明細書
ひ一ヒドロキシカルボン酸化合物の製造方法
技術分野
本発明は、 医薬および農薬の中間体として有用な ひーヒドロキシカルボン酸ィ匕 合物の製造方法に関する。
背景技術
2—シクロへキシル一 2—ヒドロキシ一 2—フエニル酢酸のような ひ一ヒドロ キシカルボン酸化合物は、 医薬品および農薬、 例えば頻尿治療薬であるォキシブ チニンなどの中間体として有用である。 ひーヒドロキシカルボン酸化合物の製造 方法としては、 例えば下式に示すように、 ァセトフエノンを青酸ガスと反応させ てシァノヒドリン (VI) を製造し、 得られたシァノヒドリン (VI) を塩酸にてァ ミ ド (VII ) とした後、 さらに水酸化ナトリウムで加水分解をし、 ひ一ヒドロキ シカルボン酸化合物であるアトロラクチン酸 (VI I I) を得る方法が知られている (Organic Syntheses, Coll. Vol.4, p58 ) 0 oncHCl
上述のような製造方法では、 毒性の強い青酸ガスを使わなければならず、 安全 上の問題がある。 また、 シァノヒドリン (VI) の加水分解も、 酸と塩基の 2段階 で行わなければならず、 操作が煩雑であり、 容器等の装置上の問題もあり、 工業 的に不利な方法であった。
マンデル酸アルキルエステルとリチウムジイソプロピルアミ ドとの反応後、 得 られた反応物をヨウ化シクロへキサンと反応させることによって 2—シクロへキ
シル— 2—ヒドロキシ一 2—フエニル酢酸エステルを得る方法が知られている 〔J. Org. Chem., Vol .42, No. 17, 2948 -2949( 1977)〕 。 この方法では、 高価な リチウムジィソプロピルアミ ドをマンデル酸アルキルエステルに対して 2当量以 上使用し、 また高価でかつ不安定であるヨウ化シクロへキサンを使用しており、 工業的に不利な方法である。
ベンゾィルギ酸ェチルにシクロへキシルマグネシウムブロミ ドを付加させて 2 ーシクロへキシル一 2—ヒドロキシ一 2—フエニル酢酸ェチルを得、 これを加水 分解することによって. ひ一ヒドロキシカルボン酸化合物である.2—シクロへキシ ルー 2—ヒドロキシ— 2—フヱニル酢酸を得る方法が知られている (特開平 1 1 - 1 9 3 2 7 1号公報) 。 この製造方法では、 沸点が 3 5 °Cのジェチルエーテル をべンゾィルギ酸ェチルに対して約 1 2倍容量使用しており、 ざらにジェチルェ —テルの沸点で反応させるという危険な操作が必要である。 また、 ケトンの還元 反応またはエステルベの付加反応等の副反応がおこるため、 収率が 5 3 . 3 %と 低く、 工業的に不利な方法であった。 '
発明の開示
本発明の目的は、 安全かつ工業的に有利な方法で ひ—ヒドロキシカルボン酸ィ匕 合物を製造できる方法を提供することである。
本発明者らは、 上記目的を達成するため、 鋭意研究を行った。 すなわち、 ひ— ケトカルボン酸エステル化合物の求核付加反応において求核剤としてグリニャ一 ル試薬の代わりに 2価の有機金属化合物を用いることによって、 ケトンの還元や エステルへの求核攻撃等による副反応を抑制し、 ひ一ヒドロキシカルボン酸エス テル化合物が高収率で得られることを見出し、 本発明を完成した。 .,
すなわち、 本発明は以下のとおりである。
[ 1 ] グリニャール試薬と 2価の金属塩とを反応させて有機金属化合物を製造し、 これを ひ一ケトカルボン酸エステル化合物と反応させることを特徴とする、 ひ一 ヒドロキシカルボン酸エステル化合物の製造方法。
[ 2 ] 上記 [ 1 ] 記載の製造方法で製造された ひ—ヒドロキシカルボン酸エステ ル化合物をさらに加水分解することを特徴とする、 ひ一ヒドロキシカルボン酸化
合物またはその塩の製造方法。
[3]有機金属化合物を、 有機ルイス塩基の存在下、 ひーケトカルボン酸エステ ル化合物と反応させることを特徴とする上記 [1]記載の ひーヒドロキシカルボ ン酸エステル化合物の製造方法。
[4]上記 [3]記載の製造方法で製造された ひ—ヒドロキシカルボン酸エステ ル化合物をさらに加水分解することを特徴とする、 ひーヒドロキシカルボン酸化 合物またはその塩の製造方法。
[5]式 (I) :
R1— MgX ( I )
〔式中、 R1は置換基を有していてもよい炭素数 1〜20のアルキル基、 置換基 を有していてもよい炭素数 3〜 8のシクロアルキル基、 置換基を有していてもよ ぃァリール基または置換基を有していてもよいァラルキル基を示し、 Xはハロゲ ン原子を示す〕 で表されるグリニャール試薬 〔以下、 グリニャール試薬 (I) と もいう〕 と 2価の金属塩とを反応させて、 式 (II) :
R1— M— R1 (II)
〔式中、 Mは金属を示し、 R1は前記と同意義を示す〕 で表される有機金属化合 物 〔以下、 有機金属化合物 (II) ともいう〕 を製造し、 得られた有機金属化合物 (II) を式 (III) :
〔式中、 R
2は置換基を有していてもよい炭素数 1〜20のアルキル基、 置換基 を有していてもよい炭素数 3〜 8のシクロアルキル基、 置換基を有していてもよ い炭素数 5〜12の芳香族基または置換基を有していてもよい炭素数?〜 18の ァラルキル基を示し、 R
3は炭素数 1〜10のアルキル基または炭素数?〜 18 のァラルキル基を示す〕 で表される化合物 〔以下、 化合物 (III) ともいう〕 と 反応させることを特徴とする、 式 (IV) :
〔式中、 各記号は前記と同意義を示す〕 で表される ひ—ヒドロキシカルポン酸ェ ステル化合物 〔以下、 ひ—ヒドロキシカルボン酸エステル化合物 (IV) ともいう
〕 の製造方法。
[6]上記 [5]記載の製造方法で製造された ひ一ヒドロキシカルボン酸エステ ル化合物 (IV) を、 さらに加水分解することを特徴とする式 (V) :
〔式中、 各記号は上記 [5] と同意義を示す〕 で表される ひーヒドロキシカルボ ン酸化合物 〔以下、 ひ一ヒドロキシカルボン酸化合物 (V) ともいう〕 またはそ の塩の製造方法。
[7] グリニャール試薬 (I) と 2価の金属塩とを反応させて、 有機金属化合物 (II) を製造し、 得られた有機金属化合物 (Π) を有機ルイス塩基の存在下、 ィ匕 合物 (III) と反応させることを特徴とする、 ひ一ヒドロキシカルボン酸エステ ル化合物 (IV) の製造方法。
[8]上記 [7]記載の製造方法で製造された ひ—ヒドロキシカルボン酸エステ ル化合物 (IV) を、 さらに加水分解することを特徴とする ひーヒドロキシカルボ ン酸化合物 (V) またはその塩の製造方法。
[9] R1がシクロへキシル基、 R2がフエニル基および R3が炭素数 1〜10の アルキル基である上記 [5] または [6]記載の製造方法。 - [ 10] R1がシクロへキシル基、 R2がフエニル基および R3が炭素数 1~ 10 のアルキル基である上記 [7] または [8]記載の製造方法。
[11]ハロゲン原子が、 塩素原子、 臭素原子およびヨウ素原子からなる群より選 ばれる上記 [5] ~ [10]のいずれかに記載の製造方法。
[12] 2価の金属塩の金属が、 亜鉛、 ニッケルおよびマンガンからなる群より選
ばれる上記 [1] ~ [10]のいずれかに記載の製造方法。
[13] 2価の金属塩の使用量が、 グリニャール試薬 1モルに対して 0. 3~0. 7モルである上記 [1]〜 [10] のいずれかに記載の製造方法。
[ 14 ] 有機ルイス塩基が、 ピリジン、 トリェチルァミン、 N, N—ジメチルァ 二リン、 N—メチルビペリジンおよび 1, 4一ジォキサンからなる群より選ばれ る上記 [3]、 [4]、 [7]、 [8] または [10] のいずれかに記載の製造 方法。 本発明の製造方法で使用される 「グリニャール試薬」 としては、 特に限定はな く、 例えば上記グリニャール試薬 (I) が挙げられ、 特にシクロへキシルマグネ シゥムクロリ ドが好ましい。
本発明の製造方法で使用される 「2価の金属塩」 としては、 特に限定はなく、 例えば亜鉛塩、 ニッケル塩、 マンガン塩が挙げられ、 好ましくは亜鉛塩が挙げら れる。 亜鉛塩としては、 例えば塩化亜鉛、 臭化亜鉛、 ヨウ化亜鉛等が挙げられ、 ニッケル塩としては、 例えば塩化ニッケル等が挙げられ、 マンガン塩としては例 えば塩化マンガンが挙げられる。 ' 本発明における 「有機金属化^^物」 としては、 グリニャール試薬と 2価の金属. 塩との反応で製造され得るものであれば特に限定はなく、 例えば上記有機金属化 合物 (Π) が挙げられ、 特にジシクロへキシル亜鉛が好ましい。
本発明の製造方法で使用される 「有機ルイス塩基」 としては、 特に限定はなく、 分子内に非共有電子対を 1〜5個有するものが好ましく、 1または 2個有するも のがより好ましい。 非共有電子対を分子内に 1個有する有機ルイス塩基としては、 例えば脂肪族第 3級ァミン類 (例えばトリメチルァミン、 トリヱチルァミン、 ト リブチルァミン等) 、 芳香族第 3級ァミン (例えば N, N—ジメチルァニリン、 N, N—ジェチルァニリン等) 、 脂肪族環状アミン (例えば N—メチルビペリジ ン、 N—メチルピロリジン等) 、 芳香族複素環ァミン (例えばピリジン、 2—ピ コリン、 3 _ピコリン、 4 _ピコリン、 2, 3—ルチジン、 2, 4—ルチジン、 2, 6—ルチジン、 キノリン等) 等が挙げられる。 非共有電子対を分子内に 2個
以上有する有機ルイス塩基としては、 例えば脂肪族ジァミン類 (例えば N, N , N, , N, 一テトラメチルエチレンジァミン、 N, N , N, , N, 一テトラメチ ルー 1 , 3—プロパンジァミン等) 、 脂肪族環状ジァミン類 (例えば 1 , 4—ジ メチルビペラジン等) 、 芳香族ジァミン (例えば 2 , 2, 一ジピリジル、 N, N, N, , N, —テトラメチルー 1 , 2 —フエ二レンジアミン等) 、 その他の有機ル イス塩基 (例えば 1 , 4—ジォキサン、 N—メチルモルフオリン等) 等が挙げら れる。 有機ルイス塩基の好適な例としては、 ピリジン、 トリェチルァミン、 N , N—ジメチルァニリン、 N—メチルビペリジンまたは 1 , 4 一ジォキサン等が挙 げられ、 特にピリジンが好ましい。
本発明の製造方法で使用される 「ひーケトカルボン酸エステル化合物」 として は、 上記有機金属化合物と反応して ひ—ヒドロキシカルボン酸エステル化合物を 製造し得るものであれば、 特に限定はなく、 例えば上記化合物 (III ) が挙げら れ、 特にべンゾィルギ酸エステルが好ましい。
本発明の製造方法で製造される 「ひーヒドロキシカルボン酸エステル化合物」 としては、 特に限定はなく、 例えば上記 ひ—ヒドロキシカルボン酸エステル化合 物 (IV) が挙げられ、 特に、 頻尿治療薬であるォキシブチンの中間体であること から、 2—シクロへキシル一 2—ヒドロキシ一 2—フエニル酢酸エステルが好ま しい。
本発明の製造方法で製造される 「ひ—ヒドロキシカルボン酸化合物」 としては、 特に限定はなく、 例えば上記 ひ—ヒドロキシカルボン酸化合物 ( V) が挙げられ、 特に、 頻尿治療薬であるォキシブチンの中間体であることから、 2—シクロへキ シル一 2 -ヒドロキシ一 .2—フエニル酢酸が好ましい。
上記 R 1および R 2で示される 「置換基を していてもよい炭素数 1〜 2 0のァ ルキル基」 における 「炭素数 1〜 2 0のアルキル基」 としては、 炭素数 1 ~ 2 0 の直鎖または分枝鎖のアルキル基、 例えばメチル、 ェチル、 プロピル、 イソプロ ピル、 ブチル、 ィソブチル、 s e c—ブチル、 t e r t —プチル、 ペンチル、 ィ ソペンチル、 ネオペンチル、 へキシル、 ヘプチル、 ォクチル、 ノニル、 デシル、 ゥンデシル、 ドデシル、 トリデシル、 テトラデシル、 ペン夕デシル、 へキサデシ
ル、 ヘプ夕デシル、 ォク夕デシル、 ノナデシル、 ィコサニル等が挙げられ、 好ま しくは炭素数 1〜8の直鎖または分枝鎖のアルキル基が挙げられる。 当該 「置換 基」 としては、 炭素数 1〜10の直鎖または分枝鎖のアルコキシ基 (例えばメ ト キシ、 エトキシ、 プロポキシ、 イソプロポキシ、 ブトキシ、 イソブトキシ、 s e c—ブトキシ、 t e r t—ブトキシ、 ペントキシ、 イソペントキシ、 ネオペント キシ、 へキシルォキシ等) 等が挙げられる。 該置換基の数は 1〜 5個が好ましく、 それらは同一または異なっていてもよい。 「置換基を有していてもよい炭素数 1 〜20のアルキル基」 の好適な例としては、 メチル、 ェチル、 プロピル、 イソプ 口ピル、 プチル、 イソプチル、 メ トキシメチル、 2—メ トキシェチル等が挙げら れる。
上記 R1および R2で示される 「置換基を有していてもよい炭素数 3〜8のシク 口アルキル基」 における 「炭素数 3〜 8のシクロアルキル基丄としては、 炭素数 3〜 8の単環系または 2環系のシクロアルキル基、 例えばシクロプロピル、 シク ロブチル、 シクロペンチル、 シクロへキシル、 シクロへプチル、 シクロォクチル、 ビシクロ [2. 2. 1]ヘプチル、 ビシクロ [2. 2. 2] ォクチル、.ビシクロ [3. 2. 1]ォクチル等が挙げられ、 好ましくは炭素数 3〜7のシクロアルキ ル基が挙げられる。 当該 「置換基」 としては、 上記 「置換基を有していてもよい 炭素数 1~20のアルキル基」 の置換基として例示された炭素数 1〜10の直鎖 または分枝鎖のアルコキシ基の他、 炭素数 1〜10の直鎖または分枝鎖のアルキ ル基 (例えばメチル、 ェチル、 プロピル、 イソプロピル、 ブチル、 イソブチル、 s e cーブチル、 t e r t—ブチル、 ペンチル等) 、 炭素数 1〜 10のァリール 基 (例えばフエニル、 1—ナフチル、 2 _ナフチル等) 等が挙げられる。 該置換 基の数は 1〜5個が好ましく、 それちは同一または異なっていてもよい。 「置換 基を有していてもよい炭素数 3〜 8のシクロアルキル基」 の好適な例としては、 例えばシクロプロピル、 シクロブチル、 シクロベンチル、 シクロへキシル等が挙 げられ、 R1としては、 特にシクロへキシルが好ましい。
上記 R1で示される 「置換基を有していてもよいァリール基」 における 「ァリ —ル基」 としては、 炭素数 6〜 14のァリール基、 例えばフエニル、 .1一ナフチ
ル、 2—ナフチル、 1一アントリル、 2—アントリル、 9—アントリル等 挙げ られ、 好ましぐはフエニル等が挙げられる。 当該 「置換基」 としては、 上記 「置 換基を有していてもよい炭素数 3〜 8のシクロアルキル基」 の置換基と同様のも のが挙げられる。 該置換基の数は 1〜5個が好ましく、 それらは同一または異な つていてもよい。 「置換基を有していてもよいァリール基」 の好適な例としては、 例えばフエニル、 1一ナフチル、 2—ナフチル、 4—トリル等が挙げられる。
上記 R 1で示される 「置換基を有していてもよいァラルキル基」 における 「ァ ラルキル基」 としては、.そのァリール部は上記のァリール基と同様であり、 その. アルキル部が炭素数 1〜 1 0、 好ましくは炭素数 1〜 5の直鎖または分枝鎖のァ ルキル基であるァラルキル基が挙げられ、 例えばベンジル、 フエネチル、 1ーフ ェニルェチル、 ジフエニルメチル、 1一ナフチルメチル、 2—ナフチルメチル、 2 , 2—ジフエニルェチル、 3—フエニルプロピル、 4—フエニルブチル、 5— フエ二ルペンチル等が挙げられ、 好ましくはべンジル等が挙げられる。 当該 「置 換基」 としては、 上記 「置換基を有していてもよい炭素数 3〜8のシクロアルキ ル基」 の置換基と同様のものが挙げられる。 該置換基の数は 1〜 5個が好ましく、 それらは同一または異なっていてもよい。 「置換基を有していてもよいァラルキ ル基」 の好適な例としては、 例えばベンジル、 フエネチル等が挙げられる。
Xで示される 「ハロゲン原子」 としては、 塩素原子、 臭素原子またはヨウ素原 子が挙げられ、 好ましくは塩素原子または臭素原子である。
R 2における 「置換基を有していてもよい炭素数 5〜1 2の芳香族基」 におけ る 「炭素数 5〜 1 2の芳香族基」 としては、 例えば炭素数 6〜 1 2の芳香族炭化 水素基または炭素数 5〜1 2の芳香族複素環基が挙げられる.。 炭素数 6〜1 2の 芳香族炭化水素基としては、 例えばフエニル基、 1一ナフチル基、 2—ナフチル 基等が挙げられる。 炭素数 5〜1 2の芳香族複素環基としては、 例えば炭素原子 以外に窒素原子、 硫黄原子および酸素原子から選ばれるヘテロ原子 1個以上 (例 えば 1〜3個、 好ましくは 1〜2個) を含む単環または縮合環式芳香族複素環基 が挙げられ、 例えば 2—ピリジル、 3—ピリジル、 4—ピリジル、 2—キノリル、 3—キノリル、 4—キノリル、 2—ベンゾフラニル、 2—べンゾチアゾリル、 2
—ベンズイミダゾリル等が挙げられる。 当該 「置換基」 としては、 上記 「置換基 を有していてもよい炭素数 3〜&のシクロアルキル基」 の置換基と同様のものが . 挙げられる。 該置換基の数は 1〜 5個が好ましく、 それらは同一または異なって いてもよい。 「置換基を有していてもよい炭素数 5〜1 2の芳香族基」 の好適な 例としては、 例えばフエニル、 1—ナフチル、 2—ピリジル、 3—ピリジル、 4 一ピリジル等が挙げられ、 なかでもフエニルが好ましい。
上記 R 2で示される 「置換基を有していてもよい炭素数 7〜 1 8のァラルキル 基」 の 「炭素数 7〜1 8のァラルキル基」 としては、 例えばそのァリール部は上 記のァリール基と同様であり、 そのアルキル部が炭素数 1〜 1 0、 好ましぐは炭 素数 1〜5の直鎖または分枝鎖のアルキル基であり、 総炭素数が?〜 1 8である ァラルキル基が挙げられ、 例えば上記 R 1における 「ァラルキル基」 と同様のも のが例示される。 当該 「置換基」 としては、 上記 「置換基を有していてもよい炭 素数 3〜 8のシクロアルキル基」 の置換基と同様のものが挙げられる。 該置換基 の数は 1〜5個が好ましく、 それらは同一または異なっていてもよい。 「置換基 を有していてもよい炭素数?〜 1 8のァラルキル基」 の好適な例としては、 例え ばベンジル、 フエネチル等が挙げられる。
上記 R 3で示される 「炭素数 1〜 1 0のアルキル基」 としては、 炭素数 1〜1 0の直鎖または分枝鎖のアルキル基、 例えばメチル、 ェチル、 プロピル、 イソプ 口ピル、 ブチル、 ィソブチル、 s e cーブチル、 t e r t—プチル、 ペンチル、 イソペンチル、 ネオペンチル、 へキシル、 ヘプチル、 ォクチル、 ノニル、 デシル 等が挙げられ、 好ましくは炭素数 1〜 5の直鎖または分枝鎖のアルキル基が挙げ られる。
上記 R 3で示される 「炭素数?〜 1 8のァラルキル基」 としては、 例えば上記 R 2における 「炭素数 7〜1 8のァラルキル基」 と同様のものが挙げられる。
Mで示される 「金属」 としては、 例えば亜鉛、 ニッケル、 マンガン等が挙げら れ、 好ましくは亜鉛が挙げられる。
ひーヒドロキシカルボン酸化合物の塩は、 例えばカルボン酸と無機塩基または 有機塩基との塩が挙げられる。 無機塩基との塩としては、 例えばナトリウム塩、
カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、 マグネシウム塩等のアルカリ土 類金属塩等が挙げられる。 有機塩基との塩としては、 トリェチルァミン、 ピリジ ン、 ピコリン等との塩が挙げられる。
本発明の ひ—ヒドロキシカルボン酸化合物の製造方法について以下に説明する 本発明のひ—ヒドロキシカルボン酸化合物の製造方法は、 下記反応スキームに 示すように、 グリニャール試薬と 2価の金属塩とを反応させて有機金属化合物を. 製造する工程 (a ) 、 工程 (a ) で製造された有機金属化合物をひ—ケトカルボ ン酸エステル化合物と反応させてひーヒドロキシカルボン酸エステル化合物を製 造する工程 (b ) およびひ—ヒドロキシカルボン酸エステル化合物を加水分解す る工程 (c ) を含む製造方法である。 グリニャール試薬
2価の金属塩 工程 (a:
有機金属化合物
ひ一ケトカルボン酸 工程 (b) (有機ルイス塩基:
エステル化合物
ひ一ヒドロキシカルボン j
エステル化合物
工程 (c)
ひ一ヒドロキシ
カルボン酸化合物 工程 (a ) :
工程 (a ) においては、 有機金属化合物は、 グリニャール試薬と、 2価の金属 塩との金属交換反応によって製造することができる。 工程 (b ) で使用される ひ 一ケトカルボン酸エステル化合物に対する求核剤として該有機金属化合物を使用 することにより、 グリニャール試薬を求核剤とする場合と比べ、 ひーケトカルボ
ン酸エステル化合物のケトンの還元、 エステルに対する求核付加等の副反応が抑 制され、 収率が向上する利点がある。
2価の金属塩およびグリニャール試薬の添加順序は特に限定はなく、 例えば溶 媒中に 2価の金属塩を添加後、 グリニャール試薬を添加、 好ましくは滴下するこ とによっても ;溶媒中のグリニャール試薬に、 2価の金属塩を添加することによ つても該金属交換反応が進行する。
工程 (a ) で原料として使用されるグリニャール試薬は、 例えば式、 R i X 〔式中、 各記号は前記と同意義を示す〕 で表される化合物とマグネ.シゥムから公 知の方法により製造することができ、 または、 市販のものを使用することもでき る。
工程 (a ) で使用する 2価の金属塩は、 グリニャール試薬と金属交換し得るも のであれば特に限定はなく、 例えば塩化亜鉛、 臭化亜鉛、 ヨウ化亜鉛、 塩化ニッ ケルまたは塩化マンガン等が挙げられ、 経済性および入手容易であることから塩 化亜鉛が好ましい。
2価の金属塩の使用量は、 グリニャール試薬 1モルに対して、 通常 0 . 3モル 〜0 . 7モル、 好ましくは 0 . 4モル〜 0 . 6モル、 さらに好ましくは 0 . 4 5 モル〜 0 . 5 5モルである。 2価の金属塩の使用量が上記範囲未満であ^と、 ひ —ケトカルボン酸エステル化合物のケトンの還元反応等の副反応が抑制されず、' 収率が低下する傾向がある。 また、 2価の金属塩の使用量が上記範囲を越えた場 合も、 その他の副反応がおこり易くなり、 収率が低下する傾向がある。
工程 (a ) における反応溶媒としては、 当該反応を阻害しないものであれば特 に限定はなく、 テトラヒドロフラン (T H F ) 、 t e r t—プチルメチルェ一テ ル、 1 , 4一ジォキサン、 ジエチレングリコールジメチルエーテル (d i g 1 y m e ) 等のエーテル類が挙げられ、 T H Fが好ましい。 これらは、 1種または 2 種以上を併用してもよい。 反応溶媒は、 実質的にエーテル類が好ましいが、 ベン ゼン、 トルエン、 キシレン等の芳香族炭化水素類またはヘプタン、 へキサン、 ォ ク夕ン等の脂肪族炭化水素類 (以下、 芳香族炭化水素類と脂肪族炭化水素類を併 せて、 炭化水素類ともいう) を、 当該反応を阻害しない範囲で上記エーテル類と
混合して使用することもできる。 工程 (a) における使用溶媒をエーテル類と炭 化水素類の混合溶媒とする場合、 炭化水素類の混合率はエーテル類に対して 4 0% (v/v) 以下、 好ましくは 20% (v/v) 以下、 より好ましくは 10% (v/v) 以下である。 炭化水素類の混合率が上記範囲を越えると、 反応が阻害 され収率が低下する傾向があり好ましくない。
当該溶媒の使用量は、 グリニャール試薬 1 kgに対して、 通常 1L〜50L、 好ましくは 1 L〜 10 L、 さらに好ましくは 2 L〜 6 Lである。
工程 (a) における反応温度および反応時間は、 用いる試薬などに依存するが、 反応温度は通常一 80 ° (〜 110 °C、 好ましくは一 20 °C〜 70 °C、 さらに好ま しくは 0°C〜40°Cであり、 反応時間は通常数分間〜 24時間、 好ましくは 1時 間〜 12時間である。 .
有機金属化合物は、 常法によって単離することができるが、 通常単離すること 無しに反応混合物が次の工程 (b) に付される。
工程 (b) :
工程 (b) では、 ひーヒドロキシカルボン酸エステル化合物は、 ひーケトカル ボン酸エステル化合物のカルボニル基に対する工程 (a) で製造される有機金属 化合物の求核付加反応により製造することができる。
有機金属化合物および ひ—ケトカルボン酸 ステル化合物の添加順序に特に限 定はなく、 例えば有機金属化合物の溶液中に、 ひ—ケトカルボン酸エステル化合 物またはその溶液を添加、 好ましくは滴下することによつても ; ひ一ケトカルボ ン酸エステル化合物の溶液中に、 有機金属化合物の溶液を添加、 好ましくは滴下 することによつても該求核付加反応が進行する。
工程 (b) で原料として使用される ひ—ケトカルボン酸エステル化合物は、 公 知の方法 〔例えば、 Synthetic Communication, 11(12), 943 -946(1981)に記載の 方法〕 により製造することができ、 あるいは、 例えばべンゾィルギ酸エステルの 場合は市販のものを用いることもできる。
工程 (b) における ひーケトカルボン酸エステル化合物の使用量は、 有機金属 化合物 1モルに対して、 通常 1モル〜 3モル、 経済性の観点からは、 1. 5モル
〜2. 5モルが好ましく、 1. 8モル〜 2. 2モルがさらに好ましい。 ひーケト カルボン酸エステル化合物の使用量が有機金属化合物 1モルに対して上記範囲未 満であると、 有機金属化合物が一部未反応で残るため経済的に好ましくない。 ま た、 ひ—ケトカルボン酸エステル化合物の使用量が有機金属化合物 1モルに対し て上記範囲を越えた場合、 反応に関与しない ひーケトカルボン酸エステル化合物 が大量に存在することになり、 経済的に好ましくない。
工程 (b) における反応溶媒としては、 当該反応を阻害しないものであれば特 に限定はなく、 工程 (a) において挙げられた反応溶媒と同様のものを使用する ことができ、 エーテル類と炭化水素類との混合溶媒とする場合の炭化水素類の好 ましい混合率も工程 (a) の場合と同様である。
工程 (a) の反応混合物と ひ一ケトカルボン酸エステル化合物とを反応させる 場合、 ひーケトカルボン酸エステル化合物またはその上記溶媒の溶液を工程
(a) の反応混合物に添加すればよく、 溶液を添加する場合の溶媒の使用量は、 ひ—ケトカルボン酸エステル化合物 lkgに対して、 通常 50L以下、 好ましく は 10L以下、 さらに好ましくは 1L以下である。 .
工程 (b) における反応温度および反応時間は、 用いる試薬などに依存するが、 反応温度は通常一 80 °C〜 100 °C、 好ましくは— 40 °C〜 40 °C、 さらに好ま しくは一 10°C〜10°Cである。 反応温度が上記範囲より低い'と反応が遅くなる 傾向があり、 上記範囲を越えると副反応が抑制されにくい傾向がある。 反応時間 は通常数分間〜 24時間、 好ましくは 1時間〜 12時間である。
工程 (b) においては、 有機ルイス塩基存在下に行うことが好ましい。 工程
(b) を有機ルイス塩基の存在下に行うことによって、 副反応をさらに抑制する ことができるため、 収率が向上し、 高純度の ひ—ヒドロキシカルボン酸化合物を 製造することができる。
また、 有機ルイス塩基を使用しない場合においては副反応を抑制するため、 低 温 (例えば— 10〜0°C) で反応を行う必要があつたが、 有機ルイス塩基の存在 下では、 常温(例えば 0~25°C) で行い得るため、 工業的に有利である。
有機ルイス塩基存在下に行う工程 (b) において、 有機ルイス塩基の添加時期
に特に制限はなく、 例えば工程 (a) の反応混合物に有機ルイス塩基を添加後に、 ひ—ケトカルボン酸エステル化合物またはその溶液を添加、 好ましくは滴下して もよいし、 あるいは、 工程 (a) の反応混合物に、 有機ルイス塩基とひ—ケトカ ルボン酸エステル化合物の混合物を添加、 好ましくは滴下してもよい。
有機ルイス塩基存在下に行う工程 (b) において、 有機ルイス塩基の使用量は、 有機ルイス塩基の分子内に存在する非共有電子対の数に依存する。 非共有電子対 を分子内に 1.個有する有機ルイス塩基の場合、 工程 (a) で使用した 2価の金属 塩 1モルに対して、 .通常 0. 2モル〜 4. 0モルであり、 0. 7モル〜 3. 0モ ルが好ましく、 1. 0モル〜 2. 0モルがより好ましい。 非共有電子対を分子内 に 2個以上有する有機ルイス塩基の場合、 2価の金属塩 1モルに対して、 通常 0. 1モル〜 2. 0モルであり、 0'. 4モル〜 1. 5モルが好ましく、 0. 5モル〜 1. 0モルがさらに好ましい。 有機ルイス塩基の使用量が 2価の金属塩 1モルに 対して上記範囲未満であると、 ひ—ヒドロキシカルボン酸エステル化合物の収率 および純度が低下する傾向がある。 また、 有機ルイス塩基の使用量が 2価の金属 塩 1モルに対し上記範囲を越えた場合、 製造される ひ—ヒドロキシカルボン酸ェ ステル化合物の純度は高いが、 収率が低下する傾向がある。 , 有機ルイス塩基存在下に行う工程 (b) における反応溶媒としては、 当該反応 を阻害しないものであれば特に限定はなく、 工程 (a) において挙げられた反応' 溶媒と同様のものを使用することができるが、 有機ルイス塩基を使用しない場合 に比べ炭化水素類によって反応が阻害されにくいため、 安価な炭化水素類の混合 率を高くすることができ、 工業的に有利である。
有機ルイス塩基存在下に行う工程 (b) において使用溶媒をエーテル類と炭化 水素類の混合溶媒とする場合、 炭化水素類の混合率はエーテル類に対して 60% (v/v) 以下、 好ましくは 40% (v/v) 以下、 より好ましくは 20% (v /V) 以下である。 炭化水素類の混合率が上記範囲を越えると、 反応が阻害され 収率が低下する傾向があり好ましくない。
有機ルイス塩基存在下に行う工程 (b) における反応温度および反応時間は、 用いる試薬などに依存するが、 反応温度は通常一 80°C〜100° 好ましくは
—4 0 °C〜4 0 °C;、 さらに好ましくは一 1 0 °C〜2 0 °Cである。 反応温度が上記 範囲より低いと反応が遅くなる傾向があり、 上記範囲を越えると副反応が抑制さ れにくい傾向がある。 上述のように有機ルイス塩基存在下に行う工程 (b ) では、 反応を常温付近で行い得るため、 工業的に有利である。 反応時間は通常数分間〜 2 4時間、 好ましくは 1時間〜 1 2時間である。
ひ—ヒドロキシカルボン酸エステル化合物は、 常法によって単離、 精製するこ とができる。 例えば反応液を塩酸水溶液にあけるか、 または、 水にあけた後、 酸 性とし、 分液後、 有機層を洗浄、 減圧濃縮することによって、 ひ一ヒドロキシカ ルボン酸エステル化合物を単離することができる。 単離後、 例えば蒸留またはシ リカゲルカラムクロマトグラフィーに付して精製することもできる。 また、 ひ一 ヒドロキシカルボン酸エステル化合物は精製することなく、 次の工程 (c ) に用 いることもできる。
工程 ( c ) :
工程 (c ) では、 ひ一ヒドロキシカルボン酸化合物は、 ひ—ヒドロキシカルボ ン酸エステル化合物を加水分解することにより製造することができる。
ひ—ヒドロキシカルボン酸エステル化合物の加水分解は常法で行えばよく、 例 えば溶媒中、 ひ—ヒドロキシカルボン酸エステル化合物とアル力リ金属化合物を 反応させることにより ひーヒドロキシカルボン酸化合物の塩が得られ、 その後、 必要に応じて酸で中和することにより、 ひ—ヒドロキシカルボン酸化合物を得る ことができる。 また、 溶媒中、 ひーヒドロキシカルボン酸エステル化合物を無機 酸と反応させることによつても、 ひ一ヒドロキシカルボン酸化合物を得ることが できる。
工程 (C ) で用いる溶媒としては、 例えばメタノール、 エタノール、 水など; およびこれらの混合溶媒が挙げられ、 メ夕ノールと水との混合溶媒、 エタノール と水との混合溶媒が好ましい。
工程 (C ) における当該溶媒の使用量は、 ひ—ヒドロキシカルボン酸エステル 化合物 l k gに対して、 通常 1 L〜5 0 L、 好ましくは 5 L〜2 0 Lである。 工程 (c ) で用いるアルカリ金属化合物としては、 例えば水酸化ナトリウム、
水酸ィ匕カリウム等が挙げられ、 水酸化ナトリウムが好ましい。 当該アルカリ金属 化合物の使用量は、 ひーヒドロキシカルボン酸エステル化合物 1モルに対して、 通常 1モル〜 4モルであり、 経済的には 1モル〜 2モルが好ましい。 アルカリ金 属化合物は、 そのまま反応系に添加してもよいが、 水溶液またはアルコール溶液 として添加するのが好ましい。 アルカリ金属化合物を溶解するための溶媒の使用 量も、 上記溶媒の使用量に含まれる。
工程 (c) で用いる無機酸としては、 例えば塩酸、 硫酸、 リン酸などが挙げら れ、 塩酸、 硫酸が好ましい。 無機酸の使用量は、 ひーヒドロキシカルボン酸エス テル化合物 1モルに対して、 通常 0. 01モル〜 5モル、 好ましくは 0. 1モル 〜5モル、 より好ましくは 0. 1モル〜 2モル、 さらに好ましくは 1モル〜 2モ ルである。
アルカリ金属化合物を用いた工程 (c) において、 中和のために用いる酸とし ては、 例えば上記の無機酸と同様なものが挙げられ、 その使用量は反応液の pH が通常 7以下、 好ましくは 4以下となる量であればよい。 酸での中和を行わない 場合、 ひ—ヒドロキシカルボン酸化合物のアルカリ金属塩が得られる。 .
工程 (c) における反応温度と反応時間は、 ひ一ヒドロキシカルボン酸エステ ル化合物とアル力リ金属化合物との反応の場合は、 アルカリ金属化合物の種類や 使用量などに依存するが、 反応温度は通常 0°C以上、 好ましくは 60°C以上;通 常 180°C以下、 好ましくは 150°C以下、 より好ましくは 120°C以下、 さら に好ましくは 100°C以下で、 反応時間は通常数分以上、 好ましくは 2時間以 上;通常 15時間以内、 好ましくは 8時間以内、 より好ましくは 6時間以内であ る。
ひ—ヒドロキシカルボン酸エステル化合物と無機酸との反応の場合は、 無機酸 の種類や使用量などに依存するが、 反応温度は通常 0°C〜120aC、 好ましくは 60°C〜100°Cであり、 反応時間は通常 10分間〜 24時間、 好ましくは 4時 間〜 10時間である。
工程 (c) で得られる ひ—ヒドロキシカルボン酸化合物の単離、 精製は、 常 法により行うことができる。 例えば、 反応後に生じた結晶を、 必要によって熟成
後、 濾取、 洗浄および乾燥することにより単離、 精製することができ、 あるいは 反応液を溶媒で抽出し、 洗浄および濾過に付し、 得られた抽出液から晶析させる ことにより、 単離、 精製することもできる。
α—ヒドロキシカルボン酸化合物は、 抽出溶媒から晶析させることによって単 離、 精製することが好ましい。 抽出溶媒としては、 例えばトルエン、 クロ口ベン ゼン、 キシレン、 酢酸ェチル等が挙げられ、 好ましくはトルエンである。 当該晶 析において、 抽出溶媒の使用量は、 得られる ひーヒドロキシカルボン酸化合物 の回収率または純度を良くするためには、 ひーヒドロキシカルボン酸ィ匕合物 1 k gに対し、 5L〜15Lが好ましく、 7L〜10Lがより好ましい。 また、 晶析 を円滑に行うために晶析を始める範囲内に少量の種結晶を接種することが好まし レヽ o
晶析温度においては、 適度な平均粒径 (43 m〜60 / m) の結晶を得る ために接種温度および接種後の冷却温度を制御することが好ましい。 例えば接種 温度は 90°C〜95°Cが好ましく、 接種後の冷却は、 例えば 90°C〜95°Cから — 5°C〜5°Cまで 8時間〜 31時間かけて冷却し、 その後— 5°C〜5°Cで 1時間 〜10時間熟成することが好ましい。 また、 前記冷却中に昇温と冷却を繰り返し 行うことにより平均粒径を制御することもできる。
本発明のひーヒドロキシカルボン酸化合物 (V) の製造方法は、 下記反応スキ ームに示すように、 グリニャール試薬 (I) と 2価の金属塩とを反応させて有機 金属化合物 (II) を製造する工程 (a' )、 工程 (a' ) で製造された有機金属 化合物 (II) を化合物 (III) と反応させてひーヒドロキシカルボン酸エステル 化合物 (IV) を製造する工程 (b, ) およびひ—ヒドロキシカルボン酸エステル 化合物 (IV) を加水分解する工程 (c' ) を含む製造方法である。 '
R1― MgX ( I )
M 2+ 工程 (a, )
R1— M— RJ
1/2 工程 (b, )
〔M2+は、 2価の金属塩を示し、 他の各記号は上記と同意義を示す〕
' 上記の反応スキームに示される ひーヒドロキシカルボン酸化合物 (V) の製 造方法は、 上記の ひ—ヒドロキシカルボン酸化合物の製造方法において、 グリ 二ヤール試薬としてグリニャール試薬 (I ) を、 有機金属化合物として有機金属 化合物 (II) を、 ひーケトカルボン酸エステル化合物として化合物 (III) を、 ひ一ヒドロキシカルボン酸エステル化合物として ひ一ヒドロキシカルボン酸ェ ステル化合物 (IV) をそれそれ適用したものである。 従って、 工程 (a, ) 、
( b, ) 、 (c, ) の反応条件は、 上述の工程 (a ) 、 ( b ) 、 ( c ) のそれと それぞれ同様である。 ' 上記 ひーヒドロキシカルボン酸化合物 (V) の製造方法において製造される R 1がシクロへキシルであり、 R 2がフエニルである ひ一ヒドロキシカルボン酸 化合物 (V) 〔2—シクロへキシルー 2—ヒドロキシ— 2—フエニル酢酸〕 は、
WOO 0/234 14記載の方法に従って、 頻尿治療薬として有用なォキシプチ ニンに誘導することができる。
実施例
以下、 実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、 本発明はこれら実施例に 限定されるものではない。
実施例 1 : 2—シクロへキシル一 2—ヒドロキシ一 2—フエニル酢酸メチル 〔グ リニヤール試薬 (I) に対して塩化亜鉛 0. 5モル比の場合〕
窒素雰囲気下、 2, 00 OmLのフラスコに THF ( 164mL) とマグネシ ゥム (48. 6 g, 2mo 1) を仕込み、 攪拌下 20°Cでヨウ素 (200mg) を添加してヨウ素の色が消失した後、 プロモシクロへキサン (8. 15 g, 0. 05 Omo 1) を滴下した。 反応温度が 45°Cまで昇温し、 反応の進行を確認し た。 THF ( 657mL) を流入し、 60°Cに加温した。 クロロシクロへキサン (290. 6 g, 2. 45mo l) を 60〜70°Cで滴下した。 滴下後 70~7 3 °Cで 1時間攪拌し、 シクロへキシルマグネシウムクロリドの T H F溶液を得た c l O O OmLフラスコに THF ( 164mL) を仕込み、 塩化亜鉛 (68. 2 S, 0. 5mo 1) を加えた。 先のグリニャール溶液の半分量 ( 535mL, 1 mo 1相当分) を 20〜35°Cで滴下した。 この反応液の 部を採取し、 J. 0 rganome t a l . Chem. , Vo l . 14, 13— 19' (1 968) に 記載の方法により得られるジシクロへキシル亜鉛と同一であることを確認した。 室温で 10分間攪拌後、 冷却し、 ベンゾィルギ酸メチル (82. l g、 0. 5m o 1 ) を 0〜 5 °Cで滴下した。 滴下終了後、 5〜 20 °Cで一晩攪拌した。
2 , O O OrnLのフラスコに水 ( 164mL) と 35%塩酸 (88mL) を仕 込んだ中に、 反応溶液を 1 5〜45°Cで滴下した。 65°Cに昇温し、 静置分液し た。 有機層に温水 ( 164ml) を加えて 65 °Cで 30分間攪拌し、 静置分液し た。
水層と先の水層とを合一し、 トルエン (246mL) を加えて 65°Cで抽出し た。 有機層と先の有機層と合一し、 減圧濃縮して濃縮残渣として表題化合物 ( 1 3 1. 8 g) を得た。 純分収率 94% (HPLC法、 HPLC条件 1)
カラム : I ne rt s i l ODS— 2, 5 ju , 15 c mx 4. 6 τηπι 検出器 : UV (λ = 2 20 nm)
分析時間: 4 Omi n.
^-NMR (40 OMH z , CDC 13) δ= 1 02 - 1. 48 (7H, m) 1. 58- 1. 70 (2H, m) , 1. 75 - 1 83 ( 1 H, m) , 2. 18 — 2. 27 ( 1 H, m) , 3. 68 ( 1 H, s) 3. 77.(3 H, s) , 7. 23 - 7. 28 ( l H, m) , 7. 30- 7. 36 (2H, m) , 7. 62 -7. 65 (2H, m) ppm
実施例 2 : 2—シクロへキシルー 2—ヒドロキシ一 2—フエニル酢酸
実施例 1で得た 2—シクロへキシル一 2—ヒドロキシ— 2—フエニル酢酸メチ ノレ ( 1 3 1. 8 g) とメタノール ( 1 64mL) を仕込み、 6 0〜75°Cで 2 6%水酸化ナトリウム水溶液 ( 77 g, 0. 5 mo 1) を滴下した。 70~7 5°Cで 30分間攪袢し、 HP LCで反応をチェックしたところ、 未反応物が 4. 4%残っていたので、 更に 26%水酸化ナトリウム水溶液 (38. 5 g, 0. 2 5mo 1) を追カ卩し、 同温で 1 時間攪拌した。 H P LCで未反応物が消失したこ とを確認したので、 トルエン (575 mL) 、 水 (82mL) を加え、 60〜7 5°Cで 1 8%硫酸 (408. 4 g) を攪拌下、 滴下した。 静置分液し、 有機層に 温水 ( 164mL) を加えて 70〜75°Cで 25分間攪拌した。 静置分液した後、 常圧でトルエン (82mL) を留去した。 95 °Cまで冷却し、 種結晶を少量加え、 晶析させた。 95°Cから 5°Cまで 9時間かけて冷却した。 0〜5°Cで 1時間熟成 し、 0〜5°Cで濾過、 冷トルエン ( 123mL) で 2回結晶を洗浄した。 70°C で 3時間減圧乾燥し、 表題化合物 (97. ί g) を得た。 収率 82. 9%、 純度 99. 9%, (HPLC法、 HPLC条件 2)
HPLC条件 2:
カラム Z o rbax SB— CN, 5 ju , 250 mmx 4. 6 mm^ 検出器 UV (λ = 2 20 nm)
分析時間 40 m i n.
一 NMR (400MHz, CDC 13) 6 = 0. 99— 1. 48 (6H, m) , 1. 58 - 1. 68 (3H, m) , 1. 78 - 1. 83 ( 1 H, m) , 2. 22 - 2. 30 ( l H, m) , 3. 25 - 3. 60 ( 1 H, b r) , 7. 26-7. 37 (3H, m) , 7. 63-7. 66 (2 H, m) ppm
実施例 3 〔グリニャール試薬 (I) に対して塩化亜鉛 0. 55モル比の場合〕
窒素雰囲気下、 1, 00 OmLのフラスコに THF (82mL) とマグネシゥ ム (24. 3 g, lmo 1) を仕込み、 攪拌下 20°Cでヨウ素 ( 10 Omg) を 添加してヨウ素の色が消失した後、 プロモシクロへキサン (4. 10 g, 0. 0 25 mo 1) を滴下した。 反応温度が 40°Cまで昇温し、 反応の進行を確認した。 THF (328mL) を流入し、 60°Cに加温した。 クロロシクロへキサン ( 1 45. 3 g, 1. 23 mo 1) を 60〜67°Cで滴下した。 滴下後 70〜7 1°C で 1時間攪袢した。
50 OmLフラスコに THF (82mL) を仕込み、 塩化亜鉛 (37. 48 :, 0. 275 mo l) を加えた。 先のグリニャール溶液の半分量 ( 270 mL , 0. 5mo l相当分) を 3. 5〜7°Cで滴下した。 26〜 30 °Cで 1 0分間攪拌後、 冷却し、 ベンゾィルギ酸メチル (4 1. 04 g、 0. 25mo 1) を 0〜5°Cで 滴下した。 滴下終了後、 5〜20°Cで一晩攪拌した。
1 , 00 OmLのフラスコに水 (82mL) と 35 %塩酸 (44mL) を仕込 んだ中に、 反応溶液を 5〜36°Cで滴下した。 5 1°Cに昇温し、 静置分液した。 有機層に温水 ( 123mL) を加えて 5 1°Cで 30分間攪拌し、 静置分液した。 水層と先の水層とを合一し、 トルエン ( 10 OmL).を加えて 50°Cで抽出し た。 有機層と先の有機層と合一し、 減圧濃縮して濃縮残渣として 2—シクロへキ シル— 2—ヒドロキシー 2—フエニル酢酸メチル (76. 8 g) を得た。 純分収 率 90. 85%, (HPLC法、 HPLC条件 1)
上記で得た 2—シクロへキシル _ 2—ヒドロキシ一 2—フエニル酢酸メチル ( 76. 80 g) とメタノール (82mL) を仕込み、 68〜73°Cで 26%水 酸化ナトリウム水溶液 (57. 7 g, 0. 375mo 1) を滴下した。 Ί 0〜7 5°Cで 1時間攪拌し、 HPLCで反応が終了したことを確認した。 トルエン (2
83mL) 、 水 (82mL) を加え、 60〜70。Cで 18 %硫酸 ( 1 2 2. 5 g) を攪拌下、 滴下した。 70。Cで静置分液し、 有機層に温水.(82mL) を加 えて 70〜75°Cで 1 5分間攪拌した。 静置分液した後、 常圧でトルエン (4 1 mL) を留去した。 92°Cまで冷却し、 種結晶を少量加え、 晶析させた。 92°C から 5°Cまで 6時間かけて冷却した。 0〜5°Cで 1時間熟成し、 0〜5°Cで濾過、 冷却トルエン ( 123mL) で 2回結晶を洗浄した。 7◦ °Cで 3時間減圧乾燥し、 2—シクロへキシル一 2—ヒドロキシ一 2—フエニル酢酸 (46. 0 g) を得た。 収率 78. 54%、 純度 99. 5%, (H P L C法、 H P L C条件 1 ) .
実施例 4 〔グリニャール試薬 (I) に対して塩化亜鉛 0. 45モル比の場合〕
塩化亜鉛を 30. 66 g (0. 225mo 1) 使用した以外は、 実施例 3と同 様の方法で 2—シクロべキシル— 2—ヒドロキシ— 2—フエニル酢酸メチル 74. 72 g (純分収率 90. 62%) を得、 これを同様に加水分解して 2—シクロへ キシルー 2—ヒドロキシ— 2—フエニル酢酸 47. 16 g (収率 80. 52%, 純度 99. 5%) を得た。 (HPLC法、 HPLC条件 1) - 実施例 5 〔グリニャール試薬 ( I) に対して塩化亜鉛 0. 35モル比の場合〕 . 塩化亜鉛を 23. 85 g (0. 1 75mo 1) 使用した以外は、 実施例 3と同 様の方法で 2—シクロへキシル一 2—ヒドロキシー 2—フエニル酢酸メチル 64. 0 g (純分収率 8 1. 87%) を得、 これを同様に加水分解して' 2—シクロへキ シルー 2—ヒドロキシ— 2—フエニル酢酸 43. 24 § (収率73. 82 %, 純 度 99. 1%) を得た。 (HPLC法、 HPLC条件 1) .
実施例 6 : 2—シクロへキシル一 2—ヒドロキシ一 2—フエニル酢酸メチル 〔グ リニヤール試薬 ( I) に対して塩化亜鉛 0. 5モル比、 ピリジン 1 モル比の場 窒素雰囲気下、 50 OmLフラスコに THF (29mL) とマグネシウム (9. 12 g, 0. 375mo 1) を仕込み、 攪拌下 20°Cで触媒量のヨウ素 ( 2 Om g) を添加してヨウ素の色が消失した後、 プロモシクロへキサン (0. 8 g, 0. 005mo 1) を滴下した。 反応熱によって内温が 34°Cに加温し、 クロロシク 口へキサン (46. 8 g, 0. 39 5mo 1) を 6 1〜70°Cで滴下した。 滴下
後 65〜70°Cで 1時間攪拌した後、 20〜30°Cまで冷却し、 シクロへキシル マグネシウムクロリ ドの T H F溶液を得た。
l O O OmLフラスコにトルエン (82mL) を仕込み、 塩化亜鉛 (2 5. 6 g, 0. 188mo 1) を加えた。 先に調整したグリニャール溶液 (0. 375 mo 1相当分) を 24〜45°Cで滴下した。 32〜 40 °Cで 5分間攪拌し、 ジシ クロへキシル亜鉛溶液を得た。 次いで、 ピリジン ( 29. 66 g, 0. 375m o 1) を 32〜34 °Cで滴下した。 THF (20. 5ml) で洗い込みをし、 約 10°Cに冷却した。 10〜: L 6。Cでべンゾィルギ酸メチル (4 1. 04 g, 0. 25mo 1) を約 2時間で滴下した。 THF (20. 5ml) で洗い込みをし、 10〜 15 °Cの温度で一晩攪拌した。
ベンゾィルギ酸メチル滴下終了直後と一晩攪拌後にそれぞれサンプリングを行 い、 生成物 ( 2—シクロへキシ'ルー 2—ヒドロキシ一 2—フエニル酢酸メチル) と原料 (ベンゾィルギ酸メチル) の面積百分率を HPLC (HPLC条件 1) で 測定した。 滴下終了直後で 89. 1 5 : 0. 94、 一晚攪袢後で 90. 18 : 0. 4 1であった。 .
100 OmLフラスコに水 (82mL) と.3 5 %塩酸 (55mL) を仕込んだ 中に、 反応溶液を 15〜50°Cで滴下した。 5 5〜60°Cに昇温し、 静置分液し た。 有機層に温水 (82mL) を加えて 53°Cで攪拌し、 静置分液した。 有機層 は 30〜80°Cで減圧濃縮し、 濃縮残渣として表題化合物 (62. 5 g) を得た。 純分収率 88. 3%, (HPLC法、 HPLC条件 1)
実施例 7 : 2—シクロへキシル— 2—ヒドロキシー 2—フエニル酢酸
実施例 6で得た 2—シクロへキシルー 2—ヒドロキシー 2—フエニル酢酸メチ ル (62. 5 g) をメ夕ノール (82 mL) に溶解し、 66〜70°(で26%水 酸化ナトリウム水溶液 (57. 7 g, 0. 375mo 1) を滴下した。 70〜7 3°Cで 1時間攪拌し、 HPLCで未反応物の消失を確認した。 トルエン (205 mL) と水 (82mL) を加え、 64〜70°Cで 18 %硫酸 ( 122. 5 g, 0. 225mo 1) を攪拌下、 滴下した。 70°Cで 40分間攪拌後、 静置分液した。 有機層にトルエン ( 164mL) と温水 (82mL) を加えて 70〜 74 °Cで 5
0分間攪拌した。 静置分液し、 トルエン層と容器をトルエン (4 lmL) で洗浄 したものを合一し、 85〜 1 13 °Cで常圧下でトルエン (82mL) を留去した。 9 1°Cまで冷却し、 種結晶 (0. 24 g) を加え、 晶析させた。 9 1°C.から 7 5°Cまで 2時間 40分かけて冷却し、 75°Cから 5°Cまでは 8時間かけて冷却し た。 0〜5°Cで 1時間以上熟成し、 2〜5°Cで濾過、 冷却トルエン ( 1 23m L) で分割洗浄した。 .70°Cで 3時間減圧乾燥し、 表題化合物 (48..6 g) を 得た。 収率 83. 0%、 純度99. 67% (HPLC法、 HPLC条件 3)
HPLC条件 3 :
カラム : Z o rbax S B-CN, 5 μ,πι, 25 c mx 4. 6 mm<^ 検出器 : UV (λ = 220 nm)
分析時間: 3 Omi n.
実施例 8 : 2—シクロへキシル一 2—ヒドロキシー 2—フエニル酢酸メチル 〔グ リニヤール試薬 ( I) に対して塩化亜鉛 0. 5モル比、 ピリジン 2モル比の場 , ^_
窒素雰囲気下、 フラスコに THF (82ml) 、 塩化亜鉛 (25. 6 g, 0. , 1 88mo 1 ) を加え、 先に調整したシクロへキシルマグネシウムクロリ ドの T HF溶液 ( 170ml , 0. 375mo 1相当分) を 29〜44°Cで滴下した。 44〜40°Cで 1時間攪拌し、 ピリジン (59. 3 g, 0. 75mo l) を 40 〜43°C、 20分で滴下した。 約 2°Cに冷却し、 2〜3°Cでべンゾィルギ酸メチ ル (4 1. 04 g, 0. 25 mo 1) を約 1時間で滴下した。 10〜15°Cの温 度で一夜攪拌した。 ―
ベンゾィルギ酸メチル滴下終了 3時間後と一晚攪拌後にそれぞれサンプリング を行い、 生成物 ( 2—シクロへキシルー 2—ヒドロキシ一 2—フエニル酢酸メチ ル) と原料 (ベンゾィルギ酸メチル) の面積百分率を HPL C (HPL C条件 4) で測定した。 滴下終了 3時間後で 82. 6 1 : 2. 79、 一晩攪拌後で 84. 03 : 0. 96であった。
HPLC条件 4 :
カラム : Z o rbax SB— CN, 5〃m, 25 c mx 4. 6 mm^
検出器 : UV (λ = 220 nm)
分析時間: 5 Omi n.
フラスコに水 ( 122mL) と 35 %塩酸 ( 132mL) を仕込んだ中に、 反 応溶液を 10〜43°Cで滴下し、 THF (2 Oml) で反応容器を洗いこんだ。 55°Cに昇温し、 静置分液した。 有機層に温水 ( 1 22mL) を加えて 55°Cで 1 5分間攪拌し、 静置分液した。 有機層は 30〜60°Cで減圧濃縮し、 濃縮残渣 として表題化合物 (60. 87 g) を得た。 純分換算収率 78. 09% (HPL C法、 HPLC条件 3)
実施例 9 : 2—シクロへキシル— 2—ヒドロキシー 2—フエニル酢酸
実施例 8で得た 2—シクロへキシルー 2—ヒドロキシー 2—フエニル酢酸メチ ル (60. 87 g) をメタノール (82mL) に溶解し、 66〜7 1°Cで 26% 水酸化ナトリウム水溶液 (57. 7 g, 1. 44mo 1) を 10分間で滴下した c 7 1〜72°Cで 1時間攪拌した。 HP LCでエステル体の消失を確認し、 トルェ ン (328mL) と水 (82mL) を加え、 約 70°Cで 18 %硫酸 ( 122. 5 g) を攪拌下で滴下した。 約 70°Cで 20分間攪拌、 静置分液した。 有機層に温. 水 (82mL) を加えて約 70°Cで 25分間攪拌した。 静置分液し、 トルエン層 と容器をトル ン (4 l mL) で洗浄したものを合一し、 84〜 1 1 3 °C、 大気 圧下で濃縮した (留出分: トルエン 82ml、 τΚ 10 m 1 ) 。
90°Cまで冷却し、 種結晶を少量加え、 晶析させた。 90°Cから 76°Cまで 2 時間 15分かけて冷却し、 75°Cから 5°Cまでは 8時間かけて冷却した。 約 5 °C で 1時間熟成し、 2〜5°Cで濾過、 冷却トルエン ( 123mL) で 2分割洗浄し た。 結晶を約 70°Cで 2時間減圧乾燥し、 2—シクロへキシル— 2—ヒドロキシ —2—フエニル酢酸 (42. 7 g) を得た。 収率 72. 9%、 純度 9 9. 95 % (HPLC法、 HPLC条件 3)
実施例 10 : 2—シクロへキシルー 2—ヒドロキシ— 2—フヱニル酢酸の晶析化 方法 ( 1 )
ベンゾィルギ酸メチル (0. 25mo l) を用い、 実施例 6および 7と同様の 方法で調整した 2—シクロへキシルー 2—ヒドロキシー 2—フエニル酢酸のトル
ェン溶液 (287mL) に 92°Cで種結晶を加え、 3 °C/h rの速度で 75。Cま で冷却し、 その後 45°Cまで 10時間、 5°Cまで 2時間かけて冷却した。 濾過、 洗浄、 乾燥して 2—シクロへキシルー 2—ヒドロキシー 2—フエニル酢酸 (48. 97 g) を得た。 収率 83. 6%、 純度 99. 74% (HPLC法、 HPLC条 件 3)
実施例 1 1 : 2—シクロへキシル _ 2—ヒドロキシー 2—フエニル酢酸の晶析化 方法 (2)
ベンゾィルギ酸メチル (0. 25mo l) を用い、 実施例 6および 7と同様の 方法で調整した 2—シクロへキシル一 2—ヒドロキシー 2—フエニル酢酸のトル ェン溶液 (287mL) に 92 °Cで種結晶を加え、 結晶析出後に 94°Cまで昇温 し、 30分間熟成した.。 12°C/hrの冷却速度で 90°Cまで冷却した後、 再び 12°C/hrの昇温速度で 94°Cまで昇温した。 この後、 ① 12°CZhrの冷却 速度で 10°Cだけ冷却し、 12°C/hrの昇温速度で 5°Cだけ昇温し、 ③ 30 分間熟成した。 この①から③までを 1サイクルとして 3回繰り返し、 75°Cま.で 冷却した。 75°Cから 5°Cまでは 7時間かけて均一に (約 10°CZhr) 冷却し た。 0〜5°Cで 1時間熟成して、 濾過、 洗浄、 乾燥して 2—シクロへキシルー 2 —ヒドロキシ— 2—フエニル酢酸 (48. 84 g) を得た。 収率 83. 4 %、 純 度 99. 72% (HPLC法、 HPLC条件 3)
比較例 1 〔グリニャール試薬 (I) に対して塩化亜鉛 0. 15モル比の場合:! 塩化亜鉛を 10.22 g (0. 075mo 1) 使用した以外は、 実施例 3と同 様の方法で 2—シクロへキシルー 2—ヒドロキシ一 2—フエニル酢酸メチル 62.
96 g (純分収率 65. 6%) を得、 これを同様に加水分解して 2—シクロへキ シル— 2—ヒドロキシ一 2—フエニル酢酸 33. 68 § (収率57. 5%, 純度
98. 7%) を得た。 (HPLC法、 HPLC条件 1)
比較例 2 〔塩化亜鉛を使用しない場合〕
窒素雰囲気下、 THF ( 73 g) にマグネシウム (15. 8g, 0. 288m o 1) およびヨウ素 (20 Omg) を加えて、 約 25°Cで 30分間攪拌した。 ブ 口モシクロへキサン (4. 1 g, 0. 025mo 1) を滴下した後、 THF (2
91. 9 g) をカロえ、 60〜70°Cでクロロシクロへキサン (86 g, 0. 72 5mo 1) を滴下した。 60〜75°Cで 2時間攪拌し、 ガスクロマトグラフィー にて分析すると、 クロロシクロへキサンの残量が 0. 1%であった。 20~3 0°Cに冷却し、 グリニャール溶液をべンゾィルギ酸メチル (82. 1 g, 0. 5 OOmo l) と THF ( 82 mL ) の混合液に 6〜 14 °Cで滴下した。 滴下は 1 時間で終了した。 同温度で 1時間攪拌し、 HPLCで分析した結果、 ベンゾィル ギ酸メチルは検出されなかった。 減圧下、 65〜80°Cで THFを留去した。 留 去量は 345mLであった。 トルエン (164mL) を加え、 5〜38°Cで 7N 塩酸 (215mL) 中に滴下し、 静置分液した。 有機層中の 2—シクロへキシル 一 2—ヒドロキシー 2—フヱニル酢酸メチルの純分収率を、 HP LC法で算出し たところ、 58% (42%は目的物以外の副生物) であった。.
有機層にメタノール (82mL) を加え、 65〜75°Cで 27重量%水酸化ナ トリウム水溶液 (242 g) を滴下した後、 同温度で 3時間攪拌した b HPLC でエステル体 ( 2—シクロへキシル一 2—ヒドロキシー 2—フエニル酢酸メチ ル) が消失したことを確認し、 減圧下、 65〜85°Cで THFとメタノールを留 , 去し、 さらにトルエン (41 OmL) を流入し、 60〜70°(で71^塩酸 (21 5mL) を滴下し、 水層の pHを 1以下とした。 70〜80°Cで静置分液し、 有 機層を 0〜5°Cに冷却した。 同温度で 2時間熟成後、 濾過し、 冷トルエン (20 OmL) で洗浄した。 減圧下、 65〜75°Cで乾燥し、 2—シクロへキシル—2 —ヒドロキシ— 2—フエ二ル齚酸 (51. 6 g) を得た。 収率 44. 0%、 純度 98. 6% (HPLC法、 11?1^(条件1) 。
産業上の利用可能性
本発明の方法により、 医薬や農薬の中間体として有用な 2—シクロへキシルー 2—ヒドロキシー 2—フエニル酢酸で代表される ひーヒドロキシカルボン酸化合 物を、 安全で、 安価で、 簡便かつ効率のよい工業的に有用な方法によって高品質 に製造することができる。 さらに、 本発明の方法により、 ひ—ヒドロキシカルボ ン酸化合物の中間体である ひーヒドロキシカルボン酸エステル化合物を、 安全で、 安価で、 簡便かつ効率のよい工業的に有用な方法によって製造することができる <
本発明の方法では、 毒性の強い青酸ガスを使用する必要がない。 また、 ひーヒ ドロキシカルボン酸エステル化合物に対する求核剤としてグリニャール試薬の代 わりに有機金属化合物を使用することにより ひ—ヒドロキシカルボン酸エステル 化合物および ひ—ヒドロキシカルボン酸化合物を安全で、 安価で、 簡便かつ効率 のよい工業的に有用な方法によって高品質に製造することができる。 本出願は、 日本で出願された特願 2 0 0 2 - 1 1 6 8 6 4を基礎としており、 その内容は本明細書にすべて包含するものである。 .