明 細 書
眼科用組成物
技術分野
[0001] 本発明は、眼科用組成物に係り、特に、点眼液やコンタクトレンズ用液剤等として有 利に用いられる、使用感に優れた眼科用組成物に関するものである。
背景技術
[0002] 一般に、眼の乾燥感(ドライアイ)の原因の一つとして、角膜上における水分保持性
(保水性)の悪化が考えられている。そして、患者が乾燥感を訴えた場合に、従来に おいては、塩化ナトリウムや塩化カリウムを主成分とする、所謂人工涙液が、眼に対し て水分を補給するために、使用されてきた。し力 ながら、かかる人工涙液によって 補給されるのは、水分のみであるため、乾燥感の低減効果は持続性に乏しいもので あった。それ故、患者は、乾燥感を解消するために、一日に何度も点眼する必要があ つたのである。また、そのような頻繁な点眼により、涙液層中の油膜が洗い流されてし まレ、、それが原因で、更に眼の乾燥感が引き起こされるといった悪循環を招いていた
[0003] このため、そのような乾燥感の発生を防ぐベぐ現在、様々なタイプの点眼液が開発 されている。例えば、 J. Pharm. Sci. 63, p.1218-1223 (非特許文献 1)には、メチルセ ルロース等の増粘剤を配合して、点眼後、角膜上における点眼液の滞留時間を延ば すもの力 提案されている。また、第 16回角膜カンファランス予稿集 No. 94 (非特許 文献 2)には、ヒアルロン酸ナトリウム等を配合して、増粘剤としての働きにカ卩え、角膜 上皮細胞の増殖に効果を示すものが、提案されている。し力 ながら、前者にあって は、点眼液の粘度が上昇するに従って、角膜上における滞留時間が、確かに延長さ れるものの、粘度が高くなることによって、点眼後の視力不安定を引き起こすといった 問題を内在するものであった。また、高粘度であるが故に、注し L、地も悪化し、ひい てはコンプライアンスをも低下させてしまう恐れがある。更に、後者においては、ヒアル 口ン酸ナトリウムによつて優れた水分保持性が実現され得るものの、ヒアルロン酸ナト リウムの安価な製造方法が未だ確立されておらず、高価なものとなってレ、る。
[0004] また一方、特開平 8-175985号公報(特許文献 1)等には、酸性アミノ酸が配合せ しめられた点眼剤が提案されている。力かる公報に開示されている点眼剤において は、酸性アミノ酸として、ァスパラギン酸塩が用いられている力 上述せる如き増粘剤 やヒアルロン酸ナトリウムが配合された点眼液に比して水分保持性が劣っており、ま た、ァスパラギン酸自体が低分子であるところから、コンタクトレンズの材質内に取り込 まれ易いといった問題があった。
[0005] 非特許文献 1: J. Pharm. Sci. 63, p.1218- 1223 (1974), Chrai, S.S., Robinson, J.R.
非特許文献 2 :第 16回角膜カンファランス予稿集 No. 94
特許文献 1 :特開平 8 - 175985号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] ここにおいて、本発明は、力かる事情を背景にして為されたものであって、その解決 課題とするところは、より一層優れた水分保持性を付与して、眼の乾燥感、特にコン タクトレンズ装用中の眼の乾燥感を、長時間に亘つて有利に緩和することが出来る眼 科用組成物を、安価に提供することにある。
課題を解決するための手段
[0007] そして、本発明者は、そのような課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、酸性ァ ミノ酸の重合物に注目し、酸性アミノ酸が架橋することなぐ線状に重合されてなる高 分子を配合せしめることにより、眼科用組成物の保水力(保湿力)が効果的に高めら れ得ることを見出した。また、そのような眼科用組成物を、特に、コンタクトレンズ装用 中の眼に点眼することで、コンタクトレンズの装用による不快感、特に乾燥感が長時 間に亘つて有利に低減せしめられ得ることを見出したのである。
[0008] 従って、本発明は、力かる知見に基づいて完成されたものであって、その第一の態 様とするところは、酸性アミノ酸の線状高分子であるポリアミノ酸を、水系媒体中に含 有せしめてなることを特徴とする眼科用組成物にある。
[0009] なお、本発明に従う眼科用組成物における第二の態様にあっては、前記ポリアミノ 酸として、ポリアスパラギン酸若しくはその塩、又はポリグルタミン酸若しくはその塩が 、採用されることとなる。
[0010] また、本発明に従う第三の態様においては、前記ポリアミノ酸が、 0. 001— 10w/ w%の濃度となるように含有せしめられることとなる。
[0011] さらに、本発明に従う眼科用組成物の第四の態様おいては、ヒドロキシプロピルメチ ルセルロース及び非イオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも 1種の界 面活性物質が、更に含有せしめられる。
[0012] カロえて、本発明の第五の態様では、粘稠化剤、殺菌剤、防腐剤、 pH緩衝剤、キレ ート化剤、清涼化剤、浸透圧調整剤、消炎剤、血管収縮剤、及びビタミン類のうちの 少なくとも 1種が、更に、含有せしめられている構成が、採用される。
[0013] また、本発明に従う眼科用組成物の第六の態様においては、前記眼科用組成物が 、点眼液として、使用される。
[0014] さらに、本発明の好ましい第七の態様にあっては、前記眼科用組成物が、前記点 眼液の中でも、コンタクトレンズを装用したままの状態で点眼を行なうコンタクトレンズ 用点眼液として、用いられる。
[0015] 更にまた、力かる本発明に従う眼科用組成物の第八の態様においては、前記眼科 用組成物が、コンタクトレンズ用液剤として、用いられることとなる。
発明の効果
[0016] ここで、本発明に従う眼科用組成物における、先述した第一及び第二の態様によ れば、ァスパラギン酸ゃグノレタミン酸の如き酸性アミノ酸力 アミド結合乃至はぺプチ ド結合により、線状に重合したポリアミノ酸が含有せしめられているところから、ヒアル ロン酸等の多糖類を使用する場合に比して、より一層優れた水分保持性が実現され ることとなる。そして、これによつて、角膜上における滞留時間が長くなり、潤い効果に より、眼の乾燥感をより一層長時間に亘つて有利に解消することが出来るようになるの である。
[0017] また、ポリアスパラギン酸 (塩)やポリグルタミン酸(塩)等のポリアミノ酸は、ヒアノレロン 酸ナトリウム等と比べると安価であることから、製品コストの低廉化も実現することが出 来るのである。
[0018] カロえて、上述せる如きポリアミノ酸は、ァニオン性の高分子であり、水系媒体中にお いてマイナスチャージを帯びるところから、カチオンの状態で存在してプラスチャージ
を帯びているタンパク質を、引き寄せるといった作用をも奏する。これにより、コンタク トレンズ(特に、マイナスチャージを有するイオン性コンタクトレンズ)へのタンパク質の 付着が、効果的に抑制されることとなる。更に、コンタ外レンズ表面に付着した眼脂 汚れも除去され得るようになる。
[0019] なお、本発明の眼科用組成物の第三の態様によれば、上記したポリアミノ酸による 効果が有効に発揮せしめられる。
[0020] また、本発明に従う眼科用組成物の第四の態様によれば、眼刺激を惹起し難い成 分が更に添加されることから、安全性がより一層高度に確保される。また、かかる成分 の界面活性作用によって、脂質可溶化能が向上し、眼脂に対する洗浄効果も有利に 発現されるようになる。
[0021] カロえて、本発明の第五の態様においては、含有せしめる成分に応じた更なる機能 、眼科用組成物に付与されることとなる。
[0022] また、本発明に従う眼科用組成物の第六及び第七の態様に従って、点眼液、特に コンタ外レンズ用点眼液として点眼を実施すれば、優れた保水力によって、角膜上 での滞留時間が効果的に長くなり、眼が長時間に亘つて潤うようになる。
[0023] さらに、本発明に従う眼科用組成物の第八の態様に従って、コンタクトレンズ用液 剤として使用し、そして、力かるコンタクトレンズ用液剤がレンズ表面に付着した状態 で、コンタクトレンズを装用すれば、上述せる如き効果が有利に発現されることとなる 図面の簡単な説明
[0024] [図 1]実施例において、水分保持性試験を行なって得られた結果を示すグラフである 発明を実施するための最良の形態
[0025] ところで、力かる本発明に従う眼科用組成物は、水系媒体を主体とし、その中に、必 須の成分として、酸性アミノ酸の線状高分子物であるポリアミノ酸が含有せしめられて レ、るところに、大きな特徴を有している。
[0026] ここにおいて、上記したポリアミノ酸は、ァスパラギン酸、ポリグルタミン酸の如き酸性 アミノ酸力 アミド結合乃至はペプチド結合 (一 C〇一 NH—)により、線状に結合した重
合物であり、このようなポリアミノ酸が添加、配合されることによって、眼科用組成物の 保水性が顕著に高められるようになるのである。その結果、かかる眼科用組成物を眼 に適用すると、角膜上において、水分が滞留し易くなつて眼が潤い、眼の乾燥感をよ り一層長時間に亘つて効果的に緩和することが出来るのである。また、力、かるポリアミ ノ酸は重合物であるところから、コンタクトレンズ材質に取り込まれ難ぐ眼刺激の発 生も有利に防止され、安全性にも優れたものとなっている。因みに、単量体の酸性ァ ミノ酸は、低分子であるところから、コンタクトレンズに取り込まれ易ぐポリアミノ酸に 比して眼刺激を惹起し易いと共に、 目的とする水分保持力を殆んど有していない。
[0027] さらに、上述せる如きポリアミノ酸は、ァニオン性を実現する官能基、即ちカルボキ シノレ基を有しているところから、水系媒体中においてマイナスチャージを帯びる。そ れ故、力かるポリアミノ酸は、涙液中においてプラスチャージを帯びているタンパク質 を、引き寄せて包み込み、コンタクトレンズ(特に、マイナスチャージを有するイオン性 コンタクトレンズ)へのタンパク質の付着を、抑制するといつた利点もある。し力も、ポリ アミノ酸は、ヒアルロン酸ナトリウム等に比べると安価であることから、低廉な製品コスト を実現することが出来る。
[0028] なお、ポリアミノ酸の具体例としては、例えば、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸 、及びそれらの塩等を挙げることが出来る。また、ここで、ポリアスパラギン酸ゃポリグ ルタミン酸の塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等の金属塩を例 示することが出来る。
[0029] そして、本発明においては、上記したポリアミノ酸の 1種若しくは 2種以上力 適宜に 選択されて用いられることとなるのである力 それらの中でも、ァスパラギン酸の重合 物であるポリアスパラギン酸及びその塩にあっては、より一層優れた水分保持力を実 現するところから、好適に採用されることとなる。なお、ァスパラギン酸は、ァスパラガ スゃ大豆等の植物性タンパク質に多く含まれ、皮膚のターンオーバー、疲労回復、 体内の老廃物処理等の重要な役割を果たすアミノ酸であり、旨味成分としても知られ ている。そして、本発明において好適に用いられるポリアスパラギン酸は、そのような ァスパラギン酸力 S、頭一尾結合(head-to_tail linkage)で重合した線状の一次元高分 子である。ここで、そのようなポリアスパラギン酸塩である、ポリアスパラギン酸ナトリウ
ムの構造式の具体的な一例を、下記一般式 (I)として示すこととする。なお、このよう なポリアスパラギン酸塩としては、分子量が約 3000— 5000のものが市販されており 、本発明においても、そのような市販品を有利に用いることが出来る。
[化 1]
[但し、 m 及び n は、正の整数である。 ]
[0031] また、上記ポリアミノ酸の含有量にあっては、適宜に設定されるものの、その含有量 が少なくなり過ぎると、 目的とする保水効果 (保湿効果)が充分に得られなくなる一方 、余りにも多くなり過ぎると、眼刺激が惹起されたり等して、眼に対する安全性の問題 が発生することが懸念されるところから、眼科用組成物中に、好ましくは 0. 001— 10 w/w% (重量%)、更に好ましくは 0. 01— 5w/w%程度の範囲で含有されることが 望ましい。
[0032] ところで、本発明に従う眼科用組成物においては、前記したポリアミノ酸に加えて、 更に、界面活性能を有する成分 (界面活性物質)であるヒドロキシプロピルメチルセル ロース (HPMC)や非イオン性界面活性剤が、好適に含有せしめられることとなる。そ して、そのような界面活性物質の少なくとも 1種以上を含有せしめると、その界面活性 作用により、眼科用組成物の脂質可溶化能が効果的に高められ、その結果、眼脂に 対する洗浄効果が付与される。なお、力、かる界面活性物質としては、生体への安全 性が高ぐ尚且つ眼科的に許容され、し力、もコンタクトレンズの形状や物性に対して 影響のないものであれば、何れも有利に用いられるものである。
[0033] また、上述せる如き界面活性物質の中でも、 HPMCを用いる場合には、上記界面 活性作用に加え、粘稠化作用が発揮せしめられる。このため、眼科用組成物の保湿 性が更に向上され、より一層優れた使用感が得られるようになる。また、 HPMCの含 有量としては、適宜に設定され得るものの、 0. 05- 1. 5w/w%、好ましくは 0. 07 一 1. 0w/w%であることが望ましい。何故なら、 0. 05w/w%未満の場合は、添加
による効果が充分に得られなくなるからであり、また、 1. 5w/wを超える場合は、眼 科用組成物の粘度が高くなり過ぎて、眼に適用した際の使用感を悪くしたり、 HPMC の界面活性効果により涙液層を乱してしまうといった問題を生じる恐れがあるからで ある。
[0034] 一方、非イオン性界面活性剤を用いる場合、非イオン性界面活性剤としては、従来 力 周知のものが採用され得るのであるが、眼に対する影響が少なぐより一層安全 であるという理由から、高分子の非イオン性界面活性剤を用いることが、より望ましレヽ 。そして、力かる非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシェチレ ン一ポリオキシプロピレンブロックコポリマー及びその誘導体や、チロキサポールの如 きポリオキシエチレンアルキルフエニルエーテルホルムアルデヒド縮合物等のポリェ チレングリコール誘導体、ポリオキシエチレンソルビタンモノォレート(ポリソノレべート 8 0)等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート)、セスキォレイ ン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル、モノォレイン酸ポリオキシエチレンソ ルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、モノステアリン酸グリセリ ル等のグリセリン脂肪酸エステル、モノステアリン酸ポリエチレングリコール等のポリェ チレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキ シエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸 及びその塩等が、有利に用いられることとなる。また、それらの中でも、特に、非ィォ ン性界面活性剤として市販されている、ポリオキシエチレン一ポリオキシプロピレンブ ロックコポリマーであるプル口ニック、プル口ニック R、テトロニック、テトロニック R (以上 、独国: BASF社製)、具体的には、ポロクサマー 124、ポロクサマー 188、ポロクサマ 一 237、ポロクサマー 338、ポロクサマー 407、テ卜ロニック 904、テ卜ロニック 908、テ トロニック 1304、テトロニック 1107や、ポリオキシエチレンソルビタンモノォレートたる ポリソノレべート 80、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油等を用いること力 望ましい
[0035] また、非イオン性界面活性剤の含有量としては、適宜に設定され得るものの、一般 に、 0. 05-1. 0w/w%、好ましくは 0. 1-0. 5w/w%であることが望ましレヽ。そ
の理由は、 0. 05w/w%未満の場合には、添加による効果が充分に得られなくなる からであり、また、 1. Ow/w%を超える場合は、眼刺激を発生させたり、コンタクトレ ンズに悪影響を及ぼすといった問題が惹起される恐れがあるからである。
[0036] カロえて、本発明に従う眼科用組成物においては、上述の如き成分の他にも、更に 必要に応じて、従来より眼科用組成物に用いられている各種の添加成分のうちの 1 種乃至は 2種以上が、適宜に選択されて、通常の添加割合において添加せしめられ ていても、何等差し支えなレ、。なお、そのような添加成分は、生体への安全性が高ぐ 尚且つ眼科的に充分に許容され、し力 コンタクトレンズの形状又は物性に対する影 響のないものであることが好ましぐまた、そういった要件を満たす量的範囲内で用い られることが望ましいのであり、これによつて、本発明の効果を何等阻害することなぐ その添加成分に応じた各種の機能を眼科用組成物に対して有利に付与することが 出来る。
[0037] そして、例えば、本発明に従う眼科用組成物にあっては、上記した HPMC等を添 加することによって、眼科用組成物の粘度調整を行なうことが出来るものの、眼科用 組成物の粘度を調整するために、それ以外の粘稠化剤(増粘剤)を更に添加せしめ ることが可能である。なお、そのような粘稠化剤としては、例えば、コンドロイチン硫酸 、ヒアルロン酸、グノレコン酸及びそれらの塩等の多糖類、ムコ多糖類、ヘテロ多糖類 等の種々のガム類;ポリビニルアルコール、ポリ _N_ビエルピロリドン、ポリエチレング リコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド等の合成有機高分子化合物;ヒ ドロキシェチノレセノレロース、カノレボキシメチノレセノレロース、メチノレセノレロース等のセノレ ロース誘導体;スターチ誘導体等を挙げることが出来る。
[0038] また、本発明の眼科用組成物において、眼やコンタクトレンズに対する消毒効果乃 至は殺菌効果、更には、眼科用組成物の防腐'保存効果を有利に発現させるために は、防腐効力乃至は殺菌効力を有する防腐剤や殺菌剤が添加せしめられる。なお、 そのような防腐剤や殺菌剤としては、一般に、防腐乃至は殺菌効力と共に、眼ゃコン タクトレンズへの適合性に優れたもの、更には、アレルギー等の障害の要因となり難 レ、ものが望ましぐ公知の各種のものの中から、適宜なものが選定されて、単独で或 いは複数を組み合わせて用いることが出来る。
[0039] ここで、防腐剤としては、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸或いは その塩、パラォキシ安息香酸ェチル、パラォキシ安息香酸プチル、ノ ォキシ安息 香酸プロピル、パラォキシ安息香酸メチル、クロロブタノール、過ホウ酸或いは過ホウ 酸ナトリウムのような過ホウ酸塩等が挙げられる。一方、殺菌剤としては、例えば、ポリ へキサメチレンビグアニド(PHMB)等のビグアニド系殺菌剤ゃポリクオタニゥム等の 4級アンモニゥム塩系殺菌剤等を挙げることが出来る。なお、このような防腐剤や殺菌 剤を用いない場合には、特に、本発明に従う眼科用組成物を、 1回で使い切るシング ルドーズタイプとして用いたり、特開 2002—80055号公報に開示されている如きフィ ルター付き吐出容器を使用するマルチドーズタイプとして用いることも可能である。
[0040] さらに、眼科用組成物にあっては、その pH値が大きくなり過ぎても、逆に小さくなり 過ぎても、眼に対して刺激を与えたり、眼障害を招来する恐れがあるところから、通常 、そのような眼科用組成物の pH値は、適当な pH調整剤や pH緩衝剤等の添加によ つて、 5. 3-8. 5程度、中でも 7. 0付近に調整されることが望ましい。なお、そのよう な pHの調整のために用いられる pH調整剤としては、水酸化ナトリウムや塩酸等が利 用される一方、眼科用組成物の pHを前記した範囲に有効に且つ眼に対して安全な 範囲に保っための pH緩衝剤としては、従来から公知の各種のものの中から、適宜に 選択されて、用いられることとなる。具体的には、例えば、リン酸、ホウ酸、カルボン酸 、ォキシカルボン酸等の酸や、その塩 (例えば、ナトリウム塩等)、更には Good— Buff erやトリス(ヒドロキシメチル)ァミノメタン(TRIS)、ビス(2—ヒドロキシェチル)イミノトリ ス(ヒドロキシメチル)メタン (Bis— Tris)、炭酸水素ナトリウム等を、眼に対して安全で あり、し力もコンタクトレンズに対する影響を少なくすることが出来るという理由から、挙 げ'ること力 S出来る。
[0041] 加えて、コンタクトレンズ、特にソフトコンタクトレンズには、一般に、涙液からの汚れ として、カルシウム等が沈着乃至は吸着する可能性があることから、そのようなカルシ ゥム等の沈着乃至は吸着を防止するべぐ眼科用組成物には、キレートイ匕剤も、また 、有利に添加せしめられることとなる。そのようなキレートイ匕剤としては、例えば、ェチ レンジアミン四酢酸(EDTA)及びその塩、例えばエチレンジァミン四酢酸 · 2ナトリウ ム(EDTA.2Na)、エチレンジァミン四酢酸 · 3ナトリウム(EDTA.3Na)等が挙げら
れる。
[0042] また、点眼時に爽快感を与えたり、コンタクトレンズ装用時の異物感ゃ痒みを解消 すること等を目的として、メントール、ボルネオール、カンフル、ゲラニオール、ユー力 リ油、ベルガモット油、ウイキヨゥ油、ハツ力油、ローズ油、クールミント等の清涼化剤を 添加せしめることも、可能である。
[0043] さらに、本発明に従う眼科用組成物にあっては、その浸透圧が大きくなり過ぎても、 逆に小さくなり過ぎても、眼に対して刺激を与えたり、眼障害を招来する恐れがあると ころから、通常、眼科用組成物の浸透圧は、浸透圧調整剤等を添加せしめることによ つて、 200— 450mOsmZkg程度に調整されていること力 望ましい。なお、かかる 浸透圧の調整に用いられる浸透圧調整剤としては、一般に、塩化ナトリウム、塩化力 リウム、糖類、糖アルコール、及び多価アルコール若しくはそのエーテル又はそのェ ステルからなる群より選ばれた少なくとも 1種以上の化合物力 用いられることとなる。
[0044] この他にも、本発明に従う眼科用組成物には、ストレスやコンタクトレンズの装用等 に起因する眼内の炎症を抑えるために、グリチルリチン酸及びその塩、 ε —アミノカプ ロン酸、アラントイン、ァズレンスルホン酸ナトリウム等の消炎剤や、眼球中の強膜血 管に作用し、眼の充血を解消すると共に、眼精疲労の回復に効果があるとされる、硝 酸ナファゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン等の血管収縮剤、ビタミン Α類 (パルミチン酸レ チノ一ノレ、 一カロチン等を含む)、ビタミン B 、B 、B 、酢酸 d— α—トコフェローノレ
2 6 12
等のビタミン Ε類、パンテノール等のビタミン類、ァスパラギン酸及びその塩、アミノエ チルスルホン酸、アルギニン、ァラニン、リジン、グルタミン酸等のアミノ酸類等、各種 添加成分を、 目的とする眼科用組成物の用途に応じて、適宜、添加することが可能 である。
[0045] ところで、力かる本発明に従う眼科用組成物は、上述の如き成分を、従来と同様に 、適当な水系媒体中にそれぞれ適量において添加、含有せしめることにより、調製さ れることとなるのである力 それに際して用いられる水系媒体としては、水道水や精製 水、蒸留水等の水そのものの他にも、水を主体とする溶液であれば、生体への安全 性が高ぐ尚且つ眼科的に充分に許容され得るものである限り、何れも利用すること が可能であることは、言うまでもないところである。
[0046] また、上述の如き成分を含有せしめてなる、本発明に従う眼科用組成物を調製する にあたっては、何等特殊な方法を必要とせず、通常の水溶液を調製する場合と同様 に、水系媒体中に各成分を溶解させることにより、容易に得ることが出来るものである
[0047] そして、以上のようにして得られる本発明に従う眼科用組成物は、眼に対する安全 性に優れ、また、コンタクトレンズの形状又は物性に悪影響を与えるものではないこと から、点眼液、特にコンタクトレンズ用点眼液として、或いはコンタクトレンズ用液剤と して、有利に用いられるのである。
[0048] 例えば、本発明に従う眼科用組成物を、点眼液として用いる場合には、従来から公 知の点眼液乃至は点眼薬と同様に、適量を点眼せしめれば良い。そして、本発明に 従う眼科用組成物が眼に投与されると、その保水効果が発揮されて眼の潤いが持続 し、眼の不快感、特に乾燥感がより一層効果的に低減されるのである。また、乾燥感 の低減の他にも、眼の疲れが低減されたり、 目ャ二が多い場合には、眼のカスミも低 減され得て、優れた使用感が得られる。加えて、本発明に従う眼科用組成物は、コン タクトレンズに対して、何等悪影響を及ぼすものではなぐ点眼に際しては、コンタクト レンズの装用の有無が何等問われることはないのである。特に、コンタクトレンズ装用 時に点眼すれば、コンタクトレンズの存在によって、水分がより一層保持され易くなつ て、乾燥感の低減効果がより一層持続する。また、コンタクトレンズへのタンパク質の 付着が抑制されたり、コンタクトレンズ表面に付着した眼脂汚れが除去されるといった 効果も享受され得る。
[0049] また、本発明に従う眼科用組成物を、コンタクトレンズ用液剤として用いる場合には 、例えば、力、かる眼科用組成物にてコンタクトレンズの洗浄乃至は濯ぎを行なレ、、そ の後、そのコンタクトレンズの表面に眼科用組成物が付着した状態で、コンタクトレン ズを装用したり、或いは、力かる眼科用組成物中にコンタクトレンズを一定時間浸漬 して保存せしめた後、そのコンタクトレンズを取り出し、そのまま装用するようにすれば 良い。このように使用すれば、本発明に従う眼科用組成物による効果が有利に発揮 されるのである。
[0050] なお、上記したコンタクトレンズ用液剤としては、単一の用途を目的とする、コンタク
トレンズ用洗浄液、コンタクトレンズ用濯ぎ液、コンタクトレンズ保存液等の他、洗浄、 濯ぎ、殺菌及び保存等のうちの 2つ以上の用途を目的とする、マルチパーパスソリュ ーシヨン等、従来からコンタクトレンズのケアに用いられている公知の液剤を、何れも 挙げることが出来、その用途は、何等限定されるものではない。
[0051] また、本発明に従う眼科用組成物を、コンタクトレンズ用点眼液や、コンタクトレンズ 用液剤として用いた際に、その対象となるコンタクトレンズとしては、その種類が何等 限定されるものではなぐ例えば、非含水、低含水、高含水等の全てに分類されるソ フトコンタクトレンズ、及びハードコンタクトレンズがその対象となり得るのであって、コ ンタクトレンズの材質等力 S、本発明の適用に際して何等問われることはない。
実施例
[0052] 以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが 、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないこと は、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には 上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知 識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解される べきである。
[0053] 先ず、滅菌精製水に対して、所定の添加成分を、下記表 1一 10に示される各種割 合において、それぞれ添加せしめることにより、浸透圧が 290mOsm/kg程度とされ た実施例 1一 50及び比較例 1一 21に係る各種眼科用組成物 (液剤試料)を、それぞ れ調製した。なお、実施例 1一 22及び 35— 42に係る各眼科用組成物は、その用途 として、点眼液を想定して、また、実施例 23— 34及び 43— 50に係る各眼科用組成 物は、マルチパーパスソリューションでの利用を想定して、各種添加成分を配合した 。また、力、かる眼科用組成物の調製に際しては、酸性アミノ酸の線状高分子であるポ リアミノ酸として、ポリアスパラギン酸ナトリウム(分子量:約 3000 5000、味の素株 式会社製アクアデユウ SPA— 30)、又はポリグノレタミン酸ナトリウム(分子量:約 5000 一 5000000)を用レ、た。更に、界面活性物質として、ヒドロキシプロピルメチルセル口 ース (信越化学工業 (株)製)、ポロクサマー 407 (BASF社製)、テトロニック 1107 (B ASF社製)、又はポリソルベート 80を用いた。その他、粘稠化剤としては、ヒドロキシ
ェチルセルロースを、キレートイ匕剤としては、ェデト酸ナトリウムを、 pH緩衝剤としては 、ホウ酸及びホウ砂、又はトリス(ヒドロキシメチル)ァミノメタン(トロメタモール:シグマ' アルドリッチ社製)を、防腐剤としては、ソルビン酸カリウムを、殺菌剤としては、 PHM Bを、等張化剤としては、プロピレングリコール、塩化ナトリウム及び塩ィ匕カリウムを、 p H調整剤としては、希塩酸又は水酸化ナトリウム水溶液を、更に、清涼化剤としては、 1一メントールを、それぞれ、適宜に用いた。また、比較のために、従来より保水性があ るとされてレ、る、ヒアルロン酸ナトリウム及びコンドロイチン硫酸ナトリウム、また、本発 明における必須構成成分のポリアミノ酸の単量体である、ァスパラギン酸ナトリウム及 びグノレタミン酸ナトリウムを、それぞれ、用意して、適宜に用いた。そして、得られた各 眼科用組成物について、 pHを測定し、得られた結果を下記表 1に示すと共に、後述 する不快感低減持続効果試験を行なった。更に、実施例 1 , 4及び比較例 1, 2, 4, 5, 12, 13に係る眼科用組成物については、後述する水分保持性試験を行なレ、、ま た、実施例 1, 4, 7, 15及び比較例 1 , 2, 6に係る眼科用組成物については、後述 するタンパク質付着抑制試験を更に行なった。
<不快感低減持続効果試験 >
酸素透過性ハードコンタクトレンズ装用者 10名、ソフトコンタクトレンズ装用者 10名 、及びコンタクトレンズを装用していない VDT(Visual Display Terminal )作業従事者 10名よりなる、合計 30名のボランティアに対して、以下の如き官能試験を行なった。 具体的には、ボランティアに対して、 1ヶ月の連続した試験期間中に、 1回当たり 1—3 滴の眼科用組成物を 1日に 3— 6回の頻度にて点眼し、ボランティア自らが試験期間 中の各眼科用組成物による不快感の低減効果を評価し、それぞれの眼科用組成物 に対する評価を集計した。そして、その集計した結果を、下記の基準にて判定し、得 られた判定結果を、下記表 1一 10に示した。
◎:コンタクトレンズ装用時や VDT作業による乾燥感が顕著に軽減され、且つその 軽減効果が持続したと回答した人の割合が 70%以上の場合。
〇:コンタクトレンズ装用時や VDT作業による乾燥感が顕著に軽減され、且つその 軽減効果が持続したと回答した人の割合が 50%以上 70%未満の場合。
△:コンタクトレンズ装用時や VDT作業による乾燥感が顕著に軽減され、且つその
軽減効果が持続したと回答した人の割合が 30%以上 50%未満の場合。
X:コンタクトレンズ装用時や VDT作業による乾燥感が顕著に軽減され、且つその 軽減効果が持続したと回答した人の割合が 30%未満の場合。
[表 1]
q.s. 100 quantum sufficit 100 (全体量を 100w/w こするのに充分な量)
[表 2]
実施例
点眼液
7 8 9 10 1 1 12 13 14 ホ。リアス Aラキ'ン酸ナトリウム 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 ホ°口クサマー 407 0.2 ― ― 0.2 0.2 ― 0.2 ― 亍トロニック 1 107 ― 0.2 ― ― ― 0.2 ― 0.2 ホ。リソルへ'—ト ― ― 0.25 ― ― ― ― ― 配 プロヒ 'レンク'リコ—ル ― ― ― 0.5 ― ― ― ― 口
ヒト'口キシフ '口ピルメチルセル口—ス 0.15 0.15 0.15 0.15 ―
割 ― ― ― 口 ヒト'ロキシ Iチルセルロース ― ― ― 0.15 0.15 ― ― ェ亍'ト酸ナトリウム 005 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 ホウ酸 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5
%
ホウ砂 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 ソルビン酸カリウム 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 塩化ナトリウム 0.275 0.275 0.275 0.085 0.275 0.275 0.275 0.275 塩化か Jゥム 0.055 0.055 0.055 0.017 0.055 0.055 0.055 0.055 滅菌精製水 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 pH 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 不快感低減持続効果 ◎ ◎ © ◎ ◎ © ◎ ◎ q.s. 100 : quantum sufficit 100 (全体量を 100w/w%にするのに充分な量) 3]
q.s. 100 : quantum sufficit 100 (全体置を 100w/w%にするのに充分な量)
[0058] [表 4] ]\ミミ 実施例
MPS
23 24 25 26 27 28 ホ 'リアスハ'ラキ'ン酸ナトリウム 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 ホ°口クサマ一 407 0.2 ― ― 0.2 0.2 ― 亍トロニック 1 107 ― 0.2 ― ― ― 0.2 ホ。リソルへ'ート ― ― 0.2 ― ― ― 配 フ°ロヒ。レンゲリコール ― ― ― 0.5 1 ― 口
ヒト'口キシブ口ピルメチルセル口-ス 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 ― 割
口 ヒト"ロキシェチルセルロース ― ― ― ― ― 0.15 ェテ'ト酸ナトリウム 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 トロメタモ―ル 0.25 0.25 0.25 0.25 0.25 0.25
% PHMB 0.0001 0.0001 0.0001 0.0001 0.0001 0.0001 塩化ナトリウム 0.5 0.5 0.5 0.25 ― 0.5 塩化 リウム 0.1 0.1 0.1 0.1 ― 0.1 希塩酸又は NaOH水溶液 適置 適里 適夏 適量 適量 適量 滅菌精製水 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100
pH 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 不快感低減持続効果 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ q.s. 100 : quantum sufficit 100 (全体量を 100w/w%にするのに充分な量)
[0059] [表 5] o
実施例
MPS
29 30 31 32 33 34 ホ 'リゲルタミン酸ナトリウム 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 ホ。口クサマー 407 0.2 ― ― 0.2 0.2 ― 亍トロニック 1 107 ― 0.2 ― ― ― 0.2 ホ。リソルへ ト ― ― 0.2 ― ― ― 配 プロピレンク'リコール ― ― 0.5 1 ― ヒドロキシフ '口ピルメチルセル口一ス 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 ― 割
口 ヒドロキシ: Lチルセルロース ― ― ― ― 0.15 0.15
W ェ亍ト酸ニナトリウム 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05
/
W トロメタモ一ル 0.25 0.25 0.25 0.25 0.25 0.25
%
PHMB 0.0001 0.0001 0.0001 0.0001 0.0001 0.0001 塩化ナトリウム 0.5 0.5 0.5 0.25 ― 0.5 塩化か ム 0.1 0.1 0.1 0.1 ― 0.1 希塩酸又は NaOH水溶液 適量 適 I ill量 適 S 適量 適量 滅菌精製水 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 pH 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 不快感低減持続効果 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ q.s. 100 quantum sufficit 100 (全体量を 100w/w%にするのに充分な量)
o
6]
実施例
点眼液 (清涼化剤含有系)
35 36 37 38 39 40 41 42 ホ。リアス A°ラキ'ン酸ナトリウム 0.5 0.5 0.5 0.5 ― ― ― ― ホ'リク'ルタミン酸ナトリウム ― ― ― ― 0.5 0.5 0.5 0.5 ホ°口クサマー 407 0.2 ― ― 0.2 0.2 ― ― 0.2 亍トロニック 1 107 ― 0.2 ― ― ― 0.2 ― ― ホ'リソルへ ト ― ― 0.2 ―
配 ― ― 0.2 ― 口 プロヒ°レンク'リコール ― ― ― 0.5 ― ― ― 0.5 割 ヒト'口キシブ口ピルメチルセル口—ス 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 口
ェテ'ト酸ニナトリウム 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05
W
Z ホウ酸 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 w
% ホウ砂 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 ソルビン酸カリウム 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 卜メントール 0.005 0.005 0.005 0.005 0.005 0.005 0.005 0.005 塩化ナトリウム 0.275 0.275 0.275 0.085 0.275 0.275 0.275 0.085 塩化か Jゥム 0.055 0.055 0.055 0.017 0.055 0.055 0.055 0.017 滅菌精製水 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 pH 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 不快感低減持続効果 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ q.s. 100 : quantum sufficit 100 (全体量を 100w/w こするのに充分な量)
7]
実施例
MPS (清涼化剤含有系)
43 44 45 46 47 48 49 50 ホ 'リアス/ ラキ'ン酸ナトリウム 0.1 0.1 0.1 0.1 ― ― ― ― ホ 'リク'ルタミン酸ナトリウム ― ― ― ― 0.1 0.1 0.1 0.1 ホ '口クサマ- 407 0.5 ― ― 0.5 0.5 ― ― ― 亍トロニック 1 107 ― 0.5 ― ― ― 0.5 ― ― ホ 'リソルへ ト ―
配 ― 0.2 ― ― ― 0.2 ― 口 プロピレンク'リコ—ル ― ― ― 1 ― ― ― 1 割 ヒト'口キシフ '口ビルメチルセル口-ス 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 口
Iテ'ト酸ニナトリウム 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05
W
/ トロメタモ―ル 0.25 0.25 0.25 0.25 0.25 0.25 0.25 0.25
W
% PHMB 0.0001 0.0001 0.0001 0.0001 0.0001 0.0001 0.0001 0.0001 卜メントール 0.005 0.005 0.005 0.005 0.005 0.005 0.005 0.005 塩化ナトリウム 0.5 0.5 0.5 ― 0.5 0.5 0.5 ― 塩化 リウム 0.1 0.1 0.1 ― 0.1 0.1 0.1 ― 希塩酸又は NaOH水溶液 3li量 夏 ) m 適量 適里 M ill量 適量 滅菌精製水 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 pH 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 不快感低減持続効果 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ © q.s. 100 : quantum sufficit 100 (全体量を 100w/w%にするのに充分な量)
[0062] [表 8] o
q.s. 100 : quantum sufficit 100 (全体量を 100w/w こするのに充分な量)
[0063] [表 9]
比較例
6 7 8 9 10 1 1 12 13 ホ。口クサマ- 407 0.5 ― ― ― 0.5 0.5 ― ― 亍トロニック 1 107 ― 0.5 ― ― ― ― ― ― ホ。リソルへ'—ト ― ― 0.25 ― ― ― ― ― プロピレンゲリコール ― ― ― 0.5 ― ― ― ― 配 ヒト'ロキシプロピルメチルセル口—ス 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 口
ァス Λ'ラキ'ン酸ナトリウム ― ― ― ― 0.5 ― 0.5 ― 割
ク'ルタミン酸ナトリウム ― ― ― ― 0.5 ― 0.5
W ェデト酸ニナトリウム 0 05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05
/
W ホウ酸 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5
%
ホウ砂 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 ソルビン酸か Jゥム 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 0.15 塩化ナトリウム 0.275 0.275 0.275 0.085 ― ― ― ― 塩化 ί)リウム 0.055 0.055 0.055 0.055 0.055 0.055 0.055 0.055 滅菌精製水 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 q.s. 100 pH 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 7.00 不快感低減持続効果 厶 厶 厶 X Δ X 厶 X q.s. 100 quantum sufficit 100 (全体置を 100w/w%にするのに充分な量) 表 10]
o
q.s. 100 quantum sufficit 100 (全体量を 100w/w%にするのに充分な量)
[0065] 力かる表 1一 10の結果から明らかなように、ポリアスパラギン酸ナトリウム若しくはポ リグルタミン酸ナトリウムを含有する実施例 1一 50に係る眼科用組成物にあっては、そ れらを含有しなレ、比較例 1一 21に係る眼科用組成物よりも、不快感を低減させる効 果が高くなつていることが、認められる。例えば、ヒアルロン酸ナトリウムを含有する比 較例 4に係る眼科用組成物と比較しても、実施例 1一 50に係る眼科用組成物の方が 、不快感を低減させる効果がより高くなつている。また、単量体である、ァスパラギン 酸ナトリウムやグルタミン酸ナトリウムを含有する比較例 12, 13に係る眼科用組成物 には、不快感を低減させる効果は殆んどなぐ不快感が解消されなレ、。従って、単量 体よりも、ポリアスパラギン酸ナトリウムやポリグルタミン酸ナトリウムを含有する方が、 眼刺激がより少ないと言える。これは、酸性アミノ酸の高分子体とすることによって、角 膜細胞への浸透性が抑制されたことに因るものと推察される。
[0066] <水分保持性試験 >
予め、試験前に 105°Cで 3時間加熱して恒量とした、るつぼ(重量: W)を準備し、 2 5°C、 50%RHにおいて、該るつぼ中に、液剤試料を 3ml正確に秤取り、電子天秤に て秤量した (Wl)。このるつぼの蓋を開けたまま、 25°C、 35%RHの環境下にて 18 時間放置した後、るつぼの重量を 25°C、 50%RHの環境下で、電子天秤を用いて秤 量した (W2)。そして、下記の式を用いて、水分保持性 (水分保持率)を算出し、得ら れた結果を、下記表 11及び図 1に示した。
水分保持性(%) = [ (W2-W) / (Wl-W) ] X 100
[0067] [表 11]
力、かる表 11及び図 1より明ら力、なように、従来より保湿成分として使用されてきたヒア ルロン酸ナトリウムを含む比較例 4に係る眼科用組成物よりも、また、単量体であるァ スパラギン酸ナトリウムゃグノレタミン酸ナトリウムを含む比較例 12, 13に係る眼科用組 成物よりも、ポリアスパラギン酸ナトリウムやポリグルタミン酸ナトリウムを含む実施例 1
, 4に係る眼科用組成物の方力 極めて効果的に水分を保持していることが分かる。 これは、酸性アミノ酸の高分子体としたことにより、重合体と水分子との結合がより密 になったためであると推察される。
[0069] <タンパク質付着抑制試験 >
先ず、市販のコンタクトレンズ (ジョンソン 'エンド'ジョンソン社製ワンディアキュビュ 一; B.C. 9.00 I P -3.00 I Dia 14.2)を、約 100mlの生理食塩水に 1時間浸漬した後 、生理食塩水から取り出して、紙ワイパー(株式会社クレシァ製キムワイプ)で水を軽 く拭き取った。そして、そのコンタクトレンズを、各液剤試料の 10mlに、それぞれ、 5 枚ずつ、 15分間浸漬した。その後、液剤試料からコンタクトレンズを取り出し、紙ワイ パーで軽く水を切り、下記表 12に示される組成のタンパク質水溶液 (脂質を除いた F DA人工涙液の 2倍希釈液)の 10mlに浸漬した。スターラーで、コンタクトレンズの入 つたタンパク質水溶液を攪拌しながら、一定時間(20分後、 60分後、 120分後、 150 分後)毎に、 200 μ 1ずつ、液をサンプリングし、高速液体クロマトグラフィー分析を行 なって、液中のタンパク質量を、経時的に測定した。そして、 150分後のタンパク質量 から、コンタクトレンズ 1枚当たりに付着するタンパク質量を算出し、得られた結果を下 記表 13に示した。
[0070] [表 12]
[0071] [表 13]
タンパク質付着量 [mg/レンズ]
実施例 1 0.589
実施例 4 0.576
実施例 7 0.547
実施例 15 0.552
比較例 1 0.972
比較例 2 1.032
比較例 6 1.006 力、かる表 13の結果より明らかなように、ポリアスパラギン酸ナトリウムやポリグルタミン 酸ナトリウムを含んだ実施例 1 , 4, 7, 15に係る眼科用組成物は、ポリアミノ酸不含の 比較例 1 , 2, 6に係る眼科用組成物に比して、コンタクトレンズへのタンパク質の付着 が抑制されていること力 分かる。これは、ポリアスパラギン酸ナトリウムゃポリグノレタミ ン酸ナトリウムがァニオン性の高分子であるところから、これら力 カチオン性のタンパ ク質を効果的に包み込み、その結果、コンタクトレンズ表面への吸着に影響する正電 荷を相殺し、吸着が抑制されたものと推察される。