明細
生糸 の セ リ シ ン 定着法 を 用 い た ゥ — ルの製造方法
及 びそ れ に よ つ て製造 さ れ た織編物
産業上の 利 用 分野
本発 明 は 、 生 糸 の セ リ シ ン 定着法 を 用 い た 、 ウ ー ルの製 造方法及 びそ れ に よ つ て製造 さ れ た 、 織編物 に 関 す る 。
景技術
天然素材 で あ る ウ ー ル を 用 い た織編物は 、 古代 ギ リ シ ャ の 時代か ら 、 伝統的 に継承 さ れ 、 保温性、 吸湿性 、 難燃性 、 並 び に 、 弾 力性 を兼ね そ え た も の で あ る 。
ウ ー ル繊維の表面 に あ る う ろ こ 状の ス ケ ー ルは 、 竹の子 の皮 の よ う に 規 則 正 し く 常 に 毛根か ら 毛先の方向 に並んで い る 。 こ の た め 、 毛先の方 向 に な で る と 滑 ら かで あ る が逆 に な で る と ひ つ かか る 。 い わ ゆ る 異方性摩擦効果が あ る 。 ウ ー ル繊維の こ の性質 は 、 洗濯等 で水分 と 力が作用 す る と 、 繊維が水分 を含 ん でふ く ら み 、 そ の た め、 ス ケ ー ルが開 く た め に 、 い っ そ う 強 く な る 。 繊維の運動性の相違 も 、 ま す ま す 大 き く な り 、 繊維 同士が互 い にカゝ ら み あ っ て収縮す る 。 こ の収縮 ( 縮絨 ) は 、 羊毛繊維独特の も の で、 フ ェ ル 卜 化現象 と 呼 ばれて い る 。 な お 、 こ の フ ヱ ル ト イヒ現象 は 、 乾燥状態や ド ラ イ ク リ 一 二 ン グ溶液中 で は起 こ ら な い 。
こ の フ ェ ル ト ィヒ現象 を利 用 し て冬の 防寒用 オ ー バ な どの
厚地織物が作 ら れ て い る が、 洗濯 と い う 点で は 、 フ ヱ ル ト ィヒ現象 は ウ ー ル の 弱点 と な る 。 す な わ ち 、 ウ ー ルの セ ー タ 等 を 家庭 で洗 う と 縮 ん で し ま っ た り 表面が フ ヱ ル 卜 ィヒ し て 毛 玉がで き た り す る 。 こ の よ う な 収縮 を 防 ぐ た め等の理由 に よ り 、 ウ ー ル に は様 々 な 、 形態安定の処理加工が実施 さ れ て レ、 る 。
第 1 は 、 ザ プ ロ 防災加工があ る 。 こ の加工 は 、 イ ギ リ ス の I W S 開発 セ ン タ ー で研究 さ れ 、 1 9 7 1 年ザブ ロ 加工 と し て 発表 さ れ た 。 ア メ リ カ で難燃規制が出 さ れた時、 ゥ ー ル を金属 ク ロ ム 化合物 を使 用 し て 黒か紺 に染め た も の は 燃 え に く い こ と に着 目 し 開発 さ れ た 。 チ タ ニ ウ ム 、 ジ ル コ ニ ゥ ム な どの 金属錯塩 を使用 し て 、 ァ ミ ノ 基で構成 さ れて い る ウ - ルの繊維 に金属 イ オ ン を化学結合 さ せ る 方法で あ る 。 加工 は 、 ウ ー ルの染色 と 似 た 工程で あ る た め簡単で ゥ ー ルの 特質 を損 な わ な い た め 、 広 く 使用 さ れて い る 。 し か し な が ら 、 産業廃棄物 と し て排水 を処理 し な ければな ら な い等 で そ の使 用 が規制が さ れつつ あ る 。 第 2 は 、 ア ク ア ダ ス ト 処理が あ る 。 こ れは 、 ウ ー ル製品 の 内側 に 樹脂加工 ウ ー ル を 、 外側 に オ フ ス ケ ー ル * ウ ー ル を使 闬 し て い る 。 汗の吸収が良 く 、 運動 を し て も 肌 に ベ と つ力、 な しヽ ス ポ ー ツ 用 の ウ ー ル製品の新技術 と し て ゥ ォ シ ャ ブ ル を可能 に し て い る 。 ゥ ォ ツ シ ャ ブル機能を持た す た
め に樹脂加工 が施 し て あ る が、 加工が不安定 で、 皮膚障害 等の 人体への影響が懸念 さ れて い る 。 ま た 、 ウ ー ルの オ フ ス ケ ー ル だ け で は 、 防縮性 に つ いて は効果 は あ っ て も 、 洗 灌時の フ ユ ル ト イヒ は 防止 で き な い 。
第 3 は 、 風合 い加工 に お い て シ ル ク の感触 も 持 ち 合わせ る と い う 特殊 な塩素化処理技術 に よ つ て羊毛の繊維基質 を 傷 め る こ と な く ス ケ ー ル を 除去 し 得 る 加工方法が あ る 。 ス ケ - ルの 角 を取 る こ と に よ り 防縮性 を与 え る 次亜塩素酸塩 を 用 レ、 る ク ロ リ ネ 一 シ ヨ ン ( c h o l o r i n a t i o n ) は古典的 な方法で あ り 、 現在は ジ ク ロ 口 イ ソ シ ァ ヌ — ル 酸塩 に よ る 処理方法や塩化 ス ル フ リ ルを有機溶剤 に溶か し て処理 す る 方法 も あ る 。 し 力ゝ し 、 こ れだ け で は防縮性 を得 る こ と は 不可能 で あ る た め 、 フ ァ イ ン セ ラ ミ ッ ク を付着 さ せ た ポ リ ウ レ タ ン 樹脂や ポ リ ア ミ ド エ ビ ク ロ ル ヒ ド リ ン樹 脂で処理 す る 。 し カゝ し 、 こ れ ら の加工は 、 樹脂処理で ゥ ォ ッ シ ャ ブ ル機能 を持た せ る こ と に よ り 硬 く な つ て し ま い 、 ゥ - ルの快適 な性質が損 な われ る 。
上記 し た従来技術 に示 し た よ う に 、 特殊薬剤の使用 、 樹 月旨加工 に よ り 、 ウ ー ル に ゥ ォ ッ シ ャ ブル機能 を持 た せ る こ と が可能 で あ る が、 素材への改質 は環境、 健康問題等の要 因 と な り 、 消費者 ニ ー ズへ の 対応 と い え ど も 現実的 に は適 合 し な い 。
更 に 、 こ れ ら の処理加工 に係 る ウ ー ルの形態安定は 、 ゥ ー ル の 持 っ て い る ア ミ ノ 基 に後述 す る 架橋反応 を実施 し て い な い た め 、 こ れ ら の処理 を す る と 、 ウ ー ル を傷つ け た り 、 伸 度性が劣化 す る 。 こ れ ら の事 も 素材 自 体が固 く な る 要 因 で あ る 。
と こ ろ で 、 ウ ー ル は獣毛繊維 で あ る が、 同 じ 動物繊維で あ る 繭繊維 に生糸があ る 。 生糸 は 、 絹 の 主体 で あ る フ イ ブ ロ イ ン の周 囲 に 膠質の セ リ シ ン が膠着 し た も の で あ る 。 通 常、 絹製品 は 、 こ の セ リ シ ン を精練 に よ り 除去 し フ イ ブ 口 イ ン ( 絹 ) のみ と し て使 用 す る 。 し カゝ し な力 ら 、 装飾織物 、 オ ー ガ ン ジ 一等の特殊 用 途の た め に 、 生糸の セ リ シ ン を 除去 す る こ と な く 使 用 す る 場合 も あ る 。 そ こ で、 温水、 ァ ル カ リ に よ り セ リ シ ン が溶解 し な い よ う に す る 処理 と し て セ リ シ ン 定着法が あ る 。
生糸 の セ リ シ ン 定着法 に は 、 様 々 な加工、 処理方法があ り 、 数多 く の溶剤等が開発 さ れ て き た 。 セ リ シ ン 定着法 に は 、
1 . ア ル デ ヒ ト 類
ホ ルマ リ ン 、 グル タ ル ア ル デ ヒ 卜 、 ジ ァ ルデ ヒ ド ス タ ー チ 、
ァ ク リ ル ア ルデ ヒ ト
2 . 重金属塩類
ク ロ ム ミ ヨ ウ ノく ン 、 重 ク ロ ム 酸塩 + 還元剤 、 ア ル
、
ョ ウ ノく ン 、
ア ク リ ル ア ル デ ヒ ド
3 . タ ン ニ ン
4 . 合成樹脂
メ ラ ニ ン 、 D M E U 、 エ ポ キ シ ド
5 . 塩ィヒ シ ァ ヌ ー ル及 び ジ ク ロ ル ト リ ア ジ ン型反 応染 料
を 用 レヽ る も の 力 s あ る 。
こ れ ら セ リ シ ン 定着法の 内 、 セ リ シ ン の定着度の点で は 、 ホ ルマ リ ン 、 グ ル タ ル ァ リレデ ヒ ド 、 ク ロ ム 塩、 塩ィヒ シ ァ ヌ ー ル及 び ジ グ ロ ル ト リ ア ジ ン型反応染料を 用 い る 方法が 実 用 性が高 い こ と が従来カゝ ら 実証 さ れて い る 。
し カゝ し 、 ホ ル マ リ ン 類 を 闬 い る 方法 は 、 人体への影響が 強 く 危 険性が高 く 好 ま し い方法 と は 言 え な い 。 ク ロ ム 塩法 は 、 産業廃棄等の諸条件 に よ り 、 合成樹脂を 用 い る 方法は 加工が未安定 、 風合 いが硬 く な つ た り 皮膚障害等の 人体へ の影響が懸念 さ れ て い る こ と に よ り 、 そ れぞれ、 最良の方 法 と は 言 え な い 。
本発 明 は 、 上述 し た生糸 のセ リ シ ン 定着法の う ち こ の よ う な 問題点 を持 っ て い な い方法、 す な わ ち 、 ウ ー ルの持 つ て い る ァ ミ ノ 基 と 塩化 シ ァ ヌ — ル又 は そ の誘導体 と に よ り
骨格 卜 リ ア ジ ン を構成 す る 方法 を 初 め て ウ ー ル に適 用 し て 、 ウ ー ルの諸特性 、 す な わ ち 、 防縮性、 形態安定並 び に ゥ ォ ッ シ ャ ブ ル を 革新的 に 改善 し た も の で あ る 。
発明 の 開示
従 っ て 、 本発明 は 、 従来技術 の ウ ー ルの 問題点 を解決、 改善 し た も の で 、 防縮性 、 形態安定並 び ゥ ォ 、ソ シ ャ ブ ル機 能 を兼ね そ な え た 織編物の製造方法 及 びそ れ に よ つ て製造 さ れ た 織編物 を 提供 す る こ と を 目 的 と す る 。
本 発 明 の 第一の態様 は 、 ウ ー ル を 糸 の状態又 は布の状態 で 、 常温 の 中性 又 は 弱 ア ル 力 リ 性水 に て 、 塩ィヒ シ ァ ヌ — ル 又 は そ の誘導体 を 含 む染色槽 内 に 浸清 し 、 ウ ー ルの持 っ て い る ア ミ ノ 基 に 塩化 シ ァ ヌ ー ル 又 は そ の誘導体 よ り 、 式 1 の 反 応 に従 っ て 、 骨格 ト リ ア ジ ン を構成 し て な る 織編物の 製造方法 を 提供 す る 。
/ NH - W00L
N N 3 -NaOH* N" 、N
-W00L -NH.+ I J > I J + 3Na(X+ 3H^0
C£、N £ WOOL- HN^N ^NH -WOOL
*3 'NaOH → 1. 5Na Co3 + 1. 0= 3NaOH + 1.5Co^ …ム l 請求項 2 に記載の発 明 は 、 請求項 1 に記載の織編物の製 造方法 に お い て 、 染色槽 内 に 所定 の割合 に希釈 し た重曹 を 添力□ す る こ と に よ り P h 8 . 0 〜 9 . 0 に調節す る こ と を 特徴 と す る 。
請求項 3 に記载の 発 明 は 、 請求項 1 又 は 2 に記載の織編
物 の製造方法 に お い て 、 塩化 シ ァ ヌ - ル又 は そ の誘導体を 常温水 に 対 し o w f 3 〜 4 % と し て処理 す る こ と を特徴 と す る 。
請求項 4 に記載の発明 は 、 請求項 3 に記載の織編物の製 造方法 に お い て 、 初 に 、 ほ ぼ 同 量の常温水 と 塩化 シ ァ ヌ 一 ル又 は そ の誘導体 と を 入れ、 こ れ を ミ キ サ ー に よ り 混合 し て 、 水 に 不溶解の塩化 シ ァ ヌ — ル又 は そ の誘導体 を ミ ク ロ ィヒ し 、 し か る 後 、 水 を 1 0 倍程度添加 し て所定の濃度 を得 る こ と を特徴 と す る 。
請求項 5 に記載の発明 は 、 請求項 4 に記載の織編物の製 造方法 に お い て 、 浴比 を 1 : 2 0 〜 1 : 3 0 と す る こ と を 特徴 と す る 織編物 の製造方法。
請求項 6 に記載 の発 明 は 、 請求項 1 〜 5 の い ずれ力 1 項 に記載の織編物 の製造方法 に お い て 、 処理中 、 塩化 シ ァ ヌ ー ル又 は そ の誘導体か ら な る 処理液 を常 に循環 さ せ る と 共 に 、 被加工品が規 則正 し く 回転 す る よ う に操作す る こ と を 特徴 と す る 。
請求項 7 に記載の発 明 は 、 請求項 6 に記載の織編物の製 造方法 に お い て 、 処理時間 を 2 0 〜 4 0 分 と す る こ と を特 徴 と す る 。
本発 明 の第二の態様 は 、 請求項 1 〜 7 の い ずれか 1 項 に 記載の織編物の製造方法 を 用 い て 製造 さ れた ウ ー ルの持 つ
て レヽ る ァ ミ ノ 基 に塩ィヒ シ ァ ヌ ー ル又 は そ の誘導体 よ り 、 式 1 の反応 に従 っ て 、 骨格 ト リ ア ジ ン を構成 し て な る 織編物 を提供 す る 。
図面の簡単 な説明
図 1 は 、 本発 明 に 係 る ウ - ル織編物の製造方法の一実施 例 の フ ロ ー チ ヤ 一 ト で あ る 。
図 2 は 、 ウ ー ルの特性 で あ る ス ケ ー ルの状況の電子顕微 鏡写真 で あ り 、 ( a ) 〜 ( c ) 及 び ( d ) 〜 ( f ) は 、 そ れ ぞれ 、 A〜 C の試料そ の も の の ス ケ ー ルの状態及 びそれ ら を J I S 1 0 3 法 に準拠 し て 水洗 い し た後の状態を表 し て しヽ る 。 そ し て 、 図 3 は 、 ウ ー ルの特性で あ る フ ェ ル 卜 化 の状況の電子顕微鏡写真 で あ り 、 ( a ) 〜 ( c ) 及 び ( d ) 〜 ( f ) は 、 そ れ ぞれ、 A 〜 C の試料の製織 · 整理後 の 糸 の状態及 びそ れ ら を J I S 1 0 3 法 に準拠 し て水洗 い し た 後 の状態 を表 し て い る 。
発 明 を実施 す る た め の最良の形態
以下 、 本発 明 に係 る ウ - ル を 用 い た 防縮性 、 形態安定並 び ゥ ォ ッ シ ャ ブ ル機能 を兼ね そ な え た織編物の製造方法及 び 、 そ れ に よ つ て製造 さ れ た織編物 に つ いて詳細 に説明 す る 。
初 に 、 図 1 を 用 い て 、 本発 明 に係る 生糸の セ リ シ ン 定着 法 を 用 い た ウ ー ル の製造方法 に つ い て 、 具体的 に 、 説明 す
る 。
初 に 、 加工水 を準備 す る と 共 に 、 被加工品 ( 糸の場合又 は布 ) を 2 分程 度含水 さ せ る 。 塩化 シ ァ ヌ ー ル又 は そ の誘 導体 と 常温 の水 と を ほ ぼ 同量入 れ 、 ミ キ サで混合す る 。 塩 ィヒ シ ァ ヌ ー ル は 、 水 に 不溶解の た め ミ ク ロ ィヒす る 事が必要 で あ る 。 更 に 、 水 を 1 0 倍程度 ま で希釈 し て さ ら に ミ ク ロ ィヒ を促進 す る 。 こ の 時点 に お しヽ て 、 o w f 1 0 〜 1 1 % の 科量 と す る 。 浴比 は 1 : 2 0 〜 1 : 3 0 力 s好 ま し し、。 こ の 中 に 、 織 ら れ た 織編物 を 、 あ る い は 、 ウ ー ルを総揚状態、 コ ー ン 状態又 は チ - ズ状態 に 小 さ く 纏め て染色槽 に浸潰 し
、 重曹液 ( 2 0 倍希釈液 ) を数分 、 例 え ば、 3 分間程度注 入 す る 。 こ の 時点か ら 、 架橋反応が開始す る 。 ム ラ な く 架 橋反 応 を実施 す る た め 、 2 0 〜 4 0 分 、 好 ま し く は 、 3 0 分程度加工処理 を継続 し て実施 す る 。 こ の時点での P h は
8 . 0 〜 9 . 0 が適 当 で あ る 。 排水後 、 新 し い常温の水で 水洗 い し た後 、 5 0 〜 6 0 °C の湯で湯洗 いす る 。 次 に 、 脱 水後乾燥 さ せ架橋反応処理 を終 え る 。 かかる 架橋反応処理 後 、 次工程へ送 る 。
(実施例及 び比較例 )
次 に 、 上述 し た方法 に よ り セ リ シ ン 定着法 を 用 いて加工 処理 さ れ本発 明 品 と 比較例 と の諸性質の違 い を検討す る 。
先ず 、 糸材料 と し て は 、 天然素材 ウ ー ル又 は そ の複合交
撚糸 を 用 しヽ る 。
こ れ ら の 糸 、 材料 、 素材 は 、 セ リ シ ン 定着法 を 用 い て加 ェ 、 処理 さ れ る 。 セ リ シ ン 定着法 に は 、 素材の風合 いの劣 化又環境 、 健康 問題 を排除 し 、 ジ ク ロ ロ ト リ ア ジ ン 系の反 応染料並 び塩化 シ ァ ヌ - ルが有 す る ト リ ア ジ ン結合 を 用 い て 、 有機性分子へ の架橋反応 ( 骨格 卜 リ ア ジ ン ) を 用 い る の が好適 で あ る 。
A . ウ ー ル 2 ノ 6 0 を 用 意 す る 。 こ の ウ ー ルを コ ー ン状 態 に し て 、 酸性染料 を 用 い て染色 す る 。
B . ウ ー ル 2 Z 6 0 を 用 意す る 。 こ の ゥ 一 ル を コ ー ン 状 態 に し て 、 酸性染料 を 用 い て染色 す る 。 そ の後 、 シ ァ ヌ ー ル酸塩 ( 塩化 シ ァ ヌ ー ル ) 又 は そ の誘導体 に よ り セ リ シ ン 定着法 を試み る 。 ( 糸 の状態で先染 )
C . ウ ー ル 2 6 0 で製織 さ れ た 原布 を 闬 意す る 。 そ の 後 、 ジ ク ロ ロ ト リ ア ジ ン 系 の 反応染料 に よ り 染色 す る 。 ( 布の 状態 で後染 )
こ れ ら の織物 は 、 ピ カ ノ — ル G F S , ド ビ ー 機 に よ り 、 2 7 羽 / イ ン チ 、 2 本 入 り 、 ォ サ通 し 巾 6 8 セ ン チ 、 経糸 3 6 7 2 本 、 織卸 し 5 2 本 Zイ ン チ で 、 毎分 3 4 0 回転 に て製織 し た 。
こ れ ら の織物 を 整理 · 加工後 、 防縮性、 形態安定及 び ゥ ォ ッ シ ャ ブ ルの数値並 び に電子顕微鏡の状態変化 を表 に し
た ( 表 1 参照 ) 。 こ の表 1 は 、 財団法人毛製品検査協会中 郡検査所 ( 尾西市籠屋 4 — 1 4 — 4 ; 電話 0 5 8 6 - 4 5
- 2 6 3 1 お い て試験鑑定 を実施 し た結果 を示 し た表 で あ る 。
洗 い方 は 、 収縮性 に お い て は 、 J I S 0 2 1 7 ( 1 0 3 法 に準拠 ) に お い て 、 1 回 目 、 2 回 目 と 表示 し 、 洗濯後の し わ の 結果が表示 し て あ る 。
緩和収縮率 に お い て は 、 I , W , S , T M 3 1 5 A X 5 に お い て表示 、 外観保持性、 T M 2 8 1 ( 布地の な め ら か さ ) の結果が表示 し て あ る 。
図 2 は 、 ウ ー ルの特性 で あ る ス ケ ー ルの状況の電子顕微 鏡写真 で あ り 、 図 3 は ウ ー ルの特性 で あ る フ ェ ル ト イヒの状 況 の電子顕微鏡写真 で あ る 。
表 1 は 、 前述の 各布 に つ い て実施 し た 洗 い方、 収縮率、 洗濯後の し わ 、 緩和収縮率及 び外観保持性の試験結果で あ る
( 以下、 余 白 )
表 1
®
試験方法 ~~― 布 WlOO%
JIS0217U03法) 夕テ 4.5% 3D 1.3% 回
ノ / 夕テ 5.0% 3つ 2.0% 回
し わ 試 験 3 級
IWS. TM317X 1 夕テ 0.5% 3D 1.0%
5 Ax 5回 夕テ 5.5% 3つ 3.0%
3 級
⑧
試験方法"^ — 処理布 W 100%
JIS0217(103法) タテ 2.2% 3Ώ 0.7% 回
〃 タテ 3.0% 33 0.7% 回
し わ 試 験 3 級
IWS. TM317X 1 夕テ 0.5% 3D 0.5%
5 Ax 5回 夕テ 2.5% 3つ 1.0%
3 級
©
試験方法 ~ ジクロロ 卜リアジン WlOO^ん
JIS0217(103法) タテ 3つ
回
〃 夕テ 3コ
回
し わ 試 験
IWS. TM317X 1 タテ 1.5% 3コ 1.0%
5 Ax 5回 タテ 3.0% 313 2.5%
3.2級
通常生産 さ れ て い る ウ - ルの織編物 は 、 天然繊維 ゆ え に 保湿性 、 吸湿性 、 難燃性 な ど 、 様 々 な特性を持 っ て い る 。 と こ ろ が 、 消 費者ニ ー ズ は 多様化 し て こ れ ら の素材へ種 々 の他の機能の追加 を 要求 す る に い た る 。 し か し 、 天然素材 は そ の ま ま で は形態安定 に は至 ら な い。
ウ ー ル は 、 ノ イ ラ テ ラ ル構造 と レヽ われ る オ ル ソ · コ ウ ル テ ッ ク ス と ノ ラ · コ ル テ ッ ク ス の ふ た つ の層が均等併存 な い し 、 編存 し て い て 、 そ の各部の 分子構造化学組成が違 う た め 、 極端 な ひ き つ き を生 ク リ ン プを生み 出 す 。 更
、 ウ ー ルの表面 は 、 た い へ ん絡み易 い う ろ こ 状表皮の ス ケ — ル に覆 わ れ 、 フ ェ ル ト ィヒ し ゃ す レ、。
図 3 は 、 ク リ ン プの状態 を電子顕微鏡写真で見 た も の で あ る が 、 塩化 シ ァ ヌ — ル と そ の誘導体 に お い て処理加工 し た織物が形態安定 し て い る こ と を実証す る 。
図 2 は 、 ス ケ - ルの状態 を電子顕微鏡写真で見た も の で あ る 。 図 2 ( b ) に示 さ れ た本発明方法 に よ る ウ ー ルのみ が ス ケ ー ルが実質的 に 除去 さ れ て お り 、 フ ヱ ル ト イヒ現象 を 無 く す る こ と 力 sで き る 。
表 1 及 び図 3 の結果 、 ウ ー ルの 2 / 6 0 の先染糸 を使 用 し た素材 は 、 形態安定並び に ゥ ォ ッ シ ャ ブル に は適合 し な い ( 図 3 ( a ) 及 び ( d ) 参照 ) 。 ウ ー ルの 2 6 0 、 ジ ク ロ 口 ト リ ア ジ ン 系の 反 応染料 を使 用 し た布 は フ ェ ル ト 化
は し な い が 、 防縮性 に は効果が不充分 で あ る ( 図 3 ( c ) 及 び ( f ) 参照 ) 。
ウ ー ル 2 / 6 0 の 、 シ ァ ヌ ー ル塩酸 ( 塩ィヒ シ ァ ヌ 一 ル ) と そ の誘導体 に お け る ァ ミ ノ 基への本発明方法 に よ る 架橋 反応 は 、 防縮性 、 形態安定並 び に ゥ ォ ッ シ ャ ブル を実証す る 結果 と な っ た ( 図 3 ( b ) 及 び ( e ) 参照 ) 。
産業上の 利 用 の可能性
本発 明方法 に よ れば 、 生糸 の セ リ シ ン 定着法は 、 ウ - ル の ゥ ォ ッ シ ャ ブ ル 試験 に よ る ノ ン ホ ル マ リ ン 、 ノ ン 樹月旨カロ ェ に よ る 防縮性 、 形態安定並び ゥ ォ ッ シ ャ ブル機能 を 向上 さ せ る 事が実証 で き た 。 従来の技術 は 、 ホ ル マ リ ン 処理 、 特殊薬剤 、 樹脂加ェで あ る が 、 こ れ ら の技術 は素材が固 く な っ た り 、 環境、 健康 問題等の要因 と な る 。 シ ァ ヌ — ル塩酸 (塩化 シ ァ ヌ ー ル ) と そ の誘導体 に お け る 有機性繊維への架橋反応は 水の常温 に て 1 0 0 % 引 き 起 こ さ れ 、 従来の高温処理技術 と は違い 、 C 0 、 N 0 X 、 ダイ ォ キ シ ン 等 を発生 し な い。 更 に昇温 す れ ば 、 排水処理 も 塩 と 水 に な り 、 河川への排水 も 問題な い。
地球温暖化防止の 国際会議 に よ り 、 現在使用 さ れて い る ド ラ イ ク リ — ニ ン グ溶剤 は 、 世界 的 に使用 禁止 あ る い は親 制の流れの 中 に あ る 。
本発 明 に よ っ て 処理 、 加工 さ れ た 素材 は 、 ゥ ォ ッ シ ャ ブ ル機能 を兼ね そ な え て い る た め 、 ド ラ イ ク リ 一 ユ ン グは 回 避 す る こ と が で き る 。
こ の 発 明 は 、 京都府 、 京都工芸繊維大学 、 大阪市立大学 、 京都府織物指導所の協 力 を得 て い る 。
近畿通商産業局産業企画部新規事業課の認定 を受 け て い る な ど本発明 は 、 産業上 の 利 用 価値 は極め て高 い も の で あ る