WO1998024858A1 - Materiau de revetement - Google Patents

Description

明 細 書 塗料 技術分野

本発明はプロアントシァニジンを含有する塗料に関する。

背景技術

一般的な木材塗装は木材の材質や木理をそのまま現して仕上げる透明塗装であ つて、 家具塗装がこの塗装技術の中心になっている。 しかし、 木材塗装は金属塗 装とは異なり、 材料の種類により一律には処理できない弱点がある。 すなわち、 樹種により材質の相違があり、 製材の挽き方によって表面の木理が異なり、 木理 方向によって製材の伸縮度が異なり、 組織が不均一で塗料の吸収に差がある。 一方木材の透明塗装は当初油性ワニスとラックニスから出発したが、 その後、 漆の代用としてのカシュ一塗料を経て様々な合成塗料、 あるいは塗装方法が開発 された。 さらには薬品による着色方法も実施されているが、 いずれにしても従来 の塗料は、 有機溶剤を使用することが多く、 取扱い上に不便であるだけでなく、 環境汚染の原因ともなつている。 また塗装中は勿論、 塗装後においてもいやな臭 いがあり、 更に均一に塗装することが難しいという問題がある。

発明の開示

本発明の目的は、 木材塗装に適した塗料を提供することにある。

本発明者等は上記課題を解決するため鋭意研究を重ねたところ、 プロアントシ ァニジンがォィルステン様塗料として使用できるということを見い出した。

プロアントシァニジンは抗酸化作用、 抗変異原性、 美白効果、 動脈硬化 ·心筋 梗塞予防効果、 血管保護作用、 抗潰瘍作用、 アンジォテンシン転移酵素阻害作用、 抗菌作用、 脱臭効果等、 種々の生理活性作用を有していることは知られているが、 塗料として用いることは今まで知られていなかった。

発明を実施するための最良の形態

以下本発明を具体的に説明する。

プロアントシァニジンは、 各種植物体中に存在する縮合型タンニン、 すなわち フラバン一 3—オールまたはフラバン一 3， 4—ジオールを構成単位として縮合 もしくは重合により結合した化合物群である。 これらは酸処理によりシァニジン、 デルフィ二ジン、 ペラルゴ二ジン等のアントシァニジンを生成するところからプ 口アントシァニジンと呼ばれている。 上記構成単位の 2量体、 3量体、 4量体さ らに 1 0量体以上の高分子のプロシア二ジン、 プロデルフィ二ジン、 プロペラル ゴニジン等のプロアントシァニジンおよびそれらの立体異性体等は、 各種植物体、 例えばぶどう種子、 クランベリ一果実、 りんご果実、 小豆あるいは杉、 檜、 松の 樹皮等から抽出して得ることができる。

これらのプロアントシァニジンは市販されており、 例えばぶどう種子を原料と する 「K P A」 （キッコーマン （株） ） 、 りんご未熟果を原料とする 「アップル フヱノン」 （ニツカゥヰスキー （株） ） 、 海岸松の樹皮を原料とする 「ピクノジ エノ一ル」 （ホーファ一リサーチ社 （イギリス） ） 等である。

これらプロアントシァニジンを塗料として用いるには、 プロアントシァニジン を水あるいは含水アルコールに 0 . 1〜1 0 %の濃度で溶解し、 この溶液を通常 の方法、 例えば刷毛等で塗布したりスプレーで吹き付け塗装すればよい。 溶液の プロアントシァニジン濃度は 0〜1 0 0 %の間で自由に設定できる力く、 プロアン トシァニジンの溶解度との関係もあり、 高濃度の溶液とする場合には、 加温して 溶解すればよい。 例えば常温の水や含水アルコールに溶解する場合は 0 . 1〜 1 0 %、 3 5〜7 0 °Cで溶解する場合は 1 0〜5 0 %である。

そして濃度が高いほど色も濃く塗装できるので、 目的に応じ適宜な温度で、 溶 解、 塗装すればよい。 塗装は 1〜数回行い、 被塗装物の表面にプロアントシァニ ジンを含浸させる。 プロアントシァニジンは被塗装物の表面から徐々に内部に浸 透するとともに、 紫外線により重合反応して表面に強固な膜を形成する。

そして低濃度のプロアントシァニジンを木材に塗布した直後は殆ど無色透明で ある力 紫外線を吸収して、 徐々に増色し薄い茶系統の色に塗装されることとな る。 この増色はプロアントシァニジンの重合によって生じるものである。

このような重合の機構は漆と同様のものであり、 剥がれ落ちがなく、 長期間に わたり良好な塗装状態を維持することができる。

また溶剤は水またはアルコールであるので、 塗装用具等の後処理も簡単に行な うことができる。 なお、 本発明の塗料は、 他の水性塗料と混合して使用すること も可能である。

被塗装物としては、 木材、 紙、 繊維 （糸） 等であり、 特に木材に塗布すること により、 木理を活かした塗装をすることができるので、 日本間の床柱、 長押、 天 井板等の他に家具や屋内装置品の塗装に有効である。 また耐蝕性を向上させるこ とができるので、 外壁、 門扉、 あるいはテラスやログハウス等にも好適に利用で さる。

またプロアントシァニジン溶液を塗布する際に、 プロアントシァニジンを基質 としうるォキシダ一ゼあるいはパーォキシダ一ゼ、 例えばラッカ一ゼをプロアン トシァニジン溶液に含有させることにより、 プロアントシァニジンの重合を一層 促進させることができる。 ラッカーゼは、 例えば木材腐朽菌であるヒイロタケ (Pycnoporus coccineus) が培養液中で分泌するラッカーゼを用いることができ、 その製造法は特開平 6— 2 8 7 5 1 6に記載の方法で得ることができる。

また、 遺伝子操作により担子菌のラッカ一ゼ遺伝子を導入した組み換え体微生 物を用いる方法によって得られたものでもよい。

またこのラッカ一ゼは市販品も使用することができ、 例えばフナコシ （株） で 販売しており自由に入手可能である。

プロアントシァニジン溶液に対するラッカ一ゼの添加量は、 プロアントシァニ ジン溶液の濃度によつても異なるが、 例えばブロアントシァニジン溶液濃度が 0 . 2 %の場合、 酵素活性 2 5 0 UZm 1の酵素液を 0 . 0 1〜 1 %添加すればよい。 またプロアントシァニジン溶液に金属イオンを共存させることにより、 種々の 色に変化させることができる。 例えば鉄イオンを共存させることにより、 うす墨 色に塗装することができる。

本発明による塗料は以下に示す様な効果を有する。

(1) 自然の木理を生かした塗装ができる。

(2) 塗りむらがなく塗装できる。

(3) 被塗装物の耐久性が向上する。 汚れにくい。

(4) 色あせしない。

(5) 紫外線吸収して木肌を守る。 (6) 成分組成が一定の塗料を安定的に供給できる。

(7) 臭いがない。 塗装物を燃やしたとき有害な煙が生ぜず安全である。

(8) 有害物質を含有しない。

(9) 塗装物は抗菌作用が期待できる。

(10) 塗装物による脱臭効果が期待できる。

実施例

以下に実施例を示す。

実施例 1

ぶどう種子から抽出したプロアントシァニジンの市販品 （ 「KPA— 4 0」 、 キッコ一マン （株） 製造販売） を、 0. 2% (A) 、 1 % (B) 、 及び 5% (C) になるように水道水に溶解し、 檜板に刷毛で塗装した。

塗装は 1 0分間隔で 3回行い、 そのまま窓際に放置し、 塗装後 3 0日目に塗装 状態を肉眼で観察した。 結果を表 1に示す。

表 1

実施例 2

実施例 1で用いたと同様のプロアントシァニジン溶液に巿販のラッカ一ゼ （酵 素活性 2 5 0 U/m 1 , フナコシ （株） ） を 0. 1 %添加し、 これを実施例 1と 同様の方法で塗装、 放置し、 塗装後 7日目に塗装状態を観察した。 結果を表 2に 示す。 表 2

実施例 3

KPA— 40 (キッコ一マン （株） 製） を約 7 0°Cの熱水に 2 0 % (w/v) および 3 0% (w/v) になるように溶解し、 松板に刷毛で 2回塗装した。 第 1 回目の塗装後、 3 0分自然乾燥し、 2回目の塗装を行い、 直ちに乾燥した布で余 分な塗料を拭き取って、 塗装を完了した。 これをそのまま室内に放置し、 塗装状 態を観察した。 結果を表 3に示す。

表 3 塗装直後 塗装 3 0日後

A (2 0%) 濃い黄土色 薄い赤レンガ色

B (3 0%) 薄い赤レンガ色 赤レンガ色

Claims

請 求 の 範 囲

1. プロアントシァニジンを含有する塗料。

2. プロアントシァニジンと、 プロアントシァニジンを基質とし得るォキシダ ーゼ又はパーォキシダーゼを含有する塗料。

3. プロアントシァニジンとラッカ一ゼを含有する塗料。

4. 常温の水又は含水アルコールに 0 . 1〜 1 0 %のプロアントシァニジンを 溶解した塗料。

5. 3 5〜7 0 °Cの水又は含水アルコールに 1 0〜5 0 %のプロアントシァニ ジンを溶解した塗料。

6. プロアントシァニジンがぶどう種子の抽出物である請求項 1〜5の塗料。

7. 木材にプロアントシァニジンを含有させた塗料を塗布することを特徴とす る木材の塗装方法。