明 細 書
非酸化物系粒子の製造方法
技術分野
[0001] 本発明は、非酸ィ匕物系粒子の製造方法に関するものであり、更に詳しくは、原料を 還元又は窒化反応させることにより非酸ィ匕物粒子を製造するプロセスにおいて、非酸 化物粒子を製造する温度で正の標準生成自由エネルギーを持つガス状物質を添カロ することで、その反応の自由エネルギーを、上記の還元又は窒化反応の自由ェネル ギ一より小さくすることにより、従来の気相中の連続的な粒子の製法では不可能であ つた、平均粒子径が 1ミクロン以上及び粒子の球形度の高いことを同時に達成するこ とを可能とする、新規な非酸ィ匕物粒子の気相中での連続製法に関するものである。 背景技術
[0002] 一般に、窒化物、酸窒化物又は炭化物力 成る非酸ィ匕物系粒子は、高熱伝導性、 耐食,耐薬品性、高光学特性、高機械的特性等を有し、酸化物に勝る優れた特性を 有するが、電気炉中のバッチ処理を基本とした加熱(固相反応)法では、高温で長時 間の熱処理が必須であり、実際の焼成温度が 2000°C以上に及ぶ場合も報告されて いる。このような焼成条件下で生成された粉体は粗大化し、その後の粉砕も容易では ない。これは、高密度成形性や易焼結性のための粒子の微粒ィヒゃ球状ィヒにおいて 問題であり、従来の非酸化物系粒子は、高熱伝導成形体や高強度焼結体を製造す るための原料粉体の供給ルートとして十分に満足した特性を発揮できて 、な 、と!、う 問題点があった。更に、長時間の熱処理と粉砕は、純度の点でも問題である(例えば 、非特許文献 1参照)。
[0003] また、形状改良の方法として、球状の原料粒子を用いる方法が検討されて!、る。シ ータ相等の遷移アルミナ粒子では、アルファ相の六方構造に由来する板状ィ匕の影響 力 、さぐ比較的球形度の高い粒子が入手できる。これを還元窒化法等に適用する ことで、原料粒子の形状を保持した高球形度の窒化アルミニウム粒子が製造できる( 例えば、特許文献 1参照)。しかし、この方法は、原料に必須条件が増加する点、比 較的高価な原料が必須となる点、依然として電気炉中のバッチ処理を基本としたカロ
熱(固相反応)法であって、工業ィヒゃ生産性向上に有利な気相中の連続製法ではな い点、等が問題である。
[0004] また、従来、発熱反応である金属粒子の直接窒化法 (窒素元素との気相反応)ゃガ ス窒化法 (例えば、アンモニアガスとの気相反応)を基本として、電気炉中のバッチ処 理を連続処理に変えた方法が報告され、工業ィ匕が検討されたことがあった。しかし、 次の主な 2つの問題があった。それは、(1)完全な反応のためには 0. 1-0. 2ミクロ ンの粒子径が限界であり、それ以上の大粒径は製造できないこと、(2)原料である金 属粒子は下力も上へ送ることが、反応性向上のためには必要となること、である。その 理由として、問題点(1)については、「工業化を考慮して 1500°C前後の温度に抑え ていること」力 また、問題点(2)については、「大粒径の原料粒子はその表面からの 発生成分のみを利用し、残りは燃えカスとして自然落下させること」が、挙げられてい る(例えば、特許文献 2参照)。しかし、この種の方法は、高コストを招く 1500°C以上 の電気炉加熱を抑制したにも関わらず、本質的に低生産性な「原料の上昇供給」に 限定されること、し力も、原料を 100%利用できず、燃えカスの発生が不可避的であ ることは、工業的製法として限界がある。
[0005] また、従来、最高 2100°Cの加熱が可能な電気炉を使用し、「原料の下方供給」を 実現し、 0. 4-0. 8ミクロンの粒子径を持つ非酸ィ匕物の製法が工業ィ匕されたことがあ つた。しかし、完全な反応のために、(1)生成物の粉砕処理、(2)粉砕粒子の再熱処 理、(1)と(2)の繰返し処理力 必要とされる。この理由として、「0. 4-0. 8ミクロンの 非酸ィ匕物粒子には、原料としても比較的大粒径が必要であり、電気炉中のバッチ処 理に比べて本質的に反応時間の短い気相中の連続製法では、反応性向上に限界 があること」、「原料の上昇供給では、未反応原料を燃えカスとして自然落下させるこ とができず、未反応原料が生成物に混じること」、が挙げられている(例えば、非特許 文献 2参照)。しかし、この種の方法は、工業設備として汎用的ではない高コストの高 温設備導入が不可避であることに加え、生成物の粉砕処理、粉砕粒子の再熱処理、 それらの繰返し処理が必要であり、このことは、電気炉中のバッチ処理を基本とした 加熱(固相反応)法と本質的に変わりが無ぐ少なくとも工業的メリットは皆無である。
[0006] また、従来、気相中の連続製法として、気相析出反応 (CVD)法等を基本としたビ
ルドアップ方式 (ガス状物質を粒状物質に成長させる方法)がある。例えば、揮発性 で自然発火性液体(常温)のトリェチルアルミニウム (A1 (C H ) )を気化し、窒化ガ
2 5 3
スとして窒素より強力なアンモニアを使用して、 0. 2-0. 5ミクロンの粒子径の窒化ァ ルミ-ゥム粒子を製造する方法が報告され、工業化されている(例えば、特許文献 3 参照)。しかし、この種の方法は、危険で取り扱いの難しい高揮発性の有機原料が必 須であり、高コストを招く(実際問題として産業界に現在普及していない)新規設備導 入が不可避であることにカ卩え、ビルドアップ方式は、一般に、大粒径に不向きであり、 大粒径の粒状生成物の製造には、生成物の歩留まりを低下する原料の高濃度化や 長時間処理が必須となる、等の問題がある。
また、非酸化物 (金属や窒化物等)の気相中の連続製法として特長を有する方法に 、熱プラズマ法や、蒸発 凝縮法がある。これらは、減圧状態にした真空容器中に、 アルゴン等の電離し易いガス状物質を添加する手段等により、ラジカルや電子等、高 活性物質を高密度に発生させたプラズマ等を反応場にするものである(例えば、特 許文献 4参照)。この方法は、本質的に非酸ィ匕雰囲気を構成できることから、非酸ィ匕 物用の気相中の連続製法として、長く独占的な地位を占めていた。しかし、安定なプ ラズマ状態の保持と、その最も高活性な部分への原料である粒状物質の導入とを、 両立させることは極めて難しぐプラズマ発生部の(高価な)石英管の破損等の事故 を極めて起こし易い (それを防ぐには、例えば、倣い式の粒状物質供給装置等、更に 新規な設備導入を必要とする)。このため、プラズマに導入する物質は、その安定状 態に影響を与え難 ヽガス状物質等とし、粒状物質はプラズマの終端部へ導入するこ とで、「粒状物質の被覆ィ匕装置」として使用されることが一般的であり、本発明のような 目的には適用されていない。
更に、高精度な雰囲気調整と、減圧状態が可能な真空容器が必須であり、高コスト を招く(実際問題として産業界に現在普及して 、な 、)新規な設備導入が不可避で あることに加え、ラジカルを発生させたプラズマの保持には、例えば、膨大な冷却水( 毎分数 100リツター等)を必要とし、ランニングコストの突出は避けられない。このため 、この方法を用いた製造現場では、非酸ィ匕物が製造可能であり、しかも、非減圧状態 (大気圧状態)で運転可能であり、易操作性の製造方法の確立が切望されていた。
[0008] 即ち、既往の非酸化物粒子の、主たる六つの製造方法によると、 (1)固相反応法は 、粒子径は満足されるが、形状や連続生産性が不可、(2)球状原料法は、粒子径ゃ 形状は満足されるが、コストや連続生産性が不可、(3)直接窒化法を基本とした気相 中の連続製法は、形状や連続生産性は満足されるが、粒子径が不可、(4)高温電気 炉法は、粒子径ゃ形状は改善されるが、コストや連続生産性が不可、(5)ビルドアツ プ法は、形状や連続生産性は満足されるが、粒子径ゃコストが不可、(6)プラズマ又 は蒸発 凝縮法は、連続生産性は満足されるが、粒子径、形状、コストが不可、となり 、 <A> 1ミクロン以上の平均粒子径、 < B>高球形度の形状、 < C>気相中の連続 製法(=高コストパフォーマンス)、の全てを同時に満たすことは、不可能であった。
[0009] 本発明者らは、上記の状況を踏まえ、種々検討を重ねる中で、ある種のガス状物質 を添加した場合に、非酸化物の反応性 (還元反応)が向上する現象に着目した。例 えば、炭化水素系ガスとアンモニアガスの混合ガス中で、低純度(高酸素含有率)の 窒化アルミニウム組成物を高純度化したり(例えば、特許文献 5参照)、アルミナの還 元窒化法においてその反応性を向上可能なこと (例えば、特許文献 6参照)が報告さ れている(但し、全て、電気炉中のバッチ処理を基本とした加熱(固相反応)法)。しか し、この現象の利用は、あくまで非酸ィ匕物生成のための原料の還元 (即ち、原料から 酸素元素を解離すること)だけに限定され、ガス状物質の種類も限定されている。こ れは、経験則に基づく知見の蓄積で得られた成果であったので、現象の「本質的な 限定要素」が明確化されていないことが理由であると推定される。
[0010] 特許文献 1:特開平 4 74705号公報
特許文献 2:特開平 2-283605号公報
特許文献 3 :特開平 3— 137009号公報
特許文献 4:特開 2000— 219901号公報
特許文献 5:特開平 6— 100305号公報
特許文献 6:特開平 11— 130411号公報
非特許文献 1 :A. W. Weimer, G. A. Cochran, G. A. Eisman, J. P. Henley, B. D. Hook, L. K. Mills, T. A. Guiton, A. K. Knudsen, N. R. Nicholas, J . E. Volmering, W. G. Moore, Rapid Process for Manufacturing Alumi
num Nitride Powder, J. Am. Ceram. Soc. , 77, 3—18 (1994) 非特許文献 2 :平井伸治、村上英明、片山博、上村揚一郎、三友護、アルミナと窒化 アルミニウムからの酸窒化アルミ-ゥムスピネルの生成、日本金属学会誌、 Vol. 58、 p. 648、 1994
非特許文献 3 :堀田憲康、福井紘一郎、吉川裕一、亀島哲、木村勇雄、金谷貢、浮 上窒化反応による高純度 A1N粉末の合成、 J. Ceram. Soc. Japan, 102, 1032— 1 036 (1994)
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0011] このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、上記従来技術の 有する諸問題を抜本的に解決することを可能とする新しい技術を開発することを目標 として鋭意研究を積み重ねた結果、気相中で連続的に粒子を製造する方法であって 、原料を還元又は窒化反応させることにより非酸ィ匕物を製造するプロセスにお 、て、 非酸化物を製造する温度で正の標準生成自由エネルギーを持つガス状物質を添カロ することで、その反応の自由エネルギーを、上記の還元又は窒化反応の自由ェネル ギ一より小さくすることにより、所期の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成 するに至った。
[0012] 本発明は、上記の従来の非酸化物粒子、その製造方法及び製造装置が持つ欠点 を克服した新規な非酸化物の製造方法、その製造装置、及びその粒状物質を提供 することを目的とするものである。また、本発明は、 <A> 1ミクロン以上の平均粒子 径、 < B>高球形度の形状、 < C>気相中の連続製法、を同時に達成した新規な非 酸化物の製造方法、その製造装置、及びその粒状物質を提供することを目的とする ものである。
課題を解決するための手段
[0013] 上記課題を解決するための、本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)気相中で連続的に粒状物質を製造する方法であって、原料を還元、窒化又は炭 化反応させることにより窒化物、酸窒化物又は炭化物を製造するプロセスにおいて、 還元、窒化又は炭化反応の自由エネルギーを下げるために、これらの製造温度で正
の標準生成自由エネルギーを有する炭化水素系ガス、アンモニア、水素、窒素のい ずれかのガス状物質をそれらの反応場へ添加することを特徴とする窒化物、酸窒化 物又は炭化物から成る非酸化物系粒子の製造方法。
(2)製造温度で正の標準生成自由エネルギーを有する炭化水素系ガス、アンモニア 、水素、窒素のいずれかのガス状物質を予め製造し、添加することを特徴とする前記 (1)記載の製造方法。
(3) 500— 10000°Cの温度を与えたガス状物質を製造し、添加することを特徴とする 前記(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4)原料を窒化物、酸窒化物又は炭化物の反応場へ落下せしめることを特徴とする 前記(1)から(3)の 、ずれかに記載の製造方法。
(5)平均粒子径 1一 500ミクロン、及び形状が長径 Z短径比 1一 1. 5である粒状物質 を製造することを特徴とする前記(1)から (4)の ヽずれかに記載の製造方法。
(6)前記(1)から (5)の 、ずれかに記載の製造方法で得られた窒化物、酸窒化物又 は炭化物力 成る非酸ィ匕物系粒状物質。
(7)前記 (6)記載の粒状物質を成形したことを特徴とする非酸化物系粒子の成形体
(8)前記 (6)記載の粒状物質を任意に成形し、焼結したことを特徴とする非酸化物系 粒子の焼結体。
(9)気相中の連続的な粒状物質の製造法に使用する製造装置であって、製造温度 で正の標準生成自由エネルギーを有する炭化水素系ガス、アンモニア、水素、窒素 のいずれか又は複数を添加する手段、前記のガス状物質を予め製造し、添加する手 段、 500— 10000°Cの温度を与えた窒化物又は酸窒化物又は炭化物の反応場へ 前記のガス状物質を添加する手段、 500— 10000°Cの温度を与えた前記のガス状 物質を予め製造し、添加する手段、原料を窒化物又は酸窒化物又は炭化物の反応 場へ落下せしめる手段のうち、いずれかの手段、又は複数の手段の複合から成り、 上記炭化水素系ガス、アンモニア、水素、窒素のいずれかを添加して、窒化物又は 酸化物又は炭化物から成る非酸化物系粒子を製造するための機能を有することを特 徴とする非酸化物系粒子の製造装置。
[0014] 次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明者らは、非酸化物の反応を熱力学的に再検討した。その結果、ある種のガ ス状物質を添加した場合に非酸化物の反応性 (還元反応)が向上する現象は、非酸 化物を製造する温度で、そのガス状物質が正の標準生成自由エネルギーを持った めに、非酸ィ匕物生成反応に必要な自由エネルギーを小さくできることが原因であるこ とを熱力学的に明らかにした。し力も、酸ィ匕物生成反応に必要な自由エネルギーは、 上記の非酸ィ匕物生成反応より小さい場合が多いのが一般的であるが、非酸ィ匕物を 製造する温度で正の標準生成自由エネルギーを持つガス状物質を添加した反応の 自由エネルギーは、(非酸化物生成反応だけではなく)酸化物生成反応よりも小さく なる場合があることもわ力つた。更に、この反応機構は、原理的に、酸化物の還元 (原 料力 酸素元素を解離)だけに限定されるものではなぐ窒化 (原料と窒素元素を反 応)や、大粒径の原料でも反応が可能であったり(還元ゃ窒化反応性が向上されるた め)、電気炉中のバッチ処理に比べて本質的に反応時間の短い気相中の連続製法 でも反応を駆動し得る可能性を持つこと (上記のガス状物質による自励的な反応を利 用し、熱エネルギーの効率的利用が可能な内部加熱方式で構成できるため)、に着 目した。
[0015] 本発明者らは、以上の着想を実現すべく鋭意検討した結果、具体的には、(1)気 相中で連続的に粒子を製造する方法であって、原料を還元又は窒化反応させること により非酸ィ匕物 (但し、窒化物に限らない)を製造するプロセスにおいて、非酸化物を 製造する温度で正の標準生成自由エネルギーを持つガス状物質 (但し、従来技術で 限定されたガス状物質種に限らない)を添加することにより、その反応の自由ェネル ギーを、上記の還元又は窒化反応の自由エネルギーより小さくすること、(2)上記の 反応を構成する装置と別に、原料を還元又は窒化するためのガス状物質を生成する ための装置を作り、当該ガス状物質を予め製造し、添加すること、(3)前記(1)記載 の反応を構成する装置、又は前記(2)記載のガス状物質の製造装置に、 500— 100 00°Cの温度を与える装置を結合し、当該温度を与えたガス状物質を製造し、添加す ること、及び (4)原料を前記(1)記載の反応場へ落下せしめること、そして、以上の 4 点の制御を同時に、又は連続的に、又は断続的に組み合わせることで、本発明を具
現化した。
[0016] 本発明にお ヽて、非酸ィ匕物とは、高熱伝導性が注目される窒化アルミニウム (A1N) 、耐食 '耐薬品性や高光学特性が注目される酸窒化アルミニウム (ガンマ AION)、高 機械的特性等が注目される窒化ケィ素 (Si N )や炭化ケィ素 (SiC)を好適な例と
3 4
する力 特にこれに制限されるものではない。
[0017] 本発明にお 、て、窒化アルミニウム又は酸窒化アルミニウムを製造する場合、原料 としては、好適には、直接窒化法を基本とする場合はアルミニウム金属、特に水、ガ ス、遠心等の各種アトマイズ法で製造された球形度の高 ヽ A1系粒子群が用いられる 力 特に制限はない。また、還元窒化法を基本とする場合、バイヤー法又は改良バイ ヤー法、アルコキシド法、アンモ-ゥムドーソナイト法、気相法等で製造されたアルミ ナ系粒子群が好適に用いられる力 更に、ボーキサイトなどの岩石類、アルファ相、 ガンマ相、シータ相、カッパ相の各種アルミナ多系(中間アルミナ)群、 AIOOHや A1 (OH) の化学式で表現される水酸化物前駆体、ァセチルァセトナト (化学式 A1 (C
3 5
H O ) )やアンモニゥムドーソナイト(化学式 NH A1CO (OH) )等の炭酸塩前
7 2 3 4 3 2
駆体、等が用いられるが、特に制限はない。気相法を基本とする場合、好適には、 A1 C1 等の塩化物、アルミニウムイソプロポキシド (化学式 Al (iso— OC H ) )等のァ
3 3 5 3 ルコキシド原料、アルミニウムァセチルァセトナト(化学式 Al (iso— C H O ) )等の
5 7 2 3 j8ジケトン錯体、トリメチルアルミニウム (ィ匕学式 A1(CH ) )等のアルキルメタル等、
3 3
低沸点の気相合成用原料群、等が用いられるが、非酸化物を製造する反応に供す ることが可能であれば良ぐ特に制限されるものではない。
[0018] 本発明において、非酸ィ匕物を製造する温度で正の標準生成自由エネルギーを持 つガス状物質、又は、還元又は窒化能力を持つガス状物質としては、好適には、入 手の容易さから炭化水素系ガス及びアンモニアガスが用いられる力 特に制限は無 ぐ非酸ィ匕物が生成する一般的な温度範囲である数 1000°C近辺での標準生成自由 エネルギーが正の値となる性質を持ったガス状物質であれば、任意のガス種を適用 できる。なお、好適なガス状物質の例と、それらの標準生成自由エネルギー、還元又 は窒化能力を、表 1に例示した。
[0019] [表 1]
標準生成エネルギー kJ/mol
ガス状物質例 1000K 1400K. 1800 還元 窒化
(727°C) ( 1127°C) (1 527°C) 炭化水素系ガス
(例)
'プ αパン(C3Hs) 19 320 449 アセチレン(C2H2) 170 149 128 窒素ガス(Nl2 ) 〇 水素ガス(Η2 ) 〇 アンモニアガス(ΝΗ3) 82 109 156 Ο 〇
[0020] 本発明にお 、て、原料が粒状物質の場合、粒子の流動化又は気相分散状態の形 成 ·利用方法については、好適には、粒子を気流で搬送 ·滞留化させる各種の流動 層法 (原料粒子より大きぐ流動化し易い数 100ミクロン直径の媒体メディアを同時に 用い、原料粒子の凝集を防止しながら高分散化を図る媒体流動層法、粉体層に振 動を印カロして微粒子のチャネリングを防止する振動流動層法等)が適用されるが、例 えば、更に、回転円板やガスノズルを用いて粒子を気流にのせる各種噴霧法、液体 媒体中に粒子を分散させ、超音波霧化器等で液体ごと粒子を液滴化する液体噴霧 法等も適用可能であり、特に制限されるものではなぐ何れの方法で調製された粒状 物質も適用できる。
[0021] 本発明において、 1ミクロン以上の平均粒子径を持つ粒状物質の原料として、液状 原料も一般的であるが、媒体としてはイオン交換水や蒸留水等の水系、エタノール等 の有機非水系の他、ガソリンやトルエン、ベンゼン等の可燃性液状物質を使用し、非 酸ィ匕物生成のための原料をイオン状態に溶解、又は粒状一コロイド状に分散させた
溶液又はスラリーが例示されるが、特に制限されるものではない。その供給方法は、 回転円板やガスノズル等の各種噴霧法、超音波霧化器等が例示される。
[0022] 本発明にお 、て、非酸化物の反応装置、又は非酸化物が生成する温度で還元又 は窒化能力を持つガス状物質を生成するための装置、又はそれらに同時に、又は連 続的に、又は断続的に高温付与可能な装置は、石英、アルミナ、耐熱鋼等の反応管 や壁を設け、雰囲気制御や、発生熱エネルギーの効率的利用が可能な密閉構造を 好適とするが、反応に問題が無ければ自由空間でも良い。また、反応駆動力として は、原料の自励的な反応が経済性の点で最も望ましいが、反応促進と短時間化の目 的で、気相析出反応 (CVD)法で多用される外部加熱 (電気炉)法や、プラズマ、ァ ーク、火炎 (但し「火炎」とは、完全燃焼であり、水蒸気 (H20)と二酸化炭素 (C02 ) に完全に分解される現象をいう)、高還元比の部分燃焼 (但し「還元比」とは、水蒸気 +二酸ィ匕炭素と、水素 (H2 ) +—酸ィ匕炭素 (CO)との比)、等を併用することを妨げ るものではない。
[0023] 本発明の製造装置は、気相中の連続的な粒状物質の製造法に使用する製造装置 であって、製造温度で正の標準生成自由エネルギーを有する炭化水素系ガス、アン モユア、水素、窒素のいずれか又は複数を添加する手段、前記のガス状物質を予め 製造し、添加する手段、 500— 10000°Cの温度を与えた窒化物又は酸窒化物又は 炭化物の反応場へ前記のガス状物質を添加する手段、 500— 10000°Cの温度を与 えた前記のガス状物質を予め製造し、添加する手段、原料を窒化物又は酸窒化物 又は炭化物の反応場へ落下せしめる手段のうち、いずれかの手段、又は複数の手 段の複合から成り、上記炭化水素系ガス、アンモニア、水素、窒素のいずれかを添加 して、窒化物又は酸ィ匕物又は炭化物力 成る非酸ィ匕物系粒子を製造するための機 能を有することを特徴とするものである。
[0024] 本発明の要件を具体化する場合に想定される装置構成の一例を、図 1に整理した 。図 1 aは、原料の自励的な反応を利用する場合の装置構成を具現化したものに相 当する。大気圧状態で運転可能な「正の標準生成自由エネルギーのガス支援型 '非 酸化物製造装置」に原料を投入する際、ガス状物質を添加する。図 1 - bは、還元又 は窒化用ガス状物質発生装置を併用する場合の装置構成を具現ィ匕したものに相当
する。図 1 cは、外部加熱装置を併用し、それを同時加熱方式で用いる場合の装置 構成を具現ィ匕したものに相当する。図 1 dは、還元又は窒化用ガス状物質発生装置 を併用し、それに更に、外部加熱装置を併用した場合の装置構成を具現化したもの に相当する。図 1 eは、外部加熱装置を併用し、それを同時加熱方式で用い、更に 、還元又は窒化用ガス状物質発生装置を併用した場合の装置構成を具現化したも のに相当する。図 1-fは、外部加熱装置を併用し、それを同時加熱方式で用い、更 に、還元又は窒化用ガス状物質発生装置 (それにも外部加熱装置を併用)を併用し た場合の装置構成を具現化したものに相当する。図 1 gは、外部加熱装置を併用し 、それを連続加熱方式で用いる場合の装置構成を具現化したものに相当する。図 1 hは、外部加熱装置を併用し、それを連続加熱方式で用い、更に、還元又は窒化 用ガス状物質発生装置を併用した場合の装置構成を具現化したものに相当する。こ れらの装置構成は、特に制限されるものではない。
[0025] 次に、アルミニウム (A1)の直接窒化反応を基本とし、「非酸化物が生成する条件下 で標準生成自由エネルギーが正の値となる性質を持ったガス状物質」として、ァセチ レン (C H )とアンモニア (NH )を添加する例を説明する。一般的な A1の直接窒化
2 2 3
反応は次式による;
2A1+N →2A1N (1)
2
NH による A1の窒化反応は次式による;
3
2A1+ 2NH →2A1N + 3H (2)
3 2
一方、大気圧下など酸素が存在する場合、金属 A1は容易に次式の酸化反応が起こ る;
4A1+ 30 →2A1 O (3)
2 2 3
(3)式の酸化反応を起こさずに、(1)式や(2)式の反応を進行させるには、非酸化雰 囲気に保持、十分な高温、水素 (H2 )分圧を平衡分圧以下に保つ等の制御を要す る。
[0026] 一方、次式;
2A1+ 2NH +C H +0 →2AlN + 2CO+4H (4)
3 2 2 2 2
又は、
14A1+ 2NH + 2C H + I IO →2A1 O N+4CO + 5H (5)
3 2 2 2 7 9 2
に従う、 Al— C H NH 系の窒化アルミニウム (A1N)又は酸窒化アルミニウム(ここ
2 2 3
では Al O N)の生成反応の標準生成自由エネルギーは、工業ィ匕されている窒化
7 9
反応で一般的な 1000K(727°C)— 1800K (1527°C)の温度範囲において、十分 大きな負の値をとる。これは、反応式の左辺に位置する C H と NH 力 上記温度
2 2 3
範囲で正の標準生成自由エネルギーを持っているためである。(1)式や(2)式に比 ベ、(4)式や (5)式の反応は、(3)式の反応を起こさずに、比較的容易な制御条件で 駆動させることが見込める。以上の反応の自由エネルギー変化と温度との関係(エリ ンガム線図)を図 2に整理した (なお、各元素やィ匕合物等の標準生成自由エネルギ 一は、 JANAF熱化学表等から引用した)。また、酸窒化アルミニウムは、それを生成 物として使用する他、次式により A1Nに変換して用いることも可能である;
Al O N + 9C + 3N →7AlN + 9CO (6)
7 9 2
[0027] 次に、アルミニウム (A1)の直接窒化反応を基本とし、「非酸化物が生成する条件下 で標準生成自由エネルギーが正の値となる性質を持ったガス状物質」としてプロパン (C H )とアンモニア (NH )を添加する例を説明する。
3 8 3
次式;
2A1+ 2NH + 2C H + 30→2A1N + 6CO + 11H (7)
3 3 8 2 2
又は、
14A1+ 2NH + 2C H + 120 →2A1 O N + 6CO + 12H (8)
3 3 8 2 7 9 2
に従う、 Al— C H -NH 系の窒化アルミニウム (A1N)又は酸窒化アルミニウム(ここ
3 8 3
では Al O N)の生成反応の標準生成自由エネルギーは、工業ィ匕されている窒化
7 9
反応で一般的な 1000K(727°C) 1800K (1527°C)の温度範囲において、極め て大きな負の値をとる。これは、反応式の左辺に位置する C H と NH 力 上記温
3 8 3
度範囲で標準生成自由エネルギーが正の値となる性質を持っているためである。な お、反応の自由エネルギー変化と温度との関係(エリンガム線図)を図 3に整理した。
[0028] 次に、アルミナ (Al O )の還元窒化反応を基本とし、「非酸化物が生成する条件
2 3
下で標準生成自由エネルギーが正の値となる性質を持ったガス状物質」としてァセ チレン (C H )とアンモニア(NH )を添加する例を説明する。一般的な Al O の還
元窒化反応は次式による;
Al O + 3C+N →2AlN+ 3CO (9)
2 3 2
NH による Al O の窒化反応は次式による;
3 2 3
Al O + 2NH →2A1N + 3H O (10)
2 3 3 2
(9)式や(10)式の反応を進行させるには、十分な高温、水蒸気 (H O)分圧を平衡
2
分圧以下に保つ等、高度な制御を要する。
[0029] 一方、次式;
2A1 O +4NH + 3C H →4AlN + 6CO + 9H (11)
2 3 3 2 2 2
又は、
14A1 O +4NH + 3C H →4A1 O N + 6CO + 9H (12)
2 3 3 2 2 7 9 2 に従う、 Al O — C H -NH 系の窒化アルミニウム (A1N)又は酸窒化アルミニウム
2 3 2 2 3
(ここでは A17 09 N)の生成反応の標準生成自由エネルギーは、工業化されている 窒化反応で一般的な 1000K(727°C)— 1800K (1527°C)の温度範囲において、 極めて大きな負の値をとる。これは、反応式の左辺に位置する C H と NH 力 上
2 2 3 記温度範囲で標準生成自由エネルギーが正の値となる性質を持っているためである
。なお、反応の自由エネルギー変化と温度との関係(エリンガム線図)を図 4に整理し た。
[0030] 次に、アルミナ (Al O )の還元窒化反応を基本とし、「非酸化物が生成する条件
2 3
下で標準生成自由エネルギーが正の値となる性質を持ったガス状物質」としてプロパ ン (C H )とアンモニア (NH )を添加する例を説明する。
3 8 3
次式;
Al O + 2NH +C H = 2AlN + 3CO + 7H (13)
2 3 3 3 8 2
又は、
7A1 O + 2NH +C H →2A1 O N + 3CO + 7H (14)
2 3 3 2 2 7 9 2
に従う、 Al O — C H -NH 系の窒化アルミニウム (A1N)又は酸窒化アルミニウム
2 3 3 8 3
(ここでは Al O N)の生成反応の標準生成自由エネルギーは、工業ィ匕されている
7 9
窒化反応で一般的な 1000K(727°C)— 1800K (1527°C)の温度範囲において、 極めて大きな負の値をとる。これは、反応式の左辺に位置する C H と NH 力 上
記温度範囲で標準生成自由エネルギーが正の値となる性質を持っているためである
。なお、反応の自由エネルギー変化と温度との関係(エリンガム線図)を図 5に整理し た。
[0031] 次に、シリコン (Si)の直接窒化反応を基本とし、「非酸化物が生成する条件下で標 準生成自由エネルギーが正の値となる性質を持ったガス状物質」としてアセチレン( C H )とアンモニア (NH )を添加する例を説明する。一般的な Siの直接窒化反応
2 2 3
は次式による;
3Si+ 2N →Si N (15)
2 3 4
NH による Siの窒化反応は次式による;
3
3Si+4NH →Si N +6H (16)
3 3 4 2
一方、大気圧下など酸素が存在する場合、金属 Siは容易に次式の酸化反応が起 こる;
Si+O →SiO (17)
2 2
(17)式の酸化反応を起こさずに、(15)式や(16)式の反応を進行させるには、非酸 化雰囲気に保持、十分な高温、水素 (H )分圧を平衡分圧以下に保つ等、高度な
2
制御を要する。
[0032] 一方、次式;
3Si+4NH +C H +0 →Si N + 2CO + 7H (18)
3 2 2 2 3 4 2
に従う、 Si— C H -NH 系の窒化ケィ素(Si N )の生成反応の標準生成自由ェ
2 2 3 3 4
ネルギ一は、工業化されている窒化反応で一般的な 1000K(727°C)— 1800K(15 27°C)の温度範囲において、負の値をとるものの、(17)式の酸ィ匕反応には適わない 。これは、反応式の左辺に位置する C H と NH 力 上記温度範囲で標準生成自
2 2 3
由エネルギーが正の値となる性質を持っているものの、不足であったためである。な お、反応の自由エネルギー変化と温度との関係(エリンガム線図)を図 6に整理した [0033] 次に、シリコン (Si)の直接窒化反応を基本とし、「非酸化物が生成する条件下で標 準生成自由エネルギーが正の値となる性質を持ったガス状物質」としてプロパン (C
3
H )とアンモニア (NH )を添加する例を説明する。
8 3
次式;
3Si+4NH + 2C H + 30 →Si N +6CO + 14H (19)
3 3 8 2 3 4 2
に従う、 Si— C H NH 系の窒化ケィ素(Si N )の生成反応の標準生成自由ェ
3 8 3 3 4
ネルギ一は、工業化されている窒化反応で一般的な 1000K(727°C)— 1800K(15 27°C)の温度範囲において、極めて大きな負の値をとる。これは、反応式の左辺に位 置する C H と NH力 上記温度範囲で標準生成自由エネルギーが正の値となる
3 8 3
性質を持っているためである。なお、反応の自由エネルギー変化と温度との関係(ェ リンガム線図)を図 7に整理した。
[0034] 次に、シリカ(SiO )の還元窒化反応を基本とし、「非酸化物が生成する条件下で
2
標準生成自由エネルギーが正の値となる性質を持ったガス状物質」としてアセチレン (C H )とアンモニア (NH )を添加する例を説明する。一般的な SiO の還元窒化
2 2 3 2 反応は次式による;
3SiO +6C + 2N →Si N +6CO (20)
2 2 3 4
NH 〖こよる SiO の窒化反応は次式による;
3 2
3SiO +4NH →Si N +6H O (21)
2 3 3 4 2
(20)式や (21)式の反応を進行させるには、非酸化雰囲気に保持、十分な高温、水 蒸気 (H O)分圧を平衡分圧以下に保つ等、高度な制御を要する。
2
[0035] 一方、次式;
3SiO +4NH + 3C H →Si N +6CO + 9H (22)
2 3 2 2 3 4 2
に従う、 SiO — C H NH 系の窒化ケィ素(Si N )の生成反応の標準生成自由
2 2 2 3 3 4
エネルギーは、工業化されている窒化反応で一般的な 1000K(727°C)— 1800K( 1527°C)の温度範囲において、極めて大きな負の値をとる。これは、反応式の左辺 に位置する C H と NH 力 上記温度範囲で標準生成自由エネルギーが正の値と
2 2 3
なる性質を持っているためである。なお、反応の自由エネルギー変化と温度との関係
(エリンガム線図)を図 8に整理した。
[0036] 次に、シリカ(SiO )の還元窒化反応を基本とし、「非酸化物が生成する条件下で
2
標準生成自由エネルギーが正の値となる性質を持ったガス状物質」としてプロパン( C H )とアンモニア (NH )を添加する例を説明する。
3 8 3
次式;
3SiO +4NH + 2C H →Si N +6CO + 14H (23)
2 3 3 8 3 4 2
に従う、 SiO — C H NH系の窒化ケィ素(Si N )の生成反応の標準生成自由
2 3 8 3 3 4
エネルギーは、工業化されている窒化反応で一般的な 1000K(727°C)— 1800K( 1527°C)の温度範囲において、極めて大きな負の値をとる。これは、反応式の左辺 に位置する C H と NH 力 上記温度範囲で標準生成自由エネルギーが正の値と
3 8 3
なる性質を持っているためである。なお、反応の自由エネルギー変化と温度との関係 (エリンガム線図)を図 9に整理した。
[0037] 本発明において、製造された粒状物質を利用した成形体や焼結体としては、半導 体素子の保護 ·絶縁などを目的としたパッケージング (封止)材料を好適とするが、更 に、絶縁材料、電極'導電材料、電気粘性流体、化学機械研磨用スラリー、射出成 形ゃ铸込み成形などのセラミック成形プロセス原料、基板材料、セラミック電子材料、 セラミック構造材料、等の材料系が例示される。本発明は、これらの材料系に好適に 使用し得る非酸ィ匕物系粒子の成形体や焼結体を提供するものとして有用である。 発明の効果
[0038] 本発明により、 1)従来の非酸化物粒子、その製造方法及び製造装置が持つ欠点 を克服し、気相中の連続的な粒子の製法を提供できる、 2)原料を還元又は窒化反 応させることにより非酸ィ匕物を製造するプロセスにおいて、非酸ィ匕物を製造する温度 で正の標準生成自由エネルギーを持つガス状物質を添加することにより、その反応 の自由エネルギーを、上記の還元又は窒化反応の自由エネルギーより小さくすること により、 <A> 1ミクロン以上の平均粒子径、 < B>高球形度の形状、 < C>気相中 の連続製法、を同時に達成した新規な非酸化物の製造方法、又は製造装置、又は その粒状物質を提供することができる、という格別の効果が奏される。
発明を実施するための最良の形態
[0039] 次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によ つて何ら限定されるものではない。
代表的な非酸化物として、窒化アルミニウム (A1N)系又は酸窒化アルミニウムを用 いて、以下の実施例を展開した。
実施例 1
[0040] 図 2に示した本発明の要件を具体化する場合に想定される装置構成例より、最も基 礎的な図 2— aを基本とした実施例を示す。反応の種類として「アルミニウム (A1)の直 接窒化反応」を基本とし、「非酸化物を製造する温度で正の標準生成自由エネルギ 一を持つガス状物質」としてアセチレン (C H )とアンモニア(NH )を添加する上記
2 2 3
反応メカニズムを採用し、これを具体ィ匕することとした。但し、 NH の添加位置は、非
3
酸化物が生成する条件を持った反応場の中央とし、非酸化物の原料や C H の後
2 2 力も添カ卩した。その概略図を図 10に示す。
[0041] (1)方法
反応器は、アルミナ反応管とステンレス製二重円筒管とした。ガス状物質の供給部 はスパッド型とし、ガス混合の際のデッドゾーンの減少を図った。ステンレス製二重円 筒管の外管へ C H を供給し、内管へ原料及び反応ガス系とを搬送した。原料の A1
2 2
は、工業ィ匕優位性と生産性を考慮し、液状ではなく粒状物質を用いた。そこで、凝集 等による搬送や反応の不均一性低減のため、供給装置として、流動層式の気相状態 の粒状物質 (エアロゾル)発生装置を用いた。流動化は、媒体流動層法とし、直径 15 0ミクロンのガラスビーズを媒体として使用した。反応管中の雰囲気制御を厳密に行 い、気相反応により、粒状の生成物を得た。捕集はテフロン (登録商標)フィルターを 通してポンプ引きし、有害ガスなどをトラップ除去する構成を採用した。 A1原料は、平 均粒子径'約 3ミクロンのガスアトマイズ法による球状粒子を用いた。 A1は、窒化原料 兼用の窒素ガスにより、 1分当たり 3リツターで搬送した。 C H は、 1分当たり 4リツタ
2 2
一で供給した。また酸素 (O )を、 C H との化学量論比一還元側で調節した。更に
2 2 2
NH を、上記のように反応場の中央より、 1分当たり 0リツタ一一 3リツターまで調整し
3
て供給した。
[0042] (2)結果
本実施例の生成物の X線分析結果を、図 11 aと図 11 bに示す。図 11 aは、 NH を反応場の中央より 1分当たり 3リツターで供給した場合の粒状生成物の X線ピーク
3
を表す。 NH を反応場の中央より添加した場合、ほとんどが原料である A1のピークで
3
あり、酸窒化アルミニウムのピークも見られるものの、非常に少ない。図 11 bは、 NH 無添加の場合の粒状生成物の X線ピークである。化学量論的には窒化源が不足で
あるにも関わらず、むしろ NH 無添加の場合の方力 目的生成物である酸窒化アル
3
ミニゥムのピークが大きい。この結果は、本発明の窒化反応が、上記の(5)式で示し た「気相中での A1粒子内への窒化成分の拡散 (及びその気相反応)」を主反応として いることを表している。一方、「A1粒子表面から発生した蒸気と窒化成分ガスとの気相 中での反応」は、無くはないとしても、主反応ではない。図 12に、 2つの窒化反応の 違いを模式的に示した。本発明の窒化反応が、前者 (粒子中拡散 ·反応 =図12— a) の寄与が大き 、ことは、もしも後者 (気相中反応 =図 12— b)の寄与が大き 、ならば、 先に A1粒子から十分に蒸気を発生させ、その後、反応場の中央 (反応の最も効率的 な場所)へ NH を供給するほうが、反応の効率ィ匕に寄与するはず、という思考実験
3
からも推察できる。
[0043] このことは、本発明が目的とする、 <A> 1ミクロン以上の平均粒子径、 < B>高球 形度の形状、 < C>気相中の連続製法、を達成する上で、極めて大きいポイントであ る。即ち、「粒子中へのガス拡散と、拡散したガスと粒子との反応(図 12-a)」とは、電 気炉中のバッチ処理を基本とした直接窒化法や還元窒化法と反応駆動原理と同一 であり、本発明によると、ノツチ処理を気相中の連続製法に変えたにも関わらず、電 気炉中のノ ツチ処理と同一の反応を使用できることを意味するからである。このことは
、大粒子化や生産性の点で非常に有利であり、原理的 (本質的)に、直接窒化法や 還元窒化法で成功している生成物(例えば、 1ミクロン以上の平均粒子径と、高球形 度の形状を同時に有した窒化アルミニウム粒子等)を製造できるポテンシャルを本質 的に持って!/、ることを示して!/、る。
[0044] 本発明と好対照に、発熱反応である金属粒子の直接窒化法又はガス窒化法を電 気炉中バッチ処理から連続処理に変えた既往の製法では、 NH 添加効果が正反対
3
になることが報告されている (例えば、非特許文献 3参照)。即ち、既往の製法の窒化 反応は、 NH を反応場の中央より添加した場合に最も良く進み、 NH 無添加の場
3 3
合や、 NH を他原料と先に混合して反応場に供給した場合、反応効率の低下が明
3
らかにされている。そしてその理由として、「A1粒子表面から発生した蒸気と窒化成分 ガスとの気相中での反応(図 12— b)」を主反応として!/、ることを挙げて 、る。このこと は、大粒子化や生産性の点では不利となる。
即ち、「A1粒子表面力も発生した蒸気」を主原料とするということは、 A1粒子表面に も窒化アルミニウム層が形成されることを意味しており、未反応の A1層が内部に残存 してしまう(図 12— b)。その結果、(1)完全な反応のためには 0. 1-0. 2ミクロンの粒 子径が限界で、それ以上の大粒径は製造できない、(2)原料である金属粒子は下か ら上へ送ることが、反応性向上のためには必要とされる、(3)大粒径の原料粒子はそ の表面からの発生成分のみを利用し、残りは燃えカスとして自然落下され、本質的に 低生産性な「原料の上昇供給」に限定される、という問題点が発生する (例えば、特 許文献 2参照)。原料を 100%利用できず、燃えカスが本質的な製法であるということ は、工業的製法と
して限界がある。
実施例 2
[0045] 実施例 1と好対照に、 NH の添加位置を、非酸化物が生成する条件を持った反応
3
場の直前とし、非酸化物の原料や C H と先に混合して力も添加した。その概略図
2 2
を図 10に示す。
(1)方法
実施例 1とほぼ同様に実施した。但し、 NH を 1分当たり 3リツターに調整し、非酸
3
化物の原料や C H と先に混合してから、供給した。
2 2
[0046] (2)結果
本実施例の生成物の X線分析結果を、図 11 cに示す。化学量論的な組成制御の 通り、酸窒化アルミニウム単相の粒状生成物が得られた。次に、生成物の形状を確 認するため、走査型電子顕微鏡写真を、図 13 dに示す。比較のため、市販されて いる酸窒化アルミニウムの走査型電子顕微鏡写真を、図 13— aに示した。また、顕微 鏡写真は生成物の一部の情報に留まる危険性があるため、これを補償する目的で、 光回折 Z散乱法による粒子径分布測定、及び BET3点法による比表面積測定を行 つた(図 14)。原料の A1粒子との粒子径変化を確認するため、図 14中には、原料 A1 の粒子径分布を示した。その結果、原料粒子の平均径は 7. 4ミクロン、比表面積は 0 . 47m2 Zgに対し、本発明の非酸ィ匕物系粒子 (ここでは、酸窒化アルミニウム)は、 7 . 7ミクロン、 0. 88m2Zgであった。
[0047] 既往の市販粒子は、粉砕工程を経ているにも関わらず、生成粒子が固く融着又は 凝集した状態が残っている(図 13ι)。これは、電気炉中のバッチ処理で酸窒化ァ ルミ-ゥムを合成するには、超高温(一般に、 1650°C以上一 2000°C程度)の長時間 処理が必要であり、融着又は凝集状態が不可避であるためである(例えば、非特許 文献 2参照)。これに対し、本発明の酸窒化アルミニウム粒子(図 13— d)は、原料の A 1粒子の融着又は凝集による粗大粒子化を起こさず (即ち、図 14に示すように平均粒 子径は変化していない)、高分散状態が実現可能となっている。しかも、個々の 1次 粒子表面には、サブミクロン径以下の超微粒子が均一に被覆された状態となってい る。図 14に示された原料 A1に対する粒子径分布幅と比表面積の増加は、これに起 因するものと思われる。また更に、 NH 供給量により、平均粒子径 0. 1ミクロン
3 一 10 ミクロンと、粒状生成物サイズを制御することも可能であった。
[0048] 以上の結果は、本発明の窒化反応が、上記の(5)式で示した「気相中での A1粒子 内への窒化成分の拡散 (及びその気相反応)」を主反応としつつ、一方、「A1粒子表 面から発生した蒸気と窒化成分ガスとの気相中での反応」が、一部、生じていることを 表している(図 12— a)。このことは、本発明が目的とする、 <A> 1ミクロン以上の平均 粒子径、 < B>高球形度の形状、 < C>気相中の連続製法、を達成可能なことに留 まらず、 1ミクロン「以下」の平均粒子径の粒子合成 (例えば、焼結体用原料の供給方 法等)をも、実施可能な能力を有することを示し、本発明の将来性 (ポテンシャル)の 高さを示唆する結果として指摘できる。
[0049] 従って、本発明の効果として、次のことが指摘できる。即ち、本発明により、(1)直接 合成された段階で (熱処理などを施さずに) 100%酸窒化アルミニウム組成の粒状物 質が製造可能 (即ち、 1650°C以上の高価な熱処理設備や、余計な後段の熱処理が 不要)、(2)原料 (前駆体)粒子の大きさを保持した、平均粒子径がミクロンオーダー 程度の粒子合成を達成可能、(3)合成された段階で、粒子の粗大化が起こらず、高 分散状態が実現可能 (粉砕工程が不要)、(4)高い球形度を達成可能、(5)特に、金 属 A1粒子の直接窒化を反応駆動原理として用いているにも関わらず、生成粒子が固 く融着又は凝集した状態が発生し難い、 (6) 1ミクロン以下の平均粒子径の粒子合成 にも適用可能、(7)窒化源の供給量という容易に調整可能な条件で、粒状生成物サ
ィズを制御可能、という利点が得られる。
実施例 3
[0050] 図 2に示した本発明の要件の想定される装置構成例より、図 2— gを基本とした実施 例を示す。反応の種類として「アルミニウム (A1)の直接窒化反応」を基本とし、「非酸 化物を製造する温度で正の標準生成自由エネルギーを持つガス状物質」としてァセ チレン (C H )とアンモニア(NH )を添加する上記の(5)を採用し、これを具体ィ匕し
2 2 3
た。
(1)方法
実施例 2とほぼ同様に実施した。但し、実施例 2に付加する連続処理型'熱処理炉 (図 2-g)の条件として、窒素ガスを 1分当たり 0. 5リツターで流し、炉温 1400°Cとした
[0051] (2)結果
本実施例の生成物の X線分析結果を、図 11 dに示す。窒化アルミニウム単相の粒 状生成物が得られた。次に、生成物の形状を確認するため、走査型電子顕微鏡写 真を、図 13 eに示す。比較のため、市販されている窒化アルミニウムの走査型電子 顕微鏡写真を、図 13-bに示した。但し、市販粒子は、本発明で目的とする 1ミクロン 以上の平均粒子径を持つものの中から代表例を選んだ。この場合、還元窒化法や気 相反応法による市販粒子は、一般的に、その 1次粒子サイズが小さぐ目的に合致し 難い。ここでは、直接窒化法による市販粒子を示した。
[0052] 既往の市販粒子は、工程上不可避の粉砕処理を反映して、角状粒子が主成分とな つている(図 13— b)。これに対し、本発明の窒化アルミニウム粒子(図 13 e)は、 A1原 料 (前駆体)粒子の形状を保持し、ほぼ真球状の粒状生成物が得られて ヽることがわ かる。しかも、粒状生成物サイズは、微細側は約 0. 1ミクロン、大粒子側は約 10ミクロ ンまで、制御可能であった。以上の結果は、本発明の窒化反応が、上記の(5)式及 び (6)式で示した「気相中での A1粒子内への窒化成分の拡散 (及びその気相反応) 」を主反応としつつ、一方、「A1粒子表面力 発生した蒸気と窒化成分ガスとの気相 中での反応」が、一部、生じていることを表している(図 12— a)。
[0053] このことは、本発明が目的とする、 <A> 1ミクロン以上の平均粒子径、 < B>高球
形度の形状、 <c>気相中の連続製法、を達成可能なことに留まらず、 1ミクロン「以 下」の平均粒子径の粒子合成 (例えば、焼結体用原料の供給方法等)をも、実施可 能な能力を有することを示し、本発明の将来性 (ポテンシャル)の高さを示唆する結果 として指摘できる。
[0054] 更に、実施例 2に付加する連続処理型'熱処理炉(図 2— g)の炉温が 1400°Cという 、一般的な酸窒化アルミニウム→窒化アルミニウム変換プロセス (その場合 1650°C 以上。例えば、非特許文献 2参照)に比較して、既往の固相法を基本とした製法では 不可能な低温でも十分であったことは、極めて大きいポイントである。即ち、 1500°C 程度以下にまで低温ィ匕することが可能となれば、例えば、既存の還元窒化プロセス で構築された技術基盤 (ノウハウ及び装置設備)転用も期待することができ、工業ィ匕 が十分に見込めることを意味するからである。この理由としては、酸窒化アルミニウム が合成された段階で、平均粒子径がミクロンオーダー程度で、粒子粗大化フリーの 高分散状態が実現可能 (粉砕工程が不要)であったことが指摘できる。即ち、既往製 法に比べ微細化と高分散化が向上した結果、窒化源及び還元源の供給の均一分散 化が進展し、 (6)式の窒化反応が容易に進んだものと推察できる。
[0055] 従って、本発明の効果として、次のことが指摘できる。即ち、本発明により、(1)直接 合成された段階で (熱処理などを施さずに) 100%窒化アルミニウム組成の粒状物質 が製造可能 (即ち、 1650°C以上の高価な熱処理設備や、余計な後段の熱処理が不 要)、(2)原料 (前駆体)粒子の大きさを保持した、平均粒子径がミクロンオーダー程 度の粒子合成を達成可能、(3)合成された段階で、粉体の粗大化が起こらず、高分 散状態が実現可能 (粉砕工程が不要)、(4)高い球形度を達成可能、(5)特に、金属 A1粒子の直接窒化を反応駆動原理として用いているにも関わらず、生成粒子が固く 融着又は凝集した状態が発生し難い、 (6) 1ミクロン以下の平均粒子径の粒子合成 にも適用可能、(7)粒状生成物サイズを制御可能、という利点が得られる。
実施例 4
[0056] 本発明の非酸化物系粒状物質の製造方法で使用する製造装置の実施例を、本発 明の製造装置の構成例(図 1)に相関させて説明する。
(1)図 1— aの製造装置例
図 1— aは、原料の自励的な反応を利用する場合の装置の構成を具現化したものに 相当し、製造温度で正の標準生成自由エネルギーを有する炭化水素系ガス、アンモ 二了、水素、窒素のいずれか又は複数を添加する手段を用いる場合で、最も基本的 な製造装置例を示す。
[0057] (2)図 1— bの製造装置例
図 1— bは、還元又は窒化用のガス状物質の供給装置を併用する場合の装置の構 成を具現化したものに相当する。より具体的な製造装置例として、ガス状物質の製造 •供給装置(20)にプラズマ発生装置を用いることで、前記のガス状物質をプラズマで 予め製造し、添加する手段を用いる場合、などが例示される。
[0058] (3)図 1— cの製造装置例
図 1— cは、外部加熱装置を併用し、それを同時加熱方式で用いる場合の装置の構 成を具現化したものに相当する。より具体的な製造装置例として、外部加熱装置(13 )に電気炉を用いることで、 500— 10000°Cの温度を与えた窒化物又は酸窒化物又 は炭化物の反応場へ前記のガス状物質を添加する手段を用いる場合、などが例示 される。
[0059] (4)図 1— dの製造装置例
図 1一 dは、還元又は窒化用ガス状物質発生装置を併用し、それに更に、外部加熱 装置を併用した場合の装置の構成を具現化したものに相当する。より具体的な製造 装置例として、ガス状物質の製造'供給装置 (20)の外部加熱装置 (21)に電気炉を 用いることで、 500— 10000°Cの温度を与えた前記のガス状物質を予め製造し、添 加する手段を用いる場合、などが例示される。
[0060] (5)図 1— eの製造装置例
図 1一 eは、外部加熱装置を併用し、それを同時加熱方式で用い、更に、還元又は 窒化用ガス状物質発生装置を併用した場合の装置の構成を具現化したものに相当 する。より具体的な製造装置例として、ガス状物質の製造'供給装置 (20)にプラズマ 発生装置を用い、更に、製造装置の外部加熱装置(13)に電気炉を用いることで、 5 00— 10000°Cの温度を与えた窒化物又は酸窒化物又は炭化物の反応場へ前記の ガス状物質を添加する手段、及び、前記のガス状物質をプラズマで予め製造し、添
加する手段を用いる場合、などが例示される。
[0061] (6)図 1— fの製造装置例
図 1一 fは、外部加熱装置を併用し、それを同時加熱方式で用い、更に、還元又は 窒化用ガス状物質発生装置 (それにも外部加熱装置を併用)を併用した場合の装置 の構成を具現化したものに相当する。より具体的な製造装置例として、外部加熱装 置(13)に電気炉を用い、更に、ガス状物質の製造'供給装置 (20)にプラズマ発生 装置を用い、更に、ガス状物質の製造'供給装置の外部加熱装置 (21)に電気炉を 用いることで、 500— 10000°Cの温度を与えた窒化物又は酸窒化物又は炭化物の 反応場へ前記のガス状物質を添加する手段、及び、 500— 10000°Cの温度を与え た前記のガス状物質を予め製造し、添加する手段を用いる場合、などが例示される。
[0062] (7)図 1 gの製造装置例
図 1 - gは、外部加熱装置を併用し、それを連続加熱方式で用いる場合の装置の構 成を具現化したものに相当する。より具体的な製造装置例として、外部加熱装置 (31 )に電気炉を用いることで、製造温度で正の標準生成自由エネルギーを有する炭化 水素系ガス、アンモニア、水素、窒素のいずれか又は複数を添加する手段、及び、 5 00— 10000°Cの温度を与えた窒化物又は酸窒化物又は炭化物の反応場へ原料を 落下せしめる手段を用いる場合、などが例示される。
[0063] (8)図 1 hの製造装置例
図 1 - hは、外部加熱装置を併用し、それを連続加熱方式で用い、更に、還元又は 窒化用ガス状物質発生装置を併用した場合の装置の構成を具現化したものに相当 する。より具体的な製造装置例として、外部加熱装置 (31)に電気炉を用い、更に、 ガス状物質の製造'供給装置 (20)にプラズマ発生装置を用いることで、製造温度で 正の標準生成自由エネルギーを有する炭化水素系ガス、アンモニア、水素、窒素の いずれか又は複数を添加する手段、及び、前記のガス状物質をプラズマで予め製造 し、添加する手段、及び、 500— 10000°Cの温度を与えた窒化物又は酸窒化物又 は炭化物の反応場へ原料を落下せしめる手段を用いる場合、などが例示される。 産業上の利用可能性
[0064] 以上詳述したように、本発明は、気相中で連続的に粒状物質を製造する方法に係
るものであり、本発明により、従来の非酸化物粒子、その製造方法及び製造装置が 持つ欠点を克服し、気相中の連続的な粒子の製法を提供できる。原料を還元又は 窒化反応させることにより非酸ィ匕物を製造するプロセスにおいて、非酸ィ匕物を製造す る温度で正の標準生成自由エネルギーを持つガス状物質を添加することにより、そ の反応の自由エネルギーを、上記の還元又は窒化反応の自由エネルギーより小さく することにより、 <A> 1ミクロン以上の平均粒子径、 < B>高球形度の形状、 < C > 気相中の連続製法、を同時に達成した新規な非酸化物の製造方法、又は製造装置 、又はその粒状物質を提供することができる。
図面の簡単な説明
[図 1]本発明において使用される装置構成の具体例である。但し、原料落下方式で 図示している。
[図 2]アルミニウムの直接窒化法を基本としたアセチレンとアンモニアを使用する製法 の妥当性を証明するエリンガム線図である。
[図 3]アルミニウムの直接窒化法を基本としたプロパンとアンモニアを使用する製法の 妥当性を証明するエリンガム線図である。
[図 4]アルミナの還元窒化法を基本としたアセチレンとアンモニアを使用する製法の 妥当性を証明するエリンガム線図である。
[図 5]アルミナの還元窒化法を基本としたプロパンとアンモニアを使用する製法の妥 当性を証明するエリンガム線図である。
[図 6]シリコンの直接窒化法を基本としたアセチレンとアンモニアを使用する製法のェ リンガム線図である。
[図 7]シリコンの直接窒化法を基本としたプロパンとアンモニアを使用する製法の妥当 性を証明するエリンガム線図である。
[図 8]シリカの還元窒化法を基本としたアセチレンとアンモニアを使用する製法の妥 当性を証明するエリンガム線図である。
[図 9]シリカの還元窒化法を基本としたプロパンとアンモニアを使用する製法の妥当 性を証明するエリンガム線図である。
[図 10]実施例 1一 3で製造した窒化アルミニウム又は酸窒化アルミニウムの装置構成
である。
[図 11]実施例 1一 3で製造した窒化アルミニウム又は酸窒化アルミニウムの X線分析 結果である。
圆 12]本発明の窒化反応のメカニズムと、直接窒化法 (又はガス窒化法)を電気炉中 バッチ処理力 連続処理に変えた既往製法の窒化反応メカニズムの概念図である。
[図 13]実施例 2、 3で製造した窒化アルミニウム又は酸窒化アルミニウムと、それと好 対照の現状の市販品、及び原料であるアルミニウムのアトマイズ粒子の走査型電子 顕微鏡写真である。
[図 14]実施例 2で製造した本発明の非酸ィ匕物系粒子と、その原料 (アルミニウムのァ トマイズ粒子)の粒子径分布 (光回折'散乱法)である。
符号の説明
10 正の標準生成エネルギーガス支援型非酸化物製造装置
11 窒化物又は酸窒化物又は炭化物の原料
12 ガス状物質
13 外部加熱装置 (同時加熱方式)
14 窒化ガス(アンモニア)添加位置
15 窒化ガス(アンモニア)添加位置
20 ガス状物質製造,供給装置
21 外部加熱装置(併用型、同時加熱方式)
30 外部加熱装置(別建て型、連続加熱方式)
31 外部加熱装置(併用型、同時加熱方式)
40 窒化物又は酸窒化物又は炭化物の原料粒子
41 ガス状物質
42 原料粒子表面から発生した蒸気
43 粒子中への拡散及び反応が主反応
44 生成した粒子状物質 (原料粒子が完全に反応しており、電気炉中のバッチ処理 を基本とした直接窒化法や還元窒化法と反応駆動原理と同一)
45 原料粒子表面から発生した蒸気との反応が主反応
46 生成した粒子状物質 (超微粒子が主な生成物であり、原料粒子は表面のみが目 的組成に反応し、内部は未反応の生焼け状態)