WO2005017151A1 - アポトーシスを誘導するip3受容体タンパク質の末端切断型変異体 - Google Patents

アポトーシスを誘導するip3受容体タンパク質の末端切断型変異体 Download PDF

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  • FIG. 2 shows the results of examining the change in intracellular Ca 2+ concentration with respect to ATP and TG in HeLa cells expressing each GFP-IP 3 R1 mutant.
  • the thin solid line is the Hel a cells not expressing the GFP-IP 3 R1 mutant (control), and a thick line, their respective GFP- IP 3 IU-N, GFP -IP 3 These are Hela cells expressing R1-D610, respectively.
  • the thin solid line is the He la cells not expressing the GFP-IP 3 R1 mutant (control), and a thick line, respectively GFP-IP 3 Rl-casp, GFP -
  • Figure 5 shows the results confirming the induction of cell death by GFP_IP 3 Rl-casp or GFP- IP 3 M- ES.
  • IP 3 receptors from any mammal from any mammal.
  • Was but connexion, for example in the human IP 3 receptor type 1 are shown in SEQ ID NO: 2 comprises a sequence of even without least of the 2,222 to 2,695, the protein does not include a sequence of at least the 596 to 2221 of, and this Proteins that are functionally equivalent to these also have an apoptosis-inducing action.
  • nucleic acid molecules encoding these proteins are also within the scope of the present invention.
  • nucleic acid molecule includes DNA and RNA.
  • Nucleic acid molecules with homology of 95%, more preferably 95% Nucleic acid molecules having homology to the above and nucleic acid molecules which hybridize under stringent conditions thereto are also included in the present invention.
  • hybridize under stringent conditions refers to, for example, hybridization under conditions in which the sodium concentration is 10 mM to 300 mM, preferably 37 to 65, and more preferably 42 ° C. Say.
  • Cell proliferative disease is a disease that is caused by the abnormal growth of a specific cell type. Yes, various tumors including skin T cell proliferative disease, vascular smooth muscle cell proliferative disease, osteoblast proliferative disease, intraocular cell proliferative disease, thyroid cell proliferative disease, etc., and rheumatoid arthritis (RA) etc. But are not limited to these.

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Abstract

本発明は、新規アポトーシス誘導薬に関する。該アポトーシス誘導薬により、細胞増殖性疾患の予防または治療が可能となる。 IP3受容体のチャネルドメインのみからなる変異体タンパク質を発現させることにより、該発現細胞においてアポトーシスを誘導する。該変異体タンパク質は、細胞の小胞体上に局在して小胞体内のカルシウムを細胞質へと流出させることにより、該細胞のアポトーシスを誘導する。

Description

明 細 書 アポトーシスを誘導する IP3受容体タンパク質の末端切断型変異体 技術分野
本発明は、 IP3受容体の C末端側に位置するチャネル形成ドメインのみを含む夕 ンパク質が、 アポトーシス誘導薬として作用することに関する。 したがって、 本 発明は、 該タンパク質による抗癌治療等の細胞増殖性疾患の治療にかかる分野に 属する。 背景技術 .
細胞膜上のレセプターの活性化に伴いホスファチジルイノシトール 4, 5-ビスホ スフェート(phosphat idyl inos i tol 4, 5_bispliosphate)が加水分解されると、 細 胞内セ力ンドメッセンジャーであるィノシトール 1, 4, 5 -三リン酸(inos i tol 1, 4, 5-t ri sphosphate (IP3) )が生成する。 IP3は IP3受容体(IP3R)に結合すること により、 細胞内カルシウム貯蔵オルガネラ (主に小胞体) からの Ca2+流出を誘導 する。 この IP3/Ca2+シグナル経路において、 IP3受容体は、 IP3のシグナルを Ca2+の シグナルへ変換する役割を担っている(1-3)。
IP3受容体は、 4量体の細胞内 IP3-誘導性 Ca2+放出チャネル (IP3- gated Ca2+ re lease channel) である(3, 4)。 哺乳動物では、 3種の異なる 3受容体が存在 する(5-7)。 IP3により誘発される IP3受容体チャネル開口の詳細な機序は未だ不 明であるが、 IP3結合が IP3受容体の何らかの立体構造変化を誘導することによつ て、 チャネルの開口が起こると考えられる(10)。 チャネルの開口以外にも、 IP3 - 誘導性の立体構造変化は、 3受容体の分解にも関与していると考えられる (13,
14)。
3受容体の活性化による細胞質 Ca2+濃度の増加によって、 多種多様な下流標的 分子の活性が制御される。 これら下流標的分子は、 受精、 発生、 増殖、 分泌、 シ ナプス可塑性など多岐に渡る細胞応答において重要な役割を担っている U - 2,
15) このような多岐に渡る細胞機能を制御するために、 Ca2+シグナルは、 空間、 時間、 および濃度の点で厳密に制御される必要がある(2, 15)。 このような Ca2+ シグナルの複雑な制御は、 IP3受容体ァイソフォームの発現の多様性、 IP3受容体 ァイソフォームのヘテロ 4量体の形成、 IP3受容体の細胞内分布、 ならびに Ca2+自 体、 ATPおよびリン酸化による IP3受容体の制御によって部分的に担われている (3-4, 16)。 IP3受容体チャネルはまた、 カルモジュリン (18, 19)、 FKBP 12 (20- 22、 23-24)、 カルシニューリン(21、 25、 23-24)、 アンキリン(26-28)、 ひ- 1 受 容体(28)、 クロモグラニン Aおよび B (29-31)、 IRAG (32)、 Fyn (33)ならびに BANK (34)などの該チヤネルと相互作用するタンパク質によっても制御される(4, 17) さらに、 CaBPと呼ばれるファミリーが、 Ca2+依存的に IP3受容体と結合し、 IP3非 存在下で IP3受容体を直接活性化することが示された(35)。 IP3受容体はまた、 夕 ンパク質-夕ンパク質間相互作用によってその上流または下流のシグナル分子に 物理的に会合していることが示されている。 例えば、 3受容体は、 Homerフアミ リータンパク質を介して代謝型グルタミン酸受容体グループ 1 (mGluRs)と結合し (36)、 また、 未知の機序によって B2ブラジキニン受容体(B2Rs)と結合している (37)。 mGluRsや B2Rsの活性化によって、 IP3受容体に近接した位置で IP3が産生さ れ、 効率的かつ特異的にシグナルが伝播される。
このように、 IP3分子は、 様々な細胞機能を制御する重要なセカンドメッセン ジャーであり、 その細胞内の濃度は時間空間的に制御された形で変化していると 考えられる。
上述の制御ドメインの C末端側近傍にはカスパーゼ 3特異的切断部位が存在する。 カスパーゼ 3により該切断部位で切断されると、 IP3受容体のチャネルドメインの みを含むタンパク質が生じる。 カスパーゼ 3により IP3受容体が切断されると細胞 のアポトーシスが起こることが、 種々の培養細胞系において示されている (38) 。
しかし、 カスパーゼ 3により切断された IP3受容体が、 カルシウムの細胞内ブー ルに対してどのような作用をするのかは不明である。
細胞質 Ca2+の局在パターンの変動がアポ卜一シスにどの様な影響を与えるのか ということは、 現在論争の的であり、 細胞種、 アポ卜一シス誘導の刺激、 細胞の 環境等、 種々の条件によって異なることが明らかにされている (2) 。 しかし、 3受容体がアポト一シスに関与していることを示唆する報告がある。 例えば、 Jurkat細胞におけるアンチセンス RNA法により IP3受容体の存在量を低下させた場 合 (39) 、 および DT40ニヮトリ B細胞において IP3受容体の遺伝子を欠失させた場 合 (40) 、 有意にアポトーシスが阻害されるとの報告がある。 IP3受容体タイプ 3 (IP3R3) は、 リンパ細胞のアポトーシスの際に選択的に増加し、 IP3R3アンチセ ンス RNAを発現させることによりアポトーシスが阻害されることも報告されてい る (41、 2) 。 Bd-XLは、 IP3R1および IP3R3をダウンレギュレートするが、 該ダ ゥンレギュレートは抗アポト一シス作用の一部であると考えられる (43) 。 した がって、 IP3受容体とそのカスパーゼ 3切断産物は、 条件によってはアポトーシス に必須のシグナル伝達を任っている可能性が高い。
しかしながら、 現時点で IP3受容体のカスパーゼ 3切断産物のアポトーシスに対 する影響を直接的に証明した例は報告されていない。
本発明は、 IP3受容体のチャネルドメインのみからなる変異体タンパク質によ つてアポトーシスを誘導し、 細胞増殖性疾患の治療等に有用な薬剤および方法を 提供する。 発明の開示
本発明者らは、 種々の長さの IP3受容体タイプ 1 (IP3R1) 変異体タンパク質を グリーン蛍光タンパク質 (GFP) で標識したものを作製し、 それぞれを細胞内で 発現させることにより、 IP3受容体のチャネルドメインのみからなるタンパク質 を発現させた場合、 そのチャネルが開いた状態となるか、 または少なくとも Ca2+ イオンの透過が可能な状態であることを見出した。
このことから、 IP3受容体のチャネルドメインのみからなるタンパク質を強制 発現させた細胞では、 小胞体 (ER) から細胞質へと Ca2+イオンが流出し、 アポト 一シスが誘導されることがわかった。
したがって、 上記チャネルドメインのみを含むタンパク質および該タンパク質 をコードする遺伝子は、 アポ卜一シス誘導薬として細胞増殖性疾患の治療に用い ることができる。
以上の知見より、 本発明は、 以下の態様:
1 . IP3受容体タンパク質のチャネルドメインを含み、 かつその制御ドメイン を機能しうる形で含まない IP3受容体変異体タンパク質;
2 . IP3受容体タンパク質が IP3受容体タイプ 1タンパク質である、 上記 1記載 のタンパク質;
3 . 以下の(a)または(b)のいずれかのタンパク質である、 上記 2記載のタンパ ク質;
(a) 配列番号 1に示すアミノ酸配列のうち、 少なくとも 2216〜2749位、 また は 2276〜2749位の配列を含み、 かつ少なくとも第 1〜1891位の配列は含まない夕 ンパク質
(b) 上記(a)に規定するタンパク質において、 1〜60個のアミノ酸が置換、 欠 失、 挿入または付加された配列を有するタンパク質であって、 哺乳動物細胞で発 現させた場合に小胞体内から細胞質への Ca2+の流出を誘導することができるタン パク質
4 . 以下の(a)または(b)のいずれかのタンパク質である、 上記 2記載のタンパ ク質;
(a) 配列番号 2に示すアミノ酸配列のうち、 少なくとも第 2222〜2695位の配 列を含み、 かつ少なくとも第 1〜2221位の配列は含まないタンパク質
(b) 上記(a)に規定するタンパク質において、 1〜60個のアミノ酸が置換、 欠 失、 挿入または付加された配列を有するタンパク質であって、 哺乳動物細胞で発 現させた場合に、 小胞体内から細胞質への Ca2+の流出を誘導することができる夕 ンパク質
5 . 上記 1〜4のいずれかに記載のタンパク質をコードする核酸分子;
6 . 上記 1〜4のいずれかに記載のタンパク質をコードする核酸分子と、 少な くとも 80 %の相同性を有する核酸分子、 またはこれらにストリンジェントな条件 下で八イブリダィズする核酸分子;
7 . 上記 1〜4のいずれかに記載の IP3受容体変異体タンパク質を、 対象とす る細胞に発現させることにより、 該細胞のアポトーシスを誘導する方法; 8 . 上記 1〜 4のいずれかに記載の IP3受容体変異体夕ンパク質を発現させた 細胞内で、 小胞体内の Ca2+濃度が減少することを特徴とする、 上記 7記載の方 法; 9 , 上記 5または 6記載の核酸分子を、 対象とする細胞に導入することにより 上記タンパク質を発現させる、 上記 7または 8記載の方法;
1 0 . 上記 1〜4のいずれかに記載のタンパク質を、 対象とする細胞で発現さ せる、 上記 7または 8記載の方法;
1 1 . 上記 5または 6記載の核酸分子を含む、 アポトーシス誘導薬;
1 2 . 上記 5または 6記載の核酸分子を、 対象とする細胞に導入することによ り上記タンパク質を発現させ、 該細胞の小胞体内の Ca2+濃度を減少させることを 特徴とする、 上記 1 0記載のアポ卜一シス誘導薬;
に関する。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願 2003- 293912号の明細書 および/または図面に記載される内容を包含する。 図面の簡単な説明
図 1は、 GFPタグを付したマウス IP3R1構築物の構造 (A) およびその発現産物 のサイズ (Bおよび C ) を示す。 A中、 LBDはリガンド結合ドメインを示す。 抗
I P3R 1モノクローナル抗体 18 A 10によって認識されるェピトープ部位は、 C末端部 分である。 Bおよび Cは、 HeLa細胞で各 GFP-IP3R1変異体を発現させ、 その細胞 溶解液を、 それぞれ抗体 18A10および抗 GFP抗体によるウェスタンプロット (5 % ゲル SDS- PAGE) に供した結果である。 レーン 1はコントロールベクター、 レーン 2は GFP- IP3M-Nの発現プラスミド、 レ一ン 3は GFP- IP3R1 - レーン 4は GFP -
IP3R1-D610, レーン 5は GFP- GFP-Rl_caspおよびレーン 6は GFP_IP3i _ESである。 ネイティブな IP3R1の位置を星印で示している (B ) 。
図 2は、 各 GFP-IP3R1変異体を発現させた He la細胞の ATPおよび TGに対する細胞 内 Ca2+濃度の変化を調べた結果である。 Aおよび B中、 細い実線は、 各 GFP- IP3R1 変異体を発現させていない Hel a細胞 (コントロール) であり、 太い実線は、 それ ぞれ GFP- IP3IU-N、 GFP-IP3R1-D610, をそれぞれに発現させた Hel a細胞である。 また、 Cおよび D中、 細い実線は、 各 GFP- IP3R1変異体を発現させていない He l a 細胞 (コントロール) であり、 太い実線は、 それぞれ GFP-IP3Rl-casp、 GFP -
IP3R卜 ESを低発現した細胞、 破線はそれぞれを高発現した細胞である。 発現レべ ルは、 470〜490nmで励起し GFPによる 510〜550nmの蛍光強度を指標に判断した。 GFPの蛍光画像 (左上のパネル) 中、 高発現細胞を棒付き矢印、 低発現細胞を矢 羽印で示している。 星印は GFP-IP3R1変異体の局在が正常でないか、 または凝集 しているものを示す。 Εは、 A〜Dの結果をグラフ化したものである。 同じ実験 を 4回繰り返して実施したが同様の結果が得られた。
図 3は、 各 GFP- P3R1変異体を発現させた HeLa細胞の TGに対する応答および続 いて細胞外 Ca2+濃度を上昇させた場合の Ca2+の流入を調べた結果を示す。 GFP - IP3R1_N、 GFP-P3RI-D6 IO , GFP-IP3Rl-casp , GFP- IP3R卜 ESをそれぞれ発現する HeLa細胞 (A〜D : Ca2+不含 BSS中) を 10分間 0. 3 Mの TGで処理し、 その後 TGを 含まない 2mMCa2+含有 BSSで処理した。 細い実線は GFP- IP3R1変異体を発現させてな い細胞 (コントロール) 、 太い実線は各 GFP-IP3M変異体を発現させたものを示 す。 それぞれ 12〜14個の細胞について観察された平均を示す。 同じ実験を 3回繰 り返し実施したが、 同様の結果が得られた。
図 4は、 各 GFP-IP3R1変異体を発現させた HeLa細胞の細胞外 Ca2+濃度の変化に 対する細胞質内への Ca2+の流入について調べた結果を示す。 細胞を 2mMCa2+含有 BSSから Ca2+不含 BSSに培地交換し、 さらにその 10分後に再度 2mMCa2+含有 BSSに培 地交換した。 その際の Fura-2による F340/380の蛍光変化を図に示している。 細い 実線は GFP-IP3R1変異体を発現させてない細胞 (コントロール) 、 太い実線は GFP- IP3R卜 N、 GFP-IP3RI-D6 IO, GFP- IP3R卜 casp、 GFP- IP3R1_ESをそれぞれ発現さ せた HeLa細胞 (A〜D ) を示す。 それぞれ 10〜14個の細胞について観察された平 均を示す。 同じ実験を 3回繰り返し実施したが、 同様の結果が得られた。
図 5は、 GFP_IP3Rl-caspまたは GFP- IP3M- ESによる細胞死の誘導を確認した結 果を示す。 GFP_IP3R卜 caspまたは GFP- IP3R1- ESを一過性発現させた HeLa細胞につ いて、 トランスフエクシヨン後 96時間における GFPの蛍光を発する細胞を計測し、 GFPのみを発現させたコントロ一ル HeLa細胞の生存率を 100%として細胞生存率を 算出した。 発明を実施するための形態
以下、 本発明を具体的に説明する。 IP3受容体は、 4量体の細胞内 IP3_誘導性 Ca2+放出チャネル (IP3- gated Ca2+ rel ease channe l ) である(3, 4)。 哺乳動物では、 3種の異なるサブタイプの IP3 受容体が存在する(5- 7)。 いずれのサブタイプも、 N末端近傍に IP3結合ドメイン、 C末端近傍に 6回膜貫通領域を有するチャネル形成ドメイン、 およびこれら 2つの ドメインの間に制御ドメインが存在する(10, 11)。
マウス IP3受容体タイプ 1 ( IP3R1) では、 配列番号 1に示すアミノ酸配列を有 する。 N末端側 (1〜610残基) がリガンド結合ドメインで、 C末端側 (2276〜2749 残基) がチャネル形成ドメインであり、 これらの間に制御ドメイン (611〜2275 残基) が存在する。 該タンパク質の 1891残基と 1892残基の間のペプチド結合は、 カスパーゼ 3特異的切断部位である。 上述のとおり、 カスパーゼ 3切断断片がアポ ] ^一シスを促進することが報告されていることから、 カスパーゼ 3切断部位より C 末端側がアポトーシスの誘導に重要であると考えられる。
この知見に基づいて、 本発明者らは、 アポトーシス誘導に関与する IP3受容体 部位をさらに限定するために、 マウス IP3R1のカスパーゼ 3切断 C末端側断片より さらに短い、 配列番号 1に示すマウス IP3R1のアミノ酸配列のうち 2216〜2749位の 配列のみを含むタンパク質に GFPタグを付したもの (GFP-IP3R1-ES)を作製した。 すなわち、 該タンパク質は、 IP3R1の C末端に存在するチャネルドメインとその N 末端側の制御ドメィンの C末端配列 60残基を含むものであり、 これにはリガンド 結合ドメインおよび制御ドメインは機能し得る形で含まれていない。
この GFP_IP3R卜 ESを、 細胞に強制発現させたところ、 細胞の小胞体内における Ca2+ストアからの Ca2+の流出が起こり、 小胞体内の Ca2+濃度が低くなる。 この小胞 体内の Ca2+濃度の低下により、 細胞外から細胞質へのストァ作動性 Ca2+流入が起 こる。 これにより、 IP3R1_ESを強制発現した細胞ではアポトーシスが誘導される。
IP3R1- ESはほぼチャネルドメインのみからなるものであり、 N末端側の制御ド メイン由来の 60残基は機能を有してはいない。 IP3Rの制御ドメインは、 リガンド 結合ドメィンへの IP3の結合を受けてチャネルドメインの何らかの立体構造変化 を誘導してチャネルの開口をもたらすと考えられている。 本明細書中、 「制御ド メインを機能しうる形で含まない」 とは、 制御ドメインを構成するアミノ酸配列 の全部を含まないか、 または一部または全部を含むものの上記のようなリガンド 結合部位によるチャネルドメインの開口を誘導するという制御ドメイン本来の機 能を有していないことをいう。 したがって、 IP3R卜 ESも、 「制御ドメインを機能 しうる形で含まない」 IP3R1変異体タンパク質に含まれる。
マウス IP3R1のアミノ酸配列のうち 2276〜2749位のチャネルドメインを構成す るアミノ酸配列のみを含むタンパク質も、 IP3M-ESと同様のアポトーシス誘導作 用を示し得ることが当業者であれば容易に認識し得るであろう。 さらに、 これら の IP3R1の 2216〜2749位、 または 2276〜2749位のアミノ酸配列を含むタンパク質 と機能的に同等なタンパク質も、 アポトーシス誘導作用を有する。 ここで、 「機 能的に同等なタンパク質」 とは、 上記アミノ酸配列において、 1〜60、 好ましく は 1〜20、 さらに好ましくは 1〜10、 特に好ましくは 1〜5個のアミノ酸が置換、 欠 失、 挿入または付加された配列を有するタンパク質であって、 IP3R卜 ESと同様に 哺乳動物細胞で発現させた場合、 小胞体膜上に存在して小胞体内から細胞質への Ca2+の流出を誘導することができるタンパク質をいう。
また、 IP3受容体タイプ 1に限らず、 IP3受容体タイプ 2およびタイプ 3につい ても同様に、 チャネルドメインを含み、 かつ制御ドメインを機能し得る形で含ま ない変異体タンパク質は、 アポトーシス誘導作用を有すると考えられるため、 こ れらのタンパク質およびこれらと機能的に同等なタンパク質もまた本発明の範囲 内である。
また、 あらゆる哺乳動物に由来する IP3受容体についても同様である。 したが つて、 例えば配列番号 2にアミノ酸配列を示すヒト IP3受容体タイプ 1では、 少 なくとも第 2222〜2695位の配列を含み、 少なくとも第 596〜2221位の配列は含ま ないタンパク質、 およびこれに機能的に同等なタンパク質もまた、 アポ卜一シス 誘導作用を有する。
したがって、 これらのタンパク質は全て本発明の範囲内にある。
また、 これらのタンパク質をコードする核酸分子もまた本発明の範囲内である。 本明細書中、 「核酸分子」 という用語は、 DNAおよび RNAを含む。 また、 これらの 核酸分子と少なくとも 80 %の相同性を有する核酸分子、 好ましくは BLAST等を用 いて計算したときに (例えば、 BLASTのデフォルトすなわち初期条件のパラメ一 ターを用いた場合に) 、 90 %の相同性を有する核酸分子、 さらに好ましくは 95 % の相同性を有する核酸分子、 およびこれらにス卜リンジェン卜な条件下でハイブ リダィズする核酸分子もまた、 本発明に含まれる。 本明細書中 「ストリンジェン 卜な条件下でハイブリダィズする」 とは、 例えば、 ナトリウム濃度が 10mM〜 300mMであり、 好ましくは 37〜65で、 より好ましくは 42°Cである条件でハイプリ ダイズすることをいう。
さらに、 上記の核酸分子を含むベクター、 上記核酸分子が発現可能なように該 核酸分子にプロモーターが機能し得る形で連結されているベクター、 および上記 核酸分子の発現産物を標識化するための何らかの標識物をコードする核酸分子と 上記核酸分子がインフレームで連結されているベクター、 さらにはこれらのべク ターを含有する宿主細胞(哺乳動物細胞が好ましいが、 これらに限定はされない) も、 本発明に包含される。
本発明のタンパク質を発現させるためには、 3受容体のアミノ酸配列に基づ いて上記タンパク質のアミノ酸配列をコ一ドする核酸分子を作製し、 これを周知 の遺伝子工学的手法を用いて、 適切な発現ベクターに組込むとよい。 アミノ酸配 列に基づいて遺伝子を作製または単離する技法、 および哺乳動物細胞での発現に 適切な発現ベクターは、 様々なものが公知であり、 当業者であれば容易に適切な ものを選択することができる。
対象とする細胞に該発現ベクターを導入して、 該細胞で上記遺伝子を発現させ るための種々の方法も知られている。
IP3R1が細胞の小胞体膜上に存在するためには、 チャネルドメインのみが必要 十分であることを本発明者らは見出しており、 少なくともチャネルドメインを含 む上記 IP3受容体変異体タンパク質を細胞で強制発現させた場合、 該変異体タン パク質は小胞体膜上に局在する。 該変異体タンパク質は、 制御ドメインを欠くた め、 正常な 1?3受容体の立体構造をとることができず、 チャネルが完全に閉口せ ず、 小胞体内の Ca2+を細胞質へと流出させ、 細胞をアポトーシスへと導くと考え られる。
すなわち、 上述のタンパク質は細胞のアポトーシス誘導薬として有用である。 アポトーシス誘導薬は、 細胞増殖性疾患の治療に有用である。
細胞増殖性疾患とは、 特定の細胞種が異常増殖することにより発症する疾患で あり、 皮膚 T細胞増殖性疾患、 血管平滑筋細胞増殖性疾患、 骨芽細胞増殖性疾患、 眼内細胞増殖性疾患、 甲状腺の細胞増殖性疾患等を含む各種腫瘍および慢性関節 リウマチ (RA) などが挙げられるが、 これらに限定はされない。
かかる細胞増殖性疾患において、 増殖する細胞をアポ 1 ^一シスにより死滅させ る治療が該疾患において有効であり得る。
上記アポトーシス誘導薬としての ΙΡ3受容体変異体タンパク質をコードする遺 伝子を、 所望の細胞内で該タンパク質を発現し得る形で導入することにより、 所 望の細胞のアポトーシスを誘導し得る。 IP3R受容体変異体タンパク質をコードす る遺伝子が所望の細胞でのみ発現し得るように、 該細胞種に特異的な発現プロモ 一夕一等の調節因子を上記遺伝子に機能し得る形で連結した発現カセットを含む ベクターを用いて、 対象とする生物個体に導入することができる。 これらの方法 は、 種々のものが既に公知であり、 いずれの方法を使用することも可能であるが、 例えばアデノウイルス等を用いることができる。 細胞種特異的な発現プロモー夕 一も個々の細胞種について様々なものが公知であり、 当業者であれば適切なもの を選択することは容易である。
例えば、 IP3受容体変異体タンパク質をコードする DNAを上記治療薬として使用 する場合は、 本発明の DNAを単独あるいは、 レトロウイルスベクタ一、 アデノウ ィルスベクター、 アデノウイルス随伴性ウィルスベクターなどの適当なベクター に挿入した後、 常法に従って、 患者に投与することができる。 該 DNAは、 そのま まで、 あるいは摂取促進のための補助剤とともに、 遺伝子銃やハイド口ゲルカテ 一テルのようなカテーテルによって投与できる。 例えば、 必要に応じて糖衣を施 した錠剤、 カプセル剤、 エリキシル剤、 マイクロカプセル剤などとして経口的に、 あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、 または懸 濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。 また、 DNAを生理学的に認め られる公知の担体、 香味剤、 賦形剤、 ビヒクル、 防腐剤、 安定剤、 結合剤などと ともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによ つて製造することができる。 これら製剤における有効成分量は当業者であれば適 当な用量がわかるであろう。
錠剤、 カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、 例えば、 ゼラ チン、 コーンスターチ、 トラガント、 アラビアゴムのような結合剤、 結晶性セル ロースのような賦形剤、 コーンスターチ、 ゼラチン、 アルギン酸などのような膨 化剤、 ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、 ショ糖、 乳糖またはサッカリ ンのような甘味剤、 ペパーミント、 ァカモノ油またはチェリーのような香味剤な どが用いられる。 調剤単位形態がカプセルである場合には、 上記タイプの材料に さらに油脂のような液状担体を含有することができる。 注射のための無菌組成物 は注射用水のようなビヒクル中の活性物質、 胡麻油、 椰子油などのような天然産 出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方するこ とができる。 注射用の水性液としては、 例えば、 生理食塩水、 ブドウ糖やその他 の補助薬を含む等張液 (例えば、 D-ソルビトール、 D-マンニトール、 塩化ナトリ ゥムなど) などが用いられ、 適当な溶解補助剤、 例えば、 アルコール (例、 エタ ノール) 、 ポリアルコール (例、 プロピレングリコール、 ポリエチレングリコー ル) 、 非イオン性界面活性剤 (例、 ポリソルベート 80TM、 HC0-50) などと併用し てもよい。 油性液としては、 例えば、 ゴマ油、 大豆油などが用いられ、 溶解補助 剤である安息香酸ベンジル、 ベンジルアルコールなどと併用してもよい。
また、 上記治療薬は、 例えば、 緩衝剤 (例えば、 リン酸塩緩衝液、 酢酸ナトリ ゥム緩衝液) 、 無痛化剤 (例えば、 塩化ベンザルコニゥム、 塩酸プロ力インな ど) 、 安定剤 (例えば、 ヒト血清アルブミン、 ポリエチレングリコールなど) 、 保存剤 (例えば、 ベンジルアルコール、 フエノールなど) 、 酸化防止剤などと配 合してもよい。
投与量は、 投与対象、 対象臓器、 症状、 投与方法などにより相違し、 対象とす る患者の健康状態、 体重、 併用する治療方法等の条件によって、 個別に担当医に よって決定される。
以下、 本発明の理解を助けるために、 実施例を例示として記載する。
実施例
GFPタグを付した IP受容体タイプ 1変異体 DNAの構築とその発現
IP3受容体タイプ 1の 1892残基より C末端側のアミノ酸配列のみからなるぺプチ ドの N末端側にグリーン蛍光タンパク質 EGFPを付した IP3受容体タイプ 1変異体
(GFP-IP3Rl-casp) 、 および、 IP3受容体タイプ 1の 2216残基より C末端側のアミ ノ酸配列のみからなるぺプチドの N末端側にグリーン蛍光タンパク質 EGFPを付加 した IP3受容体タイプ 1変異体 (GFP-IP3R卜 ES) を作製した。
まず、 マウス IP3R1をコードする cDNAを、 Pfu turbo (St rat agene, La Jol l a, CA) を用いて常法に従って PCRにより増幅した。 該 cDNA断片と EGFPのコード配列 (Clontech, Palo Al to, CA) とを、 cDNA3. l/Zeo+ (Invi t rogen, Carl sbad, CA) 内に EGFPcDNAが IP3RlcDNAの上流に位置するようにサブクローニングし、 GFP- IP3R卜 N発現べクタ一を得た。 該ベクター内では EGFPcDNAと IP3R lcDNAとの間にリ ンカーとして Leu- Lys (ΑΠ Π制限酵素認識配列に含まれる) が挿入されている。 GFP-IP3R1- Cは、 EGFP分子が IP3R1の C末端側に付加されており、 同様の方法で、 GFP- IP3IU-C発現ベクターも作製することができる。 IP3RlcDNAと EGFPcDNAとの間 にリンカーとして Gly- Pro-Al aが揷入されている。
さらに、 上記 GFP_IP3R卜 N発現べクタ一から IP3R1の 1〜610残基をコードする配 列部位を Ml l l/SacI I消化により切り出し、 そこに Gly- Ser- Ser- Glyをコードする オリゴヌクレオチドリンカーを挿入して、 GFP-IP3R卜 610発現ベクターを得た。 さらに、 上記 GFP- IP3R卜 N発現べクタ一から IP3R1の 1〜2216残基をコードする配 列部位を M 111/EcoRI消化により切り出し、 そこに Glu- Pheをコードするオリゴヌ クレオチドリンカーを挿入して、 GFP- IP3R卜 ES発現ベクターを得た。 さらに、 IP3R1の Argl892〜Glu2216アミノ酸配列をコードする cDNA断片を PCRにより増幅さ せて、 上記 GFP-IP3R卜 ES発現ベクターの EcoRI部位に挿入することにより、 GFP - IP3M-casp発現ベクターを得た。 図 1 A参照のこと。
50 g/mlポリリジンでコートしたガラスカバ一スリップ (直径 18匪) またはガ ラス底マイクロウェルディッシュ (直径 35匪、 コーティングなし) 上で細胞を増 殖させ、 リポフエクトァミン 2000溶液 (Invi torgen) を説明書の指示どおりの方 法で、 上記発現べクタ一を HeLa細胞に一過性にトランスフエク卜して、 その細胞 溶解液を抗 IP3R1モノクローナル抗体 18A10 ( IP3R1の C末端部を認識する) (14)を 用いたウエスタンブロットにより各発現タンパク質の分子量を検定したところ、 いずれも予想どおりの分子量を有することが確認された(図 1 B )。 さらに、 抗 GFP抗体(Santa Cruz CA)によるウエスタンプロットの結果でも同様であった(図 1 C)。 なお、 本明細書中に開示する実施例中の細胞培養では、 COS細胞および HeLa細 胞は、 10 %ゥシ胎児血清 (FCS) 、 1. 0g/lグルコース、 2mM L -グルタミン、 ベニ シリンストレプトマイシン含有ダルベッコ改変イーグル培地 (DMEM) を用いて行 レ 培養は 37°C、 5 % C02湿潤環境下で行った。
Ca2+イメージング
次に、 これらの IP3R1変異体を強制発現させた Hel a細胞を用いて、 シングルセ ル Ca2+イメージングを実施した。
トランスフエクシヨンの 1〜 2日後、 HeLa細胞を 5 M iura- 2ァセトキシメチ ルエステル(Molecular Probe)で 45分間処理し、 fura- 2をロードした細胞を倒立 蛍光顕微鏡(IX_70、 ォリンパス社製)にセッ トし、 平衡塩類溶液(BSS; 115mM NaCl、 5. 4mM KC 1、 2mM CaC l2、 lmM MgC l2、 lOmM グルコースおよび 20mM HEPES (pH7. 4)を 2. Oml/分の流速で灌流させた。 画像処理は、 Argus50/CA (浜松フ オト二クス社製)を用いて、 室温にて 340nmと 380nmとで交互に励起して、 それぞ れの励起に対する蛍光イメージを取得した。 細胞は、 100 M ATPおよび夕プシガ ルジン(TG)それぞれで刺激して、 その際の蛍光比率(F340/F380)の変化を観察し た。 結果を図 2に示す。
GFP_IP3R卜 Nおよび GFP- IP3R卜 D610は、 ATP誘導性および TG誘導性の Ca 流入に はほとんど影響を与えなかった(図 2 A、 B )。 一方、 GFP_IP3IU-caspおよび GFP_ IP3R卜 ESは ATP-誘導性および TG誘導性 Ca2+流入の両方とも応答が減少した(図 2 C、 D )。 GFP- IP3M_caspおよび GFP- IP3R卜 ESの発現量の増加に従って、 減少が顕著 であった。
COS細胞を用いて同様の実験を行った場合も、 同様の結果を示した (データは示 していない)。
この機序を探るために、 さらに実験を行った。
各種 IP3R1変異体を発現させた COS細胞の TG誘導性の Ca2+ストァからの Ca2+の漏 出およびこれに伴うストァ作動性 Ca2+流入を調べた。 GFP-IP3iU-Nおよび GFP-
IP3R卜 D610を発現させた細胞は、 TGの誘導による Ca2+ストァからの Ca2+の漏出お よびストァ作動性 Ca2+の流入ともにほとんど影響を示さなかったが、 GFP_IP3R卜 caspおよび GFP- IP3M-ESを発現させた細胞では、 TG処理による細胞内 Ca2+濃度の 上昇がほとんど認められなかった。 しかし、 細胞外 Ca2+濃度を上げた際のストア 作動性 Ca2+の流入は明らかに認められた(図 3 C、 D )。 この現象は、 GFP-IP3R1 - caspまたは GFP- IP3R1- ESを発現させた細胞の小胞体内の Ca2+濃度が低すぎ、 すな わち小胞体の Ca2+ストァが枯渴した状態にあり、 TG刺激による細胞内 Ca2+濃度の 上昇が認められないことを示唆するものである。
このことをさらに証明するために、 TGによる前処理を行わずに、 細胞外 Ca2+濃 度を変化させて Ca2+の流入を観察した(図 4 )。 GFP- IP3R1- Nまたは GFP-IP3R卜 D610 を発現させた細胞では、 細胞内 Ca2+濃度は細胞外 Ca2+濃度に影響されることなく ほぼ安定していたのに対し(図 4 A、 B )、 GFP- IP3R1- caspまたは GFP- IP3R卜 ESを 発現させた細胞では、 細胞外 Ca2+の除去に伴い細胞内 Ca2+濃度が低下し、 細胞外 Ca2+の増加とともに細胞内 Ca2+濃度が上昇した(図 4 C、 D)。
これらの結果より、 GFP- IP3i -caspおよび GFP- IP3R卜 ESはいずれも、 小胞体内 の Ca2+ストアから Ca2+を漏洩させていると考えられる。 GFP - IP3R卜 caspおよび GFP- IP3R卜 ESは、 Ca2+ストア内の Ca2+量が低下し、 細胞外から細胞質内へのスト ァ作動性カルシウム流入が起こり、 その状態が維持されると考えられる。
GFP- IP R1- caspおよび GFP- IPjg-ESによる細胞死
次いで、 GFP- IP3Rl-caspまたは GFP_IP3R1- ESによる細胞死の誘導を調べた。 GFP- IP3R卜 caspまたは GFP-IP3R卜 ESをトランスフエクシヨンした後、 96時間後に おける GFPの蛍光を発する細胞を計測し、 GFPのみを発現させたコントロール HeLa 細胞の生存率を 100 %として細胞生存率を算出した (図 5 ) 。
GFP- IP3Rl_caspおよび GFP- IP3M_ESのいずれを発現させた細胞でも、 細胞死の 誘導が顕著に認められた。 この結果は、 IP3R1のチャネルドメインのみの変異体 がアポトーシスを誘導することを示唆するものである。 産業上の利用の可能性
以上より、 本発明により、 細胞内 Ca2+ストアから細胞質への Ca2+の流出を誘導 することにより細胞のアポトーシスを誘導するタンパク質、 およびそれによるァ ポトーシス誘導方法が提供される。 また、 3受容体のチャネルドメインからな るアポト一シス誘導薬が提供される。 本明細書で引用した全ての刊行物、 特許および特許出願をそのまま参考として 本明細書にとり入れるものとする。
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Claims

請求の範囲
1 . IP3受容体タンパク質のチャネルドメインを含み、 かつその制御ドメィ ンを機能しうる形で含まない IP3受容体変異体タンパク質。
2 . IP3受容体タンパク質が IP3受容体タイプ 1タンパク質である、 請求項 1 記載のタンパク質。
3 . 以下の(a)または(b)のいずれかのタンパク質である、 請求項 2記載の夕 ンパク質。
(a) 配列番号 1に示すアミノ酸配列のうち、 少なくとも 2216〜2749位、 また は 2276〜2749位の配列を含み、 かつ少なくとも第 1〜1891位の配列は含まない夕 ンパク質
(b) 上記(a)に規定するタンパク質において、 1〜60個のアミノ酸が置換、 欠 失、 挿入または付加された配列を有するタンパク質であって、 哺乳動物細胞で発 現させた場合に小胞体内から細胞質への Ca2+の流出を誘導することができるタン パク質
4 . 以下の(a)または(b)のいずれかのタンパク質である、 請求項 2記載の夕 ンパク質。
(a) 配列番号 2に示すアミノ酸配列のうち、 少なくとも第 2222〜2695位の配 列を含み、 かつ少なくとも第 1〜2221位の配列は含まないタンパク質
(b) 上記(a)に規定するタンパク質において、 1〜60個のアミノ酸が置換、 欠 失、 挿入または付加された配列を有するタンパク質であって、 哺乳動物細胞で発 現させた場合に、 小胞体内から細胞質への Ca2+の流出を誘導することができるタ ンパク質
5 . 請求項 1〜4のいずれか 1項に記載のタンパク質をコードする核酸分子。
6 . 請求項 1〜4のいずれか 1項に記載のタンパク質をコードする核酸分子 と、 少なくとも 80 %の相同性を有する核酸分子、 およびこれらにストリンジ工ン トな条件下でハイブリダィズする核酸分子。
7 . 請求項 1〜4のいずれか 1項に記載の IP3受容体変異体タンパク質を、 対 象とする細胞に発現させることにより、 該細胞のアポ卜一シスを誘導する方法。
8 . 請求項 1〜 4のいずれか 1項に記載の IP3受容体変異体夕ンパク質を発現 させた細胞内で、 小胞体内の Ca2+濃度が減少することを特徴とする、 請求項 7記 載の方法。
9 . 請求項 5または 6記載の核酸分子を、 対象とする細胞に導入することに より上記タンパク質を発現させる、 請求項 7または 8記載の方法。
1 0 . 請求項 1〜4のいずれか 1項に記載のタンパク質を、 対象とする細胞 で発現させる、 請求項 7または 8記載の方法。
1 1 . 請求項 5または 6記載の核酸分子を含む、 アポトーシス誘導薬。
1 2 . 請求項 5または 6記載の核酸分子を、 対象とする細胞に導入すること により上記タンパク質を発現させ、 該細胞の小胞体内の Ca2+濃度を減少させるこ とを特徴とする、 請求項 1 1記載のアポトーシス誘導薬。
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