JP2020045539A - 鋼材 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造性に優れ、硫酸露点腐食や塩酸露点腐食の酸腐食環境において、長期の耐食性と、優れた溶接性と、を備える鋼材を提供する。【解決手段】質量%で、C:0.010〜0.20%、Si:0.04〜0.70%、Mn:0.20〜1.00%、Cu:0.10〜1.00%、Sb:0.010〜0.30%、Al:0.005〜0.050%、Cr:0.10〜2.00%、 Ti:0.010〜0.10%、P:0.020%以下、S:0.015%以下、N:0.005%以下、及びO:0.0035%以下を含有し、残部がFe及び不純物からなり、式(1)、式(3)で表される関係を満足し、式(2)で求められるCeqが0.180〜0.330である鋼材。0.25≦Cu+Sb≦0.60…式(1)Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/5+(Cr+Mo+V)/15…式(2)3.0≦Ti/O≦30.0…式(3)【選択図】 なし

Description

本発明は、鋼材に関する。
種々の燃料や、廃棄物、下水汚泥などを燃焼させるボイラーの排煙設備やガス化溶融炉などは、燃焼排ガス雰囲気に曝され、硫酸露点腐食、塩酸露点腐食環境または、硫酸や塩酸の水溶液に接する環境となる。このような激しい腐食環境に曝される鋼材には、長期に亘って優れた耐酸性が求められる。
このような問題に対し、耐硫酸・塩酸露点腐食鋼や高耐食ステンレス鋼が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。このうち、特許文献1〜4では、CuやSb、Co、Crなどを添加した耐硫酸露点腐食性に優れた鋼材が提案されている。また、特許文献5では、CrやNiなどを添加した高耐食ステンレス鋼が提案されている。
特開2001−164335号公報 特開2003−213367号公報 特開2007−239094号公報 特開2012−57221号公報 特開平7−316745号公報
Cu、Sb、Crなどを含有する鋼材は耐硫酸露点腐食性に優れ、ボイラーや焼却施設の排ガス煙突などの硫酸腐食環境において、優れた耐食性を発揮する。しかし、ボイラーや焼却設備などを長寿命化するために、更なる耐食性の向上が期待されている。
また、熱交換器、ガス−ガスヒータ、脱硫装置、電気集塵機、などの用途に使用される鋼材には、耐酸性だけでなく、溶接性も求められている。更に、製造性の観点から、熱間加工性も要求される。さらには、焼却施設の排ガス煙突等の用途に使用される場合、構造材としての十分な強度も要求される。
本発明はこのような実情に鑑み、構造材とした際に十分な強度を有し、製造性に優れ、硫酸露点腐食や塩酸露点腐食の酸腐食環境において、長期の耐食性と、優れた溶接性と、を備える鋼材の提供を課題とするものである。
本発明者らは、腐食の起点となる酸化物や炭化物に着目し、酸腐食環境における鋼材の耐食性を向上させるために検討を行った。そして、下記式(1)および下記式(3)で表される関係を満足し、かつ下記式(2)で求められるCeqを0.180〜0.330とすることで、構造材とした際の十分な強度を得つつ、優れた耐酸性、熱間加工性及び溶接性が得られるという知見を得た。
0.25≦Cu+Sb≦0.60 … 式(1)
Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/5+(Cr+Mo+V)/15 … 式(2)
3.0≦Ti/O≦30.0 … 式(3)
本発明はこのような知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
[1] 質量%で、
C:0.010〜0.20%、
Si:0.04〜0.70%、
Mn:0.20〜1.00%、
Cu:0.10〜1.00%、
Sb:0.010〜0.30%、
Al:0.005〜0.050%、
Cr:0.10〜2.00%、
Ti:0.010〜0.10%、
P:0.020%以下、
S:0.015%以下、
N:0.005%以下、及び
O:0.0035%以下
を含有し、残部がFe及び不純物からなり、
下記式(1)および下記式(3)で表される関係を満足し、かつ、下記式(2)で求められるCeqが0.180〜0.330であることを特徴とする鋼材。
0.25≦Cu+Sb≦0.60 … 式(1)
Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/5+(Cr+Mo+V)/15 … 式(2)
3.0≦Ti/O≦30.0 … 式(3)
ここで、Cu、Sb、C、Mn、Ni、Cr、Mo、V、Ti、Oは各元素の質量%に基づく含有量であり、含有しない場合は0として計算する。
[2] 更に、質量%で、
Mo:0.10%以下、
W:0.10%以下、
Ni:1.00%以下、
Sn:0.30%以下、
As:0.30%以下、及び
Co:0.30%以下
からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の鋼材。
[3] 更に、質量%で、
Nb:0.10%以下、
V:0.10%以下、
Zr:0.050%以下、
Ta:0.050%以下、及び
B:0.010%以下
からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼材。
[4] 更に、質量%で、
Ca:0.010%以下、
Mg:0.010%以下、及び
REM:0.010%以下
からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の鋼材。
本発明によれば、ボイラーや焼却施設の排ガス煙突などの硫酸腐食環境やごみ焼却炉などの排ガス煙突などの塩酸腐食環境などの酸腐食環境において優れた耐食性を発現し、製造性及び溶接性にも優れ、かつこれらの構造材とした際に十分な強度を有する鋼材を提供することが可能になる。したがって、本発明は産業上の貢献が極めて顕著である。
以下に、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明者らの検討により、CuとSbとを同時に鋼材に含有させることにより、耐酸性が向上することがわかっている。ただし、CuとSbは熱間加工性を低下させるため下記式(1)を満たす範囲とすることで、耐酸性と熱間加工性が得られるという知見を得た。
0.25≦Cu+Sb≦0.60 … 式(1)
次に、下記式(2)で求められるCeqを0.180〜0.330とすることで、優れた耐酸性、熱間加工性及び強度を有する鋼材を得ることに成功した。
Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/5+(Cr+Mo+V)/15 … 式(2)
さらに、TiのOに対する質量比が下記式(3)を満たす範囲であると構造材に必要な強度と加工性を有する鋼材を得られるという知見を得た。
3.0≦Ti/O≦30.0 … 式(3)
本実施形態に係る鋼材の成分について説明する。なお、%の表記は特に断りがない場合は質量%を意味する。
(C:0.010〜0.20%)
Cは、強度を向上させる元素であり、0.010%以上を含有させることが必要である。好ましくはC量を0.03%以上、より好ましくは0.05%以上とする。一方、C量が0.20%を超えると炭化物が増加し、耐酸性が劣化するため、C量を0.20%以下とする。好ましくはC量を0.15%以下、より好ましくは0.10%以下とする。
(Si:0.04〜0.70%)
Siは、脱酸及び強度の向上に寄与する元素であり、また、酸化物の形態を制御するために、0.04%以上を含有させることが必要である。好ましくはSi量を0.05%以上とし、より好ましくは0.10%以上とする。一方、0.70%を超えるSiを含有させると酸化物が増加し、耐酸性を損なうため、Si量を0.70%以下とする。好ましくはSi量を0.50%以下とする。
(Mn:0.20〜1.00%)
Mnは、強度及び靭性を向上させる元素であり、0.20%以上を含有させる。好ましくはMn量を0.30%以上とする。一方、1.00%を超える量のMnを含有させると、粗大なMnSが生成し、耐食性や熱間加工性が劣化するため、Mn量を1.00%以下とする。好ましくはMn量を0.90%以下、より好ましくは0.80%以下とする。
(Cu:0.10〜1.00%)
Cuは、Sbと同時に含有させると、硫酸や塩酸に対する耐食性を顕著に発現する極めて重要な元素である。酸性環境での耐食性を確保するために、Cu量を0.10%以上とすることが必要である。好ましくはCu量を0.15%以上、より好ましくは0.20%以上とする。一方、Cu量が1.00%を超えると熱間加工性が低下し、製造性を損なうため、1.00%以下とする。好ましくはCu量を0.90%以下、より好ましくは0.80%以下とする。
(Sb:0.010〜0.30%)
Sbは、上述のように、Cuと同時に含有させると耐酸性を向上させる極めて重要な元素であり、酸性環境での耐食性を確保するため、0.010%以上を含有させることが必要である。好ましくはSb量を0.05%以上とする。一方、Sb量が0.30%を超えると熱間加工性が低下するので、0.30%以下とする。好ましくはSb量を0.15%以下とする。
(Al:0.005〜0.050%)
Alは、脱酸剤であり、0.005%以上を含有させることが必要である。好ましくはAl量を0.02%以上とする。一方、Alを過剰に含有させると、介在物の増加によって、耐酸性を損なうため、Al量を0.050%以下とする。好ましくはAl量を0.040%以下とする。
(Cr:0.10〜2.00%)
CrはCu、Sbと同様に耐食性を向上させる元素である。特に、CrをCu、Sbと同時に含有させることで高温・高濃度となる酸性環境において優れた耐食性を発揮する。したがって、耐食性確保の観点から0.10%以上のCrを含有させることが必要である。好ましくはCr量を0.15%以上とする。一方、Crを過剰に含有させると、腐食の起点となる窒化物の増加によって、耐酸性を損なうため、Cr量を2.00%以下とする。より、好ましくはCr量を1.80%以下、より好ましくはCr量を1.50%以下とする。
(Ti:0.010〜0.10%)
Tiは、窒化物を形成し、結晶粒の微細化や強度の向上に寄与する元素であり、0.010%以上を含有させる必要がある。好ましくはTi量を0.020%以上とする。一方、0.10%超のTiを含有させると、窒化物が粗大になり、機械特性や加工性が劣化することがあるため、Ti量を0.10%以下とする。Ti量を、好ましくは0.08%以下、より好ましくは0.07%以下、更に好ましくは0.06%以下とする。
(P:0.020%以下)
Pは、不純物であり、鋼材の機械特性や製造性を低下させるため、P量を0.020%以下とする。P量の下限は限定しないが、コストの観点からP量は0.001%以上であってもよい。
(S:0.015%以下)
Sは、不純物であり、熱間加工性や鋼材の機械特性を低下させるため、S量を0.015%以下とする。S量の下限は限定しないが、Sは、Cu及びSbと同時に含有させると、酸性環境での耐食性を向上させることから、S量は0.001%以上であってもよい。より好ましくはS量を0.005%以上、更に好ましくは0.01%以上であってもよい。
(N:0.005%以下)
Nは、不純物であり、鋼材の機械特性や製造性を低下させるため、N量を0.005%以下とする。N量の下限は限定しないが、コストの観点からN量を0.001%以上にしてもよい。微細な窒化物を機械特性等の向上に利用する場合、N量は0.002%以上であってもよい。
(O:0.0035%以下)
Oは、酸化物を生成する元素である。酸性環境において腐食の起点となる粗大な酸化物の生成を抑制するために、O量を0.0035%以下とする。好ましくはO量を0.0030%以下、より好ましくは0.0025%以下とする。コストの観点からO量は、通常0.0005%以上である。
更に、酸性環境での耐食性を向上させるために、Mo、W、Ni、Sn、As及びCoからなる群から選択される1種又は2種以上を含有させてもよい。なお、これらの元素は、鋼材において必ずしも必須ではないことから、含有量の下限値は0%である。
(Mo:0.10%以下)
Moは、Cu、Sb、Crと同時に含有させることにより、酸性環境での耐食性を向上させる元素である。特に、塩酸に対する耐食性を高めるために、Mo量を0.01%以上とすることができる。より好ましくはMo量を0.05%以上、更に好ましくは0.10%以上とする。一方、Moは高価な元素であるため、コストの観点から、Moの含有量を0.10%以下とする。より好ましくは、0.08%以下、更に好ましくは0.05%以下とする。
(W:0.10%以下)
Wは、Moと同様にCu、Sb、Crと同時に含有させることにより、酸性環境での耐食性を向上させる元素である。特に、塩酸に対する耐食性を高めるために、W量を0.01%以上含有させてもよい。一方、Wも高価な元素であるため、コストの観点から、Wの含有量を0.10%以下とする。より好ましくは、0.08%以下、更に好ましくは0.05%以下とする。
(Ni:1.00%以下)
Niは、酸性環境での耐食性を向上させる元素であり、Cuを含有する場合、Niは製造性を高める効果を発現する。Cuは、耐食性を向上させる効果が大きいが、偏析し易く、単独で含有させると鋳造後の割れを助長する場合がある。これに対して、NiはCuの偏析を軽減する作用がある。Niを含有させると、Cu偏析起因の鋳片の割れの抑制に加えて、偏析に起因する局部腐食の発生も抑制されるため、耐食性を向上させる効果が顕著に発現される。好ましくはNi量を0.10%以上とし、より好ましくは0.15%以上、更に好ましくは0.20%以上とする。一方、Niも高価な元素であるため、コストの観点からNi量を1.00%以下とする。より好ましくは0.80%以下とする。
(Sn:0.30%以下)
Snは、酸性環境での耐食性を向上させる元素であり、0.01%以上を含有させてもよい。より好ましくはSn量を0.02%以上、更に好ましくはSn量を0.05%以上とする。一方、Snを過剰に含有させると熱間加工性が低下するので、Sn量を0.30%以下とする。より好ましくはSn量を0.20%以下とする。
(As:0.30%以下)
Asは、Sb、Snに比べて効果は顕著ではないが、酸性環境での耐食性の向上に有効な元素であり、0.01%以上を含有させてもよい。より好ましくはAs量を0.02%以上、更に好ましくはAs量を0.05%以上とする。一方、Asを過剰に含有させると熱間加工性が低下するので、As量を0.30%以下とする。より好ましくはAs量を0.20%以下、更に好ましくは0.10%以下とする。
(Co:0.30%以下)
Coは、Sb、Snに比べて効果は顕著ではないが、酸性環境での耐食性を向上させる元素であり、0.01%以上を含有させてもよい。より好ましくはCo量を0.02%以上、更に好ましくはCo量を0.05%以上とする。一方、Coを過剰に含有させると経済性が低下するので、Co量を0.30%以下とする。より好ましくはCo量を0.20%以下、更に好ましくは0.10%以下とする。
更に、機械特性などを向上させるために、Nb、V、Zr、Ta及びBからなる群から選択される1種又は2種以上を含有させてもよい。なお、これらの元素は、鋼材において必ずしも必須ではないことから、含有量の下限値は0%である。
(Nb:0.10%以下)
Nbは、Tiと同様に、窒化物を形成する元素であり、結晶粒の微細化や強度の向上を目的として、0.001%以上を含有させてもよい。より好ましくはNb量を0.005%以上とする。一方、0.10%超のNbを含有させると、機械特性が劣化することがあるため、Nb量を0.10%以下とする。より好ましくはNb量を0.050%以下、更に好ましくは0.030%以下、より一層好ましくは0.020%以下とする。
(V:0.10%以下)
Vは、Ti、Nbと同様、窒化物を形成する元素であり、主に、析出強化による強度の改善のために含有させてもよい。効果を得るために、V量を0.005%以上とすることが好ましい。一方、0.10%以上のVを含有させると、機械特性が劣化することがあるため、V量を0.10%以下とする。より好ましくはV量を0.050%以下、更に好ましくは0.030%以下、より一層好ましくは0.020%以下とする。
(Zr:0.050%以下)
Zrは、Ti、Nb、Vと同様、窒化物を形成する元素であり、主に、析出強化による強度の改善のために含有させることができる。効果を得るために、Zr量を0.005%以上とすることが好ましい。一方、Zrは高価な元素であり、また、0.050%以上のZrを含有させると、機械特性が劣化することがあるため、Zr量を0.050%以下とする。より好ましくはZr量を0.040%以下、更に好ましくは0.030%以下、より一層好ましくは0.020%以下とする。
(Ta:0.050%以下)
Taは、強度の向上に寄与する元素であり、0.001%以上を含有させてもよい。また、メカニズムは必ずしも明らかでないが、Taは耐食性の向上にも寄与し、より好ましくはTa量を0.005%以上とする。一方、Taを過剰に含有させるとコストが上昇するため、Ta量を0.050%以下とする。より好ましくはTa量を0.040%以下、更に好ましくは0.030%以下、より一層好ましくは0.020%以下とする。
(B:0.010%以下)
Bは焼入性を向上させ、強度を高める元素である。効果を得るためには、B量を0.0003%以上にすることが好ましい。より好ましくはB量を0.0005%以上とする。一方、0.010%を超えるBを含有させても、効果が飽和し、母材、HAZの靭性が低下する場合があり、B量を0.010%以下とする。より好ましくはB量を0.0050%以下、更に好ましくは0.0030%以下、より一層好ましくは0.0020%以下とする。
更に、脱酸や介在物の制御を目的として、Ca、Mg及びREMからなる群から選択される1種又は2種以上を含有させてもよい。なお、これらの元素は、鋼材において必ずしも必須ではないことから、含有量の下限値は0%である。
(Ca:0.010%以下)
Caは、主に硫化物の形態の制御に用いられる元素であり、また、微細な酸化物を形成させるために、0.0005%以上を含有させてもよい。好ましくはCa量を0.001%以上、より好ましくは0.002%以上とする。一方、0.010%を超えるCaを含有させると機械特性が損なわれる場合があるため、Ca量を0.010%以下とする。より好ましくはCa量を0.005%以下とする。
(Mg:0.010%以下)
Mgは、微細な酸化物を形成させるために、0.0001%以上を含有させてもよい。好ましくはMg量を0.0003%以上、より好ましくは0.0005%以上とする。一方、製造コストの観点から、Mg量を0.010%以下とする。より好ましくはMg量を0.005%以下、更に好ましくは0.003%以下とする。
(REM:0.010%以下)
REM(希土類元素)は、主に脱酸に用いられる元素であり、微細な酸化物を形成させるために、0.0001%以上を含有させてもよい。好ましくはREM量を0.0003%以上、より好ましくは0.0005%以上とする。一方、製造コストの観点から、REM量を0.010%以下とする。より好ましくはREM量を0.005%以下、更に好ましくは0.003%以下とする。
REMとしては、具体的にはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuが挙げられ、これらのうち1種を単独で、または2種以上を組み合わせて含有させることができる。2種類以上の希土類元素を含有させる場合、例えば、分離精製前の混合希土類元素(ミッシュメタル)や、ジジム合金(NdおよびPrからなる合金)のような希土類元素の混合物や化合物を用いてもよい。また、2種類以上の希土類元素を含有させる場合において、上記REM量は、すべての希土類元素の総量を意味する。
本実施形態に係る鋼材の化学成分の残部は、鉄(Fe)及び不純物である。不純物とは、鋼材を工業的に製造する際に、鉱石、スクラップ等の原料その他の要因により混入する成分であって、本実施形態に係る鋼材に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。ただし、不純物のうち、P、S、NおよびOについては上述のように上限を制限する必要がある。
本実施形態に係る鋼材は、構造材とした際の十分な強度を確保しつつ、熱間加工性、溶接性及び耐酸性を向上させるために、特定の元素の関係を制御することが必要である。
(0.25≦Cu+Sb≦0.60 … 式(1))
CuとSbを同時に含有させると鋼材の耐酸性を向上させる。酸中における曝露で表層に濃化、化合物を形成し、鋼の溶解のバリアとなるからである。上記式(1)において、この効果を発揮するためにCuとCbの量の合計は0.25以上、好ましくは0.27以上、より好ましくは0.28以上が望ましい。ただし、過剰に含有させると熱間加工性が低下するため両元素の合計は0.60以下、好ましくは0.57以下、より好ましくは0.55以下とする。
(Ceq:0.180〜0.330)
Ceqは、硬さの上昇による溶接性の劣化を示す指標であり、溶接性および熱間加工性を確保するために、0.330以下、好ましくは0.320以下とする。一方、Ceqが低すぎると強度が不十分になるため、0.180以上、好ましくは0.200以上、より好ましくは0.250以上とする。Ceqは、下記式(2)に示されるように、公知の指標である。
Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/5+(Cr+Mo+V)/15 … 式(2)
(3.0≦Ti/O≦30.0 … 式(3))
Tiの強度向上効果は、酸化物を生成するOの存在で緩和される。TiおよびOの鋼中における質量濃度は規制されているため式(3)中のTi/Oの値が3.0より小さい場合はTiの質量濃度も低く、強度向上の効果が表れない。強度向上のために、式(3)中のTi/Oは、好ましくは3.5以上、より好ましくは4.0とする。一方、Tiを過剰に含有させると、熱間加工性を劣化させる。式(3)中のTi/Oの値が30.0より大きい場合はチタン析出物のサイズも大きく、割れの起点となり熱間加工性を劣化させる。良好な熱間加工性を得るために式(3)中のTi/Oは、好ましくは28.0以下、より好ましくは27.0以下とする。
以上の式(1)〜(3)において、Cu、Sb、C、Mn、Ni、Cr、Mo、V、Ti、Oは各元素の質量%に基づく含有量を示し、含有しない場合は0である。
本実施形態に係る鋼材の製造方法について説明する。本実施形態に係る鋼材には、熱間圧延を施し、更に必要に応じて冷間圧延を施して製造される鋼板、形鋼、鋼管などが含まれる。鋼材は、好ましくは板厚が3mm以上、より好ましくは6mm以上の厚鋼板である。
本実施形態に係る鋼材は、常法で鋼を溶製し、成分の調整後、鋳造して得られた鋼片を熱間圧延し、更に必要に応じて冷間圧延を施して製造される。熱間圧延後は、そのまま水冷するか、又は空冷した後、再加熱して焼入れてもよい。熱間圧延後は、コイル状に巻き取ってもよい。熱間圧延後、冷間圧延して、更に熱処理を施してもよい。
鋼管を製造する場合は、鋼板を管状に成形して溶接してもよく、UO鋼管、電縫鋼管、鍛接鋼管、スパイラル鋼管などにすることができる。鋼片に熱間押出や穿孔圧延を施して製造されるシームレス鋼管も本実施形態に含まれる。
以下、本発明の実施例を挙げながら、本発明の技術的内容について更に説明する。なお、以下に示す実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。また本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
表1に示す成分の鋼を溶製し、鋼塊を1150℃で2時間加熱後、熱間圧延を行って空冷し、厚みが20mmの鋼板を製造した。なお、表1に示す各鋼の組成の残部は、鉄および不純物である。
Figure 2020045539
得られた各鋼板から25×25×4mmの試験片を板厚中央部から採取し、湿式#400研磨で仕上げ、耐食性評価用の試験片とした。耐食性の評価は硫酸浸漬試験および塩酸浸漬試験によって行った。硫酸浸漬試験は、60℃の40%硫酸水溶液に6時間浸漬し、塩酸浸漬試験は、60℃の3mol/L塩酸水溶液中に6時間浸漬し、それぞれ腐食減量によって評価した。
鋼No.13を基準として、30%以上耐食性が向上した(腐食減量が鋼No.13の70%以下に低下した)ものを○、50%以上耐食性が向上した(腐食減量が鋼No.13の50%以下に低下した)ものを◎、30%未満(腐食減量が鋼No.13の70%超)のものを×とした。
さらに、酸浸漬試験後の各鋼板について、腐食形態を光学顕微鏡を使用した表面観察により評価した。鋼No.13を基準として、全面腐食しているものを○、粒界に沿った腐食が進展しているあるいはピット状の腐食が進展している等の局部腐食を起こしているものを×とした。局部腐食が発生している場合、この部位を起点とした強度低下が発生しやすくなる。
また、加工性の指標としての熱間加工性は上記条件で圧延した熱間圧延材表面で、外観目視で割れの有無を判別した。さらに、JIS Z 3158に基づきy型溶接割れ試験を行った。電流170Aで試験片の両面側から溶接後、所定の時間が経過してから表面および断面の割れの有無を確認した。また、JIS Z 2241に準拠して引張試験片を作製し、引張試験を行って引張強度を求めた。引張強度が400MPa以上のものを○、400MPa未満のものを×とした。結果を表2に示す。
Figure 2020045539
表2に示すとおり、鋼No.1〜12は成分、Ti/O比、Cu+Sb、Ceq値が本発明の範囲内であり、塩酸及び硫酸に対する耐食性、加工性、溶接性、強度が全て良好である。一方、鋼No.13〜21は成分、Ti/O比、Cu+Sb、Ceq値の何れか又はMn、Cu、Cr、Sb若しくはTiが本発明の範囲外であり、塩酸及び硫酸に対する耐食性、加工性、溶接性、強度の何れかが低下している。
鋼No.13は塩酸腐食試験及び硫酸腐食試験の評価の基準とした鋼であるが、Cu+Sbの値が低いため、本発明の鋼に比べて耐酸性が低下している。
Ti/O比が範囲外の鋼No.19及び20は強度の低下または加工性の低下が起きている。
Ceq値が範囲外の鋼No.14及び15は溶接性が悪化または強度が不足している。Cu+Sbが範囲外の鋼No.13及び18も、本発明の鋼に比べて塩酸及び硫酸に対する耐食性が低下もしくは加工性が劣化している。
鋼No.17はTiが本発明に規定される上限を超え、Ti/Oの比も本発明に規定される上限を超えていることから加工性が劣化している。
鋼No.21はMnが本発明に規定される上限を超えていることから耐酸性および加工性(熱間加工性)が低下している。鋼No.16はCrが本発明に規定される上限を超え、Ceq値も本発明に規定される上限を超えていることから腐食形態が(強度低下を起こす)局部腐食となり、また溶接性が低下している。またSbが本発明に規定される下限を下回っている鋼No.13は耐酸性が低下している。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明の鋼材は、重油、石炭などの化石燃料、液化天然ガスなどのガス燃料、都市ごみなどの一般廃棄物、廃油、プラスチック、排タイヤなどの産業廃棄物および下水汚泥などを燃焼させるボイラーの排煙設備に使用することができる。具体的には、排煙設備の煙道ダクト、ケーシング、熱交換器、2基の熱交換器(熱回収器及び再加熱器)で構成されるガス−ガスヒータ、脱硫装置、電気集塵機、誘引送風機、回転再生式空気予熱器のバスケット材および伝熱エレメント板などに好適に使用することができる。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.010〜0.20%、
    Si:0.04〜0.70%、
    Mn:0.20〜1.00%、
    Cu:0.10〜1.00%、
    Sb:0.010〜0.30%、
    Al:0.005〜0.050%、
    Cr:0.10〜2.00%、
    Ti:0.010〜0.10%、
    P:0.020%以下、
    S:0.015%以下、
    N:0.005%以下、及び
    O:0.0035%以下
    を含有し、残部がFe及び不純物からなり、
    下記式(1)および下記式(3)で表される関係を満足し、かつ、下記式(2)で求められるCeqが0.180〜0.330であることを特徴とする鋼材。
    0.25≦Cu+Sb≦0.60 … 式(1)
    Ceq=C+Mn/6+(Cu+Ni)/5+(Cr+Mo+V)/15 … 式(2)
    3.0≦Ti/O≦30.0 … 式(3)
    ここで、Cu、Sb、C、Mn、Ni、Cr、Mo、V、Ti、Oは各元素の質量%に基づく含有量であり、含有しない場合は0として計算する。
  2. 更に、質量%で、
    Mo:0.10%以下、
    W:0.10%以下、
    Ni:1.00%以下、
    Sn:0.30%以下、
    As:0.30%以下、及び
    Co:0.30%以下
    からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の鋼材。
  3. 更に、質量%で、
    Nb:0.10%以下、
    V:0.10%以下、
    Zr:0.050%以下、
    Ta:0.050%以下、及び
    B:0.010%以下
    からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼材。
  4. 更に、質量%で、
    Ca:0.010%以下、
    Mg:0.010%以下、及び
    REM:0.010%以下
    からなる群から選択される1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の鋼材。
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