JPWO2004111989A1 - カラーモニタの階調再現特性測定装置 - Google Patents
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Abstract
Description
三原色RGBを用いてカラー画像を表示する機能をもったカラーモニタの代表的な表示特性は、三原色の色度、白色の色度、階調再現特性である。ここで、階調再現特性は、入力信号階調値と実際の表示輝度との関係を示す特性であり、通常、ガンマ特性と呼ばれている。この階調再現特性に応じた補正を行わないと、全く同一の画像データに基づいて表示を行っても、個々のモニタごとに輝度分布の異なる画像表示が行われてしまうことになる。したがって、実用上、個々のモニタに固有の階調再現特性に応じた補正(いわゆるガンマ補正)を行うことは、非常に重要な事項になる。たとえば、特開平07−162714号公報には、このようなガンマ補正の一般的な方法が開示されている。
個々のモニタについての階調再現特性を測定する手法としては、光学的な測定装置を用いて物理的な特性データを得る手法もあるが、通常は、人間の目による目視を行いながら特性データを得る手法が採られる。これは、モニタを利用するのはあくまでも人間であるので、純然たる物理的な測定方法で得られた特性データよりも、人間の目視による感覚的な輝度を基準とした測定方法で得られた特性データの方が好ましいためである。たとえば、特許第2889078号公報には、目視により階調再現特性を得る方法が開示されている。
上述したように、個々のモニタについて、目視により階調再現特性を得ることは、人間の目の感度特性に合致した補正を行う上で非常に重要であるが、従来提案されている目視による測定方法や測定装置では、十分な精度をもった階調再現特性を求めることができないという問題がある。特に、印刷物を作成するDTP処理に利用されるカラーモニタの場合、より精度の高い階調再現特性を求め、より精度の高い補正を行う必要性があるが、従来の技術では、液晶カラーディスプレイや、経年変化が生じたCRTカラーモニタに対して、十分な精度をもった測定が困難である。
そこで本発明は、目視により階調再現特性を高精度に求めることが可能なカラーモニタの階調再現特性測定装置を提供することを目的とする。
第1属性の領域内に、明るさおよび色が一様な均一パターンを表示させるための三原色RGBの階調値の組み合わせを指定する階調値指定手段と、
第2属性の領域内に、三原色RGBがそれぞれ最小階調値をもつ第1副領域と、三原色RGBがそれぞれ最大階調値をもつ第2副領域と、を所定面積比で混在させた参照パターンを生成する参照パターン生成手段と、
カラーモニタの画面上に、互いに接するように配置された第1属性の領域と第2属性の領域とによって構成されるテストパターンを定義し、第1属性の領域内には、階調値指定手段によって指定された階調値の組み合わせに基づく均一パターンが表示され、第2属性の領域内には、参照パターン生成手段で生成された参照パターンが表示されるように、所定の信号をカラーモニタに与えるパターン表示手段と、
階調値指定手段によって指定される各階調値を、均一パターンの明るさおよび色が変わるように変動させる階調値変動手段と、
階調値変動手段による変動操作が行われている状態において、カラーモニタの画面上に表示されたテストパターンを目視するオペレータから、第1属性の領域と第2属性の領域との明るさおよび色がともに一致したとの認識を示す一致信号を入力する一致信号入力手段と、
一致信号が入力されたときに、階調値指定手段により指定されていた階調値の組み合わせを、参照パターンの所定面積比に応じた所定の参照輝度に対応する各原色の対応階調値と認識し、互いに対応関係にある参照輝度と対応階調値とに基づいて、各原色ごとの階調再現特性を演算により求める特性演算手段と、
を設けたものである。
(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
階調値変動手段が、主として均一パターンの明るさが変わるように階調値を変動させる明るさ変動操作と、主として均一パターンの色が変わるように階調値を変動させる色変動操作と、の2通りの変動操作を行う機能を有するようにしたものである。
(3) 本発明の第3の態様は、上述の第2の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
明るさ変動操作が、三原色RGBの各階調値のすべてについて、共通の変動量を増減する作業によって行われ、
色変動操作が、三原色RGBのうちのいずれか1つの特定色についての階調値を増減する作業によって行われるようにしたものである。
(4) 本発明の第4の態様は、上述の第1〜第3の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
階調値変動手段が、オペレータの操作入力に基づいて、階調値の変動を行うようにしたものである。
(5) 本発明の第5の態様は、上述の第4の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
階調値変動手段が、均一パターンを明るくする指示を与える第1ボタンと、均一パターンを暗くする指示を与える第2ボタンと、均一パターンの特定色の成分を強める指示を与える第3ボタンと、均一パターンの特定色の成分を弱める指示を与える第4ボタンと、を用い、第1ボタンに対する操作入力があった場合には、三原色RGBの各階調値のすべてについて、共通の変動量を加える変動操作を行い、第2ボタンに対する操作入力があった場合には、三原色RGBの各階調値のすべてについて、共通の変動量を減じる変動操作を行い、第3ボタンに対する操作入力があった場合には、特定色の階調値について、所定の変動量を加える変動操作を行い、第4ボタンに対する操作入力があった場合には、特定色の階調値について、所定の変動量を減じる変動操作を行うようにしたものである。
(6) 本発明の第6の態様は、上述の第5の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
各ボタンを配置する平面上にXY二次元座標系を定義したときに、第1ボタンおよび第2ボタンがX軸上の原点を挟んだ対向位置に配置され、第3ボタンおよび第4ボタンがY軸上の原点を挟んだ対向位置に配置されているようにしたものである。
(7) 本発明の第7の態様は、上述の第1〜第3の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
階調値変動手段が、予め定められた所定の規則にしたがって、階調値を時間とともに変動させる処理を行うようにしたものである。
(8) 本発明の第8の態様は、上述の第7の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
階調値変動手段が、三原色RGBの各階調値のすべてについて、所定のタイミングで共通の変動量を加えるもしくは減じることにより、主として均一パターンの明るさが変わるように階調値を変動させる明るさ変動操作と、三原色RGBのうちのいずれか1つの特定色の階調値について、所定のタイミングで所定の変動量を加えるもしくは減じることにより、主として均一パターンの色が変わるように階調値を変動させる色変動操作と、の2通りの変動操作を行う機能を有し、
一致信号入力手段が、階調値変動手段が明るさ変動操作を行っている状態において、オペレータから明るさが一致したとの認識を示す明るさ一致信号を入力するための明るさ一致信号入力手段と、階調値変動手段が色変動操作を行っている状態において、オペレータから色が一致したとの認識を示す色一致信号を入力するための色一致信号入力手段と、を備え、明るさ一致信号と色一致信号との双方の入力が完了した場合に、明るさおよび色がともに一致したとの認識を示す一致信号が入力されたものとして取り扱うようにしたものである。
(9) 本発明の第9の態様は、上述の第8の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
変動量を加算する変動操作により得られる階調値が最大階調値を上回ってしまう場合には、超過分を最小階調値から計数する循環処理を行い、変動量を減算する変動操作により得られる階調値が最小階調値を下回ってしまう場合には、超過分を最大階調値から計数する循環処理を行うようにしたものである。
(10) 本発明の第10の態様は、上述の第8または第9の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
階調値変動手段が、明るさ変動操作を行っている状態において明るさ一致信号が入力された時点で色変動操作を開始し、色変動操作を行っている状態において色一致信号が入力された時点で明るさ変動操作を開始し、明るさ変動操作と色変動操作とを交互に繰り返し実行する機能を有し、かつ、階調値の変動量を徐々に減少させながら繰り返し実行する機能を有し、
一致信号入力手段が、変動量が所定の規定値に達した後に、明るさ一致信号と色一致信号との双方の入力が完了した場合に、明るさおよび色がともに一致したとの認識を示す一致信号が入力されたものとして取り扱うようにしたものである。
(11) 本発明の第11の態様は、上述の第3、第5、第8の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
三原色RGBのうちの原色Bを特定色とし、原色Bの階調再現特性と、原色RおよびGに共通した階調再現特性と、を求めるようにしたものである。
(12) 本発明の第12の態様は、上述の第1〜第11の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
参照パターン生成手段が、第1副領域と第2副領域との面積比を複数N通りに設定することにより、互いに異なる参照輝度をもったN通りの参照パターンを生成する機能を有し、
特性演算手段が、N通りの参照パターンを用いたN通りのテストパターンについて得られたN通りの対応階調値に基づいて、各原色ごとの階調再現特性を求める機能を有するようにしたものである。
(13) 本発明の第13の態様は、上述の第12の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
特性演算手段が、第1の座標軸に階調値、第2の座標軸に輝度をとった二次元座標系を定義し、この座標系上に、各参照輝度および対応階調値を座標値としてもつN個の点をプロットし、更に、最小輝度値および最小階調値を座標値としてもつ点と最大輝度値および最大階調値を座標値としてもつ点とをプロットし、プロットされた合計(N+2)個の点を通るグラフを、階調再現特性を示すグラフとして求めるようにしたものである。
(14) 本発明の第14の態様は、上述の第13の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
N=3に設定して合計5個の点をプロットし、これら5個の点を第1の座標軸上の座標値の昇順に第1の点〜第5の点と呼んだときに、第1、第2、第3の各点を通り輝度が階調値のべき乗の形式で定義される第1の関数曲線と、第3、第4、第5の各点を通り輝度が階調値のべき乗の形式で定義される第2の関数曲線と、を演算により求め、前記第1の関数曲線と前記第2の関数曲線とを連結してなる曲線を、階調再現特性を示すグラフとするようにしたものである。
(15) 本発明の第15の態様は、上述の第1〜第14の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
参照パターン生成手段が、第1副領域および第2副領域を、同一の形状および大きさをもった単位セルによって構成し、この単位セルの二次元配列によって参照パターンを構成するようにしたものである。
(16) 本発明の第16の態様は、上述の第15の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
矩形状の単位セルを二次元行列状に配列することにより参照パターンを構成し、任意の奇数i,jについて、i行j列目の単位セル、i行(j+1)列目の単位セル、(i+1)行j列目の単位セル、(i+1)行(j+1)列目の単位セル、という4つの単位セルからなるセルグループを定義し、第1副領域および第2副領域の配置パターンを、すべてのセルグループについて共通にしたことを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。
(17) 本発明の第17の態様は、上述の第16の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
各セルグループを構成する4つの単位セルのうち、斜めに隣接する一対の単位セルによって第1の副領域を構成し、残りの一対の単位セルによって第2の副領域を構成し、面積比1:1となる参照パターンを構成するようにしたものである。
(18) 本発明の第18の態様は、上述の第16の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
各セルグループを構成する4つの単位セルのうち、1つの単位セルによって一方の副領域を構成し、残りの3つの単位セルによって他方の副領域を構成し、面積比3:1もしくは1:3となる参照パターンを構成するようにしたものである。
(19) 本発明の第19の態様は、上述の第1〜第18の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
テストパターンを構成する第1属性の領域または第2属性の領域の輪郭を円または楕円にするようにしたものである。
(20) 本発明の第20の態様は、上述の第1〜第19の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
テストパターンを構成する一方の属性の領域を複数箇所に分散して配置し、その背景部分を他方の属性の領域とするようにしたものである。
(21) 本発明の第21の態様は、上述の第20の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
第1属性の領域の面積の総和が、第2属性の領域の面積の総和に等しくなるように設定したものである。
(22) 本発明の第22の態様は、上述の第20または第21の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
形状および大きさが同一となる複数の同一属性の領域を、所定の空間周波数が得られるように所定ピッチで二次元平面上に分散配置するようにしたものである。
(23) 本発明の第23の態様は、上述の第22の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
同一属性の領域を横方向に所定ピッチPxで複数配置した一次元領域配列を、縦方向に所定ピッチPy(但し、Py=√3/2・Px)で複数配置し、かつ、互いに隣接する一次元領域配列間では位相が半ピッチずれるように配置するようにしたものである。
(24) 本発明の第24の態様は、上述の第22または第23の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
テストパターンを目視するオペレータにとって、明暗差弁別特性および色差弁別特性の双方について良好な感度を示す空間周波数が得られるような所定ピッチで、同一属性の領域を分散配置するようにしたものである。
(25) 本発明の第25の態様は、上述の第22または第23の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
テストパターンを目視するオペレータにとって、明暗差弁別特性について良好な感度を示す空間周波数が得られるような第1のピッチと、色差弁別特性について良好な感度を示す空間周波数が得られるような第2のピッチと、が設定されており、
パターン表示手段が、オペレータによる明るさの一致認識作業が行われるときには、第1のピッチで同一属性の領域を分散配置してなるテストパターンを表示させ、オペレータによる色の一致認識作業が行われるときには、第2のピッチで同一属性の領域を分散配置してなるテストパターンを表示させるようにしたものである。
(26) 本発明の第26の態様は、上述の第1〜第25の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置を、コンピュータの機能によって実現させるためのプログラムを用意し、このプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して配付できるようにしたものである。
(27) 本発明の第27の態様は、三原色RGBを用いてカラー画像を表示する機能をもったカラーモニタにおける入力信号階調値と実際の表示輝度との関係を示す階調再現特性を測定するためのカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
仮の階調再現特性を格納するための階調再現特性格納手段と、
測定に用いるためのサンプル画像の画像データを格納した画像データ格納手段と、
カラーモニタの階調再現特性が、階調再現特性格納手段内に格納されている仮の階調再現特性であるものと仮定した場合に、サンプル画像がカラーモニタ上に正しい階調再現性をもって表示されるように、画像データ格納手段内に格納されている画像データに対して所定の階調補正を行い、補正後の画像データをカラーモニタに与える画像表示手段と、
画像データ格納手段内に格納されている画像データに基づいて、サンプル画像を物理的媒体上に出力することにより得られる物理的出力媒体と、
カラーモニタの画面上に表示されたサンプル画像と、物理的出力媒体上に表示されたサンプル画像と、を目視比較するオペレータから、両者の明るさおよび色を近似させるための指示入力を受け取り、この指示入力に基づいて、階調再現特性格納手段内に格納されている仮の階調再現特性を修正する特性修正手段と、
オペレータから、両サンプル画像の明るさおよび色がともに一致したとの認識を示す一致信号を入力する一致信号入力手段と、
一致信号が入力されたときに、階調再現特性格納手段に格納されている仮の階調再現特性を、カラーモニタの正式な階調再現特性として出力する特性出力手段と、
を設けたものである。
(28) 本発明の第28の態様は、上述の第27の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
画像データ格納手段内に、全体的な明るさが異なる複数M通りのサンプル画像の画像データを格納し、M通りのサンプル画像のそれぞれ対応するM個の物理的出力媒体を用意し、
特性修正手段が、M通りのサンプル画像のうちの第i番目のサンプル画像に関する指示入力を受け取ったときに、階調再現特性格納手段内に格納されている仮の階調再現特性に対して、「第i番目のサンプル画像の明るさに対応した部分」に重点をおいた修正を行うようにしたものである。
(29) 本発明の第29の態様は、上述の第28の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
階調再現特性格納手段が、三原色RGBのそれぞれについての階調値と輝度との関係を示すカーブを、階調再現特性を示すグラフとして格納しており、
特性修正手段が、第i番目のサンプル画像に関する指示入力を受け取ったときに、第i番目のサンプル画像の代表階調値をもつカーブ上の点を制御点と認識し、この制御点を指示入力に応じて所定方向に移動させた後、移動後の制御点を通るようにカーブを滑らかに変形することにより修正を行うようにしたものである。
(30) 本発明の第30の態様は、上述の第29の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
サンプル画像の代表階調値として、画像データ格納手段に格納されている画像データによって示される個々の画素のすべての色についての画素値の最頻値もしくは平均値を用いるようにしたものである。
(31) 本発明の第31の態様は、上述の第28の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
階調再現特性格納手段が、三原色RGBのそれぞれについての階調値と輝度との関係を示すカーブを、階調再現特性を示すグラフとして格納しており、
特性修正手段が、第i番目のサンプル画像に関する指示入力を受け取ったときに、第i番目のサンプル画像の代表輝度値をもつカーブ上の点を制御点と認識し、この制御点を指示入力に応じて所定方向に移動させた後、移動後の制御点を通るようにカーブを滑らかに変形することにより修正を行うようにしたものである。
(32) 本発明の第32の態様は、上述の第31の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
サンプル画像の代表階調値として、画像データ格納手段に格納されている画像データによって示される個々の画素のすべての色についての画素値の最頻値もしくは平均値を求め、求めた代表階調値に基づいて所定の換算方法により換算された値を、当該サンプル画像の代表輝度値として用いるようにしたものである。
(33) 本発明の第33の態様は、上述の第31の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
サンプル画像の代表輝度値として、物理的出力媒体上の当該サンプル画像全体に対する輝度の実測値を用いるようにしたものである。
(34) 本発明の第34の態様は、上述の第27の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
特性修正手段が、予め定められた所定の規則にしたがって、階調再現特性を時間とともに変動させる処理を行い、オペレータからの指示入力があった時点における仮の階調再現特性を新たな仮の階調再現特性とする修正を行うようにしたものである。
(35) 本発明の第35の態様は、上述の第34の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
画像データ格納手段内に、全体的な明るさが異なる複数M通りのサンプル画像の画像データを格納し、このM通りのサンプル画像のそれぞれ対応するM個の物理的出力媒体を用意し、
特性修正手段に、階調再現特性格納手段内に格納されている仮の階調再現特性に対して、「M通りのサンプル画像のうちの第i番目のサンプル画像の明るさに対応した部分」に重点をおいた変動を行う処理を、i=1〜Mのそれぞれについて実行する機能をもたせるようにしたものである。
(36) 本発明の第36の態様は、上述の第35の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
階調再現特性格納手段に、三原色RGBのそれぞれについての階調値と輝度との関係を示すカーブを、階調再現特性を示すグラフとして格納しておき、
特性修正手段が、「第i番目のサンプル画像の明るさに対応した部分」に重点をおいた変動を行う処理を実行する際に、第i番目のサンプル画像の代表階調値をもつカーブ上の点を制御点と認識し、この制御点を所定方向に周期的に移動させ、移動後の制御点を通るようにカーブを滑らかに変形することにより階調再現特性の変動を行うようにしたものである。
(37) 本発明の第37の態様は、上述の第36の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
サンプル画像の代表階調値として、画像データ格納手段に格納されている画像データによって示される個々の画素のすべての色についての画素値の最頻値もしくは平均値を用いるようにしたものである。
(38) 本発明の第38の態様は、上述の第35の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
階調再現特性格納手段に、三原色RGBのそれぞれについての階調値と輝度との関係を示すカーブを、階調再現特性を示すグラフとして格納しておき、
特性修正手段が、「第i番目のサンプル画像の明るさに対応した部分」に重点をおいた変動を行う処理を実行する際に、第i番目のサンプル画像の代表輝度値をもつカーブ上の点を制御点と認識し、この制御点を所定方向に周期的に移動させ、移動後の制御点を通るようにカーブを滑らかに変形することにより階調再現特性の変動を行うようにしたものである。
(39) 本発明の第39の態様は、上述の第38の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
サンプル画像の代表階調値として、画像データ格納手段に格納されている画像データによって示される個々の画素のすべての色についての画素値の最頻値もしくは平均値を求め、求めた代表階調値に基づいて所定の換算方法により換算された値を、当該サンプル画像の代表輝度値として用いるようにしたものである。
(40) 本発明の第40の態様は、上述の第38の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
サンプル画像の代表輝度値として、物理的出力媒体上の当該サンプル画像全体に対する輝度の実測値を用いるようにしたものである。
(41) 本発明の第41の態様は、上述の第27〜第40の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
特性修正手段が、カラーモニタの画面上に表示されたサンプル画像について、主として明るさを変えるための指示入力に基づいて階調再現特性を修正する明るさ修正操作と、主として色を変えるための指示入力に基づいて階調再現特性を修正する色修正操作と、の2通りの修正操作を行う機能を有するようにしたものである。
(42) 本発明の第42の態様は、上述の第41の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
階調再現特性格納手段が、三原色RGBのそれぞれについての階調値と輝度との関係を示すカーブを、階調再現特性を示すグラフとして格納しており、
特性修正手段が、明るさ修正操作を行う際には、三原色RGBの各カーブのすべてに対して修正を行い、色修正操作を行う際には、修正対象となる色のカーブに対してのみ修正を行うようにしたものである。
(43) 本発明の第43の態様は、上述の第27〜第42の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置において、
サンプル画像として、オペレータが目視した際に、ほぼ無彩色の絵柄として認識することができる画像を用いるようにしたものである。
(44) 本発明の第44の態様は、上述の第27〜第43の態様に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置における階調再現特性格納手段、画像データ格納手段、画像表示手段、特性変動手段、一致信号入力手段および特性出力手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムを用意し、これをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して配付できるようにしたものである。
(45) 本発明の第45の態様は、三原色RGBを用いてカラー画像を表示する機能をもったカラーモニタにおける入力信号階調値と実際の表示輝度との関係を示す階調再現特性を測定するためのカラーモニタの階調再現特性測定装置装置において、
目視によって輝度と階調値との対応関係を求める手段と、
無彩色に見える三原色の階調値の組み合わせを求める手段と、
輝度と階調値との対応関係と、三原色の組み合わせから、各原色ごとの階調再現特性を演算により求める特性演算手段と、
を設けるようにしたものである。
図2は、モニタの一般的な階調再現特性を示すグラフである。
図3Aおよび図3Bは、目視により階調再現特性を測定する代表的な方法の基本原理を示す図であり、図3Aはオペレータに提示するテストパターンを示す平面図、図3Bはこのテストパターン内の第2属性の領域20の部分拡大図である。
図4は、図3に示すテストパターンを用いた測定結果に基づいて求められた階調再現特性を示すグラフである。
図5は、一般的なカラーモニタについて、各原色ごとの階調再現特性を測定した結果を示すグラフである。
図6は、明るさ変動操作および色変動操作をオペレータの操作入力に基づいて行う場合に用いる操作パネルの一例を示す平面図である。
図7は、明るさ変動操作および色変動操作をオペレータの操作入力に基づいて行う場合に用いる操作パネルの別な一例を示す平面図である。
図8は、明るさ変動操作および色変動操作を自動的に行わせ、オペレータに一致入力操作を行わせる場合に用いる操作パネルの一例を示す平面図である。
図9は、明るさを一致させる操作と色を一致させる操作を交互に繰り返し実行する処理手順の一例を示す流れ図である。
図10は、5点O,Q1,Q2,Q3,Pを通る近似関数曲線を演算により求める実施形態を説明するためのグラフである。
図11は、5点O,Q1,Q2,Q3,Pを通る近似関数曲線がS字カーブになる場合の演算方法を説明するためのグラフである。
図12Aは、より好ましい測定結果を得ることができる新規なテストパターンを示す平面図であり、図12Bは、このテストパターン内の第2属性の領域60内に表示される参照パターンの拡大図である。
図13Aは、矩形状の単位セルを二次元行列状に配列した参照パターンを用いて、参照輝度25%の参照パターンを形成した例を示す平面図であり、図13Bは、矩形状の単位セルを二次元行列状に配列した参照パターンを用いて、参照輝度75%の参照パターンを形成した例を示す平面図である。
図14は、同一半径rの円により、同一属性の領域70を構成し、二次元平面上に所定ピッチで配置した例を示す平面図である。
図15は、一対の対象物(円形の同一属性の領域)70をピッチPxで配置した場合の視覚系の感度を説明する平面図である。
図16は、人間の視覚系の感度特性を示すグラフであり、横軸は、観察対象物の空間周波数(単位:cycle/deg)を対数尺度で示し、縦軸は、対象物の明暗差および色差を弁別する人間の視覚系の相対感度値を示す。
図17は、図16に示すグラフから、各最適値を抽出して示す表である。
図18は、本発明に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置の基本構成を示すブロック図である。
図19は、本発明に係る別なカラーモニタの階調再現特性測定方法に用いるサンプル画像を示す平面図である。
図20は、図19に示すサンプル画像を用いた階調再現特性測定方法における階調再現特性の修正原理を示すグラフである。
図21は、図19に示すサンプル画像Haを用いたオペレータによる修正操作画面の一例を示す平面図である。
図22は、図19に示すサンプル画像Hbを用いたオペレータによる修正操作画面の一例を示す平面図である。
図23は、図19に示すサンプル画像Hcを用いたオペレータによる修正操作画面の一例を示す平面図である。
図24は、本発明に係るサンプル画像を用いたカラーモニタの階調再現特性測定装置の基本構成を示すブロック図である。
図25は、図24に示す測定装置を用いた特性測定の処理手順を示す流れ図である。
図26は、図19に示す各サンプル画像について求めた代表階調値および代表輝度値を示す図である。
図27は、図26に示すサンプル画像を用いた階調再現特性測定方法における階調再現特性の修正原理を示すグラフである。
<<< §1.従来の一般的な目視による階調再現特性の測定方法 >>>
はじめに、従来から一般的に行われている目視によるモニタの階調再現特性の測定方法の基本原理を説明する。通常、目視によりモニタ特性を測定する場合、図1のブロック図に示すように、測定対象となるモニタ100に接続したパソコン200をモニタ特性測定装置として利用することができる。すなわち、パソコン200内に、階調再現特性を測定するためのプログラムを予め組み込んでおき、このプログラムを動作させることにより、モニタ100の画面上に後述するようなテストパターンを表示させるようにし、パソコン200の入力機器を利用してオペレータからの応答を得ることにより、測定に必要なデータの取り込みを行うことができる。
ここでは、本発明に直接関連した階調再現特性(いわゆるガンマ特性)を測定する方法について述べるが、モニタ特性測定装置として機能するパソコン200を用いれば、三原色の色度や白色の色度などの特性も測定することが可能であり、これらの測定結果は、一般に、目視によるモニタプロファイルデータと呼ばれている。プロファイルデータの測定対象となるモニタ100は、いわゆるCRTモニタに限らず、液晶ディスプレイなども含まれる。なお、本明細書における「モニタ」とは、「ディスプレイ装置」と同義であり、電気信号に基づいて画像を提示する機能をもった装置を広く含むものである。また、モニタ100とパソコン200とを接続する際、通常、画像信号を受け渡すためのインターフェイスとして機能するグラフィックボードが用いられるが、このグラフィックボードのような画像処理回路は、モニタ100の表示特性を左右する構成要素であるから、モニタ特性測定装置による測定対象物の一部を構成するものである。別言すれば、本発明において「モニタ100」とは、グラフィックボードのような画像処理回路も含んだ概念になる。
図2は、モニタの一般的な階調再現特性を示すグラフである。図示のとおり、この階調再現特性は、モニタ100に与えられる入力信号の階調値と、モニタ100の画面上に得られる実際の表示輝度との関係を示すグラフになっている。ここでは、説明の便宜上、階調値が8ビットのデータで表現される0〜255の256段階をとるものとし、輝度を0%〜100%(モニタの能力に依存した、もしくは所定の設定に基づく最低輝度〜最高輝度)で表すことにする。
この場合、図のグラフに示されているとおり、最小階調値0と最低輝度0%とは一致し(グラフの原点O)、最大階調値255と最高輝度100%とは一致する(グラフの点P)。これは、最小階調値0を示すデータが入力された場合には、最低輝度0%による表示を行い、最高階調値255を示すデータが入力された場合には、最高輝度100%による表示を行うような設定が、モニタ100の回路(通常は、グラフィックボード上の回路)によってなされているからである。しかしながら、その中間の階調値と輝度との関係は、必ずしも線形の関係にはならない。これは、グラフィックボード上のD/A変換回路などの特性に基づくものであり、この階調再現特性は、通常、個々のモニタの品種ごとに異なり、厳密に言えば、個々のロットごとによっても異なる。
一般的なCRTモニタでは、階調再現特性を示すグラフが「輝度=階調値γ」という、γ乗の項をもつ関数曲線に近似できることが知られている。このγ値は、Windows(登録商標)では、「IEC61966−2−1:Colour Measurement and Management in Multimedia Systems and Equipment−Part2−1:Default RGB Colour Space−sRGB」規格に合せて、2.2にすることが推奨されている。また、Macintosh(登録商標)では、印刷用データをモニタに表示する用途が多いため、印刷の階調再現特性に近い、1.8にすることが推奨されている。図に一点鎖線で示すグラフAは、γ=2.2の場合の階調再現特性を示しているが、実際には、図に実線で示すグラフB,Cのように、個々のモニタごとに固有のカーブを描くことになる。したがって、パソコン200側からモニタ100側に、階調値186を示すデータを与えた場合、グラフAに示すような理想的な特性をもつモニタでは、点Q1の縦座標値である50%の輝度が得られるが、グラフB,Cに示すような特性をもつモニタでは、それぞれ点Q2,Q3の縦座標値に対応する輝度が得られてしまう。逆に言えば、グラフBに示す特性をもつモニタに、階調値186に相当する本来の輝度50%の表示を行わせるためには、階調値186を点Q4の横座標値に相当する階調値150に補正する処理を行う必要が生じ、グラフCに示す特性をもつモニタに、階調値186に相当する本来の輝度50%の表示を行わせるためには、階調値186を点Q5の横座標値に相当する階調値200に補正する処理を行う必要が生じる。
このような補正は、一般にガンマ補正と呼ばれている。結局、モニタ100をパソコン200などに接続して利用する際には、予め、このモニタ100に固有の階調再現特性を示すグラフを、モニタプロファイルデータとして求めておき、このデータを利用したガンマ補正を行う必要がある。
既に述べたとおり、個々のモニタについての階調再現特性を測定する手法としては、光学的な測定装置を用いる手法もあるが、通常は、人間の目による目視を行いながら特性データを得る手法が採られる。図3A,図3Bは、目視により階調再現特性を測定する代表的な方法の基本原理を示す平面図である。この方法では、まず、測定対象となるモニタ100の画面上に、図3Aに示すようなテストパターンを表示させる。このテストパターンは、第1属性の領域10と第2属性の領域20とによって構成されている。図示の例では、第1属性の領域10は正方形状の領域であり、第2属性の領域20はこれを取り囲むような枠状の領域である。第1属性の領域10内には、一様な均一パターンを表示させるようにし、第2属性の領域20内には、所定の参照輝度をもった参照パターンを表示させるようにする。
既に述べたとおり、図2のグラフの両端は、ガンマ特性を示す曲線がどのようなものであろうとも、点O,Pと定まっている。すなわち、最小階調値0を示すデータが与えられた領域は、常に最低輝度0%(真っ黒)で表示され、最大階調値255を示すデータが与えられた領域は、常に最高輝度100%(真っ白)で表示される。第2属性の領域20には、この性質を利用して、基準となる参照輝度をもった参照パターンを表示させるようにする。
図3Bは、第2属性の領域20の部分拡大図である。図示のとおり、第2属性の領域20は、最小階調値0をもつ帯状の第1副領域21と、最大階調値255をもつ帯状の第2副領域22と、を交互に配置することにより構成される。いわば、白黒のストライプ模様が形成されている。ここで、第1副領域21と第2副領域22との面積比を1:1に設定すれば(別言すれば、白黒のストライプの幅がすべて等しくなるように設定すれば)、個々の副領域21,22は最低輝度0%もしくは最高輝度100%で表示されているものの、ある程度の距離だけ離れて目視観察すれば、疑似的に50%の輝度で表示されている領域として認識されることになる。もちろん、そのためには、白黒のストライプの幅寸法を、ある程度小さく設定し、ストライプパターン自身の肉眼観察が困難になるようにしておく必要がある。
結局、図3Aに示すテストパターンにおいて、周囲の枠領域を形成している第2属性の領域20は、疑似的に50%の輝度を示す参照パターンとして機能する。一方、第1属性の領域10には、一様な均一パターンが表示される(別言すれば、全画素が同一の階調値をもつ)が、その明るさ(階調値)は、オペレータの入力操作によって可変となるようにしておく。そして、オペレータに、このテストパターンを目視させながら、第1属性の領域10の明るさが、第2属性の領域20の明るさと同一になるように、第1属性の領域10内の画素についての階調値を調整する操作を行わせる。
ここで、たとえば、第1属性の領域10内の画素の階調値を85に設定したときに、領域10,20の明るさが同一になったとすれば、このモニタの場合、参照輝度50%に対応する階調値が85であることが認識できる。そこで、図4のグラフに示すように、参照輝度50%と対応階調値85とを両座標値にもつ点Qをプロットし、点O,Q,Pの3点を滑らかに結ぶ曲線を求めれば、この曲線が、求めるべき階調再現特性(ガンマ特性)ということになる。前述したとおり、一般的なCRTモニタの階調再現特性は、「輝度=階調値γ」という関数曲線に近似できるので、3点が決まれば、図4のような曲線を一義的に決定することが可能である。結局、図4に示すような特性をもったモニタに、輝度50%に相当する表示を行わせる場合には、階調値85を示すデータを与えればよいことになる。
<<< §2.本発明に係る基本的な階調再現特性の測定方法 >>>
上述した従来の階調再現特性の測定方法によれば、オペレータの目視に基づく測定が可能になり、人間の目の感度特性に合致した測定結果が得られるメリットがある。しかしながら、印刷物を作成するDTP処理に利用されるカラーモニタなどでは、より精度の高い階調再現特性の測定が求められており、従来の測定方法では必ずしも十分な測定結果を得ることができない。本願発明者が行った実験によると、特に、液晶カラーディスプレイや、経年変化が生じたCRTカラーモニタに対して、十分な精度をもった測定が困難であることが確認できた。その主たる理由は、カラーモニタの場合、階調再現特性が色ごとに異なっているためであると考えられる。
一般に、カラーモニタでは、三原色RGBを用いたカラー画像表示が行われるため、三原色RGBのそれぞれについて別個の階調値を指定する必要がある。しかしながら、従来の階調再現特性の測定手法には、色ごとに別個の特性を測定するという考え方はなく、三原色すべてを一括した取り扱いしか行われていない。たとえば、図3Aに示すようなテストパターンを用いた測定では、三原色RGBの階調値を常に共通にするという前提で、第1属性の領域10内の明るさ調整が行われる。このため、従来の方法で得られた階調再現特性は、三原色RGBに共通の特性となり、図4に示すような階調再現特性が得られた場合、この同じ特性を用いて、三原色RGBのすべてに対するガンマ補正が行われることになる。
従来から、このような取り扱いがなされてきたのは、一般的なカラーモニタの場合、三原色RGBの階調再現特性がほぼ同一であると考えられてきたためである。確かに、CRTカラーモニタの場合、製品出荷時には、原色RGBの階調再現特性がほぼ同一となるような調整がなされている。しかしながら、経年変化により、蛍光体に劣化が生じるため、各原色ごとの階調再現特性にばらつきが生じてくる。また、一般的な液晶カラーディスプレイの場合、製品出荷時において、既に、各原色ごとの階調再現特性が異なっている。
本願発明者は、多数のメーカー製の多種類のCRTカラーモニタおよび液晶ディスプレイについて、光学的な測定装置を用いて、実際に各原色ごとの階調再現特性を測定した結果、中古のCRTカラーモニタの多くについて、そして液晶ディスプレイについては新品、中古にかかわらず、ある共通した傾向が見られることを発見した。それは、三原色RGBのうち、原色R(赤)および原色G(緑)については、ほぼ同一の階調再現特性が得られるのに対し、原色B(青)については、異なる階調再現特性が得られる、という傾向である。より具体的に説明すれば、多くの液晶カラーモニタについては、図5に示すような傾向をもった階調再現特性が得られた。図示の例において、グラフCr,Cg,Cbは、それぞれ原色R,G,Bについて測定された階調再現特性である。グラフCr,Cgは、同一のカーブを描いているが、グラフCbは、やや上方に外れたカーブを描いている。一方、中古のCRTカラーモニタについては、逆に、グラフCbだけがやや下方に外れたカーブを描く。
このように共通した傾向が現れた理由については、現在のところ、理論的な解析はなされていないが、いずれのメーカーのいずれの機種についても、ほぼ同様の傾向が見られた点を考慮すると、三原色RGBを用いたカラーモニタについては、ほぼ共通して見られる普遍的な傾向であると考えられる。本願発明者は、液晶カラーモニタについては、液晶素材の性質や偏光板の光学特性により、このような傾向が現われると考えており、また、中古のCRTカラーモニタについては、青の蛍光体の劣化が赤や緑の蛍光体の劣化より激しいためと考えている。結局、この図5に示すように、色ごとに異なる階調再現特性をもったカラーモニタに、輝度50%のグレー表示を行わせるためには、原色R,Gについては、点Qr,Qgの横座標値である85を階調値として与え、原色Bについては、点Qbの横座標値である46を階調値として与える必要がある。
本発明の基本思想は、上述のような事実を踏まえ、三原色RGBの各原色ごとの階調再現特性をすべて別個独立して求めることにより、あるいは、少なくとも原色R,Gについての階調再現特性と原色Bについての階調再現特性とを別個独立して求めることにより、高精度の階調再現特性の測定を可能にする、という点にある。
本発明に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置は、三原色RGBを用いてカラー画像を表示する機能をもったカラーモニタにおける入力信号階調値と実際の表示輝度との関係を示す階調再現特性を目視により測定するための装置であり、その基本原理は、§1で述べた従来の測定手法と同様に、図3Aに示すようなテストパターンを用いるものである。ただ、本発明では、色ごとに異なる階調再現特性を求めるために、次のような工夫を施している。
すなわち、第1属性の領域10については、常に明るさおよび色が一様な均一パターンが表示されるようにするが、この均一パターンの明るさおよび色は、オペレータの操作に基づいて、あるいは、所定の規則に基づいて自動的に変動するようにする。明るさだけでなく、色についても変動させる点が、従来の方法にはない新たな手法である。そして、オペレータには、第1属性の領域10と第2属性の領域20とを目視により比較させ、両領域の明るさおよび色がともに一致したとの認識が得られるまで、第1属性の領域10についての明るさおよび色の変動を継続させる。
この明るさの変動と色の変動とは、原理的には同時に行うことも可能であるが、実用上は、明るさ変動操作と色変動操作とを別個独立して行うようにし、オペレータには、明るさ変動操作中に明るさの一致についての認識を行わせ、色変動操作中に色の一致についての認識を行わせるのが好ましい。
明るさ変動操作は、三原色RGBの各階調値のすべてについて、共通の変動量を増減する作業によって行うことができる。たとえば、R=120、G=120、B=120なる階調値により、第1属性の領域10に所定の均一パターンが表示されている状態において、共通の変動量S=5を増加させる作業を行えば、階調値はR=125、G=125、B=125となり、第1属性の領域10に表示されている均一パターンの輝度は若干上昇する。逆に、共通の変動量S=5を減少させる作業を行えば、階調値はR=115、G=115、B=115となり、第1属性の領域10に表示されている均一パターンの輝度は若干下降する。このような明るさ変動操作は、目視による色の変動はほとんど生じることがなく(もちろん、厳密には、色の変動が認識される可能性はあるが)、主として均一パターンの明るさを変える操作ということができる。
一方、色変動操作は、三原色RGBのうちのいずれか1つの特定色についての階調値を増減する作業によって行うことができる。たとえば、R=120、G=120、B=120なる階調値により、第1属性の領域10に所定の均一パターンが表示されている状態において、特定色Rについての階調値を、変動量S=5だけ増加させる作業を行えば、階調値はR=125、G=120、B=120となり、第1属性の領域10に表示されている均一パターンの赤味を若干強くすることができる。逆に、変動量S=5だけ減少させる作業を行えば、階調値はR=115、G=120、B=120となり、第1属性の領域10に表示されている均一パターンの赤味を若干弱めることができる。このような色変動操作では、目視による明るさの変動は少なく、主として均一パターンの色を変える操作ということができる。
オペレータの操作入力に基づいて、階調値を変動させるには、たとえば、図6に示すような操作パネルを画面上に表示させ、オペレータのマウス操作などにより、各原色の階調値を調節させるようにすればよい。この操作パネルでは、明るさ変動操作と色変動操作とを別個独立して行うことができる。すなわち、この操作パネルを構成する4本の水平バーは、いずれも0〜255の範囲内の所定の階調値を示すバーになっており、ハッチングを施したバーの右端の位置が所定の階調値を示している。そして、各バーの右端の位置は、マウスカーソルMによりクリックした位置に即座に修正されるようになっており、オペレータは、4本のバーの右端位置を任意の位置に設定することができる。
図に「R」,「G」,「B」と記された各バーは、それぞれ原色RGBの階調値を設定するためのバーである。これに対して、「明るさ」と記されたバーは、常に、その時点における原色RGBの階調値の平均を示すバーになっている。したがって、「R」,「G」,「B」と記されたいずれかのバーについて階調値の修正(右端位置の修正)を行うと、「明るさ」と記されたバーについての階調値も即座に連動して修正される。逆に、「明るさ」と記されたバーについての階調値の修正を行うと、「R」,「G」,「B」と記された各バーについて階調値がそれに応じた分だけ即座に連動して修正される(たとえば、各バーの階調値に応じた按分比で、「明るさ」バーに対する変動分を調整すればよい)。
このような操作パネルを用いれば、オペレータは、明るさ変動操作を行う場合には、「明るさ」と記されたバーについての階調値の修正操作を行えばよいし、色変動操作を行う場合には、「R」,「G」,「B」と記されたいずれかのバーについて階調値の修正操作を行えばよい。たとえば、より明るくする変動操作を行うのであれば、「明るさ」と記されたバーの右端よりも更に右側位置をマウスクリックすればよいし、赤味を若干弱める変動操作を行うのであれば、「R」と記されたバーの右端よりも若干左の位置をマウスクリックすればよい。
この図6に示す操作パネルを、図3Aに示すテストパターンの近傍に表示させておき、オペレータに、明るさ変動操作および色変動操作を行わせながら、第1属性の領域10および第2属性の領域20の明るさと色が一致するような調整を行わせれば、三原色RGBの各原色ごとの階調再現特性を別個独立して求めることができる。たとえば、第2属性の領域20内に50%の輝度に相当する参照パターンを表示させた状態において、オペレータが、明るさと色の双方が一致したと認識した場合を考えよう。このように、明るさと色の双方が一致したとの認識が得られたときには、オペレータに、一致ボタン30をクリックしてもらうようにする。この時点において、図6に示す操作パネルにおける「R」,「G」,「B」と記された各バーが示す階調値が、それぞれR=85、G=85、B=46であったとすると、結局、図5に示すように、各原色ごとの階調再現特性を示すグラフCr,Cg,Cbが得られることになる。
もっとも、図6に示す操作パネルを用いた階調値の変動操作は、実用上、熟練したオペレータでなければ、実施が困難である。これは、一般的なオペレータの場合、「第1属性の領域10と第2属性の領域20とでは、色合いが若干異なっている」という認識はできるものの、「三原色のうちのどの色成分を増減したら、同じ色が得られるのか」という判断ができないためである。このように、図6に示す操作パネルを用いた測定を行った場合、三原色RGBのすべてについて、それぞれ別個独立した階調再現特性を求めることができるものの、実用上は、オペレータに測定操作上の負担を課すことになる。その根本原因は、明るさ、原色R、原色G、原色Bという4つのパラメータが調整対象となっているためである。
そこで本願発明者は、図7に示すような実用的な操作パネルを案出した。この操作パネルには、4つの調整ボタン31〜34と一致ボタン30が設けられている。4つの調整ボタン31〜34の配置は、各ボタンを配置する平面上に図示のようなXY二次元座標系(実際の操作パネルには、このような座標系は表示されない)を定義したときに、第1ボタン31および第2ボタン32がX軸上の原点を挟んだ対向位置に配置し、第3ボタン33および第4ボタン34がY軸上の原点を挟んだ対向位置に配置されていることになる。4つの調整ボタン31〜34の形状は、この例では三角形になっているが、必ずしも三角形にする必要はない。
ここで、第1ボタン31は、第1属性の領域10内に表示される均一パターンを明るくする指示を与えるボタンであり、第2ボタン32は、均一パターンを暗くする指示を与えるボタンであり、第3ボタン33は、均一パターンの特定色の成分を強める指示を与えるボタンであり、第4ボタン34は、均一パターンの特定色の成分を弱める指示を与えるボタンである。この例では、特定色として、原色Bが設定されている。
各ボタンの操作と、各原色の階調値の変動操作との関係は、次のようになる。まず、第1ボタン31に対する操作入力(たとえば、マウスクリック)があった場合には、三原色RGBの各階調値のすべてについて、共通の変動量を加える変動操作が行われ、第2ボタン32に対する操作入力があった場合には、三原色RGBの各階調値のすべてについて、共通の変動量を減じる変動操作が行われる。また、第3ボタン33に対する操作入力があった場合には、特定色(この例では原色B)の階調値について、所定の変動量を加える変動操作が行われ、第4ボタン34に対する操作入力があった場合には、特定色の階調値について、所定の変動量を減じる変動操作が行われる。
たとえば、変動量S=5に設定されていたとすると、第1ボタン31をクリックするたびに、三原色RGBの全階調値が5だけ増加する修正が行われ、第2ボタン32をクリックするたびに、三原色RGBの全階調値が5だけ減少する修正が行われる。同様に、第3ボタン33をクリックするたびに、特定色である原色Bの階調値だけが5だけ増加する修正が行われ、第4ボタン34をクリックするたびに、原色Bの階調値だけが5だけ減少する修正が行われる。もちろん、各階調値の許容範囲は0〜255となっているので、最小階調値0および最大階調値255を越えるような修正はできない。
結局、この図7に示す操作パネルでの調整対象は、明るさと原色Bという2つのパラメータだけになる。しかも、明るさのパラメータ調整はX軸方向に関する操作、原色Bのパラメータ調整はY軸方向に関する操作、というように、直感的に把握可能な操作体系となっているため、図6に示す操作パネルに比べると、操作性は極めて向上している。第1ボタン31および第2ボタン32は、主として均一パターンの明るさが変わるように階調値を変動させる明るさ変動操作を行うためのボタンであり、第3ボタン33および第4ボタン34は、主として均一パターンの色が変わるように階調値を変動させる色変動操作を行うボタンということになる。
また、各ボタン31〜34の脇には、明暗青黄なる文字が示されており、オペレータに直感的な指針を示している。すなわち、オペレータは、より明るく修正したい場合には第1ボタン31をクリックし、より暗く修正したい場合には第2ボタン32をクリックし、より青っぽくしたい場合(青成分を増加させたい場合)には第3ボタン33をクリックし、より黄色っぽくしたい場合(青成分を減少させたい場合)には第4ボタン34をクリックすればよい。そして、最終的に、明るさと色との双方が一致したと認識できたときには、一致ボタン30をクリックすればよい。
この図7に示す操作パネルでは、三原色RGBの階調値をそれぞれ独立して設定することはできず、原色Rと原色Gの階調値は常に同一になる。したがって、三原色RGBの各原色ごとの階調再現特性のすべてを別個独立して求めることはできない。しかしながら、特定色として設定された原色Bの階調値を、他の原色R,Gの階調値と異ならせるような設定を行うことはできるので、原色R,Gについての階調再現特性と原色Bについての階調再現特性とを別個独立して求めることは可能である。
既に図5のグラフに基づいて説明したとおり、多くのカラーモニタでは、三原色RGBのうち、原色Rおよび原色Gについては、ほぼ同一の階調再現特性が得られるのに対し、原色Bについては、異なる階調再現特性が得られる、という傾向がある。したがって、このような傾向をもったカラーモニタについての特性を測定することを前提とすれば、図7に示す操作パネルにより階調値の変動操作を行えば、実用上、支障は生じない。要するに、この図7に示す操作パネルでは、三原色RGBのうちの原色Bを特定色とし、原色Bの階調再現特性を示すグラフと、原色RおよびGに共通した階調再現特性を示すグラフと、を別個に求めることができる。
なお、ボタンをクリックすることにより階調値を増減させる変動量Sは、任意に切り替え可能としておいてもよい。たとえば、変動量S=5という粗調整の設定と、変動量S=1という微調整の設定とを設けておき、最初の段階では、粗調整の設定で大まかな階調値の変動操作を行い、明るさと色とがある程度近似したと認識された時点で、微調整の設定に切り替え、細かな変動量を用いて細かな階調値の変動操作を続行する、という手法を採ることもできる。
あるいは、各ボタンのクリック箇所により、変動量を変えるような構成にしておくことも可能である。たとえば、各ボタン31〜34を構成する三角形の先端部分(XY座標系の原点から離れた部分)をクリックすると、大きな変動量(たとえば、変動量S=5)による階調値の変動操作が行われ、三角形の底辺部分(XY座標系の原点に近い部分)をクリックすると、小さな変動量(たとえば、変動量S=1)による階調値の変動操作が行われるようにしておけば、オペレータは、適宜、必要な変動量に応じたクリック操作を行うことにより、効率的な測定作業を行うことができるようになる。
<<< §3.階調値を自動的に変動させる方法 >>>
上述した§2では、図6あるいは図7に示すような操作パネルを利用して、オペレータに明るさや色を変動させるための操作入力を行わせ、階調値の変動操作を行う例を示した。特に、図7に示す操作パネルを用いれば、明るいか暗いか、青っぽいか黄色っぽいか、という2つのパラメータに応じた調整操作を行えばよいので、図6に示す操作パネルを用いた場合に比べて、オペレータの作業負担は大幅に軽減される。しかしながら、いずれの操作パネルを用いたとしても、オペレータ自身が、明るさや色が一致する方向に操作入力を行わねばならない点では変わりはない。
ここでは、このような操作入力の負担を更に軽減させる方法を述べる。この方法の主眼は、予め定められた所定の規則にしたがって、第1属性の領域10内に表示される均一パターンの階調値を時間とともに自動的に変動させるようにし、オペレータに、均一パターンの明るさや色が参照パターンと一致したと認識できた時点で、一致ボタンなどをクリックして報知してもらうことにある。ここで、階調値を時間とともに自動的に変動させるための規則としては、明るさと色が必要な範囲内で変動するような規則であれば、どのような規則であってもかまわないが、実用上は、明るさを変動させる操作と、色を変動させる操作と、の2通りの変動操作を分けて実行するような規則にするのが好ましい。
具体的には、三原色RGBの各階調値のすべてについて、所定のタイミングで共通の変動量を加えるもしくは減じることにより、主として均一パターンの明るさが変わるように階調値を変動させる明るさ変動操作と、三原色RGBのうちのいずれか1つの特定色(実用上は、前述したとおり、原色Bを特定色にするのが好ましい)の階調値について、所定のタイミングで所定の変動量を加えるもしくは減じることにより、主として均一パターンの色が変わるように階調値を変動させる色変動操作と、の2通りの変動操作を行うようにすればよい。
上述の明るさ変動操作は、図7に示す操作パネルにおける第1ボタン31もしくは第2ボタン32を所定のタイミングで自動的にクリックする処理に相当する。たとえば、共通の変動量S=+5(+は階調値を増加させることを示す)を設定し、所定のタイミングとして1秒ごとの繰り返し周期を設定しておけば、三原色RGBの各階調値のすべてが1紗ごとに5ずつ自動的に増加することになる。あるいは、共通の変動量S=−6(−は階調値を減少させることを示す)を設定し、所定のタイミングとして2秒ごとの繰り返し周期を設定しておけば、三原色RGBの各階調値のすべてが2秒ごとに6ずつ自動的に減少することになる。
なお、各階調値は、0〜255の許容範囲しかとり得ないので、変動量を加算する変動操作により得られる階調値が最大階調値255を上回ってしまう場合には、超過分を最小階調値0から計数する循環処理を行い、変動量を減算する変動操作により得られる階調値が最小階調値0を下回ってしまう場合には、超過分を最大階調値255から計数する循環処理を行うようにする。たとえば、階調値253に変動量5を加算すると、階調値は258になってしまうが、その場合は、そこから256を減じることにより得られる階調値2を代わりに用いるようにする。要するに、階調値を255→0というように循環させて、超過分の3段階分の階調値を、最小階調値0から0,1,2と計数することになる。同様に、階調値2から変動量6を減算するような場合、減算結果は−4になってしまうが、256を加えることにより得られる階調値252を代わりに用いるようにする。要するに、階調値を0→255というように循環させて、超過分の4段階分の階調値を、最大階調値255から255,254,253,252と計数することになる。
このような明るさ変動操作における各原色の階調初期値は、任意に設定しておいてかまわないが、実用上は、三原色の階調初期値を所定の共通値にしておけばよい。たとえば、R=0,G=0,B=0を初期値として設定し、共通の変動量S=+5により変動させれば、各原色の階調値は、0→5→10→15→、…… →250→255→4→9→14→ … というように自動的に変化してゆくことになる。このような変動操作を自動的に行わせると、オペレータから見ると、第1属性の領域10内の均一パターンが、真っ黒→暗いグレー→中間グレー→明るいグレー→白→真っ黒→ …というように時々刻々と変化してゆく様子が観察されることになる。第2属性の領域20内には、輝度50%の参照パターンが表示されているので、オベレータは、均一パターンが中間グレーになったあたりで、参照パターンの明るさに一致したとの認識を得ることになる。オペレータには、この明るさが一致したとの認識が得られた時点で、明るさ一致を示す入力(たとえば、明るさ一致ボタンのクリック)を行ってもらう。
もちろん、人間の行う操作であるから、一致認識の判断が遅れて、一致入力操作を行うべきタイミングを逸してしまうこともあろう。その場合、均一パターンは、中間グレーを通り過ぎ、明るいグレーへと変遷していってしまうことになるが、しばらく待てば、再び、真っ黒の状態に循環してくることになり、中間グレーに対して一致入力操作を行うチャンスが再び巡ってくる。このように、階調値を繰り返し循環させて変動する方法を採れば、オペレータに何度も一致入力操作を行うチャンスを与えることができるようになるので、より正確な一致入力が期待できる。実際、何回か循環させれば、オペレータは、階調変化の周期が感覚的につかめるようになり、最終的には、正確な一致入力操作が可能になる。
なお、変動量Sをある程度大きく設定すると、オペレータの目から見て、完全に一致したとの認識が得られない場合もあろう。その場合には、最も近くなったときに一致認識を示す入力を行わせるようにすればよい。これは、明るさの一致認識だけではなく、後述する色の一致認識についても同様である。要するに、本発明において、オペレータによる「一致認識」とは、必ずしも完全に一致したとの認識を意味するものではなく、所定条件下で、明るさや色が最も近くなったと判断できる認識範囲までも含むものである。実際には第一属性の領域10の輪郭が第2属性の領域20内に埋もれて、あたかも溶け込んだように見えた場合に一致認識が行われることになる。
以上、明るさ変動操作について説明したが、色変動操作もほぼ同様である。色変動操作は、図7に示す操作パネルにおける第3ボタン33もしくは第4ボタン34を所定のタイミングで自動的にクリックする処理に相当する。たとえば、共通の変動量S=+5を設定し、所定のタイミングとして1秒ごとの繰り返し周期を設定しておけば、三原色RGBのうちの特定色の階調値のみが、1秒ごとに5ずつ自動的に増加することになる。原色Bを特定色とした場合、均一パターンの色合いは、徐々に青味が増してゆくことになる。もちろん、この色変動操作においても、階調値が0〜255の許容範囲内となるような循環処理を行うので、青味が最大に達した直後には、黄色味が最大(青味が最小)の状態に遷移する。原色R,Gの階調値は一定に維持されたままである。
このように、自動的に色変動操作を行うと、オペレータから見ると、第1属性の領域10内の均一パターンが、黄色味の強い色から徐々に黄色味が薄まってゆき、やがて無彩色に近い色になった後、青味が徐々に強まってゆき、青味が最大に達した後、再び黄色味の強い色へ戻る、という循環する様子が観察されることになる。第2属性の領域20内には、輝度50%の無彩色の参照パターンが表示されているので、オペレータは、均一パターンのごく淡い色味が黄味から青味に転じるあたりで、参照パターンの色に一致したとの認識を得ることになる。オペレータには、色が一致したとの認識が得られた時点で、色一致を示す入力(たとえば、色一致ボタンのクリック)を行ってもらう。
この色一致の判断も、オペレータにとっては非常に微妙な感覚的な判断になるので、一致入力操作を行うべきタイミングを逸してしまうこともあろう。しかし、明るさの変遷と同様に、色の変遷も循環して繰り返し行われるので、一致入力操作を行うチャンスは何度も巡ってくることになり、最終的には、正確な一致入力操作が可能になる。
図8は、上述した原理に基づいて、明るさ変動操作と色変動操作とを所定の規則に基づいて自動的に実行しながら、オペレータに明るさ一致の入力操作と色一致の入力操作とを行わせるために用いる操作パネルの一例を示す図である。図示のとおり、オペレータが操作するボタンは、スタートボタン40、明るさ一致ボタン41、色一致ボタン42の3種類であり、各ボタンの脇には、それぞれ操作のための説明文が付されている。この図8に示すような操作パネルを、図3Aに示すテストパターンの近傍に表示させ、オペレータに、マウスなどを用いて各ボタンをクリックしてもらえば、一連の測定作業が完了することになる。
まず、オペレータは、ステップ0と書かれた説明文に従って、スタートボタン40をクリックする。これにより、上述した自動的な明るさ変動操作が実行され、第1属性の領域10内の均一パターンの明るさが時々刻々と変動し始める。そこで、オペレータは、ステップ1と書かれた説明文に従って、均一パターンの明るさが参照パターンの明るさと同じになったと感じた時点で、明るさ一致ボタン41をクリックする。これにより、今度は、上述した自動的な色変動操作が実行され、均一パターンの色(原色Bに関わる色)が時々刻々と変動し始める。そこで、オペレータは、ステップ2と書かれた説明文に従って、均一パターンの色が参照パターンの色と同じになったと感じた時点で、色一致ボタン42をクリックする。
以上で、一連の測定作業は完了である。色一致ボタン42がクリックされた時点における三原色RGBの各階調値(この例の場合、RとGは同じ値になる)を、それぞれ参照輝度50%に対応する各原色ごとの対応階調値として、図4の点Qに相当する点をプロットし、各原色ごとの階調再現特性のグラフ(RとGは同じグラフになる)を求めればよい。
結局、図8に示す明るさ一致ボタン41は、明るさ変動操作を行っている状態において、オペレータから明るさが一致したとの認識を示す明るさ一致信号を入力するための明るさ一致信号入力手段として機能することになり、色一致ボタン42は、色変動操作を行っている状態において、オペレータから色が一致したとの認識を示す色一致信号を入力するための色一致信号入力手段として機能することになる。そして、明るさ一致信号と色一致信号との双方の入力が完了した場合に、明るさおよび色がともに一致したとの認識を示す一致信号が入力されたものとして取り扱い、各原色ごとの階調再現特性が求められることになる。上述の例では、三原色RGBのうちの原色Bを特定色とし、原色Bの階調再現特性を示すグラフと、原色RおよびGに共通した階調再現特性を示すグラフと、がそれぞれ別個に求められる。
なお、図8に示す操作パネルを用いた例では、明るさ一致信号の入力操作と色一致信号の入力操作とをそれぞれ1回ずつ行うことにより、測定作業を完了させているが、実用上は、これらの操作を交互に繰り返し実行するような形態を採るのが好ましい。その第1の理由は、この一致認識操作が、人間の目視による感覚的な操作であるため、必ずしも1回の入力操作で正確な認識を行うことができないためである。そして第2の理由は、明るさ変動操作は必ずしも明るさのみを変動させる操作にはならず、色変動操作は必ずしも色のみを変動させる操作にはならないためである。たとえば、図8の操作パネルにおいて、明るさ一致ボタン41がクリックされた時点で、明るさが正確に一致していたとしても、続いて実行される色変動操作により、色だけではなく明るさにも変動が生じてしまうことになるので、明るさの一致状態は失われてしまうことになる。このような弊害を避ける上では、明るさを一致させる操作と色を一致させる操作を交互に繰り返し実行するのが効果的であり、特に、階調値の変動量を徐々に減少させながら繰り返し実行するのが効果的である。
具体的には、図9の流れ図に示す処理を行えばよい。まず、ステップS1において、三原色R,G,Bの各階調値の初期値および変動量Sの初期値を設定する。図示の例では、それぞれをR0,G0,B0,S0に設定している。
続いて、ステップS2、S3において、明るさを一致させる操作が実行される。すなわち、まず、ステップS2において、三原色R,G,Bの各階調値に、変動量Sを加える処理が行われる。ただし、前述した循環処理を行うため、階調値が255を越える値になったら、256を減じることにする。そして、ステップS3で、明るさ一致ボタンが押されたか否かを判定し、押されていなければ、再びステップS2へ戻り、階調値の更新を行う。こうして、明るさ一致ボタンが押されるまで、ステップS2,S3の処理が繰り返される。もっとも、この繰り返し処理の周期は、たとえば、1秒おきのように、オペレータが一致認識の判断を行うのに十分な時間が設定される。
ステップS3において、明るさ一致ボタンが押されたことが検出されたら、続いて、ステップS4、S5において、色を一致させる操作が実行される。すなわち、まず、ステップS4において、特定色Bの階調値に対してのみ、変動量Sを加える処理が行われる。ここでも循環処理を行うため、階調値が255を越える値になったら、256を減じることにする。そして、ステップS5で、色一致ボタン(明るさ一致ボタンと兼用してもかまわない)が押されたか否かを判定し、押されていなければ、再びステップS4へ戻り、特定色Bについての階調値の更新を行う。こうして、色一致ボタンが押されるまで、ステップS4,S5の処理が繰り返される。この繰り返し処理の周期も、たとえば、1秒おきのように、オペレータが一致認識の判断を行うのに十分な時間が設定される。
ステップS5において、色一致ボタンが押されたことが検出されたら、一応、オペレータから、明るさ一致信号および色一致信号の双方が入力されたことになるが、この時点では、まだ測定結果となる階調値の確定は行わず、ステップS6からステップS7を経て、再びステップS2からの手順が実行される。しかも、ステップS7では、変動量Sを減少させる更新処理を行うようにする。したがって、二巡目のステップS2,S4で加えられる変動量Sは、一巡目の値よりも小さくなっており、よりきめの細かな一致判定が可能になる。必要に応じて、変動量Sを更に小さくしながら、三巡目、四巡目と繰り返すようにする。
たとえば、変動量Sの初期値S0を+5に設定しておき、ステップS7では、これを2ずつ減少させる更新を行うようにし、ステップS6における変動量Sの既定値を1に設定した場合、一巡目は変動量S=+5、二巡目は変動量S=+3、三巡目は変動量S=+1となり、三巡したところで繰り返し処理は完了する。こうして、変動量Sが予め設定した所定の規定値に達した場合、ステップS6からステップS8へと進み、その時点の三原色R,G,Bの各階調値を出力するようにする。これらの階調値を、参照輝度50%に対応する対応階調値として、各原色ごとの階調再現特性を求めることは、既に述べたとおりである。
この図9に示す手順において、一巡目の一致認識と、二巡目の一致認識とでは、認識条件に大きな違いがある。たとえば、一巡目のステップS3での一致認識は、一応、明るさがある程度の一致状態になったことを示しているが、その時点では、色の一致は全く考慮されていないことになる。ところが、二巡目のステップS3での一致認識は、既に、一巡目のステップS5において色の一致認識が完了しているという前提での明るさの一致認識になっているため、明るさと色との双方を一致させる、という本来の目的を踏まえると、より好ましい一致状態が得られていることになる。また、一巡するごとに、変動量Sを小さくして、きめの細かな一致認識が行われるようにしているので、三巡目のステップS3の一致認識では、二巡目のステップS3の一致認識よりも、更に好ましい一致状態が得られていることになる。
結局、この図9の流れ図に示す手順は、明るさ変動操作を行っている状態(ステップS2)において明るさ一致信号が入力されたら(ステップS3)、色変動操作を開始し(ステップS4)、この色変動操作を行っている状態(ステップS4)において色一致信号が入力されたら(ステップS5)、明るさ変動操作(ステップS2)を開始し、明るさ変動操作と色変動操作とを交互に繰り返し実行してゆき、しかも、階調値の変動量Sを徐々に減少させる(ステップS7)処理と言うことができる。そして、変動量Sが所定の規定値に達した後に、明るさ一致信号と色一致信号との双方の入力が完了した場合に、明るさおよび色がともに一致したとの認識を示す一致信号が入力されたものとして取り扱うことになる。
なお、変動量Sとしては、負の値を設定することも可能である。その場合、ステップS2,S4では、実質的に減算によって変動後の階調値が求められることになり、変動後の階調値が負の値になったら、256を加える処理を行うことになる。もちろん、ステップS7では、変動量Sの絶対値が徐々に減少するような更新が行われることになる。
また、上述の実施形態では、階調値の繰り返し変動を、0〜255→0〜255→0〜255…という循環運動により行っているが、この階調値の繰り返し変動は、往復運動により行うようにしてもよい。この場合、最大階調値あるいは最小階調値を越えるような変動値が得られた時点で、折り返す処理を行い、変動量Sの符号を反転させればよい。具体的には、正の変動量+Sにより徐々に階調値を増加させていった結果、最大階調値255を越えてしまった場合には、変動量の符号を反転させ、負の変動量−Sにより徐々に階調値を減少させてゆき、その結果、最小階調値0を越えてしまった場合には、変動量の符号を反転させ、再び正の変動量+Sにより徐々に階調値を増加させてゆけばよい。結局、階調値を0〜255まで徐々に増加させてゆく処理と、255〜0まで徐々に減少させてゆく処理と、が交互に行われることになる。
更に、上述の例では、階調値の繰り返し変動を循環運動により行うにせよ、往復運動により行うにせよ、階調値の許容範囲である0〜255の全範囲にわたって変動させているが、実用上は、必ずしもこの全範囲にわたって変動させる必要はない。たとえば、測定対象となるモニタの階調再現特性が、図5に示すようなグラフを示していた場合、最終的には、R=85、G=85、B=46という階調値が、参照輝度50%に対応する対応階調値として得られることになる。これらの値は、0〜255の範囲の中央値128に比べると、かなり0側に偏った値である。しかしながら、一般的なモニタにおいて、参照輝度50%に対応する対応階調値として、10とか20という値や、240とか250という値が得られることは、実用上、考えにくい。したがって、実用上は、たとえば、30〜230という限定された範囲内で、循環運動や往復運動させるようにしてもかまわない。
また、図9に示す手順のように、変動量Sを徐々に減少させながら、繰り返して処理を行う場合には、変動量Sを減少させるのと同時に、循環運動や往復運動を行う階調値の変動範囲を狭めてゆくと、より効率的な測定作業が可能になる。たとえば、変動量S=+5に設定した一巡目のステップS2,S4では、階調値の変動範囲を0〜255という全許容範囲に設定しておく。そして、変動量S=+3に設定した二巡目のステップS2,S4では、階調値の変動範囲を、たとえば、変動前の階調値を中心として±30の範囲内、というように狭めておく。
そうすれば、たとえば、一巡目が終了した時点で、R=90,G=90,B=50という結果が得られていたとすると、二巡目のステップS2では、R=60〜120,G=60〜120,B=20〜80という限定された範囲内での変動が行われることになる。既に一巡目の処理で、明るさおよび色の一致が得られると期待される各原色の階調値についての大まかな値(この例の場合、R=90,G=90,B=50という値)が得られているので、二巡目では、この大まかな値を中心として±30の範囲内で変動させれば十分と言える。可能性の全くない階調値まで変動させることは、非効率的である。同様に、三巡目では、たとえば、変動量S=+1とし、変動前の階調値を中心として±10の範囲内に変動させる、というように設定すればよい。
<<< §4.より多数の点をプロットする方法 >>>
図4のグラフに示すような階調再現特性を求めるためには、グラフの両端点O,P以外の点Qをプロットし、3点O,P,Qを通る近似関数曲線を演算により求めればよいことは、既に§1で述べたとおりである。そして、点Qの位置を目視による測定で求めるために、図3Aに示すようなテストパターンを用い、第2属性の領域20内に、図3Bに示すような白黒のストライプ模様からなる参照輝度50%に相当する参照パターンを表示させ、第1属性の領域10内の均一パターンとの同一性を目視確認する方法をとることも、既に述べたとおりである。
このように、階調再現特性(ガンマ特性)を、3点O,P,Qを通る近似関数曲線として求めることができるのは、一般的なCRTモニタの階調再現特性が、「輝度=階調値γ」というγ乗の項をもつ関数曲線になることが知られているためである。これはそもそも、ブラウン管に加えられた電圧Eと発光出力Lとの間に、「L=Eγ」なる関係が得られるためである。したがって、ブラウン管を用いたモニタの場合には、参照輝度50%に相当する参照パターンを用いて対応階調値を測定し、点Qをプロットすることができれば十分である。しかしながら、液晶ディスプレイなどでは、階調再現特性は、必ずしもγ乗の項をもつ関数曲線になるとは限らない。
階調再現特性のグラフが、γ乗の項をもつ関数曲線で近似できない場合、3点O,P,Qだけでは、正確な近似関数曲線を演算により求めることは困難である。そこで、ここでは、より多数の点をグラフ上にプロットすることにより、任意関数で表される階調再現特性を求める例を述べる。具体的には、図10に示すように、グラフの両端点O,P以外に、3つの点Q1,Q2,Q3をプロットし、5点O,Q1,Q2,Q3,Pを通る近似関数曲線を演算により求める実施形態を説明することにする。
まず、図10に示す点Q2については、これまで述べてきた方法により測定することが可能である。すなわち、図示の点Q2は、参照輝度50%に対する対応階調値が85になるという測定結果によりプロットすることが可能である。このような測定は、図3Bに示すように、疑似的に50%の輝度を示す参照パターンを第2属性の領域20内に表示させたテストパターンを用いて、第1属性の領域10内に表示される均一パターンの明るさおよび色を一致させるための階調値変動処理によって行われる。
一方、図10に示す点Q1,Q3を求めるには、第2属性の領域20内に表示される参照パターンの参照輝度を、それぞれ25%,75%に変え、全く同様の手順による測定処理を行えばよい。図10に示す例は、参照輝度25%に対する対応階調値が26になるという測定結果により点Q1がプロットされ、参照輝度75%に対する対応階調値が148になるという測定結果により点Q3がプロットされた例である。もちろん、実際には、参照輝度25%,50%,75%に対応する対応階調値は、それぞれの原色ごとに求められ、各点Q1,Q2,Q3のプロットも、各原色ごとに行われることになる。
参照パターンの参照輝度は、第1副領域21と第2副領域22との面積比を調整することにより、任意に設定することができる。たとえば、図3Bに示す参照パターンの場合、最小階調値0をもつ帯状の第1副領域21と、最大階調値255をもつ帯状の第2副領域22と、を交互に配置した白黒のストライプ模様から構成されており、第1副領域21と第2副領域22との面積比が1:1に設定されているため、参照輝度は50%になっている。この面積比を3:1に設定すれば(たとえば、黒の帯の幅を白の帯の幅の3倍に設定すれば)、参照輝度が25%の参照パターンが実現でき、この面積比を1:3に設定すれば(たとえば、黒の帯の幅を白の帯の幅の1/3倍に設定すれば)、参照輝度が75%の参照パターンが実現できる。
一般に、第1副領域21と第2副領域22との面積比を複数N通りに設定することにより、互いに異なる参照輝度をもったN通りの参照パターンを生成することが可能である。そして、このN通りの参照パターンを用いたN通りのテストパターンについて、前述したように、オペレータの目視による測定作業を行えば、各参照輝度に対応したN通りの対応階調値が得られる。そこで、図10に示すように、第1の座標軸(横軸)に階調値、第2の座標軸(縦軸)に輝度をとった二次元座標系を定義し、この座標系上に、各参照輝度および対応階調値を座標値としてもつN個の点(図10の例の場合は3個の点Q1,Q2,Q3)をプロットし、更に、最小輝度値および最小階調値を座標値としてもつ点(図10の例の場合は原点O)と最大輝度値および最大階調値を座標値としてもつ点(図10の例の場合は点P)とをプロットし、プロットされた合計(N+2)個の点を通るグラフを、階調再現特性を示すグラフとして、各原色ごとの階調再現特性を示すグラフを求めればよい。
このように、二次元座標系上にプロットされた複数の座標点を通る近似関数曲線を求める方法には、様々な手法が知られている。たとえば、スプライン曲線やベジェ曲線などは、複数の点を通る近似関数曲線として広く知られているので、必要があれば、これらの曲線を用いた近似を行えばよい。
前述したように、一般的なCRTモニタの場合であれば、図10に示すような5点O,Q1,Q2,Q3,Pがプロットされ、べき乗の形式で定義される関数曲線による近似が可能である。ところが、本願発明者による測定によると、液晶ディスプレイなどでは、図11に示すようなS字状の特性曲線が得られることも少なくない。このようなS字状の特性曲線は、べき乗の形式で定義される一般的なガンマ特性カーブによる近似を行うことができないので、スプライン曲線やベジェ曲線などを用いた近似を行うことができる。
ただ、実用上は、スプライン曲線やベジェ曲線などを用いた近似は、必ずしも適当ではない。その理由は、スプライン曲線やベジェ曲線は、いわゆるドロー形式の作図用ソフトウエアで利用される物体の輪郭形状を表現するための曲線であり、物理的な意味をもつグラフを表現する上では不都合な点があるためである。具体的に言えば、階調再現特性を示す関数の両変数となる階調値および輝度は、いずれも正の値をとるべき変数であり、負の値を示すことはない。したがって、図11に示すグラフも、この二次元座標系の第1象限にのみ定義されるグラフということになる。ところが、スプライン曲線やベジェ曲線などによる近似を行うと、このような物理的な意味を無視した近似が行われてしまうため、グラフが第2象限や第4象限に食み出してしまう結果になりかねない。したがって、近似曲線を求める際には、それなりの配慮が必要になる。
そこで本願発明者は、まず、二次元座標系上にプロットされた5点O,Q1,Q2,Q3,Pについて、べき乗の形式で定義される関数曲線による近似を試みて、近似がうまくゆかない場合には、これが図11に示すようなS字状の特性曲線であるものと考え、次のような方法で、2つの部分に分け、それぞれの部分をべき乗の形式で定義される関数曲線で近似させる手法をとると有効であることを見出した。具体的には、図11に示す例の場合、点O,Q1,Q2の各点を通る第1の関数曲線と、点Q2,Q3,Pの各点を通る第2の関数曲線と、の2つの関数曲線によって近似すればよい。ここで、この2つの関数曲線は、いずれもべき乗の形式で定義される関数曲線で近似すればよい。そうすれば、必ず第1象限内のグラフが得られることになる。
結局、この手法は、二次元座標系上にプロットした5個の点を第1の座標軸上の座標値の昇順に第1の点〜第5の点と呼んだときに、第1、第2、第3の各点を通り輝度が階調値のべき乗の形式で定義される第1の関数曲線と、第3、第4、第5の各点を通り輝度が階調値のべき乗の形式で定義される第2の関数曲線と、を演算により求め、第1の関数曲線と第2の関数曲線とを連結してなる曲線を、階調再現特性を示すグラフとする手法と言うことができる。このように、2つの関数曲線を連結した場合、連結点となる第3の点(図11における点Q2)において、両関数曲線の曲率が乖離する可能性があるが、階調再現特性を示すグラフとして利用する上では、特に支障は生じない。
<<< §5.より好ましいテストパターン >>>
続いて、本発明を実施する上で、より好ましいテストパターンを述べておく。これまで述べてきた実施形態では、図3Aに示すように、正方形状をした第1属性の領域10と、その周囲を囲むような枠状をした第2属性の領域20とによって構成されるテストパターンを用い、第2属性の領域20内には、図3Bに示すように、ストライプ模様状の参照パターンを形成するようにしていた。このようなテストパターンは、従来から利用されているパターンであるが、必ずしも最適のテストパターンではない。
本願発明者は、図3Aに示す従来のテストパターンよりも、図12Aに示すようなテストパターンを用い、図3Bに示す従来の参照パターンよりも、図12Bに示すような参照パターンを用いた方が、より正確な測定が可能になることを見出した。図12Aに示すテストパターンは、均一パターンを表示するための第1属性の領域50と、参照パターンを表示するための第2属性の領域60と、によって構成されるが、参照パターンは、図12Bの拡大平面図に示すように、第1副領域61(図における黒いセル)と第2副領域62(図における白いセル)とによる市松模様をなす。なお、図12Aでは、図示の便宜上、第2属性の領域60内に水平線によるハッチングを施して示してあるが、実際には、第2属性の領域60内には、図12Bの拡大平面図に示すような市松模様からなる参照輝度50%の参照パターンが形成されていることになる。以下、この図12Aに示すテストパターンおよび図12Bに示す参照パターンの特徴と、その特徴により得られる固有の効果を述べることにする。
(1) 参照パターンに関する特徴
図12Bに示す参照パターンを、図3Bに示す参照パターンと比較すると、後者が白黒のストライプ模様のパターンから構成されているのに対し、前者は白黒の市松模様のパターンから構成されていることがわかる。ここで、図12Bに示す参照パターンが市松模様パターンとなっているのは、たまたま、この参照パターンが参照輝度50%を示すパターンであるためであり、その本質は、第1副領域61(黒)と第2副領域62(白)とを、同一の形状および大きさをもった単位セルによって構成し、この単位セルの二次元配列によって参照パターンを構成した点にある。特に、ここに示す例では、矩形状(この例では正方形)の単位セルを二次元行列状に配列することにより参照パターンを構成している。
このように、同一の形状および大きさをもった単位セルの二次元配列によって構成された参照パターンは、ストライプ模様からなる参照パターンに比べて、観察時の疑似的な均一性をより高める効果を有する。オペレータによる目視測定時には、参照パターンは、ある程度の視距離から観察されることになるので、ストライプ模様のパターンも市松模様のパターンも、実際には、その模様自体が直接オペレータに認識されることはなく、いずれもほぼグレーの一様なパターンとして認識される。ただ、市松模様のパターンの方が、より細かな単位セルから構成されているため、観察時の均一性はより向上することになる。
この特徴は、特に、50%以外の参照輝度をもった参照パターンを形成する場合に顕著である。たとえば、§4で述べた実施例の場合、3通りの参照輝度25%,50%,75%をもった参照パターンを用意する必要があるが、このような場合、単位セルの二次元配列により参照パターンを形成する方法は特に効果を発揮する。矩形状の単位セルを二次元行列状に配列した参照パターンを用いて、参照輝度25%および75%の参照パターンを形成した例を、図13Aおよび図13Bに示す。なお、図13Bでは、説明の便宜上、第2副領域62(白)を構成する各単位セルの境界線を描いて示してあるが、実際には、この白いセル間の境界線は表示されない。
参照輝度の設定は、第1副領域61(黒)と第2副領域62(白)との面積比を変えることにより行うことになる。すなわち、参照輝度を25%に設定するためには、この面積比を3:1とし、参照輝度を75%に設定するためには、この面積比を1:3とする必要がある。矩形状の単位セルを二次元行列状に配列した参照パターンを用いると、面積比1:1(図12B)、3:1(図13A)、1:3(図13B)の設定を合理的に行うことができ、しかも疑似的な均一性を十分に確保したパターンを得ることができる。
これらの3通りの参照パターンでは、いずれも、2行2列に配置された4つの単位セルにより1つのセルグループが構成されている。ここで、各セルグループを構成する4つの単位セルのうち、斜めに隣接する一対の単位セルによって第1の副領域61(黒)を構成し、残りの一対の単位セルによって第2の副領域62(白)を構成すれば、面積比1:1となる図12Bに示す参照パターンを構成することができる。また、各セルグループを構成する4つの単位セルのうち、1つの単位セルによって一方の副領域を構成し、残りの3つの単位セルによって他方の副領域を構成し、面積比3:1もしくは1:3となる参照パターンを構成すれば、図13Aもしくは図13Bに示す参照パターンを構成することができる。いずれの場合も、形成される参照パターンは、2行2列に配置された4つの単位セルからなるセルグループの繰り返しパターンとなるので、疑似的な均一性を十分に確保することができる。
要するに、任意の奇数i,jについて、i行j列目の単位セル、i行(j+1)列目の単位セル、(i+1)行j列目の単位セル、(i+1)行(j+1)列目の単位セル、という4つの単位セルからなるセルグループを定義し、第1副領域および第2副領域の配置パターンを、すべてのセルグループについて共通にすれば、形成される参照パターンは、2行2列に配置された4つの単位セルからなるセルグループの繰り返しパターンとなり、疑似的な均一性の確保が可能になる。
これに対し、図3Bに示すような従来のストライプ状の参照パターンによって、参照輝度を25%あるいは75%に設定するには、黒黒黒白あるいは黒白白白というような行配列を行う必要があり、疑似的な均一性は低下せざるを得ない。
(2) 第1属性の領域の形状に関する特徴
続いて、図3Aに示すテストパターンにおける第1属性の領域10と、図12Aに示すテストパターンにおける第1属性の領域50との形状を比較すると、前者が正方形であるのに対し、後者は円形となっている。本願発明者は、テストパターンにおける第1属性の領域と第2属性の領域との境界線は、直線ではなく曲線で構成すべきであると考えており、実用上は、テストパターンを構成する第1属性の領域の輪郭を円または楕円にするのが好ましいと考えている。これは、両領域の境界を直線にすると、この直線近傍に規則的なパターンが目立つようになるためである。図3Aに示すように、第1属性の領域10の形状を正方形にすると、この正方形状の輪郭に沿って規則的なパターンが視認されるようになり、一致判定処理に悪い影響を及ぼすことになる。特に、本発明では、明るさの一致判定だけでなく、色の一致判定も行う必要があり、一致判定処理に悪影響が及ぶ要素は極力排除する必要がある。
(3) 第1属性の領域を複数箇所に分散配置する特徴
図12Aに示すテストパターンの大きな特徴は、第1属性の領域50が複数箇所に分散して配置されており、その背景部分が第2属性の領域60になっている点である。すなわち、図3Aに示す従来のテストパターンでは、正方形からなる第1属性の領域10が1つだけ中央に配置されているのに対し、図12Aに示す本発明に係るテストパターンでは、円形からなる複数の第1属性の領域50が、所定のピッチで縦横に分散配置されている。
このように、第1属性の領域50を複数箇所に分散配置した理由は、第1属性の領域50と第2属性の領域60との境界線の全長をできるだけ長くするためである。本発明の基本原理に基づく測定では、第1属性の領域内に表示された均一パターンと、第2属性の領域内に表示された参照パターンとについて、明るさと色を比較する作業が不可欠であるが、この比較作業は、両領域の境界線が長いほど行いやすい。実際、オペレータの目視確認作業では、第1属性の領域50が第2属性の領域60内にあたかも溶け込んで、両者の境界が認識できなくなった状態になったら、一致認定が行われることになる。したがって、より精度の高い一致認識を行う上では、両領域の境界線が長いほど好ましい。
第1属性の領域50を複数箇所に分散配置すれば、境界線の全長をそれだけ長くすることができる。実際、図3Aに示すテストパターンと図12Aに示すテストパターンについて、境界線の全長を比較すれば、後者の方がはるかに長くなっていることは容易に理解できよう。なお、ここに示す実施形態とは逆に、第2属性の領域を複数箇所に分散配置し、その背景を第1属性の領域とすることも可能である(ちょうど、図12Aにおいて、領域60を第1属性、領域50を第2属性とする)。
なお、実用上は、第1属性の領域50の面積の総和が第2属性の領域の面積60の総和に等しくなるように設定するのが好ましい。たとえば、図12Aに示すテストパターンの場合、第1属性の領域50は、合計12個の円形領域により構成され、第2属性の領域60は、この円形領域が配置された背景領域により構成されているが、この場合、合計12個の円の面積の総和が、背景領域の面積に等しくなるような設定を行うのが好ましい。これは、互いに比較対象となる均一パターンの表示領域と参照パターンの表示領域との面積を同一にし、対等な比較が行われるようにするための配慮である。本発明のように、明るさとともに色の一致認識も行う場合、いずれか一方の面積の方が大きいと、面積の大きな領域の方に視覚が引きずられてしまい、厳密には一致認識が得られていないのに、誤った一致認識がなされてしまうおそれがある。両領域の総面積を同一にしておけば、このような誤認識を排除した対等な比較が可能になる。
(4) 第1属性の領域の配置ピッチに関する特徴
図12Aに示す本発明に係るテストパターンの大きな特徴が、第1(または第2)属性の領域を複数箇所に分散配置した点にあることは既に述べたとおりである。ここでは、この配置ピッチに関する特徴を述べる。
後に詳述するように、明るさや色の違いを目視により見分ける場合、人間の認識感度には、対象物の空間周波数に対する依存性があることが知られている。したがって、目視確認の対象となるオブジェクトは、人間による認識感度が高いとされている所定の空間周波数で配置するのが好ましい。そこで、図12Aに示すテストパターンについても、第1属性の領域50を、いずれも形状および大きさが同一となる領域とし、人間による認識感度が高いとされている所定の空間周波数が得られるように所定ピッチで二次元平面上に分散配置するのが好ましい。
図14は、同一半径rの円により、第1属性の領域70を構成し、二次元平面上に所定ピッチで配置した例を示す平面図である。より具体的に説明すれば、まず、第1属性の領域70を横方向に所定ピッチPxで複数配置した一次元領域配列を、縦方向に所定ピッチPy(但し、Py=√3/2・Px)で複数配置し、かつ、互いに隣接する一次元領域配列間では位相が半ピッチずれるように配置したものである。別言すれば、この二次元平面は、図示されている六角形を1ユニット領域として、複数のユニット領域によって埋め尽くされる構成になっており、個々のユニット領域を構成する六角形の中心および各頂点位置に、7つの円の中心が配置されていることになる。
このような配置を行えば、横方向に隣接する一対の円のピッチは必ずピッチPxになり、また、斜め上下方向に隣接する一対の円のピッチも必ずピッチPxになり、二次元平面上で隣接配置された一対の円は、必ず一定のピッチPxで配置されていることになる。したがって、ピッチPxを、人間による認識感度が高いとされている所定の空間周波数に対応するピッチに設定しておけば、好ましい認識感度をもったテストパターンが得られる。
なお、前述したように、円からなる第1属性の領域の面積の総和が背景部分となる第2属性の領域の面積に等しくなるような設定を行う場合、半径rとピッチPxとの間には、一定の関係が定まる。すなわち、六角形のユニット領域内において、各円の内部の領域(図のグレーの領域)の面積と、各円の外部の領域(図の白い領域)とが同一になる、という条件が課されることになり、このような条件下では、幾何学的な面積計算により、
(円の半径r)≒(ピッチPx)×(3/8)
なる概算式が導かれる。
次に、図15に示すように、一対の対象物(円形の第1属性の領域)70がピッチPxで配置されているモデルを考える。この一対の対象物70を、視距離Lで観察したときの視角をθとする。一般に、空間的に提示された時間的に一定な種々の周波数の正弦波や矩形波パターンに対して測定された視覚系の感度は、空間周波数特性MTF(Modulation Transfer Function)あるいはコントラスト弁別感度特性と呼ばれており、所定ピッチで繰り返し配置された対象物に対する人間の視覚系の感度は、図15に示す視角θに依存するものとされている。たとえば、「坂田春夫,磯野春雄共著:色覚における色度の空間周波数特性(色差弁別閾),テレビ学誌,1977年 31巻(1),29〜35頁」には、図16に示すような人間の視覚系の感度特性グラフが示されている。横軸は、観察対象物の空間周波数(単位:cycle/deg)を対数尺度で示したものであり、縦軸は、対象物の明暗差および色差を弁別する人間の視覚系の相対感度値である。
この図16に示すような特性を考慮すれば、テストパターンを目視するオペレータにとって、明暗差弁別特性および色差弁別特性の双方について良好な感度を示す空間周波数が得られるような所定ピッチで、同一属性の領域を分散配置すれば、より精度の高い測定結果が期待できるテストパターンを構成することができることになる。
図16のグラフから、各最適値を抽出すると、図17のような表が得られる。すなわち、図16のグラフから、明暗差弁別特性の最適値(一点鎖線で示すグラフのピーク位置に対応する空間周波数)を求めると、2.5[cycle/deg]となり、黄/青色差弁別特性の最適値(実線で示すグラフのピーク位置に対応する空間周波数)を求めると、0.4[cycle/deg]となる。また、両特性の妥協値としては、たとえば、0.6[cycle/deg]程度の値を設定することができる。実際、図16に示すグラフによれば、空間周波数0.6あたりでは、いずれの特性もある程度の感度が得られており、空間周波数を妥協値0.6に設定したテストパターンを形成すれば、明るさの一致認識を行う場合にも、色の一致認識を行う場合にも、ある程度良好な認識感度が得られることになる。
なお、空間周波数(単位:cycle/deg)と視角(単位:deg/cycle)とは逆数の関係にあり、図17の表に示す各空間周波数2.5,0.4,0.6に対する視角は、図示のとおり、それぞれ0.40,2.50,1.67になる。これは、図15に示す視角θが、0.40deg,2.50deg,1.67degとなるようなピッチPxで第1属性の領域70を配置すれば、明暗差弁別特性が最適なパターン、黄/青色差弁別特性が最適なパターン、両特性を妥協させたパターンが得られることを示している。
もっとも、視角θとピッチPxとの間には、視距離Lを介して、
Px=2L・tan(θ/2)
なる関係があるので、視角θが定まっても、視距離Lを決めなければ、ピッチPxを決めることができない。ただ、一般的なモニタの場合、オペレータの視距離はほぼ一定の範囲内に維持されることになろう。たとえば、平成14年12月16日付発出の人事院のVDT作業指針によれば、視距離は40cm以上確保することとされており、実際の作業環境でも、モニタの大きさなどによって若干の相違はあるものの、ほぼ40cm前後と考えてよい。したがって、実用上は、視距離L=40cm前後に設定し、明暗差弁別特性および色差弁別特性の両者について、ある程度良好な認識感度が得られるようなピッチPxを設定すればよい。
たとえば、視距離L=40cmに設定すると、図17に示す両特性の妥協値を示す視角θ=1.67degに相当するピッチは、上述の式による演算の結果、Px≒12mmとなる。したがって、図14に示すテストパターンの場合、Px≒12mmに設定すればよいことになる。また、円からなる第1属性の領域の面積の総和が背景部分となる第2属性の領域の面積に等しくなるようにするには、前述した「r≒Px・3/8」なる式により、円の半径をr≒4.5mmにすればよいことになる。したがって、たとえば、1画素のサイズが0.25mmのモニタの場合であれば、円の半径を18画素分、ピッチPxを48画素分に設定したテストパターンを表示すればよい。
もっとも、より厳密に言えば、図17の表に示されているとおり、明暗差弁別特性の最適値と色差弁別特性の最適値とは異なっているので、より好ましい実施形態としては、テストパターンを目視するオペレータにとって、明暗差弁別特性について良好な感度を示す空間周波数が得られるような第1のピッチと、色差弁別特性について良好な感度を示す空間周波数が得られるような第2のピッチと、をそれぞれ設定しておき、オペレータによる明るさの一致認識作業が行われるときには、第1のピッチで同一属性の領域を分散配置してなるテストパターンを表示させ、オペレータによる色の一致認識作業が行われるときには、第2のピッチで同一属性の領域を分散配置してなるテストパターンを表示させるようにし、表示対象となるテストパターンの構成を切り替えるような処理を行うとよい。
たとえば、図17の表において、視距離L=40cmに設定した場合、明暗差弁別特性の最適値となる視角θ=0.40degに相当するピッチと円の半径は、ピッチPx≒2.8mm、半径r≒1.1mmとなる。一方、黄/青色差弁別特性の最適値となる視角θ=2.50degに相当するピッチと円の半径は、ピッチPx≒17.5mm、半径r≒6.6mmとなる。したがって、図9に示す流れ図に基づく処理を行う場合であれば、ステップS2,S3における「明るさ一致」の認識処理を行う際には、ピッチPx≒2.8mm、半径r≒1.1mmとなるような円を配置したテストパターンを表示し、ステップS4,S5における「色一致」の認識処理を行う際には、ピッチPx≒17.5mm、半径r≒6.6mmとなるような円を配置したテストパターンを表示するようにすればよい。
実際、この程度の大きさの円を多数配置したテストパターンを用いて、明るさや色の一致認識を行う作業は、オペレータの実感としては、「2つの領域の明るさや色を一致させる作業」というよりは、むしろ「テストパターン全体に明るさや色のムラが生じないように調整する作業」ということになる。すなわち、明るさや色が一致していないと、ピッチPxの周期で、明るさや色のムラが生じているように感じられる。このように、図3Aに示す従来のテストパターンを用いた目視測定と、図12Aに示す本発明のテストパターンを用いた目視測定とでは、オペレータの感覚上、大きな違いが生じるものであり、本発明のテストパターンを用いた測定の方が、より良好な結果を得ることができる。
<<< §6.本発明に係る階調再現特性測定装置の構成 >>>
続いて、本発明に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置の基本構成を、図18のブロック図を参照しながら説明する。図示のとおり、本発明に係るカラーモニタの階調再現特性測定装置の主たる構成要素は、階調値指定手段210、参照パターン生成手段220、パターン表示装置230、階調値変動手段240、一致信号入力手段250、特性演算手段260であり、オペレータの目視測定操作により、カラーモニタ100の階調再現特性を測定する機能を有している。
もっとも、図1に示したように、本発明に係る測定装置は、実際には、カラーモニタ100に接続されたパソコン200に、所定のプログラムを組み込むことにより実現することができるので、上記各構成要素は、実際には、パソコン200に組み込まれたプログラムによって実現されることになる。
階調値指定手段210は、第1属性の領域50内に、明るさおよび色が一様な均一パターンを表示させるための三原色RGBの階調値の組み合わせを指定する機能をもった構成要素であり、パターン表示手段230に対して、RGBの各階調値を指定する。一方、参照パターン生成手段220は、第2属性の領域60内に、三原色RGBがそれぞれ最小階調値をもつ第1副領域と、三原色RGBがそれぞれ最大階調値をもつ第2副領域と、を所定面積比で混在させることにより、所定の参照輝度をもつ参照パターンを生成する機能をもった構成要素である。§5で述べた実施例の場合であれば、測定に必要な参照輝度に応じて、図12B、図13A、図13Bの3通りの参照パターンを選択的に生成させることができる。
これら各構成要素から与えられるデータに基づいて、パターン表示手段230は、カラーモニタ100の画面上に、図示のようなテストパターンを表示する。このテストパターンは、互いに接するように配置された第1属性の領域50と第2属性の領域60とによって構成されるパターンであり、特に、ここに示すカラーパターンは、図12Aに示したカラーパターンと同じものである。すなわち、円形をした第1属性の領域50が所定ピッチで二次元平面状に配置されており、その背景部分が第2属性の領域60を構成している。既に述べたとおり、第1属性の領域50内には、階調値指定手段210によって指定されたRGBの階調値の組み合わせに基づく均一パターンが表示され、第2属性の領域60内には、参照パターン生成手段220で生成された参照パターンが表示される。実際には、パターン表示手段230からカラーモニタ100に対して、このようなテストパターンを表示させるための所定の電気信号が与えられることになる。
階調値変動手段240は、階調値指定手段210よって指定される各階調値を変動させる変動操作を実行する機能を有する。この変動操作により、第1属性の領域50内に表示されている均一パターンの明るさおよび色が変わることになる。§2で述べたとおり、階調値の変動操作には、明るさ変動操作と色変動操作とがある。§2に述べた実施例の場合、階調値変動手段240は、オペレータからの操作入力により、明るさ変動操作と色変動操作を行う。この場合、階調値変動手段240には、図6または図7に示すような操作パネルを、カラーモニタ100の画面上(通常は、テストパターンの脇)に表示させ、オペレータのマウス操作などに基づいて、明るさや色が変動するように、階調値指定手段210によって指定される各階調値を変動させる処理を行う。一方、§3で述べたように、自動的に変動操作を実行させる実施例の場合は、オペレータからの操作入力を待たずして、図9の流れ図に基づく手順により、明るさ変動操作および色変動操作を実行することになる。
一致信号入力手段250は、階調値変動手段240による変動操作が行われている状態において、カラーモニタ100の画面上に表示されたテストパターンを目視するオペレータから、第1属性の領域50と第2属性の領域60との明るさおよび色がともに一致したとの認識を示す一致信号を入力する機能を有する。明るさの一致と色の一致とを、それぞれ別々に入力する実施例の場合には、この一致信号入力手段250は、明るさ一致信号入力手段251と色一致信号入力手段252とによって構成されることになる。たとえば、図6および図7に示す一致ボタン30は、明るさと色の双方の一致を示すボタンであり、この一致ボタン30をクリックする操作により、明るさと色の双方が一致したことを示す一致信号の入力が行われる。これに対して、図8に示す明るさ一致ボタン41は、明るさの一致を示す明るさ一致信号入力手段251として機能し、図8に示す色一致ボタン42は、色の一致を示す色一致信号入力手段252として機能することになる。
特性演算手段260は、一致信号入力手段250から、明るさと色との双方が一致したことを示す一致信号が入力されたときに、階調値指定手段210により指定されていたRGBの各階調値の組み合わせを、参照パターン生成手段220によって生成された参照パターンを構成する第1副領域と第2副領域との面積比に応じた参照輝度に対応する各原色の対応階調値と認識し、互いに対応関係にある参照輝度と対応階調値とに基づいて、各原色ごとの階調再現特性を示すグラフを演算により求める処理を実行する。具体的な演算方法については、既に述べたとおりである。かくして、RGBの各原色ごとに、階調再現特性を示すグラフが出力される。なお、ここでは説明の便宜上、階調再現特性を連続的な関数関係を示すグラフとして示したが、特性演算手段260により求める階調再現特性は、必ずしもグラフの形式にする必要はなく、たとえば、階調値と輝度値との対応関係を示す数値テーブルのような形式でもかまわない。
以上のとおり、上述したカラーモニタの階調再現特性測定装置によれば、目視により階調再現特性を高精度に求めることが可能になる。
<<< §7.サンプル画像を利用した階調再現特性の測定方法 >>>
続いて、これまで述べてきた実施形態とは別なアプローチによる階調再現特性の測定方法を述べる。この§7で述べる測定方法は、紙などの物理的媒体上に出力されたサンプル画像と、モニタ上に表示されたサンプル画像とを目視比較し、この比較結果に基づいて、仮の階調再現特性を修正することにより、正式な階調再現特性を求める、という基本原理に基づくものである。
ここでは、図19に示すような3通りのサンプル画像Ha,Hb,Hcを用いて測定を行う例を説明する。図示の例では、サンプル画像Haはグラスの絵柄、サンプル画像Hbは球体の絵柄、サンプル画像Hcは円柱の絵柄になっているが、絵柄の内容はどんなものであってもかまわない。ただ、個々のサンプル画像は、互いに全体的な明るさが異なる絵柄となっている。すなわち、サンプル画像Haは全体的に明るい絵柄、サンプル画像Hbは全体的に中位の明るさの絵柄、サンプル画像Hcは全体的に暗い絵柄になっている。この実施形態の特徴のひとつは、このように、全体的な明るさが互いに異なる複数のサンプル画像を用意する点にある。用意するサンプル画像の数は、図19に示す例では3つになっているが、より多数のサンプル画像を用意してもかまわない。
この図19に示すサンプル画像Ha,Hb,Hcは、実際には、画像データの形で用意されることになる。より詳しく説明すれば、各サンプル画像は、それぞれ多数の画素の集合によって構成されており、たとえば、8ビットのカラー画像の場合、個々の画素には、それぞれ三原色RGBのそれぞれについて、0〜255の範囲内の画素値が定義されている。しかも、上述したように、サンプル画像Haは明るい絵柄であるため、大多数の画素の画素値は比較的大きく、サンプル画像Hbは中位の明るさの絵柄であるため、大多数の画素の画素値はほぼ中程度であり、サンプル画像Hcは暗い絵柄であるため、大多数の画素の画素値は比較的小さい。
いま、1つのサンプル画像を構成する個々の画素のすべての色についての画素値の最頻値もしくは平均値を、当該サンプル画像の代表階調値と定義することにする。ここでは、より具体的に、図19に示すサンプル画像Haの代表階調値が197、サンプル画像Hbの代表階調値が130、サンプル画像Hcの代表階調値が45であったとしよう。全体的な明るさが互いに異なる複数のサンプル画像を用意すれば、各サンプル画像の代表階調値も0〜255の範囲内に離散的に分布したものになる。
さて、次に、図20に示すような3つのカーブCr,Cg,Cbを、階調再現特性(ガンマ特性)を示すグラフとして用意する。これら3つのカーブCr,Cg,Cbは、それぞれ三原色RGBについての入力信号階調値と実際の表示輝度との関係を示すものであり、一般に「ガンマカーブ」と呼ばれていることは、既に述べたとおりである。本発明に係る測定装置の目的は、個々のカラーモニタについて、それぞれ固有のガンマカーブを求めることにあり、たとえば、図18に示す前掲の実施形態に係る測定装置の場合、特性演算手段260から、目的となる階調再現特性を示すグラフ、すなわち、ガンマカーブが出力される。
こうして、個々のモニタごとに固有のガンマカーブを、当該モニタのプロファイルデータとしてパソコンに組み込んでおけば、このプロファイルデータに基づく補正が可能になり、個々のモニタに固有の階調再現特性に左右されない普遍的な表示結果を得ることができるようになる。
この§7で述べる実施形態の基本的な発想は、とりあえず、任意のガンマカーブを仮の階調再現特性としてパソコンに与え、当該ガンマカーブに基づく補正を行った上で、モニタ画面上にサンプル画像を表示させ、このモニタ上に表示されたサンプル画像の明るさと色が、物理的媒体上に出力されたサンプル画像の明るさと色に近づくように、ガンマカーブを修正する操作を行い、仮の階調再現特性を正式な階調再現特性に修正する、という点にある。
たとえば、図19に示すサンプル画像Haを利用した修正操作は、次のようにして行うことができる。まず、図20に示すような任意のガンマカーブCr,Cg,Cbを、仮の階調再現特性として用意する。そして、カラーモニタ100の画面上に、このサンプル画像Haを表示させる。図21には、カラーモニタ100上に、サンプル画像Haを表示させた状態が示されている。すなわち、図に示すサンプル画像510aが、モニタの表示画面500a上に表示されたサンプル画像Haである。
一方、物理的出力媒体520aは、紙などの物理的な媒体上に、サンプル画像Haを出力させることにより得られる媒体であり、サンプル画像530aは、この物理的媒体上に固定された画像である。一般的には、カラープリンタに、サンプル画像Haに相当する画像データを与え、紙面上にプリントすることにより、物理的出力媒体520aを得ることができる。もっとも、上述した例の場合、サンプル画像Haは、RGB系で表現された画像データから構成されているため、カラープリンタでプリントする際には、CMY系の画像データへの変換が行われることになる。
図21に示すように、オペレータは、モニタの表示画面500a上に表示されたサンプル画像510aと、物理的出力媒体520a上にプリントされたサンプル画像530aとを目視比較することができる。いずれも、元のサンプル画像Haの画像データに基づいて表示された画像であるが、サンプル画像510aは、元のサンプル画像Haの画像データに対して、図20に示すような仮の階調再現特性に基づく補正を施すことによりモニタ画面上に得られた画像であるのに対して、サンプル画像530aは、元のサンプル画像Haの画像データに対して、RGB系からCMY系へのデータ変換を施すことにより紙面上に得られた画像ということになる。
図21に示す表示画面500aの右下には、3本のスライドバー511〜513が表示されている。これらのスライドバー511〜513は、サンプル画像510aの明るさおよび色を調整するための指示入力を与えるための操作手段として機能する。オペレータは、これらスライドバー511〜513を操作しながら、サンプル画像510aの明るさおよび色を調整する指示を入力し、サンプル画像530aの明るさおよび色に一致させるような調整操作を行うことになる。
スライドバー511は、サンプル画像510aの明るさを調節する機能を有し、マウスを用いて、つまみを左方向へ移動させると画像を明るくすることができ、つまみを右方向に移動させると画像を暗くすることができる。あるいは、バーの両端に設けられたボタンをクリックすることによっても明るさの調整が可能である。たとえば、「明」ボタンをクリックすれば、つまみが左方向に所定量だけ移動することになり、「暗」ボタンをクリックすれば、つまみが右方向に所定量だけ移動することになる。
スライドバー512は、サンプル画像510aの第1の色合い(黄色/青色)を調節する機能を有し、マウスを用いて、つまみを左方向へ移動させると画像の色の黄色成分を強くすることができ、つまみを右方向に移動させると画像の色の青色成分を強くすることができる。黄色と青色とは補色関係にあるため、一方を強くすると、他方が弱くなる関係にある。あるいは、バーの両端に設けられたボタンをクリックすることによっても第1の色合いの調整が可能である。たとえば、「黄」ボタンをクリックすれば、つまみが左方向に所定量だけ移動することになり、「青」ボタンをクリックすれば、つまみが右方向に所定量だけ移動することになる。
スライドバー513は、サンプル画像510aの第2の色合い(赤色/緑色)を調節する機能を有し、マウスを用いて、つまみを左方向へ移動させると画像の色の赤色成分を強くすることができ、つまみを右方向に移動させると画像の色の緑色成分を強くすることができる。赤色と緑色とは補色関係にあるため、一方を強くすると、他方が弱くなる関係にある。あるいは、バーの両端に設けられたボタンをクリックすることによっても第2の色合いの調整が可能である。たとえば、「赤」ボタンをクリックすれば、つまみが左方向に所定量だけ移動することになり、「緑」ボタンをクリックすれば、つまみが右方向に所定量だけ移動することになる。
ここで、この各スライドバー511〜513による調整操作により、サンプル画像510aの明るさと色が変化するのは、元のサンプル画像Haの画像データ自体に対する修正が行われているからではなく、図20のような仮の階調再現特性を示すガンマカーブCr,Cg,Cbに対する修正が行われているからである。しかも、ここに示す実施形態の場合、「サンプル画像Haの明るさに対応した部分」に重点をおいた修正が行われるようにしている。
この修正処理の原理を、図20に示すガンマカーブCr,Cg,Cbを例にとって、より具体的に説明しよう。前述したように、サンプル画像Haは、比較的明るい絵柄であり、代表階調値も197という比較的大きな値になっている。そこで、このサンプル画像Haを利用した調整操作では、ガンマカーブCr,Cg,Cbの比較的明るい部分に対応する領域に重点をおいた修正を行うようにすればよい。具体的には、図20に示す各ガンマカーブCr,Cg,Cb上において、サンプル画像Haの代表階調値197をもつ点Q7,Q8,Q9を各ガンマカーブ上の制御点と認識し、この制御点をオペレータの指示入力(スライドバー511,512,513に対する操作入力)に応じて所定方向に移動させた後、移動後の制御点を通るようにガンマカーブを滑らかに変形することにより修正を行えばよい。
図20に示されている3本のガンマカーブCr,Cg,Cbのうち、どのカーブついて、制御点をどの方向にどれだけ移動して修正を行うべきかは、オペレータの指示入力に応じて定まる。たとえば、図21に示されているスライドバー512を、右方向にスライドさせ、「黄色を弱める」方向の指示入力が与えられた場合に行うべき修正を考えてみる。この場合、修正対象となる色は、青色になる。なぜなら、黄色は、青色の補色であり、「黄色を弱める」ことは、「青色を強める」ことと同義になるからである。したがって、青色についてのガンマカーブCbが修正対象カーブとなり、このカーブCb上の代表階調値197をもつ点Q9が、移動対象の制御点ということになる。
ここで、オペレータの指示入力は、「青色を強める」方向への修正を示しているので、制御点Q9を、右方の点Q91の位置まで移動させるか、下方の点Q92の位置まで移動させるか、あるいは、斜め右下の点Q93の位置まで移動させ、この移動後の制御点を通るように、ガンマカーブCbを滑らかに変形すればよい。制御点Q9を、点Q91,Q92,Q93のいずれの点に移動して修正した場合も、変形後のガンマカーブCbの階調値197近辺の輝度値は下がることになる。その結果、モニタ上に表示されているサンプル画像510aの青色の輝度は向上し、青色が強まることになる。なぜなら、青色に関する仮の階調再現特性として与えられたガンマカーブCbの階調値197近辺の輝度値が下げられたことにより、そのようなガンマカーブCbをもつモニタ100上に正しい色表現を行うために、青色をより強く表示するための補正が行われるからである。
別言すれば、オペレータから「青色を強める」方向への修正を指示する入力が行われたということは、モニタの青色に関する真のガンマカーブCbの輝度値が、図20に示す現時点での仮のガンマカーブCbの輝度値よりも低いことを意味している。すなわち、青色に関する真のガンマカーブCbの輝度値が仮のガンマカーブの輝度値よりも低いため、モニタ上に表示されたサンプル画像Haの青みが弱くなり、オペレータから「青色を強める」方向への指示入力が与えられたことになる。したがって、その場合には、図20に示す現時点での仮のガンマカーブCbの輝度値を下げて、真のガンマカーブCbへ近付ける方向へ修正を行えばよいので、前述したとおり、制御点Q9を、右方の点Q91の位置まで移動させるか、下方の点Q92の位置まで移動させるか、あるいは、斜め右下の点Q93の位置まで移動させ、この移動後の制御点を通るように、ガンマカーブCbを滑らかに変形すればよい。なお、制御点Q9の移動量は、スライドバー512のスライド量に応じて決めればよい。
もちろん、ガンマカーブCbに対する変形は、カーブ全体が滑らかになるように行われるので、図示の点Q6や点Q3の位置も若干修正されることになるが、あくまでも修正の重点は、階調値197の近傍ということになる。なお、滑らかなカーブ上に定義された特定の制御点を移動させることにより、カーブ全体を変形させる手法は、種々の方法が公知であるため、ここでは詳しい説明は省略する。
なお、オペレータが、スライドバー512を、左方向にスライドさせ、「黄色を強める(青色を弱める)」方向の指示入力を与えた場合は、制御点Q9を、左方向、上方向、もしくは斜め左上方向に移動させることによる変形が行われる。また、スライドバー513をスライドする調整が行われた場合には、赤色および緑色が修正対象となるので、制御点Q7もしくは制御点Q8を移動させることにより、ガンマカーブCrもしくはガンマカーブCgに対する変形が行われる。なお、赤色と緑色は相互に補色の関係にあるので、スライドバー513がいずれの方向にスライドした場合も、ガンマカーブCrのみを変形させて対処することも可能であるし、ガンマカーブCgのみを変形させて対処することも可能であるし、両方を変形させて対処することも可能である。
一方、オペレータが、スライドバー511をスライドさせて明るさを調整する指示入力を与えた場合は、3本のガンマカーブCr,Cg,Cbのすべてに対して同等の変形を行えばよい。たとえば、スライドバー511を、左方向にスライドさせ、「明るくする」方向の指示入力が与えられた場合は、制御点Q7、Q8,Q9のすべてを、右方向、下方向、もしくは斜め右下方向に移動させ、ガンマカーブCr,Cg,Cbのすべてを変形すればよい。そうすれば、仮の階調再現特性としてのガンマカーブの輝度値が低下するので、正しい表示を行うために、より輝度を高める方向への補正が行われることになり、結果的に表示輝度が高まることになる。
もちろん、実際には、スライドバー512,513による色の調整を行った結果、明るさが若干変動することになり、逆に、スライドバー511による明るさの調整を行った結果、色が若干変動することになるが、明るさの調整と色の調整とを繰り返してゆくうちに、モニタ上のサンプル画像510aの明るさと色は、物理的出力媒体520a上のサンプル画像530aの明るさと色に徐々に近付いてくる。そこで、オペレータは、両者の明るさと色が一致したと認識した段階で、一致ボタン514をクリックすればよい。本実施形態では、この一致ボタン514がクリックされた時点(実際には、図21〜図23に示すすべての一致ボタン514がクリックされた時点)におけるガンマカーブCr,Cg,Cbを、正式な階調再現特性を示すグラフとして出力するようにしている。
結局、上述した手順による調整を行えば、最初の段階では、仮の階調再現特性として与えられていた任意のガンマカーブCr,Cg,Cbに対して、オペレータの指示入力に応じた修正が施されてゆくので、一致ボタン514がクリックされた時点における修正後のガンマカーブCr,Cg,Cbは、サンプル画像510aと530aとを目視した場合に明るさと色の一致を得る、という観点からは、好ましい階調再現特性を示すものになる。
こうして、サンプル画像Haを利用した修正作業が完了したら、続いて、サンプル画像Hbを利用した同様の修正操作を行う。この修正操作の初期段階で与えられる仮の階調再現特性は、サンプル画像Haを利用した修正作業が完了した時点で得られているガンマカーブCr,Cg,Cbである。図22は、サンプル画像Hbを利用した修正操作の画面を示す平面図である。表示画面500b上には、サンプル画像510bが表示されており、物理的出力媒体520b上にプリントされたサンプル画像530bとの比較により、スライドバー511,512,513に対する修正操作が行われる。サンプル画像Hbの代表階調値は130であるから、この修正操作では、図20に示すガンマカーブCr,Cg,Cb上の点Q4,Q5,Q6を制御点として、これらの制御点を移動する方法で各カーブの変形が行われ、中位の明るさの部分に重点をおいた修正がなされる。
最後に、サンプル画像Hcを利用した同様の修正操作を行う。この修正操作の初期段階で与えられる仮の階調再現特性は、サンプル画像Hbを利用した修正作業が完了した時点で得られているガンマカーブCr,Cg,Cbである。図23は、サンプル画像Hcを利用した修正操作の画面を示す平面図である。表示画面500c上には、サンプル画像510cが表示されており、物理的出力媒体520c上にプリントされたサンプル画像530cとの比較により、スライドバー511,512,513に対する修正操作が行われる。サンプル画像Hcの代表階調値は45であるから、この修正操作では、図20に示すガンマカーブCr,Cg,Cb上の点Q1,Q2,Q3を制御点として、これらの制御点を移動する方法で各カーブの変形が行われ、暗い部分に重点をおいた修正がなされる。
こうして、3通りのサンプル画像Ha,Hb,Hcを利用した修正操作がすべて完了したら、このカラーモニタ100についての階調再現特性測定作業は完了である。結局、図20に示すCr,Cg,Cbについて、階調値197近傍の特性については、明るいサンプル画像Haを利用した修正が行われ、階調値130近傍の特性については、中位の明るさのサンプル画像Hbを利用した修正が行われ、階調値45近傍の特性については、暗いサンプル画像Hcを利用した修正が行われたことになり、ガンマカーブの各部について、それぞれ最適なサンプル画像を利用した修正が完了したことになる。
もちろん、実際には、3通りのサンプル画像Ha,Hb,Hcを利用した修正操作を、この順に実施した後、再び、サンプル画像Haについての目視比較を行ったところ、明るさおよび色の一致状態が乱されていた、という事態も十分に起こり得る。これは、制御点の移動により、当該制御点の近傍のガンマカーブが重点的に変形されるものの、当該変形はガンマカーブの全領域に及ぶためである。したがって、実用上は、必要に応じて、3通りのサンプル画像Ha,Hb,Hcを利用した修正操作を、巡回させながら複数回繰り返すのが好ましい。
こうして、オペレータが、最終的に、3通りのサンプル画像Ha,Hb,Hcのいずれに関しても、モニタ上に表示された画像の明るさおよび色と、物理的出力媒体上に出力された画像の明るさおよび色とが一致した、との認識を得る状態になったら、その時点でのガンマカーブCr,Cg,Cbを、当該カラーモニタ100についての正式な階調再現特性を示すグラフとして出力すればよい。もっとも、モニタ上に表示された画像と物理的出力媒体上に出力された画像とは、厳密な意味では、明るさと色とを完全に一致させることは非常に困難である。そもそも、カラーモニタ100上での白色と、物理的出力媒体上での白色と、が完全に一致していなければ、2つの画像の明るさと色とを厳密に一致させる調整を行うことは不可能である。したがって、本実施形態における「明るさと色の一致」とは、オペレータの目視による感覚的な判断において、両者の近似の度合いが、一致と認識できる程度にまで達した状態を意味するものである。
なお、このサンプル画像を利用した階調再現特性の測定方法によって、正式な階調再現特性として出力されるガンマカーブCr,Cg,Cbは、絶対的な基準に基づくモニタの特性を示すものではなく、あくまでもサンプル画像を基準とした相対的な特性を示すものになる。たとえば、同じカラーモニタについて、同じサンプル画像Haの画像データを利用した測定を行ったとしても、物理的出力媒体を作成する際に用いたプリンタあるいはプリンタ用紙が異なれば、正式な階調再現特性として出力されるガンマカーブも異なったものになる。これは、モニタと同様にプリンタにも、それぞれ固有の階調再現特性があるため、同一の画像データを用いてプリントされた出力媒体であっても、用いるプリンタが異なれば、明るさや色が相違するためである。
したがって、ここで述べた方法により、個々のカラーモニタについての絶対的な基準に基づく階調再現特性を求めるためには、用いたサンプル画像についての明るさや色を物理的に測定し、この測定結果に基づく何らかの補正を施す必要がある。しかしながら、DTP処理に利用される複数台のカラーモニタの階調再現特性のばらつきを修正する、という実用的な用途に利用するのであれば、絶対的な基準に基づく階調再現特性を求める必要はない。たとえば、50人のスタッフの分業によりDTP処理が実行される環境において、50台のカラーモニタの階調再現特性のばらつきを修正するために、各カラーモニタの階調再現特性を測定する、という用途を考えてみよう。この場合、同一のプリンタを用いて、同一品質の紙の上に同一のサンプル画像をプリントすることにより、50枚の物理的出力媒体を用意しておけばよい。50枚の物理的出力媒体上にプリントされたサンプル画像は、明るさおよび色が共通のものになるので、50台のカラーモニタの階調再現特性の測定を、この50枚の物理的出力媒体をそれぞれ利用して行うようにすれば、得られた測定結果は、いずれも同一の基準に基づくものになり、所期の目的を達成することができる。もちろん、1枚の物理的出力媒体を、50台のカラーモニタの階調再現特性の測定に使い回しするようにしてもかまわない。
なお、サンプル画像としては、どのような絵柄の画像を用いてもかまわないが、オペレータによる目視比較作業を容易にするためには、オペレータが目視した際に、ほぼ無彩色の絵柄として認識することができる画像を用いるのが好ましい。もちろん、モニタ上に表示される実際の画像は、三原色RGBの混合色として提示される画像であるが、肉眼で観察した場合に、グレーの濃淡によって表現された絵柄として認識される画像(1つの画素についての三原色RGBの階調値がほぼ同じ画像)をサンプル画像として用いると、特に、色の一致判断を容易に行うことができるようになる。これは、人間の肉眼による色成分の知覚が、無彩色の近傍において最も感度が高くなるためである。
たとえば、鮮やかな赤色を基準として、赤味をやや強めたり、赤味をやや弱めたりしたとしても、そのような微妙な色合いの変化を肉眼で知覚することは困難である。ところが、無彩色を基準として、赤味をやや強めたり、赤味をやや弱めたり(実際には、補色である緑味をやや強めることになる)すると、微妙な色合いの変化であっても、肉眼で知覚することが可能になる。無彩色を基準にすると、うっすらと赤っぽい、あるいは、うっすらと緑がかっている、という状態を肉眼で比較的容易に知覚することができる。
<<< §8.サンプル画像を利用した階調再現特性の測定装置 >>>
ここでは、§7で述べた原理に基づいて、カラーモニタの階調再現特性の測定を行う装置の構成および動作を述べる。図24は、この装置の基本構成を示すブロック図である。図示のとおり、この装置の主たる構成要素は、階調再現特性格納手段410、画像データ格納手段420、画像表示手段430、特性修正手段440、一致信号入力手段450、そして物理的出力媒体520であり、オペレータの目視測定操作により、カラーモニタ100の階調再現特性を測定する機能を有している。
もっとも、この測定装置の各構成要素のうち、物理的出力媒体520を除いた構成要素は、いずれもカラーモニタ100に接続されたパソコン200に、所定のプログラムを組み込むことにより実現することができる構成要素であり、実際には、パソコン200に組み込まれたプログラムによって実現されることになる。
階調再現特性格納手段410は、仮の階調再現特性を格納するための構成要素であり、具体的には、図20に示すように、三原色RGBのそれぞれについての階調値と輝度との関係を示すガンマカーブCr,Cg,Cbに対応するデータを格納するための記憶装置によって構成される。ここに格納されたガンマカーブは、測定対象となるカラーモニタ100についての仮の階調再現特性であり、測定のための作業により徐々に修正されてゆく。ただ、最終的には、ここに格納されているガンマカーブが、カラーモニタ100についての正式な階調再現特性として出力されることになる。
画像データ格納手段420は、測定に用いるためのサンプル画像の画像データを格納した構成要素であり、データ格納用の記憶装置によって構成される。ここで述べる実施形態では、図19に示すように、3通りのサンプル画像Ha,Hb,Hcについての画像データが、画像データ格納手段420内に用意されている。一般論としては、全体的な明るさが異なる複数M通りのサンプル画像の画像データを、画像データ格納手段420内に用意しておけばよい。
画像表示手段430は、画像データ格納手段420内に用意されているサンプル画像を、カラーモニタ100の画面500上に表示させる処理を行う構成要素である。ただし、この画像表示手段430は、カラーモニタ100の階調再現特性が、階調再現特性格納手段410内に格納されている仮の階調再現特性であるものと仮定した場合に、サンプル画像がカラーモニタ100上に正しい階調再現性をもって表示されるように、画像データ格納手段420内に格納されている画像データに対して所定の階調補正を行い、補正後の画像データをカラーモニタ100に与える機能を有している。したがって、画面500上に表示されたサンプル画像510は、その時点で階調再現特性格納手段410内に格納されている仮の階調再現特性に基づいて階調補正が施された画像ということになる。
一方、物理的出力媒体520は、画像データ格納手段420内に格納されている画像データに基づいて、サンプル画像を紙面などの物理的媒体上に出力することにより得られる構成要素であり、表面には、サンプル画像530がプリントされている。画像データ格納手段420内にM通りのサンプル画像を用意した場合には、これらM通りのサンプル画像のそれぞれに対応するM個の物理的出力媒体が用意されることになる。ここで述べる実施形態では、画像データ格納手段420内に、3通りのサンプル画像Ha,Hb,Hcについての画像データが用意されているので、図21〜図23に示すように、3通りの物理的出力媒体520a,520b,520cが用意されることになる。
なお、オペレータは、画面500上のサンプル画像510と、物理的出力媒体520上のサンプル画像530とを目視比較することになるが、このとき、両画像のサイズがほぼ同じになるように設定するのが好ましい。これは、2つの画像の明るさおよび色を肉眼で比較する場合、両画像がほぼ同じサイズである方が、より正確な比較が可能になるためである。したがって、プリンタを用いて物理的出力媒体520を作成する際には、画面500上のサンプル画像510とほぼ同じサイズのサンプル画像530がプリントされるように配慮するのが好ましい。
特性修正手段440は、カラーモニタの画面500上に表示されたサンプル画像510と、物理的出力媒体520上に表示されたサンプル画像530と、を目視比較するオペレータから、両者の明るさおよび色を一致させる方向への指示入力を受け取り、この指示入力に基づいて、階調再現特性格納手段410内に格納されている仮の階調再現特性を修正する機能を有する。
§7で述べた実施形態の場合、この特性修正手段440による修正操作は、明るさ修正操作と色修正操作とに分けて行われる。明るさ修正操作は、画面500上に表示されたサンプル画像510について、主として明るさを変えることを指示する指示入力に基づいて階調再現特性を修正する操作であり、たとえば、図21に示すスライドバー511を左右に移動させる指示入力に基づいて実行される。一方、色修正操作は、画面500上に表示されたサンプル画像510について、主として色を変えることを指示する指示入力に基づいて階調再現特性を修正する操作であり、たとえば、図21に示すスライドバー512,513を左右に移動させる指示入力に基づいて実行される。既に§7で述べたとおり、明るさ修正操作を行う際には、階調再現特性格納手段410内に格納されている三原色RGBの各ガンマカーブのすべてに対して修正が行われ、色修正操作を行う際には、修正対象となる色のガンマカーブに対してのみ修正が行われる。
また、ガンマカーブに対する修正が、目視比較に利用しているサンプル画像の明るさに対応した部分に重点をおいて行われることも、既に述べたとおりであり、たとえば、明るい絵柄のサンプル画像Haについて目視比較を行っている際には、図20の階調値197の近傍に重点をおいた修正が実行される。
一般論として述べれば、複数M通りのサンプル画像のうちの第i番目のサンプル画像に関する指示入力を受け取ったときには、階調再現特性格納手段410内に格納されている仮の階調再現特性に対して、「第i番目のサンプル画像の明るさに対応した部分」に重点をおいた修正が行われることになる。§7で説明した具体例の場合、特性修正手段440が、第i番目のサンプル画像に関する指示入力を受け取ったときには、この第i番目のサンプル画像の代表階調値をもつガンマカーブ上の点を制御点と認識し、この制御点を指示入力に応じて所定方向に移動させた後、移動後の制御点を通るようにガンマカーブを滑らかに変形することにより、真の階調再現特性へと近付ける修正が行われる。ここで、サンプル画像の代表階調値としては、画像データ格納手段420に格納されている画像データによって示される個々の画素のすべての色についての画素値の最頻値もしくは平均値を用いればよい。
一致信号入力手段450は、オペレータから、サンプル画像510とサンプル画像530とについて、明るさおよび色がともに一致したとの認識を示す一致信号を入力する構成要素である。図21〜図23に示す一致ボタン514は、特定のサンプル画像についての一致認識を示すためのボタンであるが、一致信号入力手段450は、たとえば、すべてのサンプル画像について一致ボタン514がクリックされた場合に、オペレータから一致信号が入力されたものと判断する構成要素により実現することができる。あるいは、すべてのサンプル画像について一致認識が得られた旨の特別なボタンを別途用意しておくようにしてもかまわない。
特性出力手段460は、一致信号入力手段によって一致信号が入力された時点において、階調再現特性格納手段410に格納されている仮の階調再現特性(ガンマカーブCr,Cg,Cb)を示すグラフを、カラーモニタ100の正式な階調再現特性として出力する。こうして出力された階調再現特性が、本発明に係る階調再現特性測定装置による最終的な測定結果ということになる。
図25は、図24に示す測定装置を用いた特性測定の処理手順を示す流れ図である。まず、ステップS11において、全体的な明るさが異なる複数M通りのサンプル画像の画像データを用意する。上述の例では、M=3として、3通りのサンプル画像Ha,Hb,Hcの画像データが用意されている。続くステップS12では、プリンタなどを利用して、このM通りのサンプル画像を物理的な媒体上に出力することにより、M通りの物理的出力媒体を用意する。上述の例では、3通りの物理的出力媒体520a,520b,520cが用意されている。
続いて、ステップS13において、パラメータiを初期値1にセットする。このパラメータiは、M通りのサンプル画像のそれぞれについて、同じ手順を繰り返すためのパラメータであり、ステップS18において、i=Mに到達したと判断されるまで、ステップS19で1ずつ更新される。
ステップS14では、第i番目のサンプル画像を仮の階調再現特性を用いた階調補正を行うことにより、カラーモニタ100上に表示する処理が行われる。たとえば、上述の例の場合、パラメータi=1では、図21に示すように、第1番目のサンプル画像510aが画面500上に表示されることになる。次のステップS15は、オペレータによる処理動作であり、カラーモニタ100上に表示された第i番目のサンプル画像と、第i番目の物理的出力媒体とが目視比較される。パラメータi=1では、図21に示すように、サンプル画像510aとサンプル画像530aとの比較が行われることになる。
ステップS16では、比較の結果、明るさと色の双方が一致しているとの認識がなされたか否かが判断され、一致認識がなされなかった場合、ステップS17における修正が行われる。すなわち、オペレータの指示入力により、現時点で階調再現特性格納手段410内に格納されている仮の階調再現特性に対して、「第i番目のサンプル画像の明るさに対応した部分」に重点をおいた修正が行われる。
こうして、ステップS16において一致認識が行われるまで(一致ボタン514がクリックされるまで)、ステップSS14,S15,S16,S17の各手順が繰り返し実行される。ステップS16において一致認識が行われると、ステップS18およびステップS19を経て、パラメータiが更新され、次のサンプル画像について、同様の処理が実行される。こうして、M通りのサンプル画像のすべてについて、同様の処理が完了したら、ステップS18からステップS20へと進み、現時点で階調再現特性格納手段410内に格納されている仮の階調再現特性を、正式な階調再現特性として出力する処理が実行される。
<<< §9.代表階調値の代わりに代表輝度値を用いる変形例 >>>
最後に、§7および§8で述べた実施形態の変形例を示しておく。§7で述べた実施形態では、各サンプル画像について、代表階調値なるものを定義し、特定のサンプル画像を利用した修正操作では、階調再現特性を示すガンマカーブに対して、当該サンプル画像の代表階調値の近傍部分に重点をおいた修正を行うようにしていた。たとえば、図19に示すサンプル画像Haは、代表階調値が197であるので、このサンプル画像Haを利用した修正操作では、図20に示すように、各ガンマカーブ上で階調値197をもった点Q7,Q8,Q9を制御点とする修正を行っていた。
ここで述べる変形例では、各サンプル画像について、代表輝度値なるものを定義し、1つのサンプル画像を利用した修正操作では、階調再現特性を示すガンマカーブに対して、当該サンプル画像の代表輝度値の近傍部分に重点をおいた修正を行うようにする。
ところで、サンプル画像の階調値は、当該サンプル画像の画像データを構成する個々の画素の画素値として与えられるものであるから、代表階調値は、これら画素値の最頻値あるいは平均値として一義的に求めることができる。これに対して、サンプル画像の輝度値は、当該サンプル画像がモニタ上に表示されたり、物理的出力媒体上に出力されたりして、初めて求めることができる値である。したがって、画像データ格納手段420内に、3通りのサンプル画像Ha,Hb,Hcについての画像データがそれぞれ用意されていたとしても、これらの画像データから直ちに各サンプル画像Ha,Hb,Hcの代表輝度値を求めることはできない。本願発明者は、各サンプル画像Ha,Hb,Hcの代表輝度値を求める方法として、次の2通りの手法が有効であると考えている。
第1の手法は、代表階調値に基づいて所定の換算方法により換算することにより得られた値を、代表輝度値として用いる方法である。一般に、階調値と輝度値との関係は、図20に示すように、リニアな関係にはならず、モニタやプリンタなどに応じて固有のカーブを描く関係になる。そもそも本発明に係る階調再現特性測定装置は、そのようなカーブを求めるための装置である。ただ、ここで求めようとしている代表輝度値は、正確な値である必要はない。なぜなら、本発明における代表階調値や代表輝度値の役割は、階調再現特性を示すガンマカーブのどの部分を重点的に修正するかを示す単なる指標としての役割というべきものであり、厳密さは要求されないからである。
そこで、たとえば、「階調値と輝度値とは、リニアな関係にある」というような大まかな関係を定義すれば、代表階調値に基づいて、代表輝度値を一義的に換算することが可能になる。図26は、このような換算結果の一例を示す図である。ここでは、階調値が0〜255の範囲をとり、輝度値が0%〜100%の範囲をとり、両者がリニアな関係にある、との前提で、輝度値=階調値/255なる単純な換算式を定義している。その結果、サンプル画像Haについての代表輝度値は、代表階調値197に基づいて「197/255=78%」なる演算により求まり、サンプル画像Hbについての代表輝度値は、代表階調値130に基づいて「130/255=51%」なる演算により求まり、サンプル画像Hcについての代表輝度値は、代表階調値45に基づいて「45/255=18%」なる演算により求まる。もちろん、このような換算によって求めた代表階調値は、正確な値ではないが、ガンマカーブに対する重点的修正位置を示す指標として用いるには十分である。
もちろん、より正確な換算を行うことも可能である。たとえば、パソコンと入出力機器との間でのカラーマネジメントを行うため、一般に、ICC(International Color Consortium)によって定められたICCプロファイルというデータファイルが利用されている。多くの市販プリンタの場合、メーカからICCプロファイルが提供されており、また、公知の測定方法により、任意のプリンタについてのICCプロファイルを作成することも可能である。このICCプロファイルを利用すれば、任意のRGB階調値を輝度値に変換することが可能になる。したがって、物理的媒体を出力するのに用いた特定のプリンタについてのICCプロファイルを利用すれば、代表階調値から代表輝度値へのより正確な換算が可能になる。
第2の手法は、物理的出力媒体上のサンプル画像全体に関する平均的な輝度を、物理的な測定装置を用いて実測し、この実測値をそのまま当該サンプル画像の代表輝度値とする方法である。具体的には、サンプル画像Haについての代表輝度値は、図21に示す物理的出力媒体520aに対する実測により求まり、サンプル画像Hbについての代表輝度値は、図22に示す物理的出力媒体520bに対する実測により求まり、サンプル画像Hcについての代表輝度値は、図23に示す物理的出力媒体520cに対する実測により求まる。この手法は、物理的な方法による実測が必要になるものの、正確な代表輝度値を得ることが可能になる。
こうして、各サンプル画像についての代表輝度値が得られたら、この代表輝度値に応じて制御点の定義を行い、ガンマカーブの修正を行うようにすればよい。図27は、このように、代表輝度値の近傍部分に重点をおいた修正を行う概念を説明するためのグラフである。図26に示す例のように、サンプル画像Haについての代表輝度値が78%、サンプル画像Hbについての代表輝度値が51%、サンプル画像Hcについての代表輝度値が18%と定まったら、サンプル画像Haを利用した各カーブに対する修正は、制御点Q1,Q2,Q3を移動させることによって行い、サンプル画像Hbを利用した各カーブに対する修正は、制御点Q4,Q5,Q6を移動させることによって行い、サンプル画像Hcを利用した各カーブに対する修正は、制御点Q7,Q8,Q9を移動させることによって行えばよい。
<<< §10.階調再現特性を自動的に変動させる方法 >>>
上述した§7〜§9で述べた実施形態では、図21〜図23に示すようなスライドバー511〜513の操作によってオペレータからの指示を入力し、この指示に基づいて、階調再現特性(ガンマカーブ)を修正する例を示した。ここでは、このようなオペレータによる指示入力の負担を軽減させる方法を述べる。
この方法の主眼は、§3で述べた実施形態と共通する。すなわち、予め定められた所定の変動条件にしたがって、ガンマカーブの形状を時間とともに自動的に変動させるようにし、オペレータに、カラーモニタの画面上のサンプル画像と物理的出力媒体上のサンプル画像とを目視しながら、明るさおよび色が最も近いと認識できる時点を指示してもらうようにするのである。様々な変動条件の下で、同様の処理を繰り返してゆけば、仮のガンマカーブの形状は次第に真のガンマカーブの形状に近づいてゆくことになる。そして、ある程度近似してきた段階で、オペレータに、両者の明るさと色が一致したとの認識を示す一致信号を入力してもらい、その時点での仮のガンマカーブを、正式なガンマカーブとして出力すればよい。
前述の実施形態では、たとえば、図19に示すサンプル画像Haを用いて、黄色/青色の色合いに関する修正操作を行う場合、図21に示すスライドバー512をオペレータに調整してもらい、その結果に基づいて、図20に示すガンマカーブCb上の制御点Q9を所定方向に移動させる修正を行っていた。ここで述べる実施形態の場合、制御点Q9の位置を自動的に所定方向に周期的に変動させることにより、ガンマカーブCbの形状を時間とともに変動させるのである。
たとえば、図20に示す制御点Q9は、階調値197をもつ点であるが、この階調値を±5の範囲内で変動させると、制御点Q9の階調値は192〜202の範囲内を変動することになる。その結果、図20において、制御点Q9の位置は左右に往復運動する。もちろん、制御点Q9の位置が変わると、新たな制御点Q9の位置を通るように、ガンマカーブCbの形状も滑らかに変化させるようにする。結局、ガンマカーブCbは、図20に示されている形状を基準として、所定範囲内での変形を周期的に繰り返すことになる。このように、ガンマカーブCbを周期的に変動させると、図21に示すサンプル画像510aの黄色/青色の色合いが周期的に変化することになり、前述の実施形態において、スライドバー512を左右に移動させる操作を行っているのと同じ効果が得られる。
要するに、ここで述べる実施形態は、図21に示すスライドバーを、システム側で自動的に左右に移動させているのと同じ効果を奏する。もちろん、実際には、図21に示すようなスライドバー511〜513は、設けなくてもかまわない。オペレータは、サンプル画像510aと530aとを目視しながら、両者の黄色/青色の色合いが最も近づいたと認識できた時点で、その旨を示す指示入力をマウスクリックなどの方法で行えばよい。オペレータが指示入力を行った時点でのガンマカーブCbが、その時点で最も好ましいガンマカーブということになるので、これを新たなガンマカーブCbとする修正を行う。
ガンマカーブCg,Crについても、同様の方法で修正を行えばよい。すなわち、今度は、制御点Q8を左右に往復運動させながらガンマカーブCgを周期的に変形させ、赤色/緑色の色合いが最も近づいたと認識できた時点でオペレータに指示を入力してもらい、その時点でのガンマカーブを新たなガンマカーブCgとする。同様に、制御点Q7を左右に往復運動させながらガンマカーブCrを周期的に変形させ、やはり赤色/緑色の色合いが最も近づいたと認識できた時点でオペレータに指示を入力してもらい、その時点でのガンマカーブを新たなガンマカーブCrとする。
一方、明るさの一致認識に関しては、制御点Q7〜Q9を同位相で左右に往復運動させながら、3つのガンマカーブCr,Cg,Cbを同時に変形させるようにし、明るさが最も近づいたと認識できた時点でオペレータに指示を入力してもらい、その時点での各ガンマカーブを新たなガンマカーブCr,Cg,Cbとすればよい。
もちろん、このような明るさの修正処理を実行すると、せっかく調整した色のバランスが崩れてしまう可能性があり、逆に、色の修正処理を実行すると、明るさのバランスが崩れてしまう可能性がある。したがって、実用上は、§3で述べた実施形態と同様に、色の調整と明るさの調整を交互に繰り返し実行し、かつ、制御点の変動範囲を徐々に狭めてゆくような運用を行えばよい。なお、制御点の変動方向は、上下方向でもよいし、斜め方向でもかまわない。
こうして、図19に示すサンプル画像Haを用いた修正が完了したら、続いて、サンプル画像Hbを用いた修正処理を行う。この場合、図20に示す制御点Q4,Q5,Q6をそれぞれ所定範囲で変動させ、各ガンマカーブCr,Cg,Cbの主として中央部分を変形させる修正を行う。そして、最後に、サンプル画像Hcを用いた修正処理を行う。この場合は、図20に示す制御点Q1,Q2,Q3をそれぞれ所定範囲で変動させ、各ガンマカーブCr,Cg,Cbの主として暗い部分を変形させる修正を行うことになる。もちろん、この後、再び、サンプル画像Haを用いた二巡目の修正処理を実行するようにしてもかまわない。
このような修正処理を経た後、オペレータの目視による比較の結果、両サンプル画像の明るさと色との双方が一致した(ある程度の許容範囲内で近似した)との認識が得られたら、最終的な一致信号を入力してもらうようにする。もっとも、実用上は、必ずしも「最終的な一致信号」という形式の信号を改めて入力させる必要はなく、サンプル画像Hcに関する調整操作において、最後に入力された指示入力(色あるいは明るさが最も近づいた旨の指示)を、最終的な一致信号として取り扱えば足りる。
以上、階調再現特性を自動的に変動させる実施形態を述べたが、現在のコンピュータの演算処理能力を考えると、この§10で述べた実施形態を実施するためには、実用上、若干の工夫が必要になる。§3で述べた実施形態も、この§10で述べた実施形態も、いずれもオペレータから見れば、画面上の表示対象物の色合いや明るさが時間とともに徐々に変動してゆくように見える。しかしながら、システム側の処理内容に着目すると、§3で述べた実施形態の場合、階調値変動手段240(図18)は、階調値指定手段210内の階調値を直接変動させればよいので、デジタルデータを単に増減する処理を行えば足りるが、この§10で述べた実施形態の場合、特性修正手段440(図24)は、階調再現特性格納手段410内に格納されているガンマカーブを変形させる処理を行う必要がある。しかも、変形後のカーブは、特定の位置にある制御点を通るカーブとなっている必要があるので、そのようなカーブを求めるための演算負担はかなり大きい。
§3で述べた実施形態も、この§10で述べた実施形態も、オペレータに、周期的に変化する画像を提示する必要があるが、提示周期があまりに長くなると、実用性に乏しくなる。たとえば、10秒間の周期で変化する画像を提示しながら、オペレータに比較対象となる画像が最も近似する時点を指示してもらうような運用形態は十分に実用的である。しかしながら、変化の周期が、10分間というオーダーになると、オペレータが注意力を維持することができなくなり、実用性に乏しくなる。このため、比較的処理速度の遅いパソコンを用いた場合を考慮すると、たとえば、図20に示す制御点Q9を左右に往復運動させながら、その都度、新たなガンマカーブCbを演算により求め、この新たなガンマカーブCbを用いて新たな画像を提示する、というリアルタイムでの処理は、実用性に乏しい。
そこで、この§10で述べた方法を実施する場合、オペレータに対する画像提示の前に、変動範囲内の複数通りのガンマカーブを予め演算しておくようにするのが好ましい。たとえば、図20に示す制御点Q7,Q8,Q9を周期的に移動させる調整(すなわち、サンプル画像Haを利用した調整)を行う場合、その前に、必要なガンマカーブをすべて演算により求めておくようにする。具体的には、ガンマカーブCbについて、制御点Q9の階調値を±5だけ変動させる変形を行う場合であれば、左へ5階調値分移動した場合のカーブ、左へ4階調値分移動した場合のカーブ、…、右へ4階調値分移動した場合のカーブ、右へ5階調値分移動した場合のカーブ、という合計10通りのカーブを予め演算しておけばよい。ガンマカーブCr,Cbについても同様である。オペレータが、サンプル画像Haについての調整操作を行う間は、この予め演算された複数のガンマカーブを利用した画像提示を行えばよい。
続いて、オペレータが次のサンプル画像Hbについての調整操作を行う前に、サンプル画像Haについての調整操作の結果として得られた3つのガンマカーブCr,Cg,Cbに基づいて、それぞれ制御点Q4,Q5,Q6を所定範囲内で移動させることにより得られる複数のガンマカーブを演算により求めるようにすればよい。同様に、オペレータが最後のサンプル画像Hcについての調整操作を行う前に、サンプル画像Hbについての調整操作の結果として得られた3つのガンマカーブCr,Cg,Cbに基づいて、それぞれ制御点Q1,Q2,Q3を所定範囲内で移動させることにより得られる複数のガンマカーブを演算により求めるようにすればよい。
このように、画像提示の前に、予め必要なガンマカーブを求める演算を行っておく方法を採れば、リアルタイムで演算を行いながら画像提示を行う方法に比べて、スムーズな画像提示を行うことが可能になる。
Claims (45)
- 三原色RGBを用いてカラー画像を表示する機能をもったカラーモニタ(100)における入力信号階調値と実際の表示輝度との関係を示す階調再現特性を測定するための装置であって、
第1属性の領域(50)内に、明るさおよび色が一様な均一パターンを表示させるための三原色RGBの階調値の組み合わせを指定する階調値指定手段(210)と、
第2属性の領域(60)内に、三原色RGBがそれぞれ最小階調値をもつ第1副領域(61)と、三原色RGBがそれぞれ最大階調値をもつ第2副領域(62)と、を所定面積比で混在させた参照パターンを生成する参照パターン生成手段(220)と、
前記カラーモニタの画面上に、互いに接するように配置された第1属性の領域と第2属性の領域とによって構成されるテストパターンを定義し、前記第1属性の領域内には、前記階調値指定手段によって指定された階調値の組み合わせに基づく均一パターンが表示され、前記第2属性の領域内には、前記参照パターン生成手段で生成された参照パターンが表示されるように、所定の信号を前記カラーモニタに与えるパターン表示手段(230)と、
前記階調値指定手段によって指定される各階調値を、前記均一パターンの明るさおよび色が変わるように変動させる階調値変動手段(240)と、
前記階調値変動手段による変動操作が行われている状態において、前記カラーモニタの画面上に表示された前記テストパターンを目視するオペレータから、前記第1属性の領域と前記第2属性の領域との明るさおよび色がともに一致したとの認識を示す一致信号を入力する一致信号入力手段(250)と、
前記一致信号が入力されたときに、前記階調値指定手段により指定されていた階調値の組み合わせを、前記所定面積比に応じた所定の参照輝度に対応する各原色の対応階調値と認識し、互いに対応関係にある前記参照輝度と前記対応階調値とに基づいて、各原色ごとの階調再現特性を演算により求める特性演算手段(260)と、
を備えることを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項1に記載の測定装置において、
階調値変動手段(240)が、主として均一パターンの明るさが変わるように階調値を変動させる明るさ変動操作と、主として均一パターンの色が変わるように階調値を変動させる色変動操作と、の2通りの変動操作を行う機能を有することを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項2に記載の測定装置において、
明るさ変動操作が、三原色RGBの各階調値のすべてについて、共通の変動量を増減する作業によって行われ、
色変動操作が、三原色RGBのうちのいずれか1つの特定色についての階調値を増減する作業によって行われることを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の測定装置において、
階調値変動手段(240)が、オペレータの操作入力に基づいて、階調値の変動を行うことを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項4に記載の測定装置において、
階調値変動手段(240)が、均一パターンを明るくする指示を与える第1ボタン(31)と、均一パターンを暗くする指示を与える第2ボタン(32)と、均一パターンの特定色の成分を強める指示を与える第3ボタン(33)と、均一パターンの前記特定色の成分を弱める指示を与える第4ボタン(34)と、を用い、前記第1ボタンに対する操作入力があった場合には、三原色RGBの各階調値のすべてについて、共通の変動量を加える変動操作を行い、前記第2ボタンに対する操作入力があった場合には、三原色RGBの各階調値のすべてについて、共通の変動量を減じる変動操作を行い、前記第3ボタンに対する操作入力があった場合には、前記特定色の階調値について、所定の変動量を加える変動操作を行い、前記第4ボタンに対する操作入力があった場合には、前記特定色の階調値について、所定の変動量を減じる変動操作を行うことを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項5に記載の測定装置において、
各ボタンを配置する平面上にXY二次元座標系を定義したときに、第1ボタン(31)および第2ボタン(32)がX軸上の原点を挟んだ対向位置に配置され、第3ボタン(33)および第4ボタン(34)がY軸上の原点を挟んだ対向位置に配置されていることを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の測定装置において、
階調値変動手段(240)が、予め定められた所定の規則にしたがって、階調値を時間とともに変動させることを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項7に記載の測定装置において、
階調値変動手段(240)が、三原色RGBの各階調値のすべてについて、所定のタイミングで共通の変動量を加えるもしくは減じることにより、主として均一パターンの明るさが変わるように階調値を変動させる明るさ変動操作と、三原色RGBのうちのいずれか1つの特定色の階調値について、所定のタイミングで所定の変動量を加えるもしくは減じることにより、主として均一パターンの色が変わるように階調値を変動させる色変動操作と、の2通りの変動操作を行う機能を有し、
一致信号入力手段(250)が、前記階調値変動手段が前記明るさ変動操作を行っている状態において、オペレータから明るさが一致したとの認識を示す明るさ一致信号を入力するための明るさ一致信号入力手段と、前記階調値変動手段が前記色変動操作を行っている状態において、オペレータから色が一致したとの認識を示す色一致信号を入力するための色一致信号入力手段と、を備え、明るさ一致信号と色一致信号との双方の入力が完了した場合に、明るさおよび色がともに一致したとの認識を示す一致信号が入力されたものとして取り扱うことを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項8に記載の測定装置において、
変動量を加算する変動操作により得られる階調値が最大階調値を上回ってしまう場合には、超過分を最小階調値から計数する循環処理を行い、変動量を減算する変動操作により得られる階調値が最小階調値を下回ってしまう場合には、超過分を最大階調値から計数する循環処理を行うようにすることを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項8または9に記載の測定装置において、
階調値変動手段(240)が、明るさ変動操作を行っている状態において明るさ一致信号が入力された時点で色変動操作を開始し、色変動操作を行っている状態において色一致信号が入力された時点で明るさ変動操作を開始し、明るさ変動操作と色変動操作とを交互に繰り返し実行する機能を有し、かつ、階調値の変動量を徐々に減少させながら繰り返し実行する機能を有し、
一致信号入力手段(250)が、変動量が所定の規定値に達した後に、明るさ一致信号と色一致信号との双方の入力が完了した場合に、明るさおよび色がともに一致したとの認識を示す一致信号が入力されたものとして取り扱うことを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項3,5,8のいずれかに記載の測定装置において、
三原色RGBのうちの原色Bを特定色とし、原色Bの階調再現特性と、原色RおよびGに共通した階調再現特性と、を求めることを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項1〜11のいずれかに記載の測定装置において、
参照パターン生成手段(220)が、第1副領域と第2副領域との面積比を複数N通りに設定することにより、互いに異なる参照輝度をもったN通りの参照パターンを生成する機能を有し、
特性演算手段(260)が、前記N通りの参照パターンを用いたN通りのテストパターンについて得られたN通りの対応階調値に基づいて、各原色ごとの階調再現特性を求める機能を有することを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項12に記載の測定装置において、
特性演算手段(260)が、第1の座標軸に階調値、第2の座標軸に輝度をとった二次元座標系を定義し、この座標系上に、各参照輝度および対応階調値を座標値としてもつN個の点をプロットし、更に、最小輝度値および最小階調値を座標値としてもつ点と最大輝度値および最大階調値を座標値としてもつ点とをプロットし、プロットされた合計(N+2)個の点を通るグラフを、階調再現特性を示すグラフとして求めることを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項13に記載の測定装置において、
N=3に設定して合計5個の点をプロットし、これら5個の点を第1の座標軸上の座標値の昇順に第1の点〜第5の点と呼んだときに、第1、第2、第3の各点を通り輝度が階調値のべき乗の形式で定義される第1の関数曲線と、第3、第4、第5の各点を通り輝度が階調値のべき乗の形式で定義される第2の関数曲線と、を演算により求め、前記第1の関数曲線と前記第2の関数曲線とを連結してなる曲線を、階調再現特性を示すグラフとすることを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項1〜14のいずれかに記載の測定装置において、
参照パターン生成手段(220)が、第1副領域および第2副領域を、同一の形状および大きさをもった単位セルによって構成し、この単位セルの二次元配列によって参照パターンを構成することを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項15に記載の測定装置において、
矩形状の単位セルを二次元行列状に配列することにより参照パターンを構成し、任意の奇数i,jについて、i行j列目の単位セル、i行(j+1)列目の単位セル、(i+1)行j列目の単位セル、(i+1)行(j+1)列目の単位セル、という4つの単位セルからなるセルグループを定義し、第1副領域および第2副領域の配置パターンを、すべてのセルグループについて共通にしたことを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項16に記載の測定装置において、
各セルグループを構成する4つの単位セルのうち、斜めに隣接する一対の単位セルによって第1の副領域を構成し、残りの一対の単位セルによって第2の副領域を構成し、面積比1:1となる参照パターンを構成することを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項16に記載の測定装置において、
各セルグループを構成する4つの単位セルのうち、1つの単位セルによって一方の副領域を構成し、残りの3つの単位セルによって他方の副領域を構成し、面積比3:1もしくは1:3となる参照パターンを構成することを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項1〜18のいずれかに記載の測定装置において、
テストパターンを構成する第1属性の領域または第2属性の領域の輪郭を円または楕円にしたことを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項1〜19のいずれかに記載の測定装置において、
テストパターンを構成する一方の属性の領域を複数箇所に分散して配置し、その背景部分を他方の属性の領域としたことを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項20に記載の測定装置において、
第1属性の領域の面積の総和が、第2属性の領域の面積の総和に等しくなるように設定したことを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項20または21に記載の測定装置において、
形状および大きさが同一となる複数の同一属性の領域を、所定の空間周波数が得られるように所定ピッチで二次元平面上に分散配置したことを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項22に記載の測定装置において、
同一属性の領域を横方向に所定ピッチPxで複数配置した一次元領域配列を、縦方向に所定ピッチPy(但し、Py=√3/2・Px)で複数配置し、かつ、互いに隣接する一次元領域配列間では位相が半ピッチずれるように配置したことを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項22または23に記載の測定装置において、
テストパターンを目視するオペレータにとって、明暗差弁別特性および色差弁別特性の双方について良好な感度を示す空間周波数が得られるような所定ピッチで、同一属性の領域を分散配置したことを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項22または23に記載の測定装置において、
テストパターンを目視するオペレータにとって、明暗差弁別特性について良好な感度を示す空間周波数が得られるような第1のピッチと、色差弁別特性について良好な感度を示す空間周波数が得られるような第2のピッチと、が設定されており、
パターン表示手段(230)が、前記オペレータによる明るさの一致認識作業が行われるときには、前記第1のピッチで同一属性の領域を分散配置してなるテストパターンを表示させ、前記オペレータによる色の一致認識作業が行われるときには、前記第2のピッチで同一属性の領域を分散配置してなるテストパターンを表示させる機能を有することを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項1〜25のいずれかに記載の測定装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムもしくは前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
- 三原色RGBを用いてカラー画像を表示する機能をもったカラーモニタ(100)における入力信号階調値と実際の表示輝度との関係を示す階調再現特性を測定するための装置であって、
仮の階調再現特性を格納するための階調再現特性格納手段(410)と、
測定に用いるためのサンプル画像の画像データを格納した画像データ格納手段(420)と、
前記カラーモニタの階調再現特性が、前記階調再現特性格納手段内に格納されている仮の階調再現特性であるものと仮定した場合に、前記サンプル画像が前記カラーモニタ上に正しい階調再現性をもって表示されるように、前記画像データ格納手段内に格納されている画像データに対して所定の階調補正を行い、補正後の画像データを前記カラーモニタに与える画像表示手段(430)と、
前記画像データ格納手段内に格納されている画像データに基づいて、前記サンプル画像を物理的媒体上に出力することにより得られる物理的出力媒体(520)と、
前記カラーモニタの画面(500)上に表示されたサンプル画像(510)と、前記物理的出力媒体(520)上に表示されたサンプル画像(530)と、を目視比較するオペレータから、両者の明るさおよび色を近似させるための指示入力を受け取り、この指示入力に基づいて、前記階調再現特性格納手段内に格納されている仮の階調再現特性を修正する特性修正手段(440)と、
前記オペレータから、前記両者の明るさおよび色がともに一致したとの認識を示す一致信号を入力する一致信号入力手段(450)と、
前記一致信号が入力されたときに、前記階調再現特性格納手段に格納されている仮の階調再現特性を、前記カラーモニタの正式な階調再現特性として出力する特性出力手段(460)と、
を備えることを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項27に記載の測定装置において、
画像データ格納手段(420)内に、全体的な明るさが異なる複数M通りのサンプル画像の画像データが格納されており、前記M通りのサンプル画像のそれぞれ対応するM個の物理的出力媒体(520)が用意されており、
特性修正手段(440)が、前記M通りのサンプル画像のうちの第i番目のサンプル画像に関する指示入力を受け取ったときに、前記階調再現特性格納手段内に格納されている仮の階調再現特性に対して、「前記第i番目のサンプル画像の明るさに対応した部分」に重点をおいた修正を行うことを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項28に記載の測定装置において、
階調再現特性格納手段(410)が、三原色RGBのそれぞれについての階調値と輝度との関係を示すカーブを、階調再現特性を示すグラフとして格納しており、
特性修正手段(440)が、第i番目のサンプル画像に関する指示入力を受け取ったときに、前記第i番目のサンプル画像の代表階調値をもつ前記カーブ上の点を制御点と認識し、前記制御点を前記指示入力に応じて所定方向に移動させた後、移動後の前記制御点を通るように前記カーブを滑らかに変形することにより修正を行うことを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項29に記載の測定装置において、
サンプル画像の代表階調値として、画像データ格納手段に格納されている画像データによって示される個々の画素のすべての色についての画素値の最頻値もしくは平均値を用いることを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項28に記載の測定装置において、
階調再現特性格納手段(410)が、三原色RGBのそれぞれについての階調値と輝度との関係を示すカーブを、階調再現特性を示すグラフとして格納しており、
特性修正手段(440)が、第i番目のサンプル画像に関する指示入力を受け取ったときに、前記第i番目のサンプル画像の代表輝度値をもつ前記カーブ上の点を制御点と認識し、前記制御点を前記指示入力に応じて所定方向に移動させた後、移動後の前記制御点を通るように前記カーブを滑らかに変形することにより修正を行うことを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項31に記載の測定装置において、
サンプル画像の代表階調値として、画像データ格納手段に格納されている画像データによって示される個々の画素のすべての色についての画素値の最頻値もしくは平均値を求め、求めた代表階調値に基づいて所定の換算方法により換算された値を、当該サンプル画像の代表輝度値として用いることを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項31に記載の測定装置において、
サンプル画像の代表輝度値として、物理的出力媒体上の当該サンプル画像全体に対する輝度の実測値を用いることを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項27に記載の測定装置において、
特性修正手段(440)が、予め定められた所定の規則にしたがって、階調再現特性を時間とともに変動させる処理を行い、オペレータからの指示入力があった時点における仮の階調再現特性を新たな仮の階調再現特性とする修正を行うことを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項34に記載の測定装置において、
画像データ格納手段(420)内に、全体的な明るさが異なる複数M通りのサンプル画像の画像データが格納されており、前記M通りのサンプル画像のそれぞれ対応するM個の物理的出力媒体(520)が用意されており、
特性修正手段(440)が、階調再現特性格納手段(410)内に格納されている仮の階調再現特性に対して、「前記M通りのサンプル画像のうちの第i番目のサンプル画像の明るさに対応した部分」に重点をおいた変動を行う処理を、i=1〜Mのそれぞれについて実行する機能を有することを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項35に記載の測定装置において、
階調再現特性格納手段(410)が、三原色RGBのそれぞれについての階調値と輝度との関係を示すカーブを、階調再現特性を示すグラフとして格納しており、
特性修正手段(440)が、「第i番目のサンプル画像の明るさに対応した部分」に重点をおいた変動を行う処理を実行する際に、前記第i番目のサンプル画像の代表階調値をもつカーブ上の点を制御点と認識し、前記制御点を所定方向に周期的に移動させ、移動後の前記制御点を通るように前記カーブを滑らかに変形することにより階調再現特性の変動を行うことを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項36に記載の測定装置において、
サンプル画像の代表階調値として、画像データ格納手段に格納されている画像データによって示される個々の画素のすべての色についての画素値の最頻値もしくは平均値を用いることを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項35に記載の測定装置において、
階調再現特性格納手段(410)が、三原色RGBのそれぞれについての階調値と輝度との関係を示すカーブを、階調再現特性を示すグラフとして格納しており、
特性修正手段(440)が、「第i番目のサンプル画像の明るさに対応した部分」に重点をおいた変動を行う処理を実行する際に、前記第i番目のサンプル画像の代表輝度値をもつカーブ上の点を制御点と認識し、前記制御点を所定方向に周期的に移動させ、移動後の前記制御点を通るように前記カーブを滑らかに変形することにより階調再現特性の変動を行うことを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項38に記載の測定装置において、
サンプル画像の代表階調値として、画像データ格納手段に格納されている画像データによって示される個々の画素のすべての色についての画素値の最頻値もしくは平均値を求め、求めた代表階調値に基づいて所定の換算方法により換算された値を、当該サンプル画像の代表輝度値として用いることを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項38に記載の測定装置において、
サンプル画像の代表輝度値として、物理的出力媒体上の当該サンプル画像全体に対する輝度の実測値を用いることを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項27〜40のいずれかに記載の測定装置において、
特性修正手段(440)が、カラーモニタの画面上に表示されたサンプル画像について、主として明るさを変えるための指示入力に基づいて階調再現特性を修正する明るさ修正操作と、主として色を変えるための指示入力に基づいて階調再現特性を修正する色修正操作と、の2通りの修正操作を行う機能を有することを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項41に記載の測定装置において、
階調再現特性格納手段(410)が、三原色RGBのそれぞれについての階調値と輝度との関係を示すカーブを、階調再現特性を示すグラフとして格納しており、
特性修正手段(440)が、明るさ修正操作を行う際には、前記三原色RGBの各カーブのすべてに対して修正を行い、色修正操作を行う際には、修正対象となる色のカーブに対してのみ修正を行うことを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項27〜42のいずれかに記載の測定装置において、
サンプル画像として、オペレータが目視した際に、ほぼ無彩色の絵柄として認識することができる画像を用いることを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。 - 請求項27〜43のいずれかに記載の測定装置における階調再現特性格納手段、画像データ格納手段、画像表示手段、特性変動手段、一致信号入力手段および特性出力手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムもしくは前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
- 三原色RGBを用いてカラー画像を表示する機能をもったカラーモニタにおける入力信号階調値と実際の表示輝度との関係を示す階調再現特性を測定するための装置であって、
目視によって輝度と階調値との対応関係を求める手段と、
無彩色に見える三原色の階調値の組み合わせを求める手段と、
輝度と階調値との対応関係と、三原色の組み合わせから、各原色ごとの階調再現特性を演算により求める特性演算手段と、
を備えることを特徴とするカラーモニタの階調再現特性測定装置。
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