WO2004070966A1

WO2004070966A1 - 通信装置及び通信システム

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Publication number: WO2004070966A1
Application number: PCT/JP2004/001077
Authority: WO
Inventors: Fujio Semba; Nakamaro Hyodo
Original assignee: Hanex Co., Ltd.
Priority date: 2003-02-07
Filing date: 2004-02-03
Publication date: 2004-08-19
Also published as: JP2004266352A; EP1592142A4; JP4430874B2; US20060119534A1; EP1592142A1

Abstract

本発明は、電磁誘導方式による新しい原理に基づく通信装置及びその通信装置を用いた開閉システムを提供することを可能にすることを目的としている。そして、その構成は通信装置1の少なくとも送受信部3のアンテナコイル2がデータキャリア5と電磁誘導作用により通信可能な厚さに形成した金属層4で保護された構成であることを特徴とする。

Description

通信装置及び通信

5 技術分野

本発明は、アンテナを含む送受信部、制御部及ぴ記憶部を有し、データキヤリァとの間で電磁波による通信を行う通信装置及び通信システムに関するものでめる。明

この出願は、日本国への出願日が 2 0 0 3年 2月 7日の特願 2 0 0 3 - 3 0 4 田

10 3 7の外国特許出願の外国優先権利益を主張するものである。背景技術

アンテナコイルと記憶部を有し電磁波により非接触で通信を行うデータキヤリァは種々の分野で広く使用されている。例えば力一ド型に形成されたデ一タキ 15 ャリアは、 I Cカードとして交通関係の定期券、金融関係のキャッシュカード、セキュリティーを確保する開閉ドアを開閉するための個人認識力一ドなどに利用されている。通常、これらの I Cカードはデータキャリアを 2枚の薄い保護用の樹脂板で挟んで形成される。

一方、データキャリアと電磁波通信を行う通信装置は、例えば交通機関におけ 20 る自動改札装置、金融機関の自動金銭出納装置または開閉ドアを開閉する開閉口ック機構などにおけるカード検出部として設置される。

前記データキヤリァと通信装置は、互いに電磁波を利用して非接触で通信する。すなわちデータキヤリァ及ぴ通信装置はそれぞれアンテナコイルと制御回路、記憶部を備え、そのアンテナコイルを利用して相互に情報の送受信を行って種々の 25 管理や制御を実行する。

例えばデータキャリアを開閉ドアの自動開錠の非接触型キーとして使用する場合は、通信装置を開閉ドアまたはそれに隣接する壁部分に配置しておき、カード型のデータキャリアをその通信装置に近づけ、データキャリアから発信したコ一ドが通信装置に記憶されたコードと一致したときに開閉ドアを自動的に解錠する。

ところで、電磁波は非導電性材料である木材や樹脂は簡単に透過するが、鉄板などの'導電性材科は電磁波により渦電流が発生するので通信感度が著しく低下する。そ.のため従来から鉄板等の導電性材料を介して電磁波通信することは不可能とされている。そして通信装置は耐久性のため一般にケース等で保護されるが、上記の理由から通信装置、特にそのアンテナを覆う表面部分は非導電性材料である樹脂（プラスチック）ケースで保護して対象物に配置または取り付けている。しかし樹脂ケースは金属製ケースよりも強度、耐久性が劣るので、できれば通信装置を金属製ケースで保護することが望ましいことは言うまでもない。

一方、工場や研究施設、または事務所などの出入口用の開閉ドアや壁の表装材はセキュリティや防火性.のために鉄やアルミェゥム等で作られた金属板を使用したものが多い。したがって、前記のような自動開錠システムをこのような部分に設けるには、通常ドアの表面またはドアに隣接した壁の表面に取り付けた樹月旨製のボックスに通信装置を収容し、該ボックスの表面にデータキャリアを接近して開錠するように構成している。し力、し、ドアや壁の表面にボックスを突出させることは外観上好ましくなく、容易に破壊できるのでセキュリティ上も問題になる。

鉄板等を使用した壁の内側に通信装置を配置し、壁の表面からデータキヤリァを近づけで開閉ドアを解錠するシステムが特開 2 0 0 3— 4 1 8 1 9号公報に開示されている。該システムはアンテナを含む送受信部、制御部及び記憶部を有する通信装置をドアに隣接する壁内部に取り付け、開閉ドアの壁の僅かな隙間を漏洩する漏洩磁束を利用してデ一タキヤリァとの間で通信を行い、ドアの自動解錠を行うものである。このシステムは通信装置を壁の表面に露出しないので外観上及びセキュリティ一上優れている。しかし通信装置を開閉ドアと壁の境部分に接近させて配置する必要があるので、取り付け上の制約を受けるという問題が残る。発明の開示

本発明は前記課題を解決するものであり、前述の磁束漏洩方式を採用した通信装置に残された問題を解決する通信装置及びこれを用いた通信システムを提供することを目的とする。

本発明に係る通信装置は、アンテナを含む送受信部、制御部及ぴ記憶部を有し、データキャリアとの間で電磁波通信を行う通信装置である。そして本通信装置は、前記送受信部は少なくともそのアンテナ部分の表面側が金属層で覆われ、前記金属層は、それを介して前記データキャリアとの間で電磁誘導作用により電磁波通信が可能な材質及び厚さを有することを特徴とする。 ·

上記通信装置は少なくともその通信端末部分である送受信部のアンテナ部分の表面側が前記特定の金属層で保護されているので、実用的な通信感度を損なうことなく、送受信端末部分の耐久性を向上できる。

上記通信装置において、前記送受信部、制御部及び記憶部を含む通信装置の少なくともその通信側表面を前記金属層で覆うことができる。このような構成にすると通信装置全体の耐久性を向上できる。

上記通信装置において、前記金属層の材質として、オーステナイト系ステンレス、チタンまたは白銅を用いることができる。これらの材料を使用することにより比較的薄い保護層であっても耐久性を損なうことなく高い通信感度を得ることができる。

上記通信装 Sにおいて、前記金属層の厚さは 0 . 0 5隐以上、且つ l mm以下の範囲から選択することができる。この厚さ範囲であれば確実に高レ、通信感度と耐久性を確保できる。

上記通信装置において、前記金属層の表面側に通信位置を表示する位置表示部、またはマーク、図形もしくは記号からなる暗号機能を有する暗号表示部を設けることができる。

上記のように通信位置を表示する位置表示部を設けた場合には、金属層の表面側からその通信位置にデータキャリアを確実に接近させることができるので、通信装置とデータキャリアとの間で高レ、通信感度により電磁波通信ができる。また暗号表示部を設け場合には、予めその暗号表示部を認識している特定の者のみが電磁波通信できるので、高いセキュリティ機能を有する通信システムを構成できる。また本発明の通信システムは、アンテナを含む送受信部、制御部及び記憶部を有するデータキャリアと、アンテナを含む送受信部、制御部及び記憶部を有し前記データキャリアとの間で電磁波通信を行う通信装置とを備えた通信システムである。そして本通信システムは、前記通信装置の少なくともアンテナ部分の表面が金属層で覆われ、前記金属層は、該金属層を介して前記データキャリアとの間で電磁誘導作用により電磁波通信が可能な材質及び厚さを有することを特徴とする。

上記通信システムにおいて、前記データキヤリァは少なくとも一方の表面を金属層で覆い、前記金属層は、該金属層を介して前記通信装置との間で電磁誘導作用により電磁波通信が可能な材質及び厚さを有するように構成できる。このようにすると通信システムに使用するデータキャリアの耐久性が高くなるので、通信システムの信頼 1·生をより一層向上できる。

前記通信システムにおいて、前記通信装置は開閉ロック機構に設置することができる。そして設置した通信装置における少なくともそのアンテナ部分の表面側を前記金属層で覆い、さらに通信装置の記憶部で記憶しているコード情報と前記データキャリアから発信する特定のコ一ド情報とをその制御部で判別し、両情報がー致したときに、通信装置の制御部が前記開閉口ック機構に解錠信号を出力するように構成できる。

このように構成すると、金属製の材料で構成した対象物の一部が前記金属層を形成することができ、その金属層を介して外側から接近させたデータキャリアとの間で通信を行って開錠ができる。そのため通信装置のアンテナ部分の近くに特別な磁束漏洩路を形成する必要がない。また通信装置の配置もしくは取り付け位置に制約がない。

上記通信システムにおいて、前記開閉ロック機構を開閉ドアまたは開閉蓋とそれに隣接する金属壁もしくは金属材料を含む壁に跨って設け、前記通信装置を壁に設けた開口部もしくはその内側に配置することができる。このように本発明の通信システムは金属壁に設けた開閉ドアや開閉蓋の開閉制御に適用できる。そして金属壁の表面に突出する部分を設ける必要がないので外観やセキュリティの面で優れている。上記通信システムにおいて、前記壁の表面側に通信位置を表示する位置表示部、またはマーク、図形もしくは記号からなる暗号機能を有する暗号表示部を表示することができる。

上記のように通信位置を表示する位置表示部を設けた場合には、金属層の表面側から開閉に必要な通信位 Sにデータキャリアを確実に接近させることができる。そのため通信装置とデータキヤリアとの間で高い通信感度を確保して電磁波通信ができるので、誰でも開閉ロック機構を確実に制御できる。また暗号表示部を設けた場合には、予めその暗号表示部を認識している特定者のみが高レ、通信感度を確保して電磁波通信できるので、開閉ロック機構の高いセキュリティ機能を確保した状態で、その開閉ロック機構を確実に開閉制御できる。図面の簡単な説明

図 1は本発明に係る通信装置を用いた通信システムの電磁波通信原理を説明するブロック図である。

図 2は本発明に係る通信装置を用いた通信システムの電磁波通信原理を利用した開閉ドアの開閉システムを説明するブロック図である。

図 3は本発明に係る通信装置を用いた通信システムの電磁波通信原理を利用した開閉ドアの開閉システムの動作を説明するフローチャートである。

図 4は本発明に係る通信装置を用いた通信システムの電磁波通信原理を利用した開閉ドアの開閉システムを金属材料で構成された建物の開閉ドアとそれに隣接する壁に対して適用し、その開閉ドアの外側から見た正面図である。 ' 図 5は本発明に係る通信装置を用いた通信システムの電磁波通信原理を利用した開閉ドアの開閉システムを金属材料で構成された建物の開閉ドアとそれに隣接する壁に対して適用した一例を示す横断面図である。

図 6は本発明に係る通信装置を用いた通信システムの電磁波通信原理を利用した開閉ドアの開閉システムを金属材料で構成された金庫の開閉ドアとそれに隣接する壁に対して適用し、その金庫を外側から見た斜視図である。

図 Ίは金属層を介して金庫の表面側に通信装置を配置した様子を示す断面図、及び金庫の開閉ドアと、それに隣接する壁との間に設けられた開閉口ック装置の構成を示す断面図である。

図 8は本発明に係る通信システムのデータキヤリァ構造をカードとして構成した一例を示す断面説明図及び正面説明図である。

図 9は円形状のアンテナコイルを有するデータキヤリァの構成及び該アンテナコイルに発生する磁界の様子を示す図である。

図 10はデータキヤリァの制御系の構成を示すプロック図である。

図 11 は円形状のアンテナコイルを有するデータキャリアを金属層で形成された容器に封入した構成を示す断面説明図である。

図 12 はシリンダ状のアンテナコイルを有するデータキャリアを金属層で形成された容器に封入した構成を示す断面説明図である。発明を実施するための最良の形態

先ず、図 1〜図 5を用いて本発明に係る通信装置を用いた通信システムの第 1 実施形態の構成について説明する。図 1において、通信装置 1にはアンテナコィル 2を有する送受信部 3が設けられ、通信装置 1全体が薄い金属層 4で保護されている。一方、データキャリア 5にもアンテナコイル 6を有する送受信部 7が設けられる。

次に通信装置 1とデータキャリア 5との間で電磁波通信を行う方法を説明する。金属層 4の内側に配置した通信装置 1のアンテナコイル 2から例えば待機用の電磁波を常時努信しておくと、その電磁波により金属層 4に表皮電流 Iが発生し、その表皮電流 Iにより金属層 4の反対側に同じ周波数の電磁波が発生する。データキャリア 5を通信装置 1に近づけると、データキャリア 5はその電磁波により電力を充電されて起動状態になる。そして起動したデータキャリア 5のァンテナコイル 6から特定コード等を含む応答用の電磁波 H 1が通信装置 1のァンテナコイル 2に向かって発信する。この電磁波 H Iは直接、通信装置 1のアンテナコイル 2に到達することはないが、金属層 4に表皮電流 Iを発生させ、その表皮電流 Iにより金属層 4の反対側、即ち、通信装置 1のアンテナコイル 2側に同じ周波数の電磁波 H 2が発生する。

そして、この電磁波 H 2が通信装置 1のアンテナコイル 2によって受信される結果、データキャリア 5と通信装置 1との間の通信が可能になる。逆に通信装置 1からデータキヤリア 5に向かって電磁波を発信する場合も同様な原理で通信出来る。

通信に使用される電磁波の周波数は、数百 H z〜数 MH zの周波数帯域の範囲で種々選択されるが、そのような高周波の電磁波が金属層 4に照射されると前述のように金属層 4中には表皮電流 Iが発生するが、その表皮電流 Iの厚さ dは ( π f μ p ) の 1 / 2乗に反比例することが分かっている。ここで f は電磁波の周波数、 μは金属層 4の誘電率、 ρは金属層 4の抵抗率である。

そして、金属層 4を通しての電磁誘導作用により通信を行うには金属層 4の厚さ tを t≤ dとする必要があり、表皮電流 Iの厚さ dを一定とすれば金属層 4の厚さ tの値がそれより小さいほど通信感度が向上することが分かった。

しかし、金属層 4の厚さ tの値が小さいほど（即ち、薄いほど）、その強度が低下し、ある限界に達すると保護機能が果たせなくなる。そこで実用的な保護強度を達成しながら電磁誘導作用で通信可能とするには、表皮電流 Iの厚さ dを大きく出来る金属材料を選択する必要がある。

本発明者等が実施した実験によれば、オーステナイト系ステンレス、白銅、チタン等がそのような目的に適合していることが分かった。また真鍮等も使用可能である。一方、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル等は表皮電流 Iの厚さ dの値が小さく、箔程度まで薄くしなければ通信が困難である。

以下に示す表 1は、金属層 4を形成する金属板としてオーステナイト系ステンレス板（S U S 3 0 1， 3 0 4 , 3 1 6 ) 及びフェライト系ステンレス板（S U S 4 3 0 ) を用いたデータキヤリァ構造について非接触での通信可能距離を測定した実験結果である。 ^ Κιム

【表 1】

厚さ（mm ) X枚数 =層厚( mm 読取距離（mm)

金属種類

侬厚 (mrr 枚数暦厚（mm) タグ 1 (外径 50mm)タグ 2 (外径 20mm)

0. 5 X 1 0. 5 0. 92 0. 48

SUS301 0. 5 X 2 1 X x

1 X 1 1 X X

0. 05 X 1 0. 05 8. 96 ォ 0. 05 X 2 0. 1 34. 99 5. 66

1

ス 0. 05 X 3 0. 1 5 29. 23 3. 23

0. 05 X 4 0. 2 1 . 69 ナ

ィ SUS304 0. 05 X 5 0. 25 7. 74 0. 05

0. 05 X 6 0. 3 2. 94 X

0. 05 X 7 — 0. 35 1 . 04 X 丁

ン 1 X 1 1 フ. 91 2. 80 レ 1 X 2 2 X X

ス I

概 0. 5 X 1 0. 5 1 9. 35 6. 84

0. 5 X 2 1 6. 38 0. 50

O C

SUS31 6 0. 5 X 3 1 . 5 X X

1 X 1 1 8. 91 〇 2. 57

1 X 2 2 X X

0. 05 X 1 0. 05 1 7. 74 X

フェライ卜

0. 05 X 2 0. 1 X X

系ス亍ン SUS430

0. 5 X 1 0. 5 X X

レス板

1 X 1 1 X X 金属層 4の厚さを変えるため、薄い金属板を複数重ねる方法も採用して種々実 5 験したが、同じ厚さの場合、単層よりも積層した方が通信距離は小さくなった。

この原因は積層の場合には金属板間に空気層が介在するので、電磁誘導作用が多段階になるため減衰が大きいためと推定される。

実験は円盤状のアンテナコイルを有するデータキヤリア 5として外径直径 5 0删、同じく外径直径 2 0脑の 2種類の R F I Dタグ（Radio frequency0 Identification TAG) 1、 2について行い、通信装置 1として R F I Dタグ用のリーダライタ機（RZW機）を使用して情報が正確に読み取れる読取距離（各 R F I Dタグとリーダライタ機との離間距離）を測定した。

尚、表 1において、各種金属板の板厚に積層枚数を乗じた値を金属層 4全体の層厚として示しており、金属層 4を形成する各金属板の寸法は端部から磁束が漏洩しない十分な大きさとした。また、読取距離において「X」は読取出来なかつた場合を示す。

以下に示す表 2は鉄板、銅板、白銅板、ニッケル板、チタン板、アルミニウム板、真鍮板について表 1と同様な方法で行った実験結果である。

【表 2】

上記表 1 、 2に示したように、金属層 4の材質として、オーステナイト系ステンレス、白銅、チタン等が本発明の通信装置 1を保護する金属層 4として好ましく、それら金属を使用する場合には、その金属層 4の厚さは、 0 . 0 5瞧以上、且つ 1讓以下の範囲から適宜選択することが好ましい。

金属層 4を上記のような金属材料から選択し、且つ金属層 4の適正な厚みを選択することにより、通信装置 1、特にそのアンテンナ 2部分における高い強度と耐久性を確保出来ると共に、実用的な通信感度を有する通信装置 1を提供出来る。尚、本発明にいう「電磁誘導作用により電磁波通信可能な材質及び厚さを有する金属層」とは、そのような機能を発揮出来る材料と厚みを有する金属層 4を意味する。

なお、上記測定データから、金属層 4の材質がアルミニウムの場合には 0 . 0 1 5 mm程度，鋼での場合は 0 . 0 5 mm程度であれば通信可能である。これらの金属も防湿遮光等の機能があり、本発明の金属層 4として利用できる。そして薄いアルミニウムや銅を金属層 4として使用する場合には、その片面もしくは両面に適当な樹脂基板や樹脂シートを積層することにより補強してその強度を上げることもできる。

図 2は上記通信装置 1の電磁波通信原理を利用した本発明に係る通信システムにより構成される開閉ドアの開閉システムを説明するブロック図である。通信装置 1はアンテナコイル 2を有する送受信部 3と、該送受信部 3の送受信を制御する制御部 8と、該制御部 8に接続した記憶部 9と、制御部 8からの制御信号を受けて、図 4及び図 5に示す開閉ドア 20の開閉ロック装置 30に駆動信号を出力する駆動部 10 と、外部交流電源を受けて前記各機器に直流電源を供給する電源部 11を備えている。

前記送受信部 3、制御部 8及び記憶部 9はマイクロコンピュータで構成することが出来、電源部 11は小型ダイオードとコンデンサにより構成出来、駆動部 10 はサイリスタ回路により構成出来る。尚、通信装置 1のアンテナコイル 2は通信感度を容易に高く出来る円盤型のコイル形状を有するものが望ましい。

一方、データキャリア 5はアンテナコイル 6を有する送受信部 7と、該送受信部 7に接続された電力蓄積用のコンデンサ 12 と、送受信部 7の送受信を制御する制御部 13と、該制御部 13に接続された記憶部 14を備えている。

そして、送受信部 7、コンデンサ 12、制御部 13及び記憶部 14は 1チップ I C で構成出来、その I Cチップにアンテナコイル 6を接続する。使用するデータキャリア 5はカード型または棒状のキー型のいずれでもよいが、カード型の場合は円盤型のコイル形状を有するアンテナコイル 6を用い、キー型の場合は細長い棒状のコイルを有するアンテナコイル 6を用いることが望ましい。次に図 2に示される開閉システムの動作について説明すると、例えばデータキャリア 5の記憶部 14 に予め記憶された解錠のための特定のコード情報をアンテナコイル 6から電磁波として発信すると、その電磁波は金属層 4における表皮電流 Iを媒介して通信装置 1のアンテナコイル 2に受信される。

受信した特定のコ一ド情報は制御部 8で予め記憶部 9に記憶されているコード情報と比較照合して判別し、両情報が一致したときは制御部 8から駆動部 10 に制御信号を出力し、駆動部 10から図 5に示す開閉ロック装置 30に解锭信号が出力される。また不一致のときは制御部 8から解錠のための制御信号は出力しなレ、。

図 3は上記開閉システムの動作を示すフローチャートである。先ず、ステップ S 1において、通信装置 1の電源を O Nにすると、通信装置 1の制御部 8は送受信部 3を制御してデータキヤリア 5の電源充電用の電磁波を比較的短時間のィンタ一パルで繰り返し発信する（ステップ S 2 )。

そして、通信装置 1にデータキャリア 5が接近すると、データキャリア 5はそのアンテナコイル 6で電磁波を受信し、送受信部 7を動作状態にすると共に、コンデンサ 12に電磁波の電気エネルギーを電力として充電する。コンデンサ 12が充電されて回路が正規電圧まで上昇すると、制御部 13 が動作状態になる（ステップ S 3 )。

すると、制御部 13は記憶部 14に記憶された解錠用の特定のコード情報を送受信部 7より通信装置 1に送信する (ステップ S 4 )。コード情報を受信した通信装置 1は制御部 8が前記のように記憶部 9に記憶したコード情報と比較照合し (ステップ S 5 )、両者のコード情報が一致したときは解錠用の制御信号（解錠信号）を出力して開閉ロック装置 30が開閉ドア 20を解錠し（ステップ S 6 )、両者のコード情報が不一致のときは該制御信号（解錠信号）を出力せずにステツプ S 2に戻り、電源充電用電磁波発信を繰り返す。

図 4及び図 5は本発明に係る通信システムを利用した開閉システムを金属材料で構成された対象物となる建物の開閉ドア 20とそれに隣接する壁 25に対して適用した場合の一例を示す正面図及び横断面図であり、図 4は開閉ドア 20 の外側から見た正面図である。建物の開閉ドア 20 は、図 5に示すように、鉄板で作られた表板 21及び裏板 22と、それ等を連結する側板 23により構成され、一方の側板 23が複数のヒンジ部材 24により壁 25に対して開閉自在に連結される。壁 25は鉄筋コンクリート製の厚い基部 26と、その表面に被覆した金属層を構成する比較的薄い鉄板製の被覆板 27 により構成され、図 4に示すように天井部 5 28と床部 29.との間に直立して構築されている。対象物となる壁 25の内部に通信装置 1及び開閉ロック装置 30の駆動部 31が配置される。尚、これ等の通信装置 1と開閉ロック装置 30は壁 25の内部に形成した空間部に裏側から挿入し、周囲の壁部分に装脱着可能に固定される。

開閉ロック装置 30の駆動部 31は、例えば、電磁駆動式シリンダにより構成さ 10 れ、その駆動軸 32の先端部が開閉ドア 20の側板 23に設けた受部 33内に揷入または退避して施錠または解錠するようになっている。

尚、開閉ドア 20 には、図 4及び図 5に示すように手で開閉操作するための取手 34が設けられる。更に開閉ドア 20の裏側には開閉ロック装置 30を施錠側にロックするための図示しない手動レバーが設けられる。

15 通信装置 1はその通信側、即ち、アンテンナ 2側が壁 25 の表面側に近づくようにして図 5に示すように被覆板 27 の付近に配置する。そして、送受信部 3 、制御部 8及び記憶部 9を含む通信装置 1全体が被覆板 27により保護される。

そして、通信装置 1をデータキヤリア 5と電磁誘導作用により通信可能な前述した材質及び厚さを有する金属層を構成する被覆板 27 を介して対象物となる壁 20 25の表面側に配置する。開閉口ック装置 30は金属材料で構成された開閉ドア 20 と、それに隣接する壁 25 との間に設けられ、金属材料で構成された対象物である壁 25に設けた開閉ロック装置 30が非接触で開閉する。

その際、通信装置 1の通信側と対向する被覆板 27 が前述した「電磁誘導作用により通信可能な材質及び厚さを有する金属層」の機能を果たせない場合、例え 25 ば厚い鉄板等の場合には、その部分を開口して図 4及ぴ図 5に示すような本発明の通信装置 1に適合する金属層 4を溶接等で接合する。金属層 4の材質はオーステナイト系ステンレス、チタン、白銅から適宜選択され、層厚も 0 . 0 5 以上、且つ 1腿以下の範囲から適宜選択される。

これにより、通信装置 1の通信側表面であってアンテナ部分となるアンテナコィル 2の表面側が金属層 4で覆われる。

壁 25 の表面側となる金属層 4の表面側に通信位置を表示する位置表示部か、または暗号機能を有するマーク 19や図形、若しくは記号等を表示する暗号表示部を設けることが出来る。

通信装懞 1の通信側表面を覆う金属層 4の表面に設けられる通信位置を示す位置表示部は、凸部、文字、図形、記号、模様、色等の識別性を有するものであれぱ特に制限はない。図 4及ぴ図 5に示すマーク 19 は金属層 4の地色と異なる着色によって形成される。

このように金属層 4の外側に暗号機能を有するマークや記号類等の暗号表示部を設けた場合には、それを予め暗号表示として知らされ、または認識している者のみが、そのマークや記号類等の暗号表示部にデータキヤリア 5を近づけて通信装置 1との間で通信を行うことが出来、より高いセキュリティ性と通信感度を確保することが出来る。

通信装置 1が設置される開閉ロック機構は開閉ドア 20と該開閉ドア 20に隣接する金属材料からなる被覆板 27を含む壁 25に跨って設けられ、通信装置 1は壁 25の内側に配置される。

尚、図 5に示す開閉システムの動作は図 2及ぴ図 3を用いて前述したと同様であるため説明を省略する。

次に図 6及び図 7を用いて本発明に係る通信装置を用いた通信システムの第 2実施形態の構成について説明する。図 6に示すように、金属材料で構成された金庫 40は正面の開閉盡（開閉扉) 41と周囲の壁 42とを備えた密閉型に構成され、開閉蓋 41には数字合わせにより解錠できるダイャルノブ 43が設けられる。

図 7に示すように、金庫 40の内部には通信装置 1と開閉ロック装置 44の駆動部 45が配置される。開閉蓋 41のダイャルノブ 43付近の壁 42に小さな開口部 42 aを設け、その開口部 42 aに通信装置 1を配置する。その際、その通信側が壁 42の表面側になるように配置する。

そして、通信装置 1と壁 42 の表面側の一部に設けられた金属層 4との間には非導電性の耐火層 46を介在させる。一方、駆動部 45は、例えば、電磁駆動式シリンダにより構成され、その駆動軸 47の先端部が開閉蓥 41に設けた受部 48内に挿入または退避して施錠または解錠するようになっている。開閉ロック装置 44 は金属材料で構成された金庫 40の開閉蓋 41と、それに隣接する壁 42 との間に設けられ、該開閉ロック装置は開閉蓋 41を閉じたときに自動的に施錠側に口ックされる。

通信装置 1が設置される開閉ロック機構は開閉蓥 41と該開閉蓥 41に隣接する金属材料からなる壁 42に跨って設けられ、通信装置 1は壁 42に設けた開口部 42 aに酉 S置される。

金属層 4の表面側には通信位置を表示する位置表示部か、または暗号機能を有するマーク 19や図形、若しくは記号等を表示する暗号表示部を設けることが出来る。

また、自動車のキーのハンドル部にデータキャリア 5を設け、エンジンスタータゃドアのキー揷入口の表面周辺にアンテナコイル 2を配置した通信装置 1を取りつけ、その表面に金属層 4を設けて力パーすることも出来る。

図 8はデータキャリア構造 Aをカード状として構成した一例である。 4はデータキャリア 5の両面に設けられた金属層、 6は図 9に示すように導線を空芯コィルに卷回して形成した円形状のアンテナコイル、 51は I C回路からなる半導体 I Cチップ（制御チップ）、 52は榭脂層である。

図 9に示す円形状或いは環状のデータキヤリア 5は、円形の空芯コイルからなるアンテナコイル 6と、それに接続した半導体 I Cチップ 51 を樹脂に埋め込んで成形し全体が樹脂モールドされた外径直径 1 0 mn！〜 5 0 mm程度、厚さ 7 mm 〜1 2 . O mm程度のものが市販されている。例えば株式会社ハネックスから市販されている型式 Logi Tag等が適用可能である。

半導体 I Cチップ 51は図 10に示すように、 C P U (中央演算装置）等の制御部 13、書き込み可能な不揮発性記憶素子を有するメモリ等の記憶部 14、送受信部 7及び電力貯蔵用のコンデンサ 12を有している。

上記データキャリア 5の送受信方法を図 10 により説明すると、先ずリーダラィタ機等の通信装置 1が最初のステップでデータキヤリア 5の呼び出し及ぴ電力送信用の電磁波を送信すると、データキャリア 5はその電磁波をアンテナコィル 6と送受信回路からなる送受信部 7の同調作用により受信し、その電力をコンデンサ 12 に貯蔵する。これによつてデータキャリア 5は作動状態になるので、次のステップで通信装置 1からデータキャリア 5に読み出し用の電磁波を送信する。

電磁波はデータキヤリア 5のアンテナコイル 6から送受信部 7を経て制御部 13に入力され、該制御部 13はそれに応じて必要な情報を記憶部 1 から読み出し、その情報を送受信部 7からアンテナコイル 6を経て電磁波として通信装置 1に送信する。通信装置 1からデータキャリア 5の記憶部 14 にデータを書き込む場合も上記方法に準じて実行される。尚、これ等一連のステップは略瞬時に行われる。

—般に電磁波は 9 0度の位相差をもって交流的に伝播する電界と磁界により表すことが出来、その磁界とアンテナコイル 6が鎖交することにより該アンテナコイル 6に流れる電流（高周波電流）を利用して送受信が行われる。

例えば、アンテナコイル 6から電磁波が送信される場合は、該アンテナコイル 6に流れる高周波電流により高周波の磁界成分がアンテナコイル 6の中心を通るループ（磁束ループ）として分布し、この磁束領域に通信装置 1のアンテナコィル 2を置くと、通信装置 1はデータキャリア 5からの情報を受信出来る。

同様に通信装置 1から電磁波を送信する場合にも、データキャリア 5のアンテナコイル 6の周囲に磁界成分が分布し、それをアンテナコイル 6が受信することになる。

データキャリア 5は円形状のアンテナコイル 6に半導体 I Cチップ 51 を接続した状態で樹脂層 51 によりモールドして形成され、そのデータキャリア 5の両面に例えばオーステナイト系ステンレス板、或いはチタン板、白銅板からなり、厚さが 0 . 0 5贿以上、且つ 1 以下の範囲から選択される金属層 4を接着等により貼り付けてカード状で構成される。

カード状のデータキャリア構造 Aは表面が金属層 4で覆われているので、 I C カードとして利用出来る。

このように、特定の金属層 4を設けることにより、電磁誘導作用によりデータキャリア 5と外部の通信装置 1との間において実用的な通信感度で通信を行うことが出来る。また、金属層 4を介在させることによりデータキャリア 5を外部衝撃からより確実に保護出来る。

図 11及ぴ図 12はデータキヤリァ構造 Aの他の例である。この例では図 11に示すように、円形状のアンテナコイル 2を有するデータキャリア 5 (図 9参照）或いは、図 12 に示すように、シリンダ状のアンテナコイル 2を有するデータキャリア 5を、夫々オーステナイト系ステンレス板からなる金属層 4で形成した容器 53内に収容し、その空間に樹脂層 52を充填して封入したものである。

図 12 に示すデータキャリア 5は、棒状に形成された鉄心やフェライト等の円柱状のコア部材 54の外周に軸方向（図 12の左右方向）にアンテナコイル 2を単線巻きで螺旋状に密に卷回したシリンダ状の口ッドアンテナを有し、そのアンテナコイル 2の両端を I C回路で構成した半導体 I Cチップ 51 に接続して構成される。

このような全体が棒状に形成されたデータキャリア 5はコア部材 54 とアンテナコイル 2を含む口ッドアンテナ部分と I C回路からなる半導体 I Cチップ 51を細長いガラス容器に密封し、外径直径が数ミリ程度で全長を十数ミリから数十ミリ程度に小型化したものが市販されている。このタイプのデータキャリアは (株）ハネックスから R F I Dタグとして市販されている Glass Tagがあり、それは外径直径 2譲〜 4讓、長さ 1 2 mn！〜 1 5腿程度と極めて小型になっている。

Claims

請求の範囲

1 . アンテナを含む送受信部、制御部及び記憶部を有し、データキャリアとの間で電磁波通信を行う通信装置において、前記送受信部は少なくともそのアンテナ部分の表面側が金属層で覆われ、前記金属層は、該金属層を介して前記データキヤリアとの間で電磁誘導作用により電磁波通信が可能な材質及び厚さを有することを特徴とする通信装置。

2 . 前記送受信部、制御部及ぴ記憶部を含む通信装置の少なくともその通信側表面が前記金属層で覆われていることを特徴とするクレーム 1に記載の通信装篚。

3 . 前記金属層の材質は、オーステナイト系ステンレス、チタンまたは白銅とされることを特徴とするクレーム 1に記載の通信装置。

4 . 前記金属層の厚さは、 0 . 0 5 mm以上、且つ 1 mm 以下の範囲から選択されることを特徴とするクレーム 1に記載の通信装置。

5 . 前記金属層の表面側に通信位置を表示する位置表示部が設けられるか、またはマーク、図形もしくは記号からなる暗号機能を有する暗号表示部が設けられることを特徴とするクレーム 1に記載の通信装置。

6 . アンテナを含む送受信部、制御部及び記憶部を有するデータキヤリアと、アンテナを含む送受信部、制御部及び記憶部を有し、前記データキャリアとの間で電磁波通信を行う通信装置と、

を備えた通信システムにおいて、

前記通信装置の少なくともアンテナ部分の表面が金属層で覆われ、前記金属層は、該金属層を介して前記データキヤリアとの間で電磁誘導作用により電磁波通信が可能な材質及び厚さを有することを特徴とする通信システム。

7 . 前記データキャリアは、少なくとも一方の表面が金属層で覆われ、前記金属層は、該金属層を介して前記通信装置との間で電磁誘導作用により電磁波通信が可能な材質及び厚さを有することを特徴とするクレーム 6に記載の通信システム。

8 . 前記通信装置は、開閉ロック機構に設置され、その通信装置の少なくともアンテナ部分の表面側が前記金属層で覆われて構成され、前記通信装置はその記憶部で記憶しているコード情報と前記データキヤリァから発信する特定のコード情報とを制御部で判別し、両情報が一致したときに該通信装置の制御部が前記開閉ロック機構に解錠信号を出力するように構成されることを特徴とするクレーム 6に記載の通信システム。

9 . 前記開閉ロック機構は、開閉ドアまたは開閉蓋とそれに隣接する金属壁もしくは金属材料を含む壁に跨って設けられ、前記通信装置は壁に設けた開口部もしくはその内側に配置されることを特徴とするクレーム 8に記載の通信システム。

1 0 . 前記壁の表面側に通信位置を表示する位置表示部、またはマーク、図形もしくは記号からなる暗号機能を有する暗号表示部が設けられることを特徴とするクレーム 9に記載の通信