明 細 書
レーザ加工における ビア ツ シ ング加工方法
技 術 分 野
この発明は、 レーザ加工機によ り被加工物を切断する 場合に加工開始時に行なわれる ビア ツ シ ング加工方法に 関する。
背 景 技 術
レーザビームをワーク に照射してワ ー ク の切断を行な う レーザ加工においては、 切断加工開始時に ビア ッ シ ン グ加工を行な う必要があ る。 こ の ビア ッ シ ング加工は、 特にワークが钦鋼で板厚が 9 m m以上にな る と非常に難 し く な る。 それは、 ワー クである軟鋼がア シス ト ガスの 酸素によ り酸化 しやすく 、 かつ酸化反応がレーザビーム によ り増進されすぎ、 飛散する溶融金属 (スパ ッ タ) が 増大 し熱暴走を生 じ易い こ と に起因 している。 こ のため、 レーザビームをオ ン オフ し レーザビームによる入熱と、 ア シス ト ガスのみを噴射 して冷却する冷却とを繰り返す こ と によ っ て、 ビア ツ シ ング加工を行なっている。
従来から行なわれている ビア ツ シ ング加工方法は、 ビ ア ツ シ ング加工開始から終了まで レーザビームの出力を 一定に し、 即ち、 レーザパルスの ビー ク値、 周波数、 デ ユ ーティ 比を一定に して加工が行なわれている。 ま た、 こ の ビア ッ シ ング加工時間を短く する方法と して、 レー ザパルスの ビー ク値を増大させる こ と によ って 1 回当た り の穴明け深さ を増大させて加工時間を短 く する方法が
知られている。 ビーク値を大きく するには、 電源容量を 大き く する必要があり、 このため装置のコス トが上がる また、 実用面においては、 ビーク値が高いと加工の不安 定性が生じ、 加工時間のバラツキが大きく なるという欠 点が生じる。 更に、 ビーク値が高いこ とからスノ、'ッ タが 増大し、 このスパ ッ 夕が加工ノズルの内側に付着しノズ ルの目詰りが生じたり、 集光レンズが破損したりする。 また、 長期に渡る安定した加工が困難で、 ビーク出力を 維持できる時間が一般的に非常に短時間であるから、 加 ェされる穴は極めて小さいものとなり、 ピアツ シング加 ェ終了から通常の切断加工に移行できないという問題点 がある。
他にビアッ シ ング加工時間を短く する方法と して、 特 開平 3 — 1 1 8 9 8 9号公報に、 ビアツ シ ング加工開始 時にはレーザ出力値を小ざく し時間の経過と共に該出力 値を連続的に増大させ、 最適レーザ出力値まで増大する と、 以後ピアッ シング終了までこの出力値で加工を行う 方法が記載されてい る 。 しかし、 こ の方法も扳厚 1 2 m mの鑲材を加工した時ビアツ シング加工開始'から終了 までに 2 0 〜 3 0秒の時間を要すると記載されている。 さ らに、 該公報には、 上記レーザ出力値を連続的に増大 させながら、 ア シス トガス圧力も連続的に増大させる方 法、 及びレーザ出力値を増大させながら、 ノズル先端と 被加工物間のギヤ ッブを減少させる方法も記載されてい るが、 これらの方法を用いても板厚 1 2 m mの鋼板に対
してビア ッ シ ング加工に 1 5〜 2 0秒の時間が要すると されている。
この特開平 3 — 1 1 8 9 8 9号公報に記載されている 方法では、 レーザ出力を連続的に増大させる制御を行な う と共に、 ア シス トガスを連続的に増大させる制御や、 上記ギップを連続的に減少させる制御をも同時に行なわ ねばな らず、 その制御が非常に難しく なる。 しかも、 こ れらの方法ではビア ツ シ ング加工時間の短縮は十分に行 なえない。 例えば、 レーザ出力を一定に してビア ツ シン グ加工を行なう従来の方法に於いても板厚 1 2 m mの鋼 材を 2 0秒程度で加工を行なう こ とができ、 格別な差異 がある とは言えない。
熱暴走を生じずに安定した加工が出来、 同一材質で同 一板厚の被加工物に対する加工時間のバラツキが少なく、 加工時間が短く 、 長時間連続処理ができ る ビア ツ シ ング 加工方法は現在提供されておらず、 上記従来の方法は実 用 レベルに於いて満足できる ものではない。
発 明 の 開 示
本発明は、 加工時間が短く 安定した加工がで ίると共 に、 制御が簡単で加工時間のバラツキが少ないビア ッ シ ング加工方式を提供する。
本発明は、 初期パルス周波数及び初期パルスデューテ ィ 比で加工を開始し、 第 1の所定時間が経過する毎にパ ルス周波数及びパルスデューティ 比を所定増加量だけ增 加させる。 以後順次段階状にパルス周波数及びパルスデ
ユ ーティ比を增加させ、 所定回数だげ増加させた後、 或 いは、 加工開始から所定時間が経過した後は、 パルス周 波数及びパルスデューティ比を維持して加工終了まで穴 明け加工を行なう。
そ して、 初期パルス周波数及び初期パルスデューティ 比、 段階状に増加させる各ステップの所定時間、 パルス 周波数及びパルスデューティ 比の所定増加量、 増加回数 或いはパルス周波数及びパルスデューティ 比の増加を停 止させる加工開始からの経過時間は、 加工しょう とする ワークの板厚、 レーザのピーク出力に応じて変更する。
図面の簡単な説明
図 1は本発明のピアツ シ ング加工方法の動作原理を説 明する説明図、
図 2は本発明の方法を実施する N C レーザ装置の要部 ブロ ッ ク図、
図 3乃至図 8は本発明に於ける初期パルス周波数及び 初期パルスデュー,ティ比の最適値を求めるための実験結 果を示すグラフ、
図 9乃至図 1 2は本発明に於ける段階状にパルス周波 数、 パルスデューティ比を増大させるステ ッ プの時間間 隔の最適値を求めるための実験結果を表わすダラフ、 図 1 3乃至図 2 5 は本発明におけるパルス周波数、 ノ ルスデューティ 比を増大させる回数或いは加工開始から の時間間隔の最適値を求めるための実験結果を表わすグ
図 2 6乃至図 3 1 は従来の ビア ツ シ ング加工方法によ る加工の実験結果を表わすグラ フである。
発明を実施するための最良の形態 図 2は本発明の ビア ツ シ ング加工制御方法を実施する ための N C レーザ加工装置のブロ ッ ク図である。 ブロセ ッ サ 1 は R 0 M 2に格納された制御プログラムに基づい て、 メ モ リ 3に格納された加エブログラ ラ ムを読み出 し、 N C レーザ装置全体の動作を制御する。 I ZOユニ ッ ト 4は、 プロセ ッ サ 1からの制御信号に従ってパルス上の レーザビーム 6を発射する。 この レーザビームは、 ベン ディ ング ミ ラー 7で反射 して レーザ加工機 8に送られる。
レーザ加工機 8には、 ワー ク 9が固定されるテーブル 1 0 と 、 ワ ー ク 9 に レーザビーム 6を照射するヘ ッ ド 1 1 とが設けられている。 へッ ド 1 1 に導入された レー ザビーム 6は、 ノ ズル 1 1 a内に設け られた レ ンズ (図 示せず) で絞られてワー ク 9 に照射される。 レーザ加工 機 8には、 テーブル 1 0を X軸、 Y軸の直交する 2方向 に移動制御するためのサーボモー タ 1 2 , 1 3が、 また へ ッ ド 1 1 を上下に移動制御するためのサーボモー タ 1 4が設け られている。 これらサーボモー タ 1 2 , 1 3 及び 1 4は、 夫々サーボア ンブ 1 5、 1 6及び 1 7 に接 続されてお り 、 プロセ ッ サ 1 からの軸制御信号に従って 回転制御される。 ま た、 レーザ加工機 8への指示は、 C R T/M D I 1 8を介して行われる。
上記 N C レーザ装置の構成は従来の N C レーザ装置の
構成と同様であり、 詳細は省略する。
次に、 図 1を参照して上記 N C レーザ装置による本発 明のピアッ シング加工方法について説明する。
図 1 に示すように、 所定の初期パルス周波数 P。 及び ノ、 ·ルスデューティ 比 Q。 の レーザパルスでビア ッ シ ング 加工を開始し、 所定時間 Tに達する毎に所定のパルス周 波数増加量 P、 パルスデューティ 比増加量 Qだけ段階的 に増大させる。 パルス周波数及びパルスデューティ 比を 所定回数 Nだけ増加した後、 或いは加工開始から所定経 過時間 経過した後、 穴明け完了時間 T 2 まで、 増加 したパルス周波数 Ρ Ν 及びパルスデューティ 比 Q Ν を維 持してビアツ シング加工を行なう。 このよ う に初めは小 さな値に設定されていたパルス周波数、 パルスデューテ ィ 比を段階的に増大させるこ とによって熱暴走を発生さ せるこ となく、 短時間で穴明け加工ができ、 かつ加工時 間のバラッキが少なく なる。
図 3〜図 2 5は上記各パラメータ Ρ 。 、 Q。 、 Ρ、 Q、 T及び Nの最適値を求めるため行なった実験の結果を示 す。
図 3〜図 2 5 にその結果を示す各実験に於いては、 フ ァナッ ク Ltd 製レ一ザ発振器 C 2 0 0 0及び C 3 0 0 0 を使用し、 レーザ発振器 C 2 0 0 0を使用した場合は以 下に示す基礎条件 (A ) で実験を行ない、 レーザ発振器 C 3 0 0 0を使用した場合は基礎条件 (B ) で実験を行 なった c
基礎条件 (A)
光路長 : 約 5. 0 m
レ ンズ焦点距離 : 7. 5 0イ ンチ
ノ ズルス タ ン ドオフ : 2. 0 mm
ノ ズル穴径 : 2. 0 mm
ア シス ト ガス (酸素) 圧 0. 2 5 k g / c m
焦点位置 : 切断位置
ワー ク : 钦網
基礎条件 ( B )
光路長 : 約 6 . 0 m
レ ンズ焦点距離 : 7. 5 0イ ンチ
ノ ズルス タ ン ドオ フ : 2. O mm
ノ ズル穴径 : 3. O mm
ア シス ト ガス (酸素) 圧 0 k g Z c m
焦点位置 : 切断位置
ワー ク : 軟鋼
図 3は以下に示す条件に於いて初期パルスデューティ 比 Q。を変化させて実験した結果を示す。
レーザ発振器 : C 2 0 0 0
板厚 : 1 2 m m
ビー ク 出力 : 2 5 0 0 W
初期パルス周波数 P。 = 1 0 H z
初期パルスデューテ ィ 比 Q。= l 5 %、 2 0 % , 2 5 %.
3 0 %
パルス周波数増加量 P = 5 H z
パルスデューティ 比増加量 Q = 1 %
時間間隔 T = 5 0 0 m s e c
図 3中、 太線で描かれた範囲はビア ツ シ ング加工完了 区間で、 この区簡中の白丸は加工完了の平均時間を表わ す。 例えば、 スター ト時のパルスデューティ 比 Q 0 = 3 0 %では約 6秒で加工が終了しているこ とを示す。 図 3から、 加工スター ト時のパルスデューティ 比 Q。 を大 き く した方が、 ビアッ シング加工時間が短く なるこ とが 分かる。
図 4は図 3に示した加工条件に於いて加工スター ト時 のパルス周波数 P。 を 5 0 H zに変更し、 他の条件を同 一と して実験した結果を示す。 図 4中、 黒丸は熱暴走が 生じた位置を示す。
図 4 と図 3 との比較により、 加工スター ト時の初期パ ルス周波数 P 0 を増大させると熱暴走が生じ易く なるこ とが分かる。 また、 加工スター ト時の初期パルスデュー ティ比 Q。 を増大させると熱暴走が生じやすく なること が分かる。
図 5は以下に示す条件に於いて初期パルスデューティ 比 Q。を変化させて実験した結果を表わす。
レーザ発振器 : C 3 0 0 0
板厚 : 1 2 m m
ビーク出力 : 3 5 0 0 W
初期パルス周波数 P。 = 5 H z
初期パルスデューティ比 Q。 = 7 %, 1 0 %.1 5 %
パルス周波数増加量 P = 5 H z
パルスデューティ 比増加量 Q = l %
時間間隔 T = 5 0 0 m s e c
図 6 は、 図 5 の加工条件に於いて初期パルス周波数 P。 を 1 0 H z に変更して実験した結果を表わす。
図 5 と図 6 との比較から、 加工スター ト時のバルス周 波数 P。 を 5 H zから 1 0 H z に変えても、 加工完了時 間は格別変化がないこ とが分かる。 また、 図 3 と図 6 と の比較から、 ビーク出力を増大した方が、 加工時間は短 く なるこ とが分かる。 例えば、 加工スター ト時のデュー ティ 比 Q。 = 1 5 %の場合、 図 3では加工時間が 9秒か ら 9. 5秒要しているが図 6では 6〜 7秒で終了してい 図 7 は図 6の加工条件に於いて扳厚を 1 6 mmに変更 して実験した結果を示す。 また、 図 8 は図 7の加工条件 に於いて初期パルス周波数 P。 を 5 H z に変更て実験し た結果を示す。
以上、 図 3〜図 8 に示す実験結果より、 ( 1 ) 加エス ター ト時のパルスデューティ 比 Q。 は大き く する方が加 ェ時間が短く なるが、 熱暴走が生じ易く なるこ と、 ( 2) 加エス タ 一 ト時のパルス周波数 P。 が高い程熱暴走が生 じ易く なるこ と、 ( 3 ) ビーク出力が大きいほど加工時 間が短く なるこ とが分かる。
図 9〜図 1 2 は段階的にパルス周波数、 パルスデュー ティ 比を増加させる時間間隔、 即ち、 1 ステ ッ プの持続
時間 Tの最適値を求めるため以下に示す条件に於いて持 続時間 Τを異ならせて実験したと きの結果を示すグラフ である。
レーザ発振器 : C 3 0 0 0
板厚 : 1 2 m m
ピーク出力 : 3 5 ひ 0 W
初期パルス周波数 P 0 = 1 0 H z
初期パルスデューティ比 Q。 = 1 5 %
パルス周波数増加量 P = 5 H z
パルスデューティ比増加量 Q = 1 %
時間間隔 Tは図 9では 2 0 0 m s e c、 図 1 0では 3 0 0 m s e c、 図 1 1では 4 0 0 m s e じ、 図 1 2では 5 0 0 m s e e とした。
図 9〜図 1 2から分かるように、 持続時間 Tは小さく する程加工時間は減少するが、 図 9に示すよう に、 時間 間隔 T = 2 0 0 m s e c とすると熱暴走が生じている。 また、 図 1 0〜図 1 2から分かるように、 時間間隔 Tを 大きく すると加工時間のバラツキが増大しており、 加工 時間が短く 、 熱暴走が生ぜず、 且つ加工時間のバラツキ が少ない最適な時間間隔 Tが存在するこ とが分かる。 こ れらの実験例では、 時間間隔 Tを 3 0 O m s e c程度に すると最適であるこ とが分かる。
図 1 3〜図 2 8は、 パルス周波数及びパルスデューテ ィ比を段階的に増大させる回数 Nを変化させて加工時間 を測定した実験結果を表わすグラ フである。
図 1 3は以下に示す条件に於いて増加回数 Nを変化さ せて実験したと きの結果を表わす。
レーザ発振器 : C 2 0 0 0
板厚 : 9 mm
ビーク出力 : 2 5 0 0 W
初期パルス周波数 P。 = 1 0 H z
初期パルスデューテ ィ 比 Q。 = 2 3 %
パルス周波数増加量 P = 5 H z
パルスデューティ 比増加量 Q = l %
時間間隔 T = 3 0 0 m s e c
図 1 4は時間間隔 Tを 5 0 0 m s e c に変更して実験 した結果を示し、 時間間隔 Tが 3 0 0 m s e c の場合の 方が加工時間が短く 、 増加回数 Nが小さすぎても、 また 大き過ぎても加工時間が長く なり、 かつ加工時間のパラ ツキが大き く なるこ とを示している。 こ の実験において は、 時間間隔 Tが 3 0 0 m s e cで、 增加回数 Nが 9〜 1 1回程度が加工時間が短く かつ、 バラツキも少な く な るこ とが分かる。
図 1 5は、 図 1 3 に示した実験に於いてワークの板厚 を 1 2 mmに変更して実験した結果を示し、 この場合も、 増加回数 Nを 9〜 1 1 回に したと きが加ェ時間が短く 、 且つ、 ノ ラツキも少な く なる こ とが分かる。
図 1 6 は、 図 1 4 に示した実験に於いてワークの板厚 を 1 2 mmに変更して実験した結果を示し、 この場合も、 増加回数 Nを 1 1 回に したと きが加工時間が短く 、 且つ
バラツキも少なく なるこ とが分かる。
図 1 7は図 1 3に示した実験に於いてワー ク の扳厚を 1 6 m mに変更して実験した結果を示し、 図 1 8 は図 1 4に示した実験に於いてワークの扳厚を 1 6 mmに変 更 して実験 した結果を示す。 図 1 7 は時間間隔 Tが 3 0 0 m s e cの場合、 図 1 8は時間間隔 Tが 5 0 0 m s e cの場合である。
図 1 7及び図 1 8から も加工時間を短く し、 かつ加工 時間のバラツキを小さ くするパルス周波数、 パルスデュ 一ティ比の増加回数 N ( 1 0〜 1 1回が最適) が存在す ることが分かる。
図 1 9〜図 2 0は以下の条件に於いて時間間隔 Tを変 化させて実験したときの結果を示す。
レーザ発振器 : C 3 0 0 0
扳厚 : 1 6 mm
ビー ク出力 : 3 5 0 0 W
初期パルス周波数 P。 = 1 0 h z
初期パルスデューティ 比 Q。 = 1 5 %
パルス周波数増加量 P = 5 H z
パルスデューティ 比増加量 Q = l %
図 1 9では時間間隔 Tを 3 0 0 m s e c と し、 図 2 0 では 5 0 0 m s e c と した。
この場合も、 増加回数 Nを 1 0回程度とすると加工時 間が短く 、 バラツキが比較的少ないものを得るこ とがで きるこ とを示している。
図 2 1及び図 2 2は以下の条件に於いて時間間隔 Tを 変化させて実験したときの結果を示す。
レーザ発振器 : C 2 0 0 0
板厚 : 1 9 mm
ビーク出力 : 2 5 0 0 W
初期パルス周波数 P。 = 1 0 h z
初期パルスデューティ 比 Q。 = 2 3 %
パルス周波数増加量 P = 5 H z
パルスデューティ 比増加量 Q = l %
図 2 1では時間間隔 Tを 3 0 0 m s e c、 図 2 2では 5 0 0 m s e c と した。
この実験結果から も、 増加回数 Nの最適値があるこ と が分かり、 約 1 2〜 1 3回程度が加工時間を短く かつバ ラツキも少なく するこ とが分かる。
図 2 3〜図 2 5は、 以下の条件で異なった板厚のヮー クを加工したと きの実験結果を示す。
レ一ザ発振器 : C 3 0 0 0
ビーク出力 : 3 5 0 0 W
初期パルス周波数 P。 = 1 0 h z
初期パルスデューティ 比 Q。 = 1 5 %
パルス周波数増加量 P = 5 H z
パルスデューティ 比増加量 Q = l %
時間間隔 T : 5 0 0 m s e c
図 2 3では板厚を 1 9. O mm、 図 2 4では 2 2. 0 mm、 図 2 5では 2 5. O m mと した。
これらの図からも、 パルス周波数及びパルスデューテ ィ 比の増加回数 Nが小さすぎても、 大きすぎても加工時 間が増大し、 加工時間のバラツキも増大するこ とが分か り、 最適の増加回数 Nが存在し、 1 4〜 1 7回が加工時 間を短く 、 かつバラツキも少なく することが分かる。
以上の各実験結果より、 初期パルス周波数 P。 、 初期 パルスデューテイ比 Q。 は小さく すると加工時間が長く なり、 大きく すると熱暴走を生じるので、 これらの値に は最適値があることが分かる。 また、 パルス周波数、 パ ルスデューティ比を段階的に増加させる各ステップの時 間間隔 Tは短い程、 加工時間を短く 、 バラツキも小さく できるが、 短すぎると熱暴走を生じやすく なり、 この時 間間隔 Tも最適値があることが分かる。 更に、 パルス周 波数、 パルスデューティ比の増加回数 Nも加工時間を短 く し、 かつバラツキを少なく する回数があるこ とが分か る o
こ う して得られた実験結果から、 標準的な使用に於い て、 加工時間を短縮すると共に熱暴走を防止し、 且つ、 加工時間のバラツキを少なく する上記各パラメータの値 は、 表 1 に示す程度の値が最適であると考えられる。 尚、 表 1 には各々の条件下でのビアツ シング加工時間を示す。
また、 加工の高速性を重視した場合には、 表 2 に示す 値が最適であり、 これらの値を用いると加工時間をより 短くするこ とができる。
爾ビーク 初期設定条件 増加量 Z1ステ繊時間増加回数 ビアッシン
(mm) 出力 ッブ ^msec) グ時間
(W) (sec) 周波数丁 エー 一周波数 τ エーティ一
(Hz) (%) (Hz) (%)
9 1500 10 30 5 1 500 12 6.0±1.0
2500 10 23 5 1 300 9 3.5±0.5
2500 10 23 5 1 500 9 3.9±0.5
12 1500 10 30 5 1 500 19 10.0±1.0
2500 10 23 5 1 300 10 5.8±0.5
2500 10 23 5 1 500 11 7.0±0.5
16 2500 10 23 5 1 300 11 11.7±1.0
2500 10 23 5 1 500 11 12.6±1.0
3500 10 15 5 1 500 10 8.8±1.0
19 2500 10 23 5 1 300 12 17.6±3.0
2500 10 23 5 1 500 13 16.4±2.0
3500 10 15 5 1 500 12 11.6±1.0
22 2500 10 23 5 1 300 14 23.0±3.0
2500 10 23 5 1 500 14 26.0±3.0
3500 10 15 5 1 500 14 15.3±3.0
25 3500 10 15 5 1 500 17 22.0±3.0
表 2
図 2 6〜図 3 1は、 ビアツ シング加工開始から終了ま で レーザパルスのビーク値、 周波数及びパルスデューテ ィ比を一定にして一定のレーザ出力で加工する、 従来か ら行われている ビアッ シ ング加工方法による加工時間を 実験によって測定した結果を示す。
図 2 6は、 ファナック Ltd.製レ一ザ発振器 C 1 5 0 0 及び C 2 0 0 0を使用し、 夫々基礎条件 ( C ) 及び基礎 条件 (D ) で、 ビーク出力 1 5 0 O Wで扳厚 9 m mの软 銷を異なった一定平均出力 (パルズ周波数、 パルスデュ 一ティ ー比を変えることによってこの平均出力は変わる) で加工した場合のビアヅ シング加工時間を測定したグラ フである。
基礎条件 ( C )
光路長 : 約 5 . 0 m
レ ンズ焦点距離 : 5. 0 0 イ ンチ
ノ ズルス タ ン ドオ フ : 1. O mm
ノ ズル穴径 : 1. 5 m m
ア シス ト ガス (酸素) 圧 : 0 3 0 k g / c m
焦点位置 : 切断位置
基礎条件 ( D )
光路長 : 約 5. 0 m
レ ンズ焦点距離 : 7. 5 0イ ンチ
ノ ズルス タ ン ドオフ : 1. 0 m m
ノ ズル穴径 : 2. O m m
アシス トガス (酸素) 圧 : 0. 3 0 k g c m 2
焦点位置 : 切断位置
図中の三角印は 1 回のピア ッ シ ング加工実験による結 果を表わしたものであり、 横棒は同一条件で複数回の実 験を行なったと きの加工終了時間のバラツキ範囲を示し、 丸印はその平均加工時間を示している。
図 2 6から分かるよう に、 9 m mの扳厚にビア ッ シン グ加工を行なう には最小でも 9秒程度の時間を要する。
図 2 7は、 レーザ発振器 C 2 0 0 0を使用し、 基礎条 件 (D ) により ビーク出力 2 5 0 0 Wで扳厚 9 mmの钦 網を種々の一定平均出力で加工した場合のビア ツ シ ング 加工時間を測定したグラフである。 この場合でも、 最小 ピア ツ シ ング加工時間は 5〜 6秒である。
図 2 8 は図 2 6 に示した条件に於いてビーク出力を 1 5 0 O Wに変更して、 板厚 1 2 mmの钦鏑をビア ツ シ ン グ加工をしたと きの実験結果を示し、 この場合の最小加
ェ時間は 2 0秒前後である。
図 2 9は、 図 2 7の実験と同一実験条件で、 板厚 1 2 mmの軟鎩をピアツ シング加工したと きの実験結果を示 す。
図 3 0は、 レーザ発振器 C 3 0 0 0を使用し、 下記の 基礎条件 ( E ) で、 ビーク出力を 3 5 0 0 Wと し、 板厚 1 2. O mmの軟鑼を加工したときのピア ツ シング加工 時間を測定した実験結果を示す。
基礎条件 (E )
光路長 : 約 6. 0 m
レンズ焦点距離 : 7. 5 0イ ンチ
ノズルスタン ドオフ 2. O mm
ノズル穴径 : 3. O mm
ア シス ト ガス (酸素) 圧 : 0. 1 0 k g / c m2 焦点位置 : 切断位置
図 3 1は、 レーザ発振器 C 3 0 0 0を使用し、 下記の 基礎条件 ( F ) で、 ビーク出力を 3 5 0 0 Wと し、 板厚 1 6. 0 m mの软綱を加工したときのピアヅ シング加工 時間を測定した実験結果のグラフである。
基礎条件 ( F )
光路長 : 約 6. 0 m
レンズ焦点距離 : 7. 5 0イ ンチ
ノ ズルスタ ン ドオフ : 2. O mm又は 1. O mm
ノズル穴径 : 3. 0 in m又は 2. O mm
ア シス ト ガス (酸素) 圧 : 0 .1 0又は 0 .2 kg/cm2
焦点位置 : 切断位置
上記各実験によって、 従来の ピア ツ シ ング加工方法に 於いて高速性を重視 して加工を行ったと きの各パラ メ一 夕の値とそのと きの加工時間を表 3に示す。
表 3 板厚 ビ ー ク 周波数 f' ユーテ ί一 平均出力 f 了ゥシンク'
(mm) 出力 (W) (Hz) (%) (W) 時間 (sec)
1 Λ Λ
D 1500 1 U U 0/4 1. o ± 0, 5 a 1 Γ Λ Λ η r
1 oUU 1 0 C
Ό L Ό 000 8. ϋ土 1. U C Λ Λ r
o 00 L Ό L 1 4 a a 0.0 ± U - 0
1 C Λ
丄 L 丄 ϊ) U U 7 ς 0 υ 40 u 丄 , Uェ L . U
2500 25 21 499 15.5± 2.0
3500 50 19 708 6.4± 1.0
16 2500 75 15 446 55.0土 5.0
3500 100 14 643 9·5± 3.0
表 3から分かるように、 高速性を重視した畤でも、 板 厚 6 mmの软鑲は 1. 5 ± 0. 5秒でピア ッ シ ング加工 ができるが、 9 m mの扳厚になると最小でも 5. 3 土 0. 5秒かかり、 板厚が 1 2 mmとなると、 ビーク出力 を 3 5 0 0 Wに した時で最小の 6. 4 ± 1. 0秒、 扳厚 が 1 6 m mになると最小で 9. 5 ± 3. 0秒のビアッ シ ング時間がかかるこ とが分かる。
表 3に示す従来のビアツ シ ング加工方法における加工 時間と、 表 2に示す本発明のビアツ シ ング加工方法によ る高速性を重視した加工の加工時間とを比較すると、 本 発明の方が、 加工時間が短く なっているこ とが分かる。 また、 従来の方法と本発明の表 1 に示す標準的なビアッ シ ング加工と比較しても、 ピアツ シ ング加工時間は本発 明の方が格段に短く なつており、 熱暴走を防止した標準 的な使用の場合には、 本発明の方法による ビア ッ シ ング 加工では従来の方法と比較し、 ビアッ シング加工時間を 従来の方法の 1 Z 3〜 1 Z5に短縮するこ とができる。
本発明のビア ツ シ ング加工を行なう ときには、 使用す る レーザ発振器、 ワーク の板厚、 及び標準使用で行なう か高速性を重視して加工を行なうかに応じて、 N C レー ザ装置に ビーク 出力、 加工開始時の初期パルス周波数 P 0 、 初期パルスデューティ比 Q。 、 1ステ ッ プのバル ス周波数増加量 P、 パルスデューティ 比増加量 Q、 1ス テツブの時間間隔 T、 パルス周波数、 パルスデューティ 比の増加回数 (も しく は増加時間 T Nを設定する。
初期パルス周波数 P 。 及び初期パルスデューテ ィ 比 Q 。 で加工を開始し、 所定の時間 Tが経過する毎に所定のパ ルス周波数増加量 P 、 パルスデューティ 比増加量 Qを增 加させる と共に、 増加回数を計数 し、 設定増加回数 Nに 達する と、 以後は、 加工が終了するまでパルス周波数、 パルスデューティ 比を変える こ とな く 加工を行な う。
上記各バラ メ ー タの設定は、 C R T Z M D I 1 8 よ り 手動で設定 して もよ く 、 また、 加工プログラム中にこれ ら設定値を設定する方式でも よい。 高速加工か通常加工 かに応 じ、 かつ、 板厚及びビーク 出力の値に応 じて上記 各バラ メ ー タ P 。 、 Q 0 、 P 、 Q、 Τ 、 Νを記憶したテ 一ブルを不揮発性メ モ リ 等に記憶させておき、 高速加工 か通常加工かを設定する と共に板厚と ピー ク 出力を設定 する こ とによ って、 テーブルから上記各パラメ ータの値 を読み出 し、 こ のバラ メ ー タ の値に従って加工制御する。