JPWO2021039352A1 - 積層フィルム、および、包装方法 - Google Patents

積層フィルム、および、包装方法 Download PDF

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Abstract

本開示の積層フィルムは、ヒートシール層と、中間層と、表面層と、を有し、一方の表層がヒートシール層であり他方の表層が表面層である積層フィルムであって、プロピレン系樹脂とエチレン−1−ブテン共重合体ゴム(EBR)との合計含有量100質量%に対して、プロピレン系樹脂を50〜90質量%、エチレン−1−ブテン共重合体ゴム(EBR)を10〜50質量%含有し、前記中間層及び表面層を形成する樹脂組成物が、プロピレン系樹脂を主たる樹脂成分として含有することを特徴とする。

Description

本開示は、積層フィルム、および、包装方法に関する。
従来から、ヒートシール層を有する積層フィルムは、例えば食品、薬品、工業部品、雑貨、雑誌等の用途に用いる包装袋、容器、容器の蓋材等に用いられている。そして、これらの包装袋等は、積層フィルムのヒートシール層を溶融接着することにより製造されている。
具体的には、例えば、内容物として食パン、菓子パン等を収容する包装袋においては、ヒートシール層を内側にして溶融接着して包装袋が製造されている。また、内容物を収容した際には、包装袋の開口部に易開封シール(袋の形態を維持したままで開封可能となる加熱条件で形成するヒートシール)が施されている(例えば特許文献1)。食パン、菓子パン等を収容する包装袋の開口部には通常、開口部を結束するために、スリットを有する約2cm四方のプラスチック板等の結束具が用いられる。さらに、食パン、菓子パン等の商品が消費者に届くまで等の間、上記の易開封シールを設けることにより、結束具の隙間から侵入する虞のある異物を十分に防止することができる。
特開2002−193318号公報
ところで、上記のような包装袋を形成するための積層フィルムでは、包装袋の易開封シールを得るためのヒートシールの温度条件が、低温領域であって比較的広い温度範囲であることが易開封シールの形成しやすさの観点から好ましい。そして、上記の特許文献1に開示されるような従来の積層フィルムでは、ヒートシールの温度条件を比較的広い温度範囲とすることができるとされている。一方、当該従来の積層フィルムは、包装袋を形成するために高温領域で溶融接着し切断(溶断)した場合、当該溶断部位が剥がれることがあり、さらに十分な溶断シール強度を有することが求められていた。
そこで、本開示は、易開封シールを形成しやすく、且つ、溶断シール強度を十分向上させることができる積層フィルム、および包装方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、積層フィルムのヒートシール層を、プロピレン系樹脂と、エチレン−α−オレフィン共重合体の熱可塑性エラストマーとを所定量含有する樹脂組成物で形成することにより、上述した従来の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下のとおりである。
〔1〕少なくとも、ヒートシール層と、中間層と、表面層と、を有し、一方の表層がヒートシール層であり他方の表層が表面層である積層フィルムであって、
前記ヒートシール層が、プロピレン系樹脂とエチレン−1−ブテン共重合体ゴム(EBR)との合計含有量100質量%に対して、前記プロピレン系樹脂を50〜90質量%、エチレン−1−ブテン共重合体ゴム(EBR)を10〜50質量%含有し、
前記中間層及び前記表面層が、プロピレン系樹脂を主たる樹脂成分として含有することを特徴とする、積層フィルム。
〔2〕前記ヒートシール層中のプロピレン系樹脂が、プロピレン系ターポリマーを含有する、上記〔1〕に記載の積層フィルム。
〔3〕前記表面層中のプロピレン系樹脂が、プロピレン−エチレンランダム共重合体又はプロピレン系ターポリマーを含有する、上記〔1〕又は〔2〕のいずれかに記載の積層フィルム。
〔4〕前記中間層中のプロピレン系樹脂が、プロピレン単独重合体を含有する、上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の積層フィルム。
〔5〕前記中間層が直鎖低密度ポリエチレンを含有する、上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の積層フィルム。
〔6〕前記積層フィルムの厚さが20〜50μmである、上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の積層フィルム。
〔7〕前記ヒートシール層の厚さが1.5〜10μmである、上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の積層フィルム。
〔8〕上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の積層フィルムを用いて、前記ヒートシール層を内側にして溶融接着して包装袋を得、当該包装袋の内部に内容物を収容するとともに当該包装袋の開口部を、袋の形態を維持したままで開封可能となる加熱条件でヒートシールする、包装方法。
本開示によれば、易開封シールを形成しやすく、且つ、溶断シール強度を十分向上させることができる積層フィルム、および包装方法を提供することができる。
以下、本開示を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。
なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書における序数(例えば、第1,第2,第3)は、構成要素の混同を避けることを目的として、1つの要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。そのため、各構成要素の数は、序数に限定されることはない。
〔積層フィルム〕
本実施形態の積層フィルムは、少なくとも、中間層と、当該中間層の一方の面に積層されたヒートシール層と、当該中間層の他方の面に積層された表面層と、を有する積層フィルムであって、
前記ヒートシール層を形成する第1樹脂組成物が、プロピレン系樹脂とエチレン−1−ブテン共重合体ゴム(EBR)との合計含有量100質量%に対して、プロピレン系樹脂を50〜90質量%、エチレン−1−ブテン共重合体ゴム(EBR)を10〜50質量%含有し、
前記中間層を形成する第2樹脂組成物及び表面層を形成する第3樹脂組成物が、プロピレン系樹脂を主たる樹脂成分として含有する。
本実施形態の積層フィルムによれば、易開封シールを形成しやすく、且つ、溶融接着した部位の溶断シール強度を十分向上させることができる。
〈ヒートシール層〉
本実施形態において、ヒートシール層は、積層フィルムの他方側の表面、具体的には包装袋の内側の表面を形成する層であり、プロピレン系樹脂とエチレン−1−ブテン共重合体ゴム(EBR)との合計含有量100質量%に対して、プロピレン系樹脂を50〜90質量%、エチレン−1−ブテン共重合体ゴム(EBR)を10〜50質量%含有する。そして、ヒートシール層は第1樹脂組成物から形成することができる。また、当該第1樹脂組成物は、プロピレン系樹脂とエチレン−1−ブテン共重合体ゴム(EBR)との合計含有量100質量%に対して、プロピレン系樹脂を50〜90質量%、エチレン−1−ブテン共重合体ゴム(EBR)を10〜50質量%含有する。
前記第1樹脂組成物又は前記ヒートシール層が、上記のような組成を有することにより、包装袋の易開封シールを得るための温度条件を低温領域であって比較的広い温度範囲にすることができるので易開封シールを形成しやすい。また、高温領域で溶融接着した部位の凝集破壊による当該部位の剥がれを十分に防止することができるので、溶断シール強度を十分向上させることができる。
本実施形態において、ヒートシール層又は当該ヒートシール層を形成する第1樹脂組成物は、プロピレン系樹脂を含有する。これにより、高温領域で溶融接着した際の溶断シール強度を確保することができる。
プロピレン系樹脂としては、特に限定されないが例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、プロピレンとエチレン以外のその他のα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレンとエチレンと1−ブテンが共重合されたプロピレン系ターポリマー、プロピレンとエチレンとジエンが共重合されたプロピレン系ターポリマーが挙げられる。
また、上記その他のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1等が挙げられ、これらの2種以上を同時に共重合したものであってもよい。共重合形式としてはランダム共重合、ブロック共重合のいずれもでも使用できる。
なお、プロピレン系樹脂がプロピレン単量体単位と他の単量体単位との共重合樹脂を含む場合には、当該樹脂中におけるプロピレン単量体単位の含有量が他の単量体単位の含有量よりも多く、主体割合となる。また、具体的には、共重合樹脂においてプロピレン単量体単位の含有量が80mol%以上であり、好ましいは90mol%以上である。
また、これらのプロピレン系樹脂は、1種単独又は2種以上の組み合わせで用いてもよい。なお、「単量体単位」とは、高分子の構成単位を形成する繰り返し単位を意味し、例えばプロピレン単量体単位は、高分子中のプロピレン単量体の繰り返し単位(残基)をいう。
本実施形態において、ヒートシール層におけるプロピレン系樹脂としては、上記の中でも、プロピレン系ターポリマー、具体的には、プロピレンとエチレンと1−ブテンが共重合されたプロピレン系ターポリマー、プロピレンとエチレンとジエンが共重合されたプロピレン系ターポリマー等が好ましく、プロピレンとエチレンと1−ブテンが共重合されたプロピレン系ターポリマーであることがより好ましい。プロピレン系樹脂としてプロピレン系ターポリマーを用いることにより、比較的低温でヒートシールできることから、安定したシール強度を得ることができる。
プロピレン系ターポリマーは、プロピレン単量体単位の含有量が80mol%以上であり、好ましいは90mol%以上である。
本実施形態において、第1樹脂組成物中のプロピレン系樹脂の含有量は、プロピレン系樹脂とエチレン−α−オレフィン共重合体の熱可塑性エラストマーとの合計含有量100質量%に対して、50〜90質量%であり、好ましくは55〜80質量%であり、より好ましくは60〜70質量%である。
当該含有量を50質量%以上とすることにより、ヒートシール層又は第1樹脂組成物中にエチレン−1−ブテン共重合体ゴム(EBR)由来の島相が多くなりすぎず、溶融接着部の凝集破壊を抑制することができるので、溶断シール強度を向上させることができる。また、当該含有量を90質量%以下とすることにより、当該EBRをヒートシール層又は第1樹脂組成物中にある程度存在させることができるので、易開封シールの適切なシール強度を得るとともに、その形成条件を広くすることができる。また、ヒートシール層の総量(100質量%)に対するプロピレン系樹脂の含有量も実質的には上記と同様の範囲である。
ヒートシール層に使用するプロピレン系樹脂のメルトフローレートは、特に限定はされないが、2〜20g/10分であることが好ましく、より好ましくは4〜15g/10分であり、さらに好ましくは5〜10g/10分である。当該メルトフローレートが2g/10分以上であることにより、押出負荷が小さくなるために押出機の吐出量を大きくすることができるため、効率的に製造することができ、当該メルトフローレートが20g/10分以下であることにより、溶融粘度が低くなり過ぎず、安定的に製造することができる。
なお、本実施形態において、メルトフローレートは、JIS K7210に準拠して、190℃または230℃、21.18Nで測定した値とすることができる。
ヒートシール層に使用するプロピレン系樹脂の融点は、100〜150℃であることが好ましく、110〜145℃であることがより好ましい。当該融点が100℃以上であることにより、耐熱性を向上することができる。また、当該融点が150℃以下であることにより、比較的低温でヒートシールすることができ、安定したシール強度を得ることすることができる。なお、本実施形態において、融点は、示差走査熱量計(DSC)により求められる吸熱ピーク温度である。
ヒートシール層に使用するプロピレン系樹脂の密度は、特に限定されないが、0.88〜0.90g/cmであることが好ましい。
本実施形態において、ヒートシール層又は当該ヒートシール層を形成する第1樹脂組成物は、エチレン−α−オレフィン共重合体の熱可塑性エラストマー(以下、単に、熱可塑性エラストマーとも称す)として、エチレン−1−ブテン共重合体ゴム(EBR)を含有する。当該エチレン−1−ブテン共重合体ゴムは、上記のプロピレン系樹脂と十分に相溶しにくく、第1樹脂組成物の相構造が海島構造となるが、当該熱可塑性エラストマーを含有することにより、島相であるエチレン−1−ブテン共重合体ゴムが低温領域で主に溶融するので適度なシール強度を有する易開封シールを得ることができる。また、当該エチレン−1−ブテン共重合体ゴムは第1樹脂組成物中の分散性が良好であるので、溶融接着した際に凝集破壊が生じにくくなり、溶断シール強度を向上させることができる。また、エチレン−1−ブテン共重合体ゴムは、プロピレン系樹脂と比較して低融点なので、より適切な易開封シールのシール強度を得つつ、その形成条件を広くすることができる。
エチレン−1−ブテン共重合体ゴムにおけるブテン単量体単位の含有量は、特に限定されないが、全単量体単位に対して、5〜25mol%であることが好ましい。
本実施形態において、第1樹脂組成物中のエチレン−1−ブテン共重合体ゴムの含有量は、プロピレン系樹脂とエチレン−1−ブテン共重合体ゴムとの合計含有量100質量%に対して、10〜50質量%であり、好ましくは20〜45質量%であり、より好ましくは30〜40質量%である。
当該含有量を10質量%以上とすることにより、適度な易開封シールのシール強度を得るとともに、その形成条件を広くすることができ、また、50質量%以下とすることにより、易開封シールのシール強度が大きくなりすぎず、また、溶融接着した際に凝集破壊が生じにくくなり、溶断シール強度を確保することができる。また、ヒートシール層の総量(100質量%)に対するエチレン−1−ブテン共重合体ゴムの含有量も実質的には上記と同様の範囲である。
本発明において、エチレン−1−ブテン共重合体ゴムの密度は、特に限定されないが、0.86〜0.90g/cmであることが好ましく、より好ましくは0.87〜0.89g/cmである。密度がこの範囲にあるエチレン−α−オレフィン共重合体を用いることにより、適度な易開封シールの強度を得ることができる。
本発明において、エチレン−1−ブテン共重合体ゴムの190℃におけるメルトフローレートは、特に限定はされないが、1〜10g/10分であることが好ましく、より好ましくは2〜7g/10分であり、さらに好ましくは3〜5g/10分である。当該メルトフローレートが1g/10分以上であることにより、プロピレン系樹脂中に良好に分散することができ、当該メルトフローレートが10g/10分以下であることにより、プロピレン系樹脂中に適度な海島構造を形成することができる。
本実施形態において、ヒートシール層又は第1樹脂組成物には、必要に応じて他の熱可塑性樹脂や各種の添加剤、例えば、防曇剤、帯電防止剤、熱安定剤、造核剤、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、離型剤、紫外線吸収剤等の成分を、本発明の目的を損なわない範囲で添加してもよい。
本実施形態において、第1樹脂組成物中のプロピレン系樹脂とエチレン−1−ブテン共重合体ゴムとの合計含有量は、第1樹脂組成物100質量%中において、95質量%以上であることが好ましく、より好ましくは98質量%以上であり、さらに好ましくは100質量%である。また、ヒートシール層の総量(100質量%)に対するプロピレン系樹脂とエチレン−1−ブテン共重合体ゴムとの合計含有量も実質的には上記と同様の範囲である。
本実施形態において、ヒートシール層の厚さ(平均厚さ)は1.5〜10μmであることが好ましく、より好ましくは2〜8μmであり、更に好ましくは4〜6μmである。当該厚さを1.5μm以上にすることにより、適度な接着力を得ることができ、当該厚さを10μm以下にすることにより強固な溶断シール強度を得ることができる。
なお、本実施形態において、ヒートシール層を含め各層の厚さ(平均厚さ)は、断面を光学顕微鏡で3〜5箇所観察して、その相加平均値とすることにより測定することができる。
〈中間層〉
本実施形態において、中間層は、ヒートシール層と表面層との間に形成された層であり、プロピレン系樹脂を主たる樹脂成分として含有する。また、中間層は第2樹脂組成物から形成することができる。そして、当該第2樹脂組成物が、プロピレン系樹脂を主たる樹脂成分として含有する。
第2樹脂組成物が上記のような組成を有することにより、包装袋の強度を確保することができる。
本実施形態において、中間層におけるプロピレン系樹脂としては、特に限定されないが例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、プロピレンとエチレン以外のα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレンとエチレンと1−ブテンが共重合されたプロピレン系ターポリマー、プロピレンとエチレンとジエンが共重合されたプロピレン系ターポリマーが挙げられる。
また、その他のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1等が挙げられ、これらの2種以上を同時に共重合したものであってもよい。共重合形式としてはランダム共重合、ブロック共重合のいずれもでも使用できる。
また、これらのプロピレン系樹脂は、1種単独又は2種以上の組み合わせで用いてもよい。
上記の中でも、プロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体を含有することが好ましく、これにより包装袋の強度をより確保することができる。
なお、本実施形態において、第2樹脂組成物がプロピレン系樹脂を主たる樹脂成分として含有するとは、第2樹脂組成物が複数の樹脂を含有する場合において、プロピレン系樹脂を最も多く含有することを意味する。また、第2樹脂組成物100質量%に対して、プロピレン系樹脂の含有量が好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。また、中間層の総量(100質量%)に対するプロピレン系樹脂の含有量も実質的には上記と同様の範囲である。
中間層におけるプロピレン系樹脂のメルトフローレートは、特に限定はされないが、2〜20g/10分であることが好ましく、より好ましくは4〜15g/10分であり、さらに好ましくは5〜10g/10分である。当該メルトフローレートが2g/10分以上であることにより、押出負荷が小さくなるために押出機の吐出量を大きくすることができるため、効率的に製造することができ、当該メルトフローレートが20g/10分以下であることにより、溶融粘度が低くなり過ぎず、安定的に製造することができる。
また、本実施形態において、中間層又は第2樹脂組成物は直鎖状低密度ポリエチレンを含有することが好ましい。当該直鎖状低密度ポリエチレンを含有させることにより、好適な耐破袋性を付与させることができる。
また、第2樹脂組成物が直鎖状低密度ポリエチレンを含有する場合には、当該含有量は、プロピレン系樹脂100質量部に対して3〜40質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜30質量部であり、更に好ましくは7〜20質量部である。当該含有量を上記のような範囲にすることにより、包装袋のコシを十分確保しつつより好適な耐破袋性を付与することができる。また、中間層中の直鎖状低密度ポリエチレンの含有量も実質的には上記と同様の範囲である。
直鎖状低密度ポリエチレンの密度は0.915g/cm以下であることが好ましく、0.910g/cm以下であることがより好ましく、0.907g/cm以下であることがさらに好ましい。また、好適な溶断強度を得やすいことから、密度が、0.890g/cm以上であることが好ましく、0.895g/cm以上であることがより好ましい。
当該直鎖状低密度ポリエチレンのメルトフローレートは0.5〜15g/10分であることが好ましく、1.0〜10g/10分であることがより好ましい。
また、中間層又は第2樹脂組成物には、上述のヒートシール層又は第1樹脂組成物に含有することができる他の熱可塑性樹脂や各種の添加剤等を、本発明の目的を損なわない範囲で添加してもよい。
本実施形態において、中間層の厚さ(平均厚さ)は5〜40μmであることが好ましく、より好ましくは7〜35μmであり、更に好ましくは10〜30μmである。当該厚さを上記の範囲にすることにより、包装袋の強度を適度に確保することができる。
本実施形態において、第2樹脂組成物のメルトフローレートは、特に限定はされないが、2〜20g/10分であることが好ましく、より好ましくは4〜15g/10分であり、さらに好ましくは5〜10g/10分である。当該メルトフローレートが2g/10分以上であることにより、押出負荷が小さくなるために押出機の吐出量を大きくすることができるため、効率的に製造することができ、当該メルトフローレートが20g/10分以下であることにより、溶融粘度が低くなり過ぎず、安定的に製造することができる。
〈表面層〉
本実施形態において、表面層は、積層フィルムの一方の表面、具体的には包装袋の外側の表面を形成する樹脂層であり、プロピレン系樹脂を主たる樹脂成分として含有する。また、当該表面層は、第3樹脂組成物から形成することができる。そして、当該第3樹脂組成物はプロピレン系樹脂を主たる樹脂成分として含有する。
表面層におけるプロピレン系樹脂としては特に限定されない。例えば、上述した中間層で使用可能なプロピレン系樹脂と同一の樹脂を表面層に使用できる。そのため、表面層におけるプロピレン系樹脂の具体例については、上述した中間層で使用可能なプロピレン系樹脂の例を援用する。
なお、中間層において、プロピレン系樹脂がプロピレン単量体単位と他の単量体単位との共重合樹脂を含む場合には、当該共重合樹脂中におけるプロピレン単量体単位の含有量が他の単量体単位の含有量よりも多く、主体割合となる。また、具体的には、共重合樹脂においてプロピレン単量体単位の含有量が80mol%以上であり、好ましくは90mol%以上である。
また、これらのプロピレン系樹脂は、1種単独又は2種以上の組み合わせで用いてもよい。
本実施形態において、表面層に用いることができるプロピレン系樹脂としては、上記のプロピレン系樹脂の例示の中でも、プロピレン−エチレンランダム共重合体またはプロピレン系ターポリマー、具体的には、プロピレンとエチレンと1−ブテンが共重合されたプロピレン系ターポリマー、プロピレンとエチレンとジエンが共重合されたプロピレン系ターポリマー等が好ましく、より好ましいプロピレンとエチレンと1−ブテンが共重合されたプロピレン系ターポリマーである。
プロピレン系樹脂としてプロピレン−エチレンランダム共重合体またはプロピレン系ターポリマーを用いることにより、安定したガゼット強度することができる。
本実施形態において、第3樹脂組成物中のプロピレン系樹脂の含有量は、第3樹脂組成物100質量%に対して、50〜100質量%であり、好ましくは70〜100質量%であり、より好ましくは90〜100質量%である。
当該含有量を50質量%以上とすることにより、ガゼット強度を強固なものにすることができ、プロピレン系樹脂の含有量が多ければ多いほどガゼット強度が上がる傾向がある。また、表面層の総量(100質量%)に対するプロピレン系樹脂の含有量も実質的には上記と同様の範囲である。
表面層に使用するプロピレン系樹脂のメルトフローレートは、特に限定はされないが、2〜20g/10分であることが好ましく、より好ましくは4〜15g/10分であり、さらに好ましくは5〜10g/10分である。当該メルトフローレートが2g/10分以上であることにより、押出負荷が小さくなるために押出機の吐出量を大きくすることができるため、効率的に製造することができ、当該メルトフローレートが20g/10分以下であることにより、溶融粘度が低くなり過ぎず、安定的に製造することができる。
表面層に使用するプロピレン系樹脂の融点は、100〜150℃であることが好ましく、110〜145℃であることがより好ましい。当該融点が100℃以上であることにより、耐熱性を向上することができる。また、当該融点が150℃以下であることにより、積層フィルムを用いてガゼット部を有する包装袋とした場合において、ガゼット部の溶融接着部の溶断シール強度を向上させることができる。なお、本実施形態において、融点は、示差走査熱量計(DSC)により求められる吸熱ピーク温度である。
表面層に使用するプロピレン系樹脂の密度は、特に限定されないが、0.88〜0.91g/cmであることが好ましい。
また、表面層又は第3樹脂組成物には、上述のヒートシール層又は第1樹脂組成物に含有することができる他の熱可塑性樹脂や各種の添加剤等を、本発明の目的を損なわない範囲で添加してもよい。
本実施形態において、表面層の厚さ(平均厚さ)は1.5〜10μmであることが好ましく、より好ましくは2〜8μmであり、更に好ましくは4〜6μmである。当該厚さを上記の範囲にすることにより、積層フィルムを用いてガゼット部を有する包装袋とした場合において、ガゼット部での溶断シール強度を向上させることができる。
本実施形態の積層フィルムは、そのまま用いて例えば包装袋を製造してもよいが、例えば表面層の表面に、内容物の商品訴求力向上のための印刷等を施すことができ、また、印刷等を施すにあたっては表面層の表面に表面処理を施すことも好ましい。このような表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理等の表面酸化処理、あるいはサンドブラスト等の表面凹凸処理を挙げることができるが、好ましくはコロナ処理である。
なお、積層フィルムには、上記のヒートシール層、中間層、表面層以外の層を設けることもできる。
〈積層フィルムの特性〉
ここで、本実施形態において、積層フィルムの厚さ(平均厚さ)は、20〜50μmであることが好ましい、より好ましくは25〜45μmであり、さらに好ましくは30〜40μmである。当該厚さを上記の範囲にすることにより、十分な耐破袋性を示すことができる。本実施形態において、積層フィルムの厚さはダイヤルゲージを用いて測定することができる。
本実施形態において、積層フィルムは、後述の実施例の欄に記載の条件で測定したヒートシール強度が0.1〜5N/15mmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.2〜4N/15mmであり、さらに好ましくは0.5〜3N/15mmである。ヒートシール強度が上記範囲であることにより、包装袋の易開封シールのシール強度を好適にすることができる。
本実施形態において、積層フィルムは、後述の実施例の欄に記載の条件で測定したヒートシール強度が0.5〜3N/15mmの範囲になる場合、広い温度範囲を示すことが好ましく、例えば、当該温度範囲としては、90〜130℃を少なくとも含むことが好ましい。ヒートシール強度が0.5〜3Nの範囲になる温度範囲が少なくとも上記範囲を含むことにより、包装袋の易開封シールを好適に形成しやすくすることができる。
また、積層フィルムは、溶断刃300℃、120枚/分の条件で測定した溶断シール強度が15〜30N/15mmの範囲であることが好ましく、より好ましくは16〜30N/15mmであり、さらに好ましくは17〜30N/15mmである。溶断シール強度が上記範囲であることにより、包装袋の溶断接着部位の剥がれを十分に抑制することができる。
〈積層フィルムの製造方法〉
本実施形態の積層フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、各層に用いる樹脂又は樹脂混合物を、それぞれ別々の押出機で加熱溶融させ、共押出多層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で積層した後、インフレーションやTダイ・チルロール法等によりフィルム状に成形する共押出法が挙げられる。この共押出法は、各層の厚さの比率を比較的自由に調整することが可能で、衛生性に優れ、コストパフォーマンスにも優れた多層フィルムが得られるので好ましい。当該製造方法により得られる積層フィルムは、実質的に無延伸の多層フィルムとして得られるため、真空成形による深絞り成形等の二次成形も可能となる。
〈積層フィルムの用途〉
本実施形態の積層フィルムは、特に限定されないが、例えば、食品、薬品、工業部品、雑貨、雑誌等の用途に用いる包装袋、容器、容器の蓋材等が挙げられる。その中でも、食パン、菓子パン等を収容する包装袋として用いることが好ましい。
〔包装袋〕
本実施形態の包装袋は、上記の本発明の積層フィルムを用いて得られるものであり、積層フィルムのヒートシール層同士を重ねて溶融接着、あるいは表面層とヒートシール層とを重ね合わせて溶融接着することにより形成することができる。換言すれば、本実施形態の包装袋において、積層フィルム中のヒートシール層の少なくとも一部が(包装袋の)内表面側に配され、かつ表面層の少なくとも一部が(包装袋の)外表面側に存在し、(包装袋の)外表面の少なくとも一部に溶融接着した部位が存在する。
具体的な包装袋としては、ヒートシール層を内側に折り曲げた1枚の積層フィルムを当該折り曲げ方向に対して略垂直方向の両端部(換言すると、折り返し部の両端部)で溶融接着した溶融接着部位を有する包装袋とすること、あるいは複数枚の積層フィルムを少なくとも一方のヒートシール層を内側にして重ね、溶融接着することで形成された包装袋とすることができる。なお、必要により、後述のようにヒートシール層の折り返し部(折り曲げ部とも称する。)にガゼット部を形成してもよい。さらには自動包装機によりロール状の積層フィルムから形成した円筒形の積層フィルムの端部をシールした後、上下をシールすることにより包装袋を形成することも可能である。
また、上記の積層フィルムのヒートシール層と、当該ヒートシール層とヒートシール可能な別のフィルムを重ねて包装袋・容器を形成することも可能である。
本実施形態の包装袋としては、上記の中でもヒートシール層を内側に折り曲げた1枚の積層フィルムを当該折り曲げ方向に対して略垂直方向の両端部で溶融接着した溶融接着部位を有する包装袋とすることが好ましく、より好ましくは、ヒートシール層の折り目である折り返し部(底部)にガゼット部を有する包装袋である。
また、本実施形態の包装袋は、例えば包装袋に内容物を収容したあとの状態において、包装袋の開口部にヒートシール層同士をヒートシールした易開封シールを形成することができる。
本実施形態の包装袋として、積層フィルムのヒートシール層同士を重ねて溶融接着された包装袋の製造方法としては、具体的には、積層フィルムのヒートシール層が内側になるように折り曲げて、所望の幅になるように積層フィルムを溶融接着および切断することで得ることができる。また包装袋が底部にガゼット部を有している場合には、積層フィルムのヒートシール層が内側になるように折り曲げて、折り曲げ部(折り返し部とも称する。)と1対の側面部とを形成し、ついで、当該1対の側面部の間に挟み込むように当該折り曲げ部を折り返しつつ、当該1対の側面部の折り曲げ部付近を内側に折り込むことで、積層フィルムが4層重なったガゼット部を形成し、そして、所望の幅になるように積層フィルムを溶融接着および切断(溶断)することで得ることができる。
〔包装方法〕
本実施形態の包装方法は、上記の本発明の実施形態にかかる包装袋を用いて、内容物を収容する方法である。具体的には、上記の本発明の積層フィルムを用いて、積層フィルムのヒートシール層を内側にして溶融接着して所望の包装袋を得た後、包装袋の内部に内容物を収容するとともに当該包装袋の開口部を、袋の形態を維持したままで開封可能となる加熱条件でヒートシール(易開封シールを形成)する。
この際、溶断部位の溶断シール強度が7.5N〜30N/15mm、好ましくは10〜30N/15mmとなるよう溶断シール温度や製袋速度を調整することが好ましい。
また易開封シールのヒートシール強度が、0.1〜5N/15mm、好ましくは0.2〜4N/15mmとなることが好ましい。
さらに、上記易開封シールを形成したのち、必要に応じて、袋の上部をプラスチック板、テープ、ひも等の結束具を用いて結束により封止してもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記の例に限定されることは無く、適宜変更を加えることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例になんら限定されるものではない。
<樹脂材料>
実施例および比較例で使用した樹脂材料は以下の通りである。
(I)プロピレン−エチレン−1−ブテン三元共重合体(以下、PP1):〔エチレン単量体単位の含量4重量%及び1−ブテン単量体単位含量4重量%含有、密度0.9g/cm、メルトフローレート(以下、MFRと称する。)(230℃)=8g/10min〕
(II)プロピレン−エチレンランダム共重合体(以下、PP2):〔エチレン単量体単位含量5重量%、密度0.9g/cm、MFR(230℃)=8g/10min〕
(III)プロピレン単独重合体(以下、PP3):〔密度0.9g/cm、MFR(230℃)=8g/10min〕
(IV)エチレン−1−ブテン共重合体(以下、EL1):〔密度0.88g/cm、MFR(190℃)=4g/10min〕
(V)エチレン−1−オクテン共重合体(以下、EL2):[密度=0.88g/cm、MFR(190℃)=3g/10min]
(VI)エチレン−1−オクテン共重合体(以下、EL3):〔密度0.90g/cm、MFR(190℃)=3g/10min〕
<測定及び評価方法>
各実施例および比較例で得られた積層フィルムの測定及び評価は、次の方法に基づいて行った。
(1)溶断シール強度の評価
実施例及び比較例にて得られた積層フィルムのヒートシール層を内側にしてフィルムを半折後、底部にガゼットを入れて、シール温度(製袋温度)300℃で溶断シールして製袋(製袋機:トタニ技研工業(株)製HK−40、製袋速度:120枚/分)して底ガゼット袋(縦:345mm(サイド部:245mm、ガゼット部:60mm)、横235mm)を作製した。得られた底ガゼット袋5枚を用いて、ガゼット部以外のサイド部の溶融接着部の中央から、それぞれ長さ70mm、幅15mmの試験片を、溶断シール部が長さ方向の中央部となるよう10枚ずつ切り出した。当該10枚の試験片を、23℃、引張速度300mm/分でテンシロン引張試験機((株)エー・アンド・デー製)で引っ張った際の最大荷重を溶断強度として測定した。そして、得られた溶断強度値を以下の基準で判断した。
良好:サイド部の溶断強度がいずれも15N/15mm以上
不良:サイド部の少なくとも一方の溶断強度が15N/15mm未満
(2)易開封シール形成の容易性の評価
実施例及び比較例にて得られた積層フィルムを用いて上記溶断シール強度評価と同様にして底ガゼット袋を作製した。得られた底ガゼット袋の開口部上端から下に50mmの部分に開口部と平行にヒートシーラー(テスター産業(株)製:圧力0.2MPa、時間1秒間、シール温度:上部シールバー90〜140℃、下部シールバー50℃、シールバー形状:300m×10mmの平面)でヒートシールした。得られた底ガゼット袋5枚のヒートシール部から、それぞれ長さ70mm、幅15mmの試験片を、ヒートシール部が幅方向の中央部となるよう2枚ずつそれぞれ10枚ずつ切り出した。当該10枚の試験片を、23℃、引張速度300mm/分でテンシロン引張試験機((株)エー・アンド・デー製)で引き剥がすときの最大荷重をヒートシール強度として測定した。
そして、上記の測定方法により、ヒートシール温度80℃〜140℃の間における、5℃間隔ごとのヒートシール強度を測定して、ヒートシール強度とヒートシール温度との関係を表す検量線を作成した後、当該ヒートシール強度が、0.5及び3.0N/15mmを示した時のヒートシール温度を、それぞれT1℃及びT2℃とし、その温度の差ΔTを前記検量線から算出した。そして、得られたΔTの数値を以下の基準で判断した。
良好:ΔTが8℃以上
不良:ΔTが8℃未満
(3)剛性の評価
実施例及び比較例にて得られた積層フィルムの23℃における1%割線モジュラス(単位:MPa)を、ASTM D−882に基づき、テンシロン引張試験機〔株式会社エー・アンド・デー製〕を用いて測定した。測定はフィルム製造時の押出方向(以下、「MD」という)及びフィルム幅方向(以下、「CD」という)にて実施した。
(4)衝撃強度の評価
実施例及び比較例にて得られた積層フィルムを、0℃下に調整した恒温室内で6時間保持した後、直径1.5インチの球状の金属性の衝撃頭を用いてフィルムインパクト法による衝撃強度を測定した。そして、得られた衝撃強度(J)の値を以下の基準で判断した。
良好:衝撃強度が0.20J以上
合格:衝撃強度が0.15J以上0.20J未満
不合格:衝撃強度が0.10J以上0.15J未満
不良:衝撃強度が0.10J未満
続いて、実施例および比較例を説明する。
(実施例1)
ヒートシール層(A)として、プロピレン−エチレン−1−ブテン三元共重合体(PP1)62重量%とエチレン−1−ブテン共重合体(EL1)38重量%とからなる混合物を使用した。また、中間層(B)として、プロピレン単独重合体(PP3)50重量%とプロピレン−エチレンランダム共重合体(PP2)40重量%とエチレン−1−オクテン共重合体(EL3)10重量%との混合物を使用した。さらに、表面層(C)として、プロピレン−エチレン−1−ブテン三元共重合体(PP1)を使用した。それぞれ各層に使用する重合体を3台の押出機に供給し、ヒートシール層(A)と中間層(B)と表面層(C)の平均厚さが6μm/18μm/6μmとなるように共押出して、厚さ30μmの三層フィルムを成形した。
得られた三層フィルムの表面層(C)に、表面層(C)の表面エネルギーが36mN/mとなるようにコロナ放電処理を施し、35℃で48時間熟成し実施例1のフィルムを得た。
(実施例2〜7)
ヒートシール層(A)、中間層(B)及び表面層(C)として、下記表1に記載の樹脂組成の混合物をそれぞれ使用した。そして、上記実施例1と同様に、各層で使用する樹脂組成のそれぞれの混合物を3台の押出機に供給し、ヒートシール層(A)と中間層(B)と表面層(C)の平均厚さが6μm/18μm/6μmとなるように共押出して、厚さ30μmの三層フィルムを成形した。
その後、得られた三層フィルムの表面層(C)に、表面層(C)の表面エネルギーが36mN/mとなるようにコロナ放電処理を施し、35℃で48時間熟成し実施例2〜7のフィルムを得た。
(比較例1〜7)
ヒートシール層(A)、中間層(B)及び表面層(C)として、下記表1に記載の樹脂組成の混合物をそれぞれ使用した。そして、上記実施例1と同様の方法で、ヒートシール層(A)と中間層(B)と表面層(C)の平均厚さが6μm/18μm/6μmとなるように共押出して、厚さ30μmの三層フィルムを成形した。
その後、得られた三層フィルムの表面層(C)に、表面層(C)の表面エネルギーが36mN/mとなるようにコロナ放電処理を施し、35℃で48時間熟成し比較例1〜7のフィルムを得た。
上記方法により得られた、実施例1〜7のフィルム及び比較例1〜7のフィルムについて、上述した、溶断シール強度の評価、易開封シール形成の容易性の評価、剛性の評価及び衝撃強度の評価を行った。その結果を、下記表1に示す。
Figure 2021039352
上記表1の評価結果から、実施例1〜7のフィルムはいずれも、易開封シールを形成しやすく、且つ、優れた溶断シール強度を示す積層フィルムであることが確認された。
本開示によれば、易開封シールを形成しやすく、且つ、溶断シール強度を十分向上させることができる積層フィルム、および、包装方法を提供することができる。

Claims (8)

  1. 少なくとも、ヒートシール層と、中間層と、表面層と、を有し、一方の表層がヒートシール層であり他方の表層が表面層である積層フィルムであって、
    前記ヒートシール層が、プロピレン系樹脂とエチレン−1−ブテン共重合体ゴム(EBR)との合計含有量100質量%に対して、プロピレン系樹脂を50〜90質量%、エチレン−1−ブテン共重合体ゴム(EBR)を10〜50質量%含有し、
    前記中間層及び前記表面層が、プロピレン系樹脂を主たる樹脂成分として含有することを特徴とする、積層フィルム。
  2. 前記ヒートシール層中のプロピレン系樹脂が、プロピレン系ターポリマーを含有する、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記表面層中のプロピレン系樹脂が、プロピレン−エチレンランダム共重合体又はプロピレン系ターポリマーを含有する、請求項1又は2のいずれかに記載の積層フィルム。
  4. 前記中間層中のプロピレン系樹脂が、プロピレン単独重合体を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 前記中間層が直鎖低密度ポリエチレンを含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 前記積層フィルムの厚さが20〜50μmである、請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
  7. 前記ヒートシール層の厚さが1.5〜10μmである、請求項1〜6のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の積層フィルムを用いて、前記ヒートシール層を内側にして溶融接着して包装袋を得、当該包装袋の内部に内容物を収容するとともに当該包装袋の開口部を、袋の形態を維持したままで開封可能となる加熱条件でヒートシールする、包装方法。
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