明 細 書 ァポリポタンパク E遺伝子多型検出方法、 ァポリポタンパク E遺伝子多 型のゲノタイプ判定方法及び試薬 技術分野
本発明は、 ァポリボタンパク Eの遺伝子多型検出方法及びそれに用い る試薬に関するものであり、 より詳細には、 制限酵素断片長多型 (RF L P) 法を利用したヒ ト ·ァポリボタンパク E遗伝子多型のゲノタイプ を判定 (ゲノタイピング) するのに有用なァポリポタンパク E遺伝子多 型検出方法、 ァポリポタンパク E遺伝子多型のゲノタイプ判定方法及ぴ それに用いる試薬に関するものである。 背景技術
ァポリポタンパク (以下 「Ap o」 という。) Eは、 血中コレステロ一 ルの運搬に重要な役割を果たす血漿タンパクであり、 主要なアイソフォ ームとして、 Ap o E 2、 Ap o E 3、 A p o E 4 (それぞれ、 以下 「E 2」、 「E 3」、 「E 4」 という。) がある。 これら A p o E遺伝子多型をコ ードする遺伝子 ε 2、 ε 3、 ε 4は第 1 9染色体上に存在する。 A ρ ο Ε遺伝子多型の一つである Ε 4は、 ァルツハイマー病及ぴ心血管疾患の 非常に強い危険因子であることが知られており、 現在までに多くの報告 がなされ、 ほぼ確立した知見になっている (例えば、 非特許文献 1〜 5 参照。)。
例えば、 A ρ ο Εの Ε 4型を持つ人では、 アルツハイマー病の発症率 が持たない人に比較して 1 0倍以上になることが知られており、 一見メ ンデルの法則のような遺伝的家族内集積を示す場合があるほどである。
又、 高齢者のアルツハイマー型痴呆非罹患群では、 Ap o Eの E 4型を 持つ固体の頻度は非常に低いところからも、 この多型がこの疾患の大き な危険因子であることが考えられる。
現在では、 A p o E遺伝子多型は臨床検查にも応用されており、 アル ッハイマー型痴呆或いは心血管疾患の危険因子として、 個々の患者の診 断、 治療を行う上で重要な臨床的情報となっている。
従来、 Ap o E遺伝子多型を判別する実験的手法がいくつか報告され ている。 例えば、 下記のものが挙げられる。 非特許文献 5には、 制限酵 素断片長多型 (Restriction Fragment Length Polymorphism: R F L P ) によるタイピング法が記載されている。 この方法の基本的な手法は、 ポ リメフ'—ビ連鎖反 J心 (Po丄 ymeraze Cham Reaction: P GR) によって、 ゲノタイビングを行なう目的の遺伝子領域である A p o E特定の領域を 増幅 し、 その R F L P をポ リ ア ク リ ルア ミ ドゲル電気泳動 (Polyacrylamide Electrophoresis) による泳動ノ ターンでケノタイヒ ングするというものである。 この方法は、 現在でも多くの研究室等で用 いられている方法である。
この方法では、 先ず、 ヒ ト ·染色体 DNA (ゲノム DNA) を血液よ り抽出した後、 A p o E遺伝子に特異的なプライマー対を用いて P C R で増幅し、 増幅した DNAを制限酵素 Hh a Iによって断片化する。 図 1 3は、 この方法によるゲノタイビングの概念図である。 A p o E 遺伝子多型は、 それぞれ 1つのアミノ酸の置換により生じる。 即ち、 1 1 2番目、 1 5 8番目のァミノ酸が、 それぞれ E 2ではシスティン、 シ スティン、 E 3ではシスティン、 アルギニン、 E 4ではアルギニン、 ァ ルギニンである。 制限酵素 H h a Iは、 塩基配列 GCGCを認識するた め、 同図に示すように、 Ap o Eの E 2、 E 3、 E 4の多型により、 制 限酵素 Hh a Iが認識して DNAを切断する部位の組み合わせが異なる c
つまり、 制限酵素 Hh a Iは、 1 1 2番目アルギニン (E 4) 及ぴ 1 5 8番目のアルギニン (E 3、 E 4 ) をコードするコドンの領域にわたる GCGCを認識して切断するが、 1 1 2番目のシスティン (E 2、 E 3 ) 及ぴ 1 5 8番目のシスティン (E 2) をコードするコ ドンの領域にわた る GTGCは切断しない (図中、 四角で囲んだ T又は Cはそれぞれのコ ドンのはじめの塩基を示す。)。 従って、 それぞれの A p o E遺伝子多型 に特異的な長さの DNA制限酵素切断断片 (以下 「DNA制限断片」 と いう。) が得られるので、 各 A p o E遺伝子多型の判別が可能となる。
ヒ トはァリルを 2つ持っため、 いずれかの A p o E遗伝子多型の 2つ の組合せを持つことになる。 即ち、 A p o E遺伝子多型のァリルの組合 せのパターン (遺伝子型: ゲノタイプ) には、 図 1 3に示すように、 E 2/E 2、 E 3 /E 3 , E 4/E 4、 E 2/E 3、 E 2/E 4、 E 3 / E 4がある。
ホモ接合体について、 E 2/E 2では、 制限酵素 H h a Iでの切断に よって 8 3 b p (塩基対) 及ぴ 9 1 b pの 2種類の長さの DNA制限断 片が得られる力 E 3/E 3では、 3 5 b p、 4 8 及ぴ9 1 、 E 4/E 4では 1 9 b p、 3 5 b p、 4 8 b p及び 7 2 b pの D N A制 限断片が得られる。 同様に、 ヘテロ接合体である E 2/E 3、 E 2/E 4、 E 3 /E 4についても、 図 1 3に示すようにそれぞれ異なった D N A制限断片の組合せが得られる。 従って、 制限酵素 Hh a Iによる切断 によつて得られたそれぞれの長さの D N A制限断片をポリァクリルアミ ドゲル電気泳動法によって分離することで、 A p o E遺伝子多型のタイ ビングが可能になる。 尚、 1 9 b p以下の長さの DN A制限断片はポリ アクリルアミ ドゲル電気泳動では検出されない。 以下、 この方法の手順 を、 非特許文献 5に基づき更に説明する。
[DNA抽出]
先ず、 セプラテック社の Sepracell-MN gradients を用いて血液から 白血球を取り出す。 次いで、 白血球を 5 %の S D Sと 1 0 0 g /m 1 のプロティナーゼ Kで 5 5°C、 1 6時間処理する。 そして、 フエノール 抽出を行い、 その後エタノールで DNAを精製する。
[A p o E領域の DNA増幅]
上記方法により抽出した DNAから、 既に報告されている (非特許文 献 6 ) の塩基配列を用いた下記の A p o E遺伝子に特異的なプライマー 対 (pair of primers)を用いて、 P C Rによって A p o E特定の領域を増 幅する。 増幅は、 T a qポリメラーゼ (Parkin Elmer Cetus社) を用 い、 その供給元の指定の条件に従って行う。
a ) プライマー対
F 4 ( 5, -ACAGAATT C G C C C C C GG C C T GGTAC A C— 3,)
F 6 ( 5, — TAAG C TTGG CAC GG C TGT C CAAG GA 一 3,)
b ) P CR反応混合物
白血球より抽出したゲノム DN A : 1 μ g
プライマー対: 1 μ Μ
D M S O (dimethyl sulfoxide) : 1 0 %
T a qポリメラーゼ : 0. 0 2 5 u η t s / μ \ 総反応量: 3 0 μ I
c ) P CRサイクルの条件
9 5°C、 5分間 (変性)
次いで、 以下のサイクルを 3 0回繰り返す。
9 5°C, 1分間 (変性)
6 0°C, 1分間 (プライマーアニーリング)
7 0°C, 2分間 (伸長反応)
上記 P CR条件にて増幅された DNAフラグメントの量は約 3 0 0 n gである。
[R F L P]
R F L Pによって A p o E遺伝子多型のゲノタイビングを行なうため に、 上記 P C R産物に直接制限酵素 H h a Iを 5 n u i tカ卩え、 3 7 °C で 3時間以上反応させて、 該制限酵素による切断を行う。 非特許文献 5 には、 斯かる方法で、 ほとんどの DN A試料において切断が成功したと 記述されている。
[制限酵素切断断片の分離とゲノタイピング]
制限酵素 H h a Iによる D N A制限断片を 8 %非変性ポリァクリルァ : トグノレ (polyaci'viamaid non-denaturing gel)、fr 1. 5 mmX長さ 2 5 c m) で 3時間電気泳動する。 電気泳動後のゲルをェチジゥムブ口 マイ ドで処理した後、 DN A制限断片のパターンを UV照射により可視 化してゲノタイビングを行う。
非特許文献 5に記载される上述の方 ¾が Ap o E遺伝子多型をタイピ ングした最初の報告である。 その後、 現在までに、 A p o E遺伝子多型 のゲノタイピング方法については多数の報告がある。 しかし、 それらの 多くは、 基本的に最初の方法の変法である。 例えば、 非特許文献 7、 8 に記載される P CR— RF L Pによるタイビング法が挙げられる。 その 他に、 例えば、 非特許文献 9に記載されるような、 抗体を用いて変異し たタンパク質を同定する方法により間接的にゲノタイビングを行う方法 が開発されている。 この方法は、 現在臨床検査業務で一般的に使用され ている。
しかしながら、 上記非特許文献 5に記載の方法において、 制限酵素 H h a Iで得られる DNA制限断片の長さは 1 0 0 b p未満と極めて短い
ため、 実験室において通常用いられ、 且つ、 安価な DN A分離方法であ るァガロースゲル電気泳動法 (Agarose Gel Electrophoresis) では、 解 像度の低さのため分離が不可能であった。 つまり、 より短い DNA断片 を分離するためには、 ゲルをより髙濃度にする必要があるが、 ァガロー スゲルでは 4 %程度が限界であり、 この濃度では上記 1 0 0 b. pより短 い短鎖 DNAを高解像度にて分離することはできない。そのため、従来、 より操作が煩雑で、 時間を要するポリアクリルアミ ドゲル電気泳動法を 用いる必要があった。
又、 近年、 例えば、 A g i 1 e n t 2 1 0 0 パイオアナライザ (Agilent 2100 BioAnalyzer:以下「A g i l e n t 2 1 0 0」 という。) (Agilent Technologies社製) の電気泳動用セッ ト、 日立マイクロチッ プ電気泳動解析システム S V 1 2 1 0 コスモアイ (以下 「日立 S V 1 2 1 0 J という。) (日立ハイテクノ口ジーズ社製)、 AB I P R I SM (登録商標) 3 1 0 0 (或いは 3 7 0 0) ジェネティック アナライ ザ(以下「AB 1 3 1 00」、或いは「AB I 3 7 0 0」という。) (Applied Biosystems社製) 等の多くの D N A分離方法が開発されている。 これら の DN A分離方法は、 基本的には電気泳動法を利用しているが、 迅速に 大量のサンプルを (順次に若しくは同時に) 処理することができ、 又、 分析の自動化に対応可能である。
しかし、 本発明者らの検討によれば、 これら近年開発された種々の D N A分離方法を用いる場合にも、 上記非特許文献 5に記載されるように 制限酵素 Hh a Iで切断した DNA制限断片では、 正確なゲノタイピン グを行うには、 満足いく解像度を得ることができなかった。
更に、 上述のように、 A p o E遺伝子多型の臨床検査業務では、 抗体 法を用いた生化学的な解析手法 (非特許文献 9) が一般的に使用されて いる。 しかしながら、 斯かる方法は、 遺伝子を直接タイピングする方法
ではなく、 タンパク質の種類を判別する手法を用いているため、 擬陽性
( false -positive )が多く正確さに欠けるものである。更に、この方法は、 実験に用いる試料の作成に時間がかかり、 簡便さや、 経済性の面で問題 がある。
このように、 より長鎖の DN A制限断片を得て、 より高解像度で正確 に A p o E遺伝子多型をゲノタイビングをし得る A p o E遺伝子多型の 検出方法、 それに用いる試薬に対する要求がある。 又、 自動化が可能で 迅速、 且つ、 簡便に大量のサンプルについて A p o E遺伝子多型をゲノ タイピングし得ることも求められている。
又、 非特許文献 1 0は、 ゲノム DNAから下記のプライマー対、
F 5 ' -TC CAAGGAGCTGCAGGCGGCGCA
R 5 ' -GC C C CG GC CTGGTACACTGC CA
を用いて P CRにて 2 1 8 b pの Ap o E遺伝子特異的な領域を増幅し、 2種類の制限酵素 A f 1 I I I、 H a e I Iを用いて断片化する。 そし て、 この DNA断片をァガロースゲル電気泳動で分離して、 DNA制限 断片の長さから A p o E遺伝子多型のゲノタイピングを行うことを開示 する。 この方法によれば、 それぞれ E 3、 E 2、 E 4に特異的な 1 4 5 b p、 1 6 8 b p、 1 9 5 b pの D NA制限断片が得られる。 しかしな がら、 本発明者の検討によれば、 詳しくは後述するように、 斯かる方法 は、 機械化、 製品化を考慮すると、 正確性、 信頼性の点で満足ゆくもの ではなかった。 非特許文献 1
Corder E.H., Saunders A.M., Strittmatter W.J., Schmechel D.E., Gaskell P.C., Small G.W., Roses A.D., Haines J.L., Pericak-Vance M.A. Gene dose of apolipoprotein E type 4 allele and the risk of
Alzheimer's disease in late onset families. Science 1993 Aug 13;261(5123):921-3
非特許文献 2
Ueki A., Kawano Μ·, Namba Y., Kawakami M., Ikeda K. A high frequency of apolipoprotein E isoprotein in Japanese patients with late-onset nonfamilial Alzheimer's disease. Neurosci Lett 1993 Dec 12;163(2):166-8
非特許文献 3
Saunders A. M., Strittmatter W. J., Schmechel D., St. George-Hyslop P. H., Pericak-Vance M. A., Joo S. H., Rosi B. L., Gusella J. F., Crapper-MacLachlan D. R., Alberts M. J " Hulette C,
Grain B., Goldgaber D., Roses A. D. Association of apolipoprotein E allele E4 with late-onset familial and sporadic Alzheimer's disease. Neurolog 1993;43:1467- 1472.
非特許文献 4
Eichner J.E., Dunn S.T., Perveen G., Thompson D.M., Stewart K.E., Stroehla B.C. Apolipoprotein E polymorphism and cardiovascular disease: a HuGE review. Am J Epidemiol 2002 Mar 15;155(6):487-95
非特許文献 5
James E. H. and Daniel T. V. Restriction of human apolipoprotein E by gene amplification and cleavage with Hha I . J. juipid. Res .1990; 31: 545-548.
非特許文献 6
Emi M., L. L. Wu,M. A. Robertson, R. L. Myers,R. A. Hegele, R. R. Williams, R. White, and J-M. Lalouel. u-enotyping and sequence
analysis of apolipoprotein E isoforms. Genomics. 1988; 3: 373-379. 非特許文献 7
Murphy G. M. Jr., Taylor J., Kraemer H. C., et al. No association between apolipoprotein E ε 4 allele and rate of decline in Alzheimer's disease. Am. J. Psychiatry. 1997; 154: 603-608. .
非特許文献 8
Nakagawa Y. and Ogomori K. A Simple Detection Method for Apolipoprotein E ε 4 Allele. Int. Med. J. 2000; 7(3): 201-202
非特許文献 9
Vicente G., Concepcio F" Isabel H., et al. An Enzyme-Linked Immunosorbent Assay Method to Measure Human Apolipoprotein E
Levels Using Commercially Availaole Reagents. Anal. Biochem. 1994; 223: 212-217
非特許文献 1 0
Zivelin, A., Rosenberg, N., Peretz, H., Amit, Y., Kornbrot, N., and
Seligsolm, U., Improved Method for Genotyping Apolipoprotein E Polymorphisms by a PCR-Based Assay Simultaneously Utilizing Two Distinct Restriction Enzymes. Clinical Chemistry, 43, No9, 1657- 1659, 1997 従って、 本発明の目的は、 正確、 迅速、 且つ、 簡便に A p o E遺伝子 多型を検出し、 ゲノタイプを判定することを可能とする A p o E遺伝子 多型検出方法、 A p o E遺伝子多型のゲノタイプ判定方法及び試薬を提 供することである。
本発明の他の目的は、 安価、 且つ、 簡便な D N A分離方法を用いて A p o E遺伝子多型を検出し、 ゲノタイプを判定することを可能とする A
p o E遺伝子多型検出方法、 A p o E遺伝子多型のゲノタイプ判定方法 及び試薬を提供することである。
本発明の他の目的は、様々な D N A分離方法の利用を可能とし、高速、 且つ、 大量処理化を可能とする A p o E遺伝子多型検出方法、 A p o E 遺伝子多型のゲノタイプ半 lj定方法及び試薬を提供することである。
本発明の他の目的は、 正確性、 信頼性の向上した A p o E遺伝子多型 検出方法、 A p o E遺伝子多型のゲノタイプ判定方法及び試薬を提供す ることである。
本発明の他の目的は、 機械化、 製品化に際しての正確性、 信頼性を更 に向上させることができる A p 0 E遺伝子多型検出方法、 A p o E遺伝 子多型のゲノタイプ判定方法及び試薬を提供することである。
本発明の更に他の目的は、 アルツハイマー病、 心血管疾患など、 A p o E遺伝子多型が関連する疾患の診断、 治療にとって有用な情報となる A p o E遣伝子多型のゲノタイプの判別を正確、 且つ、 迅速に行うこと のできる A p o E遺伝子多型検出方法、 A p o E遗伝子多型のゲノタイ プ判定方法及び試薬を提供することである。 発明の開示
上記目的は本発明に係るァポリポタンパク遺伝子多型検出方法、 A p o E遺伝子多型のゲノタイプ判定方法及び試薬にて達成される。 要約す れば、 第 1の本発明は、 ァポリポタンパク E遺伝子に特異的なプライマ 一対を用いて D N Aを増幅する段階;増幅した D N Aを、 ァポリポタン パク E遺伝子のコドン 1 1 2の一塩基多型部位を認識配列に含む第 1の 制限酵素と、 アポリボタンパク E遺伝子のコ ドン 1 5 8の一塩基多型部 位を認識配列に含む第 2の制限酵素と、 を用いて、 前記コ ドン 1 1 2の 一塩基多型部位を含む認識配列での第 1の切断位置及び前記コドン 1 5
8の一塩基多型部位を含む認識配列での第 2の切断位置で切断する段 階;切断した D N A断片を分離する段階;分離された D N A断片を検出 する段階;を含み、前記プライマー対及び前記第 1、第 2の制限酵素は、 それぞれのァポリポタンパク E遺伝子多型に特異的なそれぞれ略 1 0 0 b p以上の D N A断片を生成し得るように選択され、 前記プライマー対 のうち上流側プライマーは、 前記第 1の切断位置より、 6 0 b p以上、 1 3 6 b p以下の上流の位置に 5 ' 末端が設定されることを特徴とする ァポリポタンパク E遺伝子多型検出方法である。 本発明の一実施態様に よると、 本発明の一実施態様によると、 前記プライマー対のうち下流側 プライマーは、 前記第 2の切断位置より、 3 0 b p以上、 2 0 2 b p以 下の下流の位置に 5 ' 末端が設定される。
第 2の本発明によると、 ァポリポタンパク E遗伝子に特異的なプライ マー対を用いて D N Aを増幅する段階;増幅した D N Aを 2種類の制限 酵素を用いてアポリポタンパク E遺伝子のコドン 1 1 2の一塩基多型部 位を含む認識配列での第 1の切断位置及びアポリポタンパク E遺伝子の コドン 1 5 8の一塩基多型部位を含む認識配列での第 2の切断位置で切 断する段階;切断した D N A断片を分離する段階;分離された D N A断 片を検出する段階; を含み、 前記プライマー対のうち上流側プライマー は、 前記第 1の切断位置より、 6 0 b p以上、 1 3 6 b p以下の上流の 位置に 5, 末端が設定されることを特徴とするアポリポタンパク E遺伝 子多型検出方法が提供される。 本発明の一実施態様によると、 前記ブラ イマ一対のうち下流側プライマーは、 前記第 2の切断位置より、 3 0 b p以上、 2 0 2 b p以下の下流の位置に 5 ' 末端が設定される。
第 3の本発明によると、 上記本発明のアポリポタンパク E遺伝子多型 検出方法により検出した D N A断片長の存否の組み合わせからアポリポ タンパク E遺伝子多型のゲノタイプを判定することを特徴とするアポリ
ボタンパク E遺伝子多型のゲノタイプ判定方法が提供される。
第 3の本発明の一実施態様によると、 前記第 1の切断位置より上流の 配列 Aのみを含む DNA断片を断片 A (—実施態様では 1 0 6 b p)、前 記第 2の切断位置より下流の配列 Bのみを含む DNA断片を断片 B (— 実施態様では 3 5 b p、 1 8 b p、 1 3 b p、 他の実施態様では 8 0 b p、 1 8 b D、 1 3 b p)、 前記第 1の切断位置と前記第 2の切断位置と の間の配列 Cのみを含む DNA断片を断片 C (一実施態様では 1 4 5 b p)、前記配列 A及び Cを含む DNA断片を断片 D (—実施態様では 2 5 1 b p)、前記配列 B及び Cを含む DNA断片を断片 E (一実施態様では 1 8 0 b p) としたとき、 断片 断片 D及び断片 Eの存否をアポリポ タンパク E遺伝子多型のゲノタイプの判定に用い、 ( a )断片 Eのみの存 在によりゲノタイプ E 2/E 2を判定し; ( b )断片 Cのみの存在により ゲノタイプ E 3ZE 3を判定し; ( c )断片 Dのみの存在によりゲノタイ プ E 4/E 4を判定し; ( d)断片 E及び断片 Cのみの存在によりゲノタ ィプ E 2/E 3を判定し; ( e )断片 D及び断片 Eのみの存在によりゲノ タイプ E 2/E 4を判定し; ( f )断片 D及ぴ断片 Cのみの存在によりゲ ノタイプ E 3 /E 4を判定する。
第 3の本発明の他の実施態様によると、 断片 A、 断片 C、 断片 D及び 断片 Eの存否をァポリポタンパク E遗伝子多型のゲノタイプの判定に用 い、 ( a )断片 E及び断片 Aのみの存在によりゲノタイプ E 2 /E 2を判 定し;(b)断片 C及ぴ断片 Aのみの存在によりゲノタイプ E 3/E 3を 判定し;( c ) 断片 Dの存在及び断片 Aの非存在によりゲノタイプ E 4 E 4を判定し; ( d) 断片 E、 断片 C及び断片 Aのみの存在によりゲノタ イブ E 2/E 3を判定し; ( e) 断片 D、 断片 E及び断片 Aのみの存在に よりゲノタイプ E 2/E 4を判定し; ( f ) 断片 D、 断片 C及び断片 Aの みの存在によりゲノタイプ E 3/E 4を判定する。
第 3の本発明の他の実施態様では、 前記配列 A、 配列 B及び配列 Cを 含むヘテロ二本鎖 (一実施態様では 2 8 6 b p) の存否をァポリポタン パク E遺伝子多型のゲノタイプの判定に用い、 該ヘテロ二本鎖の存在に よりゲノタイプ E 2/E 4を判定する。 又、 他の実施態様では、 更に、 ァポリポタンパク E遺伝子多型 E 2、 E 3、 E 4の全てについて生成す る断片 Bの存在により、 前記切断段階における有効な切断反応の存在を 判断し、 該有効な切断の存在を判断した場合に、 DN A断片長の存否の 組み合わせからァポリポタンパク E遺伝子多型のゲノタイプを判定する c 第 3の本発明の他の実施態様では、 更に、 ァポリポタンパク E遺伝子 多型 E 2、 E 3、 E 4の全てについて生成する断片 B (一実施態様では 3 5 b p、 1 8 b p若しくは 1 3 b p、 他の実施態様では 8 0 b p) を 定量した結果に基づいて、 断片 A、 断片 C、 断片 D及び/又は断片 Eの 存否を判断する。 他の実施態様では、 更に、 前記 (d)、 ( e ) 又は ( f ) の各場合の判定に際し、 ァポリポタンパク E遺伝子多型 E 2、 E 3、 E 4の全てについて生成する断片 Bを定量した結果に基づいて求めたへテ ロニ本鎖の生成割合に基づいて、 断片 A、 断片 C、 断片 D及び Z又は断 片 Eの存否を判断する。
第 3の本発明の他の実施態様によると、 前記第 1の切断位置より上流 の配列 Aのみを含む DN A断片を断片 Aとしたとき、 断片 Aの存否をァ ポリポタンパク E遺伝子多型のゲノタイプの判定に用い、 断片 Aの非存 在によりゲノタイプ E 4ZE 4を判定する。
第 4の本発明によると、 ァポリポタンパク E遺伝子の制限酵素切断断 片を検出することでアポリポタンパク E遺伝子多型を検出するために用 い得る、 ァポリポタンパク E遺伝子増幅用のプライマー対を備えるアポ リポタンパク E遺伝子多型の検出試薬であって、 前記プライマー対のう ち上流側プライマーは、 アポリポタンパク E遺伝子のコ ドン 1 1 2の一
塩基多型部位を含む認識配列での第 1の切断位置より、 6 0 b p以上、 1 3 6以下の b p上流の位置に 5 ' 末端が設定されることを特徴とする ァポリポタンパク E遺伝子多型の-検出試薬が提供される。 本発明の一実 施態様によると、 前記プライマー対のうち下流側プライマーは、 前記第 2の切断位置より、 3 O b p以上、 2 0 2 b p下流の位置に 5.' 末端が 設定される。
尚、 本明細書において、 遺伝子配列における位置は、 5 ' 末端から 3 ' 末端方向に一本鎖でみていうものであり、 その上流とは該一本鎖でみた ときの 5 ' 末端側、 下流とは 3 ' 末端側をいう。
又、 A p o E遺伝子について、 いずれかの遺伝子多型において制限酵 素による切断位置 (或いは認識配列) がある場合、 その位置に相当する 他の遣伝子多型における配列上の位置については、 切断されない (或い は認識されない) 場合についても切断位置 (或いは認識配列) の語を用 いて説明する。 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明に従う A p o E遗伝子多型のゲノタイビングの概念図 である。
図 2は、 本発明に従うプライマー対の設定位置を説明するための模式 図である。
図 3は、 本発明に従うプライマー対の一例を用いた場合の D N A制限 断片の長さを説明するための模式図である。
図 4は、 本発明に従うプライマー対の一例を用いた場合の各 A p o E 遺伝子多型に対する電気泳動パターンの模式図である。
図 5は、 本発明に従うプライマー対の他の例を用いた場合の D N A制 限断片の長さを説明するための模式図である。
図 6は、 本発明に従うプライマー対の他の例を用いた場合の各 A p o E遺伝子多型に対する電気泳動パタ一ンの模式図である。
図 7は、 本発明に従うプライマー対の更に他の例を用いた場合の D N A制限断片の長さを説明するための模式図である。 .
図 8は、 本発明に従うプライマー対の更に他の例を用いた場合の各 A p o E遺伝子多型に対する電気泳動パターンの模式図である。
図 9は、 本発明に従って A p o E遺伝子の制限断片をァガロースゲル 電気泳動により分離した結果を示す図である。
図 1 0は、 本発明に従って A p o E遺伝子の制限断片を A g i 1 e n t 2 1 0 0により分離した結果を示す図である。
図 1 1は、 本発明に従って A p o E遺伝子の制限断片を日立 S V 1 2 1 0により分離した結果を示す図である。
図 1 2は、 本発明に従って A p o E遗伝子の制限断片を A B 1 3 1 0 0により分離した結果を示す図である。
図 1 3は、 制限酵素 H h a Iを用いた従来の A p o E遺伝子多型のゲ ノタイビングの概念図である。
図 1 4は、 従来の方法に従って制限酵素 H h a Iを用いて得た A p o E遗伝子の制限断片を A g i l e n t 2 1 0 0により分離した結果を示 す図である。
図 1 5は、 従来の方法に従って制限酵素 Ή h a Iを用いて得た A p o E遺伝子の制限断片を日立 S V 1 2 1 0により分離した結果を示す図で め 。
図 1 6は、 ヘテロ二本鎖の生成を説明するための模式図である。
図 1 7は、 ヘテロ二本鎖の生成を考慮した、 本発明に従うゲノタイピ ングの概念図である。
図 1 8は、 ヘテロ接合体についてヘテロ接合体が生成した場合の各 D
N A断片の生成量の推定方法の他の例 (3 5 b pの D N A断片の定量に 用いる例) を説明するための模式図である。
図 1 9は、 ホモ接合体についてヘテロ接合体が生成した場合の各 D N A断片の生成量の推定方法の他の例 (3 5 b pの D N A断片の定量に用 いる例) を説明するための模式図である。
図 2 0は、 ヘテロ二本鎖の定量について説明するための各ゲノタイプ での D N A制限断片の分離パターンを示す模式図である。
図 2 1は、 ヘテロ接合体についてヘテロ接合体が生成した場合の各 D N A断片の生成量の推定方法の一例 (8 0 b pの D N A断片の定量に用 いる例) を説明するための模式図である。
図 2 2は、 ホモ接合体についてヘテロ接合体が生成した場合の各 D N A断片の生成量の推定方法の一例 ( 8 0 b pの D N A断片の定量に用い る例) を説明するための模式図である。
図 2 3は、 本発明に従って A p o E遺伝子の制限断片を日立 S V 1 2 1 0により分離した結果を示す図である。
図 2 4は、 本発明に従って A p o E遺伝子の制限断片を日立 S V 1 2 1 0により分離した結果を示す図である。
図 2 5は、 本発明に従って A p 0 E遺伝子の制限断片を日立 S V 1 2 1 0により分離した結果を示す図である。
図 2 6は、 図 5に示す一部のデータを拡大して示した図である。
図 2 7は、 制限酵素 A f 1 I I I及ぴ H a e I Iを用いた従来の A p o E遺伝子多型のゲノタイピングの概念図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明に係るアポリポタンパク E遺伝子多型検出方法及ぴ試薬 を図面に則して更に詳しく説明する。
本発明に係るアポリボタンパク E (A p o E)遺伝子多型検出方法は、 詳しくは後述するように、 一実施態様では、 Ap o E遺伝子に特異的な プライマー対を用いて P CRにより 目的の DN A領域を増幅し、 増幅さ れた D N Aを所定の制限酵素を用いて切断し、 切断した D N A制限断片 を分離し、 分離された DNA断片を検出する各段階を含む。 .
A p o E遺伝子に特異的なプライマー対は、 ゲノム DNAをテンプレ ート (铸型) として、 A p 0 E遺伝子の 2つの変異箇所を含む、 即ち、 2箇所の一塩基多型部位を挟んだ所定領域 (以下 「多型領域」 という。) の D N Aを P C R法によって増幅するように設計されたォリ ゴヌクレオ チド対 (プライマー対) である。 プライマー対の一方は、 5, 末端から 3 ' 末端方向に一本鎖でみて、 上記 A p o E遺伝子の多型領域の上流側 にハイプリダイズ可能な適当な長さのオリゴヌク レオチドで、 他方は同 多型領域の下流側の相補鎖にハイプリダイズ可能な適当な長さのオリゴ ヌクレオチドである。 これらプライマーは、 通常通り、 2つのプライマ 一の Tmが同程度となり、 又増幅効率が良好であるように設計するのが 好ましい。
特に、 本発明においては、 後述の所定の制限酵素による切断で、 典型 的にはァガロースゲル電気泳動によって十分な解像度にて分離可能な十 分な長さの DNA制限断片が得られるように設計される。 好ましい一実 施態様では、 下記の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドから成るブラ イマ一の対を用いる。
AE— F 1プライマー (配列番号 1 ) :
5 ' -AATCGGAACTGGAGGAACAACTG- 3 '
AE— R 1プライマー (配列番号 2) :
5 ' -GC C CGCACGCGGC C CTGTTC- 3 '
上記オリゴヌクレオチド配列のプライマー対によれば、 A p o E遺伝
子多型の 2箇所の一塩基多型部位、 即ち、 A p o Eの 1 1 2番目のアミ ノ酸をコードする A p o E遺伝子領域(以下「コドン 1 1 2」 という。)、 A p o Eの 1 5 8番目のアミノ酸をコードする Ap o E遺伝子領域 (以 下 「コ ドン 1 5 8」 という。) の一塩基多型部位を含み、 7 5番目〜 1 9 1番目のアミノ酸をコードするコ ドン領域にわたる 3 5 2 b p.のオリゴ ヌクレオチド配列を P C R法によって増幅することができる。 斯かるォ リゴヌクレオチド配列の各プライマーは、 斯界にて周知の DNA合成方 法、 装置を用いて得ることができる。
増幅した DN A産物を切断する所定の制限酵素は、 ' A p o E遺伝子多 型間の遺伝子変異で認識部位が出現又は消失するもの、 即ち、 いずれか の A p o E遺伝子多型の一塩基多型部位が認識配列内に存在するもので あって、 切断後の D N A制限断片が典型的にはァガロースゲル電気泳動 法によつて十分な解像度にて分離可能な長さを有し得るものである。 好 ましい一実施態様では、 増幅した DNA産物を切断する 2種類の制限酵 素の組合せを用いる。 又、 好ましくは、 上記プライマー対を用いて増幅 された DN Aに関し、 2種類の制限酵素のいずれか一方の制限酵素のみ による切断、 及び両方の制限酵素による切断によって、 いずれかのアポ リボタンパク E遺伝子多型に帰属させ得る 1 0 0 b p以上の DNA断片 が生成する 2種類の制限酵素の組合せを用いる。 このよ うな本発明に従 う制限酵素の組合せは、 好ましい一実施態様では、 A f 1 I I I と H a e I Iである。
図 1に示すように、 制限酵素 A f 1 I I Iは、 塩基配列 ACRYGT (Rは A又は G, Yは C又は T) を認識する。 又、 制限酵素 H a e I I は、塩基配列 RGCGCY (Rは A又は G, Yは C又は T) を認識する。 即ち、 制限酵素 A f 1 I I Iは、 1 1 2番目のシスティン (E 2、 E 3 ) をコードするコドンの領域にわたる AC GTGTを認識して切断するが.
1 1 2番目のアルギニン (E 4) をコードするコドンの領域にわたる A CGTGCは切断しない。 又、 制限酵素 H a e I Iは、 1 5 8番目のァ ルギニン (E 3、 E 4) をコードするコドンの領域にわたる AGCGC Cを認識して切断するが、 1 5 8番目のシスティン (E 2) をコードす るコ ドンの領域にわたる AG T G C Cは切断しない (図中、 四.角で囲ん だ T又は Cはそれぞれのコドンのはじめの塩基を示す。)。
これらの制限酵素で、 上記プライマー対を用いて増幅された DN Aを 断片化すると、 図 1に示すように、 ホモ接合体について、 E 2/E 2で は 1 0 6 b p及ぴ 1 8 0 b p、 E 3/E 3では 1 0 6 b p及ぴ 1 4 5 b p、 E 4/E 4では 2 5 1 b pの D N A制限断片が得られる。 又、 へテ 口接合体である E 2 /E 3、 E 2/E 4、 E 3/E 4についても、 図 1 に示すようにそれぞれ異なった D N A制限断片の組合せが得られる。 このように、本発明の好ましい一実施態様では、上記プライマー対 (配 列番号 1、 2) 及ぴ 2種類の制限酵素の組合せ (A f 1 I I I、 H a e I I ) を用いることにより、 非特許文献 5において制限酵素 Hh a Iに よる切断で得られたものよりも長い DN A制限断片が出現する。
図 1 3に示すように、 従来用いられていた制限酵素 H h a Iは、 コド ン 1 1 2、 1 5 8の一塩基多型部位を含む切断位置以外 (それぞれの上 流側)に他の多くの切断位置を持つ。これに対して、図 1に示すように、 本発明にて好適に使用される A f 1 I I Iは、 コ ドン 1 1 2の一塩基多 型部位を含む切断位置より上流及び下流に他の切断位置を持たず、 又 H a e I Iは、 コ ドン 1 5 8の一塩基多型部位を含む切断位置より上流に 他の切断位置を持たない。 又、 DNA制限断片間の鎖長差は、 本発明に 従う上記プライマー対及び 2種類の制限酵素の組合せを用いると、 従来 の制限酵素 Hh a Iを用いる場合よりも大きくなり、 DN A制限断片の 分離を容易ならしめている。
本発明にて用い得る制限酵素及ぴプライマー対の選択について更に説 明する。
[制限酵素]
本発明にて用いることが可能である制限酵素は下記の条件を満たす。
( 1 ) 第 1の制限酵素は、 A p o E遺伝子のコ ドン 1 1 2の一塩基配 列多型部位を含む認識配列をもち、 切断されるか切断されないかが該ー 塩基多型によって決定するもの。 認識配列について上記の条件を満たせ ば、切断される部位はコ ドン 1 1 2から離れていても良い。
. ( 2) 第 2の制限酵素は、 Ap o E遺伝子のコ ドン 1 5 8の一塩基配 列多型部位を含む認識配列をもち、 切断されるか切断されないかが、 該 一塩基多型によって決定するもの。 認識配列について上記の条件を満た せば、 切断される部位はコドン 1 5 8から離れていても良い。
( 3) A p o E遺伝子の多型領域 (Ap o E遗伝子の 2つの一塩基多 型部位を含む領域) を含む増幅された所定の DNA断片を上記第 1、 第 2の制限酵素を用いて切断することにより得られる DNA断片が、 A p o E遗伝子多型の判定に利用可能となるもの、 即ち、 それぞれの A p o E遺伝子多型を特定可能な、 特異的な少なく とも 1つの DNA断片若し くは少なく とも 1つの DN A断片の組合せ (或いは電気泳動によって分 離することによって得られる流出パターン) が得られるもの。
(4) それぞれの A p 0 E遗伝子多型が特定可能な、 少なくとも 1つ の特異的な DN A断片若しくは少なく とも 1つの特異的な DN A断片の 組合せを構成する DNA断片が、 実質的に 1 0 0 b p以上になるもの。 尚、 DNA断片長は、 Ap o E遺伝子の多型領域 (A p o E遺伝子の 2 つの一塩基多型部位を含む領域) に用いられる所定のプライマーとの関 係で許容される最長長さ以下となる。
( 5) 更に、 第 1、 第 2の制限酵素は、 認識配列或いは切断部位が、
A p o E遺伝子のコドン 1 1 2の一塩基多型部位を含む認識配列とコド ン 1 5 8の一塩基多型部位を含む認識配列との間には存在しないもので あることが望ましい。
上述の本発明の好ましい一実施態様における 2種類の制限酵素、 A f 1 I I I及ぴ H a e I Iは、 上記条件 ( 1 ) 〜 (4) の条件を.満たす制 限酵素の組み合わせである。 これに対して、 従来の方法における制限酵 素 Hh a lは、 上記条件 (4) を満たさず、 更に上記条件 (5) をも満 たさない。
尚、 第 1、 第 2の制限酵素は、 上記条件 (1 ) 〜 (4) を満たせば同 一のものであっても 2種類以上であってもよい。
[プライマー]
A p o E遺伝子多型の判定に必要な DNA断片長は、 使用する第 1、 第 2の制限酵素によって変化するため、 A p o Eの多型領域の増幅に必 要なプライマー対の設計は、 切断された DN A断片を分離する際に、 い ずれかの A p o E遗伝子多型に特異的な DNA断片のパターンが形成さ れるように行われなければならない。 以下、 第 1、 第 2の制限酵素とし て、 上記制限酵素の組み合わせ、 つまり A f 1 I I I及ぴ H a e I Iの 2種類を使用する場合 (以下 「本実施例」 という。) に即して説明する。
(上流側プライマー)
ここで、 図 2、 図 3、 図 5、 図 7を参照して、 コ ドン 1 1 2の一塩基 多型部位を含む認識配列での切断位置(以下「第 1の切断位置」 という。) より上流の配列 (配列 A) のみを含む DNA断片を 「DNA断片 A」、 コ ドン 1 5 8の一塩基多型部位を含む認識配列での切断位置 (以下 「第 2 の切断位置」 という。) より下流の配列 (配列 B) のみを含む DNA断片 を 「DNA断片 B」、 第 1の切断位置と第 2の切断位置との間の配列 (配 列 C) のみを含む DNA断片を 「DNA断片 C」、 配列 A及び配列 Cを含
む DNA断片を「DNA断片] 3」、前記配列 B及び配列 Cを含む D N A断 片を 「DNA断片 E」 とする。
この場合、 本発明によれば、 上流側プライマーは、 図 2中領域 aで示 す如く、 第 1の切断位置より、 6 0 b p以上、 1 3 6 b p以上の上流の 位置 (即ち、 第 1の切断位置より 6 0〜 1 3 6 b p上流の位置.) に 5 ' 末端を設定する。 このような上流側プライマーは、 Ap o E遺伝子に特 異的であり、 且つ、 Tmが下流側のプライマーと同程度ものであればよ レ、。 これに限定されるものではないが、 プライマーの長さに関しては、 プライマーの P CRの特性、 他のゲノムの領域における特異性を考慮し て、 2 0〜 2 5m e rが好適である。
D N A断片 Aは、 E 2と E 3では生成するが E 4では生成しない。 そ して、 E 4では断片長が (A+ 1 4 5) b pの DNA断片 Dが特異的に 生成される。 つまり、 上流側プライマーの 5 ' 末端を第 1の切断位置よ り 6 0 b p以上の上流の位置に設定することで、 DNA断片 Dは、 DN A断片 C ( 1 4 5 b p) と分離可能であると共に、 DNA断片 Eとも良 好に分離可能であり、 E 4に特異的なものとなる。 又、 斯かる設定によ り、 第 1の切断位置が制限酵素で切断されなくなる虡などを低減し、 よ り正確性、 信頼性を高めるためることができる。 又、 上流側プライマー の 5, 末端を第 1の切断位置の上流 1 3 6 b p以下の位置に設定するこ とで、 DNA断片 Aと、 DNA断片 Cとを良好に分離することができる。 但し、 極めて良好に DNA断片 Aと DNA断片 Cとを分離するには、 第 1の切断位置より 1 20以下の上流の位置 (即ち、 第 1の切断位置より 6 0〜 1 2 0 b p上流の位置) に上流側プライマーの 5 ' 末端を設定す るのが好ましい。 この位置については更に詳しく後述する。
即ち、 この条件によって、 少なく とも E 4の判定が可能となる。
本実施例における配列番号 1の上流側のプライマーは、 第 1の切断位
置から 1 0 6 b p上流にプライマーの 5 ' 末端を設定している。 この場 合、 E 2及び E 3において生成されるが E 4では生成されない DN A断 片 Aの長さは 1 0 6 b p、 又 E 4に特異的な DNA断片 Dは 2 5 1 b p となる。
詳しくは後述するように、 下流側プライマーの選択範囲によって制限 酵素切断により生成される DN A断片長が異なるが、 図 3及ぴ図 5に示 すように下流側プライマーを選択する場合においては、 DNA断片D、 更に DNA断片 Aは、 他の DNA断片の長さと重なることがなく、 該上 流側プライマーは A p o E遺伝子多型の判定に適切である。 即ち、 この 場合 DNA断片 Dを Ap o E遺伝子多型の判別の根拠として利用し得る のみならず、 DN A断片 Aをも A p o E遺伝子多型の判別の根拠の つ として利用することができる。 この点については、 下流側プライマーと の関連で更に詳しく後述する。
一方、図 7に示すように下流側プライマーを選択する場合においては、 他の DNA断片 (図 7中 B 3) の鎖長が DNA断片 Aの鎖長とほぼ同等 となり重複する可能性があり、 この場合は、 DN A断片 Aは A p o E遺 伝子多型の判別には利用することができない。 しかし、 (A+ 1 4 5 ) b pの DNA断片 Dが E 4に特異的であるため、 下流側プライマーの設計 に拘わらず、 E 4の検出は可能、 且つ、 容易である。
(下流側プライマー)
下流側プライマーは、図 2中領域 bで示す如く、第 2の切断位置より、 3 O b p以上、 2 0 2 b p以下の下流の位置 (即ち、 第 2の切断位置よ り 3 0〜 2 0 2 b p下流の位置) に 5, 末端を設定する。 このような下 流側プライマーは、 A p o E遺伝子に特異的であり、 Tmが上流側のプ ライマーと同程度ものであればよい。これに限定されるものではないが、 プライマーの長さに関しては、 プライマーの P CRの特性、 他のゲノム
の領域における特異性を考慮して、 2 0〜2 5 m e rが好適である。 下流側プライマーの 5, 末端を第 2の切断位置より 3 0 b p以上下流 の位置に設定することで、 DNA断片 Cと、 DNA断片 Eとを良好に分 離することができる。 又、 下流側プライマーの 5 ' 末端を第 2の切断位 置の下流 2 0 2 b p以下の下流の位置 (下流 2 0 2 b pより上.流側) と することにより、 以下更に詳しく説明するように下流側プライマーの選 択範囲によっては生成される最下流側の DNA断片 B 3 (図 7) と、 D NA断片 Cとを分離することができる。 これにより、 DNA断片 C、 D NA断片 Eは、 それぞれ E 3、 E 2に特異的なものとなる。 但し、 極め て良好に DNA断片 B 3を DN A断片 Cと分離するには、 第 2の切断位 置より 1 8 5以下の下流の位置 (即ち、 第 2の切断位置より 3 0〜 1 8 5 b p下流の位置) に下流側プライマーの 5, 末端を設定するのが好ま しい。 この位置については更に詳しく後述する。
増幅された DNA断片の切断後に生成される断片長のパターンを、 下 流側プライマーの選択範囲 bを更に図 2に示す如く b 1、 b 2、 b 3の 3つの領域に分けて考えることとする。 ここで、 b 1 と b 2との境界は 第 2の切断位置から下流側 3 5 b pの位置、 b 2と b 3との境界は第 2 の切断位置から下流側 6 6 b pの位置とする。
( 1 ) 領域 b 1から選択する場合 (図 3、 図 4) :
E 2 (第 1の切断位置が切断され、 第 2の切断位置が切断されない) に特異的な DN A断片 Eの長さは (B l + 1 4 5) b p = 1 7 5〜 1 8 0 b pのいずれかとなる。 最下流側の DNA断片 B 1は、 £ 3及び£ 4 (第 2の切断位置が切断される) の場合に生成され、 その長さは 3 O b p〜 3 5 b pのいずれかとなる。 これらの断片は、 長さが 5 0 b p以下 となり短いため、 DN A分離法によっては同定不可能となる。 E 3 (第 1の切断位置及び第 2の切断位置でともに切断される) に特異的な DN
A断片 Cの長さは 1 4 5 b pとなる。 又、 E 4 (第 1の切断位置で切断 されず、第 2の切断位置で切断される)に特異的な DN A断片 Dの長さは (A+ 1 4 5) b pとなる。 このように、 各 Ap o E遺伝子多型に特異 的な DNA断片 C、 D、 Eの長さは互いに重なることはなく、 又 DNA 断片 B 1の長さも、 各 A p o E遺伝子多型に特異的な DNA断.片のいず れにも重ならないので、 A p o E遺伝子多型の判別は容易である。
(2) 領域 b 2から選択する場合 (図 5、 図 6) :
この場合、 E 2に特異的な DN A断片 Eの長さは 1 8 0 b pとなる。
E 3及び E 4の場合に 3 5 b pの D N A断片が生成される。 E 3に特異' 的な DN A断片 Cの長さは 1 4 5 b pとなり、 E 4に特異的な DN A断 片 Dの長さは (A+ 1 4 5) b pとなる。 又、 いずれの A p o E遺伝子 多型においても、 DNA断片 B 2が生成されるが、 その長さは最長でも 2 0 b p以下である (長さが 1 8 b p以下の長さの DNA断片、 或いは 長さが 1 8 b pの断片及び長さが 1 3 b p以下の断片)。 このように、各 A p o E遺伝子多型に特異的な DNA断片 C、 D、 Eの長さは互いに重 なることはなく、又 3 5 b の DNA断片及ぴ DNA断片 B 2の長さも、 各 A p o E遺伝子多型に特異的な D N A断片のいずれにも重ならないの で、 A p o E遺伝子多型の判別は可能である。 尚、 上述のように、 3 5 b の DNA断片及ぴ DNA断片 B 2は、 長さが短いため分離法によつ ては同定不可能となる。
( 3) 領域 b 3から選択する場合 (図 7、 図 8) :
この場合、 E 2に特異的な DN A断片 Eの長さは 1 8 0 b pとなる。
E 3及ぴ E 4の場合に 3 5 b pの D N A断片が生成される。 E 3に特異 的な DN A断片 Cの長さは 1 4 5 b pとなり、 E 4に特異的な DN A断 片 Dの長さは (A+ 1 4 5) b pとなる。 又、 いずれの A p o E遺伝子 多型においても、 1 8 b p、 1 3 b pの DNA断片が生成される。 3 5
b pの DN A断片及び 1 8 b p、 1 3 b pの DNA断片は、 長さが短い ため DNA分離法によっては同定不可能となる。 更に、 いずれの A p o E遺伝子多型においても最下流側 DNA断片 B 3が生成され、 その長さ は最長でも 1 3 6 b p以下 (好ましくは 1 2 0 b p以下) となる。 ここ で、 (a ) DNA断片 B 3が DN A断片 Aと分離可能な場合は、. DN A断 片 Aが E 2及び E 3で生成され、 E 4では生成されないので、 DNA断 片 Aは、 A p o E遺伝子多型の判別の根拠の一つとして利用可能となる。 一方、 (b ) 01^ 断片8 3と DNA断片 Aとが分離可能でない場合、 D N A断片 Aの有無の情報は A p o E遺伝子多型の判定に利用できないが、 1 8 0 b p (DNA断片E)、 1 4 5 b p (DNA断片C)、 (A + 1 4 5 ) b p (D N A断片 D) の DNA断片が、 それぞれ E 2、 E 3、 E 4に特 異的であるので、 これらの有無のみでも A p o E遺伝子多型の判別は可 能、 且つ、 容易である。
本実施例における配列番号 2の下流側プライマーでは、 第 2の切断位 置から 1 0 1 b p下流にプライマーの 5 ' 末端が設定されており、 図 7 に示すように、 最下流側の DNA断片 B 3の長さは 3 5 b pになる。 こ の断片は、 A p o E遗伝子多型の判定に必要な DNA断片の長さ ( 1 8 0 b p、 1 4 5 b p、 (A+ 1 4 5 ) b p ) と重なることがなく、 該下流 側プライマーは、 A p o E遗伝子多型の判定に適切である。
本発明によれば、 DNA断片 Aをも A p o E遺伝子多型の判別の根拠 の一つとして利用し、更には、 DNA断片B、 より詳細には E 2、 E 3、 E 4の全てについて生成する DN A断片 Bの存否及び/又はその量を利 用することによって、 更に A p o E遺伝子多型の検出、 ゲノタイピング の正確性、 信頼性を高めることができる。 以下、 この点について説明す る。
先ず、 本発明によれば、 DNA断片 Aをも A p o E遺伝子多型の判別
の根拠の一つとして利用することができる。 つまり、 DNA断片 Aは E 2及ぴ E 3において生成されるが、 E 4では生成されない。 このため、 DNA断片 Aの存在は、 それぞれ DNA断片 E、 DNA断片 Cの存在と 共に A p o E遺伝子多型の判別の根拠として利用して、 E 2又は E 3の 存在を示す。一方、 DNA断片 Aの非存在は、 E 4を示す。 この.ように、 A p o E遺伝子多型の判定の根拠を増すことにより、 判定の正確性、 信 頼性を向上させることができる。
上述のように、 本発明では、 上流側プライマーは、 第 1の切断位置よ り 6 0 b p以上の上流の位置に 5, 末端を設定する。 即ち、 6 0 b p以 上の上流の位置に設定することで、 DNA断片 Dが、 DNA断片 C、 D N A断片 Eと極めて良好に分離可能であると共に、 DNA断片 Aを、 前 述の A g i l e n t 2 1 0 0、 日立 S V 1 2 1 0、 AB I 3 1 0 0 (或 いは AB 1 3 7 0 0) 等の高解像度の DN A分離方法で良好に分離、 検 出することができる。
この観点からは、 上流側プライマーの 5 ' 末端の位置は、 第 1の切断 位置に対し 7 0 b p以上、 8 0 b p以上と、 より上流に設定するのがよ く、 より好ましくは 9 0以上上流の位置に設定する。 更に好ましくは、 1 0 0 b p以上上流の位置に 5 ' 末端の位置を設定することで、 例えば 従来一般に用いられているァガロースゲル電気泳動によっても断片 Aを 良好に分離し、 検出することができ、 更に広範囲の DN A分離方法にお いて DNA断片 Aをも A p o E遺伝子多型の判別の根拠の一つとして利 用することができる。 更に、 後述するように、 DNA断片 Bの存否及ぴ Z又は量を A p o E遺伝子多型の検出、ゲノタイビングに利用する場合、 DNA断片 Aと DNA断片 Bとの分離性を良好にする観点からも、 上流 側プライマーの 5 ' 末端は、 第 1の切断位置に対しより上流に設定する ことが好ましい。
一方、 上述の如く、 極めて良好に DNA断片 Aと DNA断片 Cとを分 離するには、 第 1の切断位置より 1 2 0以下の上流の位置に上流側ブラ イマ一の 5 ' 末端を設定するのが好ましい。 DNA断片 Cとの分離性を 更に高めるように、 上流側プライマーの 5 ' 末端は、 第 1の切断位置よ り 1 1 0 b p以下の上流の位置とすることも有効である。
次に、 本発明によれば、 E 2、 E 3、 E 4の全てについて生成する D NA断片 Bの存否によって、 制限酵素 (H a e I I ) が効果的に反応し ているか否かを判断し、 P C R産物の消化が適正に行われたか否かの判 断をすることができる。 消化反応が適正に行われたか否かを判断するこ とは、 正確で、 信頼性のある A p o E遺伝子多型の検出、 ゲノタイピン グにとつて重要である。 E 2、 E 3、 E 4の全てについて生成する D N A断片 Bが存在するときに、有効な切断反応の存在を判断する。そして、 有効な切断反応の存在を判断した場合に、 各 DNA断片の存否の組み合 わせから、 A p o E遗伝子多型のゲノタイプを判定するようにすること ができる。 この D N A断片 Bが存在しない場合は、 その検出結果を採用 しない、 或いはゲノタイピング不能であること、 若しくは精度が低下し ていることを判断することができる。
上述のように、 本発明によれば、 下流側プライマーは、 第 2の切断位 置より 3 0 b p以上の下流の位置に 5 ' 末端を設定することで、 DNA 断片 Cと DNA断片 Eとを良好に分離できる。 ここで、 DNA断片 Bを 上記のように消化反応の良否判断の目的で利用する.ことを考えると、 下 流側プライマーは、 好ましくは、 第 2の切断位置より 70以上の下流の 位置に 5 ' 末端を設定する。 これにより、 前述の A g i 1 e n t 2 1 0 0、 日立 SV 1 2 1 0、 AB I 3 1 0 0 (或いは AB 1 3 7 0 0) 等の 高解像度の DNA分離方法を用いるとき、 DNA断片 B 2 (本実施例で は 1 8 b p、 1 3 b pの DNA断片) をこの目的のために好適に利用す
ることができる。 又、 E 2、 E 3、 E 4の全てについて生成する最下流 の DNA断片の長さが DNA断片 B 1 (本実施例では 3 5 b p) と同じ である場合には DN A断片 B 1を DNA断片 B 3と共にこの目的のため に利用することができる。
又、 この目的のためには、 DNA断片の分離、 検出を良好に.行うこと ができるように、 下流側プライマーの 5, 末端の位置を 8 0 b p以上、 9 0 b p以上と、 第 2の切断位置より更に下流側に設定することが好ま しく、 より好ましくは 1 0 0 b p以上の下流の位置に設定する。 これに より、 DNA断片 B 3 (本実施例では 3 5 b pの DNA断片) をこの目 的のために好適に使用することができる。 第 2の切断位置より 1 2 6以 上の下流の位置、 1 3 6 b p以上の下流の位置と、 より下流に下流側プ ライマーの 5 ' 末端を設定することも有効である。
但し、 上述の如く、 極めて良好に DN A断片 B 3を DNA断片 Cと分 離するには、 第 2の切断位置より 1 8 5以下の下流流の位置に下流側プ ライマーの 5, 末端を設定するのが好ましい。 又、 DNA断片 A、 DN A断片 Bを上述の如く利用する場合には、 これら DNA断片 Aと DNA 断片 Bとを分離可能とする (9 b p、 好ましくは 2 0 b p、 より好まし くは 3 0 b p以上の鎖長差を設ける) 必要がある。 このように DNA断 片 Aと DNA断片 Cとの分離性が良好であるように、 下流側プライマー は、 好ましくは、 第 2の切断位置より 1 6 6 b p以下の下流の位置、 よ り好ましくは、 第 2の切断位置より 1 5 6 b p以下の下流の位置に 5, 末端の位置を設定する。
好ましくは、 DNA断片 A、 DAN断片 Bとをそれぞれ上記の目的で 使用する場合、 上流側プライマーの 5 ' 末端は、 第 1の切断位置より 1 0 0 b p以上の上流の位置に設定し、 下流側プライマーの 5 ' 末端位置 は、 第 2の切断位置より 1 5 6 b p以下の下流の位置とする。
つまり、 本発明の一態様によれば、 検出した DNA断片長の存否の組 み合わせから A p o E遺伝子多型のゲノタイプを判定する A p o E遺伝 子多型のゲノタイプ判定方法が提供される。 その一実施態様では、 DN A断片 C (本実施例では 1 4 5 b p)、 DNA断片D (本実施例では 2 5 1 b p ) 及び DNA断片 E (本実施例では 1 8 0 b p ) の存否.を A p o E遺伝子多型のゲノタイプの判定に用い、 ( a )断片 Eのみの存在により E 2/E 2を判定し ; (b ) 断片 Cのみの存在により E 3 /E 3を判定 し ; (c ) 断片 Dのみの存在により E 4/E 4を判定し ; ( d) 断片 E及 び断片 Cのみの存在により E 2/E 3を判定し; ( e ) 断片 D及ぴ断片 E のみの存在により E 2/E 4を判定し; ( f ) 断片 D及び断片 Cのみの存 在により E 3/E 4を判定することができる。
又、 断片 A、 断片 C、 断片 D及び断片 Eの存否を A p o E遣伝子多型 のゲノタイプの判定に用い、 ( a )断片 E及び断片 Aのみの存在により E 2/E 2を判定し;(b )断片 C及び断片 Aのみの存在により E 3 /E 3 を判定し; ( c )断片 Dの存在及び断片 Aの非存在により E 4/E 4を判 定し; ( d) 断片 E、 断片 C及ぴ断片 Aのみの存在により E 2/E 3を判 定し; ( e ) 断片 D、 断片 E及び断片 Aのみの存在により E 2/E 4を判 定し;( f ) 断片 D、 断片 C及び断片 Aのみの存在によりゲノタイプ E 3 /E 4を判定することができる。
そして、 更に、 断片 Bの存在により、 制限酵素による切断段階におけ る有効な切断反応の存在を判断し、 該有効な切断の存在を判断した場合 に、 DNA断片長の存否の組み合わせから A p o E遺伝子多型のゲノタ イブを判定することができる。 断片 Aの存否を A p o E遺伝子多型のゲ ノタイプの判定に用い、 断片 Aの非存在によりゲノタイプ E 4/E 4を 判定することもできる。
ところで、 目的の遺伝子領域を複製する過程において、 ヘテロ二本鎖
(ヘテロデュプレックス)が生じることがある。ヘテロ二本鎖は、特に、
Ap 0 E遺伝子多型のゲノタイプがヘテロの場合 (E 2ZE 3、 E 2/ E 4、 E 3ZE 4)の場合に問題となる。以下この点について説明する。 図 1 6 (a)、 (b)、 ( c ) は、 E 2/E 3、 E 2/E 4 N E 3/E 4 の各ゲノタイプについてヘテロデュプレックスが生じた場合の DN A制 限断片のパターンを本実施例に則して模式的に示したものである (ここ では、 説明の容易化のために最下流の 3 5 b p (01^ 断片83) は無 視する。)。
P C Rの過程で仮に 50 %がヘテロ二本鎖を形成したとすると、 E 2 /E 3ゲノタイプでは、 図 1 6 (a) に示すように、 50 %が E 2 E 3二本鎖 (ヘテロ二本鎖) が 50 %、 E 3 /E 3二本鎖が 25 %、 E 2 /E 2二本鎖が 25 %生成する。 そして、 へテ口二本鎖では第 2の制限 酵素 (H a e I I ) の認識配列が消失し、 第 2の切断位置が切断されな くなる。 その結果、 見かけ上では、 E 2 ( 1 0 6 b p、 1 8 0 b pの D N A断片) が 7 5 %、 E 3 ( 3 5 b p、 1 06 b p、 1 45 b pの DN A断片) が 25 %となる。
又、 E 3 /E 4ゲノタイプでは、 同様に考えると、 図 1 6 ( c ) に示 すようになる。 そして、 ヘテロ二本鎖では第 1の制限酵素 (A f 1 I I
I ) の認識配列が消失し、 第 1の切断位置が切断されなくなる。 その結 果、見かけ上では、 E 4 (3 5 b p、 25 1 b pの D N A断片)が 7 5 %、 E 3 ( 3 5 b p、 1 06 b p、 145 b pの D N A断片) が 25 %とな る。
一方、 E 2ZE 4ゲノタイプでは、 同様に考えると、 図 1 6 ( b ) に 示すようになる。 そして、 ヘテロ二本鎖では第 1及ぴ第 2の酵素 .(A f
I I I I及ぴ H a e I I ) の認識配列が消失し、 第 1及ぴ第 2の位置が 切断されなくなる。 第 2の切断位置より下流の切断位置ではへテロ二本
鎖であっても切断されるので、 E 2/E 4二本鎖 (ヘテロ二本鎖) に特 異的な、 本実施例では 2 8 6 b pの DN A断片 (以下 「ヘテロ二本鎖断 片という。) が生成する。 即ち、 ヘテロ二本鎖断片は、 配列 A、 配列 B及 ぴ配列 Cを含む。 その結果、 見かけ上では、 E 4 (3 5 b p、 2 5 1 b pの DNA断片) が 2 5 %、 E 2 ( 1 0 6 b p、 1 8 0 b pの断片) 力 S 2 5 %、ヘテロ二本鎖断片( 2 8 6 b pの DNA断片)が 5 0%となる。 図 1 7は、 ヘテロ二本鎖の生成をも考慮した場合における本実施例に 即した各ゲノタイプでの DN A断片の分離パターンを模式的に示す。 図 示の通り、 E 2ZE 3では、 1 8 0 b pにへテロ二本鎖の生成による太 いパンドが出現し、 E 2/E 4では 2 8 6 b pにへテ口二本鎖の生成に よる新たなパンドが出現し、 E 3/E 4では 2 5 1 b pにへテロ二本鎖 の生成による太いバンドが出現する。 このことから、 ヘテロ二本鎖断片
( 2 8 6 b pの D N A断片) の出現は、 E 4 / E 4ゲノタイプを示し、 アポリポタンパク E遣伝子多型のゲノタイプ判定の根拠の一つとして利 用することができる。
図 1 7から理解されるように、 本発明によれば、 ヘテロ二本鎖が生成 しても、各 A p o E遗伝子多型の検出、ゲノタイビングが可能であるが、 本発明によれば、 ヘテロ二本鎖の生成をも考慮することで、 更に A p o E遗伝子多型の検出、 ゲノタイピング正確さ、 信頼性を高めることがで きる。 以下、 この点について説明する。
つまり、 本発明によれば、 上述のように、 E 2、 E 3、 E 4の全てに ついて生成する DN A断片 Bの出現によって、 制限酵素が効果的に反応 しているかを判断し、 P C R産物の消化が適正に行われたか否かを判断 することができる。 更に、 この DNA断片 Bの量を定量することによつ て、 消化反応全体に寄与し、 ゲノタイピングの用に供することのできる DN A全量の予測が可能となる。
そして、 E 2、 E 3、 E 4の全てについて生成する DNA断片 Bを定 量した結果に基づいて、 それぞれのゲノタイプに関係付けることのでき る断片 (各.ゲノタイプで出現する特異的な DNA制限断片パターンを構 成するそれぞれの DNA断片)、 特に、 DNA断片 A、 DNA断片 C、 D NA断片 D及びノ又は DNA断片 Eをより正確に評価することが可能と なる。 つまり、 それらの DNA断片の存在をより正確に判断することが できる。 即ち、 DNA断片 A、 DNA断片 C、 DNA断片 D及び Z又は DNA断片 Eを定量し、 その量と、 E 2、 E 3、 E 4の全てについて生 成する DN A断片 Bの量から推定されるそれらの量とを比較する。 これ により、 DNA断片 A、 DNA断片 C、 D N A断片 D及び/又は D N A 断片 Eがその推定量に相当する量存在するときに、 該 DN A断片が出現 したものと判断することができる。
特に、 ヘテロ接合体 (E 2/E 3、 E 2/E 4、 E 3 /E 4 ) につい ては、 E 2、 E 3、 E 4の全てについて生成する DNA断片 Bを定量し た結果に基づいて、 ヘテロ二本鎖の生成割合を求めることができる。 そ して、この D N A断片 Bの量と、ヘテロ二本鎖の生成割合とに基づいて、 それぞれのゲノタイプに関係付けることのできる DNA断片 (各ゲノタ イブで出現する特異的な DN A制限断片パターンを構成するそれぞれの DN A断片)、 特に、 DNA断片 A、 DNA断片 C、 DNA断片 D及び/ 又は DNA断片 Eをより正確に正確に評価することが可能となる。 つま り、 それらの DNA断片の存在をより正確に判断することができる。 即 ち、 DNA断片 A、 DNA断片 C、 D N A断片 D及び/又は D N A断片 Eを定量し、 その量と、 E 2、 E 3、 E 4の全てについて生成する D N A断片 Bの量及びへテロ二本鎖の生成割合から推定されるそれらの量と を比較する。 これにより、 DNA断片 A、 DNA断片 C、 DNA断片 D 及ぴノ又は DNA断片 Eがその推定量に相当する量存在するときに、 該
DN A断片が出現したものと判断することができる。
特に、 各 DN A断片の定量は、 例えば、 前述の日立 S V 1 2 1 0、 A g i 1 e n t 2 1 0 0などの近年開発された D N A分離方法を用いれば、 ピークを定量することで極めて簡単に行うことができる。 自動処理化す ることも比較的容易である。
以下、この方法の一例を説明する。説明の容易化のために、はじめに、 E 2、 E 3、 E 4の全てについて生成する DNA断片 Bとして最下流の DN A断片 B 3を用いるものとし、 且つ、 この DNA断片 B 3が 8 0 b pである場合について説明する。 図 2 0は、 この場合の各ゲノタイプで の DN A断片の分離パターンを模式的に示す。
先ず、ヘテロ二本鎖が生成することのあるへテロ接合体(E 2/E 3、 E 2 /E 4、 E 3/E 4) について説明する。
E 2 /E 3の場合、 テンプレート DNAを E 2 a/E 2 b二本鎖、 E 3 a /E 3 b二本鎖であるとすると、 P CRによる増幅の過程でヘテロ 二本鎖が生成すると、 P CR産物、 生成する D N A制限断片長の組み合 わせ、 それぞれの産物 (DNA制限断片) の量の関係は下記表 1に示す ようになる。 尚、 表には、 増幅された後切断された P CR産物の全量が 1 0 0 p m o 1で、 ヘテロ二本鎖の生成割合が 5 0 %であるとした例を 示す。 又、 図 2 1 (a) に表 1の場合における各 DN A断片の出現量を 示す。
E2/E3 (テンプレー卜: E2a/E2b, E3a/E3b)
PCR産物
(全量 10Opmol,ヘテロ二本鎖 酵素反応後 それぞれの が 50%出現すると仮定する) の DNA断片 産物の量
合計 (pmol) 25 100 100 25 75 図 2 0に示すように、 E 2、 E 3、 E 4の全て、 即ち、 全てのゲノタ イブで 8 0 b pの D NA断片 (D NA断片 B 3 )、 1 8 b p、 1 3 b pの D NA断片 (D NA断片 B 2 ) が出現し、 その数は、 増幅された後に切 断された D NAの数 (以下 「反応 D NA全量」 という。) と同じとなる。 この場合、 8 0 13 の01^ 断片 (D NA断片B 3 ) の量 (測定値) を a ( p m o l )、 1 4 5 b p (D NA断片 C) 又は 3 5 b p (D NA断 片 B 1 ) の D NA断片の量 (測定値) を β ( p m o l ) とすると、 へテ ロニ本鎖の生成割合 X (%) は、
X (%) = ί( α ~ 2 β ) / a ] X 1 0 0
となる。 即ち、 ヘテロ二本鎖に特異的な D NA断片の生成しない E 2Z E 3の場合は、 ヘテロ二本鎖以外の二本鎖のみに由来する各 D N A断片 の量(測定値) (ヘテロ二本鎖以外の二本鎖全体の量はその 2倍と推定で きる。) と、 8 0 b pの D N A断片の量 (測定値) (即ち、 反応 D NA全 量) とから、 ヘテロ二本鎖の生成割合を求める。
そして、 求めたヘテロ二本鎖の生成割合 X (%) と、 8 0 b pのD N A断片 (D NA断片 B 3 ) の量から、 各 D NA断片の量を予測 (推定) することができる。 つまり、 下記、
1 8 O b の (DNA断片 E) の推定量: , {[( 1 00— X) X 0. 0 1] / 2 } α + ( α X X X 0. 0 1 )
145 b ρ (DNA断片 C) の推定量:
{[( 1 00 -X) X 0. 01] / 2 } X a
1 06 b p (DNA断片 A) の推定量:
{[( 1 00 - X) X 0. 0 1 ] / 2 } X 2 X α + ( α X X X 0. 0 1 ) 3 5 b p (DNA断片 Β 1) の推定量:
{[(1 00— X) X 0. 01] / 2 } X a
により各 DN A断片の量を推定することができる。
次に、 E 3/E 4の場合、 テンプレート DNAを E 3 a /E 3 b二本 鎖、 E 4 a ZE 4 b二本鎖であるとすると、 上記 E 2 E 3の場合と同 様に考えた場合、 下記表 2、 図 2 1 ( c ) に示すようになる。
表 2
E3/E4 (テンプレー卜 = E3a/E3b, E4a/E4b)
PGR産物
(全量 100pmol,ヘテロニ本鎮 それぞれの が 50%出現すると仮定する) の DNA断片 産物の量
合計 (pmol) 100100 25 25 75 この場合、 上記 E 3/E 4の場合と同様に考えて、 80 b pのDNA 断片 (DNA断片B 3 ) の量(測定値) を o; (pmo l )、 145 b p (D NA断片 C) 又は 1 06 b p (DNA断片 A) の量 (測定値) を j3 ( p mo 1 ) とすると、 ヘテロ二本鎖の生成割合 X (%) は、
X (%) = ί ( α - 2 β ) / α X 1 00
となる。 そして、 上記 E 2ZE 3の場合と同様に考えて、 各 DNA断片 の推定量は、 下記、
2 5 1 b p (DNADf片 D) の推定量:
{[( 1 0 0— X) X 0. 0 1 ] / 2 } X α + ( α X X X 0. 0 1 ) 1 4 5 b p (DNA断片 C) の推定量:
{[( 1 0 0 - X) X 0. 0 1 ] / 2 } X a
1 0 6 b p (DNA断片 A) の推定量:
{[( 1 0 0— X) X 0. 0 1 ] ノ 2 } X a
3 5 b p (DNA断片 B 1 ) の推定量:
{[( 1 0 0 -X) X 0. 0 1 ] / 2 } X 2 X α + (α XX X 0. 0 1 ) となる。 ·
—方、 Ε 2 Ε 4の場合、 テンプレート D Ν Αを Ε 2 a E 2 b二本 鎖、 E 4 a /E 4 b二本鎖であるとすると、 上記 E 2/E 3、 E 3 /E 4の場合と同様に考えた場合、 下記表 3、 図 2 1 (b ) に示すようにな る。
i 3
E2/E4 (テンプレー卜: E2a/E2b, E4a/E4b)
PCR産物
(全量 "!OOpmol,ヘテロ二本鎖 酵素反応後 それぞれの が 50%出現すると仮定する) の DMA断片 産物の量
E2a/E2b E2/E2 (δθ]ίΐ06|ΐ180Ι 25pmol E4a/E4b E4/E4 35 80 251 25pmol
E2a/E4b ヘテロ
E2b/E4a '二本鎖 L [286l50pmol 合計 (pmol) 25100 25 25 25 50 図 2 0に示すように、 上記 E 2ZE 3、 E 3 ZE 4の場合と同様、 全 てのゲノタイプで 8 0 b pの DN A断片 (D NA断片B 3)、 1 8 b p、
1 3 b pの D NA断片 (D NA断片 B 2 ) が出現し、 その数は、 反応 D NA全量と同じとなる。
そして、 この場合、 8 0 b pの D NA断片 (0 断片8 3 ) の量(測 定値) を α ( p m ο 1 )、 2 8 6 b p (ヘテロデュプレクス断片) の量(測 定値) を γ ( p m o 1 ) とすると、 ヘテロ二本鎖の生成割合 X (%) は、
X (%) = γ / α Χ 1 0 0
となる。 即ち、 ヘテロ二本鎖に特異的な断片の生成する Ε 2 /Ε 4の場 合は、 ヘテロ二本鎖のみに由来する D NA断片の量 (測定値) と、 8 0 b pの D NA断片 (DNA断片 B 3 ) の量 (測定値) (即ち、 反応 D NA 全量) とから、 ヘテロ二本鎖の生成割合を求めることができる。
或いは、 上記 E 2 /E 3の場合と同様に考えて、 8 0 b pの D NA断 片 (D N A断片 B 3 ) の量 (測定値) を a、 2 5 1 b p (D NA断片D)、 1 8 0 b p (D NA断片E) 又は 1 0 6 b p (D NA断片 A) の量 (測 定値) を βとすると、 ヘテロ二本鎖の生成割合 X (%) は、
X (%) = [( a - 2 β ) ] X 1 0 0
と ぶる。
そして、 各 D NA断片の推定量は、 下記、
2 5 1 b p (D NA断片 D) の推定量:
{[( 1 0 0 - X) X 0. 0 1 ] / 2 } X a
1 8 0 b p (D NA断片 E) の推定量:
{[( 1 0 0 — X) X 0. 0 1 ] / 2 } X a
1 0 6 b p (D NA断片 A) の推定量:
{[( 1 0 0 - X) X 0. 0 1 ] / 2 } X a
3 5 b p (D NA断片 B 1 ) の推定量:
{[( 1 0 0 - X) X 0. 0 1 ] / 2 } X a
となる。
以上のようにして、 ヘテロ接合体についての各 DN A断片の量を推定 することができる。 そして、 各 DN A断片の定量値 (測定値) 力 その 推定量に整合する場合、即ち、推定量に相当する量だけ存在するときに、 該 DNA断片が出現したものと判断することができる。 尚、 推定量との 誤差がどの程度の場合に該 DNA断片が出現したものと判断するかは、 適宜、 選定することができる。
尚、 上述では、 E 2、 E 3、 E 4の全てについて生成する DNA断片 Bとして、 8 0 b pのDNA断片 (DNA断片 B 3) を用いた場合を例 に説明したが、 同様にして、 1 8 b p、 1 3 b pの DNA断片 (DNA 断片 B 2) を用いることもできる。
又、 ヘテロ二本鎖が問題になるのはへテロ接合体の場合であるが、 ホ モ接合体の場合においても、 上述したように、 E 2、 E 3、 E 4の全て について生成する DN A断片 Bを定董した結果に基づいて、 それぞれの ゲノタイプに関係付けることのできる DNA断片、特に、 DNA断片 A、 DNA断片C、 D N A断片 D及ぴ Z又は' DNA断片 Eの存在をより正確 に判断することができる。
つまり、 上記へテロ接合体の場合と同様に、 増幅された後切断された P C R産物の全量が l O O p mo lであると仮定した場合の、 各ゲノタ イブで生成する各 DNA断片の量 (推定量) を図 2 2に示す。 酵素処理 後には、 P C Rで増幅された後切断された DN Aの数(反応 DNA全量)' と同じだけ、 1 3 b p、 1 8 b p、 8 0 b pの DNA断片が生成される。 そして、 E 2/E 2、 E 3/E 3、 E 4 /E 4のサンプルではへテ口二 本鎖が生成されないため、 E 2/E 2では 1 0 6 b p、 1 8 0 b pの断 片、 E 3/E 3では 3 5 b p、 1 0 6 b p、 1 4 5 b pの断片、 E 4/ E 4では 3 5 b p、 2 5 1 b pの断片が、 この D N A断片の数と同じだ け生成される。 このように、 ホモ接合体についても、 各 DNA断片の量
を推定することができる。そして、各 DN A断片の定量値(測定値) 力 その推定量に整合する場合、 即ち、 推定量に相当する量だけ存在すると きに、 該 DNA断片が出現したものと判断することができる。
次に、 最下流の DNA断片 B 3の長さが DNA断片 B 1 (本実施例で は 3 5 b p) と同じである場合について説明する。 この場合、 E 2、 E 3、 E 4の全てについて生成するこの鎖長の DNA断片 B (DNA断片 8 1及ぴ 3) を定量した結果に基づいてヘテロ二本鎖の生成割合、 各 DN A断片の推定量を求めることができる。 以下この場合について本実 施例に則して説明する。 この場合の各ゲノタイプでの DNA断片の分離 パターンは、 前述のように、 図 1 7に示すようになる。
先ず、ヘテロ二本鎖が生成することのあるへテロ接合体(E 2/E 3、 E 2/E 4、 E 3/E 4) について説明する。
E 2/E 3の場合、 テンプレート DNAを E 2 a / E 2 b二本鎖、 E 3 a /E 3 b二本鎖であるとすると、 P C Rによる増幅の過程でへテ口 二本鎖が生成すると、 P CR産物、 生成する D N A制限断片長の組み合 わせ、 それぞれの産物 (DNA制限断片) の量の関係は下記表 4に示す ようになる。 尚、 表には、 増幅された後切断された P C R産物の全量が 1 0 0 p m o 1で、 ヘテロ二本鎖の生成割合が 5 0 %であるとした例を 示す。 又、 表中、 便宜的に、 3 5 b pの DNA断片の鎖長は、 DNA断 片 B 1 (E 3、 E 4において生成) を 3 5 ( a ) b p、 DNA断片 B 3 (E 2、 E 3又は E 4の全てで生成) を 3 5 ( b ) b pとして区別して いる。 そして、 図 1 8 (a) に、 表 1の場合における各 DNA断片の出 現量を示す。
表 4
E2/E3 (テンプレー卜: E2a/E2a, E3a/E3a)
PCR産物
(全量 100pmol,ヘテロ二本鎖 酵素反応後 それぞれの
合計 (pmol) 125 100 25 75
'図 1 7から分かるように、 3 5 b pの DNA断片は、 E 2、 E 3、 E 4の全て、 即ち、 全てのゲノタイプで出現する。 但し、 その量には、 上 述の DNA断片 B 1由来のものと、 D N A断片 B 3由来のものとが含ま れている。
この場合、 3 5 b pの DNA断片の量 (測定値) を a, (p m o 1 )、 1 4 5 b p (DNA断片 C) の DNA断片の量 (測定値) を β ( p m o 1 ) とすると、 ヘテロ二本鎖の生成割合 X (%) は、
X (%) = [( α, - 3 jS ) / ( a, 一 ]3 )] X 1 0 0
となる。 即ち、 E 2 /E 2二本鎖及びへテロ二本鎖からは DN A断片 B 3 (表中 3 5 ( b )) のみが生成するが、 E 3/E 3二本鎖からは DN A 断片 B 1 (表中 3 5 ( a )) 及ぴ DNA断片 B 3 (表中 3 5 (b )) が生 成する。 この E 3/E 3二本鎖から生成する DNA断片 B 1 (表中 3 5 ( a ))) の量は、 E 3ZE 3二本鎖のみから生成する 1 4 5 b pの DN A断片 (DNA断片 C) の量と同じである (表中 3 5 (b ) も同じ量で ある) ので、 3 5 b pの DNA断片の量 (α,) から ]3を差し引いたもの が、反応 DN A全量となる。つまり、 3 5 b pの DNA断片の量 α ' は、 表 1を参照して説明した例における (α + β ) に相当する。
そして、 求めたヘテロ二本鎖の生成割合 X (%) と、 :3 5 の0 A断片 (D NA断片 B 3 ) の量から、 各 D NA断片の量を予測 (推定) することができる。 つまり、 下記、
1 8 0 b pの (D NA断片 E) の推定量:
{[( 1 0 0 — X) X 0. 0 1 ] / 2 } X ( α.' 一 β ) + [( a ' - β ) X X X 0. 0 1 ]
1 4 5 b p (D NA断片 C) の推定量:
{[( 1 0 0 - X) X 0. 0 1 ] / 2 } X ( a, ― β )
1 0 6 b p (D NA断片 A) の推定量:
{[( 1 0 0 — X) X 0 · 0 1 ] / 2 } X 2 X ( a ' ― β )
+ [( α ' - β ) X X X 0. 0 1 ]
により各 D NA断片の量を推定することができる。
次に、 E 3 /E 4の場合、 テンプレート D NAを E 3 a /E 3 b二本 鎖、 E 4 a /E 4 b二本鎖であるとすると、 上記 E 2 /E 3と同様に考 えた場合、 下記表 5、 図 1 8 ( c ) に示すようになる。
衣 o
E3/E4 (テンプレー卜: E3a/E3b, E4a/E4b)
PGR産物
(全量 100pmol,ヘテロ二本鎖 酵素反応後 それぞれの
合計 (pmol) 200 25 25 75 この場合、 3 5 b pの D NA断片の量 (測定値) を α,, ( p m ο 1 )、 1 4 5 b p (D NA断片 C) の D NA断片の量 (測定値) を ]3 ( p m o
1 ) とすると、 ヘテロ二本鎖の生成割合 X (%) は、
X (%) = [ ( a " / 2 ) - 2 J3 ] / ( a " / 2 )] X 1 0 0
となる。 即ち、 E 3 /E 3二本鎖、 E 4 ZE 4二本鎖及ぴヘテロ二本鎖 の全てから、 D NA断片 B 1 (表中 3 5 ( a )) 及ぴ D NA断片 B 3 (表 中 3 5 ( b )) が生成する。 従って、 3 5 b pの DNA断片の量 (α,,) の 1 Ζ 2が反応 D Ν Α全量となる。 つまり、 3 5 b pの D NA断片の量 α " は、 表 2を参照して説明した例における 2 ひに相当する。
そして、 上記 Ε 2 ΖΕ 3の場合と同様に考えて、 各 D NA断片の量の 推定量は、 下記、
2 5 1 b p (D N A断片 D) の推定量:
{[( 1 0 0 - X) X 0. 0 1 ] / 2 } X ( α " / 2 ) + [( α " / 2 ) X X X 0. 0 1 ]
1 4 5 b p (D NA断片 C) の推定量:
{[( 1 0 0 - X) X 0. 0 1 ] / 2 } X ( α " / 2 )
1 0 6 b p (D NA断片 A) の推定量:
{[( 1 0 0— X) X 0. 0 1 ] / 2 } X ( α ' ' / 2 )
となる。
一方、 Ε 2 /Ε 4の場合、 テンプレート D NAを Ε 2 a /Ε 2 b二本 鎖、 E 4 a /E 4 b二本鎖であるとすると、 上記 E 2 " E 3、 E 3 /E 4の場合と同様に考えた場合、 下記表 6、 図 1 8 ( b ) に示すようにな る。
表 6
E2/E4 (テンプレー卜 = E2a/E2b, E4a/E4b)
PCR産物
(全量 100pmol,ヘテロ二本鎖 酵素反応後 それぞれの
合計 (pmol) 125 25 25 25 50 この場合、 3 5 b pの D N A断片の量を a, (p m o l )、 2 5 1 b p の D N A断片 (或いは 1 0 6 b p、 1 8 0 b pのそれの D N A断片) の 量を β、 2 8 6 b ρ (ヘテロデュプレクス断片) の量を γ (pm o l ) とすると、 ヘテロ二本鎖の生成割合 X (%) は、
X (%) = γ / (a ' - β ) X 1 0 0
となる。 即ち、 Ε 2 /Ε 2二本鎖及びへテロ二本鎖からは DN Α断片 Β 3 (表中 3 5 ( b )) のみが生成するが、 E 4/E 4二本鎖からは、 DN A断片 B 1 (表中 3 5 (a )) 及び DNA断片 B 3 (表中 3 5 (b )) が 生成する。 この E 4/E 4二本鎖から生成する DNA断片 B 1 (表中 3 5 (a ))) の量は、 E 4/E 4二本鎖のみから生成する 2 5 1 b pの D N A断片 (或いは、 E 2 /E 2二本鎖からのみ生成する 1 0 6 b p、 1 8 0 b pのそれの D N A断片) の量と同じであるので、 3 5 b pの DN A断片の量 ') .から ]3を差し引いたものが、 反応 DNA全量となる。 つまり、 3 5 b pの DN A断片の量ひ, は、 表 3の場合の (α + ]3) に 相当する。
或いは、 上記 Ε 2 /Ε 3の場合と同様に考えて、 3 5 b pの DNA断 片の量を α '、 2 5 1 b p (DNA断片 D)、 1 8 0 b p (DNA断片 E)
又は 1 0 6 b p (DNA断片 A) の量を ;3とすると、 ヘテロ二本鎖の生 成割合 X (%) は、
X (%) = [(«, — 3 0 ) / ( a, - J3 )] X 1 00
となる。
そして、 求めたヘテロ二本鎖の生成割合 X (%) と、 3 5 b.pのDN A断片の量から、 各 DNA断片の量を予測 (推定) することができる。 つまり、 下記、
2 5 1 b p (DNA断片 D) の推定量:
{[( 1 00 - X) X 0. 0 1 ] / 2 } X ( a ' ― β )
1 80 b p (DNA断片 E) の推定量:
{[( 1 00 -X) X 0. 0 1 ] / 2 } X ( a ' - β )
1 06 b p (DNA断片 A) の推定量:
{[( 1 00 -X) X 0 · 0 1] / 2 } X ( a, - β )
により各 DN Α断片の量を推定することができる。
以上のようにして、 ヘテロ接合体についての各 DN A断片の量を推定 することができる。 そして、 各 DN A断片がその推定量に相当する量だ け存在するときに、 該 DN A断片が出現したものと判断することができ る。
又、 ホモ接合体の場合は、 次のようになる。 増幅された後切断された P C R産物の全量が l O O pmo lであると仮定した場合の、 各ゲノタ イブで生成する各 DNA断片の量 (推定量) を図 1 9に示す。 E 2/E 2については、 酵素処理後には、 P C Rで増幅された後切断された DN Aの数 (反応 DNA全量) と同じだけ、 3 5 b pの DNA断片が生成さ れる。 一方、 E 3/E 3、 E 4ZE 4については、 P CRで増幅された 後切断された DNAの数 (反応 DNA全量) の 2倍、 3 5 b pのDNA 断片が生成される。
そして、 E 2,E 2、 E 3/E 3 , E 4 / E 4のサンプルではへテロ 二本鎖が生成されないため、 E 2ZE 2では 1 0 6 b p、 1 8 0 b の 断片が、 この DNA断片の数と同じだけ生成される。 一方、 E 3 /E 3 では 1 0 6 b p、 1 4 5 b pの断片が 3 5 b pの DNA断片の 1 / 2だ け生成し、 E 4ZE 4では 2 5 1 b pの断片が 3 5 b pの D N.A断片の 1 2だけ生成される。 このように、 ホモ接合体についても、 各 DNA 断片の量を推定することができる。 そして、 各 DNA断片がその推定量 に相当する量だけ存在するときに、 該 DN A断片が出現したものと判断 することができる。
ところで、 図 2 7は、 上記非特許文献 1 0に開示される方法による A p o E遺伝子多型の各ゲノタイプでの DN A断片の分離パターンを模式 的に示す。 上述のように、 この方法では、 ゲノム DN Aから下記のプラ イマ一対、
F 5, -T C CAAGGAG C TG CAGG C GG C G CA
R 5 ' -G C C C C GG C C TGGTACAC T G C CA
を用いて A p o E遺伝子特異的な領域を増幅し、 2種類の制限酵素 A f 1 I I I、 H a e I Iを用いて断片化する。 そして、 図 2 7に示すよう に、 それぞれ E 3、 E 2、 E 4に特異的な 1 4 5 b p、 1 6 8 b p、 1 9 5 b pの D N A制限断片が得られる。
しかしながら、 上記非特許文献 1 0は、 E 2及ぴ E 3で出現し、 E 4 で出現しない最上流の DNA断片を A p o E遺伝子多型の判別の根拠と して用いることについては何ら言及していない。
又、 この方法では、 全てのゲノタイプで生成する DN A断片はなく、 いずれかの D N A断片の存否によって P C R産物の消化が適正に行われ たか否かの判断をすることは不可能である。 又、 同様に、 全てのゲノタ イブで生成する DN A断片はないので、 いずれかの DN A断片の量を定
量することによって、 複製された後制限酵素で切断され、 ゲノタイピン グの用に供することのできる DN Aの全量を予測することができない。 従って、 ヘテロ二本鎖の発生割合を求めることも不可能である。
又、 上記非特許文献 1 0の方法では、 未消化フラグメント (2 1 8 b p ) 力 E 2/E 4の場合に生成し得るヘテロ二本鎖 ( 2 1 8 b p ) と 同じであるため、 ヘテロ二本鎖が生成したのか、 酵素反応が起こってい るのかどうかの確認することはできない。 そのため、 タイピングを誤る 可能性がある。 これに対して、 本発明によれば、 E 2、 E 3、 E 4の全 てについて生成する D N A断片 Bの存否により P C R産物の適正な消化 が行われたか否かを判断できるのに加え、 E 2/E 4の場合には、 酵素 が反応した場合、 P C R産物の断片 (図 1 7に示す例では 3 5 2 b p、 図 2 0の例では 3 9 7 b p ) は必然的に切断され、 短い断片 ( 2 8 6 b p ) の出現によって反応が進んでいることを容易に確認できる。
つまり、本発明に従う A p o E遗伝子多型のゲノタイプ判定方法では、 更に、 0 £遺伝子多型£ 2、 E 3、 E 4の全てについて生成する断 片 B (図 1 7の例では 3 5 b p、 1 8 b p若しくは 1 3 b p、 図 2 0の 例では 8 0 b p) を定量した結果に基づいて、 断片 A、 断片 C、 断片 D 及び/又は断片 Eの存否を判断することができる。 更に、 該断片 Bを定 量した結果に基づいて求めたヘテロ二本鎖の生成割合に基づいて、 断片 A、 断片 C、 断片 D及び 又は断片 Eの存否を判断することができる。 尚、 ヘテロ二本鎖 (図 1 7、 2 0の例では 2 8 6 b p ) の存否を A p o E遺伝子多型のゲノタイプの判定に用いることができ、 該ヘテロ二本鎖 の存在によりゲノタイプ E 2/E 4を判定することができる。
以上、 本発明によれば、 A p o E遺伝子多型の検出、 ゲノタイピング の正確性、 信頼性を更に向上させることについて説明した。
尚、 蛍光物質などの標識物質によってプライマーを修飾することに'よ
り、その標識物質を利用した DNA断片の分離、同定方法も可能である。 本発明に係る A p o E遺伝子多型の検出試薬は、 一実施態様では、 上 記 A p o E遺伝子に特異的なプライマー対を含む増幅試薬である。 増幅 試薬は更に、 耐熱性 DN Aポリメラーゼ、 d NT P ( d AT P d GT P、 d TT P、 d C T P)、 緩衝液のいずれか若しくは全てを含んでいる か、 又は組み合わされた試薬セットとされていてよい。 詳しくは後述す るように、 所望に応じて d NT Pは、 標識物質 (例えば蛍光物質) で標 識されていてもよい。 使用し得る耐熱性 DN Aポリメラーゼとしては、 T a qポリメラーゼ、 K O Dポリメラーゼ、 V e n tポリメラーゼなど の耐熱性ポリメラーゼが挙げられる力 S、上記プライマー対(配列番号 1、 2) を用いる場合には、 T a qポリメラーゼが好適である。 緩衝液は、 使用される耐熱性 DN Aポリメラーゼに応じて選択すればよい。 増幅試 薬は更に、 塩、 保存料 (例えば、 防腐剤 (アジ化ナトリゥム等)、 酸化防 止剤)、 DMS O、 ホルムアミ ド、 ベタイン、 ゼラチンなどの適当な添加 成分のいずれか若しくは全てを含んでいるか、 又は組み合わされた試薬 セッ トとされていてよい。 増幅試薬に含まれる若しくは組み合わされる 諸成分の選択、 濃度等の条件については、 当業者は通常行う実験などを 通して適宜選択することができる。
本発明に係る A p o E遺伝子多型の検出試薬は、 他の実施態様では、 上記所定の制限酵素を含む消化試薬である。 この消化試薬は更に、 緩衝 液を含んでいるか、 若しくは組み合わされた試薬セッ トとされていてよ い。 緩衝液は、 使用する制限酵素に応じて選択されるが、 制限酵素が A f 1 I I I、 H a e I Iの組合せであるとき、 中または高塩濃度緩衝液 を好適に使用することができる。消化試薬は更に、塩、保存料(例えば、 防腐剤 (アジ化ナトリウム等)、 酸化防止剤)、 B SA、 グリセロール、 ジチオスレィ トール (DTT) などの適当な添加成分のいずれか若しく
は全てを含んでいるか、 又は組み合わされた試薬セッ トとされていてよ い。 消化試薬に含まれる若しくは組み合わされる諸成分の選択、 濃度等 の条件については、 当業者は通常行う実験などを通して適宜選択するこ とができる。
更に、 他の実施態様では、 Ap o E遺伝子多型の検出試薬は、 上記増 幅試薬、 消化試薬とが組み合わされた試薬セッ トとされていてもよい。 本発明に係る Ap o E遺伝子多型検出方法は、 (1)試料から抽出され たゲノム DN Aをテンプレートとして、 A p o E遺伝子に特異的なプラ イマ一対を用いて P CR法によって Ap o E遺伝子の多型領域を增幅し、 (2)増幅された DN Aを所定の制限酵素を用いて切断し、 (3)切断し た DN A制限断片'を分離し、 分離された DN A制限断片を検出する各段 階を含む。 更に、 本発明に係る A p o E遗伝子多型検出方法は、 (4) 検 出した DN A断片長の組合せから A p o E遺伝子多型のゲノタイビング を行う段階を含んでいてよい。
試料は、 ゲノム DN Aを抽出することが可能であれば何を用いても構 わない。 例えば、 末梢血液、 毛根、 爪、 口腔粘膜などが例示される。 好 ましくは末梢血液である。
試料からのゲノム DNAの抽出方法としては、 如何なる手法をも用い 得るが、 例えば、 市販の DNA精製キッ トを用いて、 試料としての末梢 血液から白血球を分離し、 該白血球から市販の DNA精製キットを用い てゲノム DN Aを抽出することができる。 この目的に好適に使用し得る D N A精製キッ トカ S、 Wizard Plus Midipreps DNA Purification System としてプロメガ社から市販されている。 このキッ トを用いた D NA抽出の操作には 3〜4時間ほど要する。 一方、 ボイリング法と呼ば れる D N A抽出方法(例えば、 Applied Biosystems社の PrepMan Ultra Reagent) を用いれば 20分ほどで P C R法においてテンプレートとす
るのに十分な量のゲノム DN Aが得られる。
A p o E遺伝子の多型領域は、 一般的にサーマルサイクラ一と呼ばれ る DNA増幅装置を用いて P CR法によって増幅することができる。 ゲ ノム DN Aをテンプレートとして用いる場合、 ゲノム DN A 2本鎖を加 熱して変性し、 1本鎖にする (変性)。 次に、 増幅したい特定部位の DN A鎖の両端に相補的な 2種類のオリゴヌクレオチドプライマ一 (プライ マー対) を反応系に過剰に加えた状態で温度を下げると、 プライマーが DN A鎖の相補的な部位と 2本鎖を形成する (アニーリング)。 この状態 で D N A合成基質のデォキシヌクレオシド 3 リン酸 ( d N T P ) と DN Aポリメラーゼを作用させると、 ポリメラーゼはプライ.マー部位から D NA相補鎖を合成していく (伸長反応)。 引き続き、 得られた 2本鎖を加 熱して 1本鎖として、 プライマーのアニーリング、 伸長反応を行い、 再 度得られた 2本鎖を 1本鎖とする反応を繰り返す。
P CR反応条件、 即ち、 P CR反応混合物に含まれるテンプレート D NA、 プライマー対、 dNTP、緩衝液、 DNAポリメラーゼ等の種類 · 量 (濃度)、 或いは変性、 アニーリング、 伸長反応を行う温度《時間、 サ イクル数は、 適宜選択事項である。 本発明に従い、 上記新規なプライマ 一対 (配列番号 1、 配列番号 2) 及び T a qポリメラーゼを用いて、 P CR法でゲノタイピングに必要十分量の D N Aを好適に得ることのでき る一実施例を後述する。
本発明の好ましい一実施態様では、 配列番号 1、 2のプライマーを用 いて増幅された A p o E遺伝子の多型領域は、 2種類の制限酵素、 より 具体的には、 上記制限酵素 A f 1 I I I、 H a e I Iの組合せを用いて 切断する。 斯かる切断は、 当該制限酵素の組合せにおいて最適な条件、 即ち、 2種類の制限酵素が好適に作用し、 R F L Pによるゲノタイピン グを行うのに十分に A p o E遺伝子の多型領域が切断される反応条件
(反応混合物に含まれる成分の種類 ·量 (濃度)、 反応温度、 反応時間な ど) にて行う。 本発明者らの検討により最適と思われる一実施例を後述 する。
得られた DNA制限断片は、 好ましい一実施態様では、 電気泳動で分 離する。 そして、 分離された DNA制限断片は、 使用する電気泳動法に 応じた方法により検出する。
上述のように、 本発明によれば、 上記新規なプライマー対、 及び上記 本発明に従う制限酵素、特に 2種類の制限酵素の組合せ(A f 1 1 1 1、 H a e I I ) を用いることにより、 非特許文献 5に記載の制限酵素 H h a Iを用いた場合よりも長い DN A制限断片が得られる。より詳細には、 本発明によれば、 それぞれのァポリポタンパク E遺伝子多型に特異的な 略 1 0 0 b p以上の DNA制限断片が生成し、 更に詳しくは、 好ましい 一実施態様では、 上記第 1の切断位置と第 2の切断位置との間の長さ以 上、即ち、 1 44 b p以上の DNA制限断片が生成する。 これによつて、 DNA分離方法として、 典型的には、 斯界にて通常用いられ、 且つ、 安 価な D N A分離方法であるァガロースゲル電気泳動を用いても、 高解像 度にて D N A制限断片を分離することができる。 ァガロースゲル電気泳 動では、 種々の染色法のうち例えば、 染色剤としてのェチジゥムプロマ ィ ドで染色し、 紫外線を照射することにより、 分離された DNA制限断 片を検出することができる。
又、 上記新規なプライマー対、 及び上記本発明に従う制限酵素、 特に 2種類の制限酵素の組合せ (A f 1 I I I、 H a e I I ) を用いること により、 上記同様の理由から、 前述の A g i l e n t 2 1 0 0、 日立 S V 1 2 1 0, AB I 3 1 0 0 (或いは AB I 3 7 0 0) 等の多様な DN A分離方法を用い、 高解像度にて DNA制限断片を分離、 検出すること ができる。
A g i l e n t 2 1 0 0の電気泳動用セットは、 ガラスチップ上にサ ンプル等の装填用穴と微細な溝とが設けられたマイクロチップ [ D N A L a b C h i p (登録商標)] 及び所定の試薬キットと共に用い、 又日立 SV 1 2 1 0は、 樹脂チップ上にサンプル等の装填用穴と微細な溝とが 設けられたマイクロチップ [ i 一チップ]及び所定の試薬キッ ト(ゲル、 染色試薬、 内部標準等) と共に用い、 所定の手順に従って所定の試薬及 びサンプルをマイクロチップに装填して装置本体にセッ トすることで、 マイク口チップ上の分離部へのゲルの充填、複数のサンプルの電気泳動、 パンドの検出、 データ出力を自動で行うことができる。 分離された DN A制限断片は、 染色剤の蛍光により検出される。 A g i 1 e n t 2 1 0 0は 1 2サンプルを約 3 0分で、 又日立 S V 1 2 1 0は 1 2サンプルを 約 5分で分析する。
又、 A B I 3 1 0 0 (或いは A B I 3 7 0 0) は、 キヤピラリーと呼 ばれる微小径ガラス管に充填したポリマー中で電気泳動を行うキヤビラ リ一電気泳動法を利用し、 サンプルの蛍光によりバンドを検出するシス テムであり、 所定のキャピラリーアレイ、 セパレーションボリマー及び 試薬キッ トと共に用いることで、 キヤビラリ一へのポリマー充填、 複数 のサンプルの電気泳動、 パンドの検出、 データ出力を自動で行うことが できる。 AB I 3 1 00は、 使用するキヤビラリアレイに応じて、 約 1 時間〜数時間で複数サンプルを分析する。
本発明によれば、 非特許文献 5に記載の制限酵素 Hh a Iを用いた方 法では極めて困難であった、 これら近年開発された種々の DNA分離方 法の利点を活用することが可能になり、 DN A制限断片の分離、 検出の 迅速化、 大量処理化、 又自動化が可能になった。 更に、 これら近年開発 された DN A分離方法においては、サンプル、試薬等の微量化が図れる。 又、 本発明によれば、 上述したように、 DNA断片 Aをも A p o E遺
伝子多型の判別の根拠の一つとして利用し、 更には、 DNA断片Bの存 否及び/又はその量を利用することによって、 更に Ap o E遺伝子多型 の検出、 ゲノタイピングの正確性、 信頼性を高めることができる。 これ らは、 前述の A g i l e n t 2 1 0 0、 日立 S V 1 2 1 0、 AB I 3 1 0 0 (或いは AB I 3 7 0 0) 等の近年開発され DN A分離方法では、 極めて良好且つ簡便に行うことができ、 自動化を図ることもできる。 勿論、 所望によりポリアクリルアミ ドゲル電気泳動によって DN A制 限断片を分離、 検出することもできる。
検出された DN A制限断片の分離パターン (検出された DN A断片長 の存否の組み合わせ) から、 A p o E遺伝子多型のタイピングを行う。
DN A制限断片の分離パターンから A p o E遺伝子多型のゲノタイピン グを行う段階をコンピュータ処理により自動化してもよい。 更に、 ロボ ット化等により自動化を進めてもよい。 この場合、 Ap o E遺伝子多型 の各ゲノタイプについて既知の DNA制限断片の分離パターンと、 サン プルについて得られた DNA制限断片の分離パターンとを比較し、 サン プルをいずれかの A p o E遺伝子多型のゲノタイプに関係付ける出力を 行うようにすればよいことは当業者にとって自明である。
即ち、 上述の本発明の A p o E遺伝子多型のゲノタイプ判定方法は、 記憶部、 演算処理部、 出力部を備える一般的なコンピュータで実行可能 なプログラムとして提供することができる。即ち、該プログラムにより、 演算処理部は、 本発明の本発明の A p o E遺伝子多型検出方法に従って 検出した各 DN A断片長の存否の組み合わせと、 記憶部に記憶された既 知の A p o E遺伝子多型の各ゲノタイプの同組み合わせとを比較し、 上 記本発明の判定方法に従って、 サンプルの A p o E遺伝子多型のゲノタ イブを、 いずれかのゲノタイプに関係付ける。 そして、 こうして関係付 けた結果を、 コンピュータの画面、 記録紙等に出力させる。
又、 演算処理部は、 上述のように、 E 2、 E 3、 E 4の全てについて 生成する D N A断片 Bの存否によって制限酵素が効果的に反応している かを判断し、 その結果に応じてサンプルの A p o E遺伝子多型のゲノタ イブを判定するか、 若しくは検出結果を採用しない等の判断を行うこと ができる。 又は、 演算処理部は、 上述したように、 この D N A.断片 Bの を定量した結果 (或いは、 この D N A断片 Bを定量した結果に基づくへ テロ二本鎖の生成割合) から、 各 D N A断片の推定量を算出し、 該推定 量とそれぞれの D N A断片の測定値とを比較することで、 測定値が推定 量と適宜選定可能な所定の精度範囲で整合するか否かを判断することが できる。 そして、 推定量と測定値とが整合した D N A断片についてその D N A断片の存在を判断して、 各 D N A断片の存否の組み合わせから、 サンプルの A p o E遺伝子多型のゲノタイプを判定することができる。 本発明に従ってヒ ト検体からの試料について A p o E遺伝子多型のゲ ノタイビングを行うことにより、 A p o E遗伝子多型と関連する疾患の 診断、治療のために、迅速、且つ、正確な情報を提供することができる。 例えば、 上述のように、 A p o E遗伝子多型の 1つである E 4は、 アル ッハイマー病、高脂血症、高リボタンパク血症、高コレステロール血症、 心血管疾患 (ァテローム性動脈硬化、 虚血性心疾患、 脳血管障害など)、 睡眠時無呼吸症候群の非常に強い危険因子であることが知られている。 従って、 A p o E遗伝子多型のゲノタイビングを行うことにより、 より 詳細には、 例えば対象検体が A p o E遺伝子多型の E 4ァリルを 1つ有 するのか、 2つ有するのか、 或いは有していないのかを迅速、 且つ、 正 '確に検出することによって、 これらアルツハイマー病、 心血管疾患など の予診が可能である。
特に、 上述のような近年開発された種々の D N A分離方法によれば、 分析作業の自動化、 大量処理化が可能となるので、 個々のサンプルのゲ
ノタイビングに要する.時間を短縮すると共に、 多くの検体からのサンプ ルを一度に大量に処理することができ、 診断、 治療に極めて有用な情報 を、 正確、 且つ、 迅速に提供することができる。
以下、 本発明に係る A p o E遺伝子多型検出方法を実施例を通して更 に詳しく説明する。 以下の説明において、 特に言及しない限り、 用いら れる器具、 試薬は斯界にて一般的なものである。 又、 特に言及しない限 り、以下で行われる実験操作も標準的なものと特に変わるところはない。 実施例 1
[DNA抽出]
先ず、 ヒ ト検体の血液を試料として、 白血球由来のゲノム DNAを抽 出する。 ここでは、 プロメガ社の DN A精製キッ トである Wizard Plus Mi ipreps DNA Purification Systemを用いて、 末梢血液力 sら曰皿球 ¾ 分離し、 その白血球からゲノム DNAを抽出した。 各検体毎に、 P CR 法による A p o E遺伝子の多型領域の増幅に十分量のゲノム DN Aを抽 出した。 抽出の操作は付属のプロ トコールに従って行った。
[A p o E領域の DN A増幅]
上記方法により抽出したゲノム DNAをテンプレートとして、 下記の 条件にて P CR法により Ap o E遺伝子の多型領域を増幅した。 尚、 プ ライマー対は、 DNA (オリゴヌクレオチド) 合成装置により合成して 得た。 又、 耐熱性 D N Aポリメラーゼとしては、 T a qポリメラ一ゼ (Parkin Elmer Cetus社) を用いた。
a ) プライマー対
A E - F 1 ( 5 ' -AATCGGAACTGGAGGAACAACT G— 3,)
(配列番号 1 )
AE-R l (5 '-GC C CGCACGCGGC C CTGTTC- 3 ')
(配列番号 2)
b) P CR反応混合物
白血球より抽出したゲノム DN A : 50 n g
プライマー対 : 1 μ M
d NT Ρ 200 μ M
緩衝液 (1 0倍濃縮標準 P CR緩衝液) 1 μ 1
DM S O (dimethyl sulfoxide): 1 0 %
T a qポリメラーゼ : 0. 0 2 5 u n i t s / i l
総反応量: 1 0 μ 1
c ) P CRサイクルの条件
94°C, 1分間 (変性)
次いで、 下記のサイクルを 3 5回繰り返す。 ―
94°C, 30秒間 (変性)
60°C, 30秒間 (プライマーアニーリング)
72°C, 1分間 (伸長反応)
次いで、 次の条件で最終的に 2本鎖を形成する。
72°C, 5分間 (最終伸長反応)
上記 P C R条件にて増幅された D N Aフラグメントの量は約 1 00 n gであった。
[RF LP及び制限酵素切断断片の分離とゲノタイビング] 本発明の A p o E遺伝子多型検出方法に、 代表的ないくつかの電気泳 動法を適用可能であるか確認した。 それぞれの電気泳動法に関する詳細 な実験方法を以下に述べる。
a ) ァガロースゲル電気泳動
約 5 0〜: L O O n gの P C R産物、 制限酵素 A f 1 I I I (New England biolabs社:以下同様。) ( 3 u n i t ) 及ぴ H a e I I (New
England biolabs社:以下同様。) (6 u n i t )、 l XNE B u f f e r 3、 1 X B S Aを含む反応溶液を、全量が 1 0 μ 1になるように調製し、 3 7°Cで 2時間以上反応させた。 反応液全量を 4%ァガロースゲル (厚 さ 7 111111 長さ 6 (; 111) のゥエルに充填し、 1 0 0 Vで 3 0分間電気泳 動した。 泳動終了後ゲルをェチジゥムプロマイ ドで染色し、 ひ V照射に よりパンドを記録した。 代表的な DNA制限断片の分離結果を図 9に示 す。 図中左端のレーンはマーカー、 次いで左から順に E 2 ZE 3、 E 2 /E 3、 E 3 /E 4、 E 4ZE 4の各ゲノタイプの DNA制限断片の分 離パターンを示す。
b) A g i l e n t 2 1 0 0
約 1 0〜2 0 n gの P C R産物、制限酵素 A f l l l l (3 u n i t ) 及ぴ H a e I I ( 6 u n i t)、 l XNEB u f f e r 3、 1 X B S A を含む反応溶液を、 全量が 1 0 1になるように調製し、 3 7でで 3 0 分以上反応させた。 その後 5 0mM E D T Aを 2. 5 μ 1加え、 制限 酵素を失活させた。 各サンプルについて、 上記反応液の 1 μ 1を、 測定 用のマイクロチップとして DNA 5 0 0 L a b C h i ρ (登録商標) 及び D N A 1 0 0 0 L a b C h i p (登録商標) (マイク口チップ及 ぴ付属試薬キッ ト) を用いた A g i 1 e n t 2 1 0 0による DNA制限 断片の分離、 検出に供した。 測定手順は、 装置供給元の指示に従った。
D N A制限断片の分離結果は、 当該装置に接続されたコンピュータのデ イスプレイ上に表示される。 代表的な D N A制限断片の分離結果を図 1 0に示す。 図中上から順に、 E 2 /E 3、 E 3/E 4、 E 3 /E 3、 E 4/E 4の各ゲノタイプの DNA制限断片の分離パターンを示す。
c ) 日立 SV 1 2 1 0
各サンプルについて、 上記 b) と同様にして制限酵素を作用させた後 該制限酵素を失活させた反応溶液の 1 μ 1を、 下記の条件での日立 SV
1 2 1 0による DN A制限断片の分離、 検出に供した。
測定用マイクロチップ: i —チップ I C一 1 1 0 0
試薬キッ ト : I C— 9 1 0 1
測定手順は、 装置供給元の指示に従った。 DNA制限断片の分離結果 は、当該装置に接続されたコンピュータのディスプレイ上に表示される。 代表的な DNA制限断片の分離結果を図 1 1、 図 2 3〜図 2 5に示す。 図 1 1中上から順に、図中に付記したように、 E 2ノ E 3、 E 3 /E 4、 E 3 /E 3、 E 4/E 4の各ゲノタイプの D N A制限断片の分離パター ンを示す。 同様に図 2 3〜 2 5についても、 それぞれの結果がいずれめ ゲノタイプの D N A制限断片パタ一ンを示すかは図中に付記したとおり である。 図 1 1、 図 2 3は、 5 0 b pの内部標準を用いた例を示し、 図 2 4及び図 2 5は、 1 0 b pの内部標準を用いた場合を示す。
d) AB I 3 1 0 0
キヤビラリ一電気泳動に供するサンプルの調製のために、 上記 P CR を行うに際し、 P C R反応混合物中の d NT Pとして、 R 6 G, R 1 1
0で蛍光ラベルされたもの (Applied Biosystems社製) を用いた。 その 後、 上記 a ) のァガロースゲル電気泳動の場合と同様にして P C R産物 を制限酵素で処理した。 各サンプルについて、 得られた反応溶液の' 5
1を、 下記の条件での A B 1 3 1 0 0による DNA制限断片の分離、 検 出に供した。
キヤピラリー : 3 1 0 0 C a p i l l a r y A r r a y 3 6 c m
セパレーシヨ ンポリマー: 3 1 0 0 P O P— 6
雷式桌キット : DNA Sequencing Kit(BigDye Terminator
Ver.3 Cycle Suquencing Ready Reaction)
測定手順は、 装置供給元の指示に従った。 DN A制限断片の分離結果
は、当該装置に接続されたコンピュータのディスプレイ上に表示される。 代表的な DNA制限断片の分離結果を図 1 2に示す。 図中上から順に E 2/E 3、 E 3/E 4、 E 4/E 4、 E 3/E 3の各ゲノタイプの DN A制限断片の分離パターンを示す。
e) 比較例
比較例として、 非特許文献 5に記載される方法に従って、 同一検体由 来のゲノム DNAから A p o E遺伝子の多型領域を増幅し、 制限酵素 H h a Iを用いて DNA制限断片を得、 上記 a ) 〜d) における各 DNA 分離方法 (ァガロースゲル電気泳動、 A g i l e n t 2 1 0 0、 日立 S V 1 2 1 0、 AB I 3 1 0 0) により D N A制限断片を分離した。 ァガ ロースゲル電気泳動法、 AB I 3 1 0 0 (キヤピラリー電気泳動) によ つては、 有意な DN A制限断片の分離パターンを得ることはできなかつ た。 A g i l e n t 2 1 0 0、 日立 SV 1 2 1 0による代表的な D N A 制限断片の分離結果を、 それぞれ図 1 4、 図 1 5に示す。 図 1 4中上か ら順に、 E 2 /E 3、 E 3 /E 3、 E 3/E 4、 E 4 /E 4の各ゲノタ イブであることが既知の DN A制限断片の分離パターンを示す。 又、 図 1 5中上から順に、 E 3/E 3、 E 3/E 3、 E 3/E 3、 E 3/E 4、 E 2/E 3、 E 3 /E 3、 E 3/E 3、 E 3/E 3、 E 3/E 3の各ゲ ノタイプであることが既知の DN A制限断片についての結果を示す。
[本実施例と比較例との対比]
a ) 汎用性
本実施例では、 本発明に従ってゲノム DNAから A p o E遺伝子に特 異的なプライマー対、 より具体的には、 配列番号 1及び 2の新規プライ マー対を用いて P CR法により Ap o E遺伝子の多型領域を増幅する。 そして、 増幅した DN A産物を、 本発明にて特徴的な 2種類の制限酵素 の組み合わせ、より具体的には A f l l l l と H a e l l とで切断する。
これらのプライマー対及び制限酵素を用いることによって、 上述のよう に、 従来の制限酵素 Hh a Iを用いる方法よりも長い DNA制限断片が 出現する。
これによつて、 本発明によれば、 図 9から明らかなように、 安価で広 く用いられている DNA制限断片の分離方法であるァガロース.ゲル電気 泳動によっても、 高解像度にて A p o E遺伝子多型をゲノタイビングす ることができた。
一方、 従来の制限酵素 Hh a Iを用いる方法によって得た DNA制限 断片は、 1 0 0 b p以下と極めて短いため、 ァガロースゲル電気泳動で は、 DNA制限断片を有意に分離することができなかった (データ示さ ず。)。 '
又、図 1 0、図 1 1及び図 1 2から明らかなように、本発明によれば、 近年開発された D N A分離方法である A g i l e n t 2 1 0 0、 日立 S V 1 2 1 0、 AB I 3 1 0 0をも好適に用いることができ、 良好に分離 した各断片長毎のピークが得られ、 高解像度にて A p o E遺伝子多型を ゲノタイピングすることができた。
一方、 従来の制限酵素 Hh a Iを用いる方法によって得た DNA制限 断片は、 それぞれ図 1 4、 図 1 5に示すように、 A g i 1 e n t 2 1 0 0、 日立 S V 1 2 1 0では各断片長毎のピークを十分に分離することが できず、 Ap o E遣伝子多型の各ゲノタイプを判別することはできなか つた。 又、 AB I 3 1 0 0については、 有意な DNA制限断片の分離結 果を得ることはできなかった (データ示さず。)。
このように、 本発明に係る Ap o E遺伝子多型の検出方法は、 現在使 用されている多くの電気泳動法に適用可能であり、極めて汎用性が高い。 更に、 本発明は、 DN A分離方法を電気泳動法に限定するものではな い。 上述のように、 例えば、 ァガロースゲル電気泳動法は、 安価且つ簡
便であることから広く用いられており、 又他の近年開発された上述のよ うな電気泳動法を利用した種々の DN A分離方法は極めて迅速、 且つ、 簡便である等、 従来 DN A分離法として広く用いられている電気泳動法 は、 本発明を実施するに当たり最も好ましいと思われるが、 本発明は他 の DNA分離法、 例えば質量分析機 (MASS -Spectrometry) 等を利用す ることでも実施可能である。
b) 簡便性、 迅速性
本発明に従えば、 典型的には、 ァガロースゲル電気泳動を用いる場合 で、 染色体 DN Aをテンプレイ トにした P C Rから、 A p o E遺伝子多 型のタイビングの結果が判別するまで約 3時間と、 非特許文献 5に記載 される従来の方法に比較して、 ゲノタイビングにかかる時間を大幅に短 縮することができる。 上述の近年開発された種々の DN A分離方法を用 いれば、 更に時間を短縮することができる。 又、 斯かる従来の方法にお いて用いられるポリアクリルアミ ドゲル電気泳動法に比較して、 ァガロ ースゲル電気泳動、 その他上記各種の DN A分離方法は操作が極めて簡 便である。
c ) 正確性
本発明に従って得た A p o E遺伝子多型のタイビング結果の正確性を 確認するために、本発明に従って上述のようにァガロースゲル電気泳動、 Ag i l e n t 2 1 00、 日立 SV 1 2 1 0、 AB I 3 1 00による A p o E遺伝子多型のゲノタイビングに供したものと同一検体からのサン プルについて、 従来汎用されてきた非特許文献 5に記載の方法 (P CR 一 R F L P法) に従ってゲノム DNAから Ap o E遺伝子の多型領域を 増幅し、 増幅した DNAを制限酵素 Hh a Iを用いて切断し、 ポリァク リルァミ ドゲル電気泳動法により A p o E遺伝子多型をゲノタイビング した結果との比較を行った。 その結果、 96例のサンプルを用いた一致
率は 1 00 %であった。
加えて、 同一検体からのサンプルについて、 AB 1 3 1 00 (Applied Biosystems社製) 【こおレヽ一し DNA Sequencing mt (BigDye Terminator Ver.3 Cycle Suquencing Ready Reaction)を用いた D N A直接塩基配列 決定法によって多型部分の塩基配列の確認を行つたが、 塩基配.列から決 定された Ap o E遺伝子多型と、 本発明に従って得たタイビング結果と は全例で一致した。
又、日立 SV 1 2 1 0によるデータを示す図 24及び図 25において、 重複するゲノタイプに関するデータは、 別人から得られたサンプルにつ いてのデータを示している。 図 24及ぴ図 25から分かるように、 本発 明によれば、 再現性の良好な、 正確性、 信頼性に富む A p o E遺伝子多 型のゲノタイプの判定が可能である。 尚、 図 26は、 図 25中の 1 : (E 2/2)、 4 : ( E 2 / 4 )、 6 : (E 3 3)、 7 : ( E 3 / 4 )、 1 0 : (E 2/3)、 1 1 : (E 4/4) と付記されたデータをそれぞれ拡大して示 したものである。 図 26から分かるように、 本発明によれば、 DNA断 片の分離性は良好であり、 又、 上述のようにして DNA断片 B (本実施 例では 3 5 b pの DNA断片) を定量することにより、 更に正確性、 信 頼性の向上した A p o E遗伝子多型のゲノタイプの判定が可能である。
d) 大量処理
上述のように、 本発明は、 近年開発された種々の DNA分離装置にも 適用可能である。 例えば、 P CRにおいて蛍光ラベルされた d NT Pを 使用することにより AB I等のキヤビラリ一電気泳動によって A p o E 遺伝子多型のゲノタイピングが可能であり、 従って、 大量のサンプルを 迅速、 且つ、 自動でタイピングすることができる。 又、 例えば、 日立 S V 1 2 1 0のシステムでは、マイク口チップへの泳動ゲルの分注と充填、 内部標準マーカー及びサンプルの分注を短時間で行う分注ロボットの使
用が可能であり、 A p o E遺伝子多型のゲノタイビングの高速大量化が 可能である。
以上説明したように、 本発明によれば、
(A) R F L Pの DNA制限断片を検出し易くなる。
(B) 加えて、 上記 (A) によって検出方法の汎用性が広がり.、 自動処 理化にあいまって高速大量処理化が可能になる。 又、 機械化、 製品化に 際しての正確性、 信頼性を更に向上させることができる。
(C) DNAを直接タイピングすることによって、 抗体法 (非特許文献 9 ) を用いるよ うなタンパク質のタイ ピング法に比較して擬陽性
(false-positive) が大幅に減少し、 それによつてタイピングの正確性を 増すことができる。
(D) 例えば、 アルツハイマー型痴呆、 その他の心血管疾患など、 Ap o E遺伝子多型が関連する疾患の診断、 治療にとって有用な情報となる ゲノタイビングという臨床検査を行う上で、 上記各点は極めて重要な要 素であり、 本発明によれば、 斯かる有用な情報を正確、 且つ、 迅速に提 供することができる。 産業上の利用可能性
以上説明したように、 本発明によれば、 正確、 迅速、 且つ、 簡便に A p o E遺伝子多型を検出することができる。 又、 本発明によれば、 安価 な DN A分離方法を用いて A p o E遺伝子多型を検出することが可能と なり、 一方で、 様々な DN A分離方法の利用を可能とし、 高速、 且つ、 大量化が可能となる。 又、 本発明によれば、 Ap o E遺伝子多型検出方 法、 Ap o E遺伝子多型のゲノタイプ判定方法及び試薬の正確性、 信頼 性を向上させることができる。 又、 機械化、 製品化に際しての正確性、 信頼性を更に向上させることができる。 更に、 本発明によれば、 ァルツ
ハイマー病、 血管疾患等、 Ap 0 E遺伝子多型が関連する疾患の診断、 治療にとって有用な情報となる A p o E遺伝子のタイビングを正確、 且 つ、 迅速に行うことができる。