JP2005168329A - Nadphオキシダーゼ活性を阻害するポリペプチド - Google Patents

Nadphオキシダーゼ活性を阻害するポリペプチド

Info

Publication number
JP2005168329A
JP2005168329A JP2003409282A JP2003409282A JP2005168329A JP 2005168329 A JP2005168329 A JP 2005168329A JP 2003409282 A JP2003409282 A JP 2003409282A JP 2003409282 A JP2003409282 A JP 2003409282A JP 2005168329 A JP2005168329 A JP 2005168329A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protein
phox
polypeptide
nadph oxidase
amino acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003409282A
Other languages
English (en)
Inventor
Fuyuhiko Inagaki
冬彦 稲垣
Shukichi Hashida
修吉 橋田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hokkaido University NUC
Original Assignee
Hokkaido University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hokkaido University NUC filed Critical Hokkaido University NUC
Priority to JP2003409282A priority Critical patent/JP2005168329A/ja
Publication of JP2005168329A publication Critical patent/JP2005168329A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】 慢性肉芽症、慢性リウマチや脊椎関節症等を引き起こす、炎症の一原因となる食細胞における活性酸素の異常発生を抑えるため、NADPHオキシダーゼの阻害活性を有するポリペプチドを提供する。
【解決手段】 以下のa)又はb)の蛋白質。a)特定のアミノ酸配列からなる蛋白質、b)上記アミノ酸配列において、1またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、又は付加されており、かつp47phos蛋白質に結合することのできる蛋白質。
【選択図】なし

Description

本発明は、白血球細胞のNADPHオキシダーゼ活性を阻害することのできる新たなポリペプチドとそれをコードする遺伝子に関する。
白血球は細菌やウイルスの感染から生体を防御する細胞であり、好中球、好酸球、好塩基球、単球(およびその組織型であるマクロファージ)、リンパ球などの細胞が存在する。特に好中球、好酸球、単球は食細胞とも呼ばれ、普段は休止状態にあるが、病原性微生物が生体内に侵入してくると、そこへすみやかに遊走して、微生物を認識して貪食、殺菌を行う食作用を有している。食細胞が働いているときは、血管の透過性の昂進や血球および血漿の局所への集積など、組織反応を伴う複雑な現象が起きて、結果的に炎症となる。つまり食細胞による生体防御は炎症の本態といえる。
食細胞による殺菌は主に、病原性微生物を取り込んで形成された食胞内で行われる。食胞内での殺菌においては、NADPHオキシダーゼという酵素が関与した活性酸素発生系により生じた活性酸素が、微生物の貪食・殺菌作用としての免疫には重要な機構である。
しかし、このシステムに異常をきたすと、重篤な感染症を繰り返す慢性肉芽症、慢性関節リウマチ、脊椎関節症などの様々な疾患を引き起こすことが知られている。このような炎症性難治疾患にはまだ十分な治療法がなく、新たな治療法や治療薬の開発が期待されている。本発明は、炎症の一原因となる食細胞における活性酸素の異常発生を抑制する新たな物質を提供するものである。
本発明は、活性酸素発生系に関与するNADPHオキシダーゼという酵素を構成する蛋白質の相互作用の研究の過程で、このNADPHオキシダーゼ活性を強く阻害するポリペプチドを見いだし、本発明を完成した。
すなわち本発明は、以下のa)又はb)の蛋白質;
a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、又は付加されており、かつp47phos蛋白質に結合することのできるポリペプチドに関する。また、本発明は、上記ポリペプチドをコードするDNAも提供し、かかる遺伝子は上記ポリペプチドのアミノ酸配列に基いて定まる核酸配列からなるものである。また、本発明はさらに、上記ポリペプチドを含有する抗炎症活性を有する医薬も提供する。
以下、本発明のポリペプチドについて更に説明する。
NADPHオキシダーゼは細胞質のNADPHから電子を受け取り、それを酸素分子に渡してO2 -を生成する酵素であり、電子伝達を担う細胞膜貫通型蛋白質チトクロームb558(cyt b558)と、細胞質因子と呼ばれるp67phox、p47phox、p40phox、および低分子GTP結合蛋白質Racとから成る、多成分酵素である(肩文字のphoxはファゴサイト(phagocyte) オキシダーゼを、数字は分子量(kDa)を意味する)。
cyt b558はさらにgp91phoxとp22phox の2つのサブユニットから成る。gp91phoxは2つのヘムと1つのフラビン(FAD)を持ち、NADPH→FAD→ヘム→酸素分子というオキシダーゼ活性(O2 -生成)に必要な電子伝達系をすべて含んでいる。一方のp22phoxはgp91phoxの安定化に必要であり、後述のように細胞質因子と結合して、アンカーとしての役割を持つ。
NADPHオキシダーゼによって生成されたO2 (スーパーオキシド、活性酸素)は、非酵素的に過酸化水素(H2O2)やヒドロキシラジカル(OH・)となり、ヒドロキシラジカルはさらにミエロペルオキシダーゼによって次亜塩素酸(HOCl)となって、強力な殺菌作用を発揮する。
休止状態の細胞では上記の電子伝達は全く行われず、O2 は生成されない。NADPHオキシダーゼのcyt b558を活性化してO2 生成の電子伝達を引き起こすためには、一群の細胞質因子が細胞質から膜へと移行し、cyt b558と相互作用することが必要である(図1)。この活性化には主に2つのスイッチがあるといわれている。
1つは細胞質因子であるRacの活性化(GDP型からGTP型への変換)と細胞膜への移行である。Racは細胞休止時にはGDP型として細胞質に存在するが、活性化してGTP型になると、p67phoxのTPR(tetratricopeptide repeat)ドメインを認識して結合し、細胞膜へと移行し、活性型NADPHオキシダーゼの構成成分となる。
もう1つのスイッチは細胞質因子であるp47phoxの構造変化と細胞膜への移行である(図2)。p47phoxは図2左に示したようなドメイン配置をした蛋白質で、そのSH3(src homology 3)ドメインが2つ並列に並んだ領域(SH3タンデムドメイン)が、p22phoxのPRR(proline rich region)と結合することが知られている。
細胞休止時には、p47phox のSH3タンデムドメインは、自身のN末端側PXドメインおよびC末端側poly basic regionの分子内相互作用により覆い隠された状態となっており、p22phoxのPRRと結合することができない。しかし細胞活性化時には、リン酸化とアラキドン酸によって分子内相互作用が壊され、SH3タンデムドメインがさらされるので、p47phoxはp22phoxのPRRと結合できるようになり、細胞質因子は膜へと移行し、活性型HADPHオキシダーゼの構成成分となる。
以上を纏めると次のように説明することができる。好中球活性酸素発生系の構成因子は、シグナルが伝達されない休息時には、細胞質因子p47phox、 p67phox、 p40phoxは三量体として細胞質に存在するが、貪食シグナルを受けとると、三量体の構造変化が誘起され、p47phoxに含まれるタンデムのSH3ドメインは閉構造より開構造に変化する(図2)。開構造に変化したタンデムSH3ドメインはp22phoxの細胞質側に存在するプロリンに富んだ領域と結合し、またp67phoxのTPRモチーフが活性化型のRacと結合することにより膜に移行し、cyt b558 を活性化して活性酸素を発生する(図1)。このように、p47phoxタンデムSH3とp67phox TPRモチーフは活性酸素の発生に重要な役割を果たしている。
本発明者らは、p47phoxのSH3 タンデムドメインとp22phoxとの相互作用に着目し、この両蛋白質の結合を抑制することでNADPHオキシダーゼの活性型の再構成を抑制し、活性酸素の発生を制御することを試みた。
p22phoxにおけるp47phoxのSH3 タンデムドメインとの結合部位を特定したところ、KQPPSNPPPRPPAEARKKPSというアミノ酸配列(PRR配列)部分が結合部位であることが分かった。さらに、このPRR配列からなる合成ペプチド(PRRペプチド)を用意したところ、意外にもかかるPRRペプチドは機能性ポリペプチドとして作用し、再構成したNADPHオキシダーゼのアッセイ系において、最大で89.4%のNADPHオキシダーゼ活性を阻害する機能を有していた。これは、p47phoxのタンデムSH3ドメインとの結合能がすでに報告されているPSNPPPRPP(Sumimoto, S.ら., J. Biol. Chem. 271, 22152-22158 (1996))に比べ、顕著に高い阻害能である。
p22phoxは膜蛋白であり、かつプロリン残基に富む領域である。一般にプロリンは他のアミノ酸に比べて特徴的なバックボーン構造をとることから、そのプロリンを多数含む比較的短鎖のアミノ酸配列が、単独で機能を有する生理活性ポリペプチドを構成することは予想外の結果であった。
また、このPRRペプチドによるNADPHオキシダーゼ活性の阻害は、p47phoxがp22phoxに結合する段階をブロックすることにより発揮されるものと想定されるが、既に再構成したNADPHオキシダーゼに対しても90%もの阻害活性を示す点は注目に値する。すなわち、短鎖のポリペプチドの形態とすることで、膜に組み込まれた状態の天然のp22phoxに比して、より高いp47phoxへの結合能を獲得していると考えられる。この点もまた予期せぬことであった。
なお、本発明のポリペプチドは、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの他に、配列番号1に示されるアミノ酸配列において1またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、又は付加されており、かつp47phos蛋白質に結合することのできるポリペプチドも包含する。すなわち、配列番号1に示されたアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列からなるものの、依然としてp47phos蛋白質に結合することのできるポリペプチドを含むものである。
一般に、ポリペプチドを構成するアミノ酸残基側鎖は、疎水性、電荷、大きさなどにおいてそれぞれ異なるが、実質的に蛋白質の機能に影響を与えないという意味で保存性の高い幾つかの関係が知られている。例えば、アミノ酸残基の置換については、グリシン(Gly)とプロリン(Pro)、Glyとアラニン(Ala)またはバリン(Val)、ロイシン(Leu)とイソロイシン(Ile)、グルタミン酸(Glu)とグルタミン(Gln)、アスパラギン酸(Asp)とアスパラギン(Asn)、システイン(Cys)とスレオニン(Thr)、Thrとセリン(Ser)またはAla、リジン(Lys)とアルギニン(Arg)、等が挙げられる。
従って、配列番号1に示したアミノ酸配列に置換、挿入、欠失等が生じた場合でも、その結果として本発明のポリペプチドのp47phos蛋白質に結合するという活性を有する蛋白質であれば、これらは本発明の範囲内にあるものと言うことができる。
このようなアミノ酸の改変は、当業者に公知の方法である組換遺伝子手法を用いた部位特異的変異法その他の方法を利用して、人為的に行うことができる。アミノ酸の改変部位および個数は、ポリペプチドがp47phos蛋白質に結合する活性を保持する限り特に制限はないが、変異個数は10アミノ酸以内、好ましくは数個である。
また、本発明は上記で述べたポリペプチドをコードするDNAの塩基配列も提供する。かかる塩基配列は、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列を特定した後に、用いる宿主に好適なコドンの選択、mRNAの二次構造の形成、適当な制限酵素認識部位の導入あるいは削除などを考慮しながら決定すればよい。その様な考慮すべき事項あるいは具体的な塩基配列の決定は、全て当業者が通常の操作の範囲内で容易に行うことができる。
また、本発明のポリペプチドは、医薬特にNADPHオキシダーゼが関与する炎症反応を抑制する抗炎症薬としても用いることができる。本発明のポリペプチドは、NADPHオキシダーゼ活性を特異的にかつ効率的に阻害することができるので、NADPHオキシダーゼの関与する活性酸素発生による炎症反応を抑制することができる。特に、本発明のポリペプチドは、比較的短鎖のポリペプチドであるために100以上ものアミノ酸残基からなる分子量の高い生理活性蛋白質に比べて安定性、生体吸収性に優れていることから、医薬としての剤型の選択に格別の制限が無く、また薬理活性の面でも有効である。
本発明のポリペプチドは、生体内で既に機能しているNADPHオキシダーゼを有効に阻害することが出来、簡便に活性酸素発生を制御することができる。また比較的短鎖のポリペプチドであることから、その製造が容易であり、容易に注射剤、経口投与剤、経皮投与剤等の様々な剤型に加工することができる。
本発明のポリペプチドは、一般的に用いられているペプチドシンセサイザーを用いて簡便に調製することができる。また、これを工業的生産規模に拡大することも、ポリペプチドを大量に合成するための一般的な方法に基いて行えばよく、特別な操作は必要としない。
また、本発明のポリペプチドは、一般に用いられている遺伝子組換え手法を用いても容易に調製することができる。すなわち、本発明のポリペプチドをコードする核酸配列をDNAシンセサイザー等の機器を用いて調製し、適当な宿主ベクター系を用いて微生物細胞、動物細胞、昆虫細胞等を用いて発現させる、あるいは小麦胚芽の無細胞系蛋白質発現系で合成するなどで調製することができる。
また目的とするポリペプチドにヒスチジン残基からなるタグ(His-tag)を付し、Ni-NTAアフィニティークロマトグラフィーを用いることで、目的とする蛋白質の精製が容易となるが、この様な操作も当業者に一般的な手法に従えばよく、特に限定はされない。
本発明のポリペプチドを医薬として臨床的に用いる場合は、その投与形態にあわせて薬学的に許容される添加剤を加え各種製剤とすることができる。該薬学的に許容される添加剤としては、製剤分野において通常用いられる各種の添加剤が使用可能であり、例えば、ゼラチン、乳糖、白糖、酸化チタン、澱粉、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、マイクロクリスタリンワックス、白色ワセリン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水リン酸カルシウム、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ソルビトール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、タルク、植物油、ベンジルアルコール、アラビアガム、プロピレングリコール、ポリアルキレングリコール、シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピルシクロデキストリン等が挙げられる。これらの添加剤との混合物として製剤化される剤形としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤等の固形製剤;または例えばシロップ剤等の液体製剤が挙げられ、これらは、製剤分野における通常の方法によって調製することができる。
以下、本発明を、非限定的な実施例を示してさらに詳述する。
PRRペプチドの合成
配列番号1に示されたアミノ酸配列からなるペプチドを、ペプチドシンセサイザーを用いて合成し、高速液体クロマトグラフィー法を用いて95%以上の精製度の標品を得た。
<試験例>
1)NADPHオキシダーゼの再構成
NADPHオキシダーゼを、以下のa)〜c)に示す3種類の蛋白質を基に再構成した。
a)融合蛋白質(TVSR蛋白質)
p67phoxのRac蛋白質への結合ドメインであるTRPドメイン(配列番号2)とp47phoxのp22phoxへの結合ドメインであるSH3ドメイン(配列番号3)を特定のペプチド配列で連結させたTVSR蛋白質(配列番号4)を調製した。
表1に示した核酸配列からなるプライマーAとBを用い、p67phox全長遺伝子を鋳型としてPCRを行った。
Figure 2005168329
プライマーAには制限酵素Nde Iの認識配列、プライマーBにはVPPペプチドの遺伝子配列が含まれており、結果として5’末端にNde Iサイト、3’末端にVPPペプチドの遺伝子配列があるTPRドメインの遺伝子をPCR産物として得ることができる。
同時に、プライマーCとDを用いてp47phox全長遺伝子を鋳型としてPCRを行った。プライマーCにはVPPペプチドの遺伝子配列、プライマーDにはRHYペプチドの遺伝子配列、ストップコドン、および制限酵素Eco RIの認識配列が含まれており、結果として5’末端にVPPペプチドの遺伝子配列、3’末端にRHYペプチドの遺伝子配列、ストップコドン、Eco RIの認識配列を持つ、SH3タンデムドメインの遺伝子をPCR産物として得ることができる。
この2つのPCR産物を混ぜ、98℃15秒間熱変性し、74℃まで温度を下げ、DNA ポリメラーゼで伸長反応を行った。この反応産物をさらに鋳型としたPCR反応を、プライマーAとDを用いて行った。このようにして得られた5’-TPR-VPP-SH3タンデム-RHY-3’遺伝子は、Nde I-Eco RIサイトで開環させた蛋白質発現用ベクターpET28a (Novagen)にクローニングした。
このプラスミドで大腸菌BL21 (DE3)を形質転換し、LB培地で培養し、波長600nmにおける吸光度が0.5のときに、1 mM IPTGを添加して25℃で蛋白質発現を誘導した。遠心機で集菌し、細胞を超音波破砕し、再度遠心して溶菌液を回収した。そのあとNi-NTAカラム(QIAGEN)を用いてヘキサ−ヒスチジンタグ(hexa-histidine tag、His-tag)によるアフィニティー精製を行い、溶出液をSuperdex 75カラム(Amersham Bioscience)でゲルろ過精製し、これを最終精製物とした。この操作により、LB培地1Lあたり、およそ100mg のTVSR蛋白質を得た。
b)Rac2
Rac2活性型ドメイン(dominant active)体Q61Lを、His-tag融合蛋白質としてTVSR蛋白質と同様に宿主大腸菌を用いて発現、精製を行った。
c)ブタ由来チトクロームb558(cyt b558
ブタ末梢血液から、ポリビニルピロリドン沈殿法およびFicoll-Paque遠心法によって好中球を得た。好中球はリン酸緩衝液(PBS)に懸濁させ、プロテアーゼ阻害剤1 mM フェニルスルホニルメチルフルオライド(PMSF)、1 mM EGTA、1 mM MgCl2、1 mM NaN3を加えて超音波破砕を行った。破砕後は遠心で未破壊細胞などを除き、その後100、000×gの遠心で、上清の細胞質と、ペレットの膜蛋白質に分離した。cyt b558を含む膜蛋白質は界面活性剤ヘプチルD-チオグルコシド(HTG)で可溶化し、イオン交換クロマトグラフィーにてイオン性で膜に結合している夾雑物を除き、精製cyt b558を得た。
2)細胞フリー系アッセイによる再構成NADPHオキシダーゼのアッセイ
NADPH オキシダーゼの活性評価は、SOD-inhibitable cytochrome c reduction methodによって行った(Fujii, H., and Kakinuma, K.(1991) Biochim. Biophys. Acta 1095, 201-209)。
1 pmolの精製cyt b558と500 pmolのTVSR蛋白質、800 pmolのRac2、10 pmolのFADをキュベット中で混合した。1分間20 pmolのGTP-γ-Sで処理した後、12.5 nmolの飽和脂肪酸ミリステートで5分間活性化した。活性化後、チトクロームcを50 pmol、反応溶液が800 μLになるようにリン酸緩衝液(50 mM phosphate、pH 7.4、1 mM EGTA、1 mM NaN3、1 mM MgCl2)を加えた。
150 μMのNADPHを添加して反応を開始させると、O2 が発生し、それがチトクロームcを還元することで波長550 nmにおける吸光度が増大するので、それを測定することで再構成したNADPH オキシダーゼの活性を評価した。この測定において本当にチトクロームcを還元しているのがO2なのかは、最後にスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)を加えて吸光度の増加が止まるかどうかで判断できる。
その結果、このTVSR蛋白質は、基本的にはp67phoxとp47phoxの、NADPH オキシダーゼ活性に最低限必要な部分だけを抽出して融合させた蛋白質であるが、これとRac2、cyt b558で再構成したNADPH オキシダーゼは、インビトロで非常に高い活性を示した(図3)。天然の細胞質因子を用いると、30 (mol/sec/mol of heme)前後が限界であるのに対し、倍以上の活性を持っている。
3)PRRペプチドによる再構成NADPH オキシダーゼの活性阻害
2)において再構成した500 pmolのTVSR蛋白質を有するNADPH オキシダーゼにPRRペプチドを加え、室温で10分間インキュベーションし、PRRペプチドによるNADPH オキシダーゼ活性の阻害効果を確認した。
PRRペプチドを加えないときの反応速度をv0、PRRペプチドを加えたときの反応速度をviとしたとき、[PRRペプチド]/[TVSR蛋白質]に対するvi / v0をプロットしたものである。その結果、PRRペプチドを加えることにより、NADPH オキシダーゼ活性は約9割の活性が阻害された。
食細胞NADPHオキシダーゼの活性化機構を模式的に表す。 p47phox の活性化機構を模式的に表す。 再構成したNADPHオキシダーゼ のTVSR 蛋白質濃度依存的な活性発現を示す。

Claims (3)

  1. 以下のa)又はb)の蛋白質
    a)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる蛋白質
    b)配列番号1に示されるアミノ酸配列において、1またはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失、又は付加されており、かつp47phos蛋白質に結合することのできる蛋白質。
  2. 請求項1に記載の蛋白質をコードするDNA。
  3. 請求項1に記載の蛋白質を含有する医薬。
JP2003409282A 2003-12-08 2003-12-08 Nadphオキシダーゼ活性を阻害するポリペプチド Pending JP2005168329A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003409282A JP2005168329A (ja) 2003-12-08 2003-12-08 Nadphオキシダーゼ活性を阻害するポリペプチド

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003409282A JP2005168329A (ja) 2003-12-08 2003-12-08 Nadphオキシダーゼ活性を阻害するポリペプチド

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005168329A true JP2005168329A (ja) 2005-06-30

Family

ID=34730717

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003409282A Pending JP2005168329A (ja) 2003-12-08 2003-12-08 Nadphオキシダーゼ活性を阻害するポリペプチド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005168329A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012102256A (ja) * 2010-11-11 2012-05-31 Mitsubishi Gas Chemical Co Inc 炭化水素系冷媒バリア性に優れた樹脂製部品
JP2012102258A (ja) * 2010-11-11 2012-05-31 Mitsubishi Gas Chemical Co Inc 芳香族炭化水素バリア性に優れた包装用材料
WO2013074816A2 (en) * 2011-11-15 2013-05-23 University Of Pittsburgh - Of The Commonwealth System Of Higher Education Novel inhibitors of nox1
EP2752196A1 (en) * 2013-01-03 2014-07-09 Université Bordeaux Segalen Selective nox-1 inhibitor peptides and uses thereof

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012102256A (ja) * 2010-11-11 2012-05-31 Mitsubishi Gas Chemical Co Inc 炭化水素系冷媒バリア性に優れた樹脂製部品
JP2012102258A (ja) * 2010-11-11 2012-05-31 Mitsubishi Gas Chemical Co Inc 芳香族炭化水素バリア性に優れた包装用材料
WO2013074816A2 (en) * 2011-11-15 2013-05-23 University Of Pittsburgh - Of The Commonwealth System Of Higher Education Novel inhibitors of nox1
WO2013074816A3 (en) * 2011-11-15 2013-08-15 University Of Pittsburgh - Of The Commonwealth System Of Higher Education Novel inhibitors of nox1
US9187528B2 (en) 2011-11-15 2015-11-17 University of Pittsburgh—of the Commonwealth System of Higher Education Inhibitors of Nox1
US9770481B2 (en) 2011-11-15 2017-09-26 University of Pittsburgh—of the Commonwealth System of Higher Education Inhibitors of NOX1
EP2752196A1 (en) * 2013-01-03 2014-07-09 Université Bordeaux Segalen Selective nox-1 inhibitor peptides and uses thereof
WO2014106649A1 (en) * 2013-01-03 2014-07-10 Universite Bordeaux Segalen Selective nox-1 inhibitor peptides and uses thereof

Similar Documents

Publication Publication Date Title
DeLeo et al. Assembly of the phagocyte NADPH oxidase: molecular interaction of oxidase proteins
Clark Activation of the neutrophil respiratory burst oxidase
US8912147B2 (en) Mitochondrial proteins constructs and uses thereof
US20190248846A1 (en) Mitochondrial proteins constructs and uses thereof
WO2006011485A1 (ja) アミロイドペプチドの凝集を抑制する蛋白質とその作用
JP7270085B2 (ja) ナノ粒子製剤
US20210395713A1 (en) Deimmunized lysostaphin and methods of use
Cerreto et al. Natural phenylalanine hydroxylase variants that confer a mild phenotype affect the enzyme's conformational stability and oligomerization equilibrium
US9926345B2 (en) Compositions and methods for treating or preventing Clostridium infection
JP2005168329A (ja) Nadphオキシダーゼ活性を阻害するポリペプチド
JP2012518417A (ja) Pa−cardを用いて癌を予防及び/又は治療するための組成物及び方法
US8440788B2 (en) N-terminal VDAC variants and uses thereof
US7335758B2 (en) Catalytic domain of ADAM33 and methods of use thereof
US20070202118A1 (en) Novel peroxiredoxin defense system from mycobacterium tuberculosis
JP2012511309A (ja) Ec−sodのカルボキシル末端のアポプチンタンパク質導入ドメインの融合蛋白質
KR20200018123A (ko) 폐렴구균의 독소-항독소 체계를 표적으로 하는 항생 펩타이드 및 이의 용도
JP2021080171A (ja) 改変タンパク質、医薬品、炎症性疾患の予防又は治療剤及び改変タンパク質の製造方法
US20230181672A1 (en) Aberrant post-translational modifications (ptms) in methyl- and propionic acidemia and a mutant sirtuin (sirt) to metabolize ptms
US20200140843A1 (en) Method for monomerizing matrix metalloproteinase 7 (mmp-7) aggregate
US7285408B2 (en) Crystalline form of an n231 mutant catalytic domain of ADAM33 and methods of use thereof
JP2005168328A (ja) シグナル伝達活性を有する細胞質蛋白質の活性制御方法
WO2005030255A1 (ja) CREBL1、ATF6およびHNF-4αのうちの少なくとも1のHtrA2による分解を阻害することによる糖尿病の治療方法
IL194466A (en) Variants of the V-N terminal of VDAC and their use
Quinn et al. Reconstitution of defective respiratory burst activity with partially

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20060531

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060814

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20090305

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20090309

RD14 Notification of resignation of power of sub attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7434

Effective date: 20090316

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090603

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20091104