JPWO2022009868A5 - - Google Patents

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本発明は、ラッチ部品及び該ラッチ部品を用いて第1の部材と第2の部材を接触した状態で離れないようにラッチするスウェルラッチ構造に関するものである。
特許2933823号公報(特許文献1)には、ラッチ部品(スエル・ラッチ集合体10)を用いて、第1の部材(82)と第2の部材(84)を接触した状態で離れないようにラッチする、スウェルラッチ構造が開示されている。ラッチ部品は、第1の部材に固定されており、第2の部材に形成された開口部にブシュ手段(16)を通した状態で取っ手手段(12)を操作して軸手段(14)を軸方向に移動させることで、ブシュ手段(16)の直径が膨張して、第1の部材と第2の部材が相互に固定される。
特許2933823号公報
従来のスウェルラッチ構造は、ラッチ部品を第1の部材に固定した状態にしないと、駆動機構が動作しないため、スウェルラッチとして機能しない。
また、従来のスウェルラッチ構造は、第1の部材から軸手段とブシュ手段が突出した状態で固定されている。スウェルラッチ構造を使用しない場合に、第1の部材から突出した軸手段とブシュ手段を引っ込めた状態にしたいというニーズが存在する。
本発明の目的は、第1の部材に固定されていない、単品の状態でも駆動機構が動作するラッチ部品及びスウェルラッチ構造を提供する。
本発明の他の目的は、第1の部材から突出しない状態にできるラッチ部品及びスウェルラッチ構造を提供する。
本発明のラッチ部材は、ロッド部材と、筒状部材と、駆動機構と、拡縮部材とから構成されている。ロッド部材は、一端に連結部を有し且つ他端に作用部を有する。筒状部材は、連結部が一端から突出し且つ作用部が他端から露出した状態でロッド部材を摺動可能に収納している。駆動部材は、ロッド部材の一端に設けられ、操作部が操作されると、ロッド部材を筒状部材の長手方向に直線的に移動させる。拡縮部材は、筒状部材の他端と作用部との間に配置され、駆動機構によってロッド部材が駆動されて作用部が筒状部材の他端に近づく方向に移動すると、作用部と筒状部材の他端との間で押圧状態になって、径方向寸法が大きくなり、作用部が筒状部材の他端から離れる方向に移動すると、作用部と筒状部材の他端との間の押圧状態が解除されて、径方向寸法が小さくなる。
このように構成されているため、本発明のラッチ部材は、第1の部材に固定されている状態の場合はもちろん、第1の部材に固定した状態でなくても、駆動機構によって拡縮部材の径方向寸法を変え、ラッチ部材として機能させることができる。そのため、予め第1の部材にラッチ部材を固定しておく場合だけでなく、第1の部材とは別に用意した単品のラッチ部材を用いて、第1の部材と第2の部材を接触した状態で離れないようにラッチすることもできる。
拡縮部材の径方向寸法を変更する構造は任意のものを採用可能であるが、例えば、筒状部材の他端には作用部に向かうに従ってロッド部材との間の距離が短くなる方向に傾斜する傾斜面を有する傾斜部が設けられており、拡縮部材は、傾斜部と作用部との間に配置されて、作用部が傾斜部に向かって移動すると、傾斜面上をスライドして径方向寸法を大きくし、作用部が傾斜部から離れる方向に移動すると、傾斜面上をスライドして径方向寸法を小さくする構造を採用することができる。この構造を採用すれば、ロッド部材を引っ張る力を利用して容易に拡縮部材の径方向寸法を大きくし、引っ張る力を解除することで拡縮部材の径方向寸法を小さくすることができる。
この場合、駆動機構は、例えば、ロッド部材の一端に設けられて、ロッド部材の長手方向と直交する方向に延びる軸を中心にして回動するカム付きレバー部材とすることができる。このようなカム付きレバー部材を用いる場合、カムは筒状部材の一端と係合して、ロッド部材を作用部が傾斜部に向かって移動することと作用部が傾斜部から離れる方向に移動することを、レバー部材の回動方向に応じて選択できるように構成されたカム面を有するようにする。この構成の場合、レバー部材を回動させるという簡易な操作により、拡縮部材の径方向寸法を大きくしたり、小さくしたりすることができる。
カムのカム面は、筒状部材の一端と係合した状態で一端の外周部よりも筒状部材の径方向外側に延び出る延長カム面を備えていることが好ましい。このようにすれば、レバー部材を操作し、拡縮部材の径方向寸法を大きくした状態で、拡縮部材と延長カム面の間で部材を挟持することができる。
傾斜部の長さ及び拡縮部材の構造は、作用部が傾斜部に向かって最大限移動したときに、拡縮部材の一部が傾斜部を越えて筒状部材の他端側に位置するように定めることが好ましい。このようにすれば、直感的にレバー部材の操作を行うことができる。
拡縮部材は、筒状部材の他端から突出するロッド部材の外周部を囲むように配置されてロッド部材の周方向に整列する複数の分割片と、複数の分割片が整列した状態で径方向に移動することを許容するように複数の分割片を連結する連結部材とから構成され、複数の分割片には、傾斜面と接触する接触面がそれぞれ設けられていることが好ましい。このようにすれば、拡縮部材をゴム等の弾性部材で形成する従来のラッチ部品に比べて、ラッチ部品の強度や耐久性を向上させることができる。複数の分割片は、例えば、樹脂等の強度が高い材料で形成することができる。分割片の数は、2つ以上であればよいが、組み立て作業や操作性を考慮すると、2つ乃至5つ程度が好ましい。
連結部材は、弾性部材であることが好ましく、例えば環状の弾性ゴムを用いることができる。他に、コイルばねの両端を連結して環状にしたガーターばねと呼ばれる弾性部材を用いることも可能である。
筒状部材には傾斜部から筒状部材の一端側に離れた位置に筒状部材の外周面から径方向に延びる凸部が一体に設けられており、凸部と傾斜部との間には、周方向に間隔をあけて設けられて径方向に突出する複数の突起部が一体に設けられており、複数の突起部は凸部を径方向に越えない径方向寸法を有しており、拡縮部材は径方向寸法が最小のときには凸部を径方向に越えない径方向寸法を有しており、拡縮部材は径方向寸法が最大のときには凸部を径方向に越える径方向寸法を有していることが好ましい。また、作用部の径方向寸法は、凸部の径方向寸法以下であることが好ましい。
このようにすれば、ラッチ部材を第1の部材に固定する場合に、第1の部材に形成された貫通孔から抜け落ちることを防止することができる。また、複数の突起部を設けることで、第1の部材と第2の部材をラッチした後、解除して第1の部材と第2の部材を引き離す際に、第2の部材が凸部と傾斜部の間に落ち込んでしまい、第2の部材からラッチ部品が抜けにくくなることを防止することができる。複数の突起部は、複数の分割片の分割片と分割片の間に配置されることが好ましい。すなわち、この場合には、複数の突起部の数と、複数の分割片の数は同数となる。
作用部には、複数の分割片の隣り合う二つの分割片の間に位置するように配置され、筒状部材の他端に向かって延びて他端側に頂部を有し、作用部から頂部に向かうに従って周方向の寸法が小さくなる輪郭形状を有した複数の突出部が形成されており、突出部の周方向に対向する一対の側面が二つの分割片とそれぞれ接触するようにしてもよい。
筒状部材の他端には作用部に向かうに従ってロッド部材との間の距離が短くなる方向に傾斜する傾斜面を有する傾斜部を構成する二つの分散傾斜部が径方向に対向する位置に設けられており、拡縮部材は、筒状部材の他端から突出するロッド部材の外周部を囲むように配置されてロッド部材の周方向に整列する二つの分割片と、二つの分割片が整列した状態で径方向に移動することを許容するように複数の分割片を連結する連結部材とから構成され、二つの分割片には、二つの分散傾斜部の傾斜面と接触する接触面がそれぞれ設けられており、拡縮部材は、二つの分散傾斜部と作用部との間に配置されて、作用部が二つの分散傾斜部に向かって移動すると、傾斜面上をスライドして径方向寸法を大きくし、作用部が二つの分散傾斜部から離れる方向に移動すると、傾斜面上をスライドして径方向寸法を小さくする構造を有していてもよい。
この場合、作用部には、二つの分割片の間に位置するように配置され、筒状部材の他端に向かって延びて他端側に頂部を有し、作用部から頂部に向かうに従って周方向の寸法が小さくなる輪郭形状を有した二つの突出部が径方向に対向するように形成されており、二つの突出部の周方向に対向する一対の側面が二つの分割片とそれぞれ接触しており、二つの突出部と二つの分散傾斜部とは周方向に90度離れた位置関係で配置されていることが好ましい。
カムは、カム面が筒状部材の一端と係合した後、更にレバー部材を順方向に回動させると、筒状部材の一端の外周部よりも筒状部材の径方向外側に位置する部材を押圧する追加カム面を更に備えていてもよい。このような追加カム面を設けると、カム面と筒状部材の一端との摩耗を低減できる。
本発明は、上述のラッチ部品を用いて、第1の部材と第2の部材を接触した状態で離れないようにラッチするスウェルラッチ構造としてもとらえることもできる。
第1の部材及び第2の部材は、ラッチされたときに接触する接触面と、接触面とは長手方向の反対側に位置する非接触面と、作用部が貫通する第1の貫通孔及び第2の貫通孔をそれぞれ備えており、第1の貫通孔及び第2の貫通孔の径寸法は、拡縮部材の径方向寸法が最小のときには拡縮部材が第1の貫通孔及び第2の貫通孔を通ることができるが、拡縮部材の径方向寸法が最大のときには拡縮部材が第1の貫通孔及び第2の貫通孔を通ることができない径寸法をそれぞれ有している。
第1の部材及び第2の部材の長手方向に沿うそれぞれの厚み寸法並びにラッチ部品のロッド部材及び筒状部材の長手方向の寸法並びにカム面の形状は、駆動機構の操作部が操作されて拡縮部材の径方向寸法が最大になっているときに、拡縮部材が第2の部材の非接触面を押圧し、駆動機構の操作部であるレバー部材のカム面が第1の部材の非接触面を押圧するように定められている。
このように、本スウェルラッチ構造の場合には、拡縮部材の径方向寸法を大きくした状態で、拡縮部材とレバー部材のカム面(延長カム面も含む)により第1の部材と第2の部材を挟持し、第1の部材と第2の部材を接触した状態で離れないようにラッチすることができる(以下、第1の部材と第2の部材を接触した状態で離れないようにラッチした状態の2つの部材(本例では、拡縮部材とレバー部材のカム面)の間の長手方向の距離を、「締結距離」と定義する)。
第1の部材と第2の部材は、上述の条件と同じで、特に、カムが上述のカム面と追加カム面を有し、追加カム面が少なくとも一部がカム面の終端位置よりも順方向側に位置するラッチ部品の場合、第1の部材及び第2の部材の長手方向に沿うそれぞれの厚み寸法並びにラッチ部品のロッド部材及び筒状部材の長手方向の寸法並びにカム面及び追加カム面の形状は、駆動機構の操作部が操作されて拡縮部材の径方向寸法が最大になっているときに、拡縮部材が第2の部材の非接触面を押圧し、且つ、レバー部材のカム面が筒状部材の一端と係合しており、レバー部材を順方向に最大限回動させたときに追加カム面が第1の部材の非接触面と係合しており且つカム面が筒状部材の一端とは非係合状態になるように定めてもよい。
このように構成することで、第1の部材と第2の部材をラッチする際には、レバー部材を操作することで、まず、カム面と筒状部材の一端が係合し、拡縮部材の径方向が拡大し、拡縮部材が第1の貫通孔及び第2の貫通孔を通ることができない径寸法になる(第1段階)。その上で、さらにレバー部材を順方向に回転操作することで、追加カム面と第1の部材の非接触面が係合し、拡大済みの拡縮部材と延長カム面により第1の部材と第2の部材が挟持され、第1の部材と第2の部材が接触した状態で離れないようにラッチされる(第2段階)。このように2段階でラッチすることで、拡縮部材が拡大を続けながら第2の部材と接触することで生じるカム面と筒状部材の一端との無用な摩擦を無くすことができ、ラッチ部品の耐久性を向上させることができる。なお、この場合には、締結距離は、拡縮部材とレバー部材の追加カム面の間の長手方向の距離である。
上述のラッチ部品を用いたスウェルラッチ構造の場合には、上述の通り、第1の部材及び第2の部材の厚み寸法に合わせて、ラッチ部品のロッド部材及び筒状部材の長手方向の寸法並びにカム面の形状を決めた専用設計が必要となる。そこで、本発明では、第1の部材及び第2の部材の厚み寸法に応じて締結距離を変更可能なラッチ部品及びこれを用いたスウェルラッチ構造も提供する(以下、締結距離が固定のものを「専用タイプ」、締結距離が変更可能なものを「フレキシブルタイプ」とする)。
フレキシブルタイプの場合、筒状部材の外周部には、外周部上を長手方向に移動可能で且つ外周部上の任意の位置で長手方向に移動しない固定取り付け状態になる可動固定部品を備えた可動固定機構が実装されている。このようにすることで、対象物に応じて、締結距離を自在に変更することが可能となる。
可動固定機構は、例えば、筒状部材の外周面に長手方向に沿って形成された雄ねじ部と、雄ねじ部に螺合される雌ねじ部を有する可動固定部品(例えば、ナット部材)からなっていてもよい。
なお、フレキシブルタイプのラッチ部材も、上述した専用タイプのラッチ部材の特徴の一部または全て(例えば、拡縮部材の構造や、駆動機構の構造等)を備えていてもよいのはもちろんである。
本発明は、フレキシブルタイプのラッチ部品を用いて、第1の部材と第2の部材を接触した状態で離れないようにラッチするスウェルラッチ構造としてもとらえることもできる。
第1の部材と第2の部材は、上述の条件と同じである。ラッチ部品は、可動固定部品が第1の部材の非接触面よりも長手方向の外側に位置し、且つ、第1の貫通孔及び第2の貫通孔に拡縮部材を挿通して径方向寸法を最大にした状態で、可動固定部品を筒状部材の外周部に沿って第1の部材の非接触面に向かって移動させて、可動固定部品で第1の部材の非接触面を押圧したときに、拡縮部材が第2の部材の非接触面を押圧するようになっている。このようにすることで、拡縮部材と可動固定部品で第1の部材と第2の部材を接触した状態で離れないようにラッチすることができ、第1の部材と第2の部材の厚み寸法に応じて、締結距離を変更することができる。
ラッチ部品が固定されたフレーム部材を示す斜視図である。 (A)は、ラッチ部品の正面図、(B)は平面図、(C)は底面図、(D)は右側面図、(E)は左側面図、(F)は(B)に示したF-F線断面図である。 (A)及び(B)は、第1の部材にラッチ部品を取り付けるまでを示す断面図である。 (A)及び(B)は、ラッチ部品を取り付けた第1の部材と第2の部材を接触した状態で離れないようにラッチするスウェルラッチ構造を説明する図である。 (A)及び(B)は、ラッチ部品を取り付けた第1の部材と第2の部材を接触した状態で離れないようにラッチするスウェルラッチ構造を説明する図である。 (A)及び(B)は、ラッチ部品を取り付けた第1の部材と第2の部材を接触した状態で離れないようにラッチするスウェルラッチ構造を説明する図である。 筒状部材に設けられている3つの突起部19A~19Cの機能を説明するための図である。 第2の実施の形態のラッチ部品と、該ラッチ部品を用いたスウェルラッチ構造を示す図であり、(A)はラッチ前の斜視図、(B)はラッチ後の正面図である。 は第3の実施の形態のラッチ部品を示す図であり、(A)はラッチ部品の正面図、(B)は平面図である。 ラッチ部品を固定する対向貫通孔OHの形状を示す図である。 (A)は第4の実施の形態のラッチ部品の正面図、(B)は平面図、(C)は右側面図、(D)は左側面図、(E)は(B)に示したE-E線断面図である。 (A)乃至(C)は、該ラッチ部品を用いたスウェルラッチ構造で第1の部材と第2の部材をラッチする手順を示す断面図である。 第5の実施の形態のラッチ部品の分解斜視図である。 (A)はロッド部材の正面図、(B)は平面図、(C)左側面図である。 (A)は筒状部材の斜視図、(B)は正面図、(C)は平面図、(D)は左側面図である。 (A)はレバー部材の側面図、(B)は右側面図、(C)は底面図、(D)は(B)に示したD-D線断面図にカム面の領域を図示した図であり、(E)は同D-D線断面図に延長カム面の領域を図示した図である。 図17(A)は拡縮部材を構成する分割片の正面図であり、(B)は(A)に示したB矢視図であり、(C)は(B)に示したC矢視図であり、(D)は(B)に示したD矢視図であり、(E)は(D)に示したE-E線断面図である。 (A)及び(B)は、第5の実施の形態のラッチ部品を用いたスウェルラッチ構造で第1の部材と第2の部材をラッチする手順を示す図である。 (A)乃至(E)は、第5の実施の形態のラッチ部品を用いたスウェルラッチ構造で第1の部材と第2の部材をラッチする手順を示す図である。 (A)乃至(E)は、第5の実施の形態のラッチ部品を用いたスウェルラッチ構造で第1の部材と第2の部材をラッチする手順を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明のラッチ部品及びスウェルラッチ構造の実施の形態を詳細に説明する。
<第1の実施の形態>
[ラッチ部品の構成]
図1は、ラッチ部品が固定されたフレーム部材を示す斜視図である。本実施の形態では、ラッチ部品1は、矩形状のフレーム部材FE(図1では、区別する場合に、図の通り、フレーム部材に符号としてFE1及びFE2を付する)に固定されている。フレーム部材FEは、例えばアルミニウム等の金属製の中空フレーム部材であり、床面Fから上方に延びる2つの柱部材FP1,FP2にラッチ部品1が貫通する貫通孔がそれぞれ形成されている。本実施の形態では、フレーム部材FEの一方の柱部分FP1の貫通孔には、ラッチ部品1が予め固定されており、他方の柱部材FP2には、貫通孔が形成された状態になっている。本実施の形態では、フレーム部材FE1の一方の柱部材FP1が「第1の部材」であり、フレーム部材FE2の他方の柱部材FP2が「第2の部材」である。ラッチ部材1は、フレーム部材FE1の一方の柱部材FP1とフレーム部材FE2の他方の柱部材FP2を離れないようにラッチする。
図2(A)は、ラッチ部品1の正面図、(B)は平面図、(C)は底面図、(D)は右側面図、(E)は左側面図、(F)は(B)に示したF-F線断面図である。
本実施の形態のラッチ部材1は、ロッド部材3と、筒状部材5と、駆動機構7と、拡縮部材9とから構成されている。これらの構成部材(3~9)は主に樹脂で構成されているが、強度を高めるために、一部(例えば、ロッド部材3)または全部を金属製で構成することも可能である。このラッチ部品1は、締結距離が固定の専用タイプのものである。
ロッド部材3は、棒状の部材であり、一端に連結部11を有し、且つ、他端に作用部13を有している。
筒状部材5は、ロッド部材3の連結部11が一端から突出し、且つ、作用部13が他端から露出した状態でロッド部材3を摺動可能に収納している。筒状部材5の他端には、作用部13に向かうに従ってロッド部材3との間の距離が短くなる方向に傾斜する環状の傾斜面15を有する傾斜部が設けられている。また、筒状部材5には、傾斜面15から筒状部材5の一端側に離れた位置に筒状部材5の外周面から径方向に延びる凸部17が一体に設けられており、さらに、凸部17と傾斜面15との間には、周方向に間隔をあけて設けられて径方向に突出する3つの突起部19A~19Cが一体に設けられている。
駆動機構7は、ロッド部材3の一端に設けられ、操作部としてのレバー部材21が操作されると、ロッド部材3を筒状部材5の長手方向LDに直線的に移動させる。駆動機構7は、ロッド部材3の一端に設けられて、ロッド部材3の長手方向LDと直交する方向に延びる軸AXを中心にして回動するカム付きレバー部材21とすることができる。このようなカム付きレバー部材21を用いる場合、カム23は筒状部材5の一端と係合して、ロッド部材3を作用部13が傾斜面15に向かって移動することと作用部13が傾斜面15から離れる方向に移動することを、レバー部材21の回動方向に応じて選択できるように構成されたカム面25を有するようにする。具体的には、図2(A)に示すように、カム23は、軸AXからカム面25までの距離D1よりも距離D2の方が長い形状をした偏心カムである。さらに、カム面25は、筒状部材5の一端5Aと係合した状態で一端の外周部よりも筒状部材3の径方向外側に延び出る延長カム面27を備えている。
拡縮部材9は、筒状部材5の他端5Bと作用部13との間に配置され、駆動機構7によってロッド部材3が駆動されて作用部13が筒状部材5の他端5Bに近づく方向に移動すると、作用部13と筒状部材5の他端5Bとの間で押圧状態になって、径方向寸法が大きくなり、作用部13が筒状部材5の他端5Bから離れる方向に移動すると、作用部13と筒状部材5の他端5Bとの間の押圧状態が解除されて、径方向寸法が小さくなるように構成されている。本実施の形態では、拡縮部材9は、筒状部材5の他端5Bから突出するロッド部材3の外周部を囲むように配置されてロッド部材3の周方向に整列する3つの分割片29A~29Cと、3つの分割片29A~29Cが整列した状態で径方向RDに移動することを許容するように3つの分割片29A~29Cを連結する連結部材31とから構成されている。本実施の形態では、連結部材31は、コイルばねの両端を連結して環状にしたガーターばねである。
傾斜面15の長さ及び拡縮部材9の構造は、作用部13が傾斜面15に向かって最大限移動したときに、拡縮部材9の一部が傾斜面15を越えて筒状部材3の他端側に位置するように定められている。
本実施の形態のラッチ部品1は、このように構成されており、軸AXを中心にしてレバー部材21を回動させ、軸AXとの距離が距離D2となるカム面25の部分が筒状部材5と面する(接触する)ようにすると、ロッド部材3が駆動されて作用部13が筒状部材5の他端5Bに近づく方向に移動し、拡縮部材9が押されて傾斜面15上をスライドして径方向寸法が大きくなる。ラッチ部材1は、このときの拡縮部材9とカム面25により間にあるものを挟持するものであり、このときの拡縮部材9とレバー部材のカム面25の間の長手方向LDの距離が締結距離FDである。
反対に、軸AXとの距離が距離D1となるカム面25の部分が筒状部材5と面するようにすると、ロッド部材3が駆動されて作用部13が筒状部材5の他端5Bから離れる方向に移動し、拡縮部材9を押す力が解除されて傾斜面15上をスライドして径方向寸法が小さくなる。
[第1の部材への取り付け]
図3(A)及び(B)は、第1の部材(FP1)にラッチ部品1を取り付けるまでを示す断面図である。本実施の形態のラッチ部品1は、第1の部材(FP1)に取り付けた状態で使用するものである。図3(A)に示すように、第1の部材であるフレーム部材FE1の一方の柱部分FP1には、円形の第1の貫通孔H1と、円形の対向貫通孔OHが形成されている。貫通孔H1の径寸法は、対向貫通孔OHの径寸法よりも大きく、筒状部材5の凸部17が通過可能な寸法になっている。対向貫通孔OHの径寸法は、筒状部材5の凸部17が通過できない寸法になっている。第1の部材(FP1)に取り付ける際には、レバー部材21を外した状態のラッチ部品1の本体部分を貫通孔H1から第1の部材(FP1)に挿入し(図3(A)の状態)、さらに、対向貫通孔OHからロッド部材3の連結部11を突出させる。この状態でレバー部材21を連結部11に取り付ける(図3(B)の状態)。これにより、ラッチ部品1は、第1の部材(FP1)に対して凸部17とカム23(特に延長カム面27)の間の距離分、長手方向LDに移動可能であるが、第1の部材(FP1)から抜けない状態に固定されることになる。さらに、本実施の形態では、凸部17が対向貫通孔OHの周囲に接触する状態にすると、拡縮部材9と作用部13が第1の部材(FP1)内に収納される状態となるように設計している。これにより、図1に示すフレーム部材FE2のように、壁Wに沿ってフレーム部材FEを配置するような場合に、ラッチ部品1が邪魔になることがない。
[第1の部材と第2の部材のラッチ]
図4乃至図6は、ラッチ部品1を取り付けた第1の部材(FP1)と第2の部材(FP2)を接触した状態で離れないようにラッチするスウェルラッチ構造を説明する図である。図4乃至図6のそれぞれの(A)は平面図、(B)は正面の断面図である。第1の部材(FP1)の接触面CS1と第2の部材(FP2)の接触面CS2がラッチされたときに接触する面であり、それぞれその反対側に非接触面NS1と非接触面NS2が位置している(本実施の形態では、非接触面NS1は対向貫通孔OHが形成されている壁部の表面である)。図4(B)に示すように、第2の部材であるフレーム部材FE2の他方の柱部材FP2には、円形の第2の貫通孔H2が形成されている。第2の貫通孔H2の径寸法は、径方向寸法が小さい状態の拡縮部材9が通過可能な寸法であり、第1の貫通孔H1と同じ径寸法になっている。
本実施の形態のラッチ部品1の締結距離FDは、第1の部材(FP1)の非接触面NS1と第2の部材(FP2)の非接触面NS2の間の距離と一致するように設計してある。
第1の部材(FP1)と第2の部材(FP2)をラッチする際には、まず、第1の貫通孔H1と第2の貫通孔H2を整合させて並べ(図4(A)及び(B)の状態)、第1の部材(FP1)の接触面CS1と第2の部材(FP1)の接触面CS2を接触させる。そして、この状態でラッチ部品1が第1の貫通孔H1及び第2の貫通孔H2を貫通するように、カム23が対向貫通孔OHの周囲に接触するまでラッチ部品1を押し込む(図5(A)及び(B)の状態)。このようにすると、第2の部材(FP2)の非接触面NS2を越えた位置に、ラッチ部品1の拡縮部材9が位置するようになる。最後に、この状態で軸AXを中心にしてレバー部材21を回動させ、軸AXとの距離が距離D2となるカム面25の部分が筒状部材5と接触するようにすると、ロッド部材3が駆動されて作用部13が筒状部材5の他端5Bに近づく方向に移動し、拡縮部材9が押されて傾斜面15上をスライドして径方向寸法が大きくなる。これにより、拡縮部材9が第2の部材(FP2)の非接触面NS2を押圧し、且つ、レバー部材21のカム面25が第1の部材(FP1)の非接触面NS1を押圧することで第1の部材(FP1)と第2の部材(FP2)が離れなくなる(図6(A)及び(B)の状態)。
その後、軸AXを中心にしてレバー部材21を回動させ、軸AXとの距離が距離D1となるカム面25の部分が筒状部材5と面するようにすると、押圧が解除され、第1の部材(FP1)と第2の部材(FP2)が離れるようになる。
[突起部19A~19Cの機能説明]
上述のように、図1乃至図6に示した第1の実施の形態のラッチ部品1は、筒状部材5に3つの突起部19A~19Cを備えている。3つの突起部19A~19Cの機能を説明するため、対比例として、図7を示す。
図7のラッチ部品1は、第1の実施の形態のラッチ部品1と異なり、3つの突起部19A~19Cを有していない。ただし、3つの突起部19を有していないこと以外は、第1の実施の形態と変わらないため、第1の実施の形態と共通する部分については、同じ符号を付してその説明を省略する。
3つの突起部19を有していないこの例では、拡縮部材9の径方向寸法が小さいときに、凸部17と拡縮部材9の間に間隙Gが存在する。そのため、例えば、第1の部材(FP1)と第2の部材(FP2)のラッチを解除し、第1の部材(FP1)と第2の部材(FP2)を引き離す際、図7に示すように、第2の部材(FP2)の第2の貫通孔H2が形成されている壁部がこの間隙Gに入り込んでしまうことがあり、この結果、第2の部材(FP2)が拡縮部材9と引っかかってしまい、第1の部材(FP1)と第2の部材(FP2)を引き離し難いという事態が発生することがある。これを防止するのが3つの突起部19A~19Cであり、突起部19A~19Cが存在することで、第2の部材(FP2)が間隙Gに入り込むことを防止することができる。
<第2の実施の形態>
図8(A)及び(B)は、第2の実施の形態のラッチ部品と、該ラッチ部品を用いたスウェルラッチ構造を示す図であり、(A)はラッチ前の斜視図、(B)はラッチ後の正面図である。この例では、ラッチ部品が凸部(第1の実施の形態の符号17)を有していないことを除いて、第1の実施の形態と同じなので、第1の実施の形態と共通する部分については、図1乃至図6に付した符号に100を加えた数の符号を付して、その説明を省略する。
第2の実施の形態では、第1の部材はパネルPLであり、第2の部材は板状の壁面部材WLである。パネルPLには、複数の第1の貫通孔H1が形成されており、壁面部材WLには、対応する複数の第2の貫通孔H2が形成されている。第1の実施の形態と異なり、ラッチ部品101は第1の部材(PL)や第2の部材(WL)に固定されていない。また、ラッチ部品101の締結距離FDは、パネルPLと壁面部材WLの厚み寸法と一致するように設計してある。
本実施の形態では、パネルPLの複数の第1の貫通孔H1と壁面部材WLの複数の第2の貫通孔H2を整合させた状態で(図8(A)の状態)、パネルPLの側からラッチ部品101のカム面125がパネルPLに接触するまで挿入し、この状態で軸AXを中心にしてレバー部材121を回動させ、軸AXとの距離がD2となるカム面125の部分が筒状部材105と接触するようにすると、ロッド部材103が駆動されて作用部113が筒状部材105の他端105Bに近づく方向に移動し、拡縮部材109が押されて傾斜面115上をスライドして径方向寸法が大きくなる。これにより、拡縮部材109が壁面部材WL(第2の部材)の非接触面NS2を押圧し、且つ、レバー部材121のカム面125がパネルPL(第1の部材)の非接触面NS1を押圧することでパネルPLが壁面部材WLから離れなくなる(図8(B)の状態)。このようにして、ラッチ部品101は、壁面部材WLにパネルPLを留める用途に用いることができる。
<第3の実施の形態>
図9(A)及び(B)は第3の実施の形態のラッチ部品を示す図であり、(A)はラッチ部品の正面図、(B)は平面図であり、図10はラッチ部品を固定する対向貫通孔OHの形状を示す図である。図9(A)及び(B)では、第1の実施の形態と共通する部分については、図1乃至図6に付した符号に200を加えた数の符号を付して、その説明を省略する。
本実施の形態では、図10に示すように、対向貫通孔OHが、平行に並ぶ対向辺を2つの円弧でつないだ樽形状をしており、ラッチ部品201の筒状部材205の外周部の形状は、他端側は円形状であるのに対して、一端側が対向壁部233,233を有しており、対向貫通孔OHと整合する形状になっている。これにより、円形状部分が突出した部分が凸部217となっており、第1の実施の形態の凸部17の役割を果たし、ラッチ部材201は、第1の部材に対して凸部217とカム223(特に延長カム面227)の間の距離分、長手方向LDに移動可能であるが、第1の部材(FP1)から抜けない状態に固定されることになる。
また、本実施の形態では、分割片229A及び229Bの数が2つとなっている。これに合わせて、2つの分割片229の間に位置する突起部219A及び219Bも2つとしている。
<第4の実施の形態>
図11(A)は第4の実施の形態のラッチ部品の正面図、(B)は平面図、(C)は右側面図、(D)は左側面図、(E)は(B)に示したE-E線断面図であり、図12(A)乃至(C)は、該ラッチ部品を用いたスウェルラッチ構造で第1の部材と第2の部材をラッチする手順を示す断面図である。図11及び図12では、第1の実施の形態と共通する部分については、図1乃至図6に付した符号に300を加えた数の符号を付して、その説明を省略する。
ラッチ部品301は、締結距離が変更可能なフレキシブルタイプのものである。またラッチ部品301は、第2の実施の形態と同様、パネルPLである第1の部材を壁面部材WLである第2の部材に留めるためのものであり、第1の部材(PL)や第2の部材(WL)に固定されていない。
ラッチ部品301の筒状部材305の外周部には、外周部上を長手方向LDに移動可能で且つ外周部上の任意の位置で長手方向LDに移動しない固定取り付け状態になる可動固定部品を備えた可動固定機構335が実装されている。可動固定機構335は、具体的には、筒状部材305の外周面に長手方向LDに沿って形成された雄ねじ部337と、雄ねじ部337に螺合される雌ねじ部を有する可動固定部品であるナット部材339である。ラッチ部品301は、拡縮部材309とナット部材339の間の長手方向LDの距離が締結距離FDとなっているため、ナット部材339を移動させることで、締結距離を変更することができる。
また、ラッチ部品301のレバー部材321のカム323はカム面325と同形状のカム面325′も有しており、レバー部材321は、軸AXを中心にして2方向に回動可能である。
ラッチ部品301は、第1の部材(PL)と第2の部材(WL)をラッチする前に、予めナット部材339を筒状部材305の一端305B寄りの位置に寄せておく。そして第2の実施の形態と同様、パネルPLの複数の第1の貫通孔H1と壁面部材WLの複数の第2の貫通孔H2を整合させた状態で、パネルPLの側から挿入し(図12(A)の状態)、この状態で軸AXを中心にしてレバー部材321を回動させる(図12(B)の状態)。本実施の形態では、この状態では第1の部材(PL)及び第2の部材(WL)はラッチ部品301によって押圧されず、ラッチされない。さらにこの状態で、パネルPLに接触するまでナット部材339を回転させることで、拡縮部材309が壁面部材WL(第2の部材)の非接触面NS2を押圧し、且つ、ナット部材339がパネルPL(第1の部材)の非接触面NS1を押圧し、ラッチ部品301がパネルPLと壁面部材WLをラッチする(図12(C)の状態)。
なお、ラッチ部品301は、図12(C)の状態の後、レバー部材321を回動させ、押圧を解除して取り外した後、ナット部材339を回動させずにその位置のままにしておけば、再度同じパネルPL及び壁面部材WLをラッチする際には、ナット部材339の調整は不要となる。
<第5の実施の形態>
図13は、第5の形態のラッチ部品の分解斜視図であり、図14(A)はロッド部材の正面図、(B)は平面図、(C)左側面図であり、図15(A)は筒状部材の斜視図、(B)は正面図、(C)は平面図、(D)は左側面図であり、図16(A)はレバー部材の側面図、(B)は右側面図、(C)は底面図、(D)は(B)に示したD-D線断面図にカム面の領域を図示した図であり、(E)は同D-D線断面図に延長カム面の領域を図示した図であり、図17(A)は拡縮部材を構成する分割片の正面図であり、(B)は(A)に示したBの矢印の方向から分割片を見た図であり、(C)は(B)に示したCの矢印の方向から分割片を見た図であり、(D)は(B)に示したDの矢印の方向から分割片を見た図であり、(E)は(D)に示したE-E線断面図である。本実施の形態では、分割片429は、図17(A)乃至(E)に示したものと同形状・同寸法のものを2つ使用している(以下では、2つの分割片429を区別する場合には、分割片429A,429Bとして区別する)。図18乃至図20は、第5の実施の形態のラッチ部品を用いたスウェルラッチ構造で第1の部材と第2の部材をラッチする手順を示す図である。図13乃至図20では、第1の実施の形態と共通する部分については、図1乃至図6に付した符号に400を加えた数の符号を付して、その説明を省略する。
本実施の形態では、図13に示すように、ラッチ部品401は、ロッド部材403と、筒状部材405と、駆動機構407と、拡縮部材409とから構成されている。この例では、連結部材431(ガーターばね)は図示を省略してある。このラッチ部品401は、締結距離が固定の専用タイプのものである。
図14に示すように、ロッド部材403は、棒状の部材であり、一端に連結部411を有し、且つ、他端に作用部413を有している。作用部413には、拡縮部材409を構成する2つの分割片429A,429Bの間に位置するように配置される2つの突出部412,412と、2つの分割片429A,429Bを位置決めする2つの位置決め突出部414,414が形成されている。
2つの突出部412,412は、連結部411または筒状部材405の他端に向かって延びて連結部411または筒状部材405の他端側に向かうに従って周方向寸法が小さくなる頂部を有している。2つの突出部412,412は、また、作用部413から頂部に向かうに従って周方向の寸法が小さくなる輪郭形状を有しており、2つの突出部412,412は、径方向に対向するように形成されている。また、2つの突出部412,412のそれぞれは、周方向に対向する一対の側面412A,412Aを有しており、一対の側面412A,412Aはそれぞれ2つの分割片429A及び429Bの突出部接触面429a(図17(B))と接触している。2つの位置決め突出部414,414は、2つの分割片429A及び429Bの位置決め凹部429b(図17(A))とそれぞれ係合するようになっている。
図15に示すように、筒状部材405は、ロッド部材403の連結部411が一端から突出し、且つ、作用部413が他端から露出した状態でロッド部材403を摺動可能に収納している。筒状部材405の他端には、収納しているロッド部材403の作用部413に向かうに従ってロッド部材403との間の距離が短くなる方向に傾斜する傾斜面415aを有する傾斜部415を構成する2つの分散傾斜部415A,415Bが径方向に対向する位置に設けられている。2つの分散傾斜部415A,415Bは、2つの分割片429A及び429Bの傾斜面429c(図17(E))と接触する。2つの分散傾斜部415A,415Bと2つの突出部412,412とは、周方向に90度離れた位置関係で配置されるようになっている。また、筒状部材405の他端には、ロッド部材403の2つの突出部412,412と長手方向に対向する位置に形成され、2つの分割片429A,429Bの間に位置するように配置される2つの筒状部材側突出部416,416が形成されている。
また、本実施の形態では、第3の実施の形態と同様に、図3に示す樽形状の対向貫通孔OHに通すために、筒状部材405の外周部の形状は、他端側は円板状であるのに対して、他端から一端側に延びる部分には平行に対向する対向平面433,433を有している。
図13及び図16に示すように、駆動機構407は、ロッド部材403の連結部411に設けられ、操作部としてのレバー部材421が順方向に回転操作されると、ロッド部材403を筒状部材405の長手方向LDに直線的に移動させる。駆動機構407は、ロッド部材403の連結部411に設けられた貫通孔410を通り、筒状部材405またはロッド部材403の長手方向LDと直交する方向に延びる軸線AXを有する軸部材422と、軸部材422を中心にして回動するカム付きレバー部材421とすることができる。本実施の形態では、カム付きレバー部材421のカム423は筒状部材405の一端と係合して、ロッド部材403を作用部413が傾斜面415に向かって移動することと作用部413が傾斜面415から離れる方向に移動することを、レバー部材421の回動方向に応じて選択できるように構成された一対のカム面425と、一対のカム面425が筒状部材403の一端と係合した後、更にレバー部材421を順方向に回動させると、筒状部材403の一端の外周部よりも筒状部材403の径方向外側に位置する部材を押圧する一対の追加カム面427を備えている。具体的には、カム423は、図16(B)(C)(D)に示すように、ロッド部材403の連結部411を挟んで連結部411寄りの位置に存在し、軸線AXからの距離によって接触状態が変化するP11・P12間領域(S11)、P12・P13間領域(S12)、P13・P14間領域(S13)と、その外側に存在し、軸線AXからの距離によって接触状態が変化するP21・P22間領域(S21)、P22・P23間領域(S22)、P23・P24間領域(S23)を有している。そして、一対のカム面425は、P12・P13間領域(S12)のことであり、また、一対の追加カム面427は、P22・P23間領域(S22)及びP23・P24間領域(S23)のことである。図16(C)では、カム面425のP12・P13間領域(S12)及び追加カム面427のP23・P24間領域(S23)を網掛けにて図示してある。カム面425及び追加カム面427の接触状態については、後述する。レバー部材421は、軸線AXを有する軸部材422によりロッド部材403の一端に回動可能に固定されている。
拡縮部材409は、上述のように、図17(A)~(E)に示した2つの分割片429と、連結部材(ガーターばね)431とから構成されている。2つの分割片429には、それぞれ突出部接触面429aと、位置決め凹部429bと、傾斜面429cと、連結部材431が嵌まる周方向凹部429dが形成されている。
図18乃至図20は、ラッチ部品401を取り付けた第1の部材(FP1)と第2の部材(FP2)を接触した状態で離れないようにラッチするスウェルラッチ構造を説明する図である。
図18(A)平面図及び(B)正面図は、第1の実施の形態の図5で示した状態に対応する図(レバー部材421が対向貫通孔OHの周囲に接触するまでラッチ部品401を押し込んだ状態の図)である。この状態では、第2の部材(FP2)の非接触面NS2を越えた位置に、ラッチ部品401の拡縮部材409が位置しており、また、レバー部材421のP11・P12間領域が筒状部材405の端面と対向し、且つ、レバー部材421のP21・P22間領域が第1の部材(FP1)と対向している。
図19(A)平面図、(B)正面図、(C)C-C線断面図、(D)D-D線断面図、(E)一部拡大図は、図18(A)及び(B)の状態から、軸線AXを中心にしてレバー部材421を順方向に回動させ、一対のカム面425であるP12・P13間領域(S12)が筒状部材405の端面に対向する位置にした状態を示す図である。一対のカム面425(P12・P13間領域)が筒状部材405の端面に接触することで、ロッド部材403が駆動されて作用部413が筒状部材405の他端405Bに近づく方向に移動し、拡縮部材409が押されて、2つの突出部412,412に押し広げられながら、傾斜面415上をスライドして径方向寸法が大きくなる(拡縮部材409が拡張された状態を「第1段階」という)。なお、本実施の形態では、一対の追加カム面427であるP22・P23間領域も第1の部材(FP1)と接触している。
さらに軸線AXを中心にして順方向にレバー部材421を回動させ、レバー部材421のP13・P14間領域が筒状部材405の端面に対向する位置では、P13・P14間領域は筒状部材405の端面と非接触状態となるが、一対の追加カム面427であるP22・P23間領域が第1の部材(FP1)と接触していることで、拡縮部材409が拡張された状態(すなわち、第1段階)が維持される。
図20(A)平面図、(B)正面図、(C)C-C線断面図、(D)D-D線断面図、(E)一部拡大図は、さらに軸線AXを中心にして順方向にレバー部材421を回動させ、レバー部材421のP23・P24間領域が第1の部材(FP1)と対向する位置にした状態を示す図である。この状態では、レバー部材421のP13・P14間領域は筒状部材405の端面と非接触状態であるが、一対の延長カム面427のP23・P24間領域が第1の部材(FP1)と接触することで、ロッド部材403の作用部413により拡縮部材9が第2の部材(FP2)の非接触面NS2を押圧し、且つ、レバー部材421の一対の延長カム面427が第1の部材(FP1)の非接触面NS1を押圧することで第1の部材(FP1)と第2の部材(FP2)が離れなくなる(この状態を「第2段階」という)。
その後、軸線AXを中心にしてレバー部材421を逆方向に回動させ、軸線AXとの距離が距離D1となるカム面425の部分が筒状部材405と面するようにすると、押圧が解除され、第1の部材(FP1)と第2の部材(FP2)が離れるようになる。
上記実施の形態は、一例として記載したものであり、その要旨を逸脱しない限り、本発明は本実施例に限定されるものではない。例えば、ラッチ部品のレバー部材と第1の部材の間にワッシャを挟むことで、レバー部材と第1の部材がワッシャ部材を介して接触するような場合も、当然にして含まれるものである。
本発明によれば、第1の部材に固定されていない、単品の状態でも駆動機構が動作するラッチ部品及びスウェルラッチ構造を提供することができる。また、本発明によれば、第1の部材から突出しない状態にできるラッチ部品及びスウェルラッチ構造を提供することができる。
1 ラッチ部品
3 ロッド部材
5 筒状部材
7 駆動機構
9 拡縮部材
11 連結部
13 作用部
15 傾斜面
17 凸部
19 突起部
21 レバー部材
23 カム
25 カム面
27 延長カム面
29 分割片
31 連結部材

Claims (17)

  1. 一端に連結部を有し且つ他端に作用部を有するロッド部材と、
    前記連結部が一端から突出し且つ前記作用部が他端から露出した状態で前記ロッド部材を摺動可能に収納する筒状部材と、
    前記ロッド部材の前記一端に設けられ、操作部が操作されると、前記ロッド部材を前記筒状部材の長手方向に直線的に移動させる駆動機構と、
    前記筒状部材の前記他端と前記作用部との間に配置され、前記駆動機構によって前記ロッド部材が駆動されて前記作用部が前記筒状部材の前記他端に近づく方向に移動すると、前記作用部と前記筒状部材の前記他端との間で押圧状態になって、径方向寸法が大きくなり、前記作用部が前記筒状部材の前記他端から離れる方向に移動すると、前記作用部と前記筒状部材の前記他端との間の前記押圧状態が解除されて、前記径方向寸法が小さくなる拡縮部材とからなるラッチ部品。
  2. 前記筒状部材の前記他端には前記作用部に向かうに従って前記ロッド部材との間の距離が短くなる方向に傾斜する傾斜面を有する傾斜部が設けられており、
    前記拡縮部材は、前記傾斜部と前記作用部との間に配置されて、前記作用部が前記傾斜部に向かって移動すると、前記傾斜面上をスライドして前記径方向寸法を大きくし、前記作用部が前記傾斜部から離れる方向に移動すると、前記傾斜面上をスライドして前記径方向寸法を小さくする構造を有している請求項1に記載のラッチ部品。
  3. 前記駆動機構は、前記ロッド部材の前記一端に設けられて、前記ロッド部材の前記長手方向と直交する方向に延びる軸を中心にして回動するカム付きレバー部材であり、
    前記カム付きレバー部材のカムは前記筒状部材の前記一端と係合して、前記ロッド部材を前記作用部が前記傾斜部に向かって移動することと前記作用部が前記傾斜部から離れる方向に移動することを、前記レバー部材の回動方向に応じて選択できるように構成されたカム面を有している請求項2に記載のラッチ部品。
  4. 前記カムのカム面は、前記筒状部材の前記一端と係合した状態で前記一端の外周部よりも前記筒状部材の径方向外側に延び出る延長カム面を備えている請求項3に記載のラッチ部品。
  5. 前記筒状部材の外周部には、前記外周部上を前記長手方向に移動可能で且つ前記外周部上の任意の位置で前記長手方向に移動しない固定取り付け状態になる可動固定部品を備えた可動固定機構が実装されている請求項1に記載のラッチ部品。
  6. 前記可動固定機構は、前記筒状部材の外周面に前記長手方向に沿って形成された雄ねじ部と、前記雄ねじ部に螺合される雌ねじ部を有する前記可動固定部品とからなる請求項5に記載のラッチ部品。
  7. 前記可動固定部品は、ナット部材からなる請求項6に記載のラッチ部品。
  8. 前記作用部が前記傾斜部に向かって最大限移動したときに、前記拡縮部材の一部が前記傾斜部を越えて前記筒状部材の前記他端側に位置するように、前記傾斜部の長さ及び前記拡縮部材の構造が定められている請求項2に記載のラッチ部品。
  9. 前記拡縮部材は、前記筒状部材の前記他端から突出する前記ロッド部材の外周部を囲むように配置されて前記ロッド部材の周方向に整列する複数の分割片と、前記複数の分割片が整列した状態で前記径方向に移動することを許容するように前記複数の分割片を連結する連結部材とから構成され、
    前記複数の分割片には、前記傾斜面と接触する接触面がそれぞれ設けられている請求項8に記載のラッチ部品。
  10. 前記筒状部材には前記傾斜部から前記筒状部材の前記一端側に離れた位置に前記筒状部材の外周面から径方向に延びる凸部が一体に設けられており、
    前記凸部と前記傾斜部との間には、周方向に間隔をあけて設けられて前記径方向に突出する複数の突起部が一体に設けられており、
    前記複数の突起部は前記凸部を径方向に越えない径方向寸法を有しており、
    前記拡縮部材は前記径方向寸法が最小のときには前記凸部を径方向に越えない径方向寸法を有しており、前記拡縮部材は前記径方向寸法が最大のときには前記凸部を径方向に越える径方向寸法を有している請求項9に記載のラッチ部品。
  11. 前記作用部の径方向寸法は、前記凸部の径方向寸法以下である請求項10に記載のラッチ部品。
  12. 前記作用部には、前記複数の分割片の隣り合う二つの前記分割片の間に位置するように配置され、前記筒状部材の前記他端に向かって延びて前記他端側に頂部を有し、前記作用部から前記頂部に向かうに従って前記周方向の寸法が小さくなる輪郭形状を有した複数の突出部が形成されており、
    前記突出部の前記周方向に対向する一対の側面が前記二つの分割片とそれぞれ接触している請求項9に記載のラッチ部品。
  13. 前記筒状部材の前記他端には前記作用部に向かうに従って前記ロッド部材との間の距離が短くなる方向に傾斜する傾斜面を有する傾斜部を構成する二つの分散傾斜部が前記径方向に対向する位置に設けられており、
    前記拡縮部材は、前記筒状部材の前記他端から突出する前記ロッド部材の外周部を囲むように配置されて前記ロッド部材の周方向に整列する二つの分割片と、前記二つの分割片が整列した状態で前記径方向に移動することを許容するように前記複数の分割片を連結する連結部材とから構成され、
    前記二つの分割片には、前記二つの分散傾斜部の前記傾斜面と接触する接触面がそれぞれ設けられており、
    前記拡縮部材は、前記二つの分散傾斜部と前記作用部との間に配置されて、前記作用部が前記二つの分散傾斜部に向かって移動すると、前記傾斜面上をスライドして前記径方向寸法を大きくし、前記作用部が前記二つの分散傾斜部から離れる方向に移動すると、前記傾斜面上をスライドして前記径方向寸法を小さくする構造を有しており、
    前記作用部には、前記二つの分割片の間に位置するように配置され、前記筒状部材の前記他端に向かって延びて前記他端側に頂部を有し、前記作用部から前記頂部に向かうに従って前記周方向の寸法が小さくなる輪郭形状を有した二つの突出部が前記径方向に対向するように形成されており、
    前記二つの突出部の前記周方向に対向する一対の側面が前記二つの分割片とそれぞれ接触しており、
    前記二つの突出部と前記二つの分散傾斜部とは前記周方向に90度離れた位置関係で配置されている請求項9に記載のラッチ部品。
  14. 前記カムは、前記カム面が前記筒状部材の前記一端と係合した後、更に前記レバー部材を順方向に回動させると、前記筒状部材の前記一端の外周部よりも前記筒状部材の径方向外側に位置する部材を押圧する追加カム面を更に備えている請求項3に記載のラッチ部品。
  15. 請求項3または4に記載のラッチ部品を用いて、第1の部材と第2の部材を接触した状態で離れないようにラッチするスウェルラッチ構造であって、
    前記第1の部材及び前記第2の部材は、ラッチされたときに接触する接触面と、前記接触面とは前記長手方向の反対側に位置する非接触面と、前記作用部が貫通する第1の貫通孔及び第2の貫通孔をそれぞれ備えており、
    前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔の径寸法は、前記拡縮部材の前記径方向寸法が最小のときには前記拡縮部材が前記第1の貫通孔及び第2の貫通孔を通ることができるが、前記拡縮部材の前記径方向寸法が最大のときには前記拡縮部材が前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔を通ることができない径寸法をそれぞれ有しており、
    前記第1の部材及び第2の部材の前記長手方向に沿うそれぞれの厚み寸法並びに前記ラッチ部品の前記ロッド部材及び前記筒状部材の前記長手方向の寸法並びに前記カム面の形状は、前記駆動機構の前記操作部が操作されて前記拡縮部材の前記径方向寸法が最大になっているときに、前記拡縮部材が前記第2の部材の非接触面を押圧し、前記駆動機構の前記操作部である前記レバー部材の前記カム面が前記第1の部材の非接触面を押圧するように定められていることを特徴とするスウェルラッチ構造。
  16. 請求項5乃至7のいずれか1項に記載のラッチ部品を用いて、第1の部材と第2の部材を接触した状態で離れないようにラッチするスウェルラッチ構造であって、
    前記第1の部材及び前記第2の部材は、ラッチされたときに接触する接触面と、前記接触面とは前記長手方向の反対側に位置する非接触面と、前記作用部が貫通する第1の貫通孔及び第2の貫通孔をそれぞれ備えており、
    前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔の径寸法は、前記拡縮部材の前記径方向寸法が最小のときには前記拡縮部材が前記第1の貫通孔及び第2の貫通孔を通ることができるが、前記拡縮部材の前記径方向寸法が最大のときには前記拡縮部材が前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔を通ることができない径寸法をそれぞれ有しており、
    前記ラッチ部品は、前記可動固定部品が前記第1の部材の前記非接触面よりも前記長手方向の外側に位置し、且つ、前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔に前記拡縮部材を挿通して前記径方向寸法を最大にした状態で、前記可動固定部品を前記筒状部材の前記外周部に沿って前記第1の部材の前記非接触面に向かって移動させて、前記可動固定部品で前記第1の部材の前記非接触面を押圧したときに、前記拡縮部材が前記第2の部材の前記非接触面を押圧するようになっていることを特徴とするスウェルラッチ構造。
  17. 請求項14に記載のラッチ部品を用いて、第1の部材と第2の部材を接触した状態で離れないようにラッチするスウェルラッチ構造であって、
    前記追加カム面は、少なくとも一部が前記カム面の終端位置よりも前記順方向側に位置しており、
    前記第1の部材及び前記第2の部材は、ラッチされたときに接触する接触面と、前記接触面とは前記長手方向の反対側に位置する非接触面と、前記作用部が貫通する第1の貫通孔及び第2の貫通孔をそれぞれ備えており、
    前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔の径寸法は、前記拡縮部材の前記径方向寸法が最小のときには前記拡縮部材が前記第1の貫通孔及び第2の貫通孔を通ることができるが、前記拡縮部材の前記径方向寸法が最大のときには前記拡縮部材が前記第1の貫通孔及び前記第2の貫通孔を通ることができない径寸法をそれぞれ有しており、
    前記第1の部材及び第2の部材の前記長手方向に沿うそれぞれの厚み寸法並びに前記ラッチ部品の前記ロッド部材及び前記筒状部材の前記長手方向の寸法並びに前記カム面及び前記追加カム面の形状は、前記レバー部材を前記順方向に回動させて前記拡縮部材の前記径方向寸法が最大になっているときに、前記拡縮部材が前記第2の部材の非接触面を押圧し、且つ、前記レバー部材の前記カム面が前記筒状部材の前記一端と係合しており、前記レバー部材を前記順方向に最大限回動させたときに、前記追加カム面が前記第1の部材の非接触面と係合しており且つ前記カム面が前記筒状部材の前記一端とは非係合状態になるように定められていることを特徴とするスウェルラッチ構造。
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