WO1993014878A1 - Method of and device for application - Google Patents

Description

明細書 塗布方法および装 ¾ 技術分野 ' 本発明はホッパー型塗布装置に関し、 詳しくは表面張力や粘度の低い塗布 液でも良好な塗布性が得られる塗布装置に関する。 発明の背景

スライ ドホッパー型あるいはェクス トルージョ ンホッパー型コ一タ一は、 高速、 薄膜、 多層同時塗布が可能であり、 その特徴によ り写真感光材科ゃ磁 気記録材料等の塗布装置として広く用いられている。 このタイプのコーター は塗布機先端 （単にエッジあるいはリ ップともいう） と走行する可撓性支持 体 （ウェブともいう） の間にビードと称する塗布液溜まりをつく り、 このビ 一ドを介して塗布が行われる。 このようないわゆるビー ドコーターにおいては、 塗布の安定のためにはビ ― ドの安定性が非常に大き く影響する。 ビー ドの安定性はリ ッブとゥヱブと の間隙の設定、 環境条件、 塗布液物性すなわち粘度、 表面張力、 特に多層同 時塗布の場合は、 層間の物性の関係等が大き く影響し、 さらに塗布速度が早 くなつたり、 膜厚が薄くなると、 ビードの安定が難しくなる。 ビ一 ドが不安 定であると筋故障、 尾引き故障、 液切れ等の塗布故障が発生する。

このようなビー ド安定性向上のために、 例えばビードの上下に圧力差を設 けるという方法が知られている。 具体的にはビ一 ド下方に減圧室を設け、 ビ 一ドを下方に引っ張ることにより、 ビードの安定性を髙める等の対策が行わ れている。 しかしながらこれらの対策によっても、 非常に低粘度の塗布液例えば lOcps 以下の有機溶媒を含む表面張力の低い塗布液では、 塗布速度がそれ程速くな く、 塗布膜厚がそれ程薄くなく とも塗布液がビード以外のリッブ部の外にし み出てきて塗膜や支持体上に落下して尾引き故障や液垂れが発生したり、 筋 故障がより多く発生したりすることがあった。 このような問題に対して特公平 1-57629号には塗布機先端のリッブ部に撥水 性樹脂を施すことが提案されている。 しかしながら例えばフッ素樹脂を施し た場合でも、 リップ部は非常に高い精度が要求されているために、 例えば該 樹脂の表面を研磨したとしても樹脂の強度の問題もあり、 充分な精度及び強 度を得ることは難しく均一な膜厚精度が得にく く、 傷もつき易く安定な塗布 状態を維持することが困難である。 上記のような問題に対し、 本発明の目的は、 表面張力や粘度の低い液体を 塗布液として、 塗布を行う場合でも、筋故障などの塗布故障を発生することな く、 精度良く傷のつき難いリッブを有するホッパー型塗布装置を提供するこ とにある。 発明の開示 本発明の上記目的は、 走行する可撓性支持体に 1種類以上の塗布液を塗布 する塗布装置において、 ホッパー先端のリッブ部または Zおよびリッブ部に 続く傾斜面部にフッ素含有樹脂を分散共析した複合メ ツキ皮膜を施したこ と を特徴とするスリ ッ トを有したホツバ一型塗布装置、 及びリ ップ部に続く傾 斜面部のみに上記複合メ ツキを施した場合にはビード下部長さを入り側リ ッ ブ部長さにほぼ等しくなる条件で行う塗布方法によ り達成される。 尚、 上記フッ素樹脂を共析するメ ツキ皮膜は化学反応を利用した無電解二 ッケルメ ッキであり、 300 以上の熱処理を施すことが好ましい。 図面の簡単な説明 図 1 (a) ェクス トルージョ ンコーティ ングダイにおける しみだしの説明 断面図 図 1 (b) ェクス トル一ジョ ンホッパーにおけるしみだしの説明平面図 図 2 (a) スライ ドホッパーの断面図 図 2 ( b ) ェクス トルージョ ンホッパー断面図 図 2 (c) カーテンコ一ター （スライ ドホッパータイプ） 断面図 図 2 (d) カーテンコーター （ェクス トルージョ ンタイプ） 断面図 図 2 (e) および図 2 (f ) リ ップ部に続く傾斜面部のみにメ ツキを施す 場合のビード下部長さと入り側リ ップ長さの関係を示す説明図 発明を実施するための最良の形態 以下、 本発明について具体的に説明する。 表面張力や粘度が低い塗布液として例えば有機溶剤系塗布液をスライ ドホ ッパーやェクス トルージョ ンコーターのよう なビー ドによる塗布装置によ り 塗布する場合に、 安定な塗布が困難である原因として本発明者等は鋭意検討 の結果以下のようなメカニズムによるものである と推定した。 一投にスライ ドホッパー、 ェクス トル一ジョ ンホッパーあるいはカーテン コーターのような塗布装置は金属、 特にステンレススチールなどで製作され ているが、 金属は表面エネルギーが大きく、 臨界表面張力が高いので有機溶 剤のような表面張力が低く、 粘度も低い塗布液では金属に対して非常に濡れ が良いため、 塗布液が濡れ広がってしまう、 したがってピードの形成、 安定 性が充分できず、 塗布液がリッブ、 あるいはその周辺部にしみだしてしまう ことが分かった。 また塗布液のしみだしがより顕著になるとリッブ部に連続して続く傾斜面 にも塗布液が回り込んで溜まり、 これが塗膜や支持体の表面に落下して液垂 れ故障になる。 図 1 ( a ) は、 しみだしの 1例を示す説明断面図であり、 同図 （b ) は平 面図である。 同図において、 1はェクストルージョンコーティングダイであ つて、 10は塗布液が供給されるスリッ トである。 11はフロン トバー、 12はバ ックバーである。 矢印方向へ走行するゥヱブ 2 とフロン トバ一及びバックノ 一の間にビ一ド 13が形成され、 このビ一 ドを介してウェブ上に塗布膜が形成 される。 この際、 塗布液がしみだすと奇麗なビ一 ドが形成されず正規のビー ドの下にしみだし部 14ができる。 このしみだし部が大き くなるとウェブに接 触して尾引き故障や筋故障を発生したり、 支持体両端部の未塗布部に耳汚じ を発生したりあるいは、 液滴となって液垂れ故障が起きてしまうのである。 このような問題は、 ビー ドコーターのみならずカーテンコーターにおいて も発生する。 カーテンコーターはビー ドを形成せずに塗布液がカーテン状に 流下し、 ゥヱブに対する衝突力によって、 ゥヱブ上に塗布膜を形成する。 こ の場合にもェクス トル一ジョ ンタイブの場合とスライ ドホッパータイプの場 合があるが、 前者の場合は流下膜が出るスリ ッ ト出口において、 リ ッブ及び リ ップに続く傾斜面に塗布液のしみだしが発生し、 これがスリ ッ ト出口の液 離れを乱して流下膜上に筋故障を発生したり、 しみだした塗布液が液滴を形 成して流下膜にのっていったりゥヱブ上に落下して液滴故障や尾引き故障と

.なる o スライ ドホッパー型の場合も傾斜したスライ ド面先端のくちばし状のリ ッ プ部及びその裏側に塗布液のしみだしが発生し、 ェクス トルージョンコータ 一型と同様な故障が発生する。 すなわちこのような塗布液のしみだし現象を防止するには塗布装置のリ ッ ブ部または/及びリ ップ部に続く傾斜面部に表面エネルギーが小さ く臨界表 面張力の低い材質を施してその撥水作用によ り塗布液の濡れ広がり、 しみ出 しが防止される。 実際の撥水性付与手段として特公平 1-57629号ではリ ッブ部にテフ口ンなど の撥水性樹脂を施しているが、 テフロンは撥水性に優れ、 塗布液のしみだし、 筋故障を防止することは期待されるものの、 樹脂をリッブに施す手段で仮に 研磨仕上げをしたとしても、 ホッパーのリ ップとして必要とする精度を出す ことも、 それを傷つけることなく維持することは実用化が難しいことが判明 した。 本発明は上記欠点を補いつつ撥水性を有して筋故障を防止する手段として テフ口ン等のフッ素樹脂の微粒子を分散共析した複合メッキが非常に効果の あることを見いだした。 このメ ツキにより純テフロンのほぼ近く まで撥水性 を得ながら、 メ ツキの特徴である母材リッブの精度を維持して硬度の高い皮 膜を形成することができる。 リ ッブ部または Z及びリッブ部に続く傾斜面部 の表面にこのメ ツキで皮膜を形成させたホッパーで表面張力や粘度の低い塗 布液を高速塗布しても筋故障や尾引き故障、 液垂れ故障の発生は全く認めら れなかつた。 共析するフッ素樹脂はテフロン （米国 Du Pont社） の名で知られるボリテト ラフルォロエチレンのようにポリマー中の炭素鎖ができるだけ数多くのフッ 素原子で覆われた撥水性の良いものが好ましい。 またフッ素樹脂を共折させるメ ツキ皮膜は、 硬度、 耐食性、 母材との密着 性等の点からニッケル、 クロムなどが好ましいが、 塗布液のリップ部はメッ キ膜厚の均一性、 真直性、 エッジのシャープさを髙度に要求されるため特に 化学反応を利用した無電解二ッケルメッキが好ましい。 本発明でいう ところのメ ツキは具体的には、 例えばテフ口ン微粒子を分散 共析した無電解ニッケルメ ツキと して日本力ニゼン 〔株〕 よ り販売されてい る商品名カニフロンが有効である。 また 〔財〕 応用科 究所 '上村工業 〔株〕 で開発されたフッ素樹脂分散共析メ ツキではさらに優れた撥水性によ り、 よ り低い表面張力の塗布液に対しても筋故障等の防止効果が期待できる。 メ ッキ皮膜の形成後に好ましくは 200で以上、 更に好ましくは 300で以上 350 で以下の熱処理を施すことである。 これはメ ツキ液中にフッ素樹脂を均一に 分散させるために分散剤を使用しているが、 メ ツキ皮膜を形成した後にも表 面に分散剤が残留して撥水効果を阻害することを防止するために熱処理を行 つて分散剤を分解するためである。 メ ツキを施す部分としてはホッパーのリップ部の他にリ ッブ部に連続して 続く傾斜面にも上記メ ツキを施し、 さらに塗布に際してはビー ド下部長さを この入り側リップ部の長さにほぼ等しくすることが好ましい。 即ち塗布液の表面張力よ り も低い臨界表面張力を有する材質をホッパー先 端のリ ッブ表面に使用することが好ましいのである。 尚これら塗布液としては具体的には写真用感光材料層、 特に写真用下引層、 印刷平版用感光材料、 磁気記録材料及びその下引層またはバッタコー ト層、 電子写真感光材料用塗布液などである。 図 2は各種塗布装置と故障の発生し易い場所ななわち本発明のメ ツキ皮膜 を施すべき場所を示した説明図である。 図 2 ( a ) はスライ ドホッパー， 同図 （b ) はェクス トルージョ ンホッノヽ' 一 ( c ) はスライ ドホッパータイプのカーテンコーター， （d ) はェクス ト ルージョ ンホッパータイブのカーテンコーターの断面図であって同図で浚く 示した部分に本発明のメ ツキ皮膜を施す。 また上記のような理由からホッパ 一型塗布装置においてリッブ部に続く傾斜面部のみにメ ツキを施す場合には ビードの長さが入り側リップ長さにほぼ等しくなるようにビードを調節して 塗布する方法が好ましい。 図 2 ( e ) はェクス トルージョ ン型、 図 2 ( f ) はスライ ドホッパー型においてリッブ部に続く傾斜面部のみにメツキを施す 場合の好ましいビード下部長さを示す説明図である。

【実施例】 以下、 実施例により本発明を説明する。 実施例 1 スライ ドホッパー塗布装置のリッブ部にテフロン微粒子を分散共析した二 ッケルメ ツキ皮膜を約 10 mの厚さで施して、 厚さ 100 /z m、 幅 300mmのポリ エチレンテレフタレートゥヱブに下記組成の塗布液を塗布した。 塗布速度： 50mZmin、 減圧度： -20mmaq、 塗布量： 20ml/m2 の塗布を行ったが、 筋故障などの塗布故障は発生せず、 塗布膜厚の異常も発 生せず安定な塗布を行うことができた,

(塗布液組成） メチルェチルケ ト ン 50 メ タノール 30 酢酸ェチル 10 ポリメチルメ タク リ レー ト 比較例 実施例 1 と同型のスライ ドホッパーを用い、 リッブ部に上記メツキを施さ ないで塗布を行う と減圧度の強さに拘わらず筋故障や塗膜が筋状に切れる液 切れが発生して安定な塗布を行うことができなかった。 実施例 2 ェクス トルージョ ンホッパー塗布装置のリ ッブ部にテフロン微粒子を分散 共析したニッケルメ ツキ皮膜を約 10 mの厚さで施して、 厚さ 125 ^ m、 幅 300 mのセルロースアセテートウェブに下記組成の塗布液を塗布した。 塗布速度： 100mZmin、 減圧度： -30mmaq、 塗布量： 23mlZm2 その結果、 筋故障などの塗布故障は発生せず安定な塗布ができた。 また、 このホッパーリッブ部のメッキ処理後のゥヱブ幅方向の真直精度は 2 で塗布後の塗布膜厚の変動は約 5 %であった。 -

(塗布液組成） アセ トン 70 イソプロピルアルコール 20 トルェン 10 セルロースアセテートブチレート 0. 比較例 2 実施例 2 と同型のェクス トルージョンホッパーでリッブ部に上記メ ツキを 施さないで塗布を行う と減圧度の強さによらず筋故障や塗膜が筋状に切れる 液切れが発生して安定な塗布を行うことができなかった。 比較例 3 実施例 2 と同型のェクストルージョンホッパーでリッブ部に上記メ ツキを 施すかわりにテフロン樹脂をライニングした後に研磨仕上げを施して塗布を 行う と、 筋故障などの塗布故障は発生しなかったが、 ホッパーリ ップ部の樹 脂表面のウェブ幅方向の真直精度は 12 mで、 塗布後の塗布膜厚の変動は約 30 %もあった。 実施例 3 上下のリ ッブ長さが各々 2.5mmであるェクス トル一ジョ ン塗布装置のリ ッ ブ部に続く傾斜面部にテフ口ン微粒子を分散共析したニッケルメ ッキ皮膜を 約 10 mの厚さで施して厚さ 125 幅 300mmのセルロースァセテ一 トウェ ブに下記組成の塗布液を塗布した。

(塗布液組成） 重量部 アセ トン 70 イソプロピルルコール 20 トルェン 10 セルロースアセテー トブチレー ト 0.

(塗布条件） 塗布速度： 60m/min、 減圧度：一 30mmaq、 塗布量： 23ml/m2 その結果、 ビード下部長さが入り側リップ長さにほぼ等しくなり、 筋故障 などの塗布故障や塗布膜厚の異常は発生せず安定な塗布を行うことができた。 本発明により表面張力や粘度の低い液体を塗布液として、 スライ ドホツバ 一やェクス トルージョン型コ一ティ ングダイで塗布を行う場合でも尾引き故 障、 液垂れ故障、 筋故障などの塗布故障の内均一塗布性の得られる塗布方法 を提供することができた。

Claims

請求の範囲

1 - 走行する可撓性支持体に 1種類以上の塗布液を塗布する塗布装置におい て、 ホッパー先端のリッブ部または//およびリ ッブ部に続く傾斜面部にフッ 素含有樹脂を分散共折した複合メ ツキ皮膜を施したことを特徴とするスリッ トを有したホッパー型塗布装置。

2 . フッ素含有樹脂を共析させるメ ツキ皮膜が化学反応を利用した無電解二 ッケルメ ツキであることを特徴とする請求の範囲第 1項記載の塗布装置。

3 . 前記フッ素含有樹脂がテフ口ンであることを特徴とする請求の範囲第 1 項記載の塗布装置。

4 . メ ッキ皮膜の形成後に 200で以上の熱処理を施すことを特徴とする請求の 範囲第 1項記載の塗布装置。

5 . メ ッキ皮膜の形成後に 300で以上の熱処理を施すことを特徴とする請求の 範囲第 1項記載の塗布装置。

6 . メ ツキ皮膜の形成後に 300 以上 350で以下の熱処理を施すことを特徴と する請求の範囲第 1項記載の塗布装置。

7 . 走行する可撓性支持体に 1種類以上の塗布液を塗布する塗布方法におい て、 ホッパー先端のリ ップ部に続く傾斜面部にフッ素含有樹脂を分散共析した 複合メ ツキ皮膜を施した塗布装置を用いて、 ビード下部長さが入り側リップの長 さとほぼ等しくなる条件で塗布することを特徴とする塗布方法。

8 . フッ素含有樹脂を共析させるメツキ皮膜が化学反応を利用した無電解二 ッケルメツキであることを特徵とする請求の範囲第 7項記載の塗布方法。 ·

9 . 前記フッ素含有樹脂がテフロンであることを特徴とする請求の範囲第 7 項記載の塗布方法。

1 0 . メツキ皮膜の形成後に 200で以上の熱処理を施すことを特徴とする請求 の範囲第 7項記載の塗布方法。