ヒト VEGF受容体 Fit- 1に特異的に結合する抗体組成物 技 fe分野
'本発明は、 ヒト血管内皮細胞増殖因子 (Vascular Endothelial Growth Factor;以 下、 VEGFと表記する) 受容体 fms- like tyrosine kinase (以下、 Flt-lと表記す る) に特異的に結合し、 N-グリコシド結合複合型糖鎖を Fc領域に有する遺伝子組換 え抗体分子からなる抗体組成物であって、 N-グリコシド結合複合型糖鎖が該糖鎖の還 元末端の N-ァセチルダルコサミンにフコースが結合していない糖鎖である抗体組成 物、 該抗体組成物を生産する形質転換体 > 該抗体組成物の製造方法および該抗体組成 物を含有する医薬に関する。 背景技術
血管新生は、 脊椎動物の個体の発生および組織の構築に重要な役割を果たしており、 病的状態では固形腫瘍の増殖もし は転移形成、 糖尿病性網膜症および慢性関節リュ ゥマチの病態形成あるいは促進に血管新生が深く関与している [J. Biol. Chem., 267, 10931 (1992 )] 。 血管新生を誘導する因子としては、 VEGFがあり、 VEGFは発生 過程における血管新生および病的な状態における血管新生において最も重要な因子と して知られている [Adv. in Cancer Res. , .67, 281 (1995 )]。
血管新生を伴う疾患の中で、' 固形腫瘍の増殖もしくは転移形成、 糖尿病性網膜症、 慢性関節リュゥマチの病態形成に VEGFが深く関与していることが報告されている。 固形腫瘍については、 これまでに腎癌 [Cancer Res, , 54> 4233 (1994)] 、 乳癌
[Human Path., 26> 86 (1995 )] 、 脳腫瘍 [J. Clin. Invest., 91, 153 (1993 )]、 消化器癌 [Cancer Res., 53> 4727 (1993)] 、 卵巣癌 [Cancer Res., 54> 276
(1994)] などの多くのヒト腫瘍組織における VEGFの産生が報告されている。
VEGF受容体としてはこれまでに受容体型チロシンキナーゼファミリーに属する Flt-1 [Oncogene, 5, 519 (1990 )、 Science, 255, 989 (1992 )1 および kinase
insert domain-containing receptor (以下、 KDR と表記する) [W092/14748、 麵 /11499、 Proc. Natl. Acad. Science USA, 88, 9026 (1991)、 Biochem. Biophys. Res. Co腿., 187, 1579 (1992 )] が報告されている。 Flt-1 の様々な疾患における発 現については、 ヒトグリオプラスト一マ組織の腫瘍血管内皮細胞 [Nature, 359, 845 (1992)] 、 ヒト消化器癌組織の腫瘍血管内皮細胞 [Cancer Res., 53> 4727 (1993)] 、 ビト白血病細胞 [WO00/52470] で、 正常組織の血管内皮細胞に比べ Flt-1の mRMの 発現が上昇していることが報告されている。 さらに、 慢性関節リュウマチ患者の関節 の血管内皮細胞においてもイン 'サイチュ 'ハイブリダィゼ一シヨン (insitu hybridization) により Fit- 1 mRNAの発現が認められることが報告されている [J. Exp. Med., 180> 341 (1994)] 。 これらの結果は、 腫瘍血管新生において VEGF-VEGF レセプ夕一 Flt-1 系が重要な役割を果たしていることを強く示唆するものである。 Flt-1 は VEGFが結合すること、 細胞内ドメインが自己リン酸化されることが報告さ れているが [Science, 255, 989 (1992)]、 詳しい機能については不明である。
以上のことから、 VEGF受容体 Flt-1を発現する細胞を患者体内から除去するため の治療剤は、 固形腫瘍の増殖もしくは転移形成、 慢性関節リュウマチにおける関節炎、 $唐尿病性網膜症、 未熟児網膜症、 動脈硬化症、、乾癬など異常な血管新生により病態が 進行する疾患および白血病などの Fit- 1の発現が確認されており、 Flt-1が病態に関 連する疾患の治療剤として有効であることが期待される。 この様な特異的な分子を標 的とする治療剤として、 VEGF受容体 Fit- 1に対する抗体組成物が知られている。
これまでに、 VEGF受容体に対する抗体としは、 ヒト受容体である Fit- 1および KDR、 あるいはマウス受容体 Flk- 1め細胞外ドメインに結合でき、 受容体の中和活性を有す る抗体が報告されている [WO00/21868]'。 ヒト VEGF受容体 Flt-1の細胞外ドメイン に結合でき、 受容体の中和活性を有する抗体としては、 マウス抗体 [W098/22616] 、 ヒト化抗体 [WO99/60025] が報告されている。
一般にヒト以外の動物の抗体をヒトに投与すると、,異物として認識され、 副作用を 惹起することや [J. Clin. Oncol., 2, 881, 1984、 Blood, 65> 1349, 1985、 J.
Natl.,, Cancer Inst. , 80', 932, 1988、 Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 82> 1242, 1985] 、 抗体の体内からの消失を速めることにより [Blood, 65> 1349, 1985、 J.
Nucl. Med. , 26, 1011, 1985、 J. Natl. Cancer Inst. , 80, 937, 1988] 、 抗体の治 療効果を減じてしまうことが知 れている [J. Immunol ·, 135. 1530, 1985、 Cancer Res., 46> 6489, 1986] 。
これらの問題点を解決するために遺伝子組換え技術を利用して、 ヒト以外の動物の 抗体をヒト型相補性決定領域 (以下、 CDRと表記する) 移植抗体などのヒト化抗体に ずることが試みられている [Nature, , 522, 1986] 。 ヒト化抗体は、 ヒト以外の 動物の抗体に比べ、 免疫原性が低下し [Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 86, 4220, 1989]、 治療効果が延長することが報告されている [Immunol., 85, 668, 1995]。 ヒト化抗体は、 遺伝子組換え技術を利用して作製するため、 様々な形態の分子とし て作製することができる。 例えば、 エフェクター機能の高いヒト化抗体を作製するこ とができる [Cancer Res., 56, 1118, 1996] 。 特に Flt-1発現細胞数を減少させる 治療においては、 抗体の Fc領域 (抗体重鎖のヒンジ領域以降の領域)を介した補体依 ' 存性細胞傷害活性 (以下、 CDG活性と表記する)あるいは抗体依存性細胞傷害活性 (以 下、 ADCC活性と表記する)等の細胞傷害活性が高いことがその治療効果に重要である。 近年、 Rituxanによる非ホジキン白血病患者の治^、 Herceptinによる乳癌患者の 治療において、 該抗体医薬が患者のェフエクタ一細胞に強い ADCC活性を惹起した場 合には、 より高い治療効果が得られている [Blood, 99, 754, 2002、 J. Clin.
Oncol. , 21, 3940, 2003、 Clin. Cancer Res. , 10, 5650, 2004]。 '
ヒト IgGl ブクラスの抗体は、 その Fc領域と抗体レセプ夕一 (以下、 Fcァ Rと表 記する) あるいは各種補体成分との相互作用を介して、 ADCC活性および CDC活性を 発現する。抗体と FcyRとの結合においては、 抗体のヒンジ領域及び C領域の第 2番 目のドメイン (以下、 0ァ2 ドメインと表記する) に結合している糖鎖の重要性が示 唆されている [Chemical Immunology, 65, 88,.1997]。
抗体 IgG分子の Fc領域に結合している N-グリコシド結合複合型糖鎖の非還元末端 へのガラクト一スの付加、 および還元末端の N-ァセチルグルコサミンへのフコース の付加に関しては多様性があることが知られており [Biochemistry, 36, 130, 1997] 、 特に糖鎖の還元末端の N-ァセチルグルコサミンへのフコースの付加により、 抗体の ADCC活性が大きく低下することが報告されている [WO00/61739、 J. Biol.
Chem., m, 3466 , 2003] 。
一般に、 医薬品として利用される抗体組成物の多くは、 遺伝子組換え技術を用いて 作製され、 動物細胞、 例えばチャイニーズハムスター卵巣組織由来の CH0細胞などを '宿主細胞として製造されているが、 発現させた抗体組成物の糖鎖構造は宿主細胞によ つて異なる。 .
'抗体生産細胞内のひ 1 , 6—フコシルトランスフェラーゼ (以下、 FUT8 と表記する) 、 GDP-マンノース 4, 6-デヒドラ夕一ゼ (以下、 GMDと表記する) 、 GDP-4-ケト- 6-デォ キシ- D-マンノース- 3 , 5-ェピメラーゼ (以下、 Fxと表記する) の活性を低下または 欠失することにより、 Fc領域を有する抗体分子からなる組成物中で、 該組成物中に 含まれる Fc領域に結合する N-グリコシド結合複合型糖鎖の還元末端の N-ァセチルグ ルコサミンにブコースが結合していない糖鎖の割合を増加させることができる -
[W002/31140] o 発明の開示
'本発明の目的は、 ヒト VEGF受容体 Flt-1に特異的に結合し、 N-グリコシド結合複 合型糖鎖を Fc領域に有する遺伝子組換え抗体分子からなる組成物であって、 N-グリ コシド結合複合型糖鎖が該糖鎖の還元末端の N-ァセチルグルコサミンにフコ一スが 結合していない糖鎖である抗体組成物、 該抗体組成物を生産する形質転換体、 該抗体 組成物の製造方法および該抗体組成物を含有する医薬等を提供することにある。
本発明の抗体組成物は高い細胞傷害活性を有するため、 ヒト VEGF受容体 Fit- 1を 発現した細胞を患者の体内から減少させる治療に有用である。 高い細胞傷害活性を有 する抗体は、 化学療法、 放射性同位体元素標識体などとの併用が不要となることから 患者への副作用を軽減させることが期待される。 また、 患者への治療薬の投与量を減 少させることで患者の負担を軽減することなどが期待される。 . 課題を解决するための手段
本発明は、 以下の (1 ) 〜 (5 8 ) に関する。
( 1 ) ヒト VEGF受容体 Flt-1に特異的に結合し、 N-グリコシド結合複合型糖鎖を
Fc領域に有する遺伝子組換え抗体分子からなる抗体組成物であって、 N-グリコシド 結合複合型糖鎖が該糖鎖の還元末端の N-ァセチルグルコサミンにフコースが結合し ていない糖鎖である抗体組成物。 .
( 2 ) N-グリコシド結合複合型糖鎖が、 該糖鎖の還元末端の N-ァセチルグルコサ ミンの 6位にフコ一スの 1位が α結合していない糖鎖である、 (1) に記載の抗体組 成物。
(3) ヒト VEGF受容体 Flt-1の細胞外領域に特異的に結合し、 ヒト VEGFの Fit- 1 への結合を阻害する活性を有する (1) または く 2) に記載の抗体組成物。
( 4 ) 細胞外領域が、 ヒト VEGF受容体 Flt-1のシグナル配列を含む N末端アミノ 酸から 750番目までに存在するェピトープである (1) 〜 (3) のいずれか 1項に記 載の抗体組成物。
( 5 ) 細胞外領域が、 ヒト VEGF受容体 Flt-1のシグナル配列を含む N末端ァミノ 酸から 338番目までに存在するェピトープである ( 1) 〜 (4) のいずれか 1項に記 載の抗体組成物。
( 6 ) 細胞外領域が、 ヒト VEGF受容体 Flt-1のシグナル配列を含む N末端ァミノ 酸から i00〜204番目の領域に存在するェピトープである (1) 〜 (5) のいずれか 1項に記載の抗体組成物。
(7) ヒト VEGF受容体 Fit- i発現細胞に特異的に反応する (1) 〜 (6) のいず れか 1項に記載の抗体組成物。
(8) ヒト VEGF受容体 Flt-1発現細胞に対し細胞傷害活性を示す ( 1 ) 〜 ( 7 ) のいずれか 1項に記載の抗体組成物。
(9) ヒト VEGF受容体 Fit- 1発現細胞に対し、 非ヒト動物由来ハイプリドーマが 生産するモノクローナル抗体よりも高い細胞傷害活性を示す (1) 〜 (8) のいずれ か 1項に記載の抗体組成物。
(10) 細胞傷害活性が抗体依存性細胞傷害 (ADCC) 活性である (8) または (9) に記載の抗体組成物。
(1 1) 細胞傷害活性が補体依存性細胞傷害 (CDC) 活性である (8) または ' (9) に記載の抗体組成物。
(12) ADCC活性または CDC活性がヒト VEGF受容体 Flt-1発現細胞の細胞死を誘 導することによるものである (10) または (11) に記載の抗体組成物。
(13) それそれ配列番号 14、 15および 16で示されるアミノ酸配列からなる抗体 分子重鎖 (H鎖)可変領域 (V領域)の相補性決定領域 (CDR)1、 CDR2、 CDR3を含む、
( 1 ) 〜 (12) のいずれか 1項に記載の抗体組成物。
(1 ) それそれ配列番号 20、 21、 22で示されるアミノ酸配列からなる抗体分子 重鎖 (L鎖)可変領域 (V領域)の CDR1、 CDR2、 CDR3を含む、 (1) 〜 (12) のいずれ か 1項に記載の抗体組成物。 '
(15) それそれ配列番号 14、 15および 16で示されるアミノ酸配列からなる抗体 分子重鎖 (H鎖)可変領域 (V領域)の相補性決定領域 (CDR)1、 CDR2、 CDR3、 およびそれ それ配列番号 20、 21および 22で示されるアミノ酸配列からなる抗体分子重鎖 (L鎖) 可変領域 (V領域)の CDR1、 CDR2、 CDR3を含む、 ( 1 ) 〜 (14) のいずれか 1項に 記載の抗体組成物。
(16) それそれ配列番号 17、 18および 19で示されるアミノ酸配列からなる抗体 分子重鎖 (H鎖)可変領域 (V領域)の相補性決定領域 (CDR)1、 CDR2、 CDR3を含む、
( 1 ) 〜 (12) のいずれか 1項に記載の抗体組成物。
(17) それぞれ配列番号 23、 24および 25で示されるアミノ酸配列からなる抗体 分子軽鎖 (L鎖)可変領域 (V領域)の CDR1、 CDR2、 CDR3を含む、 ( 1 ),〜 (12) のい ずれか 1項に記載の抗体組成物。
(18) それそれ配列番号 17、 18および 19で示されるアミノ酸配列からなる抗体 分子重鎖 (H鎖)可変領域 (V領域)の相補性決定領域 (CDR)1、 CDR2、 CDR3、 およびそれ それ配列番号 23、 24および 25で示されるアミノ酸配列からなる抗体分子軽鎖 (L鎖) 可変領域 (V領域)の CDR1、 CDR2、 CDR3を含む、 (1) 〜 (12) 、 (16) および
(17) のいずれか 1項に記載の抗体組成物。
(19) 遺伝子組換え抗体がヒト型キメラ抗体またはヒト型 CDR移植抗体である ( 1 ) 〜 (18) のいずれか 1項に記載の抗体組成物。
(20) ヒト型キメラ抗体がヒト VEGF受容体 Fit- 1に特異的に結合するモノクロ ーナル抗体の重鎖 (H鎖) 可変領域 (V領域) および軽鎖 (L鎖) V領域の相補性決定
領域 (CDR)を含む、 (19) に記載の抗体組成物。
(21) 抗体分子の重鎖 (H鎖)可変領域 (V領域)が、 配列番号 26または 27から選 ばれるアミノ酸配列を含む、 (20) に記載のヒト型キメラ抗体組成物。
(22) 抗体分子の軽鎖 (L鎖)可変領域 (V領域)が、 配列番号 28または 29から選 ばれるァミノ酸配列を含む、 (20) に記載のヒト型キメラ抗体組成物。
(23) 抗体分子の重鎖 (H鎖)可変領域 (V領域)が、 配列番号 26で示されるァミノ 酸配列を含み、 抗体分子の軽鎖 (L鎖) V領域が、 配列番号 28で示されるアミノ酸配列 を含む、 (20) 〜 (22) のいずれか 1項に記載のヒト型キメラ抗体組成物。
(24) 抗体分子の重鎖 (H鎖)可変領域 (V領域)が、 配列番号 27で示されるァミノ 酸配列を含み、 抗体分子の軽鎖 (L鎖) V領域が、 配列番号 29で示されるアミノ酸配列 を含む、 (20) 〜 (22) のいずれか 1項に記載の抗体,組成物。
(25) ヒト型 CDR移植抗体が、 ヒト VEGF受容体 Fit- 1に対するモノクローナル 抗体の重鎖 (H鎖)可変領域 (V領域 )および軽鎖 (L鎖) V領域の相補性決定領域 ( CDR )を 含む、 (19) に記載の抗体組成物。
(26) ヒト型 CDR移植抗体が、 ヒト VEGF受容体 Flt-1に対するモノクローナル 抗体の'重鎖 ( H鎖)可変領域 (V領域)および軽鎖 ( L鎖) V領域の相補性決定領域 ( CDR )と ヒト抗体の H鎖 V領域および L鎖 V領域のフレームワーク領域 (FR)を含む、 (25) に記載の抗体組成物。
(27) ヒト型 CDR移植抗体が、 ヒト VEGF受容体 Flt-1に対するモノクローナル 抗体の重鎖 (H鎖)可変領域 (V領域)および軽鎖 (L鎖) V領域の相補性決定領域 (CDR)と ヒト抗体の H鎖 V領域および L鎖 V領域のフレームワーク領域 (FR)、 ならびにヒト抗 体の H鎖定常領域 (C領域)および L鎖 C領域を含む、 (25) または (26) に記載 の抗体組成物。
(28) 抗体分子の重鎖 (H鎖)可変領域 (V領域)が、 配列番号 30で示されるァミノ 酸配列、 または配列番号 30で示されるアミノ酸配列のうち、 3番目の Gln、 67番目 の Arg、 82番目の Glu、 84番目の Serおよび 95番目の Tyrから選ばれる少なくとも 1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含む、 (25) 〜 (27) のいずれか 1項に記載の抗体組成物。 ,
( 2 9 ) 抗体分子の重鎖 (H鎖)可変領域 (V領域)が、 配列番号 31で示されるァミノ 酸配列、 または配列番号 31で示されるアミノ酸配列のうち、 24番目の Ala、 27番目 の Tyr、 40番目の Ala、 67番目の Arg、 69番目の Thr、 70番目の I le、 82番目の Glu および 93番目の Valから選ばれる少なくとも 1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残 基に置換されたアミノ酸配列を含む、 (2 5 ) 〜 (2 7 ) のいずれか 1項に記載の抗 体組成物。 -
( 3 0 ) 抗体分子の軽鎖 (L鎖)可変領域 (V領域)が、 配列番号 32で示されるァミノ 酸配列、 または配列番号 32で示されるアミノ酸配列のうち、 17番目の Asp、 18番目 の Arg、 39番目の Pro、 59番目の Ser、 69番目の Aspおよび 70番目の Pheから選ば れる少なくとも 1つのァミノ酸残基が他のァミノ酸残基に置換されたァミノ酸配列を 含む、 ( 2 5 )〜 ( 2 7 ) のいずれか 1項に記載の抗体組成物。
( 3 1 ) 抗体分子の軽鎖 (L鎖)可変領域 (V領域)が、 配列番 33で示されるァミノ 酸配列、 または配列番号 33で示されるアミノ酸配列のうち、 39番目の Pro、 45番目 の Leu、 46番目の Leu、 69番目の Aspおよび 70番目の Pheから選ばれる少なくとも 1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含む、 (2 5 ) 〜(2マ) のいずれか 1項に記載の抗体組成物。
( 3 2 ) 抗体分子の重鎖 (H鎖)可変領域 (V領域)が、 配列番号 30で示されるァミノ 酸配列、 または配列番号 30で示されるアミノ酸配列のうち、 3番目の Gln、 67番目 の Arg、 82番目の Glu、 84番目の Serおよび 95番目の Tyrから選ばれる少なくとも 1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含み、 かつ、 抗 体分子の軽鎖 (L鎖) V領域が、 配列番号 32で示されるアミノ酸配列、 または配列番 号 32で示されるアミノ酸配列のうち、 17番目の Asp、 18番目の Arg、 39番目の Pro、 59番目の Ser、 69番目の Aspおよび 70番目の Pheから選ばれる少なくとも 1つのァ ミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含む、 (2 5 ) 〜 (2 8 ) および (3 0 ) のいずれか 1項に記載の抗体組成物。
( 3 3 ) 抗体分子の重鎖 (H鎖)可変領域 (V領域)が、 配列番号 31で示されるァミノ 酸配列、 または配列番号 31で示されるアミノ酸配列のうち、 24番目の Ala、 2'7番目 の Tyr、 40番目の Ala、 67番目の Arg、 69番目の Thi\ 70番目の I le、 82番目の Glu
および 93番目の Va 1から選ばれる少なぐとも 1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残 基に置換されたアミノ酸配列を含み、 抗体分子の軽鎖 (L鎖) V領域が、 配列番号 33 で示されるアミノ酸配列、 または配列番号 33で示されるアミノ酸配列のうち、 39番 目の Pro、 45番目の Leu、 46番目の Leu、 69番目の Aspおよび 70番目の Pheから選 ばれる少なくとも 1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列 を含む、 (25) 〜 (27) 、 (29) および (31) のいずれか 1項に記載の抗体 組成物。 *
(34) 抗体分子の重鎖 (H鎖)可変領域 (V領域)が、 配列番号 30、 31および 34で 示されるアミノ酸配列から選ばれる 1つのアミノ酸配列を含む、 (25) 〜 (29)、
(32) および (33) のいずれか 1項に記載の抗体,組成物。
(35) 抗体分子の軽鎖 (L鎖)可変領域 (V領域)が、 配列番号 32、 33、 35および 36で示されるアミノ酸配列から選ばれる 1つのアミノ酸配列を含む (25) 〜 (2 7) 、 (30) ~ (33) のいずれか 1項に記載の抗体組成物。
(36) 抗体分子の重鎖 (H鎖)可変領域 (V領域)が、 配列番号 30、 31および 34で 示されるアミノ酸配列から選ばれる 1つのアミノ酸配列を含み、 かつ、 抗体分子の軽 鎖 (L鎖)可変領域 (V領域)が、 配列番号 32、 33、 35および.36で示されるアミノ酸配 列から選ばれる 1つのアミノ酸配列を含む (25) 〜 (35) のいずれか 1項に記載 の抗体組成物。
(37) 抗体分子の重鎖 (H鎖)可変領域 (V領域)が、 配列番号 30で示されるァミノ 酸配列を含み、 かつ、 抗体分子の軽鎖 (L鎖) V領域が配列番号 32、 35および 36で示 されるアミノ酸配列から選ばれる 1つのアミノ酸配列を含む (36) に記載の抗体組 成物。
(38) 抗体分子の重鎖 (H鎖)可変領域 (V領域)が、 配列番号 34で示されるァミノ 酸配列を含み、 かつ、 抗体分子の軽鎖 (L鎖) V領域が配列番号 32、 35および 36で示 されるアミノ酸配列から選ばれる 1つのアミノ酸配列を含む (36) に記載の抗体組 成物。
(39) 抗体分子の重鎖 (H鎖)可変領域 (V領域)が、 配列番号 31で示されるァミノ 酸配列を含み、 抗体分子の軽鎖 (L鎖) V領域が配列番号 33で示されるアミノ酸配列を
含む (36) に記載の抗体組成物。
(40) ヒト VEGF受容体 Flt-1に特異的に結合する抗体分子をコ一ドする DNAを 宿主細胞に導入して得られる、 (1) 〜 (39) のいずれか 1項に記載の抗体組成物
'を生産する形質転換体。
(4 1) 宿主細胞が、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素、 または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフ コースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵素が失活するようにゲノムが改変さ れた細胞である、 (40) に記載の形質転換体。
(42) 宿主細胞が、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素、 または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフ コースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵素のゲノム上の対立遺伝子のすべて がノックアウトされた細胞である、 (41) に記載の形質転換体。
(43) 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素が、 GDP-マン ノース 4,6-デヒドラ夕ーゼ (GMD) または GDP-4-ケト- 6-デォキシ -D-マンノース -
3.5-ェピメラ一ゼ (Fx) から選ばれる酵素である、 (41) または (42) に記載の 形質転換体。
(44) GDP-マンノース 4, 6-デヒドラ夕一ゼが、 以下の(a)および (b)からなる群 から選ばれる DNAがコードする蛋白質である、 (43) に記載の形質転換体。
(a) 配列番号 1で表される塩基配列からなる DNA;
(b) 配列番号 1で表される塩基配列からなる DMとストリンジェントな条件でハ イブリダィズし、 かつ GDP-マンノース 4, 6-デヒドラ夕ーゼ活性を有する蛋白質をコ ードする DNAo
(45) GDP-マンノース 4,6-デヒドラ夕一ゼが、 以下の (a)〜(c) からなる群か ら選ばれる蛋白質である、 ( 43 ) に記載の形質転換体。
(a) 配列番号 2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b) 配列番号 2で表されるアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、 置 . 換、 揷入および/または付カ卩されたアミノ酸配列からなり、 かつ GDP-マンノース
4.6-デヒドラ夕ーゼ活性を有する蛋白質;
(c ) 配列番号 2で表されるァミノ酸配列と 80%以上の相同性を有するァミノ酸 配列からなり、 かつ GDP-マンノース 4,6-デヒドラ夕ーゼ活性を有する蛋白質。
(46) . GDP- 4-ケト -6-デォキシ- D-マンノ一ス- 3,5-ェピメラ一ゼが、 以下の (a) および (b)からなる群から選ばれる DNAがコードする蛋白質である、 (43) に記載 の形質転換体。 '
' (a) 配列番号 3で表される塩基配列からなる DM;
(b) 配列番号 3で表される塩基配列からなる DNAとストリンジェントな条件でハ イブリダィズし、 かつ GDP- 4-ケト -6-デォキシ- D-マンノース- 3,5-ェピメラ一ゼ活性 を有する蛋白質をコードする DNA。 .
(47) GDP- 4-ケト -6-デォキシ -D-マンノース- 3,5-ェピメラ一ゼが、 以下の (a) 〜( c )
からなる群から選ばれる蛋白質である、 (43) に記載の形質転換体。
(a) 配列番号 4で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b) 配列番号 4で表されるアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、 置 換、 揷入およびゾまたは付加されたアミノ酸配列からなり、 かつ GDP-4-ケト -6-デォ キシ- D-マンノース- 3, 5-ェピメラーゼ活性を有する蛋白質;
(c) 配列番号 4で表されるアミノ酸配列と 80%以上の相同性を有するアミノ酸 '配列からなり、 かつ GDP-4-ケト- 6-デォキシ- D-マンノース- 3, 5-ェピメラ一ゼ活性を 有する蛋白質。
(48) N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位 にフコースの 1位が a結合する糖鎖修飾に関与する酵素がひ 1, 6-フコシルトランスフ エラ一ゼである (41) または (42) に記載の形質転換体。
(49) ひ 1,6-フコシル卜ランスフェラ一ゼが、 以下の (a)〜(d)からなる群から 選ばれる DNAがコ一ドする蛋白質である、 (48) に記載の形質転換体。
(a) 配列番号 5で表される塩基配列からなる DNA;
(b) 配列番号 6で表される塩基配列からなる DNA;
(c) 配列番号 5で表される塩基配列からなる DNAとストリンジェントな条件でハ
ィブリダイズし、 かつ α 1, 6-フコシルトランスフヱラーゼ活性を有する蛋白質をコ一 ドする DNA ;
(d) 配列番号 6で表される塩基配列からなる DNAとストリンジ工ントな条件でハ ィプリダイズし、 かつひ 1,6-フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコ一 ドする DNA。
( 50) ひ 1,6-フコシルトランスフェラーゼが、 以下の (a)〜(f)からなる群から 選ばれる蛋白質である、 (48) に記載の形質転換体。
(a) 配列番号 7で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b) 配列番号 8で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(c) 配列番号 7で表されるアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、 置 換、 挿入および Zま は付加されたアミノ酸配列からなり、 かつひ 1,6—フコシルト ランスフェラ一ゼ活性を有する蛋白質;
(d) 配列番号 8で表されるアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、 置 換、 挿入および Zまたは付加されたアミノ酸配列からなり、 かつひ 1,6—フコシルト ランスフェラ一ゼ活性を有する蛋白質;
(e) 配列番号 7で表されるアミノ酸配列と 80%以上の相同性を有するアミノ酸 配列からなり、 かつ 1, 6—フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質;
.(f) 配列番号 8で表されるアミノ酸配列と 80%以上の相同性を有するアミノ酸 配列からなり、 かつひ 1,6—フコシルトランスフェラ一ゼ活性を有する蛋白質。
(5 1) 形質転換体が FERM BP- 8468である (5 0) に記載の形質転換体。
(5 2) 宿主細胞が、 下記め(a)〜(i)からなる群から選ばれる細胞である (40) 〜 (5 1) のいずれか 1項に記載の形質転換体。
(a) チャイニーズハムスター卵巣組織由来 CH0細胞;
(b) ラヅトミエロ一マ細胞株 YB2/3HL.P2.G11.16Ag.20細胞;
(c) マウスミエローマ細胞株 NS0細胞;
(d) マウスミエローマ細胞株 SP2/0- AgU細胞;
(e) シリアンハムス夕一腎臓組織由来 BHK細胞; ' ,
(f) 抗体を産生するハイプリドーマ細胞;
(g) ヒト白血病細胞株ナマルバ細胞;
(h) 胚性幹細胞; ' '
(i) 受精卵細胞。
(53) (40) 〜 (52) のいずれか 1項に記載の形質転換体を培地に培養し、 培養物中に抗体組成物を生成蓄積させ、 該抗体組成物を採取し、 精製する、 (1) 〜 (39) のいずれか 1項に記載の抗体組成物の製造方法。
(54) ( 53) に記載の製造方法により得られる、 (1) 〜 (39) のいずれか 1項に記載の抗体組成物。
(55) (1) 〜 (39) および (54) のいずれか 1項に記載の抗体組成物を有 効成分として含有する医薬。
(56) (1) ~ (39) および (54) のいずれか 1項に記載の抗体組成物を有 効成分として含有するヒト VEGF受容体 Fit- 1関連疾患の治療薬。
(57) ヒト VEGF受容体 Fit- 1関連疾患が、 白血病である (56) に記載の治療
以下、 本発明を詳細に説明する。本願 (ま、 2003年 10月 9日に出願された日本国特 許出願 2003-350169号の優先権を主張するものであり、 当該特許出願の明細書及び図 面に記載される内容を包含する。 発明を実施するための最良の形態
本発明のヒト VEGF受容体 Flt-lに特異的に結合し、 N-グリコシド結合複合型糖鎖 を Fc領域に有する遺伝子組換え抗体分子からなる抗体組成物であって、 N-グリコシ ド結合複合型糖鎖が該糖鎖の還元末端の N-ァセチルダルコサミンにフコースが結合 していない糖鎖である抗体組成物としては、 該 N-グリコシド結合複合型糖鎖が、 該 糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合していな い糖鎖であ 抗体組成物があげられる。
抗体分子には Fc領域があり、 それらの領域には N-グリコシド結合糖鎖が結合す る。従って、 抗体 1分子あたり 2本の糖鎖が結合している。
N -グリコシド結合糖鎖としては、 コア構造の非還元末端側にガラクト一ス -N-ァセ チルグルコサミン (以下、 Gal- GlcNAcと表記する) の側鎖を並行して 1ないしは複 数本有し、 更に Gal- GlcNAcの非還元末端側にシアル酸、 バイセクチイングの N-ァセ チルグルコサミンなどを有するコンプレックス型 (複合型) $唐鎖をあげることができ る。
'本発明において、 N-グルコシド結合複合型糖鎖としては、 下記化学式で示される。
士 Fucd 土 Gal jS 1 4GlcNAc β 1 ^ 2Man Of 1 , J.
6 6
± GlcNAc jg 1 4Man 1 4GlcNAciS 1 4GlcNAc
3
±Gal 1 4GlcNAc β 1 ^ 2Man 1
本発明において、 フコースが結 していない糖鎖としては、 上記で示された化学式 中、 還元末端側の N-ァセチルグルコサミンにはフコースが結合されていないもので あればよく、 非還元末端め糖鎖の構造はいかなるものでもよい。
したがって、 本発明の抗体組成物としては、 上記の糖鎖構造を有していれば、 単一 の糖鎖構造を有する抗体分子から構成されていてもよいし、 複数の異なる糖鎖構造を 有する抗体分子から構成されていてもよい。
本発明において、 糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンにフコースが結合して いないとば、 実質的にフコースが結合していないことをいう。 実質的にフコースが結 合していない抗体組成物とは、 具体的には、 後述の 4に記載の糖鎖分析において、 フ コースが実質的に検出できない程度の抗体組成物である場合をいう。 実質的に検出で きない程度とは、 測定の検出限界以下であることを意味する。 糖鎖還元末端の N-ァ セチルグルコサミンにフコースが結合していない本発明の抗体組成物は、 高い ADCC
活性を有する。
N-グリコシド結合複合型糖鎖を Fc領域に有する抗体分子からなる組成物中に含ま れる、 糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンにフコースが結合していない糖鎖を 有する抗体分子の割合は、 抗体分子からヒドラジン分解や酵素消化などの公知の方法 [生物化学実験法 23— ¾蛋白質糖鎖研究法 (学会出版セン夕一) 高橋禮子編
( 1989) ]を用い、 糖鎖を遊離させ、 遊離させた糖鎖を蛍光標識又は同位元素標識し、 標識した糖鎖をクロマトグラフィ一法にて分離することによつて決定することができ る。 また、 遊離させた糖鎖を HPAED-PAD法 [J . Liq . Chromatogr . , 6 , 1577
(1983 ) ] によって分析することで決定することができる。
本発明の抗体組成物としては、 ヒト VEGF受容体 FU- 1発現細胞に対し、 細胞傷害 活性を有する抗体組成物が望ましい。 また、 本発明の抗体組成物としては、 ヒト VEGF受容体 Fit- 1の細胞外領域に特異的に結合し、 ヒト VEGFの生物活性を阻害する 活性を有する遺伝子組換え抗体組成物であってもよい。 VEGFの生物活性を阻害する 活性とは、 抗体が VEGF受容体 Fit- 1と結合して、 VEGF受容体 Fit- 1が発現している 細胞の VEGFによって誘導される細胞応答を抑制するこ'とをいう。
ヒト VEGF受容体 FU-1の細胞外領域としては、 Oncogene , 5 , 519, (1990 )に記載 の cDNAによりコードされるヒト VEGF受容体 Fl t- 1のシグナル配列を含む N末端アミ ノ酸から 750番目までの領域があげられる。 従って、 本発明の抗体組成物としては、 . Flt-1のシグナル配列を含む N末端アミノ酸から 750番目までの領域に存在するェピ ト一プ、 より好ましくは Fit- 1のシグナル配列を含む N末端アミノ酸から 338番目ま での領域に存在するェピトープ、 さらに好ましくは Fit- 1のシグナル配列を含む N末 端アミノ酸から 100〜204番目までの領域に存在するェピト一プに特異的に反応する 抗体組成物があげられる。
ヒト VEGF受容体 Flt-1発現細胞としては、 ヒト VEGF受容体 Fit- 1が発現している 細胞であればいかなるものでもよい。
細胞傷害活性としては、 補体依存性細胞傷害活性 (以下、 CDC活性と表記する)ある いは抗体依存性細胞傷害活性 (以下、 ADCC活性と表記する)などがあげられる。 '
本発明の抗体組成物は、 該抗体組成物の有する細胞傷害活性に.よりヒト VEGF受容 体 Fit- 1発現細胞を傷害することにより、 該細胞が関与する血管新生の異常により病 態が進行する疾患、 白血病などの疾患を治療できる。
本発明の抗体組成物は、 ヒト型キメラ抗体組成物、 ヒト型 CDR移植抗体組成物およ びヒト抗体組成物、 ならびにそれらの抗体断片組成物を包含する。
'ヒト型キメラ抗体は、 ヒト以外の動物の抗体の VHおよび VLとヒト抗体の CHおよ び CLとからなる抗体をいう。 ヒト以外の動物としては、 マウス、 ラット、 ハムス夕 一、 ラビット等、 ハイブリド一マを作製することが可能であれば、 いかなるものも用 いることができる。 ' 本発明のヒト型キメラ抗体組成物は、 ヒト VEGF受容体 Fit- 1に特異的に反応する ヒト以外の動物の抗体の および VLをコードする cDNAを取得し、 ヒト抗体の CHお よび CLをコードする遺伝子を有する動物細胞用発現ベクターにそれそれ挿入してヒ ト型キメラ抗体発現ベクターを構築し、 動物細胞へ導入することにより発現させ、 製 造することができる。
本発明のヒト型キメラ抗体組成物の製造に用いるヒト以外の動物の抗体としては、 具体的には、 WO99/60025に記載のモノクローナル抗体 KM1732および腿1750、
W095/21868に記載のモノクローナル抗体、 Nature Medicine , 8 , 831 (2002 )に記載 のモノクローナル抗体である clone #MF-1N clone #DC101または AAGR-NCI- EORTC International Conference, Poster session A; Ant iangiogenic/Anti vascular Agents , 7 , Oct . 29- Nov. 2 , 2001で公表されたモノクローナル抗体などがあげられ る o
ヒト型キメラ抗体の CHとしては、 ヒトイムノグロプリン (以下、 hlgと表記す る) に属すればいかなるものでもよいが、 hlgGクラスのものが好適であり、 さらに hlgGクラスに属する hIgGl、 hIgG2、 hIgG3、 hIgG4といったサブクラスのいずれも用 いることができる。 また、 ヒト型キメラ抗体の CLとしては、 hlgに属すればいずれ のものでもよく、 A:クラスあるいは λクラスのものを用いることができる。
本発明のヒト Flt-1に特異的に結合するヒト型キメラ抗体組成物としては、 それそ れ配列番号 14、 15および 16で示されるアミノ酸配列からなる VHの CDR1、 CDR2、
CDR3、 および/またはそれそれ配列番号 20、 21および 22で示されるアミノ酸配列か らなる VLの CDR1、 CDR2、 CDR3を含む抗ヒト Fit- 1キメラ抗体組成物、 それそれ配列 番号 17、 18および 19で示されるアミノ酸配列からなる VHの CDR1、 CDR2、 CDR3、 お よび Zまたはそれそれ配列番号 23、 24および 25で示されるァミノ酸配列からなる VLの CDR1、 CDR2、 CDR3を含む抗ヒト Flt-1キメラ抗体組成物、 抗体の VHが配列番 号 26で示されるァミノ酸配列、 およびダまたは VLが配列番号 28で示されるァミノ 酸配列を含む抗ヒト FU-1キメラ抗体組成物、 抗体の VHが配列番号 26で示されるァ ミノ酸配列およびヒト抗体の CHが hlgGlサブクラスのァミノ酸配列からなり、 抗体 の VLが配列番号 28で示されるァミノ酸配列およびヒト抗体の CLが クラスのアミ ノ酸配列からなるキメラ抗体組成物、 抗体の VHが配列番号 27で示されるアミノ酸配 列、 および/または VLが配列番号 29で示されるアミノ酸配列を含む抗ヒト Fit- 1キ メラ抗体組成物、 抗体の VHが配列番号 27で示されるアミノ酸配列およびヒト抗体の GHが hlgGlサブクラスのアミノ酸配列からなり、 抗体の VLが配列番号 29で示され るァミノ酸配列およびヒト抗体の CLが A:クラスのァミノ酸配列からなるキメラ抗体 組成物、 があげられる。
ヒト型 CDR移植抗体は、 ヒト以外の動物の抗体の VHおよび VLの CDRをヒト抗体の VHおよび VLの適切な位置に移植した抗体を意味する。
本発明のヒト型 CDR移植抗体組成物は、 ガングリオシド GM2に特異的に反応するヒ ト以外の動物の抗体の VHおよび VLの CDRを任意のヒト抗体の VHおよび VLの FRに 移植した V領域をコードする cDNAを構築し、 ヒト抗体の H鎖 C領域 (以下、 CHと表 記する)および L鎖 C領域 (以下、 CLと表記する) をコードする DNAを有する動物細 胞用発現ベクターにそれそれ挿入してヒト型 CDR移植抗体発現べクタ一を構築し、 該 発現べクタ一を動物細胞へ導入することにより発現させ、 製造することができる。 本発明のヒト型 CDR移植抗体組成物の製造に用いるヒト以外の動物の抗体としては、 具体的には WO99/60025に記載のモノクローナル抗体腿 1732および腿 1750、
W095/21868に記載のモノクローナル抗体、 Nature Medicine , 8 , 831 (2002 )に記載 のモノクローナル抗体である clone #MF- 1、 clone #DC101または AAGR- NCI- EORTC International Conference , Poster session A; Antiangiogenic/Antivascular
Agents , #7, Oct . 29- Nov. 2 , 2001で公表されたモノクローナル抗体などがあげら れる。
ヒト抗体の VHおよび VLの FRのアミノ酸配列としては、 ヒト抗体甶来のアミノ酸 配列であれば、 いかなるものでも用いることができる。 例えば、 Protein Data Bank などのデータべ一スに登録されているヒト抗体の VHおよび VLの FRのアミノ酸配列 またはヒト抗体の VHおよび VLの FRの各サブグループの共通ァミノ酸配列
(Sequences of Proteins of Immunological Interest , US Dept . Health and Human Services , 1991 ) などがあげられる。
本発明において、 ヒト型 CDR移植抗体の CHとしては、 ヒトイムノグロブリン (以 下、 hlgと表記する) に属すればいかなるものでもよいが、 hlgGクラスのものが好適 であり、 さらに hlgGクラスに属する hIgGl、 hIgG2、 hIgG3、 hIgG4といったサブクラ スのいずれも用いることができる。 また、 ヒト型 CDR移植抗体の CLとしては、 hlg に属すればいずれのものでもよく、 クラスあるいはえクラスのものを用いることが できる。
本発明のヒト型 CDR移植抗体組成物としては、 それそれ配列番号 14、 15、 16また は配列番号 17、 18、 19で示ざれるアミノ酸配列からなる抗体 VHの CDR1、 CDR2、 CDR3および/またはそれそれ配列番号 20、 21、 22または配列番号 23、 24、 25で示 されるァミノ酸配列からなる VLの CDR1、 CD 2, CDR3を含むヒト型 CDR移植抗体組成 物または該抗体断片組成物などがあげられる。
これらのヒト型 CDR移植抗体のなかでも、 抗体の VHが配列番号 30で示されるアミ ノ酸配列、 または配列番号 30 示されるアミノ酸配列のうち、 3番目の Gln、 67番 目の Arg、 82番目の Glu、 84番目の Serおよび 95番目の Tyrから選ばれる少なくと も 1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含むヒト型 CDR移植抗体組成物、 抗体の VHが配列番号 31で示されるアミノ酸配列、 または配列 番号 31で示されるアミノ酸配列のうち、 24番目の Ala、 27番目の Tyr、 40番目の Ala、 67番目の Arg、 69番目の Thr、 70番目の Ile、 82番目の Gluおよび 93番目の Valから選ばれる少なくとも 1'つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたァ ミノ酸配列を含むヒト型 CDR移植抗体組成物、 抗体の VLが配列番号 32で示されるァ
ミノ酸配列、 または配列番号 32で示されるアミノ酸配列のうち、 17番目の Asp、 18 番目の Arg、 39番目の Pi"o、 59番目の Ser、 69番目の Aspおよび 70番目の Pheから 選ばれる少なくとも 1つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配 列を含むヒト型 CDR移植抗体組成物、 抗体の VLが配列番号 33で示されるアミノ酸配 , 列、 または配列番号 33で示されるアミノ酸配列のうち、 39番目の Pro、 45番目の Leu、 46番目の Leu、 69番目の Aspおよび 70番目の Pheから選ばれる少なくとも 1 つのアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含むヒト型 CDR移 植抗体組成物が好ましく、 抗体の VHが配列番号 30で示されるアミノ酸配列、 または 配列番号 30で示されるアミノ酸配列のうち、 3番目の Gln、 67番目の Arg、 82番目 の Glu、 84番目の Serおよび 95番目の Tyrから選ばれる少なくとも 1つのアミノ酸 残基が他のアミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を含み、 かつ、 抗体の VLが配列 番号 32で示されるアミノ酸配列、 または配列番号 32で示されるアミノ酸配列のうち、 17番目の Asp、 18番目の Arg、 39番目の Pro、 59番目の Ser、 69番目の Aspおよび 70番目の Pheから選ばれる少なくとも 1つのアミノ酸残基が他のァミノ酸残基に置 換されたアミノ酸配列を含むヒト型 CDR移植抗体組成物、 抗体の VHが配列番号 31で 示されるアミノ酸配列、 または配列番号 31で示されるアミノ酸配列のうち、 24番目 の Ala、 27番目の Tyr、 40番目の Ala、 67番目の Arg、 69番目の Thr、 70番目の Ile、 82番目の Gluおよび 93番目の Valから選ばれる少なくとも 1つのアミノ酸残基が他 のアミノ酸残基に 換されたアミノ酸配列を含み、 かつ、 抗体の VLが配列番号 33で 示されるアミノ酸配列、 または配列番号 33で示されるアミノ酸配列のうち、 39番目 の Pro、 45番目の Leu、 46番目の Leu、 69番目の Aspおよび 70番目の Pheから選ば れる少なくとも 1つのアミノ酸残基が他のァミノ酸残基に置換されたアミノ酸配列を 含むヒト型 CDR移植抗体組成物、 がより好ましい。
具体的には、 抗体の VHが配列番号 30、 31および 34で示されるアミノ酸配列から 選ばれる 1つのアミノ酸配列を含むヒト型 CDR移植抗体組成物、 抗体の VLが配列番 号 32、 33、 35および 36で示されるアミノ酸配列から選ばれる 1つのアミノ酸配列を 含むヒト型 CDR移植抗体組成物または抗体の VHが配列番号 30、 31および 34で示さ れるアミノ酸配列から選ばれる 1つのアミノ酸配列を含み、 かつ、 抗体の VLが配列
番号 32、 33、 35および 36で示されるアミノ酸配列から選ばれる 1つのアミノ酸配列 を含むヒト型 CDR移植抗体組成物があげられる。 さらに具体的には、 抗体の VHが配 列番号 30で示されるアミノ酸配列を含み、 かつ、 抗体の VLが配列番号 32、 35およ び 36から選ばれる 1つのアミノ酸配列を含むヒト型 CDR移植抗体組成物、 抗体の VH が配列番号 34で示されるアミノ酸配列を含み、 かつ、 抗体の VLが配列番号 32、 35 および 36から選ばれる 1つのアミノ酸配列を含むヒト型 CDR移植抗体組成物などが あげられる。
これらのアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、 付加、 置換および Zま たは挿入され、 かつヒト VEGF受容体 Fit- 1と特異的に結合する抗体組成物または抗 体断片組成物も本発明の抗体組成物に包含される。
本発明の抗体組成物のアミノ酸配列において欠失、 置換、 挿入お び Zまたは付加 されるアミノ酸の数は 1値以上でありその数は特に限定されないが、 モレキュラー · クローニング第 2版、 カレント 'プロトコ一ルス' 'イン 'モレキュラー ·バイオロジ ―、 Nucleic Acids Research, 10 ' 6487 ( 1982 )、 Pro Natl . Acad . Sci . , USA, 79 , 6409 (1982)、 Gene , 34 , 315 '( 1985 )、 Nucleic Acids Research, 13, 4431 ( 1985 )、 Proc . Natl . Acad . Sci USA, 82 , 488 ( 1985 )等に記載の部位特異的変異導入法等の周 知の 術により、 欠失、 置換もしくは付加できる程 の数であり、 例えば、 1〜数十 個、 好ましくは 1〜2 0個、 より好ましくは 1〜 1 0個、 さらに好ましくは 1〜5個 である。
本発明の抗体組成物のアミノ酸配列において 1以上のアミノ酸残基が欠失、 置換、 挿入または付加されたとは、 同一配列中の任意かつ 1もしくは複数のアミノ酸配列中 において、 1または複数のアミノ酸残基の欠失、 置換、 挿入または付加があることを 意味し、 欠失、 置換、 揷入または付加が同時に生じてもよく、 置換、 挿入または付加 されるァミノ酸残基は天然型と非天然型とを問わない。 天然型ァミノ酸残基としては、 L-ァラニン、 L-ァスパラギン、 L-ァスパラギン酸、 L -グルタミン、 L -グルタミン酸、 グリシン、 L-ヒスチジン、 L-イソロイシン、 L-ロイシン、 L-リジン、 L-メチォニン、 L -フエ二ルァラニン、 L-プロリン、 L-セリン、 L-スレオニン、 L-トリプトファン、 L- チロシン、 L-バリン、 L-システィンなどがあげられる。
以下に、 相互に置換可能なアミノ酸残基の好ましい例を示す。 同一群に含まれるァ ミノ酸残基は相互に置換可能である。
A群:ロイシン、 イソロイシン、 ノルロイシン、 ノ リン、 ノルノ 'リン、 ァラニン、 2-アミノブタン酸、 メチォニン、 0 -メチルセリン、 t-プチルグリシン、 t-プチルァ ラニン、 シクロへキシルァラニン
B群:ァスパラギン酸、 グルタミン酸、イソァスパラギン酸、 イソグルタミン酸、 2-アミノアジピン酸、 2-アミノスべリン酸 '
C群:ァスパラギン、 グルタミン
D群: リジン、 アルギニン、 オル二チン、 2 , 4-ジァミノブタン酸、 2 , 3-ジアミノブ ロピオン酸 '
E群:プロリン、 3-ヒドロキシプロリン、 4-ヒドロキシプロリン
F群:セリン、 スレオニン、 ホモセリン
G群:フエ二ルァラニン、 チロシン
本発明の遺伝子組換え抗体断片組成物は、 ヒト VEGF受容体 FU- 1に特異的に結合 する遺伝子組換え抗体の抗体断片からなる組成物であって、 N-グリコシド結合複合型 糖鎖が該糖鎖の還元末端の N-ァセチルグルコサミンにフコースが結合していない糖 鎖である抗体 Fc領域の一部または全部を含んで ヽる抗体断片組成物である。
本発明の抗体断片組成物としては、 Fab、 Fab'、 F(ab ' )2、 scFvs diabody、 dsFvお よび CDRを含むぺプチドなどの抗体断片組成物があげられるが、 該抗体断片組成物に 抗体の Fc領域の一部または全部を含まない場合は、 該抗体断片と、 N-グリコシド結 合複合型糖鎖の還元末端の N- セチルグルコサミンにフコースが結合していない糖 鎖を有する抗体 Fc領域の一部または全部との融合蛋白質とすればよい。
Fabは、 IgGを蛋白質分解酵素パパインで処理して得られる断片のうち (H鎖の 224 番目のアミノ酸残基で切断される) 、 H鎖の N末端側約半分と L鎖全体がジスルフィ ド結合で結合した分子量約 5万の抗原結合活性を有する抗体断片である。
本発明の Fabは、 本発明のヒト VEGF受容体 Fit- 1に特異的に結合する抗体組成物 を蛋白質分解酵素パパインで処理して得ることができる。 または、 該抗体の Fabをコ ードする DNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、
該ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、 製造するこ とができる。
F(ab ' ) 2は、 IgGを蛋白質分解酵素ペプシンで処理して得られる断片のうち (H鎖 の 234番目のアミノ酸残基で切断される) 、. Fabがヒンジ領域のジスルフィ ド結合を 介して結合されたものよりやや大きい、 分子量約 10万の抗原結合活性を有する抗体 断片である。
本発明の F (ab ' ) 2は、 本 ¾明のヒト VEGF受容体 Fit- 1に特異的に結合する抗体組 成物 蛋白質分解酵素ペプシンで処理して得るこ ができる。 または、 下記の Fab ' をチォエーテル結合あるいはジスルフィ ド結合させ、 製造することができる。
Fab 'は、 上記 F (ab ' ) 2のヒンジ領域のジスルフィ ド結合を切断した分子量約 5万の 抗原結合活性を有する抗体断片である。
本発明の Fab 'は、 本発明のヒト VEGF受容体 Fit- 1に特異的に結合する F (ab ' ) 2組 成物を還元剤ジチオスレィトール処理して禧ることができる。 または、 該抗体の Fab '断片をコードする DNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現べクタ —に挿入し、 該ぺク夕一を原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、 製造す'ることができる。 '
scFvは、 1本の VHと 1本の VLとを適当なぺプチドリンカー (以下、 Pと表記す る) を用いて連結した、 VH-P- VLないしは VL-P- VHポリペプチドで、 抗原結合活性を 有する抗体断片である。
本発明の scFvは、 本発明のヒト VEGF受容体 Fit- 1に特異的に結合する抗体組成物 の VHおよび VLをコードする c'DNAを取得し、 scFvをコードする DNAを構築し、 該 DNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入し、 該発現べ ク夕一を原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、 製造することが できる。
diabodyは、 scFvが二量体化した抗体断片で、 二価の抗原結合活性を有する抗体断 片である。 二価の抗原結合活性は、 同一であることもできるし、 一方を異なる抗原結 合活性とすることもできる。
本発明の diabodyは、 本発明のヒト VEGF受容体 Flt-1に特異的に結合する抗体組
成物の VHおよび VLを ードする cDNAを取得し、 scFvをコードする DNAを Pのアミ ノ酸配列の長さが 8残基以下となるように構築し、 該 DNAを原核生物用発現べク夕一 あるいは真核生物用発現ベクターに揷入し、 該発現ベクターを原核生物あるいは真核 生物へ導入することにより発現させ、 製造することができる。
dsFvは、 VHおよび VL中のそれそれ 1アミノ酸残基をシスティン残基に置換したポ リベプチドを該システィン残基間のジスルフィ ド結合を介して結合させたものをいう。 システィン残基に置換するアミノ酸残基は Reiterらにより示された方法 (Protein Engineering, 7, 697, 1994) に従って、 抗体の立体構造予測に基づいて選択するこ とができる。
本発明の dsFvは、 本発明のヒト VEGF受容体 Fit- 1に特異的に結合する抗体組成物 の VHおよび VLをコードする cDNAを取得し、 dsFvをコードする DNAを構築し、 該 · ' DNAを原核生物用発現べクタ一あるいは真核生物用発現ベクターに揷入し、 該発現べ ク夕一を原核生物ある ヽは真核生物へ導入することにより発現させ、 製造することが できる。
CDRを含むぺプチドは、 VHまたは VLの CDRの少なくとも 1領域以上を んで構成 ■ される。複数の CDRを含むぺプチドは、 直接または適当なぺプチドリンカ一を介して 結合させることができる。
本発明の CDRを含むぺプチドば、 本発明のガンダリオシド GM2に特異的に結合する 抗体組成物の VHおよび VLの CDRをコードする DNAを構築し、 該 DNAを原核生物用発 現ベクターあるいは真核生物用発現ぺク夕一に挿入し、 該発現べクタ一を原核生物あ るいは真核生物へ導入することにより発現させ、 製造することができる。
また、 CDRを含むペプチドは、 Fmoc法 (フルォレニルメチルォキシカルボニル法) 、 tBoc法 (t-ブチルォキシカルボニル法) などの化学合成法によって製造することも できる。
本発明の形質転換体としては、 ヒト VEGF受容体 Fit- 1に特異的に結合する抗体分 子をコードする DNAを宿主細胞に導入して得られる形質転換体であって、 本発明の抗 体組成物を生産する形質転換体であればいかなる形質転換体でも包含される。 具体的 な例としては、 ヒト VEGF受容体 Flt-1に特異的に結合する抗体分子をコードする
DNAを以下の(a)または (b)などの宿主細胞に導入して得られる形質転換体があげられ る。 -
(a) 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素が失活するよう にゲノムが改変された細胞;
(b) N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位に ブコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵素が失活するようにゲノムが改変 された細胞。 '
上述において、 酵素が失活するようにゲノムが改変されたとは、 該酵素の発現を欠 失させるように該酵素をコ一ドする遺伝子の発現調節領域に変異を導入したり、 また は該酵素を失活させるように該酵素をコードする遺伝子のァミノ酸配列に変異を導入. することをいう。 変異を導入するとは、 ゲノム上の塩基配列を欠失、 置換、 挿入およ び Zまたは付加させるといった塩基配列の改変を行うことをいう。 このように改変さ れたゲノム遺伝子の発現または活性が完全に抑制されることをゲノム遺伝子がノック アウトされるという。
細胞内糖ヌクレオチド GDP—フコースの合成に関与する酵素としては、 GDP-マンノ ース 4',6-デヒドラ夕一ゼ (GMD) 、 GDP- 4-ケト- 6-デォキシ- D-マンノ一ス- 3,5-ェピ メラ一ゼ (Fx) などがあげられる。
GDP-マンノース 4 , 6-デヒドラ夕一ゼとしては、
(a) 配列番号 1で表される塩基配列からなる DNA;
(b) 配列番号 1で表される塩基配列からなる DNAとストリンジェン卜な条件でハ イブリダィズし、 かつ GDP-マンノース 4 , 6-デヒドラ夕一ゼ活性を有する蛋白質をコ ードする DNA;
などがあげられる。
GDP-マンノース 4,6-デヒドラ夕ーゼとしては、.
(a) 配列番号 2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b) 配列番号 2で表されるアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、 置 換、 揷入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、 かつ GDP-マンノース 4,6-デヒドラ夕一ゼ活性を有する蛋白質;
( c ) 配列番号 2で表されるァミノ酸配列と 80 %以上の相同性を有するアミノ酸 配列からなり、 かつ GDP-マンノース 4,6-デヒドラターゼ活性を有する蛋白質; などがあげられる。
GDP- 4-ケト -6-デォキシ- D-マンノ一ス -3, 5-ェピメラ一ゼとしては、
(a) 配列番号 3で表される塩基配列からなる DNA ;
' (b ) 配列番号 表さ ήる塩基配列からなる DNAとストリンジェン卜な条件でハ ィブリダイズし、 かつ GDP-4-ケト -6-デォキシ- D-マンノース- 3, 5-ェピメラ一ゼ活性 'を有する蛋白質をコードする DM;
などがあげられる。
GDP+ケト -6 -デォキシ- D -マンノース- 3 , 5-ェピメラーゼとしては、
(a) 配列番号 4で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b ) 配列番号 4で表されるアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、 置 換、 挿入および Zまたは付加されたアミノ酸配列からなり、 かつ GDP - 4-ケ卜- 6-デォ キシ- D-マンノース- 3, 5-ェピメラーゼ活性を有する蛋白質;
( c ) 配列番号 4で表されるァミノ酸配列と 80 %以上の相同性を有するアミノ酸 配列からなり、 かつ GDP- 4-ケト- 6-デォキシ- D-マンノース- 3, 5-ェピメラ一ゼ活性を 有する蛋白質;
などがあげられる。
N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコ一 スの 1位が 結合する糖鎖修飾に関与する酵素としては、 1 , 6-フコシルトランスフ エラ一ゼがあげられる。 ' '
本発明において、 1,6-フコシルトランスフェラーゼとしては、 下記(a)、 (b)、 (c )または' (d)の DNAがコードする蛋白質、
(a) 配列番号 5で表される塩基配列からなる DNA
(b) 配列番号 6で表される塩基配列からなる DNA
(c ) 配列番号 5で表される塩基配列からなる DNAとストリンジェントな条件でハ ィブリダイズし、 かつひ 1 , 6-フコシルトランスフェラ一ゼ活性を有する蛋白質をコ一 ドする DNA
(d) 配列番号 6で表される塩基配列からなる DNAとストリンジェントな条件でハ ィブリダイズし、 かつひ 1 , 6-フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質をコ一 ドする DNAまたは、
(e) 配列番号 7で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質
(f ) 配列番号 8で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質
(g) 配列番号 7で表されるアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、 置換、 挿入および Zまこは付加されたァミノ酸配列からなり、 かつ 1, 6-フコシルトランス フェラーゼ活性を有する蛋白質
(h) 配列番号 8で表されるアミノ酸配列において、 1以上のアミノ酸が欠失、 置換、 揷入および Zまたは付加されたァミノ酸配列からなり、 かつ 1, 6-フコシルトランス フェラーゼ活性を有する蛋白質
(i ) 配列番号 7で表されるァミノ酸配列と, 80%以上の相同性を有するァミノ酸配列 からなり、 かつひ 1,6-フコシルトランスフヱラーゼ活性を有する蛋白質
(j ) 配列番号 8で表されるアミノ酸配列と 80 %以上の相同性を有するアミノ酸配列 からなり、 かつ ,6-フコシルトランスフェラ一ゼ活性を有する蛋白質
等があげられる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素のアミノ酸配列をコー ドする DNAとしては、 配列番号 1または 3で表される塩基配列を有する讓ヽ 配列番 号 1または 3で表される塩基配列を有する DNAとストリンジェントな条件でハイプリ ダイズし、 かつ細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素活性を有 する蛋白質をコードする DNAなどがあげられる。
cd , 6—フコシルトランスフェラーゼのアミノ酸配列をコ一ドする DNAとしては、 配列番号 5または 6で表される塩基配列を有する DNA、 配列番号 5または 6で表され る塩基配列を有する DNAとストリンジェントな条件でハイブリダィズし、 かつ 1,6 —フコシルトランスフヱラーゼ活性を有する蛋白質をコードする DNAなどがあげられ る o
本発明において、 ストリンジヱン卜な条件下でハイプリダイズする DNAとは、 例え ば配列番号 1、 3、 5または 6で表される塩基配列からなる DNAなどの DNAまたはその
—部の断片をプローブとして、 コロニー 'ハイブリダィゼ一シヨン法、 プラーク 'ハ ィブリダイゼーション法ぁるいはサザンハイブリダイゼーション法等を用いることに より得られる DNAを意味し、 具体的には、 コロニーあるいはプラーク由来の DNAを固 定化したフィル夕一を用いて、 0.7〜1Mの塩化ナトリウム存在下、 65°Cでハイブリダ ィゼ.ーシヨンを行った後、 0.1〜2倍濃度の SSC溶液 (1倍濃度の SSC溶液の組成は、 150 塩化ナトリウム、 15ηιΜクェン酸ナトリウムよりなる) を用い、 65°C条件下でフ ィルターを洗浄することにより同定できる DNAをあげることができる。 ハイプリダイ ゼーシヨンは、 Molecular Cloning, A Laboratory Manual , Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)、 Current Protocols in Molecular
Biology, John Wiley & Sons, 1987-1997、 DNA Cloning 1: Core Techniques, A Practical Approach, Second Edition, Oxford University (1995 )等に記載されてい る方法に準じて行うことができる。 ストリンジェントな条件下でハイブリダィズ可能 な DNAとして具体的には、 配列番号 1、 3、 5または 6で表される塩基配列と少なくと も 60%以上の相同性を有する DNA、 好ましくは 70%以上、 より好ましくは 80%以上、 さらに好ましくは 90%以上、 特に好ましくは 95%以上、 最も好ましくは 98%以上の 相同性を有する DNAをあげることができる。
本発明において、 配列番号 2または 4で表されるアミノ酸配列において 1以上のァ ミノ酸が欠失、 置換、 揷入および Zまたは付加されたアミノ酸配列からなり、 かつ細 胞内糖ヌクレオチド GDP—フコースの合成に関与する酵素活性を有する蛋白質、 また は配列番号 7または 8で表されるアミノ酸配列において 1以上のアミノ酸が欠失、 置 換、 挿入および Zまたは付加されたアミノ酸配^からなり、 かつひ 1,6-フコシルトラ ンスフェラ一ゼ活性を有する蛋白質は、 Molecular Cloning, A Laboratory Manual ; Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)、 Current
Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, 1987 - 1997、 Nucleic Acids Research, 10, 6487 (1982)、 Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 79, 6409 (1982)、 Gene, 34> 315 (1985)、 Nucleic Acids Research, 13, 4431' (1985)、 Proc. Natl. Acad. Sci USA, 82, 488 (1985)等に記載の部位特異的変異導入法を用いて、 例えば、 配列番号 1、 3、 5または 6で表される塩基配列を有する DNAに部位特異的変異を導入
することにより取得することができる。 欠失、 置換、 挿入および/または付加される アミノ酸の数は 1個以上でありその数は特に限定されないが、 上記の部位特異的変異 導入法等の周知の技術により、 欠失、 置換もしくは付加できる程度の数であり、 例え ば、 1〜数十個、 好ましくは 1〜20個、 より好ましくは 1〜10個、 さらに好ましくは 1〜5個である。
また、 本発明において配列番号 2、 4、 7または 8であらわされるアミノ酸配列と 80%以上の相同性を有するアミノ酸配列からなり、 かつ GDP-マンノース 4 , 6-デヒド ラターゼ活性、 GDP-4-ケト- 6-デォキシ- D-マンノース- 3,5-ェピメラ一ゼ活性、 また はひ1 , 6-フコシルトランスフェラーゼ活性を有する蛋白質としては、 具体的には、 そ れそれ配列番号 2、 4、 7または 8で表されるアミノ酸配列と BLAST 〔J . Mol . Biol . , 215 , 403 (1990 )〕 や FASTA (Methods in Enzymology, 183 , 63 (1990 )〕 等の解析ソ フトを用いて計算したときに、 少なくとも 80%以上、 好ましくは 85%以上、 より好 ましくは 90%以上、 さらに好ましくは 95%以上、 特に好ましくは 97%以上、 最も好 ましくは 99%以上の相同性を有する蛋白質などをあげることができる。
また、 本発明に用いられる宿主細胞、 すなわち細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコー スの合成に関与する酵素、 または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチ ルグルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵素の活性 が欠失した宿主細胞を取得する方法としては、 目的とする酵素を失活させるこどがで きる手法であれば、 いずれの手法でも用いることができる。 上述の酵素を失活させる 手法としては、
( a )酵素の遺伝子を標的した遺伝子破壊の手法;
( b ) 酵素の遺伝子のドミナントネガティブ体を導入する手法;
( c ) 酵素についての突然変異を導入する手法;
( d ) 酵素の遺伝子の転写又は翻訳を抑制する手法;
( e ) N-グリコシド結合糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位とフコ , ースの 1位がひ結合した糖鎖構造を認識するレクチンに耐性である株を選択する手法 などがあげられる。
N-グリコシド結合糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位とフコースの 1 ·
位がひ結合した糖鎖構造を認識するレクチンとしては、 該糖鎖構造を認識できるレク チンであれば、 いずれのレクチンでも用いることができる。 その具体的な例としては、 レンズマメレクチン LCA (Lens Culinaris由来の! entil Agglutinin) 、 エンドゥマ メレクチン PSA (Pisum sativ髓由来の Pea Lectin) 、 ソラマメレクチン VFA (Vicia f aba由来の Agglutinin) 、 ヒィロチャワン夕ケレクチン AAL (Aleuria aurantia由 来の Lectin) 等を挙げることができる。
レクチンに耐性な細胞とは、 レクチンを有効濃度与えたときにも、 生育が阻害され ない細胞を言う。 有効濃度とは、 ゲノム遺伝子が改変される以前の細胞 (以下、 親株 とも称す) が正常に生育できない濃度以上であり、 好ましくは、 ゲノム遺伝子が改変 される以前の細胞が成育できない濃度と同濃度、 より好ましくは 2〜5倍、 さらに好 ましくは 10倍、 最も好ましくは 20倍以上である。
生育が阻害されないレクチンの有効濃度は、 細胞株に応じて適宜定めればよく、 通 常のレクチンの有効濃度は 10〃g/mL〜10ing/mL、 好ましくは 0.5mg/mL〜2mg/mLであ ' る。
本発明の抗体組成物を生産させる宿主細胞としては、 本発明の抗体組成物を発現で きる上記宿主細胞であればいかなる細胞も包含する。 例えば、 酵母、 動物細胞、 昆虫 細胞、 植物細胞などがあげられる。 これらの細胞としては、 後述 1に記載のものがあ げられ、 特に、 動物細胞の中でも、 チャイニーズハムスター卵巣組織由来の CH0細胞、 ラヅトミエロ一マ細胞株 YB2/3HL . P2. Gll . l6Ag .20細胞、 マウスミエ口一マ細胞株
NS0細胞、 マウスミエローマ細胞株 SP2/0- Agl4細胞、 シリアンハムス夕一腎臓組織 由来 BHK細胞、 抗体を産生するハイプリドーマ細胞、 ヒト白血病細胞株ナマルバ細胞、 胚性幹細胞、 受精卵細胞などが好ましい。
本発明の形質転換体としては、 具体的には、 本発明の抗 VEGF受容体 Flt-1抗体の 遺伝子を組み込んだチャイニーズハムスター卵巣組織由来の CH0細胞株 GHO/DG4 細 胞由来の形質転換株 Ms705/Flt- 1があげられる。 なお、 CH0細胞株 CH0/DG44細胞由 来の形質転換株 Ms705/Flt- 1は、 平成 15年 9月 9日付けで独立行政法人産業技術総 合研究所特許生物寄託セン夕ー (日本国茨城県つくば巿東 1丁目 1番地 1中央第 6 ) に FERM BP- 8468として寄託されている。 ·
以下に、 本発明の抗体組成物を生産する細胞の作製方法、 本発明の抗体組成物の製 造方法および本発明の抗体組成物の分析方法ならびに利用方法について説明する。
1 . 本発明の抗体組成物を生産する細胞の作製
本発明の抗体組成物を生産する細胞 (以下、 本発明の細胞と称する) は、 以下に述 ベる手法により、 本発明の抗体組成物を生産するために用いる宿主細胞を作製し、 該 宿主細胞に後述 2に記載の方法により、 抗ヒト VEGF受容体 Flt-1抗体をコ一ドする 遺伝子を導入することにより、 作製することができる。
( 1 ) 酵素の遺伝子を標的とした遺伝子破壊の手法
本発明の抗体組成物を生産する細胞 (以下、 本発明の細胞と称す) の作製のために 用いる宿主細胞は、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素また は N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコー スの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵素の遺伝子を標的とし、 '遺伝子破場の方 法を用いることにより作製することができる。 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコース の合成に関与する酵素としては、 具体的には、 GDP-マンノース 4,6-デヒドラ夕ーゼ (以下、 GMD と表記する) 、 GDP-4-ケト- 6-デォキシ- D-マンノース- 3 , 5-ェピメラ一 ゼ (以下、 Fx と表記する) などがあげられる。 N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末 端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与 する酵素としては、 具体的には、 1,6-フコシルトランスフェラーゼ、 α-L-フコシ ダーゼなどがあげられる。
ここでいう遺伝子とは、 DNAまたは RNAを含む。
遺伝子破壊の方法としては、'標的とする酵素の遺伝子を破壊することができる方法 であればいかなる方法も包含される。 その例としては、 アンチセンス法、 リボザィム 法、 相同組換え法、 RNA- DNAオリゴヌクレオチド法 (以下、 RD0法と表記する) 、 RNAイン夕一フェアレンス法 (以下、 RNAi法と表記する) 、 レトロウイルスを用いた 方法、 トランスポゾンを用いた方法等があげられる。 以下これらを具体的に説明する。 ( a ) アンチセンス法又はリボザィム法による本発明の細胞を作製するための宿主細 胞の作製
本発明の細胞の作製のために用いる宿主細胞は、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコ
—スの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチ ルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が 結合する糖鎖修飾に関与す。る酵素遺伝子 を標的とし、 細胞工学, 12 , 239 (199,3 )、 BIO/TECHNOLOGY, 17 , 1097 (1999 )、 Hum. Mol . Genet . , 5 , 1083 (1995 )、 細胞工学, 13 , 255 ( 1994 )、 Proc . Natl . Acad . Sci U. S .A. , 96 > 1886 (1999 )等に記載されたアンチセンス法またはリボザィム法を用い て、 例えば、 以下のように作製することができる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコ一スの合成に関与する酵素または N-グリコシド結 合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合 する糖鎖修飾に関与する酵素をコードする cDNAあるいはゲノム DNAを調製する。 調製した cDNAあるいはゲノム DNAの塩基配列を決定する。
決定した DNAの配列に基づき、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与 する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵素をコ一ドする DNA部分、 非翻訳領域の部分あるいはィントロン部分を含む適当な長さのアンチセンス遺伝子ま たはリボザィムを設計する。
該アンチセンス遺伝子、 またはリボザィムを細胞内で発現させるために、 調製した DNAの断片、 まこは全長を適当な発現ベクターのプロモー夕一の下流に揷入すること により、 組換えべクタ一を作製する。
該組換えべクタ一を、 該発現べクタ一に適合した宿主細胞に導入することにより形 質転換体を得る。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結 合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合 する糖鎖修飾に関与する酵素の活性を指標として形質転換体を選択することにより、 本発明の抗体組成物を作製するために用いる宿主細胞を得ることができる。 また、 細 胞膜上の糖蛋白質の糖鎖構造または産生抗体分子の糖鎖構造を指標として形質転換体 を選択することにより、 本発明の抗体組成物を作製のために用いる宿主細胞を得るこ ともできる。
本発明の抗体組成物を作製するために用いられる宿主細胞としては、'酵母、 動物細
胞、 昆虫細胞、 植物細胞など、 標的とする細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合 成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N -ァセチルグルコ サミンの 6位にフコースの 1位が 結合する糖鎖修飾に閧与する酵素の遺伝子を有し ているものであればいずれも用いることができる。 具体的には、 後述 2に記載の宿主 細胞があげられる。
発現べクタ一としては、 上記宿主細胞において自立複製が可能であるか、 ないしは 染色体中への組み込みが可能で、 設計したアンチセンス遺伝子、 またはリボザィムを 転写できる位置にプロモーターを含有しているものが用いられる。 具体的には、 後述 2に記載の発現べクタ一があげられる。
各種宿主細胞への遺伝子の導入方法としては、 後述 2に記載の各種宿主細胞に適し た組換えべクタ一の導入方法を用いることができる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結 合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合 する糖鎖修飾に関与する酵素の活性を指標として形質 換体を選択する方法としては、 例えば、 以下の方法があげられる。
形質転換体を選択する方法
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結 合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコ一スの 1位がひ結合 する糖鎖修飾に関与する酵素が失活した細胞を選択する方法としては、 文献 开生化 学実験講座 3→瞎質 I,糖蛋 ή質 (東京化学同人)日本生化学会編 (1988 )]、 文献 [細胞 工学, 別冊, 実験プロトコールシリ一ズ,グライコバイオロジー実験プロトコール,糖 蛋白質 ·糖脂質 ·プロテオグリカン (秀潤社製)谷口直之 ·鈴木明美 ·古川清 ·菅原ー 幸 修 (1996) ]、 Molecular Cloning, A LaboratoryManual , Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989 ) 、 Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987- 1997 )等に記載された生化学的な方法あるいは遺 伝子工学的な方法などを用いて, 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与 する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N -ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が 結合する糖鎖修飾に関与する酵素の活性を測定する方法が
あげられる。 生化学的な方法としては、 例えば、 酵素特異的な基質を用いて酵素活性 を評価する方法があげられる。 遺伝子工学的な方法としては、 例えば、 酵素遺伝子の m NA量を測定ずるノ一ザン角牟析ゃ RT- PCR法等があげられる。
細胞膜上の糖蛋白質の糖鎖構造を指標として形質転換体を選択する方法としては、 例えば、 後述 1の (5 ) に記載の方法があげられる。 産生抗体分子の糖鎖構造を指標 として形質転換体を選択する方法としては、 例えば、 後述 4または後述 5に記載の方 法があげられる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結 合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミ.ンの 6位にフコ一スの 1位がひ結合 する糖鎖修飾に関与する酵素をコードする cDNA を調製する方法としては、 例えば、 下記に記載の方法があげられる。
cDNAの調製方法 .
各種宿主細胞の組織又は細胞から全 RNA又は mRMを調製する。
調製した全 RNA又は mRNAから cDNAラィブラリ一を作製する。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結 合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合 する糖鎖修飾に関与する酵素のアミノ酸配列に基づいて、 デジ iネレイティブプライ マーを作製し、 作製した cDNAライブラリーを錶型として PCR法で細胞内糖ヌクレオ チド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末 端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与 する酵素をコードする遺伝子断片を取得する。
取得した遺伝子断片をプローブとして用い、 cDNA ライブラリ一をスクリーニング し、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド 結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結 合する糖鎖修飾に関与する酵素をコードする DNAを取得することができる。
ヒト又は非ヒト動物の組織又は細胞の mRNAは市販のもの (例えば Clontech社)を用 いてもよいし、 以下のようにしてヒト又は非ヒト動物の組織又は細胞から調製しても よい。
ヒト又は非ヒト動物の組織又は細胞から全 を調製する方法としては、 チオシァ ン酸グァニジン-トリフルォロ酢酸セシウム法 . [Methods in Enzymology, 154, 3 (1987)] 、 酸性チォシアン酸グァニジン · フエノール ·クロ口ホルム (AGPC) 法 [Analytical Biochemistry, 162, 156 (1987); 実験医学、 9, 1937 (1991)] などが あげられる。
また、 全 RNAから poly(A)+ RNA として mRNA を調製する方法としては、 オリゴ ( dT) 固定ィ匕セフレロースカラム、法 [Molecular Cloning, A LaboratoryManual , Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)] 等があげられる。 さらに、 Fast Track mRNA Isolation Kit (Invitrogen¾:)、 Quick Prep mRNA Purification Kit (Pharmacia社) などの市販のキヅトを用いることにより mRNA を 調製することができる。
調製したヒト又は非ヒト動物の組織又は細胞 mRNAから cDNAライブラリ一を作製す る。 cDNA ライブラリ一作製法としては、 Molecular Cloning, A LaboratoryManual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)、 Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley h Sons (1987 - 1997)、 A Laboratory Manual', 2 nd Ed. (1989 )等に記載された方法、 あるいは市販のキッ ト、 例えば Superscript Plasmid System for cDNA Synthesis and Plasmid Cloning Life Technologies社) 、 ZAP-cDNA Synthesis Kit (STRATAGENE社) を用いる方法などが あげられる。
cDNA ライブラリ一を作 S¾するためのクロ一ニングぺクタ一としては、 大腸菌 K12 株中で自立複製できるものであれば、 ファージベクター、 プラスミドぺク夕一等いず れでも使用できる。 具体的には、 ZAP Express [STRATAGENE社、 Strategies, 5, 58 (1992)]、 pBluescript II SK (+) [Nucleic Acids Research, 17, 9494 (1989)]、 え ZAP II ( STRATAGENE 社) 、 え gtlO、 λ gtll [ DNA cloning, A Practical Approach, 1, 49 (1985)]、 ATriplEx (Clontech社) 、 AExCell (Pharmacia社) 、 PT7T318U (Pharmacia社) 、 pcD2 [Mol. Cell. Biol. ,3, 280 (1983 )] および UC18 [Gene, 33 > 103 (1985)]等をあげることができる。
cDNA ライプラリーを作製するための宿主微生物としては、 微生物であればいずれ
でも用いることができるが、 好ましくは大腸菌が用いられる。 具体的には、
Escherichia coli XLl-Blue MRF' [STRATAGENE社、 Strategies, 5, 81 (1992)] 、 Escherichia coli C600 [Genetics, 39, 440 (1954)] 、 Escherichia coli Y1088 [Science, 222, 778 (1983) ] 、 Escherichia coli Y1090 [Science, 222, 778 (1983 ) ] 、 Escherichia coli 丽 522 [ J. Mol.■ Biol. , 166, 1 (1983 ) ] 、 Escherichia -coli K802 [J. Mol. Biol., 16, 118 (1966) ] および Escherichia coli JM105 [Gene, 38> 275 (1985)] 等が用いられる。
cDNAラィブラリ一は、 そのまま以降の解析に用いてもよいが、 不完全長 cDNAの割 合を下げて、 完全長 cDNA を効率よく取得するために、 管野らが開発したオリゴキヤ ヅプ法 [Gene, 138. 171 (1994), Gene, 200> 149 (1997)、 蛋白質核酸酵素, 41, 603 (1996 ); 実験医学, 11, 2491 (1993 ); cDNA クローニング (羊土社)(1996 ); 遺伝 子ライブラリ一の作製法 (羊土社) (1994)] を用いて調製して以下の解析に用いても よい。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結 合複合型糖鎖還先末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合 する糖鎖修飾に関与する酵素のアミノ酸配列に基づいて、 該ァミノ酸 E列をコードす ることが予測される塩基配列の 5'末端および 3'末端の塩基配列に特異的なデジエネ レイティブプライマ一を作製し、 作製した cDNA ライブラリ一を錶型として PCR法 [ピーシーアール ·プロトコ一ルズ(PCR Protocols), Academic Press (1990 )] を用 いて DNAの増幅を行うことにより、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関 与する酵素または N-グリコシ'ド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミン の 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵素をコードする遺伝子断 片を取得することができる。
取得した遺伝子断片が細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に閧与する酵素 または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフ コースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵素をコードする DNAであることは、 通常用いられる塩基配列解析方法、 例えば Sanger らのジデォキシ法 [Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. , 74, 5463 (1977)] あるいは ABI PRISM377DNA シークェンサ一
(Applied Biosystems社製) 等の塩基配列分析装置を用いて分析することにより、 確認することができる。
該遺伝子断片をプローブとして、 ヒト又は非ヒト動物の組織又は細胞に含まれる mRNAから合成した cDNAあるいは' cDNAライブラリーからコロニーハイブリダィゼー シ ヨ ンやプラーク ノ、イ ブ リ ダィ ゼーシ ヨ ン [ Molecular Cloning, A LaboratoryManual , Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989 ) ] 等を用いて、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素ま たは N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコ —スの 1位が 結合する糖鎖修飾に関与する酵素の DNAを取得することができる。 また、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコ シド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が ひ結合する糖鎖修飾に関与する酵素をコードする遺伝子断片を取得するために用,いた プライマーを使用し、 ヒト又は非ヒト動物の組織又は細胞に含まれる mRNAから合成 した cDNAあるいは cDNAライプラリーを鎵型として、 PCR法を用いて増幅することに より、 細胞'内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシ ド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ 結合する糖鎖修飾に関与する酵素の cDNAを取得することもできる。
取得した細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリ コシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位 がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵素をコードする DNAの塩基配列は、 通常用いられ る塩基配列解析方法、 例えば Sanger らのジデォキシ法 [Pro Natl . Acad . Sci . U..S .A. , 74, 5463 (1977 ) ] あるいは ΑΒΙ PRISM377DNA シークェンサ一 (Applied Biosystems社製) 等の塩基配列分析装置を用いて分析することにより、 該 DNAの塩 基配列を決定することができる。
決定した cDNAの塩基配列をもとに、 BLAST等の相同性検索プログラムを用いて、 Genbank, EMBLおよび DDBJ などの塩基配列データベースを検索することにより、 取 得した DNAがデ一夕ベース中の遺伝子の中で細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの 合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグル
コサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素をコードして いる遺伝子であることを確認することもできる。
上記の方法で得られる細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素 をコードする遺伝子の塩基配列としては、 例えば、 配列番号 1または 3に記載の塩基 配列があげられる。
'上記の方法で得られる Ν-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の Ν-ァセチルグルコ サミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵素をコードする遺 伝子の塩基配列としては、 例えば、 配列番号 5または 6に記載の塩基配列があげられ る。 ,
決定された DNAの塩基配列に基づいて、 フォスフォアミダイト法を利用した DNA合 成機 model 392 (Perkin Elmer社製) 等の DNA合成機で化学合成することにより、 細 胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複 合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する 糖鎖修飾に関与する酵素の cDNAを取得することもできる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結 合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルタ'ルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合 する糖鎖修飾に関与する酵素のゲノム DNAを調製する方法としては、 例えば、 以下に 記載の方法があげられる。
ゲノム DNAの調製方法 '
ゲノム DNA を調製する方法としては、 Molecular Cloning, A LaboratoryManual , Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989 ) 、 Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987- 1997 )等に記載された 公知の方法があげられる。 また、 ゲノム DNA ライブラリースクリーニングシステム (Genome Systems 社) や Universal GenomeWalkerTM Kits (CL0NTECH社) などを用 いることにより、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコース の 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵素のゲノム DNAを取得することもできる。 取得した細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリ
コシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位 がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵素をコードする DNAの塩基配列は、 通常用いられ る塩基配列解析方法、 例えば Sanger らのジデォキシ法 [Proc . Natl . Acad . Sci . U. S .A. , 74 , 5463 (1977 ) ] あるいは ABI PRISM377DNA シークェンサ一 (Appl ied Biosystems社製) 等の塩基配列分析装置を用いて分析することにより、 該 DNAの塩 基配列を決定することができる。
, 決定したゲノム DNAの塩基配列をもとに、 BLAST等の相同性検索プログラムを用い て、 Genbanlu EMBLおよび DDBJ などの塩基配列デ一夕べ一スを検索することにより、 取得した DNAがデータベース中の遺伝子の中で細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコ一ス の合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグ ルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵素をコードし ている遺伝子であることを確認することもできる。
決定された DNAの塩基配列に基づいて、 フォスフォアミダイト法を利用した DNA合 成機 model 392 (Perkin Elmer社製) 等の DNA合成機で化学合成することにより、 細 胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複 合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が a結合する 糖鎖修飾に関与する酵素のゲノム DNAを取得することもできる。
上記の方法で得られる細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコース ©合成に関与する酵素 のゲノム DNAの塩基配列としては、 例えば配列番号 9、 10、 11および 12に記載の塩 基配列があげられる。
上記の方法で得られる N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコ サミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵素のゲノム DNAの 塩基配列としては、 例えば配列番号 13に記載の塩基配列があげられる。
また、 発現べクタ一を用いず、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与 する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N -ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に閼与する酵素の塩基配列に基づいて設 計したアンチセンスォリゴヌクレオチドまたはリボザィムを、 直接宿主細胞に導入す ることで、 本発明の抗体組成物を作製するために用いる宿主細胞を得ることもできる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリボザィムは、 公知の方法または DNA合成 機により調製することができる。 具体的には、 細脾内糖ヌクレオチド GDP-フコース の合成に閧与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダ ルコサミンの 6位にフコースの 1位が 結合する糖鎖修飾に関与する酵素をコードす る cDNAおよびゲノム DNAの塩基配列のうち、 連続した 5〜150塩基、 好ましくは 5〜 60塩基、 より好ましくは 10〜40塩基に相当する配列を有するオリゴヌクレオチドの 配列情報に基づき、 該ォリゴヌクレオチドと相補的な配列に相当するオリゴヌクレオ チド (アンチセンスオリゴヌクレオチド) または該オリゴヌクレオチドの配列を含む リボザィムを合成して調製することができる。
オリゴヌクレオチドとしては、 オリゴ RNAおよび該オリゴヌクレオチドの誘導体 (以下、 オリゴヌクレオチド誘導体という) 等があげられる。
オリゴヌクレオチド誘導体としては、 オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結 合がホスフォロチォエート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、 オリゴヌク レオチド中のリン酸ジエステル結合が Ν3 ' - P5 'ホスフォアミデート結合に変換された ォリゴヌクレオチド誘導体、 ォ'リゴヌクレオチド中のリボースとリン酸ジエステル結 合がぺプチド核酸結合に変換されたォリゴヌクレオチド誘導体、 ォリゴヌクレオチド 中のゥラシルが C-5プロピニルゥラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、 ォ リゴヌクレオチド中のゥラシルが C- 5チアゾ一ルゥラシルで置換された誘導体オリゴ ヌクレオチド、 オリゴヌクレオチド中のシトシンが C- 5プロピニルシトシンで置換さ れたオリゴヌクレオチド誘導体、 オリゴヌクレオチド中のシトシンがフエノキサジン 修飾シトシン (phenoxazine-fnodified cytosine) で置換されたオリゴヌクレオチド 誘導体、 オリゴヌクレオチド中のリボースが 2 ' -0-プロピルリボースで置換されたォ リゴヌクレオチド誘導体、 あるいはオリゴヌクレオチド中のリボースが 2 ' -メトキシ ェトキシリボースで置換されたォリゴヌクレオチド誘導体等があげられる [細胞工学, 16, 1463 (1997 ) ] 。
( b ) 相同組換え法による本発明の抗体組成物を作製するための宿主細胞の作製 本発明の抗体組成物を作製するために用いる宿主細胞は、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の
N -ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵 素の遺伝子を標的とし、 染色体上の標的遺伝子を相同組換え法を用いて染色体を改変 する.ことによって作製することができる。
染色体上の標的遺伝子の改変は、 Manipulating the Mouse Embryo A Laboratory Manual , Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1994 )、 Gene Targeting, A Practical Approach, IRL Press at OxfordUniversity Press (1993) . バイオマニュアルシリ一ズ 8 ジーン夕一ゲヅティング, ES 細胞を用いた変異マウス の作製,羊土社 (1995 ) (以下、 「ES細胞を用いた変異マウスの作製」 と略す) 等に 記載の方法を用い、 例えば以下のように行うことができる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素また N-グリコシド結 合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合 する糖鎖修飾に関与する酵素のゲノム DNAを調製する。
ゲノム DNAの塩基配列にも基づき、 改変する標的遺伝子 (例えば、 細胞内糖ヌクレ ォチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元 末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関 与する'酵素の構造遺伝子、 あるいはプロモ一夕一遺伝子) を相同組換えするための夕 一ゲットベクターを作製する。
作製した夕一ゲットベクターを宿主細胞に導入し、 染色体上の標的遺伝子と夕ーゲ ットベクタ一の間で相同組換えを起こした細胞を選択することにより、 本発明の細胞 の作製のために用いる宿主細胞を作製することができる。
宿主細胞としては、 酵母、 動物細胞、 昆虫細胞、 植物細胞等、 標的とする細胞内糖 ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖 鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が 結合する糖鎖修 飾に関与する酵素の遺伝子を有しているものであればいずれも用いることができる。 具体的には、 後述 2に記載の宿主細胞があげられる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結' 合複合型糖鎖還元未端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合 する糖鎖修飾に関与する酵素のゲノム DNAを調製する方法としては、 上記 1の (1 )
の (a ) に記載のゲノム DNAの調製方法などがあげられる。
上記の方法で得られる細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素 のゲノム DNAの塩基配列として、 例えば配列番号 9、 10、 11および 12に記載の塩基 配列があげられる。
上記の方法で得られる N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコ ザミンの 6位にフコースの 1位が 結合する糖鎖修飾に関与する酵素のゲノム DNAの 塩基配列として、 例えば配列番号 13に記載の塩基配列があげられる.。
染色体上の標的遺伝子を相同組換えするための夕ーゲットベクターは、 Gene Targeting, A Practical Approach, I L Press at Oxford University Press (1993 )、 バイオマニュアル リーズ 8 ジーン夕一ゲヅティング, ES細胞を用いた変異マウス の作製 (羊土社)(1995 )等に記載 ©方法にしたがって作製することができる。 ターゲッ トぺク夕一は、 置換型、 揷入型いずれでも用いることができる。
各種宿主細胞への夕一ゲットぺク夕一の導入には、 後述 3に記載の各種宿主細胞に 適した,組換えべクタ一の導入方法を用いることができる。
相同組換え体を効率的に選別する方法として、 例えば、 Gene Targeting, A Practical Approach, IRL Press at Oxford University Press (1993 )、 ノ イォマニ ュアルシリーズ 8 ジーン夕一ゲヅティング, ES 細胞を用いた変異マウスの作製(羊 土社)(1995 )等に記載のポジティブ選択、 プロモー夕一選択、 ネガティブ選択、 ポリ A選択などの方法を用いることができる。 選別した細胞株の中から目的とする相同組 換え体を選択する方法としては、 ゲノム DNAに対するサザンハイプリダイゼーシヨン 法 [ Molecular Cloning, A' LaboratoryManual , Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989 ) ] や PCR 法 [ PCR Protocols , Academic Press (1990 ) ]等があげられる。
( c ) RD0方法による本発明の抗体組成物を作製するために用いる宿主細胞の作製 本発明の抗体組成物を作製するために用いる宿主細胞は、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N -ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵 素の遺伝子を標的とし、 RD0法を用い、 例えば、 以下のように作製することができる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコース.の合成に関与する酵素または N-グリコシド結 合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合 する糖鎖修飾に関与する酵素の cDNAあるいはゲノム DNA'を上記 1の (1 ) の (a ) に記載の方法を用い、 調製する。
調製した cDNAあるいはゲノム DNAの塩基配列を決定する。
'決定した DNAの配列に基づき、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与 する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵素をコードする部分、 非翻 訳領域の部分あるいはイントロン部分を含む適当な長さの RD0のコンストラクトを設 計し合成する。 '
合成した RD0を宿主細胞に導入し、 標的とした酵素、 すなわち細胞内糖ヌクレオチ ド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシ.ド結合複合型糖鎖還元末端 の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が 結合する糖鎖修飾に関与す る酵素に変異が生じた形質転換体を選択することにより、 本発明の宿主細胞を作製す ることができる。
宿主細胞としては、 酵母、 動物細胞、 昆虫細胞、 植物細胞等、 標的とする細胞内糖 ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖 鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修 飾に関与する酵素の遺伝子を有しているものであればいずれも用いることができる。 具体的には、 後述 2に記載の宿主細胞があげられる。
各種宿主細胞への RD0の導入には、 後述 2に記載の各種宿主細胞に適した組換えべ クタ一の導入方法を用いることができる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N -グリコシド結 合複合型糖 ί!還元末端の Ν-ァセチルダルコサミンの 6位にフコ一スの 1位が 結合 する糖鎖修飾に関与する酵素の cDNA を調製する方法としては、 例えば、 上記 1の
( 1 ) の (a) に記載の cDNAの調製方法などがあげられる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結 合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合
する糖鎖修飾に関与する酵素のゲノム DNAを調製する方法としては、 例えば、 上記 1 の (1) の (b) に記載のゲノム DNAの調製方法などがあげられる。
DNA の塩基配列は、 適当な制限酵素などで切断後、 pBluescript S (-) (Stratagene社製) 等のプラスミドにサブクローニングし、 通常用いられる塩基配 列解析方法、 例えば、 Sanger らのジデォキシ法 [Proc. Natl. Acad. Sci., U.S.A., 74, 5463 (1977)] 等の反応を行い、 塩基配列自動分析装置、 例えば、 ABI PRISM377DNAシークェンサ一 (Applied Biosystems社製) 等の塩基配列分析装置を用 いて分析することにより、 確認することができる。
RD0は、 常法または DNA合成機を用いることにより調製することができる。
RD0を宿主細胞に導入し、 標的とした酵素、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの 合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグル. コサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵素の遺伝子に変 異が生じた細胞を選択する方法としては、 Molecular Cloning, A LaboratoryManual , Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989) 、 Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987- 1997)等に記載された 染色体上の遺伝子の変異を直接検出する方法があげられる。
また、 前記 1の (1) の (a) に記載の、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの, 合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグル コサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵素の活性を指標 として形質転換体を選択する方法、 後述 1の (5) に記載の細胞膜上の糖蛋白質の糖 鎖構造を指標として形質転換体を選択する方法、 あるいは、 後述 4または後述 5に記 載の産生抗体分子の糖鎖構造を指標として形質転換体を選択する方法も用いることが できる。
RD0 は、 Science, 273, 1386 (1996 ); Nature Medicine, 4, 285 ,(1998); Hepatology, 25, 1462 (1997); Gene Therapy, 5, 1960 (1999); J. Mol. Med. , 75, 829 (1997); Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96, 8774 (1999); Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96, 8768 (1999 ); Nuc. Acids. Res.), 27, 1323 (1999 ); Invest. Dematol., 111, 1172 (1998); Nature Biotech.), 16, 1343 (1998); Nature -
Biotech , , 18, 43 . (2000 ) ; Nature Biotech. , 18 , 555 (2000 )等の記載に従って設計 することができる。
( d ) RNAi法による本発明の抗体組成物を作製するために用いる宿主細胞の作製 本発明の抗体組成物を作製するために用いる宿主細胞は、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵 素の遺伝子を標的とし、 RNAi 法を用い、 例えば、 以下のように作製することができ る。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結 合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が a結合 する糖鎖修飾に関与する酵素の cDNA を上記 1の (1 ) の (a ) に記載の方法を用い、 cDNAを調製する。
調製した cDNAの塩基配列を決定する。 , 決定した cDNAの配列に基づき、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与 する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が 結合する糖鎖修飾に関与する酵素をコードする部分あるい は非翻訳領域の部分を含む適当な長さの RNAi遺伝子を設言†する。
該 RNAi遺伝子を細胞内で発現させるために、 調製した cDNAの断片、 または全長を 適当な発現べク夕一のプロモーターの下流に挿入することにより、 組換えベクターを 作製する。 .
該組換えベクターを、 該発現べクタ一に適合した宿主細胞に導入することにより形 質転換体を得る。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結 合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が 結合 する糖鎖修飾に関与する酵素の活性、 あるいは産生抗体分子または細胞表面上の糖蛋 白質の糖鎖構造を指標に形質転換体を選択することで、 本発明の細胞を作製するため に用いる宿主細胞を得ることができる。
宿主細胞としては、 酵母、 動物細胞、 昆虫細胞、 植物細胞等、 標的とする細胞内糖
ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド 合複合型糖 鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修 飾に関与する酵素の遺伝子を有しているものであればいずれも用いることができる。 具体的には、 後述 2に記載の宿主細胞があげられる。
発現べクタ一としては、 上記宿主細胞において自立複製可能ないしは染色体への組 み込みが可能で、 設計した RNAi 遺伝子を転写できる位置にプロモーターを含有して いるものが用いられる。 具体的には、 後述 2に記載の発現べクタ一があげられる。 各種宿主細胞への遺伝子の導入には、 後述 2に記載の各種宿主細胞に適した組換え ベクターの導入方法を用いることができる。 '
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素の活性または N-グリコ シド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が ひ結合する糖鎖修飾に関与する酵素の活性を指標として形質 換体を選択する方法と しては、 例えば、 本項 1の (1 ) の (a ) に記載の方法があげられる。
細胞膜上の糖蛋白質の糖鎖構造を指標として形質転換体を選択する方法としては、 例えば、 本項 1の (5 ) に記載の方法があげられる。 産生抗体分子の糖鎖構造を指標 として形質転換体を選択する方法としては、 例えば、 後述 4または後述 5に記載の方 法があげられる。
また、 発現べクタ一を用いず、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与 する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵素の cDNA を調製する方法 としては、 例えば、 本項 1の (1 ) の (a ) に記載された cDNAの調製方法などがあ. げられる。
また、 発現べクタ一を用いず、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与 する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵素の塩基配列に基づいて設 計した RNAi 遺伝子を、 直接宿主細胞に導入することで、 本発明の細胞を作製するた めに用いる宿主細胞を得ることもできる。
RNAi 遺伝子は、 常法または DNA合成機を用いることにより調製することができる。
RNAi 遺伝子のコンストラクトは、 [Nature, 391, 806 (1998); Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95, 15502 (1998); Nature, 395, 854 (1998); Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96, 5049 (1999); Cell, 95, 1017 (1998); Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96, 1451 (1999); Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95, 13959 (1998); Nature Cell Biol. 2, 70 (2000)]等の記載に従って設計することができる。
(e) トランスポゾンを用いた方法による、 本発明の抗体組成物を作製するために用 いる宿主細胞の作製
本発明の抗体組成物を作製するために用いる宿主細胞は、 Nature Genet., 25, 35 (2000 )等に記載のトランスポゾンのシステムを用い、 細胞内糖ヌクレオチド GDP -フ コースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセ チルグルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵素の活 性、 あるいは産生抗体分子または細胞膜上の糖蛋白質の糖鎖構造を指標に突然変異体 を選択することで、 本発明の細胞を作製するために用いる宿主細胞を作製することが できる。 '
トランスポゾンのシステムとは、 外来遺伝子をランダムに染色体上に挿入させるこ とで突然変異を誘発させるシステムであり、 通常、 トランスポゾンに揷まれた外来遺 伝子に突然変異を誘発させるベクターとして用い、 この遺伝子を染色体上にランダム に揷入させるためのトランスポゼースの発琅ベクターを同時に細胞の中に導入する。 トランスポゼ一スは、 用いるトランスポゾンの配列に適したものであればいかなる ものも用いることができる。
外来遺伝子としては、 宿主細胞の DNAに変異を誘起するものであればいかなる遺伝 子も用いることができる。
宿主細胞としては、 酵母、 動物細胞、 昆虫細胞、 植物細胞等、 標的とする細胞内糖 ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖 鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修 飾に関与する酵素の遺伝子を有しているものであれば ずれも用いることができる。 具体的には、 後述 2に記載の宿主細胞があげられる。 各種宿主細胞への遺伝子の導入 には、 後述 2に記載の各種宿主細胞に適した組み換えベクターの導入方法を用いるこ
とができる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結 合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルダルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合 する糖鎖修飾に関与する酵素の活性を指標として突然変異体を選択する方法としては、 例えば、 本項 1の (1 ) の (a ) に記載の方法があげられる。
細胞膜上の糖蛋白質の糖鎖構造を指標として突然変異体を選択する方法としては、 例えば、 本項 1の (5 ) に記載の方法があげられる。 産生抗体分子の糖鎖構造を指標 として突然変異体を選択する方法としては、 例えば、 後述 4または後述 5に記載の方 法があげられる。
( 2 ) 酵素の遺伝子のドミナントネガティブ体を導入する手法
本発明の抗体組成物を作製するために用いる宿主細胞は、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵 素の遺伝子を標的とし、 該酵素のドミナントネガティブ体を導入する手法を用いるこ とにより作製することができる。 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与 する酵素としては、 具体的には、 GMD、 Fxなどがあげられる。 N-グリコシド結合複合 型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖 鎖修飾に関与する酵素としては、 .具体的には、 α ΐ , 6-フコシルトランスフェラ一ゼ、 ひ- L-フコシダーゼなどがあげられる。
これらの酵素は、 基質特異性を有したある特定の反応を触媒する酵素であり、 この ような基質特異性を有した触媒作用を有する酵素の活性中心を破壊することで、 これ らの酵素のドミナントネガティブ体を作製することができる。標的とする酵素のうち、 GMD を例として、 そのドミナントネガティブ体に作製について具体的に以下に述べる。 大腸菌由来の GMDの立体構造を解析した結果、 4つのアミノ酸 (133番目のトレオ ニン、 135番目のグルタミン酸、 157番目のチロシン、 161 番目のリシン) が酵素活' 性に重要な機能を担っていることが明らかにされている (Structure, 8, 2 , 2000) 。 すなわち、 立体構造の情報にもとづきこれら 4つのアミノ酸を異なる他のアミノ酸に 置換した変異体を作製した結果、 いずれの変異体においても有意に酵素活性が低下し
て 、たことが示されている。 一方、 GMDの補酵素 NADPや基質である GDP-マンノース との結合能に関しては、 いずれの変異体においてもほとんど変化が観察されていない。 従って、 GMD の酵素活性を担うこれら 4つのアミノ酸を置換することによりドミナン トネガティプ体を作製することができる。 大腸菌由来の GMDのドミナントネガティブ 体の作製の結果に基づき、 アミノ酸配列情報をもとにした相同性比較や立体構造予測 を行うことにより、 例えば、 CH0細胞由来の GMD (配列番号 2 ) では、 155 番目のト レオニン、 157番目のグルタミン酸、 179番目のチロシン、 183 番目のリシンを他の ァミノ酸に置換することによりドミナントネガティブ体を作製することができる。 こ のようなアミノ酸置換を導入した遺伝子の作製は、 Molecular Cloning, A LabpratoryManual , Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989 )、 Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987-1997 )等に言 3 載された部位特異的変異導入法を用いて行うことができる。
本発明の抗体組成物を作製するために用いる宿主細胞は、 上述のように作製した標 的酵素のドミナントネガティブ体をコードする遺伝子 (以下、 ドミナントネガティブ 体遺伝子と略記する) 'を用い、 Molecular Cloning, A LaboratoryManual , Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989 )、 Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons ( 1987 - 1997 )、 Manipulating the Mouse Embryo A Laboratory Manual , Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1994 )等に記載された遺伝子導入の方法に従って、 例えば、 以下のように作製 することができる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結 合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が 結合 する糖鎖修飾に関与する酵素のドミナントネガティブ体遺伝子を調製する。
調製したドミナントネガティブ体'遺伝子の全長 DNAをもとにして、 必要に応じて、 該蛋白質をコードする部分を含む適当な長さの DNA断片を調製する。
該 DNA断片、 または全長 DNAを適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入す ることにより、 組換えベクターを作製する。
該組換えべクタ一を、 該発現べクタ一に適合した宿主細胞に導入することにより、
形質転換体を得る。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素の活性または N-グリコ シド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が 結合する糖鎖修飾に関与する酵素の活性、 あるいは産生抗体分子または細胞膜上の 糖蛋白質の糖鎖構造を指標に形質転換体を選択することで、 本発明の細胞を作製する だめに用いる宿主細胞を作製することができる。
宿主細胞としては、 酵母、 動物細胞、 '昆虫細胞、 植物細胞等、 標的とする細胞,内糖 ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖 鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修 飾に関与する酵素の遺伝子を有しているものであればいずれも用いることができる。 具体的 (こは、 後述 2に記載の宿主細胞があげられる。
発現べクタ一としては、 上記宿主細胞において自立複製可能ないしは染色体中への 組み込みが可能で、 目的とするドミナントネガティブ体をコードする DNAを転写でき る位置にプロモーターを含有しているものが用いられる。 具体的には、 後述 2に記載 の発現ぺク夕一があげられる。
各種宿主細胞への遺伝子の導入には、 後述 2に記載の各種宿主細胞に適した組換え ベクターの導入方法を用いることができる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素の活性または N-グリコ シド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が 結合する糖鎖修飾に関与する酵素の活性を指標として形質転換体を選択する方法と しては、 例えば、 後述 1 ( 1 ) の (a ) に記載の方法があげられる。
細胞膜上の糖蛋白質の糖鎖構造を指標として形質転換体を選択する方法としては、 例えば、 後述 1の (5 ) に記載の方法があげられる。 産生抗体分子の糖鎖構造を指標 として形質転換体を選択する方法としては、 例えば、 後述 4または後述 5に記載の方 法があげられる。
( 3 ) 酵素に突然変異を導入する手法
本発明の抗体組成物を作製するために用いる宿主細胞は、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の
N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与する酵 素の遺伝子に突然
変異を導入し、 該酵素に突然変異を生じた所望の細胞株を選択する手法を用いること により作製できる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素としては、 具体的には、 GMD、 Fxなどがあげられる。 N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグル コサミンの 6位にフコースの 1位がひ結合する糖鎖修飾に関与す 酵素としては、 具 体的には、 ひ 1 , 6-フコシルトランスフェラ一ゼ、 ひ- L-フコシダーゼなどがあげられ る。
酵素に突然変異を導入する方法としては、 1 ) 突然変異誘発処理で親株を処理した 突然変異体あるいは自然発生的に生じた突然変異体から、 細胞内糖ヌクレ,ォチド GDP-フコースの合成に関与する酵素の活性または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元 末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が 結合する糖鎖修飾に関 与する酵素の活性を指標として所望の細胞株を選択する方法、 2 ) 突然変異誘発処理 で親株を処理した突然変異体あるいは自然発生的に生じた突然変異体から、 生産抗体 分子の糖鎖構造を指標として所望の細胞株を選択する方法、 3 ) 突然変異誘発処理で 親株を処理した突然変異体あるいは自然発生的に生じた突然変異体から、 該細胞の細 胞膜上の糖蛋白質の糖鎖構造を指標として所望の細胞株を選択する方法などがあげら れる。
突然変異誘発処理としては、 親株の細胞の DNAに点突然変異、 欠失あるいはフレー ムシフト突然変異を誘起するものであればいかなる'処理も用いることができる。
具体的には、 ェチルニトロソゥレア、 ニトロソグァ二ジン、 ベンゾピレン、 ァクリ ジン色素による処理、 放射線の照射などがあげられる。 また、 種々のアルキル化剤や 発癌物質も突然変異誘発物質として用いることができる。 突然変異誘発物質を細胞に 作用させる方法としては、 例えば、 組織培養の技術第三版 (朝倉書店) 日本組織培養 学会編(1996 )、 Nature Genet . , 24 , 314, (2000 )等に記載の方法を挙げることができ る。
自然発生的に生じた突然変異体としては、 特別な突然変異誘発処理を施さないで、
通常の細胞培養の条件で継代培養を続けることによって自然発生的に生じる突然変異 体を挙げることができる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素の活性または N-グリコ シド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が 結合する糖鎖修飾に関与する酵素の活性を測定する方法としては、 例えば、 本項 1 の (1 ) の (a ) に記載の方法があげられる。 産生抗体分子の糖鎖構造を識別する方 法としては、 例えば、 後述 4または後述 5に記載の方法があげられる。 細胞膜上の糖 蛋白質の糖鎖構造を識別する方法としては、 例えば、 本項の 1の (5 ) に記載の方法 があげられる。 '
( 4 ) 酵素の遺伝子の転写又は翻訳を抑制する手法 ,
本発明の抗体組成物を作製するために用いる宿主細胞は、 細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N -ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵 素の遺伝子を標的とし、 アンチセンス RMZDNA技術 [バイオサイエンスとインダス トリー, 50 , 322 (1992 )ヽ 化学, 6 , 681 (1991 )、 Biotechnology, 9 , 358 (1992 )、 Trends in Biotechnology, 10, 87 (1992 )、 Trends in Biotechnology, 10, 152 (1992 )、 細胞工学, 16, 1463 (1997) ] 、 トリプル .ヘリックス技術 [Trends in Biotechnology, 10 , 132 (1992 ) ]等を用い、 標的とする遺伝子の転写または翻訳を抑 制することで作製することができる。
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素としては、 具体的には、 GMD、 Fxなどがあげられる。 N -グリコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグル コサミンの 6位にフコースの 1位が α結合する糖鎖修飾に関与する酵素としては、 具 体的には、 1 , 6-フコシルトランスフェラーゼ、 ひ- L-フコシダ一ゼなどがあげられ る ο
細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素の活性または Ν-グリコ シド結合複合型糖鎖還元末端の Ν-ァセチルグルコサミンの 6位にフコースの 1位が ひ結合する糖鎖修飾に関与する酵素の活性を測定する方法としては、 例えば、 本項 1 の (1 ) の (a ) に記載の方法があげられる。
細胞膜上の糖蛋白質の糖鎖構造を識別する方法としては、 例えば、 本項 1の (5 ) に記載の方法があげられる。 産生抗体分子の糖鎖構造を識別する方法としては、 例え ば、 後述 4または後述 5に記載の方法があげられる。
( 5 ) N-グリコシド結合糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位とフコース の 1位がひ結合した糖鎖構造を認識するレクチンに耐性である株を選択する手法 本発明の抗体組成物を作製するために用いる宿主細胞は、 N-グリコシド結合糖鎖還 元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位とフコースの 1位がひ結合した糖鎖構造を 認識するレクチンに耐性である株を選択する手法を用いることにより作製することが できる。 _
N-グリコシド結合糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位とフコースの 1 位がひ結合した糖鎖構造を認識するレクチンに耐性である株を選択する手法としては、 例えば、 Somatic Cel l Mol . Genet . , 12 , 51 (1986 )等に記載のレクチンを用いた方 法があげられる。
レクチンとしては、 Ν-グリコシド結合糖鎖還元末端の Ν-ァセチルグルコサミンの 6位とフコースの 1位がひ結合した糖鎖構造を認識するレクチンであればいずれのレ クチン'でも用いることができるが、 その具体的な例としては、 レンズマメレク^ン LGA (Lens Culinaris由来の Lentil Agglutinin) ェンドウマメレクチン PSA (Pisum sativum 由来の Pea Lectin ) 、 ソラマメレクチン VFA ( Vicia ' faba 由来の Agglutinin) 、 ヒィロチャワン夕ケレクチン AAL (Aleuriaaurantia由来の Lectin^ 等を挙げることができる。
具体的には、 l〃g/mL〜lmg/riiLの濃度の上述のレクチンを含む培地で 1 日〜 2週間、 好ましくは 1 日〜 1週間培養し、 生存している細胞を継代培養あるいはコロニーをピ ックアツプし別の培養容器に移し、 さらに引き続きレクチンを含む培地で培養を続け ることによって、 本発明の N-グリコシド結合糖鎖還元末端の N-ァセチルグル サミ ンの 6位とフコースの 1位がひ結合した糖鎖構造を認識するレクチンに耐性である株 を選択することができる。
2 . 抗体組成物の製造方法
本発明の抗体組成物は、 Molecular Cloning, A LaboratoryManual , Second
Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989 )、 Current Protocols in Molecular Biology, John Wi ley & Sons (1987 - 1997 )、 Antibodies , A Laboratory manual , Cold Spring Harbor Laboratory, 1988 、 Monoclonal Antibodies : principles and practice , Third Edition, Acad . .Press , 1993 、 Antibody Engineering, A Practical Approach, IRL Press at Oxford University Press , 1996 等に記載された方法を用い、 例えば、 以下のように宿主細胞中で発現させて取 得することができる。
抗ヒト VEGF受容体 Fit- 1抗体分子の全長 cDNAを調製し、 該抗体分子をコ一ドする 部分を含む適当な長さの DNA断片を調製する。
該 DNA断片、 または全長を適当な発現べクタ一のプロモーターの下流に挿入するこ とにより、 組換えベクターを作製する。 '
該組換えべク夕一を、 該発現べク夕一に適合した宿主細胞に導入することにより、 抗体組成物を生産する形質転換体を得ることができる。
宿主細胞としては、 酵母、 動物細胞、 昆虫細胞、 植物細胞等、 抗体を発現できるも のであればいずれも用いることができる。
抗体分子の Fc領域に結合する N-グリコシド結合糖鎖の修飾に係わる酵素、 すなわ ち細胞内糖ヌクレオチド GDP-フコースの合成に関与する酵素または N-グリコシド結 合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンの 6位にフコ一スの 1位が 結合 する糖鎖修飾に関与する酵素が失活した細胞を選択するか、 または前述 1に示された 種々の人為的手法により得られた細胞を宿主細胞として用いることもできる。
発現ベクターとしては、 上記宿主細胞において自立複製可能ないしは染色体中への 組込が可能で、 目的とする抗体分子をコードする DNAを転写できる位置にプロモー夕 —を含有しているものが用いられる。
cDNAは、 前記 1 . の (1 ) の (a ) に記載の cDNAの調製方法に従い、 ヒト又は非 ヒト動物の組織又は細胞より、 目的とする抗体分子をコードする cDNA に特異的なプ ローブまたはプライマ一等を用いて調製することができる。
酵母を宿主細胞として用いる場合には、 発現ベクターとして、 例えば、 YEP13 (ATCC37115) 、 YEp24 (ATCC37051) 、 YCp50 (ATCC37419) 等をあげることができる。
プロモーターとしては、 酵母菌株中で発現できるものであればいずれのものを用い てもよく、 例えば、 へキソースキナーゼ等の解糖系の遺伝子のプロモ一夕一、 PH05 プロモーター、 PGKプロモ一夕一、 GAPプロモ一夕一、 ADHプロモー夕一、 gal 1プロ モ一夕一、 gal 10 プロモー夕一、 ヒートシ ック蛋白質プロモーター、 MFひ 1 プロ モー夕一、 CUP 1プロモ一夕一等をあげることができる。
宿主細胞としては、 サヅカロミセス属、 シゾサヅカロミセス属、 クリュイべ口ミセ ス属、 リコスポロン属、 シュヮニォミセス属等に属する微生物、 例えば、 Saccharomyces cerevisiaeヽ Schizosaccharomyces pomb luyveromyces lactiSs Trichosporon pullulans^ Schwanniomyces alluvius等をあげることができる。
組換えベクターの導入方法どしては、 酵母に DNAを導入する方法であればいずれも 用いることができ、 例えば、 エレクト口ポレーシヨン法 [Methods. Enzymol . , .194, 182 (1990 )] 、 スフエロプラス ト法 [Proc. Natl.. Acad. Sci. U.S. A, 84, 1929 (1978)] 、 酢酸リチウム法 [J. Bacteriology, 153, 163 (1983 )、 Proc. Natl. Acad. Sci. U.S. A, 75, 1929 (1978)] に記載の方法等をあげることができる。
動物細胞を宿主として用いる場合には、 発現べクタ一として、 例えば、 pcDNAI、 pcDM8 '(フナコシ社より巿販) 、 pAGE107 [特開平 3-22979; Cytotechnology, 3, 133, (1990 )] 、 pAS3-3 [特開平 -227075] 、 pCDM8 [Nature, 329, 840, (1987)] 、 pcDNAI/Amp ( Invitrogen 社 ) 、 pREP4 ( Invitrogen 社 ) 、 pAGE103 [ J. Biochemistry, 101, 1307 (1987)] 、 pAGE210等をあげることができる。
プロモ一夕一としては、 動物細胞中で発現できるものであればいずれも用いること ができ、 例えば、 サイ トメガ ϋウィルス (CMV) の IE (immediate early) 遺伝子の プロモー夕一、 SV40 の初期プロモー夕一、 レトロウイルスのプロモ一夕一、 メタ口 チォネインプロモー夕一、 ヒ一トショヅクプ qモー夕一、 SRaプロモ一夕一等をあげ ることができる。 また、 ヒト CMVの IE遺伝子のェンハンサ一をプロモ一夕一と共に 用いてもよい。 . '
宿主細胞としては、 ヒトの細胞であるナマルバ (Namalwa) 細胞、 サルの細胞であ る COS 細胞、 チャイニーズ 'ハムスターの細胞である CH0細胞、 HBT5637 (特 ill昭 63-299) , ラヅトミエロ一マ細胞、 マウスミエ口一マ細胞、 シリアンハムス夕一腎臓
由来細胞、 胚性幹細胞、 受精卵細胞等を げることができる。
組換えベクターの導入方法としては、 動物細胞に DNAを導入する方法であればいず れも用いることができ、 例えば、 エレクト口ポレーシヨン法 [Cytotechnology, 3, 133 (1990 ) ] 、 リン酸^ルシゥム法 [特閧平 2-227075 ] 、 リボフヱクシヨン法 [ Proc .Natl . Acad. Sci . U. S . A. , 84 , 7413 (1987 ) ] 、 イ ンジェクショ ン法 [Manipulating the Mouse Embryo A Laboratory Manual , Second Edition, Cold Spring Harbor Laborator Press (1994 ) ]、 パ一ティクルガン (遺伝子銃) を用いる 方法 [特許第 2606856、 特許第 2517813] 、 DEAE-デキストラン法 [バイオマニュアル シリーズ 4一遺伝子導入と発現 ·解析法 (羊土社) 横田崇 ·新井賢一編(1994 )] 、 ゥ ィ レスべク夕——法 [Manipulating the Mouse Embryo A Laboratory Manual , Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1994) ]等をあげることができる。 昆虫細胞を宿主として用いる場合には、 例えばカレント 'プロトコールズ 'ィン - モレキュラー、 ノ、、ィォロジ一 Baculovirus Expression Vectors , A Laboratory Manual , W. Ή. Freeman and Company, New York (1992 )、 Bio/Technology, 6 , 47 (1988 )等に記載された方法によって、 蛋白質を発現することができる。
即ぢ、 発現べクタ一およびバキュロウィルスを昆虫細胞に共導入して昆虫細胞培養 上清中に組換えウイルスを得た後、 さらに組換えウィルスを昆虫細胞に感染させ、 蛋 白質を発現させることができる。
該方法において用いられる遺伝子導入べクタ一としては、 例えば、 pVL1392、 pVL1393、 pBlueBacII I (ともに Invitorogen社) 等をあげることができる。
バキュロウィルスとしてば、 例えば、 夜盗蛾科昆虫に感染するウィルスである Autographa cal ifornica nuclear polyhedrosis virus等を用いることができる。 昆虫細胞としては、 Spodopterafrugiperda の卵巣細胞である Sf9、 Sf21 [カレン 卜 - フ。口 卜コ一 レズ -ィン -モレキユラ—— -ノ ィォ口ジ——Baculovirus Expression Vectors , A Laboratory Manual , W. H. Freeman and Company, New York (1992 )] 、 Trichoplusianiの卵巣細胞である High 5 (Invitrogen社) 等を用いることができる。 組換えウィルスを調製するための、 昆虫細胞への上記発現導入べク夕一と上記バキ ュロウィルスの共導入方法としては、 例えば、 リン酸カルシウム法 (特開平 2 -
227075 ) 、 リポフエクシヨ ン法 [ Proc . Natl . Acad . Sci . U. S . A. , 84 , 7413 ( 1987 ) ]等をあげることができる。
植物細胞を宿主細胞として用いる場合には、 発現べクタ一として、 例えば、 Ti プ ラスミド、 タバコモザイクウィルスベクタ一等をあげることができる。
プロモー夕一としては、 植物細胞中で発現できるものであればいずれのものを用い てもよく、 例えば、 カリフラワーモザイクウィルス (CaMV) の 35Sプロモ一夕一、 ィ ネアクチン 1プロモ一夕一等をあげることができる。
宿主細胞としては、 タバコ、 ジャガイモ、 トマト、 ニンジン、 ダイズ、 アブラナ、 アルフアルファ、 イネ、 コムギ、 ォォムギ等の植物細胞等をあげることができる。 組換えべクタ一の導入方法としては、 植物細胞に DNAを導入する方法であればいず れも用いることができ、 例えば、 ァグロパクテリゥム (Agrobacterium) [特開昭
59- 140885、 特開昭 60- 70080、 WO94/00977] 、 エレクト口ポレーシヨン法 [特閧昭
60- 251887] 、 パ一ティクルガン (遺伝子銃) を用いる方法 [日本特許第 2606856、 日本特許第 2517813]等をあげることができる。
抗体組成物の発現方法としては、 直接発現以外に、 Mol ecular Cloning, A LaboratoryManual , Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press ( 1989 ) に記載されている方法等に準じて、 分泌生産、 Fc 領域と他の蛋白質.との融合蛋白質 発現等を行うことができる。
$唐鎖の合成に関与する遺伝子を導入した酵母、 動物細胞、 昆虫細胞または植物細胞 により発現させた場合には、 導入した遺伝子によって糖あるいは糖鎖が付加された抗 体分子を得ることができる。 '
以上のようにして得られる形質転換体を培地に培養し、 培養物中に抗体分子を生成 蓄積させ、 該培養物から採取することにより、 抗体組成物を製造することができる。 形質転換体を培地に培養する方法は、 宿主細胞の培養に用いられる通常の方法に従つ て行うことができる。
酵母等の真核生物を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、 該生 物が資化し得る炭素源、 窒素^、 無機塩類等を含有し、 形質転換体の培養を効率的に 行える培地であれば天然培地、 合成培地のいずれを用いてもよい。
炭素源としては、 該生物が資化し得るものであればよく、 グルコース、 フラクト一 ス、 スクロース、 これらを含有する糖蜜、 デンプンあるいはデンプン加水分解物等の 炭水化物、 酢酸、 プロピオン酸等の有機酸、 ェ夕ノール、 プロパノールなどのアルコ 一ル類等を用いることができる。
窒素源としては、 アンモニア、 塩化アンモニゥム、 硫酸アンモニゥム、 酢酸アンモ 二'ゥム、 リン酸アンモニゥム等の無機酸もしくは有機酸のアンモニゥム塩、 その他の 含窒素化合物、 ならびに、 ペプトン、 肉エキス、 酵母エキス、 コ一ンスチ一プリカ一、 カゼイン加水分解物、 大豆粕および大豆粕加水分解物、 各種発酵菌体およびその消化 物等を用いることができる。 '
無機塩類としては、 リン酸第一カリウム、 リン酸第二カリウム、 リン酸マグネシゥ ム、 硫酸マグネシウム、 塩化ナトリウム、 硫酸第一鉄、 硫酸マン癌、 硫酸銅、 炭酸力 ルシゥム等を用いることができる。
培養は、 通常振盪培養または深部通気攪拌培養などの好気的条件下で行う。 培養温 度は 15〜40°Cがよく、.培養時間は、 通常 16時間〜 7日間である。 培養中の pHは 3〜 9に保持する。 pHの調製は、 無機または有機の酸、 アルカリ溶液、 尿素、 炭酸カルシ ゥム、 Tンモニァなどを用いて行う。
また、 培養中必要に応じて、 アンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地 に添加してもよい。
プロモ—夕—として誘導性のプロモーターを用いた組換えベクターで形質転換した 微生物を培養するときには、 必要に応じてィンデューサ一を培地に添加してもよい。 例えば、 lac プロモーターを用いた組換えべクタ一で形質転換した微生物を培養する ときにはイソプロピル -/5-D-チォガラクトビラノシド等を、 trp プロモ一夕一を用い た組換えベクターで形質転換した微生物を培養するときにはィンドールァクリル酸等 を培地に添加してもよい。 .
動物細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、 一般に使用さ れている RPMI1640培地 [The Journal of the American Medical Association, 199, 519 (1967 )] 、 Eagleの MEM培地 [Science , 122, 501 (1952 )] 、 ダルベッコ改変 MEM 培地 [Virology, 8 , 396 (1959 )] 、 199 培地 [Proceeding of the Society for the
Biological Medicine ) , 73, 1 (1950 ) ] 、 Whitten培地 [発生工学実験マニュアル-ト ランスジヱニック ·マウスの作り方 (講談社) 勝木元也編 (1987) ]またはこれら培 地に牛胎児血清等を添加した培地等を用いることができる。
培養は、 通常 pH6〜8、 3Q〜4Q°C、 5%C02存在下等の条件下で 1〜7日間行う。
また、 培養中必要に応じて、 カナマイシン、 ペニシリン等の抗生物質を培地に添カロ してもよい。
昆虫細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、 一般に使用さ れている TNM-FH培地 (Pharmingen社) 、 Sf-900 II SFM培地 (Life Technologies 社) 、 ExCell400、 ExCel l405 (いずれも JRH Biosciences 社) 、 Grace ' s Insect Medium [Nature , 195 , 788 (1962 ) ] 等を用いることができる。
培養は、 通常 pH6〜7、 25〜30°C等の条件下で、 1〜5日間行う。
また、 培養中必要に応じて、 ゲン夕マイシン等の抗生物質を培地に添加してもよい。 植物細胞を宿主として得られた形質転換体は、 細胞として、 または植物の細胞や器 官に分ィ匕させて培養することができ ¾。 該形質転換体を培養する培地としては、 一般 に使用されているムラシゲ 'アン.ド ·スク一グ (MS )培地、 ホワイ ト(White)培地、 ま たはごれら培地にオーキシン、 サイトカイニン等、 植物ホルモンを添加した培地等を 用いることができる。
培養は、 通常 pH5〜9、 20〜40°Cの条件下で 3〜60日間行う。
また、 培養中必要に応じて、 カナマイシン、 ハイグロマイシン等の抗生物質を培地 に添加してもよい。
上記のとおり、 抗体分子を 一ドする DNAを組み込んだ発現ベクターを保有する動 物細胞、 あるいは植物細胞由来の形質転換体を、 通常の培養方法に従って培養し、 抗 体組成物を生成蓄積させ、 該培養物より抗体組成物を採取することにより、 抗体組成 物を製造することができる。 '
抗体組成物の発現方法としては、 直接発現以外に、 Molecular Cloning, A Laboratory Manual , Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989 )に記載されている方法に準じて、 分泌生産、 融合蛋白質発現等を行うことがで きる。
抗体組成物の生産方法としては、 宿主細胞内に生産させる方法、 宿主細胞外に分泌 させる方法、 あるいは宿主細胞外膜上に生産させる方法があり、 使用する宿主細胞や、 生産させる抗体分子の構造を変えるこどにより、 該方法を選択することができる。 抗体組成物が宿主細胞内あるいは宿主細胞外膜上に生産される場合、 ポ一ルソンら の方法 [J . Biol . Chem. , 264, 17619 (1989 )] 、 ロウらの方法 [Proc . Natl . Acad . Sci . U. S .A. , 86 , 8227 (1989 ) ; Genes Develop . , 4, 1288 (1990) ]、 または特開 平 05-336963、 WO94/23021等に記載の方法を準用することにより、 該抗体組成物を宿 主細胞外に積極的に分泌させることができる。
すなわち、 遺伝子組換えの手法を用いて、 発現ベクターに、 抗体分子をコードする DNA、 および抗体分子の発現に適切なシグナルぺプチドをコードする DNA を揷入し、 該発現ベクターを宿主細胞へ導入の後に抗体分子を発現させることにより、 目的とす る抗体分子を宿主細胞外に積極的に分泌させることができる。
また、 特開平 2-227075 に記載されている方法に準じて、 ジヒドロ葉酸還元酵素遺 伝子等を用いた遺伝子増幅系を利用して生産量を上昇させることもできる。
さらに、 .遺伝子導入した動物または植物の細胞を再分化させることにより、 遺伝子 が導入された動物個体 (トランスジヱニック非ヒト動物) または植物個体 (トランス ジエニック植物) を造成し、 これらの個体を用いて抗体組成物を製造することもでき る。 '
形質転換体が動物個体または植物個体の場合は、 通常の方法に従って、 飼育または 栽培し、 抗体組成物を生成蓄積させ、 該動物個体または植物個体より該抗体組成物を 採取することにより、 該抗体組成物を製造することができる。
動物個体を用いて抗体組成物を製造する方法としては、 例えば公知の方法 [American Journal of Clinical Nutrition, 63 , 639S (1996 ) ; American Journal of Clinical Nutrition) , 63 , 627S (1996 ) ; Bio/Technology, 9, 830 (1991 )] に準 じて遺伝子を導入して造成した動物中に目的とする抗体組成物を生産させる方法があ. げられる。
動物個体の場合は、 例えば、 抗体分子をコードする DNAを導入したトランスジェニ ック非ヒト動物を飼育し、 抗体組成物を該動物中に生成 ·蓄積させ、 該動物中より抗
体組成物を採取することにより、 抗体組成物を製造することができる。 該動物中の生 成 '蓄積場所としては、 例えば、 該動物のミルク (特開昭 63-309192) または卵等を あげることができる。 この際に用いられるプロモー夕一としては、 動物で発現できる ものであればいずれも用いることができるが、 例えば、 乳腺細胞特異的なプロモ一夕 —である カゼインプロモ一夕一、 ?カゼインプロモー夕一、 ^ラクトグロプリンプ ロモ—夕—、 ホエー酸性プロティンプロモ一夕一等が好適に用いられる。
植物個体を用いて抗体組成物を製造する方法としては、 例えば抗体分子をコードす る DNAを導入したトランスジヱニック植物を公知の方法 [組織培養, 20 ( 1994 ) ; 組 織培養, 21 ( 1995 ) ; Trends in Biotechnology, 15, 45 (1997 ) ] に準じて栽培し、 抗 体組成物を該植物中に生成 ·蓄積させ、 該植物中より該抗体組成物を採取することに より、 抗体組成物を生産する方法があげられる。
抗体分子をコ一ドする DNAを導入した形質転換体により製造された抗体組成物は、 例えば抗体組成物が、 細胞内に溶解状態で発現した場合には、 培養終了後、 細胞を遠 心分離により回収し、 水系緩衝液に懸濁後、 超音波破碎機、 フレンチプレス、 マント ンガウリンホモゲナイザー、 ダイノミル等により細胞を破砕し、 無細胞抽出液を得る。 該無細胞抽出液を遠心分離することにより得られる上清から、 通常の酵素の単離精製 法、 即ち、 溶媒抽出法、 硫安等による塩析法、 脱塩法、 有機溶媒による沈殿法、 ジェ チルアミノエチル (DEAE) -セファロ一ス、 DIAION HPA-75 (三菱化学 (株) 製) 等レ ジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、 S-Sepharose
FF (Pharmacia社) 等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、 ブチル セファロ一ス、 フエ二ルセファロ一ス等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー 法、 分子篩を用いたゲルろ過法、 ァフィ二ティ一クロマトグラフィー法、 クロマトフ オーカシング法、 等電点電気泳動等の電気泳動法等の手法を単独あるいは組み合わせ て用い、 抗体組成物の精製標品を得ることができる。 .
また、 抗体組成物が細胞内に不溶体を形成して発現した場合は、 同様に細胞を回収 後破砕し、 遠心分離を行うことにより、 沈殿画分として抗体組成物の不溶体を回収す る。 回収した抗体組成物の不溶体を蛋白質変性剤で可溶化する。 該可溶化液を希釈ま たは透析することにより、 該抗体組成物を正常な立体構造に戻した後、 上記と同様の
単離精製法により該抗体組成物の精製標品を得ることができる。
抗体組成物が細胞外に分泌された場合には、 培養上清に該抗体組成物あるいはその 誘導体を回収することができる。 即ち、 該培養物を上記と同様の遠心分離等の手法に より処理することにより培養上清を取得し、 該培養上清から、 上記と同様の単離精製 法を用いることにより、 抗体組成物の精製標品を得ることができる。
—以下に、 本発明の抗体組成物の取得のより具体的な例として、 七ト化抗体の組成物 の製造方法について記すが、 他の抗体組成物も当該方法と同様にして取得することが できる。
( 1 ) ヒト化抗体発現用ベクターの構築
ヒト化抗体発現用ベクターとは、 ヒト抗体の CHおよび CLをコ一ドする遺伝子が組 み込ま
れた動物細胞用発現ベクターであり、 動物細胞用発現ベクターにヒト抗体の CHおよ び CL をコードする遺伝子をそれぞれクローニングすることにより構築することがで きる。
ヒト抗体の C領域としては、 任意のヒト抗体の CHおよび CLであることができ、 例 えば、 'ヒト抗体の H鎖の IgGlサブクラスの C領域 (以下、 hCァ 1 と表記する) およ びヒト抗体の L鎖の クラスの C領域 (以下、 hC と表記する) 等があげられる。 ヒト抗体の CHおよび CLをコ一ドす,る遺伝子としてはェキソンとィントロンから成 る染色体 DNAを用いることができ、 また、 mRNAから逆転写して作製された cDNAを用 いることもできる。
動物細胞用発現べクタ一としては、 ヒト抗体の C領域をコードする遺伝子を組込み 発現できるものであればいかなるものでも用いることができる。 例えば、 PAGE107 [Cytotechnology, 3, 133 (1990)]、 pAGE103 [J. Biochem. , 101, 1307 (1987)]、 PHSG274 [Gene, 27, 223 (1984)] 、 pKCR [Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., .78, 1527 (1981 )]、 pSGl ?d2-4 [Cytotechnology, 4, 173 (1990)] 等があげられる。 動 物細胞用発現ベクターに用いるプロモ一夕一とェンハンサ一としては、 SV40 の初期 プロモー夕—とェンハンサー [j. Biochem. ,101, 1307 (1987)]、 モロニ一マウス白 血病ウィルスの LTR [Biochem. Biophys. Res. Commun., 149, 960 (1987)] 、 ^疫
グロブリン H鎖のプロモーター [Cell, 41, 479 (1985)] とェンハンサー [Cell, 33, 717 (1983)] 等があげられる。
ヒト化抗体発現用べクタ一は、 抗体 H鎖及び L鎖が別々のベクター上に存在する夕 イブあ'るいは同一のベクター上に存在するタイプ (以下、.タンデム型と表記する) の どちらでも用いることができるが、 ヒト化抗体発現ベクターの構築の容易さ、 動物細 胞への導入の容易さ、 動物細胞内での抗体 H鎖及び, L鎖の発現量のバランスが均衡す る等の点からタンデム型のヒト化抗体発現用べクタ一の方が好ましい [J. Immunol. Methods, 167, 271 (1994)] 。 タンデム型のヒト化抗体発現べクタ一としては、 pKANTEX93[Mol. Immunol., 37, 1035 (2000)]、 pEE18[Hybridoma, 17, 559 (1998 )]な どがあげられる。
構築したヒト化抗体発現用ベクターは、 ヒト型キメラ抗体及びヒ卜型 CDR移植抗体 の動物細胞での発現に使用できる。
(2) ヒト以外の動物の抗体の V領域をコードする cDNAの取得
ヒト以外の動物の抗体、 例えば、 マウス抗体の VHおよび VLをコードする cDNAは 以下のようにして取得することができる。
ガングリオシドヒト VEGF受容体 FU- 1に特異的に結合する抗体を産生するハイプ リドーマ細胞から抽出した mRNAを錶型として用い、 cDNAを合成する。合成した cDNA をファージ或いはプラスミド等のベクタ一に挿入して cDNA ライブラリ一を作製する。 該ライブラリーより、 既存のマウス抗体の C領域或いは Y領域をコードする DNAをプ ロープとして用い、 H鎖 V領域をコードする cDNAを有する組換えファージ或いは組 換えプラスミド及び L鎖 V領域をコードする cDNAを有する組換えファージ或いは組 換えプラスミドをそれそれ単離する。 組換えファージ或いは組換えプラスミド上の目 的のマウス抗体の VHおよび VLの全塩基配列を決定し、 塩基配列より VHおよび VLの 全アミノ酸配列を推定する。
ヒト VEGF受容体 Fit- 1に特異的に結合できるヒト以外の動物の抗体を生産するハ ィプリド一マ細胞は、 ヒト VEGF受容体 Flt-1をヒト以外の動物に免疫し、 周知の方 法 [Antibodies: A Laboratory Manual , Cold Spring Harbor Laboratory,' Chapter 14, (1998)] に従って、 免疫された動物の抗体産生細胞とミエローマ細胞とでハイプ
リ ドーマを作製し、 次いで単一細胞化したハイプリ ドーマを選択し、 これを培養し、 培養上清から精製し、 取得することができる。 „
ヒト以外の動物としては、 マウス、 ラット、 ハムスター、 ゥサギ等、 ハイプリ ドー マ細胞を作製することが可能であれば、 いかなるものも用いることができる。
ハイプリ ドーマ細胞から全 RNA を調製する方法としては、 チォシアン酸グァニジ ン-トリフルォロ酢酸セシウム法 [Methods in Enzymol, , 154, 3 (1987)] 、 また全 RNA から mRNA を調製する方法としては、 オリゴ(dT)固定化セルロースカラム法 [Molecular Cloning, A Laboratory Manual , Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989 )] 等があげられる。 また、 ハイプリ ドーマ細胞から mRNAを 調製するキヅ トとしては、 Fast Track mRNA Isolation Kit (Invitrogen 社製) 、 Quick Prep mRNA Purification Kit (Pharmacia社製) 等があげられる。
cDNAの合成及び cDNAライブラリー作製法としては、 常法 [Molecular Cloning, A Laboratory Manual , Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989 )、 Current Protocols in MolecularBiology, Supplement 1-34] 、 或いは巿販 のキ'ヅ 卜、 例えば、 Super ScriptTM Plasmid System for cDNA Synthesis and Plasmid Cloning (GIBCO BRL社製) や ZAP- cDNA Synthesis Kit (Stratagene社製) を用いる方法などがあげられる。
cDNAライブラリーの作製の際、 ハイプリ ドーマ細胞から抽出した mRNAを鎵型とし て合成した cDNAを組み込むベクタ一は、 該 cDNAを組み込めるベクターであればいか なる.ものでも用いることができる。 例えば、 ZAP Express [Strategies, 5, 58 (1992)] 、 pBluescript II SK (+) [Nucleic Acids Research, 17, 9494 (1989)3 、 λ ZAP II (Stratagene 社製) 、 え gtlO、 λ gtll [DNA Cloning: A Practical Approach, I, 49 (1985)] 、 Lambda BlueMid (Clontech社製) 、 AExCelK pT7T3 18U (Pharmacia 社製) 、 pcD2 [Mol. Cell. Biol. , 3, 280 (1983)] 及び pUC18 [Gene, 33, 103 (1985 )] 等が用いられる。
ファージ或いはプラスミ ドベクターにより構築される cDNA ライプラリーを導入す る大腸菌としては該 cDNA ライブラリーを導入、 発現及び維持できるものであればい かなるものでも用いることができる。 例えば、 XL1- Blue M F' [Strategies, 5, 81
(1992)] 、 C600 [Genetics, 39, 440' (1954)] 、 Y1088、 Y1090 [Science, 222, 778 (1983)] 、 丽 522 [J. Mol. Biol. , 166, 1 (1983)] 、 K802 [J. Mol. Biol. , .16, 118 (1966 )] 及び JM105 [Gene, 38, 275 (1985)] 等が用いられる。
cDNAライブラリーからのヒト以外の動物の抗体の VHおよび VLをコ一ドする cDNA クローンを選択する方法としては、 ァイソト一プ或いは蛍光などで標識したプローブ を用いたコロニー ·ハイプリダイゼーシヨン法或いはプラーク 'ハイプリダイゼ一シ ヨン法 [Molecular Cloning, A Laboratory Manual , Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989 )] により選択することができる。 また、 プライマ一 を調製し、' cDNA或いは cDNA ライブラリ一を錶型として、 PCR [Molecular Cloning, A Laboratory Manual , Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989 )、 Current Protocols in Molecular Biology, Sup lement 1-34] により' VHお よび VLをコードする cDNAを調製することもできる。
上記方法により選択された cDNA を、 適当な制限酵素などで切断後、 pBluescript SK (-) (Stratagene社製) 等のプラスミドにクローニングし、 通常用いられる塩基酉己 列解析方法、 例えば、 Sanger らのジデォキシ法 [Proc. Natl. Acad. Sci.,U.S.A., 74, 5463 (1977)] 等の反応を行い、 塩基配列自動分析装置、 例えば、 ABI PRISM377 DNAシークェンサ一 (Applied Biosystems社製) 等の塩基配列分析装置を用いて分析 することにより該 cDNAの塩基配列を決定することができる。
決定した塩基配列から VHおよび VLの全アミノ酸配列を推定し、 既知の抗体の VH および VL の全アミノ酸配列 [Sequences of Proteins of Immunological Interest, US Dept. Health and Human Services, 1991] と比較することにより、'取得した cDNAが分泌シグナル配列を含む抗体の VHおよび VLを完全に含んでいるアミノ酸配 列をコードしているかを確認することができ ¾。
さらに、 抗体可変領域のアミノ酸配列または該可変領域をコードする DNAの塩基配 列がすでに公知である場合には、 以下の方法を用いて製造することができる。
アミノ酸配列が公知である場合には、 コドンの使用頻度 [Sequences of Proteins of Immunological Interest, US Dept. Health and Human Services, 1991] を考慮 して該可変領域をコードする DNA配列を設計し、 設計した DNA配列に基づき、 100塩
基前後の長さからなる数本の合成 DNAを合成し、 それらを用いて PCR法を行うことに より DNAを得ることができる。 塩基配列が公知である場合には、 その情報を基に 100 塩基前後の長さからなる数本の合成 DNAを合成し、 それらを用いて PCR法を行うこと により DNAを得ることができる。
( 3 ) ヒト以外の動物の抗体の V領域のアミノ酸配列の解析
分泌シグナル配列を含む抗体の VHおよび VLの完全なアミノ酸配列に関しては、 既 知の抗体の VHおよび VLのアミノ酸配列 [Sequences of Proteins of Immunological Interest , US Dept . Health and Human Services , 1991] と比較することにより、 分 泌シグナル配列の長さ及び N末端アミノ酸配列を推定でき、 更には抗体が属するサブ グループを知ることができる。 また、 VHおよび VLの各 CDRのアミノ酸配列について も、 同様の方法で見出すごとができる。
( 4 ) ヒト型キメラ抗体発現ベクターの構築
本項 2の (1 ) に記載のヒト化抗体発現用べクタ一のヒト抗体の CHおよび CLをコ 一ドする遺伝子の上流に、 ヒト以外の動物の抗体の VHおよび VLをコ一ドする cDNA を挿入し、 ヒト型キメラ抗体発現べクタ一を構築することができる。 例えば、 ヒト以 外の動物の抗体の VHおよび VLをコードする cDNAを、 ヒト以外の動物の抗体 VHおよ び VLの 3 '末端側の塩基配列とヒト抗体の CHおよび CLの 5 '末端側の塩基配列とから なり、 かつ適当な制限酵素の認識配列を両端に有する合成 DNAとそれそれ連結し、 そ れそれを本項 2の (1 ) に記載のヒト化抗体発現用べクタ一のヒト抗体の CHおよび GL をコードする遺伝子の上流にそれらが適切な形で発現するように揷'入し、 ヒト型 キメラ抗体発現べクタ一を構築することができる。
( 5 ) ヒト型 CDR移植抗体の V領域をコードする cDNAの構築
ヒト型 CDR移植抗体の VHおよび VLをコードする cDNAは、 以下のようにして構築 することができる。 まず、 目的のヒト以外の動物の抗体の VHおよび VLの CDRを移植 するヒト抗体の VHおよび VLの FRのアミノ酸配列を選択する。 ヒト抗体の VHおよび VLの FRのアミノ酸配列としては、 ヒト抗体由来のものであれば、 いかなるものでも 用いることができる。 例えば、 Protein Data Bank等のデ一夕ベースに登録されてい るヒト抗体の VHおよび VLの FRのアミノ酸配列、 ヒト抗体の VHおよび VLの FRの各
サブグループの共通ァミノ,酸配列 [ Sequences of Proteins of Immunological Interest , US Dept . Health and Human Services , 1991] 等があげられるが、 その中 でも、 十分な活性を有するヒト型 CDR移植抗体を作製するためには、 目的のヒト以外 の動物の抗体の VHおよび VLの FRのァミノ酸配列とできるだけ高い相同性 (少なく とも 60%以上) を有するアミソ酸配列を選択することが望ましい。
:次に、 選択したヒト抗体の VHおよび VLの FRのアミノ酸配列に目的のヒト以外の 動物の抗体の VHおよび VLの CDRのアミノ酸配列を移植し、 ヒト型 CDR移植抗体の VHおよび VLのアミノ酸配列を設計する。 設^十したアミノ酸配列を抗体の遺伝子の塩 基配列に見られるコ ドンの使用頻度 [Sequences of Proteins of Immunological Interest, US Dept . Health and Human Services , 1991] を考慮して DNA配列に変換 し、 ヒト型 CDR移植抗体の VHおよび VLのアミノ酸配列をコードする DNA配列を設計 する。 設計した DNA配列に基づき、 100塩基前後の長さからなる数本の合成 DNAを合 成し、 それらを用いて PCR法を行う。 この場合、 PGRでの反応効率及び合成可能な DNAの長さから、 H鎖、 L鎖とも 4〜6本の合成 DNAを設計することが好ましい。
また、 両端に位置する合成 DNAの 5 '末端に適当な制限酵素の認識配列を導入する こどで、 本項 2の (1 ) で構築したヒト化抗体発現用べクタ一に容易にクローニング することができる。 PCR後、 増幅産物を pBluescript SK (-) . (Stratagene社製) 等の プラスミドにクローニングし、 本項 2の (2 ) に記載の方法により、 塩基配列を決定 し、 所望のヒト型 CDR移植抗体の VHおよび VLのアミノ酸配列をコードする DNA配列 を有するプラスミドを取得する。
( 6 ) ヒト型 CDR移植抗体の V領域のアミノ酸配列の改変
ヒト型 CDR移植抗体は、 ヒト以外の動物の抗体の VHおよび VLの CDRのみをヒト抗 体の VHおよび VLの FRに移植しただけでは、 その抗原結合活性は元のヒト以外の動 物の抗体に比べて低下してしまうことが知られている [BI0/TECHN0L0GY, 9 , ' 266 (1991 ) ] 。 この原因としては、 元のヒト以外の動物の抗体の VHおよび VLでは、 CDR のみならず、 FRのいくつかのアミノ酸残基が直接的或いは間接的に抗原結合活性に 関与しており、 それらアミノ酸残基が CDRの移植に伴い、 ヒト抗体の VHおよび VLの F の異なるアミノ酸残基へと変化してしまうことが考えられている。 この問題を解
決するため、 ヒト型 CDR移植抗体では、 ヒト抗体の VHおよび VLの FRのアミノ酸配 列の中で、 直接抗原との結合に関与しているアミノ酸残基や CDRのァミノ酸残基と相 互作用したり、 抗体の立体構造を維持し、 間接的に抗原との結合に関与しているアミ ノ酸残基を同定し、 それらを元のヒト以外の動物の抗体に由来するアミノ酸残基に改 変し、 低下した抗原結合活性を上昇させることが行われている [BI0/TECHN0L0GY, 9, 26'6 (1991)]·。 .
ヒト型 CDR移植抗体の作製においては、 それら抗原結合活性に関わる FRのァミノ 酸残基を如何に効率よく同定するかが、 最も重要な点であり、 そのために X線結晶解' 析 [J. Mol. Biol., 112, 535 (1977)] 或いはコンビュ一夕一モデリング [Protein Engineering, 7, 1501 (1994)] 等による抗体の立体構造の構築及び解析が行われて いる。 これら抗体の立体構造の情報は、 ヒト型 CDR移植抗体の作製に多くの有益な情 報をもたらして来たが、 その一方、 あらゆる抗体に適応可能なヒト型 CDR移植抗体の 作製法は未だ確立されておらず、 現状ではそれそれの抗体について数種の改変体を作 製し、 それそれの抗原結合活性との相関を検討する等の種々の試行錯誤が必要である。 ヒト抗体の VHおよび VLの FRのアミノ酸残基の改^は、 改変用合成 DNAを用いて 本項 2'の (5) に記載の PCR法を行ゔことにより、 達成できる。 PCR後の増幅産物に ついて本項 2の (2) に記載の方法により、 塩基配列を決定し、 目的の改変が施され たことを確認する。 (7) ヒト型 CDR移植抗体発現べクタ一の構築
本項 2の (1) に記載のヒト化抗体発現用べクタ一のヒト抗体の CHおよび CLをコ ードする遺伝子の上流に、 本項 2の (5) および (6) で構築したヒト型 CDR移植抗 体の VHおよび VLをコ一ドする cDNAを揷入し、 ヒト型 CDR移植抗体発現ベクターを 構築することができる。 例えば、 本項 2の (5) および (6) でヒト型 CDR移植抗体 の VHおよび VLを構築する際に用いる合成 DNAのうち、 両端に位置する合成 DNAの 5'末端に適当な制限酵素の認識配列を導入することで、 本項 2の (1) に記載のヒト 化抗体発現用ベクタ一のヒト抗体の CHおよび CLをコードする遺伝子の上流にそれら が適切な形で発現するように挿入し、 ヒト型 CDR移植抗体発現ベクターを構築するこ とができる。
(8) ヒト化抗体の安定的生産
本項 2の (4 ) 及び (7 ) に記載のヒト化抗体発現べクタ一を適当な動物細胞に導 入することによりヒト型キメラ抗体及びヒト型 CDR移植抗体 (以下、 併せてヒト化抗 体と称す) を安定に生産する形質転換株を得ることができる。
動物細胞へのヒト化抗体発現ベクターの導入法としては、 エレクトロポレーシヨン 法 [特開平 2-257891 ; Cytotechnology, 3 , 133 (1990 )] 等があげられる。
ヒト化抗体発現べクタ一を導入する動物細胞としては、 ヒト化抗体を生産させるこ とができる動物細胞であれば、 いかなる細胞でも用いることができる。
. 具体的には、 マウスミエ口一マ細胞である NS0細胞、 SP2/0細胞、 チャイニーズハ ムス夕一卵巣細胞 CHO/dhf r-細胞、 CHO/DG44細胞、 ラットミエ口一マ細胞 YB2/0細胞、 1R983F細胞、 シリアンハムスター腎臓由来である BHK細胞、 ヒトミエロ一マ細胞で あるナマルバ細胞などがあげられるが、 好ましくは、 チャイニーズハムス夕一卵巣細 胞である CH0/DG44細胞、 ラヅトミエローマ YB2/0細胞等があげられる。
ヒト化抗体発現べクタ一の導入後、 ヒト化抗体を安定に生産する形質転換株は、 特 開平 2- 257891に開示されている方法に従い、 G418硫酸塩 (以下、 G418と表記する; SIGMA社製) 等の薬剤を含む動物細胞培養用培地により選択できる。 動物細胞培養用 培地と'しては、 RPMI164Q 培地 (日水製薬社製) 、 GIT培地 (日本製薬社製) 、 EX- CELL302 培地 (JRH社製) 、 IMDM培地 (GIBCO BRL 社製) 、 Hybridoma- SFM 培地 (GIBCO B L社製)、 またはこれら培地に牛胎児血清 (以下、 FCS と表記する) 等の 各種添加物を添加した培地等を用いることができる。 得られた形質転換株を培地中で 培養することで培養上清中にヒト化抗体を生産蓄積させることができる。 培養上清中 のヒト化抗体の生産量及び抗原結合活性は酵素免疫抗体法 [以下、 ELISA法と表記す る; Antibodies : A Laboratory Manual , Cold Spring Harbor Laboratory, Chapter 14 , 1998、 Monoclonal Antibodies : Principles and Practice , Academic Press Limited, 1996] 等により測定できる。 また、 形質転換株は、 特開平 2-257891に開示 されている方法に従い、 DHFR遺伝子増幅系等を利用してヒト化抗体組成物の生産量 を上昇させることができる。
ヒト化抗体組成物は、 形質転換株の培養上清よりプロティン Aカラムを用いて精製 することができる [ Antibodies : A Laboratory Manual , Cold Spring Harbor
Laboratory, Chapter 8 , 1988、 Monoclonal Antibodies : Principles and Practice , Academic Press Limited, 1996] 。 また、 その他に通常、 蛋白質の精製で用いられる 精製方法を使用することができる。 例えば、 ゲル濾過、 イオン交換クロマトグラフィ —及び限外濾過等を組み合わせて行い、 精製することができる。 精製したヒト化 体 の H鎖、 L鎖或いは抗体分子全体の分子量は、 SDS変性ポリアクリルアミドゲル電気 泳'動 [以下、 SDS- PAGE と表記する ; Nature, 227 , 680 (1970 ) ] やウエスタンプロ ヅティング法 [Antibodies : , A Laboratory Manual , Cold Spring Harbor Laboratory, Chapter 12 , 1988、 Monoclonal Antibodies : Principles and Practice, Academic Press Limited , 1996] 等で測定することができる。
以上、 動物細胞を宿主とした抗体組成物の製造方法を示したが、 上述したように、 酵母、 昆虫細胞、 植物細胞または動物個体あるいは植物個体においても動物細胞と同 様の方法により抗体組成物を製造することができる。
すでに宿主細胞が抗体を発現する能力を有する場合には、 上記 1に記載した方法を 用いて抗体組成物を発現させる細胞を調製した後に、 該細胞を培養し、 該培養物から 目的とする抗体組成物を精製することにより、 本発明の抗体組成物を製造することが できる b
3 . 抗体組成物の活性評価 .
. 精製した抗体組成物の蛋白量、 抗原との結合活性あるいは フエクタ一機能を測定 する方法としては、 モノク ϋーナルアンチボディズ、 あるいはアンチボディェンジ二 ァリング等に記載の公知の方法を用いることができる。
その具体的な例としては、 抗体組成物がヒト化抗体の場合、 抗原との結合活性、 抗 原陽性培養細胞株に対する結合活性は ELISA法及び蛍光抗体法 [Cancer Immunol . Immunother . , 36 , 373 (1993 ) ]等により測定できる。 抗原陽性培養細胞株に対する 細胞傷害活性は、 CDC活性、 ADCC活性等を測定することにより、 評価することができ る [Cancer Immunol . Immunother , , 36 , 373 (1993 )] 。
ADCC活性は、 NK細胞、 好中球、 単球、 マクロファ一ジなどのエフヱクタ一細胞の 活性化の結果、 生じると考えられており、 中でも NK細胞が、 主要な役割を果たして いる [Blood , 76 , 2421 (1990 )、 Trends in Immunol . , 22 , 633 (2001 )、 Int . Rev.
Immunol . , 0 , 503 (2001 ) ]o
NK細胞上に発現している Fcァ Rは Fcァ Rll laであり、 従って、 抗体の ADCC活性は Fcァ Iliaへの結合活性と相関する [J . Biol . Chem. , 276 , 6591 , (2001 ) ] 。 したが つて、 抗体組成物の Fcァ I l iaに対する結合性から、 抗体組成物の有する ADCC活性を 予測することができる。 抗体組成物の Fcァ 11 laへの結合活性を測定する方法は、
EL'ISA法. [Antibodies : A Laboratory Manual , Cold Spring Harbor Laboratory, Chapter 14 , 1998、 Monoclonal Antibodies : Principles and Practice , Academic Press Limited, 1996] に類似の方法で測定することができる。
具体的には、 ELISAプレートに固定化した Fc y Il iaに抗体組成物を反応させ、 ァ Iliaに結合した.抗体組成物を検出する方法や、 ELISAプレートに固定ィ匕した抗原に 抗体を結合させ、 次いで抗原に結合した抗体組成物に標識化した Fcァ Iljaを反応、 検出することにより抗体組成物の Fc y llla に対する結合性を評価することができる。
Fcァ Iliaは、 1 . 項に記載の方法によりヒト末梢血などから cDNAを取得し、 適当 な発現べクタ一に組み込み発現させ、 取得できる。 Fcァ Ilia を発現させる場合には、 適当なタグ分子と融合させて、 標識化することができる。 ·
また'、 抗体組成物のヒトでの安全性、 治療効果は、 力二クイザル等のヒトに比較的 近い動物種の適当なモデルを用いて評価することができる。
4 .,抗体組成物の糖鎖の分析
各種細胞で発現させた抗体組成物の糖鎖構造は、 通常の糖蛋白質組成物の糖鎖構造 の解析に準じて行うことができる。例えば、 IgG分子に結合している糖鎖はガラクト —ス、 マンノース、 フコースなどの中性糖、 N-ァセチルグルコサミンなどのアミノ糖、 シアル酸などの酸性糖から構成されており、 糖組成分析および二次元糖鎖マップ法な どを用いた糖鎖構造解析等の手法を用いて行うことができる。
( 1 ) 中性糖,アミノ糖組成分析
抗体組成物の糖鎖の組成分析は、 トリフルォロ酢酸等で、 $唐鎖の酸加水分解を行う ことにより、 中性糖またはアミノ糖を遊離し、 その組成比を分析することができる。 具体的な方法と.して、 Dionex社製糖組成分析装置を用いる方法があげられる。
BioLC は HPAEC-PAD high performance anion - exchange chromatography - pulsed
amperometric detection) 法 [J. Liq. Chromatogr. , 6, 1577 (1983)] によって糖 組成を分 する装置である。
また、 2-ァミノピリジンによる蛍光標識化法でも組成比を分析することができる。 具体的には、 公知の方法 [Agric.Biol.Chem. , 55(1)> 283 (1991 )] に従って酸加水 分解した試料を 2-アミノビリジル化で蛍光ラベル化し、 HPLC分析して組成比を算出 することができる。
(2)糖鎖構造解析
抗体組成物の糖鎖の構造解析は、 2 次元糖鎖マップ法 [Anal. Biochem. , 171, 73 (1988 )、 生物化学実験法 23-糖蛋白質糖鎖研究法 (学会出版センター) 高橋禮子編
(1989年) ] により行うことができる。 2次元糖鎖マヅプ法は、 例えば、 X軸には逆 相クロマトグラフィーによる糖鎖の保持時間または溶出位置を、 Y軸には順相クロマ トグラフィ一による糖鎖の保持時間または溶出位置を、 それそれプロットし、 既知糖 鎖のそれらの結果と比較することにより、 糖鎖構造を推定する方法である。
具体的には、 抗体組成物をヒドラジン分解して、 抗体組成物から糖鎖を遊離し、 2- アミノビリジン (以下、 PA と略記する) による糖鎖の蛍光標識 [J. Biochem. , 95> 197 (1984)] を行った後、 ゲルろ過により糖鎖を過剰の PA化試薬などと分離し、 逆 相クロマトグラフィーを行う。 次いで、 分取した糖鎖の各ピークについて順相クロマ トグラフィーを行う。 これらの結果をもとに、 2 次元糖鎖マップ上にプロットし、 糖 鎖スタンダード (TaKaRa社製) 、 文献 [Anal. Biochem., 171, 73 (1988)] とのス ポットの比較より糖鎖構造を推定することができる。
さらに各糖鎖の MALDI-T0F,MS などの質量分析を行い、 2 次元糖鎖マップ法により' 推定される構造を確認することができる。
5. 抗体分子の糖鎖構造を識別する免疫学的定量方法
'抗体組成物は、 抗体の Fc 領域に結合する糖鎖構造が異なった抗体分子から構成さ れている。 本発明の抗体組成物は、 Fc領域に結合する全 N-グリコシド結合複合型糖 鎖のうち、 糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンにフコースが結合していない糖 鎖の割合が 100%であり、 高い ADCC活性を示す。 このような抗体組成物は、 上記 4. に記載の抗体組成物の糖鎖構造の分析法を用いることにより識別できる。 また、 レク
チンを用いた免疫学的定量方法を用いることによつても識別できる。
レクチンを用いた免疫学的定量方法を用いた抗体組成物の糖鎖構造の識別は、 文献
[ Monoclonal Antibodies : Principles and Applications , Wiley-Liss , Inc . , (1995 ) ; 酵素免疫測定法, 第 3版, 医学書院 (1987) ; 改訂版, 酵素抗体法, 学際企 画 ( 1985 ) ] 等に記載のウエスタン染色、 RIA ( Radioimmunoassay ) 、 VIA (Viroimm画 assay) 、 EIA (Enzymo immunoassay; 、 FIA (Fluoroimmunoassay) 、 MIA (Metalloimmunoassay) などの免疫学的定量方法に準じて、 例えば、 以下のように行 うことができる。
抗体組成物を構成する抗体分子の糖鎖構造を認識するレクチンを標識し、 標識した レクチンと試料である抗体組成物を反応させる。 次に、 標識したレクチンと抗体分子 の複合体の量を測定する。
抗体分子の糖鎖構造を識別に用いられるレクチンとしては、 例えば、 WGA (T. vulgaris 由来の wheat-germ agglutinin) 、 ConA (C. ensiformis 由来の concanavalin A)、 RIC- ( . communis 由来の毒素)、 L-PHA (P . vulgaris 由来の leukoagglutinin) s LCA (L. ' culinaris 由来の lentil agglutinin) PSA (P. sativum 由来の Pea lectin) : AAL (Aleuria aurantia Lectin)、 ACL (Amaranthus caudatus Lectin)、 BPL (Bauhinia purpurea Lectin)、 DSL (Datura strafflonium Lectin)、 DBA (Dolichos bif lorus Agglutinin)N EBL (Elderberry Balk Lectin)、 ECL (Erythrina cristagalli Lectin) N EEL (Euonymus europaeus Lectin) s GNL (Galanthus nivalis Lectin)^ GSL (Griffonia simplicif olia Lectin)、 HPA (Helix poraatia Agglutinin) s HHL (Hippeastrum Hybrid Lectin) Jacalin、 LTL (Lotus tetragonolobus Lectin)ヽ LEL (Lycopersicon esculentum Iyectin)ヽ MAL (Maackia' amurensis Lectin) 、 MPL (Maclura pomifera Lectin) 、 NPL (Narcissus pseudonarcissus Lectin)^ PNA (Peanut Agglutinin)N E-PHA (Phaseolus vulgaris Erythroagglutinin) s PTL (Psophocarpus tetragonolobus Lectin) RCA (Ricinus communis Agglutinin)s STL (Sola議 tuberosum Lectin) SJA (Sophora japonica Agglutinin) SBA (Soybean Agglutinin)s UEA (Ulex europaeus Agglutinin)^ WL (Vicia villosa Lectin)、 WFA (Wisteria floribunda Agglutinin)があげられる。
N -グルコシド結合複合型糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンにフコースが結 合している糖鎖構造を特異的に認識するレクチンを用いることが好ましく、 その具体 的な例としては、 レンズマメレクチン LCA ( Lens Culinaris 由来の Lentil Agglutinin) ェンドウマメレクチン PSA (Pisum sativum由来の Pea Lectin) 、 ソラ マメレクチン VFA (Vicia faba 由来の Agglutinin) 、 ヒィロチャワン夕ケレクチン AAL (Aleuria autantia由来の Lectin) を挙げることができる。
6 . 本発明の抗体分子の利用
本発明の抗体組成物はヒト VEGF受容体 Flt-1に特異的に結合し、 高い抗体依存性 細胞傷害 (ADCC) 活性および補体依存性細胞傷害 (CDC) 活性を有するため、 癌をは じめとする各種ヒト VEGF受容体 Fit- 1発現細胞関連疾患の予防および治療において 有用である。 '
本発明のヒト VEGF受容体 Fit- 1関連疾患としては、 ヒト VEGF受容体 Fit- 1を発現 する細胞が関与する疾患であればいかなるものも包含される。 例えば、 血管新生の異 常により病態が進行する疾患があげられる。
本発明の血管新生の異常により病態が進行する疾患としては、 癌、 慢性関節リュウ マチにおける関節炎、 糖尿病性網膜症、 未熟児網膜症および乾癬などが包含される。 癌としては、 白血病等の血液癌があげられる。 '
本発明の抗体組成物は、 高い細胞傷害活性を有するので、 癌細胞に細胞死を誘導す ることができ、 通常の抗癌剤よりも治療薬として有効である。 特に癌の治療薬におい て、 現状では抗体医薬単独の抗腫瘍効果は不充分であり、 化学療法との併用療法が行 われているが [Science , 280 / 1197 (1998 ) ] 、 本発明の抗体組成物は単独で高い抗 腫瘍効果を有するため、 化学療法に対する依存度が低くなり、 副作用の低減にもなる。 本発明の抗体組成物は、 ヒト VEGF受容体 Flt-1に特異的に結合し、 ヒト VEGF受容 体 Fit- 1発現細胞に対して強い細胞傷害活性を示すので、 ヒト VEGF受容体 FU-1が 発現した細胞を選択的に排除することができる。 したがって、 上述の血管新生の異常 により病態が進行する疾患または白血病などの治療薬として有用である。
また、 本発明の抗体組成物はフコースが結合した糖鎖を有する抗体分子を含まない ため細胞傷害活性が増強されている。 そのため、 フコースが結合した糖鎖を有する抗
体分子を含む抗体組成物では治癒することができない、 上述の患者を治療することが できる.。 さらに、 ヒト VEGF受容体 Fit- 1を発現した細胞が、 薬物の届きにくい部位 にある疾患では、 少量の薬物でも治療効果を有することが好ましい。 本発明の抗体組 成物は少量でも高い ADCC活性を有するためこれらの疾患の治療に有用である。
本発明の抗体組成物を含有する医薬は、 治療薬として単独で投与することも可能で はあるが、 通常は薬理学的に許容される一つあるいはそれ以上の担体と一緒に混合し、 製剤学の技術分野においてよく知られる任意の方法により製造した医薬製剤として提 供するのが望ましい。
投与経路は、 治療に際して最も効果的なものを使用するのが望ましく、 経口投与、 または口腔内、 気道内、 直腸内、 皮下、 筋肉内および静脈内等の非経口投与をあげる ことができ、 抗体製剤の場合、 望ましくは静脈内投与をあげることができる。
投与形態としては、 噴霧剤、 カプセル剤、 錠剤、 顆粒剤、 シロップ剤、 乳剤、 座剤、 注射剤、 軟膏、 テープ剤等があげられる。
経口投与に適当な製剤としては、 乳剤、 シロップ剤、 カプセル剤、 錠剤、 散剤、 顆 粒剤等があげられる。
乳剤およびシロップ剤のような液体調製物は、 水、 ショ糖、 ソルビトール、 果糖等 の糖類、 ポリエチレングリコ一ル、 プロピレングリコール等のグリコール類、 ごま油、 オリ一ブ油、 大豆油等の油類、 P -ヒドロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤、 スト 口ベリ一フレーバー、 ペパーミント等のフレーバー類等を添加剤として用いて製造で a ¾ o ,
カプセル剤、 錠剤、 散剤、 顆粒剤等は、 乳糖、 ブドウ糖、 ショ糖、 マンニトール等 の賦形剤、 デンプン、 アルギン酸ナトリウム等の崩壊剤、 ステアリン酸マグネシウム、 タルク等の滑沢剤、 ポリビニルアルコール、 ヒドロキシプロピルセルロース、 ゼラチ ン等め結 剤、 脂肪酸エステル等の界面活性剤、 グリセリン等の可塑剤等を添加剤と して用いて製造できる。
非経口投与に適当な製剤としては、 注射剤、 座剤、 噴霧剤等があげられる。 .
注射剤は、 塩溶液、 プドウ糖溶液、 あるいは両者の混合物からなる担体等を用いて 調製される。 または、 抗体組成物を常法に従って凍結乾燥し、 これに塩化ナトリウム
を加えることによって粉末注射剤を調製することもできる。
座剤はカカオ脂、 水素化脂肪またはカルボン酸等の担体を用いて調製される。' また、 噴霧剤は該抗体組成物そのもの、 ないしは受容者の口腔および気道粘膜を刺 激せず、 かつ該抗体組成物を微細な粒子として分散させ吸収を容易にさせる担体等を 用いて調製される。 . ' 担体として具体的には乳糖、 グリセリン等が例示される。 該抗体組成物および用い る担体の性質により、 エアロゾル、 ドライパウダー等の製剤が可能である。 また、 こ れらの非経口剤においても経口剤で添加剤として例示した成分を添加することもでき る。
投与量または投与回数は、 目的とする治療効果、 投与方法、 治療期間、 年齢、 体重 等により異なるが、 有効成分の量として、 通常成人 1日当たり 10〃g/kg〜20mg/kgで め
また、 抗体組成物の各種腫瘍細胞に対する抗腫瘍効果を検討する方法 ;、 インビト 口実験としては、 CDC活性測定法、 ADCC活性測定法等があげられ、 インビボ実験とし ては、 マウス等の実験動物での腫瘍系を用いた抗腫瘍実験等があげられる。
CDC活性、 ADCC活性、 抗腫瘍実験は、 文献 [Cancer Immunology Immunotherapy, 36 , 373 (1993 )、 CancerResearch, 54> 1511 (1994 ) ] 等記載の方法に従って行うこ とができる。 図面の簡単な説明
第 1図は、 プラスミ ド pKOFUT8Neoの構築を示した図である。
第 2図は、 CH0/DG44細胞の FUT8対立遺伝子を 1コピー破壊したへミノックァゥ トクローンのゲノムサザンの解析結果を示した図である。 レ一ンは左からそれぞれ分 子量マーカ一、 へミノヅクァゥトクローン 50 - 10- 104および親株である CH0/DG44細 胞のゲノムサザンである。
第 3図は、 CH0/DG44細胞の FUT8両対立遺伝子を破壊したダブルノックアウトクロ ーン WK704のゲノムサザン解析結果を示した図である。 矢印は、 相同組換えが起こつ た際に検出される陽性断片の検出位置を示す。
第 4図は、 CH0/DG44細胞の FUT8両対立遺伝子を破壊したダブルノックアウトクロ ーンより薬剤耐性遺伝子を除去したクローンのゲノムサザン角军析結果を示した図であ る。 レーンは左からそれそれ分子量マ一力一、 ダブルノックアウトクローンの薬剤耐 性遺伝子除去クローン 4-5- C3、 ダブルノックアウトクロ一ン WK704、 へミノヅクァゥ トクローン 50- 10- 104および親株である CH0/DG44細胞のゲノムサザンである。
第 5図は、 精製した Ms705/Flt- 1抗体および DG44/Flt- 1抗体のヒト VEGF受容体 Fit- 1に対する ELISA法における反応性を、 抗体濃度を変化させて測定した図である。 横軸に抗体濃度を、 縦軸に各抗体濃度における吸光度を示す。 口が DG44/FU-1 抗体、 園が Ms705/Flt- 1抗体をそれそれ示す。
第 6図は、 精製した Ms705/Flt- 1抗体および DG44/Flt- 1抗体の shFcァ I li aへの結 合活性を測定した図である。 縦軸に各抗体の吸光度を示す。 白抜きのカラムが
DG44/Flt-1抗体、 黒塗りのカラムが Ms705/Flt-1抗体をそれそれ示す。 以下に、 実施例により本発明を説明するが、 本発明はこれらに限定されるものでは ない。 実施例
実施例 1
ゲノム上の 1 , 6-フコシルトランスフェラ一ゼ (以下、 FUT8と表記する) 両対立遺 伝子を破壊した CH0/DG44細胞の造成
FUT8両対立遺伝子の翻訳開始コドンを含むゲノム領域を欠失させた CH0/DG44細胞 株を以下の手順で造成した。
1. チャイニーズハムス夕一 FUT8遺伝子のェクソン 2を含む夕一ゲティングベクター pKOFUT8Neoの構築
WO02/31140の実施例 13の 1項に記載の方法で構築されたチャイニーズハムス夕一 FUT8遺伝子のェクソン 2を含む夕ーゲティングベクター pK0FUT8Puroおよび
pKOSelectNeo (Lexicon社製)を用いて、 以下の様にして pKOFUT8Neoを構築した。 .
pKOSelectNeo (Lexicon社製)を制限酵素^ I (New England Bio labs社製)で消化 後、 ァガロースゲル電気泳動に供し、 GENECLEAN Spin Kit (BIO101社製) を用いて ネオマイシン耐性遺伝子発現ュニットを含む約 1.6Kbの l断片を回収した。
次に、 pK0FUT8Puroを制限酵素 (New England Bio labs社製)で消化後、 大腸 菌 C15株由来 Alkaline Phosphatase (宝酒造社製)により、 DNA断片の末端を脱リン 酸化させた。 "反応後、 フヱノール/クロ口ホルム抽出処理およびエタノール沈殿法を 用いて、 DNA断片を精製した。
上記で得た pKOSelectNeo由来の I断片 (約 1. 6Kb )0.1 gと pKOFUT8Puro由来 の 断片 (約 10.1Kb) 0.1 gに滅菌水を加えて 5〃Lとし、 Ligation High (東洋 紡社製) を加えて 16°Cで 30分間反応させることにより、 連結反応を行った。 該 反応液を用いて大腸菌 DH5 a株を形質転換し、 得られたアンビシリン耐性クローンよ り各々プラスミド DNAを調製し、 BigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit v2.0 (Appl ied Biosystems社製) を用いて添付の説明書に従って反応 後、 同社の DNAシーケンサ ABI PRISM 377により塩基配列を解析した。 この様にして 第 1図に示した pKOFUT8Neoを得た。 pK0FUT8Neoは CH0細胞の FUT8遺伝子へミノヅ クァゥ小細胞株を作製するための夕一ゲティングベクターとして用いた。
2. ゲノム上の FUT8遺伝子の 1コピ一を破壊したへミノックアウト細胞株の作製 ( 1 ) 夕ーゲティングべク夕一 pKOFUT8Neo導入株の取得
• ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子 (dhfr) を欠損したチャイニーズハムスター卵巣由来 CHO/DG44細胞 [Somatic Cel l and Moleculer Genetics , 12 , 555 ,- 1986] に、 実施 例 1の 1項で構築したチャイニーズハムス夕一 FUT8ゲノム領域夕一ゲティングべク 夕一 pKOFUT8Neoを以下の様にじて導入した。
- pKOFUT8Neoを制限酵素 I (New England Biolabs社製)で消化して線状化し、 線 状化した 4〃gの pKOFUT8Neoを 1. 6 x 10s個の CH0/DG44細胞へエレクトロポレーショ ン法 [サイトテクノロジ一 (Cytotechnology) , 3 , 133 (1990 ) ]により導入した後、 IMDM-dFBS (10 )-HT(1 ) [透析 FBS (インビトロジェン社製)を 10%、 HT supplement (ィ ンビトロジェン社製)を 1倍濃度で含む IMDM培地 (インビトロジヱン社製) ] に懸濁し、 接着細胞培養用 10cmデッシュ (Falcon社製) へ播種した。 5%C02インキュベータ一
内で 37°C、 24時間培養後、 G418 (ナカライテスク社製) を 600〃g/mLの濃度で含む IMDM-dFBS (lO ) [透析 FBSを 10%で含む IMDM培地] 10mLに培地交換した。 この培地 交換作業を 3〜4日毎に繰り返しながら 5%C02インキュベータ一内で 37°C、 15日間 の培養 ¾行い、 G418耐性クローンを取得した。
(2 ) ゲノム PCRによる相同組換えの診断
—本項(1 )で取得した G418耐性クローンの相同組換えの診断を、 ゲンム DNAを用いた PCRにより、 以下の様に行った。
96穴プレート上の G418耐性クロ一ンに対してトリブシン処理を行った後、 2倍容 量の凍結培地 [20% DMS0、 40% ゥシ胎児血清、 40% IMDM] を各ゥエルに添加、 懸濁し た。 各ゥエル中の細胞懸濁液の半量を接着細胞用平底 96穴プレート (旭テクノグラ ス社製) へ播種してレプリカプレートとする一方、 残りの半量をマスタープレートと して凍結保存した。
レプリカプレート上のネオマイシン耐性クローンは、 G418を 600〃g/mLの濃度で 含む IMDM-dFBS(lO )で 5%C02インキュベーター内で 37°C、 1週間培養した後、 細胞を 回収し、 回収した細胞から公知の方法 [アナリティカル · ノィォケミストリ一
(Analytical Biochemistry) , 201 > 331 (1992 )] に従って各クローンのゲノム DNAを 調製し、 各々 30〃Lの TE- RNase緩衝液 (pH8.0 ) [10腿 ol/L Tris- HC1、 1腿 ol/L EDTA、 200〃g/mL RNase A] にー晚溶解した。
ゲノム PCRに用いるプライマ一は以下の様に設計した。 まず、 WO03/31140の実施 例' 12 に記載の方法により取得した FUT8ゲノム領域の配列 (配列番号 13) の中から、 配列番号 39または配列番号 40でそれそれ示されるプライマ一をフォヮ一ドプライマ —とした。 また、 夕一ゲティングベクターの ΙοχΡ配列に特異的に結合するプライマ ― (配列番号 41または配列番号 42) をリバースプライマ一とし、 以下のポリメラー ゼ連鎖反応 (PGR) に用いた。 上記で調製したゲノム DNA溶液を各々 10〃L含む 25〃L の反応液 [DNAポリメラ一ゼ ExTaq (宝酒造社製)、 ExTaq buffer (宝酒造社製)、
0.2匪 ol/L dNTPSs 0.5 /mol/L上記プライマ一 (フォワードプライマ一とリバ一スプ ライマーを組み合わせて使用する) ]を調製し、 94°Cで 3分間の加熱の後、 94°Cで 1
分間、 60°Cで 1分間、 72°Cで 2分間からなる反応を 1サイクルとした条件で PCRを行 つた。
PCR後、 該反応液を 0.8% (w/v) ァガロースゲル電気泳動に供し、 相同組換えによ つて生じる約 1.7Kbの特異的増幅産物が認められた株を陽性クローンと判定した。 (3) ゲノムサザンプロットによる相同組換えの診断
本項(2)で取得された陽性クローンの相同組換えの診断を、 ゲノム DNAを用いたサ ザンブロットにより、 以下の様に行った。
本項(2)で凍結保存したマスタープレートのうち、 本項(2)で見出された陽性クロー ンを含む 96穴プレートを選択し、 5%C02インキュベ 夕一内で 37°C、 10分間静置し た後、 陽性クローンに該当するゥエル中の細胞を接着細胞用平底 24穴プレート (グ ライナー社製) へ播種した。 G418を 600〃g/mLの濃度で含む IMDM-dFBS(lO)を用いて 5%C02インキュベータ一内で 37°C、 1週間培養した後、 接着細胞用平底 6穴プレート
(グライナ一社製) へ播種した。 該プレートを 5%C02インキュベータ一内で 37°Cにて 培養し、 細胞を回収した。 回収した細胞より公知の方法 [ヌクレイック ·ァシヅド - リサーチ(Nucleic Acids Research), 3, 2303, (1976)] に従って各クローンのゲノ ム DNA.を調製し、 各々 150〃L の TE- RNase緩衝液 (pH8.0) にー晚溶解した。
. 上記で調製したゲノム DNA 12〃gを制限酵素 BamHI(New England Biolabs社製)で 消化し、 エタノール沈殿法を用いて DNA断片を回収した後、 20〃Lの TE緩衝液 (pH8.0) [10匪 ol/L Tris-HClヽ 1腿 ol/L EDTA] に溶解し、 0.6% (w/v) ァガロースゲ ル電気泳動に供した。 泳動後、 公知の方法 [プロシ一ディングス 'ォブ ·ザ ·ナショ ナル 'アカデミー 'ォブ 'サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci. USA), 76, 3683, (1979)] に従って、 ナイロン膜へゲノム DNAを転写した。 転写終了後、 ナイロン膜に 対し 80°Cで 2時間の熱処理を行い、 固定ィ匕した。
一方、 ザザンブロヅトに用いるプローブを以下のように調製した。 WO03/31140の 実施例 12に記載の方法により取得した FUT8ゲノム領域の配列 (配列番号 13) の中 から、 配列番号 43および配列番号 44で f それ示されるプライマーを作製し、 以下 の PCRに用いた。 WO02/31140の実施例 12に記載の pFUT8fgE2- 2 4.0ngをテンプレー トとして含む 20〃Lの反応液 [DMポリメラ一ゼ ExTaq (宝酒造社製)、 ExTaq
buffer (宝酒造社製)、 0.2腿 ol/L dNTPs、 0.5 imol/L上記プライマ一]を調製し、 94°Cで 1分間の加熱の後、 94°Cで 30秒間、 55°Cで 30秒間、 74°Cで 1分間からなる反 応を 1サイクルとした 25サイクルの条件で PCRを行つた。
PCR後、 該反応液を 1.75%(w/v) ァガロースゲル電気泳動に供し、 GENECLEAN Spin Kit (BIO101社製) を用いて約 230bpのプロ一ブ DNA断片を回収した。 得られたプロ ーブ DNA溶液のうち 5〃Lを、 [ -32 P] dCTP 1.75MBqおよび Megaprime DNA
Labelling system, dCTP (Amershani Pharmacia Biotech社製) を用いて放射線標識 した。
ハイブリダイゼーションは以下の様に行つた。 まず、'上記のゲノム DNA消化物が転 写されたナイ口ン膜を口一ラーボトルへ封入し、 15mLのハイプリダイゼ一シヨン液 [5XSSPEヽ 50xDenhaldt's液、 0.5%(w/v) SDSヽ 100 /g/mL サケ精子 DNA] を加えて 65°Cで 3時間のプレハイブリダイゼ一ションを行つ fe後、 32P標識したプロ一ブ DNA を熱変性してボトルへ投入し、 65°Cでー晚ハイブリダイゼ一シヨンを行った。
ハイブリダィゼ一シヨン後、 ナイロン膜を 50mLの一次洗浄液 [2XSSC— 0.1%(w/v) SDS] に浸潰し、 65°Cで 15分間加温して洗浄した。 上記の洗浄操作を 2回繰り返した 後、 ナイロン膜を 50mLの二次洗浄液 [0.2XSSC— 0.1%(w/v) SDS] に浸漬し、 65°Cで 15分間加温して洗浄した。 洗浄後、 ナイロン膜を X線フィルムへ- 80°Cで暴露し現像 した。
第 2図には、 親株である CH0/DG44細胞、 および本項 (2) で取得した陽性クローン である 50- 10- 104株のゲノム DNAを本法により解析した結果を示した。 CH0/DG44細 胞では、 野生型 FUT8対立遺伝子由来の約 25.5Kbの断片のみが検出された。 一方、 陽 性ケ ーン 50- 10- 104株では、 野生型 FUT8対立遺伝子由来の約 25.5Kbの断片に加え、 相同組換えされた対立遺伝子に特異的な約 20.0Kbの断片が検出された。 両断片の量 比は 1: 1であったことから、 50- 10-104株は、 FUT8対立遺伝子のうち 1コピーが破 壊されたへミノックアウトクローンであることが確認された。
3. ゲノム上の FUT8遺伝子をダブルノックアウトした CHO/DG44細胞の作製
(1) 夕一ゲティングベクタ一 pKOFUT8Puro導入株の作製
本実施例の 2項で得た FUT8遺伝子へミノックアウトクローンのもう一方の FUT8対 立遺伝子を破壊するために、 WO02/31140の実施例 13の 1項に記載のチャイニーズハ ムスター FUT8遺伝子ェクソン 2夕一ゲティングベクターである pKOFUT8Puroを以下 の様にして導入した。
pK0FUT8Puroを制限酵素^ il (New England Biolabs社 )で消化して線状ィ匕し、 線状化した の pK0FUT8Pui"oを 1.6 x 106 個の FUT8遺伝子へミノヅクアウトクロ ーンへエレクトロボレ一シヨン法 [サイ トテクノロジ一 (Cytotechnology) , 3, 133 (1990 ) ]により導入後、 IMDM-dFBS (10 )-HT(1 ) に懸濁し、 接着細胞培養用 10cmデヅ シュ (Falcon社製) へ播種した。 5%C02インキュベーター内で 37°C;、 24時間培養後、 ピューロマイシン (SIGMA社製) を 15〃g/mLの濃度で含む頂 DM-dFBS (10 )-HT( 1 ) lOmLに培地交換した。 この培地交換作業を 7日毎に繰り返しながら 5%C02インキュ ペータ一内で 37°C、 15日間の培養を行い、 ピューロマイシン耐性クローンを取得し た。 .
(2 ) ゲノムサザンプロヅ トによる相同組換えの診断 ■
本項(1 )で取得された薬剤耐性クローンの相同組換えの診断を、 ゲノム DNAを用い たサザンプロットにより以下の様に行つた。
ピュー口マイジン耐性クローンを、 公知の方法 [Gene Targeting, Oxford
University Press , (1993 ) ] に従って接着細胞用平底プレート (旭テクノグラス社 製) へ採取し、 ピューロマイシン (SIGMA社製) を i5〃g/mLの濃度で含 ¾ IMDM-CIFBS
(10 )- HT(1 )を用いて 5%C02インキュぺ一夕一内で 37°C;、 1週間培養した。
培養後、 上記プレートの各クローンに対しトリプシン処理を行い、 接着細胞用平底 24穴プレート (グライナ一社製) へ播種した。 ピューロマイシン (SIGMA社製) を 15 zg/mLの濃度で含む IMDM-dFBS (10 )-HT(1 )を用いて 5%C02インキュぺ一夕一内で 37°C、 1週間培養した後、 同様にトリプシン処理を行い、 接着細胞用平底 6穴プレー ト (グライナ一社製) へ播種した。 該プレートを 5%C02インキュベーター内で 37°C にて培養し、 回収した細胞より公知の方法 [ヌクレイヅク ·ァシヅド · リサーチ (Nucleic Acids Research) , 3 , 2303 ' (1976 ) ] に従って各クロ一ンのゲノム DNAを 調製し、 各々 150〃Lの TE- RNase緩衝液 (pH8. 0 )に一晩溶解した。
上記で調製したゲノム DNA 12〃gを制限酵素 iHI(New England Biolabs社製)で 消化し、 エタノール沈殿法を用いて DNA断片を回収した後、 20 Lの TE緩衝液
(pH8.0) に溶解し、 0.6%(w/v) ァガロースゲル電気泳動に供した。 泳動後、 公知の方 法 [プロシーディングス ·ォブ ·ザ ·ナショナル ·アカデミー 'ォブ■サイエンス (Proc. Natl. Acad. Sci. USA), 76, 3683, (1979)] に従って、 ナイロン膜へゲノム DNAを転写した。 転写後、 ナイロン膜に対し 80°Cで 2時間の熱処理を行い、 固定化し た。
一方、 サザンプロットに用いるプローブを以下のように調製した。 まず、 夕ーゲテ ィングベクタ に含まれる FUT8ゲノム領域よりもさらに 5, 側の配列に特異的に結 合するプライマ一 (配列番号 45および配列番号 46) を作製し、 以下の PCRに用いた。 WO02/31140の実施例 12に記載のプラスミド pFUT8f gE2- 2 4. Ongをテンプレートとし て含む 20〃Lの反応液 [DNAポリメラ一ゼ ExTaq (宝酒造社製)、 ExTaq buffer (宝酒造 社製)、 0.2腿 ol/L dNTPs、 0.5 zmol/L上記プライマー]を調製し、 94°Cで 1分間の加 熱の幾、 94°Cで 30秒間、 55°Cで 30秒間、 74°Cで 1分間からなる反応を 1サイクルと した 25サイクルの条件で PCRを行った。 '
PCR後、 該反応液を 1.75°/。 (w/v) ァガロースゲル電気泳動に供し、 GENECLEAN Spin Kit (BI0101社製) を用いて約 230bpのプローブ DNA断片を精製した。得られたプロ —ブ DNA溶液のうち 5〃Lを、 [ひ-32 P] dCTP 1.75MBqおよび Megaprime DNA
Labelling system, dCTP (Amersham Pharmacia Biotech社製) を用いて放射線標識 した。
ハイブリダィゼ一シヨンは以下の様に行った。 まず、 上記のゲノム DNA消化物が転 写されたナイ口ン膜を口一ラーボトルへ封入し、 15mLのハイプリダイゼ一シヨン液 [5xSSPE、 50xDenhaldt5 s液、 0.5%(w/v) SDSヽ 100 g/aL サケ精子 DNA] を加え て 65°Cで 3時間のプレハイプリダイゼーシヨンを行った後、 32P標識したプロ一ブ DNAを熱変性してボトルへ投入し、 65°Cでー晚ハイブリダイゼ一ションを行った。
ハイブリダィゼ一シヨン後、 ナイロン膜を 50mLの一次洗浄液 [2xSSC-0.1o(w/v) SDS] に浸潰し、 65°Cで 15分間加温して洗浄した。 上記の洗净操作を 2回繰'り返した 後、 ナイロン膜を 50niLの二次洗浄液 [0.2XSSC— 0.1%(w/v) SDS] に浸漬し、 65°Cで
15分間加温して洗浄した。 洗浄後、 ナイロン膜を X線フィルムへ- 80°Cで暴露し現像 した。
第 3図には、 · 50- 10-104株から本項( 1 )に記載の方法により取得したピュー口マイ シン耐性クローンの 1つである 704株のゲノム DNAを本法により解析した結果を示 した。 M704株では、 野生型 FUT8対立遺伝子由来の約 25.5Kbの断片が消失し、 相同 組換えされた対立遺伝子に特異的な約 20.0Kbの断片 (図中に矢印で示す) のみが検 出された。 この結果から WK704株は、 FUT8両対立遺伝子が破壊されたクローンであ ることが確認された。
4. FUT8遺伝子をダブルノックアウトした細胞からの薬剤耐性遺伝子の除去
(1) Creリコンビナーゼ発現べク夕一の導入
本実施例の 3項で取得した FUT8遺伝子ダブルノヅクアウトクローンの薬剤耐性遺 伝子を除去することを目的として、 Creリコンビナーゼ発現ベクター pBS185 (Life Technologies社製) を以下の様にして導入した。
4〃gの pBS185を 1.6X106個の FUT8遺伝子ダブルノックァゥトクローンへエレク トロポレーシヨン法 [サイトテクノロジ一 (Cytotechnology) , 3, 133 (1990)]によ り導入後、 IMDM- dFBS (10)-HT(1) lOmL に懸濁し、 さらに同培地を用いて 2万倍に希 釈した。 該希釈液を接着細胞培養用 10cmディッシュ (Falcon社製) 7枚へ播種後、 5%C02インキュべ一夕一内で 37°C、 10日間の培養を行い、 コロニーを形成させた。
5. Creリコンピナ一ゼ発現ベクター導入株の取得 .
本項(1)で取得したコロニーのうち、 任意のクローンを公知の方法 [Gene
Targeting, Oxford University Press, (1993 )] に従って接着細胞用平底プレート · (旭テクノグラス社製) へ採取し、 IMDM- dFBS(10)-HT(l)を用いて 5%C02インキュべ 一夕一内で 37°C、 1週間培養した。
培養後、 上記プレートの各クローンに対してトリプシン処理を行い、 2倍容量の凍 結培地 [20% DMS0N 40% ゥシ胎児血清、 40% IMDM] を各ゥヱルに添加、 懸濁した。 各 ゥエル中の細胞顕濁液の半量を接着細胞用平底 96穴プレ一ト (旭テクノガラス社 製) へ播種してレプリカプレートとする一方、 残りの半量をマス夕一プレートとして 凍結保存した。
次にレプリカプレート上の細胞を、 G418を 600〃 /111 ピューロマイシンを g/mLの濃度で含む IMDM-dFBS (10 )- HT(1 )を用いて 5%C02インキュべ一夕一内で 37°C、 一週間培養した。 Creリコンビナーゼの発現により ΙοχΡ配列に挟まれた薬剤耐性遺 伝子が除去された陽性クローンは、 G418 およびピューロマイシン存在下で死滅する。 本法により陽性クローンを選択した。
(3 ) ゲノムサザンブロヅトによる薬剤耐性遺伝子除去の診断
本項(2 )で選択した陽性クローンに対し、 以下の手順でゲノムサザンブロヅトによ る薬剤耐性遺伝子除去の診断を行つた。
本項(2 )で凍結保存したマスタープレートのうち、 上記陽性クローンを含む 96穴プ レートを選択し、 5%C02インキュベータ一内で 37°C、 10分間静置した。 静置後、 上記 クローンに該当するゥエルから細胞を接着細胞用平底 24穴プレート (グライナ一社 製) へ播種した。 IMDM- dFBS (10 )-HT(1 )を用いて 1週間培養した後、 トリプシン処理 を行い、 接着細胞用平底 6穴プレート (グライナ一社製) へ播種して 5%C02インキュ ベ—夕—内で 37 で培養し、 増殖した細胞を回収した。 回収した細胞より公知の方 法 [ヌクレイヅク ·ァシヅド · リサーチ(Nucleic Acids Research) , 3 , 2303 ,
(1976 )] に従って各クローンのゲノム DNAを調製し、 各々 150〃Lの TE- RNase緩衝液 (PH8.0 ) に一晚溶解した。
上記で調製したゲノム DNA 12〃gを制限酵素 ii KNew England Biolabs社製)で消 化し、 エタノール沈殿法を用いて DNA断片を回収した後、 20〃L の TE緩衝液 (pH8.0 ) に溶解し、 0. 6%(w/v) ァガロースゲル電気泳動に供した。 泳動後、 公知の方法 [プロ シ一ディングス ·ォブ 'ザ ·ナショナル ·アカデミー ·ォブ ·サイエンス(Proc .
Natl . Acad . Sci . USA) , 76 , 3683 , (1979 )] に従って、 ナイロン膜へゲノム DNAを 転写した。 転写終了後、 ナイロン膜に対し 80°Cで 2時間の熱処理を行い、 固定化し た。
一方、 サザンブロットに用いるプローブを以下のように調製した。 夕ーゲティング ベクターに含まれる FUT8ゲノム領域よりもさらに 5, 側の配列に特異的に結合する プライマ一 (配列番号 45および配列番号 46) を用いて、 以下の PCRを行った。 ·WO02/31140の実施例 12に記載の pFUT8f gE2- 2 4.0n をテンプレートとして含む 20〃
Lの反応液 [DNAポリメラーゼ ExTa 宝酒造社製)、 ExTaq buffer (宝酒造社製)、 0.2腿 ol/L dNTPs、 0.5〃mol/L上記プライマー]を調製し、 94°Cで 1 分間の加熱の後、 94°Cで 30秒間、 55°Cで 30秒間、 74°Cで 1分間からなる反応を 1サイクルとした 25 サイクルの条件で PCRを行った。
PCR後、 該反応液を l:75%(w/v) ァガロースゲル電気泳動に供し、 GENECLEAN Spin Kit (BI0101社製) を用いて、 約 230bpのプローブ DNA断片を精製した。 得られたプ ローブ DNA溶液のうち 5 zLを、 [ひ-32 P] dCTP 1.75MBqおよび Megaprime DNA Labelling system, dCTP (Amersham Pharmacia Biotech社製) を用いて放射線標識 した。
ハイブリダィゼ一シヨンは以下の様に行った。 まず、 上記のゲノム匪 A消化物が転 写されたナイロン膜を口一ラーボトルへ封入し、 ハイプリダイゼ一シヨン液 [5X SSPEヽ 50 Denhaldt' s液、 0.5%(w/v) SDSヽ 100 zg/niL サケ精子 DNA] 15mLを加え ' て 65°Cで 3時間のプレハイプリダイゼーシヨン後、 32P標識したプローブ DNAを熱変 性してボトルへ投入し、 65°Cでー晚ハイプリダイゼ一シヨンを行った。
ハイブリダィゼーシヨン後、 ナイロン奠を 50mLの一次洗浄液 [2XSSC— 0.1%(W/V) SDS] に浸潰し、 65°Cで 15分間加温して洗浄した。 上記の洗浄操作を 2回繰り返した 後、 ナイロン膜を 50mLの二次洗浄液 [0.2XSSC-0.1%(W/V) SDS] に浸漬し、 65°Cで 15分間加温して洗浄した。 洗浄後、 ナイロン膜を X線フィルムへ- 80°Cで暴露し現像 した。 '
第 4図には、 親株である CHO/DG44細胞、 本実施例の 2項に記載の 50-10-104株、 本実施例の 3項に記載の WK704株、 および WK704株から本項(2 )に記載の方法により 取得した薬剤感受性クローンの 1つである 4- 5-C3株のゲノム DNAを、 本法により解 析した結果を示した。 CHO/DG44細胞では、 野生型 FUT8対立遺伝子に由来する約
8.0Kbの DNA断片のみが検出された。 また、 50-10-104株や WK704株では、 相同組換 えが起こった対立遺伝子に由来する約 9.5Kbの DNA断片が認められた。 一方、 4- 5-C3 株では、 相同組換えが起こった対立遺伝子からさらにネオマイシン耐性遺伝子 (約 1.6Kb) およびピューロマイシン耐性遺伝子 (約 1.5Kb) が除去されて生じる約 8.0Kb
の DNA断片のみが検出された。 この結果から 4- 5-C3株は、 Creリコンビナ一ゼによ り薬剤耐性遺伝子が除去されたことが確認された。
薬剤耐性遺伝子の除去された FUT8遺伝子ダブルノヅクアウトクローン (以下、 FUT8遺伝子ダブルノックアウト細胞と表記する) は、 4- 5-C3株以外にも複数株取得 された。 実施例 2
FUT8遺伝子ダブルノヅクァゥト細胞による抗 VEGF受容体 F -1ヒト型キメラ抗体組 成物の発現
1. FUT8遺伝子ダブルノックァゥト細胞での安定発現
実施例 1の 4項に記載の FUT8遺伝子ダブルノックァゥト細胞株および親株である CH0/DG44細胞に、 WO99/60025記載の抗 Fit- 1ヒト型キメラ抗体発現べクタ一 ' PKANTEX1750を導入し、 抗 Flt-1ヒト型キメラ抗体組成物の安定生産細胞を以下のよ うにして作製した。
PKANTEX1750を制限酵素 ΜΠ (New England Biolabs社製) で消化して直線状ィ匕 した後、 直線状化された 10〃gの PKANTEX1259HV3LV0を 1 . 6 X 106個の FUT8遺伝子ダ ブルノックアウト細胞および親株である CH0/DG44細胞へェレクトロボレ一シヨン法 [サイトテクノロジ一 (Cytotechnology) , 3 , 133 ( 1990 ) ]により導入後、 lOmLの IMDM-dFBS (10 )-HT( 1 ) [透析 FBS (インビトロジェン社製)を 10%、 HT supplement (ィ ンビトロジェン社製)を 1倍濃度で含む IMDM培地 (インビトロジェン社製) ] に懸濁し、 7'5cm2フラスコ (グライナ一社製) に播種した。 5%C02インキュベータ一内で 37°C!、 24時間培養後、 G418 (ナカライテスク社製) を 500〃g/mLの濃度で含む IMDM- dFBS ( 10 ) [透析 FBSを 10%で含む IMDM培地] に培地交換し、 1〜2週間培養した。 最 終的に G418を 500 zg/mLの濃度で含む IMDM-dFBS (lO ) 培地で増殖可能かつ、 抗 VEGF 受容体 Fit- 1ヒト型キメラ抗体を生産する形質転換株を得た。 親株の CHO/DG44細胞 より得られた形質転換株を DG44/Flt-1株、 FUT8遺伝子ダブルノックァゥト細胞より 得られた形質転換株を Ms705/Flt - 1株と名付けた。
2. 培養上清中のヒト IgG抗体濃度の測定 (ELISA法)
ャギ抗ヒト IgG(ffiL)抗体 (American Qual ex社製)を Phosphate Buffered Sal ine (以下、 PBSと表記する) (インビトロジェン社製) で希釈して l〃g/mLとし、 96穴 の ELISA用プレート (グライナ一社製) に、 50〃L/ゥエルで分注し、 4°Cでー晚放置 して吸着させた。 PBSで洗浄後、 BSAを 1 %の濃度で含む PBS (以下、 1 %BSA- PBSと 表記する) (和光純薬社製) を lOO zL/ゥヱルで加え、 室温で 1時間反応させて残存 する活性基をブロックした。 1 %BSA- PBSを捨て、 形質転換株の培養上清、 または培 養上清から精製した抗体の各種希釈溶液き 50〃L/ゥヱルで加え、 室温で 1時間反応 させた。 反応後、 Tween20を 0 . 05 %の濃度で含む PBS (以下、 Twe en- PBSと表記す る) (和光純薬社製) で各ゥエルを洗浄後、 1 %BSA- PBSで 2000倍に希釈したペルォ キシダーゼ標識ャギ抗ヒト IgG(H&L )抗体溶液 (American ,Qualex社製) を:^次抗体溶 液として、 それそれ 50 L/ゥヱルで加え、 室温で 1時間反応させた。 反応後、
Twe en- PBSで洗浄後、 ABTS基質液 [ 2 , 2, -アジノ-ビス( 3 -ェチルベンゾチアゾリン- 6 - スルホン酸)アンモニゥム (和光純薬社製) の 0 . 55gを 1Lの 0 . 1Mクェン酸緩衝液 (ρΗ4 · 2 )に溶解し、 使用直前に過酸化水素 (和光純薬社製) を l〃L/mLで添加した溶 液]を 50 /L/ゥヱルで加えて発色させ、 415nmの吸光度 (以下、 0M15と表記する) を測定.した。
• 3. 抗 VEGF受容体 Fit- 1ヒト型キメラ抗体組成物の精製
実施例 2の 1項で得られた形質転換細胞株 DG44/FU- 1株および Ms705/Flt- 1株を 用いて、 それそれが生産する抗 VEGF受容体 Fit- 1ヒト型キメラ抗体組成物を以下の ようにして精製した。 .
各々の形質転換株を、 G418を 500〃g/mLの濃度で含む IMDM- dFBS (10 )に懸濁し、 30mLを 182cm2フラスコ (グライナ一社製) に播種して 5%C02インキュベーター内で 37°C、数日間培養した。 細胞密度がコンフルェントになった時点で培養上清を除去し、 25mLの PBSで細胞を洗浄後、 EXCELL301培地 (JRH Biosciences社製) 30mLを注入 した。 5%C02インキュべ一夕一内で 37° 7日間培養後、 細胞懸濁液を回収し、
3000rpms 4°Cの条件で 5分間の遠心分離を行って上清を回収した後、 孔径 Mi l lex GV フィルター (ミリポア社製) を用いて濾過滅菌した。 上述の方法により取 得した培養上清より、 Mab Select (Amersham Biosciences社製) カラムを用いて、
添付の説明書に従い、 抗 Flt-1ヒト型キメラ抗体組成物を精製した。 精製した抗 Flt-1ヒト型キメラ抗体組成物は、 DG44/Flt- 1株より得られた抗体組成物を
DG44/Flt- 1抗体、 MS705/F11;- 1株より得られた抗体組成物を Ms705/Flt-1抗体と名付 けた。 実施例 3
FUT8遺伝子ダブルノックァゥト細胞が生産する抗 VEGF受容体 Fit- 1ヒト型キメラ抗 体組成物の生物活性
1. 抗 VEGF受容体 FU-1ヒト型キメラ抗体組成物の Fit- 1に対する結合活性 (ELISA 法) '
実施例 2の 3項で精製し DG44/FU-1抗体および Ms705/Flt-1抗体の Flt-1に対 する結合活性を、 WO99/60025の実施例 1に記載の Fit- 1 7Nを用いて、 以下のように して測定した。
Flt-1 7Nを PBSで希釈して 5 zg/niLとし、 96穴の ELISA用プレート (グライナ一 社製) に 50〃L/ゥエルで分注し、 4°Cで一晩放置して吸着させた。 PBSで洗浄後、 1% BSA-PBSを 100 iL/ゥエルで加え、 室温で 1時間反応させて残存する活性基をプロッ クした。 1%BSA- PBSを捨て、 各ゥエルを Tween-PBSで洗浄後、 実施例 2の 3項で調 製した DG44/Flt-1抗体または Ms705/Flt- 1抗体の各種希釈溶液を 50 zL/ゥエルで加 え、 室温で 2時間反応させた。 反応後、 各ゥヱルを Tween-PBSで洗浄後、 1%BSA-PBS で 2000倍に希釈したペルォキシダーゼ標識マウス抗ヒト IgGl (Fc )抗体 (サザンバ ィォテクノロジー社製) を二次抗体溶液として、 それそれ 50 /L/ゥヱルで加え、 室 温で 1時間反応させた。 反応後、 Tween- PBSで洗浄後、 ABTS基質液を 50〃L/ゥエル で加えて発色させ、 OD415を測定した。
第 5図には、 DG44/Flt-1抗体および Ms705/Flt-1抗体の Flt-1 7Nに対する結合活 性を示した。 両抗体は FU- 1 7Nに対して同等の結合活性を有していた。
2. 抗 Fit- 1ヒト型キメラ抗体組成物のヒト Fcァ Rll laに.対する結合活性 (ELISA 法)
実施例 2の 3項に記載の DG44/Flt- 1抗体および Ms705/Flt- 1抗体のヒト Fcァ
Rll laに対する結合活性を、 参考例に記載の shFcァ Rll laを用いて、 以下の様にして 測定した。 '
ャギ抗ヒト IgG(ffiL)抗体 (American Qualex社製)を PBSで 50倍に希釈した溶液を、 96穴の EUSA用プレート (グライナ一社製) に 50 L/ゥエルで分注し、 4°Cで一晚放 置して吸着させた。 ゥェル内の溶液を捨て、 1%BSA-PBSを 100〃L/ゥエルで加え、 室 温 1時間反応させて残存する活性基をプロックした。 1 %BSA- PBSを捨て、 実施例 2 の 3項で調製した DG44/Flt- 1抗体または Ms705/Flt - 1抗体を 1%BSA-PBSで 10 zg/mL に調製した溶液を 50〃L/ゥヱルで加え、 室温で 1時間反応させた。 反応後、 Tween- PBSで各ゥエルを洗浄後、 shFcァ Rlllaを 1 %BSA-PBSで 10〃g/mLに調製した溶液を 50 /L/ゥエルで加え、 室蕰で 1時間反応させた。 反応後、 Tween-PBSで各ゥエルを洗 浄後、 Penta-His HRP conjugate (QIAGEN社製) を 1%BSA- PBSで 1000倍に希釈した 溶液を 50〃L/ゥエルで加え、 室温で 1時間反応させた。 反応後、 Tween-PBSで各ゥェ ルを洗浄後、 TMB試薬 (SIGMA社製) を 50 L/ゥヱルで加え、 室温で 10分間発色さ せたのち、 1N硫酸 (和光純薬社製) を 50 /L/ゥヱルで分注して発色を停止し、 ◦D"5を測定した。
第 6図には、 Ms705/Flt-1抗体および DG44/Flt-1抗体の shFcァ Rlllaに対する結 ' 合活性を示した。 FUT8遺伝子ダブルノックァゥト細胞が生産する Ms705/Flt-1抗体 は、 親株である CH0/DG44細胞を宿主細胞が生産する DG44/Flt- 1抗体に比べて、 shFc ァ Rlllaに対す?;結合活性が顕著に高かった。 実施例 4 '
FUT8遺伝子ダブルノックァゥト細胞が生産する抗 Fit- 1ヒト型キメラ抗体組成物の 単糖組成分析
実施例 2の 3項で精製した DG44/Flt- 1抗体および Ms705/Flt- 1抗体の中性糖 ·ァ ミノ糖組成分析を、 以下の様にして行った。
抗体を遠心濃縮機で減圧下乾固した後、 2.0〜4.0Mのトリフルォロ酢酸溶液を加え て 100°C、 2〜4時間酸加水分解を行い、 タンパク質から中性糖 'アミノ糖を遊離した。 トリフルォロ酢酸溶液を遠心濃縮機で除去.し、 脱イオン水に再溶解して Dionex社製
糖分析装置(DX- 500 )を用いて分析を行った。 CarboPac PA- 1カラム、 CarboPac PA- 1 ガードカラム (Dionex社製)を用い、 溶離液として' 10〜20mM水酸化ナトリウム-脱ィ オン水溶解液、 洗浄液として 500 水酸化ナトリウム-脱イオン水溶解液を使用して、 以下の溶出プログラムで分析した。 第 1表 中性糖 ·ァミノ糖組成分析の溶出プログラム
時間 (分) 0 35 35.1 45 45.1 58 溶離液 (%) 100 100 0 0 100 100
洗浄液 (%) 0 0 100 100 0 0
得られた中性糖 ·アミノ糖成分のピーク面積から、 N -ァセチルグルコサミン比を 4 とした場合の各成分 (フコース、 ガラクト一ス、 マンノース) の組成比を算出した。
抗 Fit- 1ヒト型キメラ抗体組成物のフコースが結合していない糖鎖の割合
抗体名 フコースを含まない糖鎖率 (%)
DG44/FU-1 t 13%
Ms705/Flt-1抗体 100% 第 2表に各抗体の単糖組成比により計算される、 全 N-グリコシド結合複合型糖鎖 に占める、 糖鎖還元末端の N-ァセチルグルコサミンにフコースが結合していない糖 鎖の割合を示した。 親株である CH0/DG44細胞を宿主細胞が生産する DG44/FU- 1抗体 ではフコースが結合していない糖鎖の割合が 13%であったのに対し、 FUT8遺伝子ダ ブルノヅクァゥト細胞が生産する MS705/FU-1抗体ではフコースが結合していない糖 鎖の割合が 100%であった。
以上の結果より、 FUT8遺伝子ダブルノックァゥト細胞が生産する Ms705/Flt- 1抗
体の N-グリコシド結合複合型糖鎖の還元末端の N-ァセチルグルコサミンには、 フコ —スが結合していないことが示された。 上記実施例 3の 2項の shFcァ Iliaに対する 結果と併せて、 この結果から、 N-グリコシド結合複合型糖鎖の還元末端の N-ァセチ ルダルコサミンに、 フコースが結合していない Ms705/Flt-1抗体は、 該部位にフコー スが結合している DG44/Flt-1抗体と比較して、 shFcァ Rl llaへの結合活性が高いこ とがわかった。 抗体の. ADCC活性はヒト Fcァ Rlllaへの結合活性と相関するので、 本 発明のフコースが結合していない糖鎖を有する抗ヒト VEGF受容体 Flt-1ヒト型キメ ラ抗体組成物は、 高い細胞傷害活性を有するので、 フコースが結合していない糖鎖を 有する抗ヒト VEGF受容体 Fit- 1抗体分子のみからなる抗体組成物の医薬としての優 位性を示しており、 本発明のフコースが結合していない糖鎖を有する抗ヒド VEGF受 容体 Flt-1抗体組成物によって、 これまでの抗ヒト VEGF受容体 Flt-1抗体分子を含 む抗体組成物では治癒できなかった患者を治療することができる。 実施例 5 ,
FUT8遺伝子ダブルノヅクァゥト細胞による抗 VEGF受容体 Fit- 1ヒ卜型 CDR移植抗体 の発現.
1. FUT8遺伝子ダ'ブルノックァゥ'ト細胞での安定発現
実施例 1の 4項に記載の FUT8遺伝子ダブルノックァゥト細胞株に、 WO99/60025記 載の抗 Fit- 1ヒト型 CDR移植抗体発現ぺク夕一 pKANTEX1750HV0LV0 ( I )、
KANTEXl 750HV0LV0 ( I V )、 KANTEXl 750HV3LV0 ( I )、 pKANTEXl 750HV3LV0 ( I V )、
PKANTEX1750HV0LV4および pKANTEX1750HV3LV4を導入し、 抗 Flt-1ヒト型 CDR移植抗 体組成物の安定生産細胞を実施例 2と同様にして作製した。
最終的に、 それそれのベクタ一毎に G418を 500〃g/mLの濃度で含む IMDM- dFBS (10 ) 培地で増殖可能かつ、 抗 VEGF受容体 Fit- 1ヒト型 CDR移植抗体を生産する 形質転換株を得た。 FUT8遺伝子ダブルノックァゥト細胞より得られた形質転換株は、 pKANTEX1750HV0LV0 ( I )を導入して得られた形質転換株を Ms705/HV0LV0 (I )株と、 pKANTEX1750HV0LV0 ( IV)を導入して得られた形質転換株を Ms705/HV0LV0 (IV)株と、' PKANTEX1750HV3LV0 ( I )を導入して得られた形質転換株を Ms705/HV3LV0 ( I )株と、
pKANTEX1750HV3LV0 (IV)を導入して得られた形質転換株を Ms705/HV3LV0 (IV)株と、 PKANTEX1750HV0LV4を導入して得られた形質転換株を Ms705/HV0LV4株と、
PKANTEX1750HV3LV を導入して得られた形質転換株を Ms705/HV3LV4株と、 それそれ 名付けた。
2 . FUT8遺伝子ダブルノヅクァゥト細胞が生産する抗 VEGF受容体 Fit- 1ヒト型 CDR 移植抗体組成物の生物活性 '
実施例 2の 3項に記載の方法と同様にして、 上記 1項で得られた抗 VEGF受容体 Fit- 1ヒト型 CDR移植抗体を生産する形質転換株から、 それそれ抗体組成物を精製し た。 該抗体組成物を実施例 3の 1項に記載の方法と同様にして、 ELISA法によりヒト VEGF受容体 Fit- 1に対する結合活性を測定したところ、 いずれの抗体組成物も抗 VEGF受容体 Fit- 1ヒト型キメラ抗体 Ms705/Flt-1抗体と同等の結合活性を示した。 また、 実施例 3の 2項に記載の方法と同様にして、 ELISA法によりヒト Fcァ Rllla に対する結合活性を測定したところ、 いずれの抗体組成物も抗 VEG 受容体 Fit- 1ヒ ト型キメラ抗体 Ms705/Flt- 1抗体と同等の結合活性を示した。
以上のことから、 作製した 6種類の抗 VEGF受容体 Fit- 1,ヒト型 CDR移植抗体を生 産する形質転換株から生産される抗体組成物は、 抗 VEGF受容体 Fit- 1ヒト型キメラ 抗体 Ms705/Flt-1抗体と同等の生物活性を有しているので、 このようなフコースが結 合していない糖鎖を有する抗ヒト VEGF受容体 Fit- 1ヒト型 CDR移植抗体分子のみか らなる抗体組成物の医薬としての優位性を示している。
従って、 本発明のフコースが結合していない糖鎖を有する抗ヒト VEGF受容体 Flt- 1遺伝子組換え抗体組成物によって、 これまでの抗ヒト VEGF受容体 Fit- 1遺伝子組 換え抗体分子を含む抗体組成物では治癒できなかつた患者を治療することができる。 参考例 - 可溶性ヒト Fcァ RI 11 a蛋白質の作製
1. 可溶性ヒト Fcァ RII la蛋白質の発現ベクターの構築
( 1 ) ヒト末梢血単核球 cDNAの作製
健常人の静脈血 30mLを採取し、 へパリンナトリゥム (清水製薬社製) 0.5mLを加
えて穏やかに混和した後、 生理的食塩水 (大塚製薬社製) 30mL と混合した。 混合後、 各 10mLをそれぞれ Lymphoprep (NYCOMED PHARMA AS社製) 4mL上に穏やかに重層し、 室温下 2000rpmで 30分間の遠心分離を行った。 分離された単核球画分を各遠心管よ り集めて混合し、' RPMI1640- FBS (IO ) 30mLに懸濁した。 室温下 1200 rpniで 15分間の 遠心分離を行った後、 上清を除去し、 該細胞を RPMI1640- FBS (IO ) 20mL.に懸濁した。 ごの洗浄操作を 2回繰り返した後、 RPMI1640- FBS (IO ) を用いて 2 X 106個/ mLの末梢 血単核球懸濁液を調製レた。
上記のようにして調製した末梢血単核球懸濁液の 5mLを室温下 800rpniで 5分間の 遠心分離を行った後、 上清を除去し、 5mLの PBSに懸濁した。 室温下 800rpiで 5.分 間の遠心分離を行った後、 上清を除去し、 QIAamp RNA Blood Mini Kit (QIAGEN社 製) を用いて添付の説明書に従い、 全 RNAを抽出した。
得られた全 RNA2〃gに対し、 SUPERSCRIPT™ Preampl if ication System for First Strand cDNA Synthesis (Life Technologies社製) を用いて添付の説明書に従い、 オリゴ (dT)をプライマーとした 40〃Lの系で逆転写反応を行うことにより、 一本鎖 cDNAを合成した。
(2 ) ヒト Fcァ Rll la蛋白質をコードする cDNAの取得
ヒト Fcァ Rllla蛋白質 (以下、 hFcァ Rll laと表記する) の cDNAの取得は、 以下の ようにして行った。
まず、 hFcァ Rlllaの cDNAの塩基配列 [ J . Exp , Med. , 170 , 481 (1989 ) ] より、 翻 訳開始コドンを含む特異的なフォワードプライマ一 (配列番号 45に示す) および翻 訳終止コドンを含む特異的なリバースプライマ一 (配列番号 46 に示す) を設計した。 次に DNAポリメラーゼ ExTaq (宝酒造社製) を用いて、 参考例の 1項 (1 ) で調製 したヒト末梢血単核球由来の cDNA溶液の 20倍希釈液 5 Lを含む 50 Lの反応液 [ 1 倍濃度の ExTaq buffer (宝酒造社製)、 0.2mM dNTPs、 1 zM上記遺伝子特異的プライ マ一 (配列番号 45および 46 ) ] を調製し、 PCRを行った。 PCRは、 94°Cで 30秒間、 56°Cで 30秒間、 72°Cで 60秒間からなる反応を 1サイクルとして、 35サイクル行つ た。
PCR後、 反応液を QIAquick PCR Purif ication Kit (QIAGEN社製) を用いて精製し、
滅菌水 20〃Lに溶解した。 '制限酵素!^ RI (宝酒造社製) および ϊΗΙ (宝酒造社製) で消化後、 0.8%ァガロースゲル電気泳動に供し、 特異的增幅断片約 800bpを回収し た o
一方、 プラスミド pBluescriptll SK (- ) 2.5 g (Stratagene社製) を制限酵素 EcoRI (宝酒造社製) および Μ ΗΙ (宝酒造社製) で消化後、 0.8%ァガロースゲル電 気泳動に供し、 約 2. 9kbpの断片を回収した。
上記で得たヒト末梢血単核球 cDNA由来増幅断片とプラスミド pBluescriptll SK (-)由来の断片を、 DNA, Ligation Kit Ver .2.0 (宝酒造社製)を用いて連結反応を行つ た。 該反応液を用いて大腸菌 DH5ひ株 (東洋紡績社製) を形質転換し、 得られたアン ピシリン耐性コロニーより公知の方法に従って各々プラスミド DNAを単離した。
各プラスミドに揷入された cDNAの塩基配列は、 DNAシークェンサ一 377 (Parkin . Elmer ¾ ) および BigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit (Parkin Elmer社製) を添付マニュアルに従い使用して決定した。 本法により配列決 定した全ての挿入 cDNAが、 hFcァ RI 11 aの cDNAの 0RF全長配列をコードすることを 確認した。 このうち PCRに伴う塩基の読み誤りを該配列内に全く含まないプラスミド DNAを選択した。 以下、 本プラスミドを pBSFc y RIIIa5- 3と称す。
決定した hFcァ Rlllaの全長 cDNA配列を配列番号 47、 それに対応するアミノ酸配 列を配列番号 48に示す。
(3 ) 可溶性 hFcァ Rlllaをコードする cDNAの取得
hFcァ RI I laの細胞外領域 (配列番号 48の 1〜193番目) と C末端に His- tag配列 を持つ可溶性 hFcァ RII la (以下、 shFcァ Rllla) をコードする cDNAは、 以下のよう にして構築した。
まず、 hFcァ RIHa の cDNAの塩基配列 (配列番号 47) より、 細胞外領域に特異的 なプライマー FcgR3- 1 (E列番号 49に示す)を設計した。
次に DNAポリメラ一ゼ ExTaq (宝酒造社製) を用いて、 参考例の 1項 (2 ) で作製 したプラスミド pBSFcァ RIIIa5-3を 5ngを含む 50 /Lの反応液 [1倍濃度の ExTaq buffer (宝酒造社製)、 0.2 dNTPs、 1〃Mプライマ一 FcgR3- 1、 1 zM プライマ一' '
M13M4 (宝酒造社製)] を調製し、 PCRを行った。 PCRは、 94°Cで 30秒間、 56°Cで 30 秒間、 72°Cで 60秒間からなる反応を 1サイクルとして、 35サイクル行った。
PCR後、 反応液を QIAquick PCR Purification Kit (QIAGEN社製) を用いて精製 し、 滅菌水 20〃Lに溶解した。 制限酵素 l (宝酒造社製) および Ι ΗΙ (宝酒造社 製) で消化後、 0.8%ァガロースゲル電気泳動に供し、 特異的増幅断片約 llObpを回 収した。
一方、 プラスミド pBSFcァ RIIIa5-3 2.5〃gを制限酵素 MI (宝酒造社製) および BamHI (宝酒造社製) で消化後、 0.8%ァガロースゲル電気泳動に供し、 約 3.5kbpの 断片を回収した。
上記で得た hFcァ Rllla cDNA'由来増幅断片とプラスミド pBSFcァ RIIIa5-3由来の断 片を、 DNA Ligation Kit Ver .2.0 (宝酒造社製)を用いて連結反応を行った。 該反応液 を用いて大腸菌 DH5ひ株 (東洋紡績社製) を形質転換し、 得られたアンピシリン耐性 コロニーより公知の方法に従って各々プラスミド DNAを単離した。
各プラスミ ドに揷入された cDNAの塩基配列は、 DNAシークェンサ一377 (Parkin Elmer社製) および BigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit (ParM.n Elmer社製) を添付マニュアルに従い使用して決定した。 本法により配列決 定した全ての挿入 cDNAが、 目的の shFcァ Rlllaの cDNAの 0RF全長配列をコードする ことを確認した。 このうち PCRに伴う塩基の読み誤りを該配列内に全く含まないブラ スミド DNAを選択した。 以下、 本プラスミドを pBSFcァ RIIIa+His3と称す。
決定した shFcァ Rlllaの全長 cDNA配列を配列番号 50、 それに対応するアミノ酸配 列を配列番号 51に示す。 '
(4) shFcァ Rllla ©発現ぺク夕一の構築
shFcァ Rlllaの発現ぺク夕一は、 以下のようにして構築した。
参考例の 1項 (3 ) で得られたプラスミド pBSFcァ RIIIa+His3 3.0〃gを制限酵素 EcoRI (宝酒造社製) および 1 (宝酒造社製) で消化後、 0.8%ァガロースゲル電 気泳動に供し、 約 620bpの断片を回収した。 、
一方、 WO97/10354に記載のプラスミド pKANTEX93 2.0 zgを制限酵素 (宝酒 造社製)および i HI (宝酒造社製) で消化後、 0.8%ァガロースゲル電気泳動に供し、
約 10.7kbpの断片を回収した。
上記で得た shFcァ Rllla cDNAを含む DNA断片とプラスミド pKANTEX93由来の断片 を、 DNA Ligation Kit Ver .2.0 (宝酒造社製)を用いて連結反応を行った。 該反応液を 用いて大腸菌 DH5ひ株 (東洋紡績社製) を形質転換し、 得られたアンビシリン耐性コ ロニーより公知の方法に従って各々プラスミド DNAを単離した。
各プラスミドに揷入された cDNAの塩基配列は、 DNAシークェンサ一377 (Parkin Elmer社製) および BigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kit (Parkin Elmer社製) を添付マニュアルに従い使用して決定した。 本法により配列決 定した全てのプラスミドが、 目的の shFcァ Rlllaの cDNAを拿むことを確認した。 得 られた発現べクタ一を以下、 pKANTEXFcァ Rllla- Hisと称す。
2. shFcァ Rlllaの安定生産細胞の作製
参考例の 1項で構築した shFcァ II laの発現べクタ一 pKANTEXFcァ RII la- Hisをラヅ トミエロ一マ YB2/0細胞 [ATCC CRL- 1662、 ジャーナル 'ォプ'セルラー 'バイオ口 ジ一 (J, Cell . Biol . ) , 93 > 576 (1982 ) ] に導入し、 shFcァ RI II aの安定生産細胞 を以下のようにして作製した。
制限酵素^ il lで消化し、 線状ィ匕した pKANTEXFcァ RI II a- Hisの 10〃gを 4 x 10s細 胞のへエレクトロポレーシヨン法 [サイ トテクノロジー (Cytotechnology) , 3 , 133 (1990 ) ] により導入後、 40mLの Hybridoma- SFM-FBS ( 10 ) [10%FBSを含む Hybridoma- SFM培地 (Life Technologie社製)] に懸濁し、 96ゥヱル培養用プレート (住友べ一 クライト社製) に 200 zL/ゥエルずつ分注した。 5%C02インキュベーター内で 37°C、 24時間培養した後、 G418を l .'Omg/mLになるように添加して 1〜2週間培養した。
G418耐性を示す形質転換株のコロニーが出現し、 増殖の認められたゥヱルより培養 上清を回収し、 上清中の shFcァ Rlllaの発現量を参考例の 3項に示す ELISA法により 測定した。 ',
培養上清中に shFcァ Rlllaの発現が認められたゥヱルの形質転換株については、 dhfr遺伝子増幅系を利用して抗体生産量を増加させる目的で、 G418を 1.0mg/mL、 DHFRの阻害剤である MTX (SIGMA社製) を 50nM含む Hybridoma- SFM-FBS ( 10 )培地に 1 〜2 X 105細胞/ mLになるように懸濁し、 24ゥエルプレート (Greiner社製) に 2mLず
つ分注した。 5%C02インキュぺ一夕一内で 37°Cで 1〜2週間培養して、 50ηΜ ΜΠ耐性 を示す形質転換株を誘導した。 形質転換株の増殖が認められたゥエルの培養上清中の shFcァ Rlllaの発現量を参考例の 3項に示す ELISA法により測定した。 培養上清中に shFcァ Rlllaの発現が認められたゥエルの形質転換株については、 上記と同様の方法 により、 MTX濃度を 100nM、 200nMと順次上昇させ、 最終的に G418を 1. Omg/mL、 MTX を 200nMの濃度で含む Hybridoma-SM- FBS (IO )培地で増殖可能かつ、 shFcァ Rll laを 高生産する形質転換株を得た。 得られた 質転換株に対して、,2回の限界希釈法によ るクローン化を行った。 このようにして得られた形質転換株を KC1107株と名付けた。
3. sliFcァ Rlllaの検出 (ELISA法)
培養上清中あるいは精製した shFcァ Rll laの検出、 定量は、 以下に示す ELISA法に より行った。
His- tagに対するマウス抗体 Tetra · His Antibody (QIAGEN社製) を PBSを用いて 5〃g/mLに調製した溶液を 96ゥエルの ELISA用のプレート (Greiner社製) に 50〃 L/ゥ工ルで分注し、 4° (、 12時間以上反応させた。 反応後、 1 %BSA-PBSを 100 /L/ゥ ヱルで加え、 室温で 1時間反応させて残存する活性基をブロックした。 1%BSA-PBS を捨て、 形質転換株の培養上清あるいは精製した shFcァ Rlllaの各種希釈溶液を 5,0 〃L/ゥヱルで加え、 室温で 1時間反応させた。 反応後、 各ゥヱルを Tween- PBSで洗浄 後、 1%BSA- PBSで 50倍に希釈したビォチン標識マウス抗ヒト CD16抗体溶液
(PharMingen社製)を 50 L/ゥエルで加え、 室温で 1時間反応させた。 反応後、 Tween-PBSで洗浄後、 1 BSA-PBSで 4000倍に希釈したペルォキシダ一ゼ標識 Avidin D溶液 (Vector社製)を 50〃L/ゥエルで加え、 室温で 1時間反応させた。 反応後、 Tween-PBSで洗浄後、 ABTS基質液を ゥヱルで加えて発色させ、 OD450を測定し た。
4. shFcァ Rlllaの精製
参考例の 2項で得られた shFcァ Rlllaを生産する形質転換細胞クローン KC1107を G418を 1.0mg/mL、 MTXを 200nMで含む Hybridoma- SFM-GF(5 ) [ 5% Daigo ' s GF21 (和 光純薬社製) を含む Hybridoma- SFM培地 (Life Teclmologie社製)]に 3 χ ΐΟδ細胞/ mL となるように懸濁し、 182cm2フラスコ (Greiner社製) に 50mL分注した。 5%C02ィ
ンキュベー夕一内で 37°Cで 4日間培養後、 培養上清を回収した。 培養上清より Ni- NTA agarose (QIAGEN社製) カラムを用いて、 添付の説明書に従い、 shFcァ Rlllaを精 製した。
5. 精製した shFcァ Rlllaの解析
参考例の 4項で得られた精製 shFcァ RI II aの濃度は、 以下のようにしてァミノ酸組 成分析を行い、 算出した。 精製 shFcァ Rlllaの一部を 6M塩酸、 1%フエノール溶液 に懸濁し、 110°Cで 20時間、 気相中で加水分解を行った。 加水分解には、 Waters社 製ワークステーションを使用した。 加水分解後のアミノ酸を Bidl ingmeyerらの方法 [J . Chromatogr , , 336. 93 (1984 ) ]に従い、 PTC-アミノ酸誘導体として、 PicoTagァ ミノ酸分析装置 (Waters社製) を用いて分析した。
次に、 精製した shFcァ Rl l laの約 0.5〃gを公知の方法 [Nature , 227, 680 , (1970 ) ]に従って還元条件下での SDS-PAGEを行い、 分子量および精製度を解析した。 精製した shFcァ Rlllaは、 分子量 36〜38Kdのブロードなバンドが検出された。 hFcァ Rlllaの細胞外領域には、 5箇所の N-グリコシド型の糖鎖結合可能部位が存在してい ることが知られており [J . Exp. Med. , 170 , 481 (1989 ) ]、 精製した shFcァ Rlllaの ブロードな分子量の分布は、 糖鎖付加の不均一性に起因すると考えられた。 一方、 精 製した shFcァ RI 11 aの N末端アミノ酸配列をプロテインシ一ケンサ一 PPSQ-10 (島津 製作所製) を用いて自動エドマン分解により解析した結果、 shFcァ Rlllaの cDNAよ り予想される配列が得られたことより、 目的の shFcァ RII I aが精製で 'きたことが確認 された。 配列表フリーテキスト
配列番号 30-人工配列の説明:抗体重鎖可変領域のアミノ酸配列
配列番号 31-人工配列の説明:抗体重鎖可変領域のアミノ酸配列
配列番号 32-人工配列の説明:抗体軽鎖可変領域のアミノ酸配列
配列番号 33-人工配列の説明:抗体軽鎖可変領域のアミノ酸配列
配列番号 34-人工配列の説明:抗体重鎖可変領域のアミノ酸配列
配列番号 35-人工配列の説明:抗体軽鎖可変領域のアミノ酸配列
配列番号 36-•人工配列の説明 抗体軽鎖可変領域のァミノ酸配列 配列番号 37-•人工配列の説明 合成 DNA
配列番号 38-•人工配列の説明 合成 DNA
配列番号 39-人工配列の説明 合成赚 '
配列番^ 40-人工配列の説明 合成匪
配列番号 41-人工配列の説明 合成匪
配列番号 42- '人工配列の説明 合成醒
配列番号 43-人工配列の説明 合成醒
配列番号 4-人工配列の説明 合成醒 ― '配列番号 45-人工配列の説明 合成丽
配列番号 46-人工配列の説明 合成賺
配列番号 49-人工配列の説明 合成 DNA