含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘導体乾燥方法 技術分野
本発明は、 含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘導体と水との混合物から含 フッ素プロピオン酸誘導体を変質させずに水を除去する方法に関する。 背景技術
末端に親水基を有する水溶性含フッ素ビュルエーテルは、 そのまま又は末端の 親水基をフッ素化若しくはエステル化やアミド化ゃィミド化による保護をしてか ら、 他のフルォロォレフイン等のォレフィン類と重合させ、 共重合体を得るため に用いることができる。
得られる共重合体は、 塩形成性の親水基を有することができるので、 イオン交 換膜として食塩電解、 化学センサー、 分離膜、 燃料電池等に利用することが検討 されており、 また、 粉体のまま高分子超強酸触媒としての利用や、 リチウム電池 等への利用も可能である。
末端に親水基を有する水溶性含フッ素ビュルエーテルについては、 従来、 米国 特許第 3 5 6 0 5 6 8号明細書、 国際公開第 9 8 / 4 3 9 5 2号パンフレツト等 に、 中和反応で得た含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘導体と水とからなる 混合物の乾燥工程を経て製造する方法が開示されている。
し力 しながら、 含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘導体と水とからなる混 合物は、 乾燥工程において副生成物を生じやすく、 一旦生じた副生成物は、 含フ ッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘導体と性質の似た有機化合物の塩であるので、 通常の蒸留や再結晶法では含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘導体を副生成 物から分離精製することが困難であるという問題があり、 含フッ素 2—アルコキ シプロピオン酸誘導体を変質させずに水を除去する方法が求められていた。 含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘導体と水とカゝらなる混合物から水を除 去する方法として、 従来、 熱風乾燥機や回転乾燥機等を用いる方法が行われてき た。 しかしながら、 この方法では、 混合物の表面だけが高粘度の状態となり、 混
合物の内部は長時間加熱又は回転しても乾燥しないままであるという問題があつ た。
含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘導体と水とからなる混合物から水を除 去する方法として、 また、 従来、 加熱に加えて、 減圧及び攪拌が可能な装置を用 いる方法を行うこともあった。 しカゝしながら、 この方法では、 発泡が起きたり、 粘度が極端に高くなり攪拌できなくなったりする問題があつた。 発明の要約
本発明の目的は、 上記現状に鑑み、 含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘導 体と水とからなる混合物から、 含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘導体を変 質させることなく、 効率的に水を除去することができる乾燥方法を提供すること にあ 0
本発明は、 下記一般式 (I)
(式中、 Αはアルコキシル基、 ハロゲン原子、 一 OM1又は一OM2 1/2を示し、 M1はアルカリ金属、 4級窒素又は水素原子を示し、 M2はアルカリ土類金属を 示す。 Xはハロゲン原子を示す。 Y1及び Y2は同一又は異なって、 フッ素原子、 S素原子、 パーフルォロアルキル基若しくはクロ口フルォロアルキル基を示す。 nは 0〜3の整数を示す。 n個の Y1は同一であってもよいし、 異なっていても よい。 mは 1〜5の整数を示す。 m個の Y2は同一であってもよいし異なってい てもよい。 Zは親水基を示す。 ) で表される含フッ素 2—アルコキシプロピオン 酸誘導体 (以下、 「化合物 (I) 」 という。 ) を、 乾燥工程 (1) の後、 乾燥ェ 程 (2) を行って乾燥することよりなる含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘 導体乾燥方法であって、 上記乾燥工程 (1) は、 水分が 0. 3質量%を超え、 1 0質量%以下である量になるまで 90°C以下で行うものであり、 上記乾燥工程 ( 2) は、 水分が 0. 2質量%以下の量になるまで 100°C以上で行うものである
二とを特徴とする含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘導体乾燥方法である。 発明の詳細な開示
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘導体乾燥方法は、 上記化合物 ( I) を乾燥することを特徴とするものである。
上記化合物 (I) は、 本発明の含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘導体乾 燥方法により後述の乾燥工程 (1) 及び乾燥工程 (2) を行って乾燥する前にお いて、 水と混合物をなしている。
本明細書において、 上記化合物 (I) と水とからなる混合物を 「化合物 (I) 一水混合物」 という。 上記 「化合物 (I) 一水混合物」 は、 乾燥工程 (1) を行 う前のもの、 乾燥工程 (1) を行っている最中におけるもの、 及び、 乾燥工程 ( 2) を行っている最中におけるものを含む概念である。
上記化合物 (I) 一水混合物は、 上記化合物 (I) 力 水を主成分とする液体 中に溶解していないもの、 例えば、 上記化合物 (I) の水分散体であってもよい し、 水を主成分とする溶媒に溶解してなる上記化合物 (I) の水溶液であっても よい。
上記化合物 (I) 一水混合物は、 例えば、 上記一般式 (I) における Aが、 後 述の一 OM1又は一 OM2 1/2である場合、 水又は水を主成分とする溶媒に溶解し てなる上記化合物 (I) の水溶液であってよく、 水に溶解してなる上記化合物 ( I) の水溶液であることが好ましい。
上記化合物 (I) 一水混合物は、 本発明の含フッ素 2—アルコキシプロピオン 酸誘導体乾燥方法における条件下で蒸発可能なアルコール等の低沸点有機溶媒を 溶解してなるものであってもよい。
上記一般式 (I) における Aは、 アルコキシル基、 ハロゲン原子、 一 OM1又 は一 OM2 1/2を示す。
上記アルコキシル基としては特に限定されず、 例えば、 メ トキシ基、 エトキシ 基、 プロポキシ基、 イソプロポキシ基等が挙げられる。
上記ハロゲン原子は、 フッ素原子、 塩素原子、 臭素原子又はヨウ素原子の何れ
であってもよレヽ。
上記 M1は、 アルカリ金属、 4級窒素又は水素原子を示す。 上記アルカリ金属 は、 L i、 Na、 K、 C sの何れであってもよいが、 工業上は安価な Naである ことが好ましい。
本明細書において、 上記 「4級窒素」 とは、 窒素原子と、 この窒素原子が上記 — OM1における酸素原子 〔一 O—〕 以外に共有結合している 3個の基とからな る原子団であって、 上記基は、 原子団、 又は、 水素原子以外の原子であるものを 意味する。 上記 4級窒素としては、 特に限定されず、 例えば、 NRiRSRSR4 (R\ R2、 R3及び R4は同一又は異なって、 水素原子若しくは炭素数 1〜4 のアルキル基を示す。 ) 等が挙げられ、 例えば、 水酸化物イオン等と塩を形成し ていてもよいし、 塩が電離した状態であってもよい。
上記 M1は、 アルカリ金属、 4級窒素又は水素原子の何れであってもよいが、 好ましくは、 アルカリ金属である。
上記 M2は、 アルカリ土類金属を示す。 上記アルカリ土類金属は、 B e、 Mg、 C a等の何れであってもよい。
上記 Aは、 一 OM1又は _OM2 1/2であることが好ましい。 上記化合物 (I) は、 上記 Aがー OM1又は一 OM2 1/2であると、 後工程として後述の熱分解を行 う場合、 脱炭酸が進行しやすい。
上記 は、 ハロゲン原子を示す。 上記 Xは、 フッ素原子、 塩素原子、 臭素原子、 ヨウ素原子の何れであってもよい。
上記一般式 (I) における Y1及び Y2は、 同一又は異なって、 フッ素原子、 塩素原子、 パーフルォロアルキル基若しくはクロ口フルォロアルキル基を示す。
'上記パーフルォロアルキル基としては特に限定されず、 例えば、 トリフルォロ メチル基、 ペンタフルォロェチル基等が挙げられる。
上記 Y1は、 トリフルォロメチル基であることが好ましく、 上記 Y2は、 フッ 素原子であることが好ましい。
上記一般式 (I) における nは、 0〜 3の整数を示す。 n個の Y1は同一であ つてもよいし、 異なっていてもよい。 上記化合物 (I) の単位質量あたりに多く の親水基を含有するためには、 上記 nは、 0又は 1であることが好ましく、 0で
あることがより好ましい。
上記一般式 (I ) における mは、 1〜5の整数を示す。 m個の Y 2は同一であ つてもよいし異なっていてもよい。 上記 mが大きいほど酸としての強度は強くな るが、 上記化合物 (I) の単位質量あたりの親水基数が減るので、 上記 mは、 2 であることが好ましい。
上記一般式 (I) における Zは、 親水基を示す。
上記親水基は、 _COOM3、 _COOM4 1/2、 一 OS〇3M3、 一 S03M3、 一 02PM3、 —OP (OM3) 2ヽ 一 02P (OM3) 、 _OPO (OM3) 2、 一 P02 (OM3) 、 - PO (OM3) 2、 — OS03M4 1/2、 — S03M4 1/2、 - 02PM4 1/2、 -OP (OM4 1/2) 2、 一 02P (OM4 1/2) 、 —OPO (OM 4 1/2) 2、 -P02 (OM4 1/2) 、 一 PO (OM4 1/2) 2、 又は、 鉱酸若しくは 脂肪酸の共役塩基と塩を形成している置換アンキニォ基 (置換基は 2〜3個の同 一若しくは異なるアルキル基) であることが好ましく、 M3は、 アルカリ金属、 上記 4級窒素又は水素原子であることが好ましく、 M4が、 アルカリ土類金属で あることが好ましい。
上記 M3は、 上述の M1と同様、 工業的には安価な N aが好ましく、 上記 M3は、 上記 M1と同じ種類の金属であることが好ましい。 上記 M4は、 上記 M2と同じ種 類の金属であることが好ましい。
上記 M3及び M4は、 上記化合物 (I ) が水溶液として存在する場合には、 電 離した状態で存在することが多い。
本明細書において、 上記 「置換アンモュォ基」 とは、 窒素原子と、 この窒素原 子が上記一般式 (I ) における一 (CFY2) m _で表される部位以外に共有結 合している 2〜 3個の同一又は異なるアルキル基とからなる基を意味する。 上記置換アンモニォ基としては特に限定されず、 例えば、 一 NR5R6H、 一 NR5R6 (R 5及び R 6は同一又は異なって、 アルキル基を示す。 ) 等が挙げら れる。
上記置換アンモニォ基は、 1価又は 2価以上の鉱酸若しくは脂肪酸の共役塩基 とは塩を形成している。 上記化合物 (I) が水溶液として存在する場合には、 上 記共役塩基は、 上記置換ァンモ-ォ基から電離した状態で存在することが多い。
上記鉱酸としては特に限定されず、 例えば、 塩酸、 リン酸、 硫酸、 硝酸等が挙 げられる。 上記脂肪酸としては特に限定されず、 例えば、 ギ酸、 酢酸、 プロピオ ン酸等が挙げられる。
上記一般式 (I ) における Zは、 一 S03M3又は一 S03M4 1/2であること が好ましい。
本発明の含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘導体乾燥方法は、 上記化合物 (I) としては、 上記 Aは一OM1又は一 OM2 1/2であり、 上記 Y1は、 トリフ ルォロメチル基であり、 上記 Y2は、 フッ素原子であり、 上記 mは 2である場合 に、 より好適な方法である。
本発明の含フッ素 2 _アルコキシプロピオン酸誘導体乾燥方法は、 また、 上記 化合物 (I ) としては、 上記 Aは一 OM 上記 M1は N aであり、 上記 Xはフ ッ素原子であり、 上記 nは 0であり、 上記 Y2はフッ素原子であり、 上記 mは 2 であり、 上記 Zは— S03M3、 上記 M3は N aである場合に、 より好適な方法で ある。
上記化合物 (I) を得る方法としては特に限定されず、 例えば、 公知の方法等 を用いることができる。 上記化合物 (I ) のうち、 例えば、 下記一般式
(式中、 X、 Y Y
2、 η、 m、 Μ
1及び Μ
3は上記の通りである。 ) で表され る化合物は、 下記一般式
(式中、 Α1は、 アルコキシル基又はハロゲン原子を示し、 Α2は、 ハロゲン原 子を示す。 X、 Υ\ Υ η及び mは上記化合物 (I) の通りである。 ) で表 される化合物 (a) を、 中和試薬を用いて中和又はケン化することにより得られ
る。
上記化合物 (a) は、 従来公知の方法により製造することができるが、 テトラ フルォロエチレン [TFE] に三酸化硫黄を反応させることにより、 下記式
で表される環状付加物を得たのち、 フッ化物イオンを作用させ、 次いでへキサフ ルォロプロピレンオキサイド [HFPO] を作用させることにより得られるもの であることが好ましい。
上記中和試薬としては、 塩基であれば特に限定されないが、 アルカリ金属水酸 化物が好ましく、 なかでも工業的に安価な N a OHが好ましい。 上記中和試薬は、 通常、 中和試薬用溶媒に溶解させて用いる。 上記中和試薬用溶媒は、 通常、 水及 び Z又は水溶性有機溶媒であり、 水、 アルコールが好ましい。 また、 上記中和は、 上記化合物 (a) 1モルに対し、 アルカリ金属水酸化物を 4当量以上用いて行う ことが好ましい。 上記中和試薬が上記化合物 (a) 1モルに対し 4当量未満であ ると、 上記化合物 (a) が有する一 S02A2基が全て一 S03M3基にならず、 また、 上記化合物 (a) を表す一般式において nが 0である場合、 次工程の熱分 解時に環状体の副生物が生成する場合がある。 上記中和試薬は、 多過ぎても特に 問題はないが、 工業的に不利になるので、 上述範囲内であればなるべく少ないこ とが好ましい。
上記中和は、 上記中和試薬の存在下、 90°C以下の温度で、 1~48時間反応 させることにより行うものである。 上記中和の温度としては、 90°Cを超えると、 上記化合物 (I) が熱分解するおそれがある。 好ましい下限は 0°Cであり、 好ま しい上限は 80°Cである。 上記中和の反応時間は、 1時間未満であると、 中和が 不充分であるおそれがあり、 48時間を超えると、 中和反応が平衡状態に達して 反応が進まない。 好ましい下限は 3時間であり、 好ましい上限は 24時間である。 上記中和において、 一 SO2A2基から一 S03M3基の塩への変換の反応速度
は遅いので、 中和反応系が中性に変化した後、 数時間攪拌を続けることが好まし い。 その後、 中和反応系が酸性に変化していれば、 中和試薬を追加して中和反応 系が中性になるように調整することが好ましい。
上記中和の際には、 中和しきれないフッ化水素が発生するおそれがあるので、 耐蝕性のある反応器を用いることが望ましい。 また、 中和による発熱が激しいの で、 反応器を冷却しながら中和を行うことが望ましい。
上記化合物 (I) は、 上記中和又はケン化により得られるものである場合、 上 記中和試薬を溶解していた水、 及び、 中和により生成する水との混合物として得 られる。 本発明において、 上記化合物 (I) は、 また、 上記中和又はケン化を経 て生成したものであるかどうかによらず、 乾燥前において水と混合物をなしてい るものであれば、 水溶液として存在していてもよいし、 水を主成分とする液体中 に溶解していなくてもよい。
本発明の含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘導体乾燥方法は、 上記化合物 (I) を乾燥工程 (1) の後、 乾燥工程 (2) を行って乾燥することを特徴とす る。
本明細書において、 上記 「化合物 (I) を乾燥する」 とは、 上記化合物 (I) と水とからなる混合物から水を除去することを意味する。
上記乾燥工程 (1) は、 水分が 0. 3質量%を超え、 10質量%以下である量 になるまで 90°C以下で行うものである。 水分が 10質量 °/0を超える量残った状 態において 90°Cを超える温度、 例えば、 100°C以上の温度に長時間放置して おくと、 上記化合物 (I) は下記一般式
(式中、 X、 Y Y2、 n、 m及び Ζは上記化合物 (I) の通りである。 ) で 表される化合物へ変質しゃすい。
本明細書において、 上記乾燥工程 (1) 及び後述の乾燥工程 (2) における 「 水分」 とは、 化合物 (I ) 一水混合物中の水の量を意味する。
上記乾燥工程 (1 ) は、 上記範囲内の温度であれば 6 0 °C以上で行うことが好 ましい。 6 0 °C未満であると乾燥に時間がかかる場合がある。
上記乾燥工程 (1 ) は、 上記化合物 (I ) が高い吸湿性を有するので、 効率的 に乾燥させる点から、 上記範囲内の温度であれば 7 0 °C以上の温度で行うことが より好ましい。
上記乾燥工程 (1 ) の乾燥時間は、 乾燥する温度、 乾燥時の風量、 仕込み量等 にもよるが、 数秒〜 5 0時間であることが好ましい。 5 0時間を超えると、 経済 性の点で好ましくない。
上記乾燥工程 (1 ) は、 更に、 固体を析出させるために途中で降温するもので あることが好ましい。 上記固体は、 主として上記化合物 (I ) からなるものであ る。 上記降温は、 上記降温の前における温度よりも 1 o °c以上下げることが好ま しく、 上記固体が析出する温度にまで温度を下げることがより好ましい。
上記降温を行う時期である上記 「途中」 は、 上記乾燥工程 (1 ) を行う過程に おいて、 容器等に入っている上記化合物 (I ) 一水混合物の乾燥の対象になって いる表面が高粘度な状態となったときが好ましく、 上記 「高粘度な状態」 は、 例 えば、 流動性が極めて低下したような状態である。 上記化合物 (I ) 一水混合物 は、 表面が高粘度になったときに、 固体が析出する温度に一且温度を下げると、 固体と固体との隙間から水分が蒸発するようになり、 より早く乾燥することがで きる。 一定温度で乾燥を行う場合、 上記化合物 (I ) 一水混合物は、 表面が高粘 度な状態となり、 固体が生じないので内部が乾燥しないことがある。
上記降温の後、 降温前の温度に戻し乾燥を続行することが好ましい。 このよう に温度を一旦降下させ、 再度上昇させる工程は、 繰り返し行ってよい。 降温の方 法としては特に限定されず、 例えば、 一且乾燥器から取り出す方法等が挙げられ る。
上記乾燥工程 (1 ) は、 更に、 析出した固体の機械的粉砕、 及び/又は、 表面 が高粘度になった上記化合物 (I ) 一水混合物の攪拌を行うことが好ましい。 固体が析出した上記化合物 (I ) 一水混合物の表面を機械的に粉砕し、 攪拌を 行ったり、 高粘度の上記化合物 (I ) 一水混合物を攪拌したりすることにより、 水分の多い上記化合物 (I ) 一水混合物の内部を常に上記化合物 (I ) 一水混合
物の表面に露出させ、 水分の蒸発を促進することができる。 降温で表面の固体を 割っても機械力で固体を割ってもよいし、 両者を併用してもよい。
上記粉碎及ぴ上記攪拌は、 人力により、 へら等を用いて行ってもよいし、 内部 に攪拌機があって加熱と水分の流通が可能な円錐型スクリュー付ミキサー等のミ キサ一、 ニーダ一類等を用いて行ってもよい。
上述の降温により容器壁面に析出した固体については削ぎ落としてよい。
上記乾燥工程 (2) は、 水分が 0. 2質量%以下の量になるまで 100°C以上 で行うものである。 100°C未満であると、 上記化合物 (I) は吸湿性が高いの で、 水分を 0. 2質量。 /0以下にすることは困難である。 より好ましい下限は、 1 10°Cである。 好ましい上限は、 200°Cである。 200°Cを超えると、 上記化 合物 (I) が分解しやすい。
上記乾燥工程 (2) の乾燥時間は、 乾燥する温度にもよるが、 数秒〜 20時間 であることが好ましい。 20時間を超えることは経済性の点で好ましくない。 上記乾燥工程 (1) 及び上記乾燥工程 (2) に用いられる乾燥器としては特に 限定されず、 例えば、 熱風循環乾燥器、 赤外線乾燥器、 真空乾燥器、 回転乾燥器、 攪拌器付乾燥器、 噴霧乾燥器等が挙げられる。 但し、 上記真空乾燥器で上記化合 物 (I) を乾燥しょうとすると、 上記化合物 (I) が界面活性剤様の分子構造を 有していることから、 発泡が起きる場合があるので注意を要する。
上記熱風循環乾燥器又は上記回転乾燥器で上記化合物 (I) を乾燥しようとす ると、 乾燥工程 (1) において上述の化合物 (I) 一水混合物の表面が高粘度の 状態となり、 上記化合物 (I) 一水混合物の内部が充分に乾燥しない場合がある ので、 上述の降温又は攪拌を行うことが好ましい。
本発明の含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘導体乾燥方法は、 このように 乾燥工程 (1) と乾燥工程 (2) の 2段階に分けて乾燥することを特徴とするも のである。 上記乾燥工程 (1) において、 90°C以下の温度、 例えば、 80°Cで 長時間乾燥しても、 水分を◦. 3質量%以下、 例えば、 0. 2質量%以下にする ことは困難であるが、 上記乾燥工程 (1) に引き続き、 上記乾燥工程 (2) にお いて、 温度を 100°C以上の温度、 好ましくは 110°C〜200°Cに昇温するこ とにより、 水分が 0. 1質量%以下になるまで比較的短時間で効率的に乾燥する
ことができる。
上記化合物 (I ) は、 本発明の含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘導体乾 燥方法を用いて乾燥した後、 例えば、 加熱することにより熱分解し、 ビュルエー テルスルホン酸ナトリゥム等の水溶性含フッ素ビュルエーテルを生成する。 上記熱分解は、 上記含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘導体を表す上述の 一般式 (I ) における Aが一 OM 1又は一 OM 2 1 / 2である場合、 有機溶媒 (A) を上記含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘導体 1 0 0質量部に対し 1 0〜1 0 0 0質量部、 より好ましくは 3 0〜 3 0 0質量部の量で存在させて、 7 0 °C以 上、 1 7 0。C未満、 より好ましくは 1 5 0 °C未満の温度で行うことが好ましい。 上記熱分解の反応時間は、 熱分解を行う温度によるが、 反応温度に達してから 1 0〜6 0 0分間であることが好ましい。 反応時間が 1 0分間未満であると、 熱 分解が不充分となるおそれがある。 より好ましい下限は、 3 0分間であり、 より 好ましい上限は、 3 0 0分間である。
上記有機溶媒 (A) は、 含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘導体が有する アルカリ金属又はアル力リ土類金属のイオンに配位能を有する有機溶媒である。 上記有機溶媒 (A) としては、 非プロトン性の有機極性溶媒からなるものが好ま しい。
上記非プロトン性の有機極性溶媒としては、 エーテル系溶媒、 スルホラン、 へ キサメチルホスホリックトリアミ ド、 ァセトニトリル、 ジメチルホルムァミ ド、 ジメチルスルホキシド、 テトラメチル尿素等が挙げられ、 グライム系溶媒が好ま しく、 ジエチレングリコ一ルジメチルェ一テルがより好ましい。
上記熱分解により、 下記一般式(I I )
で表される含フッ素スルフォアルキルビエルエーテル等の水溶性含フッ素ビニル エーテルが得られる。 上記水溶性含フッ素ビニルエーテルは、 上記熱分解の後、 有機溶媒 (A) 及び無機塩と混合物をなしている。 上記無機塩は、 上記熱分解で
生成する副生成物であり、 例えば、 フッ化ナトリウム、 フッ化カリウム、 フッ化 セシウム等が挙げられる。 従って、 上記水溶性含フッ素ビエルエーテルは上記有 機溶媒 (A) と上記無機塩を除去するように精製することが好ましい。 上記無機 塩は、 フッ化ナトリウムである場合、 上記精製を好ましく適用することができる。 上記精製は、 上記水溶性含フッ素ビュルエーテルを、 上記有機溶媒 (A) と無 機塩とからなる水溶液を有機溶媒 (B ) と混合して上記有機溶媒 (A) を除去す ること (以下、 「第 1の精製」 という。 ) 、 及び、 上記第 1の精製により得られ る混合物を有機溶媒 (C ) と混合して上記無機塩を濾別すること (以下、 「第 2 の精製」 という。 ) より行うことが好ましい。 上記有機溶媒 (B ) は、 2 5 °Cに おいて等量の水と混合したときに 2相に分離し、 上記水溶性含フッ素ビュルエー テルの溶解度が 1 0質量%以下である有機溶媒であり、 例えば、 比誘電率が 4〜 1 0であるものが好ましい。 上記有機溶媒 (C ) は、 上記無機塩を溶解せず、 上 記水溶性含フッ素ビュルエーテルを溶解する有機溶媒であり、 例えば、 アセトン 等のケトン類;酢酸ェチル等のエステル類;メタノール等のアルコール類等が好 ましい。 上記有機溶媒 (C ) の量は、 上記水溶性含フッ素ビエルエーテル及び無 機塩からなる混合物の上記有機溶媒 (C ) への溶解性によるが、 この混合物 1 0 0重量部に対し、 3 0〜1 0 0 0重量部であることが好ましい。 より好ましい下 限は、 5 0重量部であり、 より好ましい上限は、 5 0 0重量部である。
上記水溶性含フッ素ビュルエーテルの精製において、 第 1の精製後、 精製時乾 燥を行うことが好ましい。 上記精製時乾燥を行うことにより、 上記無機塩の結晶 を成長させ、 上記第 2の精製を容易にすることができる。
上記水溶性含フッ素ビニルエーテルの精製においては、 また、 第 2の精製後、 精製時乾燥を行い、 上記有機溶媒 (C ) を除去することが好ましい。
上記各精製時乾燥は、 2 5〜2 0 0 °Cの乾燥温度で行うことが好ましい。 上記熱分解により得られた水溶性含フッ素ビエルエーテルは、 そのまま又は末 端の親水基をフッ素化若しくはエステル化やアミド化ゃイミド化による保護をし てから、 単量体として、 フルォロォレフイン等のォレフィン類との共重合体を得 るために用いることができる。
上記水溶性含フッ素ビュルエーテルは、 上記精製後、 塩素化することにより、
クロ口末端を有する含フッ素ビュルエーテルを得、 これをフッ素化することによ り、 フッ素末端を有する含フッ素ビニルエーテルを得ることが好ましい。 上記塩 素化は、 上記水溶性含フッ素ビニルエーテルと塩素化試薬とを反応させる方法が 好ましい。 上記塩素化試薬としては特に限定されず、 例えば、 PC 15、 PC 1 3、 S02C 1等が挙げられ、 P C 15が好ましい。 塩素化試薬として用いる P C 15は、 上記水溶性含フッ素ビニルエーテル 1モルに対し 1当量以上用いること が好ましい。 上記塩素化を行うことにより得られたクロロ末端を有する含フッ素 ビュルエーテルは、 従来公知の方法、 例えば、 スルホラン溶媒中で N a F、 KF 等と反応させて、 フッ素化を行うことができる。
上記熱分解等により得られた水溶性含フッ素ビニルエーテルと、 フルォロォレ フィン等のォレフィン類との共重合体は、 イオン交換膜、 触媒、 リチウム電池等 に好適に用いられる。 発明を実施するための最良の形態
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、 本発明はこれら実施例 のみに限定されるものではない。 製造例 1
含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘導体の合成
1. 1) 6リツトルのガラスライニング製耐圧ォートクレイプに、 サルファン (日曹金属化学社製) より新たに蒸留した S03 (2リットル) を入れ、 内部空 間を純窒素ガスで置換パージ後、 テトラフルォロエチレンを圧入したところ、 直 ちに発熱反応が開始したので、 温度を 40°C〜60°Cに、 圧力を 0. 1〜0. 2 MP aに調節しながら反応を継続し、 40分後に生成物が 5. 2リツトルまで増 量し、 テトラフルォロエチレンの吸収が起こらなくなったところで冷却して、 反 応を停止した。 反応物は、 無色透明の液体で、 蒸留によりほぼ純粋のテトラフル ォロェタン —サルトンであることがわかった。
1. 2) 6リツトルのガラスライニング製耐圧オートタレイブに 300°Cで 1 0分乾燥したフッ化カリウム 400 gを入れ、 直ちに窒素気流下に密封し、 次い
でジエチレンダリコールジメチルエーテル (1リツトル) を入れ、 工程 1. 1) で得たテトラフルォロェタン J3—サルトン (1リットル) を徐々に滴下した。 著 しい発熱反応が起こり、 遊離の 302〇 2〇 2011の生成も認められたが、 ほぼ定量的に F S〇2CF2COFへの異性化反応の完結したことが19 F— NM Rにより確認された。
1. 3) 工程 1. 2) で用いたのと同じ反応器を用い、 同条件で生成した FS 02CF2COFに 25 °Cでへキサフルォロプロピレンォキサイ ド 〔HFPO〕 ガスを 0. 2MP aまで圧入すると、 直ちに発熱反応が開始したので、 20~4 0 °Cに温度調節しながら◦. 1~0. 2MP aの圧力下で 3時間反応を継続した。 その後、 圧力降下速度が小さくなつたので反応を中断し、 残存ガスを放出した。 生成物の体積は 2. 7リットノレで、 生成物は黄色上相と無色の下相からなり、 蒸 留によると、 生成物の 90体積%は HF POの 1付加体で る下記化合物 F S02CF2CF2OCF (C F 3) COF
であり、 ゎずかにFS02CF2COFと 2付加体の生成が認められた。
1. 4 ) 工程 1. 3 ) で得た化合物を 20質量%水酸化ナトリウム水溶液で中 和処理して、 定量的に下記化合物 U )
Na S03CF2CF2OCF (C F 3) COON a
で示される含フッ素 2 _アルコキシプロピオン酸誘導体の 36質量%水溶液を得 た。 実施例 1
上記含フッ素 2一アルコキシプロピオン酸誘導体の 36質量%水溶液 4 k gを 35 OmmX 45 Ommのバットに入れ、 80 °Cに保った熱風循環乾燥機に投入 した。 12時間後に表面が高粘度状態となったため、 一旦バットをとりだし、 2 5 °C付近まで冷却した。 表面が結晶化して不透明になってきたときに、 へらでか き混ぜた。 再び 80°Cの熱風循環乾燥機に投入し、 24時間乾燥し、 粉体 Aを得 た。 上記粉体 A (1 g) をエチレングリコールジメチルエーテル 14 gに分散さ せ、 上澄み液をカールフィッシャー滴定法で測定し、 別途測定したエチレングリ コールジメチルエーテル中の水分量を差し引いたところ、 上記乾燥後の粉体の水
分は、 0. 5質量%であった。
上記化合物 (i) を 80°Cで 36時間乾燥して得た粉体 A (1. 2 k g) を更 に 1 20°Cに保った熱風循環乾燥機に投入し、 12時間乾燥し、 粉体 Bを得た。 その後、 上記粉体 Bの水分を上記粉体 Aと同様の方法により測定したところ、 0. 1質量%であった。 上述のように 2段階の乾燥工程を経て得られた上記化合物 ( i ) の粉体を水に溶解し、 19F— NMRを測定した (基準物質: CFC 13) と ころ、 上記化合物 (i ) における一C (O) CF1 (CF3) O—の下線部のフッ 素原子由来の δ =_ 1 26. 5 p pm付近のピークと下記化合物 ( i i ) CF3CFHOCF2CF2S03Na
の分解生成物における CF3C !HO—の下線部のフッ素原子由来の δ =- 14 5. 5 p pm付近のピークとの面積比から、 上記化合物 ( i i ) は全く生成して いないことが確かめられた。 比較例 1
1 20°Cの乾燥を省略した以外は、 実施例 1と同様の方法により乾燥し、 実施 例 1と同様の方法により水分を測定した。 上記化合物 ( i ) の粉体の水分は 0. 5質量%であり、 上記化合物 ( i i ) は全く生成していないことが確かめられた。 比較例 2
上記化合物 ( i ) を 36質量%含む水溶液 200 gを 300ミリ リッ トルのビ 一力一に入れ、 全くかき混ぜることなく 80 °Cで 64時間乾燥し、 実施例 1と同 様の方法により水分を測定したところ、 水分は 0. 9質量%であり、 上記化合物 ( i i ) は全く生成していないことが確かめられた。 比較例 3
上記化合物 ( i ) を 36質量%含む水溶液 200 gを 300ミリ リ ットルのビ 一力一に入れ、 全くかき混ぜることなく 130 °Cで 6時間乾燥し実施例 1と同様 の方法により水分を測定したところ、 水分は 0. 1質量%であったが、 上記化合 物 ( i i ) は 13mo 1 %含まれていた。
比較例 4
実施例 1において、 80°Cで 12時間乾燥後、 80°Cに保った状態でかき混ぜ たところ、 全体が水あめ状となった。 そのまま更に 24時間乾燥し実施例 1と同 様の方法により水分を測定したところ、 水分は 0. 8質量%であり、 上記化合物 ( i i ) は全く生成していないことが確かめられた。 参考例 1 (含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘導体の熱分解、 及び、 本熱分 解により得られる水溶性含フッ素ビュルエーテルの精製)
攪拌器を備えた 20リツトルのガラス容器に、 実施例 1で得られた N aOC ( O) CF (CF3) OCF2CF2S03N a (6. 4 k g) と、 ジエチレングリ コールジメチルエーテル (6リットル、 上記含フッ素 2—アルコキシプロピオン 酸誘導体 100質量部に対し 85質量部) とを投入した。 マントルヒーターにて 加熱を行ったところ、 内温が 1 00°Cに達した時点から〇02が発生した。 その 後内温が 140°Cに達するまで徐々に昇温した。 180分間加熱したところで C o2の発生が収まったので、 加熱を終了した。
上記反応終了後、 内温を 90°Cまで下げ、 2. 0 X 103P aまで減圧してジ エチレングリコームジメチルエーテル (3リツトル) を留去した。 得られた反応 液に純水 6リットルを入れて溶解させ、 更にクロ口ホルム (6リットル) を入れ て攪拌した。 静置して液面が明確に分かれたところで下層部を抜き出した。 クロ 口ホルム投入、 攪拌及び抜き出しの操作を 7回繰り返し、 得られた水溶液をバッ トに入れ、 80°Cに保った熱風循環乾燥機に 12時間入れて、 粉体を得た。 得ら れた粉体を 6リットルのアセトンに溶解させ、 濾過を行った。 濾液をロータリー エバポレーターで 80°Cで乾燥させ、 CF2 = CFOCF2CF2SO3Na (5 . 2 k g) を得た。 参考例 2 (水溶性含フッ素ビニルエーテルの末端基の塩素化及びフッ素化) · 攪拌器を備えた 10リツトルのガラス容器を 50°Cに加温し、 参考例 1で得ら れた CF2 = CFOCF2CF2S03Na (4. 6 k g) と PC 15 (6. 8 k g
) とを少しずつ交互に投入した。 投入中は塩酸ガスが激しく発生した。 投入完了 後、 蒸留装置を取り付け、 105°C前後の留分を抜き出した。 得られた留分を 3 リ ッ トルの冷水中に滴下して、 2相に分かれた液の下部を抜き出し、 CF2 = C
FOCF2CF2S〇2C lを 3. 3 k g得た。
攪拌器と 5段の精留塔を備えた 5リットルのガラス容器に、 得られた CF2 =
CF0CF2CF2S02C 1を 3. 3 k g、 スルホランを 1. 9 k g、 Na Fを
1. 3 k g導入し、 加熱を行って 75 °C前後の留分を抜き出し、 CF2 = CF〇
CF2CF2SO2Fを 2. 8 k g得た。 含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘 導体に対する収率は、 58%であった。
参考例 3
比較例 1で得られた水分を 0. 5質量%含む化合物 ( i ) を参考例 1と同様に して熱分解をさせたところ、 CF2=CFOCF2CF2S〇3Naが 43モル0 /0、 CF3CFHOCF2CF2S03Naが 57モル0 /0の割合で得られた。 産業上の利用可能性
本発明の含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘導体乾燥方法は、 上述の構成 よりなるので、 上記含フッ素 2—アルコキシプロピオン酸誘導体を変質させるこ となく効率的に水を除去することができる。