明 細 書 カラーモニタの階調再現特性測定装置 技 術 分 野
本発明はカラ一モニタの階調再現特性測定装置に関し、 特に、 三原色 R G B を用いてカラ一画像を表示する機能をもつたカラ一モニタにおける入力信号階 調値と実際の表示輝度との関係を示す階調再現特性を目視により測定するため の装置に関する。 背 景 技 術
一般に、 モニタ (ディスプレイ装置) は、 個々の製品ごとに表示特性が異な り、 パソコンなどに接続して利用する場合、 個々の表示特性に応じた補正を行 うのが好ましい。 このような補正を行うには、 予め個々のモニタの表示特性を 測定し、 その結果を客観的なデータとして用意しておく必要がある。 通常、 こ のようなデータは、 個々のモニタのプロファイルデ一夕と呼ばれている。 パソ コンにモニタを接続して利用する場合、 当該モニタのプロファイルデータをパ ソコンに組み込んでおけば、 このプロファイルデータに基づく補正が可能にな り、 個々のモニタに固有の表示特性に左右されない普遍的な表示結果を得るこ とができるようになる。
三原色 R G Bを用いてカラー画像を表示する機能をもったカラーモニタの代 表的な表示特性は、 三原色の色度、.白色の色度、 階調再現特性である。 ここで、 階調再現特性は、 入力信号階調値と実際の表示輝度との関係を示す特性であり、 通常、 ガンマ特性と呼ばれている。 この階調再現特性に応じた補正を行わない と、 全く同一の画像データに基づいて表示を行っても、 個々のモニタごとに輝 度分布の異なる画像表示が行われてしまうことになる。 したがって、 実用上、
個々のモニタに固有の階調再現特性に応じた補正 (いわゆるガンマ補正) を行 うことは、 非常に重要な事項になる。 たとえば、 特開平 0 7— 1 6 2 7 1 4号 公報には、 このようなガンマ補正の一般的な方法が開示されている。
個々のモニタについての階調再現特性を測定する手法としては、 光学的な測 定装置を用いて物理的な特性データを得る手法もあるが、 通常は、 人間の目に よる目視を行いながら特性データを得る手法が採られる。 これは、 モニタを利 用するのはあくまでも人間であるので、 純然たる物理的な測定方法で得られた 特性データよりも、 人間の目視による感覚的な輝度を基準とした測定方法で得 られた特性データの方が好ましいためである。 たとえば、 特許第 2 8 8 9 0 7 8号公報には、 目視により階調再現特性を得る方法が開示されている。
上述したように、 個々のモニタについて、 目視により階調再現特性を得るこ とは、 人間の目の感度特性に合致した補正を行う上で非常に重要であるが、 従 来提案されている目視による測定方法や測定装置では、 十分な精度をもった階 調再現特性を求めることができないという問題がある。 特に、 印刷物を作成す る D T P処理に利用されるカラーモニタの場合、 より精度の高い階調再現特性 を求め、 より精度の高い補正を行う必要性があるが、 従来の技術では、 液晶力 ラ一ディスプレイや、 経年変化が生じた C R Tカラーモニタに対して、 十分な 精度をもつた測定が困難である。
そこで本発明は、 目視により階調再現特性を高精度に求めることが可能な力 ラーモニタの階調再現特性測定装置を提供することを目的とする。
発 明 の 開 示
(1) 本発明の第 1の態様は、 三原色 R G Bを用いてカラ一画像を表示する 機能をもったカラ一モニタにおける入力信号階調値と実際の表示輝度との関係 を示す階調再現特性を測定するためのカラーモニタの階調再現特性測定装置に おいて、
第 1属性の領域内に、 明るさおよび色が一様な均一パターンを表示させるた めの三原色 R G Bの階調値の組み合わせを指定する階調値指定手段と、
第 2属性の領域内に、 三原色 R G Bがそれぞれ最小階調値をもつ第 1副領域 と、 三原色 R G Bがそれぞれ最大階調値をもつ第 2副領域と、 を所定面積比で 混在させた参照パターンを生成する参照パ夕一ン生成手段と、
カラ一モニタの画面上に、 互いに接するように配置された第 1属性の領域と 第 2属性の領域とによって構成されるテストパターンを定義し、 第 1属性の領 域内には、 階調値指定手段によって指定された階調値の組み合わせに基づく均 一パターンが表示され、 第 2属性の領域内には、 参照パターン生成手段で生成 された参照パターンが表示されるように、 所定の信号をカラーモニタに与える パターン表示手段と、
階調値指定手段によつて指定される各階調値を、 均一パターンの明るさおよ び色が変わるように変動させる階調値変動手段と、
階調値変動手段による変動操作が行われている状態において、 カラーモニタ の画面上に表示されたテストパ夕一ンを目視するオペレータから、 第 1属性の 領域と第 2属性の領域との明るさおよび色がともに一致したとの認識を示す一 致信号を入力する一致信号入力手段と、
一致信号が入力されたときに、 階調値指定手段により指定されていた階調値 の組み合わせを、 参照パターンの所定面積比に応じた所定の参照輝度に対応す る各原色の対応階調値と認識し、 互いに対応関係にある参照輝度と対応階調値 とに基づいて、 各原色ごとの階調再現特性を演算により求める特性演算手段と、 を設けたものである。
(2) 本発明の第 2の態様は、 上述の第 1の態様に係るカラ一モニタの階調 再現特性測定装置において、
階調値変動手段が、 主として均一パターンの明るさが変わるように階調値を 変動させる明るさ変動操作と、 主として均一パターンの色が変わるように階調
値を変動させる色変動操作と、 の 2通りの変動操作を行う機能を有するように したものである。
(3) 本発明の第 3の態様は、 上述の第 2の態様に係るカラーモニタの階調 再現特性測定装置において、
明るさ変動操作が、 三原色 R G Bの各階調値のすべてについて、 共通の変動 量を増減する作業によって行われ、
色変動操作が、 三原色 R G Bのうちのいずれか 1つの特定色についての階調 値を増減する作業によって行われるようにしたものである。
(4) 本発明の第 4の態様は、 上述の第 1〜第 3の態様に係るカラーモニタ の階調再現特性測定装置において、
階調値変動手段が、 オペレータの操作入力に基づいて、 階調値の変動を行う ようにしたものである。
(5) 本発明の第 5の態様は、 上述の第 4の態様に係るカラーモニタの階調 再現特性測定装置において、
階調値変動手段が、 均一パターンを明るくする指示を与える第 1ポタンと、 均一パターンを暗くする指示を与える第 2ポタンと、 均一パターンの特定色の 成分を強める指示を与える第 3ポタンと、 均一パターンの特定色の成分を弱め る指示を与える第 4ポタンと、 を用い、 第 1ポタンに対する操作入力があった 場合には、 三原色 R G Bの各階調値のすべてについて、 共通の変動量を加える 変動操作を行い、 第 2ポタンに対する操作入力があった場合には、 三原色 R G Bの各階調値のすべてについて、 共通の変動量を減じる変動操作を行い、 第 3 ポタンに対する操作入力があった場合には、 特定色の階調値について、 所定の 変動量を加える変動操作を行い、 箄 4ポタンに対する操作入力があった場合に は、 特定色の階調値について、 所定の変動量を減じる変動操作を行うようにし たものである。
(6) 本発明の第 6の態様は、 上述の第 5の態様に係るカラーモニタの階調
再現特性測定装置において、
各ポタンを配置する平面上に X Y二次元座標系を定義したときに、 第 1ボタ ンおよび第 2ボタンが X軸上の原点を挟んだ対向位置に配置され、 第 3ポタン および第 4ポタンが Y軸上の原点を挟んだ対向位置に配置されているようにし たものである。
(7) 本発明の第 7の態様は、 上述の第 1〜第 3の態様に係るカラ一モニタ の階調再現特性測定装置において、
階調値変動手段が、 予め定められた所定の規則にしたがって、 階調値を時間 とともに変動させる処理を行うようにしたものである。
(8) 本発明の第 8の態様は、 上述の第 7の態様に係るカラーモニタの階調 再現特性測定装置において、
階調値変動手段が、 三原色 R G Bの各階調値のすべてについて、 所定のタイ ミングで共通の変動量を加えるもしくは減じることにより、 主として均一パ夕 ーンの明るさが変わるように階調値を変動させる明るさ変動操作と、 三原色 R G Bのうちのいずれか 1つの特定色の階調値について、 所定のタイミングで所 定の変動量を加えるもしくは減じることにより、 主として均一パターンの色が 変わるように階調値を変動させる色変動操作と、 の 2通りの変動操作を行う機 能を有し、
一致信号入力手段が、 階調値変動手段が明るさ変動操作を行っている状態に おいて、 オペレー夕から明るさが一致したとの認識を示す明るさ一致信号を入 力するための明るさ一致信号入力手段と、 階調値変動手段が色変動操作を行つ ている状態において、 オペレータから色が一致したとの認識を示す色一致信号 を入力するための色一致信号入力手段と、 を備え、 明るさ一致信号と色一致信 号との双方の入力が完了した場合に、 明るさおよび色がともに一致したとの認 識を示す一致信号が入力されたものとして取り扱うようにしたものである。
(9) 本発明の第 9の態様は、 上述の第 8の態様に係るカラ一モニタの階調
再現特性測定装置において、
変動量を加算する変動操作により得られる階調値が最大階調値を上回つてし まう場合には、 超過分を最小階調値から計数する循環処理を行い、 変動量を減 算する変動操作により得られる階調値が最小階調値を下回つてしまう場合には、 超過分を最大階調値から計数する循環処理を行うようにしたものである。
(10) 本発明の第 1 0の態様は、 上述の第 8または第 9の態様に係るカラ一 モニタの階調再現特性測定装置において、
階調値変動手段が、 明るさ変動操作を行っている状態において明るさ一致信 号が入力された時点で色変動操作を開始し、 色変動操作を行っている状態にお いて色一致信号が入力された時点で明るさ変動操作を開始し、 明るさ変動操作 と色変動操作とを交互に繰り返し実行する機能を有し、 かつ、 階調値の変動量 を徐々に減少させながら繰り返し実行する機能を有し、
一致信号入力手段が、 変動量が所定の規定値に達した後に、 明るさ一致信号 と色一致信号との双方の入力が完了した場合に、 明るさおよび色がともに一致 したとの認識を示す一致信号が入力されたものとして取り扱うようにしたもの である。
(11) 本発明の第 1 1の態様は、 上述の第 3、 第 5、 第 8の態様に係るカラ —モニタの階調再現特性測定装置において、
三原色 R G Bのうちの原色 Bを特定色とし、 原色 Bの階調再現特性と、 原色 Rおよび Gに共通した階調再現特性と、 を求めるようにしたものである。
(12) 本発明の第 1 2の態様は、 上述の第 1〜第 1 1の態様に係るカラーモ 二夕の階調再現特性測定装置において、
参照パターン生成手段が、 第 1副領域と第 2副領域との面積比を複数 N通り に設定することにより、 互いに異なる参照輝度をもった N通りの参照パターン を生成する機能を有し、
特性演算手段が、 N通りの参照パターンを用いた N通りのテストパターンに
ついて得られた N通りの対応階調値に基づいて、.各原色ごとの階調再現特性を 求める機能を有するようにしたものである。
(13) 本発明の第 1 3の態様は、 上述の第 1 2の態様に係るカラーモニタの 階調再現特性測定装置において、
特性演算手段が、 第 1の座標軸に階調値、 第 2の座標軸に輝度をとつた二次 元座標系を定義し、 この座標系上に、 各参照輝度および対応階調値を座標値と してもつ N個の点をプロットし、 更に、 最小輝度値および最小階調値を座標値 としてもつ点と最大輝度値および最大階調値を座標値としてもつ点とをプロッ トし、 プロットされた合計 (N + 2 ) 個の点を通るグラフを、 階調再現特性を 示すグラフとして求めるようにしたものである。
(14) 本発明の第 1 4の態様は、 上述の第 1 3の態様に係るカラーモニタの 階調再現特性測定装置において、
N = 3に設定して合計 5個の点をプロッ卜し、 これら 5個の点を第 1の座標 軸上の座標値の昇順に第 1の点〜第 5の点と呼んだときに、 第 1、 第 2、 第 3 の各点を通り輝度が階調値のべき乗の形式で定義される第 1の関数曲線と、 第 3、 第 4、 第 5の各点を通り輝度が階調値のべき乗の形式で定義される第 2の 関数曲線と、 を演算により求め、 前記第 1の関数曲線と前記第 2の関数曲線と を連結してなる曲線を、 階調再現特性を示すグラフとするようにしたものであ る。
(15) 本発明の第 1 5の態様は、 上述の第 1〜第 1 4の態様に係るカラーモ 二夕の階調再現特性測定装置において、
参照パターン生成手段が、 第 1副領域および第 2副領域を、 同一の形状およ び大きさをもつた単位セルによって構成し、 この単位セルの二次元配列によつ て参照パターンを構成するようにしたものである。
(16) 本発明の第 1 6の態様は、 上述の第 1 5の態様に係るカラーモニタの 階調再現特性測定装置において、
矩形状の単位セルを二次元行列状に配列することにより参照パターンを構成 し、 任意の奇数 i, jについて、 i行 j列目の単位セル、 i行 (j + 1 ) 列目 の単位セル、 (i + 1 ) 行 j列目の単位セル、 (i + 1 ) 行 (j + 1 ) 列目の単 位セル、 という 4つの単位セルからなるセルグループを定義し、 第 1副領域お よび第 2副領域の配置パターンを、 すべてのセルグループについて共通にした ことを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。
(17) 本発明の第 1 7の態様は、 上述の第 1 6の態様に係るカラーモニタの 階調再現特性測定装置において、
各セルグループを構成する 4つの単位セルのうち、 斜めに隣接する一対の単 位セルによって第 1の副領域を構成し、 残りの一対の単位セルによって第 2の 副領域を構成し、 面積比 1 : 1となる参照パターンを構成するようにしたもの である。
(18) 本発明の第 1 8の態様は、 上述の第 1 6の態様に係るカラーモニタの 階調再現特性測定装置において、
各セルグループを構成する 4つの単位セルのうち、 1つの単位セルによって 一方の副領域を構成し、 残りの 3つの単位セルによって他方の副領域を構成し、 面積比 3 : 1もしくは 1 : 3となる参照パターンを構成するようにしたもので ある。
(19) 本発明の第 1 9の態様は、 上述の第 1〜第 1 8の態様に係るカラ一モ 二夕の階調再現特性測定装置において、
テストパターンを構成する第 1属性の領域または第 2属性の領域の輪郭を円 または楕円にするようにしたものである。
(20) 本発明の第 2 0の態様は、 上述の第 1〜第 1 9の態様に係るカラ一モ 二夕の階調再現特性測定装置において、
テストパターンを構成する一方の属性の領域を複数箇所に分散して配置し、 その背景部分を他方の属性の領域とするようにしたものである。
(21) 本発明の第 2 1の態様は、 上述の第 2 0の態様に係るカラーモニタの 階調再現特性測定装置において、
第 1属性の領域の面積の総和が、 第 2属性の領域の面積の総和に等しくなる ように設定したものである。
(22) 本発明の第 2 2の態様は、 上述の第 2 0または第 2 1の態様に係る力 ラ一モニタの階調再現特性測定装置において、
形状および大きさが同一となる複数の同一属性の領域を、 所定の空間周波数 が得られるように所定ピッチで二次元平面上に分散配置するようにしたもので ある。
(23) 本発明の第 2 3の態様は、 上述の第 2 2の態様に係るカラ一モニタの 階調再現特性測定装置において、
同一属性の領域を横方向に所定ピッチ P Xで複数配置した一次元領域配列を、 縦方向に所定ピッチ P y (但し、 P y =7~ 3 / 2 · P x ) で複数配置し、 かつ、 互いに隣接する一次元領域配列間では位相が半ピッチずれるように配置するよ うにしたものである。
(24) 本発明の第 2 4の態様は、 上述の第 2 2または第 2 3の態様に係る力 ラーモニタの階調再現特性測定装置において、
テストパターンを目視するオペレータにとって、 明暗差弁別特性および色差 弁別特性の双方について良好な感度を示す空間周波数が得られるような所定ピ ツチで、 同一属性の領域を分散配置するようにしたものである。
(25) 本発明の第 2 5の態様は、'上述の第 2 2または第 2 3の態様に係る力 ラ一モニタの階調再現特性測定装置において、
テストパターンを目視するオペレータにとって、 明暗差弁別特性について良 好な感度を示す空間周波数が得られるような第 1のピッチと、 色差弁別特性に ついて良好な感度を示す空間周波数が得られるような第 2のピッチと、 が設定 されており、
パターン表示手段が、 オペレー夕による明るさの一致認識作業が行われると きには、 第 1のピッチで同一属性の領域を分散配置してなるテストパターンを 表示させ、 オペレータによる色の一致認識作業が行われるときには、 第 2のピ ツチで同一属性の領域を分散配置してなるテストパターンを表示させるように したものである。
(26) 本発明の第 2 6の態様は、 上述の第 1〜第 2 5の態様に係るカラーモ 二夕の階調再現特性測定装置を、 コンピュータの機能によって実現させるため のプログラムを用意し、 このプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒 体に記録して配付できるようにしたものである。
(27) 本発明の第 2 7の態様は、 三原色 R G Bを用いてカラー画像を表示す る機能をもったカラーモニタにおける入力信号階調値と実際の表示輝度との関 係を示す階調再現特性を測定するためのカラーモニタの階調再現特性測定装置 において、
仮の階調再現特性を格納するための階調再現特性格納手段と、
測定に用いるためのサンプル画像の画像デー夕を格納した画像デ一タ格納手 段と、
力ラ一モニタの階調再現特性が、 階調再現特性格納手段内に格納されている 仮の階調再現特性であるものと仮定した場合に、 サンプル画像がカラーモニタ 上に正しい階調再現性をもって表示されるように、 画像データ格納手段内に格 納されている画像データに対して所定の階調補正を行い、 補正後の画像データ をカラ一モニタに与える画像表示手段と、
画像データ格納手段内に格納されている画像データに基づいて、 サンプル画 像を物理的媒体上に出力することにより得られる物理的出力媒体と、
カラーモニタの画面上に表示されたサンプル画像と、 物理的出力媒体上に表 示されたサンプル画像と、 を目視比較するオペレータから、 両者の明るさおよ び色を近似させるための指示入力を受け取り、 この指示入力に基づいて、 階調
再現特性格納手段内に格納されている仮の階調再現特性を修正する特性修正手 段と、
オペレータから、 両サンプル画像の明るさおよび色がともに一致したとの認 識を示す一致信号を入力する一致信号入力手段と、
一致信号が入力されたときに、 階調再現特性格納手段に格納されている仮の 階調再現特性を、 カラ一モニタの正式な階調再現特性として出力する特性出力 手段と、 .
を設けたものである。
(28) 本発明の第 2 8の態様は、 上述の第 2 7の態様に係るカラーモニタの 階調再現特性測定装置において、
画像データ格納手段内に、 全体的な明るさが異なる複数 M通りのサンプル画 像の画像データを格納し、 M通りのサンプル画像のそれぞれ対応する M個の物 理的出力媒体を用意し、
特性修正手段が、 M通りのサンプル画像のうちの第 i番目のサンプル画像に 関する指示入力を受け取ったときに、 階調再現特性格納手段内に格納されてい る仮の階調再現特性に対して、 「第 i番目のサンプル画像の明るさに対応した 部分」 に重点をおいた修正を行うようにしたものである。
(29) 本発明の第 2 9の態様は、 上述の第 2 8の態様に係るカラーモニタの 階調再現特性測定装置において、
階調再現特性格納手段が、 三原色 R G Bのそれぞれについての階調値と輝度 との関係を示すカーブを、 階調再現特性を示すグラフとして格納しており、 特性修正手段が、 第 i番目のサンプル画像に関する指示入力を受け取つたと きに、 第 i番目のサンプル画像の代表階調値をもつカーブ上の点を制御点と認 識し、 この制御点を指示入力に応じて所定方向に移動させた後、 移動後の制御 点を通るようにカーブを滑らかに変形することにより修正を行うようにしたも のである。
(30) 本発明の第 3 0の態様は、 上述の第 2 9の態様に係るカラーモニタの 階調再現特性測定装置において、
サンプル画像の代表階調値として、 画像データ格納手段に格納されている画 像データによつて示される個々の画素のすべての色についての画素値の最頻値 もしくは平均値を用いるようにしたものである。
(31) 本発明の第 3 1の態様は、 上述の第 2 8の態様に係るカラーモニタの 階調再現特性測定装置において、
階調再現特性格納手段が、 三原色 R G Bのそれぞれについての階調値と輝度 との関係を示すカーブを、 階調再現特性を示すグラフとして格納しており、 特性修正手段が、 第 i番目のサンプル画像に関する指示入力を受け取つたと きに、 第 i番目のサンプル画像の代表輝度値をもつカーブ上の点を制御点と認 識し、 この制御点を指示入力に応じて所定方向に移動させた後、 移動後の制御 点を通るようにカーブを滑らかに変形することにより修正を行うようにしたも のである。
(32) 本発明の第 3 2の態様は、 上述の第 3 1の態様に係るカラ一モニタの 階調再現特性測定装置において、 - サンプル画像の代表階調値として、 画像データ格納手段に格納されている画 像デ一タによつて示される個々の画素のすべての色についての画素値の最頻値 もしくは平均値を求め、 求めた代表階調値に基づいて所定の換算方法により換 算された値を、 当該サンプル画像の代表輝度値として用いるようにしたもので ある。
(33) 本発明の第 3 3の態様は、 上述の第 3 1の態様に係るカラーモニタの 階調再現特性測定装置において、
サンプル画像の代表輝度値として、 物理的出力媒体上の当該サンプル画像全 体に対する輝度の実測値を用いるようにしたものである。
(34) 本発明の第 3 4の態様は、 上述の第 2 7の態様に係るカラーモニタの
階調再現特性測定装置において、
'特性修正手段が、 予め定められた所定の規則にしたがって、 階調再現特性を 時間とともに変動させる処理を行い、 オペレータからの指示入力があつた時点 における仮の階調再現特性を新たな仮の階調再現特性とする修正を行うように したものである。
(35) 本発明の第 3 5の態様は、 上述の第 3 4の態様に係るカラーモニタの 階調再現特性測定装置において、
画像データ格納手段内に、 全体的な明るさが異なる複数 M通りのサンプル画 像の画像デー夕を格納し、 この M通りのサンプル画像のそれぞれ対応する M個 の物理的出力媒体を用意し、
特性修正手段に、 階調再現特性格納手段内に格納されている仮の階調再現特 性に対レて、 「M通りのサンプル画像のうちの第 i番目のサンプル画像の明る さに対応した部分」 に重点をおいた変動を行う処理を、 i = l〜Mのそれぞれ について実行する機能をもたせるようにしたものである。
(36) 本発明の第 3 6の態様は、 上述の第 3 5の態様に係るカラ一モニタの 階調再現特性測定装置において、
階調再現特性格納手段に、 三原色 R G Bのそれぞれについての階調値と輝度 との関係を示すカーブを、 階調再現特性を示すグラフとして格納しておき、 特性修正手段が、 「第 i番目のサンプル画像の明るさに対応した部分」 に重 点をおいた変動を行う処理を実行する際に、 第 i番目のサンプル画像の代表階 調値をもつカーブ上の点を制御点と認識し、 この制御点を所定方向に周期的に 移動させ、 移動後の制御点を通るようにカーブを滑らかに変形することにより 階調再現特性の変動を行うようにしたものである。
(37) 本発明の第 3 7の態様は、 上述の第 3 6の態様に係るカラーモニタの 階調再現特性測定装置において、
サンプル画像の代表階調値として、 画像データ格納手段に格納されている画
像データによって示される個々の画素のすべての色についての画素値の最頻値 もしくは平均値を用いるようにしたも である。
(38) 本発明の第 3 8の態様は、 上述の第 3 5の態様に係るカラ一モニタの 階調再現特性測定装置において、
階調再現特性格納手段に、 三原色 R G Bのそれぞれについての階調値と輝度 との関係を示すカーブを、 階調再現特性を示すグラフとして格納しておき、 特性修正手段が、 「第 i番目のサンプル画像の明るさに対応した部分」 に重 点をおいた変動を行う処理を実行する際に、 第 i番目のサンプル画像の代表輝 度値をもつカーブ上の点を制御点と認識し、 この制御点を所定方向に周期的に 移動させ、 移動後の制御点を通るようにカーブを滑らかに変形することにより 階調再現特性の変動を行うようにしたものである。
(39) . 本発明の第 3 9の態様は、 上述の第 3 8の態様に係るカラーモニタの 階調再現特性測定装置において、
サンプル画像の代表階調値として、 画像データ格納手段に格納されている画 像データによって示される個々の画素のすべての色についての画素値の最頻値 もしくは平均値を求め、 求めた代表階調値に基づいて所定の璣算方法により換 算された値を、 当該サンプル画像の代表輝度値として用いるようにしたもので ある。
(40) 本発明の第 4 0の態様は、 上述の第 3 8の態様に係るカラーモニタの 階調再現特性測定装置において、
サンプル画像の代表輝度値として、 物理的出力媒体上の当該サンプル画像全 体に対する輝度の実測値を用いるようにしたものである。
(41) 本発明の第 4 1の態様は、.上述の第 2 7〜第 4 0の態様に係るカラ一 モニタの階調再現特性測定装置において、
特性修正手段が、 カラ一モニタの画面上に表示されたサンプル画像について、 主として明るさを変えるための指示入力に基づいて階調再現特性を修正する明
るさ修正操作と、 主として色を変えるための指示入力に基づいて階調再現特性 を修正する色修正操作と、 の 2通りの修正操作を行う機能を有するようにした ものである。
(42) 本発明の第 4 2の態様は、 上述の第 4 1の態様に係るカラ一モニタの 階調再現特性測定装置において、
階調再現特性格納手段が、 三原色 R G Bのそれぞれについての階調値と輝度 との関係を示すカーブを、 階調再現特性を示すグラフとして格納しており、 特性修正手段が、 明るさ修正操作を行う際には、 三原色 R G Bの各カーブの すべてに対して修正を行い、 色修正操作を行う際には、 修正対象となる色の力 ーブに対してのみ修正を行うようにしたものである。 ·
(43) 本発明の第 4 3の態様は、 上述の第 2 7〜第 4 2の態様に係るカラー モニタの階調再現特性測定装置において、
サンプル画像として、 オペレータが目視した際に、 ほぼ無彩色の絵柄として 認識することができる画像を用いるようにしたものである。
(44) 本発明の第 4 4の態様は、 上述の第 2 7〜第 4 3の態様に係るカラー モニタの階調再現特性測定装置における階調再現特性格納手段、 画像デー夕格 納手段、 画像表示手段、 特性変動手段、 一致信号入力手段および特性出力手段 としてコンピュータを機能させるためのプログラムを用意し、 これをコンビュ 一夕読み取り可能な記録媒体に記録して配付できるようにしたものである。
(45) 本発明の第 4 5の態様は、三原色 R G Bを用いてカラー画像を表示す る機能をもったカラーモニタにおける入力信号階調値と実際の表示輝度との関 係を示す階調再現特性を測定するためのカラーモニタの階調再現特性測定装置 装置において、
目視によつて輝度と階調値との対応関係を求める手段と、
無彩色に見える三原色の階調値の組み合わせを求める手段と、
輝度と階調値との対応関係と、 三原色の組み合わせから、 各原色ごとの階調
再現特性を演算により求める特性演算手段と、
を設けるようにしたものである。 図 面 の 簡 単 な 説 明
図 1は、 測定対象となるモニタ 1 0 0に、 モニタ特性測定装置として機能す るパソコン 2 0 0を接続した状態を示すブロック図である。
図 2は、 モニタの一般的な階調再現特性を示すグラフである。
図 3 Aおよび図 3 Bは、 目視により階調再現特性を測定する代表的な方法の 基本原理を示す図であり、 図 3 Aはオペレータに提示するテストパターンを示 す平面図、 図 3 Bはこのテストパターン内の第 2属性の領域 2 0の部分拡大図 である。
図 4.は、 図 3に示すテストパターンを用いた測定結果に基づいて求められた 階調再現特性を示すグラフである。
図 5は、 一般的なカラーモニタについて、 各原色ごとの階調再現特性を測定 した結果を示すグラフである。
図 6は、 明るさ変動操作および色変動操作をオペレータの操作入力に基づい て行う場合に用いる操作パネルの一例を示す平面図である。
図 7は、 明るさ変動操作および色変動操作をオペレータの操作入力に基づい て行う場合に用いる操作パネルの別な 例を示す平面図である。
図 8は、 明るさ変動操作および色変動操作を自動的に行わせ、 オペレータに 一致入力操作を行わせる場合に用いる操作パネルの一例を示す平面図である。 図 9は、 明るさを一致させる操作と色を一致させる操作を交互に繰り返し実 行する処理手順の一例を示す流れ図である。
図 1 0は、 5点〇, Q l , Q 2 , Q 3 , Pを通る近似関数曲線を演算により 求める実施形態を説明するためのグラフである。
図 1 1は、' 5点 0, Q l , Q 2 , Q 3 , Pを通る近似関数曲線が S字力一ブ
になる塲合の演算方法を説明するためのグラフである。
図 1 2 Aは、 より好ましい測定結果を得ることができる新規なテストパ夕一 ンを示す平面図であり、 図 1 2 Bは、 このテストパターン内の第 2属性の領域 6 0内に表示される参照パターンの拡大図である。
図 1 3 Aは、 矩形状の単位セルを二次元行列状に配列した参照パターンを用 いて、 参照輝度 2 5 %の参照パターンを形成した例を示す平面図であり、 図 1 3 Bは、 矩形状の単位セルを二次元行列状に配列した参照パターンを用いて、 参照輝度 7 5 %の参照パターンを形成した例を示す平面図である。
図 1 4は、 同一半径 rの円により、 同一属性の領域 7 0を構成し、 二次元平 面上に所定ピッチで配置した例を示す平面図である。 .
図 1 5は、 一対の対象物 (円形の同一属性の領域) 7 0をピッチ? で配置 した場合の視覚系の感度を説明する平面図である。
図 1 6は、 人間の視覚系の感度特性を示すグラフであり、 横軸は、 観察対象 物の空間周波数 (単位: cycle/deg) を対数尺度で示し、 '縦軸は、 対象物の明 喑差および色差を弁別する人間の視覚系の相対感度値を示す。
図 1 7は、 図 1 6に示すグラフから、 各最適値を抽出して示す表である。 図 1 8は、 本発明に係るカラ一モニタの階調再現特性測定装置の基本構成を 示すブロック図である。
図 1 9は、 本発明に係る別なカラ一モニタの階調再現特性測定方法に用いる サンプル画像を示す平面図である。
図 2 0は、 図 1 9に示すサンプル画像を用いた階調再現特性測定方法におけ る階調再現特性の修正原理を示すグラフである。
図 2 1は、 図 1 9に示すサンプル画像 H aを用いたオペレータによる修正操 作画面の一例を示す平面図である。
図 2 2は、 図 1 9に示すサンプル画像 H bを用いたオペレータによる修正操 作画面の一例を示す平面図である。
図 2 3は、 図 1 9に示すサンプル画像 H eを用いたオペレータによる修正操 作画面の一例を示す平面図である。
図 2 4は、 本発明に係るサンプル画像を用いたカラーモニタの階調再現特性 測定装置の基本構成を示すブロック図である。
5 図 2 5は、 図 2 4に示す測定装置を用いた特性測定の処理手順を示す流れ図 である。
, 図 2 6は、 図 1 9に示す各サンプル画像について求めた代表階調値および代 表輝度値を示す図である。
図 2 7は、 図 2 6に示すサンプル画像を用いた階調再現特性測定方法におけ 10 る階調再現特性の修正原理を示すグラフである。 '
, 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。 _
' «< § 1 . 従来の一般的な目視による階調再現特性の測定方法 >>〉
15 はじめに、 従来から一般的に行われている目視によるモニタの階調再現特性 の測定方法の基本原理を説明する。 通常、 目視によりモニタ特性を測定する場 合、 図 1のブロック図に示すように、 測定対象となるモニタ 1 0 0に接続した パソコン 2 0 0をモニタ特性測定装置として利用す ことができる。 すなわち、 パソコン 2 0 0内に、 階調再現特性を測定するためのプログラムを予め組み込
20 んでおき、 このプログラムを動作させることにより、 モニタ 1 0 0の画面上に 後述するようなテストパターンを表示させるようにし、 パソコン 2 0 0の入力 機器を利用してオペレータからの応答を得ることにより、 測定に必要なデータ の取り込みを行うことができる。
ここでは、 本発明に直接関連した階調再現特性 (いわゆるガンマ特性) を測
25 定する方法について述べるが、 モニタ特性測定装置として機能するパソコン 2 0 0を用いれば、 三原色の色度や白色の色度などの特性も測定することが可能
であり、 これらの測定結果は、 一般に、 目視によるモニタプロファイルデータ と呼ばれている。 プロファイルデ一夕の測定対象となるモニタ 1 0 0は、 いわ ゆる C R Tモニタに限らず、 液晶ディスプレイなども含まれる。 なお、 本明細 書における 「モニタ」 とは、 「ディスプレイ装置」 と同義であり、 電気信号に 基づいて画像を提示する機能をもった装置を広く含むものである。 また、 モニ 夕 1 0 0とパソコン 2 0 0とを接続する際、 通常、 画像信号を受け渡すための インターフェイスとして機能するグラフィックポ一ドが用いられるが、 このグ ラフィックボードのような画像処理回路は、 モニタ 1 0 0の表示特性を左右す る構成要素であるから、 モニタ特性測定装置による測定対象物の一部を構成す るものである。 別言すれば、 本発明において 「モニタ 1 0 0」 とは、 グラフィ ックボードのような画像処理回路も含んだ概念になる。
図 2.は、 モニタの一般的な階調再現特性を示すグラフである。 図示のとおり、 この階調再現特性は、 モニタ 1 0 0に与えられる入力信号の階調値と、 モニタ 1 0 0の画面上に得られる実際の表示輝度との関係を示すグラフになっている。 ここでは、 説明の便宜上、 階調値が 8ビットのデータで表現される 0〜 2 5 5 の 2 5 6段階をとるものとし、 輝度を 0 %〜1 0 0 % (モニタの能力に依存し た、 もしくは所定の設定に基づく最低輝度〜最高輝度) で表すことにする。
この場合、 図のグラフに示されているとおり、 最小階調値 0と最低輝度 0 % とは一致し (グラフの原点 0)、 最大階調値 2 5 5と最高輝度 1 0 0 %とは一 致する (グラフの点 ·Ρ )。 これは、 最小階調値 0を示すデータが入力された場 合には、 最低輝度 0 %による表示を行い、 最高階調値 2 5 5を示すデータが入 力された場合には、 最高輝度 1 0 0 %による表示を行うような設定が、 モニタ 1 0 0の回路 (通常は、 グラフィックボード上の回路) によってなされている からである。 しかしながら、 その中間の階調値と輝度との関係は、 必ずしも線 形の関係にはならない。 これは、 グラフィックポ一ド上の DZA変換回路など の特性に基づくものであり、 この階調再現特性は、 通常、 個々のモニタの品種
ごとに異なり、 厳密に言えば、 個々のロットごとによっても異なる。
一般的な C R Tモニタでは、 階調再現特性を示すグラフが 「輝度 =階調値つ という、 ァ乗の項をもつ関数曲線に近似できることが知られている。 このァ値 は、 Windows (登録商標) では、 「IEC61966- 2-1: Colour Measurement and Management in Multimedia Systems and Equipment-Part2-1 :Default RGB Colour Space-sRGBj規格に合せて、 2 . 2にすることが推奨されている。 また、 Macintosh (登録商標) では、 印刷用データをモニタに表示する用途が 多いため、 印刷の階調再現特性に近い、 1 . 8にすることが推奨されている。 図 に一点鎖線で示すグラフ Aは、ァ = 2 · ·2の場合の階調再現特性を示しているが、 実際には、 図に実線で示すグラフ Β , 。のように、 個々のモニタごとに固有の 力一ブを描くことになる。 したがって、 パソコン 2 0 0側からモニタ 1 0 0側 に、 階調値 1 8 6を示すデータを与えた場合、 グラフ Αに示すような理想的な 特性をもつモニタでは、 点 Q 1の縦座標値である 5 0 %の輝度が得られるが、 グラフ B, Cに示すような特性をもつモニタでは、 それぞれ点 Q 2 , Q 3の縦 座標値に対応する輝度が得られてしまう。 逆に言えば、 グラフ Bに示す特性を もつモニタに、 階調値 1 8 6に相当する本来の輝度 5 0 %の表示を行わせるた めには、 階調値 1 8 6を点 Q 4の横座標値に相当する階調値 1 5 0に補正する 処理を行う必要が生じ、 グラフ Cに示す特性をもつモニタに、 階調値 1 8 6に 相当する本来の輝度 5 0 %の表示を行わせるためには、 階調値 1 8 6を点 Q 5 の横座標値に相当する階調値 2 0 0に補正する処理を行う必要が生じる。
このような補正は、 一般にガンマ補正と呼ばれている。 結局、 モニタ 1 0 0 をパソコン 2 0 0などに接続して利用する際には、 予め、 このモニタ 1 0 0に 固有の階調再現特性を示すグラフを、 モニタプロファイルデータとして求めて おき、 このデータを利用したガンマ補正を行う必要がある。
既に述べたとおり、 個々のモニタについての階調再現特性を測定する手法と しては、 光学的な測定装置を用いる手法もあるが、 通常は、 人間の目による目
視を行いながら特性データを得る手法が採られる。 図 3 A, 図 3 Bは、 目視に より階調再現特性を測定する代表的な方法の基本原理を示す平面図である。 こ の方法では、 まず、 測定対象となるモニタ 1 0 0の画面上に、 図 3 Aに示すよ うなテストパターンを表示させる。 このテストパターンは、 第 1属性の領域 1 0と第 2属性の領域 2 0とによって構成されている。 図示の例では、 第 1属性 の領域 1 0は正方形状の領域であり、 第 2属性の領域 2 0はこれを取り囲むよ うな枠状の領域である。 第 1属性の領域 1 0内には、 一様な均一パターンを表 示させるようにし、 第 2属性の領域 2 0内には、 所定の参照輝度をもった参照 パターンを表示させるようにする。
既に述べたとおり、 図 2のグラフの両端は、 ガンマ特性を示す曲線がどのよ うなものであろうとも、 点 O, Pと定まっている。 すなわち、 最小階調値 0を 示すデータが与えられた領域は、 常に最低輝度 0 % (真っ黒) で表示され、 最 大階調値 2 5 5を示すデータが与えられた領域は、 常に最高輝度 1 0 0 % (真 つ白) で表示される。 第 2属性の領域 2 0には、 この性質を利用して、 基準と なる参照輝度をもつた参照パターンを表示させるようにする。
図 3 Bは、 第 2属性の領域 2 0の部分拡大図である。 図示のとおり、 第 2属 性の領域 2 0は、.最小階調値 0をもつ帯状の第 1副領域 2 1と、 最大階調値 2 5 5をもつ帯状の第 2副領域 2 2と、 を交互に配置することにより構成される。 いわば、 白黒のストライプ模様が形成されている。 ここで、 第 1副領域 2 1と 第 2副領域 2 2との面積比を 1 :.' 1に設定すれば (別言すれば、 白黒のス卜ラ イブの幅がすべて等しくなるように設定すれば)、 個々の副領域 2 1, 2 2は 最低輝度 0 %もしくは最高輝度 1 0 0 %で表示されているものの、 ある程度の 距離だけ離れて目視観察すれば、 疑似的に 5 0 %の輝度で表示されている領域 として認識されることになる。 もちろん、 そのためには、 白黒のストライプの 幅寸法を、 ある程度小さく設定し、 ストライプパターン自身の肉眼観察が困難 になるようにしておく必要がある。
. 結局、 図 3 Aに示すテストパターンにおいて、 周囲の枠領域を形成している 第 2属性の領域 2 0は、 疑似的に 5 0 %の輝度を示す参照パターンとして機能 する。 一方、 第 1属性の領域 1 0には、 一様な均一パターンが表示される (別 言すれば、 全画素が同一の階調値をもつ) が、 その明るさ (階調値) は、 オペ レ一夕の入力操作によって可変となるようにしておく。 そして、 オペレータに、 このテストパターンを目視させながら、 第 1属性の領域 1 0の明るさが、 第 2 属性の領域 2 0の明るさと同一になるように、 第 1属性の領域 1 0内の画素に ついての階調値を調整する操作を行わせる。
ここで、 たとえば、 第 1属性の領域 1 0内の画素の階調値を 8 5に設定した ときに、 領域 1 0 , 2 0の明るさが同一になったとすれば、 このモニタの場合、 参照輝度 5 0 %に対応する階調値が 8 5であることが認識できる。 そこで、 図 4のグラフに示すように、 参照輝度 5 0 %と対応階調値 8 5とを両座標値にも つ点 Qをプロットし、 点 0, Q, Pの.3点を滑らかに結ぶ曲線を求めれば、 こ の曲線が、 求めるべき階調再現特性 (ガンマ特性) ということになる。 前述し たとおり、 一般的な C R Tモニタの階調再現特性は、 「輝度 階調値つ という 関数曲線に近似できるので、 3点が決まれば、 図 4のような曲線を一義的に決 定することが可能である。 結局、 図 4に示すような特性をもったモニタに、 輝 度 5 0 %に相当する表示を行わせる場合には、 階調値 8 5を示すデ一夕を与え ればよいことになる。
«< § 2 . 本発明に係る基本的な階調再現特性の測定方法 >»
上述した従来の階調再現特性の測定方法によれば、 オペレータの目視に基づ く測定が可能になり、 人間の目の感度特性に合致した測定結果が得られるメリ ットがある。 しかしながら、 印刷物を作成する D T P処理に利用されるカラ一 モニタなどでは、 より精度の高い階調再現特性の測定が求められており、 従来 の測定方法では必ずしも十分な測定結果を得ることができない。 本願発明者が 行った実験によると、 特に、 液晶カラーディスプレイや、 経年変化が生じた C
R Tカラーモニタに対して、 十分な精度をもった測定が困難であることが確認 できた。 その主たる理由は、 カラ一モニタの場合、 階調再現特性が色ごとに異 なっているためであると考えられる。
一般に、 カラーモニタでは、 三原色 R G Bを用いたカラー画像表示が行われ るため、 三原色 R G Bのそれぞれについて別個の階調値を指定する必要がある。 しかしながら、 従来の階調再現特性の測定手法には、 色ごとに別個の特性を測 定するという考え方はなく、 三原色すベてを一括した取り扱いしか行われてい ない。 たとえば、 図 3 Aに示すようなテストパターンを用いた測定では、 三原 色 R G Bの階調値を常に共通にするという前提で、 第 1属性の領域 1 0内の明 るさ調整が行われる。 このため、 従来め方法で得られた階調再現特性は、 三原 色 R G Bに共通の特性となり、 図 4に示すような階調再現特性が得られた場合、 ' この同.じ特性を用いて、 三原色 R G Bのすべてに対するガンマ補正が行われる ことになる。
従来から、 このような取り扱いがなされてきたのは、 一般的なカラーモニタ の場合、 三原色 R G Bの階調再現特性がほぼ同一であると考えられてきたため である。 確かに、 C R Tカラーモニタの場合、 製品出荷時には、 原色 R G Bの 階調再現特性がほぼ同一となるような調整がなされている。 しかしながら、 経 年変化により、 蛍光体に劣化が生じるため、 各原色ごとの階調再現特性にばら つきが生じてくる。 また、 一般的な液晶カラーディスプレイの場合、 製品出荷 時において、 既に、 各原色ごとの階調再現特性が異なっている。
本願発明者は、 多数のメーカー製の多種類の C R Tカラーモニタおよび液晶 ディスプレイについて、 光学的な測定装置を用いて、 実際に各原色ごとめ階調 再現特性を測定した結果、 中古の C R Tカラーモニタの多くについて、 そして 液晶ディスプレイについては新品、 中せにかかわらず、 ある共通した傾向が見 られることを発見した。 それは、 三原色 R G Bのうち、 原色 R (赤) および原 色 G (緑) については、 ほぼ同一の階調再現特性が得られるのに対し、 原色 B
(青) については、 異なる階調再現特性が得られる、 という傾向である。 より 具体的に説明すれば、 多くの液晶カラーモニタについては、 図 5に示すような 傾向をもった階調再現特性が得られた。 図示の例において、 グラフ C r, Cg, Cbは、 それぞれ原色 R, G, Bについて測定された階調再現特性である。 グ ラフ C r, Cgは、 同一の力一ブを描いているが、 グラフ Cbは、 やや上方に 外れたカーブを描いている。 一方、 中古の CRTカラーモニタについては、 .逆 に、 グラフ Cbだけがやや下方に外れたカーブを描く。
このように共通した傾向が現れた理由については、 現在のところ、 理論的な 解析はなされていないが、 いずれのメ一力一のいずれの機種についても、 ほぼ 同様の傾向が見られた点を考慮すると、 三原色 RGBを用いたカラーモニタに ついては、 ほぼ共通して見られる普遍的な傾向であると考えられる。 本願発明 者は、 液晶カラ一モニタについては、 液晶素材の性質や偏光板の光学特性によ り、 このような傾向が現われると考えており、 また、 中古の CRTカラ一モニ 夕については、 青の蛍光体の劣化が赤や緑の蛍光体の劣化より激しいためと考 えている。 結局、 この図 5に示すように、 色ごとに異なる階調再現特性をもつ たカラ一モニタに、 輝度 50 %のグレー表示を行わせるためには、 原色 R, G については、 点 Qr, Qgの横座標値である 85を階調値として与え、 原色 B については、 点 Qbの横座標値である 46を階調値として与える必要がある。 本発明の基本思想は、 上述のような事実を踏まえ、 三原色 RGBの各原色ご との階調再現特性をすベて別個独立して求めることにより、 あるいは、 少なく ' とも原色 R, Gについての階調再現特性と原色 Bについての階調再現特性とを 別個独立して求めることにより、 高精度の階調再現特性の測定を可能にする、 という点にあ—る。
本発明に係るカラ一モニタの階調再現特性測定装置は、 三原色 RGBを用い てカラ一画像を表示する機能をもったカラーモニタにおける入力信号階調値と 実際の表示輝度との関係を示す階調再現特性を目視により測定するための装置
であり、 その基本原理は、 § 1で述べた従来の測定手法と同様に、 図 3Aに示 すようなテストパターンを用いるものである。 ただ、 本発明では、 色ごとに異 なる階調再現特性を求めるために、 次のような工夫を施している。
すなわち、 第 1属性の領域 10については、 常に明るさおよび色が一様な均 一パターンが表示されるようにするが、 この均一パターンの明るさおよび色は、 オペレータの操作に基づいて、 あるいは、 所定の規則に基づいて自動的に変動 するようにする。 明るさだけでなく、 色についても変動させる点が、 従来の方 法にはない新たな手法である。 そして、 オペレータには、 第 1属性の領域 10 と第 2属性の領域 20とを目視により比較させ、 両領域の明るさおよび色がと もに一致したとの認識が得られるまで、 集 1属性の領域 10についての明るさ および色の変動を継続させる。
この明るさの変動と色の変動とは、 原理的には同時に行うことも可能である が、 実用上は、 明るさ変動操作と色変動操作とを別個独立して行うようにし、 オペレータには、 明るさ変動操作中に明るさの一致についての認識を行わせ、 色変動操作中に色の一致についての認識を行わせるのが好ましい。
明るさ変動操作は、 三原色 RGBの各階調値のすべてについて、 共通の変動 量を増減する作業によって行うことができる。 たとえば、 R=120、 G= 1 20、 B= 120なる階調値により、 第 1属性の領域 10に所定の均一パター ンが表示されている状態において、 共通の変動量 S二 5を増加させる作業を行 えば、 階調値は1 = 125、 G=125、 B=125となり、 第 1属性の領域 10に表示されている均一パターンの輝度は若干上昇する。 逆に、 共通の変動 量 S = 5を減少させる作業を行えば、 階調値は R= 1 15、 G=115、 B = 1 15となり、 第 1属性の領域 10に表示されている均一パターンの輝度は若 干下降する。 このような明るさ変動操作は、 目視による色の変動はほとんど生 じることがなく (もちろん、 厳密には、 色の変動が認識される可能性はあるが)、 主として均一パターンの明るさを変える操作ということができる。
一方、 色変動操作は、 三原色 RGBのうちのいずれか 1つの特定色について の階調値を増減する作業によって行うことができる。 たとえば、 R=120、 G=120、 B= 120なる階調値により、 第 1属性の領域 10に所定め均一 パターンが表示されている状態において、 特定色 Rについての階調値を、 変動 量 S= 5だけ増加させる作業を行えば、 階調値は R=125、 G=120、 B =120となり、 第 1属性の領域 10に表示されている均一パターンの赤味を 若干強くすることができる。 逆に、 変動量 S= 5だけ減少させる作業を行えば、 階調値は R=1 15、 G=120、 B=l 20となり、 第 1属性の領域 10に 表示されている均一パターンの赤味を若干弱めることができる。 このような色 変動操作では、 目視による明るさの変動は少なく、 主として均一パターンの色 を変える操作ということができる。
オペレータの操作入力に基づいて、 階調値を変動させるには、 たとえば、 図
6に示すような操作パネルを画面上に表示させ、 オペレータのマウス操作など により、 各原色の階調値を調節させるようにすればよい。 この操作パネルでは、 明るさ変動操作と色変動操作とを別個独立して行うことができる。 すなわち、 この操作パネルを構成する 4本の水平バ一は、 いずれも 0〜255の範囲内の 所定の階調値を示すバ一になっており、 ハッチングを施したバーの右端の位置 が所定の階調値を示している。 そして、 各バーの右端の位'置は、 マウスカーソ ル Mによりクリックした位置に即座に修正されるようになっており、 オペレー 夕は、 4本のバーの右端位置を任意の位置に設定することができる。
図に 「R」, 「G」, 「B」 と記された各バーは、 それぞれ原色 RGBの階調値 を設定するためのバーである。 これに対して、 「明るさ」 と記されたバーは、 常に、 その時点における原色 R G Bの階調値の平均を示すバーになっている。 したがって、 「R」, 「G」, 「B」 と記されたいずれかのバーについて階調値の 修正 (右端位置の修正) を行うと、 「明るさ」 と記されたバーについての階調 値も即座に連動して修正される。 逆に、 「明るさ」 と記されたバーについての
階調値の修正を行うと、 「R」, 「G」, 「B」 と記された各バーについて階調値 がそれに応じた分だけ即座に連動して修正される (たとえば、 各バーの階調値 に応じた按分比で、 「明るさ」 バーに対する変動分を調整すればよい)。
このような操作パネルを用いれば、 オペレータは、 明るさ変動操作を行う場 合には、 「明るさ」 と記されたバーについての階調値の修正操作を行えばよい し、 色変動操作を行う場合には、 「R」, 「G」, 「B」 と記されたいずれかのバ 一について階調値の修正操作を行えばよい。 たとえば、 より明るくする変動操 作を行うのであれば、 「明るさ」 と記されたバーの右端よりも更に右側位置を マウスクリックすればよいし、 赤味を若干弱める変動操作を行うのであれば、 「R」 と記されたバーの右端よりも若干左の位置をマウスクリックすればよい。 この図 6に示す操作パネルを、 図 3 Aに示すテストパターンの近傍に表示さ せておき、 オペレータに、 明るさ変動操作および色変動操作を行わせながら、 第 1属性の領域 1 0および第 2属性の領域 2 0の明るさと色が一致するような 調整を行わせれば、 三原色 R G Bの各原色ごとの階調再現特性を別個独立して 求めることができる。 たとえば、 第 2属性の領域 2 0内に 5 0 %の輝度に相当 する参照パターンを表示させた状態において、 オペレータが、 明るさと色の双 方が一致したと認識した場合を考えよう。 このように、 明るさと色の双方が一 致したとの認識が得られたときには、 オペレータに、 一致ポタン 3 0をクリツ クしてもらうようにする。 この時点において、 図 6に示す操作パネルにおける 「R」, 「G」, 「B」 と記された各バーが示す階調値が、 それぞれ R = 8 5、 G = 8 5、 B = 4 6であったとすると、 結局、 図 5に示すように、 各原色ごとの 階調再現特性を示すグラフ C r, C g , C bが得られることになる。
もっとも、 図 6に示す操作パネルを用いた階調値の変動操作は、 実用上、 熟 練したオペレータでなければ、 実施が困難である。 これは、 一般的なオペレー 夕の場合、 「第 1属性の領域 1 0と第 2属性の領域 2 0とでは、 色合いが若干 異なっている」 という認識はできるものの、 「三原色のうちのどの色成分を増
減したら、 同じ色が得られるのか」 という判断ができないためである。 このよ うに、 図 6に示す操作パネルを用いた測定を行った場合、 三原色 R G Bのすベ てについて、 それぞれ別個独立した階調再現特性を求めることができるものの、 実用上は、 オペレータに測定操作上の負担を課すことになる。 その根本原因は、 明るさ、 原色 R、 原色 G、 原色 Bという 4つのパラメータが調整対象となって いるためである。
そこで本願発明者は、 図 7に示すような実用的な操作パネルを案出した。 こ の操作パネルには、 4つの調整ポタン 3 1〜3 4と一致ポタン 3 0が設けられ ている。 4つの調整ポタン 3 1〜3 4の配置は、 各ポタンを配置する平面上に 図示のような X Y二次元座標系 (実際の操作パネルには、 このような座標系は 表示されない) を定義したときに、 第 1ポタン 3 1および第 2ボタン 3 2が X 軸上の原点を挟んだ対向位置に配置し、 第 3ポタン 3 3および第 4ポタン 3 4 が Y軸上の原点を挟んだ対向位置に配置されていることになる。 4つの調整ポ タン 3 1〜3 4の形状は、 この例では三角形になっているが、 必ずしも三角形 にする必要はない。
ここで、 第 1ポタン 3 1は、 第 1属性の領塽 1 0内に表示される均一パター ンを明るくする指示を与えるポタンであり、 第 2ポタン 3 2は、 均一パターン を暗くする指示を与えるポタンであり、 第 3ポタン 3 3は、 均一パターンの特 定色の成分を強める指示を与えるポタンであり、 第 4ポタン 3 4は、 均一パタ ーンの特定色の成分を弱める指示を与えるポタンである。 この例では、 特定色 として、 原色 Bが設定されている。 - 各ポタンの操作と、 各原色の階調値の変動操作との関係は、 次のようになる。 まず、.第 1ポタン 3 1に対する操作入力 (たとえば、 マウスクリック) があつ た場合には、 三原色 R G Bの各階調値のすべてについて、 共通の変動量を加え る変動操作が行われ、 第 2ポタン 3 2に対する操作入力があった場合には、 三 原色 R G Bの各階調値のすべてについて、 共通の変動量を減じる変動操作が行
われる。 また、第 3ポタン 3 3に対する操作入力があった場合には、特定色(こ の例では原色 B ) の階調値について、 所定の変動量を加える変動操作が行われ、 第 4ポタン 3 4に対する操作入力があった場合には、 特定色の階調値について、 所定の変動量を減じる変動操作が行われる。
たとえば、 変動量 S = 5に設定されていたとすると、 第 1ポタン 3 1をクリ ックするたびに、 三原色 R G Bの全階調値が 5だけ増加する修正が行われ、 第 2ポタン 3 2をクリックするたびに、 三原色 R G Bの全階調値が 5だけ減少す る修正が行われる。 同様に、 第 3ボタン 3 3をクリックするたびに、 特定色で ある原色 Bの階調値だけが 5だけ増加する修正が行われ、 第 4ポタン 3 4をク リックするたびに、 原色 Bの階調値だけが 5だけ減少する修正が行われる。 も ちろん、 各階調値の許容範囲は 0〜2 5 5となっているので、 最小階調値 0お よび最大階調値 2 5 5を越えるような修正はできない。
結局、 この図 7に示す操作パネルでの調整対象は、 明るさと原色 Bという 2 つのパラメータだけになる。 しかも、 明るさのパラメータ調整は X軸方向に関 する操作、 原色 Bのパラメ一夕調整は Y軸方向に関する操作、 というように、 直感的に把握可能な操作体系となっているため、 図 6に示す操作パネルに比べ ると、 操作性は極めて向上している。 第 1ポタン 3 1および第 2ポタン 3 2は、 主として均一パターンの明るさが変わるように階調値を変動させる明るさ変動 操作を行うためのポタンであり、 第 3ポタン 3 3および第 4ポタン 3 4は、 主 として均一パターンの色が変わるように階調値を変動させる色変動操作を行う ポタンということになる。
また、 各ポタン 3 1〜3 4の脇には、 明暗青黄なる文字が示されており、 ォ ペレ一夕に直感的な指針を示している。 すなわち、 オペレータは、 より明るく 修正したい場合には第 1ポタン 3 1をクリックし、 より暗く修正したい場合に は第 2ポタン 3 2をクリックし、 より青っぽくしたい場合 (青成分を増加させ たい場合) には第 3ポタン 3 3をクリックし、 より黄色っぽくしたい場合 (青
成分を減少させたい場合) には第 4ポタン 3 4をクリックすればよい。 そして、 最終的に、 明るさと色との双方が一致したと認識できたときには、 一致ポタン 3 0をクリックすればよい。
この図 7に示す操作パネルでは、 三原色 R G Bの階調値をそれぞれ独立して 設定することはできず、 原色 Rと原色 Gの階調値は常に同一になる。 したがつ て、 三原色 R G Bの各原色ごとの階調再現特性のすべてを別個独立して求める ことはできない。 しかしながら、 特定色として設定された原色 Bの階調値を、 他の原色 R, Gの階調値と異ならせるような設定を行うことはできるので、 原 色 R, Gについての階調再現特性と原色 Bについての階調再現特性とを別個独 立して求めることは可能である。
既に図 5のグラフに基づいて説明したとおり、 多くのカラーモニタでは、 三 原色 R G Bのうち、 原色 Rおよび原色 Gについては、 ほぼ同一の階調再現特性 が得られるのに対し、 原色 Bについては、 異なる階調再現特性が得られる、 と いう傾向がある。 したがって、 このような傾向をもったカラ一モニタについて の特性を測定することを前提とすれば、 図 7に示す操作パネルにより階調値の 変動操作を行えば、 実用上、 支障は生じない。 要するに、 この図 7に示す操作 パネルでは、 三原色 R G Bのうちの原色 Bを特定色とし、 原色 Bの階調再現特 性を示すグラフと、 原色 Rおよび Gに共通した階調再現特性を示すグラフと、 - を別個に求めることができる。
なお、 ポタンをクリックすることにより階調値を増減させる変動量 Sは、 任 意に切り替え可能としておいてもよい。 たとえば、 変動量 S = 5という粗調整 の設定と、 変動量 S = lという微調整の設定とを設けておき、 最初の段階では、 粗調整の設定で大まかな階調値の変動操作を行い、 明るさと色とがある程度近 似したと認識された時点で、 微調整の設定に切り替え、 細かな変動量を用いて 細かな階調値の変動操作を続行する、 という手法を採ることもできる。
あるいは、 各ポタンのクリック箇所により、 変動量を変えるような構成にし
ておくことも可能である。 たとえば、 各ポタン 3 1〜3 4を構成する三角形の 先端部分 (X Y座標系の原点から離れた部分) をクリックすると、 大きな変動 量 (たとえば、 変動量 S = 5 ) による階調値の変動操作が行われ、 三角形の底 辺部分 (X Y座標系の原点に近い部分) をクリックすると、 小さな変動量 (た とえば、 変動量 S = l ) による階調値の変動操作が行われるようにしておけば、 オペレータは、 適宜、 必要な変動量に応じたクリック操作を行うことにより、 効率的な測定作業を行うことができるようになる。
«< § 3 . 階調値を自動的に変動させる方法 >>>
上述した §. 2では、 図 6あるいは図 7に示すような操作パネルを利用して、 オペレータ fc明るさや色を変動させるための操作入力を行わせ、 階調値の変動 操作を行う例を示した。 特に、 図 7に示す操作パネルを用いれば、 明るいか喑 いか、 青っぽいか黄色っぽいか、 という 2つのパラメ一夕に応じた調整操作を 行えばよいので、 図 6に示す操作パネルを用いた場合に比べて、 オペレータの 作業負担は大幅に軽減される。 しかしながら、 いずれの操作パネルを用いたと しても、 オペレータ自身が、 明るさや色が一致する方向に操作入力を行わねば ならない点では変わりはない。
ここでは、 このような操作入力の負担を更に軽減させる方法を述べる。 この 方法の主眼は、 予め定められた所定の規則にしたがって、 第 1属性の領域 1 0 内に表示される均一パターンの階調値を時間とともに自動的に変動させるよう にし、 オペレータに、 均一パターンの明るさや色が参照パターンと一致したと 認識できた時点で、 一致ポタンなどをクリックして報知してもらうことにある。 ここで、 階調値を時間とともに自動的に変動させるための規則としては、 明る さと色が必要な範囲内で変動するような規則であれば、 どのような規則であつ てもかまわないが、 実用上は、 明るさを変動させる操作と、 色を変動させる操 作と、 の 2通りの変動操作を分けて実行するような規則にするのが好ましい。 具体的には、 三原色 R G Bの各階調値のすべてについて、 所定のタイミング
で共通の変動量を加えるもしくは減じることにより、 主として均一パターンの 明るさが変わるように階調値を変動させる明るさ変動操作と、 三原色 R G Bの うちのいずれか 1つの特定色 (実用上は、 前述したとおり、 原色 Bを特定色に するのが好ましい) の階調値について、 所定のタイミングで所定の変動量を加 えるもしくは減じることにより、 主として均一パターンの色が変わるように階 調値を変動させる色変動操作と、 の 2通りの変動操作を行うようにすればよい。 上述の明るさ変動操作は、 図 7に示す操作パネルにおける第 1ポタン 3 1も しくは第 2ポタン 3 2を所定のタイミングで自動的にクリックする処理に相当 する。 たとえば、 共通の変動量 S = + 5 ( +は階調値を増加させることを示す) を設定し、 所定のタイミングとして 1秒ごとの繰り返し周期を設定しておけば、. 三原色 R G Bの各階調値のすべてが 1秒ごとに 5ずつ自動的に増加することに なる。 あるいは、 共通の変動量 S = _ 6 (—は階調値を減少させることを示す) を設定し、 所定のタイミングとして 2秒ごとの繰り返し周期を設定しておけば、 三原色 R G Bの各階調値のすべてが 2秒ごとに 6ずつ自動的に減少することに なる。
なお、 各階調値は、 0〜2 5 5の許容範囲しかとり得ないので、 変動量を加 算する変動操作により樽られる階調値が最大階調値 2 5 5を上回ってしまう場 合には、 超過分を最小階調値 0から計数する循環処理を行い、 変動量を減算す る変動操作により得られる階調値が最小階調値 0を下回ってしまう場合には、 超過分を最大階調値 2 5 5から計数する循環処理を行うようにする。 たとえば、 階調値 2 5 3に変動量 5を加算すると、 階調値は 2 5 8になってしまうが、 そ の場合は、 そこから 2 5 6を減じることにより得られる階調値 2を代わりに用 いるようにする。 要するに、:階調値を 2 5 5→0というように循環させて、 超 過分の 3段階分の階調値を、 最小階調値 0から 0, 1, 2と計数することにな る。 同様に、 階調値 2から変動量 6を減算するような場合、 減算結果は一 4に なってしまうが、 2 5 6を加えることにより得られる階調値 2 5 2を代わりに
用いるようにする。 要するに、 階調値を 0→255というように循環させて、 超過分の 4段階分の階調値を、 最大階調値 255から 255, 254, 253, 252と計数することになる.。
このような明るさ変動操作における各原色の階調初期値は、 任意に設定して おいてかまわないが、 実用上は、 三原色の階調初期値を所定の共通値にしてお けばよい。 たとえば、 R=0, G=0, B=0を初期値として設定し、 共通の 変動量 S=+ 5により'変動させれば、 各原色の階調値は、 0→5→10→15 → …… →250→255→4→9→14→ ··· というように自動的に変 化してゆくことになる。 このような変動操作を自動的に行わせると、 オペレー 夕から見ると、 第 1属性の領域 10内の均一パターンが、 真っ黒→喑いグレー
• —中間ダレ一"明るいダレ一"白→真っ黒→ …というように時々刻々と変化 してゆ.く様子が観察されることになる。第 2属性の領域 20内には、輝度 50% の参照パターンが表示されているので、 オペレータは、 均一パターンが中間グ レーになったあたりで、 参照パターンの明るさに一致したとの認識を得ること になる。 オペレータには、 この明るさが一致したとの認識が得られた時点で、 明るさ一致を示す入力 (たとえば、 明るさ一致ポタンのクリック) を行っても らう。
もちろん、 人間の行う操作であるから、 一致認識の判断が遅れて、 一致入力 操作を行うべきタイミングを逸してしまうこともあろう。 その場合、 均一パタ —ンは、 中.間グレーを通り過ぎ、 明るいグレーへと変遷していってしまうこと になるが、 しばらく待てば、 再び、 真っ黒の状態に循環してくることになり、 中間グレーに対して一致入力操作を行うチャンスが再び巡ってくる。 このよう に、 階調値を繰り返し循環させて変動する方法を採れば、 オペレータに何度も 一致入力操作を行うチヤンスを与えることができるようになるので、 より正確 な一致入力が期待できる。 実際、 何回か循環させれば、 オペレータは、 階調変. 化の周期が感覚的につかめるようになり、 最終的には、 正確な一致入力操作が
可能になる。
なお、 変動量 Sをある程度大きく設定すると、 オペレータの目から見て、 完 全に一致したとの認識が得られない場合もあろう。 その場合には、 最も近くな つたときに一致認識を示す入力を行わせるようにすればよい。 これは、 明るさ の一致認識だけではなぐ、 後述する色の一致認識についても同様である。 要す るに、 本発明において、 オペレータによる 「一致認識」 とは、 必ずしも完全に 一致したとの認識を意味す.るものではなく、 所定条件下で、 明るさや色が最も 近くなつたと判断できる認識範囲までも含むものである。 実際には第一属性の 領域 1 0の輪郭が第 2属性の領域 2 0内に埋もれて、 あたかも溶け込んだよう に見えた場合に一致認識が行われることになる。
以上、 明るさ変動操作について説明したが、 色変動操作もほぼ同様である。 色変動 ¾作は、 図 7に示す操作パネルにおける第 3ポタン 3 3もしくは第 4ポ タン 3 4を所定のタイミングで自動的 ίこクリックする処理に相当する。 たとえ ば、 共通の変動量 S = + 5を設定し、 所定のタイミングとして 1秒ごとの繰り 返し周期を設定しておけば、.三原色 R G Bのうちの特定色の階調値のみが、 1 秒ごとに 5ずつ自動的に増加することになる。 原色 Bを特定色とした場合、 均 一パターンの色合いは、 徐々に青味が増してゆくことになる。 もちろん、 この 色変動操作においても、 階調値が 0〜2 5 5の許容範囲内となるような循環処 理を行うので、 青味が最大に達した直後には、 黄色味が最大 (青味が最小) の 状態に遷移する。 原色 R, Gの階調値は一定に維持されたままである。
このように、 自動的に色変動操作を行うと、 ォペレ一夕から見ると、 第 1属 性の領域 1 0内の均一パターンが、 黄色味の強い色から徐々に黄色味が薄まつ てゆき、 やがて無彩色に近い色になった後、 青味が徐々に強まってゆき、 青味 が最大に達した後、 再び黄色味の強い色へ戻る、 という循環する様子が観察さ れることになる。 第 2属性の領域 2 0内には、 輝度 5 0 %の無彩色の参照パタ ーンが表示されているので、 オペレータは、 均一パターンのごく淡い色味が黄
味から青味に転じるあたりで、 参照パターンの色に一致したとの認識を得るこ とになる。 オペレータには、 色が一致したとの認識が得られた時点で、 色一致 示す入力 (たとえば、 色一致ポタンのクリック) を行ってもらう。
この色一致の判断も、 ォペレ一夕にとっては非常に微妙な感覚的な判断にな るので、 一致入力操作を行うべきタイミングを逸してしまうこともあろう。 し かし、 明るさの変遷と同様に、 色の変遷も循環して繰り返し行われるので、 一 致入力操作を行うチャンスは何度も巡ってくるこどになり、 最終的には、 正確 な一致入力操作が可能になる。
図 8は、 上述した原理に基づいて、 明るさ変動操作と色変動操作とを所定の 規則に基づいて自動的に実行しながら、 オペレータに明るさ一致の入力操作ど 色一致の入力操作とを行わせるために用いる操作パネルの一例を示す図である。 図示の.とおり、 オペレータが操作するポタンは、 スタートポタン 4 0、 明るさ 一致ポタン 4 、 色一致ポタン 4 2の 3種類であり、 各ポタンの脇には、 それ ぞれ操作のための説明文が付されている。 この図 8に示すような操作パネルを、 図 3 Aに示すテストパターンの近傍に表示させ、 オペレータに、 マウスなどを 用いて各ポタンをクリックしてもらえば、 一連の測定作業が完了することにな る。
まず、 オペレータは、 ステップ 0と書かれた説明文に従って、 スタートポ夕 ン 4 0をクリックする。 これにより、 上述した自動的な明るさ変動操作が実行 され、 第 1属性の領域 1 0内の均一パターンの明るさが時々刻々と変動し始め る。 そこで、 オペレータは、 ステップ 1と書かれた説明文に従って、 均一パ夕 ーンの明るさが参照パターンの明るさと同じになったと感じた時点で、 明るさ 一致ポタン 4 1をクリックする。 れにより、 今度は、 上述した自動的な色変 動操作が実行され、 均一パターンの色 (原色 Bに関わる色) が時々刻々と変動 し始める。 そこで、 オペレータは、 ステップ 2と書かれた説明文に従って、 均 一パターンの色が参照パターンの色と同じになったと感じた時点で、 色一致ポ
タン 4 2をクリックする。
以上で、 一連の測定作業は完了である。 色一致ポタン 4 2がクリックされた 時点における三原色 R G Bの各階調値 (この例の場合、 Rと Gは同じ値になる) を、 それぞれ参照輝度 5 0 %に対応する各原色ごとの対応階調値として、 図 4 の点 Qに相当する点をプロットし、 各原色ごとの階調再現特性のグラフ ( と Gは同じグラフになる) を求めればよい。
結局、 図 8に示す明るさ一致ポタン 4 1は、 明るさ変動操作を行っている状 態において、 ォペレ.一夕から明るさが一致したとの認識を示す明るさ一致信号 を入力するための明るさ一致信号入力手段として機能することになり、 色一致 ボタン 4 2は、 色変動操作を行っている状態において、 オペレータから色が一 致したとの認識を示す色一致信号を入力するための色一致信号入力手段として 镩能することになる。 そして、 明るさ一致信号と色一致信号との双方の入力が 完了した場合に、 明るさおよび色がともに一致したとの認識を示す一致信号が 入力されたものとして取り扱い、 各原色ごとの階調再現特性が求められること になる。 上述の例では、 三原色 R G Bのうちの原色 Bを特定色とし、 原色 Bの 階調再現特性を示すグラフと、 原色 Rおよび Gに共通した階調再現特性を示す グラフと、 がそれぞれ別個に求められる。
なお、 図 8に示す操作パネルを用いた例では、 明るさ一致信号の入力操作と 色一致信号の入力操作とをそれぞれ 1回ずつ行うことにより、 測定作業を完了 させているが、 実用上は、 これらの操作を交互に繰り返し実行するような形態 を採るのが好ましい。 その第 1の理由は、 この一致認識操作が、 人間の目視に よる感覚的な操作であるため、 必ずしも 1回の入力操作で正確な認識を行うこ とができないためである。 そして第 2の理由は、 明るさ変動操作は必ずしも明 るさのみを変動させる操作にはならず、 色変動操作は必ずしも色のみを変動さ せる操作にはならないためである。 たとえば、 図 8の操作パネルにおいて、 明 るさ一致ポタン 4 1がクリックされた時点で、 明るさが正確に一致していたと
しても、 続いて実行される色変動操作により、 色だけではなく明るさにも変動 が生じてしまうことになるので、 明るさの一致状態は失われてしまうことにな る。 このような弊害を避ける上では、 明るさを一致させる操作と色を一致させ る操作を交互に繰り返し実行するのが効果的であり、 特に、 階調値の変動量を
5 ' 徐々に減少させながら繰り返し実行するのが効果的である。
具体的には、 図 9の流れ図に示す処理を行えばよい。 まず、 ステップ S 1に , おいて、 三原色 R,, G, Bの各階調値の初期値および変動量 Sの初期値を設定 する。 図示の例では、 それぞれを R 0, G O , B O , S O fc設定している。 続いて、 ステップ S 2、 S 3において、 明るさを一致させる操作が実行され0 ' る。 すなわち、 まず、 ステップ S 2において、 三原色 R, G, Bの各階調値に、 変動量 Sを加える処理が行われる。 ただし、 前述した循環処理を行うため、 階 調値が.2 5 5を越える値になったら、 2 5 6を減じることにする。 そして、 ス テツプ S 3で、 明るさ一致ポタンが押されたか否かを判定し、 押されていなけ れば、 再びステップ S 2へ戻り、 階調値の更新を行う。 こうして、 明るさ一致5 ポタンが押されるまで、 ステップ S 2 , S 3の処理が繰り返される。 もっとも、 この繰り返し処理の周期は、 たとえば、 1秒おきのように、 オペレータが一致 認識の判断を行うのに十分な時間が設定される。
ステップ S 3において、 明るさ一致ポタンが押されたことが検出されたら、 • 続いて、 ステップ S 4、 S 5において、 色を一致させる操作が実行される。 す0 なわち、 まず、 ステップ S 4において、 特定色 Bの階調値に対してのみ、 変動 量 Sを加える処理が行われる。 ここでも循環処理を行うため、 階調値が 2 5 5 を越える値になったら、 2 5 6を減じることにする。 そして、 ステップ S 5で、 色一致ポタン (明るさ一致ポタンと兼用してもかまわない) が押されたか否か を判定し、 押されていなければ、 再びステップ S 4へ戻り、 特定色 Bについて5 の階調値の更新を行う。 こうして、 色一致ポタンが押されるまで、 ステップ S 4, S 5の処理が繰り返される。 この繰り返し処理の周期も、 たとえば、 1秒
おきのように、 オペレータが一致認識の判断を行うのに十分な時間が設定され る。
ステップ S 5において、 色一致ポタンが押されたことが検出されたら、 一応、 オペレータから、 明るさ一致信号および色一致信号の双方が入力されたことに なるが、 この時点では、 まだ測定結果となる階調値の確定は行わず、 ステップ S 6からステップ S 7を経て、 再びステップ S 2からの手順が実行される。 し かも、 ステップ S 7では、 変動量^を減少させる更新処理を行うようにする。 したがって、 二巡目のステップ S 2, S 4で加えられる変動量 Sは、 一巡目の 値よりも小さくなつており、 よりきめの細かな一致判定が可能になる。 必要に 応じて、 変動量 Sを更に小さくしながら、 三巡目、 四巡目と繰り返すようにす る。
たとえば、 変動量 Sの初期値 S 0を + 5に設定しておき、 ステップ S 7では、. これを 2ずつ減少させる更新を行うようにし、 ステップ S 6における変動量 S の既定値を 1に設定した場合、 一巡目は変動量 S = + 5、 二巡目は変動量 S = + 3、 三巡目は変動量 S = + 1となり、 三巡したところで繰り返し処理は完了 する。 こうして、 変動量 Sが予め設定した所定の規定値に達した場合、 ステツ プ S 6からステップ S 8へと進み、 その時点の三原色 R , G, Bの各階調値も 出力するようにする。 これらの階調値を、 参照輝度 5 0 %に対応する対応階調 値として、 各原色ごとの階調再現特性を求めることは、 既に述べたとおりであ る。
この図 9に示す手順において、 一巡目の一致認識と、 二巡目の一致認識とで は、 認識条件に大きな違いがある。 たとえば、 一巡目のステップ S 3での一致 認識は、 一応、 明るさがある程度の一致状態になったことを示しているが、 そ の時点では、 色の一致は全く考慮されていないことになる。 ところが、 二巡目 のステップ S 3での一致認識は、 既に、 一巡目のステップ S 5において色の一 致認識が完了しているという前提での明るさの一致認識になっているため、 明
るさと色との双方を一致させる、 という本来の目的を踏まえると、 より好まし い一致状態が得られていることになる。 また、 一巡するごとに、 変動量 Sを小 さくして、 きめの細かな一致認識が行われるようにしているので、 三巡目のス テツプ S 3の一致認識では、 二巡目のステップ S 3の一致認識よりも、 更に好 ましい一致状態が得られていることになる。 '
結局、、この図 9の流れ図に示す手順は、 明るさ変動操作を行っている状態(ス テツプ S 2 ) において明るさ一致信号が入力されたら (ステップ S 3 )、 色変 動操作を開始し (ステップ S 4 )、 この色変動操作を行っている状態 (ステツ プ S 4 ) において色一致信号が入力されたら (ステップ S 5 )、 明るさ変動操 作 (ステップ S 2 ) を開始し、 明るさ変動操作と色変動操作とを交互に繰り返 し実行してゆき、 しかも、 階調値の変動量 Sを徐々に減少させる (ステップ S 7 ) 処理と言うことができる。 そして、 変動量 Sが所定の規定値に達した後に、 明るさ一致信号と色一致信号との双方の入力が完了した場合に、 明るさおよび 色がともに一致したとの認識を示す一致信号が入力されたものとして取り扱う ことになる。
なお、 変動量 Sとしては、 負の値を設定することも可能である。 その場合、 ステップ S 2, S 4では、 実質的に減算によって変動後の階調値が求められる ことになり、 変動後の階調値が負の値になったら、 2 5 6を加える処理を行う ことになる。 もちろん、 ステップ S 7では、 変動量 Sの絶対値が徐々に減少す るような更新が行われることになる。
また、 上述の実施形態では、 階調値の繰り返し変動を、 0〜2 5 5→0〜2 5 5→0〜2 5 5…という循環運動により行っているが、 この階調値の繰り返 し変動は、 往復運動により行うようにしてもよい。 この場合、 最大階調値ある いは最小階調値を越えるような変動値が得られた時点で、 折り返す処理を行い、 変動量 Sの符号を反転させればよい。 具体的には、 正の変動量 + Sにより徐々 に階調値を増加させていった結果、 最大階調値 2 5 5を越えてしまった場合に
は、 変動量の符号を反転させ、 負の変動量一 Sにより徐々に階調値を減少させ てゆき、 その結果、 最小階調値 0を越えてしまった場合には、 変動量の符号を 反転させ、 再び正の変動量 + Sにより徐々に階調値を増加させてゆけばよい。 結局、 階調値をひ〜 2 5 5'まで徐々に増加させてゆく処理と、 2 5 5〜0まで 徐々に減少させてゆく処理と、 が交互に行われることになる。
更に、 上述の例では、 階調値の繰り返し変動を循環運動により行うにせよ、 往復運動により行うにせよ、 階調値の許容範囲である 0〜2 5 5の全範囲にわ たって変動させているが、 実用上は、 必ずしもこの全範囲にわ って変動させ る必要はない。 たとえば、 測定対象となるモニタの階調再現特性が、 図 5に示 すようなグラフを示していた場合、 最終的には、 - R = 8 5、 G = 8 5、 B = 4 6という階調値が、 参照輝度 5 0 %に対応する対応階調値として得られること になる。 これらの値は、 0〜2 5 5の範囲の中央値 1 2 8に比べると、 かなり 0側に偏った値である。 しかしながら、 一般的なモニタにおいて、 参照輝度 5 0 %に対応する対応階調値として、 1 0とか 2 0という値や、 2 4 0とか 2 5 0という値が得られることは、 実用上、 考えにくい。 したがって、 実用上は、 たとえば、 3 0〜2 3 0と う限定された範囲内で、 循環運動や往復運動させ るようにしてもかまわない。
また、 図 9に示す手順のように、 変動量 Sを徐々に減少させながら、 繰り返 して処理を行う場合には、 変動量 Sを減少させるのと同時に、 循環運動や往復 運動を行う階調値の変動範囲を狭めてゆくと、 より効率的な測定作業が可能に なる。 たとえば、 変動 * S = + 5に設定した一巡目のステップ S 2 , S 4では、 階調値の変動範囲を 0〜2 5 5という全許容範囲に設定しておく。 そして、 変 動量 S = + 3に設定した二巡目のステップ S 2 , S 4では、 階調値の変動範囲 を、 たとえば、 変動前の階調値を中心として ± 3 0の範囲内、 というように狭 めておく。
そうすれば、 たとえば、 一巡目が終了した時点で、 R = 9 0 , G = 9 0 , B
=50という結果が得られていたとすると、 二巡目のステップ S 2では、 R二 60〜 120, G=60〜120, B = 20〜 80という限定された範囲内で の変動が行われることになる。 既に一巡目の処理で、 明るさおよび色の一致が 得られると期待される各原色の階調値についての大まかな値 (この例の場合、 R=90, G= 90, B= 50という値) が得られているので、 二巡目では、 この大まかな値を中心として ± 30の範囲内で変動させれば十分と言える。 可 能性の全くない階調値まで変動させることは、 非効率的である。 同様に、 三巡 目では、 たとえば、 変動量 S = + lとし、 変動前の階調値を中心として ± 10 の範囲内に変動させる、 というように設定すればよい。
くくく § 4. より多数の点をプロットする方法' >>>
図 4のグラフに示すような階調再現特性を求めるためには、 グラフの両端点 0, P以外の点 Qをプロットし、 3点 O, P, Qを通る近似関数曲線を演算に より求めればよいことは、 既に § 1で述べたとおりである。 そして、 点 Qの位 置を目視による測定で求めるために、 図 3 Aに示すようなテストパターンを用 レ、、 第 2属性の領域 20内に、 図 3Bに示すような白黒のストライプ模様から なる参照輝度 50%に相当する参照パターンを表示させ、 第 1属性の領域 10 内の均一パターンとの同一性を目視確認する方法をとることも、 既に述べたと おりである。
• このように、 階調再現特^ I (ガンマ特性) を、 3点〇, P, Qを通る近似関 数曲線として求めることができるのは、 一般的な CRTモニタの階調再現特性 が、 「輝度 =階調値つ というァ乗の項をもつ関数曲線になることが知られてい' るためである。 これはそもそも、 ブラウン管に加えられた電圧 Eと発光出力 L との間に、 「L = E なる関係が得られるためである。 したがって、 ブラウン 管を用いたモニタの場合には、 参照輝度 50 %に相当する参照パターンを用い て対応階調値を測定し、 点 Qをプロットすることができれば十分である。 しか しながら、 液晶ディスプレイなどでは、 階調再現特性は、 必ずしもァ乗の項を
もつ関数曲線になるとは限らない。
階調再現特性のグラフが、 ァ乗の項をもつ関数曲線で近似できない場合、 3 点〇, P, Qだけでは、 正確な近似関数曲線を演算により求めることは困難で ある。 そこで、 ここでは、 より多数の点をグラフ上にプロットすることにより、 任意関数で表される階調再現特性を求める例を述べる。 具体的には、 図 10に 示すように、 グラフの両端点〇, P以外に、 3つの点 Ql, Q2, Q3をプロ ットし、 5点ひ, Q l, Q2, Q 3, Pを通る近似関数曲線を演算により求め る実施形態を説明することにする。 '
まず、 図 10に示す点 Q 2については、 これまで述べてきた方法により測定 することが可能である。 す わち、 図示の点 Q 2は、 参照輝度 50%に対する 対応階調値が 85になるという測定結果によりプロットすることが可能である。 このような測定は、 図 3Bに示すように、 疑似的に 50%の輝度を示す参照パ ターンを第 2属性の領域 20内に表示させたテストパターンを用いて、 第 1属 性の領域 10—内に表示される均一パターンの明るさおよび色を一致させるため の階調値変動処理によって行われる。
一方、 図 10に示す点 Ql, Q3を求めるには、 第 2属性の領域 20内に表 示される参照パターンの参照輝度を、 それぞれ 25 %, 75%に変え、 全く同 様の手順による測定処理を行えばよい。 図 10に示す例は、 参照輝度 25%に 対する対応階調値が 26になるという測定結果により点 Q 1がプロットされ、 参照輝度 75%に対する対応階調値が 148になるという測定結果により点 Q 3がプロットされた例である。 もちろん、 実際には、 参照輝度 25%, 50%, 75%に対応する対応階調値は、 それぞれの原色ごとに求められ.、 各点 Ql, Q 2, Q 3のプロットも、 各原色ごとに行われることになる。
参照パターンの参照輝度は、 第 1副領域 21と第 2副領域 22との面積比を 調整することにより、 任意に設定することができる。 たとえば、 図 3 Bに示す 参照パターンの場合、 最小階調値 0をもつ帯状の第 1副領域 21と、 最大階調
値 2 5 5をもつ帯状の第 2副領域 2 2と、 を交互に配置した白黒のストライプ 模様から構成されており、 第 1副領域 2 1と第 2副領域 2 2との面積比が 1 : 1に設定されているため、 参照輝度は 5 0 %になっている。 この面積比を 3 : 1に設定すれば (たとえば、 黒の帯の幅を白の帯の幅の 3倍に設定すれば)、 参照輝度が 2 5 %の参照パターンが実現でき、 この面積比を 1 : 3に設定すれ ば (だとえば、 黒の帯の幅を白の帯の幅の 1 / 3倍に設定すれば)、 参照輝度 が 7 5 %の参照パターンが実現できる。
一般に、 第 1副領域 2 1と第 2副領域 2 2との面積比を複数 N通りに設定す ることにより、 互いに異なる参照輝度をもった N通りの参照パ夕一ンを生成す ることが可能である。 そして、 この N通りの参照パターンを用いた N通りのテ ストパターンについて、 前述したように、 オペレータの目視による測定作業を 行えば、 各参照輝度に対応した N通りの対応階調値が得られる。 そこで、 図 1 0に示すように、 第 1の座標軸 (横軸) に階調値、 第 2の座標軸 (縦軸) に輝 - 度をとつた二次元座標系を定義し、 この座標系上に、 各参照輝度および対応階 調値を座標値としてもつ N個の点 (図 1 0の例の場合は 3個の点 Q l, Q 2 , Q 3 ) をプロットし、 更に、 最小輝度値および最小階調値を座標値としてもつ 点 (図 1 0の例の場合は原点 O) と最大輝度値および最大階調値を座標値とし てもつ点(図 1 0の例の場合は点 P ) とをプロットし、 プロットされた合計(N + 2 ) 個の点を通るグラフを、 階調再現特性を示すグラフとして、 各原色ごと の階調再現特性を示すダラフを求めればよい。
このように、 二次元座標系上にプロッ卜された複数の座標点を通る近似関数 曲線を求める方法には、 様々な手法が知られている。 たとえば、 スプライン曲 線やベジエ曲線などは、 複数の点を通る近似関数曲線として広く知られている ので、 必要があれば、 これらの曲線を用いた近似を行えばよい。
前述したように、 一般的な C R Tモニタの場合であれば、 図 1 0に示すよう な 5点 O, Q l , Q 2 , Q 3 , Pがプロットされ、 べき乗の形式で定義される
関数曲線による近似が可能である。 ところが、 本願発明者による測定によると、 液晶ディスプレイなどでは、 図 1 1に示すような S字状の特性曲線が得られる ことも少なくない。 このような S字状の特性曲線は、 べき乗の形式で定義され る一般的なガンマ特性カーブによる近似を行うことができないので、 スプライ ン曲線やベジエ曲線などを用いた近似を行うことができる。
ただ、 実用上は、 スプライン曲線やベジエ曲線などを用いた近似は、 必ずし も適当ではない。 その理由は、 スプライン曲線やベジエ曲線は、 いわゆるドロ 一形式の作図用ソフトウェアで利用される物体の輪郭形状を表現するための曲 線であり、 物理的な意味をもつグラフを表現する上では不都合な点があるため である。 具体的に言えば、 階調再現特性を示す関数の両変数となる階調値およ び輝度は、 いずれも正の値をとるべき変数であり、 負の値を示すことはない。 したがって、 図 1 1に示すグラフも、 この二次元座標系の第 1象限にのみ定義 されるグラフということになる。 ところが、 スプライン曲線やベジエ曲線など による近似を行うと、 このような物理的な意味を無視した近似が行われてしま うため、 グラフが第 2象限や第 4象限に食み出してしまう結果になりかねない。 したがって、 近似曲線を求める際には、 それなりの配慮が必要になる。
そこで本願発明者は、 まず、 二次元座標系上にプロットされた 5点〇, Q 1 , Q 2 , Q 3, ' Pについて、 き乗の形式で定義される関数曲線による近似を試 みて、 近似がうまくゆかない場合には、 これが図 1 1に示すような S字状の特 性曲線であるものと考え、 次のような方法で、 2つの部分に分け、 それぞれの '部分をべき乗の形式で定義される関数曲線で近似させる手法をとると有効であ ることを見出した。 具体的には、.図 1 1に示す例の場合、 点 0, Q l , Q 2の 各点を通る第 1の関数曲線と、 点 Q.2 , Q 3 , Pの各点を通る第 2の関数曲線 と、 の 2つの関数曲線によって近似すればよい。 ここで、 この 2つの関数曲線 は、 いずれもべき乗の形式で定義される関数曲線で近似すればよい。 そうすれ ば、 必ず第 1象限内のグラフが得られることになる。
結局、 この手法は、 二次元座標系上にプロットした 5個の点を第 1の座標軸 上の座標値の昇順に第 1の点〜第 5の点と呼んだときに、 第 1、 第 2、 第 3の 各点を通り輝度が階調値のべき乗の形式で定義される第 1の関数曲線と、 第 3、 第 4、 第 5の各点を通り輝度が階調値のべき乗の形式で定義される第 2の関数 曲線と、 を演算により求め、 第 1の関数曲線と第 2の関数曲線とを連結してな る曲線を、 階調再現特性を示すグラフとする手法と言うことができる。 このよ うに、 2つの関数曲線を連結した場合、 連結点となる第 3の点 (図 1 1におけ る点 Q 2 ) において、 両関数曲線の曲率が乖離する可能性があるが、 階調再現 特性を示すグラフとして利用する上では、 特に支障は生じない。
くくく § 5 . より好ましいテストパターン 〉>>
続いて、 本発明を実施する上で、 より好ましいテストパ夕一ンを述べておく。 これまで述べてきた実施形態では、 図 3 Aに示すように、 正方形状をした第 1 属性の領域 1 0と、 -その周囲を囲む-ような枠状をした第 2属性の領域 2 0とに ' よって構成されるテストパターンを用い、 第 2属性の領域 2 0内には、 図 3 B に示すように、 ストライプ模様状の参照パターンを形成するようにしていた。 このようなテストパターンは、 従来から利用されているパターンであるが、 必 ずしも最適のテストパターンではない。
本願発明者は、 図 3 A に示す従来のテストパターンよりも、 図 1 2 Aに示 すようなテストパターンを用い、 図 3 Bに示す従来の参照パターンよりも、 図 1 2 Bに示すような参照パターンを用いた方が、 より正確な測定が可能になる ことを見出した。 図 1 2 Aに示すテストパターンは、 均一パターンを表示する ための第 1属性の領域 5 0と、 参照パターンを表示するための第 2属性の領域 6 0と、 によって構成されるが、 参照パターンは、 図 1 2 Bの拡大平面図に示 すように、 第 1副領域 6 1 (図における黒いセル) と第 2副領域 6 2 (図にお ける白いセル) とによる市松模様をなす。 なお、 図 1 2 Aでは、 図示の便宜上、 第 2属性の領域 6 0内に水平線によるハッチングを施して示してあるが、 実際
には、 第 2属性の領域 6 0内には、 図 1 2 Bの拡大平面図に示すような市松模 様からなる参照輝度 5 0 %の参照パターンが形成されていることになる。 以下、 この図 1 2 Aに示すテストパターンおよび図 1 2 Bに示す参照パターンの特徴 と、 その特徴により得られる固有の効果を述べることにする。
5 (1) 参照パターンに関する特徴
図 1 2 Bに示す参照パターンを、 図 3 Bに示す参照パターンと比較すると、
, 後者が白黒のストライプ模様のパターンから構成されているのに対し、 前者は 白黒の市松模様のパターンから構成されていることがわかる。 ここで、 図 1 2 Bに示す参照パターンが市松模様パターンとなっているのは、 たまたま、 この
10 参照パターンが参照輝度 5 0 %を示すパターンである'ためであり、 その本質は、 ' 第 1副領域 6 1 (黒) と第 2副領域 6 2 (白) とを、 同一の形状および大きさ
' をもつた単位セルによつて構成し、 この単位セルの二次元配列によつて参照パ ターンを構成した点にある。 特に、 ここに示す例では、 矩形状 (この例では正 方形) の単位セルを二次元行列状に配列することにより参照パターンを構成し
15 ている。
このように、 同一の形状および大きさをもつた単位セルの二次元配列によつ て構成された参照パターンは、 ストライプ模様からなる参照パターンに比べて、 観察時の疑似的な均一性をより高める効果を有する。 ォペレ一夕による目視測 定時には、-参照パターンは、 ある程度の視距離から観察されることになるので、 0 ストライプ模様のパターンも市松模様のパターンも、 実際には、 その模様自体 が直接オペレータに認識されることはなく、 いずれもほぼグレーの一様なパタ ーンとして認識される。 ただ、 市松模様のパターンの方が、 より細かな単位セ ルから構成されているため、 観察時の均一性はより向上することになる。
この特徴は、 特に、 5 0 %以外の参照輝度をもった参照パターンを形成する— 5 場合に顕著である。 たとえば、 § 4で述べた実施例の場合、 3通りの参照輝度 2 5 %, 5 0 % , 7 5 %をもった参照パターンを用意する必要があるが、 この
ような場合、 単位セルの二次元配列により参照パターンを形成する方法は特に 効果を発揮する。 矩形状の単位セルを二次元行列状に配列した参照パターンを 用いて、 参照輝度 2 5 %および 7 5 %の参照パターンを形成した例を、 図 1 3 Aおよび図 1 .3 Bに示す。 なお、 図 1 3 Bでは、 説明の便宜上、 第 2副領域 6 2 (白) を構成する各単位セルの境界線を描いて示してあるが、 実際には、 こ の白いセル間の境界線は表示されない。
参照輝度の設定は、 第 1副領域 6 1 (黒) と第 2副領域 6 2 (白) との面積 比を変える.ことにより行うことになる。 すなわち、 参照輝度を 2 5 %に設定す るためには、 この面積比を 3 : 1とし、 参照輝度を 7 5 %に設定するためには、 こめ面積比を 1 : 3とする必要がある。 矩形状の単位セルを二次元行列状に配 列した参照パターンを用いると、 面積比 1 : 1 (図 1 2 B ) 3 : 1 (図 1 3 A)、 1 : 3 ' (図 1 3 B ) の設定を合理的に行うことができ、 しかも疑似的な 均一性を十分に確保したパターンを得ることができる。
これらの 3通りの参照パターンでは、 いずれも、 2行 2列に配置された 4つ の単位セルにより 1つのセルグループが構成されている。 ここで、 各セルダル ―プを構成する 4つの単位セルのうち、 斜めに隣接する一対の単位セルによつ て第 1の副領域 6 1 (黒) を構成し、 残りの一対の単位セルによって第 2の副 領域 6 2 (白) を構成すれば、 面積比 1.: 1となる図 1 2 Bに示す参照パター ンを構成することができる。 また、 各セルグループを構成する 4つの単位セル のうち、 1つの単位セルによって一方の副領域を構成し、 残りの 3つの単位セ ルによって他方の副領域を構成し、 面積比 3 : 1もしくは 1 : 3となる参照パ ターンを構成すれば、 図 1 3 Aもしくは図 1 3 Bに示す参照パターンを構成す ることができる。 いずれの場合も、 .形成される参照パターンは、 2行 2列に配 置された 4つの単位セルからなるセルグループの繰り返しパターンとなるので、 疑似的な均一性を十分に確保することができる。 '
要するに、 任意の奇数 i, jについて、 i行 j列目の単位セル、 i行 (j +
1 ) 列目の単位セル、 ( i + 1 ) 行 j列目の単位セル、 ( i + 1 ) 行 ( j + 1 ) 列目の単位セル、 という 4つの単位セルからなるセルグループを定義し、 第 1 副領域および第 2副領域の配置パターンを、 すべてのセルグループについて共 通にすれば、 形成される参照パターンは、 2行 2列に配置された 4つの単位セ ルからなるセルグループの繰り返しパターンとなり、 疑似的な均一性の確保が 可能になる。
これに対し、 図 3 Bに示すような従来のストライプ状の参照パターンによつ て、 参照輝度を 2 5 %あるいは 7 5 %に設定するには、 黒黒黒白あるいは黒白 白白というような行配列を行う必要があり、 疑似的な均一性は低下せざるを得 ない。
(2) 第 1属性の領域の形状に関する特徴
続いて、 図 3 Aに示すテストパターンにおける第 1属性の領域 1 0と、 図 1 2 Aに示すテストパターンにおける第 1属性の領域 5 0との形状を比較すると、 前者が正方形であるのに対し、 後者は円形となっている。 本願発明者は、 テス ' トパターンにおける第 1属性の領域と第 2属性の領域との境界線は、 直線では な.く曲線で構成すべきであると考えており、 実用上は、 テストパターンを構成 する第 1属性の領域の輪郭を円または楕円.にするのが好ましいと考えている。 これは、 両領域の境界を直線にすると、 この直線近傍に規則的なパターンが目 立つようになるためである。 図 3 Aに示すように、 第 1属性の領域 1 0の形状 を正方形にすると、 この正方形状の輪郭に沿って規則的なパターンが視認され るようになり、 一致判定処理に悪い影響を及ぼすことになる。 特に、 本発明で は、 明るさの一致判定だけでなく、 色の一致判定も行う必要があり、 一致判定 処理に悪影響が及ぶ要素は極力排除する必要がある。
(3) 第 1属性の領域を複数箇所に分散配置する特徴 .
図 1 2 Aに示すテストパターンの大きな特徴は、 第 1属性の領域 5 0が複数 箇所に分散して配置されており、 その背景部分が第 2属性の領域 6 0になって
いる点である。 すなわち、 図 3 Aに示す従来のテストパターンでは、 正方形か らなる第 1属性の領域 1 0が 1つだけ中央に配置されているのに対し、 図 1 2 Aに示す本発明に係るテス卜パターンでは、 円形からなる複数の第 1属性の領 域 5 0が、 所定のピッチで縦横に分散配置されている。
このように、 第 1属性の領域 5 0を複数箇所に分散配置した理由は、 第 1属 性の領域 5 0と第 2属性の領域 6 0との境界線の全長をできるだけ長くするた めである。 本発明の基本原理に基づく測定では、 第 1属性の領域内に表示され た均一パターンと、 第 2属性の領域内に表示された参照パター とについて、 明るさと色を比較する作業が不可欠であるが、 この比較作業は、 両領域の境界 線が長いほど行いやすい。 実際、 オペレータの目視確認作業では、 第 1属性の 領域 5 0が第 2属性の領域 6 0内にあたかも溶け込んで、 両者の境界が認識で きなくなった状態になったら、 一致認定が行われることになる。 したがって、 より精度の高い一致認識を行う上では、 両領域の境界線が長いほど好ましい。 第 1属性の領域 5 0を複数箇所に分散配置すれば、 境界線の全長をそれだけ 長くすることができる-。 実際、 図 3 Aに示すテストパターンと図 1 2 Aに示す テストパターンについて、 境界線の全長を比較すれば、 後者の方がはるかに長 くなつていることは容易に理解できょう。 なお、 ここに示す実施形態とは逆に、 第 2属性の領域を複数箇所に分散配置し、 その背景を第 1属性の領域とするこ とも可能である (ちょうど、 図 1 2 Aにおいて、 領域 6 0を第 1属性、 領域 5 0を第 2属性とする)。 .
なお、 実用上は、 第 1属性の領域 5 0の面積の総和が第 2属性の領域の面積 6 0の総和に等しくなるように設定するのが好ましい。 たとえば、 図 1 2 Afc 示すテストパターンの場合、 第 1属性の領域 5 0は、 合計 1 2個の円形領域に より構成され、 第 2属性の領域 6 0は、 この円形領域が配置された背景領域に より構成されているが、 この場合、 合計 1 2個の円の面積の総和が、 背景領域 の面積に等しくなるような設定を行'うのが好ましい。 これは、 互いに比較対象
となる均一パターンの表示領域と参照パターンの表示領域との面積を同一にし、 対等な比較が行われるようにするための配慮である。 本発明のように、 明るさ とともに色の一致認識も行う場合、 いずれか一方の面積の方が大きいと、 面積 の大きな領域の方に視覚が引きずられてしまい、 厳密には一致認識が得られて いないのに、 誤った一致認識がなされてしまうおそれがある。 両領域の総面積 を同一にしておけば、 このような誤認識を排除した対等な比較が可能になる。
(4) 第 1属性の領域の配置ピッチに関する特徴
図 1 2 Aに示す本発明に係るテストパターンの大きな特徴が、 第 1 (または 第 2 ) 属性の領域を複数箇所に分散配置した点にあることは既に述べたとお.り である。 ここでは、 この配置ピッチに関する特徴を述べる。
後に詳述するように、 明るさや色の違いを目視により見分ける場合、 人間の 認識感度には、 対象物の空間周波数に対する依存性があることが知られている。 したがって、 目視確認の対象となるオブジェクトは、 人間による認識感度が高 いとされている所定の空間周波数で配置するのが好ましい。 そこで、 図 1 2 A に示すテストパターンについても、 第 1属性の領域 5 0を、 いずれも形状およ び大きさが同一となる領域とし、 人間による認識感度が高いとさ,れている所定 の空間周波数が得られるように所定ピッチで二次元平面上に分散配置するのが 好ましい。
図 1 4は、 同一半径 rの円により、 第 1属性の領域 7 0を構成し、 二次元平 面上に所定ピッチで配置した例を示す平面図である。 より具体的に説明すれば、 - まず、 第 1属性の領域 7 0を横方向に所定ピッチ P xで複数配置した一次元領 域配列を、 縦方向に所定ピッチ P y (但し、 P y二 3ノ2 · P x) で複数配 置し、 かつ、 互いに隣接する一次元領域配列間では位相が半ピッチずれるよう に配置したものである。 別言すれば、 この二次元平面は、 図示されている六角 形を 1ユニット領域として、 複数のュニッ小領域によって埋め尽くされる構成. になっており、 個々のュニット領域を構成する六角形の中心および各頂点位置
に、 7つの円の中心が配置されていることになる。
このような配置を行えば、 横方向に隣接する一対の円のピッチは必ずピッチ P xになり、 また、 斜め上下方向に隣接する一対の円のピッチも必ずピッチ P Xになり、 二次元平面上で隣接配置された一対の.円は、 必ず一定のピッチ P x ' で配置されていることになる。 したがって、 ピッチ P xを、 人間による認識感 度が高いとされている所定の空間周波数に対応するピッチに設定しておけば、 好ましい認識感度をもったテストパターンが得られる。
なお、 前述したように、 円からなる第 1属性の領域の面積の総和が背景部分 となる第 2属性の領域の面積に等しくなるような設定を行う場合、 半径 rとピ ツチ P xとの間には、 一定の関係が定まる。 すなわち、 六角形のユニット領域 内において、 各円の内部の領域 (図のグレーの領域) の面積と、 各円の外部の 領域 (図の白い領域) とが同一になる、 という条件が課されることになり、 こ のような条件下では、 幾何学的な面積計算により、
(円の半径 r ) = (ピッチ P x) X ( 3 / 8 )
なる概算式が導かれる。
次に、 図 1 5に示すように、 一対の対象物 (円形の第 1属性の領域) 7 0が ピッチ P Xで配置されているモデルを考える。 この一対の対象物 7 0を、 視距 離. Lで観察したときの視角を 0とする。 一般に、 空間的に提示された時間的に 一定な種々の周波数の正弦波や矩形波パターンに対して測定された視覚系の感 度は、 空間周波数特性 M T F (Modulation Transfer Function) あるいはコ ントラスト弁別感度特性と呼ばれており、 所定ピッチで繰り返し配置された対 象物に対する人間の視覚系の感度は、 図 1 5に示す視角 0に依存するものとさ れている。 たとえば、 「坂田春夫, .磯野春雄共著:色覚における色度の空間周 波数特性 (色差弁別閾), テレビ学誌, 1 9 7 7年 3 1巻 (1 ), 2 9〜3 5 頁」 には、 図 1 6に示すような人間の視覚系の感度特性グラフが示されている。 横軸は、 観察対象物の空間周波数 (単位: cycle/deg) を対数尺度で示したも
のであり、.縦軸は、 対象物の明暗差および色差を弁別する人間の視覚系の相対 感度値である。
この図 1 6に示すような特性を考慮すれば、 テストパターンを目視するオペ レ一タにとつて、 明暗差弁別特性および色差弁別特性の双方について良好な感 度を示す空間周波数が得られるような所定ピッチで、 同一属性の領域を分散配 置すれば、 より精度の高い測定結果が期待できるテストパターンを構成するこ とができることになる。
図 1 6のグラフから、 各最適値を抽出すると、 図 17のような表が得られる。 すなわち、 図 1 6のグラフから、 明暗差弁別特性の最適値 (一点鎖線で示すグ ラフのピ一ク位置-に対応する空間周波数) を求めると、 2.. 5 [cycle/deg] 'と なり、 黄 Z青色差弁別特性の最適値 (実線で示すグラフのピーク位置に対応す る空間周波数) を求めると、 0. 4 [cycle/deg] となる。 また、 両特性の妥 協値としては、 たとえば、 0. 6 [cycle/deg] 程度の値を設定することがで きる。 実際、 図 16に示すグラフによれば、.空間周波数 0. 6あたりでは、 い ずれの特性もある程度の感度が得られており、 空間周波数を妥協値 0. 6に設 定したテストパターンを形成すれば、 明るさの一致認識を行う場合にも、 色の 一致認識を行う場合にも、 ある程度良好な認識感度が得られることになる。 なお、 空間周波数 (単位: cycle/deg) と視角 (単位: deg/cycle) とは逆 数の関係にあり、 図 17の表に示す各空間周波数 2. 5, 0. 4, 0. 6に対 する視角は、 図示のとおり、 それぞれ 0. 40, 2. 50, 1. 67になる。 これは、 .図 1 5に示す視角 0が、 0. 40deg, 2. 50 deg, 1. 67de§ と なるようなピッチ P xで第 1属性の領域 70を配置すれば、 明暗差弁別特性が 最適なパターン、 黄/青色差弁別特性が最適なパターン、 両特性を妥協させた パターンが得られることを示している。
もっとも、 視角 0とピッチ Pxとの間には、 視距離 Lを介して、
Px = 2 L - tan (Θ/2)
なる関係があるので、 視角 0が定まっても、 視距離 Lを決めなければ、 ピッチ P Xを決めることができない。 ただ、 一般的なモニタの場合、 オペレータの視 距離はほぼ一定の範囲内に維持されることになろう。 たとえば、 平成 14年 1 2月 16日付発出の人事院の VDT作業指針によれば、 視距離は 40 cm以上 確保することとされており、 実際の作業環境でも、 モニタの大きさなどによつ て若干の相違はあるものの、,ほぼ 40 cm前後と考えてよい。 したがって、 実 用上は、 視距離 L== 40 cm前後に設定し、 明暗差弁別特性および色差弁別特 性の両者について、 ある程度良好な認識感度が得られるようなピッチ P Xを設 定すればよい。
たとえば、 視距離 L = 40 cmに設定すると、 図 17に示す両特性の妥協値 を示す視角 θ = 1. 67deg に相当するピッチは、上述の式による演算の結果、 Px=.12mmとなる。 したがって、 図 14に示すテストパターンの場合、 P x= 12mmに設定すればよいことになる。 また、 円からなる第 1属性の領域 の面積の総和が背景部分となる第 2属性の領域の面積に等しくなるようにする には、 前述した 「r=Px ' 3ノ 8」 なる式により、 円の半径を r = 4. 5m mにすればよいことになる。 したがって、 たとえば、 1画素のサイズが 0. 2 5 mmのモニタの場合であれば、 円の半径を 18画素分、 ピッチ Pxを 48画 素分に設定したテストパターンを表示すればよい。
もっとも、 より厳密に言えば、 図 17の表に示されているとおり、 明暗差弁 別特性の最適値と色差弁別特性の最適値とは異なっているので、 より好ましい 実施形態としては、 テストパターンを目視するオペレータにとって、 明暗差弁 別特性について良好な感度を示す空間周波数が得られるような第 1のピッチと、 色差弁別特性について良好な感度を示す空間周波数が得られるような第 2のピ ツチと、 をそれぞれ設定しておき、 オペレータによる明るさの一致認識作業が 行われるときには、 第 1のピッチで同一属性の領 を分散配置してなるテス卜 パターンを表示させ、 オペレータによる色の一致認識作業が行われるときには、
第 2のピッチで同一属性の領域を分散配置してなるテストパターンを表示させ るようにし、 表示対象となるテストパターンの構成を切り替えるような処理を 行うとよい。
たとえば、 図 17の表において、 視距離 L = 40 cmに設定した場合、 明暗 差弁別特性の最適値となる視角 0 = 0. 4 Odeg に相当するピッチと円の半径 は、 ピッチ Px = 2. 8mm、 半径 r = 1. 1mmとなる。 一方、 黄ノ青色差 弁別特性の最適値となる視角 Θ = 2. 5 Ode に相当するピッチと円の半径は、· ピッチ Px 17. 5mm、 半径 r = 6. 6 mmとなる。 したがって、 図 9に 示す流れ図 基づく処理を行う場合であれば、 ステップ S 2, S 3における 「明 るさ一致」 の認識処理を行う際には、 ピッチ Px 2. 8mm、 半径 r 1.. lmmとなるような円を配置したテストパターンを表示し、 ステップ S 4, S 5における 「色一致」 の認識処理を行う際には、 ピッチ Px=17. 5mm、 半径 r 6. 6 mmとなるような円を配置したテストパターンを表示するよう にすればよい。
実際、 この程度の大きさの円を多数配置したテストパターンを用いて、 明る さや色の一致認識を行う作業は、 オペレータの実感としては、 「2つの 域の 明るさや色を一致させる作業」 というよりは、 むじろ 「テストパターン全体に 明るさや色のムラが生じないように調整する作業」 ということになる。 すなわ ち、 明るさや色が一致していないと、 ピッチ Pxの周期で、 明るさや色のムラ が生じているように感じられる。 このように、 図 3 Aに示す従来のテストパタ 一ンを用いた目視測定と、 図 12 Aに示す本発明のテストパターンを用いた目 視測定とでは、 ォペレ一夕の感覚上、 大きな違いが生じるものであり、 本発明 のテストパターンを用いた測定の方が、 より良好な結果を得ることができる。 «< § 6. 本発明に係る階調再現特性測定装置の構成 »>
続いて、 本発明に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置の基本構成を、 図 18のブロック図を参照しながら説明する。 図示のとおり、 本発明に係る力
ラーモニタの階調再現特性測定装置の主たる構成要素は、 階調値揞定手段 2 1 0、 参照パターン生成手段 2 2 0、 パターン表示装置 2 3 0、 階調値変動手段 2 4 0、 一致信号入力手段 2 5 0、 特性演算手段 2 6 0であり、 オペレータの 目視測定操作により、 カラーモニタ 1 0 0の階調再現特性を測定する機能を有 している。 .
もっとも、 図 1に示したように、 本発明に係る測定装置は、 実際には、 カラ 一モニタ 1 0 0に接続されたパソコン 2 0 0に、 所定のプログラムを組み込む ことにより実現することができるので、 上記各構成要素は、 実際には、 パソコ, ン 2 0 0に組み込まれたプログラムによって実現されることになる。
階調値指定手段 2 1 0は、 第 1属性の領域 5 0内に、 明るさおよび色が一様 な均一パ夕一ンを表示させるための三原色 R G Bの階調値の組み合わせを指定 する機能をもった構成要素であり、 パターン表示手段 2 3 0に対して、 R G B の各階調値を指定する。 一方、 参照パターン生成手段 2 2 0は、 第 2属性の領 域 6 0内に、 三原色 R G Bがそれぞれ最小階調値をもつ第 1副領域と、 三原色 R G Bがそれぞれ最大階調値をもつ第 2副領域と、 を所定面積比で混在させる ことにより、 所定の参照輝度をもつ参照パターンを生成する機能をもった構成 要素である。 § 5で述べた実施例の場合であれば、 測定に必要な参照輝度に応 じて、 図 1 2 B、 図 1 3 A、 図 1 3 Bの 3通りの参照パターンを選択的に生成 させることができる。
これら各構成要素から与えられるデータに基づいて、 パターン表示手段 2 3 0は、 カラーモニタ 1 0 0の画面上に、 図示のようなテストパターンを表示—す る。 このテストパターンは、 互いに接するように配置された第 1属性の領域 5 0と第 2属性の領域 6 0とによつ ·て構成されるパタ一ンであり、 特に、 ここに 示すカラ一パターン.は、 図 1 2 Aに示したカラーパターンと同じものである。 すなわち、 円形をした第 1属性の領域 5 0が所定ピッチで二次元平面状に配置 されており、 その背景部分が第 2属性の領域 6 0を構成している。 既に述べた
とおり、 第 1属性の領域 5 0内には、 階調値指定手段 2 1 0によって指定され た R G Bの階調値の組み合わせに基づく均一パタ一ンが表示され、 第 2属性の 領域 6 0内には、 参照パターン生成手段 2 2 0で生成された参照パターンが表 示される。 実際には、 パターン表示手段 2 3 0からカラーモニタ 1 0 0に対し て、 このようなテストパターンを表示させるための所定の電気信号が与えられ ることになる。
階調値変動手段 2 4 0は、 階調値指定手段 2 1 0よって指定される各階調値 を変動させる変動操作を実行する機能を有する。 この変動操作により、 第 1属 性の領域 5 0内に表示されている均一パターンの明るさおよび色が変わること になる。 § 2で述べたとおり、 階調値の変動操作には、 明るさ変動操作と色変 動操作とがある。 § 2に述べた実施例の場合、 階調値変動手段 2 4 0は、 オペ レータ.からの操作入力により、 明るさ変動操作と色変動操作を行う。 この場合、 階調値変動手段 2 4 0に.は、 図 6または図 7に示すような操作パネルを、 カラ —モニタ 1ひ 0の画面上 (通常は、 テストパターンの脇) に表示させ、 ォペレ —夕のマウス操^ Ξなどに基づいて、 明るさや色が変動するように、 階調値指定 手段 2 1 0によって指定される各階調値を変動させる処理を行う。 一方、 § 3 で述べたように、 自動的に変動操作を実行させる実施例の場合は、 オペレータ からの操作入力を待たずして、' 図 9の流れ図に基づく手順により、 明るさ変動 操作および色変動操作を実行することになる。 .
一致信号入力手段 2 5 0は、 階調値変動手段 2 4 0による変動操作が行われ ている状態において、 カラ一モニタ 1 0 0の画面上に表示されたテストパター ンを目視するオペレー夕から、 第 1属性の領域 5 0と第 2属性の領域 6 0との 明るさおよび色がともに一致したとの認識を示す一致信号を入力する機能を有 する。 明るさの一致と色の一致とを、 それぞれ別々に入力する実施例の場合に は、 この一致信号入力手段 2 5 0は、 明るさ一致信号入力手段 2 5 1と色一致 信号入力手段 2 5 2とによって構成されることになる。 たとえば、 図 6および
図 7に示す一致ポタン 3 0は、 明るさと色の双方の一致を示すポタンであり、 この一致ポタン 3 0をクリックする操作により、 明るさと色の双方が一致した ことを示す一致信号の入力が行われる。 これに対して、 図 8に示ザ明るさ一致 ポタン 4 1は、 明るさの一致を示す明るさ一致信号入力手段 2 5 1として機能 し、 図 8に示す色一致ポタン 4 2は、 色の一致を示す色一致信号入力手段 2 5 2として機能することになる。
特性演算手段 2 6ひは、 一致信号入力手段 2 5 0から、 明るさと色との双方 がー致したことを示す一致信号が入力されたときに、 階調値指定手段 2 1 0に より指定されていた R G Bの各階調値の組み合わせを、 参照パターン生成手段 2 2 0によって生成された参照パターンを構成する第 1副領域と第 2副領域と の面積比に応じた参照輝度に対応する各原色の対応階調値と認識し、 互いに対 応関係にある参照輝度と対応階調値とに基づいて、 各原色ごとの階調再現特性 を示すグラフを演算により求める処理を実行する。 具体的な演算方法について は、 既に述べたとおりである。 かくして、 R G Bの各原色ごとに、 階調再現特 性を示すグラフが出力される。 なお、 ここでは説明の便宜上、 階調再現特性を 連続的な関数関係を示すグラフとして示したが、 特性演算手殺 2 6 0により求 める階調再現特性は、 必ずしもグラフの形式にする必要はなく、 たとえば、 階 調値と輝度値との対応関係を示す数値テ一ブルのような形式でもかまわない。 以上のとおり、 上述したカラーモニタの階調再現特性測定装置によれば、 目 視により階調再現特性を高精度に求めることが可能になる。
くくく § 7 . サンプル画像を利用した階調再現特性の測定方法 >>> 続いて、 これまで述べてきた実施形態とは別なアプローチによる階調再現特 性の測定方法を述べる。 この § 7で述べる測定方法は、 紙などの物理的媒体上 に出力されたサンプル画像と、 モニタ上に表示されたサンプル画像とを目視比 較し、 この比較結果に基づいて、 仮の階調再現特性を修正することにより、 正 式な階調再現特性を求める、 という基本原理に基づくものである。
ここでは、 図 1 9に示すような 3通りのサンプル画像 H a, H b , H eを用 いて測定を行う例を説明する。 図示の例では、 サンプル画像 H aはグラスの絵 柄、 サンプル画像 H bは球体の絵柄、 サンプル画像 H eは円柱の絵柄になって いるが、 絵柄の内容はどんなものであってもかまわない。 ただ、 個々のサンプ ル画像は、 互いに全体的な明るさが異なる絵柄となっている。 すなわち、 サン プル画像 H aは全体的に明るい絵柄、 サンプル画像 H bは全体的に中位の明る さの絵柄、 サンプル画像 H eは全体的に暗い絵柄になっている。 この実施形態 の特徴のひとつは、 このように、 全体的な明るさが互いに異なる複数のサンプ ル画像を用意する点にある。 用意するサンプル画像の数は、 図 1 9に示す例で は 3つになっているが、 .より多数のサンプル画像を用意してもかまわない。 この図 1 9に示すサンプル画像 H a , H b , H cは、 実際には、 画像デ一夕 の形で用意されることになる。 より詳しく説明すれば、 各サンプル画像は、 そ れぞれ多数の画素の集合によって構成されており、 たとえば、 8ビットのカラ —画像の塲合、 個々の画素には、 それぞれ三原色 R G Bのそれぞれについて、 0〜2 5 5の範囲内の画素値が定義されている。 しかも、 上述したように、 サ ンプル画像 H aは明るい絵柄であるため、 大多数の画奉の画素値は比較的大き く、 サンプル画像 H bは中位の明るさの絵柄であるため、 大多数の画素の画素 値はほぼ中程度であり、 サンプル画像 H eは暗い絵柄であるため、 大多数の画 素の画素値は比較的小さい。 ·
いま、 1つのサンプル画像を構成する個々の画素のすべての色についての画 素値の最頻値もしくは平均値を、 当該サンプル画像の代表階調値と定義するこ とにする。 ここでは、 より具体的に、 図 1 9に示すサンプル画像 H aの代表階 調値が 1 9 7、 サンプル画像 H bの代表階調値が 1 3 0、 サンプル画像 H eの 代表階調値が 4 5であったとしょう。 全体的な明るさが互いに異なる複数のサ ンプル画像を用意すれば、 各サンプル画像の代表階調値も 0〜 2 5 5の範囲内 に離散的に分布したものになる。
さて、 次に、 図 2 0に示すような 3つのカーブ C r, C g , C bを、 階調再 現特性 (ガンマ特性) を示すグラフとして用意する。 これら 3つのカーブ C r, C g , C bは、 それぞれ三原色 R G Bについての入力信号階調値と実際の表示 輝度との関係を示すものであり、 一般に 「ガンマカーブ」 と呼ばれていること ' は、 既に述べたとおりである。 本発明に係る測定装置の目的は、 個々のカラー モニタについて、 それぞれ固有のガンマカーブを求めることにあり、 たとえば、 図 1 8に示す前掲の実施形態に係る測定装置の場合、 特性演算手段.2 6 0力、ら、 目的となる階調再現特性を示すグラフ、 すなわち、 ガンマカーブが出力される。 . こうして、 個々のモニタごとに固有のガンマカーブを、 当該モニタのプロフ アイルデ一ダとしてパソコンに組み込んでおけば、 このプロファイルデータに 基づく補正が可能になり、 個々のモニタに固有の階調再現特性に左右されない 普遍的な表示結果を得ることができるようになる。 ,
この § 7で述べる実施形態の基本的な発想は、 とりあえず、 任意のガンマ力 ーブを仮の階調再現特性としてパソコンに与え、 当該ガンマカーブに基づく補 正を行った上で、 モニタ画面上にサンプル画像を表示させ、 このモニタ上に表 示されたサンプル画像の明るさと色が、 物理的媒体上に出力されたサンプル画 像の明るさと色に近づくように、 ガンマカーブを修正する操作を行い、 仮の階 調再現特性を正式な階調再現特性に修正する、 という点にある。
たとえば、 図 1 9に示すサンプル画像 H aを利用した修正操作は、 次のよう にして行うことができる。 まず、 図 2 0に示すような任意のガンマカーブ C r, C g, C bを、 仮の階調再現特性として用意する。 そして、 カラ一モニタ 1 0 0の画面上に、 このサンプル画像 H aを表示させる。 図 2 1には、 カラ一モニ 夕 1 0 0上に、 サンプル画像 H aを表示させた状態が示されている。 すなわち、 図に示すサンプル画像 5 1 0 aが、 モニタの表示画面 5 0 0 a上に表示された サンプル画像 H aである。
一方、 物理的出力媒体 5 2 0 aは、 紙などの物理的な媒体上に、 サンプル画
像 H aを出力させることにより得られる媒体であり、 サンプル画像 5 3 0 aは、 この物理的媒体上に固定された画像である。 一般的には、 カラープリン夕に、 サンプル画像 H aに相当する画像データを与え、 紙面上にプリントすることに より、 物理的出力媒体 5 2 0 aを得ることができる。 もっとも、 上述した例の 場合、 サンプル画像 H aは、 R G B系で表現された画像データから構成されて いるため、 カラープリン夕でプリン卜する際には、 C MY系の画像データへの 変換が行われることになる。
図 2 1に示すように、 オペレータは、 モニタの表示画面 5 0 0 a上に表示さ れたサンプル画像 5 1 0 aと、 物理的出力媒体 5 2 0 a上にプリントされたサ ンプル画像 5 3 0 aとを目視比較することができる。 いずれも、 元のサンプル 画像 H aの画像デ一夕に基づいて表示された画像であるが、 サンプル画像 5 1 0 aは、 元のサンプル画像 H aの画像データに対して、 図 2 0に示すような仮 の階調再現特性に基づく補正を施すことによりモニタ画面上に得られた画像で あるのに対して、 サンプル画像 5 3 0 aは、 元のサンプル画像 H aの画像デー 夕に対して、 R G B系から C MY系へのデ一夕変換を施すことにより紙面上に 得られた画像ということになる。
図 2 1に示す表示画面 5 0 0 aの右下には、 3本のスライドバー 5 1 1〜 5 ' 1 3が表示されている。 これらのスライドバ一 5 1 1〜5 1 3は、 サンプル画 像 5 1 0 aの明るさおよび色を調整するための指示入力を与えるための操作手 段として機能する。 オペレータは、 これらスライドバー 5 1 1〜5 1 3を操作 しながら、 サンプル画像 5 1 0 aの明るさおよび色を調整する指示を入力し、 サンプル画像 5 3 0 aの明るさおよび色に一致させるような調整操作を行うこ とになる。
スライドバー 5. 1 1は、 サンプル画像 5 1 0 aの明るさを調節する機能を有 し、 マウスを用いて、 つまみを左方向へ移動させると画像を明るくすることが でき、 つまみを右方向に移動させると画像を暗くすることができる。 あるいは、
バーの両端に設けられたポタンをクリックすることによつても明るさの調整が 可能である。 たとえば、 「明」 ポタンをクリックすれば、 つまみが左方向に所 定量だけ移動することになり、 「暗」 ボタンをクリックすれば、 つまみが右方 向に所定„量だけ移動することになる。
スライドバ一 5 1 2は、 サンプル画像 5 1 0 aの第 1の色合い (黄色 Z青色) を調節する機能を有し、 マウスを用いて、 つまみを左方向へ移動させると画像 の色の黄色成分を強くすることができ、 つまみを右方向に移動させると画像の 色の青色成分を強くすることができる。 黄色と青色とは補色関係にあるため、 一方を強くすると、 他方が弱くなる関係にある。 あるいは、 バ一の両端に設け られたポタンをクリックすることによつても第 1の色合いの調整が可能である。 たとえば、 「黄」 ポタンをクリックすれば、 つまみが左方向に所定量だけ移動 することになり、 「青」 ポタンをクリックすれば、 つまみが右方向に所定量だ け移動することになる。
スライドバー 5 1 3は、 サンプル画像 5 1 0 aの第 2の色合い (赤色/緑色) を調節する機能を有し、 マウスを用いて、 つまみを左方向へ移動させると画像 の色の赤色成分を強くすることができ、 つまみを右方向に移動させると画像の 色の緑色成分を強くすることができる。 赤色と緑色とは補色関係にあるため、 一方を強くすると、 他方が弱くなる関係にある。 あるいは、 バーの両端に設け られたポタンをクリックすることによつても第 2の色合いの調整が可能である。 たとえば、 「赤」 ポタンをクリックすれば、 つまみが左方向に所定量だけ移動 することになり、 「緑」 ポタンをクリックすれば、 つまみが右方向に所定量だ け移動することになる。 '
ここで、 この各スライドバー 5 1 1〜5 1 3による調整操作により、 サンプ ル画像 5 1 0 aの明るさと色が変化するのは、 元のサンプル画像 H aの画像デ 一夕自体に対する修正が行われているからではなく、 図 2 0のような仮の階調 再現特性を示すガンマカーブ C r , C g , C bに対する修正が行われているか
らである。 しかも、 ここに示す実施形態の場合、 「サンプル画像 H aの明るさ に対応した部分」 に重点をおいた修正が行われるようにしている。
この修正処理の原理を、 図 2 0に示すガンマカーブ C r, C g, C bを例に とって、 より具体的に説明しょう。 前述したように、 サンプル画像 H aは、 比 5 較的明るい絵柄であり、 代表階調値も 1 9 7という比較的大きな値になってい る。 そこで、 このサンプル画像 H aを利用した調整操作では、 ガンマカーブ C
' r , C g , C bの比較的明るい部分に対応する領域に重点をおいた修正を行う ようにすればよい。 具体的には、 図 2 0に示す各ガンマカーブ C r, C g, C b上において、 サンプル画像 H aの代表階調値 1 9 7をもつ点 Q 7 , Q 8 , Q
10 9を各ガンマカーブ上の制御点と認識し、 この制御点をオペレータの指示入力 (スライドバ一 5 1 1, 5 1 2 , 5 1 .3に対する操作入力) に応じて所定方向 に移動させた後、 移動後の制御点を通るようにガンマ力一ブを滑らかに変形す ることにより修正を行えばよい。
図 2 0に示されている 3本のガンマカーブ C r, C g , C bのうち、 どの力
15 —プついて、 制御点をどの方向にどれだけ移動して修正を行うべきかは、 オペ
- レータの指示入力に応じて定まる。 たとえば、 図 2 1に示されているスライド バ一5 1 2を、 右方向にスライドさせ、 「黄色を弱める」 方向の指示入力が与 えられた場合に行うべき修正を考えてみる。 この場合、 修正対象となる色は、 青色になる。 なぜなら、 黄色は、 青色の補色であり、 「黄色を弱める」 ことは、
20 「青色を強める」 ことと同義になるからである。 したがって、 青色についての ガンマカープ C bが修正対象力一ブとなり、 このカーブ C b上の代表階調値 1 9 7をもつ点 Q 9が、 移動対象の制御点ということになる。
ここで、 オペレータの指示入力は、 「青色を強める」 方向への修正を示して いるので、 制御点 Q 9を、 右方の点 Q 9 1の位置まで移動させるか、 下方の点
25 Q 9 2の位置まで移動させるか、 あるいは、 斜め右下の点 Q 9 3の位置まで移 動させ、 この移動後の制御点を通るように、 ガンマカーブ C bを滑らかに変形
すればよい。 制御点 Q 9を、 点 Q 9 1 , Q 9 2 , Q 9 3のいずれの点に移動し て修正した場合も、 変形後のガンマカーブ C bの階調値 1 9 7近辺の輝度値は 下がることになる。 その結果、 モニタ上に表示されているサンプル画像 5 1 0 aの青色の輝度は向上し、 青色が強まることになる。 なぜなら、 青色に関する 仮の階調再現特性として与えられたガンマカーブ C bの階調値 1 9 7近辺の輝 度値が下げられたことにより、 そのようなガンマカーブ C bをもつモニタ 1 0 0上に正しい色表現を行うために、 青色をより強く表示するための補正が行わ れるからである。
別言すれば、 オペレータから 「青色を強める」 方向への修正を指示する入力 が行われたということは、 モニタの青色に関する真のガンマカーブ C bの輝度 値が、 図 2 0に示す現時点での仮のガンマ力一ブ C bの輝度値よりも低いこと を意味している。 すなわち、 青色に関する真のガンマカーブ C bの輝度値が仮 のガンマカーブの輝度値よりも低いため、 モニタ上に表示されたサンプル画像 H aの青みが弱くなり、 オペレータから 「青色を強める」 方向への指示入力が 与えられたことになる。 したがって、 その場合には、 図 2 0に示す現時点での 仮のガンマカーブ C bの輝度値を下げて、 真のガンマカーブ C bへ近付ける方 向へ修正を行えばよいので、 前述したとおり、 制御点 Q 9を、 右方の点 Q 9 1 の位置まで移動させるか、 下方の点 Q 9 2の位置まで移動させるか、 あるいは、 斜め右下の点 Q 9 3の位置まで移動させ、 この移動後の制御点を通るように、 ガンマカーブ C bを滑らかに変形すればよい。 なお、 制御点 Q 9の移動量は、 スライドバー 5 1 2のスライド量に応じて決めればよい。
もちろん、 ガンマ力一ブ C bに対する変形は、 カーブ全体が滑らかになるよ うに行われるので、 図示の点 Q 6や点 Q 3の位置も若干修正されることになる が、 あくまでも修正の重点は、 階調値 1 9 7の近傍ということになる。 なお、 滑らかなカーブ上に定義された特定の制御点を移動させることにより、 力一ブ 全体を変形させる手法は、 種々の方法が公知であるため、 ここでは詳しい説明
は省略する。
なお、 オペレータが、 スライドバー 5 1 2を、 左方向にスライドさせ、 「黄 色を強める (青色を弱める)」 方向の指示入力を与えた場合は、 制御点 Q 9を、 左方向、 上方向、 もしくは斜め左上方向に移動させることによる変形が行われ る。 また、 スライドバー 5 1 3をスライドする調整が行われた場合には、 赤色 および緑色が修正対象となるので、 制御点 Q 7もしくは制御点 Q 8を移動させ ることにより、 ガンマカーブ C rもしくはガンマ力一プ C gに対する変形が行 われる。 なお、 赤色と緑色は相互に補色の関係にあるので、 スライドバー 5 1 3がいずれの方向にスライドした場合も、 ガンマカーブ C rのみを変形させて 対処することも可熊であるし、 ガンマカーブ C gのみを変形させて対処するこ とも可能であるし、 両方を変形させて対処することも可能である。
一方、 オペレータが、 スライドバー 5 1 1をスライドさせて明るさを調整す る指示入力を与えた場合は、 3本のガンマカーブ C r, C g , C ,bのすべてに 対して同等の変形を行えばよい。 たとえば、 スライドバ一5 1 1を、 左方向に スライドさせ、 「明るくする」 方向の指未入力が与えられた場合は、 制御点 Q 7、 Q 8 , Q 9のすベてを、 右方向、 下方向、 もしくは斜め右下方向に移動さ せ、 ガンマカーブ C r, C g , C bのすベてを変形すればよい。 そうすれば、 仮の階調再現特性としてのガンマカーブの輝度値が低下するので、 正しい表示 を行うために、 より輝度を高める方向への補正が行われることになり、 結果的 に表示輝度が高まることになる。
もちろん、 実際には、 スライドバー 5 1 2 , 5 1 3による色の調整を行った 結果、 明るさが若干変動することになり、 逆に、 スライドバ一 5 1 1による明 るさの調整を行った結果、 色が若干変動することになるが、 明るさの調整と色 の調整とを繰り返してゆくうちに、 モニタ上のサンプル画像 5 1 0 aの明るさ と色は、 物理的出力媒体 5 2 0 a上のサンプル画像 5 3 0 aの明るさと色に 徐々に近付いてくる。 そこで、 オペレータは、 両者の明るさと色が一致したと
認識した段階で、 一致ポタン 514をクリックすればよい。 本実施形態では、 この一致ボタン 514がクリックされた,時点 (実際には、 図 21〜図 23に示 すすべての一致ポタン 514がクリックされた時点) におけるガンマカーブ C r, Cg, Cbを、 正式な階調再現特性を示すグラフとして出力するようにし 5 ている。
結局、 上述した手順による調整を行えば、 最初の段階では、 仮の階調再現特
' 性として与えられていた任意のガンマカーブ C r, C g, Cbに対して、 オペ レー夕の指示入力に応じた修正が施されてゆくので、 一致ポタン 514がクリ ックされた時点における修正後のガンマカーブ C r, Cg, Cbは、 サンプル
10 画像 510 aと 530 aとを目視した場合に明るさと色の一致を得る、 という 観点からは、 好ましい階調再現特性を示すものになる。
こうして、 サンプル画像 Haを利用した修正作業が完了したら、 続いて、 サ ンプル画像 Hbを利用した同様の修正操作を行う。 この修正操作の初期段階で 与えられる仮の階調再現特性は、 サンプル画像 H aを利用した修正作業が完了
15 した時点で得られているガンマカーブ C r, Cg, Cbである。 図 22は、 サ ンプル画像 Hbを利用した修正操作の画面を示す平面図である。 表示画面 50 0 b上には、 サンプル画像 51 0 bが表示されており、 物理的出力媒体 520 b上にプリントされたサンプル画像 530 bとの比較により、 スライドバ一 5 1 1, 512, 513に対する修正操作が行われる。 サンプル画像 Hbの代表
20. 階調値は 130であるから、 この修正操作では、 図 20に示すガンマカーブ C r , C g, (:13上の点(34, Q 5, Q 6を制御点として、 これらの制御点を移 動する方法で各カーブの変形が行われ、 中位の明るさの部分に重点をおいた修
' 正がなされる。
最後に、 サンプル画像 Heを利用した同様の修正操作を行う。 この修正操作
25 の初期段階で与えられる仮の階調再現特性は、 サンプル画像 H bを利用した修 正作業が完了した時点で得られているガンマカーブ C r, Cg, Cbである。
図 23は、 サンプル画像 Heを利用した修正操作の画面を示す平面図である。 表示画面 500 c上には、 サンプル画像 510 cが表示されており、 物理的出 力媒体 520 c上にプリントされたサンプル画像 530 cとの比較により、 ス ライドバ一 51 1, 512, 513に対する修正操作が行われる。 サンプル画 像 H cの代表階調値は 45であるから、 この修正操作では、 図 20に示すガン マカーブ C r, C g, (: 上の点<31, Q 2, Q 3を制御点として、 これらの 制御点を移動する方法で各カーブの変形が行われ、 暗い部分に重点をおいた修 正がなされる。
こうして、 3通りのサンプル画像 Ha, Hb, Heを利用した修正操作がす ベて完了したら、 このカラ一モニタ 100についての階調再現特性測定作業は 完了である。 結局、 図 20に示す C r, Cg, Cbについて、 階調値 1 97近 傍の特性については、 るいサンプル画像 H aを利用した修正が行われ、 階調 値 130近傍の特性については、 中位の明るさのサンプル画像 Hbを利用した 修正が行われ、 階調値 45近傍の特性については、 暗いサンプル画像 Heを利 用した修正が行われたことになり、 ガンマカーブの各部について、 それぞれ最 適なサンプル画像を利用した修正が完了したことになる。
もちろん、 実際には、 3通りのサンプル画像 Ha, Hb, Heを利用した修 正操作を、 この順に実施した後、 再び、 サンプル画像 Haについての目視比較 を行ったところ、 明るさおよび色の一致状態が乱されていた、 という事態も十 分に起こり得る。 これは、 制御点の移動により、 当該制御点の近傍のガンマ力 ーブが重点的に変形されるものの、 当該変形はガンマカーブの全領域に及ぶた めである。 したがって、 実用上は、 必要に応じて、 3通りのサンプル画像 Ha, Hb, Heを利用した修正操作を、 巡回させながら複数回繰り返すのが好まし レ 。
こうして、 オペレータが、 最終的に、' 3通りのサンプル画像 Ha, Hb, H cのいずれに関しても、 モニタ上に表示された画像の明るさおよび色と、 物理
的出力媒体上に出力された画像の明るさおよび色とがー致した、 との認識を ί# る状態になったら、 その時点でのガンマカーブ C r , C g , C bを、 当該カラ 一モニタ 1 0 0についての正式な階調再現特性を示すグラフとして出力すれば よい。 もっとも、 モニタ上に表示された画像と物理的出力媒体上に出力された 画像とは、 厳密な意味では、 明るさと色とを完全に一致させることは非常に困 難である。 そもそも、 カラ一モニタ 1 0 0上での白色と、 物理的出力媒体上で の白色と、 が完全に一致していなければ、 2つの画像の明るさと色とを厳密に 一致させる調整を行うことは不可能である。 したがって、 本実施形態における 「明るさと色の一致」 とは、 オペレータの目視による感覚的な判断において、 両者の近似の度合いが、 一致と認識できる程度にまで達した状態を意味するも のである。
なお、 このサンプル画像を利用した階調再現特性の測定方法によって、 正式 な階調再現特性として出力されるガンマカーブ C r, C g , C bは、 絶対的な 基準に基づくモニタの特性を示すものではなく、 あくまでもサンプル画像を基 準とした相対的な特性を示すものになる。 たとえば、 同じカラ一モニタについ て、 同じサンプル画像 H aの画像データを利用した測定を行ったとしても、 物 理的出力媒体を作成する際に用いたプリンタあるいはプリン夕用紙が異なれば、 正式な階調再現特性として出力されるガンマカーブも異なったものになる。 こ れは、 モニタと同様にプリン夕にも、 それぞれ固有の階調再現特性があるため、 同一の画像デ一夕を用いてプリントされた出力媒体であっても、 用いるプリン 夕が異なれば、 明るさや色が相違するためである。
したがって、 ここで述べた方法により、 個々のカラ一モニタについての絶対 的な基準に基づく階調再現特性を求めるためには、 用いたサンプル画像につい ての明るさや色を物理的に測定し、 この測定結果に基づく何らかの補正を施す 必要がある。 しかしながら、 D T P処理に利用される複数台のカラ一モニタの 階調再現特性のばらつきを修正する、 という実用的な用途に利用するのであれ
ば、 絶対的な基準に基づく階調再現特性を求める必要はない。 たとえば、 5 0 人のスタッフの分業により D T P処理が実行される環境において、 5 0台の力 ラ一モニタの階調再現特性のばらつきを修正するために、 各力ラ一モニタの階 調再現特性を測定する、 という用途を考えてみょう。 この場合、 同一のプリン 夕を用いて、 同一品質の紙の上に同一のサンプル画像をプリントすることによ り、 5 0枚の物理的出力媒体を用意しておけばよい。 5 0枚の物理的出力媒体 上にプリントされたサンプル画像は、 明るさおよび色が共通のものになるので、 5 0台のカラ一モニタの階調再現特性の測定を、 この 5 0枚の物理的出力媒体 をそれぞれ利用して行うようにすれば、 得られた測定結果は、 いずれも同一の 基準に基づくものになり、 所期の目的を達成することができる。 もちろん、' 1 枚の物理的出力媒体を、 5 0台のカラーモニタの階調再現特性の測定に使い回 しするようにしてもかまわない。
なお、 サンプル画像としては、 どのような絵柄の画像を用いてもかまわない が、 オペレータによる目視比較作業を容易にするためには、 オペレータが目視 した際に、 ほぼ無彩色の絵柄として認識することができる画像を用いるのが好 ましい。 もちろん、 モニタ上に表示される実際の画像は、 三原色 R G Bの混合 色として提示される画像であるが、 肉眼で観察した場合に、 グレーの濃淡によ つて表現された絵柄として認識される画像 ( 1つの画素についての三原色 R G Bの階調値がほぼ同じ画像) をサンプル画像として用いると、 特に、 色の一致 判断を容易に行うことができるようになる。 これは、 人間の肉眼による色成分 の知覚が、 無彩色の近傍において最も感度が高くなるためである。
たとえば、 鮮やかな赤色を基準として、 赤味をやや強めたり、 赤味をやや弱 めたりしたとしても、 そのような微妙な色合いの変化を肉眼で知覚することは 困難である。 ところが、 無彩色を基準として、 赤味をやや強めたり、 赤味をや や弱めたり (実際には、 補色である緑味をやや強めることになる) すると、 微 妙な色合いの変化であっても、 肉眼で知覚することが可能になる。 無彩色を基
準にすると、 うつすらと赤っぽい、 あるいは、 うつすらと緑がかっている、 と いう状態を肉眼で比較的容易に知覚することができる。
«< § 8 . サンプル画像を利用した階調再現特性の測定装置 >>> ここでは、 § 7で述べた原理に基づいて、 カラーモニタの階調再現特性の測 定を行う装置の構成および動作を述べる。 図 2 4は、 この装置の基本構成を示 すブロック図である。 図示のとおり、 この装置の主たる構成要素は、 階調再現 特性格納手段 4 1 0、 画像データ格納手段 4 2 0、 画像表示手段 4 3 0、 特性 修正手段 4 4 0、 一致信号入力手段 4 5 0、 そして物理的出力媒体 5 2 0であ り、 オペレータの目視測定操作により、 カラーモニタ 1 0 0の階調再現特性を 測定する機能を有し いる。
もっとも、 この測定装置の各構成要素のうち、 物理的出力媒体 5 2 0を除い た構成要素は、 いずれもカラ一モニタ 1 0 0に接続されたパソコン 2 0 0に、 所定のプログラムを組み込むことにより実現することができる構成要素であり、 実際には、 パソコン 2 0 0に組み込まれたプログラムによって実現されること になる。 '
階調再現特性格納手段 4 1 0は、 仮の階調再現特性を格納するための構成要 素であり、 具体的には、 図 2 0に示すように、 三原色 R G Bのそれぞれについ ての階調値と輝度との関係を示すガンマカーブ C r , C g , C IDに対応するデ —夕を格納するための記憶装置によって構成される。 ここに格納されたガンマ カーブは、 測定対象となるカラ一モニタ 1 0 0についての仮の階調再現特性で あり、 測定のための作業により徐々に修正されてゆく。 ただ、 最終的には、 こ こに格納されているガンマカーブが、 カラーモニタ 1 0 0についての正式な階 調再現特性として出力されることになる。
画像データ格納手段 4 2 0は、 測定に用いるためのサンプル画像の画像デ一 夕を格納した構成要素であり、 データ格納用の記憶装置によって構成される。 ここで述べる実施形態では、 図 1 9に示すように、 3通りのサンプル画像 H a ,
H b, H eについての画像デ一夕が、 画像デ一夕格納手段 4 2 0内に用意され ている。 一般論としては、 全体的な明るさが異なる複数 M通りのサンプル画像 の画像データを、 画像デ一夕格納手段 4 2 0内に用意しておけばよい。
画像表示手段 4 3 0は、 画像データ格納手段 4 2 0内に用意されているサン プル画像を、 力ラ一モニタ 1 0 0の画面 5 0 0上に表示させる処理を行う構成 要素である。 ただし、 この画像表示手段 4 3 0は、 カラ一モニタ 1 0 0の階調 再現特性が、 階調再現特性格納手段 4 1 0内に格納されている仮の階調再現特 性であるものと仮定した場合に、 サンプル画像がカラ一モニタ 1 0 0上に正し い階調再現性をもって表示されるように、 画像データ格納手段 4 2 0内に格納 されている画像デ一夕に対して所定の階調補正を行い、 捕正後の画像データを カラ一モニタ 1 0 0に与える機能を有している。 したがって、 画面 5 0 0上に 表示されたサンプル画像 5 1 0は、 その時点で階調再現特性格納手段 4 1 0内 に格納されている仮の階調再現特性に基づいて階調補正が施された画像という ことになる。
一方、 物理的出力媒体 5 2 0は、 画像データ格納手段 4 2 0内に格納されて いる画像データに基づいて、 サンプル画像を紙面などの物理的媒体上に出力す ることにより得られる構成要素であり、 表面には、 サンプル画像 5 3 0がプリ ントされている。 画像デ一夕格納手段 4 2 0内に M通りのサンプル画像を用意 した場合には、 これら M通りのサンプル画像のそれぞれに対応する M個の物理 的出力媒体が用意されることになる。 ここで述べる実施形態では、 画像データ 格納手段 4 2 0内に、 3通りのサンプル画像 H a , H b, H eについての画像 デ一夕が用意されているので、 図 2 1〜図 2 3に示すように、 3通りの物理的 出力媒体 5 2 0 a , 5 2 0 b , 5 2' 0 cが用意されることになる。
なお、 オペレータは、 画面 5 0 0上のサンプル画像 5 1 0と、 物理的出力媒 体 5 2 0上のサンプル画像 5 3 0とを目視比較することになるが、 このとき、 両画像のサイズがほぼ同じになるように設定するのが好ましい。 これは、 2つ
の画像の明るさおよび色を肉眼で比較する場合、 両画像がほぼ同じサイズであ る方が、 より正確な比較が可能になるためである。 したがって、 プリンタを用 いて物理的出力媒体 5 2 0を作成する際には、 画面 5 0 0上のサンプル画像 5 1 0とほぼ同じサイズのサンプル画像 5 3 0がプリントされるように配慮する のが好ましい。
特性修正手段 4 4 0は、 カラ一モニタの画面 5 0 0上に表示されたサンプル 画像 5 1 0と、 物理的出力媒体 5 2 0上に表示されたサンプル画像 5 3 0と、 を目視比較するオペレータから、 両者の明るさおよび色を一致させる方向への 指示入力を受け取り、 この指示入力に基づいて、 階調再現特性格納手段 4 1 0 内に格納されている仮の階調再現特性を修正する機能を有する。
§ 7で述べた実施形態の場合、 この特性修正手段 4 4 0による修正操作は、 明るさ修正操作と色修正操作とに分けて行われる。 明るさ修正操作は、 画面 5 0 0上に表示されたサンプル画像 5 1 0について、 主として明るさを変えるこ とを指示する指示入力に基づいて階調再現特性を修正する操作であり、 たとえ ば、 図 2 1に示すスライドバ一 5 1 1を左右に移動させる指示入力に基づいて 実行される。 一方、 色修正操作は、 画面 5 0 0上に表示されたサンプル画像 5 1 0について、 主として色を変えることを指示する指示入力に基づいて階調再 現特性を修正する操作であり、 たとえば、 図 2 1に示すスライドバー 5 1 2 , 5 1 3を左右に移動させる指示入力に基づいて実行される。 既に § 7で述べた とおり、 明るさ修正操作を行う際には、 階調再現特性格納手段 4 1 0内に格納 されている三原色 R G Bの各ガンマカーブのすべてに対して修正が行われ、 色 修正操作を行う際には、 修正対象となる色のガンマカーブに対してのみ修正が 行われる。 ■ ·
また、 ガンマカーブに対する修正が、 目視比較に利用しているサンプル画像 の明るさに対応した部分に重点をおいて行われることも、 既に述べたとおりで あり、 たとえば、 明るい絵柄のサンプル画像 H aについて目視比較を行ってい
る際には、 図 2 0の階調値 1 9 7の近傍に重点をおいた修正が実行される。
一般論として述べれば、 複数 M通りのサンプル画像のうちの第 i番目のサン プル画像に関する指示入力を受け取ったときには、 階調再現特性格納手段 4 1 0内に格納されている仮の階調再現特性に対して、 「第 i番目のサンプル画像 の明るさに対応した部分」 に重点をおいた修正が行われることになる。 § 7で 説明した具体例の場合、 特性修正手段 4 4 0が、 第 i番目のサンプル画像に関 する指示入力を受け取ったときには、 この第 i番目のサンプル画像の代表階調 値をもつガンマカーブ上の点を制御点と認識し、 この制御点を指示入力に応じ て所定方向に移動させた後、 移動後の制御点を通るようにガンマカーブを滑ら かに変形することにより、 真の階調再現特性へと近付ける修正が行われる。 こ こで、 サンプル画像の代表階調値としては、 画像データ格納手段 4 2 0に格納 されている画像デ一夕によって示される個々の画素のすべての色についての画 素値の最頻値もしくは平均値を用いればよい。
一致信号入力手段 4 5 0は、 オペレータから、 サンプル画像 5 1 0とサンプ ル画像 5 3 0とについて、 明るさおよび色がともに一致したとの認識を示す一 致信号を入力する構成要素である。 図 2 1〜図 2 3に示す一致ポタン 5 1 4は、 特定のサンプル画像についての一致認識を示すためのポタンであるが、 一致信 号入力手段 4 5 0は、 たとえば、 すべてのサンプル画像について一致ポタン 5 1 4がクリックされた場合に、 オペレータから一致信号が入力されたものと判 断する構成要素により実現することができる。 あるいは、 すべてのサンプル画' 像について一致認識が得られた旨の特別なポタンを別途用意しておくようにし てもかまわない。
特性出力手段 4 6 0は、 一致信号入力手段によって一致信号が入力された時 点において、 階調再現特性格納手段 4 1 0に格納されている仮の階調再現特性 (ガンマカーブ C r, C g , C b ) を示すグラフを、 カラ一モニタ 1 0 0の正 式な階調再現特性として出力する。 こうして出力された階調再現特性が、 本発
明に係る階調再現特性測定装置による最終的な測定結果ということになる。 図 2 5は、 図 2 4に示す測定装置を用いた特性測定の処理手順を示す流れ図 である。 まず、 ステップ S 1 1において、 全体的な明るさが異なる複数 M通り のサンプル画像の画像データを用意する。 上述の例では、 M= 3として、 3通 りのサンプル画像 H a, H b , H eの画像デ一夕が用意されている。 続くステ ップ S 1 2では、 プリン夕などを利用して、 この M通りのサンプル画像を物理 的な媒体上に出力することにより、 M通りの物理的出力媒体を用意する。 上述 の例では、 3通りの物理的出力媒体 5 2 0 a , 5 2 0 b , 5 2 0 cが用意され ている。
続いて、 ステップ S 1 3において、 パラメ一夕 iを初期値 1にセットする。 このパラメータ iは、 M通りのサンプル画像のそれぞれについて、 同じ手順を 繰り返すためのパラメータであり、 ステップ S 1 8において、 i =Mに到達し たと判断されるまで、 ステップ S 1 9で 1ずつ更新される。
ステップ S 1 4では、 第 i番目のサンプル画像を仮の階調再現特性を用いた 階調補正を行うことにより、 カラ一モニタ 1 0 0上に表示する処理が行われる。 たとえば、 上述の例の場合、 パラメータ i = lでは、 図 2 1に示すように、 第 1番目のサンプル画像 5 1 0 aが画面 5 0 0上に表示される'ことになる。 次の ステップ S 1 5は、 オペレータによる処理動作であり、 カラーモニタ 1 0 0上 に表示された第 i番目のサンプル画像と、 第 i番目の物理的出力媒体とが目視 比較される。 パラメ一夕 i = lでは、 図 2 1に示すように、 サンプル画像 5 1 0 aとサンプル画像 5 3 0 aとの比較が行われることになる。
ステップ S 1 6では、 比較の結果、 明るさと色の双方が一致しているとの認 識がなされたか否かが判断され、 致認識がなされ ¾かった場合、 ステップ S 1 7における修正が行われる。 すなわち、 オペレータの指示入力により、 現時 点で階調再現特性格納手段 4 1 0内に格納されている仮の階調再現特性に対し • て、 「第 i番目のサンプル画像の明るさに対応した部分」 に重点をおいた修正
が行われる。
こうして、 ステップ S 1 6において一致認識が行われるまで (一致ポタン 5 1 4がクリックされるまで)、 ステップ S S 1 4, S 1 5 , S 1 6 , S 1 7の 各手順が繰り返し実行される。 ステップ S 1 6において一致認識が行われると、 ステップ S 1 8およびステップ S 1 9を経て、 パラメータ iが更新され、 次の サンプル画像について、 同様の処理が実行される。 こうして、 M通りのサンプ ル画像のすべてについて、 同様の処理が完了したら、 ステップ S 1 8からステ ップ S 2 0へと進み、 現時点で階調再現特性格納手段 4 1 0内に格納されてい る仮の階調再現特性を、 正式な階調再現特性として出力する処理が実行される。 «< § 9 . 代表階調値の代わりに代表輝度値を用いる変形例 >>> 最後に、 § 7および § 8で述べた実施形態の変形例を示しておく。 § 7で述 ベた実施形態では、 各サンプル画像について、 代表階調値なるものを定義し、 特定のサンプル画像を利用した修正操作では、 階調再現特性を示すガンマカー ブに対して、 当該サンプル画像の代表階調値の近傍部分に重点をおいた修正を 行うようにしていた。 たとえば、 図 1 9に示すサンプル画像 H aは、 代表階調 値が 1 9 7であるので、 このサンプル画像 H aを利用した修正操作では、 図 2 0に示すように、 各ガンマカーブ上で階調値 1 9 7をもった点 Q 7 , Q 8 , Q 9を制御点とする修正を行っていた。
ここで述べる変形例では、 各サンプル画像について、 代表輝度値なるものを 定義し、 1つのサンプル画像を利用した修正操作では、 階調再現特性を示すガ ンマカーブに対して、 当該サンプル画像の代表輝度値の近傍部分に重点をおい た修正を行うようにする。
ところで、 サンプル画像の階調値は、 当該サンプル画像の画像データを構成 する個々の画素の画素値として与えられるものであるから、 代表階調値は、 こ れら画素値の最頻値あるいは平均値として一義的に求めることができる。 これ に対して、 サンプル画像の輝度値は、 当該サンプル画像がモニタ上に表示され
たり、 物理的出力媒体上に出力されたりして、 初めて求めることができる値で ある。 したがって、 画像データ格納手段 420内に、 3通りのサンプル画像 H a, Hb, Heについての画像データがそれぞれ用意されていたとしても、 こ れらの画像データから直ちに各サンプル画像 Ha, Hb, Heの代表輝度値を 求めることはできない。 本願発明者は、 各サンプル画像 Ha, Hb, Heの代 表輝度値を求める方法として、 次の 2通りの手法が有効であると考えている。 第 1の手法は、 代表階調値に基づいて所定の換算方法により換算することに より得られた値を、 代表輝度値として用いる方法である。 一般に、 階調値と輝 度値との関係は、 図 20に示すように、 リニアな関係にはならず、 モニタゃプ リン夕などに応じて固有のカーブを描く関係になる。 そもそも本発明に係る階 調再現特性測定装置は、 そのようなカーブを求めるための装置である。 ただ、 ここで求めようとしている代表輝度値は、 正確な値である必要はない。 なぜな ら、 本発明における代表階調値や代表輝度値の役割は、 階調再現特性を示すガ ンマカーブのどの部分を重点的に修正するかを示す単なる指標としての役割と いうべきものであり、 厳密さは要求されないからである。
そこで、 たとえば、 「階調値と輝度値とは、 リニアな関係にある」 というよ うな大まかな関係を定義すれば、 ·代表階調値に基づいて、 代表輝度値を一義的 に換算することが可能になる。 図 26は、 このような換算結果の一例を示す図 である。 ここでは、階調値が 0〜255の範囲をとり、輝度値が 0%〜100% の範囲をとり、 両者がリニアな関係にある、 との前提で、 輝度値 =階調値ノ 2 55なる単純な換算式を定義している。 その結果、 サンプル画像 Haについて の代表輝度値は、 代表階調値 197に基づいて 「197/255 = 78 %」 な る演算により求まり、 サンプル画像 Hbについての代表輝度値は、 代表階調値 130に基づいて 「130Z255 = 51 %」 なる演算により求まり、 サンプ ル画像 H cについての代表輝度値は、 代表階調値 45に基づいて 「 45 25 5 = 18%」 なる演算により求まる。 もちろん、 このような換算によって求め
た代表階調値は、 正確な値ではないが、 ガンマカーブに対する重点的修正位置 を示す指標として用いるには十分である。
もちろん、 より正確な換算を行うことも可能である。 たとえば、 パソコンと 入出力機器との間でのカラ一マネジメントを行うため、 一般に、 I C C (International Color Consortium) によつて定められた I C Cプロファイル というデータファイルが利用されている。 多くの市販プリンタの場合、 メーカ から I C Cプロファイルが提供されており、 また、 公知の測定方法により、 任 意のプリンタについての I C Cプロファイルを作成することも可能である。 こ の I C Cプロファイルを利用すれば、 任意の R G B階調値を輝度値に変換する ことが可能になる。 したがって、 物理的媒体を出力するのに用いた特定のプリ ン夕についての I C Cプロファイルを利用すれば、 代表階調値から代表輝度値 へのより正確な換算が可能になる。
第 2の手法は、 物理的出力媒体上のサンプル画像全体に関する平均的な輝度 を、 物理的な測定装置を用いて実測し、 この実測値をそのまま当該サンプル画 像の代表輝度値とする方法である。 具体的には、 サンプル画像 H aについての 代表輝度値は、 図 2 1に示す物理的出力媒体 5 2 0 aに対する実測により求ま り、 サンプル画像 H bについての代表輝度値は、 図 2 2に示す物理的出力媒体 5 2 0 bに対する実測により求まり、 サンプル画像 H cについての代表輝度値 は、 図 2 3に示す物理的出力媒体 5 2 0 cに対する実測により求まる。 この手 法は、 物理的な方法による実測が必要になるものの.、 正確な代表輝度値を得る ことが可能になる。
こうして、 各サンプル画像についての代表輝度値が得られたら、 この代表輝 度値に応じて制御点の定義を行い、 ガンマカーブの修正を行うようにすればよ レ^ 図 2 7は、 このように、 代表輝度値の近傍部分に重点をおいた修正を行う 概念を説明するためのグラフである。 図 2 6に示す例のように、 サンプル画像 H aについての代表輝度値が 7 8 %、 サンプル画像 H bについての代表輝度値
力 51%、 サンプル画像 Heについての代表輝度値が 18%と定まったら、 サ ンプル画像 Haを利用した各カーブに対する修正は、 制御点 Q l, Q2, Q3 を移動させることによって行い、 サンプル画像 H bを利用した各カーブに対す る條正は、 制御点 Q4, Q 5, Q 6を移動させることによって行い、 サンプル 画像 Heを利用した各カーブに対する修正は、 制御点 Q7, Q8, Q9を移動 させることによって行えばよい。
«< § 10. 階調再現特性を皁動的に変動させる方法 >>>
上述した § 7〜§ 9で述べた実施形態では、 図 21〜図 23に示すようなス ライドバ一 51 1〜513の操作によってオペレータからの指示を入力し、 こ の指示に基づいて、 階調再現特性 (ガンマカーブ) を修正する例を示した。 こ こでは、 このようなオペレータによる指示入力の負担を軽減させる方法を述べ る。 - この方法の主眼は、 § 3で述べた実施形態と共通する。 すなわち、 予め定め られた所定の変動条件にしたがって、 ガンマカーブの形状を時間とともに自動 的に変動させるようにし、 オペレータに、 カラーモニタの画面上のサンプル画 像と物理的出力媒体上のサンプル画像とを目視しながら、 明るさおよび色が最 も近いと認識できる時点を指示してもらうようにするのである。 様々な変動条 件の下で、 同様の処理を繰り返してゆけば、 仮のガンマカーブの形状は次第に 真のガンマカーブの形状に近づいてゆくことになる。 そして、 ある程度近似し てきた段階で、 オペレータに、 両者の明るさと色が一致したとの認識を示す一 致信号を入力してもらい、 その時点での仮のガンマカープを、 正式なガンマ力 —ブとして出力すればよい。
前述の実施形態では、 たとえば、 図 19に示すサンプル画像 Haを用いて、 黄色/青色の色合いに関する修正操作を行う場合、 図 21に示すスライドバー 512をオペレータに調整してもらい、 その結果に基づいて、 図 20に示すガ ンマカーブ C b上の制御点 Q 9を所定方向に移動させる修正を行っていた。 こ
こで述べる実施形態の場合、 制御点 Q 9の位置を自動的に所定方向に周期的に 変動させることにより、 ガンマカーブ C bの形状を時間とともに変動させるの である。
たとえば、 図 2 0に示す制御点 Q 9は、 階調値 1 9 7をもつ点であるが、 こ の階調値を士 5の範囲内で変動させると、 制御点 Q 9の階調値は 1 9 2〜 2 0 2の範囲内を変動することになる。 その結果、 図 2 0において、 制御点 Q 9の 位置は左右に往復運動する。 もちろん、 制御点 Q 9の位置が変わると、 新たな 制御点 Q 9の位置を通るように、 ガンマカーブ C bの形状も滑らかに変化させ るようにする。 結局、 ガンマカーブ C bは、 図 2 0に示されている形状を基準 として、 所定範囲内での変形を周期的に繰り返すことになる。 このように、 ガ ンマカーブ C bを周期的に変動させると、 図 2 1に示すサンプル画像 5 1 0 a の黄色 Z青色の色合いが周期的に変化することになり、 前述の実施形態におい て、 スライドバ一 5 1 2を左右に移動させる操作を行っているのと同じ効果が 得られる。
要するに、 ここで述べる実施形態は、 図 2 1に示すスライドバーを、 システ ム側で自動的に左右に移動させているのと同じ効果を奏する。 もちろん、 実際 には、 図 2 1に示すようなスライドバ一5 1 1〜5 1 3は、 設けなくてもかま わない。 オペレータは、 サンプル画像 5 1 0 aと 5 3 0 aとを目視しながら、 両者の黄色 青色の色合いが最も近づいたと認識できた時点で、 その旨を示す 指示入力をマウスクリックなどの方法で行えぱよい。 ォペレ一夕が指示入力を 行った時点でのガンマカーブ C bが、 その時点で最も好ましいガンマカーブと いうことになるので、 これを新たなガンマカーブ C bとする修正を行う。
ガンマカーブ C g , C rについても、 同様の方法で修正を行えばよい。 すな わち、 今度は、 制御点 Q 8を左右に往復運動させながらガンマカーブ C gを周 期的に変形させ、 赤色 緑色の色合いが最も近づいたと認識できた時点でオペ レ一夕に指示を入力してもらい、 その時点でのガンマ力一ブを新たなガンマ力
ーブ C gとする。 同様に、 制御点 Q 7を左右に往復運動させながらガンマカー ブ C rを周期的に変形させ、 やはり赤色 Z緑色の色合いが最も近づいたと認識 できた時点でオペレータに指示を入力してもらい、 その時点でのガンマカーブ を新たなガンマカーブ C rとする。
一方、 明るさの一致認識に関しては、 制御点 Q 7〜Q 9を同位相で左右に往 復運動させながら、 3つのガンマ力一プ C r, Cg, Cbを同時に変形させる ようにし、 明るさが最も近づいたと認識できた時点でオペレータに指示を入力 してもらい、 その時点での各ガンマカーブを新たなガンマカーブ C r, Cg, Cbとすればよい。
もちろん、 このような明るさの修正処理を実行すると、 せっかく調整した色 のバランスが崩れてしまう可能性があり、 逆に、 色の修正処理を実行すると、 明るさのバランスが崩れてしまう可能性がある。 したがって、 実用上は、 § 3 で述べた実施形態と同様に、 色の調整と明るさの調整を交互に繰り返し実行し、 かつ、 制御点の変動範囲を徐々に狭めてゆくような運用を行えばよい。 なお、 制御点の変動方向は、 上下方向でもよいし、 斜め方向でもかまわない。
こうして、 図 19に示すサンプル画像 Haを いた修正が完了したら、 続い て、 サンプル画像 Hbを用いた修正処理を行う。 この場合、 図 20に示す制御 点 Q4, Q 5, Q 6をそれぞれ所定範囲で変動させ、 各ガンマカーブ C r, C g, Cbの主として中央部分を変形させる修正を行う。 そして、 最後に、 サン プル画像 Heを用いた修正処理を行う。 この場合は、 図 20に示す制御点 Ql, Q2, Q 3をそれぞれ所定範囲で変動させ、 各ガンマカーブ C r , Cg, Cb の主として暗い部分を変形させる修正を行うことになる。 もちろん、 この後、 再び、 サンプル画像 H aを用いた二巡目の修正処理を実行するようにしてもか まわない。
このような修正処理を経た後、 オペレータの目視による比較の結果、 両サン プル画像の明るさと色との双方が一致した (ある程度の許容範囲内で近似し
た) との認識が得られたら、 最終的な一致信号を入力してもらうようにする。 もっとも、 実用上は、 必ずしも 「最終的な一致信号」 という形式の信号を改め て入力させる必要はなく、 サンプル画像 H eに関する調整操作において、 最後 に入力された指示入力 (色あるいは明るさが最も近づいた旨の指示) を、 最終 的な一致信号として取り扱えば足りる。
以上、 階調再現特性を自動的に変動させる実施形態を述べたが、 現在のコン ピュー夕の演算処理能力を考えると、 この § 1 0で述べた実施形態を実施する ためには、 実用上、 若干の工夫が必要になる。 § 3で述べた実施形態も、 この § 1 0で述べた実施形態も、 いずれもオペレータから見れば、 画面上の表示対 象物の色合いや明るさが時間とともに徐々に変動してゆくように見える。 しか しながら、 システム側の処理内容に着目すると、 § 3で述べた実施形態の場合、 階調値変動手段 2 4 0 (図 1 8 ) は、 階調値指定手段 2 1 0内の階調値を直接 変動させればよいので、 デジタルデータを単に増減す.る処理を行えば足りるが、 この § 1 0で述べた実施形態の場合、 特性修正手段 4 4 0 (図 2 4 ) は、 階調 再現特性格納手段 4 1 0内に格納されているガンマカーブを変形させる処理を 行う必要がある。 しかも、 変形後のカーブは、 特定の位置にある制御点を通る 力一ブとなっている必要があるので、 そのようなカーブを求めるための演算負 担はかなり大きレゝ。
§ 3で述べた実施形態も、 この § 1 0で述べた実施形態も、 オペレータに、 周期的に変化する画像を提示する必要があるが、 提示周期があま 0に長くなる と、 実用性に乏しくなる。 たとえば、 1 0秒間の周期で変化する画像を提示し ながら、 オペレータに比較対象となる画像が最も近似する時点を指示してもら うような運用形態は十分に実用的である。 しかしながら、 変化の周期が、 1 0 分間というオーダ一になると、 オペレータが注意力を維持することができなく なり、 実用性に乏しくなる。 このため、 比較的処理速度の遅いパソコンを用い た場合を考慮すると、 たとえば、 図 2 0に示す制御点 Q 9を左右に往復運動さ、.
せながら、 その都度、 新たなガンマカーブ Cbを演算により求め、 この新たな ガンマカーブ Cbを用いて新たな画像を提示する、 というリアルタイムでの処 理は、 実用性に乏しい。
そこで、 この § 10で述べた方法を実施する場合、 オペレータに対する画像 提示の前に、 変動範囲内の複数通りのガンマカーブを予め演算しておくように するのが好ましい。 たとえば、 図 20に示す制御点 Q 7, Q 8 , Q9を周期的 に移動させる調整 (すなわち、 サンプル画像 Haを利用した調整) を行う場合、 その前に、 必要なガンマカーブをすベて演算により求めておくようにする。 具 体的には、 ガンマカーブ Cbについて、 制御点 Q 9の階調値を ± 5だけ変動さ せる変形を行う場合であれば、 左へ 5階調値分移動した場合のカーブ、 左へ.4 階調値分移動した場合のカーブ、 ···、 右へ 4階調値分移動した場合のカーブ、 右へ 5階調値分移動した場合のカーブ、 という合計 10通りのカーブを予め演 算しておけばよい。 ガンマカーブ C r, Cbについても同様である。 オペレー 夕が、 サンプル画像 Haについての調整操作を行う間は、 この予め演算された 複数のガンマカーブを利用した画像提示を行えばよい。
続いて、 オペレータが次のサンプル画像 Hbについての調整操作を行う前に、 サンプル画像 H aについての調整操作の結果として得られた 3つのガンマ力一 ブ C r, Cg, Cbに基づいて、 それぞれ制御点 Q 4, Q 5, Q 6を所定範囲 内で移動させることにより得られる複数のガンマカーブを演算により求めるよ うにすればよい。 同様に、 オペレータが最後のサンプル画像 Heについての調 整操作を行う前に、 サンプル画像 Hbについての調整操作の結果として得られ た 3つのガンマカーブ C r, Cg, Cbに基づいて、 それぞれ制御点 Ql, Q 2, Q 3を所定範囲内で移動させることにより得られる複数のガンマカーブを 演算により求めるようにすればよい。
このように、 画像提示の前に、 予め必要なガンマカーブを求める演算を行つ ておく方法を採れば、 リアルタイムで演算を行いながら画像提示を行う方法に
比べて、 スムーズな画像提示を行うことが可能になる。 産 業 上 の 利 用 可 能 性
本発明に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置は、 三原色 R G Bを用い てカラ一画像を表示する機能をもったカラーモニタの階調再現特性を目視によ り測定する用途に利用することができる。 特に、 本発明は、 印刷物を作成する' D T P処理に利用されるカラーモニタについて、 精度の高い階調再現特性を求 め、 より精度の高い補正を行う用途に適しており、 液晶カラ一ディスプレイや、 経年変化が生じた C R Tカラ一モニタに対しても、 十分な精度をもった測定が 可能である。