JPWO2021001961A1 - 香味吸引物品用部材、香味吸引物品、香味吸引物品用フェノール捕捉剤及び香味吸引物品用部材の製造方法 - Google Patents

香味吸引物品用部材、香味吸引物品、香味吸引物品用フェノール捕捉剤及び香味吸引物品用部材の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2021001961A1
JPWO2021001961A1 JP2021529630A JP2021529630A JPWO2021001961A1 JP WO2021001961 A1 JPWO2021001961 A1 JP WO2021001961A1 JP 2021529630 A JP2021529630 A JP 2021529630A JP 2021529630 A JP2021529630 A JP 2021529630A JP WO2021001961 A1 JPWO2021001961 A1 JP WO2021001961A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substance
phenol
flavor
filter
flavor suction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2021529630A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7230201B2 (ja
Inventor
凌太 松葉
啓之 久保田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Tobacco Inc
Original Assignee
Japan Tobacco Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Tobacco Inc filed Critical Japan Tobacco Inc
Publication of JPWO2021001961A1 publication Critical patent/JPWO2021001961A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7230201B2 publication Critical patent/JP7230201B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A24TOBACCO; CIGARS; CIGARETTES; SIMULATED SMOKING DEVICES; SMOKERS' REQUISITES
    • A24DCIGARS; CIGARETTES; TOBACCO SMOKE FILTERS; MOUTHPIECES FOR CIGARS OR CIGARETTES; MANUFACTURE OF TOBACCO SMOKE FILTERS OR MOUTHPIECES
    • A24D3/00Tobacco smoke filters, e.g. filter-tips, filtering inserts; Filters specially adapted for simulated smoking devices; Mouthpieces for cigars or cigarettes
    • A24D3/06Use of materials for tobacco smoke filters
    • A24D3/08Use of materials for tobacco smoke filters of organic materials as carrier or major constituent
    • A24D3/10Use of materials for tobacco smoke filters of organic materials as carrier or major constituent of cellulose or cellulose derivatives
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A24TOBACCO; CIGARS; CIGARETTES; SIMULATED SMOKING DEVICES; SMOKERS' REQUISITES
    • A24DCIGARS; CIGARETTES; TOBACCO SMOKE FILTERS; MOUTHPIECES FOR CIGARS OR CIGARETTES; MANUFACTURE OF TOBACCO SMOKE FILTERS OR MOUTHPIECES
    • A24D3/00Tobacco smoke filters, e.g. filter-tips, filtering inserts; Filters specially adapted for simulated smoking devices; Mouthpieces for cigars or cigarettes
    • A24D3/02Manufacture of tobacco smoke filters
    • A24D3/0204Preliminary operations before the filter rod forming process, e.g. crimping, blooming
    • A24D3/0212Applying additives to filter materials
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A24TOBACCO; CIGARS; CIGARETTES; SIMULATED SMOKING DEVICES; SMOKERS' REQUISITES
    • A24DCIGARS; CIGARETTES; TOBACCO SMOKE FILTERS; MOUTHPIECES FOR CIGARS OR CIGARETTES; MANUFACTURE OF TOBACCO SMOKE FILTERS OR MOUTHPIECES
    • A24D3/00Tobacco smoke filters, e.g. filter-tips, filtering inserts; Filters specially adapted for simulated smoking devices; Mouthpieces for cigars or cigarettes
    • A24D3/02Manufacture of tobacco smoke filters
    • A24D3/0275Manufacture of tobacco smoke filters for filters with special features
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A24TOBACCO; CIGARS; CIGARETTES; SIMULATED SMOKING DEVICES; SMOKERS' REQUISITES
    • A24DCIGARS; CIGARETTES; TOBACCO SMOKE FILTERS; MOUTHPIECES FOR CIGARS OR CIGARETTES; MANUFACTURE OF TOBACCO SMOKE FILTERS OR MOUTHPIECES
    • A24D3/00Tobacco smoke filters, e.g. filter-tips, filtering inserts; Filters specially adapted for simulated smoking devices; Mouthpieces for cigars or cigarettes
    • A24D3/06Use of materials for tobacco smoke filters
    • A24D3/14Use of materials for tobacco smoke filters of organic materials as additive
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A24TOBACCO; CIGARS; CIGARETTES; SIMULATED SMOKING DEVICES; SMOKERS' REQUISITES
    • A24DCIGARS; CIGARETTES; TOBACCO SMOKE FILTERS; MOUTHPIECES FOR CIGARS OR CIGARETTES; MANUFACTURE OF TOBACCO SMOKE FILTERS OR MOUTHPIECES
    • A24D1/00Cigars; Cigarettes
    • A24D1/20Cigarettes specially adapted for simulated smoking devices

Abstract

フェノールに対する十分な選択濾過能力を有すると共に蔵置安定性に優れた香味吸引物品用部材を提供する。香味吸引物品用部材は、ベース部材と、前記ベース部材に担持され、下記式(1)〜(3)を満たす物質を含むフェノール捕捉剤とを含む。HSP(phenol)≦8 ・・・(1)Vp≦0.2Pa ・・・(2)DP≧50℃ ・・・(3)ここで、HSP(phenol)は、前記物質のハンセン溶解度パラメータと、フェノールのハンセン溶解度パラメータとの距離であり、Vpは前記物質の蒸気圧であり、DPは前記物質の滴点である。

Description

本発明は、香味吸引物品用部材、香味吸引物品、香味吸引物品用フェノール捕捉剤及び香味吸引物品用部材の製造方法に関する。
シガレット及び非燃焼型たばこなどの香味吸引物品のフィルタには、香味を維持しつつ、望ましくない成分を主流煙において低減することが求められている。そのための一つの手法として、特定の成分に対しての選択濾過能力を有する物質を、添加剤としてフィルタに担持させることが知られている。添加剤がフィルタから漏出すると、特定の成分に対するフィルタの選択濾過能力が低下する。それ故、このようなフィルタには、ユーザの吸引時まで、その選択濾過能力を維持するのに十分な量の上記添加剤が、フィルタ中に留まる蔵置安定性が必要である。
香味吸引物品を燃焼又は加熱させた場合に発生する、主流煙から濾過されるべき成分として、刺激の原因物質として知られているフェノールを挙げることができる。フェノールを選択的に濾過することにより、香味を改善することができる。
フェノールに対する選択濾過能力をフィルタへ付与するための添加剤としては、トリアセチン(GTA:Glycerol triacetate)及びトリエチルシトレート(TEC:Triethyl citrate)などが知られている。しかしながら、これら添加剤を使用したフィルタは、蔵置安定性について改善の余地がある。
本発明は、フェノールに対する十分な選択濾過能力を有すると共に蔵置安定性に優れた香味吸引物品用部材を提供することを目的とする。
1つの実施形態によると、ベース部材と、前記ベース部材に担持され、下記式(1)〜(3)を満たす物質を含むフェノール捕捉剤とを含む香味吸引物品用部材が提供される。
他の実施形態によると、実施形態に係る香味吸引物品用部材を備えた香味吸引物品が提供される。
他の実施形態によると、下記式(1)〜(3)を満たす物質を含む香味吸引物品用フェノール捕捉剤が提供される。
他の実施形態によると、下記式(1)〜(3)を満たす物質を含む香味吸引物品用フェノール捕捉剤を、ベース部材に担持させることを含む香味吸引物品用部材の製造方法が提供される。
HSP(phenol)≦8 ・・・(1)
Vp≦0.2Pa ・・・(2)
DP≧50℃ ・・・(3)
ここで、HSP(phenol)は、前記物質のハンセン溶解度パラメータと、フェノールのハンセン溶解度パラメータとの距離であり、Vpは前記物質の蒸気圧であり、DPは前記物質の滴点である。
本発明によれば、フェノールに対する十分な選択濾過能力を有すると共に蔵置安定性に優れた香味吸引物品用部材を提供することができる。
物質のハンセン溶解度パラメータを3次元座標上に示す図。 刻み移行量評価におけるスクリュー管瓶の一例を示す図。 蒸気圧に対する刻み移行量をプロットしたグラフ。 分配係数に対する刻み移行量をプロットしたグラフ。 喫煙物品の一例を示す断面図。 シート材料からなる濾材を含んだフィルタの一例を示す断面図。 波形フィルムの一例を示す斜視図。 加熱型香味吸引器の一例を示す斜視図 非燃焼加熱型香味吸引物品の一例を示す断面図。 エアロゾル生成装置の内部構造を示す図。 フェノール選択濾過性能の経時安定性に関するグラフ。 フェノール選択濾過性能の経時安定性に関する他のグラフ。 フェノール捕捉剤の漏出試験に関する写真。 フェノール捕捉剤の漏出試験に関する他の写真。
以下、本発明を詳細に説明するが、以下の説明は、本発明を詳説することを目的とし、本発明を限定することを意図していない。
実施形態に係るフェノール捕捉剤は、下記式(1)〜(3)を満たす物質を含む香味吸引物品用フェノール捕捉剤である。
HSP(phenol)≦8 ・・・(1)
Vp≦0.2Pa ・・・(2)
DP≧50℃ ・・・(3)
ここで、HSP(phenol)は、前記物質のハンセン溶解度パラメータと、フェノールのハンセン溶解度パラメータとの距離であり、Vpは前記物質の蒸気圧であり、DPは前記物質の滴点である。
<1.香味吸引物品用部材>
本発明者らは、フェノールに対する選択濾過能力を有すると共に、蔵置安定性に優れた香味吸引物品用部材を模索する中で、モノオレイン酸グリセリルを添加剤(フェノール捕捉剤)としてベース部材に担持させた香味吸引物品用部材によると、所望の効果が得られることを見出した。そこで、モノオレイン酸グリセリルに関して、種々のパラメータを測定した。以下、測定したパラメータについて説明する。なお、ベース部材については後で説明するが、ベース部材は、シガレットなどの喫煙物品を構成する部材、非燃焼加熱型香味吸引物品を構成する部材及び非燃焼非加熱型香味吸引物品を構成する部材のうちの1種でありうる。
或る物質に関して特定されるパラメータのうち、フェノール選択濾過能力へ影響を及ぼすものとして、ハンセン溶解度パラメータHSP(HSP:Hansen Solubility Parameters)を挙げることができる。
ハンセン溶解度パラメータは、ヒルデブラント氏によって導入された溶解度パラメータδt(SP:Solubility Parameter)を、分子間の分散力寄与項δd、分子間の双極子相互作用寄与項δp、及び、分子間の水素結合寄与項δhに分解することにより、適用可能な物質を、極性物質及び水素結合を生じる物質まで拡張したものである。本件明細書及び請求の範囲において、「ハンセン溶解度パラメータ」という記載は、温度の記載がない場合は、25℃におけるハンセン溶解度パラメータを意味する。溶解度パラメータδtと、3つの寄与項との関係を下記式に示す。
Figure 2021001961
分散力寄与項δd、双極子相互作用寄与項δp及び水素結合寄与項δhの3つのパラメータは、それぞれのパラメータを軸とした3次元空間における座標とみなすことができる。特定の温度において、種々の物質は固有のHSPを有しているため、それら物質のHSPは、図1に示すように、この3次元空間において位置が異なる点として表現される。或る物質iと、他の物質jとの溶解性(相溶性)は、下記式で表される2点間の距離Rijが小さいほど高いと考えられている。
Figure 2021001961
それ故、或る物質Xがフェノール選択濾過能力へ及ぼす影響の大きさは、上記3次元空間におけるフェノールのHSPの位置と、当該物質XのHSPの位置との距離を求めることで評価できる。本件明細書及び請求の範囲においては、フェノールのハンセン溶解度パラメータと、或る物質Xのハンセン溶解度パラメータとから上記等式にしたがって得られる距離RijをHSP(phenol)と定義する。
モノオレイン酸グリセリルのHSP(phenol)は7.14である。HSP(phenol)が8以下である物質は、実用的なフェノール選択濾過能力を実現し得るものであると判断することができる。これは、高いフェノール選択濾過能力を実現できることが確認されているプロピレングリコールのHSP(phenol)が8であることに基づいている。実施形態に係る香味吸引物品用部材は、HSP(phenol)が8以下である物質を含むフェノール捕捉剤を含む。フェノール捕捉剤が含む物質のHSP(phenol)は、値が小さいほど好ましいが、例えば、0以上である。物質のHSP(phenol)は0.5以上であってもよく、1以上であってもよく、2以上であってもよく、5以上であってもよい。
蔵置安定性に影響を及ぼすパラメータとしては、蒸気圧Vp及び滴点DPを挙げることができる。この理由を説明する。
香味吸引物品は、通常、ポリプロピレンフィルムで覆われた密閉空間において長期間に亘って蔵置される。フィルタ等の香味吸引物品用部材に添加された添加剤は、長期間に亘る蔵置中にたばこ刻みへ移行する可能性がある。一方で、ユーザが香味を吸引する際に、特定成分を選択的に濾過するには、添加剤はフィルタ等に留まっている必要がある。
フィルタ等からたばこ刻みへの添加剤の移行は、主に気相を介して発生する。それ故、この移行を抑制するためには、添加剤が、低い蒸気圧を有する物質を含んでいることが望ましい。
モノオレイン酸グリセリルの蒸気圧Vpは、25℃において0Paである。なお、本件明細書及び請求の範囲において、「蒸気圧」という記載は、温度の記載がない場合は、25℃における蒸気圧を意味する。上述の理由から、実施形態に係るフェノール捕捉剤(添加剤)が含む物質の蒸気圧Vpは、25℃において0Paであることが望ましい。しかしながら、25℃における蒸気圧Vpは0Paである必要はなく、0.2Pa以下であれば、たばこ刻みへの捕捉剤の移行は生じ難い。このことは、以下に説明する刻み移行量評価から見出された。
(刻み移行量評価)
まず、密閉可能な第1スクリュー管瓶50内に、シガレット1本分のたばこ刻み22をほぐして入れる。この評価では、シガレット1本分のたばこ刻みの質量は560mgであるとする。第1スクリュー管瓶50として、株式会社マルエム製の規格No.7(容積50mL)を使用する。別の第2スクリュー管瓶51を用意し、第2スクリュー管瓶51内に評価対象の物質を0.5mL入れる。第2スクリュー管瓶51として、株式会社マルエム製の規格No.1(容積4mL)を使用する。評価対象の物質が入った第2スクリュー管瓶51を、これに蓋をすること無しに第1スクリュー管瓶50の内部に置き、第1スクリュー管瓶50に蓋をする。こうして、第1スクリュー管瓶50内の密閉された系において、評価対象の物質とたばこ刻み52とが共存した状態をつくる。こうして準備した第1スクリュー管瓶50を、55℃、60%RHの環境下で3週間蔵置する。図2は、準備した第1スクリュー管瓶50を蔵置させている様子を概略的に示す図である。3週間の蔵置後、評価対象の物質のたばこ刻みへの移行量をガスクロマトグラフィーで定量する。
この試験を、以下に示す5種類の物質に対してそれぞれ行った。評価対象の物質は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジエチルサクシネート及びトリブチルフォスフェートであった。
これら物質について、25℃における蒸気圧Vpと刻みへの移行量(吸着量)を下記表1及び図3にまとめる。図3は、各物質について、蒸気圧に対する刻みへの移行量をプロットしたグラフである。図3に示すグラフでは、横軸が蒸気圧Vp[Pa]であり、縦軸が刻みへの移行量[mmol/cig.]である。図3において、EGはエチレングリコールを示しており、PGはプロピレングリコールを示しており、1,3−BDは1,3−ブタンジオールを示しており、DSUはジエチルサクシネートを示しており、TBPはトリブチルフォスフェートを示している。
Figure 2021001961
表1及び図3に示されているように、蒸気圧Vpが0.2Pa以下であるトリブチルフォスフェートを使用した場合、たばこ刻みへの移行がほとんど生じなかった。つまり、25℃における蒸気圧Vpが0.2Pa以下である物質によると、気相を介した当該物質のたばこ刻みへの移行を抑制することができる。物質の蒸気圧は0.1Pa以下であることがより好ましく、実質的に0Paであることが更に好ましい。1つの態様によると、物質の蒸気圧は0Pa以上0.20Pa以下の範囲内にある。
フィルタ等に担持されたフェノール捕捉剤は、蔵置中にフィルタ等から漏出し、巻紙又はチップペーパーに染みを生じさせる可能性がある。この漏出は、フェノール捕捉剤が低い滴点を有する物質を含んでいる場合に顕著に生じる傾向がある。シガレットの蔵置温度は、例えば、自動販売機内において50℃前後になることもある。それ故、フェノール捕捉剤が含む物質としては、このような環境においても流動化しにくい物質であることが好ましい。
滴点(DP: Dropping Point)が50℃以上の物質は、比較的高温の蔵置条件下で、例えば、高温の自動販売機内において流動化しにくい。それゆえ、このような物質は、例えば、フィルタ等において使用しても、巻紙又はチップペーパーに染みを生じさせにくい。更に、フィルタ等から漏出しにくい物質を含むフェノール捕捉剤によると、当該物質がフィルタ等に留まりやすくなるため、フェノール選択濾過能力に優れた部材を実現することができる。モノオレイン酸グリセリルの滴点は78℃であるため、蔵置中に流動化しにくい。フェノール捕捉剤が含む物質の滴点の上限値は、特に限定されないが、例えば150℃である。当該物質の滴点は、好ましくは50℃〜130℃の範囲内にある。物質の滴点が過度に高いと、当該物質を含むフェノール捕捉剤をフィルタ等に担持させるのが困難となる可能性があるため好ましくない。物質の滴点は、JIS K2220:2013に準じて測定することができる。
ここまで説明したように、香味吸引物品を構成するベース部材に、上記式(1)〜(3)を満たす物質を含むフェノール捕捉剤が担持されていると、この部材を備えた香味吸引物品は、フェノールに対する十分な選択濾過能力を示すと共に、蔵置安定性に優れている。
蔵置安定性に優れた香味吸引物品は、長期間の蔵置を経てもフェノールを選択的に濾過する能力が高いため、香味を維持することができる。つまり、香味吸引物品の味が変化しにくい。更に、実施形態に係る香味吸引物品は、長期間の蔵置を経ても良好な外観を維持することができる。
なお、フェノール捕捉剤がフェノールを捕捉する態様は特に限定されない。フェノール捕捉剤は、フェノールを物理的に吸着するものであってもよく、フェノールと相溶するものであってもよい。
フェノール捕捉剤が含む物質は、モノオレイン酸グリセリルに限られない。フェノール捕捉剤が含む物質として、以上に説明した条件を満たす物質であれば、どのような物質でも使用することができる。
なお、通常、「滴点」は、グリースなどの常温で半固体の物質について特定される物性であるが、ここでは、「滴点」は、常温で半固体の物質だけでなく、常温で固体の物質についても特定される物性であるとする。常温で固体の物質の滴点は、例えば、その融点と等しい。
ここで、常温とは、日本工業規格(JIS:Japanese Industrial Standards)のJIS Z 8703で規定された20℃±15℃の範囲を指す。常温で半固体であるという要件を満たすには、5℃の環境下でも半固体であり、35℃の環境下でも半固体である必要がある。
半固体の物質とは、粘弾性体の挙動を示す非ニュートン流体である。言い換えると、半固体の物質は、常温かつ低剪断力では流動しないが、剪断力を高めると、可塑性、擬可塑性またはチキソトロピー流動性の挙動を示す組成物または化合物である。
フェノール捕捉剤が含む物質は、例えば、モノオレイン酸グリセリル、安息香酸、ジンゲロン、シクロテン及びマルトールからなる群より選択される少なくとも1つである。この物質群に含まれる物質は、いずれも、上記式(1)〜(3)の全てを満たす。フェノール捕捉剤が含む物質は、上記式(1)〜(3)の全てを満たした物質を2種以上混合した混合物であってもよい。この混合物も、上記式(1)〜(3)を満たしうる。
フェノール捕捉剤は、公知の可塑剤を更に含んでいても良い。
蔵置安定性に影響を及ぼすパラメータとして、更に、分配係数LogPを挙げることができる。この理由を説明する。
上述の通り、香味吸引物品の蔵置期間中には、フィルタに担持されたフェノール捕捉剤が、主に気相を介してたばこ刻みへ移行し得る。たばこ刻みとの親和性が高い物質を含むフェノール捕捉剤の場合、揮散した物質のたばこ刻みへの吸収(吸着)が速い。それ故、香味吸引物品内の気相において、揮散した物質の分圧が下がりやすい。気相中で当該物質の分圧が低下すると、フィルタからの当該物質の揮散は更に生じ易い環境となる。そこで、たばこ刻みとの親和性が低い物質を含むフェノール捕捉剤を使用することにより、当該物質がパッケージ内においてほぼ飽和蒸気圧に達して平衡状態を保ちやすくなる。その結果、フィルタから当該物質の揮散は生じにくくなる。
たばこ刻みとの親和性を評価する指標が、上記分配係数LogPである。分配係数LogPは、本来、或る化学物質の疎水性又は移行性を表す指標である。ここでは、分配係数LogPは、25℃における、水とn−オクタノールとを用いたオクタノール/水分配係数(LogPow)を指す。分配係数LogPは、物質を水及びオクタノールの二相からなる液体中に溶解させた際の平衡溶解度比を実測した値であり、P=(オクタノール相での物質濃度)/(水相での物質濃度)で表される。従って、或る物質の疎水性は、分配係数LogPの値が大きいほど高い。
たばこ刻みが含有している成分のうち、フェノールを捕捉しうる物質を吸収する成分は、主に水である。それ故、フェノールを捕捉しうる物質として、LogPが大きい、即ち高い疎水性を有する物質を採用することにより、香味吸引物品内において、当該物質の分圧が下がりにくい環境とすることができる。言い換えると、LogPが大きい物質は、フィルタ等から揮散しにくいため、フィルタ等に長期間に亘り留まることができる。
フェノール捕捉剤が含む物質の分配係数LogPは、25℃において4.5以上であることが望ましい。これは、上述した刻み移行量評価に基づいて見出された。上記刻み移行量評価において評価対象とした物質について、25℃におけるLogPと、たばこ刻みへの移行量(吸着量)とを下記表2及び図4にまとめる。図4は、各物質について、分配係数LogPに対する刻みへの移行量をプロットしたグラフである。図4に示すグラフでは、横軸がLogPであり、縦軸が刻みへの移行量[mmol/cig.]である。なお、図4において使用している略号は、図3において使用している略号と同義である。
Figure 2021001961
表2及び図4に示されているように、分配係数LogPが4.5以上であるトリブチルフォスフェートを使用した場合、たばこ刻みへの移行がほとんど生じなかった。つまり、25℃における分配係数LogPが4.5以上である物質は、たばこ刻みとの親和性に劣るため、フィルタ等から揮散しにくい。それ故、気相を介した当該物質のたばこ刻みへの移行を抑制することができる。物質の分配係数LogPは6以上であることがより好ましい。物質の分配係数LogPの上限値は、特に限定されないが、例えば29である。
モノオレイン酸グリセリルの分配係数LogPは、6.4である。それ故、たばこ刻みへのモノオレイン酸グリセリルの移行は生じにくい。実施形態に係るフェノール捕捉剤が含む物質は、モノオレイン酸グリセリルであることが好ましい。
フェノール捕捉剤が含む上記物質として先に例示した、安息香酸、ジンゲロン、シクロテン及びマルトールに関して、HSP(phenol)、蒸気圧Vp、滴点及び分配係数LogPを示す。
安息香酸のHSP(phenol)は5.17であり、25℃における蒸気圧Vpは0.001Paであり、滴点は122℃であり、LogPは1.87である。
ジンゲロンのHSP(phenol)は5.56であり、25℃における蒸気圧Vpは0Paであり、滴点は54℃であり、LogPは1.54である。
シクロテンのHSP(phenol)は5.37であり、25℃における蒸気圧Vpは0.029Paであり、滴点は71℃であり、LogPは0.22である。
マルトールのHSP(phenol)は6.89であり、25℃における蒸気圧Vpは0.002Paであり、滴点は78℃であり、LogPは−0.26である。
フェノール捕捉剤が含む物質は、常温で半固体であることが好ましい。物質が半固体である場合、これが固体である場合と比較して、香味吸引物品用部材に担持された際の表面積を大きくすることができる。それ故、物質が半固体である場合、捕捉すべき成分であるフェノールとの接触確率を高めることができるため、フェノール選択濾過能力を高めることができる。また、物質が半固体である場合、これが液体である場合と比較して、この物質は担持された部材から漏出しにくい。それ故、この物質が常温で半固体であったとしても、巻紙又はチップペーパーに染みを生じさせにくくすることができる。
実施形態に係る香味吸引物品用部材は、ベース部材を含む。ベース部材は、例えば、たばこ材料と組み合わせて使用される香味吸引物品用部材である。ベース部材は、喫煙物品を構成する部材、非燃焼加熱型香味吸引物品を構成する部材及び非燃焼非加熱型香味吸引物品を構成する部材のうちの少なくとも1種でありうる。喫煙物品は、たばこ材料を燃焼させることによりたばこ香味をユーザに提供する物品である。非燃焼加熱型香味吸引物品は、たばこ材料を燃焼させることなく、加熱することによりたばこ香味をユーザに提供する物品である。非燃焼非加熱型香味吸引物品は、たばこ材料を燃焼も加熱もしないで、たばこ香味をユーザに提供する物品である。たばこ材料は、例えばたばこ刻である。たばこ刻の材料は特に限定されず、ラミナや中骨等の公知のものを用いることができる。
<2.香味吸引物品>
以下、図面を参照しながら、たばこ材料を含む喫煙物品の代表例であるシガレットについて説明する。
<2−1.喫煙物品>
喫煙物品の一例を、図5を参照しながら説明する。
図5は、喫煙物品1の断面図である。図5に示す喫煙物品1は、シガレットである。
図5に示す喫煙物品1は、たばこロッド11と、フィルタ12とチップペーパー13とを含む。たばこロッド11は、たばこ材料11a(たばこ刻み)とたばこ材料11aの周囲を巻装する巻紙11bとを含む。フィルタ12は、ここでは、単一のフィルタプラグからなる。フィルタプラグは、濾材12aと、濾材12aの周囲に巻かれた巻取紙12bとを含む。チップペーパー13は、たばこロッド11とフィルタ12とを接続するように、たばこロッド11とフィルタ12上に巻かれている。
実施形態に係る香味吸引物品用部材が含むベース部材は、例えば、巻紙11b、濾材12a、巻取紙12b及びチップペーパー13からなる群より選択される少なくとも1つである。ベース部材には、上述したフェノール捕捉剤が担持されている。
フェノール捕捉剤が含んでいる上記物質の量は、ベース部材100質量部に対して、例えば5質量部〜35質量部の範囲内にあり、好ましくは10質量部〜30質量部の範囲内にある。この量は、5質量部〜15質量部の範囲内にあってもよく、15質量部〜25質量部の範囲内にあってもよく、25質量部〜35質量部の範囲内にあっても良い。この量が過度に少ないと、濾過可能なフェノールの絶対量が減少するため好ましくない。この量が過度に多いと、香味吸引物品用部材からフェノール捕捉剤が漏出して、香味吸引物品が備える巻紙、巻取紙及び/又はチップペーパーに染みができる可能性があり、場合によっては、香味吸引物品を包装するパッケージにも染みができる可能性がある。即ち、香味吸引物品等の外観が損なわれる可能性があるため好ましくない。後述する実施例において示すように、比較的高温の蔵置条件(例えば35℃以上)におけるフェノール選択濾過能力の経時安定性を高めるためには、ベース部材に担持されている上記物質は、5質量部〜15質量部の範囲内にあることが好ましい。
フェノール捕捉剤が担持されたベース部材には、抗酸化剤を更に担持させることが好ましい。とりわけ、フェノール捕捉剤が含む物質が、モノオレイン酸グリセリルなどの高度不飽和脂肪酸である場合、高度不飽和脂肪酸は酸化により特異臭を生じる。ベース部材に抗酸化剤を更に担持させることにより、上記物質の酸化を抑制することができるため、特異臭の発生が抑えられて優れた香味を維持することができる。抗酸化剤の例に、トコフェロールを挙げることができる。
ベース部材は、フェノール選択濾過能力を高めるための吸着剤、香料リリース機能を制御するためのカプセル、又は、着色剤などを更に含んでいても良い。ベース部材には、活性炭粒子などの種々の吸着剤粒子を担持させても良い。
濾材は、シート材料を含んでいることが好ましい。このシート材料は、例えば、図7に示す波形フィルム(クレープ加工フィルム)121のように、波形に賦形されていることが好ましい。波形フィルム121は、蛇腹状のひだが付いているフィルム、すなわち尾根部21aと谷部21bとが交互に配列したフィルムをいう(図7を参照)。
図6に、波形フィルム121から形成された濾材12aと、濾材12aを巻装している巻取紙12bとを備えたフィルタ12の断面図を示す。ここでは、濾材12aにおいて、波形フィルム121は、たばこ材料側の端面から吸い口側の端面まで各々が延びた複数の空気流路122を形成するように、折り曲げられているか又は畳まれている。このような波形フィルムを巻取紙で巻装する装置としては、例えば、日本国特許公開2002−204683号公報、日本国特許公開H09−294577号公報、及び日本国特許公開H09−294576号公報に開示がある。
シート材料の例として、紙、及び、溶融されたフィルム材料から成形されたフィルムを挙げることができる。溶融されたフィルム材料から成形されたフィルムの例として、熱可塑性樹脂からなるフィルムなどが挙げられる。
シート材料は、紙であることが好ましい。紙は、生分解性の高い材料であることから、環境保護の観点で好ましい。
但し、シート材料として紙を使用したフィルタ、すなわちペーパーフィルタは、フェノール捕捉剤などの添加剤を担持させていない場合には、フェノールなどのセミボラタイル成分を濾過する能力が低い。加えて、ペーパーフィルタは、比表面積が大きいことから、フェノール捕捉剤などの添加剤を担持させた場合に、その揮散を生じ易い。従って、実施形態に係るフェノール捕捉剤を担持させるフィルタとして、ペーパーフィルタを使用した場合、他のフィルタを使用した場合と比較して、蔵置安定性を向上させる効果が高い。
紙の坪量は、例えば20g/m2〜120g/m2の範囲内にあり、好ましくは25g/m2〜45g/m2の範囲内にある。紙を濾材として含むフィルタの通気抵抗は、フィルタ長が120mmの場合、例えば100mmAq〜800mmAqの範囲内にあり、好ましくは200mmAq〜600mmAqの範囲内にある。紙の坪量は、約40g/m2であることが好ましい。紙を濾材として含むフィルタの通気抵抗は、フィルタ長が120mmの場合、約400mmAqであることが好ましい。
濾材は、アセテートトウにより構成されていてもよい。アセテートトウは、例えば、単糸繊度1.9〜8.6(g/9000m)、総繊度17000〜44000(g/9000m)、繊維本数2400〜23500(本)、通気抵抗100〜600(mmH2O/120mm)とすることができる。
フィルタは、フィルタプラグを2以上備えていてもよい。フィルタが複数のフィルタプラグを含む場合、たばこ材料側のフィルタプラグと吸口側のフィルタプラグは、同じ素材および構造を有していてもよいし、異なる素材および構造を有していてもよい。フィルタがフィルタプラグを2つ備えている場合、例えば、一方のフィルタプラグとしてペーパーフィルタを採用し、他方のフィルタプラグとしてセルロースアセテートフィルタ又はチャコールフィルタを採用することができる。フィルタが、フィルタプラグを2以上備える場合、これらフィルタプラグのうちの少なくとも1つにフェノール捕捉剤が担持されていることが好ましい。
実施形態に係るフェノール捕捉剤を含有したフィルタプラグは、たばこロッドと接していないことが好ましい。この場合、フェノール捕捉剤を含有したフィルタプラグがたばこ材料と接触することによって、フェノール捕捉剤がたばこ材料に移行するのを抑制することができる。
たばこロッドとしては公知のものを使用することができる。たばこロッドは、例えばたばこ材料とその周囲を巻装する巻紙からなり、例えば、約14〜26mmの周囲長および15〜70mmの長さを有することができる。巻紙は、耐油性を有していることが好ましい。耐油性を有する巻紙を用いると、ベース部材からフェノール捕捉剤が漏出した場合にも染みを生じにくくなる。
<2−2.非燃焼加熱型香味吸引物品>
実施形態に係る香味吸引物品用部材は、非燃焼加熱型香味吸引物品を構成する部材の1つであってもよい。以下に、図8〜図10を参照しながら非燃焼加熱型香味吸引物品の一例を説明すると共に、ユーザが非燃焼加熱型香味吸引物品を加熱する際に使用するエアロゾル生成装置の一例を説明する。
図8は、加熱型香味吸引器の一例を示す斜視図である。図9は、香味吸引物品の断面図である。図10は、エアロゾル生成装置の内部構造を示す図である。
図8に示すとおり、香味吸引器100は、
たばこ材料と、エアロゾル源とを含む香味吸引物品110と、
香味吸引物品110を加熱して、エアロゾル源を霧化させるとともにたばこ材料から香味成分を放出させるエアロゾル生成装置120と
を備えている。
香味吸引物品110は、交換可能なカートリッジであり、一方向に沿って延びる柱状形状を有する。香味吸引物品110は、エアロゾル生成装置120に挿入された状態で加熱されることによってエアロゾルおよび香味成分を発生するように構成されている。
図9に示すとおり、香味吸引物品110は、その一方の端部を形成し、充填物111と、充填物111を巻装する第1巻紙112とを含む基材部110Aと、基材部110Aとは反対側の端部を形成する吸口部110Bとを有する。基材部110Aと吸口部110Bは、第2巻紙113によって連結されている。
吸口部110Bは、紙管部114と、これと隣り合ったフィルタ118とを有する。フィルタ118は、フィルタプラグ115と、中空プラグ116と、これらを覆うことにより連結している成形紙117とを有する。紙管部114は、紙を円筒形に巻いて形成された紙管であり、内側は空洞である。中空プラグ116は、紙管部114とフィルタプラグ115との間に配置されている。
フィルタプラグ115は、濾材102と、濾材102を巻装する第1プラグ巻取紙101とを備える。濾材102は、ペーパーフィルタであることが好ましい。濾材102として、セルロースアセテートフィルタ又はチャコールフィルタを採用してもよい。
中空プラグ116は、充填層104と、充填層104を巻装する第2プラグ巻取紙103とを備える。充填層104は、高密度に充填された繊維で構成されており、1つ又は複数のチャネル(中空部)を有する。1つ又は複数のチャネルの各々は、香味吸引物品110の長さ方向(以下、長手方向という)に延びている。そのため、吸引時は、空気やエアロゾルはチャネルのみを流れることになり、繊維間の隙間をほとんど流れない。香味吸引物品110において、フィルタプラグ115でのエアロゾル成分の濾過による減少を少なくしたいときには、フィルタプラグ115の長さを短くして中空プラグ116で置き換えることは、エアロゾルのデリバリ量を増大させるために有効である。
フィルタ118は、図9に示される通り、フィルタプラグを2以上備えていてもよく、1つのみ備えていてもよい。例えば、フィルタ118は、中空プラグ116を省略し、フィルタプラグ115のみを備えていてもよい。即ち、紙管部114とフィルタプラグ115とを互いに隣接配置して吸口部110Bを形成することもできる。フィルタ118が2以上のフィルタプラグを備えている場合、喫煙物品の項で説明したように、複数のフィルタプラグのうちの少なくとも1つに、実施形態に係るフェノール捕捉剤が担持されていることが好ましい。
フィルタ118が2以上のフィルタプラグを備えている場合、フェノール捕捉剤が担持されたフィルタプラグは、吸口部110Bにおける吸口側の末端の位置、例えば図9に示すフィルタプラグ115に相当する位置に備えられていても良く、中空プラグ116に相当する位置に備えられていてもよい。
吸口部110Bは、紙管部114及びフィルタ118の2つのセグメントから構成されているが、吸口部110Bは1つのセグメントから構成されていてもよいし、3つ又はそれ以上のセグメントから構成されていてもよい。
なお、図には示さないが、香味吸引物品110の通気抵抗を適宜調整するために、吸口部110Bに、開孔部を設けて外部からの空気を取り込む態様であってもよい。この場合、紙管部114に開孔部を設けることが望ましい。
実施形態に係る香味吸引物品用部材が含むベース部材は、例えば、第1巻紙112、第2巻紙113、紙管部114、フィルタ118及び成形紙117からなる群より選択される少なくとも1つである。フェノール捕捉剤を担持しているベース部材は、フィルタ118を構成する部材のうちの少なくとも1つであることが望ましい。フェノール捕捉剤を担持しているベース部材は、濾材102及び充填層104からなる群より選択される少なくとも1つであることがより好ましい。
香味吸引物品110の長手方向の寸法、すなわち長さは、40〜90mmであることが好ましく、50〜75mmであることがより好ましく、50〜60mmであることがさらに好ましい。香味吸引物品110の周囲長は、15〜25mmであることが好ましく、17〜24mmであることがより好ましく、20〜23mmであることがさらに好ましい。また、香味吸引物品110において、基材部110Aの長さは20mm、紙管部114の長さは20mm、中空プラグ116の長さは8mm、フィルタプラグ115の長さは7mmであってよいが、これら個々のセグメントの長さは、製造適性、要求品質等に応じて、適宜変更できる。
充填物111は、たばこ材料と、エアロゾル源とを含む。
エアロゾル源は、所定温度で加熱されてエアロゾルを発生する。エアロゾル源として、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、1,3−ブタンジオール、及びこれらの混合物を挙げることができる。充填物111中のエアロゾル源の含有量は、特に限定されず、十分な量のエアロゾルの発生と、良好な香味の付与の観点から、通常5質量%以上であり、好ましくは10質量%以上であり、また、通常50質量%以下であり、好ましくは25質量%以下である。
充填物111は、香味源としてたばこ材料を含む。たばこ材料は、例えば、たばこ刻みである。香味吸引物品110における充填物111の含有量は、基材部110Aが周囲長22mm、長さ20mmの場合、例えば、200〜400mgであり、250〜320mgであることが好ましい。充填物111の水分含有量は、例えば、8〜18質量%であり、10〜16質量%であることが好ましい。このような水分含有量とすると、巻染みの発生を抑制し、基材部110Aの製造時の巻上適性を良好にすることができる。
充填物111において用いるたばこ刻の大きさやその調製法については特に制限はない。例えば、乾燥したたばこ葉を、幅0.8〜1.2mmに刻んだものを用いてもよい。また、乾燥したたばこ葉を平均粒径が20〜200μm程度になるように粉砕して均一化したものをシート加工し、それを幅0.8〜1.2mmに刻んだものを用いてもよい。さらに、上記のシート加工したものについて刻まずにギャザー加工したものをたばこ材料として用いてもよい。
第1巻紙112及び第2巻紙113としては、それぞれ、シガレットで使用される巻紙及びチップペーパーと同じものを使用することができる。また、第1プラグ巻取紙、第2プラグ巻取紙及び成形紙117としては、シガレットで使用される巻取紙と同じものを使用することができる。
図10に示すとおり、エアロゾル生成装置120は、香味吸引物品110を挿入可能な挿入孔130を有する。すなわち、エアロゾル生成装置120は、挿入孔130を構成する内側筒部材132を有する。内側筒部材132は、例えばアルミニウムやステンレス(SUS)のような熱伝導性材料によって構成されていてよい。
また、エアロゾル生成装置120は、挿入孔130を塞ぐ蓋部140を有していてよい。蓋部140は、スライド可能であり、挿入孔130を塞いだ状態と、挿入孔130を露出させた状態(図8参照)との間での状態変化を可能としている。
エアロゾル生成装置120は、挿入孔130に連通する空気流路160を有していてよい。空気流路160の一端は、挿入孔130に連結されており、空気流路160の他端は、挿入孔130とは別のところでエアロゾル生成装置120の外部(外気)に連通している。
エアロゾル生成装置120は、空気流路160の、外気に連通する側の端部を覆う蓋部170を有していてよい。蓋部170は、空気流路160の、外気に連通する側の端部を覆った状態にすることもできるし、あるいは、この端部を露出させた状態にすることもできる。
ここでは、蓋部170は、空気流路160の上記端部を覆った状態にあるが、空気流路160に気密に閉塞してはいない。すなわち、蓋部170は、空気流路160を覆った状態にあるが、空気流路160の上記端部から離間しており、それらの隙間から外気が空気流路160内へ流入可能に構成されている。
ユーザは、エアロゾル生成装置120に香味吸引物品110を挿入した状態で、香味吸引物品110の一端部、具体的には、図9に示される吸口部110Bを咥え、吸引動作を行う。ユーザの吸引動作により、空気流路160に外気が流入する。空気流路160内に流入した空気は、挿入孔130内の香味吸引物品110を通って、ユーザの口腔内に導かれる。
エアロゾル生成装置120は、空気流路160内又は空気流路160を構成する壁部の外面に、温度センサを有していてよい。温度センサは、例えば、サーミスタや熱電対等であってよい。ユーザが香味吸引物品110の吸口部110Bを吸引すると、空気流路160内を蓋部170側から後述するヒータ30側に向かって流れる空気の影響で、空気流路160の内部温度又は空気流路160を構成する壁部の温度が低下する。温度センサは、この温度低下を測定することによってユーザの吸引動作を検知することができる。
エアロゾル生成装置120は、バッテリ10と、制御ユニット20と、ヒータ30と、を有する。バッテリ10は、エアロゾル生成装置120で用いる電力を蓄積する。バッテリ10は、充放電可能な二次電池であってよい。バッテリ10は、例えばリチウムイオン電池であってよい。
ヒータ30は、内側筒部材132の周りに設けられていてよい。ヒータ30を収容する空間と、バッテリ10を収容する空間は、隔壁180によって互いに分離されていてよい。これにより、ヒータ30により加熱された空気が、バッテリ10を収容する空間内に流入することを抑制することができる。したがって、バッテリ10の温度上昇を抑制することができる。
ヒータ30は、柱状の香味吸引物品110の外周を加熱可能な筒形状であることが好ましい。ヒータ30は、例えばフィルムヒータであってよい。フィルムヒータは、一対のフィルム状の基板と、一対の基板の間に挟まれた抵抗発熱体とを有していてよい。フィルム状の基板は、耐熱性及び電気絶縁性に優れた材料から作られることが好ましく、典型的には、ポリイミドから作られる。抵抗発熱体は、銅、ニッケル合金、クロム合金、ステンレス、白金ロジウム等の金属材料の1つ又は2つ以上から作られることが好ましく、例えば、ステンレス製の基材によって形成され得る。さらに、抵抗発熱体は、フレキシブルプリント回路(FPC)を介して電源と接続するために、接続部位及びそのリード部に銅メッキを施してもよい。
好ましくは、熱収縮チューブが、ヒータ30の外側に設けられる。熱収縮チューブは、熱により半径方向に収縮するチューブであり、例えば熱可塑性エラストマによって構成されている。熱収縮チューブの収縮作用により、ヒータ30が内側筒部材132に押し付けられる。これにより、ヒータ30と内側筒部材132の密着性が高まるので、ヒータ30から香味吸引物品110への内側筒部材132を介した熱の伝導性が高まる。
エアロゾル生成装置120は、ヒータ30の半径方向の外側、好ましくは熱収縮チューブの外側に、筒状の断熱材を有していてもよい。断熱材は、ヒータ30の熱を遮断することによって、エアロゾル生成装置120の筐体外面が過度な高温に達するのを防止する役割を果たし得る。断熱材は、例えば、シリカエアロゲル、カーボンエアロゲル、アルミナエアロゲル等のエアロゲルから作られることができる。断熱材としてのエアロゲルは、典型的には、断熱性能が高くかつ製造コストが比較的低いシリ力エアロゲルであってよい。ただし、断熱材は、グラスウールやロックウール等の繊維系断熱材であってもよいし、ウレタンフォームやフェノールフォームの発泡系断熱材であってもよい。或いは、断熱材は真空断熱材であってもよい。
断熱材の外側には、外側筒部材134が設けられている。断熱材は、香味吸引物品110に面する内側筒部材132と、外側筒部材134との間に設けられていてよい。外側筒部材134は、例えばアルミニウムやステンレス(SUS)のような熱伝導性材料によって構成されていてよい。断熱材は、密閉された空間内に設けられることが好ましい。
制御ユニット20は、回路基板、中央処理装置(CPU)、及びメモリ等を含んでいてよい。また、エアロゾル生成装置120は、制御ユニット20による制御の下でユーザに各種情報を報知するための通知部を有していてもよい。通知部は、例えば発光ダイオード(LED)のような発光素子もしくは振動素子、又はこれらの組み合わせであってよい。
制御ユニット20は、ユーザの起動要求を検知したら、バッテリ10からヒータ30への電力供給を開始する。ユーザの起動要求は、例えば、ユーザによる押しボタンやスライド式スイッチの操作や、ユーザの吸引動作によって為される。ユーザの起動要求は、押しボタン150の押下によって為されてもよい。より具体的には、ユーザの起動要求は、蓋部140が開いた状態での押しボタン150の押下によって為されてもよい。或いは、ユーザの起動要求は、ユーザの吸引動作の検知によって為されてもよい。ユーザの吸引動作は、例えば前述したような温度センサによって検知できる。
<2−3.非燃焼非加熱型香味吸引物品>
実施形態に係る香味吸引物品用部材は、たばこ材料を加熱も燃焼もしないで、たばこ材料の香味をユーザに提供する非燃焼非加熱型香味吸引物品用の部材であってもよい。非燃焼非加熱型香味吸引物品としては、たばこ材料を収容した詰め替えタイプのカートリッジを吸引ホルダ内に備え、常温のたばこ材料に由来するたばこ香味をユーザが吸引する非加熱型たばこ香味吸引器(例えばWO2012/023515を参照)が挙げられる。
実施形態に係る香味吸引物品は、ベース部材と、このベース部材に担持され、上記式(1)〜(3)を満たす物質を含むフェノール捕捉剤とを含む香味吸引物品用部材を含む。香味吸引物品は、上述した、2−1.喫煙物品、2−2.非燃焼加熱型香味吸引物品及び2−3.非燃焼非加熱型香味吸引物品からなる群より選択される何れかであり得る。
<3.香味吸引物品用部材の製造方法>
実施形態に係る香味吸引物品用部材は、上記式(1)〜(3)を満たす物質を含むフェノール捕捉剤をベース部材に担持させることを含む方法により製造することができる。
フェノール捕捉剤をベース部材に担持させる方法として、例えば、上記物質を滴点以上の温度となるように加熱して、流動化させた後に、これをベース部材に担持させることを含む方法がある。或いは、上記物質を適切な有機溶媒に溶解させて溶液を調製し、これをベース部材に供給し、その後、有機溶媒を除去させることにより、上記物質をベース部材に担持させることを含む方法がある。
上記物質を溶解させる有機溶媒としては、例えば、トリアセチン、プロピレングリコール、エタノール及びグリセリンが挙げられる。
流動化させた上記物質をベース部材に担持させる方法は特に限定されない。例えば、流動化させた上記物質をベース部材に対して塗布してもよく、浸透させてもよい。流動化させた上記物質をベース部材に塗布又は浸透させることにより、ベース部材に対して均一に上記物質を担持させることができる。
ベース部材への上記物質の塗布は、例えばスプレー塗布により行うことができる。ベース部材への上記物質の浸透は、例えばシリンジを用いて上記物質を滴下することにより行うことができる。
<4.他の実施態様>
以下、他の実施形態をまとめて記載する。
[1]ベース部材と、前記ベース部材に担持され、下記式(1)〜(3)を満たす物質を含むフェノール捕捉剤とを含む香味吸引物品用部材。
HSP(phenol)≦8 ・・・(1)
Vp≦0.2Pa ・・・(2)
DP≧50℃ ・・・(3)
ここで、HSP(phenol)は、前記物質のハンセン溶解度パラメータと、フェノールのハンセン溶解度パラメータとの距離であり、Vpは前記物質の蒸気圧であり、DPは前記物質の滴点である。
[2]前記ベース部材は、たばこ刻みを含むたばこ材料と組み合わせて使用される[1]に記載の香味吸引物品用部材。
[3]前記ベース部材は、喫煙物品を構成する部材、非燃焼加熱型香味吸引物品を構成する部材又は非燃焼非加熱型香味吸引物品を構成する部材である[1]又は[2]に記載の香味吸引物品用部材。
[4]前記喫煙物品は、たばこロッド、濾材を含むフィルタ及びチップペーパーを含む[3]に記載の香味吸引物品用部材。
[5]前記ベース部材は、前記フィルタである[4]に記載の香味吸引物品用部材。
[6]前記濾材はシート材料を含み、前記フェノール捕捉剤は前記シート材料に担持されている[4]又は[5]に記載の香味吸引物品用部材。
[7]前記シート材料は紙である[6]に記載の香味吸引物品用部材。
[8]前記非燃焼加熱型香味吸引物品は、前記たばこ材料を含む充填物、及び、前記充填物を巻装する巻紙を含み、一方の端部を形成する基材部と、前記基材部とは反対側の端部を形成する吸口部とを有しており、
前記吸口部は、紙管部と、前記紙管部と隣り合い且つ濾材を含むフィルタとを有する[3]に記載の香味吸引物品用部材。
[9]前記ベース部材は、前記フィルタである[8]に記載の香味吸引物品用部材。
[10]前記濾材はシート材料を含み、前記フェノール捕捉剤は前記シート材料に担持されている[8]又は[9]に記載の香味吸引物品用部材。
[11]前記シート材料は紙である[10]に記載の香味吸引物品用部材。
[12]前記物質は、常温で半固体である[1]〜[11]の何れか1に記載の香味吸引物品用部材。
[13]前記物質の分配係数LogPは、[1]〜[12]の何れか1に記載の香味吸引物品用部材。
[14]前記物質は、モノオレイン酸グリセリル、安息香酸、ジンゲロン、シクロテン及びマルトールからなる群より選択される少なくとも1つである[1]〜[13]の何れか1に記載の香味吸引物品用部材。
[15]前記物質の量は、前記ベース部材100質量部に対して5質量部〜35質量部の範囲内にある[1]〜[14]の何れか1に記載の香味吸引物品用部材。
[16]抗酸化剤を更に含む[1]〜[15]の何れか1に記載の香味吸引物品用部材。
[17][1]〜[16]の何れか1に記載の香味吸引物品用部材を備えた香味吸引物品。
以下に実施例を説明するが、本発明は、以下に記載される実施例に限定されるものではない。
[実施例1]フェノール選択濾過能力評価
<シガレットサンプルの作製>
(シガレットサンプル1の作製)
まず、長さ27mm、直径7.7mmのペーパーフィルタを用意した。具体的には、まず、波形に賦形した紙(坪量40g/m2)を、一端から他端まで各々が延びた複数の空気流路を形成するように折り曲げるか又は畳んで、長さ120mm、通気抵抗400mmAqのロッドを作製した。このロッドを長さ27mmにカットし、これにより得られた濾材を、巻取紙である、長さ27mm、直径7.7mmの紙管で巻装して、ペーパーフィルタを作製した。
次に、このフィルタの濾材に、その100質量部に対して10質量部の市販のモノオレイン酸グリセリル(MGO:Glyceryl Monooleate)を担持させた。モノオレイン酸グリセリルを担持させる際には、これを50℃に加熱して流動化させた後、マイクロシリンジを用いて、濾材の長手方向に沿って均一な質量となるように担持させた。その後、市販のメビウス・スーパーライトのたばこロッドと、上記フィルタとを接合して、シガレットサンプル1を作製した。
(シガレットサンプル2の作製)
濾材に担持させるモノオレイン酸グリセリルの量を、20質量部とすることを除いて、シガレットサンプル1と同様の方法でシガレットサンプル2を作製した。
(シガレットサンプル3の作製)
濾材に担持させるモノオレイン酸グリセリルの量を、30質量部とすることを除いて、シガレットサンプル1と同様の方法でシガレットサンプル3を作製した。
(シガレットサンプル4〜6の作製)
モノオレイン酸グリセリルの代わりに、トリアセチン(GTA)を使用したことを除いて、シガレットサンプル1〜3と同様の方法で、シガレットサンプル4〜6をそれぞれ作製した。
なお、トリアセチンのHSP(phenol)は7.18であり、蒸気圧Vpは0Paであり、滴点DPは4℃であり、分配係数LogPは0.25である。
(シガレットサンプル7の作製)
濾材に添加剤を担持させなかったことを除いて、シガレットサンプル1と同様の方法でシガレットサンプル7を作製した。
(シガレットサンプル8の作製)
フィルタの代わりに、紙管のみをたばこロッドと接合させたことを除いて、シガレットサンプル1と同様の方法でシガレットサンプル8を作製した。シガレットサンプル8は標準試料として使用した。
<喫煙試験>
上記8つのシガレットサンプルのそれぞれについて、作成直後、22℃60%RH環境下で1か月蔵置後、及び、35℃60%RH環境下で1か月蔵置後の3条件において、ISO喫煙条件に従って喫煙試験を行った。
具体的な喫煙条件は以下の通りである。自動喫煙機(Cerulean SM410)を用いて、吸煙容量17.5mL/秒、吸煙時間2秒/パフ、吸煙頻度1パフ/分の条件でシガレットサンプルの自動喫煙を行い、たばこ煙中粒状物質(TPM)をケンブリッジフィルタ(Borgwaldt 44mmΦ)で捕集した。TPM質量は、喫煙前後のケンブリッジフィルタの質量差により測定した。その後、スクリュー管瓶に入れた下記表3に示すフェノール抽出溶媒10mLにケンブリッジフィルタを浸けて振盪し、分析試料を得た。得られた分析試料1μLをマイクロシリンジで採取し、ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MSD:Gas Chromatography - Mass Selective Detector)にて分析した。GCとしてAgilent Technologies Inc.製 Agilent G7890Aを用い、MSDとしてAgilent Technologies Inc.製 Agilent_5795Cを用いた。
Figure 2021001961
以上の方法により、各シガレットサンプルについて、シガレット1本当たりのTPM質量と、たばこ煙中のフェノール量とを測定した。そして、これら結果から、後述するフェノール選択濾過指数Sxを算出し、これに基づいてフェノール捕捉能力の経時安定性を評価した。
具体的には、まず、上記の成分量を、下記式(I)及び(II)に当てはめて、各シガレットサンプルについてのTPM濾過効率ETPM及びフェノール濾過効率Ephenolを算出した。
TPM=(ATPM, std − ATPM, smp)/(ATPM, std)・・・(I)
phenol=(Aphenol, std − Aphenol, smp)/(Aphenol, std)・・・(II)
上記式(I)において、ATPM, stdは標準試料としたシガレットサンプル8のTPM量であり、ATPM, smpは各シガレットサンプルのTPM量である。上記式(II)において、Aphenol, stdは標準試料としたシガレットサンプル8の煙中フェノール量であり、Aphenol, smpは各シガレットサンプルの煙中フェノール量である。
なお、各シガレットサンプルについて、同一の条件で作製したサンプルを2本用意して、それぞれについて上記試験を行った。こうして、同一の条件で作製されたシガレットサンプルについて、それぞれTPM濾過効率ETPM及びフェノール濾過効率Ephenolが得られる。これら2つの値を平均して、該当するシガレットサンプルのTPM濾過効率ETPM及びフェノール濾過効率Ephenolを測定した。
続いて、各シガレットサンプルについて得られたTPM濾過効率ETPM及びフェノール濾過効率Ephenolを下記式(III)に当てはめて、フェノール選択濾過指数Sxを算出した。式(III)において、(1−ETPM)はTPM透過率を示し、(1−Ephenol)はフェノール透過率を示している。
Sx=(1−ETPM)/(1−Ephenol)・・・(III)
上記式(III)におけるフェノール選択濾過指数Sxは、(1−ETPM)と(1−Ephenol)との比であることから、フェノール選択濾過指数Sxが高いほど、該当するシガレットサンプルのフェノール選択濾過能力が高いことを意味する。例えば、或るシガレットサンプルに関して濾過されるフェノールの量が多い場合、フェノール透過率(1−Ephenol)が小さいため、Sxは大きな値となる。
以上の結果を下記表4にまとめる。
なお、下記表4においては、「サンプルNo.」と題した列には、試験に使用したシガレットサンプルの番号と、そのシガレットサンプルに対する蔵置条件に相当する番号とを、この順にハイフンでつないで記載している。具体的には、作製直後に行った試験については、シガレットサンプルの番号に続けて、蔵置条件の番号「1」を記載している。22℃60%RH環境下で1か月蔵置後に行った試験については、シガレットサンプルの番号に続けて、蔵置条件の番号「2」を記載している。35℃60%RH環境下で1か月蔵置後に行った試験については、シガレットサンプルの番号に続けて、蔵置条件の番号「3」を記載している。
例えば、シガレットサンプル1に対して作製直後に行った試験については番号「1−1」を付しており、シガレットサンプル1に対して22℃60%RH環境下で1ヶ月蔵置させた後に行った試験については番号「1−2」を付しており、シガレットサンプル1について35℃60%RH環境下で1ヶ月蔵置させた後に行った試験については番号「1−3」を付している。
Figure 2021001961
フェノール捕捉剤を添加しなかったシガレットサンプル7について得られた結果と、フェノール捕捉剤としてMGOを10質量部添加したシガレットサンプル1について得られた結果とを比較すると、表4に示すように、いずれの蔵置条件についてもフェノール捕捉剤としてMGOを添加したシガレットサンプル1の方が、フェノール選択濾過指数Sxが高かった。つまり、モノオレイン酸グリセリルが添加されたシガレットサンプルは、十分なフェノール選択濾過能力を有していた。シガレットサンプル2及び3についても、これと同様に、十分なフェノール選択濾過能力を有していることが示された。
[実施例2]フェノール選択濾過能力の経時安定性評価
フェノール選択濾過能力の経時安定性を評価するために、シガレットサンプル1について、作製直後(サンプル番号1−1)のフェノール選択濾過指数Sxに対する、蔵置後(サンプル番号1−2又は1−3)のフェノール選択濾過指数Sxの比[Sx(蔵置後)/Sx(蔵置前)]を算出した。比[Sx(蔵置後)/Sx(蔵置前)]は、蔵置安定性を評価する指標である。
これと同様に、シガレットサンプル2〜6についても、それぞれの比[Sx(蔵置後)/Sx(蔵置前)]を算出した。上記表4には、これらの結果も示している。なお、フェノール捕捉剤を添加していないシガレットサンプル7については、蔵置後のSxの値は蔵置前のSxの値からあまり変化しないため、比[Sx(蔵置後)/Sx(蔵置前)]を算出していない。
互いに蔵置条件が共通している複数のシガレットサンプルについて得られた結果を、蔵置条件ごとにグラフにまとめて図11及び図12に示す。図11は、22℃60%RHの環境下で1ヶ月に亘る蔵置前後でのフェノール選択濾過指数Sxの比[Sx(蔵置後)/Sx(蔵置前)]を示すグラフである。図12は、35℃60%RHの環境下で1ヶ月に亘る蔵置前後でのフェノール選択濾過指数Sxの比[Sx(蔵置後)/Sx(蔵置前)]を示すグラフである。比[Sx(蔵置後)/Sx(蔵置前)]が1に近いほど、蔵置前後でのフェノール選択濾過指数Sxの変化が小さいことを示している。
図11に示すように、フェノール捕捉剤としてMGOを添加したシガレットサンプル1〜3は、その添加量に拘わらず、GTAを添加したシガレットサンプル4〜6と比較して、比[Sx(蔵置後)/Sx(蔵置前)]が1に近い値であった。即ち、22℃60%RHの環境下で1ヶ月に亘り蔵置させる条件において、フェノール捕捉剤としてGTAを使用したシガレットサンプルよりも、フェノール捕捉剤としてMGOを使用したシガレットサンプルの方が蔵置安定性に優れていた。
また、図12に示すように、フェノール捕捉剤としてMGOを添加したシガレットサンプル1〜3は、その添加量に拘わらず、GTAを添加したシガレットサンプル4〜6と比較して、比[Sx(蔵置後)/Sx(蔵置前)]が1に近い値であった。即ち、35℃60%RHの環境下で1ヶ月に亘り蔵置させる条件において、フェノール捕捉剤としてGTAを使用したシガレットサンプルよりも、フェノール捕捉剤としてMGOを使用したシガレットサンプルの方が蔵置安定性に優れていた。
なお、シガレットサンプル1について条件3のもとで蔵置した場合に得られた結果を見ると、比[Sx(蔵置後)/Sx(蔵置前)]が1を上回っている。この理由は明らかになっていないが、比較的高温環境において、即ち35℃60%RHの環境下において香味吸引物品を蔵置させる際には、ベース部材100質量部に対するMGOの量を10質量部前後とすると、蔵置後のSxが蔵置前のSxを上回るため特に好ましいことがわかる。
[実施例3]フェノール捕捉剤の漏出性評価
<フィルタサンプルの作製>
(フィルタサンプルAの作製)
まず、長さ27mm、直径7.7mmのペーパーフィルタを作成した。具体的には、波形に賦形した紙を、一端から他端まで各々が延びた複数の空気流路を形成するように折り曲げるか又は畳んで、長さ120mm、通気抵抗400mmAqのロッドを作製した。このロッドを長さ27mmにカットし、これにより得られた濾材を、巻取紙である、長さ27mm、直径7.7mmの紙管で巻装して、ペーパーフィルタを作製した。
次に、厚紙(レンゴー株式会社)の上にこのフィルタを立てて、50℃に加熱して流動化させた市販のモノオレイン酸グリセリル(MGO)を、マイクロシリンジを用いてフィルタの上部端面に滴下した。滴下量は、濾材(紙管を除く)100質量部に対して10質量部とした。なお、この滴下量は、流動化させたMGOが厚紙とは接触しない程度の量である。
以上のようにして、フィルタサンプルAを作製した。
(フィルタサンプルBの作製)
濾材に担持させるモノオレイン酸グリセリルの量を、20質量部とすることを除いて、フィルタサンプルAと同様の方法でフィルタサンプルBを作製した。
(フィルタサンプルCの作製)
濾材に担持させるモノオレイン酸グリセリルの量を、30質量部とすることを除いて、フィルタサンプルAと同様の方法でフィルタサンプルCを作製した。
(フィルタサンプルD〜Fの作製)
モノオレイン酸グリセリルの代わりに、トリアセチン(GTA)を使用したことを除いて、フィルタサンプルA〜Cと同様の方法で、フィルタサンプルD〜Fをそれぞれ作製した。
<漏出試験>
上記6つのフィルタサンプルのそれぞれについて、上記厚紙の上に載せたまま22℃60%RH環境下で1か月蔵置し、蔵置後における厚紙へのMGO又はGTAの漏出具合を目視により確認した。また、上記6つのフィルタサンプルのそれぞれについて、上記厚紙の上に載せたまま35℃60%RH環境下で1か月蔵置し、蔵置後における厚紙へのMGO又はGTAの漏出具合を目視により確認した。図13は、22℃60%RH環境下で1か月蔵置後における厚紙を示す写真である。図14は、35℃60%RH環境下で1ヶ月蔵置後における厚紙を示す写真である。
トリアセチン(GTA)を含むフィルタサンプルD〜Fについては、22℃60%RH環境下で1か月蔵置後、及び、35℃60%RH環境下で1ヶ月蔵置後のいずれの条件においても、厚紙には染みが明らかに視認された。ペーパーフィルタ100質量部に対して10質量部の量でトリアセチンを添加したサンプルDに関しても染みが確認されたことから、トリアセチンは蔵置中に漏出しやすいことが分かる。
これに対し、モノオレイン酸グリセリル(MGO)を添加したフィルタサンプルA〜Cについては、30質量部の量でMGOを添加したサンプルCを除いて染みが確認されなかった。サンプルCに関して、35℃60%RH環境下で1ヶ月蔵置させた場合には多少の染みが視認されたが、22℃60%RH環境下で1か月蔵置させた場合にはほとんど染みが視認されなかった。従って、漏出性の観点では、MGOを添加する量は、濾材の質量に対して30%未満であることが望ましいことが分かる。
上記試験に使用したMGOのように、常温で半固体である物質を含むフェノール捕捉剤は、これがフィルタから漏出するのを有意に抑制することができる。それ故、常温で半固体である物質を含むフェノール捕捉剤が担持された濾材は、当該濾材を備える香味吸引物品の外観を良好な状態で保つことができる。更に、MGOのような常温で半固体の物質は、常温で固体の物質と比較して、フェノールと接触し得る面積が大きいため、フェノール選択濾過能力に優れた香味吸引物品を実現しやすい。

Claims (12)

  1. ベース部材と、前記ベース部材に担持され、下記式(1)〜(3)を満たす物質を含むフェノール捕捉剤とを含む香味吸引物品用部材。
    HSP(phenol)≦8 ・・・(1)
    Vp≦0.2Pa ・・・(2)
    DP≧50℃ ・・・(3)
    ここで、HSP(phenol)は、前記物質のハンセン溶解度パラメータと、フェノールのハンセン溶解度パラメータとの距離であり、Vpは前記物質の蒸気圧であり、DPは前記物質の滴点である。
  2. 前記物質は、常温で半固体である請求項1に記載の香味吸引物品用部材。
  3. 前記物質の分配係数LogPは、4.5以上である請求項1又は2に記載の香味吸引物品用部材。
  4. 前記物質は、モノオレイン酸グリセリル、安息香酸、ジンゲロン、シクロテン及びマルトールからなる群より選択される少なくとも1つである請求項1〜3の何れか1項に記載の香味吸引物品用部材。
  5. 前記ベース部材は、濾材を含むフィルタである請求項1〜4の何れか1項に記載の香味吸引物品用部材。
  6. 前記濾材はシート材料を含み、前記フェノール捕捉剤は前記シート材料に担持されている請求項5に記載の香味吸引物品用部材。
  7. 前記シート材料は紙である請求項6に記載の香味吸引物品用部材。
  8. 前記物質の量は、前記ベース部材100質量部に対して5質量部〜35質量部の範囲内にある請求項1〜7の何れか1項に記載の香味吸引物品用部材。
  9. 抗酸化剤を更に含む請求項1〜8の何れか1項に記載の香味吸引物品用部材。
  10. 請求項1〜9の何れか1項に記載の香味吸引物品用部材を備えた香味吸引物品。
  11. 下記式(1)〜(3)を満たす物質を含む香味吸引物品用フェノール捕捉剤。
    HSP(phenol)≦8 ・・・(1)
    Vp≦0.2Pa ・・・(2)
    DP≧50℃ ・・・(3)
    ここで、HSP(phenol)は、前記物質のハンセン溶解度パラメータと、フェノールのハンセン溶解度パラメータとの距離であり、Vpは前記物質の蒸気圧であり、DPは前記物質の滴点である。
  12. 下記式(1)〜(3)を満たす物質を含むフェノール捕捉剤を、ベース部材に担持させることを含む香味吸引物品用部材の製造方法。
    HSP(phenol)≦8 ・・・(1)
    Vp≦0.2Pa ・・・(2)
    DP≧50℃ ・・・(3)
    ここで、HSP(phenol)は、前記物質のハンセン溶解度パラメータと、フェノールのハンセン溶解度パラメータとの距離であり、Vpは前記物質の蒸気圧であり、DPは前記物質の滴点である。
JP2021529630A 2019-07-03 2019-07-03 香味吸引物品用部材、香味吸引物品、香味吸引物品用フェノール捕捉剤及び香味吸引物品用部材の製造方法 Active JP7230201B2 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2019/026458 WO2021001961A1 (ja) 2019-07-03 2019-07-03 香味吸引物品用部材、香味吸引物品、香味吸引物品用フェノール捕捉剤及び香味吸引物品用部材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2021001961A1 true JPWO2021001961A1 (ja) 2021-12-02
JP7230201B2 JP7230201B2 (ja) 2023-02-28

Family

ID=74100159

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021529630A Active JP7230201B2 (ja) 2019-07-03 2019-07-03 香味吸引物品用部材、香味吸引物品、香味吸引物品用フェノール捕捉剤及び香味吸引物品用部材の製造方法

Country Status (6)

Country Link
US (1) US20220087312A1 (ja)
EP (1) EP3995010A4 (ja)
JP (1) JP7230201B2 (ja)
CN (1) CN114025629A (ja)
TW (1) TW202102146A (ja)
WO (1) WO2021001961A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB201810994D0 (en) * 2018-07-04 2018-08-15 British American Tobacco Investments Ltd A consumable article for use with an apparatus for heating aersolisable material
KR20240043158A (ko) * 2021-12-06 2024-04-02 니뽄 다바코 산교 가부시키가이샤 에어로졸 생성 시스템
WO2023105559A1 (ja) * 2021-12-06 2023-06-15 日本たばこ産業株式会社 エアロゾル生成システム

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007268351A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Kitakyushu Foundation For The Advancement Of Industry Science & Technology フェノール類・カルボン酸類捕捉材及びそれを用いた分離具並びにそれを用いたフェノール類・カルボン酸類の分離方法
JP2012525140A (ja) * 2009-04-30 2012-10-22 ペーテル セーロッシ たばこフィルタ
JP2014230489A (ja) * 2011-09-20 2014-12-11 日本たばこ産業株式会社 シガレット
JP2018523476A (ja) * 2015-08-13 2018-08-23 フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム 喫煙物品用風味カプセル

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB1200219A (en) * 1966-12-13 1970-07-29 Mitsubishi Rayon Co Cigarette filters
US3903900A (en) * 1973-05-14 1975-09-09 Int Flavors & Fragrances Inc Tobacco articles and compositions containing 1,2-cyclohexanedione and methods for producing same
MY156633A (en) 2010-08-20 2016-03-15 Japan Tobacco Inc Tobacco-flavor-releasing material and non-heating type tobacco flavor inhalator containing same
JP2016050196A (ja) * 2014-08-29 2016-04-11 昭和電工株式会社 皮膚色改善剤及び皮膚色改善用組成物

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007268351A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Kitakyushu Foundation For The Advancement Of Industry Science & Technology フェノール類・カルボン酸類捕捉材及びそれを用いた分離具並びにそれを用いたフェノール類・カルボン酸類の分離方法
JP2012525140A (ja) * 2009-04-30 2012-10-22 ペーテル セーロッシ たばこフィルタ
JP2014230489A (ja) * 2011-09-20 2014-12-11 日本たばこ産業株式会社 シガレット
JP2018523476A (ja) * 2015-08-13 2018-08-23 フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム 喫煙物品用風味カプセル

Also Published As

Publication number Publication date
TW202102146A (zh) 2021-01-16
EP3995010A1 (en) 2022-05-11
EP3995010A4 (en) 2023-01-25
WO2021001961A1 (ja) 2021-01-07
CN114025629A (zh) 2022-02-08
US20220087312A1 (en) 2022-03-24
JP7230201B2 (ja) 2023-02-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20230041070A1 (en) Aerosol generating material and devices including the same
US20220087312A1 (en) Member for flavor inhalation article, flavor inhalation article, phenol scavenger for flavor inhalation article, and method for producing flavor inhalation article
JP6940120B2 (ja) 保持器、エアロゾル供給装置及びシステム
CN108143002B (zh) 具有气溶胶冷却元件的气溶胶生成物品
JP6682430B2 (ja) 風味前駆体を含む喫煙用組成物
KR102431913B1 (ko) 연소 없이 기재를 가열하기 위한 시샤 장치
CN107257633A (zh) 与用于加热可吸用材料的设备一起使用的盒体
CN107205489A (zh) 用于加热可吸用材料的设备
CN107249362A (zh) 用于加热可吸用材料的设备
CN107427088A (zh) 用于加热可吸用材料的设备、与其一起使用的制品和制造制品的方法
CN107249361A (zh) 与用于加热可吸用材料的设备一起使用的盒体
CN110179172A (zh) 用于气溶胶生成装置的耗材
CN110996692B (zh) 气溶胶生成装置
JP2017077181A (ja) フィルター付シガレット
JP7250988B2 (ja) エアロゾル供給デバイス
RU2787083C1 (ru) Элемент изделия для вдыхания аромата, изделие для вдыхания аромата, поглотитель фенола в изделии для вдыхания аромата, и способ получения изделия для вдыхания аромата
WO2020235007A1 (ja) 加熱型香味吸引器用香料含有シートおよび加熱型香味吸引器
KR102306688B1 (ko) 증발식 흡연장치용 흡연물품
RU2815299C1 (ru) Кальянное устройство с возможностью перфорирования картриджа
RU2815300C1 (ru) Устройство, генерирующее аэрозоль, с прокалывающим узлом
RU2796787C2 (ru) Система, генерирующая аэрозоль, и изделие, генерирующее аэрозоль (варианты)
RU2796401C2 (ru) Картридж для кальяна с гелем
WO2023032089A1 (ja) 乾燥たばこ充填材、非燃焼加熱型香味吸引物品、非燃焼加熱型香味吸引器および包装製品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210803

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220913

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221111

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230117

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230215

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7230201

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150