次に、本発明の打込機に含まれるいくつかの実施形態のうち、代表的な打込機を図面を参照して説明する。
(実施形態1) 打込機の実施形態1を、図面を参照して説明する。図1、図2及び図3に示す打込機10は、ハウジング11、シリンダ12、打撃部13、トリガ14、射出部15及びプッシュレバー16を有する。また、打込機10に取り付けられるマガジン17が設けられている。ハウジング11は、筒形状の胴部18と、胴部18に固定したヘッドカバー19と、胴部18に接続されたハンドル20と、を有する。蓄圧室21が、ハンドル20の内部、胴部18の内部、ヘッドカバー19の内部に亘って形成されている。エアホースがハンドル20に接続される。気体としての圧縮空気は、エアホースを介して蓄圧室21に供給される。シリンダ12は胴部18内に設けられている。
ヘッドバルブ22がヘッドカバー19内に設けられている。ヘッドバルブ22は、シリンダ12の中心線A1に沿った方向に移動可能である。ヘッドバルブ22は、一例として合成ゴム製である。ヘッドバルブ22は、蓄圧室21の空気圧でシリンダ12から離間する向きで付勢される。ヘッドバルブ22とヘッドカバー19との間に、気体室24が形成されている。ストッパ25がヘッドカバー19に取り付けられている。排気通路26が、ヘッドカバー19とストッパ25との間に形成されている。排気通路26は、ハウジング11の外部B1につながっている。
付勢部材27が、ヘッドバルブ22とストッパ25との間に設けられている。付勢部材27は、一例として、金属製のスプリングである。付勢部材27は、ヘッドバルブ22を中心線A1に沿った方向でシリンダ12に近付ける向きで付勢する。シリンダ12は、胴部18に対して中心線A1に沿った方向に位置決め固定されている。ホルダ28が胴部18内に設けられている。ホルダ28は、シリンダ12を胴部18に対して中心線A1に交差する方向に位置決めする。
打撃部13は、ピストン29及びドライバブレード30を有する。ピストン29は、シリンダ12内に配置され、打撃部13は、中心線A1に沿った方向に作動可能である。ピストン29にシール部材31が取り付けられている。ピストン上室32が、ヘッドバルブ22とピストン29との間に形成される。
射出部15は、胴部18に対して、中心線A1に沿った方向でヘッドカバー19が設けられている個所とは反対の端部に固定されている。バンパ33が、胴部18内に設けられている。バンパ33は、胴部18内で射出部15に最も近い位置に配置されている。バンパ33は、合成ゴム製、または、シリコンゴム製である。バンパ33は軸孔34を有し、ドライバブレード30は軸孔34内で中心線A1に沿った方向に移動可能である。
シリンダ12内でピストン29とバンパ33との間にピストン下室35が形成されている。シール部材31は、ピストン下室35とピストン上室32とを気密に遮断する。シリンダ12は通路36,37を有する。通路37は、中心線A1に沿った方向で通路36と射出部15との間に配置されている。戻し空気室38が、シリンダ12と胴部18との間に形成されている。ホルダ28は、戻し空気室38と蓄圧室21とを気密に隔てている。逆止弁39がシリンダ12の外周面に取り付けられている。逆止弁39は通路36を開閉する。通路37は、戻し空気室38とピストン下室35とを、常に接続している。ピストン下室35及び戻し空気室38に空気が存在する。
トリガ14は、ハウジング11に取り付けられている。トリガ14は、ハウジング11に対して支持軸40を中心として、所定角度の範囲内で回転可能である。ハウジング11はストッパ41を有し、ストッパ41は、トリガ14の作動範囲を規制する。アーム42がトリガ14に取り付けられている。アーム42はトリガ14に対して支持軸43を中心として作動可能である。付勢部材44が、アーム42とハウジング11との間に設けられている。付勢部材44は、トリガ14及びアーム42を、ハンドル20から離間する向きで付勢する。付勢部材44は、一例として金属製のスプリングである。付勢部材44の力で付勢されるトリガ14及びアーム42は、図1のようにストッパ41に接触してそれぞれ停止する。
図4及び図5のように、トリガバルブ45が、胴部18とハンドル20との接続箇所に設けられている。トリガバルブ45は、プランジャ46、ボディ47、弁体48及び付勢部材65を有する。ボディ47は、収容凹部50及び軸孔51を有する。軸孔51及び収容凹部50はつながっている。収容凹部50の開口部は、蓄圧室21につながっている。弁体48は筒形状であり、弁体48は収容凹部50に配置されている。弁体48は、ボディ47に対して中心線A2に沿った方向に作動可能である。中心線A2は弁体48及びプランジャ46の中心である。プランジャ46は、収容凹部50、軸孔51、及びハウジング11の外部B1に亘って配置されている。プランジャ46は、ボディ47及び弁体48に対して中心線A2に沿った方向に作動可能である。
ボディ47に通路52が設けられ、通路52は、通路53を介して気体室24に接続している。また、ハウジング11は通路54を有し、通路54は、蓄圧室21と収容凹部50とをつなぐ。ボディ47とハウジング11との間をシールするシール部材55が設けられている。ボディ47は、排気通路56を有し、排気通路56は外部B1につながっている。排気通路56は、収容凹部50につながる。弁体48とボディ47との間に空間57が形成されている。空間57は軸孔51につながっている。弁体48は、空間57の圧力で蓄圧室21に近づく向きで付勢される。
弁体48の外周面にシール部材58,59,60が取り付けられている。弁体48は、軸孔61を有する。シール部材60は空間57と排気通路56とを遮断する。プランジャ46は、軸孔51及び軸孔61に亘って配置されている。プランジャ46の外周面にシール部材62,64が取り付けられている。プランジャ46の外周面から突出したフランジ79が設けられている。軸孔61内に付勢部材65が設けられている。付勢部材65は、一例として金属製の圧縮スプリングであり、付勢部材65は、プランジャ46を中心線A2に沿った方向でアーム42に近付ける向きで付勢する。また、付勢部材65は、弁体48を蓄圧室21に近づける向きで付勢する。
プランジャ46において、フランジ79と第1端部66との間にランド部67が設けられている。第1端部66は、プランジャ46の中心線A2に沿った方向で、アーム42に最も近い位置である。軸孔51においてランド部67の端面とボディ47との間に気体室68が形成されている。ボディ47に2つのシール部材95が取り付けられ、2つのシール部材95は、気体室68を気密にシールしている。さらに、ボディ47は、排気通路96を有し、排気通路96は、軸孔51と外部B1とをつなぐ。
ハウジング11に軸孔69が設けられ、プランジャ46の第2端部70が軸孔69に配置されている。第2端部70は、中心線A2に沿った方向で第1端部66とは反対に位置する。第2端部70は、軸孔69内で中心線A2に沿った方向に移動可能である。軸孔69はハウジング11の外部B1につながっている。第2端部70は、外部B1に露出している。射出部15は、一例として、金属製または非鉄金属製である。射出部15は、射出路71を有する。射出路71内に中心線A1が位置し、ドライバブレード30は射出路71内で中心線A1に沿った方向に移動可能である。マガジン17は、射出部15に固定されている。マガジン17は釘72を収容する。マガジン17は、フィーダを有し、フィーダはマガジン17内の釘72を射出路71に送る。
プッシュレバー16に接続された軸部材74が設けられている。軸部材74は、ストッパ41に対して移動可能である。軸部材74は、付勢部材97によりアーム42から離れる向きで付勢されている。付勢部材97は、一例として圧縮スプリングである。さらに、バルブ75がハウジング11に設けられている。バルブ75は、プランジャ77及び支持孔78を有する。支持孔78はハウジング11に設けられ、プランジャ77は、支持孔78に配置されている。プランジャ77は金属製、一例として鉄またはアルミ合金である。プランジャ77は、中心線A3に沿った方向に作動可能である。
また、バルブ75を作動させるアクチュエータとしてソレノイド76が設けられている。ソレノイド76は、電流が流れると磁気吸引力を形成する。ソレノイド76は、電流が流れないと磁気吸引力を解除する。プランジャ77はソレノイド76に接続され、磁気吸引力で作動可能である。ハウジング11は、通路80,81及び排気通路82を有し、通路80は蓄圧室21につながり、かつ、支持孔78に開口している。通路81は気体室68につながり、かつ、支持孔78に開口している。排気通路82は外部B1につながり、かつ、支持孔78に開口している。シール部材83,84,85がプランジャ77の外周面に取り付けられている。付勢部材86が支持孔78内に設けられている。付勢部材86は、プランジャ77を中心線A3に沿った方向に付勢する。付勢部材86は、一例として金属製のスプリングである。プランジャ77は、ソレノイド76の磁気吸引力及び付勢部材86の付勢力で作動する。
プランジャ77は、図4のようにシール部材84が支持孔78の内面に押し付けられると初期位置で停止する。バルブ75は、プランジャ77が初期位置で停止していると、シール部材84が通路80と通路81とを遮断する。また、バルブ75は、通路81と排気通路82とを接続する。ソレノイド76が磁気吸引力を形成すると、プランジャ77は付勢部材86の付勢力に抗して作動する。プランジャ77は、図5のようにシール部材84がストッパから離間した作動位置で停止する。プランジャ77が作動位置で停止する。プランジャ77が作動位置で停止していると、シール部材85が通路81と排気通路82とを遮断する。また、バルブ75は、通路80と通路81とを接続する。
図7は、打込機10の制御系統を示すブロック図である。トリガスイッチ87がハウジング11に設けられ、トリガスイッチ87は、トリガ14に対する操作力の付加及び解除を検出して信号を出力する。トリガスイッチ87は、接触形センサまたは非接触形センサの何れでもよい。プッシュレバースイッチ88がハウジング11に設けられ、プッシュレバースイッチ88は、プッシュレバー16が相手材W1に押し付けられているか、プッシュレバー16が相手材W1から離間しているかを検出して信号を出力する。プッシュレバースイッチ88は、接触形センサまたは非接触形センサの何れでもよい。
マイクロコンピュータ89が、一例としてハウジング11に設けられている。マイクロコンピュータは、演算処理部、メモリ及びタイマーを備えている。マイクロコンピュータ89は、トリガスイッチ87の信号及びプッシュレバースイッチ88の信号を処理する。バルブ75にスイッチ90を介して接続される電源91が設けられている。電源91は、ソーラーパネル、直流電源、交流電源、コンデンサ等のうち、少なくとも1つを用いることが可能である。ソーラーパネルは、太陽光で発電を行うためのパネルであり、ソーラーパネルは、ハウジング11の外面に設けることが可能である。直流電源は、一次電池または二次電池の何れでもよく、直流電源は、一例として、ハウジング11またはマガジン17に設けられる。コンデンサは、電荷を蓄え、かつ、放出する受動素子である。コンデンサは、キャパシタと定義することも可能である。コンデンサは、一例としてハウジング11またはマガジン17に設けることが可能である。交流電源は、ハウジング11に対して電力ケーブルを介して接続される。電力ケーブルは、ハンドル20に接続されるエアホースに取り付けることも可能である。
図1に示すモード選択レバー92が、ハウジング11に取り付けられている。モード選択レバー92は、ハウジング11に対して作動軸92Aを中心として作動可能、つまり、回転可能に設けられている。使用者はモード選択レバー92を操作して、第1モード、第2モード及び第3モードを互いに切り替え可能である。支持軸40は作動軸92Aに設けられ、かつ、作動軸92Aの回転中心X1から偏心した位置に設けられている。モード選択レバー92を操作すると、支持軸40は図6(A)のように公転する。
第1モードにおける支持軸40の位置は、プランジャ46から最も離間した位置である。第3モードにおける支持軸40の位置は、プランジャ46に最も接近した位置である。第2モードにおける支持軸40の位置は、第1モードにおける支持軸40の位置と、第3モードにおける支持軸40の位置との間である。支持軸40の位置は、中心線A2に対して交差する方向の位置である。このため、モードを切り替えると、トリガ14に操作力が付加されているか否かに関わり無く、アーム42は、中心線A2に対して交差する方向に作動する。
スイッチ90は、電源91とソレノイド76との間の電気回路の一部を形成している。マイクロコンピュータ89は、スイッチ90のオン及びオフを制御する。マイクロコンピュータ89がスイッチ90をオフすると、電源91からソレノイド76に電流は供給されない。マイクロコンピュータ89がスイッチ90をオンすると、電源91からソレノイド76に電流が供給される。使用者は、トリガ14に操作力を付加した状態で、プッシュレバー16を相手材W1に押し付けて打込機10を使用する前に第1モードを選択する。
使用者は、プッシュレバー16を相手材W1に押し付けた状態で、トリガ14に操作力を付加して打込機10を使用する前に、第2モードを選択する。マイクロコンピュータ89は、第1モードまたは第2モードを検出すると、マイクロコンピュータ89は、スイッチ90をオフする。使用者は、トリガ14に操作力を付加した状態で、プッシュレバー16を相手材W1に押し付けて打込機10を使用する前に、第3モードを選択可能である。マイクロコンピュータ89は、第3モードを検出すると、マイクロコンピュータ89は、スイッチ90をオンすることが可能である。
さらに、モード選択レバー92を操作するとオン及びオフが切り替わる電源スイッチ98が設けられている。電源スイッチ98は、第1モードまたは第2モードが選択されるとオフし、かつ、第3モードが選択されるとオンする。電源スイッチ98がオフすると、電源91からマイクロコンピュータ89に電流が供給されず、マイクロコンピュータ89は停止している。電源スイッチ98がオンすると、電源91からマイクロコンピュータ89に電流が供給され、マイクロコンピュータ89が起動する。なお、各種のセンサ94をハウジング11に設けることも可能である。各種のセンサ94は、圧力センサ、温度センサ、湿度センサ、加速度センサのうち、少なくとも1つ以上のセンサを含む。ハウジング11に表示部が設けられていると、マイクロコンピュータ89は、各種のセンサ94の信号を処理し、使用者が操作を行ってから打撃部13が作動するまでの作動時間、打撃部13の作動速度、Bナンパ33の点検時期及び修理時期を、表示部に表示または警告することができる。
次に、使用者が打込機10を使用する例を、使用者が選択したモード毎に説明する。
(使用者が第3モードを選択する例) 使用者が第3モードを選択すると、使用者がトリガ14に操作力を付加し、かつ、プッシュレバー16を相手材W1に押し付けても、アーム42はプランジャ46から離間している。アーム42は、トリガ14の作動力及びプッシュレバー16の作動力をプランジャ46には伝達されない。したがって、トリガバルブ45は初期状態を保持する。マイクロコンピュータ89は、トリガスイッチ87の信号及びプッシュレバースイッチ88の信号を処理して、ソレノイド76に対する電流の供給及び停止を制御することにより、トリガバルブ45の状態を切り替える。
マイクロコンピュータ89は、トリガ14に対する操作力が解除され、かつ、プッシュレバー16が相手材W1から離間していることを検出すると、スイッチ90をオフする。また、マイクロコンピュータ89は、トリガ14に操作力が付加され、かつ、プッシュレバー16が相手材W1から離間していることを検出すると、スイッチ90をオフする。マイクロコンピュータ89がスイッチ90をオフすると、ソレノイド76に電流は流れない。このため、バルブ75は、図4のように、気体室68と排気通路82とを接続し、かつ、蓄圧室21と通路81とを遮断した排出状態にある。また、トリガバルブ45は初期状態にある。図4のように、フランジ79は、付勢部材65によりボディ47に押し付けられる。シール部材64は、空間57と排気通路96とを遮断している。弁体48は、付勢部材65の付勢力でアーム42から離れる向きに付勢され、シール部材59がボディ47に押し付けられて弁体48が初期位置で停止している。
シール部材59は、通路52と排気通路56とを遮断する。シール部材58は、ボディ47から離れ、蓄圧室21は、通路52及び通路53を介して気体室24に接続されている。シール部材62は弁体48から離れ、蓄圧室21は、軸孔61を介して空間57につながっている。シール部材64は、空間57と外部B1とを遮断している。
トリガバルブ45が初期状態であると、蓄圧室21の圧縮空気が気体室24に供給されている。このため、ヘッドバルブ22は、図1に示す初期状態で停止している。初期状態で停止したヘッドバルブ22は、ピストン上室32と蓄圧室21とを遮断し、かつ、排気通路26を開いている。このため、ピストン上室32は、外部B1につながっている。また、ヘッドバルブ22が初期状態で停止していると、ピストン29がヘッドバルブ22に接触した状態で、打撃部13が上死点で停止している。
次に、マイクロコンピュータ89は、トリガ14に操作力が付加されるとタイマーをスタートさせる。マイクロコンピュータ89は、トリガ14に操作力が付加された時点から、所定時間内にプッシュレバー16が相手材W1に押し付けられたことを検出すると、スイッチ90をオンする。すると、ソレノイド76に電流が流れ、バルブ75は、図4に示す排出状態から、図5に示す供給状態に切り替わる。供給状態であるバルブ75は、通路81と通路80とを接続し、かつ、通路81と排気通路82とを遮断する。このため、蓄圧室21の圧縮空気は、通路80,81を通って気体室68に供給され、気体室68の圧力が上昇する。
すると、トリガバルブ45のプランジャ46は、付勢部材65の付勢力に抗して作動し、かつ、プランジャ46が作動位置で停止する。シール部材64は、空間57へ移動し、空間57と外部B1とが、軸孔51及び排気通路96を介してつながる。また、シール部材62は、弁体48に押し付けられ、シール部材62は軸孔61をシールする。このため、弁体48は、蓄圧室21の圧力で付勢部材65の力に抗して作動し、シール部材58は蓄圧室21と通路52とを遮断する。また、シール部材59は、ボディ47から離れ、通路52と排気通路56とがつながる。このため、気体室24の圧縮空気は、通路53、通路52及び排気通路56を通って外部B1に排出される。このように、トリガバルブ45が蓄圧室21と通路52とを遮断し、かつ、通路52と排気通路56とを接続した状態が、トリガバルブ45の作動状態である。
気体室24から空気が排出されると、ヘッドバルブ22は、蓄圧室21の圧力で作動する。ヘッドバルブ22は、図2のように、シリンダ12から離間した作動状態で停止する。停止したヘッドバルブ22は、蓄圧室21とピストン上室32とを接続し、かつ、排気通路26を遮断している。蓄圧室21の圧縮空気がピストン上室32に供給され、ピストン上室32の圧力が上昇する。打撃部13は、ピストン上室32の圧力で上死点から下死点に向けて下降する。ドライバブレード30は射出路71内の釘72を打撃し、釘72は相手材W1に打ち込まれる。また、図2のようにピストン29がバンパ33に衝突する。ピストン29がバンパ33に衝突した時点における打撃部13の位置は下死点である。また、打撃部13が下降中、ピストン下室35の圧力が上昇する。
打撃部13が下死点に到達した後、マイクロコンピュータ89は、プッシュレバー16が相手材W1から離間したことを検出すると、スイッチ90をオフする。すると、ソレノイド76は磁気吸引力を解除し、バルブ75のプランジャ77は付勢部材86、及びシール部材83とシール部材85との径差による押圧力によって、図4に示す初期位置で停止する。このため、気体室68の空気が外部B1に排出される。すると、プランジャ46は付勢部材65の付勢力及び、シール部材64とシール部材62との径差による押圧力で作動し、プランジャ46は、図4に示す初期位置で停止する。また、弁体48は、付勢部材65の付勢力で作動し、蓄圧室21と通路52とを接続し、かつ、通路52と排気通路56とを遮断する。このようにして、トリガバルブ45は作動状態から初期状態に切り替わる。
トリガバルブ45が作動状態から初期状態に切り替わると、ヘッドバルブ22が作動してシリンダ12に押し付けられ、ヘッドバルブ22は、蓄圧室21とピストン上室32とを遮断し、かつ、排気通路26を開く。すると、打撃部13はピストン下室35の圧力で上昇し、打撃部13は図1に示す上死点で停止する。使用者は、第3モードを選択し、かつ、トリガ14に操作力を付加した時点から、所定時間内にプッシュレバー16を相手材W1に押し付ける操作を行うことで、釘72を順次相手材W1に打込むことができる。よって、トリガ14に操作力を付加した状態で、所定時間を経過した場合は、プッシュレバー16を相手材W1に押し付けても、釘72を打込むことはできない。
一方、マイクロコンピュータ89は、トリガ14に操作力が付加され、かつ、プッシュレバー16が相手材W1から離間した状態で所定時間を超えると、スイッチ90のオフを継続する。このため、トリガ14に操作力が付加された時点から、所定時間を超えてからプッシュレバー16が相手材W1に押し付けられた場合、トリガバルブ45は初期状態を保持する。つまり、打撃部13は上死点で停止している。マイクロコンピュータ89は、使用者がトリガ14に対する操作力を一旦解除すると、タイマーをリセットする。
マイクロコンピュータ89は、バルブ75を図4に示す排出状態と、図5に示す供給状態とを切り替える。トリガバルブ45の初期状態と作動状態との切り替えは、気体室68の圧力に応じて行われる。つまり、ソレノイド76は、バルブ75のプランジャ77の作動を制御していることに留まる。言い換えると、プランジャ77を作動させるために必要なソレノイド76の磁気吸引力は、トリガバルブ45の弁体48を蓄圧室21の空気圧に抗して作動させるために必要な作動力よりも低い。このため、ソレノイド76が大型になることを抑制可能である。また、ソレノイド76の磁気吸引力は、電源91から供給される電流に応じて変わる。したがって、ソレノイド76に印加する電圧の増加を抑制でき、かつ、電源91の出力を低減可能である。電源91が、ハウジング11またはマガジン17に着脱可能な直流電源であると、小容量の直流電源とすることが可能である。
さらに、プランジャ46の第2端部70は、大気圧を受ける位置に配置されている。第2端部70は、外部B1に露出している。このため、プランジャ46を初期位置から作動位置へ作動させる場合に、プランジャ46が蓄圧室21の圧力を受ける面積を狭くすることが可能である。したがって、プランジャ46を初期位置から作動位置に作動させるために必要な力を低減可能である。また、プランジャ77において付勢部材86に近い端部77Aは、図5のように外部B1の大気圧を受ける位置に配置されている。このため、プランジャ77の作動に必要な力を低減できる。また、プランジャ77においてソレノイド76に近い端部77Bは、外部B1の大気圧を受ける位置に配置されている。このため、プランジャ77の作動に必要な力を低減できる。
図8は、打込機10の使用例を示すフローチャートである。使用者がステップS1で第3モードを選択すると、ステップS2で電源スイッチ98がオンしてマイクロコンピュータ89が起動する。また、マイクロコンピュータ89が起動した時点において、スイッチ90はオフである。マイクロコンピュータ89は、ステップS3でトリガ14に操作力が付加されたことを検出すると、タイマーをスタートさせる。
マイクロコンピュータ89は、所定時間内にプッシュレバー16が相手材W1に押し付けられたかどうかを、ステップS4で判断する。マイクロコンピュータ89は、ステップS4でYesと判断すると、スイッチ90をオンする。このため、打撃部13は上死点から下死点に向けて作動する。マイクロコンピュータ89は、ステップS6でプッシュレバー16が相手材W1から離間されたことを検出すると、スイッチ90をオフし、図8のルーチンは終了する。
マイクロコンピュータ89は、ステップS4でNoと判断すると、ステップS7でスイッチ90のオフを継続する。ステップS7の状態でプッシュレバー16が相手材W1に押し付けられても、スイッチ90はオフを保持する。マイクロコンピュータ89は、ステップS8でトリガ14の操作力解除を検出すると、ステップS9でタイマーをリセットし、図8のルーチンは終了する。使用者がステップS1で第1モードまたは第2モードを選択すると図8のルーチンは行われず、マイクロコンピュータ89は停止している。
(使用者が第1モードを選択する例) 使用者が第1モードを選択すると、マイクロコンピュータ89は停止し、かつ、スイッチ90はオフしている。使用者が第1モードを選択し、かつ、トリガ14に対する操作力を解除し、かつ、プッシュレバー16を相手材W1から離間させていると、図6(A)のように、アーム42はプランジャ46から離間している。つまり、トリガバルブ45は初期状態に保持されている。また、使用者が第1モードを選択し、かつ、トリガ14に操作力を付加し、かつ、プッシュレバー16を相手材W1から離間させていると、トリガバルブ45は初期状態を保持する。
使用者が第1モードを選択し、かつ、トリガ14に操作力を付加した状態で、プッシュレバー16を相手材W1に押し付ける。すると、トリガ14及びプッシュレバー16の作動力は、図6(B)のように、アーム42を経由してプランジャ46に伝達される。プランジャ46は、付勢部材65の付勢力に抗して作動し、トリガバルブ45が初期状態から作動状態に切り替わる。打撃部13は上死点から下死点に向けて作動する。
打撃部13が下死点に到達した後、使用者がトリガ14に操作力を付加した状態で、プッシュレバー16を相手材W1から離間させると、プランジャ46は、付勢部材65の付勢力で作動し、かつ、初期位置で停止する。トリガバルブ45は作動状態から初期状態に切り替わる。打撃部13は下死点から上死点に向けて作動し、かつ、打撃部13は上死点で停止する。
使用者は、第1モードを選択し、かつ、トリガ14に操作力を付加した状態を保持し、プッシュレバー16を相手材W1に押し付ける操作と、プッシュレバー16を相手材W1から離間させる操作とを、複数回繰り返すことが可能である。
(使用者が第2モードを選択する例) 使用者が第2モードを選択すると、マイクロコンピュータ89は停止している。使用者が第2モードを選択し、かつ、プッシュレバー16を相手材W1から離間させ、かつ、トリガ14に対する操作力を解除していると、トリガバルブ45は初期状態を保持する。また、使用者が第2モードを選択し、かつ、プッシュレバー16を相手材W1に押し付け、かつ、トリガ14に対する操作力を解除している場合も、トリガバルブ45を初期状態を保持する。
使用者が第2モードを選択し、かつ、プッシュレバー16を相手材W1に押し付けた状態で、トリガ14に操作力を付加すると、図6(B)のように、プッシュレバー16の作動力、及びトリガ14の作動力が、アーム42を経由してプランジャ46に伝達される。トリガバルブ45は初期状態から作動状態に切り替わり、かつ、打撃部13が上死点から下死点に向けて作動する。
打撃部13が下死点に到達した後、使用者がトリガ14に対する操作力を解除し、かつ、プッシュレバー16を相手材W1から離間させると、プランジャ46は、付勢部材65の付勢力で作動し、トリガバルブ45が作動状態から初期状態に切り替わる。打撃部13は下死点から上死点に向けて作動し、かつ、打撃部13は上死点で停止する。
使用者は、第2モードを選択すると、プッシュレバー16を相手材W1に押し付けた状態でトリガ14に操作力を付加する操作と、プッシュレバー16を相手材W1から離間させ、かつ、トリガ14に対する操作力を解除する操作とを、複数回繰り替えすことが可能である。
なお、第2モードが選択されていると、トリガ14に操作力を付加した状態で、プッシュレバー16を相手材W1に押し付けると、軸部材74はアーム42に接触しない。したがって、トリガバルブ45は、図4に示す初期状態に保持される。
(実施形態2) 打込機の実施形態2は、図9、図10及び図11に示されている。打込機100は、ハウジング101、射出部102、打撃部103、プッシュレバーバルブ104及びトリガバルブ105を有する。ハウジング101は、胴部106、ハンドル107及びヘッドカバー108を有する。胴部106は筒形状であり、ハンドル107は胴部106に接続されている。ヘッドカバー108は、胴部106の長手方向で第1端部に固定されている。射出部102は、胴部106の長手方向で第2端部に固定されている。ハンドル107にエアホースが接続される。打撃部103は、胴部106の内部に設けられている。打撃部103は、中心線C1方向に作動可能である。
胴部106内にシリンダ109が設けられている。中心線C1は、シリンダ109の中心線である。シリンダ109は中心線C1に沿って移動可能である。ホルダ135が胴部106内に設けられている。ホルダ135は環状であり、ホルダ135は、シリンダ109を胴部106に対して、中心線C1と交差する方向に位置決めする。ハンドル107内、胴部106内、ヘッドカバー108内に亘って蓄圧室110が設けられている。エアホースから供給される圧縮空気は、蓄圧室110に溜められる。ホルダ135は、第1気体室139及び第2気体室142を形成している。第1気体室139は、常に蓄圧室110とつながっている。
ヘッドカバー108の内面にマウント部115が固定されている。エキゾーストバルブ室114が、ヘッドカバー108とマウント部115との間に形成されている。マウント部115は、排気通路117を有する。排気通路117は、ハウジング101の外部D1につながる。マウント部115は、エキゾーストバルブ118を支持している。エキゾーストバルブ118は、マウント部115に対して中心線C1方向に移動可能である。エキゾーストバルブ118は、排気通路117を開閉する。
バルブシート119がマウント部115に取り付けられている。バルブシート119は、合成ゴム製であり、バルブシート119は通路116を有する。通路116は排気通路117につながっている。
打撃部103は、ピストン121及びドライバブレード122を有する。ピストン121はシリンダ109内に設けられ、ピストン121はシリンダ109内で中心線C1方向に作動可能である。ピストン121とバルブシート119との間にピストン上室120が形成される。ピストン上室120は通路116につながっている。ピストン121は、ピストン上室120の圧力を受けて、中心線C1に沿った方向でバルブシート119から離れる向きで付勢される。ピストン121の外周面にシール部材113が取り付けられている。シール部材113は、シリンダ109の内周面に接触する。
さらに、バンパ128が胴部106内に設けられている。バンパ128は、中心線C1に沿った方向で、シリンダ109と射出部102との間に設けられている。バンパ128は、合成ゴム製の緩衝部材である。バンパ128の一部は、シリンダ109内に位置する。バンパ128は軸孔129を有する。シリンダ109内でピストン121とバンパ128との間にピストン下室123が形成されている。シール部材113は、ピストン下室123とピストン上室120とを気密に隔てる。戻し空気室124が、胴部106とシリンダ109の外周面との間に設けられている。ホルダ135は、蓄圧室110と戻し空気室124とを気密に隔てている。
シリンダ109を径方向に貫通する通路125,126が設けられている。シリンダ109の外面に逆止弁127が設けられている。逆止弁127は通路125を開閉する。通路126は、ピストン下室123と戻し空気室124とを、常に接続する。通路126は、中心線C1に沿った方向で通路125と射出部102との間に配置されている。
さらに、付勢部材130が胴部106内に設けられている。付勢部材130は、一例として金属製のスプリングである。シリンダ109は、付勢部材130の付勢力により、中心線C1に沿った方向でバルブシート119に近付く向きで付勢している。シリンダ109は、第1気体室139の圧力でバルブシート119に近づく向きで付勢されている。シリンダ109は、第2気体室142の圧力でバルブシート119から離間する向きで付勢される。
射出部102は胴部106に固定されており、射出部102は射出路133を有する。ドライバブレード122は、軸孔129及び射出路133内で中心線C1に沿った方向に作動可能である。プッシュレバー134が射出部102に取り付けられ、プッシュレバー134は、射出部102対して中心線C1に沿った方向に移動可能である。マガジン201が射出部102取り付けられ、マガジン201が収容している釘202は、射出路133へ順次送られる。
トリガバルブ105及びプッシュレバーバルブ104の構造を、図12、図13、図14及び図15を参照して説明する。プッシュレバーバルブ104は、プランジャ144、弁体146、バルブボディ145、圧力室180、付勢部材147を有する。バルブボディ145は、ハウジング101に対して移動しない。バルブボディ145は筒形状であり、かつ、プランジャ144及び弁体146を作動可能に支持する。バルブボディ145は、通路143及び排気通路161を有する。通路143は、通路200を介してエキゾーストバルブ室114につながっている。
プランジャ144及び弁体146は、中心線A5に沿って作動可能である。付勢部材147は、一例として金属製のスプリングであり、付勢部材147は弁体146を付勢する。弁体146は、圧力室180と通路143とを接続及び遮断する。プランジャ144は、通路143と排気通路161とを接続及び遮断する。軸部材166が胴部106に対して作動可能に設けられている。軸部材166は、プッシュレバー134に接続されている。ガイド部材150がハウジング101に設けられ、ガイド部材150は伝達部材194を保持している。軸部材166及び伝達部材194は、中心線A5に沿って作動する。
付勢部材165が、バルブボディ145と伝達部材194との間に設けられている。付勢部材165は、一例として金属製のスプリングである。付勢部材165の付勢力は、伝達部材194を介して軸部材166に伝達される。付勢部材165は、伝達部材194及び軸部材166を、トリガバルブ105から離間する向きで付勢する。ストッパ203がハウジング101に設けられ、付勢部材165に押される軸部材166は、ストッパ203に接触して停止する。プッシュレバー134が相手材W1に押し付けられて作動すると、プッシュレバー134の作動力が軸部材166に伝達される。軸部材166は、付勢部材165の付勢力に抗して作動する。軸部材166の作動力は、プランジャ144及び伝達部材194に伝達される。伝達部材194がアーム177に接触すると、アーム177が作動する。
トリガ148が、ハウジング101に対して支持軸149を中心として作動可能に取り付けられている。アーム177が、支持軸178を介してトリガ148に取り付けられている。アーム177は、支持軸178を支点として回転可能である。弾性部材179が設けられ、弾性部材179は、アーム177及びトリガ148を付勢する。弾性部材179により付勢されるアーム177及びトリガ148は、ガイド部材150に接触して初期位置で停止する。
トリガバルブ105は、筒形状のガイド部151、ボール形状の弁体155、プランジャ157、ボディ158、付勢部材191を有する。ガイド部151は、通路152を有し、通路152は圧力室180につながっている。弁体155に軸159が接続されている。ハンドル107を貫通する軸孔160が設けられ、軸159の端部は軸孔160に配置されている。軸159及び弁体155は、中心線A4に沿った方向に作動可能である。弁体155は、蓄圧室110の圧力で付勢されて作動すると、蓄圧室110と通路152とを遮断する。弁体155は、蓄圧室110の圧力に抗して作動すると、蓄圧室110と通路152とを接続する。
プランジャ157はフランジ162を有し、フランジ162に外周面にシール部材163が取り付けられている。フランジ162とボディ158との間に空気室164が形成されている。ボディ158にシール部材204が設けられ、シール部材163,204は、空気室164をシールしている。胴部106は、空気室164につながった通路190を有する。付勢部材191は、プランジャ157を弁体155から離間させる向きで付勢する。付勢部材191は、一例として金属製のスプリングである。プランジャ157は空気室164の圧力により、付勢部材191の付勢力に抗して弁体155に近づく向きで付勢される。
蓄圧室110に通路192がつながっている。また、バルブ75及びソレノイド76が、ハウジング101に設けられている。ソレノイド76に電流が流れていないと、プランジャ77が付勢部材86の付勢力で作動し、バルブ75は初期状態で停止する。初期状態のバルブ75は、通路190と排気通路82とを接続し、通路192と通路190とを遮断する。このため、空気室164は、通路190及び排気通路82を介して外部D1につながる。したがって、空気室164の圧力が大気圧になる。
これに対して、ソレノイド76に電流が流れ、プランジャ77が付勢部材86に抗して作動し、バルブ75は作動状態で停止する。作動状態のバルブ75は、通路192と通路190とを接続し、通路190と排気通路82とを遮断する。このため、蓄圧室110の圧縮空気は、通路192,190を通って空気室164に供給され、空気室164の圧力が大気圧よりも高くなる。
打込機100は、図7の構成を有する。使用者はモード選択レバー92を操作して、第1モード、第2モード及び第3モードを互いに切り替え可能である。モード選択レバー92は、図9のようにハウジング101に対して作動軸92Aを中心として作動可能、つまり、回転可能に取り付けられている。支持軸149は、作動軸92Aに設けられている。支持軸149は、図14に示す回転中心X1から偏心した位置に設けられている。回転中心X1は、作動軸92Aの回転中心である。モード選択レバー92を操作すると、支持軸149は回転中心X1の周りを公転する。このため、モードを切り替えると、トリガ148に操作力が付加されているか否かに関わり無く、アーム177は、中心線A4に対して交差する方向に作動する。
第1モードにおける支持軸149の位置は、プランジャ157から最も離間した位置である。第3モードにおける支持軸149の位置は、プランジャ157に最も接近した位置である。第2モードにおける支持軸149の位置は、第1モードにおける支持軸149の位置と、第3モードにおける支持軸149の位置との間である。支持軸149の位置は、中心線A4に対して交差する方向の位置である。
第1モードまたは第2モードが選択され、かつ、プッシュレバー134が相手材W1に押し付けられ、その後、トリガ148に操作力が付加されると、アーム177がプランジャ157に押し付けられ、プランジャ157が作動する。第3モードが選択され、かつ、プッシュレバー134が相手材W1に押し付けられ、その後、トリガ148に操作力が付加されると、アーム177はプランジャ157から離間した状態を保持する。
打込機100の使用例を説明する。
(第3モードを選択する例) 使用者が第3モードを選択すると、マイクロコンピュータ89が起動する。また、トリガ148に対する操作力が解除されていると、アーム177及びトリガ148は、図12のようにガイド部材150に押し付けられて初期位置で停止している。
使用者が、プッシュレバー134を相手材W1から離間させていると、プッシュレバーバルブ104は初期状態で停止している。プランジャ144は初期位置で停止し、かつ、排気通路161を開いている。また、弁体146は初期位置で停止し、かつ、圧力室180と通路143とを遮断している。プッシュレバーバルブ104が初期状態で停止していると、エキゾーストバルブ室114及び第2気体室142は、通路200,143及び排気通路161を介して外部D1につながっている。
このため、シリンダ109は、図9のようにバルブシート119に押し付けられた初期位置で停止している。初期状態で停止しているシリンダ109は、蓄圧室110とピストン上室120とを遮断する。また、エキゾーストバルブ118は初期位置で停止している。初期位置で停止しているエキゾーストバルブ118は、図9のように排気通路117を開いている。ピストン上室120は大気圧と同じであり、打撃部103は上死点で停止している。さらに、伝達部材194は、図12に示す初期位置で停止している。
また、第3モードが選択されると、支持軸149は、プランジャ157に最も近い作動位置で停止している。このため、トリガ148に操作力が付加され、かつ、プッシュレバー134が相手材W1に押し付けられて伝達部材194が作動しても、伝達部材194は、アーム177から離間している。つまり、アーム177は、プッシュレバー134の作動力及びトリガ148の作動力は、プランジャ157に伝達されない。
マイクロコンピュータ89は、第3モードが選択され、かつ、トリガ148に対する操作力が解除され、かつ、プッシュレバー134が相手材W1から離間されていると、スイッチ90をオフする。したがって、バルブ75は排気状態で停止している。バルブ75が排気状態であると、トリガバルブ105は図12の初期状態で停止している。初期状態で停止しているトリガバルブ105は、弁体155が蓄圧室110と通路152とを遮断している。
マイクロコンピュータ89は、トリガ148に対する操作力が付加されるとタイマーをスタートさせる。マイクロコンピュータ89は、トリガ148に操作力が付加された時点から所定時間内にプッシュレバー134が相手材W1に押し付けられると、スイッチ90をオンする。このため、バルブ75は、図12の排気状態から図13の供給状態に切り替わる。バルブ75が供給状態であると、空気室164の圧力が大気圧よりも高くなり、トリガバルブ105は初期状態から作動状態に切り替わる。具体的には、プランジャ157は、空気室164の圧力で付勢部材191の力に抗して作動する。プランジャ157が弁体155に押し付けられ、弁体155が蓄圧室110の力に抗して作動し、弁体155は、蓄圧室110と通路152とを接続する。このため、蓄圧室110の圧縮空気は、通路152を通って圧力室180に供給される。
また、プッシュレバー134が相手材W1に押し付けられると、プッシュレバー134の作動力は、図13のように軸部材166を介してプランジャ144に伝達される。プランジャ144は付勢部材165の力に抗して作動し、プランジャ144は通路143と排気通路161とを遮断する。また、プランジャ144は弁体146に押し付けられ、弁体146は付勢部材147の力に抗して作動し、弁体146は、作動位置で停止する。作動位置で停止した弁体146は、圧力室180と通路143とを接続する。
このため、圧縮空気が圧力室180から通路143,200を通ってエキゾーストバルブ室114及び第2気体室142に供給される。プッシュレバーバルブ104が、通路143と排気通路161とを遮断し、かつ、圧力室180と通路143とを接続した状態が、プッシュレバーバルブ104の作動状態である。
すると、図10のようにエキゾーストバルブ118が作動して排気通路117を閉じる。また、シリンダ109は、付勢部材130の力に抗して作動し、シリンダ109はバルブシート119から離間する。このため、蓄圧室110とピストン上室120とが接続され、ピストン上室120の圧力が上昇する。打撃部103は、ピストン上室120の圧力で上死点から下死点に向けて下降する。ドライバブレード122は、射出路133の釘202を打撃し、釘202は相手材W1に打ち込まれる。
打撃部103が釘202を相手材W1に打ち込んだ後、ピストン121がバンパ128に衝突する。ピストン121がバンパ128に衝突した時点における打撃部103の位置は、下死点である。また、打撃部103が下降中、ピストン下室123の圧力が上昇する。
打撃部103が下死点に到達した後、使用者がトリガ148に操作力を付加した状態を保持し、かつ、プッシュレバー134を相手材W1から離間させると、プランジャ144は付勢部材165の力で作動し、通路143と排気通路161とを接続する。また、弁体146は付勢部材147の力で作動し、圧力室180と通路143とを遮断する。このように、プッシュレバーバルブ104が作動状態から初期状態に戻ると、エキゾーストバルブ室114は大気圧になる。また、シリンダ109は、付勢部材130の力で作動し、バルブシート119に押し付けられ、初期状態で停止する。初期状態で停止したシリンダ109は、蓄圧室110とピストン上室120とを遮断し、かつ、排気通路117を開く。すると、打撃部103は、ピストン下室123の圧力で上昇し、ピストン121がバルブシート119に接触した時点で打撃部103が停止する。
一方、マイクロコンピュータ89は、プッシュレバー134が相手材W1から離間したことを検出すると、スイッチ90をオフする。すると、バルブ75は供給状態から排気状態に切り替わる。このため、空気室164の空気が外部D1に排出される。すると、トリガバルブ105のプランジャ46は、付勢部材65の付勢力で作動し、プランジャ146は、図9に示す初期状態で停止する。また、弁体48は、付勢部材65の付勢力で作動し、蓄圧室21と通路52とを接続し、かつ、通路52と排気通路56とを遮断する。このように、トリガバルブ105は作動状態から初期状態に切り替わる。
使用者は、第3モードを選択し、かつ、トリガ148に操作力を付加した状態で、所定時間内にプッシュレバー134を相手材W1に押し付ける操作を行うことで、釘202を順次打込むことができる。さらに、マイクロコンピュータ89は、トリガ148に操作力が付加された時点から、プッシュレバー134が相手材W1から離間した状態で所定時間を超えると、スイッチ90のオフを継続する。このため、トリガ148に操作力が付加された時点から、所定時間を超えてからプッシュレバー134が相手材W1に押し付けられた場合、トリガバルブ105は初期状態を保持する。つまり、打撃部103は上死点に停止しており、作動しない。マイクロコンピュータ89は、使用者がトリガ148に対する操作力を一旦解除すると、タイマーをリセットする。つまり、図8のフローチャートは、打込機100にも当てはまる。
打込機100は、第3モードが選択され、かつ、バルブ75が排気状態と供給状態とで切り替わると、トリガバルブ105が初期状態と作動状態とで切り替わる。トリガバルブ105の初期状態と作動状態との切り替えは、蓄圧室110の圧縮空気の圧力で行われる。ソレノイド76は、バルブ75のプランジャ77の作動を制御していることに留まる。したがって、打込機100は、打込機10と同様の効果を得ることが可能である。
さらに、図13のように、軸159の端部159Aは、大気圧を受ける位置に配置され、かつ、外部D1に露出している。このため、軸159を作動させる場合に、蓄圧室110の圧力を受ける面積を狭くすることが可能である。したがって、トリガバルブ105を初期状態から作動状態に切り替える作動力を低減可能である。
(使用者が第1モードを選択する例) 使用者が第1モードを選択すると、マイクロコンピュータ89は停止している。使用者が第1モードを選択し、かつ、使用者がトリガ148に対する操作力を解除し、かつ、プッシュレバー134を相手材W1から離間させていると、図14のように、アーム177はプランジャ157から離間している。つまり、トリガバルブ105は初期状態を保持している。また、使用者が第1モードを選択し、かつ、トリガ148に操作力を付加し、かつ、プッシュレバー134を相手材W1から離間させていると、トリガバルブ105は初期状態を保持する。使用者が第1モードを選択し、かつ、トリガ148に操作力を付加した状態で、プッシュレバー134を相手材W1に押し付ける。すると、プッシュレバー134の作動力が、軸部材166を経由してプランジャ144に伝達され、プッシュレバーバルブ104は、初期状態から作動状態に切り替わる。
また、軸部材166の作動力が伝達部材194に伝達され、図15のように伝達部材194の作動力がアーム177を介してプランジャ157に伝達される。このため、トリガバルブ105が初期状態から作動状態に切り替わる。したがって、蓄圧室110の圧縮空気がピストン上室120に供給され、打撃部103が下降する。
打撃部103が下死点に到達した後、使用者がトリガ148に操作力を付加した状態で、プッシュレバー134を相手材W1から離間させると、プランジャ144は、付勢部材165の付勢力で作動する。このため、プッシュレバーバルブ104が作動状態から初期状態に切り替わる。したがって、打撃部103は上昇し、かつ、打撃部103は上死点で停止する。使用者は、第1モードを選択し、かつ、トリガ148に操作力を付加した状態で、プッシュレバー134を相手材W1に押し付ける操作と、プッシュレバー134を相手材W1から離間させる操作とを、複数回繰り返すことが可能である。
(使用者が第2モードを選択する例) 使用者が第2モードを選択すると、マイクロコンピュータ89は停止している。使用者が第2モードを選択し、かつ、プッシュレバー134を相手材W1から離間させ、かつ、トリガ148に対する操作力を解除していると、トリガバルブ105は初期状態を保持し、かつ、プッシュレバーバルブ104は初期状態を保持する。また、使用者が第2モードを選択し、かつ、使用者がプッシュレバー134を相手材W1に押し付け、かつ、トリガ148に対する操作力を解除していると、プッシュレバーバルブ104は作動状態を保持し、トリガバルブ105は初期状態を保持する。
使用者が第2モードを選択し、かつ、プッシュレバー134を相手材W1に押し付けた状態で、トリガ148に操作力を付加すると、図15のようにアーム177が伝達部材194を支点として作動し、アーム177がプランジャ157に押し付けられ、トリガバルブ105が初期状態から作動状態に切り替わる。このため、打撃部103が下降する。
打撃部103が下死点に到達した後、使用者がトリガ148に対する操作力を解除し、または、プッシュレバー134を相手材W1から離間させると、トリガバルブ105は作動状態から初期状態に切り替わり、プッシュレバーバルブ104は作動状態から初期状態に切り替わる。このため、打撃部103は上昇し、かつ、打撃部103は上死点で停止する。使用者は、第2モードを選択すると、プッシュレバー134を相手材W1に押し付けた状態で、トリガ148に操作力を付加する操作と、プッシュレバー134を相手材W1から離間させ、かつ、トリガ148に対する操作力を解除する操作とを、複数回繰り替えすことが可能である。
なお、第2モードが選択されていると、トリガ148に操作力を付加した状態で、プッシュレバー134を相手材W1に押し付けると、伝達部材194はアーム177に接触しない。したがって、トリガバルブ105は、初期状態を保持する。なお、実施形態1に記載したように、各種のセンサ94をハウジング101に設けることも可能である。各種のセンサ94は、圧力センサ、温度センサ、湿度センサ、加速度センサのうち、少なくとも1つ以上のセンサを含む。ハウジング101に表示部が設けらられていると、マイクロコンピュータ89は、各種のセンサ94の信号を処理し、使用者が操作を行ってから打撃部103が作動するまでの作動時間、打撃部103の作動速度、バンパ128の点検及び修理時期を、表示部に表示または警告することができる。
実施形態で開示した事項の意味の一例は、次の通りである。打込機10,100は、打込機の一例である。蓄圧室21,110は気体収容室の一例である。ピストン上室32,120は、圧力室の一例である。打撃部13,103は、打撃部の一例である。釘72,202は、留具の一例である。トリガ14,148及びプッシュレバー16,134は、操作部材の一例である。プッシュレバー16,134は、接触部材の一例である。トリガバルブ45,105は、切替機構の一例である。トリガバルブ45,105の初期状態は、第1状態の一例である。トリガバルブ45,105の作動状態は、第2状態の一例である。第1モード及び第2モードは、接続モードの一例である。第3モードは、遮断モードまたは、電磁バルブモードの一例である。モード選択レバー92、トリガ14及びアーム42は、モード切替機構の一例である。モード選択レバー92、トリガ148及びアーム177は、モード切替機構の一例である。
バルブ75は、バルブの一例である。バルブ75の供給状態は、供給状態の一例である。バルブ75の排出状態は、排出状態の一例である。ソレノイド76は、アクチュエータの一例である。プランジャ46,157、弁体155は、第1作動部材の一例である。気体室68,164は、気体室の一例である。プランジャ77は、第2作動部材の一例である。トリガスイッチ87、プッシュレバースイッチ88及びマイクロコンピュータ89は、検出部の一例である。マイクロコンピュータ89及びスイッチ90は、制御部の一例である。マイクロコンピュータ89が、図8のステップS4からステップS5に進む処理が、第1制御の一例である。マイクロコンピュータ89が、図8のステップS4からステップS7に進む処理が、第2制御の一例である。
打込機は、開示した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。気体は圧縮性気体であり、空気の他、不活性ガス、例えば、窒素ガス、希ガスを含む。また、図7において、選択されるモードに関わり無く、電源91の電流がマイクロコンピュータ89に流され、マイクロコンピュータ89が起動する構成でもよい。この場合、モード検出センサ93を備えている。モード検出センサ93は、モード選択レバー92の操作によって選択されたモードを検出して信号を出力する。マイクロコンピュータ89は、第3モードが選択されたことを検出すると、スイッチ90をオンすることが可能である。マイクロコンピュータ89は、第1モードまたは第2モードが選択されたことを検出すると、スイッチ90をオフに維持する。
アクチュエータは、電流が流れてバルブ75のプランジャ77を付勢部材86の力に抗して作動させる機構である。アクチュエータはソレノイド76に代えて、電動モータ及びラック・アンド・ピニオン機構を用いることも可能である。電動モータは、電流が供給されると回転し、電流が遮断されると停止する。ラック・アンド・ピニオン機構は、電動モータの回転力を、バルブ75のプランジャ77の作動力に変換する。
操作部材は、レバー、ボタン、アームなどを含む。操作部材の作動は、所定角度範囲内での回転作動、直線状の往復作動の何れでもよい。制御部は、電気部品または電子部品の単体でもよいし、複数の電気部品または複数の電子部品を有するユニットでもよい。電気部品または電子部品は、プロセッサ、制御回路及びモジュールを含む。圧力室及び空気室は、気体が供給および排出される空間、領域、通路を含む。圧力室に気体を供給する経路は、ポート、通路、孔、隙間を含む。第1モードは、連発モードと定義可能であり、第2モードは単発モードと定義可能である。
一実施形態の打込機は、気体を収容する気体収容室と、前記気体収容室から前記気体が供給される圧力室と、前記圧力室に供給される前記気体の圧力で留具を打撃する方向に作動する打撃部と、使用者の操作力が付加及び解除される操作部材と、を有する打込機であって、前記操作部材に対する操作力が解除されていると、前記気体収容室と前記圧力室とが遮断され、前記操作部材に対する操作力が付加されていると、電力が供給されて作動して前記気体収容室と前記圧力室とを接続するアクチュエータを備える。
他の実施形態の打込機は、気体を収容する気体収容室と、前記気体収容室から前記気体が供給される圧力室と、前記圧力室に供給される前記気体の圧力で留具を打撃する方向に作動する打撃部と、使用者の操作力が付加及び解除される操作部材と、を有する打込機であって、前記気体収容室の前記気体を気体室に供給する供給状態、及び前記気体室に供給された前記気体を排出する排出状態を備えたバルブと、前記操作部材に対する操作力が付加されると、電力が供給されて作動して前記バルブの前記供給状態と前記排出状態とを切り替えるアクチュエータと、を有する。
他の実施形態の打込機は、気体を収容する気体収容室と、前記気体収容室から前記気体が供給される圧力室と、前記圧力室に供給される前記気体の圧力で留具を打撃する方向に作動する打撃部と、使用者の操作力が付加及び解除される操作部材と、前記操作部材に対する操作力が解除されていると前記気体収容室と前記圧力室とを遮断する第1状態、及び前記操作部材に対する操作力が付加されていると前記気体収容室と前記圧力室とを接続する第2状態を有する切替機構と、を有する打込機であって、前記気体収容室の前記気体を前記切替機構に供給して前記切替機構を第2状態にする供給状態、及び前記切替機構に供給された前記気体を排出して前記切替機構を前記第1状態にする排出状態を備えたバルブと、電力が供給されて作動して前記バルブの前記供給状態と前記排出状態とを切り替えるアクチュエータと、を有し、前記切替機構は、前記気体収容室と前記圧力室とを遮断及び接続するように作動する第1作動部材と、前記第1作動部材を作動させる気体室と、を有し、前記バルブは、前記気体収容室の前記気体を前記気体室に供給または排出するように作動する第2作動部材を有し、前記アクチュエータは、前記第2作動部材を作動させる。