新規デヒドロゲナーゼ及ぴそれをコードする遺伝子 技術分野
本発明は、 新規デヒドロゲナーゼ、 それをコードする D NA、 及びそれを用い た N—アルキルアミノ酸の製造方法に関するものである。 N—アルキルアミノ酸 の中でも、 特に N—メチルアミノ酸は、 ジデムニン (Didemnin) あるいはドラス タチン (dolastatin) といった天然の生理活性物質の構造の一部で存在すること が知られ(J. Am. Chem. So 1981, 103 号, pl857- 1859 ; Tetrahedron 1993, 49 号 p9151 - 917Q)、近年は医薬あるいは農薬の中間原料として注目されている有用な物 質である。 背景技術
N—置換アミノ酸類の製造方法としては、 アジドの還元的アルキルィヒによる方 法(J. Org. Chem. 1995, 60号, p4986- 4987)、 ォキザゾリジン誘導体からの還元 的開環反応による製法(Tetrahedron Letter 39 (1998) 1985-1986)といった化学 的反応などが知られていた。
また、 微生物を用いた方法としては、 デヒドロゲナーゼ又はアミノトランスフ エラーゼを用いた 2—ォキソカルボン酸誘導体からのアミノ酸類の製造方法が知 られているものの、 これらは主として、 単なるアミノ化のみが行われているだけ であり、置換アミノ基を用いたものとしては、 シユードモナス (Pseudomonas)属 の微生物を用いてピルビン酸から N—メチルァラニンを製造する方法 (J. Biol. Chem. , 250号, ρ3746- 3751 (1975) )、 及ぴロ ドコッカス属、 ァルスロパクター属 の微生物を用いたメチルァミノ化方法 (特開 2 0 0 1 - 1 9 0 2 9 8号公報) の ように単なるメチルァミノ化のみが知られているのみであった。
また、 上記反応に関与する酵素と しては、 J. Biol. Chem. , 250 号, 3746-3751 (1975)に、 シユードモナス M S A T C C 2 5 2 6 2由来の N—メチ
ルァラニンデヒドロゲナーゼが精製されたことが報告されている。
発明の開示
しかしながら、 上述のように、 公知のアミノ酸デヒドロゲナーゼおよび N—メ チルァミノ酸デヒドロゲナーゼは、 ァミン類又はジカルボニル基含有化合物とい つた基質特異性が限定されており、 適用できる応用の範囲が狭い。 また、 上記し た公知の酵素を用いて N—メチルアミノ化を行った場合、 N—メチルーアミノ酸 だけではなくァミノ基の置換基のない通常のアミノ酸も同時に製造されるため、 工業的に有利な方法とは言えない。 このため、 新規なデヒドロゲナーゼの取得が 望まれていた。 即ち、 本発明は、 公知のデヒドロゲナーゼとは異なる性質を有す る新規なデヒドロゲナーゼを提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは、 上記課題を解決するために鋭意検討した結果、 シユードモナス プチダ ATCC 12633株より新規デヒドロゲナーゼを単離することに成功し、 本発明を完成するに至った。
即ち、 本発明によれば、 以下の理化学的性質を有するデヒドロゲナーゼが提供 される。
(1) 作用: NAD PHおよび Z又は NADHを補酵素としてピルビン酸とァ ルキルァミン又はジアルキルアミンから N—アルキル一 Lーァラニンを生成す る ;
(2) 基質特異性:アルキルァミン又はジアルキルァミンに対して活性を示す がアンモニアには活性を示さない;
(3) フエ二ルビルビン酸とメチルァミンとを基質とした場合の至適 pHが 1 0付近;及ぴ、
(4) 30°Cで 30分処理したときの酵素が安定である pHが 5〜10. 5付 近:
本発明の別の側面によれば、 下記の何れかのポリべプチドが提供される。
(1) 配列番号 1で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチド;
( 2 ) 配列番号 1で表されるァミノ酸配列において 1から複数個のァミノ酸が欠 失、 置換及び Z又は付加されたアミノ酸配列を有し、 デヒドロゲナーゼ活性を有 するポリぺプチド;又は
( 3 ) 配列番号 1で表されるァミノ酸配列と 50 %以上の相同性を有するァミノ 酸配列を有し、 デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチド;
本発明のさらに別の側面によれば、 上記した本発明のポリペプチドをコードす る DNAが提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、 下記の何れかの DN Aが提供される。
(1) 配列番号 2で表される塩基配列を有する DNA;
(2) 配列番号 2で表される塩基配列において 1から複数個の塩基が欠失、 置換 及び Z又は付加された塩基配列を有し、 デヒドロゲナーゼ活性を有するポリぺプ チドをコ一ドする DNA;又は
(3) 配列番号 2で表される塩基配列を有する DNAとストリンジェントな条件 下でハイブリダイズし、 デヒドロゲナーゼ活性を有するポリぺプチドをコ一ドす る DNA:
本発明のさらに別の側面によれば、 上記した本発明の DN Aを有する組み換え ベクターが提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、 上記した本発明の DN Aまたは組換えべク ターを有する形質転換体が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、 下記一般式 (I)
(式中、 R1は、 水素原子又は置換されていてもよいアルキル基を示し、 R2は置 換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいァリール基を示す) で
表されるジカルボ-ル基含有化合物と R3 (R4) NH (式中、 1 3及ぴ1 4は、 そ れぞれ独立して、水素原子又は置換されていてもよいアルキル基を示す。ただし、 R3と R4は共に水素原子であることはない。) で表されるアルキル置換アミン類 とを、 本発明のデヒドロゲナーゼ、 ポリペプチド又は形質転換体の存在下で反応 させることを含む、 N—アルキル一アミノ酸誘導体の製造方法が提供される。 好ましくは、 R1は水素原子である。
好ましくは、 R 3はァミノ基で置換されていてもよい C 1〜C 6の直鎖、 分岐 鎖若しくは環状のアルキル基であり、 R 4が水素原子である。
好ましくは、式(I)で表される化合物は、 ピルビン酸、 フエ二ルビルビン酸、 j3—フルォロピルビン酸、 2—ォキソ酪酸、 2—ケトへキサン酸又は 2—ケト n 一吉草酸である。
本発明のさらに別の側面によれば、 下記一般式 (I I) :
(式中、 R1は、 水素原子又は置換されていてもよいアルキル基を示し、 R2は置 換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいァリ一ル基を示す) で 表されるアミノカルボン酸類と、 一般式 (I I) で表されるアミノカルボン酸類 を一般式 ( I ) :
(式中、 R1及ぴ R2は、 一般式 (I I) における定義と同義である) で表される
化合物に変換することのできる酵素と、 R3 (R4) NH (式中、 R3及び R4は、 そ れぞれ独立して、水素原子又は置換されていてもよいアルキル基を示す。ただし、 R 3と R 4は共に水素原子であることはない。) で表されるアルキル置換ァミン類 とを、 本発明のデヒドロゲナーゼ、 ポリペプチド又は形質転換体の存在下で反応 させることを含む、 N—アルキル一アミノ酸誘導体の製造方法が提供される。 好ましくは、 R3はァミノ基で置換されていてもよい C 1〜C 6の直鎖、分岐鎖 若しくは環状のアルキル基であり、 R4が水素原子である。
好ましくは、 一般式 (I I ) で表されるアミノカルボン酸類は、 フエ二ルァラ ニンま はメチォニンである。
好ましくは、 式 (I I ) で表されるァミノカルボン酸類を式 (I ) で表される アルキル置換ァミン類に変換することのできる酵素は、 D—アミノ酸ォキシダ一 ゼ、 L—アミノ酸ォキシダーゼ、 D—アミノ酸デヒドロゲナーゼ、 L一アミノ酸 デヒドロゲ^ "一ゼ、 アミノ酸トランスフェラーゼである。 図面の簡単な説明
図 1は、本発明の N -メチル- L -フエ二ルァラニンデヒドロゲナーゼの至適 pHを 示すグラフである。
図 2は、 本発明の N -メチル- L-フェニルァラ二ンデヒドロゲナーゼの至適温度 を示すグラフである。
図 3は、本発明の N-メチル- L-フヱニルァラ二ンデヒドロゲナーゼの PH安定性 を示すグラフである。
図 4は、 本発明の N -メチル -L-フエ二ルァラニンデヒドロゲナーゼの熱安定性 を示すグラフである。
図 5は、 本発明の N -メチル -L -フエ二ルァラニンデヒドロゲナーゼに対する pH の影響を示すグラフである。
図 6は、 D—ァミノ酸ォキシダーゼとの共反応産物を H P L C分析した結果を 示す。
図 7は、図 6の peak- 1と peak- 2についてマススぺクトル解析した結果を示す。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の実施の形態について詳細に説明する。
( I ) 本発明のデヒドロゲナーゼ及びポリぺプチド
本発明のデヒドロゲナーゼは以下の理化学的性質を有するものである。
(1) 作用: NADPHおよび Z又は NADHを補酵素としてピルビン酸とァ ルキルァミン又はジアルキルァミンから N—アルキル一 L—ァラニンを生成す る;
( 2 ) 基質特異性:アルキルァミン又はジアルキルァミンに対して活性を示す がアンモニアには活性を示さない;
(3) フエニルピルビン酸とメチルァミンとを基質とした場合の至適 p Hが 1 0付近;及び、
(4) 30°Cで 30分処理したときの酵素が安定である pHが 5〜10. 5付 近:
本発明のデヒ ドロゲナーゼは、 例えば、 フエ二ルビルビン酸のようなジカルボ ニル基含有化合物と、 NAD PHおよび Z又は NADHの存在下で、アンモニア、 アルキルアミン及ぴジアルキルアミンを用いたスクリ一二ングを行うことにより、 取得することができる。
スクリーニングに当たっては、 デヒドロゲナーゼ活性を有する微生物の培養物 から増殖菌体、 該菌体破碎物、 又はこれから通常の操作により単離した粗酵素又 は精製酵素を用いることができる。
加えて、 酵素の安定な pHが 5〜10. 5付近である上で、 至適 pHが 10付 近となるといつた特性を有することが本発明のデヒドロゲナーゼの特性である。 上記デヒドロゲナーゼは、 例えば、 シユードモナス ·プチダに属する微生物、 特に好ましくは、 シユードモナス ·プチダ ATCC 12633株より単離するこ とができる。
上記デヒドロゲナーゼの具体例としては、 配列番号 1に記載のァミノ酸配列で 表されるポリペプチド、 並びにそのホモログであってデヒドロゲナーゼ活性を有 するものが挙げられる。
配列番号 1に記載のァミノ酸配列で示されるデヒドロゲナーゼの性質としては、 上記 (1) 〜 (4) で示される性質の他に以下のような特性も示す。
(5) Superose 12HR10/30 (アマシャムバイオサイエンス社製) を用いたゲル 濾過法分析により測定される分子量が約 80〜 93キロダルトンであり、 S D S 一ポリアクリルアミ ド電気泳動において、 少なくとも約 36キロダルトンと推定 されるポリペプチドのバンドを示す。
(6) フエ二ルビルビン酸とメチルアミンを基質とした場合の活性測定による 至適温度は 35 °C付近である。
(7) 至適 pH (フエ二ルビルビン酸とメチルァミンとを基質とした場合 =p HI 0) において 30分処理したときの熱安定性は、 約 30°C未満である。
(8) ピルビン酸だけでなく、 少なくとも 2—ケトへキサン酸、 フエニルピル ビン酸、 2—ォキソ酪酸、 _フルォロピルビン酸、 2—ケト η—吉草酸にも活 性を示す。
(9) 0. O lmMの塩化水銀 (HgC l 2) 及び 0. 01 mMの塩化銅 (C uC 12) といった 2価の重金属によって活性が阻害される。
本発明のデヒドロゲナーゼのホモログとしては、
配列番号 1で表されるァミノ酸配列において 1から複数個 (好ましくは 1〜 2 0個、 より好ましくは 1〜15個、 さらに好ましくは 1〜10個、 さらに好まし くは 1〜 7個、 特に好ましくは 1〜 5個程度) のァミノ酸が欠失、 置換及び Z又 は付加されたアミノ酸配列を有し、 デヒ ドロゲナーゼ活性を有するポリべプチ ド;又は
配列番号 1で表されるァミノ酸配列と 50 %以上、 好ましくは 60 %以上、 よ り好ましくは 70 %以上、 より好ましくは 80 %以上、 さらに好ましくは 90 % 以上、さらに好ましくは 95%以上、特に好ましくは 97%以上の相同性を有し、
デヒドロゲナーゼ活性を有するポリぺプチド;
が挙げられる。
尚、 上記ポリペプチドのホモロジ一検索は、 例えば、 DNA Databank of JAPAN (DDBJ)を対象に、 FASTA programや BLAST programなどを用いて行うこと ができる。
' また、 デヒドロゲナーゼ活性とは、 一般に脱水素反応を触媒する活性の総称で あるが、 本発明では NAD Hや NAD P H等の酸化還元反応に関する補酵素とァ ルキルアミン類によりカルボニル化合物をアルキルアミノ化させる活性をいう。 本発明のデヒドロゲナーゼの取得方法としては、 上述したようにデヒドロゲナ ーゼ活性を有する微生物の培養物から単離 ·精製する方法のほか、 後述するよう に本発明のァミノ酸配列の一部又は全部をコードする塩基配列を元にして作成し たプローブを用いることにより、 デヒドロゲナーゼ活性を有する任意の微生物か ら該還元酵素をコードする D N Aを単離した後、 それを元に遺伝子工学的手法を 用いて得ることができる。
あるいは、 本発明のデヒドロゲナーゼは、 Fmoc法(フルォレニルメチルォキシ カルボニル法)、 tBoc法(t一ブチルォキシカルボ二ル法)等の化学合成法によって も製造することができる。 また、 桑和貿易(米国 Advanced Chem Tech社製)、 パー キンェルマ一ジャパン(米国 Perkin Elmer社製)、 アマシャムファルマシァバイオ ァグ (Amersham Pharmacia Biotech 社製)、 ァロカ 米国 Protein Technology Instrument社製)、クラボウ(米国 Synthecell- Vega社製)、 日本パーセプティプ . リミテッド (米国 PerSeptive社製)、島津製作所等のぺプチド合成機を利用して化 学合成することもできる。
(II) 本発明の D NA
本発明によれば、 上記デヒドロゲナーゼをコードする D NAまたはそのホモ口 グが提供される。
上記デヒドロゲナーゼをコードする D NAとしては、 例えば、 配列番号 2で表
される塩基配列を含むものが挙げられる。
本発明のデヒドロゲ^ "一ゼをコ一ドする DNAのホモログとしては、 配列番号 2で表される塩基配列において 1から複数個 (好ましくは 1〜 60個、 より好ましくは 1〜30個、 さらに好ましくは 1〜20個、 さらに好ましくは 1 〜10個、 特に好ましくは 1〜5個程度) の塩基が欠失、 置換及び/又は付加さ れた塩基配列を有し、 デヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードする DNA ;又は
配列番号 2で表される塩基配列を有する D N Aとストリンジユントな条件下で ハイプリダイズし、 デヒドロゲナーゼ活性を有するポリぺプチドをコードする D NA:
が挙げられる。
当業者であれば、 配列番号 2に記載の DN Aに部位特異的変異導入法 (Nu c 1 e i c Ac i d Re s. 10, p p. 6487 (1 982)、 Me t h o d s i n En z ymo l . 100, p p. 448 (1983), Mo 1 e c u 1 a r C l o n i n g 2 n d E d t . , C o l d S p r i n g Ha r b o r La b o r a t o r y P r e s s (1989) (以下、 〃モレキュラークロー二 ング第 2版〃と略す)、 P CR A P r a c t i c a l Ap p r o a c h I RL P r e s s p p. 200 (1 991)) 等を用いて適宜置換、 欠失、 挿入 及び zまたは付加変異を導入することにより所望のホモログを得ることが可能で ある。
本明細書において 「ストリンジェントな条件下でハイブリダィズする DNAJ とは、 DN Aをプローブとして使用し、 コロニーハイブリダィゼーシヨン法、 プ ラークハイブリダィゼーシヨン法、 あるいはサザンブロットハイブリダィゼーシ ヨン法等を用いることにより得られる DNAの塩基配列を意味し、 例えば、 コロ ニーあるいはプラーク由来の DN Aまたは該 DN Aの断片を固定化したフィルタ 一を用いて、 0. 7〜1. 0Mの N a C 1存在下 65°Cでハイブリダィゼーショ ンを行った後、 0. 1〜2 X S S C溶液 (1 X S S Cの組成は、 150mM塩化
ナトリウム、 1 5 mMクェン酸ナトリウム) を用い、 6 5。C条件下でフィルター を洗浄することにより同定できる D N A等を挙げることができる。
ハイブリダィゼーションは、 モレキュラークローニング第 2版等に記載されて いる方法に準じて行うことができる。
上記した D NAのホモログとしては、 配列番号 2に記載の塩基配列を有する D NAと 6 0 %以上、 好ましくは 7 0 %以上、 より好ましくは 8 0 %以上、 特に好 ましくは 9 0 %以上の相同性を有するものが挙げられる。
本発明のデヒ ドロゲナーゼをコードする D NAは、 例えば、 以下のような方法 によって単離することができる。
まず、 本発明のデヒドロゲナーゼを精製後、 N末端アミノ酸配列を解析し、 さ らに、 染色体 D NAから P C R法を用いたクローニング等の通常の遺伝子工学的 解析手法を用いて、 目的とするデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子を単離し、 その塩基配列を解析することができる。 また、 本発明により、 その塩基配列が明 らかになつたため、 当該塩基配列を元にプライマーを設定し、 目的とする遺伝子 をクローユングすることもできるし、 D N A合成装置により合成することもでき る。
(III) 本発明の組み換えベクター及ぴ形質転換体
上記の (II) で取得された本発明のデヒドロゲナーゼをコードする D NAは、 公知の発現ベクターに揷入することにより、 デヒドロゲナーゼ発現ベクターを提 供することができる。 また、 この発現べクタ一で形質転換した形質転換体を培養 することにより、 デヒドロゲナーゼを該形質転換体から得ることができる。
本発明のデヒドロゲナーゼを発現させるための形質転換の対象となる微生物と しては、 宿主自体が本反応に悪影響を与えない限り特に限定されることはなく、 具体的には以下に示すような微生物を挙げることができる。
ェシエリ ヒア(Escherichia)属、 バチルス(Bacillus)属、 シユー ドモナス (Pseudomonas)属、セラチア(Serratia)属、ブレビノ クテリゥム(Brevibacterium)
属、 コ リネパクテリ ゥム(Corynebacterium)属、 ス ト レプト コ ッカ ス (Streptococcus)属、 ラタトバチルス(Lactobacillus)属など宿主ベクター系の開 発されている細菌;
口ドコッカス(Rhodococcus)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属など宿主 ベクター系の開発されている放線菌;
サッカロマイセス (Saccharomyces)属、クライべロマイセス (Kluyveromyces)属、 シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属、 チゴサッカロマイセス (Zygosaccharomyces) M、 ャロ ウィ ァ (Yarrowia)属、 ト リ コ スポロ ン (Trichosporon)属、 ロ ドスポジ ジゥム (Rhodosporidium)属、 /ヽンゼヌラ (Hansenula)属、 ピキア(Pichia)属、 キャンディダ(Candida)属などの宿主べクタ 一系の開発されている酵母;
ノイロスポラ(Neurospora)属、ァスぺノレギノレス (Aspergillus)属、セファロスポ リゥム(Cephalosporium)属、トリコデルマ(Trichoderma)属などの宿主ベクター系 の開発されているカビ。
上記微生物の中で宿主として好ましくは、ェシェリヒア(Escherichia)属、バチ ルス(Bacillus)属ブレビバタテリゥム(Brevibacterium)属、 コリネパクテリゥム (Corynebacterium)属であり、 特に好ましくは、 ェシェリヒア(Escherichia)属、 コリネバクテリゥム(Corynebacterium)属である。
形質転換体の作製のための手順および宿主に適合した組み換えベクターの構築 は、 分子生物学、 生物工学、 遺伝子工学の分野において慣用されている技術に準 じて行うことができる (例えば、 モレキュラークローユング第 2版などを参照)。 具体的には、 微生物中において安定に存在するプラスミ ドベクターやファージ ベクター中に本発明の D NAを導入するか、 もしくは、 直接宿主ゲノム中に本発 明の D N Aを導入し、 その遺伝情報を転写 ·翻訳させる必要がある。
このとき、 プロモーターを本発明の D NA鎖の 5, 一側上流に、 より好ましく はターミネータ一を 3, 一側下流にそれぞれ組み込むことが好ましい。 本発明で 用いることができるプロモーター及びターミネータ一としては、 宿主として利用
する微生物中において機能することが知られているプロモーター及ぴターミネ一 ターであれば特に限定されず、 これら各種微生物において利用可能なベクター、 プロモーター及びターミネータ一などに関しては、 例えば 「微生物学基礎講座 8 遺伝子工学.共立出版」、 特に酵母に関しては、 Adv. Biochem. Eng. 43, 75-102 (1990)、 Yeast 8, 423-488 (1992)、 などに詳細に記述されている。
具体的には、 例えばェシエ リ ヒア属、 特に大腸菌ェシエリ ヒア · コ リ (Escherichia coli)においては、 プラスミドベクターとしては、 PBR、 pUC系プラ スミドが挙げられ、 lac ( 0 -ガラクトシダーゼ)、 trp (トリプトファンオペロン)、 tac、 trc (lac, tr の融合)、 ファージ P L、 PRなどに由来するプロモータ 一などが挙げられる。また、ターミネータ一としては、 trpA由来、ファージ由来、 rrnBリボソーマル R NA由来のターミネータ一などが挙げられる。
バチルス属においては、 ベクターとしては、 pUBllO系プラスミド、 pC194系プ ラスミ ドなどを挙げることができ、 また、 染色体にインテグレートすることもで きる。 プロモーター及びターミネータ一としては、 アルカリプロテアーゼ、 中性 プロテアーゼ、 α—アミラーゼ等の酵素遺伝子のプロモーターやターミネータな どが利用できる。
シユードモナス属においては、 ベクターとしては、 シユードモナス 'プチダ (Pseudomonas putida) s シユードモナス ·セ /ヽンァ Pseudomonas cepacia)なと ? 開発されている一般的な宿主ベクター系や、 トルエン化合物の分解に関与するプ ラスミド T0Lプラスミドを基本にした広宿主域ベクター(RSF1010などに由来する 自律的複製に必要な遺伝子を含む) PKT240を挙げることができる。
プレビパクテリゥム属、 特にブレビパクテリゥム · ラタ トフアーメンタム (Brevibacterium lactofermentum)においては、ベクターとしては、 pAJ43 (Gene 39, 281 (1985) )などのプラスミドベクターを挙げることができる。プロモーター及ぴ ターミネータ一としては、 大腸菌で使用されている各種プロモーター及ぴタ ミ ネーターが利用可能である。
コ リネバタテリ ゥム属、 特にコ リネパクテリ ゥム · ダルタ ミカム
(Corynebacterium glutamicum)においては、 ベクターとしては、 pCSll (特開昭
57-183799号公報)、 pCBlOl (Mol. Gen. Genet. 196, 175 (1984)などのプラスミ ドベクターが挙げられる。 サッカロマイセス(Saccharomyces)属、 特にサッカロマイセス .セレビジァェ (Saccharomyces cerevisiae) 【こおレヽて ίま、 ベクターとして fま、 YRp系、 YEp系、 YCp系、 Yip系プラスミドが挙げられる。 また、 アルコール脱水素酵素、 ダリセル アルデヒド一 3—リン酸脱水素酵素、 酸性フォスファターゼ、 β—ガラク トシダ ーゼ、 ホスホグリセレートキナーゼ、 エノラーゼといった各種酵素遺伝子のプロ モーター、 ターミネータ一が利用可能である。
シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属においては、ベクターとしては、 Mol. Cell. Biol. 6, 80 (1986)に記載のシゾサッカロマイセス ·ボンべ由来のプ ラスミ ドベクターを挙げることができる。 特に、 pAUR224 は、 宝酒造から市販さ れており容易に利用できる。
ァスペルギルス(Aspergillus)属においては、 ァスペルギルス · 二ガー (Aspergillus niger) 、 ァスヘル = ルス *ォリシ一 (Aspergillus oryzae) など がカビの中で最もよく研究されており、 プラスミドゃ染色体へのインテグレーシ ョンが利用可能であり、 菌体外プロテアーゼゃアミラーゼ由来のプロモーターが 利用可能である (Trends in Biotechnology 7, 283-287 (1989) )。
また、 上記以外でも、 各種微生物に応じた宿主ベクター系が開発されており、 それらを適宜使用することができる。
また、 微生物以外でも、 植物、 動物において様々な宿主 ·ベクター系が開発さ れており、 特に蚕を用いた昆虫 (Nature 315, 592-594 (1985) ) や菜種、 トウモ 口コシ、 ジャガイモなどの植物中に大量に異種タンパク質を発現させる系及ぴ大 腸菌無細胞抽出液や小麦胚芽などの無細胞タンパク質合成系を用いた系が開発さ れており、 好適に利用できる。
本発明の D N Aを有する形質転換体を培養し、 培養物から公知の方法で本発明 のデヒドロゲナーゼを単離精製することができる。
本発明の D N Aを有する形質転換体を培養する方法は、 宿主の培養に用いられ る通常の方法に従って行うことができる。
本発明の形質転換体が大腸菌等の原核生物、 酵母菌等の真核生物である場合、 これら微生物を培養する培地は、 該微生物が資化し得る炭素源、 窒素源、 無機塩 類等を含有し、 形質転換体の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、 合成 培地のレ、ずれでもよい。 培養は、 振盪培養または深部通気撹拌培養などの好気的 条件下で行うことが好ましく、 培養温度は通常 15〜40°Cであり、 培養時間は、 通 常 1 6時間〜 7日間である。 培養中 p Hは、 3 . 0〜9 . 0に保持する。 p Hの 調整は、 無機あるいは有機の酸、 アルカリ溶液、 尿素、 炭酸カルシウム、 アンモ ユアなどを用いて行う。 また培養中必要に応じて、 アンピシリンゃテトラサイク リン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
動物細胞を宿主細胞として得られた形質転換体を培養する培地としては、 一般 に使用されている RPM11640 培地 〔The Journal of the American Medical Association, 199, 519 (1967)〕、 Eagleの MEM培地 [Science, 122, 501 (1952)〕、 画 M培地 [Virology, 8, 396 (1959)〕、 199培地 [Proceeding of the Society for the Biological Medicine, 73, 1 (1950) ] またはこれら培地に牛胎児血清等を添 加した培地等が用いられる。 培養は、 通常 p H 6〜8、 3 0〜4 0 °C、 5 % C 02 存在下等の条件下で 1〜7日間行う。また、培養中必要に応じて、カナマイシン、 ぺニシリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
形質転換体の培養物から、 本発明のデヒドロゲナーゼを単離精製するには、 通 常のタンパク質の単離、 精製法を用いればよい。
例えば、本発明のデヒドロゲナーゼが、細胞内に溶解状態で発現した場合には、 培養終了後、 細胞を遠心分離により回収し水系緩衝液に懸濁後、 超音波破枠機、 フレンチプレス、 マントンガウリンホモゲナイザー、 ダイノミル等により細胞を 破枠し、 無細胞抽出液を得る。 該無細胞抽出液を遠心分離することにより得られ た上清から、 通常のタンパク質の単離精製法、 即ち、 溶媒抽出法、 硫安等による 塩析法、 脱塩法、 有機溶媒による沈殿法、 ジェチルァミノェチル (DEAE)セファロ
ース、 DIAION HPA- 75 (三菱化学社製)等レジ を用いた陰イオン交換クロマトグラ ブイ一法、 S- Sepharose FF (フアルマシア社製)等のレジンを用いた陽イオン交換 クロマトグラフィー法、 ブチノレセファロース、 フエニノレセファロース等のレジン を用いた疎水性クロマトグラフィー法、 分子篩を用いたゲルろ過法、 ァフィュテ ィークロマトグラフィー法、 クロマトフォーカシング法、 等電点電気泳動等の電 気泳動法等の手法を単独あるいは組み合わせて用い、 精製標品を得ることができ る。
また、本発明のデヒドロゲナーゼが細胞内に不溶体を形成して発現した場合は、 同様に細胞を回収後破碎し、 遠心分離を行うことにより得られた沈殿画分より、 通常の方法により該デヒドロゲナーゼを回収後、 該デヒドロゲナーゼの不溶体を タンパク質変性剤で可溶化する。 該可溶化液を、 タンパク質変性剤を含まないあ るいはタンパク質変性剤の濃度がデヒドロゲナーゼが変性しない程度に希薄な溶 液に希釈、 あるいは透析し、 該デヒドロゲナーゼを正常な立体構造に構成させた 後、 上記と同様の単離精製法により精製標品を得ることができる。
(IV) 本発明のデヒドロゲナーゼを用いた N—アルキル一アミノ酸誘導体の製造 さらに本発明は、 下記一般式 (I )
(式中、 R 1は、 水素原子又は置換されていてもよいアルキル基を示し、 R 2は置 換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいァリール基を示す) で 表されるジカルポニル基含有化合物と R 3 (R 4) ΝΗ (式中、 1 3及ぴ1 4は、 そ れぞれ独立して、水素原子又は置換されていてもょレ、アルキル基を示す。ただし、 R 3と R 4は共に水素原子であることはない。) で表されるアルキル置換アミン類
とを、 上記した本発明のデヒドロゲナーゼまたは形質転換体の存在下で反応させ ることを含む、 N—アルキルーァミノ酸誘導体の製造方法;及ぴ、
下記一般式 (I I) :
(式中、 R1は、 水素原子又は置換されていてもよいアルキル基を示し、 R2は置 換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいァリール基を示す) で 表されるァミノカルボン酸類と、 一般式 (I I) で表されるァミノカルボン酸類 を一般式 ( I ) :
(式中、 R1及ぴ R2は、 一般式 (I I) における定義と同義である) で表される 化合物に変換することのできる酵素と、 R3 (R4) NH (式中、 R3及ぴ R4は、 そ れぞれ独立して、水素原子又は置換されていてもよいアルキル基を示す。ただし、 R3と R4は共に水素原子であることはない。) で表されるアルキル置換アミン類 とを、 本発明のデヒドロゲナーゼ、 ポリペプチド又は形質転換体の存在下で反応 させることを含む、 N—アルキル一ァミノ酸誘導体の製造方法に関する。
上記一般式 (I) 中の R1のアルキル基としては、 ハロゲン原子、 ァリール基 等の反応に不活性な基で置換されていていてもよい直鎖、 分岐鎖若しくは環状の アルキル基であり、 具体例としては、 メチル基、 ェチル基、 n—プロピル基、 ィ ソプロピル基、 トリフルォロメチル基、 ベンジル基等が挙げられる。 このうち、
好ましくは炭素数 1〜: L 0、 より好ましくは 1〜4のものである。
上記 R 1として好ましくは、 水素原子又は直鎖のアルキル基であり、 特に好ま しくは水素原子である。
上記 R 2のアルキル基としては、 ハロゲン原子、 水酸基、 ァリール基等の反応 に不活性な基で置換されていていてもよい直鎖、 分岐鎖若しくは環状のアルキル 基であり、 具体例としては、 メチル基、 ェチル基、 n—プロピノレ基、 イソプロピ ル基、 フルォロメチル基、 トリフルォロメチル基、 ヒ ドロキシメチル基、 ベンジ ル基等が挙げられる。
上記 R 2のァリール基としては、 ハロゲン原子、 水酸基、 アルキル基、 ァリー ル基等の反応に不活性な基で置換されていていてもよいァリール基であり、 具体 例としては、 フエニル基、 トリル基、 フノレオロフェニル基、 ヒドロキシフエ二ノレ 基等が挙げられる。
上記置換されていてもよいアルキル基及ぴァリール基として好ましくは炭素数 1〜 1 0のものである。
上記 R 2として好ましくは、 アルキル基、 ハロアルキル基、 ァラルキル基であ り、 このうち、 直鎖状のものが特に好ましい。
一般式 (I ) で表される化合物の好ましい具体例としては、 ピルビン酸、 ヒド ロキシピルビン酸、 フエニルピルビン酸、 β _フルォ口ピルビン酸、 2—ケトへ キサン酸、 2—ケトイソへキサン酸、 2—ォキソ酪酸、 2—ケトオクタン酸又は 2—ケト η—吉草酸が挙げられ、 特に好ましくはピルビン酸、 フエ二ルビルビン 酸、 3—フルォロピルビン酸、 2—ォキソ酪酸、 2—ケトへキサン酸又は 2—ケ ト n—吉草酸である。
一般式 (I I ) で表される化合物の好ましい具体例としては、 フエ二ルァラ二 ン、 メチォニンである。
本反応に用いられるアミン類は、 R 3 (R 4) NHで表されるものである。 ここで、 上記 R 3及び R 4として、 それぞれ独立して、 水素原子又は置換されて いてもよいアルキル基であり、 ここで、 置換されていてもよいアルキル基として
は、 ハロゲン原子、 水酸基、 アミノ基、 ァリール基等の反応に不活性な基で置換 されていていてもよい直鎖、 分岐鎖若しくは環状のアルキル基である。
上記置換されていてもよいアルキル基の具体例としては、メチル基、ェチル基、 n—プロピル基、 イソプロピル基、 フルォロメチル基、 トリフルォロメチル基、 ヒドロキシメチル基、 アミノメチル基、 ベンジル基等が挙げられ、 このうち好ま しくは直鎖状のアルキル基又はァミノアルキル基である。
また、 上記置換されていてもよいアルキル基としては、 炭素数 1〜6のものが 好ましく、 より好ましくは炭素数 1〜4のものである。
上記アミン類の好ましい具体例としては、 メチルァミン、 ェチルァミン、 n _ プロピルァミン、 イソプロピルァミン、 ジァミノメタン、 ジメチルァミン、 シク 口へキサンアミン等が挙げられ、 より好ましくは 1級のアミン類であり、 特に好 ましくはメチルァミンである。
本反応において、 反応基質であるジカルボニル基含有化合物は、 通常、 基質濃 度が 0 . 0 1〜9 0 %w/ v、 好ましくは 0 . 1〜3 0 %wZ vの範囲で用いら れる。 これらは、 反応開始時に一括して添加してもよいが、 酵素の基質阻害があ つた場合の影響を減らすと言う点や生成物の蓄積濃度を向上させるという観点か らすると、 連続的もしくは間欠的に添加することが望ましい。
本反応において、反応基質であるァミノカルボン酸類は、通常、基質濃度が 0 . 0 1〜9 0 %wZ v、 好ましくは 0 . 1〜3 0 %wZ vの範囲で用いられる。 また、 アミン類は、 ジカルボニル基含有化合物及びアミノカルボン酸類に対し て等モル量以上、 好ましくは 1 . 5モル倍以上用いられる。 上記範囲であれば、 通常、 系内の p H及ぴコス ト等を勘案して任意に用いればよいが、 通常、 5 0モ ノレ倍量以下、 好ましくは 2 0モノレ倍以下である。
本反応において、 ジカルボニル基含有化合物及びァミノカルボン酸類に上記形 質転換体を作用させるに当たっては、 該形質転換体をそのまま、 該形質転換体を アセトン、 DM S O、 トルェン等の有機溶媒や界面活性剤により処理したもの、 凍結乾燥処理したもの、 物理的または酵素的に破碎したもの等の菌体処理物、 該
形質転換体中の本発明の酵素画分を粗製物あるいは精製物として取り出したもの、 さらには、 これらをポリアクリルアミ ドゲル、 カラギーナンゲル等に代表される 担体に固定ィヒしたものを用いることができる。
また、本反応においては、補酵素 NAD +あるいは NAD P+ (以下 NAD (P) +と略) もしくは NADHあるいは NADPH (以下 NAD (P) Hと略) を添 加するのが好ましく、 通常、 0. 00 ImM〜: L 0 OmM、 好ましくは 0. 01〜1 OmM添加する。
上記捕酵素を添加する場合には、 NAD (P) Hから生成する NAD (P) + を NAD (P) Hへの再生させることが生産効率向上のため好ましく、 上記再生 方法としては、 1) 宿主微生物自体の NAD (P) +還元能を利用する方法、 2) NAD (P) +から NAD (P) Hを生成する能力を有する微生物やその処理物、 あるいは、 グルコース脱水素酵素、 ギ酸脱水素酵素、 アルコール脱水素酵素、 ァ ミノ酸脱水素酵素、 有機酸脱水素酵素 (リンゴ酸脱水素酵素など) などの NAD (P) Hの再生に利用可能な酵素 (再生酵素) を反応系内に添加する方法、 3) 形質転換体を製造するに当たり、 NAD (P) Hの再生に利用可能な酵素である 上記再生酵素類の遺伝子を本発明の DNAと同時に宿主に導入する方法が挙げら れる。
このうち、 上記 1) の方法においては、 反応系にグルコースやエタノール、 ギ 酸などを添加する方が好ましい。
また、 上記 2) の方法においては、 上記再生酵素類を含む微生物、 該微生物菌 体をアセトン処理したもの、 凍結乾燥処理したもの、 物理的または酵素的に破砕 したもの等の菌体処理物、 該酵素画分を粗製物あるいは精製物として取り出した もの、 さらには、 これらをポリアクリルアミ ドゲル、 カラギーナンゲル等に代表 される担体に固定化したもの等を用いてもよく、また市販の酵素を用いてもよい。 この場合、 上記再生酵素の使用量としては、 具体的には、 本発明のデヒドロゲ ナーゼに比較して、 酵素活性で 0. 01〜100倍、 好ましくは 0. 5〜20倍 程度となるよう添加する。
また、 上記再生酵素の基質となる化合物、 例えば、 グルコース脱水素酵素を利 用する場合のグルコース、 ギ酸脱水素酵素を利用する場合のギ酸、 アルコール脱 水素酵素を利用する場合のエタノールもしくはィソプロパノールなど、 の添加も 必要となるが、 その添加量としては、 反応原料であるジカルボニル基含有化合物 に対して、 0 . 1〜2 0モル倍量、 好ましくは 1〜5モル倍量添加する。
また、 上記 3 ) の方法においては、 本発明の D NAと上記再生酵素類の D NA を染色体に組み込む方法、 単一のベクター中に両 D N Aを導入し、 宿主を形質転 換する方法及ぴ両 D N Aをそれぞれ別個にベクターに導入した後に宿主を形質転 換する方法を用いることができるが、 両 D N Aをそれぞれ別個にベクターに導入 した後に宿主を形質転換する方法の場合、 両ベクター同士の不和合性を考慮して ベクターを選択する必要がある。
単一のベクター中に複数の遺伝子を導入する場合には、 プロモーター及びター ミネ一ターなど発現制御に関わる領域をそれぞれの遺伝子に連結する方法やラタ トースォペロンのような複数のシストロンを含むオペロンとして発現させること' も可能である。
本反応は、 反応基質及び本発明の形質転換体並びに必要に応じて添加された各 種補酵素及ぴその再生システムを含有する水性媒体中もしくは該水性媒体と有機 溶媒との混合物中で行われる。
上記、水性媒体としては、水又は緩衝液が挙げられ、また、有機溶媒としては、 エタノーノレ、 プロパノール、 テトラヒドロフラン、 ジメチノレスノレホキシド等の水 溶性有機溶媒や酢酸ェチル、 酢酸ブチル、 トルエン、 クロ口ホルム、 n—へキサ ン等の非水溶性有機溶媒などから適宜反応基質の溶解度が高い物を使用すること ができる。
本反応は、 通常、 4〜5 0 °C、 好ましくは 1 0〜4 0 °Cの反応温度で、 通常 p H 6〜l l、 好ましくは p H 7〜: L 1で行われる。
また、 膜リアクターなどを利用して行うことも可能である。
さらに、 本反応において、 一般式 (I ) で表される化合物のうちカルボン酸ェ
ステル類を反応原料として用いる場合には、 市販の加水分解酵素を系内に共存さ せ、系内で R1が水素原子であるカルボン酸類に変換させ引き続き、 N—アルキル ァミノ化してもよい。
また、 本反応においては、 上記一般式 (I) に対応するァミノカルボン酸類、 すなわち一般式 (I I) で表される化合物 (R2CH (NH2) COOR1) を反応 原料として用い、 一般式 (I I) で表される化合物に作用し一般式 (I) で表さ れる化合物に変換する事の出来る酵素を共存させることにより、 系内で上記一般 式 (I) で表される化合物を生成させ、 引き続き、 本デヒドロゲナーゼにより N 一アルキルアミノ化してもよレ、。
一般式 (I I) で表される化合物に作用し一般式 (I) で表される化合物に変 換する事の出来る酵素であれば特に限られないが、 具体的にはアミノ酸ォキシダ ーゼ、 アミノ酸デヒドロゲナーゼゃアミノ酸トランスフェラーゼがあげられる。 好ましくは基質特異性の広い酵素が好ましい。 具体的には Enzyme and Microbial Technology vol.31(2002) p77 - 87 に記載されている L一アミノ酸ォキシダーゼ、 シグマネ土製の D—ァミノ酸ォキシダーゼなどがあげられる。 用いられるアミノ酸 ォキシダーゼ、 アミノ酸デヒドロゲナーゼゃアミノ酸トランスフェラーゼは、 ァ ミノ酸にのみ反応するものであり、 かつ本反応で用いられる捕酵素に対応するも のを使用できると捕酵素の再生システムの代替ともなり好ましい。 すなわち、 本 反応の N—アルキルアミノ化において、 補酵素として NAD (P) Hを用いた場 合、 NAD (P) Hは本反応の N—アルキルアミノ化により NAD P +となるが、 一方で、 ァミノカルボン酸類から上記一般式 (I) で表される化合物を製造する に当たり、 この NAD P +を利用して NAD (P) Hへ変換することとなる。 ま た一般式 (I I ) で表される化合物に作用し一般式 (I) で表される化合物に変 換する事の出来る酵素がカルボン酸基に置換基のないアミノ酸のみに作用する場 合、 該ァミノカルボン酸をアミノ酸に加水分解する酵素をさらに共存させ、 該ァ ミノ酸を生成せしめた後に反応を行わせても良い。
本反応により生成する N—アルキル一アミノ酸誘導体は、 反応終了後、 反応液
中の菌体ゃタンパク質を遠心分離、膜処理などにより分離した後に、酢酸ェチル、 トルエンなどの有機溶媒による抽出、 蒸留、 カラムクロマトグラフィー、 晶析等 のなどを適宜 aみ合わせることにより行うことができる。
以下、 実施例により本発明を更に詳しく説明するが、 本発明はこれに限定され るものではない。 実施例
本実施例における酵素活性は下記のような方法で測定した。
測定対象となる粗酵素液にフエニルピルビン酸ナトリウム(最終濃度 15 mM)、 メチルァミン一硫酸緩衝液 ( Hl 0) (最終濃度 400mM)、 NADPH (最 終濃度 10 mM) を加え全量 50 μ Lとした。 37 °Cで 1時間反応させた。 反応 終了後、 5 μ Lの 10%トリクロ口酢酸液を加え 13000 r pm、 5分間遠心 を行つた。 遠心上清 1' 0 Lを 40 の高速液体ク口マトグラフィー (以下、 H P L Cと略記する) 溶離液で希釈し 0. 45 //mのフィルタ一で濾過後高速液 体クロマトグラフィー (以下、 HP LCと略記する) にて分析した。
HP LCの条件は
カラム: U l t r o n E S P h-CD (信和化工株式会社)
温度: 40 °C
溶離液: 20%ァセトニトリル、 80% 20mMKH2PO4、 H3P04 0. 4 m 1 /L (pH3)
流速: 0. 85 ml/min.
検出器: UV検出器 ( 210 n m)
標準サンプルとして S i gma社の試薬を用いた。
酵素の活性単位 l un i tを一分間に 1 μモルの N—メチルフエ二ルァラニンを 生成する酵素量と規定する。 実施例 1 :酵素精製
(1- 1)
滅菌した液体培地 100ml (メチルァミン塩酸塩 5 g/L, グルコース 1 g/L, 酵母エキス 5g/L, リン酸水素二カリウム 7g/L, リン酸二水素カリウム 3g/L, 硫酸マグネシウム七水和物 0. lg/Lを含む) X 2本(50 Om 1坂口フラスコ) に、 シユードモナス プチダ ATCC 1 2633株を接種し、 28°Cで 18時 間、好気的に振とう培養した (前々培養)。 次に、 同じ組成の滅菌した液体培地 5 00ml X 4本 (2 L坂口フラスコ) に、 前々培養で得られた培養液を各 2 L坂 口フラスコに 50mlずつ接種した。 28 °Cで 8時間、 好気的条件で振とう培養 した (前培養)。 1%ポリペプトン (ナカライテスタ社製)、 0. 5%酵母エキス
(ナカライテスタ社製)、 1%塩化ナトリウム (ナカライテスタ社製) を添力 Πした 培地 (以下、 LB培地と略す) 200 Lを滅菌して、 前培養で得られた培養液 2 200m lをすベて接種し、 28 °Cで好気的に 16時間培養した(本培養)。培養 後得られた培養液を遠心分離し、 2. 5 k gの湿菌体を得た。 この菌体を、 5 L の 2 OmMトリス一塩酸バッファー (pH7. 0) に懸濁し、 超音波破砕によつ て 5. 9 Lの粗酵素液を得た。
粗酵素に対し硫安分画を行ったところ、 硫安濃度 20〜60%画分に活性があ つた。 この画分を集めて 15 Lの 20 mMトリス一塩酸バッファー(pH7. 0) で 5回透析した。 酵素液の量は 3100m lになった。
(1 -2) SuperQ-TOYOPEARL (TOSO H社製) による精製
20 mMトリス—塩酸パッファー (pH 7.0)で平衡化した SuperQ-TOYOPEARL ( T OS OH社製) 70 OmLに、硫安分画 20〜60%飽和の画分 310 OmLを供し た。 その後 20 mMトリス一塩酸バッファー (pH 7.0) 4900 m Lで洗浄を行 つた。 洗浄画分には活性が検出されなかった。
上記洗浄後、 0. 2 M塩化ナトリウムを含有する 2 OmMトリスー塩酸バッフ ァー 350 OmLで溶出した。この条件で、活性を持つタンパク質が溶出された。 さらに、 0. 5M塩化ナトリゥムを含有する 2 OmMトリス一塩酸バッファー 3
50 OmLで溶出したが、 この画分では活性が検出されなかった。
上記 0.2M塩化ナトリゥムを含有する 2 OmMトリスー塩酸バッファーで溶 出した画分を回収し、 タンパク量及び酵素活性を測定した。 活性を示した溶液 3 900mLを、 20 %飽和の硫安含有 20 mMトリス—塩酸パッファー(pH 7.0) に 12 Lで 3回透析した。 透析後の酵素液は 3000 m Lであった。
(1-3) Butyl-TOYOPEARL (T OS OH社製) による精製
上記 ( 1— 2 ) で得た酵素液 3000mLを、 20 %飽和の硫安含有 20 mM トリス一塩酸パッファー(pH 7.0)で平衡化した Butyl- T0YOPEARL (TOSO H社 製) 500 m Lに流した。 その 20 %飽和の硫安含有 20 mMトリス一塩酸バッ ファー (pH 7.0) 280 OmLで洗浄を行った。 洗浄画分のタンパク量及び酵素活 性を測定したところ、 この画分に活性が検出された。 洗浄で得た酵素液に直接硫 安を加えて、 硫安濃度が 5〜 20 %飽和の画分を取得し再び Butyl- T0Y0PEARLに 流すことにした。
(1-4) Butyl-TOYOPEARL (TOSO H社製) による 2回目の精製
得られた硫安画分の酵素液 5700mLを、 30 %飽和の硫安含有 20 mMト リス一塩酸バッファー(pH 7.0)で平衡化した Butyl- T0Y0PEARL (TOSO H社製) 50 OmLに流した。 その後、 30%飽和の硫安含有 2 OmMトリス一塩酸パッ ファー (pH 7.0) 230 OmLで洗浄を行った。 洗浄画分のタンパク量及ぴ酵素活 性を測定したところ、この画分に活性が検出された。続いて、このカラムを 15% 飽和の硫安含有 20 mMトリス一塩酸パッファー (pH 7.0)で溶出した。その結果、 溶出液にも活性が検出された。 活性を示した上記両方の画分を回収し、 60%飽和 濃度になるように 3070 gの硫安を加えて撹拌し、 濃縮した。 その結果、 酵素 液は 600 m Lとなった。 これを 20 mMトリス一塩酸バッファー(pH 7.0) 14 Lで 3回透析を行い、 得られた酵素液は 1.00 OmLになった。
(1-5) DEAE-TOYOPEARL (TOSO H社製) による精製
上記 (1—4) において透析して得た酵素液 100 OmLを、 20 mMトリス —塩酸バッファー(pH 7.0) で平衡化した DEAE- T0Y0PEA L (TO SO H社製) 6 0 OmLに供した。 その後、 2 OmMトリス一塩酸バッファー(pH 7.0) 4000 mLで洗浄を行った。 洗浄画分には活性がみられなかった。 続いて 0. 1Mの塩 化ナトリゥムを含有する 2 OmMトリスー塩酸バッファー(pH 7.0) 250 OmL で溶出した。 その結果、 この画分にほとんど活性が検出されなかった。 次に、 塩 化ナトリウム濃度が 0. 1〜0. 3Mとなるようにグラジェントをかけてタンパ クを溶出した。 酵素活性を有する画分を回収したところ、 1 700mLの酵素液 が得られた。この酵素液に.760 gの硫安を加えて撹拌し、濃縮した。その結果、 酵素液は 6 OmLになった。 これを 2 OmMトリス'一塩酸バッファー(pH 7.0) 8 Lで 2回透析を行った。 透析後、 酵素液は 10 OmLになった。
(1-6) Green-sepharose CL- 4Bによる精製
市販の膨潤 SepharoseCL-4Bゲル 150mlをガラスフィルタ一上にとり、 1 Lの蒸 留水を用いて吸引洗浄した。 これを 2 L坂口フラスコに移した。 これに、 150mL の水に溶かした Reactive Green 19 (Sigma社製) 0.75 g (7.5mg色素 ZmLゲル の割合)を加えた。 さらに 22 %塩化ナトリゥム水溶液 15mL (最終濃度:約 2%) を加え、 ゲルと色素がよく混ざり合う程度で、約 30分間振とう撹拌した。 1. 5 gの結晶炭酸ナトリゥムを加えて、 50°Cで一晩振とう撹拌した。 反応終了後、 ゲル懸濁液をガラスフィルターに移し、水 (約 1. 5 L)、 1M塩化ナトリウム水 溶液 (約 1. 5 L)、 水 (約 3 L) の順序で、 ろ液の着色が見られなくなるまで色 素ゲルを洗浄し、 Green- sepharose CL- 4Bを調製した。
上記方法で調製した Green sepharose CL-4B 450mLを 20 mMトリスー 塩酸パッファー(pH 7.0)で平衡化した後に上記 ( 1— 5 ) で得た酵素液 100m Lを流した。
その後、 2 OmMトリス一塩酸バッファー(pH 7.0) 300 OmLで洗浄を行つ
た。 洗浄画分には、 上記 (1— 5) で得られた酵素液のトータル活性の 1 5%ほ どの活性が検出された。 次に、 塩ィ匕ナトリウム濃度が 0〜3Mになるようにダラ ジェントをかけてタンパクを溶出した。酵素活性を有する画分を回収したところ、 23 lmLの酵素液が得られた。 これに、 70%飽和濃度になるように硫安を 10 9 g加えてタンパクを沈殿させた。 沈殿を 2 OmMトリス一塩酸バッファー(pH 7.0) 3 m Lに懸濁し、 20 %飽和の硫安含有 20 mMトリス一塩酸バッファー(PH 7.0) 9 Lで 8時間透析した。 透析後、 チューブ内に沈殿物が見られたため、 透析 と同じバッファー 8. 5 mLを加えて懸濁した。 この操作でも沈殿物が溶解しな かったため、 遠心して沈殿物と上清を分離した。 活性がほとんど上清の方にみら れたため、 上清 13 m Lを RESOURCE PHE (アマシャムバイオサイエンス社製) で 精製した。 20 mLの 200 /。飽和の硫安含有 20 mMトリス—塩酸バッファー(pH 7.0)と 20 mLの 20 mMトリス一塩酸バッファー(pH 7.0)でグラジェントをかけ てタンパクを溶出した。
回収した酵素液 1 9 mLを限外濾過で 5m Lまで濃縮した後に、 20 mMトリ ス一塩酸バッファー(pH 7.0)で透析したところ、 酵素液は 6. 5 m Lになった。
(1 -7) Blue-sepharose 4B (アマシャムバイオサイエンス社製) による精製 Blue— sepharose 4B (アマシャムバイオサイエンス社製) 5mLを 20mMト リス一塩酸バッファー (pH 7.0)で平衡化した後に上記 (1— 6) で得られた酵素 液 6. 5mLを流した。 その後、 2 OmMトリス一塩酸バッファー(pH 7.0) 50 mLで洗浄を行った。さらに、 50 mLの 1M塩化ナトリゥム水溶液と 50mLの 20mM トリス一塩酸バッファー(pH 7.0)で、 塩ィヒナトリウム濃度が 0〜1Mとなるよう にグラジェントをかけ活性画分を溶出させた。
上記 (1一 1) 〜 (1一 7) の各精製ステップにおける酵素画分の比活性等を 表 1にまとめる。
表 1
実施例 2 : SDS— PAGEおよび部分アミノ酸配列の解析
各酵素精製ステップのサンプルをすベて SDS—ポリアクリルアミドゲル電気 泳動した。
精製と共に量の増加が見られる約 35〜40 kD aを通常の方法で切り出し、 プロテインシーケンサ一により、 ェドマン法によるアミノ酸配列の解析を行い、 N末端のァミノ酸配列を決定した。 該配列を配列表の配列番号 3で示す。
BLASTサーチにより、 リンゴ酸デヒドロゲナーゼと相同性が高い蛋白であ ることが示唆された。 実施例 3 :酵素遺伝子のクローニング
シュ一ドモナス ·プチダ (Pseudomonas put i da) ATC C 12633株を LB 培地で培養し得られた菌体より DNeasy Tissue Kit (Qiagen社製)を用いて、 染色 体 DNAを調製した。
実施例 2で決定された N末端アミノ酸配列及ぴ B LASTサーチで見出された アミノ酸配列をコ一ドする塩基配列を元にプライマーを合成した。 それぞれの塩 基配列を、 配列表の配列番号 4 (NMPDHf)及ぴ 5 ( MPDHrl) に示す。
シユードモナス.プチダ ATCC 1 2633株の染色体 DNAを铸型とし、 NMPDHf、 NMPDHrlをプライマーとして、 PCR(98°C, 20秒、 68°C, 3分)を 30サイクル行い、 特異的な増幅サンプルを得た。
上記で得られた DNA断片を常法に従い、 クローユングベクター p ET 21 a (宝酒造社製) ) に導入した。 (このプラスミドを pENMadhとする)
次に大腸菌 (Escherichia coli) BL21 (DE3) (Novagen社) を形質転換した。 形質転換株をアンピシリン (100 / g/mL) を含む LB培地プレート (LB培地 + 2%寒天) 上で 37°Cで生育させた。 出現したいくつかの白いコロニーを培養 しプラスミドの抽出を通常の条件で行った。 とれたプラスミドを制限酵素 Nd e Iおよび H i n dillで切断後 (37°Cで 3時間)、 目的 DNA断片がプラスミド に挿入されているかァガロース電気泳動で確認した。
目的とする DN A断片が挿入されていると考えられるコロニーをアンピシリン を含む液体 L B培地で培養し、 培養 14時間目に I P T Gを 0. 1 mMとなるよ うに添加しさらに培養を 3時間続けて、 集菌した。 菌体を超音波破碎し粗酵素を 得た。
得られた粗酵素の活性測定を行つて目的蛋白の発現を確認した。
目的断片が入ったコ口ニーから得られた粗酵素を用いると N—メチル一フエ二 ルァラニンの生成が確認され、 プラスミドのみで形質転換した菌体破碎物では N ーメチルーフエ二ルァラニン生成が見られなかった。
活性確認されたプラスミド中の挿入断片の塩基配列を解析した。 該遺伝子の塩 基配列を配列表の配列番号 2に、 該遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸配 列を配列表の配列番号 1に示す。 実施例 4 :形質転換体の無細胞抽出液を用いた N—メチルーフヱ二ルァラニンの
合成
LB培地 5 mLを試験管に入れて 121°Cで 20分間蒸気殺菌し、 室温になつ てから 10 Omg/m 1 アンピシリン水溶液を 5 μ L加えた。 これに実施例 3で 得られた大腸菌クロ一ン株のコロニーを無菌的に白金耳で接種して、 37°Cで 2 4時間振とう培養した(前培養)。次に LB培地 5 OmLを 50 OmLの坂ロフラ スコに入れて殺菌し、室温になつてから 10 Omg/m 1アンピシリン水溶液を 5 O L力!]えた。 これに前培養で得られた大腸菌クローン株の培養液 0. 5mLを 接種して、 37でで 10時間振とう培養した。 この段階で 1 Mの I P T G水溶液 を 50 μ Ι^加え、 さらに 37°Cで 3時間振とう培養した。 培養後、 遠心分離によ り菌体を集め、 2 OmMトリス一塩酸緩衝液 (pH 7. 0) で 2回洗浄した。 得 られた菌体 0. 37 gを 20mM トリスー塩酸緩衝液 (pH 7. 0) 8. 0 m Lに懸濁し、 超音波で菌体を破碎した。 遠心分離により菌体断片を除き、 8. 0 m Lの無細胞抽出液を得た。
5 OmLのビーカーに、 フエ二ノレピノレビン酸ナトリウム 6 Omg、 NAD PH 2. 3m g、 グルコース脱水素酵素 35 U、 グルコース 1 gを含有する 40 mM トリスー塩酸緩衝液 (pH 8. 0) 5. 88m lに、 硫酸で pH 8. 0に調整 した 240 mMメチルァミンを 5 · 88 m L、 上記無細胞抽出液 3. 25mLを 入れ、 30°Cで反応を行った。 反応は 1規定の水酸化ナトリゥム水溶液で p Hを 8. 0に調整しながら、 撹拌しつつ行った。 反応液の一部を定期的に HP で 分析し、 基質のフ 二ルビルビン酸ナトリウムが枯渴している場合には、 さらに 3 Omgを追加して反応を継続させた。 この操作を 8回繰り返しつつ、 24時間 反応した。 反応終了後の N—メチルフエ二ルァラニンの生成量は 146mgであ つに o 実施例 5 :形質転換体からの酵素精製
LB培地 5m Lを試験管に入れて 121°Cで 20分間蒸気殺菌し、 室温になつ てから l O Omg/ra l アンピシリン水溶液を 5 L加えた。 これに実施例 3で
得られた大腸菌クローン株のコロニーを無菌的に白金耳で接種して、 37°Cで 2 4時間振とう培養した(前培養)。次に LB培地 50 OmLを 2 Lの坂口フラスコ に入れて殺菌し、 室温になつてから 10 Omg/m 1 アンピシリン水溶液を 50 O ^ L加えた。 これらに前培養で得られた大腸菌クローン株の培養液 0. 5mL を接種して、 37 °Cで 14時間振とう培養した。 この段階で 1 Mの I P T G水溶 液を 500 μ L加え、 さらに 37 °Cで 3時間振とう培養した。 培養後、 遠心分離 により菌体を集め、 20 mMトリス一塩酸緩衝液 (pH 7. 0 )で 2回洗浄した。 得られた菌体 3. 3 gを 20mM トリスー塩酸緩衝液 (pH 7. 0) 28mL に懸濁し(全量 30m l)、超音波で菌体を破砕した。遠心分離により菌体断片を 除き、 29 m Lの無細胞抽出液を得た。 次に実施例 1で用いた Green sepharose CL-4Bを用いて精製を行った。
Green sepharose CL-4B (樹脂 100m l量) をトリス塩酸バッファー(pH 7.0) で平衡化した後に上記無細胞抽出液を流した。
その後、 2 OmMトリス一塩酸バッファー(pH 7.0) 80 OmLで洗浄を行った。 洗浄画分には、 次に、 塩化ナトリウム濃度が 0〜1Mになるようにグラジェント をかけてタンパクを溶出した。 酵素活性を有する画分を回収し、 これを Centriprep (アマシャムバイオサイエンス社製) で濃縮した。 これを 2 OmMト リス一塩酸バッファー (pH 7.0)で 8時間透析した。 透析後、 酵素液量は 59m l となった。
次に DEAE-TOYOPEARL (TOSOH社製) による精製を行った。
上記の透析して得た酵素液を、 20 mMトリス一塩酸バッファー (pH 7.0)で平 衡化した DEAE- TOYOPEARL (TO S OH社製) (樹脂 6 OmL)に供した。その後、 2 OmMトリスー塩酸バッファー(pH 7.0) 50 OmLで洗浄を行った。 次に、 塩 化ナトリゥム濃度が 0〜0. 35 Mとなるようにグラジェントをかけてタンパク を溶出した。 酵素活性を有する画分を回収し、 Centriprep (アマシャムバイオサ ィエンス社製) で濃縮した後、 2 OmMトリス一塩酸バッファー (PH 7.0)に対し て透析を行った。 透析後、 酵素液は 6た になった。
上記の各精製ステップにおける酵素画分の比活性比を表 2にまとめる 表 2
実施例 5と同様な方法で大腸菌クローン株より精製本酵素を得た。
これに表 3に示す各種ケト酸を最終濃度 10mM、 NADPHを最終濃度 0.2mM、 硫酸で p HI 0に調整したメチルァミンを最終濃度 6 OmM となるように加えた反 応液の 340 n mの吸光度の変化を調べることにより酵素活性を測定した。 測定 時の反応温度は 3 7°Cにした。 —フエ二ルビルビン酸を基質としたときを 100%として相対活性の結果を表 3に示した。 表 3
相対活性
フエ二ノレピノレビン酸 100%
ピゾレビン酸 334 %
2—ケトへキサン酸 174 %
2—ケト酪酸 98%
β—フルォロピルビン酸 90%
2—ケト— η—吉草酸 53%
ケトロイシン 30%
2— ketooctanoic acid .25%
実施例 7 :至適 pHの測定
実施例 5と同様な方法で大腸菌クローン株より精製本酵素を得た。
これに /3—フエニルピルビン酸を最終濃度 10mM、 NADPHを最終濃度 0.2mM、 硫酸で各 p Hに調整したメチルァミンを最終濃度 6 OmM となるように加えた反応 液の 340 nmの吸光度の変化を調べることにより酵素活性を測定した。 測定時 の反応温度は 37°Cにした。 一分間に 1マイクロモルの /3—フエ二ルビルビン酸 と反応する酵素量を 1 u n i tととして蛋白量あたりの u n i t数 (uZmg) と p Hの関係の結果を図 1に示した。 反応の至適 pHは 10.0であった。 実施例 8 :酵素の作用至適温度
実施例 6と同様な反応条件のうちメチルァミン一硫酸 (pHI O) にして、 温 度だけを変化させて活性を測定した。結果を図 2に示す。至適温度は 30〜40°C であった。 実施例 9 : pH安定性
実施例 5で得られた精製酵素を、 緩衝液を用いて: Hを変化させて 30°Cで 30 分間インキュベートし、 残存活性を測定した。 反応条件は実施例 7と同様にメチ ルァミン—硫酸(pH 10)、 37°Cで行った。 結果は、未処理の活性を 100と した残存活性で表し、 図 3に示した。 本発明による酵素は、 pH6〜9において 最も安定であった。 実施例 10 :酵素の温度安定性
実施例 5で得られた精製酵素を 25 °C、 30°C、 35°C、 40°C、 ^45°Cおよ ぴ 50°Cの温度で 30分間放置した後、 実施例 7と同様に活性を測定した。 結果 は、 未処理 (氷中放置) の活性を 100とした残存活性で表し、 図 4に示した。 本発明による酵素は、 30 °Cまで 100 %の残存活性を示した。
実施例 11 : NADHを補酵素とした場合の本酵素の基質特異性 実施例 5と同様な方法で大腸菌クローン株より精製本酵素を得た。
これに表 4に示す各種ケト酸を最終濃度 40mM (但し j3—フエ二ルビルビン酸は 30mM)、 NADHを最終濃度 0.3mM、 bis- Tr is propane緩衝液 (ρΗΙΟ.Ο) を最終 濃度 100mM、 メチルァミンを最終濃度 180mMとなるように加えた反応液の 340 nmの吸光度の変化を調べることにより酵素活性を測定した。 測定時の反応温度 は 37 °Cにした。 ピルビン酸を基質としたときを 100%として相対活性の結果を 表 4に示した。 表 4
実施例 12 : NADHを補酵素とした場合の至適 ρΗの測定
実施例 5と同様な方法で大腸菌クローン株より精製本酵素を得た。
これにピルビン酸を最終濃度 80mM、 NADHを最終濃度 0.3mM、 硫酸で各 pH に調整したメチルァミンを最終濃度 180mMとなるように加えた反応液の 340 η mの吸光度の変化を調べることにより酵素活性を測定した。 測定時の反応温度は 37°Cにした。 一分間に 1マイクロモルのピルビン酸と反応する酵素量を 1 un i tととして蛋白量あたりの u n i t数 (uZmg) と pHの関係の結果を図 5 に示した。 反応の至適 pHは 9.5であった。 実施例 13 : NADを補酵素とした場合の逆反応の検討
実施例 5と同様な方法で大腸菌クローン株より精製本酵素を得た。
N—メチル -L-ァラニンを最終濃度 50mM、 NADを最終濃度 10mM、 bis- Tris
propane緩衝液 ( ΗΙΟ.0) を最終濃度 lOOmMとなるように加えた反応液の 34 0 nmの吸光度の変化を調べることにより酵素活性を測定した。 測定時の反応温 度は 37°Cにした。 活性は 7.8X10-3 (uZmg蛋白) であった。 実施例 14 : NAD PHを補酵素とした場合の本酵素の基質特異性
実施例 5と同様な方法で大腸菌クローン株より精製本酵素を得た。
これに表 5に示す各種ァミン類を最終濃度 60mM、 N AD P Hを最終濃度 0.2mM、 ]3—フエ二ルビルビン酸を最終濃度 10mM となるように加えた反応液の 340 η mの吸光度の変化を調べることにより酵素活性を測定した。 測定時の反応温度は 37でにした。 メチルァミンを基質としたときを 100%として相対活性の結果を 表 5に示した。 表 5
枯草菌 (Bacillus subtilis株) を LB培地上で培養し、 菌体を調製した。 菌体 から染色体 DNAの調製は Qiagen kit (Qiagen社製)を用い、 付属マニュアル記載 の方法により行った。 実施例 16 :枯草菌からのグルコース脱水素酵素遺伝子のクローニング
NADPHの再生を行わせるために、 文献 (J.Bacteriol.166,238- 243(1986)) 記載 の枯草菌由来グルコース脱水素酵素 (以下 GDHと略す) 遺伝子のクローニングを
行った。 文献記載の塩基配列を元に、 GDH遺伝子のオープンリーディングフレー ム部分ののみを PCRクローニングするため構造遺伝子の 5-末、 3' -末の配列を元 にプライマー BsuG_S (配列番号 6 )、 BsuG— A (配列番号 7 )を合成した。 実施例 1 7により調製した枯草菌染色体 DNAを铸型として PCR (94° (、 30秒、 54°C、 30秒、 72°C1分)を 30サイクル行レヽ、特異的な増幅 DNAを得た。得られた DNA断片を EcoRI と Hindlllの 2種類の制限酵素で消化した。プラスミドベクター pKK223- 3 (アマシ ャムーファルマシァ社製)を EcoRIと Hindlllで消化し、上記 PCR増幅 DNA断片を T4DNAリガーゼで連結し、 KK223-3GDHを得た。挿入断片の塩基配列解析を行った 結果、 データベース(DDBJ AccessionNo. M12276)に収録されている塩基配列と全 て一致した。 得られた GDH遺伝子の塩基配列を配列番号 8に示す。 実施例 1 7 : pE Madh [pET21aに本デヒドロゲナーゼの DNA断片を挿入したプラ スミド]と共発現できる G D Hプラスミド pSTV28- GDHの構築
実施例 1 6で構築した pKK223- 3GDHを り RI、 Pstlの 2種類の制限酵素で消化 し、枯草菌 GDH遺伝子を含む断片を調製した。プラスミドベクター pSTV28 (TAKARA 社製)を oRI、 Pstlで消化し、 上記 GDHを含む断片を T4DNAリガーゼで連結し、 PSTV28-GDHを得た。 実施例 1 8 :枯草菌由来 GDHと本デヒドロゲナーゼの大腸菌における共発現 pENMadh を保持する大腸菌 BL21 (DE3) クローン株を pSTV28- GDHで形質転換し た。組み換え大腸菌を lOOug/raLのアンピシリン、 25ug/mLのクロラムフエニコー ルを含む液体 LB培地に植菌し 1 7時間培養した後、 ImM IPTGを添カ卩し、 さらに 3時間培養した。 集菌後、 20mM Tris- HCL (pH7. 0) にて懸濁し、 超音波破碎によ つて得られた細胞粗抽出液の酵素活性を測定した。
( 1 ) 本デヒドロゲナーゼ活性の測定
本デヒ ドロゲナーゼ活性の測定は lOOmMbis- trispropaneバッファー(pH10. 0)、 0. 2mM NADPH, 30mM methylamine, lOmMピルビン酸ナ小リゥムを含む反応液で 30°C
で行った。 1Uは上記反応条件で 1分間に 1/xmolの NADPHを酸化する酵素量とし た。 結果、 6.6U/mg蛋白であった。
(2) グルコース脱水素酵素活性の測定
粗酵素 10 μ 1にグルコースを最終濃度 100mM、 NADPを最終濃度 2mM、 ト リス塩酸緩衝液 ( H9.0) を最終濃度 100raM、 となるように加えた反応液 1 m 1 の 340 n mの吸光度の変化を調べることにより酵素活性を測定した。 測定時の 反応温度は 30°Cにした。 一分間に 1マイクロモルのグルコースと反応する酵素 量を 1 u n i tととして蛋白量あたりの u n i t数(u/mg)を求めた。結果、 lmg蛋白あたり 3.4Uであった。 実施例 19 : グルコース脱水素酵素共発現形質転換体を用いた N—メチルーフエ 二ルァラニンの合成
実施例 18で得られた大腸菌を実施例 17と同様に培養し培養液 100 m 1を 得た。培養後、遠心分離により菌体を集め、 0.85%の食塩を含む 20 mMトリス— 塩酸緩衝液 ( H 7. 0) 40m 1で 2回洗浄休止菌体を得た。
得られた休止菌体に最終濃度 lOOmMのフエ二ルビルビン酸ナトリゥム、 最終濃 度 0.2mMの NADP最終濃度 lOOmMのグルコース、 およぴ最終濃度 700mMのメ チルァミン一塩酸(pH 9)を含む反応液を加え菌体の濁度を 20 (660 nm の吸光 度) となるようにした。 30°Cで攪拌しながら反応を行った。 反応は 10規定の 水酸化ナトリウム水溶液で pHを 8〜9に調整しながら、 撹拌しつつ行った。 2 4時間反応後の N—メチルフェニルァラニンの生成量は 13.4g/Lであった (反応 収率 75%)。 実施例 20 : D—アミノ酸ォキシダーゼとの共反応 (1)
実施例 10と同様な方法で大腸菌クローン株の精製本酵素を得た。
これに最終濃度 50mMとなるように D—フエ二ルァラニン、また NADPHを最 終濃度 10mM、 硫酸で Hを 10にあわせたメチルァミンを最終濃度 6 OmM、 トリ
ス塩酸緩衝液 (pH9) を最終濃度 lOOmM となるように加えた反応液 100 1 に D—アミノ酸ォキシダーゼ (シグマ社製 porcine kidney由来) を 0.052unit 加えた。 このとき反応液中の本酵素の蛋白量は 26. となるようにした。 測定時の反応温度は 30でにした。
900分後反応液にトリクロ口酢酸を最終濃度 2 %となるように 25 μ 1 添カロ し反応を終了させた。 反応液を下記条件の HPLCで分析した。
カラム: ODSカラム UK- C18 250 x 4.6mm (imtakt社製)
溶離液:水 100 %
流速: 0.5ml/min
温度: 40°C
検出: UV 21 Onm
測定の結果 N—メチルフエニルァラ二ンが 0.46g/L生成されていた。 残存するフ ェニルァラニンは 1.06g/Lであった。
実施例 21 : D—アミノ酸ォキシダーゼとの共反応 (2)
フエ二ルァラニンを用いる代わりに D—メチォニンを用いた以外は実施例 20 と同様に行った。 HPLCのクロマトグラムを図 6に示す。 HPLCのリテンシ ヨンタイムはメチォニンが 10. 6分であるが 14. 1分にピークが反応と共に 生成されており N—メチルメチォニンと推測された。 そこで同分析カラムを用い て下記の条件の LC— ma s sにかけた。 マススペクトルの結果を図 7に示す。 N—メチルメチォニンと推定されたピークの分子量は 163となり、 N—メチル メチォニンの分子量と一致した。
L C— m a s s条件
装置: Waters 2690型セパレーシヨンモジュール および micromass ZM D型質量分析計
カラム: ODSカラム UK- C18 250 x 4.6mm (imtakt社製)
溶離液:水 100 %
流速: 0.5ml/min
温度: 40。C
検出: UV2 1 Onm
イオン化法:エレクトロスプレ一^ Γオン化法 (E S I ) 正イオン検出 質量走査条件: m/z60- 500 lsec
印可電圧: 3. 6 k V
コーン電圧: 1 0V 実施例 22 : L—フエ二ルァラニンデヒドロゲナーゼとの共反応
D—アミノ酸ォキシダーゼの代わりに L一フエ二ルァラニンデヒドロゲナーゼ (シグマ社製)、および D—フエニルァラ二ンの代わりに L—フエニルァラニンを 用いる以外は実施例 20と同様に反応を行った。
結果 N -メチルフェニルァラニンが 0.21g/L生成されていた。 また残存する L
—フエ二ルァラニンは 2.75g/Lであった。 実施例 23 :
実施例 1 0と同様な方法で大腸菌クローン株の精製本酵素を得た。
本酵素の蛋白量 1 4 μβに最終濃度 30mMとなるようにメチルピルビン酸、また NAD PHを最終濃度 10mM、硫酸で pHを 1 0にあわせたメチルァミンを最終濃 度 60mM、 リン緩衝液 (pH7) を最終濃度 lOOmMとなるように加えた反応液 1 0 0 μ 1 を反応温度 30。Cで 4時間反応させた。 反応終了後下記の条件の H P L C で分析を行った。
カラム: CH I RALPAK WH 250 x 4.6mm (ダイセル社製)
溶離液: 2mM CuS04
Vi : 0.5ml/min
温度: 50 °C
検出: UV 254nm
結果 N—メチルァラニンが 0 . lg/L生成されていた。 産業上の利用の可能性
本発明によれば、 公知のデヒドロゲナーゼとは異なる性質を有する新規なデヒ ドロゲナーゼが提供される。 本発明のデヒドロゲナーゼを用いることにより、 医 薬あるいは農薬の中間原料として有用な N—アルキルアミノ酸を製造することが できる。