明細書 薬剤耐性 HIVインテグラーゼ 技術分野
本発明は、 HIVインテグラーゼ, 詳しくは、 耐性変異を有する HIVインテグラ —ゼ、 該 HIVインテグラーゼをコードするポリヌクレオチド、 それらを含有する HIV、 それらを検出する検出法、 およびそれらを使用するアツセィ法に関する。 背景技術
ヒ ト免疫不全ウィルス (以下、 HIV という。 ) は、 薬剤に対し、 比較的容易に 薬剤耐性を獲得することが知られている。 薬剤耐性ウィルスが出現すると、 その 薬剤の有効性は低下し、 もはやその薬剤では HIV感染症を有効に治療することが できない。 従って、 HIV感染症の治療においては、 薬剤耐性ウィルスの出現後は、 投与薬剤を変更する等の処置をすることが望ましい。 また、 次世代の薬剤として、 上記薬剤耐性ウィルスにも有効な薬剤を探索する必要がある。
現在までに、 各種の逆転写酵素阻害剤およびプロテアーゼ阻害剤が研究、 開発 され、その結果、多数の逆転写酵素阻害剤耐性 HIV、 プロテアーゼ阻害剤耐性 HIV が報告されている。
しかし、 HIVィンテグラーゼ阻害剤耐性 HIVについては、 HIVィンテグラーゼ 阻害剤自身が少ないため、 その報告は少ない。
HIVインテグラーゼ阻害剤耐性 HIVインテグラ一ゼとしては、 Science, 1999, Vol. 287, p646-650に、 野性株 ( H X B 2株 :配列表の配列番号 4記載の HIVィ ンテグラーゼを含有する HIV、 ァクセション番号: AF033819) の 6 6番目のアミ ノ酸がトレォニンからイソロイシンに、 1 5 3番目のアミノ酸がセリンからチロ シンに、 および/または 1 5 4番目のアミノ酸がメチォニンからイソロイシンに 変異した HIVィンテグラーゼ阻害剤耐性 HIVィンテグラーゼが開示されている。
具体的には、 配列表の配列番号 8〜 1 2のいずれかに記載の HIVインテグラ一ゼ である。
また、 HIVィンテグラーゼ阻害剤存在下で耐性を獲得した HIVのィンテグラ一 ゼではないが、 6 6番目のアミノ酸がァラニンであり、 7 4番目のアミノ酸がメ チォニンである HIVインテグラ一ゼが知られている。 具体的には、 配列表の配列 番号 7記載のアミノ酸配列 (ァクセシヨン番号 : AJ239083) を有する HIV イン テク"ラーゼである。
なお、 HIVインテグラーゼに関し、 GenBank ( NCBI; National Center for Biotechnology Information) に、 以下の H I Vインテグラーゼが登録されている ( 6 3番目のアミノ酸がィソロイシンである HIVィンテグラーゼとして、 配列表 の配列番号 1 3および 1 4記載のアミノ酸配列 (ァクセション番号: AJ251056、 AJ276595) を有する HIV インテグラ一ゼが登録されている。 6 3番目のァミノ 酸がイソロイシンであり、 7 4番目のアミノ酸がイソロイシンであり、 1 5 3番 目のセリンがァラニンであり、 1 6 0番目のリジンがセリンである HIVィンテグ ラ一ゼとして、 配列番号 1 5記載のアミノ酸配列 (ァクセシヨン番号 : L20587) が登録されている。 6 3番目のアミノ酸がメチォニンであり、 7 4番目のァミノ 酸がイソロイシンであり、 1 5 3番目のセリンがァラニンであり、 1 6 0番目の リジンがセリンである HIVィンテグラ一ゼとして、 配列表の配列番号 1 6記載の アミノ酸配列 (ァクセシヨン番号 : L20571) を有する HIVインテグラーゼが登 録されている。 6 6番目のアミノ酸がプロリンである HIVインテグラーゼとして、 配列表の配列番号 2 0または 2 1記載のアミノ酸配列 (順にァクセション番号 : U69588、 U69584) を有する HIV インテグラーゼが登録されている。 1 4 5番 目のアミノ酸がロイシンである HIVィンテグラ一ゼとして、 配列表の配列番号 1 9記載のアミノ酸配列 (ァクセシヨン番号 : AF040319) を有する HIVインテグ ラーゼが登録されている。 1 5 3番目のアミノ酸がプロリンである HIVイ ンテグ ラーゼとして、 配列表の配列番号 1 7記載のアミノ酸配列 (ァクセシヨン番号 : AF040327) を有する HIVインテグラ一ゼが登録されている。 1 5 5番目のアミ
ノ酸がァスパラギン酸である HIVインテグラーゼとして、 配列表の配列番号 1 8 記載のアミノ酸配列 (ァクセシヨン番号 : U71182) を有する HIVインテグラー ゼが登録されている。 1 3 8番目のアミノ酸がリジンである HIVイ ンテグラ一ゼ として、配列表の配列番号 2 2記載のアミノ酸配列(ァクセション番号: AF086817) を有する HIVインテグラ一ゼが登録されている。
なお、 本明細書中のァクセシヨン番号は、 各タンパクをコードする核酸の GenBank (NCBI; National Center for Biotechnology Iniormation) のァクセン ョン番号を表わす。
また、 HIVインテグラ一ゼの全長ではなく一部の配列に過ぎないが、 9 2番目 のアミノ酸がバリンで置換された配列、 1 1 8番目のアミノ酸がアルギニンで置 換された配列、 1 2 1番目のアミノ酸がロイシンで置換された配列、 1 3 8番目 のァミノ酸がセリン、 ノ リンまたはトレオニンで置換された配列、 1 4 6番目の アミノ酸がヒスチジンで置換された配列、 1 4 8番目のアミノ酸がロイシンで置 換された配列、 1 6 0番目のアミノ酸がァスパラギンで置換された配列が登録さ れている。
HIVィンテグラ一ゼについては、 その野性株のアミノ酸配列が知られている。 なお、 HIVは薬剤非存在下でも変異するため、 多数の野性株が存在し、 そのアミ ノ酸配列はそれぞれ異なる。
以下に本発明で見出した変異部位について、 GenBankで調べた結果、 野性株で あると思われるアミノ酸を記載する。 6 3番目のアミノ酸はロイシンであり、 6 6番目のアミノ酸はトレオニンであり、 7 0番目のアミノ酸はグリシンまたはグ ル夕ミン酸であり、 7 2番目のアミノ酸はバリン、 イソロイシンまたはグリシン であり、 7 4番目のアミノ酸はロイシン、 イソロイシン、 ノ リンまたはプロリン であり、 9 2番目のアミノ酸はグルタミン酸またはァスパラギン酸であり、 1 1 8番目のアミノ酸はグリシンであり、 1 2 1番目のアミノ酸はフエ二ルァラニン であり、 1 3 8番目のアミノ酸はグルタミン酸またはァスパラギン酸であり、 1 4 0番目のアミノ酸はグリシンであり、 1 4 5番目のアミノ酸はプロリンであり、
1 4 6番目のアミノ酸はグルタミンであり、 1 4 8番目のアミノ酸はグルタミン' であり、 1 5 1番目のアミノ酸はバリンまたはイソロイシンであり、 1 5 3番目 のアミノ酸はセリンまたはァラニンであり、 1 5 5番目のアミノ酸はァスパラギ ンであり、 1 6 0番目のアミノ酸はリジン、 グルタミン、 トレオニンまたはグル 夕ミン酸であり、 2 4 9番目のアミノ酸はバリンまたはロイシンであり、 2 5 0 番目のアミノ酸はバリン、 ロイシンまたはァラニンである。 発明の開示
HIVィンテグラ一ゼ阻害剤に対し耐性を獲得した HIVを見い出し、 それらの検 出法およびそれらを使用するアツセィ法を提供する。
本発明者は、 上記課題を解決するため、 HIVインテグラ一ゼ阻害剤に対し耐性 を獲得した HIVの核酸配列を決定し、 以下の発明を完成した。
すなわち、 本発明は、
( 1 ) 6 4番目および 1 1 6番目のアミノ酸がァスパラギン酸であり、 1 5 2番目のアミノ酸がグルタミン酸であり、 かつ以下に示す群から任意に選択さ れる少なく とも 1つの変異を有する HIVインテグラ一ゼ ;
( a ) 6 3番目のアミノ酸がロイシン以外のアミノ酸である ;
( b ) 6 6番目のアミノ酸がトレオニン以外のアミノ酸である ;
( c ) 7 0番目のァミノ酸がグリシンおよびグル夕 ミ ン酸以外のアミノ酸であ る ;
( d ) 7 2番目のアミノ酸がバリン、 イソロイシンおよびグリシン以外のァミノ 酸である ;
( e ) 7 4番目がロイシン、 イソロイシン、 バリンおよびプロリン以外のァミノ 酸である ;
( f ) 9 2番目のアミノ酸がグルタミン酸およびァスパラギン酸以外のアミノ酸 である ;
( ) 1 1 8番目のアミノ酸がグリシン以外のアミノ酸である ;
( ) 1 2 1番目のアミノ酸がフヱニルァラニン以外のアミノ酸である ; ( j ) 140番目のアミノ酸がグリシン以外のアミノ酸である ;
( j ) 1 3 8番目のアミノ酸がグルタミン酸およびァスパラギン酸以外のァミノ 酸である ;
(k) 145番目のアミノ酸がプロリン以外のアミノ酸である ;
( 1 ) 146番目のアミノ酸がグルタミン以外のアミノ酸である ;
(m) 148番目のアミノ酸がグルタミン以外のアミノ酸である ;
( n ) 1 5 1番目のアミ ノ酸がバリ ンおよびイソロイシン以外のァミ ノ酸であ る ;
( o ) 1 53番目のアミノ酸がセリンおよびァラニン以外のアミノ酸である ; (p) 1 55番目のアミノ酸がァスパラギン以外のアミソ酸である ;
(q ) 1 6 0番目のアミノ酸がリジン、 グルタミン、 トレオニンおよびグルタミ ン酸以外のアミノ酸である ;
( r ) 249番目のアミノ酸がバリンおよびロイシン以外のアミノ酸である ; お よび
( s ) 2 50番目のアミノ酸がバリン、 ロイシンおよびァラニン以外のアミノ酸 である ;
ただし、 配列表の配列番号?〜 2 2のいずれかに記載のアミノ酸配列を有する HIVィンテグラ一ゼは除く。
( 2) 以下に示す群から任意に選択される少なく とも 1つの変異を有する 上記 ( 1 ) 記載の HIVインテグラーゼ ;
(a) 63番目のアミノ酸がバリンである ;
(b) 6 6番目のアミノ酸がイソロイシンまたはァラニンである ;
( c ) 70番目のアミノ酸がアルギニンである ;
( d ) 7 2番目のアミノ酸がァラニンである ;
( e ) 74番目のアミノ酸がメチォニンである ;
(f ) 92番目のアミノ酸がグルタミンである ;
( g) 1 1 8番目のアミノ酸がセリンである ;
(h) 1 2 1番目のアミノ酸がチロシンである ;
( i ) 1 3 8番目のアミノ酸がリジンである
( j ) 140番目のアミノ酸がセリンである
(k) 145番目のアミノ酸がセリンである
( 1 ) 14 6番目のアミノ酸がアルギニンである ;
(m) 148番目のアミノ酸がリジンまたはアルギニンである ;
( n) 1 5 1番目のアミノ酸がロイシンである ;
( o ) 1 5 3番目のアミノ酸がチロシンである ;
(p) 1 5 5番目のアミノ酸がセリン、 イソロイシン、 トレオニンまたはヒスチ ジンである ;
(q ) 1 6 0番目のアミノ酸がァスパラギンである ;
( r ) 24 9番目のアミノ酸がイソロイシンである ; および
( s ) 2 5 0番目のアミノ酸がイソロイシンである、
(3 ) 1 2番目および 1 6番目のアミノ酸がヒスチジンであり、 40番目 および 43番目のアミノ酸がシスティンであり、 かつ 1 5 6番目および 1 5 9番 目のアミノ酸がリジンである上記 ( 1 ) または ( 2 ) 記載の HIVインテグラーゼ、
( 4 ) 配列表の配列番号 1〜 4のいずれかに記載のアミノ酸配列において 1以上の上記 ( 1 ) または ( 2 ) 記載のアミノ酸が変異したアミノ酸配列を有す る上記 ( 1 ) 〜 ( 3) のいずれかに記載の HIVインテグラーゼ、
( 5 ) 上記 ( 1 ) 〜 (4) のいずれかに記載のインテグラ一ゼにおいて、 64番目および 1 1 6番目のァスパラギン酸、 1 5 2番目のグルタミン酸、 およ び任意に選択された変異部位のアミノ酸以外の 1以上のアミノ酸が欠失、 置換も しくは付加された HIVィンテグラ一ゼ ;
ただし、 配列表の配列番号?〜 2 2のいずれかに記載のアミノ酸配列を有する HIVィンテグラーゼは除く、
( 6) 増殖可能な HIVを構成することができる ( 1 ) 〜 (5) のいずれか
に記載の HIVィンテグラーゼ、
( 7 ) 上記 ( 1 ) ~ ( 6) のいずれかに記載の HIVインテグラーゼをコ一 ドするポリヌクレオチド、
(8) 配列表の配列番号 5または 6記載の核酸配列において、 1 87番目 の Cが G、 1 9 6番目の Aが G、 1 9 7番目の Cが T、 2 2 0番目の Τが Α、 3 5 2番目の0が八、 433番目の0が1\ 43 7番目の Αが G、 442番目の C が A、 45 1番目の Aが T、 458番目の Cが Α、 462番目の Gが Α、 4 64 番目の Αが Gまたは C、 およびノまたは 74 5番目の Gが Aに置換された核酸配 列を有する上記 (7) 記載のポリヌクレオチド、
(9) 増殖可能な HIVを構成することができる上記 (7) または (8) 記 載のポリヌクレオチド、
( 1 0 ) 上記 ( 7 ) または ( 8 ) 記載のポリヌクレオチドを含有するべク 夕一またはプラスミ ド、
( 1 1 ) 上記 ( 1 ) 〜 ( 6 ) のいずれかに記載の HIVィンテグラ一ゼまた は上記 ( 7 ) または ( 8 ) 記載のポリヌクレオチドを含有する HIV、
( 1 2 ) 上記 ( 1 1) 記載の HIVが持続感染した細胞、
( 1 3 ) 上記 ( 7 ) または ( 8 ) 記載のポリヌクレオチドと特異的にハイ プリダイズし得るプローブまたはプライマ一、
( 14) 上記 ( 1 3) 記載のプローブまたはプライマ一を使用した HIVの 検出法、
( 1 5 ) 以下に示す群から任意に選択される少なく とも 1つのアミノ酸を コードする核酸配列の変異を検出することを特徴とする上記 ( 1 4) 記載の HIV の検出法;
(a) 6 3番目の口イシンをコードする核酸配列からロイシン以外のアミノ酸を コードする核酸配列への変異;
( b ) 6 6番目のトレオニンをコ一ドする核酸配列から トレオニン以外のアミノ 酸をコ一ドする核酸配列への変異;
( c ) 7 0番目のグリシンまたはグル夕ミン酸をコ一ドする核酸配列からグリシ ンおよびグルタミン酸以外のアミノ酸をコードする核酸配列への変異 ;
( d ) 7 2番目のパリン、 イソロイシンまたはグリシンをコードする核酸配列か らノ リン、 イソロイシンおよびグリシン以外のアミノ酸をコードする核酸配列へ の変異;
( e ) 7 4番目のロイシン、 イソロイシン、 ノ リンまたはプロリンをコードする 核酸配列からロイシン、 イソロイシン、 バリンおよびプロリン以外のアミノ酸を コードする核酸配列への変異;
( f ) 9 2番目のグルタミン酸またはァスパラギン酸をコードする核酸配列から グル夕ミン酸およびァスパラギン酸以外のアミノ酸をコードする核酸配列への変 異 ί
( g ) 1 1 8番目のグリシンをコードする核酸配列からグリシン以外のアミノ酸 をコードする核酸配列への変異;
( h ) 1 2 1番目のフエ二ルァラニンをコードする核酸配列からフエ二ルァラ二 ン以外のアミノ酸をコードする核酸配列への変異;
( i ) 1 3 8番目のグル夕ミン酸またはァスパラギン酸をコードする核酸配列か らグル夕 ミン酸およびァスパラギン酸以外のアミノ酸以外のアミノ酸をコードす る核酸配列への変異 ;
( j ) 1 4 0番目のグリシンをコードする核酸配列からグリシン以外のアミノ酸 をコードする核酸配列への変異 ;
( k ) 1 4 5番目のプロリンをコードする核酸配列からプロリン以外のアミノ酸 をコードする核酸配列への変異;
( 1 ) 1 4 6番目のグルタミンをコードする核酸配列からグルタ ミン以外のアミ ノ酸をコ一ドする核酸配列への変異 ;
( m ) 1 4 8番目のグルタミンをコードする核酸配列からグルタミン以外のアミ ノ酸をコードする核酸配列への変異;
( n ) 1 5 1番目のバリンまたはィソロイシンをコードする核酸配列からバリン
およびィソロイシン以外のアミノ酸をコードする核酸配列への変異;
( 0 ) 1 5 3番目のセリンまたはァラニンをコ一ドする核酸配列からセリンおよ びァラニン以外のアミノ酸をコードする核酸配列への変異;
( ρ ) 1 5 5番目のァスパラギンをコ一ドする核酸配列からァスパラギン以外の アミノ酸をコードする核酸配列への変異 ;
( q ) 1 6 0番目のリジン、 グルタミン、 トレオニンまたはグルタミン酸をコ一 ドする核酸配列からリジン、 グルタミン、 トレオニンおよびグルタミン酸以外の アミノ酸をコ一ドする核酸配列への変異 ;
( r ) 2 4 9番目のバリ ンまたはロイシンをコードする核酸配列からバリンおよ びロイシン以外のアミノ酸をコードする核酸配列への変異 ; および
( s ) 2 5 0番目のパリン、 ロイシンまたはァラニンをコードする核酸配列から バリン、 ロイシンおよびァラニン以外のアミノ酸をコードする核酸配列への変異、 ( 1 6 ) 以下に示す群から任意に選択される少なく とも 1つのアミノ酸を コードする核酸配列の変異を検出することを特徴とする上記 ( 1 4 ) または ( 1 5 ) 記載の HIVの検出法;
( a ) 6 3番目のロイシンをコ一ドする核酸配列からバリンをコ一ドする核酸配 列への変異;
( b ) 6 6番目の トレォニンをコードする核酸配列からイソロイシンまたはァラ ニンをコードする核酸配列への変異;
( c ) 7 0番目のグリシンまたはグルタミン酸をコードする核酸配列からアルギ ニンをコ一ドする核酸配列への変異;
( d ) 7 2番目のバリン、 イソロイシンまたはグリシンをコードする核酸配列か らァラニンをコードする核酸配列への変異;
( e ) 7 4番目のロイシン、 イソロイシン、 ノ リンまたはプロリンをコードする 核酸配列からメチォニンをコードする核酸配列への変異;
( f ) 9 2番目のグル夕ミン酸またはァスパラギン酸をコードする核酸配列から グル夕ミ ンをコードする核酸配列への変異;
(g) 1 1 8番目のグリシンをコードする核酸配列からセリンをコードする核酸 配列への変異 ;
(h) 1 2 1番目のフエ二ルァラニンをコードする核酸配列からチロシンをコー ドする核酸配列への変異 ;
( i ) 1 3 8番目のグルタミン酸またはァスパラギン酸をコードする核酸配列か らリジンをコ一ドする核酸配列への変異;
( j ) 1 40番目のグリシンをコードする核酸配列からセリンをコードする核酸 配列への変異 ;
(k) 145番目のプロ リンをコードする核酸配列からセリンをコ一ドする核酸 配列への変異 ;
( 1 ) 14 6番目のグルタミンをコ一ドする核酸配列からアルギニンをコードす る核酸配列への変異;
(m) 148番目のグルタミンをコードする核酸配列から リジンまたはアルギニ ンをコ一ドする核酸配列への変異;
( n ) 1 5 1番目のバリンまたはイソロイシンをコードする核酸配列から口イシ ンをコ一ドする核酸配列への変異 ;
( 0 ) 1 5 3番目のセリ ンまたはァラニンをコードする核酸配列からチロシンを コードする核酸配列への変異;
(P) 1 5 5番目のァスパラギンをコードする核酸配列からセリ ン、 イソ口イシ ン、 トレオニンまたはヒスチジンをコードする核酸配列への変異 ;
( q ) 1 6 0番目のリジン、 グルタミン、 トレオニンまたはグルタミン酸をコー ドする核酸配列からァスパラギンをコードする核酸配列への変異 ;
( r ) 24 9番目のバリンまたはロイシンをコードする核酸配列からイソ口イシ ンをコ一ドする核酸配列への変異; および
( s ) 25 0番目のバリン、 ロイシンまたはァラニンをコードする核酸配列から ィソロイシンをコードする核酸配列への変異、
( 17 ) 上記 ( 1 ) 〜 ( 6 ) のいずれかに記載の HIVィンテグラ一ゼを使
用した抗 HIVィンテグラーゼ阻害剤のスクリーニング法、
( 1 8) 上記 ( 1 1 ) 記載の HIVを使用した抗 HIVィンテグラ一ゼ阻害 剤のスクリーニング法、
( 1 9) 上記 ( 1 2) 記載の HIV が持続感染した細胞を使用した抗 HIV ィンテグラーゼ阻害剤のスクリ一二ング法、
( 20) 分子量が 1 5〜 1 000であり、 水素、 リチウム、 ホウ素、 炭素、 窒素、 酸素、 フッ素、 ナト リウム、 マグネシウム、 アルミニウム、 硫黄、 塩素、 カリウム、 カルシウム、 鉄、 バリウム、 臭素および沃素からなる群から選択され た任意の原子により構成され、 一 C (=0) 一、 - C (= S ) 一または— NH— で示される基を持ち、 窒素、 酸素および硫黄の中から任意に選択される原子を 1 ~ 3個有するヘテロ環を有する、 上記 ( 1 7 ) 〜 ( 1 9 ) のいずれかに記載のス クリ一二ング法により得られた化合物を有効成分として含有する HIVィンテグラ ーゼ阻害剤、
(2 1 ) 上記 ( 20 ) 記載の mvィンテグラーゼ阻害剤を有効成分として 含有する抗 HIV剤、
( 22) 上記 (20) 記載の HIVィンテグラーゼ阻害剤を有効成分として 含有するエイズ治療剤、
に関する。 発明を実施するための最良の形態
HIVィンテグラーゼ阻害剤の存在下で HIVの野性株を細胞(例えば、 ヒ ト T細 胞) に感染させ、 継代培養し、 数日後、 HIV感染細胞をホモジネートし、 P CR 法を用いて HIV provirus DNAの塩基配列をシークェンスすることにより、 その HIVインテグラーゼをコードする核酸配列を調べた。
HIV インテグラ一ゼ阻害剤としては、 WO 0 0/3 9 0 8 6または Science, 1999, Vol.287, p646-650に記載の化合物を使用することができる。例えば、 4- (卜 ベンゼンスルホニル- 5-クロロイン ドール- 3-ィル)- 2-ヒ ドロキシ- 4-ォキソ -2 -ブ
テン酸(以下、化合物 Aとする。)、 1- [5- (4-フルォロベンジル)フラン -2-ィル ] - 3_ ヒ ドロキシ- 3 -(5-クロロ- 1 - 1,2, 4-ト リァゾ一ル- 3-ィル)プロべノン (以下、 ィ匕 合物 Bとする) 、 卜 [5- (4-フルォロペンジル)フラン- 2-ィル] -3-ヒ ドロキシ- 3- 1,2, 4-ト リアゾ一ル- 3-ィル)プロぺノン (以下、 化合物 Cとする)、 4- [ 1- (4 - フルォロベンジル) -1 -ピ口ール- 2-ィル] - 2-ヒ ド口キシ- 4-ォキソ -2-ブテン酸酸
(以下、 化合物 Dとする) 、 1- [5- (4-フルオロフェニルチオ)フラン- 2-ィル] -3- ヒ ドロキシ- 3- ( 1 - 1 , 2, 4-ト リァゾ一ル- 3-ィル)プロぺノン (以下、 化合物 Eとす る) 、 4- [3, 5- (ビスベンジルォキシ)フエ二ル] - 2-ヒ ドロキシ- 4-ォキソ -2-ブテン 酸 (以下、 化合物 Fとする) などを使用することができる。 次に、 得られたシークェンスに基づき、 各変異部位についてのモレキュラーク ローンを作製し、 該変異が HIVインテグラ一ゼ阻害剤に対する耐性獲得のために 必要な変異部位であるか否かを調べた。
すなわち、 HIVのモレキュラークローン (NL43) のィンテグラ一ゼ部分の配列 のみを、 上記シークェンスに基づき作製された HIVィンテグラ一ゼをコードする ポリヌクレオチド (例えば D N A ) で置換し、 プラスミ ド pNL43を作製し、 細胞 (例えば、 ヒ ト T細胞) に取り込ませ、 目的の変異を持つ HIVインテグラーゼを 有する HIVのウィルスクローンを作製した。
このようにして得られた HIVのウィルスクローンが、 使用された HIVィンテ グラーゼ阻害剤に対して耐性を獲得しているか否かを、 野性株に対する阻害活性 と比較することにより調べた。 · その結果、 化合物 Aに対する耐性変異として、 以下の変異を確認した。
• 6 6番目のアミノ酸がイソロイシンとなる変異
• 7 4番目のアミノ酸がメチォニンとなる変異
• 1 4 5番目のアミノ酸がセリンとなる変異
• 2 4 9番目のァミノ酸がィソロイシンとなる変異
2 5 0番目のアミノ酸がイソロイシンとなる変異
化合物 Bに対する耐性変異として、 以下の変異を確認した。
7 0番目のアミノ酸がアルギニンとなる変異
1 1 8番目のアミノ酸がセリンとなる変異
1 3 8番目のアミノ酸がリジンとなる変異
1 4 6番目のアミノ酸がアルギニンとなる変異
1 4 8番目のアミノ酸がリジンとなる変異
1 5 1番目のアミノ酸がロイシンとなる変異
1 5 5番目のアミノ酸がセリンまたはイソロイシンとなる変異
1 6 7番目のアミノ酸がァスパラギン酸となる変異
化合物 Cに対する耐性変異として、 以下の変異を確認した。
6 3番目のアミノ酸がパリンとなる変異
6 6番目のアミノ酸がイソロイシンまたはァラニンとなる変異
7 4番目のアミノ酸がメチォニンとなる変異
9 2番目のアミノ酸がグルタミンとなる変異
1 2 4番目のアミノ酸がァスパラギンとなる変異
1 3 8番目のアミノ酸がリジンとなる変異
1 4 0番目のアミノ酸がセリンとなる変異
1 4 6番目のアミノ酸がアルギニンとなる変異
1 8番目のアミノ酸がリジンとなる変異
1 5 1番目のアミノ酸がロイシンとなる変異
1 5 3番目のアミノ酸がァラニンとなる変異
1 5 5番目のアミノ酸がセリン、 トレオニンまたはヒスチジンとなる変異
1 6 0番目のアミノ酸がァスパラギンとなる変異
化合物 Dに対する耐性変異として、 以下の変異を確認した。
7 2番目のアミノ酸がァラニンとなる変異
7 4番目のアミノ酸がメチォニンとなる変異
• 1 4 8番目のアミノ酸がリジンまたはアルギニンとなる変異
• 1 5 1番目のアミノ酸がイソロイシンとなる変異
• 1 5 5番目のアミノ酸がセリンとなる変異
化合物 Eに対する耐性変異として、 以下の変異を確認した。
• 6 6番目のアミノ酸がィソロイシンまたはァラニンとなる変異
• 1 4 8番目のアミノ酸がリジンまたはアルギニンとなる変異
• 1 5 3番目のアミノ酸がチロシンとなる変異
化合物 Fに対する耐性変異として、 以下の変異を確認した。
6 6番目のアミノ酸がイソロイシンとなる変異
· 7 4番目のアミノ酸がメチォニンとなる変異
1 2 1番目のアミノ酸がチロシンとなる変異
1 5 1番目のアミノ酸がイソロイシンとなる変異
1 5 3番目のアミノ酸がチロシンとなる変異
1 5 4番目のアミノ酸がィソロイシンとなる変異
すなわち、 化合物存在下で HIVインテグラーゼの変異が容易に起こる部位 (以 下、 変異部位という。 ) を見い出し、 特にその変異部位において置換されるアミ ノ酸を特定し、 それらの事実に基づき、 本発明を完成した。 本発明である HIVインテグラーゼは、 HIV野性株に比較して、 上記耐性変異部 位から任意に選択される変異部位が任意のアミノ酸で 1以上置換された、 活性中 心のアミノ酸が保存された HIVィンテグラ一ゼを意味する。 一般的には HIVィ ンテグラーゼは 2 8 8個のァミノ酸からなるポリぺプチドであるが、 本発明の HIVィンテグラ一ゼは、 2 8 8個のアミノ酸からなるポリぺプチドに限定される ものではない。 数個〜数十個のアミノ酸が欠失、 付加していてもよい。 例えば、 配列表の配列番号 1 5及び 1 6記載の HIVインテグラーゼのように、 C末端に 1 0アミノ酸伸びた 2 9 8個のアミノ酸からなる HIVィンテグラーゼ等も存在する ( なお、 活性中心のアミノ酸は、 6 4番目および 1 1 6番目のアミノ酸がァスパ
ラギン酸であり、 1 5 2番目のアミノ酸がグル夕ミン酸である。 本発明の HIVィ ンテグラ一ゼは活性中心のアミノ酸が保存されており、 HIVィンテグラ一ゼ活性 を有する。 さらには、 1 5 6番目および 1 5 9番目のアミノ酸が保存されている HIV ィンテグラーゼが好ましい。 なお、 1 5 6番目および 1 5 9番目のアミノ酸 はリジンである。 また、 Z nフィンガーモチーフ ( 1 2番目および 1 6番目のァ ミノ酸がヒスチジンであり、 4 0番目および 4 3番目のアミノ酸がシスティンで ある) も保存されていることが好ましい。
本発明は、 化合物 (例えば、 HIVインテグラ一ゼ阻害剤) 存在下で HIVインテ グラーゼの変異が容易に起こる部位を見出したものであり、 特に変異部位のアミ ノ酸の種類を限定するものではない。 すなわち、 変異部位のアミノ酸は、 野性株 として知られているアミノ酸以外の任意のアミノ酸であればよい。 具体的には、 本発明の HIVィンテグラ一ゼは、 以下に示す群から任意に選択される少なくとも 1つの変異を有する HIVィンテグラ一ゼを意味する。
( a ) 6 3番目のアミノ酸がロイシン以外のアミノ酸である ;
( b ) 6 6番目のアミノ酸がトレオニン以外のアミノ酸である ;
( c ) 7 0番目のアミノ酸がグリシンおよびグル夕 ミ ン酸以外のアミノ酸であ る ;
( d ) 7 2番目のアミノ酸がバリン、 イソロイシンおよびグリシン以外のァミノ 酸である ;
( e ) 7 4番目がロイシン、 イソロイシン、 ノ リンおよびプロリン以外のァミノ 酸である ;
( f ) 9 2番目のアミノ酸がグル夕ミン酸およびァスパラギン酸以外のアミノ酸 である ;
( g ) 1 1 8番目がグリシン以外のアミノ酸である ;
( h ) 1 2 1番目のアミノ酸がフエ二ルァラニン以外のアミノ酸である ;
( i ) 1 3 8番目のアミノ酸がグル夕ミン酸およびァスパラギン酸以外のアミノ 酸である ;
( j ) 140番目のアミノ酸がグリシン以外のアミノ酸である ; (k) 145番目のァミノ酸がプロリン以外のアミノ酸である ;
( 1 ) 146番目のアミノ酸がグル夕ミン以外のアミノ酸である ;
(m) 148番目のアミノ酸がグル夕ミン以外のアミノ酸である ;
( n ) 1 5 1番目のアミノ酸がバリ ンおよびイソロイシン以外のアミノ酸であ る ;
( o ) 1 53番目のアミノ酸がセリンおよびァラニン以外のァミノ酸である ; ( ) 1 5 5番目のアミノ酸がァスパラギン以外のアミノ酸である ;
( q ) 1 6 0番目のアミノ酸がリジン、 グルタミン、 トレォニンおよびグルタミ ン酸以外のアミノ酸である ;
( r ) 249番目のアミノ酸がバリンおよびロイシン以外のァミノ酸である ; お よび
( s ) 2 5 0番目のアミノ酸がバリン、 ロイシンおよびァラニン以外のアミノ酸 である。
特に、 HIVインテグラ一ゼ阻害剤に対する耐性獲得という点からは、 6 6番目 のアミノ酸がトレオニン以外のアミノ酸である HIVィンテグラーゼが重要である c また、 本発明は、 上記の変異部位において置換されるアミノ酸も見い出したも のである。 具体的には、 以下に示す群から任意に選択される少なく とも 1つの変 異を有する HIVインテグラーゼが挙げられる。
(a) 63番目のアミノ酸がバリンである ;
( b ) 6 6番目のアミノ酸がイソロイシンまたはァラニンである ;
( c ) 7 0番目のアミノ酸がアルギニンである ;
(d) 72番目のアミノ酸がァラニンである ;
( e ) 74番目のアミノ酸がメチォニンである ;
(f ) 9 2番目のアミノ酸がグルタミンである ; '
( g) 1 1 8番目のアミノ酸がセリンである ;
( h ) 1 2 1番目のアミノ酸がチロシンである ;
( i ) 1 3 8番目のアミノ酸がリジンである
( j ) 1 4 0番目のアミノ酸がセリンである
( k ) 1 4 5番目のアミノ酸がセリンである
( 1 ) 1 4 6番目のアミノ酸がアルギニンである ;
( m ) 1 4 8番目のアミノ酸がリジンまたはアルギニンである ;
( n ) 1 5 1番目のアミノ酸がロイシンである ;
( o ) 1 5 3番目のアミノ酸がチロシンである ;
( p ) 1 5 5番目のアミノ酸がセリン、 イソロイシン、 トレオニンまたはヒスチ ジンである ;
( q ) 1 6 0番目のアミノ酸がァスパラギンである ;
( r ) 2 4 9番目のアミノ酸がイソロイシンである ;および
( s ) 2 5 0番目のアミノ酸がイソロイシンである。
特に、 HIVインテグラ一ゼ阻害剤に対する耐性獲得という点からは、 6 6番目 のァミノ酸がィソロイシンまたはァラニンである HIVィンテグラーゼが重要であ る。 なお、 本発明の HIVィンテグラ一ゼは活性中心のアミノ酸が保存されているの で、 活性中心及び上記変異部位以外のアミノ酸は、 HIV インテグラ一ゼの機能を 損わない限り、 すなわち HIVインテグラ一ゼ活性を有する限り、 任意のアミノ酸 であってよい。 例えば、 データベース等で検索して選択したアミノ酸でもいいし、 野性株、 臨床分離株のアミノ酸でもよい。 なお、 「HIVインテグラ一ゼ活性を有 する」 とは、 酵素系の実験で HIVインテグラ一ゼ活性を有する場合のみならず、 HIVとした場合に増殖可能な HIVを構成することができるものであればよい。 具体的には、 HIV野性株の HIVィンテグラ一ゼとして知られている配列表の配 列番号 1〜 4のいずれかに記載のアミノ酸配列 (配列番号 1 : HIV-1 pNL43
subclone4-20 Integrase, ァクセション番号 : U26942;配列番号 2 : HIV-1 IIIB Integrase;配列番号 3 : HIV-1 IIIB (shionogi clone) Integrase;配列番号 4 : IIIB/LAI clone HXB2 Integrase、 ァクセション番号 : AF033819) において 1以 上のアミノ酸が、 任意に選択された上述のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を 有するタンパク質が挙げられる。 本発明の HIVィンテグラ一ゼの 6 4番目および 1 1 6番目のァスパラギン酸、 1 5 2番目のグルタ ミ ン酸、 および上記選択された変異部位のアミノ酸以外の 1 以上のアミノ酸が欠失、 置換もしくは付加された HIVィンテグラーゼも本発明の 範囲内である。
1以上のアミノ酸が欠失、 置換もしくは付加された HIVィンテグラーゼとは、 例えば、 基準となる H I Vィンテグラーゼのアミノ酸配列に対して少なく とも 7 0 %、 好ましくは 8 0 %以上の相同性を有するアミノ酸配列を有する HIVィンテ グラ一ゼを意味する。
例えば、 配列表のアミノ酸からなる群より選択される対照アミノ酸配列に対し て少なく とも 8 0 %以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリベプチドと は、 そのポリべプチドの配列が対照ァミノ酸配列のアミノ酸 1 0 0個ごとに 2 0 個までのァミノ酸の変化を含みうることを除き、 そのポリペプチドのァミノ酸配 列と対照配列が同一である場合を意味する。 言い換えると、 対照アミノ酸配列に 対して少なく とも 8 0 %以上の相同性を有するアミノ酸配列を有するポリぺプチ ドは、 対照配列中のアミノ酸の 2 0 %までが欠失または他のアミノ酸と置換して いてもよく、 あるいは対照配列中の全ァミノ酸数のうち 2 0 %までのァミノ酸が 対照配列に揷入されたものであってもよい。 対照配列におけるこれらの変化は、 対照アミノ酸配列のアミノまたはカルボキシ末端位置に存在してもよく、 あるい はそれらの末端間のいずれかの位置に存在してもよく、 対照配列中に散在してい てもよく、 あるいは対照配列内で 1個またはそれ以上の一連の群をなしていても よい。
また、 本発明の HIV インテグラーゼは、 増殖可能な HIVを構成することがで きる HIVィンテグラ一ゼが好ましい。 増殖可能な HIVを構成することができる HIVィンテグラーゼか否かは、 本発明の HIVィンテグラーゼを含有する HIVを 作製し、 細胞に感染させ、 細胞での増殖能を調べればよい。
なお、 本発明の HIVインテグラーゼは、 遺伝子組み換え技術により生産された HIVインテグラ一ゼ、 天然に存在する HIVインテグラーゼ、 または有機合成され た HIVインテグラ一ゼのすベてを包含する。 好ましくは、 遺伝子組み換え技術に より生産された HIVィンテグラ一ゼである。
なお、 本明細書中、 アミノ酸とは、 天然型アミノ酸を意味し、 グリシン、 ァラ ニン、 ノ リン、 ロイ シン、 イソロイシン、 フエ二ルァラニン、 チロシン、 ト リプ トフアン、 セリ ン、 ト レオニン、 システィ ン、 メチォニン、 プロ リ ン、 ァスパラ ギン、 グルタミ ン、 ァスパラギン酸、 グルタミン酸、 リジン、 アルギニン、 ヒス チジン等が挙げられる。
本発明である HIVィンテグラ一ゼは、それらをコードするポリヌクレオチド(例 えば、 D N A断片) を制限酵素および D N Aリガ一ゼを用いて、 市販のベクター またはプラスミ ド等に導入し、 宿主細胞 (例えば大腸菌等) を用いて大量にタン パク質を発現させ、 発現生成物を回収し単離生成することにより作製することが できる。 なお、 細胞の培養は、 プロモータ一活性化、 形質転換体選択または遺伝 子増幅に適するように修飾された慣用的な培地中で行なうことができる。 温度、 p H等の培養条件は、 使用された宿主細胞に依存するが、 当業者であれば容易に 設定することができる。
上記発現系が HIVィンテグラーゼを増殖培地中に分泌する場合、 該 HIVィン テグラーゼを培地から直接精製することができる。 また、 HIVインテグラーゼが 分泌されない場合、 該 HIVインテグラ一ゼを細胞溶解物から単離するか、 あるい は細胞膜フラクシヨンから回収することができる。
回収、 単離および精製法としては、 硫酸アンモニゥム沈殿またはエタノール沈
殿、 酸抽出、 ァニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、 ホスホセルロ一 スクロマトグラフィー、 疎水性相互作用クロマトグラフィー、 ァフィ二ティーク 口マトグラフィー、 ヒ ドロキシルアパタイ トクロマトグラフィー、 レクチンクロ マトグラフィ一等が挙げられる。 最後に高品質液体高速クロマトグラフィーを使 用してもよい。
また、 別法として、 本発明のポリペプチドをペプチド合成装置により合成的に 得ることもできる。
制限酵素としては、 Nde l、 Bam HIなど使用することができる。 D N Aリガ一 ゼとしては、 T4 DNA リガ一ゼなどを使用することができる。
ベクタ一またはプラスミ ドとしては、 下記に記載のベクターを使用することが できる。 例えば、 ノヴアジェン社の pET15b ベクターなどを使用することができ る。
発現用ベクターとしては pET15b (E.coli BL21(DE3))S pBR322 ( E. coli) 、 PACYC177 (E. coli) 、 バクテリオファ一ジ人 (E. coli) 、 PKT230 (グラム陰性 細胞) 、 pGV1106 (グラム陰性細胞) 、 pLAFRI (グラム陰性細胞) 、 pME290 (非 Ε· coliグラム陰性細胞) 、 pHV14 ( E. coliおよびバチルス ' ズプチリス) 、 pBD9 (バチルス) 、 pIJ61 (ス ト レプト ミセス) 、 pUC6 (ス トレプト ミセス) 、 Yip 5 (サヅカロミセス) 、 バキュロウィルス昆虫細胞系、 Ycp l9 (サッカロミス ス)などが挙げられる。特に、ベクタ一としては pET15b、宿主細胞としては E.coli BL21(DE3)の組合わせが好ましい。 本発明のポリヌクレオチドは、 本発明の HIVィンテグラーゼをコ一ドするポリ ヌクレオチドを意味する。
すなわち、 本発明のポリヌクレオチドは、 本発明の HIVインテグラーゼまたは その欠失体、 置換体、 付加体のアミノ酸配列により特徴づけられる HIVインテグ ラ一ゼをコードするポリヌクレオチドを意味する。
また、 本発明のポリヌクレオチドは、 HIV の RNA ゲノム中に含まれる一部で
あってもよく、 HIV持続感染細胞の DNAゲノムの中の一部であってもよい。 なお、 本発明のポリヌクレオチドは RN Aの形態、 または例えば c DNA、 ゲ ノム DNA、 および合成 DNAを含む DNAの形態であってもよい。 DNAは二 本鎖または一本鎖のいずれであってもよく、 一本鎖の場合、 コーディ ング鎖また は非コ一ディ ング鎖(アンチセンス鎖)であってよい。
本発明の HIVィンテグラ一ゼをコ一ドするコ一ディング配列は、 HIVィンテグ ラーゼをコードするポリヌクレオチドであれば、 特に特定の核酸配列に限定され るものではない。 すなわち、 同一のアミノ酸配列をコードする核酸配列であれば、 すべての核酸配列が含まれる。
例えば、 配列表の配列番号 5または 6記載の核酸配列において、 1 8 7番目の Cが G、 1 9 6番目の Aが G、 1 9 7番目の Cが T、 22 0番目の Τが Α、 3 5 2番目の Gが Α、 4 3 3番目の〇が1\ 43 7番目の Αが G、 442番目の Cが A、 45 1番目の Aが T、 4 5 8番目の Cが Α、 4 6 2番目の Gが Α、 464番 目の Αが Gまたは C、 および/または 745番目の Gが Aに置換された核酸配列 を有するポリヌクレオチドが例示される。 なお、 配列表の配列番号 5記載の核酸 配列は野性株 (NL 43 ) のインテグラーゼ部位をコードする核酸配列であり、 配列番号 6記載の核酸配列は野性株のアミノ酸配列を変化させずに制限酵素部位 (Xbalと Clal) を導入した核酸配列である。
なお、 上記は具体例であり、 遺伝暗号の縮重の結果、 異なる核酸配列を有する ポリヌクレオチドであってもよい。
なお、 本発明のポリヌクレオチドは、 本明細書開示の D N A配列により特徴づ けられるコーディング配列の天然に存在する対立遺伝子変種であるコーディング 配列を有していてもよい。 当該分野において知られているように、 対立遺伝子変 種は、 1個またはそれ以上のヌクレオチドが置換、 欠失または付加されていても よいポリヌクレオチド配列の別形態であり、 コードされているポリペプチドの機 能を実質的に変化させないものである。
また、 本発明の HIVインテグラーゼを細胞に発現させる場合、 以下の配列を含
んでいてもよい。 すなわち、 成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、 成熟ポリべプチドのコ一ディング配列のみを含むものであってもよく、 あるいは 成熟ポリペプチドのコ一ディング配列ならびにリ一ダ一配列または分泌配列また はプロ蛋白配列のごときさらなるコーディング配列を含むものであってもよい。 すなわち、 本発明のポリヌクレオチドは、 ポリペプチドのコーディ ング配列の みを含むポリヌクレオチド、 ならびにさらなるコーディ ング配列および/または 非コ一ディング配列を含むポリヌクレオチドを包含する。
それゆえ、 本発明は、 成熟ポリペプチドのコーディ ング配列が、 宿主細胞から のポリペプチドの発現および分泌を促進するポリヌクレオチド配列 (例えば、 細 胞からのポリぺプチドの輸送を制御する分泌配列として機能するリーダー配列) にフレーム中で融合していてもよいポリヌクレオチドを包含する。
リーダー配列を有するポリぺプチドはプレ蛋白であり、 宿主細胞により開裂さ れてポリペプチドのプロ蛋白を生じる。 ポリヌクレオチドはプロ蛋白をコードし ていてもよく、 プロ蛋白は成熟蛋白とさらなる N末アミノ酸残基とからなる。 プ 口配列を有する成熟蛋白が開裂されると活性成熟蛋白が残る。
よって、 例えば、 本発明ポリヌクレオチドは成熟蛋白をコードしていてもよく、 あるいはプロ配列を有する蛋白またはプロ配列およびプレ配列 (リーダー配列) の両方を有する蛋白をコードしていてもよい。
本発明ポリヌクレオチドは、 遺伝子の 5 ' または 3 ' 末端のいずれかにおいて、 本発明ポリべプチドの精製を可能にするマーカ一配列にフレーム中で融合したコ ーデイ ング配列を有していてもよい。 マーカ一配列は、 p E Tシリーズのベクタ ― (ノヴァジェン社により市販) により提供されるへキサ一ヒスチジンタグであ つてもよく、 該タグは細菌宿主の場合にマ一カーに融合したポリぺプチドの精製 を可能にする。
本発明のポリヌクレオチドは、 HIVの RNAゲノムを錶型とした RT-PCR法ま たは cDNAを鎳型とした PCR法等を用いて大量に複製することができる。
また、 本発明のポリヌクレオチドは、 増殖可能な HIVを構成することができる
ポリヌクレオチドが好ましい。 増殖可能な HIVを構成することができるポリヌク レオチドか否かは、 本発明のポリヌクレオチドを含有するプラスミ ドを作製し、 細胞に導入してウィルスを産生させ、 そのウィルスを細胞に感染させてその増殖 能を調べればよい。 本発明のベクターまたはプラスミ ドは、 本発明のポリヌクレオチドを含有する ベクターまたはプラスミ ドを意味し、 本発明のポリヌクレオチドを制限酵素、 D N Aリガーゼを用いて、 市販のベクター (例えば、 プラスミ ド、 コスミ ド、 ファ —ジなど) に導入することにより作製することができる。
制限酵素としては、 Nde l、 Bam HIなどを使用することができる。 D N Aリガ —ゼとしては、 T4 DNA リガーゼなどを使用することができる。
ベクタ一としては、 細菌プラスミ ド、 ファージ D N A、 バキュロウィルス、 酵 母プラスミ ド、 プラスミ ド、 及びファージ D N Aの組合わせに由来するベクター を意味するが、 宿主細胞中で複製可能ある限り、 上記以外のベクターを使用して もよい。 ベクターとしては、 例えば、 細菌べクタ一として、 pET15b ベクター、 pET3ベクター、 pQE70、 pQE60s pQE-9N pbsヽ pD10、 phage script, psiXl74, pbluescript SE:、 pdsks、 pNH8Aヽ pNHl6aヽ pNH18Aヽ pNH46A、 ptrc99a、 pKK233-3、 pDR540、 pRIT5が挙げられ、 真核細胞べクタ一として、 pBlueBacIII、 pWLNEO、 pSV2CAT、 pOG44s pXTl、 pSGs pSVK3、 p'BPV、 pMSG、 pSVLが挙げられる。 特に、 ノヴァジェン社の pET15bベクターが好ましい。
ポリヌクレオチドのベクターへの挿入は、 様々の方法が知られているが、 例え ば、 ポリヌクレオチドをべクタ一の適当な制限ェン ドヌクレアーゼ部位に揷入す る。 ベクター中のポリヌクレオチドは、 m R N A合成を指令する適当なプロモー ターに作動可能に連結される。 プロモータ一としては、 例えば、 T 7プロモータ 一、 L T Rまたは S V 4 0プロモーター、 大腸菌 (E . c o l i ) の l a cまた は t r p、 ラムダファージの P tプロモーター、 原核細胞、 真核細胞、 またはそ れらのウィルスにおいて遺伝子発現を制御することが知られている他のプロモー
夕一が挙げられる。
さらにベクターは、 翻訳開始のためのリボソーム結合部位、 転写ターミネ一夕 一、 発現増幅のための適当な核酸配列を含んでいてもよい。
ベクターは、 形質転換宿主細胞の選択のための表現型を付与する 1またはそれ 以上の選択可能マーカーを含んでいてもよい。 マ一力一としては、 例えば、 真核 培養細胞においてはジヒ ドロ葉酸レダクタ一ゼ遺伝子またはネオマイシン耐性遺 伝子を使用することができ、 大腸菌においてはテトラサイク リン耐性遺伝子また はアンピシリ ン耐性遺伝子を使用することができる。 本発明の HIVは、 本発明の HIVィンテグラ一ゼまたは本発明のポリヌクレオ チドを含有する HIVを意味する。
本発明の HIVは、 以下のように作製できる、 すなわち、 モレキュラークローン pNL43のィンテグラ一ゼ部分の配列のみを上記シークェンスに基づき作製された HIVインテグラ一ゼをコードするポリヌクレオチド (例えば D N A ) で置換した プラスミ ドを作製し、 細胞 (例えば、 ヒ ト T細胞) に取り込ませ、 目的の変異を 持つ HIVィンテグラ一ゼを有する HIVのウィルスクローンを作製すればよい。 本発明の HIVが持続感染した細胞は、 本発明の HIVが持続感染した細胞を意 味する。
本発明の HIVが持続感染した細胞は、 本発明のベクタ一またはプラスミ ドを、 HIV形成に必要な他の酵素等をコ一ドするポリヌクレオチドを含有するプラスミ ド DNAと共に、 細胞 (例えば、 ヒ ト T細胞) に取り込ませることにより作製する ことができる。 また、 細胞に本発明の HIVを感染させることによつても作製する ことができる。 細胞としては、 ヒ ト T細胞等を用いることができる。 本発明のプローブまたはプライマーは、 本発明のポリヌクレオチドに特異的に ハイプリダイズするプローブまたはプライマーを意味する。
本発明のポリヌクレオチドを検出または複製するために使用されるプローブま たはプライマ一であり、 本発明の.ポリヌクレオチドに特異的に結合するプローブ またはプライマ一であれば、 特に限定するものではない。 すなわち、 ス ト リンジ ェン トな条件下で本発明のポリヌクレオチドの核酸配列にハイプリダイズするプ ローブまたはプライマ一であればよい。 また、 変異部位の検出に使用する場合は、 変異部位を含む 7 ~ 2 0アミノ酸をコードするポリヌクレオチドに相補的なプロ —ブまたはプライマーが好ましい。
ス ト リンジェン トな条件でハイプリダズするプローブまたはプライマーとは、 配列間の同一性が少なく とも 9 5 %、 好ましくは少なく とも 9 7 %である場合に ハイブリダィズするポリヌクレオチドを意味する。 例えば、 50 %ホルムアミ ド、 5 x S S C ( 1 5 0mM Na C l、 1 5 mMクェン酸三ナトリウム) 、 50mM リン酸ナト リウム (p H 7.6 )、 5 Xデンハーツ溶液、 1 0 %硫酸デキス トラン、 および 20 g/m 1の変性し、 剪断されたサケ精子 D N Aを含有する溶液中、 42 °Cでー晚ィンキュベ一シヨンし、 続いて約 6 5 °Cで 0.1 X S S C中でフィル 夕一を洗浄するものなどが挙げられる。 ハイブリダィゼ一シヨンおよび洗浄条件 は周知であり、 Sambrookら、 Molecular Cloning'A Laboratory Manual、第 2版; コールド ' スプリング · ハーバ一、 ニューヨーク (1989) 、 とりわけその第 1 1 章に実例が示されている。
本発明のポリヌクレオチドに特異的に結合するプローブまたはプライマーとは、 野性株に結合せず、 変異株 (耐性変異株) に結合するプローブまたはプライマ一 を意味する。 また、 本発明のプローブまたはプライマ一を使用して、 本発明の HIVを検出す ることができる。 特に、 野性株と変異株を区別して検出する方法が好ましく、 例 えば、 以下に示す群から任意に選択される少なくとも 1つのアミノ酸をコードす る核酸配列の変異を検出することを特徴とする HIVの検出法が好ましい ;
(a) 63番目のロイシンをコードする核酸配列からロイシン以外のアミノ酸を
コードする核酸配列への変異;
( b ) 6 6番目のトレオニンをコードする核酸配列から トレオニン以外のァミノ 酸をコードする核酸配列への変異;
( c ) 7 0番目のグリシンまたはグル夕ミン酸をコードする核酸配列からグリシ ンおよびグル夕ミン酸以外のアミノ酸をコードする核酸配列への変異 ;
( d ) 7 2番目のバリン、 イソロイシンまたはグリシンをコードする核酸配列か らバリン、 イソロイシンおよびグリシン以外のアミノ酸をコードする核酸配列へ の変異 ;
( e ) 7 4番目のロイシン、 イソロイシン、 ノ リンまたはプロリンをコードする 核酸配列からロイシン、 イソロイシン、 ノ リ ンおよびプロリン以外のアミノ酸を コードする核酸配列への変異 ;
( f ) 9 2番目のグルタミン酸またはァスパラギン酸をコードする核酸配列から グル夕ミン酸およびァスパラギン酸以外のアミノ酸をコードする核酸配列への変 異
( g ) 1 1 8番目のグリシンをコードする核酸配列からグリシン以外のアミノ酸 をコードする核酸配列への変異 ;
( h ) 1 2 1番目のフエ二ルァラニンをコ一ドする核酸配列からフエ二ルァラ二 ン以外のアミノ酸をコ一ドする核酸配列への変異;
( i ) 1 3 8番目のグル夕ミン酸またはァスパラギン酸をコードする核酸配列か らグルタミン酸およびァスパラギン酸以外のアミノ酸以外のアミノ酸をコ一ドす る核酸配列への変異;
( j ) 1 4 0番目のグリシンをコードする核酸配列からグリシン.以外のァミノ酸 をコードする核酸配列への変異;
( k ) 1 4 5番目のプロ リンをコードする核酸配列からプロリン以外のアミノ酸 をコードする核酸配列への変異 ;
( 1 ) 1 4 6番目のグル夕ミンをコ一ドする核酸配列からグルタミン以外のアミ ノ酸をコ一ドする核酸配列への変異;
( m ) 1 4 8番目のグルタミンをコードする核酸配列からグルタミン以外のアミ ノ酸をコードする核酸配列への変異;
( n ) 1 5 1番目のバリンまたはィソロイシンをコ一ドする核酸配列からバリン およびィソロイシン以外のアミノ酸をコードする核酸配列への変異;
( o ) 1 5 3番目のセリンまたはァラニンをコードする核酸配列からセリンおよ びァラニン以外のアミノ酸をコードする核酸配列への変異;
( ) 1 5 5番目のァスパラギンをコードする核酸配列からァスパラギン以外の アミノ酸をコードする核酸配列への変異;
( q ) 1 6 0番目のリジン、 グルタミン、 トレオニンまたはグルタミン酸をコー ドする核酸配列からリジン、 グルタミン、 トレオニンおよびグルタミン酸以外の アミノ酸をコードする核酸配列への変異;
( r ) 2 4 9番目のバリ ンまたはロイシンをコードする核酸配列からバリンおよ びロイシン以外のアミノ酸をコードする核酸配列への変異;および
( s ) 2 5 0番目のバリ ン、 ロイシンまたはァラニンをコードする核酸配列から バリン、 ロイシンおよびァラニン以外のアミノ酸をコードする核酸配列への変異。 さらに詳しくは、 以下に示す群から任意に選択される少なく とも 1つのアミノ 酸をコードする核酸配列の変異を検出することを特徴とする HIVの検出法が好ま しい ;
( a ) 6 3番目のロイシンをコードする核酸配列からパリンをコードする核酸配 列への変異;
( b ) 6 6番目のトレオニンをコードする核酸配列からイソロイシンまたはァラ ニンをコ一ドする核酸配列への変異 ;
( c ) 7 0番目のグリシンまたはグルタミン酸をコードする核酸配列からアルギ ニンをコードする核酸配列への変異;
( d ) 7 2番目のパリン、 イソロイシンまたはグリシンをコードする核酸配列か らァラニンをコ一ドする核酸配列への変異;
( e ) 74番目のロイシン、 イソロイシン、 パリンまたはプロリンをコードする 核酸配列からメチォニンをコードする核酸配列への変異 ;
(f ) 9 2番目のグル夕ミン酸またはァスパラギン酸をコ一ドする核酸配列から グルタミンをコードする核酸配列への変異;
( g) 1 1 8番目のグリシンをコードする核酸配列からセリンをコードする核酸 配列への変異 ;
(h) 1 2 1番目のフエ二ルァラニンをコードする核酸配列からチロシンをコ一 ドする核酸配列への変異 ;
( i ) 1 3 8番目のグルタミン酸またはァスパラギン酸をコ一ドする核酸配列か らリジンをコードする核酸配列への変異;
( j ) 1 40番目のグリシンをコードする核酸配列からセリンをコードする核酸 配列への変異;
(k) 1 45番目のプロリンをコードする核酸配列からセリンをコードする核酸 配列への変異 ;
( 1 ) 1 46番目のグルタミンをコードする核酸配列からアルギニンをコードす る核酸配列への変異;
(m) 1 48番目のグルタミンをコードする核酸配列からリジンまたはアルギニ ンをコ一ドする核酸配列への変異;
( n ) 1 5 1番目のバリンまたはイソロイシンをコードする核酸配列から口イシ ンをコードする核酸配列への変異;
( o ) 1 53番目のセリンまたはァラニンをコードする核酸配列からチロシンを コードする核酸配列への変異;
(P) 1 5 5番目のァスパラギンをコードする核酸配列からセリン、 イソ口イシ ン、 トレオニンまたはヒスチジンをコードする核酸配列への変異 ;
(q ) 1 60番目のリジン、 グルタミン、 トレオニンまたはグルタミン酸をコー ドする核酸配列からァスパラギンをコ一ドする核酸配列への変異 ;
( r ) 249番目のバリンまたはロイシンをコードする核酸配列からイソ口イシ
ンをコ一ドする核酸配列への変異;および
( s ) 2 5 0番目のパリン、 ロイシンまたはァラニンをコードする核酸配列から イソロイシンをコ一ドする核酸配列への変異。 本発明の検出法は、 上記化合物 A〜: Fを含有する HIVインテグラ一ゼ阻害剤の 投薬患者から得られた HIVの検出のみならず、 他の HIVインテグラーゼ阻害剤 の投薬患者、 あるいは全く未投与の患者から得られた HIVの検出法としても使用 できる。 具体的には、 耐性変異の配列を内部に持った DNAや RNA、 または耐性変異部 位は含まず、 その直前または直後の配列を持つ DNAや RNAをプローブゃ錡型に 用いたハイブリダイゼ一ション法ゃォリゴヌクレオチドライゲイシヨン法とそれ らの応用法、 耐性変異の配列を持った DNAや RNAをプライマーに用いた RT— PCR法または PCR法、 耐性変異部位の 5'側直前の配列を持つ DNAや RNAをプ ライマ一にした伸長反応を応用した方法などにより検出することができる (①中 村祐輔. (2000) SNP: その重要性と解析法. 実験医学. vol.18, p l587- 1594. ②西 村俊秀、 須田三記也.(2000) SNPタイピング技術の現状と将来. 実験医学 . vol.18, p l894- 1900.) o また、 上記とは別の薬剤耐性 HIV検出法としては、 以下の検出法が挙げられる c まず、 HIV感染者から HIVまたは持続感染細胞を得、 次にインテグラ一ゼ阻害剤 (化合物 A ~ F ) に対する感受性をインビトロで測定し、 そのインテグラ一ゼ阻 害剤によってどの程度増殖が阻止されているかを薬剤非存在下と比較し、 そのィ ンテグラーゼ阻害剤に対する感受性が低下していれば、 該 HIVは薬剤耐性を獲得 しているといえる。 すなわち、 この検出法により、 該 H I Vが、 本発明において 明らかになった変異 (例えば、 表 1に記載の変異) を有していると結論できる。
本発明の HIVおよび本発明の HIVが持続感染した細胞は、 ァヅセィに用いる ことができる。 すなわち、 本発明の HIVを細胞 (例えば、 ヒト T細胞) に感染さ せ、 または本発明の HIVが持続感染した細胞 (例えば、 ヒ ト T細胞) を使用し、 当業者に広く知られている MTTァヅセィを行えばよい。このようなァヅセィによ り、 本発明の HIVである HIVインテグラ一ゼ阻害剤耐性 HIVに対しても有効な 化合物や薬剤を見い出すことができる。 この際、 EC50値 (ウィルスによる細胞障 害を 50%抑制する化合物濃度) と CC50値 (化合物による細胞毒性が 50%である 化合物濃度) を比較することにより、 有効な化合物を選択することができる。 ま た、 HIV の野性株に対しても同時に活性を測定し、 耐性株に対する活性と比較す ることにより、 その化合物や薬剤の有用性をさらに検討することができる。 また、 耐性株そのものを用いる以外に以下のような方法でァヅセィを行っても良い。 す なわち、 インテグレーション活性が欠損している mvに、 インテグラーゼのみを 別の分子として発現させたものを取り込ませることによりインテグレーション活 性が相補されてウィルスの感染が成立するこ とが知られている ( Virology, Vol.255, 1999, p77-85, A novel vpr peptide interactor fused to integrase (IN) restore integration activity to IN-defective HIV-1 virions. J. Kulkosky, M. BouHamdan, A. Geisit, E. J. Pomerantz) 。 ただし、 ウィルス粒子にイ ンテグラ —ゼを取り込ませるために、 インテグラーゼの N末端にたとえば Vprが融合され た形で発現させるなどの工夫が必要である。 この方法を用いれば耐性株を用いな く ともィンテグラーゼに対する耐性変異の影響を簡単に調べることができる。 また、 本発明の HIVインテグラーゼも、 本発明の HIV、 本発明の HIVが持続 感染した細胞同様、 HIV インテグラーゼ阻害剤 (または活性化剤) 探索のための アツセィに使用することができる。 すなわち、 被験化合物が HIVインテグラ一ゼ と結合または相互作用し、 HIVインテグラ一ゼ活性を阻害 (または活性化) する か否かを測定すればよい。 本ァヅセィ法は、 被験化合物と HIVインテグラーゼと の結合または相互作用が可能な条件下で、 被験化合物と HIVィ ンテグラーゼを接
触させ、 被験化合物と HIVインテグラ一ゼの結合または相互作用による HIVィ ンテグラーゼ活性の変化を測定し、 HIVインテグラ一ゼを阻害するか否かを評価 することによ り行うことができる。 例えば、 基質 DN Aと夕一ゲヅ ト DNAを使 用し、 被験化合物と HIVインテグラ一ゼの結合または相互作用により、 HIVイン テグラーゼによる基質 D N Aの夕一ゲヅ ト D N Aへの組み込みの減少を測定すれ ばよい。
このようなアツセィ法としては、 具体的には、 WO 00/3 9 0 8 6に記載の ァヅセィ法が挙げられる。 本発明の耐性変異を持つ HIVインテグラーゼを、 W〇 00/39 0 86に記載の野生型のィンテグラーゼの代わりに通常の反応バヅフ ァ一に添加するだけで全く同じ方法でアツセィに用いることができる。 このよう なアツセィにより、 既存の薬剤耐性 HIVに対しても有効な化合物や薬剤を見出す ことができる。 また、 野性型インテグラ一ゼに対しても同時に活性を測定し、 耐 性変異をもつィンテグラーゼに対する活性と比較することにより、 その化合物や 薬剤の有用性を検討することができる。 なお、 これらのアツセィの結果選択される化合物は、 例えば、 分子量 1 5〜 1 00 0の有機化合物を意味し、 構成原子としては、 水素、 リチウム、 ホウ素、 炭 素、 窒素、 酸素、 フ ヅ素、 ナト リウム、 マグネシウム、 アルミニウム、 硫黄、 塩 素、 カリウム、 カルシウム、 鉄、 バリウム、 臭素、 沃素等が挙げられる。 特に、 - C (=0) —、 一 C (= S ) 一または— NH—で示される基を持つ化合物が好 ましい。 また、 窒素、 酸素および硫黄の中から任意に選択される原子を 1〜 3個 有するヘテロ環を有する化合物が好ましい。
上記化合物を有効成分として含有する HIV インテグラーゼ阻害剤、 および該 HIVィンテグラ一ゼ阻害剤を含有する抗 HIV剤、 エイズ治療剤も本発明に包含さ れる。
上記化合物は、 経口的又は非経口的に投与することができる。 絰ロ投与による 場合、 上記化合物は通常の製剤、 例えば、 錠剤、 散剤、 顆粒剤、 カプセル剤等の
固形剤 ;水剤 ; 油性懸濁剤 ; 又はシ口ップ剤若しくはェリキシル剤等の液剤のい ずれかの剤形としても用いることができる。 非経口投与による場合、 上記化合物 は、 水性又は油性懸濁注射剤、 点鼻液として用いることができる。 その調製に際 しては、 慣用の賦形剤、 結合剤、 滑沢剤、 水性溶剤、 油性溶剤、 乳化剤、 懸濁化 剤、 保存剤、 安定剤等を任意に用いることができる。
本発明の製剤は、 治療有効量の上記化合物を製薬上許容される担体または希釈 剤とともに組み合わせる (例えば混合する) ことによって製造される。 上記化合 物の製剤は、 周知の、 容易に入手できる成分を用いて既知の方法により製造され る。 '
上記化合物の医薬組成物を製造する際、 活性成分は担体と混合されるかまたは 担体で希釈されるか、 カプセル、 サッシヱ一、 紙、 あるいは他の容器の形態をし ている担体中に入れられる。 担体が希釈剤として働く時、 担体は媒体として働く 固体、 半固体、 または液体の材料であり、 それらは錠剤、 丸剤、 粉未剤、 口中剤、 エリキシル剤、 懸濁剤、 ェマルジヨン剤、 溶液剤、 シロップ剤、 エアロゾル剤 (液 体媒質中の固体) 、 軟膏にすることができ、 例えば、 1 0 %までの活性化合物を 含む。 本発明化合物は投与に先立ち、 製剤化するのが好ましい。
当業者には公知の適当な担体はいずれもこの製剤のために使用できる。 このよ うな製剤では担体は、 固体、 液体、 または固体と液体の混合物である。 例えば、 静脈注射のために本発明化合物を 2 m g Z m lの濃度になるよう、 4 %デキス ト ロース / 0 . 5 %クェン酸ナト リウム水溶液中に溶解する。 固形の製剤は粉末、 錠剤およびカプセルを包含する。 固形担体は、 香料、 滑沢剤、 溶解剤、 懸濁剤、 結合剤、 錠剤崩壊剤、 カプセル剤にする材料としても役立つ 1 またはそれ以上の 物質である。 経口投与のための錠剤は、 トウモロコシデンプン、 アルギン酸など の崩壊剤、 および/またはゼラチン、 アカシアなどの結合剤、 およびステアリン 酸マグネシウム、 ステアリン酸、 滑石などの滑沢剤とともに炭酸カルシウム、 炭 酸ナト リウム、 ラク トース、 リン酸カルシウムなどの適当な賦形剤を含む。
粉未剤では担体は細かく粉砕された活性成分と混合された、 細かく粉砕された
固体である。 錠剤では活性成分は、 適当な比率で、 必要な結合性を持った担体と 混合されており、 所望の形と大きさに固められている。 粉末剤および錠剤は約 1 〜約 9 9重量%の本発明の新規化合物である活性成分を含んでいる。 適当な固形 担体は、 炭酸マグネシウム、 ステアリン酸マグネシウム、 滑石、 砂糖、 ラク トー ス、 ぺクチン、 デキス ト リン、 デンプン、 ゼラチン、 トラガカントゴム、 メチル セル口一ス、 ナト リウムカルボキシメチルセルロース、 低融点ワックス、 ココア バタ—である。 液体製剤は懸濁剤、 ェマルジヨン剤、 シロップ剤、 およびエリキシル剤を含む。 活性成分は、 滅菌水、 滅菌有機溶媒、 または両者の混合物などの製薬上許容し得 る担体中に溶解または懸濁することができる。 活性成分はしばしば適切な有機溶 媒、 例えばプロピレングリコール水溶液中に溶解することができる。 水性デンプ ン、 ナト リウムカルボキシメチルセルロース溶液、 または適切な油中に細かく碎 いた活性成分を散布することによってその他の組成物を製造することもできる。 上記化合物の投与量は、 投与方法、 患者の年齢、 体重、 状態及び疾患の種類に よっても異なるが、 通常、 経口投与の場合、 成人 1日あたり約 0. 0 5mg~3 00 0 mg、 好ましくは、 約 0. l mg〜: L O O Omgを、 要すれば分割して投 与すればよい。 また、 非経口投与の場合、 成人 1日あたり約 0. 0 1 mg〜 1 0 00mg、 好ましくは、 約 0. 0 5mg〜5 00m gを投与する。
実施例
実施例 1 HIVィンテグラーゼをコ一ドする遺伝子の変異部位の確認
1. HIV-1 ΠΙΒ持続感染細胞である、 IIIB/Molt-4細胞 (約 lxl05/ml) と MT-2 細胞を (約 3xl05/ml) を混合し (細胞比 約 1:3)、 C02インキュベータ一 (37°C、 C02濃度 5 %に設定) で 3日間培養した。 混合 3日後の、 HIVが増殖し巨細胞が 出現している状態の感染細胞を耐性ウィルス分離用のウィルスとした。
2. MT-2細胞を培養液で約 3xl05/mlに分散し、 24 wellプレートに 1 mlずつ分注 した。 同様に、 巨細胞出現後の感染細胞 (上記参照) を適度に希釈し、 0.5 mlづっ
分注した。希釈した被験試料を添加してブレートミキサーで混和後、 co2インキュぺ —夕一で培養した。
3. 感染 3-4日目に感染細胞中の HIVによる巨細胞形成の有無を確認した。 培養上 清 l mlを新たなプレートに分注し、 新たな MT-2細胞 (約 2xl05/well)、 培養液、 薬 剤を添加した。 3-4日おきに細胞を観察し、 このウィルスの継代操作を繰り返した。 この時、 強度の巨細胞形成が出現していた時は培養上清 0.5 ml, その他の場合は感 染細胞 0.5 mlを継代に用いた。 細胞を継代する場合、 MT-2細胞の添加量は適宜調 節した。 各 wellの培養液量は、 約 1.5-2.0 mlで行った。
4. 細胞の継代時に、 その薬剤の濃度において明らかな強度の巨細胞形成が繰り返 して出現した時は、 継代時に薬剤濃度を 5倍量に上げ、 再度培養を続けた。 この操作 を繰り返し、薬剤濃度を徐々に上げていった。最終的に薬剤濃度 4,000-10,000 ng/ml において HIVが増殖可能となるまで続けた。 この間、 約 1週間おきに培養液、 感染 細胞をサンプリングした。
5. 採取した感染細胞について、 DNA 抽出キヅ トを用いてプロウィルスゲノム DNAを抽出した。 ィンテグラ一ゼ領域の両側の 2本のプライマ一を用いて PCRを 行い、 増幅された DNAに関してシークェンスを行った。 以下の表に使用した薬剤と変異部位を示す。
表 1
(表中、 T66Iは、 6 6番目のアミノ酸である T (トレオニン) から I (イソロイシン) に変 異することを表わす。 T66I/L74Mは、 T66Iと L74Mの 2箇所変異することを意味する。 他 の記号についても、 同様の意味を表わす。 ) 実施例 2 HIV変異株の molecular cloneの作製法
下記に、 代表的な mutantの作製法を示す。 クローンは、 molecular cloneであ る pNL432を用いた。予め、ィンテグラーゼに変異を導入しやすいように、 pNL432 のインテグレースの最初の位置に Xbal を作製したものを用いた (以降、 NL432 Xbaとする) 。
T66I mutantの作製法
化合物 C耐性ウィルス (NL432 ) より得られたインテグレ―ス T66Iの mutant ウィルス DNAをテンプレートにして、 下記に示すプライマ- INT-Xb a、 vpr-Eco で PCR を行った。 これで得られた断片を Xbal/EcoRI でカツ トし、 NL432 Xba の同領域と置き換えた。
INT-Xba CTATTTGTAfiATGGAATCGATAAGGC C CAAG (配列番号 : 2
3 )
vpr-Eco ACACCCAATTCTGAAATGGA (配列番号 : 2 4 )
2. T124A mutantの作製法
pNL432をテンプレー トにして、 下記のプライマ- INT-Xba、 124A Bam (- ) で PCRを行い、 これで得られた断片を Xbal/BamHIでカッ トした(= XbBal24A)。 ■ また pNL432をテンプレートにして、 下記のプライマ- 124A Bam( + ) 、 vpr-Eco で PCRを行い、これで得られた断片を BamHI/EcoRIでカツ ト した(= BaEcl24A)c 続いて XbBal24A、 BaEcl24A 断片をライゲーシヨンさせた後に、 pUCl8 の Xbal/EcoRIへクローニングした。 このプラスミ ドを Xbal/EcoRIでカッ トし、 そ の断片を pNL432 Xbaの同領域と置き換えた。
124A Bam (—) CGCGfiATCfiATTGTCTGTATGTACTGTTTT (配列番号 : 2 5 )
124A Bam (+ ) CGCGGATCCAATTTCACCAGTGCTACAGTT (配列番号 : 2 6 )
3. E148K mutantの作製法
pNL432をテンプレー トにして、 下記のプライマ- INT-Xba、 148K Bam(— ) で PCRを行い、 これで得られた断片を Xbal/BamHIでカヅ トした(= XbBal48K:)。 また、 pNL432 をテンプレートにしてプライマ- 148K Bam( + )、 vpr-Ecoで PCR を行い、 これで得られた断片を BamHI/EcoRIでカツ トした(= BaEcl48K)。 続い て XbBal48K:、 BaEcl48K断片をライゲーションさせた後、 pUCl8の Xbal/EcoRI へクローニングした。 このプラスミ ドを、 Xbal/EcoRI でカッ ト し、 その断片を PNL432 Xbaの同領域と置き換えた。
148K Bam (- ) CGCOGATCGCAAATTCCTGCTTGATCCCCGC (配列番号: 2 7 )
148K Bam (+ ) CGCfifiAT^CTACAATCCCCAAAGTAAAGGAG (配列番号 :
28 )
4. N155S mutantの作製法
pNL432をテンプレー トにして、 下記のプライマ- INT-Xba、 155S Sac (—) で PCRを行い、 これで得られた断片を Xbal/Saclでカッ トした( = XbSal55S )。 ま た、 pNL432をテンプレ一トにしてプライマ- 155S Sac( + )、 vpr-Ecoで PCRを 行い、 これで得られた断片を SacI/EcoRI でカヅ ト した(二 SaEcl55S)。 続いて XbSal55S、 SaEcl55S断片をライゲーシヨンさせた後、 pUClSの Xbal/EcoRI へクローニングした。 このプラスミ ドを、 Xbal/EcoRI でカッ ト し、 その断片を pNL432 Xbaの同領域と置き換えた。
155S Sac (—) CCCGAOCi TTTACTCATAGATTCTATTACTCC (配列番 号: 2 9 )
155S Sac (+) CCCfiAGCmAAGAAAATTATAGGACAGG (配列番号 : 3
0)
他の HIVについても、 上記同様に作製することができる。 実施例 3 HIVインテグラ一ゼをコードする核酸の作製法
本発明の変異を持つ耐性ウィルスのモレキュラークローン DNA 5 n を錡型に して、 制限酵素部位 Nde I (5'側) と Bam HI (3'側) を付加できるように設計さ れたプライマ一 ( 5'- ggC AgC CAT ATg TTT TTA gAT ggA ATA gAT AAg gCC C -3' (配列番号: 3 1 )と 5'-gCAgCCggATCCTTAATCCTCATCCTgTCTACT TgC CAC -3' (配列番号: 32) ) と東洋紡社より購入した KOD dash polymerase を用いて本発明の変異を持つインテグラーゼをコードする DNA断片を増幅した。 反応条件は 10〃1の 10 X KOD buffer (組成 : 1.2 M Tris-HCl (ρΗ8.0) , 100 mM KC1, 60 mM (NH4)2S04, 1% Triton X-100, 25 mM MgCl2) 、 16 1の dNTP混合 液(各々 2mM)、プライマ一(lOOpmol/ l)をそれそれ 1〃1づっ、錶型 DNAを 5 ng 分、 最後に KOD dash polymerase (2.5 units/〃l)を 1.5〃1入れて 100〃1のスケ
—ルで 94°C、 30sec.、 52°C、 30sec.、 74°C、 30sec.のサイクルを 30回行った。 実施例 4 変異 HIVインテグラーゼの作製法
前項の実施例で増幅した本発明の変異を含むイ ンテグラーゼをコー ドする DNA断片を制限酵素 Nde lと Bam HIで切断してから 1 %ァガロースゲルに電気 泳動を行い、 イルミネ一夕一上でバン ドを検出して切り出し精製した。 他方ノヴ アジェン社の pET15bベクタ一も同様に制限酵素 Nde Iと Bam HIで切断後、 ァ ガロースゲルに電気泳動することにより余分な DNA断片を取り除いた。これらの 耐性ィ ンテグラーゼをコ一ドする DNA断片と pET15bベクタ一を T4 DNA ligase を用いてライゲーシヨンを行い、 発現ベクターを構築した。
次に構築した発現ベクターをノヴアジヱン社よ り購入したコンビテン トセル BL21(DE3)に トランスフォーメーションを行い、 100/i g/ml のアンピシリンを含 む LBプレ1 ~~ト 、$且成: 10 mg/ml Bacto-trypton, 5 mg/ml feast-extract, 5 mg/ml NaCl)にまいて 37°Cで終夜培養した。翌日プレ一トに生えたコロニーを集めて 100 J g/mlのアンピシリ ンを含む SB培地(組成: 12 mg/ml Bacto-trypton, 24 mg/ml Yeast-extract, 4 l/ml glycerol, 2.31 mg/ml KH2P04, 12.54 mg/ml K2HP04) 中 で 30°Cで培養を行った。 600 nmにおける吸光度が 0.8 に達した時点で終濃度が 0.4 mMになるよう IPTGを添加してィンテグラ一ゼの発現を誘導した。発現誘導 後は 37°Cで 3時間培養を行った後に集菌した。集めた菌を溶解バッファー(組成 : 0.15 M NaCl, 20 mM HEPES (pH7.5), 2 mM 2-mercaptoethanol, 5 mM imidazole) に溶解して終濃度 0.3 mg/mlになるようにライソザィムを加えて氷上 で 30分間ィンキュベーションを行った。ダウンス型ホモジュナイザーで破砕後、 超遠心 (条件 : 4°C、 60分、 40000 g ) を行った。 沈殿物を 5 mM imidazole を含む可溶化バッファー (組成 : 20 mM MOPS (pH7.2), 400 mM potassium glutamete, 1 mM EDTA, 0.1% NP-40, 20% glycerol, 2 mM 2-mercaptoethanol, 4M urea) に溶解して 0.22-〃Mのフィルターに通した後にニッケルキレートァフ ィニティ一ゲル (アマシャムフアルマシアバイオテック) にアプライ した。 洗浄
ノ ヅファー(組成: 40 mM imidazole, 20 mM MOPS (pH7.2), 400 mM potassium glutamete, 1 mM EDTA, 0.1% NP-40, 20% glycerol, 2 mM 2-mercaptoethanol, 4M urea) でカラムを洗浄後、 300 mM imidazoleを含む可溶化バッファ一で溶出 した。溶出されたフラクションを 1000倍量の 10 mM DTTを含む可溶化バヅファ 一に対して 2回透析し、 インテグレーション活性を調べた。 実施例 5 変異 HIVウィルス検出法
本発明の耐性ウィルス検出例 (T66I の場合) を以下に示す方法に基づき実施し た 。
( 1 ) プロウィルス MAを用いた検出法
合成した表 2の各 MAを TEバッファー(組成: 1 mM EDTA, 10 mM Tris-塩酸 (pH 7.6)) に溶解させ、 プライマー溶液 (10 pmol/z l) を調製した。 野生型を検出す る場合は RWT-2 (5'- GAA TAT GGC AGC TAG ATT GTA C -3' (配列番号 : 3 3 ) ) と R - 1 (5'- CTA GGT CAG GGT CTA CTT GTG T&C -3' (配列番号 : 3 4 ) ) のプラ ィマーを、 耐性変異型を検出する場合は EM- 2 (3,- G GAA TAT GGC AGC TAG ATT CAA T- 5' (配列番号 : 3 5 ) ) と MW- 1のプライマーを各々 0.5〃1用いた。 0.5units の TaKaRa Ex Taq ヒ 3〃1の添付バッファー (組成: 100 mM Tris- HC1 , pH8.3, 500 mM KC1, 15 iM MgCl2) と dNTP混合液(各々 2.5 mM)を混ぜて 28〃 1 の反応液を作 製し、 様々な濃度の錶型 DNAを含む溶液 2 1を加えた。 ミネラルオイルを一滴ず つ加えてからシータス社の機械を用いて、 野生型を検出する場合は 94°C、 lmin.、 57°C、 30se 、 72V, 30se のサイクルを 30回の条件で、 耐性変異型を検出する 場合は 94°C、 lmin.、 60°C、 30sec.、 72°C、 30sec.のサイクルを 27回繰り返す反 応条件で PCR反応を行った。 野生型ウィルス DNAの鎢型としてはモレキュラーク D—ン pNL432を用いた (Adachi, Α·, Gendelman, H.E., Koenig, S., Folks, T., Willey, R., Robson, A., Martin, M.A. (1986) Production of acquired immunodeficiency syndrome-associated retrovirus in human and nonhuman cells transfected with an infectious molecular clone. J. Virol., vol.59, p284-
291.) 。 耐性ウィルス MAの錶型としては pNL432のィンテグラ一ゼ部分のアミノ 酸配列にのみ T66I、 L74M(ACA→ATA, TTG ATG)の変異を持つモレキュラークロー ン pTYI- 302を用いた。 PCR反応後の反応液 5 1 を 1%ァガロースゲルに電気泳動 し、 下方より UVを照射しながらバンドを検出することにより結果を判定した。 そ の結果、 野生型検出の場合は 0.0002 ng/30 i l以上の濃度の PNL432を鏡型として 用いた場合のみ検出でき、 pTYI- 302 を錶型とした場合は検出されなかった。 逆に 耐性変異型検出の場合は 0.0002 ng/30^ 1以上の濃度の pTYI-302を鐯型として用 いた場合のみ検出でき、 PNL432を鐯型として用いた場合は検出されなかった。 実施例 6 変異 HIVインテグラ一ゼを使用したアツセィ
本発明の耐性変異を持つィンテグラーゼを用いて以下に示す野生型の場合と同 じアツセィ法に基づき種々の化合物の阻害活性を調べた。
( 1 ) D N Α溶液の調製
アマシャムフアルマシア社により合成された以下の各 DNAを、 KTEバヅファ一液 (組成 : 100 mM KC 1 , 1 mM EDTA, 10 mM Tris-塩酸 (pH 7. 6 ) ) に溶解させること により、 基質 DNA溶液 (2 pmol/〃l ) および夕一ゲヅ ト MA溶液(5 pmol/ 1 )を 調製した。 各溶液は、 一旦煮沸後、 ゆるやかに温度を下げて相補鎖同士をァニー リングさせてから用いた。
(基質 MA配列)
5'- B iot in-ACC CTT TTA GTC AGT GTG GAA AAT GTC TAG CAG T- 3' (配列番号 :
3 6 )
3'- GAA AAT GAG TCA CAC CTT TTA GAG ATC GTC Α-5' (配列番号 :
3 7 )
(夕一ゲヅ ト DNA配列)
5'- TGA CCA AGG GCT AAT TCA CT-Dig-3' (配列番号 : 3 8 )
3'-Dig-ACT GGT TCC CGA TTA AGT GA -5, (配列番号 : 3 9 )
( 2 ) 阻害率 (IC5G値) の測定
Streptavidin (Vector Laboratories社製) を 0.1 M炭酸バッファー液 (組成 : 90 mM Na2C03, 10 mM NaHC03 ) に溶かし、 濃度を 40〃g/mlにした。 この溶液、 各 50〃1をィムノプレート (NUNC社製) のゥエルに加え、 4°Cで一夜静置、 吸着させ る。 次に各ゥエルを燐酸バッファー (組成 : 13.7 mM NaCl, 0.27 mMKCl, 0.43 mM Na2HP04, 0.14 mM KH2P04) で 2回洗浄後、 1 % スキムミルクを含む燐酸バッファ ― 300^1 を加え、 30分間ブロッキングした。 さらに各ゥエルを燐酸バヅファー で 2回洗浄後、 基質 DNA溶液 (Zpmol/ l) 50〃 1 を加え、 振盪下、 室温で 30分 間吸着させた後、 燐酸バッファ一で 2回、 次いで蒸留水で 1回洗浄した。
次に上記方法で調製した各ゥエルに、 バッファ一 (組成: 150 mMM0PS (pH7.2), 75 mM MnCl2, 50 mM 2-mercaptoethanol, 25% glycerol, 500 ju g/ml bovine serum albumin -fraction V) 12〃 1、 ターゲヅ ト DNA (5 pmol/, ΐ) 1 il および蒸留水 32 lから調製した反応溶液 45 1を加えた。さらに各ゥエルに被検化合物の DMS0 溶液 6〃1 を加え、 ポジティブコントロール(PC)としてのゥエルには、 DMS06〃1 を加える。 次に耐性インテグラ一ゼ溶液 (30 pmol) 9〃1を加え、 良く混合した。 ネガティブコン トロール (NC) としてのゥエルには,希釈液 (組成: 20 mM M0PS (pH7.2), 400 mM potassium glutamete, 1 mM EDTA, 0.1% NP-40, 20¾ glycerol, 1 mM DTT, 4 M urea) 9〃1 を加えた。
各プレートを 30 °Cで 1時間インキュベート後、 反応液を捨て、 燐酸バッファ —で 2回洗浄した。 次にアル力リフォスファターゼ標識した抗ジゴキシゲニン抗 体 (ヒヅジ Fabフラグメント : ベーリンガー社製) を 100〃1加え、 30 °Cで 1時 間結合させた後、 0.05 % Tween20 を含む燐酸バッファ一で 2回、 燐酸バッファ —で 1回、 順次洗浄した。 次に、 アルカリフォスファタ一ゼ呈色バッファ一 (組 成: 10 mMパラ二トロフエニルホスフェート(Vector Laboratories社製), 5 mM MgCl2, 100 mM NaCl, 100 mM Tris-塩酸(pH 9.5)) を 150〃 1 加えて 30 °Cで 2時間反応 させ、 1 N NaOH溶液 50〃1 を加え反応を止めた後、 各ゥエルの吸光度 (0D405nm) を測定し、 以下の計算式に従い阻害率を求めた。
阻害率 (%) =100[1-{(G abs.- NC abs.) / (PC abs.- NC abs.)}]
C abs . ;化合物のゥエルの吸光度
NC abs . : NCの吸光度
PC abs . : PCの吸光度
なお、 IC50値は、 上記の阻害率を用いて以下の計算式で求められる。 すなわち 阻害率 50 %をはさむ 2点の濃度において、 x g/mlの濃度で阻害率 X %、 μ. g/mlの濃度で阻害率 Y %をそれぞれ示す時、 IC50 ( U g/ml) = x-{(X-50)(x- y)/(X-Y)} となる。 実施例 7 HI V変異株を使用したアツセィ
( 1 ) HIV変異株持続感染ヒ ト T細胞株 Molt-4clone8を 10%牛胎児血清添加 R PMI— 1640培地で培養し、 上清を濾過してウィルスの力価を測定し、 —80°Cで保 存した。 他方、 被検化合物を上記の培養培地で所定の濃度になるように希釈し、 9 6穴マイクロプレートに 100〃1ずつ分注する。次に MT-4細胞浮遊液を 50〃1 (2. 5 X 104細胞)ずつを分注し、更に上記 HI V含有上清を上記の培養培地で希釈したも のを 50〃 1 (600pfu (plaque forming unit))ずつ加えた。
( 2 ) 炭酸ガス培養器内で 37°Cで 5日間培養した後、全てのゥヱルに MTT (3 一 (4, 5 -ジメチルチアゾールー 2—ィル)一 2, 5—ジフエ二ルテトラゾリゥムブロマ ィ ド) 5mg/ml, PBS)を 30〃1ずつ加え、 更に 1時間培養した。 このとき、 生存する 細胞は MTTを還元してフオルマザンを析出させる。全てのゥヱルから培養上清を 150〃1ずつ取り除き、 代わりに 150〃1の溶解液 (10%ト リ トン X— 100及び 0.4% (V/V) HC1添加イソプロパノール)を加え、 プレートミキサーで振とう してフオル マザンを溶出した。 フオルマザンを OD560nmで測定し、 結果を被対照と比較し た。 ウィルスによる細胞障害を 50%抑制する化合物濃度を EC50とした。
( 3 ) 上記 ( 1 ) において、 HIV含有上清(ウィルス液)の代わりに各ゥヱルに培 養培地 50〃1ずつ加え、 ( 2 ) と同様に処理し化合物の細胞毒性を調べた。 化合 物による細胞毒性が 50%である化合物濃度を CC5()とした。
産業上の利用可能性
本発明の HIVまたは HIVィンテグラ一ゼは、 薬剤耐性 HIVに対する阻害剤のァ ヅセィ法に使用することができ、 有用である。 また、 本発明の HIVインテグラー ゼをコードする核酸またはそれらを含む核酸配列に相補的なプロ一ブまたはプラ イマ一は、 薬剤耐性 HIV検出法に使用することができ、 有用である。