明細書
N保護一/?—ァミノアルコールの製造法および
N保護一 ?—ァミノエポキシドの製造法
(技術分野)
本発明は、特定の N保護-/?—ァミノアルコールを、極性有機溶媒中に溶解し、 これに水を添加して晶析するか、 又はジオール若しくはジオール系混合溶媒から 晶析することにより純度を向上せしめた該 N保護一/?一ァミノアルコールを製造 する方法、 およびこのような製造法によって得られた N保護一/?一アミノアルコ ールを塩基で処理することを特徴とする対応する、 N保護一 /5—ァミノエポキシ ドの製造法に関する。
(背景技術)
(2R, 3 S) ー3— t ert—ブトキシカルボニルアミノー 1一ハロー 2— ヒドロキシー 4—フエニルブタン、 (2S, 3R)— 3— t e r t—ブトキシカル ボニルアミノー 1—ハロー 2—ヒドロキシー 4一フエニルブタン等の N保護一/? ーァミノアルコール、 及びこのような N保護一^一ァミノアルコールの対応する N保護一/?ーァミノエポキシドは、 いずれも、 HI Vプロテア一ゼ阻害剤等の医 薬化合物の合成中間体として有用である。
このような N保護一 ァミノアルコール、 例えば (2R, 3 S) 一 3— t e r t一ブトキシカルボニルアミノー 1—クロ口一 2—ヒドロキシー 4—フエニル ブタンは、 例えば (3S) —3— tert—ブトキシカルボニルァミノ一 1ーク ロロ一 4一フエ二ルー 2—ブ夕ノンを還元することによって製造することができ る。
同様に (2S, 3R) 一 3— t ert—ブトキシカルボニルアミノー 1一クロ ロー 2—ヒドロキシー 4—フエニルブタンは、 例えば (3R) — 3— t ert—
ブトキシカルボニルアミノー 1一クロロー 4一フエニル— 2—ブ夕ノンを還元す ることによって製造することができる。
ここで、 (3 S)— 3— t e r t一ブトキシカルボニルアミノー 1—クロ口一 4 一フェニル一 2—ブ夕ノンを適当な還元剤を用いて還元した場合、 副生成物とし てジァステレオマ一である (2S, 3 S) — 3— t e r t—ブトキシカルボニル アミノー 1一クロロー 2—ヒドロキシー 4—フエニルブタンが生じる。
具体的には、 例えばエーテル中、 トリ— t ert—ブトキシ水素化リチウムァ ルミ二ゥムで還元した場合、 ジァステレオマ一である (2S, 3 S) -3-t e r t一ブトキシカルボニルアミノー 1—クロロー 2—ヒドロキシ一 4一フエニル ブタンが、 目的物の (2 R, 3 S)体 5 ~ 8モル当量に対して 1モル当量程度の 割合で生成することが報告されている (ハロメチルケトン誘導体の立体選択的還 元に関しては、 例えば、 P. Raddatz et al: J. Med. Chem. , 1991, 34, 11, 326 9; A. A. Malik: The 3rd International Conference on Organic Process Rese arch & Development, Development of a Commercial Process for 2S,3S and 2 R,3S-epoxides, 10-12th July 2000, Montreal; T. Archibald: Scientific Upd ate Conference Manual, Chiral USA ' 99, Full Scale Chiral Separations Usi ng SMB, 4th May 1999, San Francisco, Scientific Updateなど参照)。これらの 例から分かるように、 (2R, 3 S)—又は (2S, 3 R)— 3— t ert—ブト キシカルボニルアミノー 1一クロロー 2—ヒドロキシー 4一フエニルブタンを製 造する際、 不純物であるジァステレオマーの除去が大きな課題となる。
上言己文献には、 シリカゲルクロマトグラフィー、 又は高速液体クロマトグラフ ィ一によって (2R, 3 S) 一 3— t e r t—ブトキシカルボニルアミノー 1— クロロー 2—ヒドロキシ一 4一フエ二ルブ夕ンを分離する方法が閧示されている が、 これらの方法は高価な担体と溶媒を大量に用いる必要があり、 工程が煩雑で 時間もかかる為、 工業的に好ましい製造方法とは言えなかった。
さらに、上記最後の文献の 3頁には、 (2R, 3S)— 3— t er t—ブトキシ カルボニルアミノー 1一クロロー 2—ヒドロキシー 4 _フエニルブタンについて、
そのジァステレオマーに比べて低い融点を有し溶解度が高い為、 晶析による精製 では目的物に対するジァステレオマーの比率は 94: 6までにしか向上させるこ とができず、 再結晶によるそれ以上の精製はできない旨の記載がされている。 また、 特開平 8— 225557号公報(US Pat. No. 5,481,011)には、 ハロヒ ドリン化合物を、 エタノール、 メタノール、 イソプロパノール、 トルエン、 ァセ トン、 ァセトニトリル、 水、 及びそれらの混合物などの適宜な溶媒から結晶化す ることにより精製し、 単離することが開示されている。 しかしながら、 例に は (2S, 3 S) —N—力ルバメート保護一/?—ァミノアルコールを結晶化し単 離した例が記載されているのみであり、 精製が困難とされている (2R, 3 S) 一 3— t e r t—ブトキシカルポニルアミノー 1一クロロー 2—ヒドロキシ一 4 一フエ二ルブ夕ン等の結晶化において、 その精製効果や収率への影響は未知であ つた。
また、国際公開 WO 00/43357には、炭化水素系溶媒の存在下で、 (2R, 3 S) 一 3— t ert—ブトキシカルポニルァミノ一 1一クロロー 2—ヒドロキ シー4一フエニルブタンを結晶化し精製'単離する方法が開示されている。 しか しながら、 この方法では高極性の不純物を除くことが困難であった。
(発明の開示)
本発明は、 (2R, 3 S)一又は(2S, 3R)一 3— t ert—ブトキシカル ポニルァミノ― 1一ハロー 2—ヒドロキシ一 4—フエニルブタンなどの N保護一 ^一ァミノアルコールの純度を向上せしめたものを工業的に製造する方法、 及び このような N保護一/?ーァミノアルコールから対応する N保護一/?一アミノエポ キシドを製造する方法を提供することを目的とする。 本発明者らは、前記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、 (2R, 3S)— 3 - t e r t一ブトキシカルボニルァミノ一 1—ハロー 2—ヒドロキシー 4一フエ ニルブタン又はその光学異性体である (2S, 3R) —3— tert—ブトキシ
カルボニルアミノー 1一ハロー 2—ヒドロキシー 4—フエニルブタン等の N保護 一 ?ーァミノアルコールが溶解した極性有機溶媒中に水を添加してこれ晶析する ことにより、 又はジオール若しくはジオール系混合溶媒から晶析することにより 不純物であるジァステレオマ一及び高極性不純物が効率的に除去され、 純度の向 上した目的物が得られうることを見いだし、 このような知見に基いて本発明の N 保護一/?一アミノアルコールの製造法を完成した。
本発明者は、 さらにまた、 上記方法で純度の向上した N保護一 3—アミノアル コールを得た後これを塩基で処理することで除去の困難な不純物を随伴しない、 対応する N保護一5—ァミノエポキシドが得られうることを見いだし、 このよう な知見に基いて本発明の N保護一/?ーァミノエポキシドの製造法を完成した。 すなわち、 本発明は、 下記式 (1 )
[式中、 Yはそれぞれ置換基を有していてもよい、 炭素原子数 1〜1 0のアルキ ル基、 炭素原子数 6〜1 5のァリール基、 または炭素原子数 7〜2 0のァラルキ ル基を示し、 そして Xはハロゲン原子を示す。]
で表される (2 R , 3 S ) 一 N— t e r t—ブトキシカルボ二ルー /5—アミノア ルコール、 又は下記式 (2 )
[式中、 Y及び Xは前記と同じ意味を示す。]
で表される (2 S , 3 R) 一 N— t e r t—ブトキシカルボ二ルー/?一アミノア
ルコールを極性有機溶媒中に溶解し、 水を添加して晶析するか、 又はジオール若 しくはジオール系混合溶媒から晶析することを特徴とする純度を向上せしめた(2 , 3 S) -N- t e r t一ブトキシカルボ二ルー/?一アミノアルコール又は( 2 S, 3 ) 一 N— t e r t—ブトキシカルポ二ルー^ーアミノアルコールの製造 方法に関する。
本発明は、 また、 上記純度を向上せしめた N保護—/?一ァミノアルコールの製 造方法に従って (2R, 3 S) 一 N— t e r t—ブトキシカルボ二ルー/?—アミ ノアルコール又は (2S, 3R) — N— t e r t—ブトキシカルボ二ルー /5—ァ ミノアルコールを得た後これを塩基で処理することを特徴とする下記式 (3)
[式中、 Yはそれそれ置換基を有していてもよい、 炭素原子数 1〜10のアルキ ル基、 炭素原子数 6〜15のァリール基、 または炭素原子数 7〜20のァラルキ ル基を示す。]
で表される (2R, 3 S) 一 N— t e r t—ブトキシカルボ二ルー/?一アミノエ ポキシド、 又は下記式 (4)
[式中、 Yは前記と同じ意味を示す。]
で表される (2 S, 3R) 一 N— t e r t—ブトキシカルボ二ルー/?一アミノエ ポキシドの製造方法に関する。 以下、 本発明を詳細に説明する。
上記式 (1) で表される (2R、 3 S) 一 N_t e r t一ブトキシカルボニル 一/?一ァミノアルコール又は上記式 (2)で表される (2S、 3R) -N-t e r t一ブトキシカルボ二ルー/?ーァミノアルコールは、 対応するハロメチルケト ン誘導体を還元することにより得ることができる。 例えば (2R, 3 S) —3— t e r t—ブトキシカルボニルァミノ一 1一クロロー 2—ヒドロキシー 4—フエ ニルブタンは、 例えば (3S) — 3— t e r t—ブトキシカルボニルアミノー 1 一クロロー 4—フエニル _ 2—ブ夕ノンを還元することにより得ることができる。 還元において、 還元剤の種類により (2R, 3 S) — 3— tert—ブトキシ カルボニルァミノー 1ーク ti口一 2—ヒドロキシー 4一フエニルブタンと(2 S, 3 S) 一 3— t ert—ブトキシカルボニルアミノー 1—クロロー 2—ヒドロキ シー 4—フヱニルブタンとの生成比率が異なることが知られており、 適当な還元 剤を選択することにより、 不純物であるジァステレオマーの比率をある程度まで は抑制することができる(ノヽロメチルケトン誘導体の立体選択的還元に関しては、 先に引用の例えば P. Raddatz et al: J. Med. Chem., 1991, 34, 11, 3269; A. A. Malik: The 3rd International Conference on Organic Process Research & Development, Development of a Commercial Process for 2S,3S and 2R,3S-ep oxides, 10-12th July 2000, Montreal; T. Archibald: Scientific Update Con ference Manual , Chiral USA ' 99, Full Scale Chiral Separations Using SMB, 4th May 1999, San Francisco, Scientific Updateなど参照)0
これは (3R) — 3— t e r t _ブトキシカルボニルアミノー 1—クロロー 4 一フエ二ルー 2—ブ夕ノンを還元した場合における (2S, 3R)体と (2R, 3R)体の比率に関しても同様である。
好ましい還元剤としては、 トリ— t e r t—ブトキシ水素化リチウムアルミ二 ゥム、 (+ )— B—クロロジイソピノカンフエニルボラン、 トリー s e c—ブチル 水素化ホウ素力リゥム等を挙げることができ、 特にトリー t e r t—ブトキシ水 素化リチウムアルミニウムが好ましい。
ここで、 (3S)— 3— tert—ブトキシカルボニルァミノ一 1一クロロー 4
一フエニル— 2—ブ夕ノン及び (3R) — 3— t e r t—ブトキシカルボニルァ ミノ一 1一クロロー 4一フエ二ルー 2-ブ夕ノンは、 例えばアミノ基を保護した アミノ酸エステルを、 ひ一八口酢酸から調製される金属エノラートと反応させ、 脱炭酸する方法 (国際公開 WO 96/23756参照) 等の他、 各種の公知方法 [例えば、特開平 6— 206857号公報(EP580402)、 国際公開 WOO 0ノ44706等参照] により製造することができる。 次に、 本発明の、 純度を向上せしめられた前記式 (1) で表される N保護一5 ーァミノアルコール、 すなわち、 (2R, 3S)— 3— t ert—ブトキシカルポ ニルァミノアルコール (以下、 "(2R, 3S)体" と略称することがある) 又は その光学異'11生体である (2S, 3R) —3— t e r t—ブトキシカルボニルアミ ノアルコール (以下、 "(2S, 3R)体" と略称することがある) の製造法につ いて説明する。
本発明の製造法においては, (2R, 3S)体又は (2S, 3R)体を、 極性有 機溶媒中に溶解し、 得られた溶液に水を添加して晶析するか、 又はジオール若し くはジオール系混合溶媒から晶析する。
まず、 (2R, 3S)体又は (2S, 3 R)体を極性有機溶媒中に溶解し、 水を 添加して晶析する方法について説明する。
まず、 (2R, 33)体又は (23, 3 R)体を極性有機溶媒に溶解させる。極 性有機溶媒としては、 水と混和する有機溶媒、 例えばメタノール、 エタノール、 1一プロパノール、 2—プロパノール、 tert—ブ夕ノール、 アセトン、 2— ブ夕ノン、 ァセトニトリノレ、 テトラヒドロフラン、 2—メ トキシエタノール、 ェ チレングリコ一ル、 1, 3—プロパンジオール、 及びこれら溶媒の任意の混合溶 媒を挙げることができるが、特にメタノールおよび 2—プロパノールが好ましい。 また、 本発明の効果を阻害しない範囲で他の溶媒、 例えば水が存在していてもよ い。 また、 後述するジオール又はジオール系混合溶媒も、 ここにいう極性有機溶 媒に包含される。
(2R, 3 S)体又は (2 S, 3 R)体を極性有機溶媒に溶解させる場合に、 溶解させる際の温度は、これには特別の制限はないが、好ましくは— 10〜70°C、 更に好ましくは 0〜40。Cである。 また、 極性有機溶媒の使用量も、 これには特 別の制限はないが、 (2R, 3S)体又は(2 S, 3R)体 1 gに対して 2〜20 m 1の量の溶媒を使用することができる。
次に、 このようにして作成した (2 R, 3 S)体又は (2 S, 3 R)体の有機 溶媒溶液に水を添加して、 該 (2R, 3 S)体又は (2 S, 3R) 体の晶析を行 う。
添加する水の量は、 これには特別の制限はないが、 前記の極性有機溶媒に対し て重量比で好ましくは 5〜 95%、 より好ましくは 25〜85%である。
晶析を行う温度は、 好ましくは一 10〜70°C、 特に好ましくは 0〜40°Cで 行うのがよい。 添加する水の温度は、 これには特別の制限はないが、 晶析を行う 温度と同じにするのが好ましい。 また、 水の加え方も特に制限されないが、 30 分から 4時間にわたって徐々に加えるのが好ましい。
結晶化 (晶析) は被晶析溶液を撹拌しながら行っても静置条件下で行ってもよ い。必要に応じて、水の添加中もしくは添加後に種結晶の接種を行うことにより、 結晶化をより容易に行うことができる。 更に、 必要により、 水の添加中もしくは 添加後に冷却し、 晶析をより低い温度で行ってもよい。
極性有機溶媒として例えばメタノールなどのアルコールを用いる場合、 これに 事前に水を添加することで得られる混合溶媒に対しては、 不純物であるジァステ レォマ一の溶解度が目的物よりも低いこととなるが、 本発明によるごとく不純物 を随伴する (2R, 3S) 体又は (2 S, 3R)体を予め一旦極性溶媒に溶解さ せ、 次いでこの溶液に水を添加して晶析することにより目的物の (2R, 3 S) 体又は (2 S, 3R) 体が優先的に晶析され、 結果として不純物であるジァステ レオマ一を母液側に除去できるのである。 しかして、 本発明の製造法に付すべき
(2R, 3 S) 体又は (2 S, 3R) 体については、 用いる極性有機溶媒によつ ても異なるが、 本発明の効果の一つであるジァステレォマ一除去の効果を十分に
得る上では目的物に対する不純物のジァステレオマ一の比率が 90: 10以下で あるのが好ましい。
本発明の、 このような製造法においては、 晶析の際、 不純物のジァステレオマ —のみならず高極性の不純物も同時に母液側に除去することができるため、 純度 の髙ぃ (2R, 3S)体又は (2S, 3R)体を効率的に得ることができる。 ま た、 母液と分離して得られた結晶は、水や水とアルコールの混合溶媒、へブタン、 へキサンなどの有機溶媒で洗浄してもよい。
次に、 (2R, 3 S)体又はその光学異性体である (2S, 3R)体を、 ジォ一 ル系溶媒、 すなわち、 ジオール又はジオール系混合溶媒から晶析する方法につい て説明する。 本発明において極性有機溶媒としてジオール又はジオール系混合溶 媒を用いた場合、 水を添加することなく晶析することができる。
まず、 (2R, 33)体又は (23, 3R)体を、 ジオール又はジオール系混合 溶媒に溶解させる。 溶解させる際の温度は、 これには特別の制限はないが、 好ま しくは 40〜70°Cである。
ジオールとしては、 例えばエチレングリコール、 プロピレングリコール、 プチ レングリコール、 1, 3—プロパンジオール、 1, 3—ブタンジオール、 1, 4 ーブ夕ンジオール、 ジエチレングリコールなどの炭素原子数 1 ~ 6のジオールを 挙げることができる。 特にエチレングリコール又は 1, 3—プロパンジオールが 好ましい。 これらのジオールは 2種以上を混合して用いてもよい。
ジォ一ル系混合溶媒とは、 水とジオールとの混合溶媒又はジオールと混和する 有機溶媒とジォールとの混合溶媒をいう。 ジオールとしては上述したものを用い ることができる。 ジオールと混和する有機溶媒としては、 例えばアセトン、 2— ブ夕ノン、 メチルイソブチルケトン、 ァセトニトリル、 テトラヒドロフラン、 メ 夕ノール、 エタノール、 1一プロパノール、 2—プロパノール、 グリセリン等を 挙げることができる。 これらの有機溶媒は 2種以上を混合して用いてもよい。 こ のときジオールと他の溶媒の組成比(混合比)は、 これには特別の制限はないが、 好ましくは 50 v/v%以上である (ここに、 v/v%は混合溶媒におけるジォ
—ルの 比で示している)。
ジオール又はジオール系混合溶媒の使用量は、 これには特別の制限はないが、 例えば (2R, 3S)体又は (2S, 3R)体 lgに対して、 2〜20mlの量 の溶媒を使用することができる。
晶析は冷却晶析によるのがよい。晶析を行う温度は、 10〜30°Cが好ましい。 このとき結晶化 (晶析) は撹拌しながら行っても静置条件下で行ってもよい。 必 要に応じて種結晶の接種を行うことにより、 結晶化をより容易に行うことができ
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ジオール又はジオール系混合溶媒の中、 例えばエチレングリコールなどは、 不 純物であるジァステレオマーの溶解度は目的物よりも低いこととなるが、 晶析段 階においては目的物が優先的に晶析され、 結果として不純物であるジァステレオ マ一を母液側に除去できることが見出された。従って、本発明の製造方法(単離、 精製方法) に付すべき (2R, 3 S)体又は (2S, 3R)体については、 用い る溶媒によっても異なるが、 本発明の効果の一つであるジァステレオマー除去の 効果を十分に得る上で目的物に対する不純物のジァステレオマーの比率が 90 : 10以下であるのが好ましい。
上述したのと同様に、 晶析の際、 不純物のジァステレオマ一のみならず高極性 の不純物も同時に母液側に除去することができるため、純度の高い(2R, 3 S) 体又は (2S, 3R)体を効率的に得ることができる。 また、 母液と分離して得 られた結晶は、 水や水とアルコールの混合溶媒、 へブタン、 へキサンなどの有機 溶媒で洗浄してもよいことは、 先に説明したところと同様である。 なお、 本発明の製造法における (2R, 3 S)体又は (2S, 3R)体の晶析 を行う前又は後に (2R, 3S)体又は (2S, 3R)体を特定の溶媒に溶解し 不溶物を除去することにより、 不純物であるジァステレオマ一を更に高度に除去 することもできる。
この場合、 好ましい溶媒としては、 キシレン、 トルエン、 クロ口ベンゼン、 n
一へキサン、 n—ヘプタン、 シクロへキサン、 メチルシクロへキサンなどの有機 溶媒や、 メタノール、 エタノール、 2—プロパノールなどのアルコールと水との 混合溶媒を挙げることができる。 特に 2—プロパノールと水との混合溶媒やトル ェンおよびキシレンが好適に用いられる。
不純物であるジァステレオマ一はこれらの溶媒に溶解し難いため、 スラリー状 態とし、 不溶物として除去することができる。 また例えば室温以上の高温にて溶 液状態とし、 これを適当な温度まで冷却して不純物であるジァステレオマーを析 出させてもよい。
使用する溶媒量は、 好ましくは溶解させる対象物に対して 1〜 5 0倍重量であ る。 通常一 2 0 °Cから使用する溶剤の沸点以下の温度で攪拌して溶解させる。 例 えば、キシレンであれば 3 5 ~ 7 0 °C程度とし、不溶物を熱時濾過するのがよい。 例えば、 トルエンであれば室温から— 2 0 °C程度とし、 不溶物を濾過するのがよ い。 例えば、 2—プロパノールと水との混合溶媒であれば 0〜5 0 °C程度とし、 不溶物を濾過するのがよい。 当業者は使用する溶媒に応じてより好ましい条件を 適宜容易に設定することが可能である。 次いで、 濾過等により不溶物を除去する ことで、 不純物であるジァステレオマーを固体として除去することができる。 本発明の製造方法を実施する前に、 例えばこのような操作を行うことで、 目的 物に対するジァステレオマーの比率を、例えば 9 5 : 5以上、、 更には 9 8 : 2以 上としておくことも可能である。 上記のようにして得られる (2 R , 3 S ) 体は、 塩基で処理することにより、 対応する下記式(3 )で表される N保護—/?ーァミノエポキシド、 すなわち、 (2 R , 3 S ) 一 3— t e r t—ブトキシカルボニルァミノエポキシドに誘導するこ とができる。
同様に (2S, 3R)体も、 塩基で処理することにより、 対応する下記式(4) で表される (2S, 3R) 一 3— t e r t—ブトキシカルボニルァミノエポキシ ドに誘導することができる。
このような反応は、 例えば、 特開平 6— 206857号公報 (EP 58040 2)等に記載されているように当業者に公知の反応である。
塩基としては水酸ィ匕ナトリウム、 炭酸力リゥム等が好ましく用いられ、 反応溶 媒としてはエタノール、 エタノールと水との混合溶媒、 2-プロパノールと水と の混合溶媒、 アセトンと水との混合溶媒等が好ましく用いられる。 塩基の使用量 は反応基質に対し通常 1〜 10モル当量、 好ましくは 1〜 5モル当量用いること ができ、 反応温度は通常— 10〜80°C、 好ましくは 0〜60。Cとすることがで きる。 反応時間は好ましくは 10分〜 50時間程度である。 反応は通常撹拌下に 行われ、 反応終了後、 酸を加え反応を停止させてもよい。酸としては塩酸、硫酸、 酢酸、 クェン酸、 硫酸水素カリウム水溶液等を好ましく用いることができる。 これら式 (3) 又は (4)で表される化合物もまた、 H IVプロテア一ゼ阻害 剤等の医薬化合物の中間体として有用な化合物であることは、 先に説明した通り であな。 さて、 前記式 (1)および (2) において、 Xは塩素、 臭素などのハロゲンを 表すが、 本発明の目的上、 これらの中では塩素が好ましく、 また前記式 (1)〜
(4) において、 Yはアルキル基、 ァリール基またはァラルキル基を表すが、 本 発明の目的上、 これらの中ではべンジル基が好ましい。
従って、 本発明の好ましい態様としては、 (Α)下記式 (5)
で表される (2R, 3 S) 一 3— t e rt—ブトキシカルボニルァミノ ク ロロ一 2—ヒドロキシー 4一フエニルブタン、 又は下記式 (6)
で表される (2S, 3R) 一 3— t ert—ブトキシカルボニルアミノー 1ーク ロロ一 2—ヒド口キシ一 4—フエ二ルブ夕ンが溶解した極性有機溶媒中に水を添 加して晶析すること、 又はジオール若しくはジオール系混合溶媒から晶析するこ とを特徴とする (2R, 3 S) 一 3— t e r t—ブトキシカルボニルァミノ一 1 一クロロー 2—ヒドロキシー 4一フエニルブタン又は (2S, 3R) — 3— t e r t一ブトキシカルボニルァミノ一 1一クロロー 2—ヒドロキシー 4一フエニル ブタンの製造法、 並びに (B) 上記製造方法に従って (2R, 3 S) — 3— te r t一ブトキシカルポニルアミノー 1一クロロー 2—ヒドロキシー 4一フエニル ブタン又は (2 S, 3R) 一 3— t e rt—ブトキシカルボニルァミノ一 1ーク ロロ一 2—ヒドロキシー 4一フエニルブタンを製造した後、 該 (2R, 3S) — 3 - t e r t—ブトキシカルポニルァミノ一 1一クロロー 2—ヒドロキシー 4一 フエニルブタン又は該 (2 S, 3R) 一 3— t ert—ブトキシカルボニルアミ
ノー 1一クロロー 2—ヒドロキシー 4一フエニルブタンを塩基で処理することを 特徴とする下記式 (7)
で表される (2R, 3 S) 一 3— t e r t—ブトキシカルボニルァミノ 2 一エポキシ一 4一フエニルブタン、 又は下記式 (8)
で表される (2S, 3R) —3— t ert—ブトキシカルボニルァミノ— 1, 2 一エポキシ一 4一フエニルブタンの製造法を挙げることができる。
(発明を実施するための最良の形態)
以下に実施例により本発明を更に詳細に説明する。 もちろん、 このような実施 例は本発明を何ら限定するものではない。 なお、 実施例中に記載されている目的 物とそのジァステレオマーの比率は全てモル比率である。
<参考例 1 >
(2R, 3 S) 一 3— t ert—ブトキシカルボニルァミノー 1—クロロー 2— ヒドロキシ一 4一フエニルブタンの合成
アルゴン雰囲気下、 脱水ジェチルエーテル (100ml) にトリー tert— ブトキシ水素化リチウムアルミニウム(4.7 g)を加えて 0。Cに冷却した後、(3
S) - 3 - t e r t—ブトキシカルボニルアミノー 1一クロロー 4一フエ二ルー 2—ブ夕ノン (5. 0 g) を添加し、 0。Cにて 3時間攪拌した。 反応液に 1N塩 酸 (37ml) を加えて反応を停止し、 分層して有機層を 1N塩酸および飽和食 塩水で洗浄した。 洗浄した有機層から減圧下で溶媒を留去し、 残渣に室温でメタ ノール (23. 2ml) を加えてこれを溶解させた。 得られたメタノール溶液を HPLCにて分析したところ、 3— t e r t—ブトキシカルボニルアミノー 1— クロ口一 2—ヒドロキシ一 4一フエニルブタンのジァステレオマー混合物が合計 収率 92. 1%で得られていることを確認した。 目的物である (2R, 3 S) 体 とそのジァステレオマ一である (2 S, 3 S)体の生成比は、 (2R, 3 S): (2 S, 3 S) =87. 4 : 12. 6であった。
得られたメタノール溶液を 0°Cに冷却した後、 水 (6ml) を添加した。 種結 晶の接種を行った後、 1時間かけて水 (22. 2ml) を滴下し、 さらに 2時間 攪拌した。生じた結晶を濾取し、 ヘプタン( 15ml)で 2回洗浄した後、水(2 5 ml)で 2回洗浄した。得られた結晶を乾燥し、 (2R, 3 S) — 3— t e r t —ブトキシカルボニルァミノ一 1一クロ口一 2—ヒドロキシー 4—フエ二ルブ夕 ンを収率 85. 4% (4. 30 g)で得た。 このものにおける、 目的物である (2 R, 3 S)体とそのジァステレオマ一である (2 S, 3 S)体の生成比は、 (2R, 3 S): (2 S, 3.S) =87. 0 : 13. 0であった。
<参考例 2 >
(2R, 3 S) 一 3— t ert—ブトキシカルポニルアミノー 1一クロ口一 2 ーヒドロキシ一 4一フエニルブタンの精製
参考例 1におけると同様の方法で得られた粗 (2R, 3 S) — 3— t er t— ブトキシカルボニルァミノー 1一クロロー 2—ヒドロキシー 4—フエニルブタン 2 1. 9 g ((2R, 3 S): (2 S, 3 S) =84, 9 : 15. 1)) に 2—プロ パノール (49. 2ml) と水 (16. 4ml) を加え、 70°Cにて溶解させた 後、 溶液を 4時間かけて 20eCまで冷却した。 さらに 20°Cで 16時間撹拌した
後、 15°Cに冷却して 1時間撹拌し、 生じた不溶物を濾過により除去した。 得ら れた母液を濃縮乾固し、 (2R, 3S)-3— t ert—ブトキシカルボニルァミ ノー 1一クロロー 2—ヒドロキシ一4一フエニルブタンを回収率 81. 9% ( 1 7. 9 g)で得た。 このものにおける、 目的物である (2R, 3 S)体とそのジ ァステレオマ一である (2 S, 3 S)体の生成比は、 (2R, 3 S): (2 S, 3 S) = 98. 4 : 1. 6であった。 ぐ実施例 1>
(2R, 3 S) 一 3— t ert—ブトキシカルポニルアミノー 1一クロロー 2 —ヒドロキシー 4一フエニルブタンの精製 (その 1)
参考例 2におけると同様の方法で得られた粗 (2 R, 3 S) 一 3— tert— ブトキシカルボニルァミノ一 1一クロ口一 2—ヒドロキシー 4—フエニルブタン 0. 997g ((2R, 3S)体含量 0. 790 g、 そして (2S, 3S)体含量 0. 013g、 従って (2R, 3 S): (2 S, 3 S) =98. 4 : 1. 6、 そし て (2R, 3 S)体純度は 94. 2% (HPLC面積比)) に室温(20°C)で極 性有機溶媒のメタノール(4.0ml)を加えて溶解させた。 20分かけて水(2. 5ml) を滴下した後、 種結晶の接種を行い、 30分間攪拌した。 20°Cから 1 時間で 0°Cまで冷却した後、 さらに 40分間攪拌して濾過した。 得られた結晶を 乾燥し、 (2R, 3 S)体を回収率 78. 2% (0. 618 g) で得た。 (2R, 3 S): (2 S, 3S) =100 : 0、 また (2R, 3 S)体純度は 99. 4% (H PLC面積比) であった。
醒 (CDC13, 300MHz ) dppm : 1.38 (s, 9H), 2.91 (dd, J=8.1, 13.2Hz, IH), 3.01 (dd, J=7.1, 13.2Hz, 1H), 3.14 (d, J=4.0Hz, IH), 3.53 (s, IH), 3.55 (d, J=2.3Hz, IH), 3.70-3.77 (m, IH), 3.79-3.89 (m, IH), 4.88 (bd, 1H), 7.19-7.35 (m, 5H).
マススぺクトル in/e: 322 (M+Na+).
[ひ] D 2°=-28.3。 (c=0.50, CH2C12).
ぐ実施例 2 >
(2R, 3 S) —3— t e rt—ブトキシカルボニルアミノー 1—クロロー 2 —ヒドロキシ一 4一フエニルブタンの精製 (その 2)
参考例 2におけると同様の方法で得られた粗 (2 R, 3 S) 一 3— tert— ブトキシカルボニルアミノー 1—クロロー 2—ヒドロキシ一 4—フエニルブタン 1. 007 g ((2R, 3 S)体含量 0. 982 g、 (2S, 3 S)体含量 0. 0 17 g、 (2R, 3S) : (2S, 3 S) =98. 3 : 1. 7、 (2R, 3S)体純 度は 97. 5% (H PLC面積比)) にエチレングリコール(5ml)を加えて 6 0°Cで溶解させた。 60°Cから 1時間かけて 50°Cに冷却した後、 種結晶の接種 を行い、 30分間攪拌した。 50°Cから 3時間で 20°Cまで冷却した後、 さらに 2 時間攪拌して濾過し、 エチレングリコール:水 = 1: 1混合液(3ml)、 および 水(3ml)を順次結晶にかけて洗浄した。得られた結晶を乾燥し、 (2R, 3S) — 3— tert—ブトキシカルボニルァミノ一 1一クロロー 2—ヒドロキシー 4 —フエニルブタンを回収率 67. 1% (0. 660 g)で得た。 (2R, 3 S) :(2 S, 3 S) =99. 94 : 0. 06、 また (2R, 3S)体純度は 99. 8% (H PLC面積比) であった。
<実施例 3>
(2R, 3 S) 一 3— t ert—ブトキシカルボニルァミノ一 1—クロ口一 2 ーヒドロキシー 4一フエニルブタンの精製 (その 3)
参考例 2におけると同様の方法で得られた粗 (2 R, 3 S) 一 3— tert— ブトキシカルボニルアミノー 1一クロ口一 2—ヒドロキシ一 4—フエニルブタン 1. 000 g ((2R, 3 S)体含量 0. 972 g、 (2S, 3 S)体含量 0. 0 17 g、 (2R, 3S) : (2S, 3 S) =98. 3 : 1. 7、 (2R, 3S)体純 度は 97. 2% (H PLC面積比)) に 1, 3プロパンジオール (5ml)を加え て 60°Cで溶解させた。 60°Cから 2時間かけて 40°Cに冷却した後、 種結晶の
接種を行った。 40°Cから 3時間 30分で 5°Cまで冷却した後、さらに 2時間攪拌 して濾過し、 メタノール:水 =1 : 1混合液 (3ml)を結晶にかけて洗浄した。 得られた結晶を乾燥し、 (2R, 3S)— 3— t ert—ブトキシカルボニルアミ ノー 1一クロロー 2—ヒドロキシ一 4一フエニルブタンを回収率 63.8% (0. 620 g)で得た。 (2R, 3S):(2S, 3S) =100 : 0、 また (2R, 3 S)体純度は 99. 5% (HPLC面積比) であった。
<実施例 4>
(2R, 3 S) —3— t ert—ブトキシカルボニルァミノ一 1—クロ口一 2 ーヒドロキシー 4一フエニルブタンの精製 (その 4)
参考例 2におけると同様の方法で得られた粗 (2 R, 3 S) — 3— tert— ブトキシカルボニルァミノ一 1一クロロー 2—ヒドロキシー 4—フエ二ルブ夕ン 1. 000 g ((2 , 3 S)体含量 0. 981 g、 (2 S, 3 S)体含量 0. 0 16 g、 (2R, 3 S): (2 S, 3 S) =98. 4 : 1. 6、 (2R, 3S)体純 度は 98. 1% (HPLC面積比)) にエチレングリコール (4ml) と 1, 4ブ 夕ンジオール (0. 6ml) を加えて 60°Cで溶解させた。 60°Cから 1時間か けて 48°Cに冷却した後、 種結晶の接種を行った。 48°Cから 3時間で 20°Cま で冷却した後、 さらに 2時間攪拌して濾過し、 メタノール:水 =1: 1混合液(3 ml)を結晶にかけて洗浄した。得られた結晶を乾燥し、 (2R, 3S)— 3— t e r t—ブトキシカルボニルァミノ一 1一クロ口一 2—ヒドロキシ一 4一フエ二 ルブタンを回収率 69. 4% (0. 686 g)で得た。 (2R, 3 S): (2 S, 3 S) =100: 0、 また (2R, 3S)体純度は 99. 5% (HPLC面積比) であった。 ぐ実施例 5 >
(2R, 3 S) 一 3— t ert—ブトキシカルボニルアミノー 1_クロロー 2 —ヒドロキシー 4一フエニルブタンの精製 (その 5)
参考例 2におけると同様の方法で得られた粗 (2R, 3 S) -3-t er t- ブトキシカルボニルァミノ一 1一クロロー 2—ヒドロキシー 4一フエニルブタン 1. 000 g ((2R, 3 S)体含量 0. 981 g、 (2 S, 3 S)体含量 0. 0 16 g、 (2R, 3S) : (2S, 3 S) =98. 4 : 1. 6、 (2R, 3S)体純 度は 98. 1 % (HPLC面積比)) にエチレングリコール (6ml)、 2—プロ パノール(2. 4ml)及び水 (1. 7ml)を加え 60°Cで溶解させた。 60°C から 3時間かけて 30°Cに冷却した後、 種結晶の接種を行った。 30°Cから 1時 間で 20 eCまで冷却した後、さらに 2時間攪拌して濾過し、メタノール:水 = 1 : 1混合液(3ml)を結晶にかけて洗浄した。得られた結晶を乾燥し、 (2R, 3 S) -3-t e r t—ブトキシカルボニルァミノ一 1—クロロー 2—ヒドロキシ 一 4一フエニルブタンを回収率 58.2%(0.574 g)で得た。 (2R, 3 S):
(2S, 3S) =100 : 0、 また (2R, 3S)体純度は 99. 5% (HPL C面積比) であった。
<実施例 6 >
(2R, 3 S) 一 3— t ert—ブトキシカルボニルアミノー 1一クロロー 2 ーヒドロキシ一 4一フエニルブタンの精製 (その 6)
参考例 2と同様の方法で得られた母液 (3. 68g) ((2R, 3 S) -3-t e r t—ブトキシカルボニルアミノー 1一クロロー 2—ヒドロキシー 4一フエ二 ルブタン ((2R, 3 S)体含量 0. 982 g、 (2S, 3 S)体含量 0. 017 g、 (2R, 3 S): (2 S, 3 S) =98. 3 : 1. 7、 (2R, 3 S)体純度は 97. 9% (HPLC面積比))) を 40°Cに加温しエチレングリコール(6ml) と水 (1. 2ml) を加えた。 40°Cから 1時間かけて 30°Cまで冷却した後、 種晶の接種を行い、 さらに 1時間攪拌した。 30°Cから 1時間かけて 20°Cまで 冷却した後さらに 2時間攪拌して濾過し、 メタノール:水 =1 : 1混合液 (3m 1)を結晶にかけて洗浄した。得られた結晶を乾燥し、 (2R, 3 S) -3-t e r t一ブトキシカルポニルァミノ一 1一クロロー 2—ヒドロキシー 4一フエニル
ブタンを回収率 58. 5% (0. 576 g)で得た。 (2R, 3 S): (2 S, 3 S) = 100 : 0、 また (2R, 3 S)体純度は 99. 8% (HPLC面積比) であ つた。
(産業上の利用可能性)
本発明によれば、 (2R, 3 S)—又は(2S, 3 R)— 3— tert—ブトキ シカルボニルァミノ一 1一クロ口一 2—ヒドロキシ一 4—フエニルブタンなどの N保護一 ?ーァミノアルコールの製造において、 不純物であるジァステレオマー 及び高極性不純物を効率的に除去することができ、 純度の高い N保護—/?—アミ ノアルコールを得ることができる。 延いては、 この N保護一/?一アミノアルコ一 ルから純度の高い N保護一/?ーァミノエポキシドを得ることができる。 従って、 本発明の製造法は工業的規模での生産においても、 H I Vプロテア一ゼ阻害剤等 の医薬ィ匕合物の合成中間体の生産性の高い優れた製造法となることができる。