半導体デバイスの製造工程においては、表面に複数の電子回路等のデバイスが形成されたウェハに対し、当該ウェハを薄化することが行われている。ウェハの薄化方法は種々あるが、例えばウェハの裏面を研削加工する方法や、ウェハの内部にレーザ光を照射して改質層を形成し、当該改質層を基点にウェハを分離する方法などがある。
上述した特許文献1に開示されたウェハの生成方法は、六方晶単結晶インゴットからウェハを剥離するという点で、上述したウェハの薄化と同様の技術である。ここで、ウェハの内部にレーザ光を照射する際には、当該レーザ光の出力(パワー)が適切かどうかを確認する(パワーチェック)必要がある。また、このパワーチェックは、処理対象のウェハ毎に行うのが適当である。しかしながら、特許文献1には、パワーチェックを行うことの開示はなく、ましてパワーチェックの処理時間を短縮することは全く考慮されていない。したがって、従来の方法には改善の余地がある。
本開示にかかる技術は、レーザ光を用いて改質層を形成するにあたり、処理時間を短縮し効率よく行う。以下、ウェハ処理を効率よく行う本実施形態にかかる処理装置としての改質装置を備えたウェハ処理システム、及び処理方法としてのウェハ処理方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
先ず、本実施形態にかかるウェハ処理システムの構成について説明する。図1は、ウェハ処理システム1の構成の概略を模式的に示す平面図である。
ウェハ処理システム1では、図2及び図3に示すように第1の基板としての処理ウェハWと第2の基板としての支持ウェハSとが接合された、重合基板としての重合ウェハTに対して所望の処理を行う。そしてウェハ処理システム1では、処理ウェハWの周縁部Weを除去し、さらに当該処理ウェハWを薄化する。以下、処理ウェハWにおいて、支持ウェハSに接合された面を表面Waといい、表面Waと反対側の面を裏面Wbという。同様に、支持ウェハSにおいて、処理ウェハWに接合された面を表面Saといい、表面Saと反対側の面を裏面Sbという。
処理ウェハWは、例えばシリコンウェハなどの半導体ウェハであって、表面Waに複数のデバイスを含むデバイス層(図示せず)が形成されている。また、デバイス層にはさらに酸化膜F、例えばSiO2膜(TEOS膜)が形成されている。なお、処理ウェハWの周縁部Weは面取り加工がされており、周縁部Weの断面はその先端に向かって厚みが小さくなっている。また、周縁部Weは、いわゆるエッジトリムにおいて除去される部分であり、例えば処理ウェハWの外端部から径方向に1mm〜5mmの範囲である。
なお、図2においては、図示の煩雑さを回避するため、酸化膜Fの図示を省略している。また、以下の説明で用いられる他の図面においても同様に、酸化膜Fの図示を省略する場合がある。
支持ウェハSは、処理ウェハWを支持するウェハであって、例えばシリコンウェハである。支持ウェハSの表面Saには酸化膜(図示せず)が形成されている。また、支持ウェハSは、処理ウェハWの表面Waのデバイスを保護する保護材として機能する。なお、支持ウェハSの表面Saの複数のデバイスが形成されている場合には、処理ウェハWと同様に表面Saにデバイス層(図示せず)が形成される。
ここで、処理ウェハWの周縁部Weにおいて、処理ウェハWと支持ウェハSが接合されていると、周縁部Weを適切に除去できないおそれがある。そこで、処理ウェハWと支持ウェハSの界面には、酸化膜Fと支持ウェハSの表面Saが接合された接合領域Aaと、接合領域Aaの径方向外側の領域である未接合領域Abとを形成する。このように未接合領域Abが存在することで、周縁部Weを適切に除去できる。なお、接合領域Aaの外側端部は、除去される周縁部Weの内側端部より若干径方向外側に位置する。
図1に示すようにウェハ処理システム1は、搬入出ステーション2と処理ステーション3を一体に接続した構成を有している。搬入出ステーション2は、例えば外部との間で複数の重合ウェハTを収容可能なカセットCtが搬入出される。処理ステーション3は、重合ウェハTに対して所望の処理を施す各種処理装置を備えている。
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。図示の例では、カセット載置台10には、複数、例えば3つのカセットCtをY軸方向に一列に載置自在になっている。なお、カセット載置台10に載置されるカセットCtの個数は、本実施形態に限定されず、任意に決定することができる。
搬入出ステーション2には、カセット載置台10のX軸負方向側において、当該カセット載置台10に隣接してウェハ搬送装置20が設けられている。ウェハ搬送装置20は、Y軸方向に延伸する搬送路21上を移動自在に構成されている。また、ウェハ搬送装置20は、重合ウェハTを保持して搬送する、例えば2つの搬送アーム22、22を有している。各搬送アーム22は、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸周りに移動自在に構成されている。なお、搬送アーム22の構成は本実施形態に限定されず、任意の構成を取り得る。そして、ウェハ搬送装置20は、カセット載置台10のカセットCt、及び後述するトランジション装置30に対して、重合ウェハTを搬送可能に構成されている。
搬入出ステーション2には、ウェハ搬送装置20のX軸負方向側において、当該ウェハ搬送装置20に隣接して、重合ウェハTを受け渡すためのトランジション装置30が設けられている。
処理ステーション3には、例えば3つの処理ブロックG1〜G3が設けられている。第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2、及び第3の処理ブロックG3は、X軸正方向側(搬入出ステーション2側)から負方向側にこの順で並べて配置されている。
第1の処理ブロックG1には、エッチング装置40、洗浄装置41、及びウェハ搬送装置50が設けられている。エッチング装置40と洗浄装置41は、積層して配置されている。なお、エッチング装置40と洗浄装置41の数や配置はこれに限定されない。例えば、エッチング装置40と洗浄装置41はそれぞれX軸方向に延伸し、平面視において並列に並べて載置されていてもよい。さらに、これらエッチング装置40と洗浄装置41はそれぞれ、積層されていてもよい。
エッチング装置40は、後述する加工装置80で研削された処理ウェハWの裏面Wbをエッチング処理する。例えば、裏面Wbに対して薬液(エッチング液)を供給し、当該裏面Wbをウェットエッチングする。薬液には、例えばHF、HNO3、H3PO4、TMAH、Choline、KOHなどが用いられる。
洗浄装置41は、後述する加工装置80で研削された処理ウェハWの裏面Wbを洗浄する。例えば裏面Wbにブラシを当接させて、当該裏面Wbをスクラブ洗浄する。なお、裏面Wbの洗浄には、加圧された洗浄液を用いてもよい。また、洗浄装置41は、処理ウェハWの裏面Wbと共に、支持ウェハSの裏面Sbを洗浄する構成を有していてもよい。
ウェハ搬送装置50は、例えばエッチング装置40と洗浄装置41に対してY軸負方向側に配置されている。ウェハ搬送装置50は、重合ウェハTを保持して搬送する、例えば2つの搬送アーム51、51を有している。各搬送アーム51は、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸周りに移動自在に構成されている。なお、搬送アーム51の構成は本実施形態に限定されず、任意の構成を取り得る。そして、ウェハ搬送装置50は、トランジション装置30、エッチング装置40、洗浄装置41、及び後述する改質装置60に対して、重合ウェハTを搬送可能に構成されている。
第2の処理ブロックG2には、改質装置60、周縁除去装置61、及びウェハ搬送装置70が設けられている。改質装置60と周縁除去装置61は、積層して配置されている。なお、改質装置60と周縁除去装置61の数や配置はこれに限定されない。
改質装置60は、処理ウェハWの内部にレーザ光を照射し、周縁改質層、分割改質層、及び内部面改質層を形成する。改質装置60の具体的な構成は後述する。
周縁除去装置61は、改質装置60で形成された周縁改質層を基点に、処理ウェハWの周縁部Weを除去する。周縁除去装置61の具体的な構成は後述する。
ウェハ搬送装置70は、例えば改質装置60と周縁除去装置61に対してY軸正方向側に配置されている。ウェハ搬送装置70は、重合ウェハTを保持して搬送する、例えば2つの搬送アーム71、71を有している。各搬送アーム71は、多関節のアーム部材72に支持され、水平方向、鉛直方向、水平軸回り及び鉛直軸周りに移動自在に構成されている。搬送アーム71の具体的な構成は後述する。そして、ウェハ搬送装置70は、洗浄装置41、改質装置60、周縁除去装置61、及び後述する加工装置80に対して、重合ウェハTを搬送可能に構成されている。
第3の処理ブロックG3には、加工装置80が設けられている。なお、加工装置80の数や配置は本実施形態に限定されず、複数の加工装置80が任意に配置されていてもよい。
加工装置80は、処理ウェハWの裏面Wbを研削する。そして、内部面改質層が形成された裏面Wbにおいて、当該内部面改質層を除去し、さらに周縁改質層を除去する。
加工装置80は、回転テーブル81を有している。回転テーブル81は、回転機構(図示せず)によって、鉛直な回転中心線82を中心に回転自在に構成されている。回転テーブル81上には、重合ウェハTを吸着保持するチャック83が2つ設けられている。チャック83は、回転テーブル81と同一円周上に均等に配置されている。2つのチャック83は、回転テーブル81が回転することにより、受渡位置A0及び加工位置A1に移動可能になっている。また、2つのチャック83はそれぞれ、回転機構(図示せず)によって鉛直軸回りに回転可能に構成されている。
受渡位置A0では、重合ウェハTの受け渡しが行われる。加工位置A1では、研削ユニット84が配置される。研削ユニット84では、処理ウェハWの裏面Wbを研削する。研削ユニット84は、環状形状で回転自在な研削砥石(図示せず)を備えた研削部85を有している。また、研削部85は、支柱86に沿って鉛直方向に移動可能に構成されている。そして、チャック83に保持された処理ウェハWの裏面Wbを研削砥石に当接させた状態で、チャック83と研削砥石をそれぞれ回転させ、裏面Wbを研削する。
以上のウェハ処理システム1には、制御部としての制御装置90が設けられている。制御装置90は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、ウェハ処理システム1における重合ウェハTの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、ウェハ処理システム1における後述のウェハ処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、当該記憶媒体Hから制御装置90にインストールされたものであってもよい。
次に、上述した改質装置60について説明する。図4は、改質装置60の構成の概略を示す平面図である。図5は、改質装置60の構成の概略を示す側面図である。
改質装置60は、重合ウェハTを上面で保持する、保持部としてのチャック100を有している。チャック100は、処理ウェハWが上側であって支持ウェハSが下側に配置された状態で、当該支持ウェハSを吸着保持する。チャック100は、エアベアリング101を介して、スライダテーブル102に支持されている。スライダテーブル102の下面側には、回転部としての回転機構103が設けられている。回転機構103は、駆動源として例えばモータを内蔵している。チャック100は、回転機構103によってエアベアリング101を介して、鉛直軸回りに回転自在に構成されている。スライダテーブル102は、その下面側に設けられた移動部としての移動機構104によって、基台106に設けられY軸方向に延伸するレール105に沿って移動可能に構成されている。なお、移動機構104の駆動源は特に限定されるものではないが、例えばリニアモータが用いられる。
スライダテーブル102には、後述するレーザヘッド110から照射されるレーザ光の出力(パワー)を測定する、測定部としてのパワーメータ107が設けられている。パワーメータ107は、スライダテーブル102のY軸負方向端部に設けられている。そして、後述するように第1の位置P1において、パワーメータ107はレーザヘッド110のレンズの下方に配置される。パワーメータ107で測定されたレーザ光のパワーは制御装置90に出力される。制御装置90には、処理レシピに応じたレーザ光のパワーが設定されており、測定されたレーザ光のパワーが適切かどうかを確認する(パワーチェック)。このパワーチェックは、例えば処理対象の処理ウェハW毎に行われる。
チャック100の上方には、改質部としてのレーザヘッド110が設けられている。レーザヘッド110は、レンズ111とピエゾアクチュエータ112を有している。レンズ111は、レーザヘッド110の下面に設けられ、チャック100に保持された処理ウェハWにレーザ光を照射する。ピエゾアクチュエータ112は、レンズ111を昇降させる。
またレーザヘッド110には、レンズ111から照射されるレーザ光の位置を測定するための、センサ113が設けられている。センサ113は、レンズ111から照射されるレーザ光と同軸に設けられ、例えばAFセンサであり、処理ウェハWの裏面Wbの高さを測定する。センサ113で測定された裏面Wbの高さは制御装置90に出力される。制御装置90では、裏面Wbの高さに基づいて、処理ウェハWの内部に照射されるレーザ光の照射位置を算出する。
さらにレーザヘッド110には、レンズ111から照射されるレーザ光の照射位置(焦点)を調整するための、センサ114とカメラ115がさらに設けられている。センサ114は、レンズ111から照射されるレーザ光と別軸に設けられ、例えばAFセンサであり、処理ウェハWの裏面Wbの高さを測定して、当該裏面Wbをサーチする。なお、センサ114には、上記センサ113よりも広範囲を測定可能なAFセンサが用いられる。またカメラ115は、レンズ111から照射されるレーザ光と同軸に設けられ、処理ウェハWの裏面Wbを撮像する。センサ114で測定された裏面Wbの高さと、カメラ115で撮像された裏面Wbの画像はそれぞれ、制御装置90に出力される。制御装置90では、後述するように、裏面Wbの高さと画像に基づいて、処理ウェハWの内部に照射されるレーザ光の照射位置を算出する。
またレーザヘッド110は、図示しない空間光変調器をさらに有している。空間光変調器は、レーザ光を変調して出力する。具体的に空間光変調器は、レーザ光の焦点位置や位相を制御することができ、処理ウェハWに照射されるレーザ光の形状や数(分岐数)を調整することができる。
そしてレーザヘッド110は、レーザ光発振器(図示せず)から発振された高周波のパルス状のレーザ光であって、処理ウェハWに対して透過性を有する波長のレーザ光を、処理ウェハWの内部の所望位置に集光して照射する。これによって、処理ウェハWの内部においてレーザ光が集光した部分が改質し、周縁改質層、分割改質層、及び内部面改質層が形成される。
レーザヘッド110は、支持部材116に支持されている。レーザヘッド110は、鉛直方向に延伸するレール117に沿って、昇降機構118により昇降自在に構成されている。またレーザヘッド110は、移動機構119によってY軸方向に移動自在に構成されている。なお、昇降機構118及び移動機構119はそれぞれ、支持柱120に支持されている。
チャック100の上方であって、レーザヘッド110のY軸正方向側には、第1の撮像部としてのマクロカメラ121と、第2の撮像部としてのマイクロカメラ122とが設けられている。例えば、マクロカメラ121とマイクロカメラ122は一体に構成され、マクロカメラ121はマイクロカメラ122のY軸正方向側に配置されている。マクロカメラ121とマイクロカメラ122は、昇降機構123によって昇降自在に構成され、さらに移動機構124によってY軸方向に移動自在に構成されている。
マクロカメラ121は、処理ウェハW(重合ウェハT)の外側端部を撮像する。マクロカメラ121は、例えば同軸レンズを備え、可視光、例えば赤色光を照射し、さらに対象物からの反射光を受光する。なお例えば、マクロカメラ121の撮像倍率は2倍である。
マイクロカメラ122は、処理ウェハWの周縁部を撮像し、接合領域Aaと未接合領域Abの境界を撮像する。マイクロカメラ122は、例えば同軸レンズを備え、赤外光(IR光)を照射し、さらに対象物からの反射光を受光する。なお例えば、マイクロカメラ122の撮像倍率は10倍であり、視野はマクロカメラ121に対して約1/5であり、ピクセルサイズはマクロカメラ121に対して約1/5である。
次に、上述した周縁除去装置61について説明する。図6は、周縁除去装置61の構成の概略を示す平面図である。図7は、周縁除去装置61の構成の概略を示す側面図である。図8は、周縁除去装置61の構成の概略を模式的に示す説明図である。
周縁除去装置61は、重合ウェハTを上面で保持するチャック130を有している。チャック130は、処理ウェハWが上側であって支持ウェハSが下側に配置された状態で、当該支持ウェハSを保持する。またチャック130は、回転機構131によって鉛直軸回りに回転可能に構成されている。
チャック130の側方には、処理ウェハWの周縁部Weを除去する周縁除去部140が設けられている。周縁除去部140は、周縁部Weに衝撃を付与して当該周縁部Weを除去する。周縁除去部140は、くさびローラ141と支持ローラ142を有している。
くさびローラ141は、側面視において、先端が尖ったくさび形状を有している。くさびローラ141は、処理ウェハWと支持ウェハSの外側端部から、当該処理ウェハWと支持ウェハSの界面に挿入される。そして、挿入されたくさびローラ141により周縁部Weが押し上げられ、処理ウェハWから分離して除去される。
支持ローラ142は、くさびローラ141の中心を貫通して、当該くさびローラ141を支持している。支持ローラ142は、移動機構(図示せず)によって水平方向に移動自在に構成され、支持ローラ142が移動することでくさびローラ141も移動する。また、支持ローラ142は鉛直軸回りに回転自在に構成され、支持ローラ142が回転することでくさびローラ141も回転する。なお、本実施形態では、支持ローラ142には、後述するようにチャック130の回転を受けて回転する、いわゆるフリーローラが用いられる。但し、支持ローラ142は、回転機構(図示せず)によって積極的に回転されてもよい。
なお、本実施形態では、挿入部材としてくさびローラ141を用いたが、挿入部材はこれに限定されない。例えば挿入部材は、側面視において径方向外側に向けて幅が小さくなる形状を備えたものであればよく、先端が先鋭化したナイフ状の挿入部材を用いてもよい。
チャック130の上方及び下方にはそれぞれ、処理ウェハWに洗浄液を供給するノズル150、151が設けられている。洗浄液には、例えば純水が用いられる。周縁除去部140を用いて周縁部Weに衝撃を付与して当該周縁部Weを除去する場合、除去に伴い粉塵(パーティクル)が発生する。そこで、本実施形態では、ノズル150、151から洗浄液を供給することで、この粉塵が飛散するのを抑制する。
上部ノズル150は、チャック130の上方に配置され、処理ウェハWの上方から裏面Wbに洗浄液を供給する。この上部ノズル150からの洗浄液により、周縁部Weの除去時に発生する粉塵が飛散するのを抑制することができ、さらに粉塵が処理ウェハW上へ飛散するもの抑制することができる。具体的に洗浄液は、粉塵を処理ウェハWの外周側へ流す。また下部ノズル151は、チャック130の下方に配置され、支持ウェハS側から処理ウェハWに洗浄液を供給する。この下部ノズル151からの洗浄液により、粉塵が飛散するのをより確実に抑制することができる。また、下部ノズル151からの洗浄液により、粉塵や周縁部Weの破材が支持ウェハS側まで回り込むのを抑制することができる。
なお、ノズル150、151の数や配置は本実施形態に限定されない。例えばノズル150、151はそれぞれ複数設けられていてもよい。また、下部ノズル151は省略可能である。
なお、粉塵の飛散を抑制する方法は、洗浄液の供給に限定されない。例えば、吸引機構(図示せず)を設け、発生した粉塵を吸引除去してもよい。
チャック130の上方には、処理ウェハWから周縁部Weが除去されたか否かを確認するための検知部160が設けられている。検知部160は、チャック130に保持され、且つ周縁部Weが除去された処理ウェハWにおいて、周縁部Weの有無を検知する。検知部160には、例えばセンサが用いられる。センサは、例えばライン型のレーザ変位計であり、重合ウェハT(処理ウェハW)の周縁部にレーザを照射して当該重合ウェハTの厚みを測定することで、周縁部Weの有無を検知する。なお、検知部160による周縁部Weの有無の検知方法はこれに限定されない。例えば検知部160には、例えばラインカメラを用い、重合ウェハT(処理ウェハW)を撮像することで、周縁部Weの有無を検知してもよい。
なお、チャック130の下方には、周縁除去部140で除去された周縁部Weを回収する回収部(図示せず)が設けられている。
次に、上述したウェハ搬送装置70の搬送アーム71について説明する。図9は、搬送アーム71の構成の概略を示す縦断面図である。
搬送アーム71は、重合ウェハTより大きい径を有する、円板状の吸着板170を有している。吸着板170の下面には、処理ウェハWの中央部Wcを保持する保持部180が設けられている。
保持部180には中央部Wcを吸引する吸引管181が接続され、吸引管181は例えば真空ポンプなどの吸引機構182に連通している。吸引管181には、吸引圧力を測定する圧力センサ183が設けられている。圧力センサ183の構成は任意であるが、例えばダイヤフラム型の圧力計が用いられる。
吸着板170の上面には、当該吸着板170を鉛直軸回りに回転させる回転機構190が設けられている。回転機構190は、支持部材191に支持されている。また、支持部材191(回転機構190)は、アーム部材72に支持されている。
次に、以上のように構成されたウェハ処理システム1を用いて行われるウェハ処理について説明する。図10は、ウェハ処理の主な工程を示すフロー図である。図11は、ウェハ処理の主な工程の説明図である。なお、本実施形態では、ウェハ処理システム1の外部の接合装置(図示せず)において、処理ウェハWと支持ウェハSが接合され、予め重合ウェハTが形成されている。
先ず、図11(a)に示す重合ウェハTを複数収納したカセットCtが、搬入出ステーション2のカセット載置台10に載置される。
次に、ウェハ搬送装置20によりカセットCt内の重合ウェハTが取り出され、トランジション装置30に搬送される。続けて、ウェハ搬送装置50により、トランジション装置30の重合ウェハTが取り出され、改質装置60に搬送される。改質装置60では、図11(b)に示すように処理ウェハWの内部に周縁改質層M1と分割改質層M2が順次形成され(図10のステップA1、A2)、さらに図11(c)に示すように内部面改質層M3が形成される(図10のステップA3)。周縁改質層M1は、エッジトリムにおいて周縁部Weを除去の際の基点となるものである。分割改質層M2は、除去される周縁部Weが小片化するための基点となるものである。内部面改質層M3は、処理ウェハWを薄化するための基点となるものである。
図12は、改質装置60における改質処理の主な工程を示すフロー図である。図13は、改質処理の主な工程の説明図である。本実施形態では、図13に示すようにチャック100が第1の位置P1と第2の位置P2に配置されて、各処理が行われる。
改質装置60では重合ウェハTが搬入される前に、図13(a)に示すようにチャック100(スライダテーブル102)を第1の位置P1に移動させ、待機させる。チャック100の待機中、パワーメータ107はレーザヘッド110のレンズ111の下方に配置される。パワーメータ107では、レーザヘッド110から照射されるレーザ光の出力(パワー)を測定する。パワーメータ107で測定されたレーザ光のパワーは制御装置90に出力され、制御装置90においてパワーチェックが行われる。また、チャック100の待機中、レーザヘッド110の光学系の較正(キャリブレーション)も行われる(図12のステップB1)。
ここで、例えばパワーメータ107が第1の位置P1から離れた場所にある場合、パワーチェックのためにチャック100を第1の位置P1から移動させる必要があり、装置が大きくなる。これに対して、本実施形態では、第1の位置P1において、パワーメータ107がレーザヘッド110の下方に配置されるので、チャック100を移動させずにパワーチェックを行うことができる。その結果、改質装置60の専有面積(フットプリント)を小さくすることができ、省スペース化することができる。また、チャック100の待機中にパワーチェックとキャリブレーションを行うことができるので、改質処理の時間を短縮でき、ウェハ処理のスループットを向上させることができる。なお、パワーチェックとキャリブレーションは、後述のステップB2における重合ウェハTの搬入時に行ってもよい。
次に、図13(b)に示すようにチャック100が第1の位置に配置された状態で、ウェハ搬送装置50から重合ウェハTが搬入される(図12のステップB2)。搬入された重合ウェハTは、チャック100に保持される。
次に、チャック100が第1の位置P1に配置された状態で、マクロカメラ121を用いてマクロアライメントを行う。第1の位置P1では、マクロカメラ121は、処理ウェハWの外側端部を撮像できる位置に配置されている。そして、マクロアライメントでは、マクロカメラ121のフォーカス調整を行った後(図12のステップB3)、処理ウェハWの外側端部を撮像する(図12のステップB4)。
先ず、ステップB3では、処理ウェハWの高さ方向に複数の点に対して、マクロカメラ121のフォーカス調整を行う。この際、チャック100は回転させない。そして、昇降機構123によってマクロカメラ121を上昇又は下降させて、処理ウェハWの高さ方向に複数点に対して、マクロカメラ121のフォーカス調整を行う。
本実施形態のフォーカス調整について説明する。図14は、マクロカメラ121の昇降に対するフォーカス調整を行うタイミングを示す説明図であり、縦軸は昇降速度を示し、横軸は時間を示している。また、図14中のQ1〜Q4はそれぞれ、1回目〜4回目のフォーカス調整を示している。なお、図14中(a)は比較例を示し、(b)は本実施形態の例を示す。
図14(a)に示すように比較例においては、マクロカメラ121を昇降させた後、所望高さで停止させた状態で、フォーカス調整Q1〜Q4を行う。すなわち、マクロカメラ121を昇降させるたびに、加速と減速を繰り返す。そして、各フォーカス調整Q1〜Q4に対して、フォーカス値が適切かどうかを判断する。このため、時間がかかる。
これに対して、図14(b)に示すように本実施形態では、マクロカメラ121を昇降させながらフォーカス調整Q1〜Q4を行う。すなわち、フォーカス調整を行う際に、マクロカメラ121を停止させない。このため、比較例の加速と減速が不要で、時間を省略することができ、さらにフォーカス調整Q1〜Q4でのフォーカス値の適否をまとめて判断できる。このため、フォーカス調整の時間を短縮することができる。なお、図14の例では、短縮できる時間はt1である。
次に、ステップB4では、処理ウェハWの周方向の複数の点に対して、処理ウェハWの外側端部を撮像する。この際、マクロカメラ121は昇降及び移動させず、固定する。そして、チャック100を回転させて、処理ウェハWの周方向の複数の点に対して、図15に示すように処理ウェハWの外側端部R1(図15中の点線)を撮像する。
処理ウェハWの外側端部の撮像においても、上述した図14に示したフォーカス調整と同様に、比較例においては、チャック100を回転させた後、所望位置で停止させた状態で撮像を行う。これに対して、本実施形態では、チャック100を回転させながら、処理ウェハWの外側端部の撮像を行う。すなわち、撮像を行う際に、チャック100の回転を停止させない。このため、撮像の時間を短縮することができる。また、このように撮像時間を短縮すると、撮像回数を増やすことも可能となり、その結果、マクロアライメントを適切に行うことができる。
こうしてマクロカメラ121によって、処理ウェハWの周方向360度における外側端部の画像が撮像される。撮像された画像は、マクロカメラ121から制御装置90に出力される。
制御装置90では、マクロカメラ121の画像から、チャック100の中心Ccと処理ウェハWの中心Cwの第1の偏心量を算出する。さらに制御装置90では、第1の偏心量に基づいて、当該第1の偏心量のY軸成分を補正するように、チャック100の移動量を算出する。チャック100は、この算出された移動量に基づいてY軸方向に移動し、チャック100をマイクロアライメント位置に移動させる。マイクロアライメント位置は、マイクロカメラ122が処理ウェハWの周縁部を撮像できる位置である。ここで、上述したようにマイクロカメラ122の視野はマクロカメラ121に対して約1/5と小さいため、第1の偏心量のY軸成分を補正しないと、処理ウェハWの周縁部がマイクロカメラ122の画角に入らず、マイクロカメラ122で撮像できない場合がある。このため、第1の偏心量に基づくY軸成分の補正は、チャック100をマイクロアライメント位置に移動させるためともいえる。
なお、マクロカメラ121を用いたマクロアライメントでは、フォーカス調整の前に光量の調整も行われる。光量調整は、重合ウェハT毎に行ってもよいし、ロット毎に行ってもよいし、処理条件(処理レシピ)毎に行ってもよい。光量調整は処理ウェハWの1点もしくは複数の点に対して行われるが、かかる場合、チャック100の回転を停止させて光量調整が行われる。なお、チャック100の回転停止中、光量を複数回変更して撮像が行われる。
また、上述したようにマクロアライメントは、チャック100をマイクロアライメント位置に移動させるために行われるが、かかるマクロアライメントは省略可能である。すなわち、アライメントをマクロとマイクロの2段階で行わず、マイクロの1段階のみで行う場合、マクロアライメントは省略される。
次に、図13(c)に示すようにチャック100を第2の位置P2に移動させる(図12のステップB5)。
次に、チャック100が第2の位置P2に配置された状態で、マイクロカメラ122を用いてマイクロアライメントを行う。第2の位置P2では、マイクロカメラ122は、処理ウェハWの接合領域Aaと未接合領域Abの境界を撮像できる位置に配置されている。そして、マイクロアライメントでは、マイクロカメラ122のフォーカス調整を行った後(図12のステップB6)、接合領域Aaと未接合領域Abの境界を撮像する(図12のステップB7)。
先ず、ステップB6では、処理ウェハWの高さ方向に複数の点に対して、マイクロカメラ122のフォーカス調整を行う。マイクロカメラ122のフォーカス調整は、昇降機構123によってマイクロカメラ122を昇降させながら行う。このため、フォーカス調整の時間を短縮することができる。なお、このマイクロカメラ122のフォーカス調整は、ステップB3におけるマクロカメラ121のフォーカス調整と同様であるので、説明を省略する。
次に、ステップB7では、処理ウェハWの周方向の複数の点に対して、処理ウェハWの接合領域Aaと未接合領域Abの境界を撮像する。この際、マクロカメラ121は昇降及び移動させず、固定する。そして、チャック100を回転させて、処理ウェハWの周方向の複数の点に対して、図16に示すように接合領域Aaと未接合領域Abの境界R2(図16中の点線)を撮像する。
接合領域Aaと未接合領域Abの境界の撮像においても、ステップB3における処理ウェハWの外側端部の撮像と同様に、比較例においては、チャック100を回転させた後、所望位置で停止させた状態で撮像を行う。これに対して、本実施形態では、チャック100を回転させながら、接合領域Aaと未接合領域Abの境界の撮像を行う。すなわち、撮像を行う際に、チャック100の回転を停止させない。このため、撮像の時間を短縮することができる。また、このように撮像時間を短縮すると、撮像回数を増やすことも可能となり、その結果、マイクロアライメントを適切に行うことができる。
こうしてマイクロカメラ122によって、処理ウェハWの周方向360度における接合領域Aaと未接合領域Abの境界の画像が撮像される。撮像された画像は、マイクロカメラ122から制御装置90に出力される。
制御装置90では、マイクロカメラ122の画像から、チャック100の中心Ccと接合領域Aaの中心Caの第2の偏心量を算出する。さらに制御装置90では、第2の偏心量に基づいて、接合領域Aaの中心とチャック100の中心が一致するように、周縁改質層M1に対するチャック100の位置を決定する。
次に、チャック100が第2の位置P2に配置された状態で、レーザヘッド110から照射されるレーザ光の高さ調節(照射高さ調整)を行う(図12のステップB8)。第2の位置P2では、レーザヘッド110のレンズ111は、処理ウェハWの周縁部Weと中央部Wcの境界にレーザ光を照射できる位置に配置されている。
ここで、後述するようにステップB9では、チャック100を回転させながらレーザヘッド110から処理ウェハWの内部にレーザ光を照射して、環状の周縁改質層を形成する。また、ステップB9では、レーザ光の照射位置(照射高さ)を測定し、リアルタイムでそのレーザ光の高さを調節(追従)する。このため、レーザ光の照射開始位置における高さが重要になる。そこで、ステップB8のレーザ光の照射高さ調整は、ステップB9におけるレーザ光の照射開始位置において行う。
また、チャック100に保持された処理ウェハWの高さは、種々の要因により、ウェハ面内で均一でない場合がある。そうすると、処理ウェハWの周縁部と中心部では高さが異なる場合があり、例えば処理ウェハWの中心でレーザ光の高さを調節すると、周縁部では適切に調節されない場合がある。そこで、かかる観点からも、ステップB8のレーザ光の照射高さ調整は、ステップB9におけるレーザ光の照射開始位置において行うのが好ましい。
さらに、ステップB9においてレーザ光の照射位置を測定するのに用いられるセンサ113は、追従可能な範囲が限られており、この範囲は例えば、測定対象の処理ウェハWの裏面Wbから鉛直方向に±0.2mmである。そこで、ステップB9におけるレーザ光の照射位置を、上記センサ113の追従可能な範囲に収めるためにも、ステップB8の照射高さ調整が必要となる。
ステップB8では、先ず、センサ114とカメラ115を、ステップB9におけるレーザ光の照射開始位置に移動させる。その後、レーザヘッド110を昇降させながら、センサ114によって、レーザ光の照射開始位置における処理ウェハWの裏面Wbの高さを測定して、当該裏面Wbをサーチする。センサ114で測定された裏面Wbの高さは制御装置90に出力される。制御装置90では、裏面Wbの高さに基づいて、裏面Wbの位置をサーチ(特定)する。
ステップB8では、次にレーザヘッド110を、ステップB9におけるレーザ光の照射位置に水平方向に移動させる。続いて、カメラ115によって、裏面Wbを撮像する。カメラ115で撮像された裏面Wbの画像は制御装置90に出力される。制御装置90では、裏面Wbの画像に基づいて、裏面Wbの高さを算出し、さらに当該裏面Wbの高さに基づいて処理ウェハWの内部に照射されるレーザ光の照射位置を算出する。そして、レーザヘッド110を降下させてレーザ光の照射高さに配置した後、当該算出した位置を、センサ113に対してレーザ光の照射位置の原点位置に設定する(ゼロ点調整)。このように、ステップB8では、センサ114によって裏面Wbの大まかなサーチを行った後、カメラ115によって精緻に裏面Wbを把握して、ゼロ点調整を行う。
また、ステップB8では、レーザヘッド110を上昇又は下降させながら、センサ114とカメラ115を用いてゼロ点調整を行う。ここで、上述した図14に示したフォーカス調整と同様に、レーザヘッド110の昇降を停止させた後、所望高さで停止させた状態で、センサ114で裏面Wbの高さを測定する場合、ゼロ点調整は時間がかかる。これに対して、本実施形態では、レーザヘッド110を昇降させながら、センサ114による測定を行う。すなわち、センサ114による測定を行う際に、レーザヘッド110の昇降を停止させない。このため、ゼロ点調整の時間を短縮することができる。同様にカメラ115による裏面Wbの撮像が、レーザヘッド110の昇降を停止させた後、所望高さで停止させた状態で行われる場合、ゼロ点調整は時間がかかる。これに対して、レーザヘッド110を昇降させながら、カメラ115による裏面Wbの撮像を行うことで、ゼロ点調整の時間を短縮することができる。
次に、センサ113を、レーザ光の照射開始位置に移動させる。その後、図17及び図18に示すようにレーザヘッド110からレーザ光L1(周縁用レーザ光L1)を照射して、処理ウェハWの周縁部Weと中央部Wcの境界に周縁改質層M1を形成する(図12のステップB9、図10のステップA1)。周縁改質層M1は、異なる高さに複数形成される。また周縁改質層M1は、接合領域Aaの外側端部よりも径方向内側に形成される。
上記レーザ光L1によって形成される周縁改質層M1は、厚み方向に延伸し縦長のアスペクト比を有する。最下層の周縁改質層M1の下端は、薄化後の処理ウェハWの目標表面(図17中の点線)より上方に位置している。すなわち、周縁改質層M1の下端と処理ウェハWの表面Waとの間の距離H1は、薄化後の処理ウェハWの目標厚みH2より大きい。かかる場合、薄化後の処理ウェハWに周縁改質層M1が残らない。なお、処理ウェハWの内部には、複数の周縁改質層M1からクラックC1が進展し、裏面Wbと表面Waに到達している。
ステップB9では、制御装置90で決定されたチャック100の位置に合わせて、接合領域Aaの中心とチャック100の中心が一致するように、回転機構103によってチャック100を回転させると共に、移動機構104によってチャック100をY軸方向に移動させる。この際、チャック100の回転とY軸方向の移動を同期させる。
そして、このようにチャック100(処理ウェハW)を回転及び移動させながら、レーザヘッド110から処理ウェハWの内部にレーザ光L1を照射する。すなわち、ステップB7で算出した第2の偏心量を補正しながら、周縁改質層M1を形成する。そうすると周縁改質層M1は、接合領域Aaと同心円状に環状に形成される。このため、その後周縁除去装置61において、周縁改質層M1を基点に周縁部Weを適切に除去することができる。
なお、本例においては、第2の偏心量がX軸成分を備える場合に、チャック100をY軸方向に移動させつつ、チャック100を回転させて、当該X軸成分を補正している。一方、第2の偏心量がX軸成分を備えない場合には、チャック100を回転させずに、Y軸方向に移動させるだけでよい。
なお、第2の位置P2では、チャック100に保持された処理ウェハWに対して、マイクロカメラ122はY軸正方向側に配置され、レーザヘッド110のレンズ111はY軸負方向側に配置される。かかる場合、ステップB9では、レーザヘッド110によって周縁改質層M1を形成すると共に、マイクロカメラ122によって周縁改質層M1を撮像する。撮像された画像は制御装置90に出力され、制御装置90において周縁改質層M1が適切な位置に形成されているかを検査する。このように周縁改質層M1の形成と検査を並行して行うことで、作業効率を向上させることができる。また、検査の結果、周縁改質層M1が所望の位置からずれている場合には、チャック100の移動を微調整することも可能となる。
このように処理ウェハWの内部にレーザ光L1を照射して周縁改質層M1を形成する間、センサ113で処理ウェハWの裏面Wbの高さを測定し、さらに制御装置90でレーザ光L1の照射位置を算出する。そして、算出されたレーザ光L1の照射位置が、ステップB8で設定された原点位置に一致するように制御する。具体的には、算出された算出されたレーザ光L1の照射位置に基づいて、ピエゾアクチュエータ112によってレンズ111を昇降させる。このようにステップB9では、リアルタイムでレーザ光L1の高さを調節して追従させる。
ここで、センサ113は、レンズ111から照射されるレーザ光L1と同軸に設けられている。ステップB9の処理レシピによっては、レーザ光L1の照射半径(周縁改質層の半径)が異なる場合がある。かかる場合に、センサ113がレーザ光L1と別軸で設けられていると、当該センサ113は、レーザ光L1が照射される位置と異なる位置における処理ウェハWの裏面Wbの高さを測定することになり、実際の高さからずれる可能性がある。そこで、本実施形態では、センサ113をレーザ光L1と同軸で設ける。
ステップB9では、以上のように処理ウェハWの内部に1周分のレーザ光L1を照射することで、1層の周縁改質層M1が形成される。そして、本実施形態のように異なる高さに複数の周縁改質層M1が形成する際には、レーザ光L1の照射位置(照射高さ)を変更する。以下、本実施形態における複数の周縁改質層M1の形成方法について説明する。
図19は、複数の周縁改質層M1を形成する方法を模式的に示す説明図であり、縦軸は回転速度を示し、横軸は時間を示している。また、図19中のL1はレーザ光L1の照射を示し、Dは周縁改質層M1を形成する際の処理条件(処理レシピ)の変更を示す。処理条件変更Dは、レンズ111を昇降させてレーザ光L1の照射位置を変更することや、レーザ光L1の条件、例えばレーザ光L1の出力(パワー)、周波数、形状(レーザパターン)、分岐数などを変更することを含む。なお、図19中(a)は比較例を示し、(b)は本実施形態の例を示す。
図19(a)に示すように比較例においては、チャック100の回転を加速させた後、一定速度に維持した状態でレーザ光L1を1周分照射して1層の周縁改質層M1を形成する。その後、チャック100の回転を減速させた後、回転を停止した状態で、処理条件変更Dを行う。すなわち、1層の周縁改質層M1を形成するたびに、処理条件変更Dを行う。そして、処理条件変更Dを行うたびに、チャック100の回転の加速と減速を繰り返す。このため、時間がかかる。
これに対して、図19(b)に示すように本実施形態では、チャック100を回転させながら、周縁改質層M1の処理条件変更Dを行う。すなわち、処理条件変更Dを行う際に、チャック100の回転を停止させない。このため、比較例のチャック100の回転の加速と減速が不要で、時間を省略することができる。このため、複数の周縁改質層M1を形成する時間を短縮することができる。なお、図19の例では、短縮できる時間はt2である。また、このように複数の周縁改質層M1を形成する時間を短縮すると、周縁改質層M1を形成する本数を増やすことも可能となる。
なお、図19(b)に示すようにレーザ光L1の照射と、周縁改質層M1の処理条件変更Dとを連続して行う場合、図20に示すように1層の周縁改質層M1を形成する際の、レーザ光L1の照射開始位置と照射終了位置がそれぞれ周方向にずれる。
一方、図21に示すように1層の周縁改質層M1を形成する際の、レーザ光L1の照射開始位置と照射終了位置をそれぞれ同じにしてもよい。そして、周縁改質層M1の処理条件変更Dを行った後、レーザ光L1の照射開始位置の上方にレンズ111が位置するまでは、レーザ光L1を照射しないようにする。かかる場合でも、処理条件変更Dを行う際に、チャック100の回転を停止させることがなく、複数の周縁改質層M1を形成する時間を短縮することができる。
なお、図19に示した例では、複数の周縁改質層M1を形成する際に、周縁改質層M1毎に処理条件を変更する場合について説明したが、1層の周縁改質層M1を形成する間、すなわちレーザ光L1が1周する間にも当該レーザ光L1の条件を変更する場合がある。例えば処理ウェハWにおいて、シリコンの結晶方位に応じてレーザ光L1の条件を変更する場合がある。図22は、レーザ光L1の条件が1周のうちに変更される一例を示す説明図である。図22に示す例では、処理ウェハWを4分割し、対角の処理ウェハW1、W1では一の条件でレーザ光L1を照射し、処理ウェハW2、W2では他の条件でレーザ光L1を照射する。
図22に示す処理を行う場合、比較例においては、チャック100を回転させた状態で、1周目で処理ウェハW1、W1に対してレーザ光L1を照射し、処理ウェハW2、W2に対してレーザ光L1の照射を停止する。その後、一旦チャック100の回転を停止した状態で、レーザ光L1の条件を変更する。そして、再びチャック100を回転させた状態で、2周目で処理ウェハW2、W2に対してレーザ光L1を照射し、処理ウェハW1、W1に対してレーザ光L1の照射を停止する。かかる場合、レーザ光L1の条件を変更する際に、チャック100の回転の加速と減速を行うため、時間がかかる。
これに対して、本実施形態では、チャック100を回転させながら、レーザ光L1の条件を変更する。すなわち、レーザ光L1の条件を変更する際に、チャック100の回転を停止させない。このため、比較例のチャック100の回転の加速と減速が不要で、時間を省略することができる。このため、周縁改質層M1を形成する時間を短縮することができる。
ここで、図23に示すように処理ウェハWの外縁部にはノッチ部Wnが形成されている。例えば、図23(a)に示すように周縁改質層M1の形成位置がノッチ部Wnと重なる場合、ノッチ部Wnにレーザ光L1が照射される。そうすると、ノッチ部Wnの端部において、レーザ光L1が照射される断面が荒れる。また、上述したようにステップB9では、チャック100を回転させながらレーザ光L1を照射する際、当該レーザ光L1の照射位置(照射高さ)をリアルタイムで調節(追従)している。この点、ノッチ部Wnにレーザ光L1を照射すると、当該レーザ光L1の照射位置が変動する。そうすると、ノッチ部Wn以外の場所で、レーザ光L1の照射位置をリアルタイムで調節するのに時間がかかる。
そこで本実施形態では、ステップB9において、図23(b)に示すようにノッチ部Wnにレーザ光L1が照射されないように制御する。処理ウェハWにおけるノッチ部Wnの位置は予め把握されているため、レーザヘッド110のレンズ111がノッチ部Wnの上方に配置される際に、レーザ光L1の照射を停止すればよい。かかる場合、ノッチ部Wnにレーザ光L1が照射されないので、ノッチ部Wnの端部断面が荒れない。また、ノッチ部Wnではレーザ光L1の照射位置のリアルタイム調節を停止する。そうすると、1周のレーザ光L1の照射において、当該レーザ光L1の照射位置が大きく変動せず、ノッチ部Wn以外でのリアルタイム調節が容易になる。
以上のように周縁改質層M1が形成されると、次に、図24及び図25に示すようにレーザヘッド110からレーザ光L2(分割用レーザ光L2)を照射して、周縁改質層M1の径方向外側に分割改質層M2を形成する(図12のステップB10、図10のステップA2)。
分割改質層M2も、周縁改質層M1と同様に厚み方向に延伸し、縦長のアスペクト比を有する。なお、分割改質層M2からクラックC2が進展し、裏面Wbと表面Waに到達している。
また、分割改質層M2及びクラックC2を径方向に数μmのピッチで複数形成することで、図25に示すように周縁改質層M1から径方向外側に延伸する、1ラインの分割改質層M2が形成される。なお、図示の例においては、径方向に延伸するラインの分割改質層M2は8箇所に形成されているが、この分割改質層M2の数は任意である。少なくとも、分割改質層M2が2箇所に形成されていれば、周縁部Weは除去できる。かかる場合、エッジトリムにおいて周縁部Weを除去する際、当該周縁部Weは、環状の周縁改質層M1を基点に分離しつつ、分割改質層M2によって複数に分割される。そうすると、除去される周縁部Weが小片化され、より容易に除去することができる。
ここで、比較例において、図26に示すようにチャック100をY軸方向に移動させて、分割改質層M2を形成する場合がある。すなわち、図26(a)に示すようにチャック100がレンズ111のY軸正方向側に位置した状態から、図26(b)に示すようにチャック100をY軸負方向に移動させる。そして、処理ウェハWがレンズ111の下方を通過する際に、周縁部Weの一端部にレーザ光L2を照射し、分割改質層M21を形成する。その後、図26(c)に示すようにさらにチャック100をY軸負方向に移動させ、周縁部Weの他端部に分割改質層M22を形成する。こうして、対向する周縁部Weに分割改質層M21、M22を形成する。かかる場合、チャック100の移動距離D1が長くなる。具体的に移動距離D1には、例えば処理ウェハWの1枚分と、チャック100の加速するための距離及び減速するための距離が必要である。
これに対して、本実施形態のステップB10では、図27に示すように周縁部Weの一端部のみに分割改質層M2を形成し、さらにチャック100を回転させることで、チャック100の移動距離を短くする。すなわち、図27(a)に示すようにチャック100がレンズ111のY軸正方向側に位置した状態から、図27(b)に示すようにチャック100をY軸負方向に移動させる。そして、処理ウェハWがレンズ111の下方を通過する際に、周縁部Weの一端部(一の周方向位置)にレーザ光L2を照射し、分割改質層M21を形成する。次に、図27(c)に示すようにチャック100を180度回転させる。その後、図27(d)に示すようにチャック100をY軸正方向に移動させ、周縁部Weの他端部(他の周方向位置)に分割改質層M22を形成する。かかる場合、チャック100の移動距離D2は短くなる。具体的に移動距離D2には、例えば分割改質層M2の形成幅と、チャック100の加速するための距離及び減速するための距離だけがあればよい。
このように本実施形態では、ステップB10で分割改質層M2を形成するに際し、チャック100の移動距離を短くして、改質装置60の占有面積(フットプリント)を小さくすることができ、省スペース化することができる。
なお、本実施形態では分割改質層M2を形成するにあたり、チャック100をY軸方向に移動させたが、レーザヘッド110をY軸方向に移動させてもよい。
次に、図28及び図29に示すようにレーザヘッド110からレーザ光L3(内部面用レーザ光L3)を照射して、面方向に沿って内部面改質層M3を形成する(図12のステップB11、図10のステップA3)。なお、図29に示す黒塗り矢印はチャック100の回転方向を示し、以下の説明においても同様である。
内部面改質層M3の下端は、薄化後の処理ウェハWの目標表面(図28中の点線)より少し上方に位置している。すなわち、内部面改質層M3の下端と処理ウェハWの表面Waとの間の距離H3は、薄化後の処理ウェハWの目標厚みH2より少し大きい。なお、処理ウェハWの内部には、内部面改質層M3から面方向にクラックC3が進展する。
ステップB11では、チャック100(処理ウェハW)を回転させると共に、レーザヘッド110を処理ウェハWの外周部から中心部に向けてY軸方向に移動させながら、レーザヘッド110から処理ウェハWの内部にレーザ光L3を照射する。そうすると、内部面改質層M3は、処理ウェハWの面内において、外側から内側に螺旋状に形成される。
なお、本実施形態では内部面改質層M3を形成するにあたり、レーザヘッド110をY軸方向に移動させたが、チャック100をY軸方向に移動させてもよい。また内部面改質層M3を形成するにあたり、チャック100を回転させたが、レーザヘッド110を移動させて、チャック100に対してレーザヘッド110を相対的に回転させてもよい。
次に、図13(d)に示すようにチャック100を第1の位置P1に移動させる(図12のステップB12)。その後、第1の位置P1において、ウェハ搬送装置70により重合ウェハTが搬出される(図12のステップB13)。
以上が改質装置60で行われる一連の処理である。以下、図10及び図11に戻って、ウェハ処理システム1で行われるウェハ処理について説明する。
改質装置60から搬出された重合ウェハTは、次に、ウェハ搬送装置70により周縁除去装置61に搬送される。周縁除去装置61では、図11(d)に示すように周縁改質層M1を基点に、処理ウェハWの周縁部Weを除去する(図10のステップA4)。ステップA4では、図8に示したように、くさびローラ141を、処理ウェハWと支持ウェハSの外側端部から、当該処理ウェハWと支持ウェハSの界面に挿入する。そして、挿入されたくさびローラ141により周縁部Weが押し上げられ、周縁改質層M1を基点に処理ウェハWから分離して除去される。この際、分割改質層M2を基点に、周縁部Weは小片化して分離される。なお、除去された周縁部Weは、回収部(図示せず)に回収される。
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置70により加工装置80に搬送される。加工装置80では、先ず、搬送アーム71から受渡位置A0のチャック83に重合ウェハTを受け渡す。この際、図11(e)に示すように内部面改質層M3を基点に、処理ウェハWの裏面Wb側(以下、裏面ウェハWb1という)を分離する(図10のステップA5)。
ステップA5では、搬送アーム71の吸着板170で処理ウェハWを吸着保持しつつ、チャック83で支持ウェハSを吸着保持する。そして、吸着板170を回転させて、内部面改質層M3を境界に裏面ウェハWb1が縁切りされる。その後、吸着板170が裏面ウェハWb1を吸着保持した状態で、当該吸着板170を上昇させて、処理ウェハWから裏面ウェハWb1を分離する。この際、圧力センサ183で裏面ウェハWb1を吸引する圧力を測定することで、裏面ウェハWb1の有無を検知して、処理ウェハWから裏面ウェハWb1が分離されたか否かを確認することができる。なお、分離された裏面ウェハWb1は、ウェハ処理システム1の外部に回収される。
続いて、チャック83を加工位置A1に移動させる。そして、研削ユニット84によって、図11(f)に示すようにチャック83に保持された処理ウェハWの裏面Wbを研削し、当該裏面Wbに残る内部面改質層M3と周縁改質層M1を除去する(図10のステップA6)。ステップA6では、裏面Wbに研削砥石を当接させた状態で、処理ウェハWと研削砥石をそれぞれ回転させ、裏面Wbを研削する。なおその後、洗浄液ノズル(図示せず)を用いて、処理ウェハWの裏面Wbが洗浄液によって洗浄されてもよい。
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置70により洗浄装置41に搬送される。洗浄装置41では処理ウェハWの研削面である裏面Wbがスクラブ洗浄される(図10のステップA7)。なお、洗浄装置41では、処理ウェハWの裏面Wbと共に、支持ウェハSの裏面Sbが洗浄されてもよい。
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置50によりエッチング装置40に搬送される。エッチング装置40では処理ウェハWの裏面Wbが薬液によりウェットエッチングされる(図5のステップA8)。上述した加工装置80で研削された裏面Wbには、研削痕が形成される場合がある。本ステップA8では、ウェットエッチングすることによって研削痕を除去でき、裏面Wbを平滑化することができる。
その後、すべての処理が施された重合ウェハTは、ウェハ搬送装置50によりトランジション装置30に搬送され、さらにウェハ搬送装置20によりカセット載置台10のカセットCtに搬送される。こうして、ウェハ処理システム1における一連のウェハ処理が終了する。
以上の実施形態によれば、改質装置60における構成要素の位置や処理内容を最適化することで、改質装置60の占有面積を小さくして、省スペース化することができる。また、これに伴い、ウェハ処理のスループットを向上させることも可能となる。
より詳細には、改質装置60において、第1の位置P1と第2の位置の2つのポジションにチャック100を配置することで、すべての処理を行うことができる。すなわち、第1の位置P1では、ステップB1におけるパワーチェック及びキャリブレーション、ステップB2、B12における重合ウェハTの搬入出、ステップB3、B4におけるマクロアライメントが行われる。第2の位置P2では、ステップB6、B7におけるマイクロアライメント、ステップB8におけるレーザ光の照射高さ調整、ステップB9における周縁改質層M1の形成、ステップB10における分割改質層M2の形成、ステップB11における内部面改質層M3の形成が行われる。このように第1の位置P1と第2の位置P2の間でチャック100を移動させればよいので、その移動距離が短くなり、チャック100の移動を制御するコストを下げることができる。
また、第1の位置P1にチャック100が配置される際、パワーメータ107はレーザヘッド110のレンズ111の下方に配置される。例えばパワーメータ107が第1の位置P1から離れた場所にある場合、パワーチェックのためにチャック100を第1の位置P1から移動させる必要があるが、本実施形態では、このようなチャック100の移動が不要になる。このため、改質装置60の占有面積を小さくして省スペース化することができる。また、ステップB1では、チャック100の待機中にパワーチェックとキャリブレーションを行うことができるので、改質処理の時間を短縮でき、ウェハ処理のスループットを向上させることもできる。
また、ステップB10において分割改質層M2を形成する際、周縁部Weの一端部に分割改質層M21を形成した後、チャック100を回転させて、周縁部Weの他端部に分割改質層M22を形成する。このため、チャック100の移動距離を短くすることができ、改質装置60の占有面積を小さくして省スペース化することができる。
なお、以上の実施形態では、周縁部Weの除去は、周縁除去装置61において周縁除去部140を用いて行われたが、除去方法はこれに限定されない。例えば、周縁部Weを保持して除去してもよいし、周縁部Weに対して物理的な衝撃や超音波などを付与して除去してもよい。
また、以上の実施形態では、処理ウェハWからの裏面ウェハWb1の分離は、ウェハ搬送装置70の搬送アーム71から加工装置80のチャック83に重合ウェハTを受け渡す際に行っていたが、分離方法はこれに限定されない。例えば、分離装置(図示せず)を周縁除去装置61と同一装置内に設けてもよいし、分離装置(図示せず)を別途設けてもよい。
さらに、以上の実施形態では、処理ウェハWの薄化は、裏面ウェハWb1を分離することで行っていたが、薄化方法はこれに限定されない。例えば処理ウェハWの裏面Wbを研削してもよいし、あるいは裏面Wbをエッチングしてもよい。
また、以上の実施形態では、処理体が重合ウェハTである場合について説明したが、これに限定されない。処理体は、例えば基板以外のものであってもよく、処理体の内部にレーザ光を照射して改質層を形成する場合に、上記実施形態を適用することができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
加工装置80は、回転テーブル81を有している。回転テーブル81は、回転機構(図示せず)によって、鉛直な回転中心線82を中心に回転自在に構成されている。回転テーブル81上には、重合ウェハTを吸着保持するチャック83が2つ設けられている。チャック83は、回転テーブル81と同一円周上に均等に配置されている。2つのチャック83は、回転テーブル81が回転することにより、受渡位置A0及び加工位置B0に移動可能になっている。また、2つのチャック83はそれぞれ、回転機構(図示せず)によって鉛直軸回りに回転可能に構成されている。
次に、重合ウェハTはウェハ搬送装置50によりエッチング装置40に搬送される。エッチング装置40では処理ウェハWの裏面Wbが薬液によりウェットエッチングされる(図10のステップA8)。上述した加工装置80で研削された裏面Wbには、研削痕が形成される場合がある。本ステップA8では、ウェットエッチングすることによって研削痕を除去でき、裏面Wbを平滑化することができる。