WO1993001144A1

WO1993001144A1 - Composition de ciment

Info

Publication number: WO1993001144A1
Application number: PCT/JP1992/000826
Authority: WO
Inventors: Masashi Sugiyama; Kyoichi Tanaka; Kazuo Komatsu
Original assignee: Fujisawayakuhinkogyo Kabushiki Kaisha
Priority date: 1991-07-01
Filing date: 1992-06-30
Publication date: 1993-01-21
Also published as: EP0613868A4; ATE143656T1; US5443635A; DE69214295D1; DE69214295T2; EP0613868B1; EP0613868A1

Description

明細書

セメン卜組成物

技術分野

この発明は、温度依存性の小さい膨張作用を有し、かつ凍結融解耐久性も改善しうる新規なセメント組成物用混和剤、およびこれを用いたセメント組成物に関する。

背景技術

従来より、セメントミルク、モルタル、コンクリートなどのセメント組成物に軽量性、断熱性、低収縮性などの性質を付与するために膨張剤を添加することが行われている。

また、逆打ちコンクリート工法のように、打継目が旧コンクリートと一体化し得ない拘束空間に打設するためのコンクリ一トなどにも、体積減少を補償するために膨張剤が使用されている。

この種の膨張剤としては、従来、アルミニウム粉末が、コンクリ一ト特性や環境に与える影響、経済性などの点から一般に使用されている。このアルミニウム粉末からなる膨張剤は、セメント混和物中のアル力リ成分と化学反応して水素ガスを発生し、この水素ガスが周囲のセメント混和物を膨張させるように作用する。

しかしながら、アルミニウム粉末は、膨張量の温度による影響が大きく、同じ添加量でも温度が高くなると膨張量が増大し、逆に温度が低くなると膨張量が減少するため、膨張量の管理が難しいという問題があった。また、アルミニウム粉末を膨張剤として用いたコンクリートは、凍結融解に対する抵抗性に乏しいという問題もあつた。さらに、空気中で酸化し易いため、取扱いや保管に注意を要するという問題もあった。

したがって、この発明の目的は、温度依存性の小さい膨張作用を有し、また、硬化体の凍結融解の繰り返しに対する抵抗性を改善することができるうえ、空気中でも安定なセメント組成物用混和剤およびこれを用いたセメント組成物を提供することにある。発明の開示

本発明は、水素化ホウ素塩を含有することを特徵とするセメント組成物用混和剤であり、また、このような水素化ホウ素塩とセメン卜と骨材と水とを含有するセメント組成物である。

本発明に使用される水素化ホウ素塩としては、たとえばナトリゥムボロハイドライド（N a B H₄ ) 、リチウムポロハイドライド ( L i B H ₄ ) 、カルシウムボロハイドライド（C a ( B H ₄ ) ₂、アンモニゥムボロハイドライド（N H ₄ B H ₄ ) などが例示される。なかでもナトリウムボロハイドライドが取扱い性などの点から好適に使用される。

ナトリウムボロハイドライドは、分子量 37. 86 、白色粉末状の錯金属水素化物である。その熱安定性は 300°Cまでは乾燥空気中で安定であり、 400°Cで分解（真空下）する。 550°C以上では水素および微量のジボランを発生して急激に分解する。また、可燃性、吸湿性であるが、空気中での取扱いが可能である。湿気があると徐々に水和して、加水分解する性質を有する。

このよう'な水素化ホウ素塩による膨張作用は、水素化ホウ素塩がセメン卜混和物中で水素ガスを発生し、この水素ガスが発泡して内部に気泡を生じる結果、発現すると考えられる。

この発泡作用は温度による影響が非常に小さく、水素化ホウ素塩による膨張量は、その添加量にのみほぼ相関する。すなわち、たとえば温度が 20°Cのときと 5°Cのときでは、添加量が同じ場合にほぼ同じ膨張量が得られる。したがって、添加量を調整することにより所望の膨張量を得ることができるため、膨張量の管理は極めて容易である。

また、水素化ホウ素塩は、硬化体の凍結融解に対する抵抗性を向上させる効果も有する。これは、上記発泡作用により生ずる気泡が微細であるためと考えられる。

本発明のセメント組成物は、基本的には、セメントと水の化学反応により堅固な硬化体となるもので、セメント、水、および骨材を主とし、これに上記水素化ホウ素塩を配合し、さらに必要に応じて他の各種混和材を配合したものである。

水素化ホウ素塩の配合量は、要求される膨張量や用途などによつて適宜決められるが、通常、セメン卜に対し通常 0.001〜10wt% の範囲で使用される。特に、凍結融解に対する抵抗性の改善のみを目的とする場合には、セメントに対し 0.001〜0.05wt% が適当で、 0.05wt¾ を越えて配合しても効果はさほど変わらない。

また、その配合方法としては、組成物の練り混ぜ時に添加してもよく、あるいは、予めセメン卜に配合しておいてもよい。さらに、組成物を型枠などに打ち込んだ後混入するようにしてもよい。

なお、水素化ホウ素塩と併用される他の成分は、一般に使用されているもののなかから、用途、目的に応じて適宜選択されて使用されてよく、通常の使用範囲で適宜配合される。

図面の簡単な説明

第 1図は、この発明のセメント組成物用混和剤による膨張効果を調べるために用いた膨張量測定試験装置であり、第 2図は、この発明のセメン卜組成物用混和剤による膨張効果を示したグラフである発明を実施するための最良の形態

次に、この発明を実施例によりさらに詳述する。

実施例 1〜4

普通ポルトランドセメント（比重 3.16) 320重量部、水 181重量部、骨材として木更津砂（比重 2.61) 831 重量部および笠間碎石 (比重 2. 65) 852 重量部、普通ポルトランドセメント 100 重量部あたり、 A E '减水剤としてパリック S A (藤沢薬品工業（株）製商品名） 0.2 重量部を混合した、水セメント比 57%、スランプ 18〜20 cm、空気量 4.3 - 5. 1 %の生コンクリートに、普通ポルトランドセメント 100 重量部あたりナ卜リゥムボ口ハイドライドを、 0. 05、 0. 1 、 0. 15. 0. 2 重量部添加し十分に混練した後、この混練物を、図 1に示すような膨張量測定試験装置の円筒状型枠（内径 10關、深さ 20 ） 1に所定量入れ、表面にプラスチック板 2を当接させるとともに硬化させて、硬化前後のプラスチック板 2の変位を、このプラスチック板 2に取り付けた変位計 3により測定した。測定結果を変位計 3に接続した記録計 4で記録するとともに、測定結果より膨張率を算出した。なお、硬化は、コンクリート温度、気中温度がともに 20°Cの場合と、 5 °Cの場合の 2通りの温度条件で行った。結果を表 1に示す。

なお、表 1には、比較のために、ナトリウムポロハイドライドを配合せず、上記生コンクリートのみを硬化させたときの膨張率と、ナトリゥムボ口ハイドラィドに代えて従来のアルミニゥム粉末を配合した点を除いて上記実施例の場合と同様にして硬化させたときの膨張率を併せ示す。

第 2図に、以上の結果を、膨張剤の添加量に対する膨張率の変化として示す。

*セメント 100重量部あたりの配合量（重量部）表 1や第 2図からもわかるように、ナトリウムポロハイドライドによる膨張効果は、他の条件が同じ場合、硬化温度条件が変わってもほとんど影響がなく、添加量によってのみ変化している。これに対し、アルミニウム粉末では、温度条件で膨張率が大きく変化しており、所望の膨張率を得ようとした場合に、温度条件を考慮しなければならず、添加量の調整が非常に困難である。

実施例 5〜8

普通ポルトランドセメント（比重 3.16) 347 重量部、水 208重量部、骨材として木更津砂（比重 2.60) 856 重量部および笠間碎石 (比重 2. 65) 908重量部を混合した、水セメント比 60%、スランプ 17〜20cm、空気量 0.6〜1.3 %の生コンクリートに、普通ポルトランドセメント 100 重量部あたりナトリウムボロハイドライドを、 0.05、 0. 1 、 0.2 、 0. 5 重量部添加し十分に混練した後、この混鍊物を、型枠に入れ硬化させた。得られた硬化体について、 200サイクルの凍結融解耐久性試験を実施した。

また、比較のために、ナトリウムポロハイドライドを配合せず、上記生コンクリ一トのみを同様にして硬化させて得られた硬化体と、ナトリゥムボ口ハイドライドに代えて従来のアルミニウム粉末を配合した点を除いて上記実施例の場合と同様にして硬化させて得られた硬化体についても、同様の 200サイクルの凍結融解耐久性試験を行った。結果を表 2に示す。

(以下余白）

表 2

セメント 100重量部あたりの配合量（重量部）表 2からもわかるように、比較例のものではいずれも 200サイクルの凍結融解耐久性試験によつて硬化体が破壌されたのに対し、実施例のものでは、相対動弾性係数 80%以上と、優れた凍結融解耐久性を有していた。なお、相対動弾性係数は 60%以上で健全と判断される。

実施例 9〜 1 2

普通ポルトランドセメント（比重 3. 16) 550 重量部、水 165重量部、骨材として木更津砂（比重 2.60) 703 重量部および青梅碎石 (比重 2.63) 978重量部を混合した、水セメント比 30%、スランプ 20.5〜22.0cni、空気量 1. 0〜1.4 %の生コンクリートに、普通ポルトランドセメント 100 重量部あたりナトリゥムボ口ハイドライドを、 0.005 、 0.01、 0.03. 0. 05重量部添加し十分に混練した後、この混練物を、型枠に入れ硬化させた。得られた硬化体について、 300サィクルの凍結融解耐久性試験を実施した。

また、比較のために、ナトリウムポロハイドライドを配合せず、上記生コンクリ一トのみを同様にして硬化させて得られた硬化体と、ナトリゥムボ口ハイドラィドに代えて従来のアルミニゥム粉末を配合した点を除いて上記実施例の場合と同様にして硬化させて得られた硬化体についても、同様の 300サイクルの凍結融解耐久性試験を行った。結果を表 3に示す。表 3

本セメント 100重量部あたりの配合量（重量部）表 3からもわかるように、比較例のものではいずれも 300サイクルの凍結融解耐久性試験によつて硬化体が破壌されたのに対し、実施例のものでは、相対動弾性係数がほぼ 100 %と、優れた凍結融解耐久性を有していた。

産業上の利用可能性

以上のように、本発明にかかるセメント組成物用混和剤は、土木建築工事の一般構造用コンクリ一卜から二次製品に至る各種セメント組成物に混和する膨張剤として、また凍結融解耐久性改善剤として ¾用でめる。

Claims

請求の範囲

1 . 水素化ホウ素塩を含有することを特徵とするからなるセメント組成物用混和剤。

2. 前記水素化ホウ素塩がナトリウムボロハイドライドである、請求項 1記載のセメン卜組成物用混和剤。

3 . 水素化ホウ素塩と、セメントと、骨材と、水、とを含有するセメン卜組成物。

4 . 前記水素化ホウ素塩の含有量は、セメント 100重量部あたり、 0. 001〜10重量部である請求項 3記載のセメント組成物。

5 . 前記水素化ホウ素塩が、水素化ホウ素ナトリゥムである請求項 3または請求項 4記載のセメン卜組成物。