JPWO2021095184A1 - 鋼材 - Google Patents
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Abstract
Description
C:0.01〜0.10%、
Si:0.04〜0.40%、
Mn:0.30〜1.50%、
Cu:0.05〜0.50%、
Sb:0.03〜0.30%、
Ni:0.01〜0.50%、
Cr:0.02〜0.50%、
Al:0.005〜0.055%、
N:0.002〜0.010%、
P:0.020%以下、
S:0.0005〜0.015%、
O:0.0005〜0.0035%、
Mo:0〜0.50%、
W:0〜0.50%、
Sn:0〜0.30%、
As:0〜0.30%、
Co:0〜0.30%、
Ti:0〜0.050%、
Nb:0〜0.10%、
V:0〜0.10%、
Zr:0〜0.050%、
Ta:0〜0.050%、
B:0〜0.010%、
Ca:0〜0.010%、
Mg:0〜0.010%、
REM:0〜0.010%、
残部:Feおよび不純物であり、
Si含有量とAl含有量との質量比Si/Alが7.0〜15.0であり、
下記(i)式で定義されるBIが0.55〜30.0であり、
下記(ii)式で定義されるEIが1.0〜6.0であり、
下記(iii)式で定義されるCeqが0.150〜0.400であり、
鋼材中にMnSおよびMnS酸化物を含み、最大長さが2.0μm以上のMnSの個数密度が50/mm2未満であり、かつ最大長さが2.0μm以上のMnSの個数密度に対する、最大長さが2.0μm以上のMnS酸化物の個数密度の比が0.10以上である、
鋼材。
BI=(Cr/52)/(N/14) ・・・(i)
EI=(Cu/64)/((Sb/122)+(Sn/119)) ・・・(ii)
Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/5+(Cr+Mo+V)/15 ・・・(iii)
但し、上記式中の元素記号は、鋼材中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合は0を代入するものとする。
Mo:0.01〜0.50%、
W:0.01〜0.50%、
Sn:0.01〜0.30%、
As:0.01〜0.30%、および
Co:0.01〜0.30%、
から選択される1種以上を含有する、
上記(1)に記載の鋼材。
Ti:0.001〜0.050%、
Nb:0.001〜0.10%、
V:0.005〜0.10%、
Zr:0.005〜0.050%、
Ta:0.001〜0.050%、および
B:0.0003〜0.010%、
から選択される1種以上を含有する、
上記(1)または(2)に記載の鋼材。
Ca:0.0005〜0.010%、
Mg:0.0001〜0.010%、および
REM:0.0001〜0.010%、
から選択される1種以上を含有する、
上記(1)から(3)までのいずれかに記載の鋼材。
BI=(Cr/52)/(N/14) ・・・(i)
EI=(Cu/64)/((Sb/122)+(Sn/119)) ・・・(ii)
Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/5+(Cr+Mo+V)/15 ・・・(iii)
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
Cは、鋼材の強度を向上させる元素である。しかしながら、Cが過剰に含有された場合、炭化物が増加し、耐食性が劣化する。そのため、C含有量は0.01〜0.10%とする。C含有量は0.03%以上であるのが好ましく、0.05%以上であるのがより好ましい。また、C含有量は0.09%以下であるのが好ましく、0.08%以下であるのがより好ましい。
Siは、脱酸および強度の向上に寄与し、酸化物の形態を制御する元素である。しかしながら、Siが過剰に含有された場合、酸化物が増加し、耐食性を損なう。そのため、Si含有量は0.04〜0.40%とする。Si含有量は0.05%以上であるのが好ましく、0.10%以上であるのがより好ましい。また、Si含有量は0.30%以下であるのが好ましい。
Mnは、強度および靱性を向上させる元素である。しかしながら、Mnが過剰に含有された場合、粗大なMnSが生成し、耐食性および機械特性が劣化する。そのため、Mn含有量は0.30〜1.50%とする。Mn含有量は0.50%以上であるのが好ましく、0.80%以上であるのがより好ましい。また、Mn含有量は1.20%以下であるのが好ましく、1.00%以下であるのがより好ましい。
Cuは、Sbと同時に含有させると、硫酸および塩酸に対する耐食性を顕著に発現する元素である。しかしながら、Cuが過剰に含有された場合、熱間加工性が低下し、生産性を損なう。そのため、Cu含有量は0.05〜0.50%とする。Cu含有量は0.10%以上であるのが好ましく、0.15%以上であるのがより好ましく、0.20%以上であるのがさらに好ましい。また、Cu含有量は0.40%以下であるのが好ましく、0.30%以下であるのがより好ましい。
Sbは、Cuと同時に含有させると、硫酸および塩酸に対する耐食性を顕著に発現する元素である。しかしながら、Sbが過剰に含有された場合、熱間加工性が低下し、生産性を損なう。そのため、Sb含有量は0.03〜0.30%とする。Sb含有量は0.05%以上であるのが好ましく、0.08%以上であるのがより好ましく、0.10%以上であるのがさらに好ましい。また、Sb含有量は0.15%以下であるのが好ましい。
Niは、酸腐食環境での耐食性を向上させる元素であり、加えてCuを含有する鋼において、製造性を高める効果を有する。Cuは、耐食性を向上させる効果が大きいが、偏析し易く、単独で含有させると鋳造後の割れを助長する場合がある。これに対して、NiはCuの表面偏析を軽減する作用がある。Niを含有させることで、Cuの偏析および鋳片割れの抑制に加えて、偏析に起因する局部腐食の発生も抑制されるため、耐食性を向上させる効果が得られる。しかしながら、Niは高価な元素であり、多量の含有は製鋼コストの増大を招く。そのため、Ni含有量は0.01〜0.50%とする。Ni含有量は0.30%以下であるのが好ましく、0.25%以下であるのがより好ましい。また、Ni含有量は0.03%以上であるのが好ましく、0.05%以上であるのがより好ましく、0.10%以上であるのがさらに好ましい。
Crは、CuおよびSbと同様に耐食性を向上させる元素である。特に、CrをCuおよびSbと同時に含有させることで、高温・高濃度となる酸性環境において優れた耐食性を発揮する。しかしながら、Crが過剰に含有された場合、腐食の起点となる窒化物の増加により耐食性を損なう。そのため、Cr含有量は0.02〜0.50%とする。Cr含有量は0.30%以下であるのが好ましく、0.20%以下であるのがより好ましい。また、Cr含有量は0.05%以上であるのが好ましい。
Alは、脱酸剤として添加される。しかしながら、Alが過剰に含有された場合、介在物の増加によって耐食性を損なう。そのため、Al含有量は0.005〜0.055%とする。Al含有量は0.010%以上であるのが好ましく、0.020%以上であるのがより好ましい。また、Al含有量は0.050%以下であるのが好ましく、0.040%以下であるのがより好ましい。
Nは、微細な窒化物として機械特性の向上に寄与する。しかしながら、Nが過剰に含有された場合、Crと窒化物を形成し、耐食性を低下させる。そのため、N含有量は0.002〜0.010%とする。N含有量は0.003%以上であるのが好ましい。また、N含有量は0.008%以下であるのが好ましく、0.006%以下であるのがより好ましい。
Pは、不純物であり、鋼材の機械特性および生産性を低下させる。そのため、P含有量に上限を設けて0.020%以下とする。なお、P含有量は可能な限り低減することが好ましく、つまり含有量が0%でもよいが、極度の低減は製鋼コストの増大を招く。そのため、P含有量は0.001%以上としてもよい。
Sは、一般的に不純物であり、鋼材の機械特性および生産性を低下させる。しかしながら、本発明において、Sは、CuおよびSbと同時に含有させることにより、酸腐食環境での耐食性を向上させる効果を有する。そのため、S含有量は0.0005〜0.015%とする。S含有量は0.0010%以上、0.0050%以上、または0.010%以上であるのが好ましい。また、S含有量は0.013%以下であるのが好ましく、0.011%以下であるのがより好ましい。
Oは、MnSと結合することで、MnSを無害化し、耐食性および機械特性の悪化を防ぐ効果を有する元素である。しかしながら、Oが過剰に含有された場合、酸腐食環境において腐食の起点となる粗大な酸化物を生成する。そのため、O含有量は0.0005〜0.0035%とする。O含有量は0.0010%以上であるのが好ましく、0.0015%以上であるのがより好ましい。また、O含有量は0.0030%以下であるのが好ましく、0.0025%以下であるのがより好ましい。
Moは、Cu、Sb、Crと同時に含有させることにより、酸性環境での耐食性、特に塩酸に対する耐食性を向上させる元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Moは高価な元素であるため、過剰な含有は経済性の低下を招く。そのため、Mo含有量は0.50%以下とする。Mo含有量は0.30%以下であるのが好ましく、0.10%以下であるのがより好ましい。なお、上記効果を得たい場合には、Mo含有量は0.01%以上とするのが好ましく、0.05%以上とするのがより好ましく、0.10%以上とするのがさらに好ましい。
Wは、Moと同様にCu、Sb、Crと同時に含有させることにより、酸性環境での耐食性、特に塩酸に対する耐食性を向上させる元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Wも高価な元素であるため、過剰な含有は経済性の低下を招く。そのため、W含有量は0.50%以下とする。W含有量は0.30%以下であるのが好ましく、0.10%以下であるのがより好ましい。なお、上記効果を得たい場合には、W含有量は0.01%以上とするのが好ましく、0.05%以上とするのがより好ましく、0.10%以上とするのがさらに好ましい。
Snは、酸腐食環境での耐食性を向上させる元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Snが過剰に含有された場合、熱間加工性が低下する。そのため、Sn含有量は0.30%以下とする。Sn含有量は0.20%以下であるのが好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Sn含有量は0.01%以上、0.02%以上または0.05%以上であるのが好ましい。
Asは、SbおよびSnに比べて顕著な効果はないが、酸腐食環境における耐食性の向上に有効な元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Asが過剰に含有された場合、熱間加工性が低下する。そのため、As含有量は0.30%以下とする。As含有量は0.20%以下であるのが好ましく、0.10%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、As含有量は0.01%以上であるのが好ましく、0.02%以上であるのがより好ましく、0.05%以上であるのがさらに好ましい。
Coは、SbおよびSnに比べて顕著な効果はないが、酸腐食環境における耐食性を向上させる元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Coが過剰に含有された場合、経済性が低下する。そのため、Co含有量は0.30%以下とする。Co含有量は0.20%以下であるのが好ましく、0.10%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Co含有量は0.01%以上であるのが好ましく、0.02%以上であるのがより好ましく、0.05%以上であるのがさらに好ましい。
Tiは、窒化物を形成し、結晶粒の微細化および強度の向上に寄与する元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Tiが過剰に含有された場合、窒化物が粗大になり、機械特性が劣化する。そのため、Ti含有量は0.050%以下とする。Ti含有量は0.040%以下であるのが好ましく、0.030%以下であるのがより好ましく、0.020%以下であるのがさらに好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Ti含有量は0.001%以上であるのが好ましく、0.005%以上であるのがより好ましい。
Nbは、Tiと同様に、窒化物を形成し、結晶粒の微細化および強度の向上に寄与する元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Nbが過剰に含有された場合、窒化物が粗大になり、機械特性が劣化する。そのため、Nb含有量は0.10%以下とする。Nb含有量は0.050%以下であるのが好ましく、0.030%以下であるのがより好ましく、0.020%以下であるのがさらに好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Nb含有量は0.001%以上であるのが好ましく、0.005%以上であるのがより好ましい。
Vは、Ti、Nbと同様に、窒化物を形成し、結晶粒の微細化および強度の向上に寄与する元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Vが過剰に含有された場合、窒化物が粗大になり、機械特性が劣化する。そのため、V含有量は0.10%以下とする。V含有量は0.050%以下であるのが好ましく、0.030%以下であるのがより好ましく、0.020%以下であるのがさらに好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、V含有量は0.005%以上であるのが好ましい。
Zrは、Ti、Nb、Vと同様に、窒化物を形成し、結晶粒の微細化および強度の向上に寄与する元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Zrは高価な元素であり、多量の含有は製鋼コストの増大を招く。加えて、Zrが過剰に含有された場合、窒化物が粗大になり、機械特性が劣化する。そのため、Zr含有量は0.050%以下とする。Zr含有量は0.040%以下であるのが好ましく、0.030%以下であるのがより好ましく、0.020%以下であるのがさらに好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Zr含有量は0.005%以上であるのが好ましい。
Taは、強度の向上に寄与する元素であり、また、メカニズムは必ずしも明らかでないが、耐食性の向上にも寄与するため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Taは高価な元素であり、多量の含有は製鋼コストの増大を招く。そのため、Ta含有量は0.050%以下とする。Ta含有量は0.040%以下であるのが好ましく、0.030%以下であるのがより好ましく、0.020%以下であるのがさらに好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Ta含有量は0.001%以上であるのが好ましく、0.005%以上であるのがより好ましい。
Bは焼入性を向上させ、強度を高める元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Bを過剰に含有させても効果が飽和し、母材およびHAZの靱性が低下する場合がある。そのため、B含有量は0.010%以下とする。B含有量は0.0050%以下であるのが好ましく、0.0030%以下であるのがより好ましく、0.0020%以下であるのがさらに好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、B含有量は0.0003%以上であるのが好ましく、0.0005%以上であるのがより好ましい。
Caは、主に硫化物の形態の制御に用いられる元素であり、また、微細な酸化物を形成させるために、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Caが過剰に含有された場合、機械特性が損なわれる場合がある。そのため、Ca含有量は0.010%以下とする。Ca含有量は0.005%以下であるのが好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Ca含有量は0.0005%以上であるのが好ましく、0.001%以上であるのがより好ましく、0.002%以上であるのがさらに好ましい。
Mgは、微細な酸化物を形成させるために、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Mgを過剰に添加することは製鋼コストの増大を招く。そのため、Mg含有量は0.010%以下とする。Mg含有量は0.005%以下であるのが好ましく、0.003%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、Mg含有量は0.0001%以上であるのが好ましく、0.0003%以上であるのがより好ましく、0.0005%以上であるのがさらに好ましい。
REM(希土類元素)は、主に脱酸に用いられる元素であり、微細な酸化物を形成させるために、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、REMを過剰に添加することは製鋼コストの増大を招く。そのため、REM含有量は0.010%以下とする。REM含有量は0.005%以下であるのが好ましく、0.003%以下であるのがより好ましい。なお、上記の効果を得たい場合には、REM含有量は0.0001%以上であるのが好ましく、0.0003%以上であるのがより好ましく、0.0005%以上であるのがさらに好ましい。
Si/Al比(質量比)は、鋼材表面で腐食起点となりやすい酸化物を抑制するために重要な指標である。酸化物の生成を抑制するには、Alに比べて酸化力が弱いSiを活用することが有効であり、Si/Alを7.0以上にすることによって耐食性が顕著に向上する。一方、Si/Al比が15.0を超えても効果が飽和し、また、Al量の減少に伴って脱酸が不十分になり、酸化物によって耐食性が低下する場合がある。したがって、Si/Al比は7.0〜15.0とする。Si/Al比は、8.0以上または9.0以上であるのが好ましい。また、Si/Al比は、14.0以下または13.0以下であるのが好ましい。
耐酸性腐食指数BIは、鋼材表面で腐食起点となりやすい窒化物を抑制するために導出された指標である。Crは、耐食性の向上に有効であるが、含有量が過剰であると腐食の起点となる窒化物を形成しやすくなる。酸腐食環境での耐食性を顕著に向上させるには、耐酸性腐食指数BIは0.55〜30.0とする。耐酸性腐食指数BIは、0.60以上であるのが好ましく、0.70以上であるのがより好ましい。また、耐酸性腐食指数BIは、15.0以下であるのが好ましく、10.0以下であるのがより好ましく、5.00以下であるのがさらに好ましい。
BI=(Cr/52)/(N/14) ・・・(i)
加工性指数EIは、Cuによる熱間加工性の低下を助長するSbおよびSnの影響を考慮した指標である。Cuの含有量に対してSbおよびSnの含有量が多過ぎると熱間加工性が低下する。一方、加工性指数EIを大きくすることが、熱間加工性を確保するためには好ましいが、その値が過剰であっても効果が飽和する。また、SbおよびSnが不足すると、酸腐食環境での耐食性の向上の効果が不十分になる。熱間加工性および耐食性を両立する観点から、加工性指数EIは1.0〜6.0とする。加工性指数EIは、2.0以上であるのが好ましく、3.0以上であるのがより好ましい。また、加工性指数EIは、5.9以下であるのが好ましく、5.8以下であるのがより好ましい。
EI=(Cu/64)/((Sb/122)+(Sn/119)) ・・・(ii)
Ceqは、硬さの上昇による溶接性の劣化を示す指標である。Ceqが過剰であると溶接性が確保できなくなる。一方、Ceqが低すぎると機械特性が不十分になる。そのため、Ceqは0.150〜0.400とする。Ceqは0.180以上であるのが好ましく、0.200以上であるのがより好ましい。また、Ceqは0.350以下であるのが好ましく、0.330以下であるのがより好ましい。Ceqは、下記(iii)式で定義される。
Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/5+(Cr+Mo+V)/15 ・・・(iii)
本発明に係る鋼材は、鋼材中にMnSおよびMnS酸化物を含む。そして、最大長さが2.0μm以上のMnSの個数密度が50/mm2未満である。加えて、最大長さが2.0μm以上のMnSの個数密度に対する、最大長さが2.0μm以上のMnS酸化物の個数密度の比が0.10以上である。
本発明の一実施形態に係る鋼材の製造方法について説明する。本実施形態に係る鋼材には、熱間圧延を施し、さらに必要に応じて冷間圧延を施して製造される鋼板、形鋼、鋼管等が含まれる。好ましくは板厚が3mm以上、より好ましくは6mm以上の厚鋼板である。
各鋼板から板厚3mm、幅25mm、長さ25mmの試験片を板厚中央部から採取し、湿式#400研磨で仕上げ、耐食性評価用の試験片とした。耐食性の評価は硫酸浸漬試験および塩酸浸漬試験によって行った。硫酸浸漬試験では、試験片を70℃の50%硫酸水溶液に6時間浸漬し、塩酸浸漬試験では、試験片を80℃の10%塩酸水溶液中に5時間浸漬した。
上記条件で圧延した熱間圧延材の表面を外観目視し、割れが生じていたものを×、割れが生じていないものを〇として、熱間加工性を評価した。
JIS Z 3158:2016に準拠して、y型溶接割れ試験を行った。厚さ3mmの試験片を用い、電流170Aで片面側から溶接後、48時間が経過してから表面および断面の割れの有無を確認した。
JIS Z 2241:2011に準拠して引張試験片を作製し、引張試験を行い、引張強さを求めた。なお、厚さ20mmの熱延鋼板からは12mm厚の試験片を、厚さ3.4mmの冷延鋼板からは3.4mm厚の試験片を採取し、引張試験に供した。引張強さが400MPa以上のものを○、400MPa未満のものを×とした。
Claims (4)
- 化学組成が、質量%で、
C:0.01〜0.10%、
Si:0.04〜0.40%、
Mn:0.30〜1.50%、
Cu:0.05〜0.50%、
Sb:0.03〜0.30%、
Ni:0.01〜0.50%、
Cr:0.02〜0.50%、
Al:0.005〜0.055%、
N:0.002〜0.010%、
P:0.020%以下、
S:0.0005〜0.015%、
O:0.0005〜0.0035%、
Mo:0〜0.50%、
W:0〜0.50%、
Sn:0〜0.30%、
As:0〜0.30%、
Co:0〜0.30%、
Ti:0〜0.050%、
Nb:0〜0.10%、
V:0〜0.10%、
Zr:0〜0.050%、
Ta:0〜0.050%、
B:0〜0.010%、
Ca:0〜0.010%、
Mg:0〜0.010%、
REM:0〜0.010%、
残部:Feおよび不純物であり、
Si含有量とAl含有量との質量比Si/Alが7.0〜15.0であり、
下記(i)式で定義されるBIが0.55〜30.0であり、
下記(ii)式で定義されるEIが1.0〜6.0であり、
下記(iii)式で定義されるCeqが0.150〜0.400であり、
鋼材中にMnSおよびMnS酸化物を含み、最大長さが2.0μm以上のMnSの個数密度が50/mm2未満であり、かつ最大長さが2.0μm以上のMnSの個数密度に対する、最大長さが2.0μm以上のMnS酸化物の個数密度の比が0.10以上である、
鋼材。
BI=(Cr/52)/(N/14) ・・・(i)
EI=(Cu/64)/((Sb/122)+(Sn/119)) ・・・(ii)
Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/5+(Cr+Mo+V)/15 ・・・(iii)
但し、上記式中の元素記号は、鋼材中に含まれる各元素の含有量(質量%)を表し、含有されない場合は0を代入するものとする。 - 前記化学組成が、質量%で、
Mo:0.01〜0.50%、
W:0.01〜0.50%、
Sn:0.01〜0.30%、
As:0.01〜0.30%、および
Co:0.01〜0.30%、
から選択される1種以上を含有する、
請求項1に記載の鋼材。 - 前記化学組成が、質量%で、
Ti:0.001〜0.050%、
Nb:0.001〜0.10%、
V:0.005〜0.10%、
Zr:0.005〜0.050%、
Ta:0.001〜0.050%、および
B:0.0003〜0.010%、
から選択される1種以上を含有する、
請求項1または請求項2に記載の鋼材。 - 前記化学組成が、質量%で、
Ca:0.0005〜0.010%、
Mg:0.0001〜0.010%、および
REM:0.0001〜0.010%、
から選択される1種以上を含有する、
請求項1から請求項3までのいずれかに記載の鋼材。
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