明細書 セルロースァシレートフィルムの製造方法 [技術分野]
本発明は、 セルロースァシレートフィルムの製造方法に関する。 [従来技術]
セルロースァシレートフィルムは、 その強靭性と難燃性、 光学的等方性から各 種の写真材料や光学材料に用いられている。 これらのセルロースァシレートフィ ルムは、 一般にソルベントキャスト (溶液製膜) 法により製造する。 即ちセル口 一スァシレートを溶解した溶液 (ドープ) を支持体上に流延し、 溶媒を蒸発させ てフィルムを形成する。 従来溶媒にはジククロロメタンを 7 O wt%以上含むと塩 素系溶剤が用いられてきた。 し力 しこれらの塩素系溶剤は環境保護の観点から非 塩素系他溶剤への置き換えが検討されてきた。 例えば、 アセトン、 酢酸メチル、 テトラヒドロフラン、 1, 3—ジォキソラン、 ニトロメタン、 1, 4ージォキサ ン、 ェピクロルヒドリン、 N—メチルピロリ ドンなどが知られている。 しかし、 これらの溶剤は、 十分な高濃度で溶解できなかったり、 沸点が高すぎ乾燥できな かったり、 乾燥中に過酸化物を生成し易く爆発の危険があったりし、 実用的では なかった。
[発明の要旨]
本発明の目的は、 セルロースァセテ一トが実質的に非塩素系溶媒に溶解された 溶液の経時安定性を改善し、 レターデーション斑が発生し難いセルロースァシレ 一トフイルムの製造方法を提供することである。
本発明は、 セルロースァシレートを実質的に非塩素系溶剤から構成される主溶 剤とアルコールとの混合溶剤に溶解後、 製膜することを特徴とするセルロースァ シレートフィルムの製造方法であって、 該主溶剤が 1 6乃至 2 3の範囲の溶解度 パラメータを有し、 アルコールが 2 0乃至 3 0の溶解度パラメータを有すること
を特徴とするセルロースァシレートフィルムの製造方法を提供する。
本発明のセルロースァシレートフィルムの製造方法における好ましい態様は、 下記の通りである。
(1) 該主溶剤が実質的に炭素原子数 3以上 12以下の単一または複数の混合 ?容剤からなり、 かつ分子中に含酸素官能基を少なくとも 1つ以上有する溶剤であ ること。
(2) 該含酸素含有基がエーテル基、 カルボニル基、 エステル基のいずれかよ り選択.される官能基であること。
( 3 ) 該混合溶剤が 60乃至 98質量%の主溶剤と 40乃至 2質量%のアルコ ールとから構成されること。
(4) 主溶剤、 およびアルコールの沸点が 250 °C以下であること。
(5) 該セルロースァシレートが、 式 (I) 〜 (IV) 全てを満足するようにセ ルロースの水酸基が置換されていること。
(I) 2. 6≤A+B≤ 3. 0
(II) 2. 0≤A≤ 3. 0
(III) 0≤B≤0. 8
(IV) 1. 9ぐ A— B
[式中、 Aおよび Bは、 セルロースの水酸基に置換されているァシル基の置換基 であって、 Aはァセチル基の置換度、 Bは炭素原子数 3〜 5のァシル基の置換度 である] 。
(6) セルロースァシレートがセルロースアセテートであること。
(7) セルロースァシレートの溶解が、 一 80°C以上 0°C以下に冷却する工程 を含むこと。
(8) 該セルロースァシレートの溶解が、 40°C以上 200°C以下に加熱する 工程を含むこと。
(9) 前記の (7) もしくは (8) において、 主溶剤の 3〜30質量%が、 炭 素原子数 4〜12のケトン類であること。
(1 0) 溶解後のセルロースァシレート溶液の慣性自乗半径が 40〜 200 n
mであること。
セルロースァシレートを実質的に非塩素系溶剤から構成される主溶剤とアルコ ールとの混合溶剤に溶解後、 製膜することを特徴とするセルロースァシレートフ イルムの製造方法において、 主溶剤の溶解度パラメータを 1 6乃至 2 3の範囲に 、 そして、 アルコールの溶解度パラメータを 2 0乃至 3 0に調節することにより 、 セルロースァシレート溶液の経時安定性が改善され、 フィルムの機械特性、 光 学特性に問題のないセルロースァシレートフィルムを提供することができる。
[発明の詳細な説明]
本発明に用いられるセルロースァシレート原料のセルロースとしては、 綿花リ ンタ一や木材パノレプなどがあるが、 何れの原料セルロースから得られるセノレロー スァシレートでも使用できるし、 混合して使用してもよい。 これらのセルロース から得られる本発明のセルロースァシレートは、 セルロースの水酸基への置換度 が上記式 (I ) 〜 (IV) の全てを満足するものである。
ここで、 式中 A及ぴ Bはセルロースの水酸基に置換されているァシル基の置換 基を表し、 Aはァセチル基の置換度、 また Bは炭素原子数 3〜 5のァシル基の置 換度である。 セルロースには 1グルコース単位に 3個の水酸基があり、 上記の数 字はその水酸基 3 . 0に対する置換度を表すもので、 蕞大の置換度が 3 . 0であ る。 なお、 置換度はセルロースの水酸基に置換する酢酸及び炭素原子数 3〜 5の 脂肪酸の結合度を測定し、 計算によって得られる。 測定方法としては、 A S TM の D— 8 1 7 - 9 1に準じて実施することが出来る。
B = 0のものは、 トリァセチルセルロース (T A C) と呼ばれ、 一方 B > 0の ものをセルロース混合脂肪酸エステルとも呼ばれている。 より好ましくは T A C である。
丁 A Cは式 (V) および (VI) を満足するものである。
(V) 2 . 6≤A≤ 3 . 0
(VI) 0 = B
セルロース混合脂肪酸エステルはァセチル基の他に炭素原子数 3〜 5のァシル 基を含むものであり、 好ましいものとしてプロピオニル基 (C 2 H5 C O—) 、
ブチリル基 (C3 H7 CO—) (n―、 i s o—) 、 ノ レリル基 (C4 H9 CO 一) (n—、 i s o—、 s e c—、 t e r t— ) が好ましく、 特に n—プロピオ ニル基が好ましい。
これらのァシル基のァシルイヒ剤としては、 酸無水物や酸クロライドである場合 は反応溶媒としての有機溶媒は、 有機酸、 例えば酢酸ゃメチレンクロライド等が 使用される。 触媒としては、 硫酸のようなプロトン性触媒が好ましく用いられる 。 ァシル化剤が酸クロライド (例えば CH3 CH2 COC 1 ) の場合には塩基性 化合物が用いられる。 工業的な最も一般的な方法は、 セルロースをァセチル基及 ぴ他のァシル基に対応する脂肪酸 (酢酸、 プロピオン酸、 酪酸、 吉草酸) 又はそ れらの酸無水物 (無水酢酸、 無水プロピオン酸、 無水酪酸、 無水吉草酸) を含む 混合有機酸成分でァシル化してセルロースァシレートを合成する。 具体的な製造 方法については、 例えば、 特開平 1 0— 45804号公報に記載されている方法 により合成出来る。
本発明のセルロースァシレートの重合度 (粘度平均) は 200〜700が好ま しく、 より好ましく 250〜 550、 さらに好ましくは 250〜 350である。 これにより機械的強度を満足することができる。 なお、 粘度平均重合度はォスト ワルド粘度計で測定することができ、 測定されたセルロースァシレートの固有粘 度 [η] から下記式により求められる。
DP= [ ] /Km (式中 DPは粘度平均重合度、 Kmは定数 6 X 1 0一4) 本発明では、 このような組成のセルロースァシレートを実質的に非塩素系溶剤 から構成される主溶剤とアルコールとの混合溶剤に溶解した溶液 (ドープ) を作 り、 これを流延して製膜する。
ここで、 実質的に非塩素系溶剤とは、 構造式中に塩素原子を 1つ以上含む溶剤 の含率が 0vol%以上 40vol%以下、 より好ましくは 0vol%以上 1 5vol%以下 、 さらに好ましくは 0vol%である。 構造式中に塩素原子を 1つ以上含む溶剤とし て、 炭素原子数が 1〜 7のハロゲン化炭化水素が挙げられ、 具体的にはジクロ口 メタン、 ジクロロェタン、 クロ口ベンゼン等が挙げられる。
溶剤の 60 vol%以上 100 vol%以下、 より好ましくは 85 vol%以上 10〇 v ol%以下、 さらに好ましくは 1 00vol%を占める主溶剤である非塩素系溶剤は、
炭素原子数 3以上 1 2以下の溶剤からなり、 かつ分子中にエーテル基、 カルボ二 ル基 (ケトン) 、 エステル基を少なくとも 1つ以上有する溶剤の少なくとも 1種 類をもちいるのが好ましい。 これらのエーテル、 ケトンおよびエステルは、 直鎖 構造、 分枝構造をでも、 環状構造でもよい。 エーテル、 ケトンおょぴエステルの 官能基 (すなわち、 —〇一、 一 CO—おょぴー COO—) のいずれかを二つ以上 有する化合物も用いることができる。
次に、 溶剤の溶解度パラメータについて記載する。 溶解度パラメータは、 液体 のモル蒸発熱を ΔΗ、 モル体積を Vとするとき (ΔΗΖν) 1/2 で定義される量 であり、 溶解度は両者の溶解度パラメータの差が小さいほど大きくなる。
溶解度パラメータについて記載された書籍は多数ある力 例えば】. Brandrup, E. Hらの Polymer Handbook (fourth edition) , VII/ 67 l〜VII/7 14に詳細 に記載されている。
本発明における溶剤として、 炭素原子数が 3〜1 2のエーテル類の例には、 ジ ブチルエーテル (溶解度パラメータ 1 6. 0) 、 ジメ トキシメタン (24. 0) · 、 ジメ トキシェタン (23. 3) 、 1, 4一ジォキサン (1 9. 6) 、 1, 3— ジォキソラン (1 9. 8) 、 テトラヒ ドロフラン (1 9. 4) 、 ァニソール (1 9. 4) およびフエネトール (1 8. 9) が挙げられる。
炭素原子数が 3〜1 2のケトン類の例には、 アセトン (20. 3) 、 メチルェ チルケトン ( 1 9. 0 ) 、 ジェチルケトン (1 8. 2) 、 ジィソブチルケトン ( 1 8. 0) 、 シクロペンタノン (20. 9) 、 シクロへキサノン (20. 3) お よびメチルシクロへキサノン (20. 1) が挙げられる。 主溶剤の 3〜 30質量 %は、 炭素原子数 4〜 1 2のケトン類、 例えばメチルェチルケトン、 ジェチルケ トン、 メチルイソプチルケトン、 シクロへキサノンであることが好ましい。
炭素原子数が 3〜1 2のエステル類の例には、 蟻酸ェチル (1 9. 2) 、 蟻酸 プロピル (1 8. 4) 、 蟻酸 n—ペンチル (1 8. 1) 、 酢酸メチル (1 9. 6) 、 酢酸ェチル (1 8. 2) および酢酸 n—ペンチル (1 7. 6) が挙げられる。
2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、 2—エトキシ酢酸ェチル (2 0. 2) 、 2—メ トキシエタノール (23. 3) および 2—ブトキシエタノール
(1 9. 4) 、 1, 2—ジァセトキシアセトン (2 1. 2) 、 ァセチノレアセトン
(2 1. 6) が挙げられる。
これらの溶媒は単独で用いても良く、 混合して用いても良い。
本発明の溶媒としては、 アルコールを併用.する。 アルコールは炭素数 1以上 8 以下のモノアルコール、 あるいはジアルコールが好ましく、 より好ましくはメタ ノール (29. 7) 、 エタノーノレ (26. 0) 、 1一プロパノール (24. 3) 、 2—プロパノール (23. 3) 、 1—ブタノール (23. 3) 、 2—ブタノ一 ル (22. 6) 、tert—ブタノール (21. 7) 、1一ペンタノール (21. 4) 、 2—メチルー 2—ブタノール (2 1. 1) 、 シクロへキサノール (23. 3) が挙げられる。 これらは単独で添加しても、 あるいは 2種以上混合して添加して も良い。 これらのアルコールは全溶媒中 2vol%以上 4 Ovol%以下、 より好ましく は 3 vol%以上 30 vol%以下、 さらに好ましくは 5 vol%以上 20 vol%以下である。 本発明における溶剤としては、 溶解度パラメータの観点とは別に、 酸素質量分 率の観点からも選択することができる。 溶剤の酸素分率は、 溶剤の分子量中にし める酸素の分子量を表したものであり、 溶剤中に含まれる酸素の割合を表したも のである。
セルロースァシレートは、 水酸基、 エーテル結合、 エステル結合、 カルボニル 基等を有するポリマーであり、 その溶解性は溶剤の酸素含率が大きく影響するこ とが本発明者らの鋭意検討により明らかとなった。 すなわち、 溶剤の酸素質量分 率が 0. 1〜0. 6の範囲にある場合に、 ポリマーと溶剤との親和性が高く溶解 性に優れることがわかった。
本発明における溶剤の酸素質量分率の値を以下に示す、 ジブチルエーテル (酸 素分率 0. 1 2) 、 ジメ トキシメタン (0. 42) 、 ジメ トキシェタン (0. 3 6) 、 1, 4—ジォキサン (0. 36) 、 1, 3, 5—トリオキサン (0. 53 ) 、 1, 3—ジォキソラン (0. 36) 、 テトラヒドロフラン (0. 22) 、 ァ 二ソール (0. 1 5) 、 フエネトーノレ (0. 1 3) 、 アセトン (0. 28) 、 メ チノレエチルケトン (0. 22) 、 ジェチノレケトン (0. 1 8) 、 ジイソプチルケ トン (0. 1 1) 、 シクロペンタノン (0. 19) 、 シクロへキサノン (0. 1 6) 、 メチルシクロへキサノン (0. 14) 、 蟻酸ェチル (0. 53) 、 蟻酸プ 口ピル (0. 36) 、 蟻酸 n—ペンチル (0. 27) 、 酢酸メチル (0. 43)
W
、 酢酸ェチル (0. 36) 、 プロピオン酸ェチル (0. 31) 、 2—エトキシ酢 酸ェチル (◦. 40) 、 2—メ トキシエタノール (0. 42) 、 2—ブトキシェ タノール (0. 27) 、 ァセチルァセトン (0. 32) 、 メタノール (0. 50 ) 、 エタノーノレ (0. 35) 、 1一プロパノール (0. 27) 、 2—プロパノー ル (0. 27) 、 1ーブタノール (0. 22) 、 2—プタノール (0. 22) 、 tert—ブタノ一ノレ (0. 22) 、 1一ペンタノ一ノレ (0. 1 7) 、 2—メチノレー 2—ブタノール (0. 17) 、 シクロへキサノール (0. 19) 。
また、 本発明の主溶剤の 5質量%以上を環状構造を有する溶剤を用いることが 好ましい。 これらの溶剤は製膜後の乾燥の観点から炭素数 3乃至 12のものが好 ましいが、 特に限定されるものではない。 例えば、 エーテノレ類としてプロピレン ォキシド、 1, 2—エポキシブタン、 1, 4一ジォキサン、 1, 3—ジォキソラ ン、 1, 3, 5—トリオキサン、 テトラヒドロフラン、 フランを挙げることがで きる。
ケトン類の例には、 シクロブタノン、 シクロペンタノン、 シクロへキサノン、 メチノレシクロへキサノン、 1, 4ーシクロへキサンジオン、 イソホロン、 カンフ ァ一が挙げられる。
エステル類の例には、 "V—プチロラク トン、 エチレンカーボネートなどのほか 、 酢酸シクロへキシルを挙げることができる。 。
その他の溶剤としては、 例えば 2—ピロリ ドン、 N—メチルピロリ ドン、 ピペリ ジン、 ε—力プロラタタム、 テトラヒ ドロチォフェン、 1, 3—プロノくンスノレト ン等を挙げることができる。 また、 2種類以上の環構造を有する有機溶媒を用い ることもできる。
本発明で好ましいこれらの溶媒の組み合わせは、 以下のものを挙げることがで さる。
セルロースァシレート 酢酸メチル シク口へキサノン/メタノーノレ ζエタノ ール (=ΧΖ (70-Χ) Ζ20/5/5、 質量部)
セルロースァシレート/酢酸メチル Ζメチルェチノレケトン/ァセトン Ζメタノ ール /エタノール (=Χ/ (50— X) /20/20/5/5, 質量部)
セルロースァシレート "アセトン/ァセト酢酸メチル Ζエタノール ( = χ/ (
75 -X) /20/5, 質量部)
セルロースァシレートノ酢酸メチル /1, 3—ジォキソランノメタノール Zェ タノール (=XZ (70-X) /20/5/5, 質量部)
セルロースァシレート /酢酸メチル /ジォキサン/ァセトン Zメタノール Zl ーブタノール (=XZ (60-X) /2 0/12/5/3 質量部)
セノレロース了シレート zァセトン Zシク口ペンタノン Zメタノ一ノレ/エタノ一 ル (=xZ (60— X) Z3 oZsZs 質量部)
セ^ yロースァシレート/ " 1, 3—ジォキソラン Zシク口へキサノン Zメチ^ /ェ チルケトン/メタノールノエタノール (=Xノ (55 -X) /20/10/5/ 5/5、 質量部)
ここで Xはセルロースァシレートの質量部を表わし、 好ましくは 10〜25で あり、 特に好ましくは 15〜23である。
本発明の溶剤には炭素原子数が 2以上 10以下のフルォロアルコールを全溶媒 量の 10質量%以下含有させても良い。 具体的には 2—フルォロエタノール、 2, 2, 2—トリフルォロエタノール、 2, 2, 3, 3—テトラフノレオロー 1一プロノ ノールが挙げられる。
また、 炭素原子数が 5以上 10以下の芳香族あるいは脂肪族の炭化水素を Ovo 1%以上 10vol%以下添カ卩しても良い。 例えばシクロへキサン、 へキサン、 ベン ゼン、 トルエン、 キシレンが挙げられる。
これらの溶剤にセルロースァシレートを溶解する時、 容器内に窒素ガスなどの 不活性ガスを充満させてもよい。 セルロースァシレート溶液の製膜直前の粘度は 、 製膜の際、 流延可能な範囲であればよく、 通常 10 p s · s〜2000 p s · sの範囲に調製されることが好ましく、 特に 3 O p s · s〜40 O p s · sが好 ましい。
この溶解は、 通常定法に従い室温下でタンク中の溶剤を撹拌しながら上記セル ロースァシレートを添加することで行なわれる。 溶解時間をさらに短縮したい場 合には、 下記冷却溶解法、 高温溶解法のいずれか、 あるいは両方を用いることも 好ましい。
冷却溶解法は、 まず室温近辺の温度 (― 10〜55°C) で有機溶媒中にセル口
-トを撹拌しながら徐々に添カ卩し、 セルロースァシレートを膨潤させ る。 複数の溶媒を用いる場合は、 その添加順は特に限定されない。 例えば、 主溶 媒中にセルロースァシレートを添加した後に、 他の溶媒 (例えばアルコールなど のゲル化溶媒など) を添加してもよいし、 逆にゲルィ匕溶媒を予めセルロースァシ レートに湿らせた後の主溶媒を加えてもよく、 不均一溶解の防止に有効である。 より具体的には、 一 1 0〜 5 5 °Cで酢酸メチルと炭素数 4〜 1 2のケトン溶媒 との混合溶媒中に、 セル口ーストリアセテートを撹拌しながら徐々に添加しても よいし、 場合により酢酸メチルのみで予め膨潤させその後に炭素数 4〜1 2のケ トン溶媒を加えて混合し均一の膨潤液としてもよく、 更にはァセト酢酸メチルあ るいはァセト酢酸ェチルとセルロースアセテートを混合ししかる後に酢酸メチル を加えても良い。 セルローストリアセテートは酢酸メチル中のみで不十分に膨潤 しているような状態であるのに対し、 本発明の炭素数 4〜1 2のケトン溶媒が併 用されると、 セルローストリァセテ一トが十分に膨潤しているのみではなく半溶 解状態の状態にまで至っていることが認められた。
セルロースァシレートの量は、 この混合物中に 1 0〜4 0質量0 /0含まれるよう に調整することが好ましい。 セルロースァシレートの量は、 1 0〜3 0質量%で あることがさらに好ましい。 さらに、 混合物中には後述する任意の添加剤を添カロ しておいてもよい。
次に、 混合物は一 1 0 0〜一 1 0 °C、 より好ましくは一 8 0〜一 1 0 °C、 さら に好ましくは一 5 0〜一 2 0 °C、 最も好ましくは一 5 0〜一 3 0 °Cに冷却される 。 冷却は、 例えば、 ドライアイス ·メタノール浴 (一7 5 °C) や冷却したジェチ レンダリコール溶液 (一 3 0〜一 2 0 °C) 中で実施できる。 冷却速度は、 速いほ ど好ましく、 1 0 0 °C/秒以上が好ましい。 また冷却時の結露による水分混入を 避けるため、 密閉容器を用いることが望ましい。
冷却後 0〜 2 0 0 °C (好ましくは 0〜 1 5 0 °C、 さらに好ましくは 0〜1 2 0 °C、 最も好ましくは 0〜5 0 °C) に加温すると、 有機溶媒中にセルロースァシレ. ートが流動する溶液となる。 昇温は、 室温中に放置するだけでもよし、 温浴中で 加温してもよい。 '
また、 耐圧性容器を用い冷却時に加圧し、 加温時に減圧すると溶解時間を短縮
することができる。 加圧および減圧を実施するためには、 ることが望ましい。 これらの冷却、 加温の操作が 1回でも良く、 2回以上くりかえしても良い。 高温溶解法は、 まず前記の冷却溶解法と同様にセルロースァシレートを膨潤さ せる。 セルロースァシレートの溶解濃度は 5質量0/。〜 30質量0 /0が好ましく、 よ り好ましくは 15質量0/。〜 30質量%、 さらにこのましくは 1 7質量%〜 25質 量%である。
次にセルロースァシレートと溶媒混合液は、 耐圧容器内で 0. 2MP a〜30 MP aの加圧下で 70〜240°C、 より好ましくは 80〜220°C、 更に好まし くは 1 00〜200°C、 最も好ましくは 100〜190°Cに加熱される。
この後、 使用した溶媒の最も低い沸点以下に冷却する。 その場合、 一 10〜5 0°Cに冷却して常圧に戻すことが一般的である。 冷却は室温に放置するだけでも よく、 更に好ましくは冷却水などの冷媒を用いてもよい。
これらのカロ熱、 冷却の層座は 1回でも良く、 2回以上繰り返しても良い。
本発明のセルロースァシレート溶液 (ドープ) には、 添加剤を加えることがで きる。 好ましい添加剤として可塑剤が挙げられ具体的には、 リン酸エステルまた はカルボン酸エステル、 ダリコール酸エステルが用いられる。
リン酸エステルの例には、 トリフエニルフォスフェート (TPP) およびトリ クレジノレホスフェート (TCP) 、 クレジノレジフエ二ノレホスフェート、 ォクチノレ ジフエ二ノレホスフェート、 ジフエニノレビフエ二ノレホスフェート、 トリオクチノレホ スフェート、 トリプチルホスフェートが含まれる。 カルボン酸エステルとしては 、 フタル酸エステルおよびクェン酸エステルが代表的である。 フタル酸エステル の例には、 ジメチルフタレート (DMP) 、 ジェチルフタレート (DEP) 、 ジ ブチルフタレート (DBP) 、 ジォクチルフタレート (DOP) 、 ジフエ-ノレフ タレート (DPP) およぴジェチルへキシルフタレート (DEHP) が含まれる 。 クェン酸エステルの例には、 O—ァセチルクェン酸トリェチル (OACTE) および O—ァセチルクェン酸トリプチル (OACTB) 、 タエン酸ァセチルトリ ェチル、 クェン酸ァセチルトリブチル、 が含まれる。
カルボン酸エステルの例には、 ォレイン酸プチル、 リシノール酸メチルァセチ ル、 セバシン酸ジプチル、 種々のトリメリツト酸エステルが含まれる。
グリコール酸エステルの例としては、 トリァセチン、 トリブチリン、 ブチルフ タリルブチルダリコレート、 ェチルフタリルェチルダリコレート、 メチノレフタリ ルェチルダリコレート、 ブチルフタリルブチルダリコレートなどがある。
これらの中でもトリフエ二ノレホスフェート、 トリクレジノレホスフェート、 クレ ジノレジフエュノレホスフェート、 トリプチノレホスフェート、 ジメチノレフタレート、 ジェチノレフタレート、 ジブチルフタレート、 ジォクチ^^フタレート、 ジェチノレへ キシルフタレート、 トリァセチン、 ェチルフタリルェチルダリコレートが好まし い。 特にトリフエ二ノレホスフェート、 ジェチノレフタレート、 ェチルフタリノレエチ ルグリコレートが好ましい。
これらの可塑剤は 1種でもよいし 2種以上併用してもよい。 可塑剤の添加量は セルロースァシレートに対して 5〜30質量%以下、 特に 8〜16質量0/。以下が 好ましい。 これらの化合物は、 セルロースァシレート溶液の調製の際に、 セル口 一スァシレー,トや溶媒と共に添加してもよいし、 溶液調製中や調製後に添加して あよい。
光学的異方性を小さくする可塑剤として、 (ジ) ペンタエリスリ トールエステ ル類 (特開平 1 1一 124445号公報記載) 、 グリセロールエステル類 (特開 平 1 1— 246704号公報記載) 、 ジグリセロールエステル類 (特開 2000 -63560号公報記載) 、 クェン酸エステル類 (特開平 1 1一 92574号公 報記載) 、 置換フエ二ルリン酸エステル類 (特開平 1 1一 90946号公報記載 ) が好ましく用いられる。
' 離型剤としては、 クェン酸、 シユウ酸、 酒石酸、 ァスパラギン酸、 クロ口酢酸 、 4ーメチルフタル酸、 C12H25OCH2 CH2 O-P (=〇) 一 (OK) 2、 C12H25O S 03 Na、 {C12H250 (CH2 CH2 O) 5 } 2 -P (=0) 一 OHなどを好ましく用いうる。
本発明においては、 劣化防止剤 (例、 酸化防止剤、 過酸化物分解剤、 ラジカル 禁止剤、 金属不活性化剤、 酸捕獲剤、 ァミン) や紫外線防止剤を添加してもよい 。 これらは、 特開平 3— 199201号、 同 5— 1 907073号、 同 5— 19 4789号、 同 5— 271471号、 同 6— 107854号、 同 6— 1 1 823 3号、 同 6— 148430号、 同 7— 11056号、 同 8— 29619号、 同 8
— 239509号、 同 7— 1 1 056号の各公報に記載がある。
好ましい劣化防止剤の例としては、 ブチル化ヒ ドロキシトルエン (BHT) を 挙げることができる。 劣化防止剤の添加量は、 調製する溶液 (ドープ) の 0. 0 1〜1質量%であることが好ましく、 0. 01〜0. 2質量%であることがさら に好ましい。
好ましい紫外線防止剤としてヒンダードフエノール系の化合物が好ましい。 ヒ ンダードフエノール系化合物には、 2, 6ージー tert—プチルー p—クレゾール、 ペンタエリスリチルーテトラキス 〔3_ (3, 5—ジ一 tert—ブチノレー 4—ヒ ド ロキシフエ二ノレ) プロピオネー卜〕 、 トリエチレングリコーノレ一ビス 〔3— (3 一 tert—プチノレ一 5—メチノレー 4ーヒ ドロキシフエ-ノレ) プロピオネート〕 、 1 , 6—へキサンジオール一ビス 〔3— (3, 5—ジー tert—プチルー 4—ヒ ドロ キシフエニル) プロピオネート〕 、 2, 4—ビス一 (n—ォクチルチオ) 一6— (4ーヒ ドロキシー3, 5—ジー tert—プチルァニリノ) 一 1, 3, 5—トリア ジン、 2, 2—チォージエチレンビス 〔3— (3, 5—ジ一 tert—ブチノレ一 4— ヒ ドロキシフエニル) プロピオネート〕 、 ォクタデシルー 3— (3, 5—ジ一 t ert—プチルー 4—ヒ ドロキシフエニル) プロピオネート、 N, N'—へキサメチ レンビス (3, 5—ジ一tert—プチ Λ^— 4—ヒ ドロキシーヒ ドロシンナミ ド) 、 1, 3, 5—トリメチル一 2, 4, 6—トリス (3, 5—ジ一 tert—プチル一 4 —ヒドロキシベンジノレ) ベンゼン、 トリス一 (3, 5—ジー tert—ブチノレ一 4一 ヒ ドロキシベンジル) —イソシァヌレイ トが含まれる。 2, 6—ジー tert—プチ ルー p—クレゾール、 ペンタエリスリチルーテトラキス 〔3— (3, 5—ジ一 te rt—プチルー 4—ヒ ドロキシフエニル) プロピオネート〕 、 トリエチレングリコ 一ルービス 〔3— (3— tert—ブチノレー 5—メチルー 4ーヒ ドロキシフエニル) プロピオネート〕 が最も好ましい。 また、 ヒ ドラジン系金属不活性剤 (例、 N, N,一ビス 〔3— (3, 5—ジー tert—ブチル一4ーヒドロキシフヱニル) プロピ ォニル〕 ヒ ドラジン) や燐系加工安定剤 (例、 トリス (2, 4—ジー tert—プチ ルフユ二ル) フォスファイト) を併用してもよい。 紫外線防止剤の添加量は、 セ ルロースァシレートに対して質量割合で 1 p ρπ!〜 1. 0%が好ましく、 1 0〜 1 000 p p mが更に好ましい。
ライトパイピング防止用の着色剤化合物を添加してもよい。 着色剤の含有量は
、 セルロースァシレートに対する質量割合で 1 0〜 1 000 p pmが好ましく、 50〜500 p p mが更に好ましい。
無機微粒子 (例、 カオリン、 タルク、 ケイソゥ土、 石英、 炭酸カルシウム、 硫 酸バリウム、 酸化チタン、 アルミナ) 、 熱安定剤として機能するアルカリ土類金 属 (例、 カルシウム、 マグネシウム) の塩、 帯電防止剤、 難燃剤、 滑剤、 油剤 'を 添加するのも好ましい。
このようにセルロースァシレートを溶剤に溶解するが、 本発明は下記要件を満 足するように溶解することが好ましい。
(1) 慣性自乗半径を 40 nm以上 200 nm以下、 より好ましくは 45 nm 以上 1 70 nm以下、 さらに好ましくは 50 nm以上 1 50 nm以下になるよう に溶解する。 従来の溶解法はセルロースァシレート等のポリマー分子を完全に溶 解させていた。 これに対し本発明の特徴は溶液中でセルロースァシレート分子を 会合させ慣性自乗半径を大きくしている点にある。 即ち故意に会合体を形成させ ることで微小な核を形成させ、 濾過目詰まりや尾引きの原因となる大きな会合体 (ノロ)の発生を抑制している。 一方、 従来法で溶解し会合を形成していないセル ロースァシレートの慣性自乗半径は 1 0〜20 nmである。
(2) 第 2ビリアル係数が一 2 X 1 0— 4以上 4 X 10—4以下、 より好ましくは - 1. 5 X 1 0— 4以上 3 X 1 0— 4以下、 さらに好ましくは一 1. 0 X 1 0— 4以上 2. 5 X 1 0一4以下となるように溶解する。 第 2ビリアル係数とはポリマー分子 と溶剤の親和性を示す指数であり、 正方向で絶対値が大きいものほど親和性が大 きいことを示し、 負方向に絶対値が大きいものほど親和性が小さいことを示して いる。 通常完全に溶解させようとすると第 2ビリアル係数は 8 X 10一4以上とな るが、 このような状態ではポリマー分子は分子鎖を広げているため粘度が大きく なりやすく、 このためノロに起因する尾引き故障が発生してもレべリングし難く 消えにくレ、。 一方、 本発明の第 2ビリアル係数の範囲では分子鎖はコンパク トに 折り畳まれており、 粘度上昇し難い。 この結果尾引き故障は解消し易い。
(3) 光散乱法により求めた、 溶液中のセルロースァシレートの質量平均分子 量が 30万以上 400万以下、 より好ましくは 40万以上 2◦ 0万以下、 さらに
好ましくは 50万以上 1 20万以下となるように溶解する。 光散乱法で分子量を 求めた場合、 外部からの応力を加えずに測定されるため、 より会合状態を反映し た測定値となる。 (これに対し G PC (gel permeation chromatography)法のよ うにカラム内で剪断応力を加えて測定すると、 舍合状態を破壊しながら測定する ため、 単一分子の分子量が求まる。 ) 本発明で用いる溶液中のセルロースァシレ ートの分子量を GPC法により測定した場合、 5万〜 18万である。 光散乱法に より求めた質量平均分子量が G P C法により測定した質量平均分子量より大きい ことは、 会合体を形成していることを意味する。
このような会合体の形成は、 成膜時の溶液流延製膜装置の支持体からの剥取り 性を改良することができる。 溶液流延製膜方法によりセルロースァシレートフィ ルムを製膜する場合、 セルロースァシレート溶液を支持体 (バンドあるいはドラ ム) に流延した後に溶媒を揮発させて支持体から剥取り、 さらに乾燥させて製膜 する。 会合体を形成していないセルロースァシレート溶液は、 セルロースァシレ ート分子が分子溶解して溶媒和されている。 従って会合体を形成していないセル ロースァシレート溶液を流延すると、 支持体上での乾燥時に溶媒の揮発が遅れ、 剥取りまでに時間を要する。 従って流延製膜速度を上げることができない。 一方 、 会合体を形成しているセルロースァシレート溶液を用いると、 溶液が溶媒和さ れていないために乾燥効率が良く、 製膜速度を上げることができる。
(4) 溶解熱が 1 O O jZg以上 900 J/g以下、 より好ましくは 200 J Zg以上 800 J/g以下より好ましくは 300 J/g以上 700 jZg以下と なるように溶解する。 通常の方法で分子レベルで溶解された場合は 20〜30 J Zgとなる。 一方本発明では上記 (1) に記载のように会合体を形成し、 その際 発熱する。 従って溶解熱をこの範囲にすることで、 ノロの発生を抑えることがで きる。
(5) 還元粘度が 0. 1以上 0. 3以下、 より好ましくは 0. 12以上 0. 2 7以下、 さらに好ましくは 0. 14以上 0. 24以下になるように溶解する。 通 常分子レベルで良く溶解されたセルロースァシレート溶液の粘度は 0. 5以上と なる力 本発明では上記 (2) のようにコンパクトに折り畳んまれており、 上記 還元粘度となる。 この結果尾引き故障の低減に有効である。
このような特性を持つセルロースァシレート溶液は以下の方法で達成できる。 即ち本発明では会合阻害因子が水と鉄分子であることを見いだした点がボイン トである。
(1) セルロースァシレート中の鉄分を 0 p pm以上 50 p pm以下、 より好 ましくは 0 p p m以上 30 p p m以下、 さらに好ましくは 0 p p m以上 20 p p m以下にする。 このようなセルロースァシレートは、 セルロースをァシレート化 する最終工程で、 アセトン Z水(0. 2 : 0. 8〜0. 8 : 0. 2)混合溶剤を用 いて、 30°C以上 70°C以下、 より好ましくは 35°C以上 65°C以下、 さらに好 ましくは 40°C以上 60°C以下で、 30分以上 3時間以下、 より好ましくは 40 分以上 2. 5時間以下、 さらに好ましくは 50分以上 2時間以下、 十分撹拌する ことで達成できる。 即ち、 アセトンでセルロースァシレートを膨潤させることで 、 内部まで鉄分を完全に洗浄することができる。 この洗浄は 1回以上 5回以下、 より好ましくは 2回以上 5回以下、 さらに好ましくは 2回以上 4回以下実施する のが好ましい。 この後濾過、 乾燥して溶解に供する。
(2) 溶解前のセルロースァシレートの含水量を 0%以上 0. 5%以下、 より 好ましくは 0%以上 0. 3%以下、 さらに好ましくは 0%以上 0. 2%以下とす る。 これには、 セルロースァシレートフィルムを溶解前に 80。C以上 200。C以 下、 より好ましくは 100 °C以上 180 °C以下、 さらに好ましくは 1 10 °C以上 160 °C以下で、 10分以上 10時間以下、 より好ましくは 20分以上 8時間以 下、 さらに好ましくは 30分以上 5時間以下乾燥することで達成される。 この乾 燥は大気中で行ってもよく、 真空下で行っても良いが、 後者がより効率的である
(3) 溶解を乾燥空気中あるいは不活性気体中で行なう。 これにより溶解中に 溶剤中に混入する水蒸気を減少させ、 溶液中の水分濃度を小さくすることができ る。
調製したドープを流延、 乾燥して製膜する力 乾燥工程での負荷をなるベく小 さくするため予め濃厚化することも好ましい。
濃厚化の方法は特に限定されないが、 例えば下記の方法が挙げられる。
(1) 低濃度溶液を筒体とその内部の周方向に回転する回転羽根外周の回転軌
跡との間に導くとともに、 溶液との間に温度差を与えて溶剤を蒸発させながら高 濃度溶液を得る方法 (例えば、 特開平 4一 25951 1号公報記载)
(2) 加熱した低濃度溶液をノズルから容器内に吹き込み、 溶液をノズルから 容器内壁に当たるまでの間で溶剤をフラッシュ蒸発させるとともに、 溶剤蒸気を 容器から抜き出し、 高濃度溶液を容器底から抜き出す方法 (例えば、 米国特許 2 541012号、 同 2858229号、 同 4414341号、 同 4504355 号の各明細書に記載の方法)
本発明のセノレロースァシレートの製膜は、 従来セルロースァシレートフイルム 製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いちれる。
溶解機 (釜) から調製された固形分量が 10〜40%のドープをタンクで一旦 貯蔵し、 ドープに含まれている泡を脱泡したり、 適当な濾材 (例、 金網、 ネル) を用いて、 異物 (例、 未溶解物、 ゴミ、 不純物) を濾過除去しておく。 貯蔵タン クからドープを、 例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤ ポンプを通して流延部に送液する。
流延方法は以下の方法として、 (1) ドープを加圧ダイから支持体上に均一に 押し出す方法、 (2) —旦支持体上に流延されたドープをブレードで膜厚を調節 するドクターブレードによる方法、 あるいは (3) 或いは逆回転するロールで調 節するリバースロールコーターによる方法があるが、 (1) の加圧ダイによる方 法が好ましい。 加圧ダイにはコートハンガータイプや Tダイタイプがあるがいず れも好ましく用いることができ、 支持体の上方設置される。
加圧ダイを 2基以上設置しセルロースァシレート溶液を 2層以上共流延しても よい。 具体的には以下の方法が挙げられる。
( 1 ) 支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からセルロースァ シレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させる (例えば特開昭 61 - 15 8414号、 特開平 1一 122419号、 特開平 1 1一 1 98285号に記載の 方法が適応できる) 。
(2) 2つの流延口からセルロースァシレート溶液を流延する (例えば特公昭 60— 27562号、 特開昭 61— 94724号、 特開昭 61— 947245号 、 特開昭 61— 104813号、 特開昭 61— 158413号、 特開平 6— 13
4 9 3 3号に記載の方法が適用できる)
( 3 ) 高粘度セルロースァシレート溶液の流れを低粘度のセルロースァシレー ト溶液で包み込み、 その高, 低粘度のセルロースァシレート溶液を同時に押出す 流延方法 (特開昭 5 6 - 1 6 2 6 1 7号に記載の方法が適用できる) 。
( 4 ) 2個の流延ロを用いて、 第一の流延口により支持体に成型したフィルム を剥ぎ取り、 支持体面に接していた側に第二の流延を行なう (特公昭 4 4 - 2 0 2 3 5号に記載の方法が適用できる) 。
これらの共流延されるセルロースァシレート溶液は同一の溶液でもよいし、 異 なるセルロースァシレート溶液でもよく特に限定されない。 複数の機能層 (例、 接着層、 染料層、 帯電防止層、 アンチハレーション層、 UV吸収層、 偏光層) を 同時に流延することも実施しうる。
このようにして押し出されたドープは支持体 (エンドレスに走行しているバン ドゃドラム) の上に均一に流延する。 支持体表面は鏡面状態に仕上げておくこと が好ましく、 クロムメツキによって鏡面仕上げされたドラムや、 表面研磨によつ て鏡面仕上げされたステンレスバンドが好ましい。 これらの支持体の表面温度は 1 o °c以下が好ましい。
支持体がほぼ一周した剥離点で、 生乾きのドープ膜 (ウェブとも呼ぶ) を支持 体から剥離する。 この間に、 ドープから溶剤を揮発させ、 目的とする残留溶媒に することがポイントである。 つまり、 ドープ膜の厚み方向でのベルト表面付近で の溶媒濃度が高すぎる場合には、 剥離した時、 ベルトにドープが残ってしまい、 次の流延に支障をきたす。 更に剥離する力に耐えるだけのウェブ強度が必要であ る。 剥離時点での残留溶媒量は、 ベルトやドラム上での乾燥方法によっても異な り、 ドープ表面から風を当てて乾燥する方法よりは、 ベルト或いはドラム裏面か 'ら伝熱する方法が効果的に残留溶媒量を低減することが出来るのである。
ドープの乾燥は、 一般的には支持体 (ドラム或いはベルト) の表面側、 つまり 支持体上にあるドープの表面から熱風を当てる方法、 ドラム或いはベルトの裏面 から熱風を当てる方法、 温度コントロール た液体をベルトやドラムのドープ流 延面の反対側の裏面から接触させて、 伝熱により ドラム或いはベルトを加熱し表 面温度をコント口ールする液体伝熱方法などがあるが、 裏面液体伝熱方式が好ま
しい。 流延される前の支持体の表面温度はドープに用いられている溶媒の沸点以 下であれば何度でもよい。 しかし乾燥を促進するためには、 また支持体上での流 動性を失わせるためには、 使用される溶媒の内の最も沸点の低い溶媒の沸点より
1〜10°C低い温度に設定することが好ましい。 好ましい乾燥温度は 40〜25 0°C、 特に 70〜180°Cが好ましい。 さらに残留溶媒を除去するために、 50 〜160°Cで乾燥され、 その場合逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を 蒸発させることが好ましく用いられている。 以上の方法は、 特公平 5— 1784 4号公報に記載がある。 この方法によると、 流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮 することが可能である。 使用する溶媒によって乾燥温度、 乾燥風量及ぴ乾燥時間 が異なり、 使用溶媒の種類、 組合せに応じて適宜選べばよい。 最終仕上がりフィ ルムの残留溶媒量は 2質量。 /0以下、 更に 0. 4質量%以下であることが、 寸度安 定性,が良好なフィルムを得る上で好ましい。
支持体から剥取ったウェブの乾燥工程ではフィルムは巾方向に収縮しようとし 、 高温度で乾燥するほど収縮が大きくなる。 この収縮を可能な限り抑制しながら 乾燥すること力 出来上がったフィルムの平面性を良好にする上で好ましい。 こ の点から、 例えば、 特開昭 62-46625号公報に示されているような乾燥全 工程或いは一部の工程を幅方向にクリップでウェブの巾両端を巾保持しつつ乾燥 させる方法 (テンター方式) が好ましい。
本発明では、 乾燥したウェブ (フィルム) を積極的に幅方向に延伸することも 好ましい。 例えば、 特開昭 62— 1 1 5035号、 特開平 4— 1521 25号、 同 4— 28421 1号、 同 4— 298310号、 同 1 1— 48271号などに記 載されている方法を利用できる。 これにより、 セルロースァシレートフィルムの 面内レターデーション値を制御できる。 即ちフィルムを延伸することでレターデ ーション値を上げることができる。
フィルムの延伸は、 常温または加熱条件下で実施する。 加熱温度は、 フィルム のガラス転移温度以下であることが好ましい。 フィルムの延伸は、 一軸延伸でも よく 2軸延伸でもよい。 フィルムは、 乾燥中の処理で延伸することができ、 特に 溶媒が残存する場合は有効である。 例えば、 フィルムの搬送ローラーの速度を調 節して、 フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くする
とフィルムは延伸される。 フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、 テ ンターの巾を徐々に広げることによつてもフィルムを延伸できる。 フィルムの乾 燥後に、 延伸機を用いて 1軸延伸することもできる。
好ましいフィルムの延伸倍率 (元の長さに対する延伸による増加分の比率) は
、 1 0〜30%である。
これら流延から後乾燥までの工程は、 空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの 不活性ガス雰囲気下でもよい。
セルロースァシレートフィルムの製造に係わる卷き取り機は一般的に使用され ているものでよく、 卷き取り方法 (例、 定テンション法、 定トルク法、 テーパー テンション法、 内部応力一定のプログラムテンションコントロール法) で卷き取 ることができる。
出来上がり (乾燥後) のセルロースァシレートフィルムの厚さは、 使用目的に よって異なるが、 通常 5から 500 μπιの範囲であり、 更に 40〜250 μπιの 範囲が好ましく、 特に 30〜1 50 μιηの範囲が最も好ましい。 フィルム厚さの 調製は、 所望の厚さになるように、 ドープ中に含まれる固形分濃度、 ダイの口金 のスリット間隙、 ダイからの押し出し圧力、 支持体速度を調節すればよい。 これらの製膜法以外にも従来知られているセルロースァシレート溶液を流延製 膜する種々の方法 (例えば、 特開昭 6 1— 94724号、 同 6 1— 1480 1 3 号、 特開平 4— 8501 1号、 同 4— 28661 1号、 同 5— 1 85443号、 同 5— 1 85445号、 同 6— 278149号、 同 8— 207210号の各公報 に記載の方法) を好ましく用いることが出来、 用いる溶剤の沸点の違いを考慮し て各条件を設定することによりそれぞれの公報に記載の内容と同様の効果が得ら れる。
セルロースァシレートフィルムは製膜後、 塗布により、 下引層、 帯電防止層、 ハレーション防止層や保護層を設けても良い。
このようにして得られた本発明のセルロースァシレートフィルムは以下の用途 に利用できる。
( 1 ) 液晶表示装置の光学補償シート
本発明のセルロースァシレートフィルムは、 液晶表示装置の光学補償シートと
して用いると特に効果がある。 本発4明のセルロースァシレートフィルムには、 フ イルムそのものを光学ネ甫償シートとして用いることができる。 なお、 フイノレムそ のものを光学補償シートとして用いる場合は、 偏光素子 (後述) の透過軸と、 セ ルロースァシレートフィルムからなる光学補償シートの遅相軸とを実質的に平行 または垂直になるように配置することが好ましい。 このような偏光素子と光学補 償シートとの配置については、 特開平 1 0— 4 8 4 2 0号公報に記載がある。 液 晶表示装置は、 二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、 その両側に 配置された二枚の偏光素子、 および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも 一枚の光学ネ甫償シートを配置した構成を有している。
液晶セルの液晶層は、 通常は、 二枚の基板の間にスぺーサーを挟み込んで形成 した空間に液晶を封入して形成する。 透明電極層は、 導電性物質を含む透明な膜 として基板上に形成する。 液晶セルには、 さらにガスバリアー層、 ハードコート 層あるいは (透明電極層の接着に用いる) アンダーコート層を設けてもよい。 こ れらの層は、 通常、 基板上に設けられる。 液晶セルの基板は、 一般に 8 0〜5 0 0 μ ηιの厚さを有する。
光学補償シートは、 液晶画面の着色を取り除くための複屈折率フィルムである 。 本発明のセルロースァシレートフィルムそのものを、 光学補償シートとして用 いることができる。 また、 液晶表示装置の視野角を改良するため、 本発明のセル ロースァシレートフィルムと、 それとは (正ノ負の関係が) 逆の複屈折を示すフ イルムを重ねて光学補償シートとして用いてもよい。 光学補償シートの厚さの範 囲は、 前述した本発明のフィルムの好ましい厚さと同じである。
偏光素子の偏光膜には、 ヨウ素系偏光膜、 二色性染料を用いる染料系偏光膜や ポリェン系偏光膜がある。 いずれの偏光膜も、 一般にポリビニルアルコール系フ イルム.を用いて製造する。 偏光板の保護膜は、 2 5〜3 5 0 μ πιの厚さを有する ことが好ましく、 5 0〜2 0 0 / mの厚さを有することがさらに好ましい。 液晶 表示装置には、 表面処理膜を設けてもよい。 表面処理膜の機能には、 ハードコ ト、 防曇処理、 防眩処理おょぴ反射防止処理が含まれる。
前述したように、 支持体の上に液晶 (特にディスコティック液晶性分子) を含 む光学的異方性層を設けた光学補償シートも提案されている (特開平 3— 9 3 2
5号、 同 6— 148429号、 同 8— 50206号、 同 9— 26572号の各公 報記載) 。 本発明のセルロースァシレートフィルムは、 そのような光学補償シー トの支持体としても用いることができる。
(2) ディスコティック液晶性分子を含む光学的異方性層
光学的異方性層は、 負の一軸性を有し傾斜配向したディスコティック液晶性分 子を含む層であることが好ましい。 ディスコティック液晶性分子の円盤面と支持 体面とのなす角は、 光学的異方性層の深さ方向において変化している (ハイプリ ッド配向している) ことが好ましい。 ディスコティック液晶性分子の光軸は、 円 盤面の法線方向に存在する。 ディスコティック液晶性分子は、 光軸方向の屈折率 よりも円盤面方向の屈折率が大きな複屈折性を有する。 ディスコティック液晶性 分子は、 支持体表面に対して実質的に水平に配向させてもよい。
(3) V A型液 表示装置 '
本発明のセルロースァシレートフイルムは、 VAモードの液晶セルを有する V A型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として特に有利に用いられる。 VA 型液晶表示装置に用いる光学補償シートには、 レターデーシヨンの絶対値が最小 となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい 。 VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性質は、 光学的異方性層 の光学的性質、 支持体の光学的性質およぴ光学的異方性層と支持体との配置によ り決定される。 V A型液晶表示装置に光学補償シートを二枚使用する場合は、 光 学ネ甫償シートの面内レターデーションを、 一 5 nm〜5 nmの範囲内にすること が好ましい。 従って、 二枚の光学ネ甫償シートのそれぞれの面内レターデーシヨン の絶対値は、 0〜 5とすることが好ましい。 V A型液晶表示装置に光学ネ翁償シー トを一枚使用する場合は、 光学補償シートの面内レターデーシヨンを、 一10 η m〜l 0 nmの範囲内にすることが好ましい。
(4) OCB型液晶表示装置および H AN型液晶表示装置
本発明のセルロースァシレートフイルムは、 OCBモードの液晶セルを有する OCB型液晶表示装置あるいは H ANモードの液晶セルを有する H AN型液晶表 示装置の光学捕償シートの支持体としても有利に用いられる。 OCB型液晶表示 装置あるいは H AN型液晶表示装置に用いる光学補償シートには、 レターデーシ
ョンの絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在し ないことが好ましい。 OCB型液晶表示装置あるいは H AN型液晶表示装置に用 いる光学補償シートの光学的性質も、 光学的異方性層の光学的性質、 支持体の光 学的性質おょぴ光学的異方性層と支持体との配置により決定される。
(5) その他の液晶表示装置
本発明のセルロースァシレートフィルムは、 ASkl (Axially Symmetric Ali gned Microcell) モードの液晶セルを有する A SM型液晶表示装置の光学補償シ ートの支持体としても有利に用いられる。 ASMモードの液晶セルは、 セルの厚 さが位置調整可能な樹月旨スぺーサ一により維持されているとの特徴がある。 その 他の性質は、 TNモードの液晶セルと同様である。 ASMモードの液晶セルと A SM型液晶表示装置については、 Kume外の論文 (Kume et al. , SID 98 Dig est 1089 (1998) ) に記載がある。 本発明のセルロースァシレートフィ ルムを、 TNモードの液晶セルを有する TN型液晶表示装置の光学補償シートの 支持体として用いてもよい。 TNモードの液晶セルと TN型液晶表示装置につい ては、 古くから良く知られている。 TN型液晶表示装置に用いる光学補償シート については、 特開平 3— 9325号、 同 6— 148429号、 同 8— 50206 号、 同 9一 26572号の各公報に記載がある。
[実施例におけるセルロースァシレート、 溶液およびフィルムの評価方法] 各実施例において、 セルロースァシレート、 溶液およびフィルムの化学的性質お よび物理的性質は、 以下のように測定および算出した。
(1) セルロースァシレートの酢化度 (%)
酸化度はケン化法により測定した。 乾燥したセルロースァシレートを精秤し、 了 セトンとジメチルスルホキシドとの混合溶媒 (容量比 4 : 1) に溶解した後、 所 定量の ΓΝ—水酸化ナトリウム水溶液を添カ卩し、 25°Cで 2時間ケン化した。 フ エノールフタレインを指示薬として添カ卩し、 1N—硫酸 (濃度ファクター: F) で過剰の水酸化ナトリウムを滴定した。 また、 上記と同様の方法により、 ブラン クテス トを行った。 そして、 下記式に従って ί乍化度 (%) を算出した。
酢ィ匕度 (%) = (6. 005 X (Β— A) XF) /W
式中、 Aは試料の滴定に要した 1 N—硫酸量 (m l) 、 Bはブランクテストに要 した 1 N—硫酸量 (m l) 、 Fは 1 N—硫酸のファクター、 Wは試料質量を示す
(2) セルロースァシレートの平均分子量および分子量分布
ゲル濾過カラムに、 屈折率、 光散乱を検出する検出器を接続した高速液体クロマ トグラフィーシステム (GPC— LALLS) を用い測定した。 測定条件は以下 の通りである。 , 溶剤: メチレンクロリ ド
カラム: GMHX 1 (東ソ一 (株) 製)
試料濃度 0. 1 W/ V %
1 m 1 / m i n
試料注入量 300 ^ 1
標準試料: ポリメタタリル酸メチル (Mw = 188200)
温度: 23°C
(3) セルロースァシレートの粘度平均重合度 (DP)
絶乾したセルロースァシレート約 0. 2 gを精秤し、 メチレンクロリ ド:エタ ノール =9 ; 1 (質量比) の混合溶剤 10 Om 1に溶解した。 これをォストヮル ド粘度計にて 25°Cで落下秒数を測定し、 重合度を以下の式により求めた。
7 rel = Τ/ Γ 0 T :測定試料の落下秒数
[ 7? ] = (1 n 7] rel ) ノ C T 0 :溶剤単独の落下秒数
D Ρ= [η] /Km c :濃度 (gZi)
Km: 6 X 1 0— 4
(4) 溶液の安定性
得られた溶液またはスラリーの状態を常温 (23°C) で静置保存したまま観察し 、 以下め A、 B、 C、 Dの 4段階に評価した。
A: 20日間経時でも透明性と液均一性を示す。
B : 10日間経時まで透明性と液均一性を保持しているが、 20日で少し白濁が 見られる。
C :液作製終了時では透明性と均一な液であるが、 一日経時するとゲル化し不均
一な液となる。
D:液は膨潤 ·溶解が見られず不透明性で不均一な溶液状鶴である。
(5) フィルム面状
フィルムを目視で観察し、 その面状を以下の如く評価した。
A: 20日間経時でも透明性と液均一性を示す。
B : 10日間経時まで透明性と液均一性を保持しているが、 20日で少し白濁が 見られる。
C:液作製終了時では透明性と均一な液であるが、 一日経時するとゲル化し不均 一な ί夜となる。
D:液は膨潤 ·溶解が見られず不透明性で不均一な溶液状態である。
(6) フィルムの引裂試験
5 Omn X 64 mmに切りだした試料を、 I S06383Z2— 1 983の規格 に従い、 引裂に要した引裂荷重を求めた。
(7) フィルムの耐折試験
12 Omnに切りだした試料を I S08776/2— 1988の規格に従い、 折 り曲げよつて切断するまでの往復回数を求めた。
(8) フィルムの耐湿熱性
試料 1 gを折り畳んで 15m 1容量のガラス瓶に入れ、 温度 90°C, 相対湿度 1
00%条件下で調湿した後、 密閉した。 これを 90°Cで経時して 10日後に取り 出した。 フィルムの状態を目視で確認し、 以下の判定をした。
A:特に異常が認められない
B :かすかな分解臭が認められる
C:かなりな分解臭が認められる
D:分解臭と分解による形状の変化が認められる
(9) フイノレムのレターデーシヨン (Re) 値
フィルムの面内のレターデーシヨン (Re) について記すと、 その測定法はェ リプソメーター (偏光解析計 AEP— 100 :島津製作所 (株) 製) を用いて、 波長 632. 8 nmにおける面内の縦横の屈折率差にフィルム膜厚さを乗じたも のであり、 下記の式で求められる。
Re= (n x— n y) X d
n x :横方向の屈折率、 n y :縦方向の屈折率
小さレ、ほど、 面内方向の光学異方性がないことを示すが 0〜 30 O nmの範囲で 用途に応じて用いられる。
又、 フィルムの厚さ方向のレターデーシヨン (R t h) も重要であり、 波長 6 3 2. 8 nmにおける厚さ方向の複屈折にフィルム膜厚さを乗じたものであり、 下 記の式で求められる。
R t h= { (n x + n y) /2 -n z } X d
n x :横方向の屈折率、 n y :縦方向の屈折率、 n z :厚さ方向の屈折率 小さいほど、 厚さ方向の光学異方性がないことを示すが、 その使用用途によって 好ましい範囲は定まる。 一般には、 本発明のセルロースエステルフィルムの R t hは Ι Ο Ο μπι当たり、 0 ηπ!〜 600 nmであり、 さらには 0 nm〜400 n mで用いられる。
(1 0) フィ /レムのヘイズ
ヘイズ計 (1 001 DP型、 日本電色工業 (株) 製) を用いて測定した。 [実施例 1 ]
(1 - 1) セルロースァシレート溶液の作製
下記の 3種の溶解方法にてセルロースァシレート溶液を,作製した。 各実施例お ょぴ比較例の詳細な溶剤組成については表 1に記載した。 なお、 シリカ粒子 (粒 径: 20 nm) をセノレロースァシレートの 0. 5質量0 /0、 トリフエニルホスフエ ート Zビフエ二ルホスフェート混合物 (混合比 =1ノ 2) をセルロースァシレー トの 1 0質量0 /0、 そして、 2, 4—ビス一 (n—ォクチルチオ) —6— (4—ヒ ドロキシー 3, 5—ジー tert—プチルァニリノ) 一 1, 3, 5—トリアジンをセ ルロースァシレートの 1. 0質量0 /0添加した Θ
( 1一 1 a ) 常温溶解 (表 1に「常温」と記載)
溶媒中に、 よく攪拌しつつ表 1記載のセルロースァシレートを徐々に添加し、 室温 (25°C) にて 3時間放置し膨潤させた。 得られた膨潤混合物を還流冷却機 を有する混合タンク中で 50°Cにおいて撹拌しながら溶解した。
( 1一 1 b ) 冷却溶解 (表 1に「冷却」と記載)
溶媒中に、 よく攪拌しつつ表 1記載のセルロースァシレートを徐々に添カロし、 室温 (25°C) にて 3時間放置し膨潤させた。 得られた膨潤混合物をゆっく り撹 拌しながら、 一 8°CZ分で一 30°Cまで冷却、 その後表 1記載の温度まで冷却し 6時間経過した後、 + 8°Cノ分で昇温し内容物のゾル化がある程度進んだ段階で 、 内容物の撹拌を開始した。 50°Cまで加温しドープを得た。
( 1一 1 c ) 高圧高温溶解 (表 1に「高温」と記載)
溶媒中に、 よく攪拌しつつ表 1記載のセルロースァシレートを徐々に添カロし、 室温 (25°C) にて 3時間放置し膨潤させた。 得られた膨潤混合物を、 二重構造 のステンレス製密閉容器に入れた。 容器の外側のジャケットに高圧水蒸気を通す ことで +8°CZ分で加温し IMpa下、 表 1記載の温度で 5分間保持した。 この後外 側のジャケットに 50 °Cの水を通し一 8 °CZ分で 50 °Cまで冷却し、 ドープを得 た。
(1 -2) セルロースァシレート溶液の濾過
次に得られたドープを 50°Cにて、 絶対濾過精度 0. 01mmの濾紙 (東洋濾 紙 (株) 製、 # 63) で濾過し、 さらに絶対濾過精度 0. 0025mmの濾紙 ( ポール社製、 FH025) にて濾過した。
(1 -3) セルロースァシレートフイノレムの作製
(1 -2) で作製したセルロースァシレート溶液を、 ガラス板上に乾燥膜厚が Ι Ο Ο μπιになるように流延した。 乾燥は 70 で 3分、 130 °Cで 5分した後 、 ガラス板からフィルムを剥ぎ取り、 そして 160°C、 30分で段階的に乾燥し て溶剤を蒸発させセルロースァシレートフィルムを得た。
表 1 プの調製
ィ翻: :!^酢 チル、 CH=¾DAW \ AC=7th AA=7¾ト酢酸メチル、 DO=l,3-シ '才キソラン、 DX=1,4-シ'ォキ サン、
=メチル Iチルケトン、 CP- へ。 W、人 MOシ 'ク DUメタン、 M0L=メタノ-ル、 E0L=Iタノ-ル、 P0L=1-7°D)、。ノ-ル、 B0L=n-;Tタノ-ル、 00L=n-ォクタノ-ル、 D0E=' おテル I-テ A を示す。
( 1一 4 ) 結果
得られたセルロースァシレートの溶液おょぴフィルムを上述の項目に従つて評 価した。 実施例に記載のセルロースァシレート溶液おょぴフィルムは、 その溶液 安定性、 フィルムの機械物性、 光学物性において特に問題は認められなかった。 一方、 比較例 1 、 2はアルコール未添加のため溶液の安定性が不良であり、 フィ ルムの面状もよくなかった。 また、 比較例 3はアルコールの添加量が多いため、
フィルムの耐湿熱性に劣るものであり、 耐折試験結果も十分なものではなかった また、 特開平 06— 1.34993記載の共流延法に従ってバンド側に本発明の 実施例 1、 空気側に本発明の実施例 2のドープを積層したが、 同様に良好な結果 が得られた。 .
このようにして得たセルロースァシレートフィルムを、 特開平 10— 4842 0実施例 1に記載の液晶表示装置、 特開平 9一 26572実施例 1に記載のディ スコティック液晶分子を含む光学的異方性層、 ポリビエルアルコールを塗布した 配向膜、 特開 2000— 1 5426 1の図 2〜 9に記載の V A型液晶表示装置 特開 2000— 1 5426 1の図 1 0〜1 5に記載の O C B型液晶表示装置に用 いたところ良好な性能が得られた。. . 表 2 製膜,評価
液の安定 フィルム面 弓 ίき裂き荷 耐折試験 耐湿熱性 ヘイ ; 値 性 状 重 (kg) ' 、
本発明- 1 A A 22 120 A 5. 2 0. 1 本発明- 2 A A 23 110 A 3. 6 , 0. 1
¾! '
本発明- 3 A A 20 .120 A 4. 4 0, 1 本発明>4 A A 25 120 A 4. 3 0. 1 本発 5 A A . 22 120 A 4. 2 0. 1 本発 6 A A 24 120 A 5. 0 0. 1 本娜 7 A A 23 120 A 5. 1 0.· 1 本発明- 8 A A 26 120 A 4. 7 0. 1 本発明- 9 A A 27 110 A 3. 2 0. 1 本発明- 10 A A 24 120 A 6. 4 0. 1 本発明- 11 A A 22 100 A 5. 5 0. 1 比翻- 1 C , C . 8 · 50 C 3. 2 1. 2
C C 20 100 A 6. 4 5. 7 比糊- 3 + B B 10 60 B 2. 8 0, 5
[実施例 2 ]
(1) セルロースァシレート溶液 (ドープ) の作製
表 3記載のセルロースァシレート (ァセチル基の置換率 Aと、 炭素数 3〜5の ァシル基 (表 3中には 「C3〜5のァシル基」 と記載)の種類、 置換率 B、 および これらの粘度平均重合度 (DP) ) を、 洗浄し鉄分の除去を行った。 洗浄にはァ セトン Z水混合系で実施したが、 この時の条件 (全容液中のアセトンの比率、 洗浄 回数)は表 3に記載した。 この後、 表 3記載の温度、 時間で大気中で乾燥し、 脱湿 した。
鉄分の量はセノレロースァシレートをジクロロメタンの 0. lwt%になるように 調液し、 原子吸光法を用いて測定した。
D Pは下記方法で測定した。
絶乾したセルローストリアセテート約 0. 2 gを精秤し、 メチレンクロリ ド: エタノール =9 : 1 (質量比) の混合溶剤 100m lに溶解した。 これをォスト ワルド粘度計にて 25 °Cで落下秒数を測定し、 重合度を以下の式により求めた。
7) rel = TZT 0 Τ :測定試料の落下秒数
[η] = (1 n 7 rel ) /C TO :溶剤単独の落下秒数
DP= [ ?] /Km C :濃度 (gZl)
Km: 6 X 10—4
これらを表 3記載のように、 実施例 1と同様に常温、 冷却又は高温溶解法で溶 解したが、 本発明は全て乾燥窒素雰囲気下 (相対湿度 0%)で行った。 なお、 シリ 力粒子 (粒径: 20 nm) をセルロースァシレートの 0. 5質量0 /。、 トリフエ二 ルホスフエ一ト Zビフエニルホスフエート混合物 (混合比 = 1/2) をセルロー スァシレートの 10質量0 /0、 そして、 2, 4一ビス一 (n -ォクチルチオ) 一 6 一 (4ーヒ ドロキシー 3, 5—ジ一 tert—プチルァニリノ) — 1, 3, 5—トリ アジンをセルロースァシレートの 1. 0質量0 /0添加した。
表 3
o
ァ)ァシ Jレ基: ΡΓ=7' nピオニル基、 B フ"チリル基 ィ)溶剤 : MA=酢酸メチル、 CH= 'ンク nへキサノン、 AC=アセトン、 ME=メタノール、 ΕΤ=ιタノ-ル、 BT=7、'タノ-ル
AA=ァセト酢酸メチル、 DO-1,3-シ"ォキソラン、 DX=1,4-シ "おサン、 MK=メ レエチルケトン、 MC=シ "ク ロメタン を示す
これらのドープの慣性自乗半径、 第 2ビリアル係数、 溶解熱、 還元粘度を後記 方法で測定し、 表 3に示した。
(2) セルロースァシレートフィルムの製膜
上記方法により得られた溶液 (ドープ) を、 ギアポンプを用い濾材 (濾紙 (安積 濾紙 (株) 製、 No. 244)およびネル製濾布) に送り込む。 濾材の上流側に設置 した圧力計の時間変動を求め濾圧上昇とした。 即ちスタート時の圧力を P (0)、 20 tのドープを濾過した後の圧力を Pとし、 濾圧上昇 =PZP(0)とした。 こ の評価結果を表 3に示した。 許容範囲は 3以下である。
濾過後のドープを定量ギアポンプで流延ダイに送液し、 これを有効長 6 mのバ ンド流延機を用いて、 乾燥膜厚が 100 になるように流延する。 バンド温度 は 0°Cとした。 乾燥のため 2秒間風に当て、 フィルム中の揮発分が 50質量%に なったときに、 フィルムをバンドから剥ぎ取る。 この時流延ダイ部に発生したノ 口に起因する尾引きが発生しはじめた流延長を「尾引き故障開始長」として表 3に 示した。 許容範囲は 15 km以上である。
この後 100°Cで 3分、 1 30°Cで 5分、 そして 160°Cで 5分、 フィルムを 固定せず自由に収縮させて段階的に乾燥して、 残りの溶剤を蒸発させた。
この後、 両端 1 5 cmずつトリミングし、 両端に高さ 50 / m幅 1 cmのナーリ ング (厚みだし加工) を行い、 幅 1. 5 mのセルロースァシレートフィルムを得 た。
これらの本発明のフィルムはいずれも 10 nm以下の良好なレターデシヨンを 示した。 さらに、 これらのフィルムを、 製膜工程中の乾燥工程中にオンラインで 、 あるいはその後オフラインで 130°Cにて 10%〜30%MD延伸、 さらに 1 0%〜30%TD延伸した。 これらは、 延伸倍率に比例し 40 nm〜 160 nm にレターデーシヨンを増加させることができた。
またヘーズも測定したが、 本発明のセルロースァシレートフィルムはいずれも 0. 5%以下であった。 以下に実施例 2で用いた測定方法について説明する。
( 1 )慣性自乗半径、 第 2ビリアル係数
下記方法に従って、 静的光散乱法を用いて測定する。 なおこれらの測定は装置 の都合上希薄領域で測定するが、 これらの測定値は高濃度域のドープの挙動を反 映している。
(1— 1) セルロースァシレートをドープに使用する溶剤に溶かし、 0. lwt %、 0. 2wt%、 0. 3wt%、 0. 4wt%の溶液を調製する。 なお、 秤量は吸湿を防 ぐためセルロースァシレートは 120°Cで 2時間乾燥したものを用い、 25°C1 0 % r hで行う。
(1 -2) これらの溶液、 および溶剤を 0. 2 μιηのテフロン製フィルターで濾 過する。
(1 -3) これらの静的光散乱を、 光散乱測定装置 (大塚電子 (株) 製、 DL S- 700) を用い、 25°Cに於いて 30度から 140度まで 10度間隔で測定 する。 '
(1 -4) これらのデータを付属のデーター解析ソフトを用い、 BERRYプ ロット法にて求める。 なお、 この解析に必要な屈折率はアッベ屈折系で求めた溶 剤の値を用い、 屈折率の濃度勾配 (d n/d c) は、 示差屈折計 (大塚電子 (株 ) 製、 DRM— 1021) を用い、 光散乱測定に用いた溶剤、 溶液を用いて測定 する。
(2)溶解熱
下記方法に従って、 熱量計 (Tokyo Riko (株) 製、 Multipurpose Calorimeter MPC— 1 1 6) を用いて測定する。 なおこれらの測定は装置の都合上希薄領域で 測定するが、 これらの測定値は高濃度域のドープの挙動を反映している。
(2- 1) セルロースァシレートを 25 Omgずつガラスアンプルに秤量する 。 なお、 秤量は吸湿を防ぐためセルロースァシレートは 120°Cで 2時間乾燥し たものを用い、 25°C10%RHで行う。
(2-2) 熱量計のサンプルセルにドープに使用する溶剤を 60m lいれ、 こ れに上記アンプ をセットする。 リファレンスセルには溶剤のみを入れる。
(2-3) 27 °Cにおいて、 セルに付属の撹拌子でゆっくり撹拌しながら、 熱
量計が安定したのを待つ。 この後、 付属の治具でアンプルを破壊し、 発生した熱 量を測定する。
(2-4) 熱量の校正は、 セルに付属の電気抵抗 (100Ω) に 2Vで 15分 通電した時の熱量と現れた発熱ピークの面積の関係を用いて行う。
(3)還元粘度
下記方法に従って、 Ostwald型粘度計を用いて測定する。 なおこれらの測定は装 置の都合上希薄領域で測定するが、 これらの測定値は高濃度域のドープの挙動を 反映している。
(3— 1) セルロースァシレートをドープに使用する溶剤に溶かし、 0. lwt %、 0. 2wt%、 0. 3wt%、 0. 4 wt%の溶液を調製する。 なお、 秤量は吸湿を防 ぐためセルロースァシレートは 120。Cで 2時間乾燥したものを用い、 25°C 1 0 % r hで行う。
(3-2) これらの溶液、 および溶剤を 5 mのテフロン製フィルターで濾過す る。
(3-3) 25。(:において溶剤の落下時間が 100秒 ± 20秒となる粘度管を 選ぶ。
(3-4) これを用い溶剤の落下時間 t ( 0 )と、 各濃度 (X%)の落下時間 t (x)を 測定する。 これらから相対粘度 7) sp= { t (X)— t (0)} Zt (0)を求める。
('3— 5) 横軸の濃度 (X)、 縦軸に r)spをプロット、 X=0に向かって外揷し縦 軸 7] spとの切片を還元粘度 [ 7] ] とする。 .
(4)セルロースァシレートのァセチル基と他のァシル基の置換度
ASTMD81 7-91に準じて行い、 鹼化法によって測定する。
(4- 1) 乾燥したセルロースァシレートを精秤しァセトンとジメチルスルホ キシド(DMSO)の混合溶剤(容量比 4 : 1)に溶解後、 所定の IN—水酸化ナト リウム水溶液を添加し、 25°Cで 2時間鹼化する。 フヱノールフタレインをフエ ノールフタレインを指示薬として添カ卩し、 1N—硫酸 (濃度ファクター: F) で 過剰の水酸化ナトリウムを滴定した。 また、 上記と同様の方法により、 ブランク
テストを行い、 下記式に従い置換度を求めた。
T[A+B] = (E-M) XF//(1000 XW)
A={ 162. 14 XT[A+B]}/{1 -42. 14 XT[A+B] + (1 - 56. 06 XT[A+B]) X (Ca/Cb)}
B=AX (Ca/Cb)
ここで、 T[A+B] :全有機酸量(モル Zg)
E :ブランク試験滴定量(m 1)
M :試料滴定量(m
F : 1 N—硫酸のファクター
W:試料質量 (g)
Ca:イオンクロマトグラフィーで測定した酢酸量(モル) Cb:イオンクロマトグラフィーで測定した炭素原子数 3以上 5以下の 有機酸量 (モル)
A:ァセチル基の置換度
B :炭素原子数 3以上 5以下の有機酸の置換度