JPWO2020217423A1 - 熱源側ユニット及びそれを備える冷凍サイクル装置 - Google Patents

熱源側ユニット及びそれを備える冷凍サイクル装置 Download PDF

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Abstract

冷凍サイクル装置(1)を構成する熱源側ユニット(2)は、凝縮器(20)の出側の冷媒の一部を、蒸発器(60)を通過することなく圧縮機(10)へ戻すように構成されたバイパス回路(BC)と、バイパス回路を構成する配管を流れる冷媒を加熱する加熱器(72)とを含む。制御装置(100)は、加熱器(72)による加熱前の冷媒の温度と加熱後の冷媒の温度との差である温度上昇量に基づいて、冷媒回路(RC)への冷媒の充填量の適否を判定する。

Description

本開示は、熱源側ユニット及びそれを備える冷凍サイクル装置に関する。
特開2012−132639号公報(特許文献1)は、冷媒回路に充填された冷媒の量の適否を判定するための手段を備えた冷凍装置を開示する。具体的に、この冷凍装置の冷媒量判定手段は、過冷却熱交換器の温度効率に基づいて、冷媒回路に充填された冷媒量の適否を判定する。ここで、温度効率は、過冷却熱交換器の出口における冷媒の過冷却度を過冷却熱交換器の最大温度差で除算した値である。
特開2012−132639号公報
上記の特許文献に開示された冷凍装置では、過冷却熱交換器の最大温度差が温度センサの検出精度と同程度であるような運転状態の場合に、温度効率の計算誤差が増大するという問題があった。このために、運転状態によっては、冷媒の充填量の適否を判定することができない場合があった。
本開示は、上記の問題点の解決に関する。本開示の目的の1つは、冷凍サイクル装置の冷媒回路に充填する冷媒の量の適否を精度良く判定することが可能な熱源側ユニット及びそれを備える冷凍サイクル装置を提供することである。本開示の他の目的は、一年間を通して冷媒不足とならないような適量の冷媒を冷媒回路に封入することが可能な熱源側ユニット及びそれを備える冷凍サイクル装置を提供することである。本開示のさらに他の目的は、冷媒充填量の適否を判定可能な運転条件(検知条件とも称する)の範囲を広げることである。
一実施形態の熱源側ユニットは、負荷側ユニットと接続されて冷凍サイクル装置を構成する。負荷側ユニットは、冷媒の膨張機構および蒸発器を備える。熱源側ユニットは、圧縮機、凝縮器、バイパス回路、冷媒量検出部、および制御装置とを備える。少なくとも膨張機構、蒸発器、圧縮機、及び凝縮器は、冷媒を順に循環させる冷媒回路を形成する。バイパス回路は、凝縮器の出側の冷媒の一部を、蒸発器を通過することなく圧縮機へ戻すように構成される。冷媒量検出部は、加熱器、加熱後温度センサ、及び加熱前温度センサを含む。冷媒量検出部の加熱器は、バイパス回路に流れる冷媒を加熱するように構成される。冷媒量検出部の加熱後温度センサは、加熱器によって加熱された冷媒の温度を検出する。冷媒量検出部の加熱前温度センサは、加熱器によって加熱される前の冷媒の温度を検出する。制御装置は、加熱後温度センサが検出した温度と加熱前温度センサが検出した温度との差を温度上昇量として算出する。冷媒回路に冷媒を充填する際に、制御装置は、温度上昇量が第1の閾値以上の場合に追加の冷媒を充填するよう指示する。
他の実施形態の熱源側ユニットは、上記の一実施形態の熱源側ユニットにおいて制御装置に他の制御動作を追加したものである。具体的に、制御装置は、温度上昇量が第1の閾値未満の場合に、不足冷媒量をさらに充填するように指示する。不足冷媒量は、一年を通して推定される冷媒の最大密度と充填時における冷媒の密度との差に基づいて計算される。
上記の一実施形態の熱源側ユニットによれば、冷媒量検出部における冷媒の温度上昇量に基づいて、冷媒回路に充填する冷媒の量の適否を精度良く判定することができる。また、上記の構成の冷媒量検出部を用いることにより、広い検知条件範囲で冷媒充填量の適否を判定することができる。
上記の他の実施形態の熱源側ユニットによれば、不足冷媒量の冷媒を冷媒回路に充填することによって、一年間を通じて冷媒不足とならないような適量の冷媒を冷媒回路に封入できる。
本開示の実施の形態1に従う熱源側ユニットが用いられる冷凍装置の全体構成図である。 制御装置の構成の一例を示すブロック図である。 冷媒の充填を開始したばかりの状態における、ヒータによる冷媒温度の変化を説明する図である。 適正な冷媒量まで充填された状態における、ヒータによる冷媒温度の変化を説明する図である。 図1の冷凍装置において、冷媒回路への冷媒の充填手順を示すフローチャートである。 冷媒量検出部におけるヒータの故障を判定する手順を示すフローチャートである。 冷凍装置1の熱源側ユニット2の構造を概略的に示す図である。 その他の冷媒充填量の適否を判定する手法を説明するための図である。 実施の形態2に従う熱源側ユニットが用いられる冷凍装置の全体構成図である。 電磁弁79とヒータ72との動作パターンを示す図である。 図9の冷凍装置において、冷媒回路RCへの冷媒の充填手順を示すフローチャートである。 電磁弁の故障判定を行う手順を示すフローチャートである。 実施の形態3に従う熱源側ユニットが用いられる冷凍装置の全体構成図である。 図13の冷凍装置において、冷媒回路RCへの冷媒の充填手順を示すフローチャートである。 図14の閾値を設定するステップS185の詳細な手順を示すフローチャートである。 エンタルピーの算定方法を説明するための図である。
以下、各実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。以下では、複数の実施の形態について説明するが、各実施の形態で説明された構成を適宜組合わせることは出願当初から予定されている。なお、同一または相当する部分には同一または類似する参照符号を付して、その説明を繰り返さない場合がある。
実施の形態1.
[冷凍装置の全体構成]
図1は、本開示の実施の形態1に従う熱源側ユニットが用いられる冷凍装置の全体構成図である。なお、この図1の全体構成図は、冷凍装置における各機器の接続関係及び配置構成を機能的に示したものであり、物理的な空間における配置を必ずしも示すものではない。
図1を参照して、冷凍装置1は、熱源側ユニット2と、負荷側ユニット3とを備える。熱源側ユニット2は、圧縮機10と、凝縮器20と、ファン22と、受液器30と、過冷却熱交換器40と、ファン42と、サイトグラス45と、配管80〜83,85とを含む。熱源側ユニット2は、さらに、配管86,87と、冷媒量検出部70と、圧力センサ90,92と、制御装置100とを含む。
さらに、熱源側ユニット2は、過冷却熱交換器40の出口温度OTを検出するための温度センサ、凝縮温度CTを検出するための温度センサ、および外気温度ATを検出するための温度センサを含む。図1の場合、外気温度ATを検出するための温度センサは、凝縮器20への外気の吸入口に設けられる。凝縮温度CTを検出するための温度センサは、凝縮器20の出側に設けられる。熱源側ユニット2は、さらに、蒸発温度ETを検出するための温度センサを含む。図1の場合、蒸発温度ETを検出するための温度センサは、蒸発器60の内部に設けられる。なお、蒸発温度ETは、吸入圧力センサ90によって検出された吸入圧力LPを、冷媒飽和ガス温度に換算することによって算出してもよい。
負荷側ユニット3は、膨張弁50と、蒸発器60と、ファン62と、配管84とを含む。負荷側ユニット3は、液延長配管910およびガス延長配管900を通じて熱源側ユニット2に接続されている。液延長配管910およびガス延長配管900をそれぞれ第1配管および第2配管とも称する。また、液延長配管910およびガス延長配管900は、現地において冷凍装置1を据え付ける際に熱源側ユニット2と負荷側ユニット3との間に接続される配管であるので、現地接続配管とも称する。図1において、液延長配管910は、過冷却熱交換器40の出側から膨張弁50に至る配管83の一部である。ガス延長配管900は、蒸発器60の出側から圧縮機10の吸い込み口に至る配管85の一部である。
なお、熱源側ユニット2は、複数のサブユニットに分割されていてもよい。たとえば、凝縮器20および過冷却熱交換器40によって第1のサブユニットが構成され、圧縮機10、受液器30、冷媒量検出部70、および制御装置100によって第2のサブユニットが構成されてもよい。受液器30を第2のサブユニットに代えて第1のサブユニット内に設けてもよい。もしくは、熱源側ユニット2および負荷側ユニット3を1つのユニットとして構成してもよい。したがって、「ユニット」という用語は便宜上の用語であって、必ずしも1つの筐体に内蔵されていることを意味しない。
配管80は、圧縮機10の吐出ポートと凝縮器20とを接続する。配管81は、凝縮器20と受液器30とを接続する。配管82は、受液器30と過冷却熱交換器40とを接続する。配管83は、過冷却熱交換器40と膨張弁50とを接続する。配管84は、膨張弁50と蒸発器60とを接続する。配管85は、蒸発器60と圧縮機10の吸入ポートとを接続する。配管86は、配管82と冷媒量検出部70とを接続する。配管87は、冷媒量検出部70と配管85とを接続する。
上記の配管を介して、圧縮機10、凝縮器20、受液器30、過冷却熱交換器40、膨張弁50、および蒸発器60の順に冷媒が循環する冷媒回路RCが構成される。
圧縮機10は、配管85から吸入される冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒を配管80へ吐出する。圧縮機10は、制御装置100からの制御信号に従って回転数を調整するように構成される。圧縮機10の回転数を調整することで冷媒の循環量が調整され、冷凍装置1の能力を調整することができる。圧縮機10には種々のタイプのものを採用でき、たとえば、スクロールタイプ、ロータリータイプ、スクリュータイプ等のものを採用できる。
凝縮器20は、圧縮機10から配管80を介して流入した冷媒を凝縮する。凝縮器20において凝縮された冷媒は、配管81へ流入する。凝縮器20は、圧縮機10から吐出された高温高圧のガス冷媒が外気などと熱交換(放熱)を行なうように構成される。この熱交換により、冷媒は凝縮されて液相に変化する。ファン22は、凝縮器20において冷媒が熱交換を行なう外気を凝縮器20に供給する。ファン22の回転数を調整することにより、圧縮機10出側の冷媒圧力(高圧側圧力)を調整することができる。
受液器30は、凝縮器20によって凝縮された高圧の液冷媒を貯留する。過冷却熱交換器40は、受液器30から配管82を介して流入した液冷媒がさらに外気などと熱交換(放熱)を行なうように構成される。冷媒は、過冷却熱交換器40を通過することによって、過冷却された液冷媒となる。ファン42は、過冷却熱交換器40において冷媒が熱交換を行なう外気を過冷却熱交換器40に供給する。ファン22,42、凝縮器20、および過冷却熱交換器40は、一体で構成されることが多い。サイトグラス45は、配管83を流れる冷媒中の気泡(フラッシュガス)を目視により確認するための窓である。
膨張弁50は、過冷却熱交換器40から配管83を介して流入した冷媒を減圧する。膨張弁50によって減圧された冷媒は、配管84へ流入する。膨張弁50の開度を閉方向に変化させると、膨張弁50出側の冷媒圧力は低下し、冷媒の乾き度は上昇する。膨張弁50の開度を開方向に変化させると、膨張弁50出側の冷媒圧力は上昇し、冷媒の乾き度は低下する。膨張弁50に代えてキャピラリチューブを用いてもよい。この開示では、膨張弁およびキャピラリチューブを総称して膨張機構と称する。
蒸発器60は、膨張弁50から配管84を介して流入した冷媒を蒸発させる。蒸発器60において蒸発した冷媒は、配管85へ流入する。蒸発器60は、膨張弁50により減圧された冷媒が負荷側ユニット3内の空気と熱交換(吸熱)を行なうように構成される。冷媒は、蒸発器60を通過することにより蒸発して過熱蒸気となる。ファン62は、蒸発器60において冷媒が熱交換を行なう外気を蒸発器60に供給する。
冷媒量検出部70は、配管82から分岐する配管86と、配管85に接続される配管87との間に設けられる。配管86、冷媒量検出部70、及び配管87は、凝縮器20の出側の冷媒の一部を、負荷側ユニット3を通過することなく圧縮機10へ戻す「バイパス回路BC」を構成する。したがって、バイパス回路BCの一端は、受液器30と過冷却熱交換器40との間に接続される。
冷媒量検出部70は、キャピラリチューブ71と、ヒータ72と、温度センサ73,74とを含む。ヒータ72を加熱器とも称する。温度センサ73を加熱前温度センサとも称し、温度センサ74を加熱後温度センサとも称する。
キャピラリチューブ71は、配管86と配管87との間に接続され、バイパス回路BCに流れる冷媒の圧力を減圧する。キャピラリチューブ71は、配管86から液冷媒が供給される場合にキャピラリチューブ71を通過した冷媒がヒータ72によって加熱されてもガス単相となることなく気液二相であるように、ヒータ72の加熱量も考慮して適宜設計される。なお、キャピラリチューブ71に代えて膨張弁を用いてもよい。
ヒータ72及び温度センサ73,74は、配管87に設けられる。ヒータ72は、キャピラリチューブ71を通過した冷媒を加熱する。冷媒は、ヒータ72によって加熱されることによりエンタルピーが上昇する。ヒータ72は、上述のように、キャピラリチューブ71を通過した冷媒がヒータ72によって加熱されてもガス単相となることなく気液二相であるように、キャピラリチューブ71の仕様とともにその加熱量が設定される。ヒータ72は、配管87の外部から冷媒を加熱してもよいし、ヒータ72から冷媒への伝熱をより確実にするために配管87の内部に設置してもよい。
温度センサ73は、ヒータ72による冷媒加熱前の冷媒温度、すなわち、キャピラリチューブ71とヒータ72との間の冷媒の温度T1を検出し、その検出値を制御装置100へ出力する。一方、温度センサ74は、ヒータ72による冷媒加熱後の冷媒温度、すなわち、ヒータ72の下流であって配管85に合流する前の冷媒の温度T2を検出し、その検出値を制御装置100へ出力する。温度センサ73,74は、配管87の外部に設置してもよいし、冷媒の温度をより確実に検出するために配管87の内部に設置してもよい。
上記の構成を有する冷媒量検出部70によって、冷媒回路RCへの冷媒の充填量の適否を判定することができる。その原理及び具体的方法については、後ほど詳しく説明する。
圧力センサ90は、配管85内の冷媒の圧力LPを検出し、その検出値を制御装置100へ出力する。すなわち、圧力センサ90は、圧縮機10の吸入側の冷媒圧力(すなわち、低圧側圧力LP)を検出する。圧力センサ92は、配管80内の冷媒の圧力HPを検出し、その検出値を制御装置100へ出力する。すなわち、圧力センサ92は、圧縮機10の吐出側の冷媒圧力(すなわち、高圧側圧力HP)を検出する。
制御装置100は、熱源側ユニット2における各機器の制御を実行する。制御装置100は、一例として、CPU(Central Processing Unit)102およびメモリ104を含むコンピュータをベースに構成される。
図2は、制御装置の構成の一例を示すブロック図である。図2を参照して、制御装置100は、CPU102と、メモリ104と、ストレージ106と、インタフェース(I/F)108〜114とを含む。制御装置100には、インタフェース108,110を介して出力装置120および入力装置122が接続される。さらに、制御装置100は、インタフェース112を介して圧縮機10に制御信号を出力する。さらに、制御装置100は、インタフェース114を介して、温度センサ73,74および圧力センサ90,92などの各種センサからその検出値を受信する。
メモリ104は、CPU102の主記憶として用いられる不揮発性メモリである。メモリ104をRAM(Random Access Memory)とも称する。ストレージ106は、不揮発性メモリであり、ROM(Read Only Memory)と、ハードディスクなどの外部記憶装置とを含む。
CPU102は、ストレージ106に格納されているプログラムをメモリ104に展開して実行する。ストレージ106に格納されているプログラムには、制御装置100の処理手順が記載されている。CPU102は、このプログラムに従って、熱源側ユニット2における各機器の制御を実行する。
出力装置120は、CPU102からデータまたは制御信号を受け取って外部に出力したり、ユーザに報知したりするための周辺機器である。出力装置120として、たとえば、ディスプレイ、プリンタ、スピーカなどが挙げられる。また、出力装置120は、基板に設けられたLED(Light Emitting Diode)であってもよい。また、出力装置120は、リレー信号を出力する出力回路であってもよい。
入力装置122は、データまたは制御信号を、制御装置100の内部のCPU102に入力するための周辺機器である。入力装置122として、たとえば、キーボード、マウス、タッチパネルなどが挙げられる。また、出力装置120は、基板に設けられたプッシュスイッチ、スライドスイッチ、またはロータリスイッチであってもよい。
なお、制御装置100による処理は、コンピュータによるソフトウェア処理に限らず、電子回路によるハードウェア処理によって実現されてもよい。また、ソフトウェア処理とハードウェア処理との組み合わせによって実現されてもよい。電子回路は、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)などによって構成可能である。
[冷媒充填量の適否についての判定原理]
以下、冷媒回路RCに新たに冷媒を充填する場合において、冷媒量検出部70を用いて冷媒量の適否を判定する原理について説明する。たとえば、現地に新たに冷凍装置1を据え付ける場合、または冷蔵庫もしくはショーケースなどの既存の負荷側ユニット3に新品の熱源側ユニット2を接続する場合などが想定される。
図3は、冷媒の充填を開始したばかりの冷媒不足の状態における、ヒータによる冷媒温度の変化を説明する図である。図3(A)は、ヒータ72周辺の冷媒の状態を概念的に示す図である。図3(B)は、ヒータ72による冷媒温度の変化の一例を示す図である。
図1とともに図3(A)を参照して、冷媒の充填を開始した当初には、冷媒不足状態のため凝縮器20の出口において冷媒は気液二相化しており、受液器30には、液冷媒が溜まっていない。これにより、配管86には気液二相の冷媒が流れ、キャピラリチューブ71を通過した冷媒はガス成分が多くなり、冷媒の質量流量は低下する。
図3(B)を参照して、横軸は、配管87の延設方向の位置を示しており、P1,P2は、それぞれ温度センサ73,74が設置されている位置を示す。縦軸は、配管87の各位置における冷媒温度を示す。
図3(B)に示すように、キャピラリチューブ71を通過した冷媒はガス成分が多く冷媒の質量流量が低下するため、ヒータ72によって冷媒が加熱されると、冷媒の温度が上昇する。すなわち、ヒータ72による冷媒加熱後の冷媒の温度T2は、ヒータ72による冷媒加熱前の冷媒の温度T1よりも高くなる。
図4は、適正な冷媒量まで充填された状態における、ヒータによる冷媒温度の変化を説明する図である。図4(A)は、ヒータ72周辺の冷媒の状態を概念的に示す図である。図4(B)は、ヒータ72による冷媒温度の変化の一例を示す図である。
図1とともに図4(A)を参照して、冷媒が適正量まで充填されると、凝縮器20の出口において冷媒はほぼ液相化しており、受液器30に液冷媒が溜まっている。これにより、配管86には液冷媒が流れ、キャピラリチューブ71を通過した冷媒は、液成分が多い状態となる。そして、キャピラリチューブ71を通過した冷媒は、ヒータ72により加熱されて乾き度が上昇する。
図4(B)を参照して、横軸は、配管87の延設方向の位置を示しており、P1,P2は、それぞれ温度センサ73,74が設置されている位置を示す。縦軸は、配管87の各位置における冷媒温度を示す。なお、この図4(B)では、冷媒が単一の沸点を有する場合、すなわち単一成分冷媒または共沸混合冷媒である場合が示されている。
図4(B)に示すように、キャピラリチューブ71を通過した冷媒は液成分が多く冷媒の質量流量が多い状態であるため、ヒータ72によって冷媒が加熱されても冷媒の温度は基本的に変化しない。なぜなら、加熱エネルギは冷媒の潜熱変化に利用されるからである。したがって、ヒータ72による冷媒加熱後の冷媒の温度T2は、ヒータ72による冷媒加熱前の冷媒の温度T1と略同等となる。
なお、特に図示しないが、冷媒が複数の沸点を有する非共沸混合冷媒の場合には、ヒータ72による加熱によって冷媒の温度は多少上昇する。しかし、その温度上昇量は、高々10℃程度である。したがって、ヒータ72による加熱量を調整することにより、充填量が不足している場合における冷媒の温度上昇と、充填量が適正な場合における冷媒の温度上昇とを区別可能である。
上記のとおり、冷媒量検出部70において、ヒータ72によって冷媒を加熱したときの冷媒の温度上昇量に基づいて、冷媒回路RCへの冷媒の充填量が適正かどうかを判定することができる。
なお、上記の判定方法は、受液器および過冷却熱交換器が設けられていない冷凍装置にも適用可能である。バイパス回路BCを構成する配管(86および87)の一端は、凝縮器20の出側に接続される。バイパス回路BCは、凝縮器20を通過した冷媒の一部を、負荷側ユニット3を通過することなく圧縮機10へ戻す。
[冷媒回路への冷媒の充填手順]
図5は、図1の冷凍装置において、冷媒回路への冷媒の充填手順を示すフローチャートである。以下、図1および図5を参照して、冷媒充填時における冷媒充填量の制御手順について説明する。以下に説明するように、冷媒の充填手順は、初期充填、複数回の追加充填、および最終追加充填の順に進む。
まず、ステップS100において、制御装置100は、図2の入力装置122を介して、ユーザから冷媒の充填量の制御開始の入力を受け付ける。
その次のステップS110において、制御装置100は、入力装置122を介して、ユーザから、冷媒量に対する影響が大きい構成要素の仕様の入力を受け付ける。具体的に必要な構成要素の仕様は以下のとおりである。
(i)熱源側ユニット2と負荷側ユニット3とを接続するためのガス延長配管900の径及び長さ。ガス延長配管は、図1の配管85に相当する。
(ii)熱源側ユニット2と負荷側ユニット3とを接続するための液延長配管910の径及び長さ。液延長配管は、図1の配管83に相当する。
(iii)凝縮器20の内容積。
(iv)蒸発器60の内容積。
(v)受液器30の内容積。
上記の仕様情報は、冷媒の初期充填量の算出および最終追加充填量の算出において特に必要になる。なお、ガス延長配管900および液延長配管910の内容積に比べてそれ以外の配管の内容積は小さいので無視できる。
その次のステップS120において、制御装置100は、初期充填量の冷媒を冷媒回路RC内に充填するように指示する。初期充填量は、圧縮機10を動作させるのに最低限必要な冷媒の量である。たとえば、制御装置100は、図2の出力装置120としてのディスプレイに初期充填量を表示するようにしてもよいし、音声出力により初期充填量を報知してもよい。自動的に所望の充填量の冷媒を充填可能な機構が備えられている場合には、制御装置100は初期充填量の冷媒を自動的に冷媒回路RC内に充填するように指示する。
その次のステップS125において、制御装置100は、冷媒量検出部70に設けられたヒータ72の故障判定を行う。ヒータの故障判定は、バイパス回路BCに冷媒を流していない状態で実行される。具体的な故障判定の具体的手順は以下のとおりである。なお、このステップS125は、ヒータ72の故障の可能性が低い場合には、必ずしも実行しなくてよい。
図6は、冷媒量検出部におけるヒータの故障を判定する手順を示すフローチャートである。
図6を参照して、ステップS300において、制御装置100は、冷媒量検出部70に設けられたヒータ72をオン(ON)する。
次のステップS310において、制御装置100は、冷媒量検出部70の温度センサ73,74からそれぞれ温度T1,T2の検出値を取得する。温度T1,T2の検出は、ヒータ72をオンしてから定められた時間が経過した後に実行される。
その次のステップS320において、制御装置100は、冷媒量検出部70に設けられたヒータ72をオフ(OFF)する。
その次のステップS330において、制御装置100は、取得された温度T1又はT2が閾値Tth2よりも高いか否かを判定する。閾値Tth2は、ヒータ72が動作しているか否かを判定するための値である。たとえば、後述するステップS200における閾値Tth1が4〜5℃程度の小さい値に設定されるのに対して、閾値Tth4は10〜20℃程度の値に設定される。
この結果、取得された温度T1およびT2の少なくとも一方が閾値Tth2よりも低い場合に(ステップS330でYES)に、処理はステップS340に進む。ステップS340において、制御装置100は、ヒータ72が故障している旨を出力装置120を介してユーザに報知する。これにより、実際には充填量が不十分であるにも拘わらず、ヒータ72の故障により冷媒の充填量が適正であると誤判定することを防止できる。
再び図5を参照して、次のステップS130において、制御装置100は、予め定められた固定回転周波数で圧縮機10の運転を開始させる。圧力損失を抑制するために、圧縮機10の回転周波数は比較的小さな値、たとえば、30Hzに設定される。
その次のステップS140において、制御装置100は、冷媒量検出部70におけるヒータ72をオンする。
その次のステップS150において、制御装置100は、各部のデータを取得する。具体的に、制御装置100は、冷媒量検出部70の温度センサ73,74からそれぞれ温度T1,T2の検出値を取得する。さらに、制御装置100は、温度センサによって、凝縮温度CT、過冷却熱交換器40の出口温度OT、外気温度AT、および蒸発温度ETを取得する。さらに、制御装置100は、圧力センサ90、92により、圧縮機10の吸入側の冷媒圧力(すなわち、低圧側圧力LP)及び圧縮機10の吐出側の冷媒圧力(すなわち、高圧側圧力HP)を検出する。
その次のステップS160において、制御装置100は、現在の運転状態が検知不可条件に該当するか否かを判断する。この検知不可条件としては、例えば、次のような条件を予め設定する。
(i)液バックによって、膨張弁50から圧縮機10までの低圧側の冷媒回路に多くの冷媒が移動しているため、冷媒量検出部70への冷媒の供給量が減少している場合。この場合、冷媒回路RC内の冷媒の充填量が十分であるにもかかわらず、充填量が不足と判定されることがある。なお、液バックとは、蒸発器60による蒸発が不十分なために気液二相の冷媒が圧縮機10に吸入される場合をいう。液バックが生じたことは、圧縮機10の吸入側の過熱度SHが閾値よりも小さいことによって判断できる。
(ii)蒸発温度ETが閾値よりも高い場合。蒸発温度が高い場合には、冷媒回路RCの低圧側の冷媒量が多い状態となっているため、冷媒量検出部70への冷媒の供給量が減少する。この結果、冷媒回路RCへの冷媒の充填量が十分であるにもかかわらず、充填量が不足と判定されることがある。
(iii)圧縮機10が停止中、または圧縮機10を起動してから定められた時間以内の場合。圧縮機10の起動直後は、バイパス回路BCを流れる冷媒の量が安定しないので、冷媒充填量の適否の判定には適さない。
(iv)ヒータ72が故障している場合。ただし、ヒータ72が故障している場合には、処理を中断してヒータを交換する必要がある。
制御装置100は、これらの何れか1つに該当する場合には検知不可条件に該当すると判断する(ステップS160でYES)。この場合、制御装置100は、取得したデータを無効値としてバッファに格納し(ステップS170)、ステップS150に処理を戻して新たなデータを取得する。
検知不可条件に該当しない場合(ステップS160でNO)、制御装置100は、取得したデータを有効値としてバッファに格納する(ステップS180)。バッファとして図2のメモリ104またはストレージ106が用いられる。
制御装置100は、一定の時間(たとえば、15分間)連続して有効なデータを取得できた場合(ステップS190でYES)に、冷媒の充填量の適否を判定するステップS200に進む。一定の時間連続して有効なデータを取得できなかった場合(ステップS190でNO)、制御装置100は、ステップS150に処理を戻して新たなデータを取得する。
次のステップS200において、制御装置100は、取得された温度T2と温度T1との差(T2−T1)、すなわち、ヒータ72による冷媒の温度上昇量が、閾値Tth1よりも小さいか否かを判定する。ただし、取得された温度T1およびT2にはばらつきがあるので、この判定は、連続する複数個のデータの平均値を用いるのが望ましい。さらに、一定の時間(たとえば、15分間)連続して、T2−T1<Tth1が満たされるか否かを判定するのが望ましい。
ヒータ72による冷媒の温度上昇量が閾値Tth1以上であると判定されると(ステップS200においてNO)、制御装置100は、冷媒の充填量が不足しているものと判定する。この場合、制御装置100は、次のステップS210において、冷媒回路RCに冷媒を追加充填するように指示する。たとえば、制御装置100は、図2の出力装置120としてのディスプレイに追加すべき冷媒量を表示するようにしてもよいし、音声出力により追加すべき冷媒量を報知してもよい。自動的に所望の充填量の冷媒を充填可能な機構が備えられている場合には、制御装置100は追加量の冷媒を自動的に冷媒回路RC内に充填するように指示してもよい。その後、制御装置100は、ステップS150に処理を戻して新たなデータを取得する。なお、制御装置100は、具体的な追加冷媒量の算出が難しい場合には、少しずつ(たとえば、1kg/分)冷媒を冷媒回路に追加するように指示する。
一方、ヒータ72による冷媒の温度上昇量が閾値Tth1よりも小さいと判定されると(ステップS200においてYES)、制御装置100は、冷媒の充填量はほぼ適正であると判定する。この場合、制御装置100は、次のステップS220において、冷媒量検出部70におけるヒータ72をオフする。
さらに、制御装置100は、その次のステップS230において、一年間を通して冷媒不足とならないように季節等の外気状況の変化に応じた冷媒の不足分を算出する。この冷媒の不足分は、最終的に追加すべき不足冷媒量を意味する。不足冷媒量の算出方法については後述する。
その次のステップS240において、制御装置100は、ステップS230で算出した不足冷媒量を充填するように指示する。たとえば、制御装置100は、図2の出力装置120としてのディスプレイに不足冷媒量を表示するようにしてもよいし、音声出力により不足冷媒量を報知してもよい。自動的に所望の充填量の冷媒を充填可能な機構が備えられている場合には、制御装置100は不足分の冷媒を自動的に冷媒回路RC内に充填するように指示してもよい。
以上により、冷媒充填量の制御手順が終了する。なお、ステップS230において、既に充填した冷媒の総量が十分な場合(すなわち、算出した不足冷媒量がほぼ0の場合)には、ステップS240は実行しなくてよい。
[不足冷媒量の算出方法]
制御装置100は、不足冷媒量を、凝縮器20、液延長配管910、ガス延長配管900、蒸発器60、および受液器30のそれぞれの内容積、ならびに、一年間で想定される冷媒の最大密度と冷媒封入時点の冷媒密度との差分に基づいて求める。これにより、季節等による外気状況の変化で、冷媒充填量にばらつきが出てしまうことを防止して、適切な量の冷媒を充填することができる。
不足冷媒量ΔMrは、冷凍装置1の構成のうち冷媒量変動が大きい5つの要素の各々の不足冷媒量の和として表される。すなわち、
ΔMr=ΔMrcond+ΔMrPL+ΔMrPG+ΔMreva+ΔMrrec …(1)
によって不足冷媒量ΔMrを算出できる。ここで、ΔMrcondは、凝縮器20の不足冷媒量である。ΔMrPLは、液延長配管910の不足冷媒量である。ΔMrPGは、ガス延長配管900の不足冷媒量である。ΔMrevaは、蒸発器60の不足冷媒量である。ΔMrrecは、受液器30の不足冷媒量である。以下、各不足冷媒量の算出方法を詳細に説明する。
(1.凝縮器20の不足冷媒量ΔMrcond
制御装置100は、予め設定された凝縮器20内の冷媒密度ρcondと凝縮温度(CT)との関係を用いることにより、検出された凝縮器出口温度(充填時の凝縮温度CT)から充填時の凝縮器20内の冷媒密度を算出する。制御装置100は、予め設定された基準密度と算出した充填時の凝縮器20内の冷媒密度との差分値を密度変動Δρcondとして求める。基準密度とは、温度により変動する凝縮器20内の冷媒密度の最大値である。制御装置100は、算出した密度変動Δρcondと凝縮器20の内容積Vcondとを乗算することにより、凝縮器20の不足冷媒量ΔMrcondを求める。
たとえば、冷媒密度が最大となるときの凝縮温度を53℃とすれば、密度変動Δρcondは、
Δρcond=1.7×(53−CT) …(2)
によって表される。上式(2)において、CTは充填時の凝縮温度を表し、1.7は実験的に求められた係数である。
(2.液延長配管910の不足冷媒量ΔMrPL
制御装置100は、予め設定された液延長配管910内の冷媒密度ρPLと液延長配管910内の冷媒温度との関係を用いることにより、検出された過冷却熱交換器の出口温度OTから充填時の液延長配管910内の冷媒密度を算出する。制御装置100は、予め設定された基準密度と算出した充填時の液延長配管910内の冷媒密度との差分値を密度変動ΔρPLとして求める。基準密度とは、温度により変動する液延長配管910内の冷媒密度の最大値である。制御装置100は、算出した密度変動ΔρPLと液延長配管910の内容積VPLとを乗算することにより、液延長配管910内の不足冷媒量ΔMrPLを求める。
たとえば、冷媒密度が最大となるときの液管温度を17℃とすれば、密度変動ΔρPLは、
ΔρPL=−5×(17−OT) …(3)
によって表される。上式(3)において、OTは充填時の過冷却熱交換器40の出口温度を表し、−5は実験的に求められた係数である。
(3.ガス延長配管900の不足冷媒量ΔMrPG
制御装置100は、予め設定されたガス延長配管900内の冷媒密度ρPGと蒸発温度ETとの関係を用いることにより、検出された充填時の蒸発温度ETから充填時のガス延長配管900内の冷媒密度を算出する。制御装置100は、予め設定された基準密度と算出した充填時のガス延長配管900内の冷媒密度との差分値を密度変動ΔρPGとして求める。基準密度とは、温度により変動するガス延長配管900内の冷媒密度の最大値である。制御装置100は、算出した密度変動ΔρPGとガス延長配管900の内容積VPGとを乗算することにより、ガス延長配管900内の不足冷媒量ΔMrPGを求める。
より詳細には、ガス延長配管900の冷媒密度は蒸発温度ETにより変化する。蒸発温度ETが変動する幅ΔETを、たとえば5℃とする。実際に使用する目標蒸発温度(ETm)と充填時の蒸発温度ETとが異なる場合も想定すれば、ガス延長配管900の密度変動ΔρPGは、
ΔρPG=0.8×(ΔET(=5)+(ETm−ET)) …(4)
によって表される。上式(4)において、0.8は実験的に求められた係数である。
(4.蒸発器60の不足冷媒量ΔMreva
制御装置100は、予め設定された蒸発器60内の冷媒密度ρevaと蒸発温度ETと蒸発器60の入口温度との関係を用いることにより、充填時の蒸発器60内の冷媒密度を算出する。具体的に、充填時の蒸発温度ETと充填時との過冷却熱交換器40の出口温度OTとが上記の関係に代入される。制御装置100は、予め設定された基準密度と充填時の冷媒密度との差分値を密度変動Δρevaとして求める。制御装置100は、算出した密度変動Δρevaと蒸発器60の内容積Vevaとを乗算することにより、蒸発器60内の不足冷媒量ΔMrevaを求める。
より詳細には、蒸発器60の冷媒密度ρevaは、蒸発温度ETと蒸発器60の入口温度とにより変化する。蒸発温度ETが変動する幅ΔETを、たとえば5℃とする。実際に使用する目標蒸発温度(ETm)と充填時の蒸発温度ETとが異なる場合も想定すれば、蒸発器60の密度変動Δρevaは、
Δρeva=3×(ΔET(=5)+(ETm−ET))+(OT−17)×29/28 …(5)
によって表される。上記(5)において、3および29/28は実験的に求められた係数である。
(5.受液器30の不足冷媒量ΔMrrec
制御装置100は、予め設定された受液器30内の冷媒密度ρrecと凝縮温度(CT)との関係を用いることにより、検出された凝縮器出口温度(充填時の凝縮温度CT)から充填時の受液器30内の冷媒密度を算出する。制御装置100は、予め設定された基準密度と算出した充填時の受液器30内の冷媒密度との差分値を密度変動Δρrecとして求める。基準密度とは、温度により変動する受液器30内の冷媒密度の最大値である。制御装置100は、算出した密度変動Δρrecと受液器30の内容積Vrecとを乗算することにより、受液器30の不足冷媒量ΔMrrecを求める。
たとえば、冷媒密度が最大となるときの凝縮温度を60℃とすれば、密度変動Δρrecは、
Δρrec=3.3×(60−CT) …(6)
によって表される。上式(6)において、CTは充填時の凝縮温度を表し、3.3は実験的に求められた係数である。
[冷媒量検出部の配置位置]
以上のように、本実施の形態の熱源側ユニット2では、冷媒量検出部70におけるヒータ72による冷媒の温度上昇量に基づいて、冷媒の充填量の適否が判定される。したがって、冷媒量の判定精度は、ヒータ72による冷媒の温度上昇量の検出精度に依存する。そこで、冷媒量検出部70は、温度上昇量の検出の外乱となる風の影響を受けにくい箇所に配設される。具体的には、冷媒量検出部70は、凝縮器20と比較して、気流の影響が小さい箇所に配設するのが好ましい。影響低減の対象となる風には、凝縮器20を通過した風、凝縮器20を通過する前の風、及び自然の風が含まれる。これにより、冷媒量検出部70が風の影響を受けて上記の温度上昇量に誤差が生じるのを抑制することができる。
図7は、冷凍装置1の熱源側ユニット2の構造を概略的に示す図である。図7を参照して、熱源側ユニット2の内部は、仕切板206によって熱交換室202と機械室204とに仕切られている。熱交換室202には、凝縮器20、受液器30及び過冷却熱交換器40(いずれも図示せず)、並びにファン22,42が収容されている。凝縮器20及び過冷却熱交換器40(以下、纏めて「熱交換部」と称する場合がある。)並びにファン22,42は、熱源側ユニット2の筐体の側面に設けられており、この例では、熱交換部が背面側に設けられるとともにファン22,42が前面側に設けられ、熱交換室202の背面側から前面側に向けて熱交換部の排熱風が流れる。機械室204には、圧縮機10、各配管、圧力センサ90,92及び制御装置100が収容されている。
そして、本実施の形態1に従う熱源側ユニット2においては、冷媒量検出部70は、機械室204に収容されている。熱交換室202内には、ファン22,42の動作に伴なう風、又はファン停止中には自然の風が流れており、このような風が流れる熱交換室202内に冷媒量検出部70が配置されると、冷媒量検出部70(特に温度センサ73,74)が風の影響を受けることによってヒータ72による冷媒の温度上昇量の測定に誤差が生じ得る。この例では、冷媒量検出部70は、熱交換室202とは仕切板206によって仕切られた機械室204に収容されているので、風の影響を受けない。したがって、この熱源側ユニット2によれば、ヒータ72による冷媒の温度上昇量を精度良く測定することができる。
なお、上記では、受液器30は、熱交換室202に配設されるものとしたが、機械室204に配設してもよい。気流の影響が小さい箇所であれば、その他の位置であってもよい。
[実施の形態1の効果]
以下、冷媒充填量の適否を判定するための他の方法と比較して、本実施の形態1の効果について説明する。図8は、その他の冷媒充填量の適否を判定する手法を説明するための図である。
(方法1)
図8(A)を参照して、過冷却熱交換器40の過冷却度によって、冷媒量の適否を判定することができる。ここで、過冷却度は、凝縮温度CTから過冷却熱交換器40の出口温度OTを減算することによって求められる。過冷却度が閾値Sthを超えたときに冷媒充填量が適切であると判断される。
図8(A)に示すように、この判定方法では、冷凍装置1の運転状況の影響が大きい。運転状況Aの場合には、冷媒量がR1のとき適正と判断されるのに対し、運転状況Bの場合には、冷媒量がR2のとき適正と判断される。いずれも、本来の適正な冷媒量Eよりも小さい。この原因は、どのような運転状況によっても判定可能なように過冷却度の閾値Sthを小さくしなければならなかった点にある。
(方法2)
他の方法として、過冷却熱交換器の出口における冷媒の過冷却度を、過冷却熱交換器の最大温度差で除算した値である温度効率εにより冷媒不足を判定することができる。外気で過冷却熱交換器40を冷却する場合、温度効率εは、凝縮温度CT、過冷却熱交換器40の出口温度OT、および外気温度ATを用いて、
ε=(CT−OT)/(CT−AT) …(7)
で表される。温度効率εが閾値εthを超えたときに、冷媒充填量が適切であると判断される。
図8(B)に示すように、この方法の場合には、運転状況A,Bによる影響は小さい。しかしながら、閾値εthに達したときの冷媒量R3は、本来の適正な冷媒量Eよりも若干小さくなる。さらに、方法2には次のような重大な問題がある。
第1に、運転状況によっては誤差が大きいために、温度効率εを判定できない場合がある。まず、過冷却熱交換器40が空冷のとき、上式(7)に示すように、凝縮温度CT−外気温度ATによって過冷却熱交換器40の最大温度差が求められる。ここで、凝縮器20のファン22の風量が低下したために凝縮器20の熱交換性能が低下した場合、すなわち、凝縮温度CTと外気温度ATとの差が閾値よりも大きい場合に問題となる。この場合、十分な冷媒量の冷媒が封入された状態でも温度効率が小さくなる場合があり、この結果として過充填となる場合があるために冷媒不足か否かの判定を実施できない。
さらに、蒸発温度が低くかつ圧縮機10の運転周波数が低いために凝縮負荷が小さい場合、すなわち、凝縮温度CTと外気温度ATとの差が閾値よりも小さい場合に問題となる。この場合、温度センサの誤差により算出した温度効率が真値に対して大幅にずれることがあるため、冷媒不足か否かの判定を実施できない。
一方、過冷却熱交換器40が2重管またはプレート熱交換方式のとき、過冷却熱交換器40の最大温度差は、凝縮温度CTと過冷却熱交換器40の中間圧側飽和温度との差によって求められる。ここで、凝縮温度CTと過冷却熱交換器40の中間圧側飽和温度との差が小さい場合に問題となる。この結果、温度センサの誤差により算出した温度効率が真値に対して大幅にずれることがあるため、冷媒不足か否かの判定を実施できない。
第2に、非共沸混合冷媒の場合には、同じ圧力であっても、飽和液の冷媒温度と飽和ガスの冷媒温度に差(すなわち、温度勾配)があり問題となる。たとえば、共沸冷媒の場合には、(方法1)の図8(A)に示すように、冷媒不足になると過冷却度(すなわち、CT−OT)は零になる。一方、非共沸冷媒の場合、冷媒不足となった場合でも温度勾配があるために過冷却度(すなわち、CT−OT)は零にならない。この結果、判定精度が低下したり、温度効率εの閾値εthを大きく設定しないと判定が困難になったりする。
本実施の形態1の冷媒量検出部70を用いた冷媒充填量の判定では、ヒータ72の加熱量を調整することによって、上記のいずれの問題も改善することができる。すなわち、運転状況による判定結果のばらつきを小さくでき、判定が困難になる運転状態も殆ど生じない。上記の方法1,2のように適正な冷媒量Eよりも小さな冷媒量を適正と判定することもなく、精度の良い判定結果が得られる。さらに、図4(B)を参照して説明したように、非共沸混合冷媒の場合にも適正な充填量を精度良く判定できる。
また、本実施の形態1では、式(1)に従って計算される不足冷媒量の冷媒を冷媒回路に最終的に充填することによって、一年間を通じて冷媒不足とならないような適量の冷媒を冷媒回路に封入できる。
実施の形態2.
冷媒量検出部が設けられるバイパス回路BCに冷媒が流れると、負荷側ユニット3の蒸発器60に流れる冷媒量が減少する。したがって、バイパス回路BCに冷媒を流し続けると、冷凍装置の性能に影響を与える可能性がある。
そこで、この実施の形態2では、バイパス回路BCに開閉弁が設けられる。冷媒の充填作業中には開閉弁は開放される。その後の通常動作中には、開閉弁は閉鎖される。
図9は、実施の形態2に従う熱源側ユニットが用いられる冷凍装置の全体構成図である。図9を参照して、この冷凍装置1Aは、熱源側ユニット2Aと、負荷側ユニット3とを備える。熱源側ユニット2Aは、図1に示した実施の形態1の熱源側ユニット2において、冷媒量検出部70に代えて冷媒量検出部70Aを含む。
冷媒量検出部70Aは、図1に示した実施の形態1の冷媒量検出部70において、電磁弁79をさらに含む。電磁弁79は、キャピラリチューブ71の上流の配管86に設けられ、制御装置100からの指示に従って開閉する。電磁弁79をキャピラリチューブ71の下流の配管87に設けることもできるが、キャピラリチューブ71の上流の配管86に設けたほうが望ましい。電磁弁79が開状態になると、キャピラリチューブ71及び配管87に冷媒が流れ、冷媒量の適否が判定可能になる。電磁弁79が閉状態のときは、キャピラリチューブ71及び配管87への冷媒の流れが遮断されるので、冷媒量の適否の判定は実行不可となる。
図9のその他の点は図1と同様であるので、同一または相当する部分には、同一または類似の参照符号を付すことによってその説明を繰り返さない。
図10は、電磁弁79とヒータ72との動作パターンを示す図である。図10を参照して、冷媒充填量の制御中には、電磁弁79はON(開)され、ヒータ72もONされる。通常時、すなわち、冷媒充填量の制御の非実行時は、電磁弁79はOFF(閉)され、ヒータ72もOFFされる。
さらに、電磁弁79がOFFの場合には、ヒータの故障判定も可能である。図10を参照して、ヒータ故障の判定中には、電磁弁79はOFF(閉)され、ヒータ72がONされる。
なお、図9では、電磁弁79は、配管86に設けられるものとしたが、電磁弁79は、キャピラリチューブ71の下流の配管87に設けてもよい。但し、バイパス回路BCにおいて電磁弁79を上流側に配設した方が、通常時にバイパス回路BCに寝込む液冷媒の量を少なくすることができるので、配管86に電磁弁79を設ける方が好ましい。さらには、電磁弁79は、配管82から配管86が分岐される分岐部にできるだけ近い箇所に設けるのがより好ましい。
図11は、図9の冷凍装置において、冷媒回路RCへの冷媒の充填手順を示すフローチャートである。
図11のフローチャートは、図5のフローチャートを変更したものである。図11のフローチャートでは、電磁弁79を開にするステップS144が、ヒータ72をオンにするステップS140の後で、データを取得するステップS150の前に実行される。さらに、図11のフローチャートでは、電磁弁79を閉にするステップS225が、ヒータ72をオフにするステップS230の後に実行される。
また、ヒータ72の故障を判定するステップを実行するタイミングが変更される。具体的に図11のフローチャートでは、ヒータ72の故障を判定するステップS142は、ヒータ72をオンにするステップS140の後で、電磁弁79を開にするステップS144の前に実行される。
具体的なヒータ72の故障を判定する手順は、図6の手順に類似する。ただし、図6において、ヒータをオンにするステップS300は、既に図11のステップS140において実行済みである。また、ヒータをオフにするステップS320は、図11のステップS220において実行される。
電磁弁79を設けることにより、冷媒充填量の制御中に限定してバイパス回路BCに冷媒を流すことができる。しかし、電磁弁79が閉故障した場合には、バイパス回路BCにおいて冷媒の流れが生じない。この場合、温度T2と温度T1との差(T2−T1)が小さくなり、実際には冷媒不足が生じているにも拘わらず、冷媒不足は生じていないと誤判定する可能性がある。
そこで、図11において、電磁弁の故障を判定するステップS155が、データを取得するステップS150の後で、検知不可条件に該当するか否かを判定するステップS160の前に実行される。具体的に、温度T2と温度T1との差(T2−T1)が小さくても、温度T1,T2のいずれかが閾値以上の場合には、電磁弁79が閉故障しているものと判定される。図11のその他の点は図5の場合と同様であるので、同一または相当するステップには同一または類似の参照符号を付すことにより説明を繰り返さない。
図12は、電磁弁の故障判定を行う手順を示すフローチャートである。図12を参照して、ステップS400において、制御装置100は、ヒータ72がオン状態でありかつ正常であるかを確認する。ヒータ72が異常な場合(ステップS400でNO)、以下のステップは実行されない。
次のステップS410において、制御装置100は、電磁弁79の開指令が出力されているかを確認する。電磁弁79の開指令が出力されていない場合(ステップS410でNO)、以下のステップは実行されない。
次にステップS420において、冷媒の温度上昇量(T2−T1)が閾値Tth1よりも小さいと判定されると(ステップS420でYES)、制御装置100はステップS440に処理を進める。なお、冷媒の温度上昇量(T2−T1)が閾値Tth1以上の場合(ステップ420でNO)は、制御装置100は、冷媒の充填量が不足していると判断する(ステップS430)。
次のステップS440において、制御装置100は、取得された温度T1,T2が閾値Tth3よりも低いか否かを判定する。閾値Tth3は、バイパス回路BCにおいて冷媒が流動していないために、ヒータ72によって冷媒が過熱したことを検知するための値であり、ヒータ72の加熱量等に基づいて適宜設定される。たとえば、閾値Tth1が4〜5℃程度の小さい値に設定されるのに対して、閾値Tth3は80℃程度の大きい値に設定される。
上記のステップS440において、温度T1,T2のいずれかが閾値Tth3以上であると判定されると(ステップS440においてNO)、制御装置100は、電磁弁79が閉故障しているものと判定する(ステップS450)。なお、ステップS440において電磁弁79が閉故障していると判定された場合に、電磁弁が故障している旨のアラームを出力するようにしてもよい。
一方、ステップS440において、温度T1,T2のいずれも閾値Tth3よりも低いと判定されると(ステップS440においてYES)、制御装置100は、電磁弁79は正常に作動していると判断する。これにより、故障判定処理は終了する。
以上のように、この実施の形態2では、バイパス回路BCに電磁弁79が設けられる。そして、冷媒充填量の制御中に電磁弁79が開けられ、冷媒充填量の制御の非実行時には電磁弁79が閉じられる。これにより、冷媒を充填しない通常動作時においてバイパス回路BCに冷媒を流し続けることによって生じる冷凍装置の性能低下を防止することができる。
また、この実施の形態2では、電磁弁79の閉故障が検知される。これにより、電磁弁79の閉故障によりバイパス回路BCにおいて冷媒が流動しないために、実際には冷媒不足が生じているにも拘わらず、冷媒不足は生じていないと誤判定してしまうのを防止できる。
実施の形態3.
実施の形態3では、冷媒量検出部における熱源として、ヒータ72に代えて、圧縮機出側の高温高圧の冷媒が用いられる。これにより、ヒータ72を別途設けることなく冷媒量検出部を構成することができる。
図13は、実施の形態3に従う熱源側ユニットが用いられる冷凍装置の全体構成図である。
図13を参照して、この冷凍装置1Bは、熱源側ユニット2Bと、負荷側ユニット3とを備える。熱源側ユニット2Bは、図9に示した実施の形態2の熱源側ユニット2Aにおいて、冷媒量検出部70Aに代えて冷媒量検出部70Bを含む。冷媒量検出部70Bは、図9に示した実施の形態2の冷媒量検出部70Aにおいて、ヒータ72に代えて熱交換部78を含み、温度センサ75〜77をさらに含む。
熱交換部78は、圧縮機10から吐出される高温高圧の冷媒と、キャピラリチューブ71を通過した冷媒との間で熱交換を行なうように構成される。
温度センサ73は、熱交換部78の上流側の冷媒温度、すなわち、キャピラリチューブ71と熱交換部78との間の冷媒の温度T1を検出する。一方、温度センサ74は、熱交換部78の下流側の冷媒温度、すなわち、熱交換部78の下流であって配管85に合流する前の冷媒の温度T2を検出する。
また、温度センサ75は、圧縮機10から吐出される高温高圧の冷媒の温度T3を検出し、その検出値を制御装置100へ出力する。温度センサ76は、圧縮機10から吐出されて熱交換部78を通過した冷媒の温度T4を検出し、その検出値を制御装置100へ出力する。すなわち、温度センサ75,76は、圧縮機10から凝縮器20へ供給される冷媒について、それぞれ熱交換部78の通過前及び通過後の冷媒の温度を検出する。温度センサ77は、圧縮機10に吸入される冷媒の温度T5を検出し、その検出値を制御装置100へ出力する。
制御装置100は、配管87を流れる冷媒を熱交換部78によって加熱したときの冷媒の温度上昇量に基づいて、冷凍装置1Bにおいて冷媒充填量の適否を判定する。より詳しくは、制御装置100は、熱交換部78による冷媒の温度上昇量が閾値以上になると、冷媒充填量が不足していると判定する。
ここで、熱交換部78の加熱量は、冷凍装置1Bの運転状態によって変化するため、熱交換部78における配管87内の冷媒の温度上昇量も、冷凍装置1Bの運転状態によって変化する。特に、冷媒が非共沸冷媒の場合は、冷媒不足が生じていなくても、配管87を流れる気液二相の冷媒が熱交換部78において加熱されると温度が上昇し、その温度上昇量は加熱量に依存する。また、冷媒が共沸冷媒であっても、熱交換部78の加熱量が大きい場合には、冷媒の温度が上昇し得る。
そこで、この実施の形態3では、熱交換部78の加熱量が推定され、その加熱量に基づいて、冷媒不足が生じているか否かを判定するための閾値Tth4(熱交換部78における冷媒の温度上昇量の閾値)が設定される。これにより、冷凍装置1Bの運転状態によって熱交換部78の加熱量が変化しても、冷媒不足を精度良く検知することができる。
図14は、図13の冷凍装置において、冷媒回路RCへの冷媒の充填手順を示すフローチャートである。
図14のフローチャートは、図11のフローチャートを変更したものである。図14のフローチャートでは、図11においてヒータに関係するステップS140,S142,S220が削除される。閾値Tth4を設定するステップS185が、ステップS180とステップS190との間に実行される。さらに、ステップS200において、温度上昇量(T2−T1)と比較される閾値は、上記のステップS185で設定された閾値Tth4に変更される。図14のその他の点は図11の場合と同様であるので、同一または相当するステップには同一または類似の参照符号を付すことにより説明を繰り返さない。
図15は、図14の閾値を設定するステップS185の詳細な手順を示すフローチャートである。
ステップS500において、制御装置100は、バッファに格納したデータから必要なデータを取り出す。具体的に、制御装置100は、温度センサ73〜77による温度T1〜T5の検出値、圧縮機10の回転数R、および圧力センサ90,92の圧力LP,HPの検出値を取得する。
次のステップS510において、制御装置100は、圧縮機10から熱交換部78に流れる冷媒流量Gを計算する。さらに、制御装置100は、圧縮機10から熱交換部78に流れる冷媒の、熱交換部78前後のエンタルピー差Hを計算する。
具体的に、冷媒流量G(kg/hr)は、次式によって算出できる。
冷媒流量G=V×R×D …(8)
ここで、Vは、圧縮機10の押しのけ量(m)であり、すなわち、圧縮機1回転あたりの冷媒吸込み量である。Rは、圧縮機10の回転数(1/hr又は1/s)である。Dは、冷媒の密度(kg/m)である。密度Dは、圧縮機10の吸入側の冷媒温度と圧力とによって決まる量であり、温度センサ77により検出される温度T5と、圧力センサ90により検出される圧力LPとから算出することができる。
また、エンタルピー差H(kJ/kg)は、次式によって算出することができる。
エンタルピー差H=H3−H4 …(9)
ここで、H3は、圧縮機10から熱交換部78に供給される冷媒のエンタルピーであり、H4は、熱交換部78を通過した後の冷媒のエンタルピーである。
図16は、エンタルピーの算定方法を説明するための図である。図16を参照して、エンタルピーH3は、圧縮機10の吐出圧力と熱交換部78通過前の冷媒温度とによって決まる量である。エンタルピーH3は、圧力センサ92により検出される圧力HPと、温度センサ75により検出される温度T3とから求めることができる。また、エンタルピーH4は、圧縮機10の吐出圧力と熱交換部78通過後の冷媒温度とによって決まる量である。エンタルピーH4は、圧力HPと、温度センサ76により検出される温度T4とから求めることができる。
再び図15を参照して、次のステップS520において、制御装置100は、熱交換部78の加熱量を計算する。具体的に、熱交換部78の加熱量(W=J/s)は、たとえば、次式によって算出される。
加熱量=G×H …(10)
その次のステップS530において、制御装置100は、算出された熱交換部78の加熱量に基づいて、冷媒不足が生じているか否かを判定するための閾値Tth4を設定する。上記で説明したように、閾値Tth4は、熱交換部78において配管87を流れる冷媒の温度上昇量と比較するために用いられる。
加熱量と閾値Tth4との関係は、使用される冷媒の種類に応じて事前評価やシミュレーション等により予め求められ、制御装置100のストレージ106に記憶されている。定性的には、加熱量が大きい程、閾値Tth4は大きく、また、加熱量が同じ場合、非共沸冷媒の閾値は、共沸冷媒の閾値よりも大きい。
以上のように、この実施の形態3によれば、冷媒量検出部70Bにおける熱源として、ヒータ72に代えて、圧縮機10出側の高温高圧の冷媒を用いた熱交換部78が設けられる。したがって、ヒータ72を設けることなく冷媒量検出部を構成することができる。
ここで、熱交換部78の加熱量は、冷凍装置1Bの運転状態によって変化する点に注意する必要がある。この実施の形態3によれば、熱交換部78において配管87を流れる冷媒の温度上昇量の閾値Tth4は、熱交換部78の加熱量に基づいて設定される。したがって、冷凍装置1Aの運転状態が変化しても冷媒不足を精度良く検知することができる。
なお、図13に示す冷凍装置1Bにおいて、電磁弁79を設けないように変更することもできる。この場合、図14のフローチャートにおいて、電磁弁に関係するステップS144,S155,S225が削除される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,1A,1B 冷凍装置、2,2A,2B 熱源側ユニット、3 負荷側ユニット、10 圧縮機、20 凝縮器、30 受液器、40 過冷却熱交換器、50 膨張弁、60 蒸発器、70,70A,70B 冷媒量検出部、71 キャピラリチューブ、72 ヒータ、73,74,75,76,77 温度センサ、78 熱交換部、79 電磁弁、80〜87 配管、90,92 圧力センサ、100 制御装置、102 CPU、104 メモリ、106 ストレージ、120 出力装置、122 入力装置、AT 外気温度、BC バイパス回路、CT 凝縮温度、ET 蒸発温度、HP 高圧側圧力、LP 低圧側圧力、OT 出口温度、RC 冷媒回路。

Claims (13)

  1. 負荷側ユニットと接続されて冷凍サイクル装置を構成する熱源側ユニットであって、
    前記負荷側ユニットは、冷媒の膨張機構及び蒸発器を備え、
    前記熱源側ユニットは、圧縮機及び凝縮器を備え、
    少なくとも前記膨張機構、前記蒸発器、前記圧縮機、及び前記凝縮器は、冷媒を順に循環させる冷媒回路を形成し、
    前記熱源側ユニットはさらに、
    前記凝縮器の出側の前記冷媒の一部を、前記蒸発器を通過することなく前記圧縮機へ戻すように構成されたバイパス回路と、
    前記バイパス回路に流れる冷媒を加熱するように構成された加熱器、前記加熱器によって加熱された前記冷媒の温度を検出する加熱後温度センサ、及び前記加熱器によって加熱される前の前記冷媒の温度を検出する加熱前温度センサを含む冷媒量検出部と、
    制御装置とを備え、
    前記制御装置は、前記加熱後温度センサが検出した温度と前記加熱前温度センサが検出した温度との差を温度上昇量として算出し、
    前記冷媒回路に前記冷媒を充填する際に、前記制御装置は、前記温度上昇量が第1の閾値以上の場合に追加の冷媒を充填するよう指示する、熱源側ユニット。
  2. 前記制御装置は、前記温度上昇量が前記第1の閾値未満の場合に、不足冷媒量をさらに充填するように指示し、
    前記不足冷媒量は、一年間を通して推定される前記冷媒の最大密度と充填時における前記冷媒の密度との差に基づいて算出される、請求項1に記載の熱源側ユニット。
  3. 前記熱源側ユニットは、受液器及び過冷却熱交換器をさらに備え、
    前記膨張機構、前記蒸発器、前記圧縮機、前記凝縮器、前記受液器、及び前記過冷却熱交換器は、前記冷媒を順に循環させる前記冷媒回路を構成し、
    前記バイパス回路は、前記受液器と前記過冷却熱交換器との間に接続される、請求項1または2に記載の熱源側ユニット。
  4. 前記熱源側ユニットは、受液器及び過冷却熱交換器をさらに備え、
    前記膨張機構、前記蒸発器、前記圧縮機、前記凝縮器、前記受液器、及び前記過冷却熱交換器は、前記冷媒を順に循環させる前記冷媒回路を構成し、
    前記バイパス回路は、前記受液器と前記過冷却熱交換器との間に接続され、
    前記冷媒回路を構成する配管は、
    前記膨張機構と前記過冷却熱交換器との間を接続する第1配管と、
    前記蒸発器と前記圧縮機との間を接続する第2配管とを含み、
    前記制御装置は、少なくとも前記凝縮器、前記第1配管、前記第2配管、前記蒸発器、および前記受液器の各々の内部の冷媒密度と内容積とに基づいて前記不足冷媒量を算出する、請求項2に記載の熱源側ユニット。
  5. 前記冷媒回路に冷媒を充填する際に、前記制御装置は、前記圧縮機を動作させるのに必要な冷媒の初期充填量を指示し、前記初期充填量の冷媒が充填された後に、前記温度上昇量と前記第1の閾値との比較に基づいて追加の冷媒を充填するように指示するか否かを判定するように構成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱源側ユニット。
  6. 前記バイパス回路に設けられ、前記バイパス回路における冷媒の通流及び遮断を切換えるように構成された開閉弁をさらに備え、
    前記制御装置は、前記冷媒回路に前記冷媒を充填する場合に前記開閉弁を開状態に制御し、前記冷媒回路への前記冷媒の充填を完了した後に、前記開閉弁を閉状態に制御する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱源側ユニット。
  7. 前記加熱器は、ヒータである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱源側ユニット。
  8. 前記加熱器は、前記圧縮機の出側の冷媒配管である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱源側ユニット。
  9. 前記制御装置は、前記加熱器の加熱量を推定し、推定した加熱量に応じて前記第1の閾値を変更する、請求項8に記載の熱源側ユニット。
  10. 前記制御装置は、前記バイパス回路に前記冷媒を流していない状態で、前記加熱器としての前記ヒータをオンしたときに、前記加熱前温度センサおよび前記加熱後温度センサの少なくとも一方で検出される温度が、前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値未満のとき、前記ヒータが故障していると判定する、請求項7に記載の熱源側ユニット。
  11. 前記制御装置は、前記開閉弁を開状態に制御した状態で前記加熱器によって前記冷媒を加熱しているときに、前記加熱前温度センサおよび前記加熱後温度センサの少なくとも一方で検出される温度が、前記第1の閾値よりも大きい第3の閾値を超えるとき、前記開閉弁が閉故障していると判定する、請求項6に記載の熱源側ユニット。
  12. 前記冷媒量検出部は、前記凝縮器と比較して気流の影響が小さい箇所に設けられる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の熱源側ユニット。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の熱源側ユニットと、
    前記熱源側ユニットに接続される負荷側ユニットとを備える冷凍サイクル装置。
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