明 細 書 インクジエツト記録用ィンク、 インクジヱッ ト記録方法、 および記録物
[発 明 の 背 景]
発明の分野
本発明は、 インクジェット記録方法に用いられるインク組成物、 インクジエツ ト記録方法、 および記録物に関する。
背景技術
インクジヱット記録方法に用いられるインク組成物には、 記録紙上への印字に おいて、 一般的に、 (1 ) 印字画像に不規則なにじみが少ないこと、 (2 ) 印字 後、 素早く乾燥すること、 (3) 印字画像の印字濃度が高いことなどの特性が要 求される。
このような条件を満たす為に以前から様々な検討が行われている。 例えば、 ィ ンクの浸透性を向上させることで印字画像のにじみ低減と乾燥性を向上させるこ とが検討されている。 具体的には、 米国特許第 5 1 5 6 6 7 5号明細書にはジェ チレンダリコールモノプチルェ一テルの使用が、 米国特許第 5 1 8 3 5 0 2号明 細書にはァセチレンダリコール系の界面活性剤の使用することが提案されている。 しかしながら、 浸透剤を使用してインクの浸透性を大きく向上したインクでは、 着色剤も記録紙中に深く浸透することとなり、 印字画像の印字濃度を確保しにく いという課題が発生する。
また、 近年インクジエツトプリン夕に用いるインクの着色剤として、 染料と比 較して耐水性、 耐光性等の堅牢性に優れる顔料を利用することが検討されている。 ところ力 通常、 上記に示すような浸透剤を使用した組成を顔料インクに使用す ることは難しい。 それは次のような理由による。 顔料は染料と異なり水への溶解 性がないため、 顔料インクでは顔料粒子を水中で安定に分散させることが重要と なる。 そこで顔料表面を水に濡れやすく し、 顔料の沈降を防止する方法として、 各種界面活性剤や水性樹脂等の分散剤を使用して顔料を水性媒体上に分散する手 法がとられている。 ところが、上記のような浸透剤を顔料インクに使用した場合、
顔料の分散安定性を著しく阻害し、 インクの安定性が確保できなくなってしまう のである。
特開平 3— 1 5 7 6 4号公報には、 このようなアセチレングリコール系浸透剤 を使用した顔料インクにおいて、 顔料の分散剤としてポリマー分散剤を、 水性媒 体として水、 不揮発性有機溶剤、 低級アルコールを使用することでその分散安定 性を確保する検討が行われている。 しかしながら、 本発明者らの知る限りでは、 このインクにあつても印字濃度は改善の余地を残すものであった。
[発 明 の 概 要]
本発明者らは、 今般、 特定のゼータ電位を有する表面処理顔料により、 種々の 特性に優れた浸透剤を含んだ顔料系ィンク組成物が実現可能であるとの知見を得 た。 とりわけ、 印字画像に不規則なにじみが少なく、 印字後素早く乾燥し、 印字 画像の印字濃度が高く、 さらに保存安定性に優れたィンク組成物が得られるとの 知見を得た。 本発明は係る知見に基づくものである。
従って、 本発明は、 印字画像に不規則なにじみが少なく、 印字後素早く乾燥し、 印字画像の印字濃度が高く、 さらに保存安定性に優れたィンクジヱット記録用ィ ンク組成物の提供をその目的としている。
また、 本発明は、 上記インク組成物を実現する表面処理顔料の提供をその目的 としている。
そして、 本発明によるインクジヱッ ト記録用インク組成物は、 顔料、 浸透剤、 および水を少なくとも含んでなるインクジヱット記録用インク組成物であって、 前記顔料が分散基をその表面に有する、 単独で水性溶媒に分散可能な表面処理顔 料であり、 かつそのイオン交換水による 1 0 0 0倍希釈 (顔料の重量基準) 水分 散液の 2 0。C、 p H 8〜9におけるゼ一夕電位の絶対値が 3 O m V以上であるも のである。
[発明の具体的説明]
表面処理顔料
本発明において用いられる表面処理顔料は、 分散基をその表面に有し、 単独で
水性溶媒に分散可能な表面処理顔料であり、 かつそのイオン交換水による 1 0 0 0倍希釈 (顔料の重量基準) 水分散液の 2 0 °C、 p H 8〜9におけるゼ一タ電位 の絶対値が 3 O mV以上のものである。
本発明において、 分散基とは、 顔料を単独ですなわち分散剤の添加なしに水性 溶媒に分散可能なものとする基を意味する。 その具体例としては、 カルボキシル 基、 ヒドロキシル基、 スルホン酸基などが挙げられる。
顔料の表面への分散基の導入は分散基の種類に応じて適宜なされてよいが、 例 えば、 カルボキシル基、 ヒドロキシル基を導入する場合、 酸化処理カ好ましい。 ここで酸ィ匕処理とは、 顔料を酸化剤 (例えば、 オゾン、 硝酸、 過酸化水素、 次亜 ハロゲン酸、 窒素酸化物、 およびフッ素ガス等) により液相または気相で酸化処 理する方法をいう。 また、 顔料表面をプラズマ処理して、 カルボキシル基、 ヒド 口キシル基を導入することも可能である。 プラズマ処理とは、 具体的には、電子 銃や強磁場内で顔料表面の分子構造を破壌し、 強制的に解離状態を作り出し、 分 を表面に形成する方法を意味する。 スルホン酸基を導入する場合、 スルホン 化処理を行う。 すなわち、 顔料を、 スルホン化剤 (例えば、 硫酸、 発煙硝酸、 ス ルホン化ピリジン酸、 スルフアミン酸、三酸化硫黄、 クロ口硫酸、 アミ ド硫酸等) により処理する。 なお、 これらの処理は、単独で処理しても、 複数処理を同時に Π"つて ¾>よい o
なお、 上記酸化処理およびスルホン化処理は公知の方法に準じて行うことが可 能であり、 例えば欧州特許 E P 0 8 3 4 5 3 7 A 1公報に記載の方法に 準じて実施することができる。
本発明に用いられる顔料は、 そのイオン交換水による 1 0 0 0倍希釈 (顔料の 重量基準) 水分散液の 2 0 °C、 p H 8〜9におけるゼータ電位の絶対値が 3 O m V以上のものである。 また、 より好ましくはゼ一タ電位の絶対値は 4 O m V以上 である。 ゼータ電位の絶対値が上記値にあることで、 分散安定性が良好で凝集ま たは沈降を生じさせず、 また紙上において高い印字濃度を実現するインク組成物 が実現できる。 ゼ一タ電位の制御は、 分散基の種類および量を制御することによ り実施できる。 具体的には、 上記した酸化処理、 スルホン化処理などの反応時間、 処理剤の種類等を制御することにより行う。
本発明の好ましい態様によれば、 顔料のイオン交換水による 1000倍希釈 (顔料の重量基準) 水分散液の 20°Cにおける表面張力は 65mNZm以上であ ること力《好ましく、 より好ましくは 7 OmNZm以上である。
本発明において上記表面処理が行われる顔料は、 力一ボンブラックのみならず、 有機顔料であってもよい。 好ましい顔料の例としては、 ブラック用としては、 フ アーネスブラック、 ランプブラック、 アセチレンブラック、 チャンネルブラック 等のカーボンブラック (C. I. ビグメントブラック 7)類が挙げられる。 更に 有機顔料としては、 ブラック顔料として、 ァニリンブラック ( I. ビグメン トプラック 1)等、 カラ一顔料として、 C. I. ビグメントイエロー 1 (ファス トイエロー G)、 3、 12 (ジスァゾイエロ一 AAA;) 、 13、 14、 17、 2 4、 34、 35、 37、 53、 55、 74、 81、 83 (ジスァゾイェロー HR) 、 95、 97、 98、 100、 101、 104、 108、 109、 110、 11 7、 120、 138、 153、 C. I. ビグメントレッド 1、 2、 3、 5、 17、
22 (プリリアントファース トスカーレツ ト) 、 23、 31、 38、 48 : 2 (パーマネントレツ ド 2 B (B a) )、 48 : 2 (パ一マネントレッ ド 2 B (C a) )、 48 : 3 (パーマネントレツ ド 2 B (S r) )、 48 : 4 (パーマ ネントレツ ド 2 B (Mn) ) . 49 : 1、 52 : 2、 53 : 1、 57 : 1 (プリ リアント力一ミン 6B) 、 60 : 1、 63 : 1、 63 : 2、 64 : 1、 81 (口 ーダミン 6 Gレーキ) 、 83、 88、 101 (べんがら) 、 104、 105、 1 06、 108 (カドミウムレッ ド) 、 112、 114、 122 (キナクリ ドンマ ゼン夕) 、 123、 146、 149、 166、 168、 170、 172、 177、 178、 179、 185、 190、 193、 209、 219、 C. I. ビグメン トブル一 1、 2、 15 (フタロシアニンブルー R)、 15 : 1、 15 : 2、 15 :
3 (フタロシアニンブル一 G)、 15 : 4、 15 : 6 (フタロシアニンブル一 E) 、 16、 17: 1、 56、 60、 63などが挙げられる。
さらに、 カラー顔料として、 C. I. ビグメントオレンジ 1、 2、 5、 7、 1 3、 14、 15、 16、 34、 36、 38; I. ピグメントバイオレツ 卜 1、 2、 19、 32 ; C. I. ビグメントグリーン 1、 4、 36; I. ビグメン トブラウン 3、 5、 25、 26等を用いることも可能である。
上記表面処理顔料のインク組成物に対する添加量は適宜決定されてよいが、 0. 5〜3 0重量%力、'好ましく、 より好ましくは 1 . 0〜1 2重量%である。 こ の範囲にあることで、 印字濃度が良好で、 吐出安定性にも優れるインク組成物が 得られる。
また、 上記表面処理顔料の粒径は 2 5 / m以下であることが好ましく、 ; m 以下の粒径であることがより好ましい。 浸透剤および他の成分
本発明によるインク組成物は、 浸透剤を含んでなる。 本発明の好ましい態様に よれば、 浸透剤として、 アセチレングリコール系界面活性剤またはグリコールェ —テル類の少なくとも一種を用いる。
本発明において好ましく用いられるアセチレンダリコール系界面活性剤の好ま しい例は、 下記の式 (I ) で表されるもの力く挙げられる。
(式中、 R R 2、 R \ および R4はそれぞれ独立してアルキル基 (好ましくは 炭素数 1〜1 0のアルキル基) を示し、 n +mは 0から 3 0を表す)
上記式 (I ) の化合物として市販品を利用することも可能であり、 その具体例 としては、 サーフィノール T G、 サーフィノール 4 2 0、 サーフィノール 4 4 0、 サーフィノール T 4 6 5 (以上いずれもエア一プロダクツ社製) 等を挙げること ができる。
また、 グリコールエーテル類の好ましい例としては、 エチレングリコールモノ
メチルエーテル、 エチレングリコールモノェチルエーテル、 エチレングリコール モノブチルエーテル、 ジエチレングリコールモノメチルエーテル、 ジエチレング リコールモノェチルエーテル、 ジエチレングリコールモノブチルエーテル、 トリ エチレングリコールモノプチルエーテル等を挙げることができる。
これら浸透剤の添加量はその添加の効果が得られる範囲で適宜決定されてよ 、 が、 インク組成物に対して 1〜3 0重量%程度力く一般的であり、 3〜1 5重量% 程度が好ましい。
本発明によるインク組成物において、 水は主溶媒である。 水は、 イオン交換水、 限外濾過水、 逆浸透水、 蒸留水等の純水、 または超純水を用いることができる。 また、 紫外線照射、 または過酸化水素添加などにより滅菌した水を用いることに より、 ィンク組成物を長期保存する場合に力ビゃバクテリァの発生を防止するこ とができるので好適である。
また、 本発明の好ましい態様によれば、 浸透剤の助剤としてインクの浸透性を 制御する目的で、 更にノズルの耐目詰まり性、 インクの保湿性、 浸透剤の溶解性 を向上する目的で、 ァニオン性、 カチオン性、 両性の各種界面活性剤、 高沸点低 揮発性の多価アルコーソレ類、 またはそれらのモノエーテル化物、 ジエーテル化物、 エステル化物等の親水性高沸点低揮発性溶媒等を添加することができる。
それらの例としては、 ノニオン界面活' f生剤として、 アセチレングリコールアル コールエチレンオキサイ ド、 フッ素系、 シリコーン系、 アクリル酸共重合物、 ポ リオキシエチレンアルキルエーテノレ、 ポリオキシエチレンアルキルフヱニルエー テル、 ポリオキシエチレン 2級アルコールエーテル、 ポリオキシエチレンステロ ールエーテル、 ポリオキシエチレンラウリルエーテル、 ポリオキンエチレンラノ リン誘導体、 アルキルフェノ一ルホルマリン縮合物の酸化ェチレン誘導体、 ポリ ォキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、 ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレンァルキルェ一テル、 ポリオキシェチレン化合物の脂肪酸ェ ステル型、 ポリエチレンォキサイド縮合型ポリエチレングリコール脂肪酸エステ ル、 脂肪酸モノダリセリ ド、 ポリグリセリン脂肪酸エステル、 ソルビタン脂肪酸 エステル、 プロピレングリコール脂肪酸エステル、 ショ糖脂肪酸エステル、 脂肪 酸アルカノ一ルアミ ド、 ポリオキシエチレン月旨肪酸アミ ド、 ポリオキシエチレン
アルキルアミン、 アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。 さらに、 ポリオキ シェチレンアルキルエーテル、 ポリオキシェチレンアルキルフエニルエーテル、 ポリオキシエチレン 2級アルコールエーテル、 ポリオキシエチレンステロールェ —テル、 ポリオキシエチレンラウリルエーテル、 ポリオキシエチレンラノリン誘 導体、 アルキルフエノールホルマリン縮合物の酸化ェチレン誘導体、 ポリオキシ エチレンポリオキシプロピレンプロックコポリマ一、 ポリオキシエチレンポリオ キシプロピレンアルキルエーテル、 ポリオキシエチレン化合物の脂肪酸エステル 型、 ポリエチレンオキサイド縮合型ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、 脂 肪酸モノダリセリ ド、 ポリグリセリン脂肪酸エステル、 ソルビタン脂肪酸エステ ル、 プロピレングリコール脂肪酸エステル、 ショ糖脂肪酸エステル、 脂肪酸アル 力ノールアミ ド、 ポリオキシエチレン脂肪酸アミ ド、 ポリオキシエチレンアルキ ルアミン、 アルキルアミンォキサイド等カ挙げられる。
ァニオン界面活性剤としては、 高級脂肪酸塩、 高級アルキルジカルボン酸塩、 高級アルコール硫酸エステル塩、 高級アルキルスルホン酸塩、 アルキルベンゼン スルホン酸塩、 アルキルナフタレンスルホン酸塩、 ナフタレンスルホン酸の塩 (N a、 K、 L i、 C a ) ホルマリン重縮合物、 高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、 ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、 アルキルスルホコハク酸塩、 ナフテン酸 塩等、 アルキルエーテルカルボン酸塩、 ァシル化ペプチド、 一ォレフインスル ホン酸塩、 N—ァシルメチルタウリン、 アルキルエーテル硫酸塩、 第二級高級ァ ルコールェトキシサルフヱ一卜、 ポリオキシエチレンアルキルフヱニルエーテル 硫酸ナトリウム塩、 ポリオキシエチレンアルキルフエニルエーテル硫酸アンモニ ゥム塩、 モノグリザルフェート、 アルキルエーテル燐酸エステル塩、 アルキル燐 酸エステル塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、 脂肪族アミン塩、 第四アンモニゥ厶塩、 スルホ ニゥム塩、 ホスフォニゥム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としてはカルボキンべタイン型、 ァミノカルボン酸塩、 レシチ ン等が挙げられる。
高沸点低揮発性の多価アルコ―ル類の例としては、 グリセリン、 エチレングリ コール、 ジエチレングリコール、 トリエチレングリコ一ノレ、 プロピレングリコー
ル、 ジプロピレングリコール、 へキンレングリコール、 ポリエチレングリコール、 ポリプロピレングリコール等が用いられ、 またそれらのモノエーテル化物、 ジェ 一テル化物、 エステルイ匕物等が用いられ、 その他 N—メチル一 2—ピロリ ドン、 1 , 3—ジメチルイミダゾリジノン、 モノエタノールァミン、 N, N—ジメチル エタノールァミ ン、 N, N—ジェチルエタノールァミン、 ジエタノールァミ ン、 N— n—ブチルジェタノ一ルァミン、 トリイソプロパノールァミン、 トリエタノ ールァミン等のが挙げられる。
これら浸透剤の助剤の添加量は、 その添加の効果が得られる範囲で適宜決定さ れてよいが、 インク組成物に対して 0. 0 1〜5重量%程度が好ましく、 より好 ましくは 0. 1〜3重量%程度である。
また、 乾燥性の向上を目的として、 エタノール、 プロパノール、 イソプロパノ ール、 ブタノール、 等の高揮発性の一価のアルコール類の添加も好ましい。 その 添加量は、 インク組成物に対して 0. 1〜2 0重量%程度が好ましく、 より好ま しくは 1〜 1 0重量%程度である。
また、 本発明によるインク組成物は、 p H調製剤を含むことができ、 その具体 例としては、 フタル酸水素力リゥム、 リン酸ニ水素力リウム、 リン酸水素ニナト リゥム、 四ホウ酸ナトリゥム、 酒石酸水素力リゥム、炭酸水素ナトリゥム、 炭酸 ナトリウム、 トリス (ヒドロキシメチル) ァミノメタン、 トリス (ヒドロキシメ チル) ァミノメタン塩酸塩等を挙げることができる。 その添加量は、 へッ ドの部 材の耐久性とィンクの安定性の観点から、 概ねインクの p Hが p H 7〜p H 1 0 の範囲となる量であることが好ましい。
また、 本発明によるインク組成物は、 その他必要に応じて、 防カビ、 防腐、 防 锖等の目的で安息香酸、 ジクロロフェン、 へキサクロ口フェン、 ソルビン酸、 p —ヒドロキシ安息香酸エステル、 エチレンジアミン四酢酸 (E D T A) 、 デヒド 口酢酸ナトリウム、 1, 2—べゾチアゾリンー 3—オン (商品名 : プロキセル X L、 I C I社製) 、 3, 4—イソチアゾリンー 3—オン等を含むことができる。 更にノズル乾燥防止の目的で、 尿素、 チォ尿素、 および Zまたはエチレン尿素等 を添加することができる。
また、 本発明によるインク組成物の諸物性は適宜制御されてよいが、 本発明の
好ましい態様によれば、 インク組成の粘度は 1 OmP a '秒以下であるのが好ま しく、 より好ましくは 5 mP a ·秒以下 (20°C) である。 この範囲であること でインクは安定にインク吐出へッ ドから吐出される。 また、 インクの表面張力は、 25〜5 OmN/m (20°C) であるのが好ましく、 より好ましくは 30〜 40 mN/m (20°C) である。
[実 .施 例]
以下において、 印字試験および保存安定性試験は以下の通りとした。
印字試験
インクジェッ トプリンタ一 M J— 5000 C (セイコーエプソン株式会社製) にインク組成物を充填して、 中性普通紙ゼロック一 P (富士ゼロックス社製) 、 酸性普通紙 E PP (セイコーェプソン株式会社製) ヽ 再生紙ゼロックス一 R (富 士ゼロックス社製) のそれぞれの紙に対し、 印刷を行った。
保存安定性試験
インク組成物をガラス製のサンプル瓶に入れ密栓後、 それぞれ 60°CZ1週間、 — 20°C/1週間放置して、 放置前後でのインクの発生異物と物性値 (粘度、 表 面張力) について調べた。
また、以下で、 顔料分散液のゼータ電位の測定はレーザー · ドップラー型電気 泳動装置 (大塚電子製 E LS-800) により、 また、表面張力の測定は表面張 力計 (協和界面科学製 CB VP— A3) により行った。
実施例 1
(a)顔料分散液の調製
カーボンブラック (三菱化学社製、 MA-7) 12重量部を 5%の次亜塩素酸 ナトリウム溶液 600重量部と混合し、 80〜95°Cで加熱還流を 10時間行つ た。 その後、 水洗と遠心分離を繰り返した後、 塩酸を加えて pHを 1に調整し、 逆浸透膜にて脱塩処理した。 トリエタノールアミンを加えて pHを 8に調整して、 20重量%の酸化処理力一ボンブラック分散液を得た。
得られたカーボンブラック分散液に、 カーボンブラック 1重量部に対して 10 00重量部のイオン交換水を加え、 1000倍希釈液を調製した。 この希釈液の
pH8、 20°Cにおけるゼ一夕電位の絶対値は 6 OmVであった。 また、 カーボ ンブラック分散液の表面張力は 7 lmN/mであった。
(b) インクの調製
上記顔料分散液 30重量部 サ一フィノール 465
エチレングリコールモノブチルエーテル 8重量部 グリセリン 10重量部 イオン交換水 51重量部
上記成分を混合後、 濾過して、 インク組成物を得た。
上記インク組成物を用いて印字試験を行った。 その結果、 得られた印字画像は いずれも不規則なにじみ力殆ど無く、 印字濃度の非常に良好な印字画像であった c また、 ベタ印字を行った場合、 インクが紙へ浸透消失する乾燥時間はいずれの記 録紙にあっても 2秒未満であった。 また、 保存安定性試験を行った結果、 いずれ の条件でも放置前後で、 異物の発生、 物性値の変化が殆ど無かった。
実施例 2
(a)顔料分散液の調製
カーボンブラック (三菱化学社製 ΓΜΑ— 100」) 8重量部を水性溶媒中に 分散し、 スルフアミン酸 6重量部を添加して、 120〜135°Cで加熱しながら 8時間攪拌した。 水洗と濾過を繰り返した後、 ジメチルァミノエタノールを加え て pHを 8. 5に調整して、 16重量%のスルホン化処理カーボンブラック分散 液を得た。
得られたカーボンブラック分散液に、 力一ボンブラック 1重量部に対して 10 00重量部のイオン交換水を加え、 1000倍希釈液を調製した。 この希釈液の pH8〜9、 20°Cにおけるゼ一夕電位の絶対値は 45mVであり、 表面張力は 65mN/mであった。
(b) インクの調製
上記顔料分散液 39重量部 サ一フィノール 440 0. :
エチレングリコールモノブチルエーテル
グリセリン 1 0重量部 イオン交換水 4 5. 9重量部 上記成分を混合後、 濾過して、 インク組成物を得た。
上記インク組成物について印字試験を行った。 得られた印字画像はいずれも不 規則なにじみが殆ど無く、 高い印字濃度の非常に良好な印字画像であった。 また、 ベた印字を行つた場合のィンクが紙へ浸透消失する乾燥時間はいずれの記録紙に あっても 2秒未満であった。 また、 保存安定性試験を行った結果、 いずれの条件 でも放置前後で、 異物の発生、 物性値の変ィ匕が殆ど無かった。
実施例 3
( a ) 顔料分散液の調製
5〜1 0 °Cの発煙硫酸 (3 03濃度2 5 %品) 1 0 0重量部中にフタロシア二 ン顔料 C. I . ビグメントブルー 1 5 : 3 3重量部を攪拌しながら 1 5分かけ て添加した。 得られた混合物を 7 0〜9 0 °Cで 8時間攪拌した後、 氷水中に注入 した。 生じた懸濁液を濾過し、 洗浄後、 トリエタノールァミンを加えて p H 8. 2に調整して、 1 8重量%のスルホンィ匕処理フタロシアニン顔料分散液を得た。 得られた顔料分散液に、 顔料 1重量部に対して 1 0 0 0重量部のイオン交換水 を加え、 1 0 0 0倍希釈液を調製した。 この希釈液の p H 8〜9、 2 0 °Cにおけ るゼータ電位の絶対値は 3 5 mVであり、 表面張力は 6 S mNZmであった。
(b ) インクの調製
上記顔料分散液 3 5重量部 ジエチレングリコールモノブチルエーテル 1 0重量部 トリエチレングリコ一ルモノエチルェ一テル 5重量部 グリセリン 1 0重量部 イオン交換水 4 0重量部
上記成分を混合後、 濾過して、 インク組成物とした。
上記インク組成物について印字試験を行った。 得られた印字画像はいずれも不 規則なにじみ力殆ど無く、 高い印字濃度の非常に良好な印字画像であった。 また、 ベた印字を行った場合のィンクが紙へ浸透消失する乾燥時間はいずれの記録紙に
あっても 4秒未満であった。 また、 保存安定性試験を行った結果、 いずれの条件 でも放置前後で、 異物の発生、 物性値の変化が殆ど無かった。
実施例 4
( a ) 顔料分散液の調製
顔料としてイソインドリノン顔料 (C. I . ビグメントイエロー 1 1 0 ) を用 いた以外は実施例 3と同様にして、 1 5重量%のスルホン化処理イソインドリノ ン顔料分散液を得た。
得られた顔料分散液に、 顔料 1重量部に対して 1 0 0 0重量部のイオン交換水 を加え、 1 0 0 0倍希釈液を調製した。 この希釈液の p H 8〜9、 2 0 °Cにおけ るゼータ電位の絶対値は 3 O mVであり、 表面張力は 7 O mNZmであった。
(b) インクの調製
上記顔料分散液 4 0重量部 サ一フィノール T G 0. 2重量部 トリエチレングリコールモノブチルエーテル 1 2重量部 グリセリン 1 0重量部 イオン交換水 3 7. 8重量部 上記成分を混合し、 十分攪拌後、 濾過して、 インク組成物を得た。
上記ィンク組成物について印字試験を行った。 得られた印字画像はいずれも不 規則なにじみが殆ど無く、 高い印字濃度の非常に良好な印字画像であった。 また、 ベた印字を行った場合のインクカ紙へ浸透消失する乾燥時間はいずれの記録紙に あっても 2秒未満であった。 また、 保存安定性試験を行った結果、 いずれの条件 でも放置前後で、 異物の発生、 物性値の変化が殆ど無かった。
実施例 5
( a ) 顔料分散液の調製
顔料としてキナクリドンマゼンタ顔料 ( I . ビグメントレッド 1 2 2 ) を 用いた以外は実施例 3と同様にして、 1 6重量%のスルホン化処理キナクリ ドン マゼンタ顔料分散液を得た。
得られた顔料分散液に、 顔料 1重量部に対して 1 0 0 0重量部のイオン交換水 を加え、 1 0 0 0倍希釈液を調製した。 この希釈液の p H 8〜9、 2 0 °Cにおけ
るゼ一タ電位の絶対値は 3 8 mVであり、 表面張力は 6 9 mN/mであった。 (b ) インクの調製
上記顔料分散液 3 8重量部 サ一フィノール 4 6 5 1重量部 グリセリン 1 0重量部 イオン交換水 5 1重量部
上記成分を混合し、十分攪拌後、 濾過して、 インク組成物を得た。
上記ィンク組成物について印字試験を行った。 得られた印字画像はいずれも不 規則なにじみが殆ど無く、 高い印字濃度の非常に良好な印字画像であった。 また、 ベた印字を行つた場合のィンクが紙へ浸透消失する乾燥時間はいずれの記録紙に あっても 2秒未満であった。 また、 保存安定性試験を行った結果、 いずれの条件 でも放置前後で、 異物の発生、 物性値の変化が殆ど無かった。
実施例 6
( a ) 顔料分散液の調製
顔料としてァニリンブラック顔料 (C. I . ピグメントプラック 1 ) を用いた 以外は実施例 3と同様にして、 1 5重量%のスルホン化処理ァニリンブラック顔 料分散液を得た。
得られた顔料分散液に、 顔料 1重量部に対して 1 0 0 0重量部のイオン交換水 を加え、 1 0 0 0倍希釈液を調製した。 この希釈液の p H 8〜9、 2 0 °Cにおけ るゼータ電位の絶対値は 3 3 mVであり、 表面張力は 6 8 mN/mであった。
(b) インクの調製
上記顔料分散液 4 0重量部 サ一フィノール T G 0. 2重量部 サーフィノール 4 6 5 0. 8重量部 グリセリン 1 0重量部 イオン交換水 4 9重量部
上記成分を混合し、 十分攪拌後、 濾過して、 インク組成物を得た。
上記インク組成物について印字試験を行った。 得られた印字画像はいずれも不 規則なにじみが殆ど無く、 高い印字濃度の非常に良好な印字画像であった。 また、
ベた印字を行つた場合のインクが紙へ浸透消失する乾燥時間は 、ずれの記録紙に あっても 2秒未満であった。 また、 保存安定性試験を行った結果、 いずれの条件 でも放置前後で、 異物の発生、 物性値の変化が殆ど無かった。
実施例 7
( a )顔料分散液の調製
顔料としてフタロシアニン顔料 (C. I . ビグメントグリーン 4) を用いた以 外は、実施例 3と同様にして、 1 5重量%のスルホン化処理フタロシアニン顔料 分散液を得た。
得られた顔料分散液に、 顔料 1重量部に対して 1 0 0 0重量部のイオン交換水 を加え、 1 0 0 0倍希釈液を調製した。 この希釈液の p H 8〜9、 2 0 °Cにおけ るゼータ電位の絶対値は 4 O mVであり、 表面張力は 6 9 mN/mであった。
(b ) インクの調製
上記顔料分散液 4 0重量部 サーフィノール 4 2 0 0. 2重量部 エチレングリコールモノプチルェ一テル 5重量部 トリエチレングリコールモノプチルエーテル 7重量部 グリセリン 1 0重量部 イオン交換水 3 7. 8重量部 上記成分を混合し、十分攪拌後、 濾過して、 インク誠物を得た。
上記ィンク組成物について印字試験を行った。 得られた印字画像はいずれも不 規則なにじみが殆ど無く、 高い印字濃度の非常に良好な印字画像であった。 また、 ベた印字を行った場合のィンクが紙へ浸透消失する乾燥時間はいずれの記録紙に あっても 2秒未満であった。 また、 保存安定性試験を行った結果、 いずれの条件 でも放置前後で、異物の発生、 物性値の変化力殆ど無かった。'
比較例 1
顔料分散液の調製にあたり加熱環流時間を 1 0時間から 2時間とした以外は、 実施例 1と同様にして顔料分散液を得た。 得られた顔料分散液の 1 0 0 0倍希釈 液の p H 8〜9、 2 0 °Cにおけるゼータ電位の絶対値は 2 2 m Vであり、表面張 力は 7 l mN/mであった。
この顔料分散液を用いて実施例 1と同様のインク組成物を得た。 このインク組 成物について印字試験を行った。 得られた印字画像はいずれも不規則なにじみを 有し、 印字濃度も実施例 1に比較して約 1 0 %低かった。 一方、 ベた印字を行つ た場合のインクが紙へ浸透消失する乾燥時間は ^、ずれの記録紙にあっても 2秒未 満であった。 また、 保存安定性試験を行った結果、 いずれの条件でも放置前後で、 異物の発生が見られ、 粘度が増加した。
比較例 2
顔料分散液の調製にあたり加熱環流時間を 8時間から 2時間とした以外は、 実 施例 2と同様にして顔料分散液を得た。 得られた顔料分散液の 1 0 0 0倍希釈液 の p H 8〜9、 2 0 °Cにおけるゼ一夕電位の絶対値は 2 5 mVであり、 表面張力 は 6 5 mNZmであった。
この顔料分散液を用いて実施例 2と同様のインク組成物を得た。 このィンク組 成物について印字試験を行つた。 得られた印字画像はいずれも不規則なにじみを 有し、 E卩字濃度も実施例 2に比較して約 1 0 %低かった。 一方、 ベた印字を行つ た場合のィンク力紙へ浸透消失する乾燥時間はいずれの記録紙にあつても 2秒未 満であった。 また、 保存安定性試験を行った結果、 いずれの条件でも放置前後で、 異物の発生力見られ、 粘度が増加した。
比較例 3
顔料分散液の調製にあたり加熱環流時間を 8時間から 1時間とした以外は、 実 施例 3と同様にして顔料分散液を得た。 得られた顔料分散液の 1 0 0 0倍希釈液 の p H 8〜9、 2 0 °Cにおけるゼ一タ電位の絶対値は 1 5 mVであり、 表面張力 は 6 8 mNZmであった。
この顔料分散液を用いて実施例 3と同様のインク組成物を得た。 このィンク組 成物について印字試験を行つた。 得られた印字画像はいずれも不規則なにじみを 有し、 印字濃度も実施例 3に比較して約 1 5 %低かった。 一方、 ベた印字を行つ た場合のィンクカ紙へ浸透消失する乾燥時間はいずれの記録紙にあっても 4秒未 満であつた。 また、 保存安定性試験を行つた結果、 、ずれの条件でも放置前後で、 異物の発生が見られ、粘度が増加した。
比較例 4
顔料分散液の調製にあたり加熱環流時間を 8時間から 3 0分とした以外は、 実 施例 4と同様にして顔料分散液を得た。 得られた顔料分散液の 1 0 0 0倍希釈液 の p H 8〜9、 2 0 °Cにおけるゼ一夕電位の絶対値は 2 3 mVであり、 表面張力 は 6 8 mNZmであった。
この顔料分散液を用いて実施例 4と同様のインク組成物を得た。 このィンク組 成物について印字試験を行った。 得られた印字画像はいずれも不規則なにじみを 有し、 印字濃度も実施例 4に比較して約 1 0 %低かった。 一方、 ベた印字を行つ た場合のィンクが紙へ浸透消失する乾燥時間はいずれの記録紙にあっても 2秒未 満であつた。 また、 保存安定性試験を行つた結果、 I、ずれの条件でも放置前後で、 異物の発生が見られ、 粘度が増加した。
比較例 5
顔料分散液の調製にあたり加熱環流時間を 8時間から 1時間とした以外は、 実 施例 5と同様にして顔料分散液を得た。 得られた顔料分散液の 1 0 0 0倍希釈液 の p H 8〜9、 2 0 °Cにおけるゼ一タ電位の絶対値は 2 8 mVであり、 表面張力 は 7 O mNZmであった。
この顔料分散液を用いて実施例 5と同様のインク組成物を得た。 このインク組 成物について印字試験を行った。 得られた印字画像はいずれも不規則なにじみを 有し、 印字濃度も実施例 5に比較して約 5 %低かった。 一方、 ベた印字を行った 場合のィンクカ紙へ浸透消失する乾燥時間はいずれの記録紙にあっても 4秒未満 であった。 また、 保存安定性試験を行った結果、 いずれの条件でも放置前後で、 異物の発生が見られ、 粘度が増加した。
比較例 6
顔料分散液の調製にあたり加熱環流時間を 8時間から 3 0分とした以外は、 実 施例 6と同様にして顔料分散液を得た。 得られた顔料分散液の 1 0 0 0倍希釈液 の p H 8〜9、 2 0 °Cにおけるゼ一夕電位の絶対値は 1 6 mVであり、 表面張力 は 6 7 mNZmであった。
この顔料分散液を用いて実施例 6と同様のインク組成物を得た。 このィンク組 成物について印字試験を行った。 得られた印字画像はいずれも不規則なにじみを
有し、 印字濃度も実施例 6に比較して約 1 0 %低かった。 一方、 ベた印字を行つ た場合のィンクカ紙へ浸透消失する乾燥時間はいずれの記録紙にあっても 4秒未 満であった。 また、 保存安定性試験を行った結果、 いずれの条件でも放置前後で、 異物の発生が見られ、 粘度が増加した。
比較例 7
顔料分散液の調製にあたり加熱環流時間を 8時間から 1時間とした以外は、 実 施例 7と同様にして顔料分散液を得た。 得られた顔料分散液の 1 0 0 0倍希釈液 の p H 8〜9、 2 0 °Cにおけるゼ一タ電位の絶対値は 1 5 mVであり、 表面張力 は 6 8 mN/mであった。
この顔料分散液を用いて実施例 7と同様のインク組成物を得た。 このィンク組 成物について印字試験を行った。 得られた印字画像はいずれも不規則なにじみを 有し、 印字濃度も実施例 7に比較して 5 %低かった。 一方、 ベた印字を行った場 合のインク力 <紙へ浸透消失する乾燥時間はいずれの記録紙にあっても 4秒未満で あった。 また、 保存安定性試験を行った結果、 いずれの条件でも放置前後で、 異 物の発生が見られ、 粘度が増加した。