明 細 書 投影光学系、 露光装置および方法 技術分野
本発明は、 投影光学系、 該投影光学系を備えた露光装置および該投影光学系を 用いた露光方法に関し、 特に半導体素子などのマイクロデバイスをフォトリソグ ラフイエ程で製造する際に使用される露光装置に好適な反射屈折型の投影光学系 に関するものである。 背景技術
近年、 半導体素子の製造や半導体チップ実装基板の製造では、 微細化がますま す進んでおり、 パターンを焼き付ける露光装置ではより解像力の高い投影光学系 が要求されてきている。 この高解像の要求を満足するには、 露光光を短波長化し、 且つ NA (投影光学系の開口数) を大きくしなければならない。 しかしながら、 露光光の波長が短くなると、 光の吸収のため実用に耐える光学ガラスの種類が限 られてくる。
たとえば波長が 200 nm以下の真空紫外域の光、 特に F2レーザ光 (波長 1 57 nm) を露光光として用いる場合、 投影光学系を構成する光透過性光学材料 としては、 フッ化カルシウム (蛍石: C aF2) やフッ化バリウム (B aF2) 等のフッ化物結晶を多用せざるを得ない。 実際には、 露光光として F2レーザ光 を用いる露光装置では、 基本的に蛍石だけで投影光学系を形成する設計が想定さ れている。 蛍石は、 立方晶系であり、 光学的には等方的で、 複屈折が実質的にな いと思われていた。 また、 従来の可視光域の実験では、 蛍石について小さい複屈 折 (内部応力起因のランダムなもの) しか観測されていなかった。
しかしながら、 200 1年 5月 15日に開かれたリソグラフィに関するシンポ ジュゥム (2nd International Symposium on 157nm Lithography) 【こおレ て、 米 国 N I S丁の 〗ohn H. Burnett らにより、 蛍石には固有複屈折 (intrinsic
birefringence) が存在することを実験および理論の両面から確認したことが発 表された。
この発表によれば、 蛍石の複屈折は、 結晶軸 [1 1 1] 方向およびこれと等価 な結晶軸 [一 1 1 1], [1 - 1 1], [1 1 - 1] 方向、 並びに結晶軸 [100] 方向およびこれと等価な結晶軸 [010], [001] 方向ではほぼ零であるが、 その他の方向では実質的に零でない値を有する。 特に、 結晶軸 [1 10], [— 1 10], [10 1], [ - 101], [01 1], [01— 1] の 6方向では、 波長 15 7 nmに対して最大で 6. 5 nmZc m、 波長 193 nmに対して最大で 3. 6 n mZ c mの複屈折の値を有する。 これらの複屈折の値はランダムな複屈折の許 容値とされる 1 nmZcmよりも実質的に大きい値であり、 しかもランダムでな い分だけ複数のレンズを通して複屈折の影響が蓄積する可能性がある。
従来技術では、 投影光学系の設計において蛍石の複屈折性を考慮していないの で、 加工の容易さなどの観点から結晶軸 [1 1 1] と光軸とを一致させるのが一 般的である。 この場合、 投影光学系では、 NA (開口数) が比較的大きいため、 結晶軸 [1 1 1] からある程度傾いた光線もレンズを通過するので、 複屈折の影 響により結像性能が悪化する可能性がある。
ところで、 Burnett らは上述の発表において、 一対の蛍石レンズの光軸と結晶 軸 [1 1 1] とを一致させ且つ光軸を中心として一対の蛍石レンズを 60° 相対 的に回転させることにより、 複屈折の影響を補正する手法を開示している。 しか しながら、 この手法では、 後述するように、 複屈折の影響をある程度薄めること はできるが、 複屈折の影響をこれと反対方向の複屈折の影響で積極的に補正して いないので、 その補正効果は十分ではなかった。
また、 F2レーザ光 (波長 157 nm) を露光光として用いる場合、 フオトレ ジストからの露光による脱ガス (アウトガス) は避けられない状況にある。 した がって、 従来から提案されている大きな開口数を有する投影光学系では、 特段の 策を講じない限り脱ガスによるレンズの汚染を回避することができない。 発明の開示
本発明の第 1の目的は、 たとえば蛍石のような固有複屈折を持つ光学材料を用 いているにもかかわらず、 複屈折の影響を実質的に受けることなく良好な光学性 能を達成することにある。
本発明の第 2の目的は、 フォトレジストからの脱ガスによるレンズの汚染を良 好に回避することにある。
上述の第 2の目的を達成するために、 本発明の第 1発明では、 複数のレンズと 少なくとも 1つの凹面反射鏡とを含み、 第 1面の縮小像を第 2面上に形成する投 影光学系において、
前記第 1面および前記第 2面を走査方向に沿って移動させて前記第 1面の像を 前記第 2面上に走査露光する露光装置に用いられたときに、 非走査時にはスリッ ト状または円弧状の露光領域を前記第 2面上に形成し、
前記第 2面側の作動距離を D wとし、 前記第 2面側の開口数を Nwとし、 前記 スリット状または円弧状の露光領域における前記走査方向と直交する方向に沿つ た長さを E wとするとき、
0 . 5 < (Dw - Nw) / E w< 1 . 4 ( 1 )
の条件を満足することを特徴とする投影光学系を提供する。 なお、 本発明でい うスリット状とは、 走査方向を横切る方向に延びた形状を指し、 たとえば走査方 向を横切る方向に延びた長方形状、 台形状、 六角形状などが挙げられる。
第 1発明の好ましい態様によれば、 前記スリット状または円弧状の露光領域は、 前記投影光学系の光軸を含まないように設定され、 前記第 1面の第 1中間像を形 成するための屈折型の第 1結像光学系と、 少なくとも 1つの負レンズと凹面反射 鏡とを有し、 前記第 1中間像からの光束に基づいて前記第 1中間像とほぼ等倍の 第 2中間像を前記第 1中間像の形成位置の近傍に形成するための第 2結像光学系 と、 前記第 2中間像からの光束に基づいて前記第 2中間像の縮小像を前記第 2面 上に形成するための屈折型の第 3結像光学系と、 前記第 1結像光学系から前記第 2結像光学系に至る光路中に配置された第 1光路折り曲げ鏡と、 前記第 2結像光 学系から前記第 3結像光学系に至る光路中に配置された第 2光路折り曲げ鏡とを 備えている。 この場合、 前記第 1光路折り曲げ鏡の有効領域および前記第 2光路
折り曲げ鏡の有効領域は、 全体に亘つて平面状に形成された反射面を有すること が好ましく、 前記第 1光路折り曲げ鏡の有効領域と前記第 2光路折り曲げ鏡の有 効領域とは空間的な重なりを有することなく、 前記第 1面からの光束をすベて前 記第 2面へ導くように配置されていることが好ましい。
また、 第 1発明の好ましい態様によれば、 前記第 1結像光学系および前記第 3 結像光学系を構成するすべてのレンズが単一の直線状の光軸に沿って配置されて いる。 さらに、 本発明の第 1発明において、 前記投影光学系は、 前記第 1面と前 記第 2面との間の光路中に配置されて凹面反射鏡を含む反射屈折型の結像光学系 と、 前記反射屈折型の結像光学系と前記第 2面との間の光路中に配置された屈折 型の結像光学系と、 前記第 1面と前記反射屈折型の結像光学系との間の光路中に 配置された第 1光路折り曲げ鏡と、 前記反射屈折型の結像光学系と前記屈折型の 結像光学系との間の光路中に配置された第 2光路折り曲げ鏡とを備えていること が好ましい。
本発明の第 2発明では、 複数のレンズと凹面反射鏡と該凹面反射鏡の近傍に配 置された負レンズとを含み、 第 1面の縮小像を第 2面上に形成する投影光学系に おいて、
前記第 1面および前記第 2面を走査方向に沿って移動させて前記第 1面の像を 前記第 2面上に走査露光する露光装置に用いられたときに、 非走査時には前記投 影光学系の光軸を含まないように設定されたスリット状または円弧状の露光領域 を前記第 2面上に形成し、
前記第 2面側の開口数は 0 . 8 2以上であることを特徴とする投影光学系を提 供する。
第 2発明の好ましい態様によれば、 前記凹面反射鏡および前記負レンズは、 重 力の方向と実質的に異なる方向の光軸に沿って配置され、 前記凹面反射鏡の有効 径 (直径) を Sとし、 前記凹面反射鏡の曲率半径を Rとするとき、
1 . 0 < S / I R I < 1 . 8 ( 2 )
の条件を満足する。 また、 本発明の第 2発明において、 前記投影光学系は、 前 記第 1面と前記第 2面との間の光路中に配置されて凹面反射鏡を含む反射屈折型
の結像光学系と、 前記反射屈折型の結像光学系と前記第 2面との間の光路中に配 置された屈折型の結像光学系と、 前記第 1面と前記反射屈折型の結像光学系との 間の光路中に配置された第 1光路折り曲げ鏡と、 前記反射屈折型の結像光学系と 前記屈折型の結像光学系との間の光路中に配置された第 2光路折り曲げ鏡とを備 えていることが好ましい。
また、 上述の第 1の目的を達成するために、 本発明の第 3発明では、 第 1面の 縮小像を第 2面上に形成する投影光学系において、
前記第 2面側の瞳位置と前記第 2面との間の光路中に配置され、 波長が 200 nm以下の光を実質的に透過させる特性を有し、 結晶軸 [100] または該結晶 軸 [1 00] と光学的に等価な結晶軸と光軸とがほぼ一致するように形成された 少なくとも 1つの光透過部材を備えていることを特徴とする投影光学系を提供す る。
また、 上述の第 1の目的を達成するために、 本発明の第 4発明では、 第 1面の 縮小像を第 2面上に形成する投影光学系において、
通過する光線の光軸に対する角度の最大値が 20度を超える光透過部材のうち の少なくとも 1つの光透過部材は、 波長が 200 nm以下の光を実質的に透過さ せる特性を有し、 結晶軸 [100] または該結晶軸 [100] と光学的に等価な 結晶軸と光軸とがほぼ一致するように形成されていることを特徴とする投影光学 系を提供する。
また、 上述の第 1の目的を達成するために、 本発明の第 5発明では、 第 1面の 縮小像を第 2面上に形成する投影光学系において、
波長が 200 nm以下の光を実質的に透過させる特性を有し、 結晶軸 [ 1 0 0] または該結晶軸 [100] と光学的に等価な結晶軸と光軸とがほぼ一致する ように形成された第 1群の光透過部材と、
波長が 200 nm以下の光を実質的に透過させる特性を有し、 結晶軸 [ 1 0 0] または該結晶軸 [100] と光学的に等価な結晶軸と光軸とがほぼ一致する ように形成された第 2群の光透過部材とを備え、
前記第 1群の光透過部材と前記第 2群の光透過部材とは、 光軸を中心としてほ
ぼ 45° だけ相対的に回転した位置関係を有し、
前記第 1群の光透過部材および前記第 2群の光透過部材の双方が、 前記第 2面 側の瞳位置と前記第 2面との間の光路中に配置されていることを特徴とする投影 光学系を提供する。
また、 上述の第 1の目的を達成するために、 本発明の第 6発明では、 第 1面の 縮小像を第 2面上に形成する投影光学系において、
波長が 200 nm以下の光を実質的に透過させる特性を有し、 結晶軸 [ 1 0 0] または該結晶軸 [100] と光学的に等価な結晶軸と光軸とがほぼ一致する ように形成された第 1群の光透過部材と、
波長が 200 nm以下の光を実質的に透過させる特性を有し、 結晶軸 [ 1 0 0] または該結晶軸 [100] と光学的に等価な結晶軸と光軸とがほぼ一致する ように形成された第 2群の光透過部材とを備え、
前記第 1群の光透過部材と前記第 2群の光透過部材とは、 光軸を中心としてほ ぼ 45° だけ相対的に回転した位置関係を有し、
前記第 1群の光透過部材および前記第 2群の光透過部材の双方において、 通過 する光線の光軸に対する角度の最大値が 20度を超えていることを特徴とする投 影光学系を提供する。
なお、 本発明の第 5及び第 6発明において、 第 1群の光透過部材と第 2群の光 透過部材とが光軸を中心としてほぼ 45° だけ相対的に回転した位置関係を有す るとは、 第 1群の光透過部材および第 2群の光透過部材における光軸とは異なる 方向に向けられた所定の結晶軸 (たとえば結晶軸 [0 10]、 [001]、 [0 1 - 1]、 または [01 1]) 同士の光軸を中心とした相対的な角度がほぼ 45° であ ることを意味する。 なお、 結晶軸 [100] を光軸とする場合には、 光軸を中心 とした複屈折の影響の回転非対称性が 90° の周期で現れるため、 第 5及び第 6 発明において、 光軸を中心としてほぼ 45° だけ相対的に回転した位置関係を有 することは、 光軸を中心としてほぼ 45 ° + (n X 900 ) だけ相対的に回転し た位置関係を有することと同じ意味である (nは整数である)。
第 5発明および第 6発明の好ましい態様によれば、 前記第 1群の光透過部材ぉ
よび前記第 2群の光透過部材のうちの少なくとも一方は、 少なくとも 1つの非球 面を有する。 また、 前記第 1群の光透過部材の光軸に沿った厚さ (中心厚) の総 計を T 1とし、 前記第 2群の光透過部材の光軸に沿った厚さの総計を T 2とし、 前記投影光学系を構成するすべての光透過部材の光軸に沿った厚さの総計を T A とするとき、 I T 1—T 2 I ZTA<0. 025の条件を満足することが好まし い。 さらに、 前記第 1群の光透過部材と前記第 2群の光透過部材とは、 ォプティ カルコン夕クトまたは接着により 1つの光学部品として形成されていることが好 ましい。
また、 上述の第 1の目的を達成するために、 本発明の第 7発明では、 複数のレ ンズと凹面反射鏡と該凹面反射鏡の近傍に配置された負レンズとを含み、 第 1面 の縮小像を第 2面上に形成する投影光学系において、
前記負レンズは、 波長が 200 nm以下の光を実質的に透過させる特性を有し、 結晶軸 [100] または該結晶軸 [100] と光学的に等価な結晶軸と光軸とが ほぼ一致するように形成されていることを特徴とする投影光学系を提供する。 また、 上述の第 1の目的を達成するために、 本発明の第 8発明では、 複数のレ ンズと凹面反射鏡と該凹面反射鏡の近傍に配置された第 1負レンズおよび第 2負 レンズとを含み、 第 1面の縮小像を第 2面上に形成する投影光学系において、 前記第 1負レンズは、 波長が 200 nm以下の光を実質的に透過させる特性を 有し、 結晶軸 [100] または該結晶軸 [100] と光学的に等価な結晶軸と光 軸とがほぼ一致するように形成され、
前記第 2負レンズは、 波長が 200 nm以下の光を実質的に透過させる特性を 有し、 結晶軸 [100] または該結晶軸 [100] と光学的に等価な結晶軸と光 軸とがほぼ一致するように形成され、
前記第 1負レンズと前記第 2負レンズとは、 光軸を中心としてほぼ 45° だけ 相対的に回転した位置関係を有することを特徴とする投影光学系を提供する。 なお、 本発明の第 8発明において、 第 1負レンズと第 2負レンズとが光軸を中 心としてほぼ 45° だけ相対的に回転した位置関係を有するとは、 第 1負レンズ および第 2負レンズにおける光軸とは異なる方向に向けられた所定の結晶軸 (た
とえば結晶軸 [0 10]、 [001]、 [0 1— 1]、 または [01 1]) 同士の光軸 を中心とした相対的な角度がほぼ 45 ° であることを意味する。 なお、 結晶軸 [100] を光軸とする場合には、 光軸を中心とした複屈折の影響の回転非対称 性が 90° の周期で現れるため、 第 8発明において、 光軸を中心としてほぼ 4 5° だけ相対的に回転した位置関係を有することは、 光軸を中心としてほぼ 4 5° + (nX 90° ) だけ相対的に回転した位置関係を有することと同じ意味で ある (nは整数である)。
また、 上述の第 1の目的を達成するために、 本発明の第 9発明では、 第 1面の 縮小像を第 2面上に形成する投影光学系において、
前記第 2面側の瞳位置と前記第 2面との間の光路中に配置され、 波長が 200 nm以下の光を実質的に透過させる特性を有し、 結晶軸 [1 10] または該結晶 軸 [1 10] と光学的に等価な結晶軸と光軸とがほぼ一致するように形成された 少なくとも 1つの光透過部材を備えていることを特徴とする投影光学系を提供す る。
また、 上述の第 1の目的を達成するために、 本発明の第 10発明では、 第 1面 の縮小像を第 2面上に形成する投影光学系において、
通過する光線の光軸に対する角度の最大値が 20度を超える光透過部材のうち の少なくとも 1つの光透過部材は、 波長が 200 nm以下の光を実質的に透過さ せる特性を有し、 結晶軸 [1 10] または該結晶軸 [1 10] と光学的に等価な 結晶軸と光軸とがほぼ一致するように形成されていることを特徴とする投影光学 系を提供する。
また、 上述の第 1の目的を達成するために、 本発明の第 1 1発明では、 第 1面 の縮小像を第 2面上に形成する投影光学系において、
波長が 200 nm以下の光を実質的に透過させる特性を有し、 結晶軸 [ 1 1 0] または該結晶軸 [1 10] と光学的に等価な結晶軸と光軸とがほぼ一致する ように形成された第 3群の光透過部材と、
波長が 200 nm以下の光を実質的に透過させる特性を有し、 結晶軸 [ 1 1 0] または該結晶軸 [1 10] と光学的に等価な結晶軸と光軸とがほぼ一致する
ように形成された第 4群の光透過部材とを備え、
前記第 3群の光透過部材と前記第 4群の光透過部材とは、 光軸を中心としてほ ぼ 90° だけ相対的に回転した位置関係を有し、
前記第 3群の光透過部材および前記第 4群の光透過部材の双方が、 前記第 2面 側の瞳位置と前記第 2面との間の光路中に配置されていることを特徴とする投影 光学系を提供する。
また、 上述の第 1の目的を達成するために、 本発明の第 12発明では、 第 1面 の縮小像を第 2面上に形成する投影光学系において、
波長が 200 nm以下の光を実質的に透過させる特性を有し、 結晶軸 [ 1 1 0] または該結晶軸 [1 10] と光学的に等価な結晶軸と光軸とがほぼ一致する ように形成された第 3群の光透過部材と、
波長が 200 nm以下の光を実質的に透過させる特性を有し、 結晶軸 [ 1 1 0] または該結晶軸 [1 10] と光学的に等価な結晶軸と光軸とがほぼ一致する ように形成された第 4群の光透過部材とを備え、
前記第 3群の光透過部材と前記第 4群の光透過部材とは、 光軸を中心としてほ ぼ 90° だけ相対的に回転した位置関係を有し、
前記第 3群の光透過部材および前記第 4群の光透過部材の双方において、 通過 する光線の光軸に対する角度の最大値が 20度を超えていることを特徴とする投 影光学系を提供する。
なお、 本発明の第 1 1及び第 12発明において、 第 3群の光透過部材と第 4群 の光透過部材とが光軸を中心としてほぼ 90° だけ相対的に回転した位置関係を 有するとは、 第 3群の光透過部材および第 4群の光透過部材における光軸とは異 なる方向に向けられた所定の結晶軸 (たとえば結晶軸 [00 1]、 [一 1 1 1 ]、 [- 1 10], または [1— 1 1]) 同士の光軸を中心とした相対的な角度がほぼ 90° であることを意味する。 なお、 結晶軸 [1 10] を光軸とする場合には、 光軸を中心とした複屈折の影響の回転非対称性が 180° の周期で現れるため、 第 1 1及び第 12発明において、 光軸を中心としてほぼ 90° だけ相対的に回転 した位置関係を有することは、 光軸を中心としてほぼ 90° + (nX 180° )
だけ相対的に回転した位置関係を有することと同じ意味である (nは整数であ る)。
第 1 1発明および第 12発明の好ましい態様によれば、 前記第 3群の光透過部 材および前記第 4群の光透過部材のうちの少なくとも一方は、 少なくとも 1つの 非球面を有する。 また、 前記第 3群の光透過部材の光軸に沿った厚さ (中心厚) の総計を T 3とし、 前記第 4群の光透過部材の光軸に沿った厚さの総計を T 4と し、 前記投影光学系を構成するすべての光透過部材の光軸に沿った厚さの総計を TAとするとき、 I T 3— T4 I /TA<0. 025の条件を満足することが好 ましい。 さらに、 前記第 3群の光透過部材と前記第 4群の光透過部材とは、 ォプ ティカルコンタクトまたは接着により 1つの光学部品として形成されていること が好ましい。
また、 上述の第 1の目的を達成するために、 本発明の第 13発明では、 複数の レンズと凹面反射鏡と該凹面反射鏡の近傍に配置された負レンズとを含み、 第 1 面の縮小像を第 2面上に形成する投影光学系において、
前記負レンズは、 波長が 200 nm以下の光を実質的に透過させる特性を有し、 結晶軸 [1 10] または該結晶軸 [1 10] と光学的に等価な結晶軸と光軸とが ほぼ一致するように形成されていることを特徴とする投影光学系を提供する。 また、 上述の第 1の目的を達成するために、 本発明の第 14発明では、 複数の レンズと凹面反射鏡と該凹面反射鏡の近傍に配置された第 1負レンズおよび第 2 負レンズとを含み、 第 1面の縮小像を第 2面上に形成する投影光学系において、 前記第 1負レンズは、 波長が 200 nm以下の光を実質的に透過させる特性を 有し、 結晶軸 [1 10] または該結晶軸 [1 10] と光学的に等価な結晶軸と光 軸とがほぼ一致するように形成され、
前記第 2負レンズは、 波長が 200 nm以下の光を実質的に透過させる特性を 有し、 結晶軸 [1 10] または該結晶軸 [1 10] と光学的に等価な結晶軸と光 軸とがほぼ一致するように形成され、
前記第 1負レンズと前記第 2負レンズとは、 光軸を中心としてほぼ 90° だけ 相対的に回転した位置関係を有することを特徴とする投影光学系を提供する。
なお、 本発明の第 14発明において、 第 1負レンズと第 2負レンズとが光軸を 中心としてほぼ 90° だけ相対的に回転した位置関係を有するとは、 第 1負レン ズおよび第 2負レンズにおける光軸とは異なる方向に向けられた所定の結晶軸 (たとえば結晶軸 [001]、 [— 1 1 1]、 [— 1 10]、 または [1— 1 1]) 同 士の光軸を中心とした相対的な角度がほぼ 90 ° であることを意味する。 なお、 結晶軸 [1 10] を光軸とする場合には、 光軸を中心とした複屈折の影響の回転 非対称性が 180° の周期で現れるため、 第 14発明において、 光軸を中心とし てほぼ 90° だけ相対的に回転した位置関係を有することは、 光軸を中心として ほぼ 90° + (nX 180° ) だけ相対的に回転した位置関係を有することと同 じ意味である (nは整数である)。
また、 上述の第 1の目的を達成するために、 本発明の第 1 5発明では、 第 1面 の縮小像を第 2面上に形成する投影光学系において、
波長が 200 nm以下の光を実質的に透過させる特性を有し、 結晶軸 [ 1 1 1] または該結晶軸 [1 1 1] と光学的に等価な結晶軸と光軸とがほぼ一致する ように形成された第 5群の光透過部材と、
波長が 200 nm以下の光を実質的に透過させる特性を有し、 結晶軸 [1 1 1] または該結晶軸 [1 1 1] と光学的に等価な結晶軸と光軸とがほぼ一致する ように形成された第 6群の光透過部材とを備え、
前記第 5群の光透過部材と前記第 6群の光透過部材とは、 光軸を中心としてほ ぼ 60° だけ相対的に回転した位置関係を有し、
前記第 3群の光透過部材および前記第 4群の光透過部材の双方が、 前記第 2面 側の瞳位置と前記第 2面との間の光路中に配置されていることを特徴とする投影 光学系を提供する。
また、 上述の第 1の目的を達成するために、 本発明の第 16発明では、 第 1面 の縮小像を第 2面上に形成する投影光学系において、
波長が 200 nm以下の光を実質的に透過させる特性を有し、 結晶軸 [ 1 1 1] または該結晶軸 [1 1 1] と光学的に等価な結晶軸と光軸とがほぼ一致する ように形成された第 5群の光透過部材と、
波長が 200 nm以下の光を実質的に透過させる特性を有し、 結晶軸 [ 1 1 1] または該結晶軸 [1 1 1] と光学的に等価な結晶軸と光軸とがほぼ一致する ように形成された第 6群の光透過部材とを備え、
前記第 5群の光透過部材と前記第 6群の光透過部材とは、 光軸を中心としてほ ぼ 60° だけ相対的に回転した位置関係を有し、
前記第 5群の光透過部材および前記第 6群の光透過部材の双方において、 通過 する光線の光軸に対する角度の最大値が 20度を超えていることを特徴とする投 影光学系を提供する。
なお、 本発明の第 15及び第 16発明において、 第 5群の光透過部材と第 6群 の光透過部材とが光軸を中心としてほぼ 60° だけ相対的に回転した位置関係を 有するとは、 第 5群の光透過部材および第 6群の光透過部材における光軸とは異 なる方向に向けられた所定の結晶軸 (たとえば結晶軸 [一 1 1 1]、 [1 1 - 1], または [1— 1 1]) 同士の光軸を中心とした相対的な角度がほぼ 60 ° である ことを意味する。 なお、 結晶軸 [1 1 1] を光軸とする場合には、 光軸を中心と した複屈折の影響の回転非対称性が 120° の周期で現れるため、 第 1 1及び第 12発明において、 光軸を中心としてほぼ 60° だけ相対的に回転した位置関係 を有することは、 光軸を中心としてほぼ 60° + (nX 120° ) だけ相対的に 回転した位置関係を有することと同じ意味である (nは整数である)。
第 15発明および第 16発明の好ましい態様によれば、 前記第 5群の光透過部 材および前記第 6群の光透過部材のうちの少なくとも一方は、 少なくとも 1つの 非球面を有する。 また、 前記第 5群の光透過部材の光軸に沿った厚さ (中心厚) の総計を T 5とし、 前記第 6群の光透過部材の光軸に沿った厚さの総計を T 6と し、 前記投影光学系を構成するすべての光透過部材の光軸に沿った厚さの総計を TAとするとき、 I T 5— T 6 I ZTA<0. 025の条件を満足することが好 ましい。 さらに、 前記第 5群の光透過部材と前記第 6群の光透過部材とは、 ォプ ティカルコン夕クトまたは接着により 1つの光学部品として形成されていること が好ましい。
また、 上述の第 1の目的を達成するために、 本発明の第 17発明では、 複数の
レンズと凹面反射鏡と該凹面反射鏡の近傍に配置された第 1負レンズおよび第 2 負レンズとを含み、 第 1面の縮小像を第 2面上に形成する投影光学系において、 前記第 1負レンズは、 波長が 200 nm以下の光を実質的に透過させる特性を 有し、 結晶軸 [1 1 1] または該結晶軸 [1 1 1] と光学的に等価な結晶軸と光 軸とがほぼ一致するように形成され、
前記第 2負レンズは、 波長が 200 nm以下の光を実質的に透過させる特性を 有し、 結晶軸 [1 1 1] または該結晶軸 [1 1 1] と光学的に等価な結晶軸と光 軸とがほぼ一致するように形成され、
前記第 1負レンズと前記第 2負レンズとは、 光軸を中心としてほぼ 60° だけ 相対的に回転した位置関係を有することを特徴とする投影光学系を提供する。 なお、 本発明の第 17発明において、 第 1負レンズと第 2負レンズとが光軸を 中心としてほぼ 60° だけ相対的に回転した位置関係を有するとは、 第 1負レン ズおよび第 2負レンズにおける光軸とは異なる方向に向けられた所定の結晶軸 (たとえば結晶軸 [— 1 1 1]、 [1 1— 1]、 または [1— 1 1]) 同士の光軸を 中心とした相対的な角度がほぼ 60° であることを意味する。 なお、 結晶軸 [1 1 1] を光軸とする場合には、 光軸を中心とした複屈折の影響の回転非対称性が 1 20° の周期で現れるため、 第 1 7発明において、 光軸を中心としてほぼ 6 0 ° だけ相対的に回転した位置関係を有することは、 光軸を中心としてほぼ 6 0° + (nx i 20° ) だけ相対的に回転した位置関係を有することと同じ意味 である (nは整数である)。
また、 上述の第 1の目的を達成するために、 本発明の第 18発明では、 第 1面 の縮小像を第 2面上に形成する投影光学系において、
波長が 200 nm以下の光を実質的に透過させる特性を有する結晶で形成され た少なくとも 1つの光透過部材を備え、
前記光透過部材の表面には、 第 1の偏光成分の光と該第 1の偏光成分の光とは 異なる第 2の偏光成分の光とが前記投影光学系を通過する際に、 前記第 1および 第 2の偏光成分の光の間で発生する位相差を低減させる膜が形成されることを特 徴とする投影光学系を提供する。
第 1 8発明の好ましい態様によれば、 前記膜は、 前記第 1および第 2の偏光成 分の光が前記光透過部材を通過する際に発生する、 前記第 1および第 2の偏光成 分の光の間の位相差を低減することが好ましい。
また、 第 1 8発明では、 前記投影光学系は、 波長が 2 0 0 n m以下の光を実質 的に透過させる特性を有する結晶で形成された少なくとも 2つの光透過部材を備 えることが好ましく、 前記少なくとも 2つの光透過性部材は、 前記投影光学系を 通過する第 1および第 2の偏光成分の光の間の位相差を低減させるように、 それ らの結晶軸方位が定められることが好ましく、 前記膜は、 前記少なくとも 2つの 光透過性部材により低減された前記投影光学系を通過する第 1および第 2の偏光 成分の光の間の位相差をさらに低減させることが好ましい。
また、 第 1 8発明において、 前記膜は、 反射防止膜を有していることが好まし い。
また、 第 1 8発明では、 前記光透過部材の表面には、 前記結晶で形成された結 晶膜が形成されることが好ましく、 前記光透過部材の結晶方位と前記結晶膜の結 晶方位とが実質的に異なることが好ましい。
上述の第 1の目的を達成するために、 本発明の第 1 9発明では、 第 1面の縮小 像を第 2面上に形成する投影光学系において、
波長が 2 0 0 n m以下の光を実質的に透過させる特性を有する結晶で形成され た光透過部材を備え、
前記光透過部材の表面には、 前記結晶で形成された結晶膜が形成され、 前記光透過部材の結晶方位と前記結晶膜の結晶方位とが実質的に異なることを 特徴とする投影光学系を提供する。
第 1 9発明の好ましい態様によれば、 前記光透過部材の光軸に沿った結晶方位 と前記結晶膜の前記光軸に沿った結晶方位とが実質的に異なる。 あるいは、 前記 光透過部材の光軸に沿った結晶方位と前記結晶膜の前記光軸に沿った結晶方位と がほぼ一致し、 前記光透過部材と前記結晶膜とは、 前記光軸を中心として所定の 角度だけ相対的に回転した位置関係を有することが好ましい。
ここで、 光透過部材と結晶膜とが光軸を中心として所定の角度だけ相対的に回
転した位置関係を有するとは、 光透過部材および結晶膜における光軸とは異なる 方向に向けられた特定の結晶軸同士の光軸を中心とした相対的な角度が所定の角 度であることを意味する。
上述の第 1の目的を達成するために、 本発明の第 2 0発明では、 第 1面の縮小 像を第 2面上に形成する投影光学系において、
波長が 2 0 0 n m以下の光を実質的に透過させる特性を有し、 結晶軸 [ 1 0 0 ] または該結晶軸 [ 1 0 0 ] と光学的に等価な結晶軸と光軸とがほぼ一致する ように形成された第 1群の光透過部材と、
波長が 2 0 0 n m以下の光を実質的に透過させる特性を有し、 結晶軸 [ 1 1 0 ] または該結晶軸 [ 1 1 0 ] と光学的に等価な結晶軸と光軸とがほぼ一致する ように形成された第 3群の光透過部材と、
波長が 2 0 0 n m以下の光を実質的に透過させる特性を有し、 結晶軸 [ 1 1 1 ] または該結晶軸 [ 1 1 1 ] と光学的に等価な結晶軸と光軸とがほぼ一致する ように形成された第 5群の光透過部材とを備えていることを特徴とする投影光学 系を提供する。
第 3発明〜第 2 0発明の好ましい態様によれば、 前記第 1面および前記第 2面 を走査方向に沿って移動させて前記第 1面の像を前記第 2面上に走査露光する露 光装置に用いられ、 非走査時にはスリツト状または円弧状の露光領域を前記投影 光学系の光軸を含まない位置に形成し、 前記第 1面の第 1中間像を形成するため の屈折型の第 1結像光学系と、 少なくとも 1つの負レンズと凹面反射鏡とを有し、 前記第 1中間像からの光束に基づいて前記第 1中間像とほぼ等倍の第 2中間像を 前記第 1中間像の形成位置の近傍に形成するための第 2結像光学系と、 前記第 2 中間像からの光束に基づいて前記第 2中間像の縮小像を前記第 2面上に形成する ための屈折型の第 3結像光学系と、 前記第 1結像光学系から前記第 2結像光学系 に至る光路中に配置された第 1光路折り曲げ鏡と、 前記第 2結像光学系から前記 第 3結像光学系に至る光路中に配置された第 2光路折り曲げ鏡とを備えている。 なお、 上述の態様において、 前記第 1光路折り曲げ鏡の有効領域および前記第 2光路折り曲げ鏡の有効領域は、 全体に亘つて平面状に形成された反射面を有す
ることが好ましく、 前記第 1光路折り曲げ鏡の有効領域と前記第 2光路折り曲げ 鏡の有効領域とは空間的な重なりを有することなく、 前記第 1面からの光束をす ベて前記第 2面へ導くように配置されていることが好ましい。 また、 上述の態様 において、 前記第 1結像光学系および前記第 3結像光学系を構成するすべてのレ ンズが単一の直線状の光軸に沿って配置されていることが好ましい。 さらに、 第
3発明〜第 2 0発明において、 前記投影光学系は、 前記第 1面と前記第 2面との 間の光路中に配置されて凹面反射鏡を含む反射屈折型の結像光学系と、 前記反射 屈折型の結像光学系と前記第 2面との間の光路中に配置された屈折型の結像光学 系と、 前記第 1面と前記反射屈折型の結像光学系との間の光路中に配置された第
1光路折り曲げ鏡と、 前記反射屈折型の結像光学系と前記屈折型の結像光学系と の間の光路中に配置された第 2光路折り曲げ鏡とを備えていることが好ましい。 本発明の第 2 1発明では、 前記第 1面に設定されたマスクを照明するための照 明系と、
前記マスクに形成されたパターンの像を前記第 2面に設定された感光性基板上 に形成するための第 1発明〜第 2 0発明の投影光学系とを備えていることを特徴 とする露光装置を提供する。
本発明の第 2 2発明では、 パターンが形成されたマスクを照明し、 照明された 前記パターンの像を第 1発明〜第 2 0発明の投影光学系を介して感光性基板上に 形成することを特徴とする露光方法を提供する。 図面の簡単な説明
第 1図は、 蛍石の結晶軸方位について説明する図である。
第 2 A図〜第 2 C図は、 Burne t t らの手法を説明する図であって、 光線の入射 角に対する複屈折率の分布を示している。
第 3 A図〜第 3 C図は、 本発明の第 1の手法を説明する図であって、 光線の入 射角に対する複屈折率の分布を示している。
第 4 A図〜第 4 C図は、 本発明の第 3の手法を説明する図であって、 光線の入 射角に対する複屈折率の分布を示している。
第 5図は、 本発明の実施形態にかかる光学系を備えた露光装置の構成を概略的 に示す図である。
第 6図は、 ウェハ上に形成される矩形状の露光領域 (すなわち実効露光領域) と基準光軸との位置関係を示す図である。
第 7図は、 第 1実施例にかかる投影光学系 P Lのレンズ構成を示す図である。 第 8図は、 第 1実施例における横収差を示す図である。
第 9図は、 第 2実施例にかかる投影光学系 PLのレンズ構成を示す図である。 第 10図は、 第 2実施例における横収差を示す図である。
第 1 1図は、 第 3実施例にかかる投影光学系 PLのレンズ構成を示す図である。 第 12図は、 第 3実施例にかかる投影光学系 PLによるウェハ上に形成される 矩形状の露光領域 (すなわち実効露光領域) を示す図である。
第 13図は、 第 3実施例にかかる薄膜 REの透過率の入射角度依存性を示す図 である。
第 14図は、 第 3実施例にかかる薄膜 REの位相差 (偏光収差) の入射角度依 存性を示す図である。
第 1 5図は、 第 3実施例にかかる投影光学系の波面収差を示す図である。
第 16図は、 マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法のフロ 一チヤ一卜である。
第 1 7図は、 マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得る際の手法のフロー チヤ一卜である。 発明を実施するための最良の形態
まず、 複屈折の影響を実質的に回避するための本発明の基本的手法について説 明する。 第 1図は、 蛍石の結晶軸方位について説明する図である。 第 1図を参照 すると、 蛍石の結晶軸は、 立方晶系の XYZ座標系に基づいて規定される。 すな わち、 +X軸に沿って結晶軸 [100] が、 +Y軸に沿って結晶軸 [0 10] が、 + Z軸に沿って結晶軸 [001] がそれぞれ規定される。
また、 XZ平面において結晶軸 [ 100] および結晶軸 [001] と 45° を
なす方向に結晶軸 [101] が、 XY平面において結晶軸 [100] および結晶 軸 [0 10] と 45° をなす方向に結晶軸 [1 10] が、 YZ平面において結晶 軸 [010] および結晶軸 [00 1] と 45 ° をなす方向に結晶軸 [ 01 1 ] が それぞれ規定される。 さらに、 +X軸、 +Y軸および +Z軸に対して等しい鋭角 をなす方向に結晶軸 [1 1 1] が規定される。
なお、 第 1図では、 +X軸、 +Y軸および + Z軸で規定される空間における結 晶軸のみを図示しているが、 他の空間においても同様に結晶軸が規定される。 前 述したように、 蛍石では、 第 1図中実線で示す結晶軸 [1 1 1] 方向、 およびこ れと等価な不図示の結晶軸 [— 1 1 1], [1 - 1 1], [1 1 - 1] 方向では、 複 屈折がほぼ零 (最小) である。
同様に、 第 1図中実線で示す結晶軸 [100], [0 10], [001] 方向にお いても、 複屈折がほぼ零 (最小) である。 一方、 第 1図中破線で示す結晶軸 [1 10], [1 01], [01 1], およびこれと等価な不図示の結晶軸 [一 1 1 0], [ - 101], [01— 1] 方向では、 複屈折が最大である。
以下、 本発明の手法を説明する前に、 前述の Burnett らの手法の補正効果につ いて検証する。 第 2 A図〜第 2 C図は、 Burnett らの手法を説明する図であって、 光線の入射角に対する複屈折率の分布を示している。 第 2 A図〜第 2 C図では、 図中破線で示す 5つの同心円が 1目盛り 10° を表している。 したがって、 最も 内側の円が光軸に対して入射角 10° の領域を、 最も外側の円が光軸に対して入 射角 50° の領域を表している。
また、 黒丸は比較的大きな屈折率を有する複屈折のない領域を、 白丸は比較的 小さな屈折率を有する複屈折のない領域を、 ハッチングを施した小さな円 (第 4 C図を参照) は中間的な屈折率を有する複屈折のない領域を表している。 一方、 太い円および長い両矢印は複屈折のある領域における比較的大きな屈折率の方向 を、 細い円および短い両矢印は複屈折のある領域における比較的小さな屈折率の 方向を表している。 以降の第 3 A図〜第 3 C図および第 4 A図〜第 4 Cにおいて も、 上述の表記は同様である。
前述したように、 Burnett らの手法では、 一対の蛍石レンズの光軸と結晶軸
[1 1 1] とを一致させ、 且つ光軸を中心として一対の蛍石レンズを 60° 相対 的に回転させる。 したがって、 一方の蛍石レンズにおける複屈折率の分布は第 2 A図に示すようになり、 他方の蛍石レンズにおける複屈折率の分布は第 2 B図に 示すようになる。 その結果、 一対の蛍石レンズ全体における複屈折率の分布は、 第 2 C図に示すようになる。
この場合、 第 2 A図および第 2 B図を参照すると、 光軸と一致している結晶軸
[1 1 1] に対応する領域は、 比較的小さな屈折率を有する複屈折のない領域と なる。 また、 結晶軸 [100], [010], [001] に対応する領域は、 比較的 大きな屈折率を有する複屈折のない領域となる。 さらに、 結晶軸 [1 10], [1 01], [01 1] に対応する領域は、 周方向の偏光に対する屈折率が比較的小さ く径方向の偏光に対する屈折率が比較的大きい複屈折領域となる。 このように、 個々のレンズでは、 光軸から 35. 26 ° (結晶軸 [ 1 1 1 ] と結晶軸 [ 1 1 0] とのなす角度) の領域において、 複屈折の影響を最大に受けることがわかる。 一方、 第 2 C図を参照すると、 一対の蛍石レンズを 60° 相対的に回転させる ことにより、 一対の蛍石レンズ全体では、 複屈折が最大である結晶軸 [1 10],
[101], [01 1] の影響が薄められることがわかる。 しかしながら、 光軸か ら 35. 26 ° の領域すなわち光軸から比較的近い領域において、 径方向の偏光 に対する屈折率よりも周方向の偏光に対する屈折率が小さい複屈折領域が残るこ とになる。 その結果、 Burnett らの手法では、 複屈折の影響をある程度受けるこ とになる。
本発明の第 1の手法では、 第 1群のレンズ素子 (光透過部材) の光軸を結晶軸 [100] (または該結晶軸 [ 100] と光学的に等価な結晶軸) と一致させ、 第 2群のレンズ素子の光軸を結晶軸 [100] (または該結晶軸 [100] と光 学的に等価な結晶軸) と一致させ、 第 1群のレンズ素子と第 2群のレンズ素子と を光軸を中心として 45° だけ相対的に回転させる。 ここで、 結晶軸 [100] と光学的に等価な結晶軸とは、 結晶軸 [010], [001] である。
第 3 A図〜第 3 C図は、 本発明の第 1の手法を説明する図であって、 光線の入 射角 (光線と光軸とのなす角度) に対する複屈折率の分布を示している。 第 1の
手法では、 第 1群のレンズ素子における複屈折率の分布は第 3 A図に示すように なり、 第 2群のレンズ素子における複屈折率の分布は第 3 B図に示すようになる。 その結果、 第 1群のレンズ素子と第 2群のレンズ素子との全体における複屈折率 の分布は、 第 3 C図に示すようになる。
第 3 A図および第 3 B図を参照すると、 第 1の手法では、 光軸と一致している 結晶軸 [100] に対応する領域は、 比較的大きな屈折率を有する複屈折のない 領域となる。 また、 結晶軸 [1 1 1], [1 - 1 1], [— 1 1— 1], [1 1— 1] に対応する領域は、 比較的小さな屈折率を有する複屈折のない領域となる。 さら に、 結晶軸 [10 1], [10- 1], [1 10], [1 - 10] に対応する領域は、 周方向の偏光に対する屈折率が比較的大きく径方向の偏光に対する屈折率が比較 的小さい複屈折領域となる。 このように、 各群のレンズ素子では、 光軸から 4 5° (結晶軸 [100] と結晶軸 [10 1] とのなす角度) の領域において、 複 屈折率の影響を最大に受けることがわかる。
一方、 第 3 C図を参照すると、 第 1群のレンズ素子と第 2群のレンズ素子とを 光軸を中心として 45° だけ相対的に回転させることにより、 第 1群のレンズ素 子と第 2群のレンズ素子との全体では、 複屈折が最大である結晶軸 [ 10 1],
[10 - 1], [1 10], [1 - 10] の影響がかなり薄められ、 光軸から 45° の領域すなわち光軸から離れた領域において径方向の偏光に対する屈折率よりも 周方向の偏光に対する屈折率が大きい複屈折領域が残ることになる。 この場合、 一般の投影光学系において各レンズ素子における光軸と光束との最大角度は 3 5° 〜40° 程度である。 したがって、 第 1の手法を採用することにより、 結晶 軸 [1 01], [10- 1], [1 10], [1— 10] の複屈折の影響を実質的に受 けることなく、 良好な結像性能を確保することができる。
なお、 本発明の第 1の手法において、 第 1群のレンズ素子と第 2群のレンズ素 子とを光軸を中心としてほぼ 45 ° だけ相対的に回転させるとは、 第 1群のレン ズ素子および第 2群のレンズ素子における光軸とは異なる方向に向けられる所定 の結晶軸 (たとえば結晶軸 [0 1 0]、 [00 1]、 [0 1 1]、 または [0 1— 1]) 同士の光軸を中心とした相対的な角度がほぼ 45° であることを意味する c
たとえば第 1群のレンズ素子における結晶軸 [0 10] と、 第 2群のレンズ素子 における結晶軸 [010] との光軸を中心とした相対的な角度が 45° である。 また、 第 3 A図および第 3B図からも明らかな通り、 結晶軸 [100] を光軸 とする場合には、 光軸を中心とした複屈折の影響の回転非対称性が 90° の周期 で現れる。 したがって、 第 1の手法において、 光軸を中心としてほぼ 45° だけ 相対的に回転させるということは、 光軸を中心としてほぼ 4 5 ° + (n X 9 0° ) だけ相対的に回転させること、 すなわち 45° 、 1 35° 、 225° 、 ま たは 315° ... だけ相対的に回転させることと同じ意味である (ここで、 nは 整数である)。
なお、 上述の説明において、 第 1群のレンズ素子および第 2群のレンズ素子は、 それぞれ 1つまたは複数のレンズ素子を有する。 そして、 第 1群のレンズ素子ま たは第 2群のレンズ素子が複数のレンズ素子を含む場合、 複数のレンズ素子は必 ずしも連続するレンズ素子ではない。 レンズ素子の群の概念は、 以降の第 3群〜 第 6群のレンズ素子についても同様である。 第 1の手法では、 第 1群のレンズ素 子の光軸に沿った厚さの総計 T 1と第 2群のレンズ素子の光軸に沿った厚さの総 計 T 2とがほぼ等しいことが好ましい。
また、 第 2 A図および第 2 B図を参照すると、 レンズ素子の光軸と結晶軸 [1 1 1] とを一致させているので、 複屈折が最大の結晶軸 [ 1 1 0], [10 1], [01 1] に対応する領域が 120° ピッチで存在し、 瞳面内で 30の分布を有 する複屈折の影響すなわち像面 (ウェハ面) においてコマ収差が発生するような 影響が現れるものと考えられる。 これに対して、 第 3 A図および第 3 B図を参照 すると、 レンズ素子の光軸と結晶軸 [100] とを一致させているので、 複屈折 が最大の結晶軸 [101], [10— 1], [1 10], [1 - 10] に対応する領域 が 90° ピッチで存在し、 瞳面内で 4 Θの分布を有する複屈折の影響が現れる。 この場合、 ウェハに投影すべきパターンにおいて縦横パターンが支配的である ため、 40の分布であれば縦横パターンに対して非点収差が発生するような影響 が現れることなく、 像の崩れも顕著にならない。 したがって、 少なくとも 1つの レンズ素子の光軸と結晶軸 [ 100] (または該結晶軸 [ 100] と光学的に等
価な結晶軸) と一致させる第 2の手法を採用することにより、 複屈折の影響を良 好に抑えて、 良好な結像性能を確保することができる。
また、 本発明の第 3の手法では、 第 3群のレンズ素子の光軸を結晶軸 [ 1 1 0] (または該結晶軸 [1 10] と光学的に等価な結晶軸) と一致させ、 第 4群 のレンズ素子の光軸を結晶軸 [ 1 10] (または該結晶軸 [1 10] と光学的に 等価な結晶軸) と一致させ、 第 3群のレンズ素子と第 4群のレンズ素子とを光軸 を中心として 90° だけ相対的に回転させる。 ここで、 結晶軸 [1 10] と光学 的に等価な結晶軸とは、 結晶軸 [— 1 10], [101], [ - 101], [01 1], [01 - 1] である。
第 4A図〜第 4C図は、 本発明の第 3の手法を説明する図であって、 光線の入 射角に対する複屈折率の分布を示している。 第 3の手法では、 第 3群のレンズ素 子における複屈折率の分布は第 4 A図に示すようになり、 第 4群のレンズ素子に おける複屈折率の分布は第 4 B図に示すようになる。 その結果、 第 3群のレンズ 素子と第 4群のレンズ素子との全体における複屈折率の分布は、 第 4 C図に示す ようになる。
第 4 A図および第 4 B図を参照すると、 第 3の手法では、 光軸と一致している 結晶軸 [1 10] に対応する領域は、 一方の方向の偏光に対する屈折率が比較的 大きく他方の方向 (一方の方向に直交する方向) の偏光に対する屈折率が比較的 小さい複屈折領域となる。 また、 結晶軸 [100], [0 10] に対応する領域は、 比較的大きな屈折率を有する複屈折のない領域となる。 さらに、 結晶軸 [ 1 1 1], [1 1 - 1] に対応する領域は、 比較的小さな屈折率を有する複屈折のない 領域となる。
一方、 第 4 C図を参照すると、 第 3群のレンズ素子と第 4群のレンズ素子とを 光軸を中心として 90° だけ相対的に回転させることにより、 第 3群のレンズ素 子と第 4群のレンズ素子との全体では、 複屈折が最大である結晶軸 [1 10] の 影響がほとんどなく、 光軸付近は中間的な屈折率を有する複屈折のない領域とな る。 すなわち、 第 3の手法を採用すると、 複屈折の影響を実質的に受けることな く、 良好な結像性能を確保することができる。
なお、 本発明の第 3の手法において、 第 3群のレンズ素子と第 4群のレンズ素 子とを光軸を中心としてほぼ 90° だけ相対的に回転させるとは、 第 3群のレン ズ素子および第 4群のレンズ素子における光軸とは異なる方向に向けられる所定 の結晶軸 (たとえば結晶軸 [001]、 [一 1 1 1]、 [— 1 10]、 または [ 1一 1 1]) 同士の光軸を中心とした相対的な角度がほぼ 90° であることを意味す る。 たとえば第 3群のレンズ素子における結晶軸 [00 1] と、 第 4群のレンズ 素子における結晶軸 [001] との光軸を中心とした相対的な角度が 90° であ る。
また、 第 4 A図および第 4 B図からも明らかな通り、 結晶軸 [1 10] を光軸 とする場合には、 光軸を中心とした複屈折の影響の回転非対称性が 180° の周 期で現れる。 したがって、 第 3の手法において、 光軸を中心としてほぼ 90° だ け相対的に回転させるということは、 光軸を中心としてほぼ 90 ° + (n X 18 0° ) だけ相対的に回転させること、 すなわち 90° 、 270 ° ... だけ相対的 に回転させることと同じ意味である (ここで、 nは整数である)。
第 3の手法においても、 第 3群のレンズ素子の光軸に沿った厚さの総計 T 3と 第 4群のレンズ素子の光軸に沿った厚さの総計 T 4とがほぼ等しいことが好まし い。 特に、 第 3の手法では、 複屈折領域が中央部 (光軸およびその近傍) にある ので、 中央部の薄い負レンズに適用することがさらに好ましい。
また、 前述の第 2の手法において説明した理由と同様の理由により、 少なくと も 1つのレンズ素子の光軸と結晶軸 [1 10] (または該結晶軸 [1 1 0] と光 学的に等価な結晶軸) と一致させる第 4の手法を採用することにより、 複屈折の 影響を良好に抑えて、 良好な結像性能を確保することができる。
また、 本発明の第 5の手法として、 前述の Burnett らの手法を採用する。 この 場合、 本発明の第 5の手法では、 第 5群のレンズ素子の光軸を結晶軸 [1 1 1] (または該結晶軸 [1 1 1] と光学的に等価な結晶軸) と一致させ、 第 6群のレ ンズ素子の光軸を結晶軸 [1 1 1] (または該結晶軸 [ 1 1 1] と光学的に等価 な結晶軸) と一致させ、 第 5群のレンズ素子と第 6群のレンズ素子とを光軸を中 心として 60° だけ相対的に回転させる。
前述したように、 第 5の手法を採用することにより、 複屈折の影響を良好に抑 えて、 良好な結像性能を確保することができる。 ここで、 結晶軸 [1 1 1] と光 学的に等価な結晶軸とは、 結晶軸 [— 1 1 1], [1— 1 1], [1 1 - 1] である。 なお、 第 5の手法において、 第 5群のレンズ素子と第 6群のレンズ素子とを光 軸を中心としてほぼ 60° だけ相対的に回転させるとは、 第 5群のレンズ素子お よび第 6群のレンズ素子における光軸とは異なる方向に向けられる所定の結晶軸 (たとえば結晶軸 [— 1 1 1]、 [1 1 - 1], または [1— 1 1]) 同士の光軸を 中心とした相対的な角度がほぼ 60° であることを意味する。 たとえば第 5群の レンズ素子における結晶軸 [— 1 1 1〗 と、 第 6群のレンズ素子における結晶軸 [- 1 1 1] との光軸を中心とした相対的な角度が 60° である。
また、 第 2A図および第 2B図からも明らかな通り、 結晶軸 [11 1] を光軸 とする場合には、 光軸を中心とした複屈折の影響の回転非対称性が 120° の周 期で現れる。 したがって、 第 5の手法において、 光軸を中心としてほぼ 60° だ け相対的に回転させるということは、 光軸を中心としてほぼ 60 ° + (nX 12 0° ) だけ相対的に回転させること、 すなわち 60° 、 180° 、 300° ..· だけ相対的に回転させることと同じ意味である (ここで、 nは整数である)。
第 5の手法では、 第 5群のレンズ素子の光軸に沿った厚さの総計 T 5と第 6群 のレンズ素子の光軸に沿った厚さの総計 T 6とがほぼ等しいことが好ましい。 さらに、 本発明の第 6の手法として、 第 1の手法と第 3の手法と第 5の手法と を部分的に組み合わせた手法を採用することができる。 すなわち、 第 6の手法で は、 第 1群のレンズ素子の光軸を結晶軸 [100] (または該結晶軸 [100] と光学的に等価な結晶軸) と一致させ、 第 3群のレンズ素子の光軸を結晶軸 [1 10] (または該結晶軸 [1 1 0] と光学的に等価な結晶軸) と一致させ、 第 5 群のレンズ素子の光軸を結晶軸 [1 1 1] (または該結晶軸 [ 1 1 1] と光学的 に等価な結晶軸) と一致させる。 この場合も、 複屈折の影響を良好に抑えて、 良 好な結像性能を確保することができる。
本発明では、 後述するように、 上述の 6つの手法から選択した 1つの手法を、 投影光学系の所定の光学部材に適用する。 また、 本発明では、 上述の 6つの手法
から選択した複数の手法を組み合わせて採用することもできる。 こうして、 本発 明では、 投影光学系に蛍石のような複屈折性の光学材料を用いているにもかかわ らず、 複屈折の影響を実質的に受けることなく良好な結像性能を有する投影光学 系を実現することができる。
なお、 結晶軸 [1 1 1] を光軸方向に設定したレンズにおいては、 その結晶構 造に起因して光軸を中心とした方位角 1 20° 毎にレンズ面の研磨誤差が現れや すい。 しかしながら、 上記第 5の手法のように第 5群のレンズ素子の光軸を結晶 軸 [ 1 1 1] (または該結晶軸 [ 1 1 1] と光学的に等価な結晶軸) と一致させ、 第 6群のレンズ素子の光軸を結晶軸 [ 1 1 1] (または該結晶軸 [1 1 1] と光 学的に等価な結晶軸) と一致させ、 第 5群のレンズ素子と第 6群のレンズ素子と を光軸を中心として 60° だけ相対的に回転させることによって、 光軸を中心と した方位角 1 20° 毎のレンズ面の研磨誤差に起因する収差を第 5群のレンズ素 子と第 6群のレンズ素子との間でほぼキャンセル (相殺) することが可能となる 利点がある。
ところで、 本発明では、 上述の第 1の手法、 第 3の手法および第 5の手法にお いて、 次の条件式 (3) 〜 (5) を満足することが望ましい。
I T 1 -T 2 I /ΎΑ<0. 025 (3)
I Τ 3 -Τ4 I /TA<0. 025 (4)
I Τ 5— Τ 6 I /ΤΑ<0. 02 5 (5)
ここで、 Τ 1~Τ6は、 前述したように、 第 1群〜第 6群のレンズ素子 (光透 過部材) の光軸に沿った厚さ (中心厚) の総計である。 また、 ΤΑは、 投影光学 系を構成するすべての光透過部材の光軸に沿った厚さの総計である。 条件式 (3) 〜 (5) を満足しないと、 複屈折の影響が大きくなり、 光学系の結像性能 が悪化するので好ましくない。
次に、 本発明の別の局面によれば、 複数のレンズと少なくとも 1つの凹面反射 鏡とを含み、 第 1面の縮小像を第 2面上に形成する反射屈折型の投影光学系にお いて、 フォトレジストからの脱ガスによるレンズの汚染を良好に回避する。 この 目的のため、 本発明では、 第 1面および第 2面を走査方向に沿って移動させて第
1面の像を第 2面上に走査露光する露光装置に用いられたときに、 非走査時には スリット状または円弧状の露光領域を第 2面上に形成し、 次の条件式 (1 ) を満 足する。
0 . 5 < (D w · Nw) Z E w< 1 . 4 ( 1 )
ここで、 Dwは、 第 2面側の作動距離 (最も第 2面側の光学面と第 2面との距 離) である。 また、 Nwは、 第 2面側の開口数 (像側開口数) である。 さらに、 E wは、 スリット状または円弧状の露光領域における非走査方向 (走査方向と直 交する方向) に沿った長さである。
条件式 (1 ) は、 像側作動距離と像側開口数と像視野との関係を規定している c 条件式 (1 ) の下限値を下回ると、 感光性基板上に塗布されるフォトレジストか らの脱ガスによる汚染が大きくなる。 一方、 条件式 (1 ) の上限値を上回ると、 色収差の補正が困難になるばかりでなく、 光学素子の大型化を避けることができ ず、 光学系の製造が困難になる。 なお、 本発明の効果をさらに良好に発揮するに は、 条件式 (1 ) の下限値を 0 . 5 3とし、 その上限値を 1 . 3とすることが好 ましい。
また、 上述の反射屈折型の投影光学系では、 スリット状または円弧状の露光領 域は、 投影光学系の光軸を含まないように設定され、 第 1面の第 1中間像を形成 するための屈折型の第 1結像光学系と、 少なくとも 1つの負レンズと凹面反射鏡 とを有し、 第 1中間像からの光束に基づいて第 1中間像とほぼ等倍の第 2中間像 を第 1中間像の形成位置の近傍に形成するための第 2結像光学系と、 第 2中間像 からの光束に基づいて第 2中間像の縮小像を第 2面上に形成するための屈折型の 第 3結像光学系と、 第 1結像光学系から第 2結像光学系に至る光路中に配置され た第 1光路折り曲げ鏡と、 第 2結像光学系から第 3結像光学系に至る光路中に配 置された第 2光路折り曲げ鏡とを備えている。
そして、 第 1光路折り曲げ鏡の有効領域および第 2光路折り曲げ鏡の有効領域 は、 全体に亘つて平面状に形成された反射面を有し、 第 1光路折り曲げ鏡の有効 領域と第 2光路折り曲げ鏡の有効領域とは空間的な重なりを有することなく、 第 1面からの光束をすベて第 2面へ導くように配置されていることが好ましい。 こ
の構成により、 像側作動距離を十分確保しつつ、 蛍石等の単一種類の光透過部材 のみで色収差補正を良好に行うことができる。 さらに、 上述の反射屈折型の投影 光学系では、 第 1結像光学系および第 3結像光学系を構成するすべてのレンズが 単一の直線状の光軸に沿って配置されていることが好ましい。 この構成により、 組み立て調整が比較的容易になり、 精度良く光学系を製造することができる。 次に、 さらに別の局面によれば、 本発明の投影光学系は、 複数のレンズと凹面 反射鏡と該凹面反射鏡の近傍に配置された負レンズとを含み、 第 1面の縮小像を 第 2面上に形成する。 そして、 第 1面および第 2面を走査方向に沿って移動させ て第 1面の像を第 2面上に走査露光する露光装置に用いられたときに、 非走査時 には投影光学系の光軸を含まないように設定されたスリット状または円弧状の露 光領域を第 2面上に形成し、 第 2面側の開口数は 0 . 8 2以上である。
この場合、 凹面反射鏡および負レンズは重力の方向と実質的に異なる方向の光 軸に沿って配置され、 次の条件式 (2 ) を満足することが望ましい。 条件式 ( 2 ) において、 Sは凹面反射鏡の有効径 (直径) であり、 Rは凹面反射鏡の曲 率半径である。
1 . 0 < S / I R I < 1 . 8 ( 2 )
条件式 (2 ) を満足することにより、 凹面反射鏡の重力による変形を小さく抑 えて、 製造の難易度を現実的なものとすることができる。 すなわち、 条件式 ( 2 ) の下限値を下回ると、 重力による凹面反射鏡の変形が大きく、 組み立て調 整や加工の難易度が高くなるので好ましくない。 一方、 条件式 (2 ) の上限値を 上回ると、 大きな開口数を確保しつつ、 色収差補正と像面湾曲補正とを両立する ことができなくなるので好ましくない。 なお、 本発明の効果をさらに良好に発揮 するには、 条件式 (2 ) の下限値を 1 · 1とし、 その上限値を 1 . 6 5とするこ とが好ましい。
本発明の実施形態を、 添付図面に基づいて説明する。
第 5図は、 本発明の実施形態にかかる投影光学系を備えた露光装置の構成を概 略的に示す図である。 なお、 第 5図において、 ウェハの法線方向に Z軸を、 Z軸 に垂直な面内において第 5図の紙面に平行に Y軸を、 Z軸に垂直な面内において
第 5図の紙面に垂直に X軸を設定している。 本実施形態では、 反射屈折型の投影 光学系を備えた走査型の投影露光装置に本発明を適用している。
第 5図を参照すると、 本実施形態の露光装置は、 第 1面に配置されるレチクル (マスク) 5 0を照明するための照明装置 5 1を備えている。 照明装置 5 1は、 たとえば 1 5 7 n mの波長光を供給する F 2レーザ一を有する光源、 この光源か らの光により所定形状 (円形状、 輪帯状、 二極状、 四極状など) の二次光源を形 成するオプティカルインテグレー夕、 レチクル 5 0上での照射範囲を規定するた めの照明視野絞りなどを有し、 レチクル 5 0上の照明領域をほぼ均一な照度分布 のもとで照明する。
ここで、 照明装置 5 1内の照明光路は不活性ガスでパージされることが好まし く、 本実施形態では窒素でパージしている。 レチクル 5 0はレチクルステージ 5 3上に載置されており、 レチクル 5 0およびレチクルステージ 5 3はケ一シング 5 2によって外部の雰囲気と隔離されている。 このケ一シング 5 2の内部空間も 不活性ガスでパージされることが好ましく、 本実施形態では窒素でパージしてい る。
照明装置 5 1により照明されたレチクル 5 0からの光は、 蛍石結晶で形成され た複数のレンズ素子 (1〜7, 9, 1 0 , 1 3〜 1 8 )、 凹面反射鏡 1 1、 コヒ 一レンスファクタ (σ値) を制御するための開口絞り 2 0などを有する投影光学 系 4 0 0を介して、 感光性基板としてのウェハ 6 0へ導かれ、 ウェハ 6 0上の露 光領域内にレチクル 5 0のパターン像を形成する。 この投影光学系 4 0 0内の投 影光路は不活性ガスでパージされることが好ましく、 本実施形態ではヘリウムで パージしている。
ウェハ 6 0は、 その表面が投影光学系 4 0 0の像面としての第 2面に位置決め されるようにウェハステージ 6 1上に載置されており、 ウェハ 6 0およびウェハ ステージ 6 1はケ一シング 6 2によって外部の雰囲気と隔離されている。 このケ 一シング 6 2の内部空間も不活性ガスでパージされることが好ましく、 本実施形 態では窒素でパージしている。 そして、 レチクルステージ 5 3とウェハステージ 6 1とを投影光学系 4 0 0の倍率に応じた速度比で投影光学系 4 0 0に対して走
査方向である Y方向に沿って相対的に移動させつつ、 レチクル 5 0を照明するこ とにより、 ウェハ 6 0上の露光領域内にレチクル 5 0上のパターンが転写される。 第 6図は、 ゥェ八上に形成される矩形状の露光領域 (すなわち実効露光領域) と光軸との位置関係を示す図である。 第 6図に示すように、 本実施形態では、 光 軸 A X 1を中心とした半径 Βを有する円形状の領域 (イメージサークル) I F内 において、 光軸 A X 1から— Y方向に軸外し量 Aだけ離れた位置に所望の大きさ を有する矩形状の実効露光領域 E Rが設定されている。 ここで、 実効露光領域 E Rの X方向の長さは L X ( E w) であり、 その Y方向の長さは L Yである。
換言すると、 各実施形態では、 ウェハ 6 0において、 光軸 A X 1から— Y方向 に軸外し量 Aだけ離れた位置に所望の大きさを有する矩形状の実効露光領域 E R が設定され、 光軸 A X 1を中心として実効露光領域 E Rを包括するように円形状 のイメージサークル I Fの半径 Bが規定されている。 したがって、 図示を省略し たが、 これに対応して、 レチクル 5 0上では、 基準光軸 A Xから一 Y方向に軸外 し量 Aに対応する距離だけ離れた位置に実効露光領域 E Rに対応した大きさおよ び形状を有する矩形状の照明領域 (すなわち実効照明領域) が形成されているこ とになる。
再び第 5図を参照すると、 本実施形態の投影光学系 4 0 0は、 第 1面に配置さ れたレチクル 5 0のパターンの第 1中間像を形成するための屈折型の第 1結像光 学系 1 0 0と、 凹面反射鏡 1 1と 2つの負レンズ 9, 1 0とから構成されて第 1 中間像とほぼ等倍の第 2中間像 (第 1中間像のほぼ等倍像であってレチクルパタ ーンの 2次像) を形成するための第 2結像光学系 2 0 0と、 第 2中間像からの光 に基づいて第 2面に配置されたウェハ 6 0上にレチクルパターンの最終像 (レチ クルパターンの縮小像) を形成するための屈折型の第 3結像光学系 3 0 0とを備 えている。
なお、 第 1結像光学系 1 0 0と第 2結像光学系 2 0 0との間の光路中において 第 1中間像の形成位置の近傍には、 第 1結像光学系 1 0 0からの光を第 2結像光 学系 2 0 0に向かって偏向するための第 1光路折り曲げ鏡 8が配置されている。 また、 第 2結像光学系 2 0 0と第 3結像光学系 3 0 0との間の光路中において第
2中間像の形成位置の近傍には、 第 2結像光学系 2 0 0からの光を第 3結像光学 系 3 0 0に向かって偏向するための第 2光路折り曲げ鏡 1 2が配置されている。 第 1中間像および第 2中間像は、 第 1光路折り曲げ鏡 8と第 2結像光学系 2 0 0 との間の光路中および第 2結像光学系 2 0 0と第 2光路折り曲げ鏡 1 2との間の 光路中にそれぞれ形成される。
また、 第 1結像光学系 1 0 0および第 3結像光学系 G 3はともに、 直線状に延 びた単一の光軸すなわち基準光軸 A X 1を有する。 基準光軸 A X 1は、 重力方向 (すなわち鉛直方向) に沿って位置決めされている。 その結果、 レチクル 5 0お よびウェハ 6 0は、 重力方向と直交する面すなわち水平面に沿って互いに平行に 配置されている。 加えて、 第 1結像光学系 1 0 0を構成するすべてのレンズおよ び第 3結像光学系 3 0 0を構成するすべてのレンズも、 基準光軸 A X 1上におい て水平面に沿って配置されている。
一方、 第 2結像光学系 2 0 0も直線状に延びた光軸 A X 2を有し、 この光軸 A X 2は基準光軸 A X 1と直交するように設定されている。 さらに、 第 1光路折り 曲げ鏡 8および第 2光路折り曲げ鏡 1 2はともに平面状の反射面を有し、 2つの 反射面を有する 1つの光学部材 (1つの光路折り曲げ鏡 F M) として一体的に構 成されている。 この 2つの反射面の交線 (厳密にはその仮想延長面の交線) が第 1結像光学系 1 0 0および第 3結像光学系 3 0 0の光軸 A X 1および第 2結像光 学系 2 0 0の光軸 A X 2と一点で交わるように設定されている。
本実施形態では、 複数のレンズを含む屈折光学系である第 1結像光学系 1 0 0 および第 3結像光学系 3 0 0で生じる色収差および正値のペッツバール和を、 第 2結像光学系 2 0 0の凹面反射鏡 1 1および負レンズ 9, 1 0により補償する。 また、 第 2結像光学系 2 0 0がほぼ等倍の結像倍率を有する構成により、 第 1中 間像の近傍に第 2中間像を形成することが可能となる。 本実施形態では、 この 2 つの中間像の近傍において光路分離を行うことにより、 露光領域 (すなわち実効 露光領域) の光軸からの距離すなわち軸外し量を小さく設定することができる。 これは、 収差補正の点で有利となるだけでなく、 光学系の小型化、 光学調整、 機 械設計、 製造コストなどの点でも有利となる。
上述したように、 第 2結像光学系 2 0 0は、 第 1結像光学系 1 0 0および第 3 結像光学系 3 0 0で生じる色収差および正値のペッツバール和の補償を一手に負 担する。 このため、 第 2結像光学系 2 0 0を構成する凹面反射鏡 1 1および負レ ンズ 9, 1 0のパワーを共に大きく設定する必要がある。 したがって、 第 2結像 光学系 2 0 0の対称性が崩れると、 倍率色収差や色コマ収差のような非対称色収 差の発生が大きくなり、 十分な解像力を得ることができなくなってしまう。 そこ で、 本実施形態では、 第 2結像光学系 2 0 0の結像倍率をほぼ等倍に設定し且つ その瞳位置の近傍に凹面反射鏡 1 1を配置することのできる構成を採用すること により、 良好な対称性を確保し、 上述の非対称色収差の発生を防ぐことに成功し ている。
以下、 複屈折の影響を実質的に回避する本発明の手法の本実施形態に対する適 用について説明する。 まず、 ウェハ側 (第 2面側) の瞳位置に配置された開口絞 り 2 0とウェハ 6 0との間の光路中に配置されたレンズ ( 1 6〜 1 8 ) では、 通 過する光線の光軸に対する最大角度が大きい傾向にあり、 複屈折の影響を受け易 レ^ そこで、 本実施形態では、 これらのレンズ (1 6〜1 8 ) に対して、 前述し た本発明の第 1手法〜第 6手法を単独であるいは組み合わせて適用することによ り、 複屈折の影響を実質的に受けることなく良好な光学性能を確保することがで きる。 なお、 第 5図では、 図面の明瞭化のために開口絞り 2 0とウェハ 6 0との 間に 3つのレンズしか配置していないが、 実際の設計ではさらに多くのレンズが 配置される。
また、 通過する光線の光軸に対する最大角度が 2 0 ° を超えるようなレンズで は、 その配置位置にかかわらず複屈折の影響を受け易い。 そこで、 本実施形態で は、 通過する光線の光軸に対する最大角度が 2 0 ° を超えるようなレンズに対し て、 本発明の第 1手法〜第 6手法を単独であるいは組み合わせて適用することに より、 複屈折の影響を実質的に受けることなく良好な光学性能を確保することが できる。
さらに、 像側開口数の大きい本実施形態の投影光学系では、 凹面反射鏡 1 1の 近傍に配置された負レンズ 9 , 1 0において、 通過する光線の光軸に対する最大
角度が収差補正の目的のために大きくなりがちである。 そこで、 本実施形態では、 これらの負レンズ 9 , 1 0に対して本発明の第 1手法〜第 5手法を適用すること により、 複屈折の影響を実質的に受けることなく良好な光学性能を確保すること ができる。 なお、 凹面反射鏡 1 1の近傍に配置された負レンズの数がさらに多い 場合には、 本発明の第 1手法〜第 6手法を単独であるいは組み合わせて適用する こともできる。
なお、 前述したように、 本発明の第 1手法、 第 3手法および第 5手法を適用す る場合、 第 1レンズ群、 第 3レンズ群および第 5レンズ群と、 第 2レンズ群、 第 4レンズ群および第 6レンズ群との間で、 条件式 (3 ) 〜 (5 ) を満足するよう に設定することが好ましい。 また、 本発明の第 1手法、 第 3手法および第 5手法 を適用する場合、 第 1レンズ群 (あるいは第 3レンズ群、 第 5レンズ群) と第 2 レンズ群 (あるいは第 4レンズ群、 第 6レンズ群) とをオプティカルコンタクト または接着により 1つの光学部品として形成することが好ましい。 この構成によ り、 反射防止膜を形成すべき光学面の数を最小限に抑えることができるので、 特 に F 2レーザーを用いる光学系のように反射防止膜の材料が限られる場合には非 常に有利である。
ところで、 本発明の第 1手法、 第 3手法および第 5手法を適用する場合、 第 1 レンズ群 (あるいは第 3レンズ群、 第 5レンズ群) と第 2レンズ群 (あるいは第 4レンズ群、 第 6レンズ群) との間で角度指定が必要になる。 そこで、 本来的に 角度指定が必要な非球面すなわちレンズ調整時の収差補正用非球面 (回転非対称 な非球面) を第 1レンズ群 (あるいは第 3レンズ群、 第 5レンズ群) または第 2 レンズ群 (あるいは第 4レンズ群、 第 6レンズ群) に導入することが好ましい。 この場合、 複屈折により回転非対称なスカラ収差が発生しても、 非球面の作用に より補正することができる。 なお、 レンズ調整時の収差補正用の非球面について 簡単に説明する。 投影光学系を製造する際には、 波面収差等の収差を計測しつつ、 投影光学系を構成するレンズや反射鏡などの光学素子の位置 ·姿勢を調整して、 投影光学系の光学性能を所望の値に追い込むことが行われる。 ただし、 このよう な光学素子の位置 ·姿勢の調整だけでは、 ザイデルの 5収差に代表される低次収
差しか補正できない。 そこで、 計測された投影光学系の収差のうち、 光学素子の 位置 ·姿努の調整で補正できる成分を除いた残存収差を、 投影光学系を構成する 光学素子の表面形状を変更、 すなわち非球面とすることによって補正することが 行われる。 このような残存収差補正用の非球面をレンズ調整時の収差補正用の非 球面と呼び、 典型的な非球面形状は光軸に関して回転非対称な形状となる。 した がって、 このレンズ調整時の収差補正用の非球面を備えた光学素子を投影光学系 中へ組み込むためには、 光軸を中心とした方位角を定める、 すなわち角度指定を 行う必要がある。
また、 上述の Burne t t らの手法、 本発明の第 1〜第 6の手法を投影光学系の所 定の光学部材に適用した際においても、 偏光収差、 すなわち投影光学系を通過す る第 1の偏光成分の光と当該第 1の偏光成分とは異なる第 2の偏光成分の光との 間の位相差を完全には補正しきれない場合がある。
このとき、 投影光学系を構成する光学部材のうちの 1以上の光学部材の表面に、 偏光収差を低減させる膜、 すなわち第 1および第 2の偏光成分の光の間の位相差 を低減させる特性を有する膜を設けることにより、 さらに偏光収差を補正するこ とが可能である。
また、 本実施形態では、 蛍石結晶で形成されたレンズの表面に同じく蛍石結晶 で形成された結晶膜を形成し、 蛍石レンズの結晶方位と結晶膜の結晶方位とが実 質的に異なるように設定する手法も有効である。 この場合、 蛍石レンズの光軸に 沿った結晶方位と結晶膜の光軸に沿った結晶方位とが実質的に異なるように設定 する。 あるいは、 蛍石レンズの光軸に沿った結晶方位と結晶膜の光軸に沿った結 晶方位とがほぼ一致し、 蛍石レンズと結晶膜とが光軸を中心として所定の角度だ け相対的に回転した位置関係を有するように設定する。 この構成により、 複屈折 の影響を実質的に受けることなく良好な光学性能を確保することができる。
以下、 具体的な数値に基づく実施例を説明する。 各実施例において、 投影光学 系を構成するすべての屈折光学部材 (レンズ成分) には蛍石 (C a F 2結晶) を 使用している。 また、 露光光である F 2レーザ光の発振中心波長は 1 5 7 . 6 2 4 4 n mであり、 1 5 7 . 6 2 4 4 n m付近において C a F 2の屈折率は、 + 1
pmの波長変化あたり一 2. 6 X 1 0—6の割合で変化し、 一 l pmの波長変化 あたり + 2. 6 X 1 0—6の割合で変化する。 換言すると、 1 57. 6244 η m付近において、 C aF2の屈折率の分散 (d nZd A) は、 2. 6 X 10— 6 p mである。
したがって、 各実施例において、 中心波長 1 57. 624411]11に対する〇 & F2の屈折率は 1. 5593067であり、 1 57. 6244 nm+ 1 pm= 1 57. 6254 nmに対する C a F2の屈折率は 1. 5593041であり、 1 57. 6244 nm- 1 pm= 1 57. 6234 n mに対する C a F 2の屈折率 は 1. 5593093である。
また、 各実施例において、 非球面は、 光軸に垂直な方向の高さを yとし、 非球 面の頂点における接平面から高さ yにおける非球面上の位置までの光軸に沿った 距離 (サグ量) を zとし、 頂点曲率半径を rとし、 円錐係数を/ cとし、 n次の非 球面係数を Cnとしたとき、 以下の数式 (a) で表される。
z = (y V r ) / [1 + { 1 - ( l + / ) · y2/ r 2} 1/2]
+ C4 - y4 + C6 - y6 + C8 - y8 + C10 - y10
+ C12 · y 12 + C14 · y 14 (a)
各実施例において、 非球面形状に形成されたレンズ面には面番号の右側に *印 を付している。
[第 1実施例]
第 7図は、 第 1実施例にかかる投影光学系のレンズ構成を示す図である。 なお、 第 1実施例では、 波長幅が 157. 6244 nm± 1 pmの露光光に対して色収 差を含む諸収差が補正された投影光学系に本発明を適用している。
第 7図の投影光学系において、 第 1結像光学系 G 1 (第 5図の 100に対応) は、 レチクル R (第 5図の 50に対応) 側から順に、 両凸レンズ L I 1と、 レチ クル側に非球面状の凹面を向けた負メニスカスレンズ L 12と、 レチクル側に凹 面を向けた正メニスカスレンズ L 13と、 ウェハ W (第 5図の 60に対応) 側に 非球面状の凹面を向けた正メニスカスレンズ L 14と、 レチクル側に凹面を向け た負メニスカスレンズ L 1 5と、 レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズ
L 1 6と、 レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズ L 1 7と、 両凸レンズ L 1 8と、 ウェハ側に非球面状の凹面を向けた正メニスカスレンズ L 1 9とから 構成されている。
また、 第 2結像光学系 G 2 (第 5図の 2 0 0に対応) は、 光の進行往路に沿つ てレチクル側 (すなわち入射側) から順に、 レチクル側に非球面状の凹面を向け た負メニスカスレンズ L 2 1と、 レチクル側に凹面を向けた負メニスカスレンズ L 2 2と、 レチクル側に凹面を向けた凹面反射鏡 C M (第 5図の 1 1に対応) と から構成されている。
さらに、 第 3結像光学系 G 3 (第 5図の 3 0 0に対応) は、 光の進行方向に沿 つてレチクル側から順に、 レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズ L 3 1 と、 両凸レンズ L 3 2と、 レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズ L 3 3 と、 レチクル側に非球面状の凹面を向けた両凹レンズ L 3 4と、 レチクル側に非 球面状の凹面を向けた正メニスカスレンズ L 3 5と、 ウェハ側に非球面状の凹面 を向けた正メニスカスレンズ L 3 6と、 開口絞り A Sと、 両凸レンズ L 3 7と、 レチクル側に凹面を向けた負メニスカスレンズ L 3 8と、 レチクル側に平面を向 けた平凸レンズ L 3 9と、 両凸レンズ L 3 1 0と、 ウェハ側に非球面状の凹面を 向けた正メニスカスレンズ L 3 1 1と、 レチクル側に凸面を向けた正メニスカス レンズ L 3 1 2と、 ウェハ側に平面を向けた平凸レンズ L 3 1 3とから構成され ている。
次の第 1表に、 第 1実施例にかかる投影光学系の諸元の値を掲げる。 第 1表に おいて、 λは露光光の中心波長を、 /3は投影倍率 (全系の結像倍率) を、 Ν Αは 像側 (ウェハ側) 開口数を、 Βはウェハ W上でのイメージサークル I Fの半径を、 Αは実効露光領域 E Rの軸外し量を、 L X ( E w) は実効露光領域 E Rの X方向 に沿った寸法 (長辺の寸法) を、 L Yは実効露光領域 E Rの Y方向に沿った寸法 (短辺の寸法) をそれぞれ表している。
また、 面番号は物体面 (第 1面) であるレチクル面から像面 (第 2面) である ウェハ面への光線の進行する方向に沿ったレチクル側からの面の順序を、 rは各 面の曲率半径 (非球面の場合には頂点曲率半径: mm) を、 dは各面の軸上間隔
すなわち面間隔 (mm) を、 nは中心波長に対する屈折率をそれぞれ示している。 なお、 面間隔 dは、 反射される度にその符号を変えるものとする。 したがって、 面間隔 dの符号は、 第 1光路折り曲げ鏡 8の反射面から凹面反射鏡 C Mまでの光 路中および第 2光路折り曲げ鏡 1 2の反射面から像面までの光路中では負とし、 その他の光路中では正としている。
そして、 第 1結像光学系 G 1では、 レチクル側に向かって凸面の曲率半径を正 とし、 凹面の曲率半径を負としている。 一方、 第 3結像光学系 G 3では、 レチク ル側に向かって凹面の曲率半径を正とし、 凸面の曲率半径を負としている。 さら に、 第 2結像光学系 G2では、 光の進行往路に沿ってレチクル側 (すなわち入射 側) に向かって凹面の曲率半径を正とし、 凸面の曲率半径を負としている。 上述 の第 1表の表記は、 以降の第 2表においても同様である。
第 1表
(主要諸元)
λ= 1 57. 6244 nm
/3=- 0. 25
NA= 0. 84
B= 1 3. 7mm
A = 3 mm
LX (Ew) = 22mm
L Y= 5 mm
(光学部材諸元)
面番号 r d n
(レチクル面) 180.6367
1 338.1128 43.1828 1.5593067 (レンズし 1 1)
2 -344.9356 1.0000
3* -599.9988 18.0000 1.5593067 (レンズ L 1 2)
4 -750.0000 3.8448
5 -3025.0000 33.6610 1.5593067 (レンズ L 1 3 )
-248.3324 52.8928
123. 3512 50. 0000 1.5593067 (レンズ L 14)* 137. 9069 94. 2897
-79. 1554 50. 0000 1.5593067 (レンズ L 1 5)
-622. 2967 11. 3371
-184.1414 33. 8374 1.5593067 (レンズ 16)
-113. 4803 14. 3635
-449. 4836 38. 4631 1.5593067 (レンズし 1 7)
-145. 4454 1. 0000
990. 3950 35. 4539 1.5593067 (レンズし 1 8)
-266. 8459 13. 1001
230. 4657 43. 1276 1.5593067 (レンズし 1 9)* 905. 8792 86. 0000
oo -322. 8159 (第 1光路折り曲げ鏡 8)* 160. 0000 -20.0000 1.5593067 (レンズ 2 1)
1029. 3354 -39.7098
170. 0000 -27. 0000 1.5593067 (レンズし 22)
335. 4155 -25. 7429
211. 5661 25. 7429 (凹面反射鏡 CM)
335. 4155 27. 0000 1.5593067 (レンズし 22)
170. 0000 39. 7098
1029. 3354 20.0000 1.5593067 (レンズし 2 1)* 160. 0000 322. 8159
CO -109. 1661 (第 2光路折り曲げ鏡 12)
-2979. 2971 -27. 9776 1.5593067 (レンズ L 3 1)
259. 8472 - 1. 0000
-274. 0559 -32. 1994 1.5593067 (レンズし 32)
788. 0182 一 1. 0000
4 -226.6395 -40.0000 1.5593067 (レンズ I .33) 5 -775.7225 -17. 4073
6* 286.8379 -18. 0000 1.5593067 (レンズ I .34) 7 -220.3372 -218. 2160
8* 800.0000 -25. 0000 1.5593067 (レンズ I .35) 9 369.0625 -55. 3479
0 -246.4360 -31. 1478 1.5593067 (レンズ I .36) 1* -707.1086 -33. 8357
2 oo -5. 0000 (開口絞り AS)
3 -541.3470 - 46. 1825 1.5593067 (レンズ I .37) 4 339.2085 -20.2043
5 186.8545 -25. 0000 1.5593067 (レンズ I .38) 6 270.5486 -1. 0000
7 oo -27. 9903 1.5593067 (レンズ I .39) 8 513.9686 -1. 0000
9 -33. 6260 1.5593067 (レンズ I .3 10) 0 3025.0000 -1. 0000
1 -154.7547 -37. 2001 1.5593067 (レンズ I .3 1 1) 2* -576.9675 - 1. 0000
3 -139.4272 -33. 3665 1.5593067 (レンズ I .3 12) 4 -736.4201 -3. 6217
5 -1640.0282 -32. 3202 1.5593067 (レンズ I .3 13) 6 oo -17. 0000
(ゥェ八面)
(非球面データ)
3面
κ = 0 . 000000
=ー6. 00493 X 10 C 5. 77252 X 1 0
C 8= 1. 8 2 6 1 6 X 1 0一 1 8 C 10 = _ 4. 7 3 3 2 8 X 1 0— 22 C12= 5. 5 1 7 1 4 X 1 0 -27 C 14= 5. 0 8 9 8 5 X 1 0— 32 8面
κ = 0. 0 0 0 0 0 0
C4 = - 2. 0 3 2 4 0 X 1 0一7 C6 = - 2. 3 5 744 X 1 0一 12
C8= 2. 48 8 1 5 X 1 0 15
C 10 = - 3. 9 24 1 6 X 1 0一2 0
C12 = - 3. 3 7 6 0 3 X 1 0一2 3 C14= 3. 1 348 8 X 1 0一2 7 1 8面
A = 0. 0 0 0 0 0 0
C4= 1. 0 2 2 9 3 X 1 0一8 C 6 = - 3. 1 3 3 2 0 X 1 0一1 4 C8= 7. 1 340 1 X 1 0 -18 C 10 =- 1. 644 2 0 X 1 0一2 1 C 12= 3. 0 2 6 9 2 X 1 0 -25 C 14 = - 2. 1 84 6 0 X 1 0一2 9
2 0面 (2 8面と同一面)
c = 0. 0 0 0 0 0 0
C4 =— 1. 7 8 9 7 4 X 1 0一8 C6 = - 3. 1 446 9 X 1 0-" C 8 = - 1. 0 8 2 8 9 X 1 0 -17 C 10= 1. 6 1 2 7 9 X 1 0— 22 C 12 = - 3. 64 2 5 8 X 1 0一2 6 C 14= 2. 9 1 5 3 4 X 1 0—30
3 6面
κ = 0. 0 0 0 0 0 0
C4 =— 2. 1 0 0 8 7 X 1 0一8 C6 = - 4. 2 7 3 0 0 X 1 0一 1 4 C8= 7. 0 3 3 24 X 1 0一1 8 C 10 = - 8. 9 0 54 9 X 1 0一2 3 C 12 = - 5. 6 2 8 7 6 X 1 0 -26 C 14= 3. 8 5 2 5 1 X 1 0—30 3 8面
κ = 0. 0 0 0 0 0 0
C4= 2. 5 3 9 1 2 X 1 0一8 C 6= 3. 9 1 0 6 3 X 1 0— 13 C8= 7. 0 5 0 6 7 X 1 0— 18 C 10= 2. 9 74 94 X 1 0一2 2 C 12 = - 1. 0 9 9 8 9 X 1 0一2 6 C 14= 3. 64 1 9 9 X 1 0 _31
κ = . 000000
C4 =一 1. 1 5678 X 10 -8 C6 = - 1. 04478 X 10— 13
C 8 = - 1. 72165 X 10 -18 C10 3. 5 1 51 1 X 10_22
C 12 = - 2. 28722 X 10 -2 ^ 14 ' 1. 43968 X 10— 31
52面
κ = 0. 000000
C4 =一 3 26364X 1 0—8 C6 = - 5. 391 12 X 10 -13
CR=4. 63415 X 10 i o 一 6. 39744 X 10— 21
C12= 2. 45549 X 10ー25 14 — 5. 36486 X 1 O-30 (条件式対応値)
D w= 1 7 mm
Nw= 0. 84
E w= 22 mm
S = 283. 047 1 mm
R= 21 1. 566 1 mm
( 1 ) (Dw · Nw) /Ew= 0. 649
(2) I R I = 1. 338 第 8図は、 第 1実施例における横収差を示す図である。 収差図において、 Yは 像高を、 実線は中心波長 157. 6244 nmを、 破線は 157. 6244 nm + 1 pm= 1 57. 6254 nmを、 一点鎖線は 1 57. 6244 nm- 1 m = 1 57. 6234 nmをそれぞれ示している。 収差図から明らかなように、 第 1実施例では、 波長幅が 1 57. 624 nm± 1 p mの露光光に対して色収差が 良好に補正されていることがわかる。
[第 2実施例]
第 9図は、 第 2実施例にかかる投影光学系のレンズ構成を示す図である。 なお, 第 2実施例においても第 1実施例と同様に、 波長幅が 157. 6244 nm± l
p mの露光光に対して色収差を含む諸収差が補正された投影光学系に本発明を適 用している。
第 9図の投影光学系において、 第 1結像光学系 G 1は、 レチクル側から順に、 両凸レンズ L I 1と、 レチクル側に非球面状の凹面を向けた負メニスカスレンズ L 1 2と、 レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズ L 1 3と、 ウェハ側に 非球面状の凹面を向けた正メニスカスレンズ L 1 4と、 両凹レンズ L 1 5と、 レ チクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズ L 1 6と、 レチクル側に凹面を向け た正メニスカスレンズ L 1 7と、 両凸レンズ L 1 8と、 ウェハ側に非球面状の凹 面を向けた正メニスカスレンズ L 1 9とから構成されている。
また、 第 2結像光学系 G 2は、 光の進行往路に沿ってレチクル側 (すなわち入 射側) から順に、 レチクル側に凹面を向けた負メニスカスレンズ L 2 1と、 レチ クル側に非球面状の凹面を向けた負メニスカスレンズ L 2 2と、 レチクル側に凹 面を向けた凹面反射鏡 C Mとから構成されている。
さらに、 第 3結像光学系 G 3は、 光の進行方向に沿ってレチクル側から順に、 レチクル側に凹面を向けた正メニスカスレンズ L 3 1と、 両凸レンズ L 3 2と、 レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズ L 3 3と、 レチクル側に非球面状 の凹面を向けた両凹レンズ L 3 4と、 レチクル側に非球面状の凹面を向けた正メ ニスカスレンズ L 3 5と、 ウェハ側に非球面状の凹面を向けた正メニスカスレン ズ L 3 6と、 開口絞り A Sと、 両凸レンズ L 3 7と、 レチクル側に凹面を向けた 負メニスカスレンズ L 3 8と、 レチクル側に平面を向けた平凸レンズ L 3 9と、 両凸レンズ L 3 1 0と、 ウェハ側に非球面状の凹面を向けた正メニスカスレンズ L 3 1 1と、 レチクル側に凸面を向けた正メニスカスレンズ L 3 1 2と、 ウェハ 側に平面を向けた平凸レンズ L 3 1 3とから構成されている。
次の第 2表に、 第 2実施例にかかる投影光学系の諸元の値を掲げる。
第 2表
(主要諸元)
λ = 1 5 7 . 6 2 4 4 n m
i3 = - 0 . 2 5
NA= 0. 84
B= 1 3. 7 mm
A= 3 mm
L X (Ew) = 22mm
L Y= 5 mm
(光学部材諸元)
面番号 r d η
(レチクル面) 134.0611
1 262.9619 50. , 0000 1.5593067 (レンズし 1 1 )
2 -690.2912 114. , 9165
3* -599.9988 18. .0000 1.5593067 (レンズ L 12)
4 -750.0000 1. .0000
5 - -3025.0000 27. .9713 1.5593067 (レンズし 13)
6 -244.8589 43. ,6281
7 114.5751 28. .3042 1.5593067 (レンズ L 14)
8* 175.8195 92. .1920
9 -109.5355 45. .7658 1.5593067 (レンズし 1 5)
10 997.5337 10. .1935
11 44. .1807 1.5593067 (レンズ L 16)
12 -131.7230 43. , 6830
13 - -1519.9100 38. .6864 1.5593067 (レンズ 17)
14 -166.0874 44.0031
15 508.0358 27. .8372 1.5593067 (レンズ 18)
16 -487.9084 8.7669
17 265.5991 22. ,9898 1.5593067 (レンズ 19)
18* 1561.9630 86. ,0000
19 oo -264. .6314 (第 1光路折り曲げ鏡 8)
20 127.3620 -20. ,0000 1.5593067 (レンズし 2 1 )
702.6119 - 31.1397
* 164. 9999 -27. 0000 1.5593067 (レンズし 22)
422. 8572 -43. 0899
196. 5261 43. 0899 (凹面反射鏡 CM)
422. 8572 27. 0000 1.5593067 (レンズ L 22)* 164.9999 31. 1397
702. 6119 20. 0000 1.5593067 (レンズ L 2 1)
127. 3620 264.6314
oo -85. 0000 (第 2光路折り曲げ鏡 12)
2164.9673 -24. 7566 1.5593067 (レンズ 3 1)
219. 1763 -1. 0000
-296. 9471 - 26. 3606 1.5593067 (レンズ L 32)
1129. 3092 -20. 0736
-243. 2548 -28. 2049 1.5593067 (レンズ L 33)
-1226. 1325 -37. 0789
* 249. 2995 -18.0000 1.5593067 (レンズ L 34)
-367. 2759 -192. 0672
* 800. 0000 -28. 4116 1.5593067 (レンズ L 35)
247. 6103 -30. 2659
-246. 9554 -33. 9672 1.5593067 (レンズ L 36)* -1000. 0000 -20. 9789
oo -5. 0000 (開口絞り AS)
-420. 5483 -47. 2146 1.5593067 (レンズ L 37)
412. 3925 -21. 7678
197. 9152 -25. 0000 1.5593067 (レンズし 38)
280.6330 -1. 0000
oo -27. 1468 1.5593067 (レンズし 39)
531. 5277 -1. 0000
49 3630 1• 5593067 (レンズ L 3 1 0)
50 3025.0000 -1. 0000
51 1678 1 • 5593067 (レンズ L 3 1 1)
52* -674.8686 -1. 0000
53 -128.0047 -34. 6343 1 • 5593067 (レンズし 3 1 2)
54 -583.8584 -7. 3608
55 -681.9357 -18. 0000 1 • 5593067 (レンズし 3 1 3)
56 oo -20. 0000
(ゥェ八面)
(非球面データ)
卤
κ = 0. 0 0 0 0 0 0
c4=- 8. 56936 X 1 0 -8 C 6= 2. 46201 X 10 -12 c8 = - 1. 5 5 6 6 8 X 1 0 - 16 C 10— ^ · 4 3 3 8 6 X 1 0 -21
^ 12— — 6. 0 7 94 1 X 1 0_25 C 14 1 7 1 5 9 X 1 0 -29
8面
κ = 0. 0 0 0 0 0 0
c4 = - 1. 6 9 0 5 5 X 1 0-7 C 6= 2. 0 5 64 9 X 1 0一1 2
C8= 2 . 6 3 7 40 X 1 0一 15 C ιο = - 1 . 7 64 1 9 X 1 0一1 9 r =
12 - 5. 0 1 8 34 X 1 0- 24 C 14— ^ · 3 5 8 5 1 X 1 0 -28
1 8面
ί = 0. 0 0 0 0 0 0
C4= 1 . 24 3 1 1 X 1 0一 8
C 6 = - 6. 42 8 4 0 X 1 0 _14
C8= 3 . 5 2 8 7 1 X 1 0一 18 C ι0 = - 1 . 74 8 0 9 X 1 0一2 2 r 12 = 3. 5 1 8 1 5 X 1 ' 0- 26 C 14一— 3 . 5 3 9 2 5 X 1 0 -30
2 2面 (2 6面と同一面)
c = 0. 0 0 0 0 0 0
c4 = - 2. 4 3 8 0 2 X 1 0一8 C 6 = - 8. 6 0 9 0 3 X 1 0 "13
c 一 1. 8 0 24 7 X 1 0一 1
C 10 = - 2. 4 7 3 1 5 X 1 0 - 22
C 12 = - 6. 9 0 946 X 1 0 -29 C14 = - 1. 5 6 7 2 1 X 1 0一3 1 3 6面
κ = 0. 0 0 0 0 0 0
C4 = - 5. 2 6 0 8 8 X 1 0一9 Cfi= 8. 0 0 2 9 1 X 1 0 13
C8 = - 2. 0 2 5 1 4 X 1 0 16
C 10= 1. 4 5 5 2 4 X 1 0 -20
C 12 = - 5. 7 6 3 7 8 X 1 0 - 25 C 14 = - 1. 5 2 7 3 5 X 1 0一3 1 3 8面
κ = 0. 0 0 0 0 0 0
C4= 3. 2 0 2 1 7 X 1 0—8 Cfi = 4. 2 7 7 9 3 X 1 0 13
Cs =— 1. 7 5 5 5 3 X 1 0一 1
C 10= 8. 5 5 7 1 8 X 1 0 - 22
C 12 = - 2. 6 7 8 46 X 1 0 - 26 C 14= 4. 7 5 2 9 7 X 1 0— 31 4 1面
tc = 0. 0 0 0 0 0 0
C4 =一 1. 4 6 3 2 2 X 1 0 -8 C 6. 43 3 2 2 X 1 0— 14 C8 = - 2. 5 1 7 6 1 X 1 0一17 C10= 1. 3 7 244 X 1 0 -2 C 12 = - 2. 7 5 6 04 X 1 0 -26 C14= 3. 9 34 5 6 X 1 0一3 5 2面
κ = 0. 0 0 0 0 0 0
C4 =一 3. 1 3 7 6 1 X 1 0一 8
C6 =— 8. 7 8 2 7 6 X 1 0 - 13
C8= 9. 2 3 9 1 9 X 1 0一1 7 C 10 =— 1. 3 0 6 8 9 X 1 0一2 0 C 12= 7. 7 0 4 94 X 1 0一2 5 C 14 = - 2. 2 8 8 4 5 X 1 0一2 9 (条件式対応値)
D w= 2 0 mm
Nw= 0. 84
E w= 2 2 mm
S = 2 8 6. 7 8 3 1mm
R= 1 9 6. 5 2 6 1 mm
(1) (Dw - Nw) Ew=0. 764
(2) S/ I R I = 1. 459 第 10図は、 第 2実施例における横収差を示す図である。 収差図において、 Y は像高を、 実線は中心波長 157. 6244 nmを、 破線は 157. 6244 η m+ 1 pm= 157. 6254 n mを、 一点鎖線は 1 57. 6244 nm- 1 p m= 157. 6234 nmをそれぞれ示している。 収差図から明らかなように、 第 2実施例においても第 1実施例と同様に、 波長幅が 157. 624 nm± l p mの露光光に対して色収差が良好に補正されていることがわかる。
以上のように、 各実施例では、 条件式 (1) を満足しているので、 ウェハ Wに 塗布されたフォトレジストからの脱ガスによるレンズの汚染を良好に回避するこ とができる。 また、 各実施例では、 凹面反射鏡 CMおよび負レンズ (L 21, L 22) が重力方向と直交する方向の光軸 AX 2に沿って配置されているが、 条件 式 (2) を満足しているので、 凹面反射鏡 CMの重力による変形を小さく抑えて、 組み立て調整や加工が容易になっている。
[第 3実施例]
第 3実施例にかかる投影光学系では、 投影光学系を構成する等方晶系の光学材 料 (たとえば蛍石) が有する固有複屈折によって生じる偏光収差 (すなわち所定 方向に振動方向を有する第 1の偏光成分の光と、 当該第 1の偏光方向とは異なる 方向に振動方向を有する第 2の偏光成分の光との位相差) を、 光学材料の表面上 に設けられる薄膜によって補正している。
第 3実施例では、 当該薄膜へ入射する光の入射状態を実際の場合と同じにする ために、 第 1 1図に示される投影光学系を考える。
第 1 1図は、 第 3実施例にかかる投影光学系のレンズ構成を示す図である。 第 1 1図の投影光学系は、 上述の第 1および第 2実施例とは異なり、 直線状の 光軸に沿って複数の屈折光学部材が配置された屈折型投影光学系に本発明を適用 している。
第 1 1図の投影光学系は、 レチクル R側から順に、 ウェハ W側に凹面を向けた メニスカス負レンズ L 1と、 レチクル R側に凹面を向けたメニスカス負レンズ L 2と、 レチクル R側に凹面を向けた 2枚のメニスカス正レンズ L 3、 L 4と、 レ チクル R側に凸面を向けた 3枚のメニスカス正レンズ L 5〜L 7と、 ウェハ W側 に凹面を向けたメニスカス負レンズ L 8と、 3枚の両凹レンズ L 9〜: L 1 1と、 両凸レンズ L 1 2と、 レチクル R側に凹面を向けたメニスカス正レンズ L 1 3と、 両凸レンズ L 1 4と、 開口絞り A Sと、 両凸レンズ L 1 5と、 レチクル R側に凹 面を向けたメニスカス負レンズ L 1 6と、 レチクル R側に凹面を向けたメニスカ ス正レンズ L 1 7と、 ウェハ W側に凹面を向けた 3枚のメニスカス正レンズ L 1 8〜L 2 0と、 レチクル R側に凹面を向けた平凹レンズ L 2 1と、 平行平面板 L 2 2とから構成されている。
第 1 2図は、 第 3実施例にかかる投影光学系によってウェハ W上に形成される 矩形状の露光領域 (すなわち実効露光領域) と光軸との位置関係を示す図である。 第 1 2図に示すように、 第 3実施例では、 光軸 A X 1を中心とした半径 Bを有す る円形状の領域 (イメージサークル) I F内において、 光軸 A X 1を含む位置に 所望の大きさを有する矩形状の実効露光領域 E Rが設定されている。 ここで、 実 効露光領域 E Rの X方向の長さは L Xであり、 その Y方向の長さは L Yである。 なお、 第 3実施例の投影光学系における実効露光領域 E Rの軸外し量 Aは 0であ る。
次の第 3表に、 第 3実施例にかかる投影光学系の諸元の値を掲げる。 第 3表に おいて、 λは露光光の波長を、 i3は投影倍率を、 N Aは像側 (ウェハ側) 開口数 を、 Bはウェハ W上でのイメージサークル I Fの半径を、 L Xは実効露光領域 E Rの X方向に沿った寸法 (長辺の寸法) を、 L Yは実効露光領域 E Rの Y方向に 沿った寸法 (短辺の寸法) をそれぞれ表している。
また、 面番号は物体面 (第 1面) であるレチクル面から像面 (第 2面) である ウェハ面への光線の進行する方向に沿ったレチクル側からの面の順序を、 rは各 面の曲率半径 (非球面の場合には頂点曲率半径: mm) を、 dは各面の軸上間隔 すなわち面間隔 (mm) を、 材料は光透過性部材の材料名を、 コートは、 光透過
性部材の表面に設けられる光学薄膜の種類を示す。 なお、 各面の曲率半径の欄に おいては、 レチクル側に向かって凸面の曲率半径を正とし、 凹面の曲率半径を負 としている。 また、 コートの欄における I Dは理想的な光学薄膜 (すなわち、 透 過率 100%であって、 それを透過する光に対して位相差を与えない薄膜) を表 し、 REは後述する位相差低減機能を有する薄膜を表している。
第 3実施例において、 露光光の波長 λに対する蛍石の屈折率 nは n= 1. 5 5 930666で与えられる。 第 3表
(主要諸元)
λ = 1 57. 62 nm
/3=- 0. 25
NA= 0. 8 5
B= 1 1. 3mm
A= 0
L X= 22 mm
L Y= 5 mm
(光学部材諸元)
面番号 r d 材料 コー卜
(レチクル面) 55.0000
1 1760.1477 13.0000 蛍石 I D
2* 154.1222 31.5550 I D
3 -100.0051 35.1768 蛍石 I D 2)
4 -204.4440 0.2632 I D
5* -229.9998 49.8862 蛍石 I D 3)
6 -205.2327 1.0000 I D
7 -1022.4100 43.9568 蛍石 I D (レンズ L 4)
8 -240.0184 1.0000 I D
305.3055 43.3393 蛍石 I D (レンズし 5)
13811.5160 1. 0000 I D
260.0366 49. 9927 蛍石 I D (レンズし 6)
1061.5609 1. 6965 I D
201.2791 44. 9989 蛍石 I D (レンズし 7)* 1264.2864 1. 0008 I D
746.2630 41. 9997 蛍石 I D (レンズ L 8)
554.5437 9. 6189 I D
-1904.6110 41. 9988 蛍石 I D (レンズ L 9)
100.8840 66. 1124 I D
* -133.6471 13. 1297 蛍石 I D (レンズ L 1 0)
347.1443 81. 4331 I D
-191.2608 47. 9972 蛍石 I D (レンズ 1 1)* 1567.7421 6. 8417 I D
2383.7446 45. 8049 蛍石 I D (レンズ L 1 2)
-254.2886 1. 0005 I D
* -826.9931 27. 1939 蛍石 I D (レンズ 1 3)
-318.6391 1. 0003 I D
812.6131 58. 9358 蛍石 I D (レンズ L 14)
-339.1799 3. 0000 I D
oo 35. 7374 I D (開口絞り AS)
1993.9339 60. 0000 蛍石 I D (レンズし 1 5)
-299.7702 14.3166 I D
-250.3567 31. 9046 蛍石 I D (レンズし 1 6)
-409.2235 1. 0000 I D
-3543.3950 36. 4233 蛍石 I D (レンズ L 1 7)
-493.5664 1. 0000 I D
326.4763 35. 6384 蛍石 I D (レンズ L 1 8)
37 2606.2523 1.0000 I D
38 150.1197 55. 0000 蛍石 I D (レンズし 1 9)
39* 339.1014 6. 3990 I D
40 213.3769 27. 0460 蛍石 I D (レンズし 20)
41 744.7389 4. 2700 I D
42 -17499.2300 26. 5000 蛍石(CI) RE (レンズ L 2 1)
43 oo 1. 5001 RE
44 oo 26. 5000 蛍石(C2) RE (レンズ L 22)
45 oo 8.0001 RE
(ゥェ八面)
(非球面データ)
第 2面
κ = 0. 0 0 0 0 0 0
=ー 2. 2 7 5 1 5 X 0一7 Cfi= 9. 94 9 2 1 X 1 0 12
C 4. 9 2 7 0 0 X 0- 16
C1 Q= 5. 54 6 3 6 X 1 0 20
C 12= 2. 1 1 0 3 5 X 1 0 .24
C 14= 3. 9 9 0 1 9 X 1 0一2 8 第 5面
κ = 0. 0 0 0 0 0 0
C4 = - 8. 0 3 9 5 6 X 1 0一 1 0 Cfi= 3. 1 9 0 0 3 X 1 0 13 C8= 2. 2 2 3 9 9 X 1 0一1 7 C 10= 5. 84 9 7 1 X 1 0 - 21 C,2 =— 3. 7 3 5 7 6 X 1 0一2 5 C 14= 7. 9 7 94 9 X 1 0一2 9 第 1 4面
κ = 0. 0 0 0 0 0 0
C4= 2. 2 5 5 9 8 X 1 0一8 C6 = - 2. 34 8 9 5 X 1 0 -13 Cs= 6. 2 4 1 7 6 X 1 0一 1 ; C 10= 3. 3 3 4 6 0 X 1 0一2 2 C 12 =- 1. 1 0 2 9 4 X 1 0 - 26
C 14= 9. 3 1 7 6 8 X 1 0一3 1
第 1 9面
c = 0. 0 0 0 0 0 0
C,= 2. 7 6 2 04 X 1 0一8 C6= 3. 44 2 84 X 1 0一1 2
CR= 2. 8 84 5 0 X 1 0一 16
C 10= 2. 6 9 64 1 X 1 0一 2 0
C 12= 2. 9 7 7 5 1 X 1 0 -24
C 14= 1. 9 0 6 3 7 X 1 0一28 第 2 2面
= 0. 0 0 0 0 0 0
C4 = 4. 3 2 1 0 3 X 1 0一8 C6 = - 5. 6 1 2 2 3 X 1 0— 13 C8 = - 2. 1 9 6 5 8 X 1 0一1 C 10= 9. 4 6 3 8 9 X 1 0一2 2
C 12= 8. 2 0 0 1 3 X 1 0 -27 C 14 = - 8. 4 7 7 7 9 X 1 0一3 第 2 5面
κ = 0. 0 0 0 0 0 0
C4 = - 1. 7 1 4 8 9 X 1 0 -8 Cfi= 5. 8 6 94 8 X 1 0 14
C8 = - 2. 4 2 1 6 3 X 1 0一1 8 C 10= 8. 0 2 9 1 3 X 1 0 "23 C12 = - 4. 4 5 7 9 0 X 1 0一2 C14= 2. 6 4 3 1 0 X 1 0一3 1 第 3 9面
κ = 0. 0 0 0 0 0 0
=— 4. 30405 X 10 -8 Cfi= 2. 4 7 6 9 0 X 1 0 12
Cfi = - 3. 6 0 1 8 6 X 1 0 C 10 = - 5. 2 2 5 5 5 X 1 0一2 1
C 4. 9 34 7 6 X 1 0 25
C 14 = - 1. 5 1 0 2 8 X 1 0一2 9 さて、 第 3実施例においては、 光透過部材に対する入射角度範囲が大きい最も ウェハ W側の 2枚の光透過部材 (レンズ L 2 1、 L 2 2) に関して、 薄膜による 偏光収差の補正効果について検討した。 第 3実施例では、 複数の光学部材 L l〜
L 22のうち、 最もウェハ W側にある 2枚の光学部材 L 21、 L 22のみが固有 複屈折を持つと仮定した。 これらの光学部材 L 2 1、 L 22を形成している蛍石 の固有複屈折は、 結晶軸 [1 10] の方向における露光光の波長での複屈折の値 と結晶軸 [100] の方向における露光光の波長での複屈折の値との差が一 3. 3 nm/cmとしている。 そして、 これらの光学部材 L 21、 L 22は共にその 結晶軸 [1 1 1] が光軸 AX 1と一致するように形成され、 光学部材 L 2 1、 L 22の結晶軸 [1 1 1] とは異なる結晶軸同士が光軸 AX 1を中心として相対的 に 60度だけ回転した位置関係を有する。 すなわち、 光学部材 L 21、 L 22に 対して本発明の第 5の手法を適用している。
次に、 これらの光学部材 L 2 1、 L 22の表面 (レンズ面) に理想的な光学薄 膜 I Dを設けた場合と、 位相差低減機能を有する薄膜 REを設けた場合とについ て比較する。
ここで、 理想的な光学薄膜とは、 当該薄膜 I D自体の透過率が 100%であつ て、 当該薄膜を透過する複数の偏光成分の光の間に位相差を全く与えない作用を 有する仮想的な薄膜である。 そして、 位相差低減機能を有する薄膜 REは、 次の 第 4表で示される構成を有する。
なお、 以下の第 4表において、 λは露光光の中心波長を表している。 そして、 層番号は、 薄膜が設けられる基材側からの層の順序を表し、 Dは各層の厚み (η m) を、 nは各層の中心波長に対する屈折率をそれぞれ示している。
第 4表
λ = 157. 62 nm
層番号 D n
1 1層 37.19 1.418
10層 21.41 1.78
9層 24.88 1.418
8層 15.37 1.78
7層 20.35 1.418
6層 16.64 1.78
5層 24.74 1.418
4層 17.76 1.78
3層 20.6 1.418
2層 10.68 1.78
1層 13.85 1.418
基板 第 13図に第 4表の薄膜 REの透過率の入射角特性を示し、 第 14図に第 4表 の薄膜 R Eの位相差の入射角特性を示す。
なお、 第 13図において、 縦軸に透過率をとり、 横軸に薄膜 REに対する入射 角 (垂直入射のとき 0) をとる。 そして、 第 13図の破線は P偏光成分 (振動方 向が入射面内である偏光成分、 言い換えると、 光軸と平行な軸を中心とした円の 径方向に沿って偏光面を有する偏光成分) に対する薄膜 REの透過率の入射角依 存性を示し、 実線は S偏光成分 (振動方向が入射面と直交する面内である偏光成 分、 言い換えると、 光軸と平行な軸を中心とした円の周方向に沿って偏光面を有 する偏光成分) に対する薄膜 REの透過率の入射角依存性を示す。
また、 第 14図においては、 縦軸に薄膜 REを透過した後の P偏光成分と S偏 光成分との位相差 (° ) をとり、 横軸に入射角 (垂直入射のとき 0) をとつてい る。
第 13図から明らかな通り、 薄膜 REは、 開口数 NA=0. 85に相当する入 射角範囲 (すなわち sin— 1 (0. 85) までの入射角範囲) において 98%以上 の透過率を確保しており、 実用上において十分に使用に耐えられる水準を示して いる。 そして、 第 14図から明らかな通り、 薄膜 REは開口数 NA= 0. 85に 相当する入射角において P偏光成分と S偏光成分との位相差が 8度近くあり、 こ こにおいて P偏光成分の位相が S偏光成分に対してより進んでいる。 すなわち、 この薄膜 R Eを透過する光は、 入射角が大きくなるにつれて P偏光成分の光の位 相が S偏光成分の光の位相に対してより進むようになる。
第 3実施例のように、 光透過部材 (光学部材) L 2 1、 L 22がともに、 結晶
軸 [1 1 1] と一致した光軸 AX 1を有し、 かつほぼ同じ厚みであって、 それら の結晶軸 [1 1 1] とは異なる結晶軸同士が光軸 AX 1を中心として相対的に 6 0度だけ回転した位置関係を有する場合、 これらの光学部材の対 L 21、 L 22 は、 入射角が大きくなるにつれて S偏光成分の光の位相が P偏光成分の光の位相 に対してより進むような進相軸を有する。
ここで、 上記薄膜 REは、 光学部材の対 L 2 1、 L 22と直交する進相軸を有 しているので、 この薄膜 REによって、 総合的な位相差を低減することが可能で ある。
第 15図は、 第 3表に示す諸元を有する投影光学系において、 最もウェハ W側 の光学部材の対 L 21、 L 22に薄膜 REを設けた場合の波面収差と、 薄膜 RE に代えて理想的な光学薄膜 I Dを設けた場合の波面収差をとの比較を示すグラフ である。 なお、 第 1 5図において、 Xは第 12図の X方向に振動方向 (偏光面) を持つ偏光成分の波面収差 (mA RMS) を示し、 Yは第 12図の Y方向に振動 方向 (偏光面) を持つ偏光成分の波面収差 (mA RMS) を示している。
この第 1 5図を参照すると、 薄膜 REによる位相差補正能力が十分に高いこと が明らかであり、 ひいては投影光学系の光学性能 (結像性能) を極めて向上する ことが可能であることも明らかである。
なお、 上述の実施形態では、 複屈折性の光学材料として蛍石を用いているが、 これに限定されることなく、 他の一軸性結晶、 たとえばフッ化バリウム (B aF 2)、 フッ化リチウム (L i F)、 フッ化ナトリウム (Na F)、 フッ化ストロン チウム (S r F2) などを用いることもできる。 この場合、 フッ化バリウム (B a F 2) などの結晶軸方位も本発明に従って決定されることが好ましい。
上述の実施形態の露光装置では、 照明装置によってレチクル (マスク) を照明 し (照明工程)、 投影光学系を用いてマスクに形成された転写用のパターンを感 光性基板に露光する (露光工程) ことにより、 マイクロデバイス (半導体素子、 撮像素子、 液晶表示素子、 薄膜磁気ヘッド等) を製造することができる。 以下、 本実施形態の露光装置を用いて感光性基板としてのウェハ等に所定の回路パター ンを形成することによって、 マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際
の手法の一例につき第 1 6図のフローチャートを参照して説明する。
先ず、 第 1 6図のステップ 3 0 1において、 1ロットのウェハ上に金属膜が蒸 着される。 次のステップ 3 0 2において、 その 1 ロットのウェハ上の金属膜上に フォトレジストが塗布される。 その後、 ステップ 3 0 3において、 本実施形態の 露光装置を用いて、 マスク上のパターンの像がその投影光学系を介して、 その 1 ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。 その後、 ステップ 3 0 4において、 その 1ロットのウェハ上のフォトレジス卜の現像が行われた後、 ステップ 3 0 5において、 その 1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスク としてエッチングを行うことによって、 マスク上のパターンに対応する回路パ夕 ーンが、 各ウェハ上の各ショット領域に形成される。
その後、 更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、 半導体 素子等のデバイスが製造される。 上述の半導体デバイス製造方法によれば、 極め て微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることがで きる。 なお、 ステップ 3 0 1〜ステップ 3 0 5では、 ウェハ上に金属を蒸着し、 その金属膜上にレジストを塗布、 そして露光、 現像、 エッチングの各工程を行つ ているが、 これらの工程に先立って、 ウェハ上にシリコンの酸化膜を形成後、 そ のシリコンの酸化膜上にレジストを塗布、 そして露光、 現像、 エッチング等の各 工程を行っても良いことはいうまでもない。
また、 本実施形態の露光装置では、 プレート (ガラス基板) 上に所定のパター ン (回路パターン、 電極パターン等) を形成することによって、 マイクロデバイ スとしての液晶表示素子を得ることもできる。 以下、 第 1 7図のフローチャート を参照して、 このときの手法の一例につき説明する。 第 1 7図において、 パター ン形成工程 4 0 1では、 本実施形態の露光装置を用いてマスクのパターンを感光 性基板 (レジストが塗布されたガラス基板等) に転写露光する、 所謂光リソダラ フイエ程が実行される。 この光リソグラフィー工程によって、 感光性基板上には 多数の電極等を含む所定パターンが形成される。 その後、 露光された基板は、 現 像工程、 エッチング工程、 レチクル剥離工程等の各工程を経ることによって、 基 板上に所定のパターンが形成され、 次のカラーフィルター形成工程 4 0 2へ移行
する。
次に、 カラーフィル夕一形成工程 4 0 2では、 R (Red) , G (Green)、 B (Bl ue) に対応した 3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、 ま たは R、 G、 Bの 3本のストライプのフィル夕一の組を複数水平走査線方向に配 列されたりしたカラーフィルターを形成する。 そして、 カラーフィルター形成ェ 程 4 0 2の後に、 セル組み立て工程 4 0 3が実行される。 セル組み立て工程 4 0 3では、 パターン形成工程 4 0 1にて得られた所定パターンを有する基板、 およ びカラーフィルター形成工程 4 0 2にて得られたカラ一フィルタ一等を用いて液 晶パネル (液晶セル) を組み立てる。 セル組み立て工程 4 0 3では、 例えば、 パ ターン形成工程 4 0 1にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルタ 一形成工程 4 0 2にて得られたカラーフィルターとの間に液晶を注入して、 液晶 パネル (液晶セル) を製造する。
その後、 モジュール組み立て工程 4 0 4にて、 組み立てられた液晶パネル (液 晶セル) の表示動作を行わせる電気回路、 バックライト等の各部品を取り付けて 液晶表示素子として完成させる。 上述の液晶表示素子の製造方法によれば、 極め て微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループッ卜良く得ることができ る。
なお、 上述の実施形態では、 露光装置に搭載される投影光学系に対して本発明 を適用しているが、 これに限定されることなく、 他の一般的な投影光学系に対し て本発明を適用することもできる。 また、 上述の各実施形態では、 1 5 7 n mの 波長光を供給する F 2レーザー光源を用いているが、 これに限定されることなく、 たとえば 1 9 3 n mの波長光を供給する A r Fエキシマレーザー光源や、 1 2 6 n mの波長光を供給する A r 2レーザー光源、 1 4 6 n mの波長光を供給する K r 2レーザ一光源などを用いることもできる。 産業上の利用の可能性
以上説明したように、 本発明にかかる各実施形態では、 たとえば蛍石のような 固有複屈折を持つ光学材料を用いているにもかかわらず、 複屈折の影響を実質的
に受けることなく良好な光学性能を有する投影光学系を実現することができる。 また、 フォトレジス卜からの脱ガスによるレンズの汚染を良好に回避することの できる投影光学系を実現することができる。 したがって、 本発明の投影光学系を 露光装置に組み込むことにより、 高解像な投影光学系を介した高精度な投影露光 により、 良好なマイク口デバイスを製造することができる。