明細書 薬物依存症治療薬 技術分野
本発明は薬物依存症治療薬に関する。 また、 本発明は薬物依存症と深く関わつ ているドパミンの遊離抑制剤に関する。 背景技術
ァヘン、 コカイン、 大麻などの天然物質、 またはヘロイン、 バルピタール類、 覚醒剤など特定の薬物を常用していると、 やめられなくなり、 これらを手に入れ るために生きる目的の大半が費やされるようになってしまう。 そのうえ残忍な犯 罪の源を作ったりさらには国勢を左右するような大事件にまで発展することさえ ある。 このような薬物乱用の問題と、 飲酒や喫煙という、 生活に深く密着した嗜 好品の常用との間には本質的には同様な底流が潜んでいる。
薬物依存および薬物乱用はいずれも WH Oにおいて定義がなされている。 すな わち薬物依存とは 「精神的に、 時には身体的にも起こる状態で、 生体と薬物の相 互作用によってもたらされる。 その薬物の精神的な効果を体験しょうとして、 あ るいは薬が切れたときの不快を避けようとして、 持続的または周期的に薬物を摂 取したいという衝動を常に伴っている状態」 とされている。 薬物依存は精神的に 薬物に頼っている状態、 すなわち精神依存と、 身体が薬物の存在に適応した状態 、 すなわち身体依存に分けられる。
WH Oでは依存を形成する薬物を 9タイプに分類している。 即ち、 1 . アルコ ール: 2 . アンフェタミン、 3 . バルビツール酸誘導体、 4 . 大麻、 5 . コカイ ン、 6 . 幻覚発現薬、 7 . カート、 8 . ォピエート、 9 . 有機溶剤である。 これ ら 9タイプに属する依存形成薬物はすべて精神依存を示し、 これに身体依存が伴 うものはォピエ一卜、 バルビツール酸誘導体およびアルコールの 3タイプである 。 これらの依存形成薬物のうち現在臨床で使用可能なものはォピエ一ト、 バルビ ツール酸誘導体、 コカイン、 アンフェタミンタイプに属している薬物である。
依存性薬物の国際条約には 「麻薬に関する単一条約」 (1 961) と 「向精神 物質条約」 (1 97 1) とがあり、 この 2つの条約に基づき、 各国が協力して麻 薬の国際間流通を厳しく監視し、 不正ルートに流出しないように努力が払われて いる。 このように国際規制が一層厳しくなつているのは、 世界的な薬物乱用の拡 大に原因がある。 近年、 乱用されるおそれのある薬物の種類が増え、 多様化して くる一方で、 国際的な人的 ·物的交流の増大や情報網の発達により、 麻薬、 大麻 、 覚醒剤に加えて向精神薬についてもその乱用例が増加し、 また乱用の流行地域 も世界的に拡大しつつある。 たとえば麻薬の乱用は北アメリカ、 中,南アメリカ 、 東南アジア、 中近東、 ヨーロッパの諸国において近年著しく増加し、 特にコカ インの乱用が南アメリカ、 北アメリカ、 ヨーロッパを中心に深刻な社会問題とな つている。 同時に覚醒剤は日本、 北アメリカ、 ヨーロッパと乱用が広がっている 。 その他の向精神薬についてもこれら諸国に広がりつつあるのが現状である。 薬物依存の治療薬については通常、 対症療法以外には特別な薬物は用いられず 、 自己洞察を目指した精神療法や、 依存薬物のより依存の少ない薬物への置き換 え、 漸減法がその中心である。 対症療法には、 初期の急性中毒症の治療に ]3—ブ ロッカーのジァゼパムゃフルニトラゼパム、 短時間作動性バルビツール酸誘導体 が用いられ、 急性精神病状態ではハロペリ ドールゃフエノチアジン系の抗精神病 薬が用いられてきた。 しかしながら、 ジァゼパムゃフルニトラゼバム、 バルビッ ール酸誘導体等の薬剤を用いた治療ではこれら中枢神経系抑制剤特有の精神作用 等の副作用が懸念され、 ハロペリ ドールゃフエノチアジン系の向精神薬を用いた 治療では向精神薬特有の精神作用等の副作用が懸念され、 薬物依存症が向精神薬 依存に置き換わる可能性も考えられる。 (アルコール ·薬物依存一基礎と臨床一 , 大原健士郎, 田所作太郎編 (金原出版) ;薬物依存, 佐藤光源, 福井進編 (世 界保健通信社) )
ある薬物が生体に摂取された結果、 生体にその薬物の探索行動 (d r ug— s e e k i n g b e h a v i o r) あるレ ま摂取行動 (d r u g- t a k i n g b e h a v i o r) を以前より頻回に起こさせる薬物の効果を強化効果あるい は報酬効果と言うが、 依存性薬物のこれらの効果には脳内ドパミン神経系が深く 関与していることが知られている。 脳内のドパミン神経系は大きく二つに分類さ
れている。 即ち、 黒質一線条体系と腹側被蓋野から側坐核に投射している中脳辺 縁系である。 このうち、 強化効果や報酬効果に関与しているのは中脳辺縁系であ ることが数多く報告されている。
例えば、 中枢神経系興奮薬であるコカインは側坐核の神経シナプスに作用して ドパミン神経終末からのドパミン遊離を促進、 取込を阻害し、 ドパミン受容体に 結合するドパミン量を増加させて神経機能を亢進させる結果、 精神依存症を発症 させると考えられている。 これに対して、 ォピオイド K受容体作動薬は側坐核に おけるドパミンの遊離抑制作用を有する (日薬理誌、 1 997年、 109号、 p 165 - 173) ことから、 コカインの報酬効果を抑制し、 コカインの精神依存 治療薬となる可能性を秘めている。 しかし、 ォピオイ ド / 受容体作動薬をコカイ ン依存治療薬として応用することは、 現在までのところ実用化されていない。 また、 ォピオイ ドと薬物依存における報酬効果については、 ォピオイ ドが鎮痛 作用を示す一方で、 報酬効果のケミカルメディエー夕一としても機能することが 知られている。 ォピオイド受容体には 、 δおよび κ受容体が存在するが、 この うちモルヒネといった 受容体作動薬が報酬効果を示すことが報告された ( Τ . S u z u k i e t a 1. , Eu r. J. Ph a rma c o l . 20 5, 85, 199 1) のを始めとして、 3—エンドルフィンやエンケファリ ンといった / あるいは <5受容体作動性の内因性ォピオイドペプチドも報酬効果を 示すことが報告された (T. S u z u k i e t a 1. , J p n. J . Ph a rma c o l . 66, 1 31, 1994) 。
さらに、 オビオイド受容体がドパミン神経系に関与していることも知られてい る。 オビオイ ド 受容体は中脳辺縁系の細胞体が存在する腹側被蓋野に高密度に 分布し、 介在ニューロンである抑制性のァ―ァミノ酪酸 (GABA) 神経系を抑 制して中脳辺縁系を興奮させる。 その結果、 受容体作動薬を全身投与あるいは 腹側被蓋野に微量注入すると、 投射先の側坐核でドパミンの遊離が著明に増加す ると考えられている。 一方、 <5および κォピオイド受容体は中脳辺縁系の投射先 である側坐核に高密度に分布していることが知られている。 δォピオイ ド受容体 は活性化されることにより、 オビオイ ド受容体と同様に介在ニューロンである 抑制性の GAB Α神経系を抑制して、 側坐核におけるドパミンの遊離を促進する
と考えられている。 これに対して、 / 受容体作動薬は自己投与試験で報酬効果を 示さず (T. S u z u k i e t a 1. , B r a i n R e s . 60 2, 45, 1 99 3) 、 先にも述べたようにォピオイド / 受容体を活性化する U
- 50488 Hなどの/ c受容体作動薬を投与すると側坐核からのドパミン遊離が 抑制されることが報告されている (日薬理誌、 1 99 7年、 1 0 9号、 p i 6 5 - 1 77) 。 さらに、 あるいは <5受容体作動薬により誘発される報酬効果が U
- 5 0488 Hなどの/ c受容体作動薬により抑制されることが動物実験により報 告されている (M. F u n a d a e t a 1. , Ne u r o p h a rma c o l o gy, 32, 1 3 1 5, 1 99 3 ) 。 即ち、 / 受容体が活性化され ることにより、 あるいは (5受容体作動薬の鎮痛作用は増強されるが、 報酬効果 は抑制されると言うものである。 これらの事実からもまたオビオイ ド κ受容体作 動薬がオビオイ ド; 受容体作動薬の精神依存症の治療薬となり得ると考えられる 。 また、 ォピオイ ド κ受容体拮坊薬は身体依存の形成を増強するのに対して、 一 部のオビオイ ド Κ受容体作動薬が身体依存の形成を抑制することも報告されてい る (S u z u k i , T. e t a 1. , Eu r. J. P h a rma c o l .
2 1 3, 9 1, 1 9 9 1) 。 しかし、 ォピオイ ド K受容体作動薬をォピオイド 受容体作動薬の依存治療薬として応用することもまた現在までのところ実用化 されていない。
ォピオイ ドとニコチン依存 (たばこ依存) については、 麻薬拮抗薬ナロキソン ( i受容体拮抗薬) が二重盲見法、 薬物とプラセボのクロスオーバー法での研究 により、 3時間にわたって慢性喫煙者の喫煙量を減少さた例が知られている (K a r r a s , A. e t a 1. , L i f e S c i e n c e, 27, 1 5 4 1, 1 98 0) が、 一方で、 ナロキソンがニコチン依存ラットの退薬症候を促 進し、 モルヒネ ( 受容体作動薬) がニコチンの投与後に起こる退薬症候を抑制 することが報告されている (Ma i i n, D. H. e t a 1. , P s y c h o p h a rma c o l o gy, 1 1 2, 3 39, 1 99 3) 。 また、 側坐核に おいてはニコチン性受容体がドパミン作動神経系の終末に存在し、 ドパミンの放 出促進に関係していることが報告され (D i C h i a r a, G. e t a 1 . , N a t l . Ac a d. S c i . USA, 8 5, 5 2 74, 1 98
8) 、 さらにニコチン依存ラッ トにニコチン投与を中止すると側坐核のドパミン 量が減少することが報告されている (F un g, Y. K. e t a 1. , J . Ph a rm. Ph a rma c o l . , 41, 66, 1 989) 。 これに対して、 κ受容体作動性の内因性オビオイ ドペプチドであるダイノルフィンを含め、 κ受 容体作動薬のニコチン依存症抑制作用、 特に身体依存性の抑制作用は明らかにさ れていない。
さらに、 中枢神経系抑制薬であるバルビツール酸誘導体、 ベンゾジァゼピン誘 導体、 覚醒剤であるアンフェタミン、 メタンフェタミン等、 催幻覚薬であるフエ ンシクリジンそしてアルコール等の薬物の精神依存作用もまた、 ドパミン量増加 の機序にしたがつていることが数多く報告されている (Ya n a g i t a T. , N i on Ya ku g a k u Z a s s h i ― F o l i a P h a rma c o l o g i c a J a p o n i c a . 100 (2) : 97— 107,
1 992 Au g. ; S amo c h ow i e c J. , A n n a 1 e s Ac a d em i a e Me d i c a e S t e t i n e n s i s. 40 : 19 5 - 21 7 (1994) ; Ku p e rma n D I . e t a 1. , B r a i n Re s e a r c h. 77 1 (2) : 221 - 7 (1997) ; He r o n C . e t a 1. Eu r o p e an J o u r n a l o f P h a rma c o 1 o gy. 264 ( 3) : 39 1— 8 ( 1 994) ; S a a d
S F . e t a 1. J o u r n a l o f P h a rma c y & Ph a rma c o 1 o gy. 49 (3) : 322— 8 ( 1 997 ) ; C o s t a 1 1 B . e t a 1. , A r z n e i m i t t e 1 -F o r s c hu n g . 42 (2 A) : 246 - 9 (1 992) ) 。 このことから、 側坐核からドパ ミン遊離を抑制する作用を有する薬物は、 これらの依存性薬物の報酬効果を抑制 し、 精神依存症治療薬となり得ると考えられる。
なお、 κ受容体に高選択性を示す既存の U— 50488 Hなどの作動薬は、 受容体に作用するモルヒネなどにみられる薬物依存性は示さないことが判明して いる (T. S u z u k i e t a 1. , Eu r. J. Ph a rma c o l . , 205, 85, 199 1) 。
本発明は、 コカイン、 ォピオイド 作動薬、 ニコチン、 アルコール、 覚醒剤、
バルビツール酸誘導体、 ベンゾジァゼピン誘導体、 および催幻覚薬等の薬物依存 症の治療において、 従来の対症療法による治療でなく、 これら依存性薬物の報酬 効果の発現機序に作用して精神依存の発現を抑制すると同時に、 身体依存も抑制 する、 副作用の少ない薬物依存症治療薬を提供することを目的とする。 発明の開示
本発明は、 オビオイ ド K受容体作動薬を有効成分とする薬物依存症治療薬であ る。 また本発明は、 ォピオイド K受容体作動薬を有効成分とするドパミンの遊離 抑制剤をも提供する。 図面の簡単な説明
第 1図および第 2図は、 ォピオイ ド 受容体作動薬による精神依存形成に対す るォピオイド κ受容体作動薬の抑制効果を示す。
第 3図は、 ォピオイ ド 受容体作動薬による精神依存形成に対するオビオイド κ受容体作動薬の抑制効果およびオビオイド κ受容体拮抗薬による拮抗試験の結 果を示す。
第 4図は、 ナロキソン誘発退薬症候 (体重減少) に及ぼすォピオイド κ受容体 作動薬の効果を示す。
第 5図および第 6図は、 コカインによる精神依存形成に対するオビオイド / c受 容体作動薬の抑制効果を示す。
第 7図は、 コカイン精神依存形成に対するォピオイ ド κ受容体作動薬の抑制効 果を示す。
第 8図は、 オビオイ ド κ受容体作動薬のコカイン弁別効果を示す。
第 9図は、 オビオイ ド κ受容体作動薬のコカイン弁別抑制に対するオビオイ ド K受容体拮抗薬による影響を示す。
第 1 0図は、 メカミラミン誘発によるニコチン退薬症候のオビオイド κ受容体 作動薬による抑制を示す。
第 1 1図は、 ォピオイド κ受容体作動薬のドパミン遊離抑制効果を示す。
発明を実施するための最良の形態
本発明は、 オビオイ ド / ζ受容体作動薬を有効成分とするニコチン依存症治療薬 を包含する。 ここで言うォピオイド Κ受容体作動薬とは、 その化学構造的特異性 に拘らずォピオイ ド Κ受容体に選択性を示す化合物である。 すなわち、 オビオイ ド受容体に対する作動性の強さを評価する GP Iおよび MVD測定 (モルモット 回腸およびマウス輸精管の電気刺激に対する収縮抑制評価) を行い、 次いでォピ オイド受容体タイプ 、 δ、 κ) 選択的拮抗薬の存在下で同様の評価を経て Κ e値を求め、 さらに各受容体での K e値を比較したとき、 Ke z〉Ke Kおよび Ke S〉Ke κの関係にある化合物、 つまり、 および δ受容体よりも / c受容体 に選択的な化合物である。
具体的には、 一般式 ( I )
(I)
[式中、 二は二重結合又は単結合を表し、 R1は炭素数 1から 5のアルキル、 炭素 数 4から 7のシクロアルキルアルキル、 炭素数 5から 7のシクロアルケニルアル キル、 炭素数 6から 1 2のァリール、 炭素数 7から 1 3のァラルキル、 炭素数 4 から 7のァルケニル、 ァリル、 炭素数 1から 5のフラン— 2—ィルアルキル、 ま たは炭素数 1から 5のチォフェン— 2—ィルアルキルを表し、 R2は水素、 ヒドロ キシ、 ニトロ、 炭素数 1から 5のアルカノィルォキシ、 炭素数 1から 5のアルコ キシ、 炭素数 1から 5のアルキル、 または一 NR9Rlflを表し、 R9は水素または 炭素数 1から 5のアルキルを表し、 R1Qは水素、 炭素数 1から 5のアルキル、 ま たは— C (=〇) R11を表し、 R11は、 水素、 フエニル、 または炭素数 1から 5 のアルキルを表し、 R3は水素、 ヒドロキシ、 炭素数 1から 5のアルカノィルォキ シ、 または炭素数 1から 5のアルコキシを表し、 Aは一 XC ( = Y) 一、 -XC
( = Υ) Ζ—、 一 X—または一 XS〇2— (ここで X、 Y、 Ζは各々独立して NR
\ Sまたは〇を表し、 は水素、 炭素数 1から 5の直鎖もしくは分岐アルキル 、 または炭素数 6から 1 2のァリールを表し、 式中 R 4は同一または異なっていて もよい) を表し、 Bは原子価結合、 炭素数 1から 1 4の直鎖もしくは分岐アルキ レン (ただし炭素数 1から 5のアルコキシ、 炭素数 1から 5のアルカノィルォキ シ、 ヒドロキシ、 弗素、 塩素、 臭素、 ヨウ素、 ァミノ、 ニトロ、 シァノ、 トリフ ルォロメチル、 トリフルォロメトキシおよびフエノキシからなる群から選ばれる 少なくとも一種以上の置換基により置換されていてもよく、 1から 3個のメチレ ン基がカルボニル基でおきかわっていてもよい) 、 2重結合およびノまたは 3重 結合を 1から 3個含む炭素数 2から 1 4の直鎖もしくは分岐の非環状不飽和炭化 水素 (ただし炭素数 1から 5のアルコキシ、 炭素数 1から 5のアルカノィルォキ シ、 ヒドロキシ、 弗素、 塩素、 臭素、 ヨウ素、 ァミノ、 ニトロ、 シァノ、 トリフ ルォロメチル、 トリフルォロメトキシおよびフエノキシからなる群から選ばれる 少なくとも一種以上の置換基により置換されていてもよく、 1から 3個のメチレ ン基がカルボニル基でおきかわっていてもよい) 、 またはチォエーテル結合、 ェ 一テル結合および Zもしくはァミノ結合を 1から 5個含む炭素数 1から 1 4の直 鎖もしくは分岐の飽和または不飽和炭化水素 (ただしへテロ原子は直接 Aに結合 することはなく、 1から 3個のメチレン基がカルボニル基でおきかわっていても よい) を表し、 R 5は水素または下記の基本骨格:
R5が表す有機基
を持つ有機基 (ただし炭素数 1から 5のアルキル、 炭素数 1から 5のアルコキシ 、 炭素数 1から 5のアルカノィルォキシ、 ヒドロキシ、 弗素、 塩素、 臭素、 ヨウ 素、 ァミノ、 ニトロ、 シァノ、 イソチオシアナト、 トリフルォロメチル、 トリフ ルォロメトキシ、 およびメチレンジォキシからなる群から選ばれた少なくとも一 種以上の置換基により置換されていてもよい) を表し、 R6は水素、 R7は水素、 ヒドロキシ、 炭素数 1から 5のアルコキシ、 または炭素数 1から 5のアルカノィ ルォキシを表すか、 あるいは R6と R7は一緒になって—〇—、 — CH2—、 - S - を表し、 R8は水素、 炭素数 1から 5のアルキル、 または炭素数 1から 5のアル力 ノィルを表す。 ] で表されるォピオイ ド κ受容体作動薬またはその薬理学的に許 容される酸付加塩であり、 または一般式 ( I I)
(II)
[式中、 Rは 2つの水素または—〇— CH2CH2CH2—であり、 Xおよび Yは独 立して水素または塩素であり、 Zは〇または Sを表す。 ] で表されるォピオイド κ受容体作動薬またはその薬理学的に許容される酸付加塩であり、 または一般式
( I I I )
[式中、 Xは水素、 塩素、 またはトリフルォロメチルであり、 Yは水素または塩 素であり、 Zは CH
2、 -OCH2CH2O-, または NC〇
2CH
3を表す。 ] で表 されるオビオイ ド κ受容体作動薬またはその薬理学的に許容される酸付加塩であ り、 または一般式 ( I V)
(IV)
[式中、 Xおよび Υは独立して水素または塩素であり、 Ζは C H 2、 〇、 または S を表す。 ] で表されるォピオイド / 受容体作動薬またはその薬理学的に許容され る酸付加塩であり、 または一般式 (V)
(V)
[式中、 Xおよび Yは独立して水素または塩素を表す。 ] で表されるォピオイド κ受容体作動薬またはその薬理学的に許容される酸付加塩である。
また、 本発明は一般式.( I )
(I)
[式中、 二は二重結合又は単結合を表し、 R 'は炭素数 1から 5のアルキル、 炭素 数 4から 7のシクロアルキルアルキル、 炭素数 5から 7のシクロアルケニルアル キル、 炭素数 6から 1 2のァリール、 炭素数 7から 1 3のァラルキル、 炭素数 4 から 7のァルケニル、 ァリル、 炭素数 1から 5のフランー 2—ィルアルキル、 ま
たは炭素数 1から 5のチォフェン— 2—ィルアルキルを表し、 R2は水素、 ヒドロ キシ、 ニトロ、 炭素数 1から 5のアルカノィルォキシ、 炭素数 1から 5のアルコ キシ、 炭素数 1から 5のアルキル、 または— NR9R1()を表し、 R9は水素または 炭素数 1から 5のアルキルを表し、 R 1(1は水素、 炭素数 1から 5のアルキル、 ま たは— C (=0) R11を表し、 R11は、 水素、 フエニル、 または炭素数 1から 5 のアルキルを表し、 R3は水素、 ヒドロキシ、 炭素数 1から 5のアルカノィルォキ シ、 または炭素数 1から 5のアルコキシを表し、 Aは— XC ( = Y) 一、 -XC (= Υ) Ζ―、 一 X—または一 XS02— (ここで X、 Y、 Ζは各々独立して NR Sまたは〇を表し、 R4は水素、 炭素数 1から 5の直鎖もしくは分岐アルキル 、 または炭素数 6から 12のァリールを表し、 式中 R4は同一または異なっていて もよい) を表し、 Βは原子価結合、 炭素数 1から 14の直鎖もしくは分岐アルキ レン (ただし炭素数 1から 5のアルコキシ、 炭素数 1から 5のアルカノィルォキ シ、 ヒドロキシ、 弗素、 塩素、 臭素、 ヨウ素、 ァミノ、 ニトロ、 シァノ、 トリフ ルォロメチル、 トリフルォロメトキシおよびフエノキシからなる群から選ばれる 少なくとも一種以上の置換基により置換されていてもよく、 1から 3個のメチレ ン基がカルボニル基でおきかわっていてもよい) 、 2重結合および Ζまたは 3重 結合を 1から 3個含む炭素数 2から 14の直鎖もしくは分岐の非環状不飽和炭化 水素 (ただし炭素数 1から 5のアルコキシ、 炭素数 1から 5のアルカノィルォキ シ、 ヒドロキシ、 弗素、 塩素、 臭素、 ヨウ素、 ァミノ、 ニトロ、 シァノ、 トリフ ルォロメチル、 卜リフルォロメトキシおよびフエノキシからなる群から選ばれる 少なくとも一種以上の置換基により置換されていてもよく、 1から 3個のメチレ ン基がカルボニル基でおきかわっていてもよい) 、 またはチォエーテル結合、 ェ —テル結合および/もしくはァミノ結合を 1から 5個含む炭素数 1から 14の直 鎖もしくは分岐の飽和または不飽和炭化水素 (ただしへテロ原子は直接 Αに結合 することはなく、 1から 3個のメチレン基がカルボニル基でおきかわっていても よい) を表し、 R5は水素または下記の基本骨格:
R5が表す有機基 を持つ有機基 (ただし炭素数 1から 5のアルキル、 炭素数 1から 5のアルコキシ 、 炭素数 1から 5のアルカノィルォキシ、 ヒドロキシ、 弗素、 塩素、 臭素、 ヨウ 素、 ァミノ、 ニトロ、 シァノ、 イソチオシアナト、 トリフルォロメチル、 トリフ ルォロメトキシ、 およびメチレンジォキシからなる群から選ばれた少なくとも一 種以上の置換基により置換されていてもよい) を表し、 R 6は水素、 R 7は水素、 ヒドロキシ、 炭素数 1から 5のアルコキシ、 または炭素数 1から 5のアルカノィ ルォキシを表すか、 あるいは R 6と R 7は一緒になって一〇—、 一 C H 2—、 — S— を表し、 R 8は水素、 炭素数 1から 5のアルキル、 または炭素数 1から 5のアル力 ノィルを表す。 ] で表されるォピオイ ド / 受容体作動薬またはその薬理学的に許 容される酸付加塩を有効成分とするニコチン依存症治療剤、 コカイン依存症治療 薬、 ォピオイ ド 受容体作動薬依存症治療薬、 ドパミン遊離抑制剤を包含する。 本発明で用いられる / c受容体作動薬のうち、 一般式 ( I ) に示される化合物に おいては、 R 1としては炭素数 1から 5のアルキル、 炭素数 4から 7のシクロアル キルメチル、 炭素数 5から 7のシクロアルケニルメチル、 炭素 7から 1 3のフエ ニルアルキル、 炭素数 4から 7のァルケニル、 ァリル、 炭素数 1から 5めフラン ― 2—ィルーアルキル、 炭素 1から 5のチォフェン一 2—ィルーアルキルが好ま しく、 特にメチル、 ェチル、 プロピル、 プチル、 イソプチル、 シクロプロピルメ チル、 ァリル、 ベンジル、 フエネチルが好ましい。
R 2としては、 水素、 ヒドロキシ、 ニトロ、 ァセトキシ、 メトキシ、 メチル、 ェ チル、 プロピル、 ァミノ、 ジメチルァミノ、 ァセチルァミノ、 ベンゾィルァミノ が好ましく、 特に水素、 ヒドロキシ、 ァセトキシ、 メトキシが好ましい。
R3としては、 水素、 ヒドロキシ、 ァセトキシ、 メトキシが好ましく、 特にヒド 口キシ、 ァセトキシ、 メトキシが好ましい。
Aとしては、 一 XC ( = Y) - (ここで、 Xは NR4、 S、 または 0を表し、 Y は 0を表し、 R4は水素または炭素数 1から 5の直鎖もしくは分岐アルキルを表す ) 、 -XC ( = Y) Ζ―、 一 X—、 または一 XS02— (ここで、 Xは NR4を表 し、 Yは 0または Sを表し、 Zは NR4または〇を表し、 R4は水素または炭素数 1から 5の直鎖もしくは分岐アルキルを表す) が好ましく、 具体的には一 NR4C (=〇) 一、 -NR4C (=S) —、 -NR"C ( =〇) 〇一、 -NR4C (=〇) NR4—、 -NR4C (=S) NR4—、 一 NR4C (=〇) S―、 一 OC (=〇) 一、 -OC ( = 0) O—、 - S C ( =〇) ―、 — NR4—、 一〇一、 -NR4 S O 2—、 — OS 02—等が挙げられる。 中でも _NR4C ( = 0) —、 ― NR4C (= S) ―、 -NR4C'(=0) O—、 -NR4C (=0) NR4 -、 -NR4C (= S ) NR4—、 一NR4S 02—が好ましく、 より好ましくは一NR4C (=〇) 一、 一 NR4C (=0) 〇一である。
R 4としては、 水素、 炭素数 1から 5の直鎖または分枝アルキルが好ましく、 特 に炭素 1から 5の直鎖または分枝アルキル、 中でもメチル、 ェチル、 プロピル、 プチル、 イソブチルが好ましい。
Bとしては、 炭素数 1から 1 0の直鎖アルキレン、 一 (CH2) n-C (=〇) - (n= l〜4) 、 - CH = CH- (CH2) n— (n = 0〜4) 、 — C≡C— ( CH2) n- (n=0〜4) 、 — CH2— O—、 —CH2— S -、 一 (CH2) 2— O — CH2—、 -CH=CH-CH = CH- (CH2) n— (n = 0〜4) が好ましく 、 中でも炭素数 1から 3の直鎖アルキレン、 ― CH=CH—、 一 C≡C一、 -C H2— 0—、 ― CH2— S―が好ましい。 より好ましくは炭素数 1から 3の直鎖ァ ルキレン、 ― CH=CH—、 一 C≡C—である。
R5が表す有機基 を持つ有機基 (ただし炭素数 1から 5のアルキル、 炭素数 1から 5のアルコキシ 、 炭素数 1から' 5のアルカノィルォキシ、 ヒドロキシ、 弗素、 塩素、 臭素、 アミ ノ、 ニトロ、 シァノ、 イソチオシアナト、 トリフルォロメチル、 トリフルォロメ トキシ、 メチレンジォキシからなる群から選ばれた少なくとも一種以上の置換基 により置換されていてもよい) が好ましく、 特に水素、 フエニル、 4—メチルフ ェニル、 3 —メチルフエニル、 2—メチルフエニル、 3 , 4—ジメチルフエニル 、 3 , 5—ジメチルフエニル、 4ーメトキシフエ二ル、 3—メトキシフエ二ル、 2—メトキシフエニル、 3, 4ージメトキシフエ二ル、 4ーヒドロキシフエニル 、 3—ヒドロキシフエニル、 3 , 4—ジヒドロキシフエニル、 4—フルオロフェ ニル、 3 —フルオロフェニル、 2—フルオロフェニル、 3 , 4—ジフルオロフェ ニル、 パ—フルオロフェニル、 4—クロ口フエニル、 3 _クロ口フエニル、 2— クロ口フエニル、 3, 4—ジクロロフエニル、 2 , 4—ジクロロフエニル、 2, 4 , 5 —トリクロ口フエニル、 2, 4 , 6 _トリクロ口フエニル、 4—ブロモフ ェニル、 3—ブロモフエニル、 2—ブロモフエニル、 4—ニトロフエニル、 3— ニトロフエニル、 2—ニトロフエニル、 4ーァミノフエニル、 3—ァミノフエ二 ル、 2—ァミノフエニル、 4 —トリフルォロメチルフエニル、 3 —トリフルォロ メチルフエニル、 2 —トリフルォロメチルフエニル、 4—トリフルォロメトキシ フエニル、 3 —トリフルォロメトキシフエニル、 2—トリフルォロメトキシフエ ニル、 3 , 4—メチレンジォキシフエニル、 3—フラニル、 2—フラニル、 3— チェニル、 2—チェニル、 シクロペンチル、 シクロへキシルが好ましいが、 もち ろんこれらに限られるものではない。 これら一般式 ( I ) に示す/ ί受容体作動薬 は、 例えば特許第 2 5 2 5 5 5 2号に示される方法に従って製造することができ
る。
本発明で用いられる一般式 ( I I ) に示されるォピオイド / c受容体作動薬の中 では、 トランス— 2— (3 , 4—ジクロロフエニル) 一N—メチルー N— [ 2 - ( 1—ピロリジニル) シクロへキシル] ァセタミド、 トランス一 N—メチル一N 一 [ 2— ( 1—ピロリジニル) シクロへキシル] ベンゾ [b] チォフェン一 4一 ァセタミド、 (5 j3, 7 /3, 8 a) — 3 , 4—ジクロロ一 N—メチル _ N— [7 - ( 1—ピロリジニル) — 1ーォキサスピロ [4, 5] デクー 8—ィル] ベンゼ ンァセ夕ミド、 (5 /3, 7 /3, 8 ) 一 N_メチル— N— [ 7— ( 1—ピロリジ ニル) — 1ーォキサスピロ [4, 5 ] デクー 8—ィル] ベンゾ [b] フラン— 4 —ァセ夕ミド、 (5 /3, 7 /3, 8 α) 一 Ν—メチルー Ν— [ 7— ( 1—ピロリジ ニル) — 1一才キサスピロ [4, 5 ] デクー 8—ィル] ベンゼンァセ夕ミドが好 ましい。 これら一般式 ( I I ) に示すォピオイド κ受容体作動薬は、 例えば S ζ mu s z k o v i c z , J . e t a 1 . , J . M e d. C h em. , 2 5 , 1 1 2 5 ( 1 9 8 2 ) ; H o r we 1 1 , D. C. , e t a 1 . , U. S. P a t e n t Ap p l . , 5 5 8 7 3 7 ( 1 9 8 3) ; S zmu s z k o v i c z , J . e t a 1. , E u r . P a t e n t A P P l . , . E P 1 2 6 6 1 2 ( 1 9 8 4) ; H a l f p e n n y, P. R. , e t a 1. , J . Me d. C h em. , 3 3 , 2 8 6 ( 1 9 9 0 ) 等に示される方法に従って製造することができる。
本発明で用いられる一般式 ( I I I ) に示されるォピオイ ド κ受容体作動薬の 中では、 メチル 4一 [ (3, 4—ジクロロフエニル) ァセチル] — 3— [ ( 1 一ピロリジニル) メチル] — 1ーピペラジンカルポキシレート、 1— [ (4—ト リフルォロメチルフエニル) ァセチル] — 2— [ ( 1—ピロリジニル) メチル] ピぺリジン、 1一 [ ( 3, 4—ジクロロフエニル) ァセチル] — 2— [ ( 1ーピ ロリジニル) メチル] ピぺリジン、 1一 [ ( 3, 4ージクロ口フエニル) ァセチ ル] — 4, 4一エチレンジォキシ一 2— [ ( 1—ピロリジニル) メチル] ピペリ ジンが好ましい。 これら一般式 ( I I I ) に示すォピオイド / c受容体作動薬は、 例えば N a y l o r , A. , e t a 1 . , J . M e d. C h em. , 3 6 , 2 0 7 5 ( 1 9 9 3) ; V e c c h i e t t i , V. , e t
a 1. , J . Me d. Ch em. , 34, 397 (1 991) ; Eu r . P a t e n t Ap p 1. , EP 232612 (1 987) ; E P 260 041 (1988) ; EP 275696 (1988) ; S c o e s, D . I . C. , e t a 1. , J . Me d. Ch em. , 35, 409 ( 1 992 ) 等に示される方法に従って製造することができる。
本発明で用いられる一般式 ( I V) に示されるォピオイド / ί受容体作動薬の中 では、 3— ( 1—ピロリジニルメチル) ー4一 [5, 6—ジクロロー 1一インダ ンカルポニル] —テトラヒドロ一 1, 4—チアジンが好ましい。 これら一般式 ( I V) に示す κ受容体作動薬は、 例えば W〇 94Z 05646に示される方法 に従って製造することができる。
本発明で用いられる一般式 (V) に示されるォピオイ ド / 受容体作動薬の中で は、 2— (3, 4—ジクロ口フエニル) 一 N—メチル— N— [ 1—フエニル— 2 一 (1一ピロリジニル) ェチル] ァセタミドが好ましい。 これら一般式 (V) に 示す κ受容体作動薬は、 例えば B a r 1 ow, J. J. , e t a 1. , J . Me d. Ch em. , 34, 3 149 ( 199 1 ) に示される方法に 従って製造することができる。
上記オビオイド κ受容体作動薬に対する薬理学的に好ましい酸付加塩としては 、 塩酸塩、 硫酸塩、 硝酸塩、 臭化水素酸塩、 ヨウ化水素酸塩、 リン酸塩等の無機 酸塩、 酢酸塩、 乳酸塩、 クェン酸塩、 シユウ酸塩、 ダルタル酸塩、 リンゴ酸塩、 酒石酸塩、 フマル酸塩、 マンデル酸塩、 マレイン酸塩、 安息香酸塩、 フタル酸塩 等の有機カルボン酸塩、 メタンスルホン酸塩、 エタンスルホン酸塩、 ベンゼンス ルホン酸塩、 p—トルエンスルホン酸塩、 カンファースルホン酸塩等の有機スル ホン酸塩等があげられ、 中でも塩酸塩、 臭化水素酸塩、 リン酸塩、 酒石酸塩、 メ タンスルホン酸塩等が好まれる力 もちろんこれらに限られるものではない。 本発明のオビオイド / 受容体作動薬は、 腹側被蓋野から側坐核に投射している 中脳辺縁系のドパミン神経系からのドパミン遊離を抑制し、 ドパミン遊離抑制剤 として有用である。 ドパミンは薬物依存に深く関わっており、 コカイン、 ォピオ イド W作動薬、 ニコチン、 アルコール、 覚醒剤、 バルビツール酸誘導体やべンゾ ジァゼピン誘導体等の中枢神経系抑制剤、 催幻覚薬等の依存性薬物は、 中脳辺縁
系のドパミン神経系からのドパミン遊離を促進することによって報酬効果をもた らし、 薬物依存症を発現させる。 したがって、 本発明のォピオイド / ί受容体作動 薬は、 ドパミン遊離促進作用を持つ薬物による依存症の治療に有用である。 本発明が対象とする薬物依存症とは依存性薬物による精神依存および身体依存 を意味し、 本発明の治療薬の対象疾患としてコカイン依存症、 ォピオイ ド /Ζ受容 体作動薬依存症、 ニコチン (たばこ) 依存症、 アルコール依存症、 覚醒剤依存症 、 中枢神経系抑制剤依存症、 および催幻覚薬依存症が挙げられる。
上記依存症の原因となる薬物のうち、 オビオイド /X受容体作動薬としてはモル ヒネ、 ヘロイン、 コディン等が、 覚醒剤としてはアンフェタミン、 メタンフエ夕 ミン等が、 中枢神経系抑制剤としてはフエノバルビタール、 ペントバルビタール 、 チォペン夕一ル等のバルビツール酸誘導体やジァゼパム、 ロラゼパム、 ォキサ ゼパム、 クロルジァゼポキシド等のベンゾジァゼピン誘導体が、 催幻覚薬として はフェンシクリジン等が挙げられるが、 もちろんこれに限定されるものではない 本発明のオビオイド Κ作動薬の薬物依存症治療効果は、 精神依存の評価法とし て用いられている c o nd i t i o n e d l a c e p r e f e r e n c e 法 (CPP法) や弁別試験、 身体依存の評価法として用いられている拮抗薬投 与による退薬症候の評価等 (S u z u k i , T. e t a 1. , P s y c h o p a rma c o 1 o gy, 1 02, 438 - 442 ( 1 990) ; S p y r a k i , C . , Th e p s y c h o ph a rma c o 1 o gy o f a d d i c t i o n, p 96 , Ox f o r d Me d i c a l P ub l i c a t i o n s, New Yo r k ( 1988) ; Ya n a g i t a, T. , P s y c h o p h a rma c o 1 o gy, 27, 503 ( 1 975) ; De u e au, G. A. e t a 1. , P s y c h o p h a rma c o l o g y , 16, 30 ( 1969) ; 鈴木勉, Mo l e c u l a r Me d i c i n e, 32, 140 ( 1 995) ; Ma l d o n a d o, R. e t a 1. , J . Ph a rma c o l . E . Th e r. , 26 1, 6 69 ( 1 992) ) ) により試験することができ、 これらの試験において精神依 存、 身体依存の顕著な抑制効果が確認された。
本発明のォピオイド / ί受容体作動薬は医薬品用途にまで純化され、 必要な安全 性試験に合格した後、 そのまま、 または公知の薬理学的に許容される酸、 担体、 賦形剤などと混合した医薬組成物として、 経口または非経口的に投与することが できる。
非経口的組成物としては、 本発明の化合物は、 滅菌した発熱性物質を含有して いない水、 滅菌した過酸化物を含有していないェチルォレエ一ト、 脱水アルコー ル、 ポリプロピレングリコ一ルおよびこれらの混合物のような在来の注射できる 液状担体を使用して投与することができる。
注射溶液に対する適当な製剤的補助剤は、 安定剤、 可溶化剤、 緩衝剤、 粘度調 整剤および抗酸化剤を含有することができる。 これらの補助剤の例は、 エタノー ル、 エチレンジァミン四酢酸塩 (E D T A) 、 酒石酸塩緩衝剤、 クェン酸塩緩衝 剤および高分子のポリエチレンォキシド粘度調整剤を包含することができる。 こ れらの薬学的処方物は、 筋肉内的、 腹腔内的または静脈内的に注射することがで さる。
固体または液状の薬学的組成物としては、 本発明の化合物は、 固体または液状 形態の在来の相溶性担体 組み合わせて経口的に投与することができる。 これら の経口的に投与される薬学的組成物は、 結合剤たとえばシロップ、 ァラビヤゴム 、 ゼラチン、 ソルビトール、 トラガントゴム、 ポリビニルピロリ ドンおよびこれ らの混合物のような在来の成分を含有することができる。
組成物はさらに、 ラクト一ス、 マンニトール、 澱粉、 燐酸カルシウム、 ソルビ トール、 メチルセルロース、 およびこれら,の混合物のような充填剤を含有するこ とができる。
これらの経口的組成物は、 また、 潤滑剤例えばステアリン酸マグネシウム、 高 分子の重合体例えばポリエチレングリコール、 高分子の脂肪酸例えばステアリン 酸、 シリカまたは固体製剤の崩壊を容易にする添加剤例えば澱粉および湿潤剤例 えば硫酸ラウリルナトリウムを含有することができる。
経口的薬学的組成物は、 錠剤、 カプセル、 ロゼンジ、 水性または、 油性懸濁液 、 ェマルジヨン、 または使用前に水または他の適当な液体で再構成できる粉剤の ようないずれかの在来の形態になし得る。
固体または液状の形態は、 風味料、 甘味料および Zまたはアルキル p—ヒドロ キシベンゾェ一トのような防腐剤を含有することができる。 液状形態は、 更に、 懸濁剤、 例えばソルビトール、 グルコース、 または他の糖シロップ、 メチルーヒ ドロキシメチルーまたはカルポキシメチルセルロースおよびゼラチン、 乳化剤例 えばレシチンまたはソルビトールモノォレエ一トおよび在来め濃化剤を含有する ことができる。 液状組成物は、 例えばゼラチンカプセルに封入することができる 好適には、 本発明の薬学的組成物は、 単位使用形態にある。 このような形態に おいては、 製剤は活性成分の適当な量を含有する単位投与量に再分割する。 単位 使用形態は製剤の不連続な量を含有する包装を有する、 包装された製剤となすこ とができる。 例えば、 包装は錠剤、 カプセルおよび粉剤、 バイアルまたはアンプ ル形態をとり得る。 単位使用形態は、 カプセル、 カシエ一または錠剤それ自体で あってもまたはこれらの包装された形態の任意の適当なものであってもよい。 その使用量は症状、 年齢、 体重、 投与方法等に応じて適宜選択されるが、 成人 に対して、 注射剤の場合、 有効成分含量として 1日 0. 00 1mg〜l gであり 、 経口剤の場合 0. 005 mg〜3 gであり、 それぞれ 1回または数回に分けて 投与することができる。
【実施例】
以下、 本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。 [実施例 1 ]
オビオイド 受容体作動薬による精神依存形成に対するォピオイド / c受容体作 動薬の抑制効果
ォピオイド /X受容体作動薬による精神依存形成に対する選択的ォピオイ ド κ受 容体作動薬の効果について c o n d i t i o n e d p l a c e p r e f e r e n c e 法 (S u z u k i , T. e t a 1. , P s y c h o p h a rm a c o 1 o g y , 1 02, 438 - 442 ( 1990) ; S p y r a k i , C. , Th e p s y c h o p h a rma c o l o gy o f a d d i c t
i o n, p 96 , O f o r d Me d i c a l P u b l i c a t i o n s , New Yo r k ( 1 988 ) ; 以下、 CP P法) により検討した。 精 神依存を形成させるオビオイド 受容体作動薬としてモルヒネを用いた。 また、 選択的オビオイド κ受容体作動薬として 17—シクロプロピルメチル— 3, 1 4 /3—ジヒドロキシ一 4, 5 ο;—エポキシ一 6 3— [N—メチルー 3— (4 - トリフルォロメチルフエニル) プロピオルアミド] モルヒナン 'マレイン酸塩 ( 化合物丄) および 17—シクロプロピルメチルー 3 , 14 j3—ジヒドロキシ— 4, 5 α—エポキシ一 6 j3— (N—メチルー 3—メチルシンナムアミド) モル ヒナン *塩酸塩 (化合物 _) を用いた。
化合物丄 化合物 2 実験には SD系雄性ラッ トを使用した。 実験装置は白 ·黒の 2— c omp a r t me n tからなる C P P装置を用いた。 実験は、 動物に薬物の感覚効果と装置 内環境 (白 ·黒) との条件付けトレーニングを 6日間行い、 トレーニング期間終 了後、 条件付けをした動物を薬物の投与を行わずに装置内に入れることによりテ ストを行った。 薬物依存性および嫌悪性は、 テスト時での動物の白 ,黒ボックス にそれぞれ滞在する時間により評価した。
その結果、 第 1図および第 2図に示すように、 モルヒネ (3mg/k g. 皮下 投与) 単独処置により、 薬物側に条件付けをしたボックス内に滞在する時間が溶 媒対照群と比較して有意に延長し、 依存性の形成が認められたのに対し、 モルヒ ネと化合物丄あるいは化合物 とを併用した動物は対照群と比較して有意な滞在 時間の延長は認められなかった。 したがって化合物丄および化合物 ま、 それぞ れ 0. 1 mgZk gの皮下投与により、 モルヒネにより形成される薬物依存性を 抑制することが明らかになった。 なお、 化合物 1および化合物 2の単独処置では
、 溶媒対照群と比較して薬物処置側ボックスおよび溶媒処置側ボックスへの滞在 時間の延長がいずれも認められず、 精神依存性および嫌悪性は示さないことが判 明した。
なお、 第 1図および第 2図において、 *は 5 %以下の危険率で統計学的に有意 であることを示す。
[実施例 2]
ォピオイド a受容体作動薬による精神依存形成に対するォピオイド κ受容体作 動薬の抑制効果およびォピオイ ド κ受容体拮抗薬による拮抗試験
オビオイド; α受容体作動薬による精神依存形成に対する選択的オビオイド κ受 容体作動薬の効果について C Ρ Ρ法 (S u z u k i, T. e t a 1 . , P s y c h o p h a rm a c o 1 o g y, 1 0 2 , 4 3 8 - 4 4 2 ( 1 9 9 0) ; S p y r a k i , C . , Th e p s y c h o p h a r ma c o 1 o g y o f a d d i c t i o n, p 9 6 , Ox f o r d M e d i c a l P u b l i c a t i o n s , N ew Y o r k ( 1 9 8 8) ) により検討した。 精神依存を形成させるオビオイ ド X受容体作動薬としてモルヒネを用いた。 また 、 選択的ォピオイ ド κ受容体作動薬として 1 7—シクロプロピルメチル— 3 , 1 4 /3—ジヒドロキシー 4 , 5 ひ一エポキシ一 6 /3— [N—メチルートランス 一 3— (3—フリル) アクリルアミド] モルヒナン ·塩酸塩 (化合物 ) を用い た。 実験は実施例 1と同様の操作により行った。
化合物 その結果、 第 3図に示すように、 モルヒネ (5mgZk g, 皮下投与) 単独処 置により、 薬物側に条件付けをしたボックス内に滞在する時間が延長し、 依存性
の形成が認められたのに対し、 モルヒネと化合物 を併用した動物は、 モルヒネ 単独処置に比べ薬物処置側の滞在時間が有意に減少した。 したがって化合物 は
、 0. 1、 0. 03mgZk gの皮下投与により、 モルヒネにより形成される薬 物依存性を抑制することが明らかになった。 さらに、 化合物 で見られた抑制作 用力 選択的ォピオイ ド κ受容体拮抗薬である n o r— BN I (3mg/k g) の前処置により有意に拮抗されたことから、 化合物 _で認められた薬物依存性抑 制作用が、 ォピオイド / c受容体を介していることが明らかになった。
なお、 化合物 の単独処置では、 溶媒対照群と比較して薬物処置側ボックスお よび溶媒処置側ボックスへの滞在時間の延長がいずれも認められず、 精神依存性 および嫌悪性は示さないことが判明した。
第 3図において、 *はモルヒネ (5mg/k g, 皮下投与) 単独処置に対して 5%以下の危険率で、 * *は 1 %以下の危険率で統計学的に有意であることを示 す。 さらに、 ##はモルヒネ (5mg/k g, 皮下投与) および化合物 (0. 03mg/k g, 皮下投与) の併用投与に対して 1 %以下の危険率で統計学的に 有意であることを示す。
[実施例 3]
-誘発退薬症候 (体重減少) に及ぼすォピオイド κ受容体作動薬の効 オビオイド 受容体作動薬による身体依存形成に対する選択的オビオイド / c受 容体作動薬の効果について検討した (鈴木勉, Mo l e c u l a r Me d i c i n e, 32, 140 ( 1 995) ; Ma l d on a d o, R. e t a 1. , J. Ph a rma c o l . E . T h e r . , 261, 6 69 ( 1992) ) 。 身体依存を形成させるォピオイ ド 受容体作動薬としてモ ルヒネを用いた。 また、 選択的ォピオイ ド κ受容体作動薬として 1 7—シクロブ 口ピルメチル一 3, 14 /3—ジヒドロキシ一 4, 5 α—エポキシ— 6 3— [N— メチルートランス一 3— (3—フリル) アクリルアミド] モルヒナン■塩酸塩 ( 化合物 _2J を用いた。
実験には d dY系雄性マウスを使用した。 身体依存の形成は、 注射法により行
つた。 モルヒネは、 1日 2回 5日間、 8— 45mg/k gの用量範囲にわたって 、 用量を増加させながらマウスに反復皮下投与した。 最終投与の 2時間後にナロ キソン (3mgZk g) を皮下投与し、 ナロキソン投与直後から、 60分間の退 薬症候を観察した。 また、 化合物 は、 モルヒネと同時投与した。
その結果、 第 4図および第 1表に示すように、 モルヒネを単独処置したマウス にナロキソンを処置することにより退薬症候が認められ、 モルヒネの身体依存性 が形成されていることが確認された。 この退薬症候は、 化合物 J_の併用により用 量依存的に軽減し、 ジヤンビング、 身震い、 下痢の発現率は、 化合物 の 0. 0 SmgZk gの処置によりモルヒネ単独群と比較して有意に減少した。 また、 体 重減少では、 化合物 の 0. 0 1および 0. 03mgZkgの処置によりモルヒ ネ単独群と比較して有意な体重減少の抑制が認められた。 この結果は、 ォピオイ ド κ受容体作動薬がオビオイド^受容体作動薬による身体依存性形成を抑制する ことを示している。 第 1表 ナロキソン誘発退薬症候におけるオビオイド / 受容体作動薬の効果 退薬症候 退薬症候発現マゥス数/総マゥス数
生理食塩水 化合物 J_ (rr¾/kg, 皮下投与)
0.003 0.01 0.03 跳躍 10/10 8/10 5/10 3/10* 首振り行動 10/10 7/10 5/10 3/10* 立ち上がり行動 10/10 10/10 7/10 8/10 下痢 10/10 7/10 6/10 3/10* 眼瞼下垂 10/10 10/10 10/10 10/10 前肢震戦 10/10 9/10 10/10 7/10
第 4図において、 暴はモルヒネ単独投与、 〇はモルヒネおよび化合物 ( 0 003mg/k g, 皮下投与) の併用投与、 △はモルヒネおよび化合物 _ ( 0
0 1 mg/k g, 皮下投与) の併用投与、 口はモルヒネおよび化合物 (0. 0 3mg/k g, 皮下投与) の併用投与を表す。 *は 5 %以下の危険率で統計学的 に有意であることを示す。
[実施例 4]
コカインによる精神依存形成に対するオビオイド/ c受容体作動薬の抑制効果 コカインの精神依存形成に対する選択的ォピオイド / 受容体作動薬の効果につ いて C P P法 (S u z u k i , T. e t a 1. , P s y c h o p h a rm a c o l o gy, 1 02, 438 - 442 ( 1 990) ; S py r a k i , C. , Th e p s y c h o p h a rma c o l o gy o f a d d i c t i o n, p 96 , Ox f o r d Me d i c a l P u b l i c a t i o n s, New Y o r k ( 1988 ) ) により検討した。 選択的ォピオイド K受 容体作動薬として 17—シクロプロピルメチルー 3, 14 3—ジヒドロキシー 4 , 5 α—エポキシ一 6 3— [Ν—メチルー 3— (3—メチルフエニル) プロピオ ルアミド] モルヒナン -塩酸塩 (化合物 および 1 7—シクロプロピルメチル — 3, 14 —ジヒドロキシー 4, 5ひ一エポキシ一 6 — (N—メチル一トラ ンス— 3—メトキシシンナムアミ ド) モルヒナン,酒石酸塩 (化合物„§_) を用い た。
実験には SD系雄性ラッ トを使用した。 実験装置は白 '黒の 2— c om p a r t me n t からなる C P P装置を用いた。 実験は、 動物に薬物の感覚効果と 装置内環境 (白 '黒) との条件付けトレーニングを 6日間行い、 トレーニング期 間終了後、 条件付けをした動物を薬物の投与を行わずに装置内に入れることによ
りテストを行った。 薬物依存性および嫌悪性は、 テスト時での動物の白 ·黒ボッ クスにそれぞれ滞在する時間により評価した。
その結果、 第 5図および第 6図に示すように、 コカイン (l OmgZk g. 腹 腔内投与) 単独処置により、 薬物側に条件付けをしたボックス内に滞在する時間 が溶媒対照群に比較して有意に延長し、 依存性の形成が認められたのに対し、 コ 力インと化合物 あるいは化合物 とを併用した動物は溶媒対照群に比較して有 意な滞在時間の延長は認められなかった。 したがって化合物 1および化合物 は 、 それぞれ 0. lmgZk gの皮下投与により、 コカインにより形成される薬物 依存性を抑制することが明らかになった。 なお、 化合物 および化合 の単独処 置では、 薬物処置側ボックスおよび溶媒処置側ボックスへの滞在時間の延長がい ずれも認められず、 精神依存および嫌悪作用は示さないことが判明した。
なお、 第 5図および第 6図において、 *は 5 %以下の危険率で統計学的に有意 であることを示す。
[実施例 5]
コカインによる精神依存形成に対するォピオイ ド / ί受容体作動薬の抑制効果 コカインによる精神依存形成に対する選択的オビオイド κ受容体作動薬の効果 について C Ρ Ρ法 (S u z u k i , T. e t a 1. , P s y c h o p h a rma c o 1 o gy, 1 02, 438 - 442 ( 1 990) ; S p y r a k i, C . , Th e p s y c h o ph a rma c o 1 o gy o f a d d i c t i on, p 96 , Ox f o r d Me d i c a l P u b l i c a t i o n s, New Y o r k ( 1988 ) ) により検討した。 選択的ォピオイド κ受容体作動薬として 1 7—シクロプロピルメチル— 3, 14 ]3—ジヒドロキシ —4, 5 α—エポキシ一 6 )3— [Ν—メチルー 3— ( 4—トリフルォロメチルフ ェニル) プロピオルアミド] モルヒナン ·マレイン酸塩 (化合物丄) を用いた。 実験は実施例 4と同様の操作により行つた。
その結果、 第 7図に示すように、 コカイン (4mg/k g. 腹腔内投与) 単独 処置により、 薬物側に条件付けをしたボックス内に滞在する時間が延長し、 依存 性の形成が認められたのに対し、 コカインと化合物上とを併用した動物はコカイ
ン単独処置と比較して薬物処置側の滞在時間が有意に減少した。 したがって化合 物丄は 0. SmgZk gの腹腔内投与により、 コカインにより形成される薬物依 存性を抑制することが明らかになった。
なお、 化合物上の単独処置では、 溶媒対照群と比較して薬物処置側ボックスお よび溶媒処置側ボックスへの滞在時間の延長がいずれも認められず、 精神依存性 および嫌悪性は示さないことが判明した。
第 7図において、 * *は 1 %以下の危険率で統計学的に有意であることを示す
[実施例 6 ]
オビオイド κ受容体作動薬のコカイン弁別抑制効果
あらかじめ 1 OmgZk gのコカインまたは生理食塩水を投与して、 レバ一押 しによる餌取り行動を指標としてあらかじめ弁別試験 (Ya n a g i t a, T. , P s y c h o p h a rma c o 1 o gy, 27, 503 ( 1 975 ) ; D e u e a u, G. A. e t a 1. , P s y c h o p h a rma c o 1 o g y, 16, 30 ( 1969 ) ) 用にトレーニングしたラットに対し、 選択的 な κ受容体作動性オビオイド化合物である 1 7—シクロプロピルメチルー 3, 1 4 /3—ジヒドロキシ一 4, 5 α—エポキシ一 6 ]3— [Ν—メチル—トランス一 3 ― (3—フリル) ァクリルアミド] モルヒナン ·塩酸塩 (化合物 3) ( 1 0 s ノ k g) とコカイン (各濃度) を併用投与し、 ラットのコカイン弁別試験を実施 した。
その結果を第 8図に示す。 化合物 をコカインと併用投与した場合、 その溶媒 対照である生理食塩水併用群と比較して、 コカイン 1. 25、 2. 5および 5m gZ kgによるレバ一押し餌取り行動の割合が有意に減少した。 これは化合物 がコカインの報酬効果発現を抑制したことを示しており、 化合物 J_のコカイン精 神依存治療薬としての有用性を示している。
第 8図において、 ·は生理食塩水およびコカインの投与を、 〇はコカインおよ び化合物 J_ (0. O lmgZk g) の併用投与を表す。 *は 5 %以下の危険率で 統計学的に有意であることを示す。
また、 化合物 (20 gZk g) とコカイン (各濃度) を併用投与した場合 、 化合物 ( 10 /X gZk g) の時よりコカイン弁別抑制効果がより大きくなる ことが判明した。 さらに/ 受容体拮抗薬である n 0 r -BN Iを前処置投与する と、 第 9図に示すようにレバー押しによる餌取り行動の割合は、 生理食塩水併用 群と同等となり、 化合物 _ のコカイン弁別抑制作用は、 ォピオイド κ受容体拮抗 薬により拮抗された。 この結果は、 コカイン弁別抑制作用がォピオイド κ受容体 を介して発現することを示しており、 コカインにより形成された精神依存が κ受 容体作動薬により抑制できることが示された。
第 9図において、 は生理食塩水およびコカインの投与を、 〇はコカインおよ び化合物 (0. 02mgZk g) の併用投与を、 口は n o r -BN I前処置投 与下でのコカインおよび化合物 ( 0. 02mg/k g) の併用投与を表す。 * *は 1 %以下の危険率で統計学的に有意であることを示す。
[実施例 7]
メカミラミン誘発によるニコチン退薬症候のオビオイド 受容体作動薬による 抑制
実験に SD系雄性ラットを使用した。 実験装置は C P P装置を用い、 ニコチン 受容体拮抗薬であるメカミラミンにより誘発されるニコチン退薬時の嫌悪モデル を用いて検討した (鈴木勉, Mo l e c u l a r Me d i c i n e, 32 , 140 (1 995) ; S u z u k i , T. e t a 1. , Eu r. J . Ph a rm. , 314, 28 1 ( 1996) ; Ma 1 d o n a d o, R . e t a に , J . P h a rma c o l . Exp. T h e r . , 26 1, 669 (1992) ) 。 ニコチンを注入した A 1 z e t 2001型 m i n i— o smo t i c pum ( 1 1 /h r , 7日間用) をラットの背部 皮下に植え込んだ。 ニコチンの用量は l OmgZkgZd a yとなるように 12 1. 4mg/m 1の水溶液を調整し、 m i n i— o smo t i c pump中に 注入した。 m i n i— 0 s mo t i c pumpを植え込んだ後、 7日目の朝に ニコチン受容体拮抗薬であるメカミラミン (lmgZm l ) あるいは生理食塩水 液を皮下注射し一方の区画に 60分間入れ、 同じ日の夕方には朝と逆の処置 (朝
、 メカミラミンを投与したラットには生理食塩水を、 生理食塩水を投与したラッ 卜にはメカミラミンを投与) を行い、 もう一方の区画に 60分間入れるという、 カウンタ一バランス法によって条件付けを行った。 また、 選択的な κ受容体作動 性オビオイ ド化合物である 17—シクロプロピルメチルー 3, 14 β—ジヒドロ キシー 4, 5ひ一エポキシ一 6 )3— [Ν—メチル一トランス一 3— (3—フリル ) ァクリルアミド] モルヒナン ·塩酸塩 (化合物 はメカミラミン処置 30分 前に皮下投与した。 条件付けの翌日 (8日目) に試験を行い、 白 ·黒の区画に滞 在する時間を 1 5分間測定した。 ,
その結果を第 10図に示す。 メカミラミンの皮下注射によって条件付けされた c omp a r tme n tから退避した時間をマイナスとし、 このマイナスの値が 大きくなるほどニコチン退薬時の嫌悪効果が強く現れていることを示している。 メカミラミン誘発嫌悪効果は化合物 (1 0, 30 g/ g) の前処置により 用量依存的に抑制された。 さらに、 生理食塩水前処置群の嫌悪効果と比較して化 合物 (30 X g/k g) の前処置により有意な嫌悪効果の抑制が認められた。 すなわち、 ニコチンによる身体依存が抑制された。
第 10図において、 *は 5 %以下の危険率で統計学的に有意であることを示す
[実施例 8 ]
オビオイド /c受容体作動薬のドパミン遊離抑制効果
6週齢以降の SD系雄性ラッ卜から、 断頭後前脳を摘出し、 氷冷した K r e b s— R i ng e r— B i c a r b o n a t eメディゥム中で正中線にそって縦に 切り分け、 ティッシュチョッパーにて 500 /xm間隔でスライスした。 側坐核を 含んでいるスライスから側坐核の領域を内径 2 mmのパンチで打ち抜き、 K r e b s _R i n g e r— B i c a r b o n a t eメディウム中で 95%〇 2— 5% CO 2を通気しながら 20分間プレインキュベーシヨンした後、 灌流装置にスラ イス 24枚分ノチャンバ一として入れ、 ノミフェンシン 10 Mを加えた K r e b s -R i n g e r -B i c a r b o n a t eメディゥムで 30分間灌流した。 その後灌流液を流速 0. 2 5m l Zm i n、 回収間隔を 5分ごととしてサンプル
の回収を行った。 20分、 60分後にそれぞれ 2 OmM h i gh K +刺激を 1 0分間加えドパミンの遊離を促した。 オビオイ ド K受容体作動薬である 1 7 _ シクロプロピルメチル一 3, 14 3—ジヒドロキシー 4, 5 α—エポキシ一 6 i3 一 [N—メチル一トランス一 3— (3—フリル) アクリルアミ ド] モルヒナン ' 塩酸塩 (化合物 _) は蒸留水に溶解した後メディウムで希釈し、 2回目の刺激の 20分前に添加した。 回収したサンプルのドパミン量は、 HPLC— ECDにて 、 流速 0. 25m 1 Zm i n、 カラム温度 2 5°C、 加電圧 40 OmV、 移動相 0 . 1 Mリン酸緩衝液 (pH 6. 0) 、 プレカラム付き E i c omp a k CA— 50DS (2. 1 φ X 1 5 Omm) カラムで測定した。
その結果を第 1 1図に示す。 化合物 は、 薬物報酬効果に関与している、 A 1 0神経終末の射先である側坐核においてドパミン遊離抑制作用を持つことが示さ れた。
第 1 1図において、 *は 5%以下の危険率で、 * *は 1 %以下の危険率で統計 学的に有意であることを示す。
産業上の利用可能性
本発明の薬物依存症治療薬は、 依存性薬物の報酬効果の発現を抑制することに より精神依存の形成を抑制すると同時に、 身体依存も抑制する、 副作用の少ない 薬剤として有効である。