明 細 書
縦型モータの軸受部防水構造
技術分野
[0001] 本発明は、縦取付型モータに採用される軸受部防水構造に関するものである。
背景技術
[0002] 従来の縦型モータの軸受部防水構造は、軸受ブラケットとシャフトの間に接触式シ ールを用いることで行っている(例えば、特許文献 1参照)。また、非接触式シールを 用いているものもある。
以下、第 1の従来技術を、図 3を用いて説明し、第 2の従来技術を図 4を用いて説明 する。
[第 1の従来技術]
図 3において、軸受 1を介してシャフト 2を回転可能に支持する軸受ブラケット 10と その中心部の円筒状軸受ハウジング 4の一端面には軸受 1の端面を包囲する軸受カ バー 11が取り付けられ、その中心部の先端には接触式シール 12が取り付けられて いる。接触式シール 12はその一部がシャフト 2の外周面に接触してあり、接触式シー ノレ 12とシャフト 2の接触部が摺動することにより軸受 1を潤滑しているグリース及び油 分の流出を防ぎ、なおかつ、外部からの液体や固体の流入を防いでいる。
[第 2の従来技術]
図 4において、軸受 1を介してシャフト 2を回転可能に支持する軸受ブラケット 10と その中心部の円筒状軸受ハウジング 4の一端面には軸受 1の端面を包囲する軸受カ バー 5が取り付けられ、シャフト 2の外周面に軸受 1を保持する軸受押さえ 6が取り付 けられている。軸受カバー 5と軸受押さえ 6が近接対向する部分でラビリンス構造によ る非接触式シールを形成することにより軸受 1を潤滑しているグリース及び油分の流 出を防ぎ、なおかつ、外部からの液体や固体の流入を防いでいる。
特許文献 1 :特開平 5 - 161297号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0003] し力 ながら、このような従来の縦型モータの軸受部防水構造については、次のよう な問題があった。
(1)接触式シールの摺動部の摩擦による損失があり、また、摺動部の摩耗、摩滅、劣 化によるシール性の低下があり、接触式シールを定期的に交換する必要がある。
(2)摺動部の摩耗、摩滅、劣化によって接触式シールのシール性が低下するので、 外部から液体や固体が流入する。
(3)ラビリンス構造による非接触式シールは、その構造上、許容量以上の液量が掛か つた場合、液体が流入するおそれがある。
(4)ラビリンス構造による非接触式シールの許容量を大きくするためには、ラビリンス 構造が大きく複雑になり、縦型モータの軽量、小型化を阻害する。
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、ラビリンス構造の非接 触式シールによる半永久的シール構造とするとともに、消耗部品の廃止によりメンテ ナンス周期を延長し、軽量、小型化することができる縦型モータの軸受部防水構造を 提供することを目的とするものである。
課題を解決するための手段
[0004] 上記問題を解決するため、本発明は、縦型モータのシャフトと、前記シャフトを支え る軸受と、前記軸受を収納する軸受カバーと、前記シャフトの外周面に取り付けられ ると共に、前記軸受を保持する軸受押さえと、前記軸受の外周面を保持すると共に 前記軸受カバーが設けられている軸受ブラケットとを備えた縦型モータの軸受部構 造にぉレ、て、前記軸受カバーの前記軸受押さえと近接する部分をラビリンス構造とし 、かつ、前記軸受押さえの前記軸受カバーと近接する部分をラビリンス構造とし、さら に、前記軸受ブラケットの軸方向上面部に前記軸受カバーのラビリンス部よりも下方 になるような排水溝を備えるようにしたものである。
発明の効果
[0005] 本発明の縦型モータの軸受部防水構造によれば、縦型モータの上側軸受ブラケッ ト及び軸受部上面に掛かった液体を軸受ブラケット上面の排水溝を通ってモータ外 周側に排水することにより非接触式シールによる液体の流入を防止することができ、 簡便なラビリンス構造により縦型モータを小型、軽量ィ匕することができるとレ、う効果が
ある。
図面の簡単な説明
[0006] [図 1]本発明の第 1実施例における縦型モータの軸受部防水構造を示す側断面図で ある。
[図 2]本発明の第 2の実施例を示す図 1相当図である。
[図 3]第 1の従来技術における縦型モータの軸受部防水構造を示す側断面図である
[図 4]第 2の従来技術を示す図 3相当図である。
符号の説明
[0007] 1 軸受
2, 7 シャフト
3, 10 軸受ブラケット
4 軸受ハウジング
5 軸受カバー
6, 11 軸受押さえ
8 軸受押さえ部
9 排水溝
12 接触式シール
発明を実施するための最良の形態
[0008] 以下、本発明の実施例を図に基づいて説明する。
実施例 1
[0009] 図 1は、本発明の第 1の実施例における縦型モータの軸受部防水構造を示す側断 面図である。
図 1において、軸受 1を介してシャフト 2を回転可能に支持する軸受ブラケット 3とそ の中心部の円筒状軸受ハウジング 4の一端面には軸受 1の端面を包囲する軸受カバ 一 5が取り付けられ、シャフト 2の外周面に軸受 1を保持する軸受押さえ 6が取り付け られている。軸受カバー 5の軸受押さえ 6と近接対向する部分にラビリンス構造が設
けれらており、かつ、軸受押さえ 6の軸受カバー 5と近接対向する部分にラビリンス構 造が設けられており、非接触式シールを形成することにより軸受 1を潤滑しているダリ ース及び油分の流出を防ぎ、なおかつ、外部からの液体や固体の流入を防いでいる また、軸受ブラケット 3の軸方向上面部には軸受カバー 5のラビリンス部よりも下方に なるように排水溝が設けられ、軸受カバー 5のラビリンス部で堰き止められた液体を滞 らせることなく軸受ブラケット外周部に導きモータ外周部に排水することができる。 実施例 2
[0010] 図 2は、第 2の実施例の構成を示す図 1相当図である。
図 2において、軸受 1を介してシャフト 7を回転可能に支持する軸受ブラケット 3とそ の中心部の円筒状軸受ハウジング 4の一端面には軸受 1の端面を包囲する軸受カバ 一 5が取り付けられ、シャフト 7には軸受 1を保持する軸受押さえ部 8が設けられてい る。軸受カバー 5の軸受押さえ部 8と近接対向する部分にラビリンス構造が設けれら ており、かつ、軸受押さえ部 8の軸受カバー 5と近接対向する部分にラビリンス構造が 設けられており、非接触式シールを形成することにより軸受 1を潤滑しているグリース 及び油分の流出を防ぎ、なおかつ、外部からの液体や固体の流入を防いでいる。 また、軸受ブラケット 3の軸方向上面部には軸受カバー 5のラビリンス部よりも下方に なるように排水溝 9が設けられ、軸受カバー 5のラビリンス部で堰き止められた液体を 滞らせることなく軸受ブラケット外周部に導きモータ外周部に排水することができる。 産業上の利用可能性
[0011] 本発明は、特に縦取付型モータに採用される軸受部防水構造に適用して、非接触 式シールによる液体の流入を防止することができ、簡便なラビリンス構造により小型、 軽量化することができる縦型モータを製造、提供する分野に利用することができる。