JP4359711B2 - 薬物依存症治療薬 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は薬物依存症治療薬に関する。また、本発明は薬物依存症と深く関わっているドパミンの遊離抑制剤に関する。
背景技術
アヘン、コカイン、大麻などの天然物質、またはヘロイン、バルビタール類、覚醒剤など特定の薬物を常用していると、やめられなくなり、これらを手に入れるために生きる目的の大半が費やされるようになってしまう。そのうえ残忍な犯罪の源を作ったりさらには国勢を左右するような大事件にまで発展することさえある。このような薬物乱用の問題と、飲酒や喫煙という、生活に深く密着した嗜好品の常用との間には本質的には同様な底流が潜んでいる。
薬物依存および薬物乱用はいずれもWHOにおいて定義がなされている。すなわち薬物依存とは「精神的に、時には身体的にも起こる状態で、生体と薬物の相互作用によってもたらされる。その薬物の精神的な効果を体験しようとして、あるいは薬が切れたときの不快を避けようとして、持続的または周期的に薬物を摂取したいという衝動を常に伴っている状態」とされている。薬物依存は精神的に薬物に頼っている状態、すなわち精神依存と、身体が薬物の存在に適応した状態、すなわち身体依存に分けられる。
WHOでは依存を形成する薬物を9タイプに分類している。即ち、1.アルコール、2.アンフェタミン、3.バルビツール酸誘導体、4.大麻、5.コカイン、6.幻覚発現薬、7.カート、8.オピエート、9.有機溶剤である。これら9タイプに属する依存形成薬物はすべて精神依存を示し、これに身体依存が伴うものはオピエート、バルビツール酸誘導体およびアルコールの3タイプである。これらの依存形成薬物のうち現在臨床で使用可能なものはオピエート、バルビツール酸誘導体、コカイン、アンフェタミンタイプに属している薬物である。
依存性薬物の国際条約には「麻薬に関する単一条約」(1961)と「向精神物質条約」(1971)とがあり、この2つの条約に基づき、各国が協力して麻薬の国際間流通を厳しく監視し、不正ルートに流出しないように努力が払われている。このように国際規制が一層厳しくなっているのは、世界的な薬物乱用の拡大に原因がある。近年、乱用されるおそれのある薬物の種類が増え、多様化してくる一方で、国際的な人的・物的交流の増大や情報網の発達により、麻薬、大麻、覚醒剤に加えて向精神薬についてもその乱用例が増加し、また乱用の流行地域も世界的に拡大しつつある。たとえば麻薬の乱用は北アメリカ、中・南アメリカ、東南アジア、中近東、ヨーロッパの諸国において近年著しく増加し、特にコカインの乱用が南アメリカ、北アメリカ、ヨーロッパを中心に深刻な社会問題となっている。同時に覚醒剤は日本、北アメリカ、ヨーロッパと乱用が広がっている。その他の向精神薬についてもこれら諸国に広がりつつあるのが現状である。
薬物依存の治療薬については通常、対症療法以外には特別な薬物は用いられず、自己洞察を目指した精神療法や、依存薬物のより依存の少ない薬物への置き換え、漸減法がその中心である。対症療法には、初期の急性中毒症の治療にβ−ブロッカーのジアゼパムやフルニトラゼパム、短時間作動性バルビツール酸誘導体が用いられ、急性精神病状態ではハロペリドールやフェノチアジン系の抗精神病薬が用いられてきた。しかしながら、ジアゼパムやフルニトラゼパム、バルビツール酸誘導体等の薬剤を用いた治療ではこれら中枢神経系抑制剤特有の精神作用等の副作用が懸念され、ハロペリドールやフェノチアジン系の向精神薬を用いた治療では向精神薬特有の精神作用等の副作用が懸念され、薬物依存症が向精神薬依存に置き換わる可能性も考えられる。(アルコール・薬物依存−基礎と臨床−,大原健士郎,田所作太郎編(金原出版);薬物依存,佐藤光源,福井進編(世界保健通信社))
ある薬物が生体に摂取された結果、生体にその薬物の探索行動(drug−seeking behavior)あるいは摂取行動(drug−taking behavior)を以前より頻回に起こさせる薬物の効果を強化効果あるいは報酬効果と言うが、依存性薬物のこれらの効果には脳内ドパミン神経系が深く関与していることが知られている。脳内のドパミン神経系は大きく二つに分類されている。即ち、黒質−線条体系と腹側被蓋野から側坐核に投射している中脳辺縁系である。このうち、強化効果や報酬効果に関与しているのは中脳辺縁系であることが数多く報告されている。
例えば、中枢神経系興奮薬であるコカインは側坐核の神経シナプスに作用してドパミン神経終末からのドパミン遊離を促進、取込を阻害し、ドパミン受容体に結合するドパミン量を増加させて神経機能を亢進させる結果、精神依存症を発症させると考えられている。これに対して、オピオイドκ受容体作動薬は側坐核におけるドパミンの遊離抑制作用を有する(日薬理誌、1997年、109号、p165−173)ことから、コカインの報酬効果を抑制し、コカインの精神依存治療薬となる可能性を秘めている。しかし、オピオイドκ受容体作動薬をコカイン依存治療薬として応用することは、現在までのところ実用化されていない。
また、オピオイドと薬物依存における報酬効果については、オピオイドが鎮痛作用を示す一方で、報酬効果のケミカルメディエーターとしても機能することが知られている。オピオイド受容体にはμ、δおよびκ受容体が存在するが、このうちモルヒネといったμ受容体作動薬が報酬効果を示すことが報告された(T.Suzuki et al., Eur. J. Pharmacol. 205, 85, 1991)のを始めとして、β−エンドルフィンやエンケファリンといったμあるいはδ受容体作動性の内因性オピオイドペプチドも報酬効果を示すことが報告された(T.Suzuki et al., Jpn. J. Pharmacol. 66, 131, 1994)。
さらに、オピオイド受容体がドパミン神経系に関与していることも知られている。オピオイドμ受容体は中脳辺縁系の細胞体が存在する腹側被蓋野に高密度に分布し、介在ニューロンである抑制性のγ−アミノ酪酸(GABA)神経系を抑制して中脳辺縁系を興奮させる。その結果、μ受容体作動薬を全身投与あるいは腹側被蓋野に微量注入すると、投射先の側坐核でドパミンの遊離が著明に増加すると考えられている。一方、δおよびκオピオイド受容体は中脳辺縁系の投射先である側坐核に高密度に分布していることが知られている。δオピオイド受容体は活性化されることにより、μオピオイド受容体と同様に介在ニューロンである抑制性のGABA神経系を抑制して、側坐核におけるドパミンの遊離を促進すると考えられている。これに対して、κ受容体作動薬は自己投与試験で報酬効果を示さず(T.Suzuki et al., Brain Res. 602, 45, 1993)、先にも述べたようにオピオイドκ受容体を活性化するU−50488Hなどのκ受容体作動薬を投与すると側坐核からのドパミン遊離が抑制されることが報告されている(日薬理誌、1997年、109号、p165−177)。さらに、μあるいはδ受容体作動薬により誘発される報酬効果がU−50488Hなどのκ受容体作動薬により抑制されることが動物実験により報告されている(M.Funada et al., Neuropharmacology, 32, 1315, 1993)。即ち、κ受容体が活性化されることにより、μあるいはδ受容体作動薬の鎮痛作用は増強されるが、報酬効果は抑制されると言うものである。これらの事実からもまたオピオイドκ受容体作動薬がオピオイドμ受容体作動薬の精神依存症の治療薬となり得ると考えられる。また、オピオイドκ受容体拮抗薬は身体依存の形成を増強するのに対して、一部のオピオイドκ受容体作動薬が身体依存の形成を抑制することも報告されている(Suzuki,T. et al., Eur.J.Pharmacol. 213,91,1991)。しかし、オピオイドκ受容体作動薬をオピオイドμ受容体作動薬の依存治療薬として応用することもまた現在までのところ実用化されていない。
オピオイドとニコチン依存(たばこ依存)については、麻薬拮抗薬ナロキソン(μ受容体拮抗薬)が二重盲見法、薬物とプラセボのクロスオーバー法での研究により、3時間にわたって慢性喫煙者の喫煙量を減少さた例が知られている(Karras,A. et al., Life Science, 27,1541,1980)が、一方で、ナロキソンがニコチン依存ラットの退薬症候を促進し、モルヒネ(μ受容体作動薬)がニコチンの投与後に起こる退薬症候を抑制することが報告されている(Malin,D.H. et al., Psychopharmacology,112,339,1993)。また、側坐核においてはニコチン性受容体がドパミン作動神経系の終末に存在し、ドパミンの放出促進に関係していることが報告され(Di Chiara,G. et al., Natl. Acad. Sci. USA, 85,5274,1988)、さらにニコチン依存ラットにニコチン投与を中止すると側坐核のドパミン量が減少することが報告されている(Fung,Y.K. et al.,J.Pharm.Pharmacol.,41,66,1989)。これに対して、κ受容体作動性の内因性オピオイドペプチドであるダイノルフィンを含め、κ受容体作動薬のニコチン依存症抑制作用、特に身体依存性の抑制作用は明らかにされていない。
さらに、中枢神経系抑制薬であるバルビツール酸誘導体、ベンゾジアゼピン誘導体、覚醒剤であるアンフェタミン、メタンフェタミン等、催幻覚薬であるフェンシクリジンそしてアルコール等の薬物の精神依存作用もまた、ドパミン量増加の機序にしたがっていることが数多く報告されている(Yanagita T., Nippon Yakugaku Zasshi − Folia Pharmacologica Japonica. 100(2):97−107, 1992 Aug.;Samochowiec J., Annales Academiae Medicae Stetinensis. 40:195−217(1994);Kuperman DI. et al., Brain Research. 771(2):221−7(1997); Heron C. et al. European Journal of Pharmacology. 264(3):391−8(1994); Saad SF. et al. Journal of Pharmacy & Pharmacology. 49(3):322−8(1997); Costall B. et al., Arzneimittel−Forschung. 42(2A):246−9(1992))。このことから、側坐核からドパミン遊離を抑制する作用を有する薬物は、これらの依存性薬物の報酬効果を抑制し、精神依存症治療薬となり得ると考えられる。
なお、κ受容体に高選択性を示す既存のU−50488Hなどの作動薬は、μ受容体に作用するモルヒネなどにみられる薬物依存性は示さないことが判明している(T.Suzuki et al.,Eur. J. Pharmacol., 205, 85, 1991)。
本発明は、コカイン、オピオイドμ作動薬、ニコチン、アルコール、覚醒剤、バルビツール酸誘導体、ベンゾジアゼピン誘導体、および催幻覚薬等の薬物依存症の治療において、従来の対症療法による治療でなく、これら依存性薬物の報酬効果の発現機序に作用して精神依存の発現を抑制すると同時に、身体依存も抑制する、副作用の少ない薬物依存症治療薬を提供することを目的とする。
発明の開示
本発明は、オピオイドκ受容体作動薬を有効成分とする薬物依存症治療薬である。また本発明は、オピオイドκ受容体作動薬を有効成分とするドパミンの遊離抑制剤をも提供する。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は、オピオイドμ受容体作動薬による精神依存形成に対するオピオイドκ受容体作動薬の抑制効果を示す。
第3図は、オピオイドμ受容体作動薬による精神依存形成に対するオピオイドκ受容体作動薬の抑制効果およびオピオイドκ受容体拮抗薬による拮抗試験の結果を示す。
第4図は、ナロキソン誘発退薬症候(体重減少)に及ぼすオピオイドκ受容体作動薬の効果を示す。
第5図および第6図は、コカインによる精神依存形成に対するオピオイドκ受容体作動薬の抑制効果を示す。
第7図は、コカイン精神依存形成に対するオピオイドκ受容体作動薬の抑制効果を示す。
第8図は、オピオイドκ受容体作動薬のコカイン弁別効果を示す。
第9図は、オピオイドκ受容体作動薬のコカイン弁別抑制に対するオピオイドκ受容体拮抗薬による影響を示す。
第10図は、メカミラミン誘発によるニコチン退薬症候のオピオイドκ受容体作動薬による抑制を示す。
第11図は、オピオイドκ受容体作動薬のドパミン遊離抑制効果を示す。
発明を実施するための最良の形態
本発明は、オピオイドκ受容体作動薬を有効成分とするニコチン依存症治療薬を包含する。ここで言うオピオイドκ受容体作動薬とは、その化学構造的特異性に拘らずオピオイドκ受容体に選択性を示す化合物である。すなわち、オピオイド受容体に対する作動性の強さを評価するGPIおよびMVD測定(モルモット回腸およびマウス輸精管の電気刺激に対する収縮抑制評価)を行い、次いでオピオイド受容体タイプ(μ、δ、κ)選択的拮抗薬の存在下で同様の評価を経てKe値を求め、さらに各受容体でのKe値を比較したとき、Keμ>KeκおよびKeδ>Keκの関係にある化合物、つまり、μおよびδ受容体よりもκ受容体に選択的な化合物である。
具体的には、一般式(I)
Figure 0004359711
[式中、は二重結合又は単結合を表し、R1は炭素数1から5のアルキル、炭素数4から7のシクロアルキルアルキル、炭素数5から7のシクロアルケニルアルキル、炭素数6から12のアリール、炭素数7から13のアラルキル、炭素数4から7のアルケニル、アリル、炭素数1から5のフラン−2−イルアルキル、または炭素数1から5のチオフェン−2−イルアルキルを表し、R2は水素、ヒドロキシ、ニトロ、炭素数1から5のアルカノイルオキシ、炭素数1から5のアルコキシ、炭素数1から5のアルキル、または−NR910を表し、R9は水素または炭素数1から5のアルキルを表し、R10は水素、炭素数1から5のアルキル、または−C(=O)R11を表し、R11は、水素、フェニル、または炭素数1から5のアルキルを表し、R3は水素、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルカノイルオキシ、または炭素数1から5のアルコキシを表し、Aは−XC(=Y)−、−XC(=Y)Z−、−X−または−XSO2−(ここでX、Y、Zは各々独立してNR4、SまたはOを表し、R4は水素、炭素数1から5の直鎖もしくは分岐アルキル、または炭素数6から12のアリールを表し、式中R4は同一または異なっていてもよい)を表し、Bは原子価結合、炭素数1から14の直鎖もしくは分岐アルキレン(ただし炭素数1から5のアルコキシ、炭素数1から5のアルカノイルオキシ、ヒドロキシ、弗素、塩素、臭素、ヨウ素、アミノ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびフェノキシからなる群から選ばれる少なくとも一種以上の置換基により置換されていてもよく、1から3個のメチレン基がカルボニル基でおきかわっていてもよい)、2重結合および/または3重結合を1から3個含む炭素数2から14の直鎖もしくは分岐の非環状不飽和炭化水素(ただし炭素数1から5のアルコキシ、炭素数1から5のアルカノイルオキシ、ヒドロキシ、弗素、塩素、臭素、ヨウ素、アミノ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびフェノキシからなる群から選ばれる少なくとも一種以上の置換基により置換されていてもよく、1から3個のメチレン基がカルボニル基でおきかわっていてもよい)、またはチオエーテル結合、エーテル結合および/もしくはアミノ結合を1から5個含む炭素数1から14の直鎖もしくは分岐の飽和または不飽和炭化水素(ただしヘテロ原子は直接Aに結合することはなく、1から3個のメチレン基がカルボニル基でおきかわっていてもよい)を表し、R5は水素または下記の基本骨格:
Figure 0004359711
を持つ有機基(ただし炭素数1から5のアルキル、炭素数1から5のアルコキシ、炭素数1から5のアルカノイルオキシ、ヒドロキシ、弗素、塩素、臭素、ヨウ素、アミノ、ニトロ、シアノ、イソチオシアナト、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、およびメチレンジオキシからなる群から選ばれた少なくとも一種以上の置換基により置換されていてもよい)を表し、R6は水素、R7は水素、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルコキシ、または炭素数1から5のアルカノイルオキシを表すか、あるいはR6とR7は一緒になって−O−、−CH2−、−S−を表し、R8は水素、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルカノイルを表す。]で表されるオピオイドκ受容体作動薬またはその薬理学的に許容される酸付加塩であり、または一般式(II)
Figure 0004359711
[式中、Rは2つの水素または−O−CH2CH2CH2−であり、XおよびYは独立して水素または塩素であり、ZはOまたはSを表す。]で表されるオピオイドκ受容体作動薬またはその薬理学的に許容される酸付加塩であり、または一般式(III)
Figure 0004359711
[式中、Xは水素、塩素、またはトリフルオロメチルであり、Yは水素または塩素であり、ZはCH2、−OCH2CH2O−、またはNCO2CH3を表す。]で表されるオピオイドκ受容体作動薬またはその薬理学的に許容される酸付加塩であり、または一般式(IV)
Figure 0004359711
[式中、XおよびYは独立して水素または塩素であり、ZはCH2、O、またはSを表す。]で表されるオピオイドκ受容体作動薬またはその薬理学的に許容される酸付加塩であり、または一般式(V)
Figure 0004359711
[式中、XおよびYは独立して水素または塩素を表す。]で表されるオピオイドκ受容体作動薬またはその薬理学的に許容される酸付加塩である。
また、本発明は一般式(I)
Figure 0004359711
[式中、は二重結合又は単結合を表し、R1は炭素数1から5のアルキル、炭素数4から7のシクロアルキルアルキル、炭素数5から7のシクロアルケニルアルキル、炭素数6から12のアリール、炭素数7から13のアラルキル、炭素数4から7のアルケニル、アリル、炭素数1から5のフラン−2−イルアルキル、または炭素数1から5のチオフェン−2−イルアルキルを表し、R2は水素、ヒドロキシ、ニトロ、炭素数1から5のアルカノイルオキシ、炭素数1から5のアルコキシ、炭素数1から5のアルキル、または−NR910を表し、R9は水素または炭素数1から5のアルキルを表し、R10は水素、炭素数1から5のアルキル、または−C(=O)R11を表し、R11は、水素、フェニル、または炭素数1から5のアルキルを表し、R3は水素、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルカノイルオキシ、または炭素数1から5のアルコキシを表し、Aは−XC(=Y)−、−XC(=Y)Z−、−X−または−XSO2−(ここでX、Y、Zは各々独立してNR4、SまたはOを表し、R4は水素、炭素数1から5の直鎖もしくは分岐アルキル、または炭素数6から12のアリールを表し、式中R4は同一または異なっていてもよい)を表し、Bは原子価結合、炭素数1から14の直鎖もしくは分岐アルキレン(ただし炭素数1から5のアルコキシ、炭素数1から5のアルカノイルオキシ、ヒドロキシ、弗素、塩素、臭素、ヨウ素、アミノ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびフェノキシからなる群から選ばれる少なくとも一種以上の置換基により置換されていてもよく、1から3個のメチレン基がカルボニル基でおきかわっていてもよい)、2重結合および/または3重結合を1から3個含む炭素数2から14の直鎖もしくは分岐の非環状不飽和炭化水素(ただし炭素数1から5のアルコキシ、炭素数1から5のアルカノイルオキシ、ヒドロキシ、弗素、塩素、臭素、ヨウ素、アミノ、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびフェノキシからなる群から選ばれる少なくとも一種以上の置換基により置換されていてもよく、1から3個のメチレン基がカルボニル基でおきかわっていてもよい)、またはチオエーテル結合、エーテル結合および/もしくはアミノ結合を1から5個含む炭素数1から14の直鎖もしくは分岐の飽和または不飽和炭化水素(ただしヘテロ原子は直接Aに結合することはなく、1から3個のメチレン基がカルボニル基でおきかわっていてもよい)を表し、R5は水素または下記の基本骨格:
Figure 0004359711
を持つ有機基(ただし炭素数1から5のアルキル、炭素数1から5のアルコキシ、炭素数1から5のアルカノイルオキシ、ヒドロキシ、弗素、塩素、臭素、ヨウ素、アミノ、ニトロ、シアノ、イソチオシアナト、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、およびメチレンジオキシからなる群から選ばれた少なくとも一種以上の置換基により置換されていてもよい)を表し、R6は水素、R7は水素、ヒドロキシ、炭素数1から5のアルコキシ、または炭素数1から5のアルカノイルオキシを表すか、あるいはR6とR7は一緒になって−O−、−CH2−、−S−を表し、R8は水素、炭素数1から5のアルキル、または炭素数1から5のアルカノイルを表す。]で表されるオピオイドκ受容体作動薬またはその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分とするニコチン依存症治療剤、コカイン依存症治療薬、オピオイドμ受容体作動薬依存症治療薬、ドパミン遊離抑制剤を包含する。
本発明で用いられるκ受容体作動薬のうち、一般式(I)に示される化合物においては、R1としては炭素数1から5のアルキル、炭素数4から7のシクロアルキルメチル、炭素数5から7のシクロアルケニルメチル、炭素7から13のフェニルアルキル、炭素数4から7のアルケニル、アリル、炭素数1から5のフラン−2−イル−アルキル、炭素1から5のチオフェン−2−イル−アルキルが好ましく、特にメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピルメチル、アリル、ベンジル、フェネチルが好ましい。
2としては、水素、ヒドロキシ、ニトロ、アセトキシ、メトキシ、メチル、エチル、プロピル、アミノ、ジメチルアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノが好ましく、特に水素、ヒドロキシ、アセトキシ、メトキシが好ましい。
3としては、水素、ヒドロキシ、アセトキシ、メトキシが好ましく、特にヒドロキシ、アセトキシ、メトキシが好ましい。
Aとしては、−XC(=Y)−(ここで、XはNR4、S、またはOを表し、YはOを表し、R4は水素または炭素数1から5の直鎖もしくは分岐アルキルを表す)、−XC(=Y)Z−、−X−、または−XSO2−(ここで、XはNR4を表し、YはOまたはSを表し、ZはNR4またはOを表し、R4は水素または炭素数1から5の直鎖もしくは分岐アルキルを表す)が好ましく、具体的には−NR4C(=O)−、−NR4C(=S)−、−NR4C(=O)O−、−NR4C(=O)NR4−、−NR4C(=S)NR4−、−NR4C(=O)S−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−SC(=O)−、−NR4−、−O−、−NR4SO2−、−OSO2−等が挙げられる。中でも−NR4C(=O)−、−NR4C(=S)−、−NR4C(=O)O−、−NR4C(=O)NR4−、−NR4C(=S)NR4−、−NR4SO2−が好ましく、より好ましくは−NR4C(=O)−、−NR4C(=O)O−である。
4としては、水素、炭素数1から5の直鎖または分枝アルキルが好ましく、特に炭素1から5の直鎖または分枝アルキル、中でもメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチルが好ましい。
Bとしては、炭素数1から10の直鎖アルキレン、−(CH2n−C(=O)−(n=1〜4)、−CH=CH−(CH2n−(n=0〜4)、−C≡C−(CH2n−(n=0〜4)、−CH2−O−、−CH2−S−、−(CH22−O−CH2−、−CH=CH−CH=CH−(CH2n−(n=0〜4)が好ましく、中でも炭素数1から3の直鎖アルキレン、−CH=CH−、−C≡C−、−CH2−O−、−CH2−S−が好ましい。より好ましくは炭素数1から3の直鎖アルキレン、−CH=CH−、−C≡C−である。
5としては、水素または下記の基本骨格:
Figure 0004359711
を持つ有機基(ただし炭素数1から5のアルキル、炭素数1から5のアルコキシ、炭素数1から5のアルカノイルオキシ、ヒドロキシ、弗素、塩素、臭素、アミノ、ニトロ、シアノ、イソチオシアナト、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチレンジオキシからなる群から選ばれた少なくとも一種以上の置換基により置換されていてもよい)が好ましく、特に水素、フェニル、4−メチルフェニル、3−メチルフェニル、2−メチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、4−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、2−メトキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、4−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシフェニル、3,4−ジヒドロキシフェニル、4−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、2−フルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、パーフルオロフェニル、4−クロロフェニル、3−クロロフェニル、2−クロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、2,4,5−トリクロロフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、4−ブロモフェニル、3−ブロモフェニル、2−ブロモフェニル、4−ニトロフェニル、3−ニトロフェニル、2−ニトロフェニル、4−アミノフェニル、3−アミノフェニル、2−アミノフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、2−トリフルオロメチルフェニル、4−トリフルオロメトキシフェニル、3−トリフルオロメトキシフェニル、2−トリフルオロメトキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、3−フラニル、2−フラニル、3−チエニル、2−チエニル、シクロペンチル、シクロヘキシルが好ましいが、もちろんこれらに限られるものではない。これら一般式(I)に示すκ受容体作動薬は、例えば特許第2525552号に示される方法に従って製造することができる。
本発明で用いられる一般式(II)に示されるオピオイドκ受容体作動薬の中では、トランス−2−(3,4−ジクロロフェニル)−N−メチル−N−[2−(1−ピロリジニル)シクロヘキシル]アセタミド、トランス−N−メチル−N−[2−(1−ピロリジニル)シクロヘキシル]ベンゾ[b]チオフェン−4−アセタミド、(5β,7β,8α)−3,4−ジクロロ−N−メチル−N−[7−(1−ピロリジニル)−1−オキサスピロ[4,5]デク−8−イル]ベンゼンアセタミド、(5β,7β,8α)−N−メチル−N−[7−(1−ピロリジニル)−1−オキサスピロ[4,5]デク−8−イル]ベンゾ[b]フラン−4−アセタミド、(5β,7β,8α)−N−メチル−N−[7−(1−ピロリジニル)−1−オキサスピロ[4,5]デク−8−イル]ベンゼンアセタミドが好ましい。これら一般式(II)に示すオピオイドκ受容体作動薬は、例えばSzmuszkovicz, J. et al., J. Med. Chem., 25,1125(1982); Horwell, D.C., et al., U.S.Patent Appl., 558737(1983);Szmuszkovicz, J. et al., Eur.Patent Appl., EP126612(1984);Halfpenny, P.R., et al., J. Med. Chem., 33,286(1990)等に示される方法に従って製造することができる。
本発明で用いられる一般式(III)に示されるオピオイドκ受容体作動薬の中では、メチル4−[(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−3−[(1−ピロリジニル)メチル]−1−ピペラジンカルボキシレート、1−[(4−トリフルオロメチルフェニル)アセチル]−2−[(1−ピロリジニル)メチル]ピペリジン、1−[(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−2−[(1−ピロリジニル)メチル]ピペリジン、1−[(3,4−ジクロロフェニル)アセチル]−4,4−エチレンジオキシ−2−[(1−ピロリジニル)メチル]ピペリジンが好ましい。これら一般式(III)に示すオピオイドκ受容体作動薬は、例えばNaylor, A., et al., J. Med. Chem., 36,2075(1993); Vecchietti, V., et al.,J. Med. Chem., 34,397(1991); Eur.Patent Appl., EP232612(1987); EP260041(1988); EP275696(1988); Scopes, D.I.C., et al., J. Med. Chem., 35,409(1992)等に示される方法に従って製造することができる。
本発明で用いられる一般式(IV)に示されるオピオイドκ受容体作動薬の中では、3−(1−ピロリジニルメチル)−4−[5,6−ジクロロ−1−インダンカルボニル]−テトラヒドロ−1,4−チアジンが好ましい。これら一般式(IV)に示すκ受容体作動薬は、例えばWO 94/05646に示される方法に従って製造することができる。
本発明で用いられる一般式(V)に示されるオピオイドκ受容体作動薬の中では、2−(3,4−ジクロロフェニル)−N−メチル−N−[1−フェニル−2−(1−ピロリジニル)エチル]アセタミドが好ましい。これら一般式(V)に示すκ受容体作動薬は、例えばBarlow, J.J., et al., J. Med. Chem., 34,3149(1991)に示される方法に従って製造することができる。
上記オピオイドκ受容体作動薬に対する薬理学的に好ましい酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、グルタル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、フタル酸塩等の有機カルボン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、カンファ−スルホン酸塩等の有機スルホン酸塩等があげられ、中でも塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩等が好まれるが、もちろんこれらに限られるものではない。
本発明のオピオイドκ受容体作動薬は、腹側被蓋野から側坐核に投射している中脳辺縁系のドパミン神経系からのドパミン遊離を抑制し、ドパミン遊離抑制剤として有用である。ドパミンは薬物依存に深く関わっており、コカイン、オピオイドμ作動薬、ニコチン、アルコール、覚醒剤、バルビツール酸誘導体やベンゾジアゼピン誘導体等の中枢神経系抑制剤、催幻覚薬等の依存性薬物は、中脳辺縁系のドパミン神経系からのドパミン遊離を促進することによって報酬効果をもたらし、薬物依存症を発現させる。したがって、本発明のオピオイドκ受容体作動薬は、ドパミン遊離促進作用を持つ薬物による依存症の治療に有用である。
本発明が対象とする薬物依存症とは依存性薬物による精神依存および身体依存を意味し、本発明の治療薬の対象疾患としてコカイン依存症、オピオイドμ受容体作動薬依存症、ニコチン(たばこ)依存症、アルコール依存症、覚醒剤依存症、中枢神経系抑制剤依存症、および催幻覚薬依存症が挙げられる。
上記依存症の原因となる薬物のうち、オピオイドμ受容体作動薬としてはモルヒネ、ヘロイン、コデイン等が、覚醒剤としてはアンフェタミン、メタンフェタミン等が、中枢神経系抑制剤としてはフェノバルビタール、ペントバルビタール、チオペンタール等のバルビツール酸誘導体やジアゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、クロルジアゼポキシド等のベンゾジアゼピン誘導体が、催幻覚薬としてはフェンシクリジン等が挙げられるが、もちろんこれに限定されるものではない。
本発明のオピオイドκ作動薬の薬物依存症治療効果は、精神依存の評価法として用いられているconditioned place preference法(CPP法)や弁別試験、身体依存の評価法として用いられている拮抗薬投与による退薬症候の評価等(Suzuki,T. et al., Psychopharmacology, 102,438−442(1990); Spyraki,C., The psychopharmacology of addiction, p96, Oxford Medical Publications, New York(1988); Yanagita,T., Psychopharmacology, 27,503(1975); Deueau,G.A. et al., Psychopharmacology, 16,30(1969); 鈴木勉, Molecular Medicine, 32,140(1995); Maldonado,R. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 261,669(1992)))により試験することができ、これらの試験において精神依存、身体依存の顕著な抑制効果が確認された。
本発明のオピオイドκ受容体作動薬は医薬品用途にまで純化され、必要な安全性試験に合格した後、そのまま、または公知の薬理学的に許容される酸、担体、賦形剤などと混合した医薬組成物として、経口または非経口的に投与することができる。
非経口的組成物としては、本発明の化合物は、滅菌した発熱性物質を含有していない水、滅菌した過酸化物を含有していないエチルオレエート、脱水アルコール、ポリプロピレングリコールおよびこれらの混合物のような在来の注射できる液状担体を使用して投与することができる。
注射溶液に対する適当な製剤的補助剤は、安定剤、可溶化剤、緩衝剤、粘度調整剤および抗酸化剤を含有することができる。これらの補助剤の例は、エタノール、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)、酒石酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤および高分子のポリエチレンオキシド粘度調整剤を包含することができる。これらの薬学的処方物は、筋肉内的、腹腔内的または静脈内的に注射することができる。
固体または液状の薬学的組成物としては、本発明の化合物は、固体または液状形態の在来の相溶性担体と組み合わせて経口的に投与することができる。これらの経口的に投与される薬学的組成物は、結合剤たとえばシロップ、アラビヤゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガントゴム、ポリビニルピロリドンおよびこれらの混合物のような在来の成分を含有することができる。
組成物はさらに、ラクトース、マンニトール、澱粉、燐酸カルシウム、ソルビトール、メチルセルロース、およびこれらの混合物のような充填剤を含有することができる。
これらの経口的組成物は、また、潤滑剤例えばステアリン酸マグネシウム、高分子の重合体例えばポリエチレングリコール、高分子の脂肪酸例えばステアリン酸、シリカまたは固体製剤の崩壊を容易にする添加剤例えば澱粉および湿潤剤例えば硫酸ラウリルナトリウムを含有することができる。
経口的薬学的組成物は、錠剤、カプセル、ロゼンジ、水性または、油性懸濁液、エマルジョン、または使用前に水または他の適当な液体で再構成できる粉剤のようないずれかの在来の形態になし得る。
固体または液状の形態は、風味料、甘味料および/またはアルキルp−ヒドロキシベンゾエートのような防腐剤を含有することができる。液状形態は、更に、懸濁剤、例えばソルビトール、グルコース、または他の糖シロップ、メチル−ヒドロキシメチル−またはカルボキシメチルセルロースおよびゼラチン、乳化剤例えばレシチンまたはソルビトールモノオレエートおよび在来の濃化剤を含有することができる。液状組成物は、例えばゼラチンカプセルに封入することができる。
好適には、本発明の薬学的組成物は、単位使用形態にある。このような形態においては、製剤は活性成分の適当な量を含有する単位投与量に再分割する。単位使用形態は製剤の不連続な量を含有する包装を有する、包装された製剤となすことができる。例えば、包装は錠剤、カプセルおよび粉剤、バイアルまたはアンプル形態をとり得る。単位使用形態は、カプセル、カシエーまたは錠剤それ自体であってもまたはこれらの包装された形態の任意の適当なものであってもよい。
その使用量は症状、年齢、体重、投与方法等に応じて適宜選択されるが、成人に対して、注射剤の場合、有効成分含量として1日0.001mg〜1gであり、経口剤の場合0.005mg〜3gであり、それぞれ1回または数回に分けて投与することができる。
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。
[実施例1]
オピオイドμ受容体作動薬による精神依存形成に対するオピオイドκ受容体作動薬の抑制効果
オピオイドμ受容体作動薬による精神依存形成に対する選択的オピオイドκ受容体作動薬の効果についてconditioned place preference法(Suzuki,T. et al., Psychopharmacology, 102,438−442(1990); Spyraki,C., The psychopharmacology of addiction, p96, Oxford Medical Publications, New York(1988);以下、CPP法)により検討した。精神依存を形成させるオピオイドμ受容体作動薬としてモルヒネを用いた。また、選択的オピオイドκ受容体作動薬として17−シクロプロピルメチル−3, 14β−ジヒドロキシ−4, 5α−エポキシ−6β−[N−メチル−3−(4−トリフルオロメチルフェニル)プロピオルアミド]モルヒナン・マレイン酸塩(化合物)および17−シクロプロピルメチル−3, 14β−ジヒドロキシ−4, 5α−エポキシ−6β−(N−メチル−3−メチルシンナムアミド)モルヒナン・塩酸塩(化合物)を用いた。
Figure 0004359711
実験にはSD系雄性ラットを使用した。実験装置は白・黒の2−compartmentからなるCPP装置を用いた。実験は、動物に薬物の感覚効果と装置内環境(白・黒)との条件付けトレーニングを6日間行い、トレーニング期間終了後、条件付けをした動物を薬物の投与を行わずに装置内に入れることによりテストを行った。薬物依存性および嫌悪性は、テスト時での動物の白・黒ボックスにそれぞれ滞在する時間により評価した。
その結果、第1図および第2図に示すように、モルヒネ(3mg/kg.皮下投与)単独処置により、薬物側に条件付けをしたボックス内に滞在する時間が溶媒対照群と比較して有意に延長し、依存性の形成が認められたのに対し、モルヒネと化合物あるいは化合物とを併用した動物は対照群と比較して有意な滞在時間の延長は認められなかった。したがって化合物および化合物は、それぞれ0.1mg/kgの皮下投与により、モルヒネにより形成される薬物依存性を抑制することが明らかになった。なお、化合物および化合物の単独処置では、溶媒対照群と比較して薬物処置側ボックスおよび溶媒処置側ボックスへの滞在時間の延長がいずれも認められず、精神依存性および嫌悪性は示さないことが判明した。
なお、第1図および第2図において、*は5%以下の危険率で統計学的に有意であることを示す。
[実施例2]
オピオイドμ受容体作動薬による精神依存形成に対するオピオイドκ受容体作動薬の抑制効果およびオピオイドκ受容体拮抗薬による拮抗試験
オピオイドμ受容体作動薬による精神依存形成に対する選択的オピオイドκ受容体作動薬の効果についてCPP法(Suzuki,T. et al., Psychopharmacology, 102,438−442(1990); Spyraki,C., The psychopharmacology of addiction, p96, Oxford Medical Publications, New York(1988))により検討した。精神依存を形成させるオピオイドμ受容体作動薬としてモルヒネを用いた。また、選択的オピオイドκ受容体作動薬として17−シクロプロピルメチル−3, 14β−ジヒドロキシ−4, 5α−エポキシ−6β−[N−メチル−トランス−3−(3−フリル)アクリルアミド]モルヒナン・塩酸塩(化合物)を用いた。実験は実施例1と同様の操作により行った。
Figure 0004359711
その結果、第3図に示すように、モルヒネ(5mg/kg,皮下投与)単独処置により、薬物側に条件付けをしたボックス内に滞在する時間が延長し、依存性の形成が認められたのに対し、モルヒネと化合物を併用した動物は、モルヒネ単独処置に比べ薬物処置側の滞在時間が有意に減少した。したがって化合物は、0.1、0.03mg/kgの皮下投与により、モルヒネにより形成される薬物依存性を抑制することが明らかになった。さらに、化合物で見られた抑制作用が、選択的オピオイドκ受容体拮抗薬であるnor−BNI(3mg/kg)の前処置により有意に拮抗されたことから、化合物で認められた薬物依存性抑制作用が、オピオイドκ受容体を介していることが明らかになった。
なお、化合物の単独処置では、溶媒対照群と比較して薬物処置側ボックスおよび溶媒処置側ボックスへの滞在時間の延長がいずれも認められず、精神依存性および嫌悪性は示さないことが判明した。
第3図において、*はモルヒネ(5mg/kg,皮下投与)単独処置に対して5%以下の危険率で、**は1%以下の危険率で統計学的に有意であることを示す。さらに、##はモルヒネ(5mg/kg,皮下投与)および化合物(0.03mg/kg,皮下投与)の併用投与に対して1%以下の危険率で統計学的に有意であることを示す。
[実施例3]
ナロキソン誘発退薬症候(体重減少)に及ぼすオピオイドκ受容体作動薬の効果
オピオイドμ受容体作動薬による身体依存形成に対する選択的オピオイドκ受容体作動薬の効果について検討した(鈴木勉, Molecular Medicine, 32,140(1995); Maldonado,R. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 261,669(1992))。身体依存を形成させるオピオイドμ受容体作動薬としてモルヒネを用いた。また、選択的オピオイドκ受容体作動薬として17−シクロプロピルメチル−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−[N−メチル−トランス−3−(3−フリル)アクリルアミド]モルヒナン・塩酸塩(化合物)を用いた。
実験にはddY系雄性マウスを使用した。身体依存の形成は、注射法により行った。モルヒネは、1日2回5日間、8−45mg/kgの用量範囲にわたって、用量を増加させながらマウスに反復皮下投与した。最終投与の2時間後にナロキソン(3mg/kg)を皮下投与し、ナロキソン投与直後から、60分間の退薬症候を観察した。また、化合物は、モルヒネと同時投与した。
その結果、第4図および第1表に示すように、モルヒネを単独処置したマウスにナロキソンを処置することにより退薬症候が認められ、モルヒネの身体依存性が形成されていることが確認された。この退薬症候は、化合物の併用により用量依存的に軽減し、ジャンピング、身震い、下痢の発現率は、化合物の0.03mg/kgの処置によりモルヒネ単独群と比較して有意に減少した。また、体重減少では、化合物の0.01および0.03mg/kgの処置によりモルヒネ単独群と比較して有意な体重減少の抑制が認められた。この結果は、オピオイドκ受容体作動薬がオピオイドμ受容体作動薬による身体依存性形成を抑制することを示している。
Figure 0004359711
第4図において、●はモルヒネ単独投与、○はモルヒネおよび化合物(0.003mg/kg,皮下投与)の併用投与、△はモルヒネおよび化合物(0.01mg/kg,皮下投与)の併用投与、□はモルヒネおよび化合物(0.03mg/kg,皮下投与)の併用投与を表す。*は5%以下の危険率で統計学的に有意であることを示す。
[実施例4]
コカインによる精神依存形成に対するオピオイドκ受容体作動薬の抑制効果
コカインの精神依存形成に対する選択的オピオイドκ受容体作動薬の効果についてCPP法(Suzuki,T. et al., Psychopharmacology, 102,438−442(1990); Spyraki,C., The psychopharmacology of addiction, p96, Oxford Medical Publications, New York(1988))により検討した。選択的オピオイドκ受容体作動薬として17−シクロプロピルメチル−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−[N−メチル−3−(3−メチルフェニル)プロピオルアミド]モルヒナン・塩酸塩(化合物)および17−シクロプロピルメチル−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−(N−メチル−トランス−3−メトキシシンナムアミド)モルヒナン・酒石酸塩(化合物)を用いた。
Figure 0004359711
実験にはSD系雄性ラットを使用した。実験装置は白・黒の 2−compartmentからなるCPP装置を用いた。実験は、動物に薬物の感覚効果と装置内環境(白・黒)との条件付けトレーニングを6日間行い、トレーニング期間終了後、条件付けをした動物を薬物の投与を行わずに装置内に入れることによりテストを行った。薬物依存性および嫌悪性は、テスト時での動物の白・黒ボックスにそれぞれ滞在する時間により評価した。
その結果、第5図および第6図に示すように、コカイン(10mg/kg.腹腔内投与)単独処置により、薬物側に条件付けをしたボックス内に滞在する時間が溶媒対照群に比較して有意に延長し、依存性の形成が認められたのに対し、コカインと化合物あるいは化合物とを併用した動物は溶媒対照群に比較して有意な滞在時間の延長は認められなかった。したがって化合物および化合物は、それぞれ0.1mg/kgの皮下投与により、コカインにより形成される薬物依存性を抑制することが明らかになった。なお、化合物および化合の単独処置では、薬物処置側ボックスおよび溶媒処置側ボックスへの滞在時間の延長がいずれも認められず、精神依存および嫌悪作用は示さないことが判明した。
なお、第5図および第6図において、*は5%以下の危険率で統計学的に有意であることを示す。
[実施例5]
コカインによる精神依存形成に対するオピオイドκ受容体作動薬の抑制効果
コカインによる精神依存形成に対する選択的オピオイドκ受容体作動薬の効果についてCPP法(Suzuki,T. et al., Psychopharmacology, 102,438−442(1990); Spyraki,C., The psychopharmacology of addiction, p96, Oxford Medical Publications, New York(1988))により検討した。選択的オピオイドκ受容体作動薬として17−シクロプロピルメチル−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−[N−メチル−3−(4−トリフルオロメチルフェニル)プロピオルアミド]モルヒナン・マレイン酸塩(化合物)を用いた。実験は実施例4と同様の操作により行った。
その結果、第7図に示すように、コカイン(4mg/kg.腹腔内投与)単独処置により、薬物側に条件付けをしたボックス内に滞在する時間が延長し、依存性の形成が認められたのに対し、コカインと化合物とを併用した動物はコカイン単独処置と比較して薬物処置側の滞在時間が有意に減少した。したがって化合物は0.2mg/kgの腹腔内投与により、コカインにより形成される薬物依存性を抑制することが明らかになった。
なお、化合物の単独処置では、溶媒対照群と比較して薬物処置側ボックスおよび溶媒処置側ボックスへの滞在時間の延長がいずれも認められず、精神依存性および嫌悪性は示さないことが判明した。
第7図において、**は1%以下の危険率で統計学的に有意であることを示す。
[実施例6]
オピオイドκ受容体作動薬のコカイン弁別抑制効果
あらかじめ10mg/kgのコカインまたは生理食塩水を投与して、レバー押しによる餌取り行動を指標としてあらかじめ弁別試験(Yanagita,T., Psychopharmacology, 27,503(1975); Deueau,G.A. et al., Psychopharmacology, 16,30(1969))用にトレーニングしたラットに対し、選択的なκ受容体作動性オピオイド化合物である17−シクロプロピルメチル−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−[N−メチル−トランス−3−(3−フリル)アクリルアミド]モルヒナン・塩酸塩(化合物3)(10μg/kg)とコカイン(各濃度)を併用投与し、ラットのコカイン弁別試験を実施した。
その結果を第8図に示す。化合物をコカインと併用投与した場合、その溶媒対照である生理食塩水併用群と比較して、コカイン1.25、2.5および5mg/kgによるレバー押し餌取り行動の割合が有意に減少した。これは化合物がコカインの報酬効果発現を抑制したことを示しており、化合物のコカイン精神依存治療薬としての有用性を示している。
第8図において、●は生理食塩水およびコカインの投与を、○はコカインおよび化合物(0.01mg/kg)の併用投与を表す。*は5%以下の危険率で統計学的に有意であることを示す。
また、化合物(20μg/kg)とコカイン(各濃度)を併用投与した場合、化合物(10μg/kg)の時よりコカイン弁別抑制効果がより大きくなることが判明した。さらにκ受容体拮抗薬であるnor−BNIを前処置投与すると、第9図に示すようにレバー押しによる餌取り行動の割合は、生理食塩水併用群と同等となり、化合物のコカイン弁別抑制作用は、オピオイドκ受容体拮抗薬により拮抗された。この結果は、コカイン弁別抑制作用がオピオイドκ受容体を介して発現することを示しており、コカインにより形成された精神依存がκ受容体作動薬により抑制できることが示された。
第9図において、●は生理食塩水およびコカインの投与を、○はコカインおよび化合物(0.02mg/kg)の併用投与を、□はnor−BNI前処置投与下でのコカインおよび化合物(0.02mg/kg)の併用投与を表す。**は1%以下の危険率で統計学的に有意であることを示す。
[実施例7]
メカミラミン誘発によるニコチン退薬症候のオピオイドκ受容体作動薬による抑制
実験にSD系雄性ラットを使用した。実験装置はCPP装置を用い、ニコチン受容体拮抗薬であるメカミラミンにより誘発されるニコチン退薬時の嫌悪モデルを用いて検討した(鈴木勉, Molecular Medicine, 32,140(1995); Suzuki,T. et al., Eur. J. Pharm., 314,281(1996); Maldonado,R. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 261,669(1992))。ニコチンを注入したAlzet 2001型mini−osmotic pump(1μl/hr、7日間用)をラットの背部皮下に植え込んだ。ニコチンの用量は10mg/kg/dayとなるように121.4mg/mlの水溶液を調整し、mini−osmotic pump中に注入した。mini−osmotic pumpを植え込んだ後、7日目の朝にニコチン受容体拮抗薬であるメカミラミン(1mg/ml)あるいは生理食塩水液を皮下注射し一方の区画に60分間入れ、同じ日の夕方には朝と逆の処置(朝、メカミラミンを投与したラットには生理食塩水を、生理食塩水を投与したラットにはメカミラミンを投与)を行い、もう一方の区画に60分間入れるという、カウンターバランス法によって条件付けを行った。また、選択的なκ受容体作動性オピオイド化合物である17−シクロプロピルメチル−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−[N−メチル−トランス−3−(3−フリル)アクリルアミド]モルヒナン・塩酸塩(化合物)はメカミラミン処置30分前に皮下投与した。条件付けの翌日(8日目)に試験を行い、白・黒の区画に滞在する時間を15分間測定した。
その結果を第10図に示す。メカミラミンの皮下注射によって条件付けされたcompartmentから退避した時間をマイナスとし、このマイナスの値が大きくなるほどニコチン退薬時の嫌悪効果が強く現れていることを示している。メカミラミン誘発嫌悪効果は化合物(10,30μg/kg)の前処置により用量依存的に抑制された。さらに、生理食塩水前処置群の嫌悪効果と比較して化合物(30μg/kg)の前処置により有意な嫌悪効果の抑制が認められた。すなわち、ニコチンによる身体依存が抑制された。
第10図において、*は5%以下の危険率で統計学的に有意であることを示す。
[実施例8]
オピオイドκ受容体作動薬のドパミン遊離抑制効果
6週齢以降のSD系雄性ラットから、断頭後前脳を摘出し、氷冷したKrebs−Ringer−Bicarbonateメディウム中で正中線にそって縦に切り分け、ティッシュチョッパーにて500μm間隔でスライスした。側坐核を含んでいるスライスから側坐核の領域を内径2mmのパンチで打ち抜き、Krebs−Ringer−Bicarbonateメディウム中で95%O2−5%CO2を通気しながら20分間プレインキュベーションした後、灌流装置にスライス24枚分/チャンバーとして入れ、ノミフェンシン10μMを加えたKrebs−Ringer−Bicarbonateメディウムで30分間灌流した。その後灌流液を流速0.25ml/min、回収間隔を5分ごととしてサンプルの回収を行った。20分、60分後にそれぞれ20mM high K+刺激を10分間加えドパミンの遊離を促した。オピオイドκ受容体作動薬である17−シクロプロピルメチル−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−[N−メチル−トランス−3−(3−フリル)アクリルアミド]モルヒナン・塩酸塩(化合物)は蒸留水に溶解した後メディウムで希釈し、2回目の刺激の20分前に添加した。回収したサンプルのドパミン量は、HPLC−ECDにて、流速0.25ml/min、カラム温度25℃、加電圧400mV、移動相0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)、プレカラム付きEicompak CA−50DS(2.1φ×150mm)カラムで測定した。
その結果を第11図に示す。化合物は、薬物報酬効果に関与している、A10神経終末の射先である側坐核においてドパミン遊離抑制作用を持つことが示された。
第11図において、*は5%以下の危険率で、**は1%以下の危険率で統計学的に有意であることを示す。
産業上の利用可能性
本発明の薬物依存症治療薬は、依存性薬物の報酬効果の発現を抑制することにより精神依存の形成を抑制すると同時に、身体依存も抑制する、副作用の少ない薬剤として有効である。

Claims (4)

  1. 下記一般式(I)
    Figure 0004359711
    [式中、…は単結合を表し、R 1 は炭素数4から7のシクロアルキルアルキルを表し、R 2 はヒドロキシを表し、R 3 はヒドロキシを表し、Aは−XC(=Y)−(ここでXはNR 4 を表し、YはOを表し、R 4 は炭素数1から5の直鎖または分岐アルキルを表す)を表し、Bは2重結合を1個含む炭素数2の非環状不飽和炭化水素を表し、R 5 は下記の基本骨格:
    Figure 0004359711
    を持つ有機基を表し、R 6 とR 7 は一緒になって−O−を表し、R 8 は水素を表す]で表される化合物またはその薬理学的に許容される酸付加塩を有効成分とする薬物依存症治療薬。
  2. 一般式(I)においてR 1 がシクロプロピルメチルであり、Aが−N(Me)C(=O)−であり、Bが−CH=CH−である請求項1記載の薬物依存症治療薬。
  3. 一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される酸付加塩が、17−シクロプロピルメチル−3,14β−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6β−[N−メチル−トランス−3−(3−フリル)アクリルアミド]モルヒナン・塩酸塩である請求項1記載の薬物依存症治療薬。
  4. 薬物依存症がニコチン依存症、コカイン依存症、オピオイドμ受容体作動薬依存症、アルコール依存症、覚醒剤依存症、中枢神経系抑制剤依存症、及び催幻覚薬依存症のいずれかである請求項1から3のいずれか1項記載の薬物依存症治療薬
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