JPWO2020175700A1 - 化粧料用水性分散体、化粧料組成物、及び化粧料の製造方法 - Google Patents

化粧料用水性分散体、化粧料組成物、及び化粧料の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2020175700A1
JPWO2020175700A1 JP2021502663A JP2021502663A JPWO2020175700A1 JP WO2020175700 A1 JPWO2020175700 A1 JP WO2020175700A1 JP 2021502663 A JP2021502663 A JP 2021502663A JP 2021502663 A JP2021502663 A JP 2021502663A JP WO2020175700 A1 JPWO2020175700 A1 JP WO2020175700A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aqueous dispersion
ceramides
ceramide
cosmetics
particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021502663A
Other languages
English (en)
Inventor
洋 堀川
洋 堀川
正弘 中之庄
正弘 中之庄
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Publication of JPWO2020175700A1 publication Critical patent/JPWO2020175700A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K8/00Cosmetics or similar toiletry preparations
    • A61K8/02Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by special physical form
    • A61K8/04Dispersions; Emulsions
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K8/00Cosmetics or similar toiletry preparations
    • A61K8/18Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition
    • A61K8/30Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition containing organic compounds
    • A61K8/40Cosmetics or similar toiletry preparations characterised by the composition containing organic compounds containing nitrogen
    • A61K8/42Amides
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61QSPECIFIC USE OF COSMETICS OR SIMILAR TOILETRY PREPARATIONS
    • A61Q19/00Preparations for care of the skin

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Birds (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Dermatology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Cosmetics (AREA)

Abstract

化粧料用水性分散体であって、200nm以下の平均粒子径を有するセラミド類の粒子を含み、化粧料用水性分散体を4℃で1年間保管した場合、保管後のセラミド類の粒子の平均粒子径の変化率が25%以内であり、多分散指数の変化率が30%以内である、水性分散体。

Description

本開示は、化粧料用水性分散体、化粧料組成物、化粧料の製造方法に関する。
セラミド類は、ヒトの角質層にも含まれており、皮膚内部からの水分の蒸散を抑制するとともに、自身が水分を保持することで皮膚の柔軟性やなめらかな外観を保つ機能を確保するために重要な役割を果たすことが知られている。そのため、セラミド類を配合した各種配合物が知られている(特許文献1〜4)。
特開2016−160242号公報 特開2010−83802号公報 特開2007−1950号公報 特開2003−113393号公報
しかしながら、セラミド類の水性分散体を化粧料の用途に適用すべく、本発明者が鋭意検討したところによれば、セラミド類は水への溶解性が低いため水性の化粧品に適応した場合、外観上問題となることがあった。セラミド類の水性分散体は、化粧料として使用する際の配合性(保存安定性)について検討する余地があった。加えて水性分散体中のセラミドは皮膚透過性が低く、化粧料等に配合しても角層内部に浸透しにくいため、皮膚の水分量や皮膚バリア性改善効果、皮膚の柔軟性やなめらかな外観を保つ効果を得ることが困難であった。
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであり、化粧料に配合した際に保存安定性、及び外観に優れる化粧料用水性分散体及び当該化粧料用水性分散体を配合した化粧料組成物を提供することを目的とする。また、本開示は、そのような化粧料用水性分散体を用いた化粧料の製造方法を提供することを目的とする。
本開示の化粧料用水性分散体は、200nm以下の平均粒子径を有するセラミド類の粒子を含み、化粧料用水性分散体を4℃で1年間保管した場合、保管後のセラミド類の粒子の平均粒子径の変化率が25%以内であり、多分散指数の変化率が30%以内である。
本開示の化粧料用水性分散体は、200nm以下の平均粒子径を有するセラミド類の粒子を含み、当該化粧料用水性分散体における炭素数10〜30の脂肪酸又はその塩の含有量が1質量%以下であってもよい。
上記水性分散体は、上記セラミド類の粒子がセラミド1〜セラミド7のうち1種のみを含むことが好ましい。
上記セラミド類の粒子におけるセラミド類の含有量は、セラミド類の粒子の総量に対して80質量%以上であると好ましい。
上記水性分散体は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油型の非イオン性界面活性剤を更に含むと好ましい。
上記水性分散体は、ポリグリセリン脂肪酸エステル型の非イオン性界面活性剤を含まないと好ましい。
上記水性分散体は、I型プロコラーゲン産生促進剤であってもよい。
本開示の化粧料組成物は、上記水性分散体を含む。
本開示の化粧料の製造方法は、上記水性分散体を他の原料に配合する工程を含む。
本開示によれば、化粧料に配合した際に保存安定性に優れ、外観にも優れる化粧料用水性分散体及び当該化粧料用水性分散体を配合した化粧料組成物を提供することができる。また、本開示によれば、そのような化粧料用水性分散体を用いた化粧料の製造方法を提供することを目的とすることができる。
本発明の一実施形態に係る皮膚透過性試験の実験装置の構成を示す概略図である。 実施例3において、セラミド類水性分散体をサンプル液として用いた場合の免疫染色の結果を示す顕微鏡写真である。 実施例3において、セラミド類混合液をサンプル液として用いた場合の免疫染色の結果を示す顕微鏡写真である。 実施例3において、リン酸緩衝液をサンプル液として用いた場合の免疫染色の結果を示す顕微鏡写真である。
本実施形態の水性分散体は、200nm以下の平均粒子径を有するセラミド類の粒子を含む。本実施形態の水性分散体は、水性分散体を4℃で1年間保管した場合、保管後のセラミド類の粒子の平均粒子径の変化率が25%以内であり、多分散指数の変化率が30%以内であるとの条件、及び当該化粧料用水性分散体における炭素数10〜30の脂肪酸又はその塩の含有量が1質量%以下であるとの条件の少なくとも一方を満たす。
このような水性分散体は、化粧料に配合した際に、化粧料に配合される各種添加剤との相性も良く、様々な化粧料処方において凝集物の発生を抑制することができ、広いpH、温度等の範囲でも、凝集物の発生が抑制できる。そのため、本実施形態の化粧料用水性分散体は、保存安定性に優れ、配合性、水性分散体の外観等にも優れる。また、本実施形態の水性分散体は、皮膚透過性に優れる傾向にある。
本実施形態の水性分散体は、上記のとおり、化粧料に配合される成分として優れており、化粧料用水性分散体として使用することができる。また、後述のとおり、本実施形態の水性分散体は、I型プロコラーゲンの産生を促進する作用があるため、I型プロコラーゲン産生促進剤として使用できる。
上記セラミド類の粒子の平均粒子径は、200nm以下であり、更に保存安定性を高める観点から、170nm以下であると好ましく、150nm以下であるとより好ましく、120nm以下であると更に好ましく、100nm以下であると特に好ましい。上記セラミド類の粒子の平均粒子径の下限は、特に制限はないが、保存安定性の観点から5nm以上とすることができる。粒子の平均粒子径は、動的光散乱法により測定することができ、具体的な装置としては、Zetasizer Nano(Malvern社製)等を挙げることができる。粒子の平均粒子径は、個数基準での累積粒度分布における累積50%となる粒子径(d50)であってよい。また、同様に動的光散乱法により、粒子のセラミド類の多分散指数も測定することができる。
本実施形態の水性分散体を4℃で1年間保管した場合に、保管後の上記セラミド類の粒子の平均粒子径の変化率は25%以内であってよく、保管後の多分散指数の変化率が30%以内であってよい。保管条件としては、更に暗所で振動等がない場所で保管してもよい。
保管後のセラミド類の粒子の平均粒子径の変化率は、保管終了時点での平均粒子径と保管開始時点の平均粒子径との差の絶対値を、保管開始時点の平均粒子径で除したものである。
同様に保管後のセラミド類の粒子の多分散指数の変化率は、保管終了時点での多分散指数と保管開始時点での多分散指数との差の絶対値を、保管開始時点での多分散指数で除したものである。
保管後のセラミド類の粒子の平均粒子径及び多分散指数の変化率は、いずれも百分率で表す。
保管開始時点は、水性分散体の製造直後であってもよく、製造後の任意の時点であってもよい。保管終了時点は、保管開始から1年時点であり、1年2か月時点であってもよく、1年5か月時点であってもよい。
保管は、水性分散体の水分の蒸散を防ぐことができる環境下で行われ、例えば、水性分散体を密閉した容器内に保管することが好ましい。
4℃で一年間保管した後のセラミド類の粒子の平均粒子径の変化率は、22%であると好ましい。4℃で一年間保管した後のセラミド類の粒子の多分散度の変化率は、28%であると好ましい。
水性分散体におけるセラミド類の粒子の多分散指数は、0.5以下であってよく、0.4以下であってもよい。
なお、「以内」とは、0から所定の上限までの範囲を指すものとする。保管後の平均粒子径の変化率は、実質的に0%であってもよいが、0%より大きくてもよく、0.1%以上であってもよい。また、保管後の多分散指数の変化率は、実質的に0%であってもよいが、0%より大きくてもよく、0.1%以上であってもよい。
また、上記セラミド類の粒子の個数基準での累積粒度分布における累積90%となる粒子径(d90)は、400nm以下であると好ましく、350nm以下であるとより好ましく、300nm以下であると更に好ましい。
また、上記セラミド類の粒子の多分散指数は、製造コストの低減の観点から、0.1以上であると好ましく、0.15以上であるとより好ましく、0.2以上であると更に好ましい。上記セラミド類の粒子の多分散指数は、化粧品への配合性や外観向上の観点から、0.5以下であってよく、0.4以下であってよい。セラミド類の粒子の多分散指数は、上述の動的光散乱法により測定することができる。
セラミド類は、セラミド、セラミドの誘導体、及びセラミドの類似体を含む。セラミドは、スフィンゴシンのアミノ基と脂肪酸のカルボキシル基とがアミド結合した構造を有する化合物である。セラミドの誘導体としては、糖修飾セラミド等が挙げられる。また、セラミド類自体としては、フィトスフィンゴシンのアミノ基と脂肪酸のカルボキシル基とがアミド結合した構造を有する化合物及びその誘導体が挙げられる。
セラミド類は、天然由来のものであっても、合成品であってもよい。天然由来のセラミド類としては、動物由来のもの、小麦、米、米ぬか、大豆、黍、ホウレンソウ等の植物より抽出したもの、などが挙げられる。
セラミド類は、ヒト皮膚の主に角層に含まれるセラミドがセラミド1〜7であり、老化や光老化により角層中に含まれるセラミド量が低下することから、角層中にセラミド量を増加させることで保湿機能や皮膚バリア機能を向上させることができるため、セラミド1〜7の7種類のセラミドのうち1種のみを含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。本実施形態の水性分散体は、特にヒト皮膚角層中で最も多く含まれているセラミド2を含むと好ましく、セラミド2のみを含んでいるとより好ましい。
セラミド類の粒子は、セラミド類以外の成分を含んでいてもよい。セラミド類の粒子におけるセラミド類の含有量は、セラミド類の粒子の総量に対して70質量%以上であると好ましく、80質量%以上であるとより好ましい。また、セラミド類の粒子におけるセラミド類の含有量の上限は、特に制限されず、セラミド類の粒子の総量に対して実質的に100質量%であってもよいが、95質量%であってもよい。
本実施形態の水性分散体は、脂質を適宜配合してもよい。
脂質としては、例えば、リン脂質、炭素数10〜30の脂肪酸又はその塩が挙げられる。
リン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、大豆レシチン、卵黄レシチン等の天然リン脂質、天然リン脂質中の不飽和炭素鎖を水素により飽和とした水素添加大豆リン脂質、水素添加卵黄リン脂質等の水素添加リン脂質、ジオレイルホスファチジルコリン等の合成リン脂質等が挙げられる。
炭素数10〜30の脂肪酸又はその塩としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リノール酸、αリノレン酸、γリノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、エルカ酸等、及びこれらの塩が挙げられる。なお、本実施形態の水性分散体における炭素数10〜30の脂肪酸又はその塩の含有量は、1質量%以下であってもよく、0.5質量%以下であってもよく、0.1質量%であってもよく、実質的に0質量%であってもよい(つまり、水性分散体は、炭素数10〜30の脂肪酸又はその塩を含まなくてもよい)。
脂質は1種類又は2種類以上しても良い。
水性分散体は、界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、特に限定されず、一般的に化粧品で使用されるようなアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤が使用できる。
アニオン性界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリエチレングリコール(PEG)脂肪酸アミドモノエタノールアミド(MEA)硫酸塩、アルキルメチルタウリン塩、オレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、脂肪酸塩、アシルアミノ酸塩、アルキル乳酸塩、アルキルイセチオン酸塩等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジポリオキシエチレンオレイルメチルアンモニウム、塩化ポリオキシエチレンベヘニルリルメチレンアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(C12−18)ジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルジメチルアンモニウム、メチル硫酸ジココイルエチルヒドロキシエチルアンモニウム、ヤシ油アルキルプロピレングリコール(PG)ジモニウムクロリドリン酸、リノール酸アミドプロピルプロピレングリコール(PG)ジモニウムクロリドリン酸、ステアラミドプロピルメチルアミン、ジメチルステアラミン、ポリオキシエチレン(POE)ヤシ油アルキルアミン等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン型両性界面活性剤、ラウリン酸アミドプロピルベタイン等のアミドベタイン型両性界面活性剤、ヒドロキシアルキル(C12−14)ヒドロキシエチルサルコシン等のカルボイシベタイン型の両性界面活性剤、ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン等のアミドスルホベタイン型の両性界面活性剤、ココアンホジ酢酸ナトリウム等のイミダゾリニウムベタイン型の両性界面活性剤、ラウラミノプロピオン酸ナトリウム等のプロピオン酸型の両性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキシド等のアミンオキシド型の両性界面活性剤、N−[3−アルキル(12,14)オキシ−2−ヒドロキシプロピル]−L−アルギニン塩酸塩等のアミノ酸型の界面活性剤等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、モノグリセリン脂肪酸エステル型の非イオン性界面活性剤、ポリグリセリン脂肪酸エステル型の非イオン性界面活性剤、ソルビタン及びポリオキシエチレンソルビタン型の非イオン性界面活性剤、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット型の非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油型の非イオン性界面活性剤、ピロリドンカルボン酸(PCA)イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油型の非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸型の非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリン型の非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型の非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル型の非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー型の非イオン性界面活性剤、アルカノールアミド型の非イオン性界面活性剤、ショ糖エステル型の非イオン性界面活性剤、アルキルグリコシド型の非イオン性界面活性剤、ジステアリン酸ポリエチレングリコール(PEG)型の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。本実施形態の水性分散体は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油型の非イオン性界面活性剤を含むと好ましい。当該ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油型の非イオン性界面活性剤は水添されていてもよい。また、本実施形態の水性分散体は、ポリグリセリン脂肪酸エステル型の非イオン性界面活性剤を含まなくてよい。なお、水性分散体は、水以外の成分として、セラミド類及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油型の非イオン性界面活性剤のみを含むものであってもよい。
これらは、1種又は2種以上を用いてもよい。水性分散体中の界面活性剤の量は、皮膚への刺激性及び配合性等の観点から、水性分散体の総量に対して0.01〜80質量%であることが好ましく、0.1〜50質量%であるとより好ましく、0.5〜40質量%であると更に好ましい。
水性分散体におけるセラミド類の粒子の含有量は、配合性等の観点から、水性分散体の総量に対して0.01〜50質量%であると好ましく、0.05〜30質量%であるとより好ましく、0.1〜10質量%であると更に好ましい。
上記セラミド類の粒子におけるセラミド2の含有量の下限は、特に制限されないが、皮膚の保湿機能や皮膚バリア性を向上させる観点から、セラミド類の粒子の総量に対して、70質量%であると好ましく、80質量%であるとより好ましい。上記セラミド類の粒子におけるセラミド2の含有量の上限は、特に制限されないが、セラミド類の粒子がセラミド2からなるものであってもよく、セラミド類の粒子が、99.5質量%以下のセラミドを含んでいてもよい。
水性分散体は、上記セラミド類の粒子と共に、連続相である水性媒体を含む。水性媒体としては、水自体であってもよいが、水と共に有機溶媒、添加剤等の他の成分等を含んでいてもよい。添加剤としては、酸化防止剤や防腐剤等を含んでいてもよい。酸化防止剤としては、例えばアスコルビン酸等が挙げられる。防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、1,2ヘキサンジオール、クエン酸、フェノキシエタノール等が挙げられる。
本実施形態の水性分散体は、マイクロ流体デバイス等により、セラミド類を含む原料を水性媒体に分散させることにより製造することができる。セラミド類を含む原料としては、セラミド類自体であってもよいが、天然由来のセラミド類としては、牛脳より抽出したもの、小麦、米、米ぬか、大豆、黍、ホウレンソウ等の植物より抽出したものなどの天然由来の抽出物であってもよい。例えば、Eur. J. Pharm. Biopharm.117, 286〜291 (2017)記載の方法や、Eur. J. Pharm. Biopharm.63, 128〜133 (2006)記載のマイクロ流体デバイスを用いた水性分散体の調製方法が利用できる。
本実施形態の水性分散体は所望に応じて、セラミド類の粒子以外の粒子(「その他の粒子」という)を適宜含んでいても良い。その他の粒子は1種または2種以上含んでいても良く、そのような粒子としては、例えば平均粒子径が50nm以下のビタミンEの粒子、平均粒子径が200nm以下の金粒子、及び平均粒子径が200nm以下のクルクミノイドの粒子が挙げられる。上記ビタミンEの粒子はビタミンE以外の成分を含んでいてもよく、ビタミンEの粒子の総量に対してビタミンEを70質量%以上含有することが好ましい。上記金の粒子は金以外の成分を含んでいてもよく、金の粒子の総量に対して金を70質量%以上含有することが好ましい。上記クルクミノイドの粒子はクルクミノイド以外の成分を含んでいてもよく、クルクミノイドの粒子の総量に対してクルクミノイドを70質量%以上含有することが好ましい。
本実施形態の水性分散体は、セラミド類の皮膚透過性に優れる傾向にある。セラミド類の皮膚透過性は、豚皮膚又は三次元皮膚モデルを用いた縦型フランツ拡散セルによる皮膚透過性試験により測定することができる。図1は、本実施形態に係る皮膚透過性試験の実験装置の構成を示す概略図である。試験に使用する豚皮膚又は三次元皮膚モデルは、表皮層及び真皮層を含むものである。
図1に示すとおり、縦型フランツ拡散セル7のレシーバー槽をレシーバー液1で満たし、豚皮膚(又はヒトの三次元皮膚モデル)4を、真皮側をレシーバー液1側に向けて縦型フランツ拡散セル7で挟み、レシーバー液1と豚皮膚(又はヒトの三次元皮膚モデル)4とを接触させる。次に、本実施形態の水性分散体等、皮膚透過性試験に供するサンプル液5を豚皮膚4の表皮層側に塗布する。図1において、恒温循環水入口2及び恒温循環水出口3は、恒温槽に接続されている。恒温循環水入口2から恒温循環水出口3の方向へ、恒温水(例えば37℃の温水)を流し、縦型フランツ拡散セル7の外周部に循環させることにより、レシーバー液1の温度を一定に保つ。なお、サンプル液の塗布量は有効拡散面積(豚皮膚又はヒトの三次元皮膚モデルのフランツ拡散セルに挟まれていない、レシーバー槽上の部分の面積)1cmあたり1mLとすることができる。また、レシーバー液1としてリン酸緩衝液(pH7.5)を用いることができる。試験中、レシーバー液1中に配置された攪拌子6をマグネチックスターラー8で回転させることによりレシーバー液1を攪拌し、レシーバー液の組成を一定に保つことができる。リン酸緩衝液の組成は、塩化カリウム0.02w/v%、りん酸二水素カリウム0.02w/v%、塩化ナトリウム0.8w/v%、りん酸水素二ナトリウム0.115w/v%とすることができる。
皮膚透過性試験は、室温(25℃)、湿度60%の環境下で行うことができる。試験開始時点から、所定時間(例えば、8時間)経過した時点で最初のサンプリングを行い、セラミド類に対するモノクローナル抗体を用いた競合ELISA法で、レシーバー液に含まれるセラミド類の含有量を定量する。レシーバー槽には、新たにレシーバー液(例えば、上記リン酸緩衝液)を注入し、皮膚透過性試験を続行する。最初のサンプリングから所定時間(例えば、13時間、18時間等)経過後、再びレシーバー液のサンプリングを行い、上記競合ELISA法で、レシーバー液に含まれるセラミド類の含有量を定量する。上記各サンプリングを行うごとに、レシーバー槽には、新たにレシーバー液(例えば、上記リン酸緩衝液)を注入し、皮膚透過性試験を続行することができる。サンプリングを行う時刻は、試験開始から8時間(最初のサンプリング)、21時間(2回目のサンプリング)、及び26時間(3回目のサンプリング)とすることができ、最初のサンプリング及び2回目のサンプリングの後に、レシーバー槽には、新たにレシーバー液(例えば、上記リン酸緩衝液)を注入し、皮膚透過性試験を続行することもできる。本実施形態の水性分散体は、上記皮膚透過性試験を行った際に、8時間時点でのセラミド類の定量値に対する21時間時点でのセラミド類の定量値が115%以上であると好ましく、120%以上であるとより好ましく、125%以上であると更に好ましい。また、上記皮膚透過性試験を行った際に、8時間時点でのセラミド類の定量値に対する26時間時点でのセラミド類の定量値が130%以上であると好ましく、140%以上であるとより好ましく、150%以上であると更に好ましい。
また、本実施形態では、上記豚皮膚に代えて、ヒトの表皮層及び真皮層を含む三次元皮膚モデル(例えば、ヒト皮膚全層モデル)を使用することもできる。この場合、実験装置の構成及び実験条件については、上述の豚皮膚を用いた試験と同じとすることができる。ヒトの三次元皮膚モデルを用いた場合には、試験開始時点から2時間及び7時間時点でのレシーバー液におけるセラミド類の含有量をセラミド類に対するモノクローナル抗体を用いた競合ELISA法で定量した際に、2時間時点でのセラミド類の定量値に対する7時間時点でのセラミド類の定量値が550%以上であると好ましく、600%以上であると好ましく、700%以上であると更に好ましい。
<化粧料組成物>
本実施形態の水性分散体は、通常化粧料に配合される成分(化粧料用添加剤)を配合することにより、化粧料組成物とすることができる。化粧料組成物における、上記セラミド類の粒子の含有量は、化粧料組成物におけるセラミド類の粒子の保存安定性をより高める観点から、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上である。また、化粧料としての性能を確保する観点から、好ましくは50質量%以下である。各種成分としては、以下に説明するものが挙げられる。
上記化粧料用添加剤としては、例えば、油性成分、粉体成分、油ゲル化剤、水性成分、水溶性高分子、紫外線吸収剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤などが挙げられ、これらの添加剤は、各種の効果を付与するために適宜配合することができる。
油性成分としては、動物油、植物油、合成油等の起源及び、固形、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、エステル油類、硬化油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類等が挙げられる。具体的には、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、フィッシャートロプシュワックス、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン等の炭化水素類、モクロウ、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、ヒマシ油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、ロジン酸ペンタエリスリットエステル、ホホバ油、トリ2―エチルヘキサン酸グリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール等のエステル類、オレイン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコール類、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、トリメチルシロキケイ酸、架橋型ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、メタクリル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性メチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン等のシリコーン油類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸等の油性ゲル化剤類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上用いることができる。これらの中でもトリ2―エチルヘキサン酸グリセリル、イソノナン酸イソノニル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール等の低分子量エステル油が、伸び広がりや付着性の観点から好ましい。
粉体成分としては、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、シリカ等の白色体質粉体、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化鉄雲母、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、澱粉、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン二酸化珪素、酸化亜鉛二酸化珪素等の複合粉体、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末のラメ剤、タール色素、天然色素等が挙げられ、これら粉体はその1種又は2種以上を用いることができ、更に複合化したものを用いても良い。尚、これら粉体成分は、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックスクワランス、ロウ、界面活性剤等の1種又は2種以上を用いて表面処理を施してあっても良い。
油ゲル化剤としては、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、疎水性煙霧状シリカ、有機変性ベントナイト等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いてもよい。
水性成分としては、水及び水に可溶な成分であれば何れでもよく、水の他に、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液等が挙げられる。
水溶性高分子としては、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ムコ多糖、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成系のものを挙げることができる。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール等のビタミンE、アスコルビン酸等が挙げられる。
美容成分としては、例えばビタミン類、タンパク質、消炎剤、生薬等が挙げられる。
防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等が挙げられる。
また、上記以外の各種成分としては、例えば、保湿剤、皮膜形成剤、褪色防止剤、消泡剤、香料、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタンなどのフッ素系油剤;多価アルコール、糖類、アミノ酸、各種ポリマー、エタノール、増粘剤、pH調整剤、血行促進剤、冷感剤、殺菌剤、皮膚賦活剤なども、本開示の効果を損なわない範囲内で配合可能である。
また本実施形態の化粧料組成物は、その剤形や製品形態が特に限定されるものではなく、油中水型、水中油型、水分散型、プレス状、固形剤、パウダーなどの剤形とすることができ、また製品形態(化粧料)としては、洗顔フォーム・クリーム、クレンジング、マッサージクリーム、パック、化粧水、乳液、クリーム、美容液、化粧下地、日焼け止めなどの皮膚用化粧料、ファンデーション、水白粉、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、アイブロウ、コンシーラー、口紅、リップクリーム等の仕上げ用化粧料、ヘアミスト、シャンプー、リンス、トリートメント、ヘアトニック、ヘアクリーム、ポマード、チック、液体整髪料、セットローション、ヘアスプレー、染毛料等の頭髪用化粧料、パウダースプレー、ロールオン等の制汗剤などを例示することができる。この中でも、ファンデーション、フェースパウダーなど固形状製剤等が本開示の効果が発揮されやすい化粧料である。
上記化粧料組成物、又は化粧料を製造する方法としては、特に限定されず、本実施形態水性分散体を、化粧料を作製するための他の原料(化粧料用添加剤等)に配合する工程を含むものであればよい。
以下、実施例に基づいて、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<セラミド類水性分散体の調製>
公知のマイクロ流体デバイスを用いた水性分散体の調製方法により、セラミド2(商品名:セラミドTIC−001、高砂香料工業社製)を、界面活性剤を含む水溶液に分散させて、セラミド2の粒子を含む透明な水性分散体を得た。得られた水性分散体について動的光散乱測定装置(商品名:Zetasizer Nano、Malvern社製)を用いてセラミド2の粒子の平均粒子径(個数基準)を測定したところ、153.8nmであり、多分散指数は0.383であった。なお、動的光散乱法による測定は、分散媒体の屈折率=1.33、試料の屈折率=1.46、試料の粘度(cP)=0.89の実験条件で行った。
なお、上記水性分散体の各成分の配合量は、0.13質量%のセラミド2、18質量%のPEG−80水添ヒマシ油(非イオン性界面活性剤)、及び残部の水である。
<セラミド2の粒子の安定性試験>
上記水性分散体について表1に示す条件で安定性を確認した。表1における評価基準は、水性分散体を表1に記載の安定性試験の各条件に曝した後、1日間保存し、水性分散体が目視による透明性を維持できていれば「A」、目視により析出物が確認された場合は「B」とする。
Figure 2020175700
<セラミド類水性分散体の経時安定性試験>
上記水性分散体について、4℃で1年間、冷蔵庫内で保管した後に、前記と同様の方法で粒子径を測定した。冷蔵庫内は暗所であり、保管中、振動を極力避けた。セラミド2の粒子の平均粒子径(個数基準)は、120.5nmであり、多分散指数は0.488であった。保管後の平均粒子径及び多分散指数の変化率は、それぞれ21.7%及び27.4%であった。保管後の水性分散体は透明性を維持していた。
セラミド類混合液の調製
セラミド2(商品名:セラミドTIC−001、高砂香料工業社製)と超純水を混合し、磁気撹拌子により5分間攪拌し、0.13質量%のセラミド類混合液を調製した。セラミド類混合液は、セラミド2が200nmよりも相当に大きい粒子として存在する液であり、攪拌後、しばらく時間を置くとセラミド2が凝集し、水と分離する不安定な系であった。セラミド類混合液は、攪拌後、直ちに評価に用いられた。
[実施例2]
豚皮膚を用いた皮膚透過性試験
実施例1で調製したセラミド類水性分散体を用いて0.13質量%のセラミド類水性分散体を調製した。0.13質量%のセラミド類水性分散体、0.13質量%セラミド類混合液、及びリン酸緩衝液(pH7.5)をそれぞれサンプル液として用いて皮膚透過試験を実施した。−20℃で保存されている養豚豚皮膚(ケー・エー・シー社製)を室温(約25℃)で解凍後、脂肪組織を除去し約2.5cmの豚皮膚を準備した。図1に示すとおり、豚皮膚4を、真皮側をレシーバー液1側に向けて縦型フランツ拡散セル7(ローマン工業社)(有効拡散面積:1.13cm)で挟み、豚皮膚4の表皮層側にサンプル液5を塗布した。図1において、恒温循環水入口2及び恒温循環水出口3は、恒温槽に接続されており、恒温循環水入口2から恒温循環水出口3の方向へ、恒温37℃の温水を流し、縦型フランツ拡散セル7の外周部に循環させた。なお各サンプル液の塗布容量は有効拡散面積1cmあたり1mLとした。またレシーバー液としてリン酸緩衝液(pH7.5)3.7mLを用いた。試験中、レシーバー液1は、レシーバー液1中に配置された攪拌子6をマグネチックスターラー8で回転させることにより攪拌した。皮膚透過試験は室温25℃、湿度60%の実験室で実施した。各サンプル液を塗布して8時間後、21時間後、26時間後にレシーバー液0.4mLをサンプリングした。各サンプリング終了後、新しいリン酸緩衝液(pH7.5) 0.4mLをレシーバー相に添加した。
Human Ceramide Elisa kit (MyBioSource社製)を用いて、上記の各時点でサンプリングしたレシーバー液中のセラミド量を定量し、各サンプル液について8時間時点でサンプリングしたレシーバー液中のセラミド量を100%とした場合の相対値(%)を表2に示す。
Figure 2020175700
リン酸緩衝液をサンプル液として用いた実験では、サンプル液にセラミド類が含まれていないものの、豚皮膚に元々含まれるセラミド類がレシーバー液に流出したため、レシーバー液においてセラミドが検出されたものと考えられる。リン酸緩衝液区とセラミド混合液区間の値に有意な差はなかったことから、セラミド類混合液は、セラミド類の皮膚透過性がほとんどないことが分かった。一方でセラミド類水性分散体では時間経過に伴ってセラミド量が増加していることから、セラミドをナノ化することで皮膚の透過性が向上したと考えられる。
[実施例3]
サンプル液塗布後、26時間後にサンプリングした豚皮膚を、「細胞・組織染色の達人」(羊土社)記載の方法で、固定、脱脂、パラフィン包埋を行い、パラフィン切片を作製した。次に「細胞・組織染色の達人」(羊土社)記載の方法で、脱パラフィン、及び抗原賦活を行った後、免疫染色により豚皮膚中のセラミドを染色した。なお免疫染色では、1次抗体としてモノクロナール抗セラミド マウス宿主抗体(シグマアルドリッチ社)、2次抗体としてCy3 Horse Anti−Mouse IgG Antibody (vector laboratories社)を使用した。図2〜4に、それぞれサンプル液としてセラミド類水性分散体、セラミド類混合液、及びリン酸緩衝液を用いた場合の免疫染色の結果(顕微鏡写真)を示す。図2〜4において、白い部分が染色された領域を示し、セラミド類水性分散体を用いた実験において最も染色された部分が明瞭であった。
セラミド類水性分散体が最もセラミド透過性が高く、セラミドをナノ化することで皮膚の透過性が向上することを確認した。
[実施例4]
三次元皮膚モデルを用いた皮膚透過性試験
実施例1で調製したセラミド類水性分散体を用いて0.13質量%のセラミド類水性分散体を調製した。0.13質量%のセラミド類水性分散体、0.13質量%セラミド混合液、及びリン酸緩衝液(pH7.5)をサンプル液として用いて皮膚透過試験を実施した。三次元皮膚モデルはローマン工業社から販売されているLSE−high(ヒト皮膚全層モデル)を用いた。LSE−highのトランスウェル底面から三次元皮膚モデルを切り抜いた。図1に示す実験装置において豚皮膚を三次元皮膚モデルに変更した以外は、実施例2と同様の構成で、皮膚透過試験を行った。皮膚透過試験は室温(25℃)、湿度60%の実験室で実施した。各サンプル液を塗布して2時間後、及び7時間後にレシーバー液0.4mLをサンプリングした。各サンプリング終了後、新しいリン酸緩衝液(pH7.5) 0.4mLをレシーバー相に添加した。
Human Ceramide Elisa kit (MyBioSource社)を用いて上記の各時点でサンプリングしたレシーバー液中のセラミド量を定量し、各サンプル液についての2時間時点でサンプリングしたレシーバー液中のセラミド量を100%とした場合の相対値(%)を表3に示す。
Figure 2020175700
セラミド類水性分散体が最もセラミド透過性が高く、セラミドをナノ化することで皮膚の透過性が向上することを確認した。
[比較例]
<セラミド類水性分散体の調製>
上記実施例1のセラミド類水性分散体と同じ組成で、スターラーを用いた攪拌によりセラミド類水性分散体2を調製した。セラミド類水性分散体2は不透明であった。動的光散乱測定装置(商品名:Zetasizer Nano、Malvern社製)を用いてセラミド2の粒子の平均粒子径(個数基準)を測定したところ、408nmであり、多分散指数は0.672であった。なお、動的光散乱法による測定は、分散媒体の屈折率=1.33、試料の屈折率=1.46、試料の粘度(cP)=0.89の実験条件で行った。
<三次元皮膚モデルを用いた機能評価>
ヒト皮膚全層モデルであるT−skin(ニコダームリサーチ社製)を用いてセラミド類水性分散体及びセラミド類水性分散体2の生理機能評価を実施した。6−well Cell Culture Plate(GREINER BIO−ONE社製)にT−skin Culture Medium(ニコダームリサーチ社製)を2mL/wellで添加した。T−skin Culture Mediumを添加した6−well Multiwell Cell Culture Plateにニコダームリサーチ社から納品されたT−skinを移し、37℃、5体積%CO条件下で24時間培養した。24時間培養後、T−skinの表皮上に、1.13mL/well(T−skinの表面積1cmに対して、1mL)となるように、リン酸緩衝液(D−PBS(−)、富士フイルム和光純薬株式会社製)、並びに上述のセラミド類水性分散体及びセラミド類水性分散体2をそれぞれ添加し、37℃、5体積%CO条件下で24時間培養後、培地を回収した。
培地中のI型プロコラーゲンの定量をProcollagen Type I C−peptide EIA Kit(タカラバイオ社製)を用いて、メーカー開示のプロトコルに準じて実施した。
各培地におけるI型プロコラーゲンの含有量を、D−PBS(−)緩衝液を添加した培地におけるI型プロコラーゲンの含有量を100%とした場合の相対値として表4に示す。
Figure 2020175700
D−PBS(−)緩衝液と比較すると、セラミド類水性分散体2を用いた場合、I型プロコラーゲンの生成量が有意に低下した。一方、セラミド類水性分散体はI型プロコラーゲンの生成量が顕著に向上していたことから、セラミド2にI型プロコラーゲン生成量向上効果を発現させるには適切な粒子径が必要であることが示唆された。また従来より知られていたセラミドの生理機能である皮膚バリア性改善や皮膚の水分量向上に加えて、適切な粒子径のセラミド類水性分散体を用いることで皮膚のシワ改善効果も期待できることが確認された。
1…レシーバー液、2…恒温循環水入口、3…恒温循環水出口、4…豚皮膚又はヒトの三次元皮膚モデル、5…サンプル液、6…攪拌子、7…縦型フランツ拡散セル、8…マグネチックスターラー。

Claims (9)

  1. 化粧料用水性分散体であって、
    200nm以下の平均粒子径を有するセラミド類の粒子を含み、
    前記化粧料用水性分散体を4℃で1年間保管した場合、保管後の前記セラミド類の粒子の平均粒子径の変化率が25%以内であり、多分散指数の変化率が30%以内である、水性分散体。
  2. 化粧料用水性分散体であって、
    200nm以下の平均粒子径を有するセラミド類の粒子を含み、
    前記化粧料用水性分散体における炭素数10〜30の脂肪酸又はその塩の含有量が1質量%以下である、水性分散体。
  3. 前記セラミド類の粒子がセラミド1〜セラミド7のうち1種のみを含む、請求項1又は2に記載の水性分散体。
  4. 前記セラミド類の粒子におけるセラミド類の含有量は、セラミド類の粒子の総量に対して80質量%以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性分散体。
  5. ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油型の非イオン性界面活性剤を更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性分散体。
  6. ポリグリセリン脂肪酸エステル型の非イオン性界面活性剤を含まない、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水性分散体。
  7. I型プロコラーゲン産生促進剤である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水性分散体。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の水性分散体を含む、化粧料組成物。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の水性分散体を他の原料に配合する工程を含む、化粧料の製造方法。
JP2021502663A 2019-02-28 2020-02-28 化粧料用水性分散体、化粧料組成物、及び化粧料の製造方法 Pending JPWO2020175700A1 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019036657 2019-02-28
JP2019036657 2019-02-28
JP2019078099 2019-04-16
JP2019078099 2019-04-16
PCT/JP2020/008519 WO2020175700A1 (ja) 2019-02-28 2020-02-28 化粧料用水性分散体、化粧料組成物、及び化粧料の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2020175700A1 true JPWO2020175700A1 (ja) 2021-10-07

Family

ID=72239795

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021502663A Pending JPWO2020175700A1 (ja) 2019-02-28 2020-02-28 化粧料用水性分散体、化粧料組成物、及び化粧料の製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JPWO2020175700A1 (ja)
WO (1) WO2020175700A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022163336A1 (ja) * 2021-01-29 2022-08-04 株式会社コーセー セラミド類含有組成物

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004045566A1 (ja) * 2002-11-15 2004-06-03 Kose Corporation 半透明化粧料
JP2010095499A (ja) * 2008-10-20 2010-04-30 Unitika Ltd コラーゲン産生促進剤
JP2011231100A (ja) * 2010-04-07 2011-11-17 Fujifilm Corp 水性化粧料及びその製造方法
JP2014114235A (ja) * 2012-12-10 2014-06-26 Maruzen Pharmaceut Co Ltd メラニン産生抑制剤及びコラーゲン産生促進剤
JP2016044167A (ja) * 2014-08-26 2016-04-04 小林製薬株式会社 外用組成物
JP2016185916A (ja) * 2015-03-27 2016-10-27 山栄化学株式会社 セラミド含有化粧料用エマルジョン組成物、その製造方法及び当該化粧料用エマルジョン組成物を配合した化粧料

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4959663B2 (ja) * 2008-09-30 2012-06-27 富士フイルム株式会社 水性化粧料及びその製造方法
JP6016728B2 (ja) * 2013-08-02 2016-10-26 富士フイルム株式会社 セラミド分散組成物
JP2015221760A (ja) * 2014-05-22 2015-12-10 株式会社東洋新薬 コラーゲン合成促進剤、ヒアルロン酸合成促進剤及びセラミド合成促進剤

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004045566A1 (ja) * 2002-11-15 2004-06-03 Kose Corporation 半透明化粧料
JP2010095499A (ja) * 2008-10-20 2010-04-30 Unitika Ltd コラーゲン産生促進剤
JP2011231100A (ja) * 2010-04-07 2011-11-17 Fujifilm Corp 水性化粧料及びその製造方法
JP2014114235A (ja) * 2012-12-10 2014-06-26 Maruzen Pharmaceut Co Ltd メラニン産生抑制剤及びコラーゲン産生促進剤
JP2016044167A (ja) * 2014-08-26 2016-04-04 小林製薬株式会社 外用組成物
JP2016185916A (ja) * 2015-03-27 2016-10-27 山栄化学株式会社 セラミド含有化粧料用エマルジョン組成物、その製造方法及び当該化粧料用エマルジョン組成物を配合した化粧料

Also Published As

Publication number Publication date
WO2020175700A1 (ja) 2020-09-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4815164B2 (ja) 保湿剤及びこれを含有する化粧料及び皮膚外用剤
JP5143354B2 (ja) オリゴマーエステル及びこれらを含有する化粧料及び皮膚外用剤
JP2013067594A (ja) モモ樹脂を含有する化粧料
JP2002275020A (ja) 油剤及びこれを含有する化粧料及び外用剤
TW201540314A (zh) 皮膚用水中油型乳化化妝料
JPWO2018221534A1 (ja) 油性保湿剤及びそれを含む皮膚外用組成物
JP5726481B2 (ja) ヒドロキシニコチン酸又はその誘導体を含有する化粧料又は皮膚外用剤
JP5805466B2 (ja) ラメラ形成能を有する化粧料又は皮膚外用剤用のジエステル組成物
JP2009501209A (ja) シワの処理のための美容方法
JP2006137684A (ja) リポソーム前駆体の製造方法
JP2017178855A (ja) シワ及び/又は毛穴の隠蔽用の外用組成物
JPWO2020175700A1 (ja) 化粧料用水性分散体、化粧料組成物、及び化粧料の製造方法
JP6207184B2 (ja) 化粧料及び皮膚外用剤
JP7250899B2 (ja) 化粧料用水性分散体、化粧料組成物、及び化粧料の製造方法
JP5602456B2 (ja) アスコルビン酸誘導体
JP2015160818A (ja) 毛髪化粧料
JP6472038B2 (ja) 化粧料用油剤及びそれを配合する化粧料
JP2004506615A (ja) 天然又は再構築表皮を改善するためのセラミド前駆物質を含有する組成物と得られた皮膚等価物
JP2014152146A (ja) 油性化粧料
JP2014210711A (ja) ヒアルロン酸産生促進剤
JP2021063068A (ja) 化粧料用油剤、及びそれを含有する化粧料又は皮膚外用剤
JP2017178854A (ja) 外用組成物
JP2000344697A (ja) 長鎖分岐アルコール及びこれを用いた化粧料及び外用剤
JP2012197242A (ja) 油性化粧料
JP7186277B2 (ja) 水性分散体、化粧料組成物、及び化粧料の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210519

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220614

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220812

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221108

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230110

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20230404