クリュイべ口ミセス属、 ト リコスポロン属、シュヮニォミセス属等に属する微生物、例えば、 Saccharomyces cerevisiae, Schizosaccharomyces pombe^ Kluyveromyces lactis、 Trichosporon pullul 、 Schwanniomyces al luvius等をあげることができる。
組換えべクタ一の導入方法としては、 酵母に DNAを導入する方法であればいずれも用いるこ とができ、 例えば、 エレクト口ポレーシヨン法 [メソッズ'イン'ェンザィモロジ一 (Methods. Enzymol.), 194, 182 (1990)] 、 スフエロプラスト法 [プロシーディンダス 'ォブ ·ザ ·ナシ ョナル ·アカデミー ·ォブ ·サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S. A), 84. 1929 (1978)] 、 酢酸リチウム法 [ジャーナル ·ォブ ·パクテリォロジ一(J. Bacteriology), 153; 163 (1983)、 プロシーディングス ·ォブ ·ザ ·ナショナル ·アカデミー ·ォブ 'サイエンス(Pro Natl. Acad. Sci. U.S. A), 75, 1929 (1978)] に記載の方法等をあげることができる。
動物細胞を宿主として用いる場合には、 発現べクタ一として、 例えば、 pcDNAI、 pcDM8 (フナ コシ社より市販) ,、 PAGE107 [特開平 3-22979;サイトテクノロジ一(Cytotechnology), 3, 133, (1990)] 、 PAS3-3 [特開平 2-227075] 、 pCDM8 [ネィチヤ一(Nature) , 329, 840, (1987)] 、 pcDNAI/Amp (Invi trogen社) 、 pREP4 (Invi trogen社) 、 pAGE103 [ジャーナル ·ォブ 'バイオ ケミストリー(J. Biochemistry), 10i, 1307 (1987)] 、 pAGE210等をあげることができる。 プロモ一ターとしては、 動物細胞中で発現できるものであればいずれも用いることができ、 例えば、 サイトメガロウィルス (CMV) の IE (i腿 ediate early) 遺伝子のプロモーター、 SV40 の初期プロモーター、 レトロウイルスのプロモーター、 メタ口チォネインプロモーター、 ヒ一 トショックプロモーター、 SRaプロモーター等をあげることができる。 また、 ヒト CMVの IE 遺伝子のェンハンサーをプロモーターと共に用いてもよい。
宿主細胞としては、ヒトの細胞であるナマルバ(Namalwa)細胞、サルの細胞である COS細胞、 チャイニーズ'ハムスターの細胞である CH0細胞、 HBT5637 (特開昭 63-299) 、 ラットミエロ
一マ細胞、 マウスミエ口一マ細胞、 シリアンハムスター腎臓由来細胞、 胚性幹細胞、 受精卵鉀 胞等をあげることができる。
組換えベクターの導入方法としては、 動物細胞に DNAを導入する方法であればいずれも用い ることができ、例えば、エレクトロポレ一シヨン法. [サイトテクノロジー(Cytotechnology) , 3, 133 (1990) ] 、 リン酸カルシウム法 [特開平 2-227075] 、 リポフエクシヨン法 [プロシーディ ングス ·ォブ 'ザ'ナショナル'アカデミー'ォブ 'サイエンス(Pro Nat l. Acad. Sci. U. S. A. ) , 84.' 7413 (1987) ] 、 インジェクション法 [マニピュレイティング .ザ ·マウス ·ェンブリオ' ァ'ラボラトリ一'マニュアル]、パーティクルガン(遺伝子銃)を用いる方法 [特許第 2606856、 特許第 2517813]、 DEAE-デキストラン法 [バイオマニュアルシリーズ 4一遺伝子導入と発現- 解析法 (羊土社) 横田崇 ·新井賢一編(1994) ] 、 ウィルスベクター法 [マニピユレ一ティング · マウス ·ェンブリオ第 2版]等をあげることができる。
昆虫細胞を宿主として用いる場合には、 例えばカレント ·プロトコ一ルズ ·イン ·モレキュ ラー ·ノィ才 αジー Baculovi rus Express ion Vectors, A Laboratory Manual, W. H. Freeman and Company, New York (1992)、 バイオ テクノロジー(Bio/Technology) , 6, 47 (1988)等に記載 された方法によって、 蛋白質を発現することができる。
即ち、 発現べクターおよびパキュ口ウイルスを昆虫細胞に共導入して昆虫細胞培養上清中に 組換えウィルスを得た後、 さらに組換えウィルスを昆虫細胞に感染させ、 蛋白質を発現させる ことができる。
該方法において用いられる遺伝子導入ベクターとしては、 例えば、 pVL1392、 PVL1393, pBlueBacI I I (ともに Invi torogen社) 等をあげることができる。
バキュロウィルスとしては、 例えば、 夜盗蛾科昆虫に感染するウィルスであるアウトグラフ ァ ·力リフォルニ力 ·ヌクレア一 'ポリへドロシス ·ウィルス(Autograplia cal i fornica nuc lear polyhedros i s virus)等を用いることができる。
昆虫細胞としては、 Spodopterafrugiperdaの卵巣細胞である Sf9、 Sf21 [カレント ·プロト コーレズ ·イン ·モレキュラー · -iォロジ一 Baculovirus Express ion Vectors, A Laboratory Manual, W. H. Freeman and Company, New York (1992) ]、 Trichoplus ianiの卵巣細胞である High 5 (Invi trogen社) 等を用いることができる。
組換えウイルスを調製するための、 昆虫細胞への上記発現導入べクタ一と上記パキュロウィ ルスの共導入方法としては、 例えば、 リン酸カルシウム法 (特開平 2- 227075) 、 リポフエクシ ョン法 [プロシ一ディングス ·ォブ 'ザ'ナショナル ·アカデミー ·ォブ ·サイエンス(Proc. Nat l . Acad. Sc i. U. S. A. ) , U, 7413 (1987) ] 等をあげることができる。
植物細胞を宿主細胞として用いる場合には、 発現ベクターとして、 例えば、 Tiプラスミド、 夕パコモザィクウィルスベクター等をあげることができる。
プロモーターとしては、植物細胞中で発現できるものであればいずれのものを用いてもよく、 例えば、 カリフラワーモザイクウィルス (CaMV) の 35Sプロモータ一、 ィネアクチン 1プロモ 一夕一等をあげることができる。
宿主細胞としては、 タバコ、 ジャガイモ、 トマト、 ニンジン、 ダイズ、 アブラナ、 アルファ ルファ、 イネ、 コムギ、 ォォムギ等の植物細胞等をあげることができる。
組換えベクターの導入方法としては、 植物細胞に DNAを導入する方法であればいずれも用い 'ることができ、 例えば、 ァグロバクテリゥム (Agrobac t er ium) [特開昭 59-140885、 特開昭 60 - 70080、 W094/00977] 、 エレクトロボレ一シヨン法 [特開昭 60- 251887] 、 パ一テイクルガ ン (遺伝子銃) を用いる方法 [日本特許第 2606856、 日本特許第 2517813]等をあげることがで さる。 '
抗体遺伝子の発現方法としては、 直接発現以外に、 モレキュラー ·クローニング第 2版に記 載されている方法等に準じて、分泌生産、 Fc領域と他の蛋白質との融合蛋白質発現等を行うこ とができる。
糖鎖の合成に関与する遺伝子を導入した酵母、 動物細胞、 昆虫細胞または植物細胞により発 現させた場合には、 導入した遺伝子によって糖あるいは糖鎖が付加された抗体分子を得ること ができる。 ―
以上のようにして得られる形質転換体を培地に培養し、培養物中に抗体分子を生成蓄積させ、 該培養物から採取することにより、 抗体組成物を製造することができる。 形質転換体を培地に 培養する方法は、 宿主細胞の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。
酵母等の真核生物を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、 該生物が資ィ匕 し得る炭素源、 窒素源、 無機塩類等を含有し、 形質転換体の培養を効率的に行える培地であれ ば天然培地、 合成培地のいずれを用いてもよい。
炭素源としては、 該生物が資化し得るものであればよく、 グルコース、 フラクトース、 スク ロース、 これらを含有する糖蜜、 デンプンあるいはデンプン加水分解物等の炭水化物、 酢酸、 プロピオン酸等の有機酸、 エタノール、 プロパノールなどのアルコール類等を用いることがで さる。
窒素源としては、 アンモニア、 塩化アンモニゥム、 硫酸アンモニゥム、 酢酸アンモニゥム、 リン酸アンモニゥム等の無機酸もレくは有機酸のアンモニゥム塩、 その他の含窒素化合物、 な らびに、 ペプトン、 肉エキス、 酵母エキス、 コーンスチープリカー、 カゼイン加水分解物、 大 豆粕および大豆粕加水分解物、 各種発酵菌体およびその消化物等を用いることができる。 無機塩類としては、 リン酸第一カリウム、 リン酸第二カリウム、 リン酸マグネシウム、 硫酸 マグネシウム、 塩化ナトリウム、 硫酸第一鉄、 硫酸マンガン、 硫酸銅、 炭酸カルシウム等を用 いることができる。
培養は、 通常振盪培養または深部通気攪拌培養などの好気的条件下で行う。培養温度は 15〜 40°Cがよく、 培養時間は、 通常 16時間〜 7日間である。 培養中の pHは 3. 0〜9. 0に保持する。 PHの調製は、 無機または有機の酸、 アルカリ溶液、 尿素、 炭酸カルシウム、 アンモニアなどを 用いて行う。
また、 培養中必要に応じて、 アンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加し てもよい。 - プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた組換えべクターで形質転換した微生物を 培養するときには、 必要に応じてインデューサ一を培地に添加してもよい。 例えば、 l acプロ モーターを用いた組換えベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル -
- D -チォガラクトピラノシド等を、 trpプロモータ一を用いた組換えべクタ一で形質転換した微 生物を培養するときにはィンドールァクリル酸等を培地に添加してもよい。
動物細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、 一般に使用されている RPMI1640培地 [ザ'ジャーナル'ォブ ·ザ ·アメリカン ·メディカル.ァソシェイシヨン(The Journal of the American Medical Association), 199, 519 (1967)] 、 Eagleの MEM培地 [サ ィエンス(Science),i ^, 501 (1952)]、 ダルベッコ改変 MEM培 ¾ [ヴユウロロジー (Virology), 8, -396 (1959)] 、 199培地 [プロシーディング ·ォブ ·ザ ·ソサイエティ ·フォア ·ザ ·バイ 才ロジカル ·メティスン (Proceeding of the Society for the Biological Medicine), 73,' 1 (1950)] 、 Whitten培地 [発生工学実験マニュアル-トランスジエニック ·マウスの作り方 (講 談社)勝木元也編(1987) 3またはこれら培地に牛胎児血清等を添加した培地等を用いることが できる。
培養は、 通常 pH6.0~8.0、 30〜40°C、 5%C02存在下等の条件下—で 1〜7日間行う。
また、 培養中必要に応じて、 カナマイシン、 ペニシリン等の抗生物質を培地に添加してもよ レ^
昆虫細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、 一般に使用されている TNM-FH培地 (Pharmingen社)、 S f -90011 SFM培地 (Life Techno 1 ogi es社)、 ExCe 11400、 ExCe 11405 (いずれも JRH Biosciences社) 、 Grace's Insect Medium [ネィチヤ一(Nature), 195, 788 (1962)] 等を用いることができる。
培養は、 通常 pH6.0〜7.0、 25〜30°C等の条件下で、 1〜5日間行う。
また、 培養中必要に応じて、 ゲンタマイシン等の抗生物質を培地に添加してもよい。 ' 植物細胞を宿主として得られた形質転換体は、 細胞として、 または植物の細胞や器官に分ィ匕 させて培養することができる。 該形質転換体を培養する培地としては、 一般に使用されている ムラシゲ 'アンド,スク一グ (MS)培地、ホワイト(White)培地、またはこれら培地にオーキシン、 サイトカイニン等、 植物ホルモンを添加した培地等を用いることができる。
培養は、 通常 pH5.0~9.0、 20〜40°Cの条件下で 3~60日間行う。
また、 培養中必要に応じて、 カナマイシン、 ハイグロマイシン等の抗生物質を培地に添加し てもよい。
上記のとおり、 抗体分子をコードする DNAを組み込んだ発現べクタ一を保有する動物細胞、 あるいは植物細胞由来の形質転換体を、 通常の培養方法に従って培養し、 抗体組成物を生成蓄 積させ、該培養物より抗体組成物を採取することにより、抗体組成物を製造することができる。 抗体遺伝子の発現方法としては、 直接発現以外に、 モレキュラー ·クロ一ニング第 2版に記 載されている方法に準じて、 分泌生産、 融合蛋白質発現等を行うことができる。
抗体組成物の生産方法としては、 宿主細胞内に生産させる方法、 宿主細胞外に分泌させる方 法、 あるいは宿主細胞外膜上に生産させる方法があり、 使用する宿主細胞や、 生産させる抗体 分子の構造を変えることにより、 該方法を選択することができる。
抗体組成物が宿主細胞内あるいは宿主細胞外膜上に生産される場合、ポ一ルソンらの方法 [ジ ヤーナル'ォブ'バイオロジカル ·ケミストリ一0. Biol. C em.), 264, 17619 (1989)] 、 口 ゥらの方法 [プロシーディングス ·ォブ ·ザ ·ナショナル 'アカデミー'ォブ'サイエンス(Proc.
Natl. Acad. Sci. U.S.A.), 86, 8227 (1989); ジーン 'デベロップメント(Genes Develop.), 4, 1288 (1990) ]、 または特開平 05-336963、 W094/23021等に記載の方法を準用することにより、 該抗体組成物を宿主細胞外に積極的に分泌させることができる。
すなわち、 遺伝子組換えの手法を用いて、 発現ベクターに、 抗体分子をコードする DNA、 お よび抗体分子の発現に適切なシグナルペプチドをコードする DNAを揷入し、 該発現ベクターを 宿主細胞へ導入の後に抗体分子を発現させることにより、 目的とする抗体分子を宿主細胞外に 積極的に分泌させることができる。
また、特開平 2-227075に記載されている方法に準じて、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子等を用 いた遺伝子増幅系を利用して生産量を上昇させることもできる。
さらに、 遺伝子導入した動物または植物の細胞を再分ィヒさせることにより、 遺伝子が導入さ れた動物個体 (トランスジエニック非ヒト動物) または植物個体 (トランスジエニック植物) を造成し、 これらの個体を用いて抗体組成物を製造することもできる。
形質転換体が動物個体または植物個体の場合は、 通常の方法に従って、 飼育または栽培し、 抗体組成物を生成蓄積させ、 該動物個体または植物個体より該抗体組成物を採取することによ り、 該抗体組成物を製造することができる。
動物個体を用いて抗体組成物を製造する方法としては、 例えば公知の方法 [アメリカン -ジ ヤーナル ·ォブ ·クリニカル ·ニュートリション(American Journal of Clinical Nutrition), 63. 639S (1996); アメリカン ·ジャーナル ·ォブ ·クリニカル ·二ユートリシヨン(American Journal of Clinical Nutrition), 63, 627S (1996); バイオ/テクノロジー(Bio/Technology), 9, 830 (1991)] に準じて遺伝子を導入して造成した動物中に目的とする抗体組成物を生産させ る方法があげられる。 .
動物個体の場合は、 例えば、 抗体分子をコードする DNAを導入したトランスジエニック非ヒ ト動物を飼育し、 抗体組成物を該動物中に生成 ·蓄積させ、 該動物中より抗体組成物を採取す ることにより、 抗体組成物を製造することができる。 該動物中の生成 ·蓄積場所としては、 例 えば、 該動物のミルク (特開昭 63-309192) または卵等をあげることができる。 この際に用い られるプロモー夕一としては、動物で発現できるものであればいずれも用いることができるが、 例えば、 乳腺細胞特異的なプロモーターである 0!カゼィ プロモーター、 /3カゼインプロモ一 タ一、 /3ラクトグロブリンプロモーター、 ホエー酸性プロテインプロモーター等が好適に用い られる。
植物個体を用いて抗体組成物を製造する方法としては、 例えば抗体分子をコードする DNAを 導入したトランスジエニック植物を公知の方法 [組織培養, ^ (1994); 組織培養, 11(1995); トレンド 'イン'パイォテクノロジー(Trends in Biotechnology), 15, 45' (1997)] に準じて 栽培し、 抗体組成物を該植物中に生成'蓄積させ、 該植物中より該抗体組成物を採取すること により、 抗体組成物を生産する方法があげられる。
抗体分子をコードする遺伝子を導入した形質転換体により製造された抗体組成物は、 例えば 抗体組成物が、 細胞内に溶解状態で発現した場合には、 培養終了後、 細胞を遠心分離により回 収し、 水系緩衝液に懸濁後、 超音波破碎機、 フレンチプレス、 マントンガウリンホモゲナイザ ―、 ダイノミル等により細胞を破粋し、 無細胞抽出液を得る。 該無細胞抽出液を遠心分離する
ことにより得られる上清から、 通常の酵素の単離精製法、 即ち、 溶媒抽出法、 硫安等による塩 析法、 脱塩法、 有機溶媒による沈殿法、 ジェチルアミノエチル (DEAE) -セファロース、 DIA'ION HPA-75 (三菱化学(株)製)等レジンを用いた陰イオン交換ク tiマトグラフィ一法、 S-Sepharose FF (Pharmaci a社) 等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、 ブチルセファロ —ス、 フエ二ルセファロ一ス等のレジンを'用いた疎水性クロマトグラフィー法、 分子篩を用い たゲルろ過法、 ァフィ二ティークロマトグラフィー法、 クロマトフォーカシング法、 等電点電 気泳動等の電気泳動法等の手法を単独あるいは組み合わせて用い、 抗体組成物の精製標品を得 ることができる。
また、抗体組成物が細胞内に不溶体を形成して発現した場合は、同様に細胞を回収後破碎し、 遠心分離を行うことにより、 沈殿画分として抗体組成物の不溶体を回収する。 回収した抗体組 成物の不溶体を蛋白質変性剤で可溶化する。 該可溶化液を希釈または透析することにより、 該 抗体組成物を正常な立体構造に戻した後、 上記と同様の単離精製法により該抗体組成物の精製 標品を得ることができる。 ' '
抗体組成物が細胞外に分泌された場合には、 培養上清に該抗体組成物あるいはその誘導体を 回収することができる。 即ち、 該培養物を上記と同様の遠心分離等の手法により処理すること により培養上清を取得し、 該培養上清から、 上記と同様の単離精製法を用いることにより、 抗 体組成物の精製標品を得ることができる。
以卞に、 本発明の抗体組成物の取得のより具体的な例として、 ヒト化抗体の組成物の製造方 法について記すが、 他の抗体組成物を当該方法と同様にして取得することもできる。
( 1 ) ヒト化抗体発現用べクタ一の構築
ヒト化抗体発現用べクタ一とは、 ヒト抗体の CHおよび CLをコ一ドする遺伝子が組み込まれ た動物細胞用発現ベクターであり、 動物細胞用発現べクタ一にヒト抗体の CHおよび CLをコー ドする遺伝子をそれぞれクローニングすることにより構築することができる。
ヒト抗体の C領域としては、 任意のヒト抗体の CHおよび CLであることができ、 例えば、 ヒ ト抗体の H鎖の IgGlサブクラスの C領域(以下、 hC r lと表記する) およびヒト抗体の L鎖の Kクラスの C領域 (以下、 hC Kと表記する) 等があげられる。
ヒト抗体の CHおよび CLをコードする遺伝子としてはェキソンとイントロンから成る染色体 DNAを用いることができ、 また、 mRNAから逆転写して作製された cDNAを用いることもできる。 動物細胞用発現ベクターとしては、 ヒト抗体の C領域をコードする遺伝子を組込み発現でき るものであればいかなるものでも用いるこどができる。例えば、 AGE107 [サイトテクノロジー (Cytotechnology) , 3, 133 (1990) ]、 pAGB103 [ジャーナル ·ォブ ·バイオケミストリー . Bi ochem. ) , 皿, 1307 (1987) ]、 pHSG274 [ジーン(Gene) , 27, 223 (1984) ]、 pKCR [プロシ 一ディングス ·ォブ ·ザ'ナショナル ·アカデミー ·ォブ ·サイエンス(Proc. Nat l . Acad. Sci . U. S. A. ) , 78, 1527 (1981) ]、pSGl i3 d2_4 [サイトテクノロジー(Cytotechnology) , 4, 173 (1990) ] 等があげられる。動物細胞用発現べクタ一に用いるプロモーターとェンハンサーとしては、 SV40 の初期プロモ一ターとェンハンサー [ジャーナル ·ォブ ·バイオケミストリ一( J . Biochem. ), 101 1307 (1987) ] 、 モロニ一マウス白血病ウィルスの LTR [バイオケミカル.アンド .バイオフィ ジカル'リサーチ 'コミュニケーションズ (Bi ochem. Bi ophys. Res. Commun. ) , 149, 960 (1987) ]、
免疫グロブリン H鎖のプロモータ一 [セル(Cell), 41, 79 (1985)]とェンハンサー [セル(Cell), 33, 717 (1983)] 等があげられる。
ヒト化抗体発現用ベクターは、 抗体 H鎖及び L鎖が別々のべクタ一上に存在するタイプある いは同一のベクター上に存在するタイプ (以下、 タンデム型と表記する) のど,ちらでも用いる ことができるが、 ヒト化抗体発現ベクターの構築の容易さ、 動物細胞への導入の容易さ、 動物 細胞内での抗体 H鎖及び L鎖の発現量のバランスが均衡する等の点から夕ンデム型のヒト化抗 体発現用べクタ一の方が好ましい [ジャーナル'ォブ'ィムノロジカル'メソッズ(J. Immunol. Methods), 167, 271 (1994)] 。 タンデム型のヒト化抗体発現べクタ一としては、 pKANTEX93 [モ レキユラ一'ィムノロジ一 (Mol.I腿 unol.), 37, 1035 (2000)]、 pEE18 [ハイブリド一マ
(Hybridoia), 17, 559 (1998)]などがあげられる。
構築したヒト化抗体発現用ベクターは、 ヒト型キメラ枋体及びヒト型 CDR移植抗体の動物細 胞での発現に使用できる。 ―
(2) ヒト以外の動物の抗体の V領域をコ一ドする cDNAの取得
ヒト以外の動物の抗体、例えば、マウス抗体の VHおよび VLをコードする cDNAは以下のよう にして取得することができる。
ガンダリオシド GD3に特異的に結合する抗体を産生するハイプリドーマ細胞から抽出した mRNAを铸型として用い、 cDNAを合成する。 合成した cDNAをファージ或いはプラスミド等のベ クタ一に挿入して cDNAライブラリ一を作製する。該ライブラリーより、既存 マウス抗体の C 領域或いは V領域をコ一ドする DNA.をプローブとして用い、 H鎖 V領域をコードする cDNAを有 する組換えファージ或いは組換えプラスミド及び L鎖 V領域をコードする cDNAを有する組換え ファージ或いは組換えプラスミドをそれぞれ単離する。 組換えファージ或いは組換えプラスミ ド上の目的のマウス抗体の VHおよび VLの全塩基配列を決定し、 塩基配列より VHおよび VLの 全アミノ酸配列を推定する。
ガンダリオシド GD3に特異的に結合できるヒト以外の動物の抗体を生産するハイプリドーマ 細胞は、ガングリオシド GD3をヒト以外の動物に免疫し、周知の方法(アンティポディズ:ァ · ラポラトリ—マ二ユアゾレ (Antibodies: A Laboratory Manual), Cold Spring Harbor Laboratory, Chapter 14, 1998) に従って、 免疫された動物の抗体産生細胞とミエ口一マ細胞とでハイプリ ドーマを作製し、 次いで単一細胞化したハイプリドーマを選択し、 これを培養し、 培養上清か ら精製し、 取得することができる。
ヒト以外の動物としては、 マウス、 ラット、 ハムスター、 ゥサギ等、 ハイプリドーマ細胞を 作製することが可能であれば、 いかなるものも用いることができる。
ハイプリドーマ細胞から全 RNAを調製する方法としては、チォシアン酸グァニジン-トリフル ォロ酢酸セシウム法 [メソッズ 'イン 'ェンザィモロジ一 (Methods inEnzymol.), 154, 3 (1987)]、 また全 RNAから mRNAを調製する方法としては、オリゴ (dT)固定化セルロースカラム法 [モレキ ユラ一'クロ一ニング:ァ'ラポラトリ一'マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual), Cold Spring Harbor Lab. Press New York, 1989] 等があげられる。 また、 ハイブリド一マ細 胞から mRNAを調製するキットとしては、 Fast Track mRNA Isolation Kit (Invitrogen社製) 、 Quick Prep mRNA Purification Kit (Pharmac i a社製) 等があげられる。
cDNAの合成及び cDNAライブラリ一作製法としては、 常法 [モレキュラー .クロ一ニング: ァ ·ラポラ卜リー'マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual), Cold Spring Harbor Lab. Press New York, 1989;カレント 'プロトコールズ 'イン 'モレキュラー ·バイオロジー (Current Protocols in MolecularBiology), Sup lement 1-34] 、 或いは市販のキット、 例え ば、 Super Script™ Plasmid System for cDNA Synthesis and Plasmid Cloning (GIBCO BRL社 製) や ZAP - cDNA Synthesis Kit (Stratagene社製) を用いる方法などがあげられる。
cDNAライブラリーの作製の際、 ハイプリド一マ細胞から抽出した mRNAを铸型として合成し た cDNAを組み込むベクターは、 該 cDNAを組み込めるベクターであればいかなるものでも用い ることができる。 例えば、 ZAP Express [ストラテジーズ(Strategies), 5, 58 (1992)] 、 pBluescript II SK (+) [ヌクレイック 'ァシッズ'リサーチ(Nuclei c Acids Research), Π, 9494 (1989)] 、 λΖΑΡ II (Stratagene社製) 、 AgtlO、 Agtll [ディーェヌェ一'クロ一ニング: ァ 'プラクティカル 'アプローチ(DNA Cloning: APractical Appro ch), I, 49 (1985)]、 Lambda Blue id (Clontech社製) 、 AExCelK pT7T3 18U (Pharmac i a社製) 、 pcD2 [モレキュラー ' アンド'セルラー'バイオロジー (Mol. Cell. Biol.), 3, 280 (1983)]及び pUC18 [ジーン(Gene) , 33, 103 (1985)] 等が用いられる。
ファージ或いはプラスミドベクターにより構築される cDNAライブラリ一を導入する大腸菌 としては該 cDNAライブラリーを導入、発現及び維持できるものであればいかなるものでも用い ることができる。例えば、 XLl-BlueMRF' [ストラテジーズ (Strategies), 5, 81 (1992)]、 C600 [ジエネティックス(Genetics), 39, 440 (1954)3、 Y1088, Y1090 [サイエンス(Science) , 222, 778 (1983)] 、 NM522 [ジャーナル ·ォブ ·モレキュラー ·バイオロジー' (J. Mol. Biol.), 166> 1 (1983)] 、 K802 [ジャーナル ·ォブ ·モレキュラー ·バイオロジー(J. Mol. Biol.), 16, 118 (1966)] 及び JM¾05 [ジーン(Gene), 38, 275 (1985)] 等が用いられる。
cDNAライブラリーからのヒト以外の動物の抗体の VHおよび VLをコードする cDNAクローン を選択する方法としては、 ァイソトープ或いは蛍光などで標識したプローブを用いたュロニ ― ·ハイブリダィゼーシヨン法或いはプラーク ·ハイブリダィゼ一シヨン法 [モレキュラー · クロ一ニング:ァ ·ラポラトリ一'マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual), Cold Spring Harbor Lab. Press NewYork, 1989] により選択することができる。 また、 プライマ一 を調製し、 cDNA或いは cDNAライブラリーを錡型として、 PCR [モレキュラー ·クローニング: ァ ·ラ ラトリ一マニュアル (Molecular Cloning: A Laboratory Manual), Cold Spring Harbor Lab. Press New York, 1989;カレント 'プロトコ一ルズ 'イン 'モレキュラー 'バイオロジー (Current Protocols in Molecular Biology), Sup lement 1-34] により VHおよび VLをコ―ド する cDNAを調製することもできる。
上記方法により選択された cDNAを、 適当な制限酵素などで切断後、 pBluescript SK (-) (Stratagene社製) 等のプラスミドにクローニングし、 通常用いられる塩基配列解析方法、 例 えば、 サンガー (Sanger) らのジデォキシ法 [プロシーディングス ·ォブ ·ザ ·ナショナル · アカデミー 'ォブ'サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci. ,U. S. A.), 74, 5463 (1977)] 等の反 応を行い、 塩基配列自動分析装置、 例えば、 ABI PRISM377 DNAシークェンサ一 (Applied
Bi osys tems社製) 等の塩基配列分析装置を用いて分析することにより該 c'DNAの塩基配列を決 定することができる。
決定した塩基配列から VHおよび VLの全アミノ酸配列を推定し、 既知の抗体の VHおよび VL の全アミノ酸配列 [シーケンシズ'ォブ ·プロテインズ ·ォプ ·ィムノロジカル ·インタレス ト (Sequences of Pro teins of Immunol ogi cal Interes t) , US De t . Heal th and Human Services, 1991] と比較することにより、 取得した cDNAが分泌シグナル配列を含む抗体の VHおよび VL を完全に含んでいるアミノ酸配列をコードしているかを確認することができる。
さらに、 抗体可変領域のアミノ酸配列または該可変領域をコードする DNAの塩基配列がすで に公知である場合には、 以下の方法を用いて製造することができる。
アミノ酸配列が公知である場合には、 コドンの使用頻度 [シーケンシズ ·ォブ ·プロティン ズ ·ォブ ·ィムノロジカル ·ィン夕レスト (Sequences of Proteins of Immuno logi cal Interes t) , US Dept . Heal th and Human Services, 1991] を考慮して該可変領域をコードする DNA配列を 設計し、 設計した DNA配列に基づき、 100塩基前後の長さからなる数本の合成 DNAを合成し、 それらを用いて PCR法を行うことにより DNAを得ることができる。 塩基配列が公知である場合 には、 その情報を基に 100塩基前後の長さからなる数本の合成 DNAを合成し、 それらを用いて PCR法を行うことにより DNAを得ることができる。
( 3 ) ヒト以外の動物の抗体の V領域のアミノ酸配列の解析 - 分泌シグナル配列を含む抗体の VHおよび VLの完全なアミノ酸配列に関しては、 既知の抗体 の VHおよび VL'のアミノ酸配列 [シーケンシズ ·ォブ ·プロティンズ ·ォブ ·ィムノロジカル · Ίン夕レスト(Sequences of Proteins of l讓議 logi cal Interes t) , US Dept . Heal th and Human Servi ces, 1991] と比較することにより、 分泌シグナル配列の長さ及び N末端アミノ酸配列を 推定でき、更には抗体が属するサブグループを知ることができる。 また、 VHおよび VLの各 CDR のアミノ酸配列についても、 同様の方法で見出すことができる。
( 4 ) ヒト型キメラ抗体発現ベクターの構築
本項 2の (1 ) に記載のヒト化抗体発現用べクタ一のヒト抗体の CHおよび CLをコード,する 遺伝子の上流に、 ヒト以外の動物の抗体の VHおよび VLをコードする cDNAを揷入し、 ヒト型キ メラ抗体発現ベクターを構築することができる。 例えば、 ヒト以外の動物の抗体の VH よび VLをコードする cDNAを、 ヒト以外の動物の抗体 VHおよび VLの 3'末端側の塩基配列とヒト抗 体の CHおよび CLの 5'末端側の塩基配列とからなり、かつ適当な制限酵素の認識配列を両端に 有する合成 DNAとそれぞれ連結し、 それぞれを本項 2の (1 ) に記載のヒト化抗体発現用べク 夕一のヒト抗体の CHおよび CLをコードする遺伝子の上流にそれらが適切な形で発現するよう に挿入し、 ヒト型キメラ抗体発現ベクターを構築することができる。
( 5 ) ヒト型 CDR移植抗体の V領域をコードする cDNAの構築
ヒト型 CDR移植抗体の VHおよび VLをコードする cDNAは、以下のようにして構築することが できる。 まず、 目的のヒト以外の動物の抗体の VHおよび VLの CDRを移植するヒト抗体の VH および VLの FRのアミノ酸配列を選択する。ヒト抗体の VHおよび VLの FRのアミノ酸配列とし ては、 ヒト抗体由来のものであれば、 いかなるものでも用いることができる。例えぱ、 Protein Data Bank等のデ一夕べ一スに登録されているヒト抗体の VHおよび VLの FRのアミノ酸配列、
ヒト抗体の VHおよび VLの FRの各サブグループの共通アミノ酸配列 [シーケンシズ ·ォブ ·プ ロティンズ ·オフ ·ィムノロンカル ·ィン夕レスト (Sequences of Pro teins of Immunologi cal Interes t) , US Dept . Heal th and Human Services, 1991] 等があげられるが、 その中でも、 十 分な活性を有するヒト型 CDR移植抗体を作製するためには、 目的のヒト以外の動物の抗体の VH 5 および VLの FRのアミノ酸配列とできるだけ高い相同性(少なくとも 60%以上) を有するアミ ノ酸配列を選択することが望ましい。
次に、選択したヒト抗体の VHおよび VLの FRのアミノ酸配列に目的のヒト以外の動物の抗体 の VHおよび VLの CDRのアミノ酸配列を移植し、 ヒト型 CDR移植抗体の VHおよび VLのァミノ 酸配列を設計する。 設計したアミノ酸配列を抗体の遺伝子の塩基配列に見られるコドンの使用
10 頻度 [シ一ケンシズ'ォブ 'プロテインズ'ォブ'ィムノロジカル ·インタレスト(Sequences of Proteins of I醒麵 l ogi cal Interes t) , US Dept. Heal th and Human Services, 1991J を考慮 して DNA配列に変換し、 ヒト型 CDR移植抗体の VHおよび VLのァミノ酸配列をコードする DNA 配列を設計する。 設計した DNA配列に基づき、 100塩基前後の長さからなる数本の合成 DNAを
' 合成し、 それらを用いて PCR法を行う。 この場合、 PCRでの反応効率及び合成可能な DNAの長
15 さから、 H鎖、 L鎖とも 4~6本の合成 DNAを設 ftすることが好ましい。
また、 両端に位置する合成 DNAの 5'末端に適当な制限酵素の認識配列を導入することで、 本 項 2の (1 ) で構築したヒト化抗体発現用べクタ一に容易にクローニングすることができる。 PCR後、増幅産物を pBluescr ipt SK (-) (St ratagene社製)等のプラスミドにクロ一ニングし、 本項 2の (2 ) に記載の方法により、塩基配列を決定し、 所望のヒト型 CDR移植抗体の VHおよ
20 び VLのアミノ酸配列をコードする DNA配列を有するプラスミドを取得する。
( 6 ) ヒト型 CDR移 抗体の V領域のアミノ酸配列の改変
ヒト型 CDR移植抗体は、 ヒト以外の動物の抗体の VHおよび VLの CDRのみをヒト抗体の VH , および VLの FRに移植しただけでは、 その抗原結合活性は元のヒト以外の動物の抗体に比べて 低下してしまうことが知られている [バイオ/テクノロジ一 (BI0/TECHN0L0GY) , 9, 266 (1991) ]。
25 この原因としては、 元のヒト以外の動物の抗体の VHおよび VLでは、 CDRのみならず、 FRのい くつかのアミノ酸残基が直接的或いは間接的に抗原結合活性に関与しており、 それらアミノ酸 残基が CDRの移植に伴い、ヒト抗体の VHおよび VLの FRの異なるアミノ酸残基へと変化してし まうことが考えられている。 この問題を解決するため、 ヒト型 CDR移植抗体では、 ヒト抗体の YHおよび VLの FRのアミノ酸配列の中で、直接抗原との結合に関与しているアミノ酸残基や CDR
30 のアミノ酸残基と相互作用したり、 抗体の立体構造を維持し、 間接的に抗原との結合に関与し ているアミノ酸残基を同定し、 それらを元のヒト以外の動物の抗体に由来するアミノ酸残基に . 改変し、 低下した抗原結合活性を上昇させることが行われている [バイオ/テクノロジー
(BIO/TECHNOLOGY) , 9, 266 (1991) ] 。
• ヒト型 CDR移植抗体の作製においては、それら抗原結合活性に関わる FRのアミノ酸残基を如
35 何に効率よく同定するかが、 最も重要な点であり、 そのために X線結晶解析 [ジャーナル-ォ ブ 'モレキュラー 'バイオロジー(J . Mol . Biol . ) , 112, 535 (1977) ] 或いはコンピュータ一 モデリング [プロテイン ·エンジニアリング (Protein Engineering) , 7, 1501 (1994) ] 等によ る抗体の立体構造の構築及び解析が行われている。これら抗体の立体構造の情報は、ヒト型 CDR
移植抗体の作製に多くの有益な情報をもたらして来たが、 その一方、 あらゆる抗体に適応可能 なヒト型 CDR移搏抗体の作製法は未だ確立されておらず、 現状ではそれぞれの抗体について数 種の改変体を作製し、 それぞれの抗原結合活性との相関を検討する等の種々の試行錯誤が必要 である。 ,
ヒト抗体の VHおよび VLの FRのアミノ酸残基の改変は、改変用合成 DNAを用いて本項 2の(5 ) に記載の PCR法を行うことにより、 達成できる。 PCR後の増幅産物について本項 2の (2 ) に ,記載の方法により、 塩基配列を決定し、 目的の改変が施されたことを確認する。
( 7 ) ヒト型 CDR移植抗体発現べクタ一の構築
本項 2の (1 ) に記載のヒト化抗体発現用ベクターのヒト抗体の CHおよび CLをコードする 遺伝子の上流に、 本項 2の (5 ) および (6 ) で構築したヒト型 CDR移植抗体の VHおよび VL をコードする cDNAを揷入し、 ヒト型 CDR移植抗体発現ベクターを構築することができる。例え ば、 本項 2の (5 ) φよび (6 ) でヒト型 CDR移植抗体の VHおよび VLを構築する際に用いる 合成 DNAのうち、両端に位置する合成 DNAの 5'末端に適当な制限酵素の認識配列を導入するこ とで、 本項 2の (1 ) に記載のヒト化抗体発現用べクタ一のヒト抗体の CHおよび CLをコード する遺伝子の上流にそれらが適切な形で発現するように揷入し、 ヒト型 CDR移植抗体発現べク ターを構築することができる。
( 8 ) ヒト化抗体の安定的生産
本項 2の (4 ) 及び (7 ) に記載のヒト化抗体発現ベクターを適当な動物細胞に導入するこ とによりヒト型キメラ抗体及びヒト型 CDR移植抗体 (以下、 併せてヒト化抗体と称す) を安定 に生産する形質転換株を得ることができる。 .
動物細胞へのヒト化抗体発現ベクターの導入法としては、 エレクトロボレ一シヨン法 [特開 平 2 - 257891 ; サイトテクノロジー(Cytotechnol ogy) , 3 , 133 (1990) ] 等があげられる。
ヒト化抗体発現べクタ一を導入する動物細胞としては、 ヒト化抗体を生産させることができ る動物細胞であれば、 いかなる細胞でも用いることができる。
具体的には、 マウスミエローマ細胞である NS0細胞、 SP2/0細胞、 チャイニーズハムスター 卵巣細胞 CHO/dhir-細胞、 CH0/DG44細胞、 ラットミエローマ細胞 YB2/0細胞、 IR983F細胞、 シ リアンハムスター腎臓由来である BHK細胞、 ヒトミエロ一マ細胞であるナマルバ細胞などがあ げられるが、好ましくは、チャイニーズ八ムスター卵巣細胞である CH0/DG44細胞、 ラットミエ ローマ YB2/0細胞等があげられる。
ヒト化抗体発現べクタ一の導入後、 ヒト化抗体を安定に生産する形質転換株は、 特開平
2-257891に開示されている方法に従い、 G418硫酸塩(以下、 G418と表記する; SIGMA社製)等 の薬剤を含む動物細胞培養用培地により選択できる。 動物細胞培養用培地としては、 RPMI 1640 培地 (日水製薬社製) 、 GIT培地 (日本製藥社製) 、 EX- CELL302培地 (JRH社製) 、 IMDM培地 (GIBC0 BRL社製) 、 Hybr i doma-SFM培地 (GIBCO BRL社製) 、 またはこれら培地に牛胎児血清 (以下、 FCSと表記する) 等の各種添加物を添加した培地等を用いることができる。 得られた 形質転換株を培地中で培養することで培養上清中にヒト化抗体を生産蓄積させることができる。 培養上清中のヒト化抗体の生産量及び抗原結合活性は酵素免疫抗体法 [以下、 ELISA法と表記 する;アンティポディズ:ァ ·ラボラトリ一'マニュアル (Ant ibodi es : A Laboratory Manual) ,
Cold Spring Harbor Laboratory, Chapter 14, 1998、 モノクローナル'アンティボディズ:プ リンシプゾレズ'アンド ·フラクテイス (Monoc lonal Ant ibodies : Princ iples and Pract ice) , Academic Press Limi ted, 1996] 等により測定できる。 また、 形質転換株は、 特開平 2- 257891 に開示されている方法に従い、 DHFR遺伝子増幅系等を利用してヒト化抗体の生産量を上昇させ ることができる。 "
ヒト化抗体は、 形質転換株の培養上清よりプロティン Aカラムを用いて精製することができ る [アンティボディズ:ァ ·ラボラトリー'マニュアル (Ant ibodies: A Laboratory Manual), Cold Spring Harbor Laboratory, Chapter 8, 1988、 モノクローナル ·アンティポディズ:プリンシ フルズ 'アンド 'フラクティス (Monoc lonal Ant ibodies : Principles and Pract ice) , Academic Press Limi ted, 1996] 。 また、 その他に通常、 蛋白質の精製で用いられる精製方法を使用する ことができる。 例えば、 ゲル濾過、 イオン交換クロマトグラフィー及び限外濾過等を組み合わ せて行い、 精製することができる。 精製したヒト化抗体の H鎖、 !;鎖或いは抗体分子全体の分 子量は、 SDS変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動 [以下、 SDS-PAGEと表記する;ネイチヤー (Nature) , 227, 680 (1970) ] やウェスタンブロッテイング法 [アンティポディズ:ァ ·ラポラ トリ一 ·マニュアル (Ant ibodies : A Laboratory Manual) , Cold Spr ing Harbor Laboratory, Chapter 12, 1988、 モノクローナル ·アンティポディズ:プリンシプルズ ·アンド ·ブラクテ イス (Monoc lonal Ant ibodies : Principles and Prac t ice) , Academic Press Limi ted, 1996] 等で測定することができる。
以上、 動物細胞を宿主とした抗体組成物の製造方法を示したが、 上述したように、 酵母、 昆 虫細胞、 植物細胞または動物個体あるいは植物個体においても動物細胞と同様の方法により抗 体組成物を製造することができる。
すでに宿主細胞が抗体分子を発現する能力を有する場合には、 上記 1に記載した方法を用い て抗体分子を発現きせる細胞を調製した後に、 該細胞を培養し、 該培養物から目的とする抗体 組成物を精製することにより、 本発明の抗体組成物を製造することができる。
3 . 抗体組成物の活性評価 .
精製した抗体組成物の蛋白量、 抗原との結合活性あるいはエフェクタ一機能を測定する方法 としては、 モノクローナルアンチボディズ、 あるいはアンチボディエンジニアリング等に記載 の公知の方法を用いることができる。 '
その具体的な例としては、 抗体組成物がヒト化抗体の場合、 抗原との結合活性、 抗原陽性培 養細胞株に対する結合活性は ELISA法及び蛍光抗体法 [キヤンサー ·ィムノロジー 'ィムノセ ラピー(Cancer I匪画 1. Immunother. ) , 36, 373 (1993) ] 等により測定できる。 抗原陽性培養 細胞株に対する細胞傷害活性は、 CDC活性、 ADCC活性等を測定することにより、 評価すること ができる [キャンサー'ィムノロジー ·ィムノセラピー(Cancer Immunol. Immunother. ) , 36- 373 (1993) ]
また、 抗体組成物のヒトでの安全性、 治療効果は、 力二クイザル等のヒトに比較的近い動物 種の適当なモデルを用いて評価することができる。
4 . 抗体組成物の糖鎖の分析
各種細胞で発現させた抗体組成物の糖鎖構造は、 通常の糖蛋白質の糖鎖構造の解析に準じて 行うことができる。 例えば、 IgG分子に結合している糖鎖はガラクトース、 マンノース、 フコ ースなどの中性糖、 N-ァセチルダルコサミンなどのアミノ糖、 シアル酸などの酸性糖から構成 されており、 糖組成分析および二次元糖鎖マツプ法などを用いた糖鎖構造解析等の手法を用い て行うことができる。 ..
(1) 中性糖 ·アミノ糖組成分析 '
抗体組成物の糖鎖の組成分析は、 トリフルォロ酢酸等で、 糖鎖の酸加水分解を行うことによ り、 中性糖またはアミノ糖を遊離し、 その組成比を分析することができる。
具体的な方法として、 Dionex社製糖組成分析装置を用いる方法があげられる。 BioLCは HPAEC-PAD (high performance an ion-exchange chromatography - pulsed aiperometric detection) 法 [ジャーナル'ォブ'リキッド ·クロマトグラフィー (J. Liq. Cliromatogr. ) ,6, 1577 (1983)] によって糖組成を分析する装置である。 ―
また、 2-アミノピリジンによる蛍光標識化法でも組成比を分析することができる。 具体的に は、 公知の方法 [ァグリカルチュラル ·アンド ·バイオロジカル ·ケミストリ一
(Agric.Biol.Chem.), 55(1), 283-284 (1991)] に従って酸加水分解した試料を 2 -アミノビリ ジル化で蛍光ラベル化し、 HPLC分析して組成比を算出することができる。
(2) 糖鎖構造解析
抗体組成物の糖鎖の構造解析は、 2次元糖鎖マップ法 [アナリティカル 'バイオケミストリ 一 (Anal. Biochem.), ΙΤί, 73 (1988),、 生物化学実験法 23-糖蛋白質糖鎖研究法 (学会出版 センター)高橋禮子編(1989年) ] により行うことができる。 2次元糖鎖マップ法は、例えば、 X軸には逆相クロマトグラフィーによる糖鎖の保持時間または溶出位置を、 Υ軸には順相クロマ トグラフィ一による糖鎖の保持時間または溶出位置を、 それぞれプロットし、 既知糖鎖のそれ らの結果と比較することにより、 糖鎖構造を推定する方法である。
具体的には、抗体をヒドラジン分解して、抗体から糖鎖を遊離し、 2 -アミノピリジン(以下、 ΡΑと略記する)による糖鎖の蛍光標識 [ジャーナル'ォブ'バイオケミストリー(J. Biochem.), 95, 197 (1984)] を行った後、 ゲルろ過により糖鎖を過剰の PA化試薬などと分離し、 逆相クロ マトグラフィ一を行う。 次いで、 分取した糖鎖の各ピークについて順相クロマトグラフィーを 行う。 これらの結果をもとに、 2次元糖鎖マップ上にプロットし、 糖鎖スタンダード (TaKaRa 社製) 、 文献 [アナリティカル ·パイオケミストリ一 (Anal. Biochem.) , l, 73 (1988)] とのスポットの比較より糖鎖構造を推定することができる。
さらに各糖鎖の MALDI-TOF-MSなどの質量分析を行い、 2次元糖鎖マツプ法により推定される 構造を確認することができる。
5. 抗体分子の糖鎖構造を識別する免疫学的定量方法
抗体組成物は、 抗体の Fc領域に結合する糖鎖構造が異なった抗体分子から構成されている。 本発明の抗体組成物は、 Fc領域に結合する全 N-グリコシド結合複合型糖鎖のうち、糖鎖還元末 端の N-ァセチルダルコサミンにフコースが結合していない糖鎖の割合が 100%であり、高い ADCC 活性を示す。 このような抗体組成物は、 上記 4. に記載の抗体分子の糖鎖構造の分析法を用い
ることにより識別できる。 また、 レクチンを用いた免疫学的定量方法を用いることによつても 識別できる。 ' レクチンを用いた免疫学的定量方法を用いた抗体分子の糖鎖構造の識別は、 文献 [モノクロ ーナル ·アンティポディズ:プリンシプルズ ·アンド ·アプリケーションズ (Monoclonal Antibodies: Principles and Applications), Wiley-Liss, Inc., (1995); 酵素免疫測定法, 第 3版, 医学書院 (1987) ; 改訂版, 酵素抗体法, 学際企画 (1985) ] 等に記載のウエスタン 染色、 RIA (Radioimmunoassay) 、 VIA (Viroimmunoassay) 、 EIA (Enzymoimmunoassay) 、 FIA (Fluoroimmunoassay) 、 MIA (Metal loimmunoassay) などの免疫学的定量方法に準じて、 例え ば、 以下のように行うことができる。
抗体組成物を構成する抗体分子の糖鎖構造を認識するレクチンを標識し、 標識したレクチン と試料である抗体組成物を反応させる。 次に、 標識したレクチンと抗体分子の複合体の量を測 定する。 , ·
抗体分子の糖鎖構造を識別に用いられるレクチンとしては、 例えば、 WA (T. vulgaris由来 の wheat - germ agglutinin)、 ConA (C. ensiformis由来の conca請 alin A)、 RIC (R. communis 由来の毒素)、 L-PHA (P. vulgaris由来の leukoagglutinin)、 LCA (L. culinaris
由来の lentil agglutinin)、 PSA (P. sativum由来の Pea lectin)、 ML (Aleuria aurantia Lectin)、 ACL (Amaranthus caudatus Lectin), BPL (Bauhinia purpurea Lectin), DSL (Datura stramonium Lectin)、 DBA (Dolic os bif lorus Agglutinin), EBL (Elderberry Balk Lectin), ECL (Erythrina cfistagalli Lectin), EEL (Euonymus europaeus Lectin)、 GNL (Galanthus nivalis Lectin), GSL (Grif fonia simpl icifol.ia Lectin), HPA (Helix pomatia Agglutinin) ,HHL (Hippeastrum Hybrid Lectin)> Jacalin^LTL (Lotus tetragonolobus Lectin), LEL (Lycopersicon esculentum Lectin)、 MAL (Maackia amurensis Lectin) , MPL (Maclura pomif era Lectin), NPL (Narcissus pseudonarcissus Lectin) , PNA (Peanut Agglutinin) ¾ E-PHA (Phaseolus vulgaris Erythroagglutinin), PTL (Psophocarpus tetragonolobus Lectin), RCA (Ricinus communis Agglutinin), STL (Solanum tuberosum Lectin), SJA (Sop ora japonica Agglutinin), SBA (Soybean Agglutinin) , UEA (Ulex europaeus Agglutinin)^ WL (Viciavillosa Lectin), WFA (Wisteria floribunda Agglutinin)があげられる。
N-ダルコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンにフコースが結合してい る糖鎖構造を特異的に認識するレクチンを用いることが好ましく、 その具体的な例としては、 レンズマメレクチン LCA (Lens Cul inaris由来の Lent i 1 Agglutinin) エンドゥマメレクチン PSA (Pisum sativum由来の Pea Lectin)、ソラマメレクチン VFA(Vicia f aba由来の Agglutinin)、 ヒィロチャワンタケレクチン ML (Aleuria aurantia由来の Lectin) を挙げることができる。 6. 本発明の抗体組成物の利用
本発明の抗体組成物はガングリオシド GD3に特異的に結合し、 高い抗体依存性細胞傷害 (ADCC)活性および補体依存性細胞傷害(CDC)活性を有するため、癌をはじめとする各種ガン グリオシド GD3発現細胞関連疾患の予—防および治療において有用である。
本発明の抗体組成物による治療が有効な癌疾患としては、 ザルコ一マ、 グリオ一マまたはメ ラノ一マなどがあげられる。
ガンダリオシド GD3は、 正常細胞にはごく微量にしか存在しないが、 ザルコーマ、 グリオ一 マ、 メラノ一マなどの悪性の癌細胞では、 ガンダリオシド GD2とともに多量に存在することが 知られている [プロシーディングス ·ォブ ·ザ ·ナショナル ·アカデミー ·ォプ .サイエンス (Proc. Nat l . Acad. Sc i . U. S. A. ) , 77, 6114 (1980) ;ジャーナル'ォブ'ェクスペリメンタ ル'メデイシン(J. Exp. Med. ) , 155, 1133" (1982) ;キャンサー 'リサ一チ(Cancer Res. ) , 45, 4401 (1985) ;キャンサ一(Cancer) , 70, 633 (1992) ;ァクタ 'ニューロパソロジカ(Ac ta Neuropatho logica) , 82, 45 (1991) ] 。 したがって、 GD3に対するモノクローナル抗体は、 こ れらの癌の治療に有用であると考えられ Tいる [メラノーマ 'リサーチ (Mel anoma Research) , 7, S155 (1997) ]。
通常の抗癌剤を用いた化学療法は、 これらの癌細胞の増殖を抑制することを特徴とする。 し かし、 抗体依存性細胞傷害活性または補体依存性細胞傷害活性を有する抗体は、 癌細胞に細胞 死を誘導することができるため、 通常の抗癌剤よりも治療薬として有効である。 特に癌の治療 薬において、 現状では抗体医薬単独の抗腫瘍効果は不充分であり、 化学療法との併用療法が行 われているが [サイエンス(Sc i ence) , 280> H97 (1998) ] 、 本発明の抗体組成物単独でのより 強い抗腫瘍効果が認められれば、化学療法に対する依存度が低くなり、副作用の低減にもなる。 本発明の抗体組成物は高い細胞傷害活性を有するため、 従来の抗体組成物では治癒できない 上述の癌疾患を治療することができる。 特に、 上述の疾患の中でも、 転移等により薬物が届き にくい部位で癌が発症した場合などには、 少量の薬物でも治療効果を有することが好ましい。 本発明の抗体組成物は少量でも高い細胞傷害活性を有するためこれらの疾患の治療に有用であ る。
本発明の抗体組成物を含有する医薬は、治療薬として単独で投与することも可能ではあるが、 通常は薬理学的に許容される一つあるいはそれ以上の担体と一緒に混合し、 製剤学の技術分野 においてよく知られる任意の方法により製造した医薬製剤として提供するのが望ましい。 投与経路は、 治療に際して最も効果的なものを使用するのが望ましく、 経口投与、 または口 腔内、 気道内、 直腸内、 皮下、 筋肉内および静脈内等の非経口投与をあげることができ、 抗体 製剤の場合、 望ましくは静脈内投与をあげることができる。
投与形態としては、 噴霧剤、 カプセル剤、錠剤、顆粒剤、 シロップ剤、乳剤、座剤、注射剤、 軟膏、 テープ剤等があげられる。
経口投与に適当な製剤としては、 乳剤、 シロップ剤、 カプセル剤、 錠剤、 散剤、 顆粒剤等が あげられる。
乳剤およびシロップ剤のような液体調製物は、 水、 ショ糖、 ソルビトール、 果糖等の糖類、 ポリエチレングリコール、 プロピレングリコール等のグリコール類、 ごま油、 ォリーブ油、 大 豆油等の油類、 P -ヒドロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤、ストロベリーフレーパ一、 ぺパ 一ミント等のフレーバー類等を添加剤として用いて製造できる。
カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤等は、乳糖、 ブドウ糖、 ショ糖、 マンニトール等の賦形剤、 デンプン、アルギン酸ナトリゥム等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、 ポリビニルアルコール、 ヒドロキシプロピルセルロース、 ゼラチン等の結合剤、 脂肪酸エステ ル等の界面活性剤、 グリセリン等の可塑剤等を添加剤として用いて製造できる。
非経口投与に適当な製剤としては、 注射剤、 座剤、 噴霧剤等があげられる。
注射剤は、 塩溶液、 ブドウ糖溶液、 あるいは両者の混合物からなる担体等を用いて調製され る。 または、 抗体組成物を常法に従って凍結乾燥し、 これに塩ィヒナトリウムを加えることによ つて粉末注射剤を調製することもできる。
座剤はカカオ脂、 水素化脂肪またはカルボン酸等の担体を用いて調製される。
また、 噴霧剤は該抗体組成物そのもの、 ないしは受容者の口腔および気道粘膜を刺激せず、 かつ該抗体組成物を微細な粒子として分散させ吸収を容易にさせる担体等を用いて調製される。 担体として具体的には乳糖、 グリセリン等が例示される。 該抗体組成物および用いる担体の 性質により、 エアロゾル、 ドライパウダー等の製剤が可能である。 また、 これらの非経口剤に おいても経口剤で添加剤として例示した成分を添加することもできる。
投与量または投与回数は、 目的とする治療効果、 投与方法、 治療期間、 年齢、 体重等により 異なるが、 有効成分の量として、 通常成人 1日当たり lO i
である。
また、 抗体組成物の各種腫瘍細胞に対する抗腫瘍効果を検討する方法は、 インピトロ実験と しては、 CDC活性測定法、 ADCC活性測定法等があげられ、 インビポ実験としては、 マウス等の 実験動物での腫瘍系を用いた抗腫瘍実験等があげられる。
CDC活性、 ADCC活性、抗腫瘍実験は、文献 [キヤンサー 'ィ厶ノロジ一·ィムノセラピー (Cancer I腿 unology Immunotherapy) , 36, 373 (1993);キャンサー · リサーチ(Cancer Research) , 54. 1511 (1994) ] 等記載の方法に従って行うことができる。 図面の簡単な説明
図 1は、 プラスミド pK0FUT8Neoの構築を示した図である。
図 2は、 CH0/DG44細胞の FUT8対立遺伝子を 1コピー破壊したへミノックアウトクローンのゲ ノムサザンの解析結果を示した図である。 レーンは左からそれぞれ分子量マーカー、 へミノッ クアウトクローン 50-10- 104および親株である CH0/DG44細胞のゲノムサザンである。
図 3は、 CH0/DG44細胞の FUT8両対立遺伝子を破壊したダブルノックアウトク口一ン WK704の ゲノムサザン解析結果を示した図である。 矢印は、 相同組換えが起こった際に検出される陽性 断片の検出位置を示す。
図 4は、 CH0/DG44細胞の FUT8両対立遺伝子を破壊したダブルノックアウトクローンより薬剤 耐性遺伝子を除去したクローンのゲノムサザン解析結果を示した図である。 レーンは左からそ れぞれ分子量マーカ一、 ダブルノックアウトクローンの薬剤耐性遺伝子除去クロ一ン 4-5 - C3、 ダブルノックアウトクローン WK704、 へミノックアウトクローン 50- 10- 104および親株である CH0/DG44細胞のゲノムサザンである。 ける反応性を、 抗体濃度を変化させて測定した図である。 横軸に抗体濃度を、 縦軸に各抗体濃 度における吸光度を示す。 口が DG44/GD3抗体、 騙が Ms705/GD3抗体をそれぞれ示す。
図 6は、 精製した MS705/GD3抗体および DG44/GD3抗体の G-361細胞に対する ADCC活性を、 抗 体濃度を変化させて測定した図である。 横軸に抗体濃度を、 縦軸に各抗体濃度における細胞傷 害活性を示す。 秦が DG44/GD3抗体、 〇が Ms705/GD3抗体をそれぞれ示す。
図 7は、 Ms705/GD3抗体のみからなる抗体組成物と、 Ms705/GD3抗体に 9倍量の DG44/GD3抗体 を混合した抗体組成物の、 G- 361細胞に対する in vitro ADCC活性を測定した図である。 縦軸 に細胞傷害活性を示す。 横軸に示した数値は、 上段から MS705/GD3抗体の濃度、 添加した DG44/GD3抗体の濃度、 総抗体濃度をそれぞれ示す。 口は Ms705/GD3抗体のみからなる抗体組成 物、 画は MS705/GD3抗体に 9倍量の DG44/GD3抗体を混合した抗体組成物の活性を示す。 発明を実施するための最良の形態
以下に、 実施例により本発明を説明するが、 本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例 1 ゲノム上の al,6 -フコシルトランスフェラーゼ(以下、 FUT8と表記する) 両対立遺 伝子を破壊した CH0/DG44細胞の造成
FUT8両対立遺伝子の翻訳開始コドンを含むゲノム領域を欠失させた CH0/DG44細胞株を以下 の手順で造成した Ρ
1.チャイニーズハムスター FUT8遺伝子のェクソン 2を含むターゲティングベクター pK0FUT8Neo の構築
W002/31140の実施例 13の 1項に記載の方法で構築されたチャイニーズ八ムスター FUT8遺伝 子のェクソン 2を含むターゲテイングベクター pK0FUT8Puroおよび pKOSelectNeo (Lexicon社 製)を用いて、 以下のようにして pKOFUTSNeoを構築した。
pKOSelectNeo (Lexicon社製)を制限酵素 (New England Bio labs社製)で消化後、 ァガ ロースゲル電気泳動に供し、 GENECLEA Spin Kit (BI0101社製) を用いてネオマイシン耐性遺 伝子発現ュニットを含む約 1.6Kbの 断片を回収した。
次に、 pK0FUT8Puroを制限酵素^ I (New England Bio labs社製)で消化後、 大腸菌 C15株由 来 Alkaline Phosphatase (宝酒造社製)により、 DNA断片の末端を脱リン酸化させた。 反応後、 フエノール/クロ口ホルム抽出処理およびエタノール沈殿法を用いて、 DNA断片を精製した。 上記で得た pKOSelectNeo由来の ^1断片 (約 1.6Kb) 0.1 gと pK0FUT8Puro由来の 1断 片 (約 10.1Kb) O.l gに滅菌水を加えて 5 Lとし、 Ligation High (東洋紡社製) 5 tLを加 えて 16Tで 30分間反応させることにより、 連結反応を行った。 該反応液を用いて大腸菌 DH5 α株を形質転換し、 得られたアンピシリン耐性クローンより各々プラスミド DNAを調製し、 BigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit v2.0 (Applied Biosystems社製) を用いて添付の説明書に従って反応後、 同社の DNAシーケンサ ABI PRISM 377により塩基配列 を解析した。 このようにして図 1に示した pK0FUT8Neoを得た。 pK0FUT8Neoは CH0細胞の FUT8 遺伝子へミノックアウト細胞株を作製するためのターゲテイングべクタ一として用いた。
2. ゲノム上の FUT8遺伝子の 1コピーを破壊した ミノックアウト細胞株の作製 · (1) ターゲティングベクター pK0FUT8Neo導入株の取得
ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子 (dhfr) を欠損したチャイニーズハムスター卵巣由来 CH0/DG44 細胞 [Somatic Cell and Moleculer Genetics, 12, 555, (1986)] に、 実施例 1の 1項で構築 したチャイニーズハムスタ一 FUT8ゲノム領域夕一ゲティングベクター pK0FUT8Neoを以下のよ うにして導入した。
pK0FUT8Neoを制限酵素 (New Engl and Biol abs社製)で消化して線状化し、 線状化した 4 の pK0FUT8Neoを 1. 6 X 106個の CH0/DG44細胞へエレクト口ポレーシヨン法 [サイトテクノロ ジー (Cytotechnol ogy), 3, 133 (1990) ]により導入した後、 IMDM-dFBS (10) - HT (1) [透析 FBS (ィ ンビトロジェン社製)を 10%、 HT suppl ement (インビトロジェン社製)を 1倍濃度で含む IMDM 培地 (インビトロジェン社製)] に懸濁し、 接着細胞培養用 10cmデッシュ (Fal con社製) へ播 種した。 5 %C02インキュベーター内で 37°C、 24時間培養後、 G418 (ナカライテスク社製) を m g/mlの濃度で含む IMDM-dFBS (if)) [透析 FBSを 10%で含む IMDM培地] 10mLに培地交換し た。 この培地交換作業を 3〜4日毎に繰り返しながら 5 %C02インキュベーター内で 37°C、 15日 間の培養を行い、 G418耐性ク口一ンを取得した。
(2) ゲノム PCRによる相同組換えの診断
本項(1)で取得した G418耐性クローンの相同組換えの診断を、 ゲノム DNAを用いた PCRによ り、 以下のように行った。 "
96穴プレート上の G418耐性クロ一ンに対してトリプシン処理を行った後、 2倍容量の凍結培 地 [20% DMS0、 40¾ ゥシ胎児血清、 40% IMDM] を各ゥエルに添加、 懸濁した。 各ゥエル中の細 胞懸濁液の半量を接着細胞用平底 96穴プレート(旭テクノグラス社製)へ播種してレプリカプ レートとする一方、 残りの半量をマスタ一プレートとして凍結保存した。
レプリカプレート上のネオマイシン耐性クローンは、 G418を 600 g/mLの濃度で含む IMDM-dFBS (10)で 5%C02インキュベーター内で 37°C、 1週間培養した後、 細胞を回収し、 回収し た細胞から公知の方法 [アナリティカル 'バイオケミストリ一 (Analyt ical Bi ochemi s t ry) ,星, 331 (1992) ]に従って各クローンのゲノム DNAを調製し、各々 の TE - RNase緩衝液 (pH8. 0) [10mmol/L Tr i s-HCK 1腿 o l/L EDTA、 200 RNase A] にー晚溶解した。
ゲノム PCRに用いるプライマ一は以下のように設計した。 まず、 W003/31140の実施例 12に 記載の方法により取得した FUT8ゲノム領域の配列 (配列番号 13) の中から、 配列番号 28また は配列番号 29でそれぞれ示されるプライマーをフォワードプライマ一とした。また、ターゲテ ィングベクターの ΙοχΡ配列に特異的に結合するプライマ一 (配列番号 30または配列番号 31) をリバースプライマーとし、 以下のポリメラーゼ連鎖反応(PCR) に用いた。上記で調製したゲ ノム DNA溶液を各々 10 L含む 25 Lの反応液 [DNAポリメラ一ゼ ExTaq (宝酒造社製)、 ExTaq buf fer (宝酒造社製)、 0. 2mmo l/L dNTPs、 0. 5 z mol/L上記プライマ ~ (フォワードプライマ一 とリバースプライマーを組み合わせて使用する) ]を調製し、 94°Cで 3分間の加熱の後、 で 1分間、 60°Cで 1分間、 72°Cで 2分間からなる反応を 1サイクルとした条件で PCRを行った。
PCR後、 該反応液を 0. 8% (w/v) ァガロースゲル電気泳動に供し、 相同組換えによって生じ る約 1. 7Kbの特異的増幅産物が認められた株を陽性クローンと判定した。
(3) ゲノムサザンブロットによる相同組換えの診断
本項(2)で取得された陽性クローンの相同組換えの診断を、ゲノム DNAを用いたサザンブロッ トにより、 以下のように行った。
本項(2)で凍結保存したマスタープレートのうち、 本項(2)で見出された陽性クローンを含む 96穴プレー卜を選択し、 5¾C02インキュベーター内で 37で、 10分間静置した後、 陽性クローン に該当するゥヱル中の細胞を接着細胞用平底 24穴プレート(グライナ一社製)へ播種した。 G418
を 600^g/mLの濃度で含む IMDM- dFBS(10)を用いて 5%C02インキュベーター内で 37°C、 1週間培 養した後、 接着細胞用平底 6穴プレート (グライナ一社製) へ播種した。 該プレートを^ C02 インキュベータ一内で 37°Cにて培養し、 細胞を回収した。 回収した細胞より公知の方法 [ヌク レイツ夕 .ァシッド .リサーチ(Nucleic Acids Research), 3, 2303, (1976)] に従って各クロ —ンのゲノム DNAを調製し、 各々 150/xL の TE-RNase緩衝液 (pH8.0) にー晚溶解した。
上記で調製したゲノム DNA 12^gを制限酵素^ IHHNCT England Bio labs社製)で消化し、 エタノール沈殿法を用いて DNA断片を回収した後、 20 iLの TE緩衝液 (pH8.0) [lOmmol/L Tris-HCK 1匪 ol/L EDTA] に溶解し、 0.6 (w/v) ァガロースゲル電気泳動に供した。 泳動後、 公知の方法 [プロシーデイングス ·ォブ ·ザ ·ナショナル ·アカデミー ·ォブ ·サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci. USA), 76, 3683, (1979)] に従って、 ナイロン膜へゲノム DNAを転写した。 転写終了後、 ナイロン膜に対し 80°Cで 2時間の熱処理を行い、 固定化した。
一方、 サザンブロットに用いるプローブを以下のように調製した。 W003/31140の実施例 12 に記載の方法により取得した FUT8ゲノム領域の配列 (配列番号 13) の中から、 配列番号 32お よび配列番号 33でそれぞれ示されるプライマーを作製し、 以下の PCRに用いた。 W002/31140 の実施例 12に記載の pFUT8fgE2- 24. Ongをテンプレートとして含む 20 Lの反応液 [DNAポリ メラーゼ ExTaq (宝酒造社製)、 ExTaq buffer (宝酒造社製)、 0.2讓 ol/L dNTPs、 0.5/xmol/L上 記プラ マ"]を調製し、 94°Cで 1分間の加熱の後、 94°Cで 30秒間、 55でで 30秒間、 74 で 1 分間からなる反応を 1サイクルとした 25サイクルの条件で PCRを行った。
PCR後、該反応液を L 75¾(w/v) ァガロースゲル電気泳動に供し、 GENECLEAN Spin Kit (BI0101 社製) を用いて約 230bpのプローブ DNA断片を回収した。 得られたプローブ DNA溶液のうち 5 Lを、 [o;-32P] dCTP 1.75MBqおよび Megaprime DNA Labelling system, dCTP (Amersham Pharmacia Biotech社製) を用いて放射線標識した。
ハイブリダィゼ一シヨンは以下のように行った。 まず、 上記のゲノム DNA消化物が転写され たナイロン膜をローラーボトルへ封入し、 15mLのハイブリダィゼ一シヨン液 [5XSSPE、 50X Denhaldt's液、 0.5%(w/v) SDS、 100 g/mLサケ精子 DNA] を加えて 65でで 3,時間のプレハイ ブリダィゼーシヨンを行った後、 32P標識したプローブ DNAを熱変性してボトルへ投入し、 65で でー晚ハイブリダイゼーションを行つた。
ハイブリダィゼーシヨン後、 ナイロン膜を 50mLの一次洗浄液 [2XSSC-0. l¾(w/v) SDS] に 浸潰し、 65 で 15分間加温して洗浄した。上記の洗浄操作を 2回繰り返した後、 ナイロン膜を 50mLの二次洗浄液 [0.2XSSC— 0.1¾(w/v) SDS] に浸漬し、 65でで 15分間加温して洗浄した。 洗浄後、 ナイロン膜を X線フィルムへ- 80°Cで暴露し現像した。
図 2には、 親株である CH0/DG44細胞、 および本項 (2) で取得した陽性クローンである 50 - 10-104株のゲノム DNAを本法により解析した結果を示した。 CH0/DG44細胞では、野生型 FUT8 対立遺伝子由来の約 25.5Kbの断片のみが検出された。 一方、 陽性クローン 50-10-104株では、 野生型 FUT8対立遺伝子由来の約 25.5Kbの断片に加え、 相同組換えされた対立遺伝子に特異的 な約 20.0Kbの断片が検出された。 両断片の量比は 1: 1であったことから、 50- 10-104株は、 FUT8対立遺伝子のうち 1コピーが破壊されたへミノックァゥトクローンであることが確認され た。 '
3. ゲノム上の FUT8遺伝子をダブルノックアウトした CH0/DG44細胞の作製
(1) ターゲティングベクター pK0FUT8Puro導入株の作製
本実施例の 2項で得た FUT8遺伝子へミノックアウトクローンのもう一方の FUT8対立遺伝子 を破壊するために、 WO0V31140の実施例 13の 1項に記載のチャイニーズハムスター FUT8遺伝 子ェクソン 2ターゲティングベクタ一である pK0FUT8Puroを以下のようにして導入した。 pK0FUT8Puroを制限酵素^ il (New England Biolabs社製)で消化して線状化し、 線状化した 4 gの pK0FUT8Pur 0を 1.6 X 106個の FUT8遺伝子へミノックアウトクロ一ンへェレクトロポレ ーシヨン法 [サイトテクノロジー (Cytotechnology) , 3, 133 (1990)]により導入後、 IMDM-dFBS (ΙΟ)-ΗΤ(Ι) に懸濁し、 接着細胞培養用 10cmデッシュ (Falcon社製) へ播種した。 5%C02イン キュベ一ター内で 37で、 24,時間培養後、 ピューロマイシン (SIGMA社製) を 15 /x g/mLの濃度 で含む IMDM-dFBS (10)-HT(1) lOmLに培地交換した。 この培地交換作業を 7日毎に繰り返しな がら 5%C02インキュベータ一内で 37Τ 15日間の培養を行い、 ピューロマイシン耐性クロ一 ンを取得した。
(2) ゲノムサザンブロットによる相同組換えの診断 '
本項(1)で取得された薬剤耐性クローンの相同組換えの診断を、ゲノム DNAを用いたサザンブ ロットにより以下のように行った。
ピューロマイシン耐性クローンを、 公知の方法 [Gene Targeting, Oxford University Press, (1993)] に従って接着細胞用平底プレート (旭テクノグラス社製) へ採取し、 ピューロマイシ ン (SIGMA社製) を 15 ig/mLの濃度で含む IMDM-dFBS αθ)-ΗΤ(Ι)を用いて 5%C02インキュべ 一ター内で 37°C、 1週間培養した。
培養後、上記プレートの各クローンに対しトリプシン処理を行い、接着細胞用平底 24穴プレ ート (グライナ一社製) へ播種した。 ピューロマイシン (SIGMA社製) を 15 xg/mLの濃度で含 む IMM- dFBS αθ)-ΗΤ(1)を用いて 5%C02インキュベータ一内で 37°C、 1週間培養した後、 同様 にトリプシン処理を行い、 接着細胞用平底 6穴プレート (グライナ一社製) へ播種した。 該プ レートを 5%.C02インキュベーター内で 37°Cにて培養し、回収した細胞より公知の方法 [ヌクレ イツク ·ァシッド · リサーチ(Nucleic Acids Research), 3, 2303, (1976)] に従って各クロ一 ンのゲノム DNAを調製し、 各々 150/ Lの TE-RNase緩衝液 (ρΗ8· 0)にー晚溶解した。
上記で調製したゲノム DNA 12 /gを制限^素 j^ i New England Biolabs社製)で消化し、 エタノール沈殿法を用いて DNA断片を回収した後、 の TE緩衝液 (PH8.0) に溶解し、 0.6¾(w/v) ァガ口一スゲル電気泳動に供した。 泳動後、 公知の方法 [プロシーディンダス 'ォ ブ ·ザ ·ナショナル ·アカデミー ·ォブ ·サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci. USA), 76, 3683, (1979)] に従って、 ナイロン膜へゲノム DNAを転写した。 転写後、 ナイロン膜に対し 80°Cで 2 時間の熱処理を行い、 固定化した。
一方、 サザンブロットに用いるプローブを以下のように調製した。 まず、 ターゲテイングべ クタ一に含まれる FUT8ゲノム領域よりもさらに 5 '側の配列に特異的に結合するプライマー (配 列番号 34および配列番号 35) を作製し、以下の PCRに用いた。 W002/31140の実施例 12に記載 のプラスミド pFUT8fgE2- 24. Ongをテンプレートとして含む 20 の反応液 [DNAポリメラーゼ ExTaq (宝酒造社製)、 ExTaq bui fer (宝酒造社製)、 0, 2腿 ol/L dNTPs、 0.5 mol/L上記プライマ
―]を調製し、 94°Cで 1分間の加熱の後、 94^で 30秒間、 55°Cで 30秒間、 74。Cで 1分間からな る反応を 1サイクルとした 25サイクルの条件で PCRを行つた。
PCR後、'該反応液を 1.75%(w/v) ァガ口一スゲル電気泳動に供し、 GENECLEANSpinKit (BI0101 社製) を用いて約 230bpのプローブ DNA断片を精製した。 られたプローブ DNA溶液のうち 5 Lを、 [a- 32P] dCTP 1.75MBqおよび Megaprime DNA Labelling system, dCTP (Amersham Pharmacia Biotech社製) を用いて放射線標識した。
ハイブリダィゼーシヨンは以下のように行った。 まず、 上記の:ゲノム DNA消化物が転写され たナイロン膜をローラーポトルへ封入し、 15mLのハイブリダィゼーシヨン液 [5XSSPE、 50X Denhaldt' s液、 0.5% (w/v) SDS、 100 zg/mLサケ精子 DNA] を加えて 65でで 3時間のプレハイ プリダイゼ一シヨンを行った後、 32P標識したプローブ DNAを熱変性してボトルへ投入し、 65°C でー晚ハイブリダイゼ一シヨンを行つた。
ハイブリダィゼーシヨン後、 ナイロン膜を 50mLの一次洗浄液 ['2XSSC-0.1%( /v) SDS] に 浸潰し、 65°Cで 15分間加温して洗浄した。上記の洗浄操作を 2回繰り返した後、ナイロン膜を 50mLの二次洗浄液 [0.2XSSC-0. l¾( /v) SDS] に浸漬し、 65°Cで 15分間加温して洗浄した。 洗浄後、 ナイロン膜を X線フィルムへ- 80°Cで暴露し現像した。
図 3には、 50-10-104株から本項(1)に記載の方法により取得したピュー口マイシン耐性ク口 —ンの 1つである WK704株のゲノム DNAを本法により解析した結果を示した。 WK704株では、 野生 M FUT8対立遺伝子由来の約 25.5K の断片が消失し、 相同組換えされた対立遺伝子に特異 的な約 20.0Kbの断片(図中に矢印で示す) のみが検出された。 この結果から WK704株は、 FUT8 両対立遺伝子が破壊されたクローンであることが確認された。
4. FUT8遺伝子をダブルノックアウトした細胞からの薬剤耐性遺伝子の除去
(1) Creリコンビナーゼ発現ベクターの導入
本実施例の 3項で取得した FUT8遺伝子ダブルノックアウトクローンの薬剤耐性遺伝子を除去 することを目的として、. Creリコンピナーゼ発現ベクター pBS185 (Life Technologies社製) を 以下のようにして導入した。
の pBS185を 1.6X106個の FUT8遺伝子ダブルノックァゥトク口一ンへエレクトロポレー シヨン法 [サイトテクノロジー (Cytotechnology) , 3, 133 (1990)]により導入後、 IMDM-dFBS (lO)-HT(l) lOmL に懸濁し、 さらに同培地を用いて 2万倍に希釈した。 該希釈液を接着細胞培 養用 10cmディッシュ (Falcon社製) 7枚へ播種後、 5% C02インキュベータ一内で 3'7°C、 10日 間の培養を行い、 コロニーを形成させた。
(2) Creリコンピナーゼ発現べクタ一導入株の取得
本項(1)で取得したコロニーのうち、 任意のクローンを公知の方法 [Gene Targeting, Oxford University Press, (1993)] に従って接着細胞用平底プレート (旭テクノグラス社製) へ採取 し、 IMDM-dFBS(10)-HT(l)を用いて 5%C02インキュベーター内で 37°C、 1週間培養した。
培養後、上記プレートの各クローンに対してトリプシン処理を行い、 2倍容量の凍結培地 [20% DMS0、 40% ゥシ胎児血清、 40 IMDM] を各ゥエルに添加、 懸濁した。 各ゥエル中の細胞顕濁液 の半量を接着細胞用平底 96穴プレート. (旭テクノガラス社製)へ播種してレプリカプレ一トと する一方、 残りの半量をマスタープレートとして凍結保存した。
次にレプリカプレート上の細胞を、 G418を 600 g/mL、 ピューロマイシンを 15 xg/mLの濃度 で含む IMDM-dFBS (10)-HT(1)を用いて 5%C02インキュベータ一内で 37 、一週間培養した。 Cre リコンピナ一ゼの発現により ΙοχΡ配列に挟まれた薬剤耐性遺伝子が除去された陽性クローン は、 G418およびピューロマイシン存在下で死滅する。 本法により陽性クローンを選択した。 (3) ゲノムサザンプロットによる薬剤耐性遺伝子除去の診断
本項 (2)で選択した陽性クローンに対し、以下の手順でゲノムサザンブロットによる薬剤耐性 遺伝子除去の診断を行った。
本項(2)で凍結保存したマスタープレートのうち、 上記陽性クローンを含む 96穴プレートを 選択し、 5 C02インキュベータ一内で 37で、 10分間静置した。 静置後、 上記クローンに該当す るゥエルから細胞を接着細胞用平底 24穴プレート (グライナ一社製) へ播種した。 IMDM-dFBS (ΙΟ)-ΗΤ(Ι)を用いて 1週間培養した後、 トリプシン処理を行い、 接着細胞用平底 6穴プレート (グライナ一社製) へ播種して 5%C02インキュベーター内で 37°Cで培養し、 増殖した細胞を回 収した。 回収した細胞より公知の方法 [ヌクレイック ·ァシッド ·リサーチ (Nucleic Acids Research), 3, 2303, (1976)] に従って各クローンのゲノム DNAを調製し、 各々 の TE-RNase緩衝液 (pH8.0) にー晚溶解した。
上記で調製したゲノム DNA 12 igを制限酵素 I (New England Biolabs社製)で消化し、 エタノール沈殿法を用いて DNA断片を回収した後、 20; L の TE緩衝液 (pH8.0)に溶解し、 0.6¾(w/v) ァガロースゲル電気泳動に供した。 泳動後、 公知の方法 [プロシ一ディンダス *ォ ブ ·ザ ·ナショナル ·アカデミー ·ォブ ·サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci. USA), 76, 3683, (1979)] に従って、 ナイロン膜へゲノム DNAを転写した。 転写終了後、 ナイロン膜に対し 80°C で 2時間の熱処理を行い、 固定化した。
一方、 サザンブロットに用いるプローブを以下のように調製した。 ターゲティングベクター に含まれる FUT8ゲノム領域よりもさらに 5'側の配列に特異的に結合するプライマ一 (配列番 号 34および配列番号 35) を用いて、 以下の PCRを行った。 W002/31140の実施例 12に記載の pFUT8fgE2-24. Ongをテンプレートとして含む 20 iLの反応 M [DNAポリメラーゼ ExTaq (宝酒造 社製)、 ExTaq buffer (宝酒造社製)、 0.2匪 ol/L dNTPs、 0.5 1/L 上記プライマー]を調製し、 94°Cで 1分間の加熱の後、 94°Cで 30秒間、 55°Cで 30秒間、 74°Cで 1分間からなる反応を 1サ ィクルとした 25サイクルの条件で PCRを行った。
PCR後、該反応液を 1.75¾ (w/v) ァガロースゲル電気泳動に供し、 GENECLEAN Spin Kit (BI0101 社製) を用いて、 約 230bpのプローブ DNA断片を精製した。 得られたプローブ DNA溶液のうち 5;iiLを、 [α -32 P] dCTP 1.75MBqおよび Megaprime DNA Labelling system, dCTP (Amersham Pharmacia Bio tech社製) を用いて放射線標識した。
ハイブリダィゼーシヨンは以下のように行った。 まず、 上記のゲノム DNA消化物が転写され たナイロン膜を口一ラーボトルへ封入し、ハイプリダイゼーション液 [5XSSPE、 50XDenhaldt' s液、 0.5%(w/v) SDS、 100 g/mLサケ精子 DNA] 15mLを加えて 65。Cで 3時間のプレハイプリ ダイゼーシヨン後、 32P標識したプローブ DNAを熱変性してボトルへ投入し、 65°Cでー晚ハイブ リダイゼ―ションを行つた。
ハイブリダィゼ一シヨン後、 ナイロン膜を 50mLの一次洗浄液 [2 X SSC- 0. 1¾ (W/V) SDS] に 浸漬し、 65でで 15分間加温して洗浄した。上記の洗浄操作を 2回繰り返した後、.ナイロン膜を 50mLの二次洗浄液 [0. 2 X SSC-0. 1¾ (W/V) SDS] に浸漬し、 65°Cで 15分間加温して洗浄した。 洗浄後、 ナイロン膜を X線フィルムへ- 80°Cで暴露し現像した。
図 4には、 親株である CH0/DG44細胞、 本実施例の 2項に記載の 50-10-104株、 本実施例の 3 項に記載の WK704株、および WK704株から本項(2)に記載の方法により取得した薬剤感受性ク口 ーンの 1つである 4- 5- C3株のゲノム DNAを、 本法により解析した結果を示した。 CH0/DG44細 胞では、 野生型 FUT8対立遺伝子に由来する約 8. 0Kbの DNA断片のみが検出された。 また、 50-10-10 株や WK70 株では、 相同組換えが起こった対立遺伝子に由来する約 9. 5Kbの DNA断 片が認められた。一方、 4-5-C3株では、 相伺組換えが起こつた対立遺伝子からさらにネオマイ シン耐性遺伝子(約 1. 6Kb) およびピューロマイシン耐性遺伝子(約 1. 5Kb) が除去されて生じ る約 8. 0Kbの DNA断片のみが検出された。 この結果から 4-5-C3株は、 Creリコンビナ一ゼによ り薬剤耐性遺伝子が除去されたことが確認された。 +
薬剤耐性遺伝子の除去された FUT8遺伝子ダブルノックアウトクローン (以下、 FUT8遺伝子 ダブルノックアウト細胞と表記する) は、 4- 5- C3株以外にも複数株取得された。 実施例 2 FUT8遺伝子ダブルノックアウト細胞による抗ガングリオシド GD3ヒト CDR移植抗体 組成物の発現 ,
1. FUT8遺伝子ダブルノックアウト細胞での安定発現
実施例 1の 4項に記載の FUT8遺伝子ダブルノックァゥト細胞および親株である CH0/DG44細 胞に、 W001/23432に記載の抗ガングリオシド GD3ヒト型 CDR移植抗体発現ベクター
pKA TEX641HLCDRLm-69を導入し、抗ガンダリオシド GD3ヒト型 CDR移植抗体組成物の安定生産 細胞を以下のようにして作製した。
pKANTEX641HLCDRLm-69を制限酵素 Aat l l (New England Biolabs社製) で消化して直線状化 した後、 直線状化された 10 /i gの PKANTEX1259HV3LV0を 1. 6 X 106個の FUT8遺伝子ダブルノッ クァウト細胞および親株である CH0/DG44細胞へエレクト口ポレーシヨン法 [サイトテクノロジ ― (Cy to technology) , 3, 133 (1990) ]により導入後、 lOmLの IMDM-dFBS (10) -HT (1) [透析 FBS (インピトロジェン社製)を 10%、 HT supplement (インビトロジェン社製)を 1倍濃度で含む IMDM培地 (インビトロジェン社製)] に懸濁し、 75cm2フラスコ(グライナ一社製)に播種した。 5%C02インキュベーター内で 37°C、 24時間培養後、 G418 (ナカライテスク社製) を 500 g/mL の濃度で含む IMDM-dFBS (10) [透析 FBSを 10%で含む IMDM培地] に培地交換し、 1〜2週間培 養した。 最終的に G418を 500 g/mLの濃度で含む IMDM-dFBS (10) 培地で増殖可能かつ、 抗ガ ングリオシド GD3ヒト型 CDR移植抗体を生産する形質転換株を得た。親株の CH0/DG44細胞より 得られた形質転換株を DG44/GD3株、 FUT8遺伝子ダブルノックァゥト細胞より得られた形質転 換株を MS705/GD3株と名付けた。
2. 培養上清中のヒト IgG抗体濃度の測定 (ELISA法)
ャギ抗ヒト IgG (H&L)抗体 (American Qua lex社製)を Phosphate Buf fered Sal ine (以下、 PBS と表記する) (インビトロジェン社製)で希釈して 1 ig/mLとし、 96穴の ELISA用プレ一ト(グ
ライナー社製) に、 50 L/ゥエルで分注し、 4°Cでー晚放置して吸着させた。 PBSで洗浄後、 BSA を 1 %の濃度で含む PBS (以下、 1 %BSA- PBSと表記する) (和光純薬社製) を 100 L/ゥエルで 加え、 室温で 1時間反応させて残存する活性基をブロックした。 1 %BSA-PBSを捨て、 形質転換 株の培養上清、 または培養上清から精製した抗体の各種希釈溶液を ゥエルで加え、 室温 で 1時間反応させた。反応後、 Tween20を 0. 05 %の濃度で含む PBS (以下、 Tween-PBSと表記す る) (和光純薬社製) で各ゥエルを洗浄後、 1 %BSA- PBSで 2000倍に希釈したペルォキシダー ゼ標識ャギ抗ヒト IgG (H&L)抗体溶液 (Amer ican Qual ex社製) を二次抗体溶液として、 それぞ れ 50 L/ゥエルで加え、 室温で 1時間反応させた。 反応後、 Tween-PBSで洗浄後、 ABTS基質液 [2, 2' -アジノ -ビス(3-ェチルベンゾチアゾリン -6-スルホン酸)アンモニゥム (和光純薬社製) の 0. 55gを 1Lの 0. 1 クェン酸緩衝液 (pH4. 2)に溶解し、使用直前に過酸化水素 (和光純薬社製) を l L/mLで添加した溶液]を 50 i L/ゥエルで加えて発色させ、 415nmの吸光度 (以下、 0D415 と表記する) を測定した。 _
3:抗ガングリオシド GD3ヒト型 CDR移植抗体組成物の精製
実施例 2の 1項で得られた形質転換細胞株 DG44/GD3株および Ms705/GD3株を用いて、それぞ れが生産する抗ガンダリオシド GD3ヒト型 CDR移植抗体組成物を以下のようにして精製した。 各々の形質転換株を、 G418を 500 g/mLの濃度で含む IMDM-dFBS (10)に懸濁し、 30mLを 182cm2 フラスコ (グライナ一社製) に播種して 5 %C02インキュベーター内で 37T、 数日間培養した。 細胞密度がコンフルェントになつた時点で培養上清を除去し、 15mLの PBSで細胞を洗浄後、 EXCELL301培地(JRH Bi osc i ences社製) 30mLを注入した。 5¾∞2ィンキュベータ一内で 37°C、 7日間培養後、 細胞懸濁液を回収し、 3000ι·ρηι、 4での条件で 5分間の遠心分離を行って上清を 回収した後、 0. 22 m孔径 Mi I lex GV フィルター (ミリポア社製) を用いて濾過滅菌した。 上 述の方法により取得した培養上清より、 Mab Se lec t ( ersham Bi osc iences社製) カラムを用 いて、 添付の説明書に従い、 抗ガンダリオシド GD3ヒト型 CDR移植抗体組成物を精製した。 精 製した抗ガンダリオシド GD3ヒト型 CDR移植抗体組成物は、 DG44/GD3株より得られた抗体組成 物を DG44/GD3抗体、 Ms705/GD3株より得られた抗体組成物を Ms705/GD3抗体と名付けた。なお、 取得した MS705/GD3株は、 平成., 15年 9月 9日付けで独立法人産業技術総合研究所特許生物寄 託センタ一 (日本国茨城県つくば市東 1丁目 1番地中央第 6) に FERM BP-8469として寄託 した。 実施例 3 FUT8遺伝子ダブルノックァゥト細胞が生産する抗ガングリオシド GD3ヒト型 CDR移 植抗体の生物活性
1. 抗ガンダリオシド GD3ヒト型 CDR移植抗体のガンダリオシド GD3に対する結合活性 (EL I SA 法) .
ガンダリオシド GD3を用いて、 実施例 2の 3項で精製した DG44/GD3抗体および Ms705/GD3 抗体のガンダリオシド GD3に対する結合活性を、 以下のようにして測定した。
ガンダリオシド GD3を PBSで希釈して 5 / g/mLとし、 96穴の ELISA用プレート (グライナ一 社製) に 50 L/ゥエルで分注し、 4ででー晚放置して吸着させた。 PBSで洗浄後、 1 %BSA- PBS を 100 L/ゥエルで加え、室温で 1時間反応させて残存する活性基をブロックした。 1 %BSA-PBS
を捨て、 各ゥエルを TweeiHPBSで洗浄後、 実施例 2の 3項で調製した DG44/GD3抗体または ¾}3705 03抗体の各種希釈溶液を50 17ゥェルで加ぇ、 室温で 2時間反応させた。 反応後、 各 ゥエルを Tween- PBSで洗净後、 1 %BSA-PBSで 2000倍に希釈したペルォキシダーゼ標識マウス 抗ヒト IgGl (Fc)抗体 (サザンバイォテクノロジ一社製) を二次抗体溶液として、 それぞれ 50 ^L/ゥエルで加え、 室温で 1時間 応させた。 反応後、 Tween-PBSで洗浄後、 ABTS基質液を 50 L/ゥエルで加えて発色させ、 0D415を測定した。
図 5には、 DG44/GD3抗体および Ms705/GD3抗体のガンダリオシド GD3に対する結合活性を示 した。 両抗体はガ'ングリオシド GD3に対して同等の結合活性を有していた。 .
2. 抗ガンダリオシド GD3ヒト型 CDR移植抗体組成物の in vi tro細胞傷害活性 (ADCC活性) 実施例 Iの 3項で得られた DG44/GD3抗体および Ms705/GD3抗体の vi tro細胞傷害活性を 以下のようにして測定した。
( 1 ) 標的細胞溶液の調製 - ヒト'メラノ一マ培養細胞株 G-361細胞 (ATCC CRL1424)を遠心分離操作及び懸濁により RPMI 1640- FCS (5)培地 (5%FCSを含む RPMI 1640培地(GIBCO BRL社製)) で洗浄した後、 RPMI 1640-FCS (5) 培地によって、 2 X 105細胞/ mLに調製し、 標的細胞溶液とした。,
( 2 ) エフェクター細胞溶液の調製 ,
健常人静脈血 50mLを採取し、 へパリンナトリウム (清水製薬社製) 0. 5mLを加え穏やかに混 ぜた。 これを Lymphoprep (AXIS SHIELD社製) を用いて、 添付の使用説明書に従い単核球層を 分離した。 RPMI 1640- FCS (5) 培地で 3回遠心分離して洗浄後、 同培地を用いて 5 X 細胞/ mL の濃度で懸濁し、 エブェク夕一細胞溶液とした。
( 3 ) ADCC活性の測定
96ゥエル U字底プレート (Falcon社製) の各ゥエルに上記 (1) で調製した標的細胞溶液の 50 iL (1 X 104細胞/ゥエル) を分注した。 次いで (2) で調製したエフェクター細胞溶液を 50 m l (2. 5 X 細胞/ゥエル、エフェクター細胞と標的細胞の比は 25 : 1となる) 添加した。更に、 各種抗ガンダリオシド GD3ヒト型 CDR移植抗体を各最終濃度 0. l~1000ng/mLとなるように加え て全量を 150 Lとし、 37 で 4時間反応させた。 反応後、 プレートを遠心分離し、 上清中の乳 酸デヒドロゲナーゼ(LDH)活性を、 CytoTox96 Non-Radioact ive Cytotoxici ty Assay (Promega 社製) を用いて、 添付の説明書にしたがって吸光度を測定した。 標的細胞自然遊離の吸光度デ 一夕は、 エフェクター細胞溶液および抗体溶液の代わりに培地のみを用いて、 また、 エフェク 夕一細胞自然遊離の吸光度データは、 標的細胞溶液および抗体溶液の代わりに培地のみを用い て、 上記と同様の操作を行うことで取得した。 標的細胞全遊離の吸光度データは、 抗体溶液、 エフェクター細胞溶液の代わりに培地を用い、 反応終了 45分前に 15 iLの 9% Tri ton X- 100 溶液を添加し、 上記と同様の操作を行い、 上清の LDH活性を測定することにより求めた。 ADCC 活性は次式により求めた。
[検体の吸光度] - [エフェク夕一細胞自然遊離の吸光度]一 [標的細胞白然遊離の吸光度 , nn 細胞 P 屯"^ ( °/ ) ~
" [標的細胞全遊離の吸光度]— [標的細胞自然遊離の吸光
度]
図 6には、 DG44/GD3抗体および Ms 705/GD3抗体の G- 361細胞に対する細胞傷害活性を示した。 MS705/GD3抗体はいずれの抗体濃度においても DG44/GD3抗体よりも高い ADCC活性を示し、 最 高細胞傷害活性値も高い値を示した。 - 実施例 4 FUT8遺伝子ダブルノックァゥト細胞が生産する坊ガングリオシド GD3ヒト型 CDR移 植抗体組成物の単糖組成分析
実施例 1の 3項で精製した DG44/GD3抗体および Ms705/GD3抗体の中性糖'アミノ糖組成分析 を、 以下のようにして行った。
抗体を遠心濃縮機で減圧下乾固した後、 2. 0-4. 0Mのトリフルォロ酢酸溶液を加えて 100°C、 2 - 4時間酸加水分解を行い、 タンパク質から中性糖 ·ァミノ糖を遊離した。 トリフルォロ酢酸 溶液を遠心濃縮機で除去し、脱イオン水に再溶解して Dionex社製糖分析装置 (DX- 500)を用いて 分析を つた。 CarboPac PA-1カラム、 CarboPac PA- 1ガードカラム (Dionex社製)を用い、 溶 離液として 10-20m 水酸化ナトリゥム-脱イオン水溶解液、洗浄液として 500mM 7_K酸化ナトリウ ム-脱イオン水溶解液を使用して、 表 1に示した溶出プログラムで分析した。
表 中性糖 ·アミノ糖組成分析の溶出プログラム
時間 (分) 0 35 35.1 45 45.1 58 溶離液 (%) 100 100 0 0 100 100 洗浄液 (%) 0 0 100 100 0 0 得られた溶出プロファイルの中性糖 ·アミノ糖成分のピーク面積から、 Ν-ァセチルダルコサ ミン比を 4とした場合の各成分(フコース、ガラクトース、マンノース)の組成比を算出した。 表 2に各抗体の単糖組成比により計算される、 全 Ν-グリコシド結合複合型糖鎖に占める、糖 鎖還元末端の Ν -ァセチルダルコサミンにフコースが結合していない糖鎖の割合を示した。
DG44/GD3抗体ではフコースが結合していない糖鎖の割合が 2%であった。 一方、 Ms705/GD3抗 体ではフコースのピークは検出限界以下であったことから、 フコースが結合していない糖鎖の 割合はほぼ 100%と見積もられた。
以上の結果より、 MS705/GD3抗体の N -ダリコシド結合複合型糖鎖の還元末端の N-ァセチルダ ルコサミンには、 フコースが結合していないことが示された。 表 2
抗ガンダリオシド GD3ヒト型 CDR移植抗体組成物のフコ、 -スが結合していない糖鎖の割合 抗体名 フコースが結合していない糖鎖の割合(%)
DG44/GD3抗体 2%
MS705/GD3抗体 100%
W 200
61 実施例 5 フコースが結合していない糖鎖を有する抗ガングリオシド GD3ヒト型 CDR移植抗体組 成物の生物活性の解析
本発明の抗ガンダリオシド GD3ヒト型 CDR移植抗体組成物の優位性をさらに明らかにするた' め、 フコースが結合していない糖鎖を有する抗体組成物と、 フコースが結合していない糖鎖を 有する抗体分子とフコースが結合する糖鎖を有する抗体分子とが混合された抗体組成物との生 物活性の比較を行った。 具体的には、 フコースが結合していない糖鎖を有する抗ガンダリオシ ド GD3ヒト型 CDR移植抗体組成物である MS705/GD3抗体に、フコースが結合する糖鎖を有する抗ガ ングリオシド GD3ヒト型 CDR移植抗体を混合させた抗体組成物の細胞傷害活性の変化を以下のよ うにして調べた
1. 標的細胞溶液の調製
実施例 3の 2項の (1) に記載の方法に従って行った。 ―
2. エフェクター細胞溶液の調製
実施例 3の 2項の (2) に記載の方法に従って単核球層を分離し、 RPMI 1640- FCS (5)培地を用 いて 4 X 106細胞/ mLの濃度で懸濁レ、 エフェクター細胞溶液とした。
3. ADCC活性の測定
96ゥエル U字底プレート (Falcon社製) の各ゥ ルに、 上記 1で調製した標的細胞溶液を 50 L (1 104細胞/ゥエル) 分注.'した。 次いで 2で調製したエフェクター細胞溶液を 50 L (2 X 105 細胞/ゥエル、 エフェクター細胞と標的細胞の比は 20 : 1となる) 添加した。 更に、 MS705/GD3抗 体および DG44/GD3抗体をそれぞれ単独で、 または両者を混合して加えて全量を 150 / Lとし、 37 °Cで 4時間反応させた。 反応後、 プレートを遠心分離し、 上清中の乳酸デヒドロゲナーゼ (LDH) 活性を LDH- Cy to toxic Tes t Wako (和光純薬社製) を用いて添付の説明書に従い測定した。 ADCC 活性は実施例 3の 2項に記載の方法に従って算出した。
一定量の MS705/GD3抗体に DG44/GD3抗体を添加することで、 フコースが結合していない糖鎖 を有する抗体の割合を変化させた抗ガンダリオシド GD3ヒト型 CDR移植抗体組成物を調製し、 そ の ADCC活性を測定した。具体的には、 37ng/mLの MS705/GD3抗体にさらに MS705/GD3抗体を添加す ると、 総抗体濃度の増加にともなって ADCC活性の上昇が観察されたが、 37ng/niLの MS705/GD3抗 体にさらに DG44/GD3抗体を添加しても、 総抗体濃度が増加するにも関わらず調製した抗体組成 物 ©ADCC活性は逆に低下した。 このことは、 フコースが結合する糖鎖を有する抗体分子が、 フ コースが結合していない糖鎖を有する抗体分子の ADCC活性を阻害することを示している。また、 フコースが結合する糖鎖を有する抗体分子とフコースが結合していない糖鎖を有する抗体分子 力 S混合された抗体組成物においても、 フコースが結合していない糖鎖を有する抗体分子の割合 が 20%以上の抗体組成物では、該割合が 20%未満の抗体組成物に比べ顕著に高い ADCC活性を示し た。
図 7に、 100ng/mLの Ms705/GD3抗体サンプルと、 100ng/mLの Ms705/GD3抗体に 9倍量の 900ng/mL の DG44/GD3抗体を加えた抗体サンプルの ADCC活性を示した。 Ms705/GD3抗体の ADCC活性は DG44/GD3抗体を加えることで大幅に低下した。また、 Ms705/GD3抗体と DG44/GD3抗体の存在比が 1対 9のまま抗体組成物の抗体濃度を 100倍の 10, 000ng/mLに上昇させても、 100ng mLの Ms705/GD3
抗体サンプルの ADCC活性には及ばなかつた。
以上のことから、 フコースが結合した糖鎖を有する抗体分子が、 フコ一スが結合しない糖鎖 を有する抗体分子の ADCC¾性を阻害していること、 従来の抗体組成物では、 本発明の抗体組成 物と同等の ADCC活性を発揮することはできないことが明らかとなった。
したが,つて、 本発明の抗体組成物によって、 従来の抗体組成物では治癒できなかった患者を 治療することができる。 産業上の利用可能性 ' . 本発明によりガングリオシド GD3に特異的に結合し、 N-グリコシド結合複合型糖鎖を Fc領域 に有する遺伝子組み換え抗体分子からなる組成物であって、 N-グリコシド結合複合型糖鎖が該 糖鎖の還元末端の N-ァセチルグルコサミンにフコースが結合していない糖鎖である抗体組成 物、 該抗体組成物を生産する形質転換体、 該抗体組成物の製造方法および該抗体組成物を含有 する医薬が提供される。 配列表フリ- -テキスト
配列番号 22-人工配列の説明 :抗体重鎖可変領域アミノ酸配列
配列番号 23-人工配列の説明:抗体軽鎖可変領域アミノ酸配列
配列番号 24-人工配列の説明:抗体軽鎖可変領域アミノ酸配列
配列番号 25-人工配列の説明:抗体重鎖可変領域アミノ酸配列
配列番号 26-人工配列の説明:抗体軽鎖可変領域アミノ酸配列
配列番号 27-人工配列の説明:抗体軽鎖可変領域ァミノ酸配列
配列番号 28-人工配列の説明:合成 DNA
配列番号 29-人工配列の説明:合成醒
配列番号 30-人工配列の説明:合成腿
配列番号 31-人工配列の説明:合成醒
配列番号 32-人工配列の説明:合成舰
配列番号 33-人工配列の説明:合成赚 .
配列番号 34-人工配列の説明:合成 DNA
配列番号 35-人工配列の説明:合成醒