明細書 最適情報提供システム及び方法 技術分野
本発明は、 最適情報提供システム及び方法に関する。 更に詳しくは、 本発明は、 あるユーザから情報提供の要求があった場合に、 その内容及び形式が当該ユーザ にとつて最適となるように選択され編集された情報を、 当該ユーザが希望する態 様で提供する情報提供システム及び情報提供方法に関する。 背景技術
人は、 様々な情報を必要とする。 求められる情報は、 基本的な生活要素である 衣食住に関するものに始まり、 趣味ゃ娛楽、 医療及び健康、 社会的な事件、 地域 での行事、 国家及び地方機関からのプレス · リリース、 経済状況、 政治、 国際事 情など、 多種多様な内容に関係する。
このような内容区分が新聞の各面やテレビ番組の種類と対応することからも明 らかなように、 情報は、 新聞やテレビを中心とするマスメディアを経由して供給 され消費されてきた。 そして、 供給側である新聞社やテレビ局の数は比較的少な いため、 少数の供給源から多数の消費者に向けてほぼ同一内容の情報が一方向的 に供給される、 という状態が通常であった。 情報の受け手は、 例えば、 どの新聞 を読みどの番組を見るかという選択を行うことにより、 供給者を選ぶことができ る。 受け手は、 この点では選択の自由を有している。 しかし、 供給者の側では、 受け手の年齢、 性別、 職業などの属性や共有される一定の傾向を基準とし、 情報 供給の夕ーゲッ卜を集団的に想定するにとどまるのであって、 受け手側の個人的 事情まで配慮した上で情報を供給することは現実的に不可能であり、 実際にも行 われていないのが実情である。
今日では、 情報の総量は指数関数的に増大し、 その内容は詳細にわたると共に 細分化している。 その意味で、 客観的な選択の幅は拡大している。 受け手の側の 主観的事情を見ても、 個人意識の拡大もあって、 与えられたものを黙って受け取
るという態度は一般的ではなく、 従来よりも広い範囲から自らが選択を行うだけ の経済的かつ心理的な余裕を有する傾向にある。 従って、 各個人が実際に入手す る、 又は、 入手することを望む情報の種類及び範囲は、 従来よりも多様化すると 同時に拡大し、 誰もが類似の情報を同時に受け取りそれで満足するという状況は 変容しつつある。 名宛人の特定が必ずしも明確でも的確でもなく最大公約数的な 内容に終始するような情報では、 誰も満足せず、 その結果、 だれからも求められ ないということになりかねない。 そのために、 供給側では、 従来以上に細分化さ れた受信者グループを想定し、 想定されたグループに対してどのような内容の情 報をどのような形式で発信するのが最適であるのかをこれまで以上に詳細に検討 した上で、 情報発信を試みるようになつている。 テレビ番組、 雑誌、 広告などに おいて、 この個別化及び多種類化の傾向が顕著に見られる。 書店や C Dショップ がますます巨大化し、 情報誌が厚くなりつつある現状は、 このような各人の情報 への多様な欲求を反映している。
以上のようなマスメディァからの同一内容で一方向的な情報の供給とは対照的 に、 人は、 周囲の人間から、 個別的に情報を提供される。 例えば、 家族や友人に 相談をもちかけ、 その結果、 何らかの回答やヒントを得ることがある。 家族や友 人よりもやや広い範囲の相手である隣人や職場の同僚、 離れて暮らしている親戚 なども情報の供給源となる可能性がある。 また、 これらの例とは別に、 特定の問 題に関し、 対価を支払った上で、 医師や弁護士などの職業的な専門家からそれぞ れの専門分野に関する助言を受けるというのも情報入手の形態であろう。
このような個人的 ·個別的な情報入手においては、 情報供給の態様が同一内容 で一方向的であるというマスメディアの欠点は克服されている。 しかし、 供給源 が基本的には個人であるから、 供給される情報が受け手の事情との関係で的確で あり総合的かつ網羅的であるかどうかは、 専ら供給者に依存しており、 受け手が 入手した情報に満足できない場合も少なくない。 ある個人が必要とする情報を個 別的かつ包括的にに提供してくれる隣人が、 その個人から直接にアクセスできる 範囲に常に存在するというのは、 むしろまれであろう。 また、 情報の多様化 ·細 分化がかって経験したことがない程に加速度的に生じているという今日的な状況 では、 個人からの的確な情報供給が本質的に困難になりつつあるという事情もあ
る。 友人や家族からの情報提供の場合は一般的にそういえるであろうし、 専門家 からの情報入手の場合であっても、 例えば、 個人開業医にとって、 最新の医学水 準に基づく判断を行うことがしばしば困難であるという現状は周知であろう。 情 報量の増大が、 かえって、 必要な情報への到達を困難にしている。
以上で述べた情報の発信及び受信に関する現状は、 次の 5つ程度の課題として 総括できる。 ( 1 ) 情報量が飛躍的に増大すると共に、 情報が多くの場所に分散 して存在しているので、 希望する情報に到達することが以前よりも困難になって いること。 (2 ) 情報が供給される際に、 個別化の程度が十分でなく、 個々の受 け手に特有の事情まで考慮されて供給されていないために、 ノイズ (雑音) とで もいうべき不要な情報を含んだ形で供給されること。 (3 ) 情報の受け手から供 給者に対して希望する情報のリクエストを出す方法が明確ではないこと。 (4 ) 情報の受け手に特有な事情すなわち個人情報を供給者側にデータベースとして構 築しておき、 受け手に向けて情報を供給する際に、 その構築されたデータベース を参照して供給される情報をその受け手に対して最適化するメカニズムが確立し ていないこと。 (5 ) 内容が同一の情報を、 受け手の希望する複数の形態で供給 するメカニズムが確立していないこと。
これら 5つの課題の詳細を、 より具体的に検討する。 希望する情報の入手が困 難であるという第 1の課題の例として、 特定の問題に関係する書籍や資料を探す 場合を考える。 例えば、 特定の法制度の内容を知るために、 書店や図書館に行つ たと仮定する。 この場合に、 法律の条文自体は六法全書などで見ることはできた が、 判例などによって確定される制度の実際の運用について書かれた書籍が 5 0 冊見つかったとすると、 それらすベての書籍を調べることは現実的ではないであ ろう。 問題としている法律ないし法制度が外国のものであったり国際条約に関係 するものである場合には、 情報源が国内に限られず、 供給者の数が激増するため、 困難は更に増すことになろう。 インターネッ ト上のサーチ ·エンジンを用いてそ の法律の具体的中身を調べようとしても、 ヒッ 卜するサイ 卜の数が多すぎれば、 本当に必要としている情報に到達するのは容易でない。 情報量は以前よりもはる かに多く、 参考となる情報がどこかに存在する可能性は高いのだが、 現実的には、 情報がそもそも存在しなかったかっての状況と似ている。
入手する情報にノイズが多く含まれるという第 2の課題は上述の第 1 の課題と も関係するが、 インターネッ卜上のサーチ■エンジンにキーワードを入力してサ ーチを実行する場合で考える。 多くのキーヮ一ドの積から構成される検索条件式 を用いてサーチを実行し、 その結果として複数のウェブ ·サイ 卜に到達できた場 合であっても、 不要な内容まで含んだ形でしか情報を得られないことは多い。 サ ーチする側の事情のすべてをキーヮ一ドとして構成することはできないからであ る。 ノイズを除去し、 本当に欲しい情報までしぼり込むことは容易ではない。 目 の前に多数の情報がアクセス可能な状態で存在し、 本当に欲しい情報がその中に 含まれていることと、 実際にその情報を選択できることとは別である。
例えば、 ある個人が英語を学習しようと考えている場合を想定してみる。 その 際に、 現在の英語運用能力、 学習の動機、 目標とするレベル、 更には、 希望する 勉強方法や自由になる時間などは、 個人ごとに異なるであろう。 このような個人 的な事情を配慮した上で、 どのような学習方法が最適であるかを進言することは 容易でない。 このような詳細な個別の事情は、 通常の検索キーワードとはなりに くく、 一般的な検索方法では、 不必要で関連性の薄い情報であるノイズの多い情 報しか得られないからである。
情報の受け手から供給者に対してリクエス卜を出す方法が明確でないという第 3の課題は、 インターネッ ト上のサーチ ·エンジンにキーワードを入力するとい うレベルでは存在していないようにも見える。 しかし、 経験的に明らかなように、 そもそもキーワードを選択するという作業自体が容易なことではない。 それ以前 の問題として、 普通の人間が、 生活において何らかの困難に直面しその解決を望 む場合において、 いったい何が問題であり、 どのようなことを知りどのような措 置を講ずればその困難が解消するかは明らかでないことが多い。
第 4の課題は、 個人情報データベースの不在である。 たしかに、 個人に関する 情報は、 その種類によって、 警察を含む行政機関、 信用調査機関、 医療機関、 学 校などが有しているが、 それらを統合したデータベースは存在していない。 もち ろん、 プライバシーに関する問題は解決されなければならないであろう。 しかし、 ある機関がある個人から何らかの情報を要求されたときに、 その個人に特有の事 情を考慮することによって、 その個人とは無関係な情報を削除し、 必ずしも明白
に要求されてはいないが個人の事情から斟酌して参考のために含めた方がいいと 推測される付随的な内容を追加した形態で情報を提供できれば、 情報の受け手に とっては便利であろう。 そのためには、 統合的なデータベースが作成されるか、 又は、 複数のデータベース間での相互関連付けがなされれば、 提供される情報を, それぞれの受け手ごとの最適化に利用できる可能性がある。
第 5は、 現状では、 情報の供給方法及び供給態様が必ずしも多様でないという 課題である。 情報を、 例えば、 新たに冊子として作成して提供したり、 ファック スを介して提供したり、 インターネッ 卜を介してオンラインで提供したりするこ とが可能であれば、 ユーザは、 希望する提供形態を選択することができる。 また, それ以外にも、 フロッピー 'ディスク、 C D— R O M、 D V Dなど、 コンビユー 夕によって読み取り可能な電子的な媒体上に記憶された形態での情報提供も考え られよう。 更には、 このような媒体の違いだけでなく、 要求されている情報を 様々な存在形式に変換させることができれば、 便利であろう。 つまり、 情報は、 特定の形式で存在するので、 一般的には、 その既存の存在形式で提供される。 例 えば、 文字情報として存在する情報は、 そのまま文字情報として提供されるのが 通常である。 しかし、 この文字情報を、 画像や音声など他の多様な形式を含めた 態様で提供できれば、 ユーザは、 提供される情報をより容易に消化し理解できる であろう。
更に、 以上で述べた 5つの解決すべき課題に共通することとして、 特別の専門 知識を有していない普通の人間が何らかの困難に直面したときに、 希望する情報 を容易かつ安価に取得できることが求められる。 つまり、 あくまでもユーザ - フ レンドりな態様で情報の提供がなされることが求められる。
以上で述べたような、 情報をとりまく従来の状況を前提にして、 本発明は、 あ る者から情報提供を求められた場合に、 情報を要求している者の個別的な事情に 照らして最適化された態様に選択かつ編集された情報を、 その者が希望する方法 で提供する情報提供システム及び情報提供方法を提案することを目的とする。 そ して、 本発明による情報提供システムは、 希望する情報を、 ユーザの年齢ゃコン ピュー夕 · リテラシなどとは無関係に、 容易かつ迅速に入手することを可能にす るユーザ · フレンドリなシステムであることも求められる。
発明の開示
今日では、 電子工学や半導体工学などの進歩を基礎としてコンピュータ及び通 信技術が発展し、 通信端末として機能する携帯電話やパーソナル · コンピュータ が個人レベルで購入できるようになった。 特にインターネッ トの普及は、 情報の 発信及び受信の個別化を加速させ、 上述した状況を変化させつつある。 インター ネッ卜による情報入手は、 従来型のマスメディアや個人的な情報供給源を介する 場合とは、 次の点で異なる。 第 1 に、 ある端末からインタ一ネットへのアクセス がいつたん得られると、 端末が設置されている場所とは無関係に、 地域や国境を 超えて情報を入手できる。 第 2に、 W W Wサイ 卜は数限りなく存在するので、 サ 一チェンジンを的確に用いれば、 従来は報道機関や専門家などに独占され個人レ ベルでは到底入手できなかった情報を容易に得ることができる。 第 3に、 情報を 入手するのに必要なコストが非常に低い。 第 4に、 メーリング ' リス卜やニュー ズ, グループに属すれば、 相当程度に個人の個別的な要望を満足させてくれる情 報を広い範囲から得ることが可能である。 第 5に、 インターネッ トでは、 情報は、 文字情報だけでなく、 画像や音声を含めた複数の形態で、 すなわちマルチメディ ァを介して、 供給されうる。 これらの特徴に着目すると、 インターネッ トは、 ィ ン夕ラクティブなデータベースへのアクセス手段、 更には、 インタラクティブな データベース自体と考えることができる。 インターネットは、 情報の世界的な規 摸での巨大な流通を生じさせ、 従来型の情報発信及び受信の状況を変容させてい る。
本発明は、 多様な情報を個別的に入手する希望が広く存在するという事情を一 方の背景とし、 他方でデータベースを含むコンピュータ技術とインターネッ卜を 含む通信技術との進歩を基礎として、 個人が、 従来とは異なった態様での情報提 供を受けることを可能とするシステムを提供する。 本発明は、 各個人が意識的又 は無意識的に有する個人的な事情を推察した上で、 各個人向けに最適化された的 確な情報を与えてくれる、 いわば仮想的な 「素敵な隣人」 を提供しょうとするも のである。
本発明によると、 予め登録されたユーザからの情報提供の要求に応答して当該
ユーザに対して最適化された情報を提供するシステムであって、 ユーザからの情 報提供の要求を入力する入力手段と、 ユーザに提供される情報を出力する出力手 段と、 複数のユーザのそれぞれに関する個人情報が検索可能な形態で記憶された 個人情報データベースと、 提供される情報が記憶された情報コンテンツ 'データ ベースと、 ユーザからの情報提供の要求に応答して情報コンテンツ ·データべ一 スを検索し検索の結果として得られた情報を出力手段に送る検索手段であって、 検索の際には、 個人情報データベースに記憶されたユーザに関する個人情報を用 いて、 検索結果には含まれてはいてもユーザに無関係な情報であれば削除し、 検 索結果には含まれてはいなくとも、 個人情報データベースにおける個人データか ら推測してユーザに関係する情報であれば追加することによリ、 情報内容の最適 化がなされる、 検索手段と、 を備えている最適情報提供システムが提供される。 本発明によるこのシステムでは、 入力手段及び出力手段は、 共に、 紙媒体、 電 話、 ファクシミリ及びインターネッ 卜を含む複数の手段を介して情報の自動的な 入力及び出力が可能である。
本発明によるこのシステムでは、 複数のユーザのそれぞれは、 個人情報データ ベースにおける自分自身に関する個人情報に自由にアクセスすることができるが、 自分以外の者に関する個人情報にはアクセスが禁止されている。 このために、 各 ユーザは、 登録時に、 本発明によるシステムへのアクセス用パスワードを与えら れる。 また、 各ユーザは、 個人情報データベースにおける自分自身に関する個人 情報を自由に書き換えることができる。 この意味で、 本発明による個人情報デー 夕ベースは、 各ユーザに対して完全な透過性を有している。
本発明によるこのシステムでは、 個人情報データベースには、 それぞれのユー ザによるこのシステムの利用履歴デ一夕が個人情報として追加及び蓄積されてい く。 追加及び蓄積された情報は、 以後の検索に利用される。 本発明は、 このよう にして、 利用されるたびに学習を繰り返し、 これによつて、 最新の個人情報に基 づくより最適な情報が提供される。 これは、 ヮ一ドプロセッサにおいて用いられ るカナ漢字変換システムが、 用いられるたびに特定の個人における使用の性癖等 を反映するように学習するのと類似する機能である。
本発明によるこのシステムでは、 ユーザからの情報提供の要求には、 希望する
情報の提供形態が含まれる。 つまり、 ユーザは、 情報提供を求める際に、 どのよ うな形態で情報を提供してほしいかを指定することができる。 提供形態は、 1 つ に限られる必要はない。
本発明によるこのシステムでは、 検索の際に関連する情報が情報コンテンツ - データベースに存在しない場合には、 インタ一ネット上の関連する W W Wサイ ト を含めて検索を拡大することができる。 図面の簡単な説明
図 1 には、 本発明による最適情報提供システムの概略が示されている。
図 2には、 本発明によるシステムの第 1 の特徴であるマルチイン ' プロセスの 詳細が示されている。
図 3は、 献立に関する提案を求める場合に記入を求められるリクエスト · カー ドの例である。
図 4には、 マルチイン · プロセスにおける複数の入力態様に関する処理の詳細 の例が表形式で示されている。
図 5は、 自動編集プロセスの概要を示す図である。
図 6には、 本発明の第 3の特徴であるマルチアウト · プロセスの詳細が示され ている。
図 7には、 マルチァゥ ト · プロセスにおける複数の出力態様に関する処理の詳 細の例が表形式で示されている。
図 8は、 本発明の第 4の特徴である一元的なワークフロー管理の全体像である。 図 9には、 ワークフロー管理の詳細が表形式で示されている。 発明を実施するための最良の形態
図 1 には、 本発明による最適情報提供システムの概略が示されている。 図 1 か ら明らかなように、 本発明によるシステムは、 次の 4つのプロセスを特徴として 有している。 すなわち、 本発明によるシステムは、 ( 1 ) ユーザからのリクエス 卜を複数の媒体 (マルチメディア) を介して統合的に受け付けるマルチイン · プ ロセスと、 (2 ) ユーザからのリクエスト ·データとシステム側に予め構築され
ているユーザの個人情報データベースからのデータとに基づき、 提供される情報 コンテンツが当該ユーザにとって最適化されるように自動編集を行う自動編集プ ロセスと、 (3 ) 自動編集された情報コンテンツを複数の媒体を介してユーザに 提供するマルチアウト · プロセスと、 (4 ) 以上の一連のプロセスから構成され るワークフローを一元的に集中管理するワークフロー管理プロセスと、 によって 特徴付けられる。
本発明による情報コンテンツ提供サービスを受けたいと考えている個人は、 こ の情報提供システムに予め加入し登録されているのが原則である。 加入の際には、 情報コンテンッの自動編集の基礎となる個人情報をシステム側に提供する。 また、 システムの利用が繰り返されるにつれて、 利用履歴を個人情報として蓄積してい くことも可能である。 どのような利用がなされるのかという傾向自体が、 個人情 報として意味を有するからである。 蓄積された履歴を含む最新の個人情報に基づ いて、 最適情報が検索及び編集されることが可能となる。 予め登録された加入者 以外のものが、 ゲスト利用者として、 そのとき限りの個人情報をシステム入力し て検索を依頼することも可能である。 その際には、 検索結果の最適化に用いられ た個人情報は、 システム内に蓄積されないことを希望することも可能である。 本発明によるシステムでは、 加入者は、 システムが自分自身に関するどのよう な個人情報を有しているのかをいつでも自由に見ることができ、 希望する場合に は変更もできる。 加入者は自己に関する情報を自ら管理できること、 逆から見る と、 システムは特定の加入者に関してシステムが収集する個人情報にっき当該加 入者に完全な透明性を担保することが、 本発明によるシステムに対する加入者か らの信頼性を確保する上で望ましい。 本発明のシステムは、 情報提供がテイラー メードで個別的に行えることを特徴とするが、 そのための自動編集プロセスにお いて参照される個人情報の正確性が、 提供される情報の最適化の程度を決定する 要因となる。 また、 加入者は、 提供した覚えのない病歴などの個人情報を反映し たと考えられる情報提供を受けた場合には、 このシステムへの信頼を喪失し、 以 後の利用をためらうことになろう。 従って、 本発明によるシステムが信頼され広 く利用されるためには、 いわゆる情報プライバシー権が完全に保証されているこ とが望ましい。 そのためには、 自分自身に関する個人情報の完全に自己責任に基
づいた管理を求めることが、 最も重要である。 これは、 抽象的な理念にとどまる ものではなく、 本発明によるシステムが効率的に機能するのに役立つ。 個人情報 を蓄積するシステムは従来から存在している。 しかし、 システム側と個人側との 間には垂直的な力関係が存在するのが通常であり、 その場合には、 個人からはシ ステムがどのような個人情報をどの程度まで収集しているのかが全く不透明であ つた。 そのようなシステムでは、 結局のところ、 自発的な利用はなされず、 利用 されないシステムは、 放置され機能を停止する。 本発明によるシステムは、 多数 の利用があることによってデータベースが充実し、 更なる利用コストの低下も期 待できる。 加入者に関してシステムが収集し蓄積している個人情報については、 当該加入者に対して完全な透明性が維持され、 当該加入者による訂正 ·変更も自 由とすると共に、 他の加入者に関する個人情報へのアクセス'を禁止する機構が用 意されることが望ましい。 具体的には、 加入者からサーバへのアクセスの際には、 パスワードや公開鍵などを利用した厳密な個人識別が行われ、 個人情報の送信の 際には暗号化などの必要な処理がなされる。 このようなセキュリティ対策は、 情 報プライバシー権の保証を通じて加入者の信頼を得ることによリ多数の利用を促 進し、 それによつて、 システムの整備 ·拡充を更に進めるために行われる。
次に、 図 2を参照する。 この図には、 第 1 のマルチイン ' プロセスの詳細が示 されている。 本発明によるシステムでは、 何らかの情報を必要としているユーザ は、 情報提供側のサーバに対して、 複数の選択肢の中の希望する方法でリクエス 卜を行うことができる。 図 1及び図 2には、 ハガキなどの紙媒体による入力と、 電話を用いた音声による入力と、 ファックスを用いた入力と、 イン夕一ネッ トを 介した電子メールによる入力と、 が示されている。 電話を用いる場合には、 通常 の音声による場合だけでなく、 プッシュホンを用いサーバ側からの指示に従つて データを入力することも可能である。
例えば、 情報提供システムの加入者である主婦が、 食事の献立についての提案 を受けたいと考えている場合を考える。 記入を求められるリクエスト · カードの 例が、 図 3に示されている。 このようなリクエスト · カードは、 加入者に対して 予め配布しておき、 加入者がリクエス卜内容を記入した上で郵送したり、 フアツ クスを介して送信するものである。 電話を用いて、 システム側の自動音声応答シ
ステムに向かって記入内容を読み上げることにより、 音声入力を行うこともでき る。 あるいは、 加入者が情報提供システム側が開設しているインターネッ ト上の W W Wサイ 卜にアクセスし、 モニタ上に表示されている仮想的なリクエス卜 · 力 一ドに記入を行いオンラインでリクエストを送信することも可能である。 いずれ にしても、 本発明によるシステムでは、 加入者からのリクエストは、 人間である オペレータを介することなく、 自動的に受信されるのが原則である。
図 4には、 マルチイン ■ プロセスにおける複数の入力態様に関する処理の詳細 の例が表形式で示されている。
次に、 図 5は、 自動編集プロセスの概要を示すブロック図である。 本発明によ る最適情報提供システムにおける検索手段 1 0は、 ユーザからの情報提供リクェ ス卜を受け取ると、 それに応答して、 個人情報データベース 2 0と情報コンテン ッ ·デ一夕べ一ス 3 0との検索を開始する。 具体的には、 検索手段は、 データべ —ス管理システム (D B M S ) である。 検索手段 1 0は、 ユーザからのリクエス 卜に応答して、 情報コンテンツ ·データベース 3 0内の関連情報を検索し、 個人 情報データベース 2 0から得られた当該ユーザの個人情報に基づいて、 検索の結 果得られた情報の全体から不要な情報は削除し、 また、 たとえ、 検索結果には含 まれなくとも、 当該ユーザの個人情報から判断すると、 興味をもつであろうと思 われる情報を検索結果に追加する。 このようにして最適化された情報が、 ユーザ に提供される。 情報コンテンツ 'データベース 3 0には、 幅広い情報を確保する 必要がある。 そのためには、 例えば、 過去に出版された書籍や雑誌のコンテンツ 情報を記憶しておき、 新たな出版がなされるたびにデータを更新することが考え られる。 また、 このデータベースは閉じた体系である必要はない。 入手可能な情 報のすべてをデータベース自体に組み入れるのではなく、 関連する W W Wサイ 卜 の U R Lを記憶しておくことにとどめ、 外部のデータ · ソース 4 0にアクセス可 能な開かれた状態に保つこともできる。 それにより、 ハードウェア及びソフトゥ ェァ資源の利用を一定限度に制限しながら、 多くの情報を提供可能な能力を維持 することが可能となる。
具体例に則して、 自動編集プロセスにおける情報最適化について説明する。 本 発明のシステムによる情報の最適化は、 (〗 ) 上述した料理の献立に関する提案
を求める場合以外にも、 多くの場合に応用が可能である。 例えば、 (2 ) 家族旅 行について目的地の提案を希望する場合、 (3 ) 中学生が期末テストの準備をす るのに、 練習問題を入手したい場合、 (4 ) 大学進学を希望する高校生や、 大学 院進学を希望する大学生が、 特定分野に強い大学を探している場合、 (5 ) 特定 の条件を満たす介護老人ホームを探している場合など、 情報提供システム側では、 予め、 様々なメニューを用意し、 それぞれに対応するリクエスト · カードを作成 しておくことができる。 もちろん、 あらゆる加入者からの多様な要求すべてに応 えることは困難であるから、 加入者は、 メニューには含まれていない情報コンテ ンッの提供可能性を問い合わせることも可能である。
本発明によるシステムは、 加入者に関連付けられている個別的な事情が考慮さ れることによって、 提供される情報のコンテンツが、 リクエストをしている加入 者にとって最適化される。 従って、 個人情報を斟酌することによって出力が左右 されるようなリクエス卜こそ、 このシステムによって処理されるのに適している と考えられる。
( 1 ) 献立の提案を求める場合には、 料理を食べる人間、 例えば家族の人数、 嗜好、 健康状態、 年齢などの個人データをシステム側が有していれば、 情報を最 適化するのに役立つであろう。 献立について説明する際に、 家族の実際の名前を 用いて、 「ダイエツ卜を希望している Aさんにとっては、 このような献立が適切 です J、 Γ 2歳の Bちゃんも、 この味ならば喜んで食べるはずです」、 「野菜が苦手 なじさんでも、 このメニューならば、 たくさん野菜を取ることができます」 など というキャプションを挿入することも、 万人向けの一般的情報ではなく、 特定の ユーザのために最適化した情報であることを強調するのに役立つ。 その家庭の子 供が特定の食品や環境に対してアレルギーをもっている場合には、 そのことをシ ステム側に知らせておけば、 献立の提案に反映させることができるであろう。 料理に関する情報提供と共に、 新しい調理器具や保存用食品の宣伝、 この特定 のユーザの近所にあるスポーツクラブの紹介などを提供することも可能である。 また、 「ときにはいかがでしょうか」 などとして、 近くのレス卜ランのランチ - メニューを紹介するのも、 内容を豊富にする一例であろう。 一般に広告は、 掲載 される媒体が集合的に想定している読者や視聴者に向けて内容が決定されるが、
本発明のシステムによれば、 リクエス卜と個人情報とから最も適切であると考え られる広告を、 情報の提供と同時に行うことができる。
( 2 ) 次に、 家族旅行について目的地の提案を希望する場合には、 例えば、 お およその予算、 家族構成 (夫婦の年齢、 子供の有無及び数)、 料理に関する嗜好 (海のものか山のものか)、 目的地に関する好みはどうか (都市型のリゾート地 を好むのか、 ひなびた温泉地がいいのか)、 どのような観光施設を望むか (歴史 的名所か、 娯楽施設か)、 スポーツ好きな家族かどうか、 現在住んでいる場所か らの距離 (遠くてもよいのか、 近場がいいか)、 移動手段についての好み (車で 移動するのか公共交通機関を利用するのか)、 などによって、 提案の内容は異な るだろう。 これらの情報を提供し、 また、 個人データベース内に蓄積されたデー 夕を用いて検索を行うことにより、 旅行代理店のカウンターで時間をかけて目的 地を探す手間が省けることになる。
( 3 ) 中学生が期末テストの予想問題を入手したい場合には、 使用している教 科書の種類、 得意分野及び苦手分野、 前回のテストでの出題分野などが問題にな ろう。 本発明のシステムは、 この中学生の過去の成績データが個人データベース に蓄積されていればそのデータを用いて、 どの教科のどの分野について集中的に 準備をすればよいのかを、 適切に指摘することができる。 こうして、 専門のカウ ンセラーから個人コンサルティングを受けているのと同様な学習指導が可能とな る。
( 4 ) 大学進学を希望する高校生や、 大学院進学を希望する大学生が、 特定分 野に強い大学を探している場合には、 具体的にどのような分野について学びたい のか、 将来についてどのような希望をもっているのか、 進学を希望するユーザの 学力はどの程度か、 どの地方のどの種類の大学を希望するのか、 国内の大学に限 定されるのか、 外国の大学でもよいとするならば何語で教育が行われている必要 があるのか、 支払う準備のある学費はどの程度かなど、 様々な要素が関係する。 大学及び大学院案内は、 通常は、 書物の形式で提供されているが、 これらの一般 的な案内には、 進学希望者の個別具体的な希望との関係で本当に必要な情報が開 示されているとは限らない。 漠然とした情報しか得ることなく大学を決めてしま うと、 例えば、 フランスの現代文学について学ぶことを希望して、 仏文科を有す
る P大学への入学を希望したが、 実は、 その大学の仏文科には中世文学の教授が Ί 人いるだけだったり、 数論に興味をもって Q大学の大学院への入学を希望した が、 Q大学教授であり高名な数論の専門家は、 1年後に定年退職することになつ ていたりという、 残念な結果になりかねない。 このような非常に細部にわたる情 報は、 一般的な学校案内には載りにくい。 このような状況において、 システム側 でユーザ側の個人情報を利用できれば、 適切な提案が可能となるであろう。
( 5 ) 次に、 特定の条件を満たす介護老人ホームを探すことを考える。 この場 合には、 誰が入所を希望するのか、 希望者の身体及び精神の健康状態、 支払可能 な入所費用はどの程度か、 どの地方のどの程度の規模のホームが希望であるのか、 どのような部屋を望むかなど、 細かな条件を指定する必要があるだろう。 このよ うな入所希望者側の個人データと既存のホームの空き状況とを勘案して、 検索結 果が提供されることになる。
図 6は、 本発明の第 3の特徴であるマルチァゥ卜 · プロセスの詳細が示されて いる。 本発明によるシステムでは、 情報を提供されるユーザは、 複数の選択肢の 中の希望する方法で情報を受け取ることができる。 図 6には、 シートや冊子など の紙媒体による出力と、 電話を用いた音声による出力と、 ファックスを用いた出 力と、 インターネットを介した電子メールによる出力と、 が示されている。 ここ で、 冊子として出力がなされる場合には、 最近、 国内外で実現しつつあるオン - デマンド出版に用いられる印刷機に類似している個別印刷システムを用いる。 才 ン ·デマンド出版の場合には少部数とはいえ、 ある程度の部数で同じ出版物を作 成するのであるが、 本発明によるシステムのマルチァゥト ■ プロセスでは、 個別 のリクエス卜に応じたただ 1部の印刷を行うことになる。
図 7には、 マルチァゥ 卜 ·プロセスにおける複数の出力態様に関する処理の詳 細の例が示されている。 本発明によるシステムは、 入力の際に複数の形態を利用 できるのと同様に、 多様な形態で情報を提供することが可能である。 すなわち、
2つのデータベースを検索し、 自動編集を行った結果として最適化された情報は、 冊子、 ボイスメール、 ファックス、 Eメールなどの複数の手段を用いて、 情報を リクエス卜したユーザに提供される。
ここでいう冊子とは、 ユーザからのリクエス卜と個人情報データベースに記憶
された個人情報とに基づき、 当該ユーザのために作成された 1 冊の印刷物である < 通常の書籍や雑誌は、 多数の読者に向けられた媒体であるが、 ここでの冊子は、 リクエストを行ったユーザただ 1 人だけに宛てられている。 既に述べたように、 この冊子は、 各ページの内容が、 上述の自動編集プロセスによりユーザからのリ クエス卜及び個人情報との関係で最適化された上で、 印刷及び製本されている。 各ページに、 内容がやはり最適化された広告を掲載することも可能である。 また、 冊数も 1冊に限らず、 複数冊になってもよいし、 他の一般的な書籍や雑誌などと 組み合わせて封入することもできる。 以上の紙媒体は、 郵便や宅配便などでユー ザまで届けられるが、 送付の際には、 バーコード等の識別手段を利用して送付先 などを自動的に制御することが好ましい。 紙媒体以外にも、 例えば、 フロッピ — 'ディスク (F D )、 C D、 D V D、 M O、 カセット 'テープ、 M D、 V T R など、 情報を記憶することができる媒体であれば、 本発明による情報提供の形態 として用いることができる。 1 回の情報提供において複数の媒体を同時に用いて 情報を提供することも可能である。
次に、 本発明の第 4の特徴である一元的なワークフロー管理の全体像が、 図 8 に示されている。 本発明によるシステムでは、 以上で説明してきた ( 1 ) マルチ イン - プロセスと、 (2 ) 自動編集プロセスと、 (3 ) マルチアウト ' プロセスと から構成される全体が 1 つのワークフローとして統合的に管理及び制御され、 全 体が 1 つのシステムとして機能する。 図 9には、 図 8に示されたワークフロー管 理の詳細が表形式で示されている。
以上で詳細に説明したように、 本発明による最適情報提供システムは、 従来行 われてきた夕ーゲッ 卜が必ずしも明確でない情報提供のあり方とは異なり、 予め 蓄積されており利用のたびに学習を繰り返し充実していく個人情報データベース を用いて検索結果を最適化することによって、 各ユーザにとって最適化された情 報を、 ユーザが希望する形態で提供することを可能にしている。
内容の最適性に加えて、 本発明によるシステムの利用には特別の専門知識は必 要ない点も重要である。 従って、 本発明によるシステムによれば、 希望する情報 を、 ユーザの年齢やコンピュータ ■ リテラシなどとは無関係に、 容易、 迅速及び 安価に入手することが可能となる。